JPS6121286Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は自動車のドアの窓開口の下縁沿い
に、昇降する窓ガラスの室外面に摺接するシール
片を備えたウエザーストリツプ、或いはウエザー
ストリツプとモールが一体となつたウエストモー
ルデイング（ベルトモールデイングとも言い、ウ
エザーストリツプとウエストモールデイングを総
称して本書ではシールと記す。）を一体のクリツ
プで装着するシールの装着装置に関し、ドアパネ
ルの窓開口の下縁沿いに取付孔を有する補助片を
溶接などで取付けてドアパネルと補助片の間に少
くとも上端が開通した開口を適当な間隔で設け、
シールを保持するクリツプをプラスチツクで成形
し、上記開口を利用してクリツプを補助片に挾み
付かせ且つ取付孔によつて上に外れない様に固定
し、クリツプを介してドアパネルシールを装着す
る様にしたのである。

シールを窓開口の下縁沿いに装着するため従来
から金属板に切目を施こし、複雑に折曲して成形
したクリツプは種々公知で、車体には各種の態様
で固定している。例えば実公昭50−18257ではド
アパネルの窓開口の下縁段部から上向きに重合し
て突出した内外二枚のパネルの突出部に上から被
せて固定し、又、実開昭51−32816、同51−39919
は窓開口の下縁段部の奥でドアパネルを下向きに
曲げ、下縁段部と下向き片の角（かど）にあけた
孔に差込んで固定し、更に実開昭53−17027では
その下向き片に明けた孔に差込んで固定してい
る。そして、いずれも上向きに開放した保持溝を
備え、溝内に上からシールを押込んで保持する様
になつて居り、窓ガラスが下降するときはシール
は保持溝の底に押付けられるが、上昇するときに
は溝から上に抜ける方向の力を受け、長期間の使
用中には溝から抜けることがある。このため上記
実開中、昭51−39919では保持溝を形成している
金属板の一部に斜下向きの爪を設け、シールに上
向きの力がかゝつた場合にこの爪をシールに喰込
ませて上への脱出を防ぐ様にしているが、長期間
の使用中には爪が次第にシールに深く刺さり、シ
ールは切裂かれてしまう。

更に、ドアパネルは上記実公昭50−18257では
内外二枚の板を折り曲げで突出部を形成し、両突
出部を重合状態に固定する必要があり、実開昭51
−32816、同51−39919や実開昭53−17027では孔
を打抜いたあと曲げることが必要で、いずれにし
ても加工に手数を要する。

その上、従来のクリツプは前述した様に金属板
に切目を施こし、複雑に折曲して成形するため製
作に手数がかゝり生産性は悪い。

そこで本考案は取付孔を有すると共に、ドアパ
ネルに対して固定するとドアパネルとの間に少く
とも上に開放した開口を形成する補助片を溶接な
どで固定してドアパネルに打抜きや切起して取付
孔を開設する工程を省き、又、クリツプはプラス
チツクで成形して製造上の問題点と、装着の際及
び使用中の発錆の虞を解消し、クリツプを上記開
口を利用して補助片に対して取付け、使用中に窓
を閉めるため上昇する窓ガラスでクリツプやシー
ルが外されるのを完全に防止したのであつて、以
下、図示の実施例を参照して説明する。

１はドアの外側パネルで、窓開口の下縁部より
少し下を一旦水平状に内向きに曲げて段１′を形
成し、段１′の奥に直立片２を設ける。そして、
直立片２の裏側には直立片２の裏面と対向してそ
の間に上下方向に開通した開口３を直立片沿いに
適当な間隔で形成する補助片４を溶接などで固定
する。補助片４は金属帯板をジグザグ状に折曲成
形したり、図示の如く上半部だけをジグザグ状に
しぼり、これを直立片沿いに一連に溶接などで固
定しても、或いは個々に開口を形成する様に折曲
成形した複数のものを直立片沿いに所定の間隔を
保つて溶接など固定してもよい。この補助片は直
立片を補強する役目も有する。

補助片４の開口３を隔てゝ対向する対向部分
４′には夫々後述のクリツプＣを固定するための
取付孔５が設けてある。

クリツプＣはプラスチツクの射出成形品で、直
立片２と上記対向部分４′の上端間に受止められ
る上壁６と、上壁の内側端から下つて補助片の対
向部分４′の背面に摺接する支持片７と、上壁の
内側端の少し外側から下がつて開口３中に突入
し、支持片７と協同して対向部分４′を挾圧する
挾圧片８と、上壁の外側端から直立片２の外側に
斜め下向きに下る可撓片９を一体に有し、支持片
７と挾圧片８の相対向する面のどちらか一方から
取付孔５に突入する爪１０が降起する。

Ｓはシールで、シール片１１′を備えたゴム質
のウエザーストリツプ部分１１と、ステンレス板
を折曲成形したモール部材１２が一体となつたウ
エストモールデイングで、モール部分１２はクリ
ツプＣを跨ぐ略々溝形で、その両脚条１２ａ，１
２ｂの下端は対向状に曲げられて爪条１２a′，１
２b′になつている。尚、このウエストモールデイ
ングは略々倒字形に成形したモール部分１２の
一方の脚条１２ａの外面にシール片１１′を有す
るウエザーストリツプ部分１１をインサートモー
ルド法で成形したもので、その際他方の脚条１２
ｂの下端にはゴム質の保護片１２′を同時に被着
し、この脚条の下端がドアパネルの段１′上に直
接接触して傷付けるのを防ぐ様にしてある。

そして、クリツプＣの支持片７と可撓片９の下
端にはモール部分の両脚条下端に対向状に設けら
れた爪条１２a′，１２b′とスナツプ係合する爪形
ないし切欠き形の係止部７′，９′を設けてある。
尚、必要ならば支持片７には図示の如く係止部
７′の下に折返し起立片１３を一体に備えさせ、
シールＳのウエザーストリツプ部分１１にはこの
起立片１３が下から突入する溝条１４を設け、起
立片１３は溝条１４中に押入つてモール部分の一
方の脚条１２ａと、これを埋めているウエザース
トリツプ部分１１の外側部１１″を支持片７の背
面に押圧し、脚条１２の爪条１２a′を支持片７の
係止部７′に強力に係合させる様にしてもよい。

シールＳを装着するには窓開口の下縁部と略々
同長にシールを切断し、ウエザーストリツプ部分
の外側部１１″と脚条１２ｂで形成された溝形内
部S′中にクリツプＣを押込む。これによりクリツ
プＣは可撓片９を撓めながらシールの溝中に入つ
て行き、上壁６がシールの溝の底に略々達すると
シールの両脚条１２ａ，１２ｂの各爪条１２a′，
１２b′はクリツプの支持片７と可撓片９の係止部
７′，９′にスナツプ係合する。こうして、ドアパ
ネルの直立片の裏に沿つて設けられている開口３
と同間隔で必要数のクリツプをシールの溝内にス
ナツプ係合で取付けたら、各クリツプの挾圧片８
を開口３に入れ、上から押込む。これにより支持
片７と挾圧片８は上壁６の下面が直立片２と補助
片４の上端に受止められるまで補助片４を挾圧し
た状態で下に滑り、上壁６が直立片、補助片の上
端に受止められてそれ以上押込めなくなつた時点
で爪１０は取付け孔５に係入する。このとき、可
撓片９の下端の係止部９′に係合しているシール
のモール部の脚条１２ｂは保護片１２′を圧縮し
てドアパネルの段１′に上に当接する。

この状態でモール部の両脚条１２ａ，１２ｂの
爪はクリツプの係止部７′，９′に下から引懸つて
いるので窓ガラス上昇の際にその外面に摺接して
いるシール片１１′によつてシールが上向きの力
を受けてもシールはクリツプから外れないと共
に、クリツプ自身も爪１０が取付孔５の上縁に引
懸つているのでドアパネルから外れない。

以上で明らかな様に本案ではドアパネルの窓開
口の下縁部は段１′と直立片２を折曲するだけで
よい。その代り直立片２の裏には開口３を形成す
る補助片４を溶接などで固定しなければならない
が、補助片４はドアパネルを加工するのに較べれ
ば遥かに小さい型を使用して高能率に製造でき、
溶接もスポツト溶接などで自動的に位置決めして
行えるのでクリツプ取付用の孔をドアパネルに開
設する金型を製造し、孔を開設後、折曲加工する
のに較べれば製造コストは低廉になる。

そして、クリツプはプラスチツクで射出成形す
ればよいので量産でき、装着の際、装着後を通じ
ドアパネルの内外面、補助片を傷付けないから発
錆は防止できる。その上、クリツプはシールのモ
ール部分の両脚条１２ａ，１２ｂの下端の爪条を
上向きに外れない様にスナツプ係合し、クリツプ
自身も爪を補助片の取付孔に係入させて上向きに
外れないので長期間使用しても窓ガラスの上昇に
より外されることなくシールを維持する。又、ク
リツプは支持片と可撓片によつて直立片と補助片
を跨いでいるのでシールをダラつかせない。

尚、支持片７と挾圧片８の対向間隔は上端部以
外は補助片の板厚より小であるから、その対向面
の一方に突設した爪１０に対応して他方には図示
の如く爪１０を受入れる凹部１０′を形成して置
くことがのぞましいと共に、クリツプの挾圧片８
を開口３に上から押込んでシールを装着する際、
挾圧片８の下端を開口３中に入れくするために挾
圧片８の下向き長さを支持片７よりも長くし、且
つその下端部を可撓片９の方に向かつて軽く曲げ
ることにより案内部８′とすると作業性が極めて
良好になる。

又、シールの装着はシールに対してクリツプを
取付け、クリツプによつて車体に取付ける場合を
述べたが、逆にクリツプを車体に先ず取付け、そ
れからシールをクリツプに被せて取付けることも
できる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図は分解
状態の斜視図、第２図はシール装着状態の断面図
で、図中、１はドアパネル、３は開口、４は補助
片、５は取付孔、７は支持片、８は挾圧片、１０
は爪、７′，９′はシールを逆止的に係合する手段
として例示した係止部、１２a′，１２b′は同じく
シール側の折曲部、Ｃはクリツプ、Ｓはシールを
示す。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 自動車のドアの窓開口の下縁部に位置してドア
   パネルに固定され、窓開口の下縁沿いに適宜の間
   隔でドアパネルとの間に少くとも上に開通した開
   口を形成すると共に、この各開口に連通した取付
   孔を有する補助片と、 補助片に押し被せられて開口中に突入する挾圧
   片と、これに対向した支持片を有し、両片の対向
   面の一方からは上記取付孔に突入する爪が降起し
   たプラスチツクで成形されたクリツプと、 クリツプを嵌合する側字形断面のシールから
   なり、 クリツプとシールにはクリツプがシールの溝内
   に嵌合したときにシールを逆止的に係合する係合
   手段が設けられていることを特徴とするシール装
   着装置。