<第1の実施の形態>
図1は、点火装置10の構成の一例を示す図である。点火装置10は、内燃機関たとえば自動車のエンジンの点火システムであるイグニッションシステムに備えられる。点火装置10は、半導体装置1、点火用トランス4、点火プラグ5、電子制御ユニット(Electronic Control Unit;略称:ECU)6および電源9を備えて構成される。
半導体装置1は、集積回路2およびスイッチング素子部3を備える。集積回路2は、ドライブ回路11、制御回路12および電流検出抵抗Rs1を備える。スイッチング素子部3は、スイッチング素子として、電力用半導体素子、具体的には、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor;略称:IGBT)Q1を備える。またスイッチング素子部3は、ツェナーダイオードZd1を備える。点火用トランス4は、一次側コイル13および二次側コイル14を備える。
ECU6は、ドライブ回路11および制御用グランド7に接続される。ECU6は、制御用コンピュータであり、中央演算処理装置(Central Processing Unit;略称:CPU)を備えて構成される。ECU6は、制御装置に相当する。
ECU6は、スイッチング素子部3のスイッチング素子であるIGBT Q1を制御する制御信号Sdを、ドライブ回路11に与える。ドライブ回路11は、制御回路12および制御用グランド7に接続される。ドライブ回路11は、ECU6から与えられた制御信号Sdを制御回路12に与える。ドライブ回路11から制御回路12に出力される制御信号Sdは、駆動制御信号に相当する。
制御回路12は、スイッチング素子部3を構成するIGBT Q1およびツェナーダイオードZd1、電流検出抵抗Rs1およびパワー半導体用グランド8に接続される。制御回路12は、具体的には、IGBT Q1のゲート、およびツェナーダイオードZd1のアノードに、それぞれ接続される。
制御回路12は、ドライブ回路11から与えられる制御信号Sdと、予め定められる動作条件とに基づいて、スイッチング素子部3のIGBT Q1を駆動させるドライブ信号Vgeを生成する。制御回路12は、生成したドライブ信号Vgeを、IGBT Q1のゲートに与える。これによって、制御回路12は、IGBT Q1の駆動を制御する。
IGBT Q1のコレクタは、点火用トランス4の一次側コイル13の一端およびツェナーダイオードZd1のカソードに接続される。点火用トランス4の一次側コイル13の他端には、電源9が接続される。ツェナーダイオードZd1のアノードは、IGBT Q1のゲートおよび制御回路12に接続される。点火用トランス4の二次側コイル14の一端には、電源9が接続される。点火用トランス4の二次側コイル14の他端には、点火プラグ5の一端が接続される。点火プラグ5の他端は、パワー半導体用グランド8に接続される。
ツェナーダイオードZd1は、点火用トランス4を構成する一次側コイル13および二次側コイルの巻き線の絶縁破壊を防止するために、IGBT Q1のコレクタとゲートとの間に設けられる。ツェナーダイオードZd1は、IGBT Q1のコレクタとエミッタとの間の電圧(以下「コレクタ−エミッタ間電圧」という場合がある)Vceを予め定める電圧に固定(クランプ(clamp))するためのクランプツェナーである。ツェナーダイオードZd1は、IGBT Q1のコレクタ−エミッタ間電圧Vceを、たとえば500V程度にクランプする。
IGBT Q1のエミッタは、電流検出抵抗Rs1の一端に接続される。電流検出抵抗Rs1の他端は、パワー半導体用グランド8に接続される。電流検出抵抗Rs1の一端には、制御回路12が接続される。制御回路12は、IGBT Q1のエミッタに流れるエミッタ電流を、電流検出抵抗Rs1によってセンス電圧Vsenseに変換して検出する。
具体的には、制御回路12は、電流検出抵抗Rs1の一端とパワー半導体用グランド8との電位差を、センス電圧Vsenseとして検出する。制御回路12は、検出したセンス電圧Vsenseと、電流検出抵抗Rs1の抵抗値とに基づいて、IGBT Q1のエミッタに流れるエミッタ電流を求める。このようにして求めたエミッタ電流を、以下の説明では、センス電流Isenseという。
点火装置10は、以下のように動作する。点火装置10の半導体装置1は、ECU6から、制御信号Sdとして、スイッチング素子部3のIGBT Q1をオンにするためのオン信号が与えられると、ECU6からのオン信号を、ドライブ回路11を介して、制御回路12の制御端子で受信する。制御回路12は、受信したオン信号に基づいて、IGBT Q1を駆動する。これによって、半導体装置1は、負荷である点火用トランス4に電流を流す。
点火タイミング時には、ECU6から、制御信号Sdとして、IGBT Q1をオフにするためのオフ信号が与えられる。半導体装置1は、ECU6からのオフ信号を、ドライブ回路11を介して、制御回路12の制御端子で受信する。制御回路12は、受信したオフ信号に基づいて、IGBT Q1をターンオフし、IGBT Q1のコレクタとエミッタとの間の導通を遮断する。
IGBT Q1のコレクタ−エミッタ間の導通の遮断によって、IGBT Q1のコレクタ−エミッタ間電圧Vceが上昇し、点火用トランス4の二次側コイル14に、巻き数比倍された高電圧が励起され、点火用電圧V2として、点火プラグ5に印加される。点火用電圧V2は、たとえば、マイナス(−)30kV以上である。
図2は、半導体装置1の動作を示すタイミングチャートである。図2では、半導体装置1の動作を示すために、ECU6からドライブ回路11を介して制御回路12に与えられる制御信号Sd(V)、制御回路12からIGBT Q1のゲートに与えられるドライブ信号Vge(V)、点火用トランス4からIGBT Q1に流れる負荷電流Ic(A)、IGBT Q1のコレクタ−エミッタ間電圧Vce(V)、および点火用電圧V2(V)の変化を表すタイミングチャートを示している。ドライブ信号Vge(V)は、IGBT Q1のゲートとエミッタとの間の電圧(以下「ゲート−エミッタ間電圧」という)となる。図2の横軸は、時間T(sec)である。
時刻t1において、制御回路12に与えられる制御信号Sdの信号レベルがロー(Low)レベルからハイ(Hi)レベルに切り替わると、IGBT Q1のゲートに与えられるドライブ信号Vgeの信号レベルがローレベルからハイレベルとなる。これによって、負荷である点火用トランス4から、負荷電流IcがIGBT Q1に流れ始める。負荷電流Icは、徐々に増加する。
点火タイミングTigである時刻t2において、制御信号Sdの信号レベルがハイレベルからローレベルに切り替わると、ドライブ信号Vgeがハイレベルからローレベルになる。これによって、負荷電流Icが遮断される。
その後、時刻t3において、時刻t1と同様に、制御信号Sdの信号レベルがローレベルからハイレベルに切り替わると、ドライブ信号Vgeの信号レベルがローレベルからハイレベルになり、負荷電流Icが流れ始める。
制御信号Sdのオン時間、すなわち制御信号Sdとしてオン信号が与えられる時間、および電源9の電圧Vpに依存して、負荷電流Icの値は変動する。IGBT Q1は、負荷電流Icが、ある値以上になると、点火用トランス4を構成する一次側コイル13および二次側コイルの巻き線の溶断、ならびに点火用トランス4の磁気飽和のリスクを回避するために、負荷電流Icを頭打ちにするように制御される。この最大許容電流値を「電流制限値」と定義し、Ic0で表す。
たとえば、時刻t4において、ドライブ信号Vgeの信号レベルがハイレベルから低下して負荷電流Icがさらに増加し、時刻t5において、負荷電流Icが電流制限値Ic0に到達すると、IGBT Q1は、コレクタ−エミッタ間電圧Vceが増加するように制御回路12によって制御される。これによって、負荷電流Icが電流制限値Ic0に制限される。
その後、点火タイミングTigである時刻t6において、制御信号Sdの信号レベルがハイレベルからローレベルに切り替わると、ドライブ信号Vgeがハイレベルからローレベルになり、負荷電流Icが遮断される。
参照符号「15」で示される動作ポイントでは、スイッチング素子であるIGBT Q1に、大きなジュール損失が発生している。
図3は、本発明の前提技術である半導体装置1の制御回路12およびスイッチング素子部3の構成を示す図である。制御回路12は、内部電源20、シュミットトリガ回路21、遅延タイマ22、直流電流源23、基準電圧源24、コンパレータ25、電圧−電流変換回路(略称:V−I変換回路)26、第1のショットキーバリアダイオードDs1、第2のショットキーバリアダイオードDs2、制御回路用ツェナーダイオードZd2、第1の抵抗R1、第2の抵抗R2、第1のPチャネル型MOSFET(Metal-Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)PM1、第2のPチャネル型MOSFET PM2、第3のPチャネル型MOSFET PM3、第4のPチャネル型MOSFET PM4および第5のPチャネル型MOSFET PM5を備えて構成される。以下の説明では、Pチャネル型MOSFETを「PMOSトランジスタ」という。
スイッチング素子部3は、IGBT Q1およびツェナーダイオードZd1を備えて構成される。以下の説明では、スイッチング素子部3を構成するツェナーダイオードZd1を、「素子部用ツェナーダイオードZd1」という場合がある。IGBT Q1は、コレクタ電流に比例したセンス電流Isenseが出力されるセンス端子を備える。
制御回路用ツェナーダイオードZd2のカソードは、ドライブ回路11の出力端子Gに接続される。制御回路用ツェナーダイオードZd2のアノードは、パワー半導体用グランド8のグランド端子GNDに接続される。第1のショットキーバリアダイオードDs1のアノードは、ドライブ回路11の出力端子Gに接続される。第1のショットキーバリアダイオードDs1のカソードは、第2のショットキーバリアダイオードDs2のカソードに接続される。第2のショットキーバリアダイオードDs2のアノードは、パワー半導体用グランド8のグランド端子GNDに接続される。
第1のショットキーバリアダイオードDs1のカソードと、第2のショットキーバリアダイオードDs2のカソードとの接続点は、内部電源20、第1の抵抗R1の一端、シュミットトリガ回路21の入力端子、第1のPMOSトランジスタPM1のソース、第2のPMOSトランジスタPM2のソース、第3のPMOSトランジスタPM3のソース、第4のPMOSトランジスタPM4のソース、第5のPMOSトランジスタPM5のソースにそれぞれ接続される。
第1の抵抗R1の一端は、内部電源20に接続される。第1の抵抗R1の他端は、パワー半導体用グランド8のグランド端子GNDに接続される。
シュミットトリガ回路21の出力端子は、遅延タイマ22の一端に接続される。遅延タイマ22の他端は、第1のPMOSトランジスタPM1のゲートに接続される。第1のPMOSトランジスタPM1のドレインは、第2のPMOSトランジスタPM2のドレインおよび第4のPMOSトランジスタPM4のドレインに接続される。
第1のPMOSトランジスタPM1のドレイン、第2のPMOSトランジスタPM2のドレインおよび第4のPMOSトランジスタPM4のドレインの接続点は、直流電流源23の一端に接続される。直流電流源23の他端は、パワー半導体用グランド8のグランド端子GNDに接続される。
第2のPMOSトランジスタPM2および第3のPMOSトランジスタPM3によって、カレントミラー回路が構成される。第2のPMOSトランジスタPM2および第3のPMOSトランジスタPM3のゲートは、共通に接続され、第3のPMOSトランジスタPM3のドレインに接続される。第3のPMOSトランジスタPM3のドレインは、V−I変換回路26の出力端子に接続される。
第4のPMOSトランジスタPM4および第5のPMOSトランジスタPM5によって、カレントミラー回路が構成される。第4のPMOSトランジスタPM4および第5のPMOSトランジスタPM5のゲートは、共通に接続され、第4のPMOSトランジスタPM4のドレインに接続される。
第5のPMOSトランジスタPM5のドレインは、第2の抵抗R2の一端に接続される。第2の抵抗R2の他端は、パワー半導体用グランド8のグランド端子GNDに接続される。第5のPMOSトランジスタPM5のドレインと、第2の抵抗R2の一端との接続点は、スイッチング素子部3を構成するスイッチング素子用ツェナーダイオードZd1のアノードと、IGBT Q1のゲートとの接続点に接続される。
IGBT Q1のコレクタは、図1に示す点火用トランス4の一次側コイル13の一端に接続され、またスイッチング素子用ツェナーダイオードZd1のカソードに接続される。スイッチング素子用ツェナーダイオードZd1のアノードは、IGBT Q1のゲートに接続される。
IGBT Q1のエミッタは、パワー半導体用グランド8のグランド端子GNDに接続される。IGBT Q1のセンス端子は、電流検出抵抗Rs1の一端に接続される。電流検出抵抗Rs1の他端は、IGBT Q1のエミッタ、およびパワー半導体用グランド8のグランド端子GNDに接続される。
前述の図1では、電流検出抵抗Rs1が、IGBT Q1のエミッタとパワー半導体用グランド8との間に設けられる場合を示している。図3では、理解を容易にするために、IGBT Q1のエミッタに設けられるセンス端子が、電流検出抵抗Rs1を介してパワー半導体用グランド8のグランド端子GNDに接続され、IGBT Q1のエミッタがパワー半導体用グランド8のグランド端子GNDに接続される場合を示している。
IGBT Q1のセンス端子と電流検出抵抗Rs1の一端との接続点は、コンパレータ25の非反転入力端子に接続される。コンパレータ25の反転入力端子は、基準電圧源24の正極端子に接続される。基準電圧源24の負極端子は、基準電源電位GNDに接続される。コンパレータ25の出力端子は、V−I変換回路26の入力端子に接続される。
前提技術の制御回路12では、図1に示すパワー半導体用グランド8は、バッテリーが接続されるバッテリーGNDまでの配線の影響で、ドライブ回路11から出力される出力信号の信号レベルがローレベルのときに、サージなどの印加によって電位が−60V程度まで下がるおそれがある。これによって、半導体装置1が誤動作し、IGBT Q1がターンオフされた後に、再度オン(ON)動作をしてしまうおそれがある。
これを防ぐために、半導体装置1には、サージなどの短いパルス信号では動作しないように、不要な点火動作を防止する機能が保護機能として搭載される。また半導体装置1には、他の保護機能、たとえば、焼損破壊を回避するために、予め定める時間以上持続してオン信号が印加されたとき、負荷電流を遮断する機能が搭載される。
これらの保護機能は、半導体装置1の回路規模を増大させ、低コスト化および小型化を阻害する要因となっている。そこで、本発明の半導体装置では、以下に示す実施の形態の構成を採用している。
図4は、本発明の第1の実施の形態である半導体装置30の制御回路31およびスイッチング素子部3の構成を示す図である。半導体装置30は、前述の図1に示す半導体装置1に代えて、点火装置10に備えられて用いられる。
本実施の形態の半導体装置30は、図3に示す前提技術の制御回路12に代えて、図4に示す制御回路31を備えること以外は、図1に示す半導体装置1と同様に構成される。本実施の形態の半導体装置30における制御回路31は、外部コンデンサC1を備えること、および図3に示す遅延タイマ22に代えて、第1のインバータ回路INV1を備えること以外は、前提技術の制御回路12と同様の構成を有する。したがって、制御回路12と同一の構成については同一の参照符号を付して、共通する説明を省略する。
本実施の形態では、シュミットトリガ回路21の入力端子は、第1のショットキーバリアダイオードDs1のアノードと、ドライブ回路11の出力端子Gとの接続点に接続される。シュミットトリガ回路21の入力端子は、第1のショットキーバリアダイオードDs1のカソードと、第2のショットキーバリアダイオードDs2のカソードとの接続点には接続されない。
シュミットトリガ回路21の出力端子は、第1のインバータ回路INV1の入力端子に接続される。第1のインバータ回路INV1の出力端子は、第1のPMOSトランジスタPM1のゲートに接続される。
外部コンデンサC1は、制御回路31の外部コンデンサC1を除く残余の部分を構成する半導体チップの外部に設けられる。外部コンデンサC1の一方の電極は、内部電源20に接続される。外部コンデンサC1の他方の電極は、パワー半導体用グランド8のグランド端子GNDに接続される。
本実施の形態における制御回路31は、外部コンデンサC1の蓄積電荷を利用した負論理(ネガティブロジック)型のスイッチング素子駆動回路である。制御回路31は、相補型金属酸化膜半導体(Complementary Metal Oxide Semiconductor;略称:CMOS)で構成される。したがって、制御回路31は、消費電流が比較的少ないので、外部コンデンサC1の容量を比較的小さくすることができる。
制御回路31は、ドライブ回路11の出力端子Gから出力されて入力される制御信号がハイ(Hi)レベルであるとき、外部コンデンサC1に充電を行う。制御回路31は、ドライブ回路11の出力端子Gから出力されて入力される制御信号がロー(Low)レベルであるとき、外部コンデンサC1に蓄えた電荷によって、スイッチング素子であるIGBT Q1を駆動する。
本実施の形態では、制御信号がロー(Low)レベルであるときに、外部コンデンサC1の電荷が、入力側であるドライブ回路11の出力端子Gに逆流しないように、外部コンデンサC1に第1のショットキーバリアダイオードDs1を接続している。
制御回路31は、外部コンデンサC1に蓄えた電荷を利用してIGBT Q1を駆動するので、外部コンデンサC1に蓄えた電荷がなくなると、必然的に動作を停止する。したがって、本実施の形態における制御回路31では、ある一定時間以上持続してオン信号が印加されたときに負荷電流Icを遮断する機能を容易に実現することができる。
具体的に述べると、本実施の形態では、長時間にわたって連続して通電する異常連続通電が発生したとき(以下「異常連続通電時」という場合がある)には、制御回路31の消費電力によって、外部コンデンサC1が放電する。外部コンデンサC1の放電に伴い、IBGT Q1のゲート−エミッタ間電圧であるドライブ信号Vgeが徐々に低下するので、制御回路31は、負荷電流であるコレクタ電流Icを緩慢に遮断することができる。
また、前述の図3に示す前提技術における制御回路12では、異常連続通電を検出し、負荷電流であるコレクタ電流Icを緩慢に遮断する保護回路が必要である。これに対し、本実施の形態の制御回路31では、前述のように外部コンデンサC1の放電を利用して、負荷電流Icを緩慢に遮断することができるので、別途、保護回路を設ける必要はない。
すなわち、本実施の形態における制御回路31では、保護回路を別途設けることなく、長時間にわたって連続して通電することを防止するタイマ機能(以下「連続通電防止タイマ機能」という場合がある)と、負荷電流であるコレクタ電流Icを緩慢に遮断する機能(以下「電流緩慢遮断機能」という場合がある)とを容易に両立することができる。したがって、制御回路31の小型化および低コスト化が可能となる。
また、図3に示す前提技術における制御回路12では、ドライブ回路11から出力される制御信号がオフ信号であり、IGBT Q1がオフされたときに、サージおよびノイズなどがあった場合、配線ドロップによって、パワー半導体用グランド8のグランド端子GNDにおける電圧が−60V程度まで下がり、IGBT Q1が再度オン動作をしてしまうおそれがある。
これに対し、本実施の形態における制御回路31では、負論理型としているので、IGBT Q1が再度オン動作をすることを防止することができる。具体的に述べると、負論理型では、IGBT Q1がオフのときには、ドライブ回路11から出力される出力信号の信号レベルがハイ(Hi)レベルであり、外部コンデンサC1に充電しているモードである。その状態で、パワー半導体用グランド8のグランド端子GNDにおける電圧が−60V程度まで低下しても、制御回路31は動作しない。したがって、IGBT Q1が再度オン動作をすることを防止することができる。
また前述の前提技術における制御回路12は、ドライブ回路11から出力される出力信号の信号レベルがローレベルである場合、第1〜第5のPMOSトランジスタPM1〜PM5などのPMOSトランジスタ、およびNMOSトランジスタを駆動させることはできない。
これに対し、本実施の形態における制御回路31では、ドライブ回路11から出力される出力信号の信号レベルがローレベルである場合でも、外部コンデンサC1に電荷が蓄積されているので、制御回路31に電力を供給することができる。したがって、第1〜第5のPMOSトランジスタPM1〜PM5などのPMOSトランジスタ、およびNMOSトランジスタを駆動することが可能である。
外部コンデンサC1としては、比較的高い誘電率を有するセラミックコンデンサなどが用いられる。外部コンデンサC1を、制御回路31の外部コンデンサC1を除く残余の部分を構成する半導体チップの外部に設けることによって、制御回路31を比較的安価に実現することができる。また、外部コンデンサC1の容量を自由に設定することができる。
図5は、図4の制御回路31およびスイッチング素子部3の動作を示すタイミングチャートである。図5では、半導体装置30の動作を示すために、ECU6からドライブ回路11に入力される電圧信号VECU(V)、ドライブ回路11から制御回路31に与えられる制御信号Sd(V)、外部コンデンサC1の端子間電圧VC1(V)、制御回路31からIGBT Q1のゲートに与えられるドライブ信号Vge(V)、点火用トランス4からIGBT Q1に流れる負荷電流Ic(A)、IGBT Q1のコレクタ−エミッタ間電圧Vce(V)、および点火用電圧V2(V)の変化を表すタイミングチャートを示している。図5の横軸は、時間T(sec)である。
時刻t11において、図1に示すECU6から電圧信号VECUとして、スイッチング素子であるIGBT Q1をオンするためのオン(ON)信号が印加される。具体的には、ECU6からドライブ回路11に入力される電圧信号VECUの信号レベルが、ローレベルからハイレベルに切り替わる。
これによって、時刻t11において、ドライブ回路11から制御回路31に与えられる制御信号Sdの信号レベルが、ハイレベルからローレベルになる。また時刻t11において、外部コンデンサC1が放電を開始し、外部コンデンサC1の端子間電圧VC1が低下し始める。また時刻t11において、IGBT Q1のゲート−エミッタ間電圧であるドライブ信号Vgeの信号レベルが、ローレベルからハイレベルになり、IGBT Q1がオンする。
時刻t11においてIGBT Q1がオンすると、負荷である点火用トランス4のインダクタンスと配線抵抗とで決まる時定数に従って、図5に示すように負荷電流IcがIGBT Q1に流れ始める。負荷電流Icは、徐々に増加する。
燃料を点火させたいタイミングである点火タイミングTig、たとえば時刻t12において、ECU6から出力される制御信号、具体的には、ECU6からドライブ回路11に入力される電圧信号VECUの信号レベルがハイレベルからローレベルに切り替わり、ドライブ回路11から制御回路31に、制御信号Sdとして、IGBT Q1をオフするためのオフ(OFF)信号が印加される。すなわち、制御信号Sdの信号レベルが、ローレベルからハイレベルになる。
これによって、時刻t12において、IGBT Q1のゲート−エミッタ間電圧であるドライブ信号Vgeの信号レベルがハイレベルからローレベルになり、点火用トランス4の1次側コイル13を流れる負荷電流Icが遮断される。また時刻t12において、外部コンデンサC1が充電を開始し、外部コンデンサC1の端子間電圧VC1が上昇し始める。
この負荷電流Icの遮断は、点火用トランス4内の鎖公磁束の変化を誘発させ、2次側コイル14に、巻き数比に依存した高電圧を誘発する。これによって、エンジン気筒内のスパークプラグに放電が発生する。
その後、時刻t13において、時刻t11と同様に、ECU6からドライブ回路11に入力される電圧信号VECUの信号レベルが、ローレベルからハイレベルに切り替わり、ドライブ回路11から制御回路31に与えられる制御信号Sdの信号レベルが、ハイレベルからローレベルになる。また時刻t13において、外部コンデンサC1が放電を開始し、外部コンデンサC1の端子間電圧VC1が低下し始める。また時刻t13において、IGBT Q1のゲート−エミッタ間電圧であるドライブ信号Vgeの信号レベルが、ローレベルからハイレベルになり、IGBT Q1がオンする。
時刻t13においてIGBT Q1がオンすると、負荷電流IcがIGBT Q1に流れ始める。負荷電流Icは、徐々に増加する。
制御回路31は、過電流による巻き線の溶断、点火用トランス4のリラクタンスである磁気抵抗を調整するためのマグネットの減磁抑制およびコア素材の磁気飽和抑制のために、電流制限機能を備えている。電流制限機能は、予め定める値以上の負荷電流Icが流れないようにする保護機能である。この予め定める値が前述の「電流制限値」である。以下の説明では、電流制限値をIc0で表す。電流制限値は、たとえば、10Aまたは14Aなどである。
制御回路31は、IGBT Q1のゲート−エミッタ間電圧であるドライブ信号Vgeの信号レベルがハイレベルから低下して負荷電流Icがさらに増加し、時刻t15において、IGBT Q1に流れる負荷電流Icが電流制限値Ic0に到達すると、電流制限値Ic0以上に負荷電流Icが流れないように、IGBT Q1を制御する。このような制御を、以下の説明では「負帰還制御」という場合がある。この負帰還制御が行われているとき、すなわち時刻t15から時刻t16までの間、IBGT Q1のゲート−エミッタ間電圧であるドライブ信号Vgeは、信号レベルがハイレベルよりも低くなっている。
電流制限を行う場合、制御回路31は、センス電圧Vsenseを、コンパレータ25によって基準電圧Vrefと比較して増幅し、コンパレータ25の出力端子から出力される操作量を、V−I変換回路26によって電流量If1に変換する。センス電圧Vsenseは、図4に示すセンス電流Isenseと、センス抵抗である電流検出抵抗Rs1とによって発生する電圧である。
求められた電流量If1によって、第2のPMOSトランジスタPM2のドレインからドレイン電流If2が発生し、直流電流源23を流れる電流I_baseに流入する。これによって、直流電流源23を流れる電流I_baseの量である電流生成量Ig2が変動する。直流電流源23は、IGBT Q1を駆動する電流源である。
負荷電流であるコレクタ電流Icが増えるほど、この電流生成量Ig2が低下し、第2の抵抗R2によって発生する電圧が低下するので、負荷電流であるコレクタ電流Icを抑制するように作用する。このようにして、負帰還制御が実現される。ここで、第2の抵抗R2の抵抗値は、数10kΩオーダーである。図5の例では、以上の動作を、外部コンデンサC1に蓄えた電荷を利用して行っている。
外部コンデンサC1の充放電は、ECU6から出力される出力信号のハイレベルおよびローレベルに呼応してドライブ回路11から出力される出力信号に応じて行われる。たとえば、制御回路31は、ドライブ回路11から出力される出力信号の信号レベルがハイレベルのとき、外部コンデンサC1へ充電し、回路動作を停止、すなわちIGBT Q1のゲート信号をローレベルとして、IGBT Q1をオフする。また制御回路31は、ドライブ回路11から出力される出力信号の信号レベルがローレベルのとき、外部コンデンサC1の蓄積電荷を利用して、回路動作を開始、すなわちIGBT Q1のゲート信号をハイレベルとして、IGBT Q1をオンさせる。
その後、点火タイミングTigである時刻t16において、ECU6からドライブ回路11に入力される電圧信号VECUの信号レベルがハイレベルからローレベルに切り替わり、ドライブ回路11から制御回路31に、制御信号Sdとして、IGBT Q1をオフするためのオフ(OFF)信号が印加される。すなわち、制御信号Sdの信号レベルが、ローレベルからハイレベルになる。これによって、時刻t16において、IGBT Q1のゲート−エミッタ間電圧であるドライブ信号Vgeの信号レベルがローレベルになり、点火用トランス4の1次側コイル13を流れる負荷電流Icが遮断される。
その後、たとえば時刻t17から時刻t21までの期間T0において、異常連続通電が発生した場合を考える。まず、時刻t17において、時刻t11,t13と同様に、ECU6からドライブ回路11に入力される電圧信号VECUの信号レベルが、ローレベルからハイレベルに切り替わり、ドライブ回路11から制御回路31に与えられる制御信号Sdの信号レベルが、ハイレベルからローレベルになる。また時刻t17において、外部コンデンサC1が放電を開始し、外部コンデンサC1の端子間電圧VC1が低下し始める。また時刻t17において、IGBT Q1のゲート−エミッタ間電圧であるドライブ信号Vgeの信号レベルが、ローレベルからハイレベルになり、IGBT Q1がオンする。
時刻t17においてIGBT Q1がオンすると、負荷電流IcがIGBT Q1に流れ始める。負荷電流Icは、徐々に増加する。時刻t18において、ドライブ信号Vgeの信号レベルがハイレベルから低下すると、負荷電流Icがさらに増加する。時刻t19において、負荷電流Icが電流制限値Ic0に到達すると、IGBT Q1は、コレクタ−エミッタ間電圧Vceが増加するように制御回路31によって制御される。
電流制限値Ic0の負荷電流Icの通電が比較的長時間にわたって継続され、異常連続通電となると、制御回路31の消費電力によって外部コンデンサC1が放電される。外部コンデンサC1の放電に伴い、たとえば時刻t20において、IBGT Q1のゲート−エミッタ間電圧であるドライブ信号Vgeの信号レベルが低下を開始する。それに伴い、負荷電流Icが低下を開始し、たとえば時刻t21において、負荷電流Icがゼロになる。
時刻t17から時刻t21までの期間T0において、外部コンデンサC1は、放電を継続し、外部コンデンサC1の端子間電圧VC1は、徐々に低下する。これに伴い、ドライブ信号Vgeの信号レベルも徐々に低下し、たとえば時刻t22において、ドライブ信号Vgeがローレベルになる。さらにその後、たとえば時刻t23よりも前に、外部コンデンサC1の放電が完了し、外部コンデンサC1の端子間電圧VC1がゼロになる。
このように外部コンデンサC1が放電された状態で、たとえば時刻t23において、ECU6からドライブ回路11に入力される電圧信号VECUの信号レベルがハイレベルからローレベルに切り替わる。これに伴い、ドライブ回路11から制御回路31に、制御信号Sdとして、IGBT Q1をオフするためのオフ(OFF)信号が印加される。すなわち、制御信号Sdの信号レベルが、ローレベルからハイレベルになる。これによって、外部コンデンサC1の充電が開始される。
外部コンデンサC1の充電が完了した後は、通常時の動作に復帰し、時刻t11から時刻t12までの期間、および時刻t13から時刻t16までの期間と同様の動作が行われる。
たとえば時刻t24において、ECU6からドライブ回路11に入力される電圧信号VECUの信号レベルがローレベルからハイレベルに切り替わり、制御信号Sdの信号レベルがハイレベルからローレベルになると、外部コンデンサC1が放電を開始し、ドライブ信号Vgeの信号レベルがローレベルからハイレベルになり、IGBT Q1がオンする。
次いで、たとえば時刻t25において、ECU6からドライブ回路11に入力される電圧信号VECUの信号レベルがハイレベルからローレベルに切り替わり、制御信号Sdの信号レベルがローレベルからハイレベルになると、ドライブ信号Vgeの信号レベルがハイレベルからローレベルになり、点火用トランス4の1次側コイル13を流れる負荷電流Icが遮断される。
時刻t25以降は、時刻t11から時刻t12までの期間、時刻t13から時刻t16までの期間、および時刻t24から時刻t25までの期間のような通常の動作が繰り返し行われる。そして、異常連続通電時には、時刻t11から時刻t21までの期間T0のような動作が行われる。
異常連続通電時、たとえば、通電が100msec以上200msec以下程度連続して行われているときには、制御回路31の消費電力によって、外部コンデンサC1が放電される。外部コンデンサC1の放電に伴い、IBGT Q1のゲート−エミッタ間電圧Vgeが徐々に低下するので、負荷電流であるコレクタ電流Icを緩慢に遮断することができる。
したがって、本実施の形態では、前述の図3に示す前提技術の制御回路12では必要であった、異常通電を検出し、コレクタ電流Icを緩慢に遮断する保護回路が不要となる。これによって、連続通電防止タイマ機能と電流緩慢遮断機能とを容易に両立することができるので、制御回路31を含む集積回路2の小型化および低コスト化が可能となる。
また、前提技術における制御回路12では、ドライブ回路11から出力される出力信号の信号レベルがローレベルであり、IGBT Q1のゲート信号がローレベルであるときに、配線ドロップによって、パワー半導体用グランド8のグランド端子GNDの電位がマイナスに振れ、スイッチング素子であるIGBT Q1が再度オンするおそれがある。したがって、前提技術の制御回路12は、スイッチング素子であるIGBT Q1が再度オンすることを防止するための再オン防止回路を具備する。
たとえば、パワー半導体用グランド8のグランド端子GNDは、バッテリーGNDからの配線の引き回しの影響で、サージおよびノイズなどが入った場合、−60V程度まで電位が下がるおそれがある。前提技術の制御回路12では、IGBT Q1のゲート信号がオフであるとき、ドライブ回路11から出力される出力信号の信号レベルがローレベルであるので、この状態でパワーGNDが−60V程度まで下がると、IGBT Q1がオン動作をしてしまう。
これに対し、本実施の形態の制御回路31では、IGBT Q1のゲート信号がオフであるときに、パワーGNDの電位がマイナスに振れた場合、外部コンデンサC1への充電が行われるのみである。したがって、IGBT Q1は駆動されないので、IGBT Q1が再度オンすることを防止することができる。
具体的には、本実施の形態の制御回路31では、ゲート信号がオフであるときには、ドライブ回路11から出力される出力信号の信号レベルはハイレベルである。この状態でパワーGNDの電位が−60V程度まで下がっても、ドライブ回路11から出力される出力信号がより高電位、すなわちハイレベルになるだけであり、外部コンデンサC1への充電が行われる状態であることに変わりはない。したがって、スイッチング素子であるIGBT Q1は駆動されない。
以上のことから、本実施の形態では、再オン防止回路を具備せずに、前提技術の制御回路12と同等の保護機能を有する制御回路31を実現することができることが判る。したがって、本実施の形態では、制御回路31を含む集積回路の小型化および低コスト化が可能となる。
<第2の実施の形態>
図6は、本発明の第2の実施の形態である半導体装置35の制御回路36およびスイッチング素子部3の構成を示す図である。半導体装置35は、前述の図1に示す半導体装置1に代えて、点火装置10に備えられて用いられる。本実施の形態の半導体装置35は、以下に示す構成以外は、前述の図4に示す第1の実施の形態の半導体装置30と同様の構成を有する。本実施の形態の制御回路36の構成は、第1の実施の形態の制御回路31の構成と類似する。したがって、制御回路31と同一の構成については同一の参照符号を付して、共通する説明を省略する。
図4に示す第1の実施の形態における制御回路31では、コレクタ電流Icの遮断速度を調整するために、第1の抵抗R1が接続される。この第1の抵抗R1および第2の抵抗R2で決まるインピーダンスによって、スイッチング素子であるIGBG Q1のゲート容量を放電させ、遮断速度を決めている。この場合、ばらつきがあり、またコレクタ電流Icの遮断時以外にも、第1の抵抗R1で常に消費電流が発生する。
そこで、本実施の形態では、第1の抵抗R1を設けることに代えて、IGBT Q1のゲート−エミッタ間に、第3の抵抗R3、第1のNチャネル型MOSFET NM1および第2のインバータ回路INV2を設ける構成にしている。以下の説明では、Nチャネル型MOSFETを「NMOSトランジスタ」という。
本実施の形態では、第1のインバータ回路INV1の出力端子は、第2のインバータ回路INV2の入力端子および第1のPMOSトランジスタPM1のゲートに接続される。第2のインバータ回路INV2の出力端子は、第1のNMOSトランジスタNM1のゲートに接続される。第1のNMOSトランジスタNM1のドレインは、第3の抵抗R3の他端に接続される。第1のNMOSトランジスタNM1のソースは、パワー半導体用グランド8のグランド端子GNDに接続される。第3の抵抗R3の一端は、第5のPMOSトランジスタPM5のドレイン、素子部用ツェナーダイオードZd1のアノードおよびIGBT Q1のゲートに接続される。
本実施の形態では、コレクタ電流Icの遮断時には、第1のNMOSトランジスタNM1をオンする。これによって、第2および第3の抵抗R2,R3で決まるインピーダンスによって、コレクタ電流Icの遮断速度が決まる。
以上のように本実施の形態では、IGBT Q1のゲートに直接、放電抵抗として第3の抵抗R3が接続される。これによって、スイッチング素子であるIGBT Q1からの放電インピーダンスを調整する放電インピーダンス調整回路が構成される。
このようにIGBT Q1のゲートに直接、放電抵抗として第3の抵抗R3を接続して、放電インピーダンス調整回路を設けることによって、ばらつきを抑制して、コレクタ電流Icの遮断速度をコントロールすることができる。また、コレクタ電流Icの遮断時以外は、第1のNMOSトランジスタNM1をオフすることによって、第3の抵抗R3での消費電流の発生を回避することが可能となる。
<第3の実施の形態>
図7は、本発明の第3の実施の形態である半導体装置40の制御回路41およびスイッチング素子3の構成を示す図である。半導体装置40は、前述の図1に示す半導体装置1に代えて、点火装置10に備えられて用いられる。本実施の形態の半導体装置40は、以下に示す構成以外は、前述の図6に示す第2の実施の形態の半導体装置35と同様の構成を有する。本実施の形態の制御回路41の構成は、第2の実施の形態の制御回路36の構成と類似する。したがって、制御回路36と同一の構成については同一の参照符号を付して、共通する説明を省略する。
第1および第2の実施の形態における制御回路31,36では、バッテリー電圧が低いときには、電荷逆流防止用ショットキーバリアダイオードである第1のショットキーバリアダイオードDs1の順方向降下電圧によって、外部コンデンサC1の充電電圧が低下し、コレクタ電流Icの遮断能力が低下するおそれがある。特に、低温時には、ショットキーバリアダイオードDs1の順電圧VFが高くなるので、コレクタ電流Icの遮断能力の低下が顕著になるおそれがある。
そこで、本実施の形態における制御回路41では、第1のショットキーバリアダイオードDs1を、第6のPMOSトランジスタPM6と、第3のインバータ回路INV3とを用いて、バイパスしている。第6のPMOSトランジスタPM6のソースは、第1のショットキーバリアダイオードDs1のアノードおよびシュミットトリガ回路21の入力端子に接続される。シュミットトリガ回路21の出力端子は、第1のインバータ回路INV1の入力端子および第3のインバータ回路INV3の入力端子に接続される。第3のインバータ回路INV3の出力端子は、第6のPMOSトランジスタPM6のゲートに接続される。第6のPMOSトランジスタPM6のドレインは、第1のショットキーバリアダイオードDs1のカソード、内部電源20および外部コンデンサC1の一方の電極に接続される。
以上のように本実施の形態では、電荷逆流防止用ショットキーバリアダイオードである第1のショットキーバリアダイオードDs1のアノードとカソードとの間には、電界効果型トランジスタ、具体的には第6のPMOSトランジスタPM6が設けられる。このように第1のショットキーバリアダイオードDs1をPMOSトランジスタでバイパスすることによって、第1のショットキーバリアダイオードDs1での電圧ドロップを低減することができる。したがって、コレクタ電流Icの遮断能力を大幅に改善することができる。
<第4の実施の形態>
図8は、本発明の第4の実施の形態である半導体装置45の制御回路46およびスイッチング素子部3の構成を示す図である。半導体装置45は、前述の図1に示す半導体装置1に代えて、点火装置10に備えられて用いられる。本実施の形態の半導体装置45は、以下に示す構成以外は、前述の図7に示す第3の実施の形態の半導体装置40と同様の構成を有する。本実施の形態の制御回路46の構成は、第3の実施の形態の制御回路41の構成と類似する。したがって、制御回路41と同一の構成については同一の参照符号を付して、共通する説明を省略する。
第1〜第3の実施の形態における制御回路31,36,41では、ドライブ回路11から出力される出力信号がオンからオフに切り替わったときに、外部コンデンサC1の電荷が、第6のPMOSトランジスタPM6を介して放電してしまうおそれがある。
そこで、本実施の形態では、外部コンデンサC1と、第6のPMOSトランジスタPM6のドレインとの間に、第4の抵抗R4を接続している。これによって、ドライブ回路11から出力される信号がハイレベルからローレベルに切り替わるときに、外部コンデンサC1に蓄積された電荷の放電を抑制する放電抑制回路を構成し、時定数を持たせている。
このように構成することによって、第6のPMOSトランジスタPM6がオフするまでの伝達遅延分の放電を抑制することが可能となる。
<第5の実施の形態>
図9は、本発明の第5の実施の形態である半導体装置50の制御回路51およびスイッチング素子部3の構成を示す図である。半導体装置50は、前述の図1に示す半導体装置1に代えて、点火装置10に備えられて用いられる。本実施の形態の半導体装置50は、以下に示す構成以外は、前述の図8に示す第4の実施の形態の半導体装置45と同様の構成を有する。本実施の形態の制御回路51の構成は、第4の実施の形態の制御回路46の構成と類似する。したがって、制御回路46と同一の構成については同一の参照符号を付して、共通する説明を省略する。
本実施の形態における制御回路51は、第4の実施の形態における制御回路46の構成に加えて、第5の抵抗R5と、第2のNMOSトランジスタNM2と、スイッチング素子であるIGBT Q1に流れる電流を検出する機能を有する集積回路である電流検出回路52とを備える。
第5の抵抗R5の一端は、内部電源20に接続される。第5の抵抗R5の他端は、第2のNMOSトランジスタNM2のドレインに接続される。第2のNMOSトランジスタNM2のソースは、パワー半導体用グランド8のグランド端子GNDに接続される。電流検出回路52の入力端子は、電流検出抵抗Rs1の一端に接続される。電流検出回路52の出力端子は、第2のNMOSトランジスタNM2のゲートに接続される。
電流検出回路52は、IGBT Q1に流れる電流、すなわち負荷電流であるコレクタ電流Icが、予め定める電流値よりも大きくなった場合、第2のNMOSトランジスタNM2のゲートに、1パルスのハイレベルの信号を出力する。
過電流が流れた場合、電流検出抵抗Rs1での電圧ドロップが大きくなる。したがって、電流検出回路52は、電流検出抵抗Rs1での電圧ドロップを検出することによって、過電流か否かを判断する。電流検出回路52は、過電流と判断した場合、前述のように第2のNMOSトランジスタNM2のゲートに1パルスのハイレベルの信号を出力することによって、第2のNMOSトランジスタNM2をオンする。これによって、第5の抵抗R5で決まる電流が流れ、制御回路51の消費電流が増加する。第2のNMOSトランジスタNM2と第5の抵抗R5とによって構成される回路は、制御回路51の消費電流を増加させる回路に相当する。
この制御回路51の消費電流を、たとえばドライブ回路11によって監視することによって、過電流が生じていることを表す情報(以下「過電流情報」という場合がある)を、ドライブ回路11から、制御用コンピュータであるECU6に伝達することが可能となる。これによって、ECU6において、IGBT Q1をオフにするように集積回路2を制御することができるので、過電流による焼損リスクを回避することができる。したがって、エンジンシステム全体の耐久性および信頼性の向上を実現することができる。
本実施の形態における制御回路51の構成では、ドライブ回路11から出力される出力信号の信号レベルがハイレベルであるとき、すなわちスイッチング素子であるIGBT Q1がオフであるときに、過電流を検出することが可能である。
電流検出回路52から第2のNMOSトランジスタNM2に出力される信号は、1パルスのハイレベルの信号に限らず、電流レベルに応じてパルス幅変調(Pulse Width Modulation;略称:PWM)された信号でもよい。また、パルス幅変調以外の変調方式で変調された信号でもよい。いずれの変調方式で変調された信号を用いても、1パルスのハイレベルの信号を用いる場合と同様の効果を得ることができる。
<第6の実施の形態>
図10は、本発明の第6の実施の形態である半導体装置55の制御回路56およびスイッチング素子部3の構成を示す図である。半導体装置55は、前述の図1に示す半導体装置1に代えて、点火装置10に備えられて用いられる。本実施の形態の半導体装置55は、以下に示す構成以外は、前述の図8に示す第4の実施の形態の半導体装置45と同様の構成を有する。本実施の形態の制御回路56の構成は、第4の実施の形態の制御回路46の構成と類似する。したがって、制御回路46と同一の構成については同一の参照符号を付して、共通する説明を省略する。
本実施の形態における制御回路56は、第4の実施の形態における制御回路46の構成に加えて、第6の抵抗R6と、第7のPMOSトランジスタPM7と、スイッチング素子であるIGBT Q1に流れる電流を検出する機能を有する集積回路である電流検出回路52とを備える。
第7のPMOSトランジスタPM7のソースは、ドライブ回路11の出力端子G、第1のショットキーバリアダイオードDs1のアノード、第6のPMOSトランジスタPM6のソースおよびシュミットトリガ回路21の入力端子に接続される。第7のPMOSトランジスタPM7のドレインは、第6の抵抗R6の一端に接続される。第6の抵抗R6の他端は、内部電源20に接続される。電流検出回路52の入力端子は、電流検出抵抗Rs1の一端に接続される。電流検出回路52の出力端子は、第7のPMOSトランジスタPM7のゲートに接続される。
電流検出回路52は、IGBT Q1に流れる電流、すなわち負荷電流であるコレクタ電流Icが、予め定める電流値よりも大きくなった場合、第7のPMOSトランジスタPM7に、1パルスのローレベルの信号を出力する。
電流検出回路52は、コレクタ電流Icが、予め定める電流値よりも大きい、すなわち過電流であると判断した場合、前述のように第7のPMOSトランジスタPM7に、1パルスのローレベルの信号を出力することによって、第7のPMOSトランジスタPM7をオンする。これによって、外部コンデンサC1の電荷を利用して、第6の抵抗R6で決まる電流をドライブ回路11側に流すことができる。
この電流を、たとえばドライブ回路11によって監視することによって、ドライブ回路11から、制御用コンピュータであるECU6に、過電流情報を伝達することが可能となる。これによって、ECU6において、IGBT Q1をオフにするように集積回路2を制御することができるので、過電流による焼損リスクを回避することができる。したがって、エンジンシステム全体の耐久性および信頼性の向上を実現することができる。
本実施の形態における制御回路56の構成では、ドライブ回路11から出力される出力信号の信号レベルがローレベルであるとき、すなわちスイッチング素子であるIGBT Q1がオンであるときに、過電流を検出することが可能である。
電流検出回路52から第7のPMOSトランジスタPM7に出力される信号は、1パルスのローレベルの信号に限らず、電流レベルに応じてパルス幅変調された信号でもよい。また、パルス幅変調以外の変調方式で変調された信号でもよい。いずれの変調方式で変調された信号を用いても、1パルスのローレベルの信号を用いる場合と同様の効果を得ることができる。
<第7の実施の形態>
図11は、本発明の第7の実施の形態である半導体装置60の制御回路61およびスイッチング素子部3の構成を示す図である。半導体装置60は、前述の図1に示す半導体装置1に代えて、点火装置10に備えられて用いられる。本実施の形態の半導体装置60は、制御回路61の構成が異なること以外は、前述の図9に示す第5の実施の形態の半導体装置50と同様の構成を有する。本実施の形態の制御回路61の構成は、第5の実施の形態の制御回路51の構成と類似する。したがって、制御回路51と同一の構成については同一の参照符号を付して、共通する説明を省略する。
本実施の形態における制御回路61は、第5の実施の形態における制御回路51の構成に加えて、第6の抵抗R6と、第7のPMOSトランジスタPM7と、第1のAND回路AND1と、第1のNAND回路NAND1とを備える。また制御回路61は、第5の実施の形態における制御回路51と同様に、スイッチング素子であるIGBT Q1に流れる電流を検出する機能を有する集積回路である電流検出回路52を備える。
第7のPMOSトランジスタPM7のソースは、ドライブ回路11の出力端子G、第1のショットキーバリアダイオードDs1のアノード、第6のPMOSトランジスタPM6のソースおよびシュミットトリガ回路21の入力端子に接続される。第7のPMOSトランジスタPM7のドレインは、第6の抵抗R6の一端に接続される。第6の抵抗R6の他端は、内部電源20に接続される。電流検出回路52の入力端子は、電流検出抵抗Rs1の一端に接続される。
電流検出回路52の出力端子は、第1のAND回路AND1の一方の入力端子、および第1のNAND回路NAND1の一方の入力端子に接続される。第1のAND回路AND1の他方の入力端子は、シュミットトリガ回路21の出力端子と、第1のインバータ回路INV1の入力端子との接続点に接続される。第1のNAND回路NAND1の他方の入力端子は、第1のインバータ回路INV1の出力端子に接続される。
第1のAND回路AND1の出力端子は、第2のNMOSトランジスタNM2のゲートに接続される。第1のNAND回路NAND1の出力端子は、第7のPMOSトランジスタPM7のゲートに接続される。
電流検出回路52は、IGBT Q1に流れる電流、すなわち負荷電流であるコレクタ電流Icが、予め定める電流値よりも大きくなった場合、ドライブ回路11から出力される出力信号の信号レベルがハイレベルであるか、ローレベルであるかに応じて、第2のNMOSトランジスタNM2および第7のPMOSトランジスタPM7のいずれか一方をオンする。電流検出回路52は、第2のNMOSトランジスタNM2および第7のPMOSトランジスタPM7のうち、オンする方のトランジスタに、1パルスの信号を与える。
電流検出回路52は、ドライブ回路11から出力される出力信号の信号レベルがハイレベルであるときに、過電流と判断した場合は、第2のNMOSトランジスタNM2をオンする。電流検出回路52は、ドライブ回路11から出力される出力信号の信号レベルがローレベルであるときに、過電流と判断した場合は、第7のPMOSトランジスタPM7をオンする。これによって、第5または第6の抵抗R5,R6で決まる電流が生じる。
この電流の変化を、たとえばドライブ回路11によって監視することによって、ドライブ回路11から、制御用コンピュータであるECU6に、過電流情報を伝達することが可能となる。これによって、ドライブ回路11から出力される出力信号の信号レベルがハイレベルであるか、ローレベルであるかに関わらず、ECU6において、IGBT Q1をオフにするように集積回路2を制御することができる。したがって、焼損リスクを回避することができる。
以上のように、本実施の形態における制御回路61の構成では、ドライブ回路11から出力される出力信号の信号レベルがハイレベルであるか、ローレベルであるかに関わらず、過電流を検出することが可能である。
電流検出回路52から第2のNMOSトランジスタNM2または第7のPMOSトランジスタPM7に出力される信号は、1パルスの信号に限らず、電流レベルに応じてパルス幅変調された信号でもよい。また、パルス幅変調以外の変調方式で変調された信号でもよい。いずれの変調方式で変調された信号を用いても、1パルスの信号を用いる場合と同様の効果を得ることができる。
<第8の実施の形態>
図12は、本発明の第8の実施の形態である半導体装置65の制御回路66およびスイッチング素子部3の構成を示す図である。半導体装置65は、前述の図1に示す半導体装置1に代えて、点火装置10に備えられて用いられる。本実施の形態の半導体装置65は、以下に示す構成以外は、前述の図8に示す第4の実施の形態の半導体装置45と同様の構成を有する。本実施の形態の制御回路66の構成は、第4の実施の形態の制御回路46の構成と類似する。したがって、制御回路46と同一の構成については同一の参照符号を付して、共通する説明を省略する。
本実施の形態における制御回路66は、第4の実施の形態における制御回路46の構成に加えて、第5の抵抗R5と、第2のNMOSトランジスタNM2と、温度検出用ダイオードD1による熱検出機能を有する集積回路である温度検出回路67とを備える。
第5の抵抗R5の一端は、内部電源20に接続される。第5の抵抗R5の他端は、第2のNMOSトランジスタNM2のドレインに接続される。第2のNMOSトランジスタNM2のソースは、パワー半導体用グランド8のグランド端子GNDに接続される。温度検出回路67は、第2のNMOSトランジスタNM2のゲートに接続される。
温度検出回路67は、温度検出用ダイオードD1によって検出された温度が、予め定める温度よりも高くなった場合、すなわち異常温度になった場合、第2のNMOSトランジスタNM2に、1パルスのハイレベルの信号を出力する。
異常温度になった場合、温度検出用ダイオードD1の順電圧VFが低下する。温度検出回路67は、温度検出用ダイオードD1の順電圧VFの低下を検出することによって、異常温度か否かを判断する。温度検出回路67は、異常温度と判断した場合、前述のように第2のNMOSトランジスタNM2のゲートに、1パルスのハイレベルの信号を出力することによって、第2のNMOSトランジスタNM2をオンする。これによって、第5の抵抗R5で決まる電流が流れ、制御回路66の消費電流が増加する。第2のNMOSトランジスタNM2と第5の抵抗R5とによって構成される回路は、制御回路66の消費電流を増加させる回路に相当する。
この制御回路66の消費電流を、たとえばドライブ回路11によって監視することによって、異常温度であることを表す情報(以下「異常温度情報」という場合がある)を、ドライブ回路11から、制御用コンピュータであるECU6に伝達することが可能となる。これによって、ECU6において、IGBT Q1をオフにするように集積回路2を制御することができるので、異常温度による焼損リスクを回避することができる。
本実施の形態における制御回路66の構成では、ドライブ回路11から出力される出力信号の信号レベルがハイレベルであるとき、すなわちスイッチング素子であるIGBT Q1がオフであるときに、異常温度を検出することが可能である。
温度検出回路67から第2のNMOSトランジスタNM2に出力される信号は、1パルスのハイレベルの信号に限らず、電流レベルに応じてパルス幅変調された信号でもよい。また、パルス幅変調以外の変調方式で変調された信号でもよい。いずれの変調方式で変調された信号を用いても、1パルスのハイレベルの信号を用いる場合と同様の効果を得ることができる。
<第9の実施の形態>
図13は、本発明の第9の実施の形態である半導体装置70の制御回路71およびスイッチング素子部3の構成を示す図である。半導体装置70は、前述の図1に示す半導体装置1に代えて、点火装置10に備えられて用いられる。本実施の形態の半導体装置70は、以下に示す構成以外は、前述の図8に示す第4の実施の形態の半導体装置45と同様の構成を有する。本実施の形態の制御回路71の構成は、第4の実施の形態の制御回路46の構成と類似する。したがって、制御回路46と同一の構成については同一の参照符号を付して、共通する説明を省略する。
本実施の形態における制御回路71は、第4の実施の形態における制御回路46の構成に加えて、第6の抵抗R6と、第7のPMOSトランジスタPM7と、温度検出用ダイオードD1による熱検出機能を有する集積回路である温度検出回路67とを備える。
第7のPMOSトランジスタPM7のソースは、ドライブ回路11の出力端子G、第1のショットキーバリアダイオードDs1のアノード、第6のPMOSトランジスタPM6のソースおよびシュミットトリガ回路21の入力端子に接続される。第7のPMOSトランジスタPM7のドレインは、第6の抵抗R6の一端に接続される。第6の抵抗R6の他端は、内部電源20に接続される。温度検出回路67は、第7のPMOSトランジスタPM7のゲートに接続される。
温度検出回路67は、図12に示す第8の実施の形態における温度検出回路67と同様の構成である。温度検出回路67は、温度検出用ダイオードD1によって検出された温度が、予め定める温度よりも高くなった場合、異常温度になったと判断し、第7のPMOSトランジスタPM7に、1パルスのローレベルの信号を出力する。
温度検出回路67は、異常温度と判断した場合、前述のように第7のPMOSトランジスタPM7に、1パルスのローレベルの信号を出力することによって、第7のPMOSトランジスタPM7をオンする。これによって、外部コンデンサC1の電荷を利用して、第6の抵抗R6で決まる電流をドライブ回路11側に流すことができる。
この電流を、たとえばドライブ回路11によって監視することによって、ドライブ回路11から、制御用コンピュータであるECU6に、異常温度情報を伝達することが可能となる。これによって、ECU6において、IGBT Q1をオフにするように集積回路2を制御することができるので、異常温度による焼損リスクを回避することができる。
本実施の形態における制御回路71の構成では、ドライブ回路11から出力される出力信号の信号レベルがローレベルであるとき、すなわちスイッチング素子であるIGBT Q1がオンであるときに、異常温度を検出することが可能である。
温度検出回路67から第7のPMOSトランジスタPM7に出力される信号は、1パルスのローレベルの信号に限らず、電流レベルに応じてパルス幅変調された信号でもよい。また、パルス幅変調以外の変調方式で変調された信号でもよい。いずれの変調方式で変調された信号を用いても、1パルスのローレベルの信号を用いる場合と同様の効果を得ることができる。
<第10の実施の形態>
図14は、本発明の第10の実施の形態である半導体装置75の制御回路76およびスイッチング素子部3の構成を示す図である。半導体装置75は、前述の図1に示す半導体装置1に代えて、点火装置10に備えられて用いられる。本実施の形態の半導体装置75は、制御回路76の構成が異なること以外は、前述の図12に示す第8の実施の形態の半導体装置65と同様の構成を有する。本実施の形態の制御回路76の構成は、第8の実施の形態の制御回路66の構成と類似する。したがって、制御回路66と同一の構成については同一の参照符号を付して、共通する説明を省略する。
本実施の形態における制御回路76は、第8の実施の形態における制御回路66の構成に加えて、第6の抵抗R6と、第7のPMOSトランジスタPM7と、第1のAND回路AND1と、第2のNAND回路NAND1とを備える。また制御回路76は、第8の実施の形態における制御回路66と同様に、温度検出用ダイオードD1による熱検出機能を有する集積回路である温度検出回路67を備える。
第7のPMOSトランジスタPM7のソースは、ドライブ回路11の出力端子G、第1のショットキーバリアダイオードDs1のアノード、第6のPMOSトランジスタPM6のソースおよびシュミットトリガ回路21の入力端子に接続される。第7のPMOSトランジスタPM7のドレインは、第6の抵抗R6の一端に接続される。第6の抵抗R6の他端は、内部電源20に接続される。
温度検出回路67は、第1のAND回路AND1の一方の入力端子、および第1のNAND回路NAND1の一方の入力端子に接続される。第1のAND回路AND1の他方の入力端子は、シュミットトリガ回路21の出力端子と、第1のインバータ回路INV1の入力端子との接続点に接続される。第1のNAND回路NAND1の他方の入力端子は、第1のインバータ回路INV1の出力端子に接続される。
第1のAND回路AND1の出力端子は、第2のNMOSトランジスタNM2のゲートに接続される。第1のNAND回路NAND1の出力端子は、第7のPMOSトランジスタPM7のゲートに接続される。
温度検出回路67は、図12に示す第8の実施の形態における温度検出回路67と同様の構成である。温度検出回路67は、温度検出用ダイオードD1によって検出された温度が、予め定める温度よりも高くなった場合、異常温度になったと判断する。温度検出回路67は、ドライブ回路11から出力される出力信号の信号レベルがハイレベルであるか、ローレベルであるかに応じて、第2のNMOSトランジスタNM2および第7のPMOSトランジスタPM7のいずれか一方をオンする。温度検出回路67は、オンする方のトランジスタに、1パルスの信号を与える。
温度検出回路67は、ドライブ回路11から出力される出力信号の信号レベルがハイレベルであるときに、異常温度と判断した場合は、第2のNMOSトランジスタNM2をオンする。温度検出回路67は、ドライブ回路11から出力される出力信号の信号レベルがローレベルであるときに、異常温度と判断した場合は、第7のPMOSトランジスタPM7をオンする。これによって、第5または第6の抵抗R5,R6で決まる電流が生じる。
この電流変化を、たとえばドライブ回路11によって監視することによって、ドライブ回路11から、制御用コンピュータであるECU6に、異常温度情報を伝達することが可能となる。これによって、ECU6において、IGBT Q1をオフにするように集積回路2を制御することができるので、異常温度による焼損リスクを回避することができる。
以上のように、本実施の形態における制御回路76の構成では、ドライブ回路11から出力される出力信号の信号レベルがハイレベルであるか、ローレベルであるかに関わらず、異常温度を検出することが可能である。
温度検出回路67から第2のNMOSトランジスタNM2または第7のPMOSトランジスタPM7に出力される信号は、1パルスの信号に限らず、電流レベルに応じてパルス幅変調された信号でもよい。また、パルス幅変調以外の変調方式で変調された信号でもよい。いずれの変調方式で変調された信号を用いても、1パルスの信号を用いる場合と同様の効果を得ることができる。
<第11の実施の形態>
図15は、本発明の第11の実施の形態である半導体装置80の制御回路81およびスイッチング素子部3の構成を示す図である。半導体装置80は、前述の図1に示す半導体装置1に代えて、点火装置10に備えられて用いられる。本実施の形態の半導体装置80は、以下に示す構成以外は、前述の図9に示す第5の実施の形態の半導体装置50と同様の構成を有する。本実施の形態の制御回路81の構成は、第5の実施の形態の制御回路51の構成と類似する。したがって、制御回路51と同一の構成については同一の参照符号を付して、共通する説明を省略する。
前述の第5および第8の実施の形態における制御回路51,66では、ドライブ回路11から出力される出力信号の信号レベルがハイレベルであるときには、制御回路51,66の消費電流を監視することによって、過電流または異常温度を検出することが可能である。しかし、ドライブ回路11から出力される出力信号の信号レベルがローレベルであるときには、過電流または異常温度を検出することができないおそれがある。
また、仮に、ドライブ回路11から出力される出力信号の信号レベルがローレベルであるときに過電流または異常温度を検出した場合、第2のNMOSトランジスタNM2をオンすることになるので、外部コンデンサC1の電荷が、第5の抵抗R5を介して放電するおそれがある。
そこで、本実施の形態における制御回路81では、第5の抵抗R5と内部電源20との間に、第8のPMOSトランジスタPM8を設けている。第8のPMOSトランジスタPM8のソースは、内部電源20に接続される。第8のPMOSトランジスタPM8のドレインは、第5の抵抗R5の一端に接続される。第8のPMOSトランジスタPM8のゲートは、第6のPMOSトランジスタPM6のゲートおよび第3のインバータ回路INV3の出力端子に接続される。
制御回路81は、ドライブ回路11から出力される出力信号の信号レベルがローレベルであるときには、この第8のPMOSトランジスタPM8をオフする。これによって、外部コンデンサC1の無駄な放電を避けることが可能となるので、制御回路81によってIGBT Q1を駆動可能な時間を延長することができる。
以上のように本実施の形態によれば、制御回路81は、第5の抵抗R5と内部電源20との間に、第8のPMOSトランジスタPM8を備えるので、この第8のPMOSトランジスタPM8をオフすることによって、外部コンデンサC1の無駄な放電を避けることが可能である。したがって、制御回路81によってIGBT Q1を駆動可能な時間を延長することができる。
<第11の実施の形態の変形例>
図16は、本発明の第11の実施の形態の変形例である半導体装置85の制御回路86およびスイッチング素子部3の構成を示す図である。半導体装置85は、前述の図1に示す半導体装置1に代えて、点火装置10に備えられて用いられる。
本変形例の半導体装置85は、第11の実施の形態の半導体装置80における電流検出回路52に代えて、温度検出回路67を備えること以外は、第11の実施の形態の半導体装置80と同様の構成を有する。温度検出回路67は、図12に示す第8の実施の形態における温度検出回路67と同様の構成である。本変形例の制御回路86の構成は、第8の実施の形態の制御回路66の構成と類似する。したがって、制御回路66と同一の構成については同一の参照符号を付して、共通する説明を省略する。
本変形例における制御回路86では、第11の実施の形態と同様に、第5の抵抗R5と内部電源20との間に、第8のPMOSトランジスタPM8が接続される。これによって、第11の実施の形態と同様の効果を得ることができる。具体的には、外部コンデンサC1の無駄な放電を避けることが可能となるので、制御回路86によってIGBT Q1を駆動可能な時間を延長することができる。
<第12の実施の形態>
図17は、本発明の第12の実施の形態である半導体装置90の制御回路91およびスイッチング素子部3の構成を示す図である。半導体装置90は、前述の図1に示す半導体装置1に代えて、点火装置10に備えられて用いられる。本実施の形態の半導体装置90は、以下に示す構成以外は、前述の図9に示す第5の実施の形態の半導体装置50と同様の構成を有する。本実施の形態の制御回路91の構成は、第5の実施の形態の制御回路51の構成と類似する。したがって、制御回路51と同一の構成については同一の参照符号を付して、共通する説明を省略する。本実施の形態において、第2のNMOSトランジスタNM2と第5の抵抗R5とによって構成される回路は、制御回路91の消費電流を増加させる回路に相当する。
前述の第5および第8の実施の形態における制御回路51,66では、ドライブ回路11から出力される出力信号の信号レベルがローレベルであるときに過電流または異常温度を検出した場合、第2のNMOSトランジスタNM2をオンすることになり、外部コンデンサC1の電荷が放電してしまうおそれがある。
そこで、本実施の形態における制御回路91では、第5の抵抗R5を、第3のショットキーバリアダイオードDs3を介して、ドライブ回路11の出力端子Gに接続している。具体的には、第3のショットキーバリアダイオードDs3のアノードは、ドライブ回路11の出力端子Gに接続される。第3のショットキーバリアダイオードDs3のカソードは、第5の抵抗R5の一端に接続される。
このように本実施の形態では、制御回路91の消費電流を増加させる回路である第2のNMOSトランジスタNM2と第5の抵抗R5とによって構成される回路は、第3のショットキーバリアダイオードDs3を介して、ドライブ回路11に接続される。これによって、ドライブ回路11から出力される出力信号の信号レベルがローレベルであるときに、外部コンデンサC1が無駄に放電することを回避することが可能となる。したがって、制御回路91によってIGBT Q1を駆動可能な時間を延長することができる。
また、本実施の形態における制御回路91では、ドライブ回路11から出力される出力信号の信号レベルがハイレベルであるときに、過電流を検出するだけではなく、ドライブ回路11から出力される出力信号の信号レベルがローレベルであるときにも、過電流を検出することが可能である。
ドライブ回路11から出力される出力信号のローレベルは、パワー半導体用グランド8のグランド端子GNDの電位である0Vであるので、過電流を検出したときに第2のNMOSトランジスタNM2をオンしても電流は流れない。
しかし、このローレベルを、制御回路91の閾値を超えない範囲で設定することによって、ドライブ回路11から出力される出力信号の信号レベルがローレベルでありながら、過電流を検出したときには第5の抵抗R5で決まる電流を流すことができる。この電流をドライブ回路11によって監視することによって、過電流を検出することが可能となる。
前述の制御回路91の閾値を超えない範囲は、たとえば数百mV以上1V以下程度であり、スイッチング素子であるIGBT Q1が駆動しない範囲で設定可能である。
<第12の実施の形態の変形例>
図18は、本発明の第12の実施の形態の変形例である半導体装置95の制御回路96およびスイッチング素子部3の構成を示す図である。半導体装置95は、前述の図1に示す半導体装置1に代えて、点火装置10に備えられて用いられる。
本変形例の半導体装置95は、図17に示す第12の実施の形態の半導体装置90における電流検出回路52に代えて、温度検出回路67を備えること以外は、第12の実施の形態の半導体装置90と同様の構成を有する。温度検出回路67は、図12に示す第8の実施の形態における温度検出回路67と同様の構成である。本変形例の制御回路96の構成は、第8の実施の形態の制御回路66の構成と類似する。したがって、制御回路66と同一の構成については同一の参照符号を付して、共通する説明を省略する。
本変形例における制御回路96では、第12の実施の形態と同様に、第5の抵抗R5を、第3のショットキーバリアダイオードDs3を介して、ドライブ回路11の出力端子Gに接続している。これによって、第12の実施の形態と同様の効果を得ることができる。具体的には、ドライブ回路11から出力される出力信号の信号レベルがローレベルであるときに、外部コンデンサC1が無駄に放電することを回避することが可能となるので、制御回路96によってIGBT Q1を駆動可能な時間を延長することができる。
また、本変形例における制御回路96では、ドライブ回路11から出力される出力信号の信号レベルがハイレベルであるときに、異常温度を検出するだけではなく、ドライブ回路11から出力される出力信号の信号レベルがローレベルであるときにも、異常温度を検出することが可能である。
ドライブ回路11から出力される出力信号のローレベルは、パワー半導体用グランド8のグランド端子GNDの電位である0Vであるので、異常温度を検出したときに第2のNMOSトランジスタNM2をオンしても電流は流れない。
しかし、このローレベルを、制御回路96の閾値を超えない範囲で設定することによって、ドライブ回路11から出力される出力信号の信号レベルがローレベルでありながら、異常温度を検出したときには第5の抵抗R5で決まる電流を流すことができる。この電流をドライブ回路11によって監視することによって、異常温度を検出することが可能となる。
前述の制御回路96の閾値を超えない範囲は、たとえば数百mV以上1V以下程度であり、スイッチング素子であるIGBT Q1が駆動しない範囲で設定可能である。
<第13の実施の形態>
図19は、本発明の前提技術である半導体装置1のドライブ回路11の構成を示す図である。ドライブ回路11は、前述の図1に示すように、制御回路12および電流検出抵抗Rs1とともに、集積回路2を構成する。
ドライブ回路11は、第1のNPNトランジスタN−Tr1、第1のPNPトランジスタP−Tr1、第1のベース抵抗Rb1、第2のベース抵抗Rb2、第11の抵抗R11、第12の抵抗R12および出力抵抗Roを備えて構成される。
第1のベース抵抗Rb1の一端は、ドライブ回路11の入力端子に接続される。入力端子には、ECU6からの電圧信号VECUが入力される。第1のベース抵抗Rb1の他端は、第11の抵抗R11の一端、および第1のNPNトランジスタN−Tr1のベースに接続される。第11の抵抗R11の他端は、グランド、具体的には前述の図1に示す制御用グランド7に接続される。第1のNPNトランジスタN−Tr1のエミッタは、グランド、具体的には前述の図1に示す制御用グランド7に接続される。
第12の抵抗R12の一端および第1のPNPトランジスタP−Tr1のエミッタには、ECU6から、ハイ(Hi)レベルの信号が入力される。第12の抵抗R12の一端は、第1のPNPトランジスタP−Tr1のエミッタに接続される。第12の抵抗R12の他端は、第1のNPNトランジスタN−Tr1のコレクタ、および第2のベース抵抗Rb2の一端に接続される。
第2のベース抵抗Rb2の他端は、第1のPNPトランジスタP−Tr1のベースに接続される。第1のPNPトランジスタP−Tr1のコレクタは、出力抵抗Roの一端に接続される。出力抵抗Roの他端は、ドライブ回路11の出力端子Voutに接続される。
図20は、本発明の第13の実施の形態におけるドライブ回路100の構成を示す図である。本実施の形態におけるドライブ回路100は、後述する構成以外は、前述の図19に示す前提技術におけるドライブ回路11と同様の構成を有する。
ドライブ回路100は、電圧検出回路101、第2のPNPトランジスタP−Tr2、第3のPNPトランジスタP−Tr3、第2のNPNトランジスタN−Tr2、検出抵抗Rd1、第3のベース抵抗Rb3および出力抵抗Roを備えて構成される。電圧検出回路101は、第13の抵抗R13、第14の抵抗R14、第15の抵抗R15、第16の抵抗R16およびコンパレータ102を備える。
第13の抵抗R13の一端は、コンパレータ102の出力端子に接続される。第13の抵抗R13の他端は、コンパレータ102の反転入力端子および第14の抵抗R14の一端に接続される。コンパレータ102の非反転入力端子は、第15の抵抗R15の一端、および第16の抵抗R16の一端に接続される。第16の抵抗R16の他端は、グランド、具体的には前述の図1に示す制御用グランド7に接続される。
検出抵抗Rd1の一端は、第15の抵抗R15の他端および第2のPNPトランジスタP−Tr2のコレクタに接続される。検出抵抗Rd1の他端は、第14の抵抗R14の他端、およびグランド、具体的には前述の図1に示す制御用グランド7に接続される。
第2のPNPトランジスタP−Tr2のエミッタは、第3のPNPトランジスタP−Tr3のエミッタに接続される。第2のPNPトランジスタP−Tr2および第3のPNPトランジスタP−Tr3のベースは、共通に接続され、第3のPNPトランジスタP−Tr3のコレクタに接続される。第2のPNPトランジスタP−Tr2および第3のPNPトランジスタP−Tr3のエミッタには、ECU6から、ハイ(Hi)レベルの信号が入力される。
第3のベース抵抗Rb3の一端は、ドライブ回路100の入力端子に接続される。ドライブ回路100の入力端子には、ECU6からの電圧信号VECUが入力される。第3のベース抵抗Rb3の他端は、第2のNPNトランジスタN−Tr2のベースに接続される。第2のNPNトランジスタN−Tr2のコレクタは、第3のPNPトランジスタP−Tr3のコレクタに接続される。第2のNPNトランジスタN−Tr2のエミッタは、出力抵抗Roの一端に接続される。出力抵抗Roの他端は、ドライブ回路100の出力端子Voutに接続される。
前述の図19に示す前提技術におけるドライブ回路11では、制御用コンピュータであるECU6から出力される出力信号の信号レベルがハイレベルか、ローレベルかに呼応して、ドライブ回路11から出力される出力信号として、信号レベルがハイレベルまたはローレベルの信号を出力するのみである。
これに対し、本実施の形態におけるドライブ回路100は、電圧検出回路101を備えるので、前提技術におけるドライブ回路11と同様の機能を有するだけでなく、ドライブ回路100から出力される出力信号の信号レベルがハイレベルのときに、制御回路の消費電流を電圧情報として検出することが可能である。
したがって、過電流または異常温度が生じたときに、制御回路側で回路の消費電流を変化させ、この電流をドライブ回路100で監視することによって、制御用コンピュータであるECU6に、過電流情報または異常温度情報を伝達することが可能となる。
具体的に述べると、ドライブ回路100から出力される出力信号の信号レベルがハイレベルであるとき、第3のPNPトランジスタP−Tr3に流れる電流は、第2のPNPトランジスタP−Tr2に流れる電流と略等しい。したがって、温度検出回路101は、第2のPNPトランジスタP−Tr2に流れる電流を、検出抵抗Rd1で電圧値に変換して検出する。
本実施の形態におけるドライブ回路100は、たとえば、前述の第5、第8、第11の実施の形態、第11の実施の形態の変形例、第12の実施の形態または第12の実施の形態の変形例の半導体装置50,65,80,85,90,95に対応するドライブ回路である。本実施の形態におけるドライブ回路100を、前述の第5、第8、第11の実施の形態、第11の実施の形態の変形例、第12の実施の形態または第12の実施の形態の変形例の半導体装置50,65,80,85,90,95に用いることによって、以下の効果が得られる。前述のように過電流または異常温度が生じたときに、制御回路の消費電流の変化をドライブ回路100で監視することによって、制御用コンピュータであるECU6に、過電流情報または異常温度情報を伝達することが可能となる。
<第14の実施の形態>
図21は、本発明の第14の実施の形態におけるドライブ回路105の構成を示す図である。本実施の形態におけるドライブ回路105は、後述する構成以外は、前述の図19に示す前提技術におけるドライブ回路11と同様の構成を有する。
ドライブ回路105は、電圧検出回路106、第1のNPNトランジスタN−Tr1、第3のNPNトランジスタN−Tr3、第4のNPNトランジスタN−Tr4、第1のPNPトランジスタP−Tr1、第4のPNPトランジスタP−Tr4、第1のベース抵抗Rb1、第2のベース抵抗Rb2、第4のベース抵抗Rb4、第2の検出抵抗Rd2、第12の抵抗R12および出力抵抗Roを備えて構成される。電圧検出回路106は、第17の抵抗R17、第18の抵抗R18、第19の抵抗R19、第20の抵抗R20およびコンパレータ107を備える。
第17の抵抗R17の一端は、コンパレータ107の出力端子に接続される。第17の抵抗R17の他端は、コンパレータ107の反転入力端子および第18の抵抗R18の一端に接続される。コンパレータ107の非反転入力端子は、第19の抵抗R19の一端、および第20の抵抗R20の一端に接続される。第20の抵抗R20の他端は、グランド、具体的には前述の図1に示す制御用グランド7に接続される。
第18の抵抗R18の他端は、第2の検出抵抗Rd2の他端、および第3のNPNトランジスタN−Tr3のコレクタに接続される。第19の抵抗R19の他端は、第2の検出抵抗Rd2の一端、第12の抵抗R12の一端、および第1のPNPトランジスタP−Tr1のエミッタに接続される。
第3のNPNトランジスタN−Tr3のエミッタは、グランド、具体的には前述の図1に示す制御用グランド7に接続される。第3のNPNトランジスタN−Tr3および第4のNPNトランジスタN−Tr4のベースは、共通に接続され、第4のNPNトランジスタN−Tr4のコレクタに接続される。第4のNPNトランジスタN−Tr4のエミッタは、グランド、具体的には前述の図1に示す制御用グランド7に接続される。
本実施の形態では、ドライブ回路11の入力端子は、第1のベース抵抗Rb1の一端、および第4のベース抵抗Rb4の一端に接続される。ドライブ回路105の入力端子には、ECU6からの電圧信号VECUが入力される。第4のベース抵抗Rb4の他端は、第4のPNPトランジスタP−Tr4のベースに接続される。第1のベース抵抗Rb1の他端は、第1のNPNトランジスタN−Tr1のベースに接続される。
第1のNPNトランジスタN−Tr1のエミッタは、グランド、具体的には前述の図1に示す制御用グランド7に接続される。第1のNPNトランジスタN−Tr1のコレクタは、第12の抵抗R12の他端および第2のベース抵抗Rb2の一端に接続される。第2のベース抵抗Rb2の他端は、第1のPNPトランジスタP−Tr1のベースに接続される。
第1のPNPトランジスタP−Tr1のコレクタは、出力抵抗Roの一端、および第4のPNPトランジスタP−Tr4のエミッタに接続される。出力抵抗Roの他端は、ドライブ回路105の出力端子Voutに接続される。第4のPNPトランジスタP−Tr4のコレクタは、第4のNPNトランジスタN−Tr4のコレクタに接続される。第12の抵抗R12、第2の検出抵抗Rd2および第1のPNPトランジスタP−Tr1のエミッタには、ECU6から、ハイ(Hi)レベルの信号が入力される。
本実施の形態におけるドライブ回路105は、前述の図19に示す前提技術におけるドライブ回路11と同様の機能を有するだけでなく、ドライブ回路105から出力される出力信号の信号レベルがローレベルのときに、制御回路からドライブ回路105側に流れ込む電流を電圧情報として検出することが可能である。
したがって、過電流または異常温度が生じたときに、制御回路側で外部コンデンサC1の電荷を利用してドライブ回路105に電流を流し、この電流をドライブ回路105で監視することによって、ドライブ回路105から、制御用コンピュータであるECU6に、過電流情報または異常温度情報を伝達することが可能となる。
具体的に述べると、ドライブ回路105から出力される出力信号の信号レベルがローレベルであるとき、第4のNPNトランジスタN−Tr4に流れる電流は、第3のNPNトランジスタN−Tr3に流れる電流と略等しい。したがって、電圧検出回路106は、第4のNPNトランジスタN−Tr4に流れる電流を、第2の検出抵抗Rd2で電圧値に変換して検出する。
本実施の形態におけるドライブ回路105は、たとえば、前述の第6または第9の実施の形態の半導体装置55,70に対応するドライブ回路である。本実施の形態におけるドライブ回路105を、前述の第6または第9の実施の形態の半導体装置55,70に用いることによって、前述のように過電流または異常温度が生じたときに、制御回路の消費電流の変化をドライブ回路105で監視して、制御用コンピュータであるECU6に、過電流情報または異常温度情報を伝達することが可能となる。
<第15の実施の形態>
図22は、本発明の第15の実施の形態におけるドライブ回路110の構成を示す図である。本実施の形態におけるドライブ回路110は、前述の図20に示す第13の実施の形態におけるドライブ回路100と、図21に示す第14の実施の形態におけるドライブ回路105とを組合せたものであり、第13および第14の実施の形態におけるドライブ回路100,105と同様の構成を有する。
本実施の形態では、ドライブ回路110は、第1の電圧検出回路101、第2の電圧検出回路106、第2のPNPトランジスタP−Tr2、第3のPNPトランジスタP−Tr3、第4のPNPトランジスタP−Tr4、第2のNPNトランジスタN−Tr2、第3のNPNトランジスタN−Tr3、第4のNPNトランジスタN−Tr4、第3のベース抵抗Rb3、第4のベース抵抗Rb4、第1の検出抵抗Rd1、第2の検出抵抗Rd2および出力抵抗Roを備えて構成される。第1の電圧検出回路101は、図20に示す第13の実施の形態における電圧検出回路101と同様の構成である。第2の電圧検出回路106は、図21に示す第14の実施の形態における電圧検出回路106と同様の構成である。
第1の電圧検出回路101の第14の抵抗R14の他端は、第1の検出抵抗Rd1の他端に接続される。第1の検出抵抗Rd1の他端は、グランド、具体的には前述の図1に示す制御用グランド7に接続される。第1の電圧検出回路101の第15の抵抗R15の他端は、第1の検出抵抗Rd1の一端、および第2のPNPトランジスタP−Tr2のコレクタに接続される。
第2のPNPトランジスタP−Tr2のエミッタは、第2の検出抵抗Rd2の一端および第3のPNPトランジスタP−Tr3のエミッタに接続される。第2のPNPトランジスタP−Tr2および第3のPNPトランジスタP−Tr3のベースは、共通に接続され、第3のPNPトランジスタP−Tr3のコレクタに接続される。
ドライブ回路110の入力端子は、第3のベース抵抗Rb3の一端および第4のベース抵抗Rb4の一端に接続される。ドライブ回路110の入力端子には、ECU6からの電圧信号VECUが入力される。第3のベース抵抗Rb3の他端は、第2のNPNトランジスタN−Tr2のベースに接続される。
第2のNPNトランジスタN−Tr2のコレクタは、第3のPNPトランジスタP−Tr3のコレクタに接続される。第2のNPNトランジスタN−Tr2のエミッタは、出力抵抗Roの一端および第4のPNPトランジスタP−Tr4のエミッタに接続される。出力抵抗Roの他端は、ドライブ回路110の出力端子Voutに接続される。第4のベース抵抗Rb4の他端は、第4のPNPトランジスタP−Tr4のベースに接続される。
第2の電圧検出回路106の第18の抵抗R18の他端は、第2の検出抵抗Rd2の他端、および第3のNPNトランジスタN−Tr3のコレクタに接続される。第2の電圧検出回路106の第19の抵抗R19の他端は、第2の検出抵抗Rd2の一端、および第2のPNPトランジスタP−Tr2のエミッタに接続される。
第3のNPNトランジスタN−Tr3のエミッタは、グランド、具体的には前述の図1に示す制御用グランド7に接続される。第3のNPNトランジスタN−Tr3および第4のNPNトランジスタN−Tr4のベースは、共通に接続され、第4のNPNトランジスタN−Tr4のコレクタに接続される。第4のNPNトランジスタN−Tr4のコレクタは、第4のPNPトランジスタP−Tr4のコレクタに接続される。
第4のNPNトランジスタN−Tr4のエミッタは、グランド、具体的には前述の図1に示す制御用グランド7に接続される。第2の検出抵抗Rd2、第2のPNPトランジスタP−Tr2のエミッタおよび第3のPNPトランジスタP−Tr3のエミッタには、ECU6から、ハイ(Hi)レベルの信号が入力される。
第13および第14の実施の形態におけるドライブ回路100,105では、ドライブ回路100,105から出力される出力信号の信号レベルがハイレベルおよびローレベルのいずれか一方の場合のみ、電流を監視することが可能である。
これに対し、本実施の形態におけるドライブ回路110では、第1および第2の電圧検出回路101,106を備えるので、ドライブ回路110から出力される出力信号の信号レベルがハイレベルか、ローレベルかに関わらず、過電流または異常温度発生時の電流変化を監視することが可能である。したがって、ドライブ回路110から出力される出力信号の信号レベルがハイレベルか、ローレベルかに関わらず、制御用コンピュータであるECU6に、過電流情報または異常温度情報を伝達することが可能となる。
具体的に述べると、ドライブ回路110から出力される出力信号の信号レベルがハイレベルであるとき、第3のPNPトランジスタP−Tr3に流れる電流は、第2のPNPトランジスタP−Tr2に流れる電流と略等しい。したがって、ドライブ回路110は、第2のPNPトランジスタP−Tr2に流れる電流を、第1の検出抵抗Rd1で電圧値に変換して検出する。
また、ドライブ回路110から出力される出力信号の信号レベルがローレベルであるとき、第4のNPNトランジスタN−Tr4に流れる電流は、第3のNPNトランジスタN−Tr3に流れる電流と略等しい。したがって、ドライブ回路110は、第3のNPNトランジスタN−Tr3に流れる電流を、第2の検出抵抗Rd2で電圧値に変換して検出する。
本実施の形態におけるドライブ回路110は、たとえば、前述の第7または第10の実施の形態の半導体装置60,75に対応するドライブ回路である。本実施の形態におけるドライブ回路110を、前述の第7または第10の実施の形態の半導体装置60,75に用いることによって、前述のようにドライブ回路110の出力信号がハイレベルか、ローレベルかに関わらず、過電流または異常温度発生時の電流変化をドライブ回路110で監視して、制御用コンピュータであるECU6に、過電流情報または異常温度情報を伝達することが可能となる。
<第16の実施の形態>
図23は、本発明の第16の実施の形態におけるドライブ回路115の構成を示す図である。本実施の形態におけるドライブ回路115の構成は、前述の図22に示す第15の実施の形態におけるドライブ回路110の構成と類似する。したがって、ドライブ回路110と同一の構成については同一の参照符号を付して、共通する説明を省略する。
本実施の形態では、ドライブ回路115は、電圧検出回路101、第2のPNPトランジスタP−Tr2、第3のPNPトランジスタP−Tr3、第4のPNPトランジスタP−Tr4、第5のPNPトランジスタP−Tr5、第2のNPNトランジスタN−Tr2、第3のNPNトランジスタN−Tr3、第4のNPNトランジスタN−Tr4、第5のNPNトランジスタN−Tr5、第3のベース抵抗Rb3、第4のベース抵抗Rb4、第5のベース抵抗Rb5、第6のベース抵抗Rb6、第1の検出抵抗Rd1、および出力抵抗Roを備えて構成される。本実施の形態における電圧検出回路101は、図20に示す第13の実施の形態における電圧検出回路101と同様の構成である。
本実施の形態では、ドライブ回路115の入力端子は、第3のベース抵抗Rb3の一端、第4のベース抵抗Rb4の一端、第5のベース抵抗Rb5の一端、および第6のベース抵抗Rb6の一端に接続される。ドライブ回路115の入力端子には、ECU6からの電圧信号VECUが入力される。
ECU6から入力されるハイ(Hi)レベルの信号は、第5のPNPトランジスタP−Tr5のエミッタ、第2のPNPトランジスタP−Tr2のエミッタ、および第3のPNPトランジスタP−Tr3のエミッタに入力される。
第5のベース抵抗Rb5の他端は、第5のPNPトランジスタP−Tr5のベースに接続される。第5のPNPトランジスタP−Tr5のコレクタは、第2のPNPトランジスタP−Tr2のコレクタ、および第1の検出抵抗Rd1の一端に接続される。
第6のベース抵抗Rb6の他端は、第5のNPNトランジスタN−Tr5のベースに接続される。第5のNPNトランジスタN−Tr5のコレクタは、第3のNPNトランジスタN−Tr3のコレクタ、および第1の検出抵抗Rd1の他端に接続される。第5のNPNトランジスタN−Tr5のエミッタは、グランド、具体的には前述の図1に示す制御用グランド7に接続される。
前述の図22に示す第15の実施の形態におけるドライブ回路110では、2つの検出抵抗Rd1,Rd2と、2つの電圧検出回路101,106とが必要であるので、回路が大型化してしまうおそれがある。
回路の大型化を防ぐために、本実施の形態におけるドライブ回路115では、第5のPNPトランジスタP−Tr5と、第5のNPNトランジスタN−Tr5とを追加している。これによって、検出抵抗および電圧検出回路を1つにすることができるので、回路の小型化が可能である。また回路の低コスト化が可能である。
<第17の実施の形態>
図24は、本発明の第17の実施の形態におけるドライブ回路120の構成を示す図である。本実施の形態におけるドライブ回路120の構成は、前述の図20に示す第13の実施の形態におけるドライブ回路100の構成と類似する。したがって、ドライブ回路100と同一の構成については同一の参照符号を付して、共通する説明を省略する。
本実施の形態におけるドライブ回路120は、第13の実施の形態におけるドライブ回路100を構成する電圧検出回路101、第2のPNPトランジスタP−Tr2、第3のPNPトランジスタP−Tr3、第2のNPNトランジスタN−Tr2、検出抵抗Rd1、第3のベース抵抗Rb3および出力抵抗Roに加えて、第6のNPNトランジスタN−Tr6、第7のベース抵抗Rb7、第21の抵抗R21および第22の抵抗R22を備えて構成される。電圧検出回路101は、図20の電圧検出回路101と同様の構成である。
本実施の形態では、第3のベース抵抗Rb3の一端は、第21の抵抗R21の他端、および第22の抵抗R22の一端に接続される。ECU6から入力されるハイ(Hi)レベルの信号は、第21の抵抗R21の一端、第2のPNPトランジスタP−Tr2のエミッタ、および第3のPNPトランジスタP−Tr3のエミッタに入力される。
第22の抵抗R22の他端は、第6のNPNトランジスタN−Tr6のコレクタに接続される。第6のNPNトランジスタN−Tr6のエミッタは、グランド、具体的には前述の図1に示す制御用グランド7に接続される。第6のNPNトランジスタN−Tr6のベースは、第7のベース抵抗Rb7の他端に接続される。第7のベース抵抗Rb7の一端は、ドライブ回路120の入力端子に接続される。ドライブ回路120の入力端子には、ECU6からの電圧信号VECUが入力される。
前述の図22,図23に示す第15および第16の実施の形態におけるドライブ回路110,115では、ドライブ回路110,115から出力される出力信号の信号レベルがハイレベルであるときには、制御回路側へ流れる電流、すなわち制御回路の消費電流を監視している。ドライブ回路110,115から出力される出力信号の信号レベルがローレベルであるときには、ドライブ回路110,115側へ流れ込む電流を監視している。これによって、過電流または異常温度を検出している。
これに対し、本実施の形態におけるドライブ回路120では、ドライブ回路120から出力される出力信号の信号レベルがハイレベルであるとき、およびローレベルであるときのいずれのときも、制御回路側へ電流が流れる。
ここで問題となるのが、ドライブ回路120から出力される出力信号の信号レベルがローレベルであるときである。たとえば、前述の図22,図23に示す第15および第16の実施の形態におけるドライブ回路110,115では、出力信号のローレベルは、グランド電位である0Vであるので、制御回路側へ電流は流れない。
そこで、本実施の形態では、ドライブ回路120から出力される出力信号のローレベルを、第21の抵抗R21と第22の抵抗R22との分圧によって、回路の閾値を超えない範囲、たとえば数百mV以上1V以下程度に設定している。これによって、ドライブ回路120から出力される出力信号の信号レベルがローレベルであるときにも、制御回路側へ電流を流すことが可能となる。
以上のように本実施の形態では、ドライブ回路120は、ECU6から与えられる制御信号を、第21の抵抗R21と第22の抵抗R22との分圧によって制限して、制御信号Sdとなる出力信号として、制御回路に出力する。そして、制御信号Sdのローレベルは、0V以外の予め定める値に設定される。これによって、制御信号Sdの信号レベルがローレベルであるときにも、制御回路側へ電流を流すことが可能となる。
したがって、本実施の形態におけるドライブ回路120では、第15および第16の実施の形態におけるドライブ回路110,115に比べて、トランジスタの個数を削減することができるので、小型化が可能である。また本実施の形態では、ドライブ回路120から出力される出力信号の信号レベルがローレベルであるときに、過電流または異常温度などの異常を検出した場合には、外部コンデンサC1の電荷を利用せずに、制御回路に電流を流すことができる。したがって、半導体装置の駆動可能な時間を延長することができる。
本実施の形態では、ドライブ回路120から出力される出力信号の信号レベルがローレベルであるときには、抵抗分圧によって、第2のNPNトランジスタN−Tr2のベース電圧を決めている。ドライブ回路120の出力端子Voutから出力される出力信号である出力電圧は、常温たとえば25℃では、第2のNPNトランジスタN−Tr2のベース電圧値から0.7V程度低下した値となる。したがって、第2のNPNトランジスタN−Tr2のベース電圧を、たとえば1.4V程度にすると、ドライブ回路120の出力端子Voutから出力される出力電圧は、約0.7V程度となる。
本実施の形態におけるドライブ回路120は、たとえば、前述の図17に示す第12の実施の形態の半導体装置90または前述の図18に示す第12の実施の形態の変形例の半導体装置95に対応するドライブ回路である。本実施の形態におけるドライブ回路120を、前述の第12の実施の形態の半導体装置90または第12の実施の形態の変形例の半導体装置95に用いることによって、半導体装置90,95の小型化が可能であり、また半導体装置90,95の駆動可能な時間を延長することができる。
<第18の実施の形態>
図25は、本発明の第18の実施の形態であるドライブ回路125の構成を示す図である。本実施の形態におけるドライブ回路125の構成は、前述の図24に示す第17の実施の形態におけるドライブ回路120の構成と類似する。したがって、ドライブ回路120と同一の構成については同一の参照符号を付して、共通する説明を省略する。
本実施の形態におけるドライブ回路125は、前述の図24に示す第17の実施の形態のドライブ回路120における第22の抵抗R22に代えて、第1のダイオードD1および第2のダイオードD2を備える構成である。
具体的には、本実施の形態におけるドライブ回路125は、電圧検出回路101、第2のPNPトランジスタP−Tr2、第3のPNPトランジスタP−Tr3、第2のNPNトランジスタN−Tr2、第6のNPNトランジスタN−Tr6、第1のダイオードD1、第2のダイオードD2、第3のベース抵抗Rb3、第7のベース抵抗Rb7、第21の抵抗R21、検出抵抗Rd1および出力抵抗Roを備えて構成される。
第1のダイオードD1のアノードは、第21の抵抗R21の他端に接続される。第1のダイオードD1のカソードは、第2のダイオードD2のアノードに接続される。第2のダイオードD2のカソードは、第6のNPNトランジスタN−Tr6のコレクタに接続される。
前述の図24に示す第17の実施の形態におけるドライブ回路120では、第2のNPNトランジスタN−Tr2のベース電圧を、第3のベース抵抗Rb3による抵抗分圧で与えている。この場合、制御用コンピュータであるECU6から入力されるハイ(Hi)レベルの信号が、ノイズまたはサージなどによって変動したときに、第2のNPNトランジスタN−Tr2が誤動作するおそれがある。
そこで、本実施の形態におけるドライブ回路125では、第6のNPNトランジスタN−Tr6と第3のベース抵抗Rb3との間に、第1および第2のダイオードD1,D2を設けて、第1および第2のダイオードD1,D2の順方向降下電圧を利用して、第2のNPNトランジスタN−Tr2のベース電圧を与えるようにしている。これによって、ECU6から入力されるハイ(Hi)レベルの信号が、ノイズまたはサージなどによって変動したときでも、安定したベース電圧を確保することができるので、第2のNPNトランジスタTr2の誤動作を抑制することが可能となる。
以上のように本実施の形態では、ドライブ回路125は、ECU6から与えられる制御信号を、第1および第2のダイオードD1,D2を介して、制御信号Sdとなる出力信号として制御回路に出力する。これによって、制御信号としてECU6から入力されるハイ(Hi)レベルの信号が、ノイズまたはサージなどによって変動したときでも、安定したベース電圧を確保することができる。したがって、第2のNPNトランジスタTr2の誤動作を抑制することが可能となる。
本実施の形態では、前述のように第22の抵抗R22に代えて、第1および第2のダイオードD1,D2を設けて、ドライブ回路125から出力される出力信号の信号レベルがローレベルであるときには、第2のNPNトランジスタN−Tr2のベース電圧に約1.4V程度を印加している。ドライブ回路125の出力端子Voutから出力される出力電圧の値は、常温たとえば25℃では、第2のNPNトランジスタN−Tr2のベース電圧値から0.7V程度低下した値となるので、約0.7V程度となる。
ドライブ回路125に設けるダイオードの個数は、2個に限らず、ドライブ回路125の出力端子Voutから出力される出力電圧のローレベルが、回路の閾値を超えない範囲であれば、自由に設定可能である。
本実施の形態におけるドライブ回路125は、たとえば、前述の図17に示す第12の実施の形態の半導体装置90または前述の図18に示す第12の実施の形態の変形例の半導体装置95に対応するドライブ回路である。本実施の形態におけるドライブ回路125を、前述の第12の実施の形態の半導体装置90または第12の実施の形態の変形例の半導体装置95に用いることによって、半導体装置90,95の小型化が可能であり、また半導体装置90,95の駆動可能な時間を延長することができる。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせることが可能である。また、各実施の形態の任意の構成要素を適宜、変更または省略することが可能である。
この発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。