JPH08127735A - プレス成形性に優れた潤滑処理アルミニウム板およびその製造方法 - Google Patents

プレス成形性に優れた潤滑処理アルミニウム板およびその製造方法

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JPH08127735A
JPH08127735A JP6290481A JP29048194A JPH08127735A JP H08127735 A JPH08127735 A JP H08127735A JP 6290481 A JP6290481 A JP 6290481A JP 29048194 A JP29048194 A JP 29048194A JP H08127735 A JPH08127735 A JP H08127735A
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lubricant
film
aluminum plate
silicon compound
compound particles
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JP6290481A
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Hideo Ito
秀男 伊藤
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Sumitomo Light Metal Industries Ltd
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Sumitomo Light Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 アルミニウム板の表面にクロメート皮膜を設
け、該クロメート皮膜上に水分散型ポリウレタン樹脂、
ケイ素化合物粒子および潤滑剤からなる潤滑皮膜を形成
してなる潤滑処理アルミニウム板において、潤滑皮膜中
のケイ素化合物の平均粒径は0.05〜4.0 μm であり、潤
滑剤中に天然ワックスが含まれる。 【効果】 プレス油を塗布することなしに連続且つ高速
プレス成形が可能なアルミニウム板が提供される。当該
アルミニウム板は耐食性、塗膜密着性にも優れ、家電製
品、建材製品、容器などの材料として有効に使用でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プレス成形性に優れた
潤滑処理アルミニウム板(アルミニウム合金板を含む。
以下、同じ)、とくに家電製品、建材、容器などに使用
され、プレス油を使用することなく高速プレス成形が可
能であり、プレス塗装後の上塗り塗装における塗膜密着
性にも優れた潤滑処理アルミニウム板、およびその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】家電製品、建材製品、包装容器などの製
造に用いられるアルミニウム板には、プレス成形などの
成形加工が施される場合が多く、プレス成形に当たって
は、プレス油すなわちプレス成形用の潤滑油を塗布して
加工を行っている。しかしながら、アルミニウム板は本
来鋼板に比べて成形性が劣り、従来アルミニウム板の成
形加工に用いられているプレス油では、十分な成形性の
向上が得られない場合が多いため、鋼板に対して成形で
きる形状や用途に限度があった。
【0003】潤滑油を塗布することなく、連続成形が可
能で、成形後に上塗り塗装する場合、塗膜密着性にも優
れた金属板を得るために、水分散型ポリウレタン樹脂10
0 重量部に対して、シリカ粒子をSiO2 として5 〜50
重量部、および90℃以上の融点を有するポリオレフィン
系ワックスおよび/またはフッ素系樹脂微粉末からなる
潤滑機能付与剤を固形分量で0.5 〜30重量部含有する組
成物を、乾燥皮膜重量で0.5 〜5.0g/m2 塗布し、皮膜形
成する潤滑処理が提案されているが( 特開平5-255587号
公報) 、上記潤滑処理は、対象が鋼板の場合には効果的
で十分な機能を発揮し、高速プレス成形を可能とし、耐
食性および塗膜密着性にも優れた潤滑性皮膜を形成し得
るが、アルミニウム板を対象とした場合には、連続成
形、深絞り性、耐食性および塗膜密着性において必ずし
も良好な結果が得られない場合が多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】発明者は、上記潤滑処
理をアルミニウム板に適用する場合の問題点を解消する
ために、潤滑処理用組成物とアルミニウム板の成形特
性、耐食性、塗膜密着性との関係について多角的な実験
検討を行った結果、アルミニウム板を対象とする潤滑処
理においては、とくに潤滑処理組成物中のケイ素化合物
粒子の粒径、潤滑剤の種類、配合量および樹脂系ワック
スの粒径の組み合わせが重要であることを究明した。
【0005】本発明は、上記の検討結果に基づいてなさ
れたものであり、その目的は、プレス油を塗布すること
なしに高速且つ連続プレス成形が可能であるとともに、
従来のプレス油を塗布した場合より成形性を改善するこ
とができ、耐食性に優れ、プレス成形後の塗装における
塗膜密着性も良好な潤滑処理アルミニウム板を提供する
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明によるプレス成形性に優れた潤滑処理アルミ
ニウム板は、アルミニウム板の表面にクロメート皮膜を
設け、該クロメート皮膜上に水分散型ポリウレタン樹
脂、ケイ素化合物粒子および潤滑剤からなる潤滑皮膜を
形成してなる潤滑処理アルミニウム板において、ケイ素
化合物粒子の平均粒径が0.05〜4.0 μm であり、潤滑剤
に天然ワックスを含むことを構成上の特徴とする。
【0007】本発明によるプレス成形性に優れた潤滑処
理アルミニウム板の製造方法は、アルミニウム板の表面
にクロメート皮膜を設け、該クロメート皮膜上に水分散
型ポリウレタン樹脂、ケイ素化合物粒子および潤滑剤か
らなる組成物により潤滑皮膜を形成する潤滑処理アルミ
ニウム板の製造方法において、クロム量5 〜50mg/m2
クロメート皮膜を設け、該クロメート皮膜上に、水分散
型ポリウレタン樹脂を60〜90重量部、ケイ素化合物粒子
を5 〜20重量部、潤滑剤を固形分として5 〜30重量部含
有し、ケイ素化合物粒子の平均粒径が0.05〜4.0 μm で
ある組成物を塗布して、潤滑皮膜を形成することを第1
の特徴とする。
【0008】また、潤滑剤として、融点が50〜90℃の天
然ワックスおよび融点が90℃以上のポリオレフィン系ワ
ックスの混合物からなり、潤滑剤中におけるポリオレフ
ィン系ワックスの重量が潤滑剤1に対して0.3 〜0.7 の
範囲で、ポリオレフィン系ワックスの平均粒径が0.5 〜
4.0 μm であるものを使用すること、潤滑剤がフッ素系
樹脂粉末を含み、潤滑剤中におけるポリオレフィン系ワ
ックスとフッ素系樹脂粉末との合計重量が潤滑剤1に対
して0.3 〜0.7 の範囲で、ポリオレフィン系ワックスお
よびフッ素系樹脂粉末の平均粒径が0.5 〜4.0 μm であ
ること、および潤滑皮膜を形成したのち、皮膜形成アル
ミニウム板の実体板表面温度(PMT)が140 〜240 ℃
となるよう加熱して乾燥皮膜とすることを第2、第3お
よび第4の特徴とする。
【0009】本発明においては、アルミニウム板の表面
にクロム量5 〜50mg/m2 のクロメート皮膜を設ける。ク
ロメート皮膜はその上に形成される潤滑皮膜とアルミニ
ウム板との密着性を向上させ、潤滑皮膜とともにアルミ
ニウム板にプレス成形性、耐食性を与える。クロム量が
5mg/m2未満では耐食性が十分でなく、クロム量が50mg/m
2 を越えるとクロメート皮膜自身の凝集破壊が生じ、潤
滑皮膜とアルミニウム板との密着性が低下する。好まし
くは、クロム量10〜30mg/m2 のクロメート皮膜を形成す
る。
【0010】クロメート皮膜上に形成される潤滑皮膜
は、水分散型ポリウレタン樹脂に、ケイ素化合物粒子お
よび潤滑剤を含んだ乾燥質量で0.5 〜4.0 g/m2の皮膜で
あり、潤滑性の付与を主目的としている。0.5g/m2 未満
では潤滑性および耐食性が不十分となり、4.0g/m2 を越
えるとプレス成形時の皮膜の追随性がわるくなる。好ま
しい皮膜質量は1.0 〜3.0g/m2 の範囲である。
【0011】潤滑皮膜を構成する水分散型ポリウレタン
樹脂、ケイ素化合物粒子および潤滑剤について説明する
と、水分散型ポリウレタン樹脂は、ポリエステルポリオ
ール、ポリエーテルポリオールなどのポリオールと芳香
族または脂肪族、脂環族ジイソシアネートからなるポリ
ウレタンをジオール、ジアミンのような2個以上の活性
水素をもつ低分子量化合物により鎖伸長したポリウレタ
ン樹脂を水中に分散したもしくは溶解させたもので、前
記特開平5-255587号公報に記載されている公知のものが
使用できる。
【0012】水分散型ポリウレタン樹脂としては、100
℃での弾性率E1 の値が1.0 ×109dyne/cm2 以上の粘弾
性特性を示すものが好ましい。樹脂の弾性率E1 とは、
強制振動非共振による縦型タイプの動的粘弾性測定装置
DVE−V4型FTレオスペクトラーを用いて、周波数
110HZ 、温度上昇速度4.0 ℃/ 分、静荷重10gf一定の条
件で測定した値であり、弾性率E1 が1.0 ×109dyne/cm
2 未満のポリウレタン樹脂では、高速プレス成形時にア
ルミニウム板の表面温度が上昇して皮膜が軟化し、皮膜
強度が低下して剥離し易くなるとともに、潤滑剤を均一
に固定し難くなるため、連続プレス成形性を著しく低下
させる傾向がある。
【0013】ケイ素化合物粒子は、潤滑処理アルミニウ
ム板の耐食性向上に効果がある。本発明においては、と
くに、ケイ素化合物の粒径を特定範囲のものとすること
が重要な要件であり、好ましくは、平均粒径を0.05〜4.
0 μm の範囲、さらに好ましくは0.1 〜3.0 μm の範囲
とする。平均粒径が0.05μm 未満では潤滑処理アルミニ
ウム板の耐食性が十分でなく、4.0 μm を越えると、プ
レス成形においてケイ素化合物と金型との接触が多くな
って金型の摩耗が増大し、皮膜の光沢が劣化する。
【0014】潤滑剤は、潤滑処理アルミニウム板の潤滑
性を向上させるために配合するものであり、本発明にお
いては、潤滑剤中に天然ワックス、好ましくは50〜90℃
の融点を有する天然ワックスを含有させることが重要な
要件となる。潤滑剤としては、上記天然ワックスと融点
が90℃以上のポリオレフィン系ワックスの混合物、また
はこの混合物にさらにフッ素系樹脂粉末を加えた混合物
が好適に使用される。これらの混合物からなる潤滑剤
は、連続且つ高速プレス成形時にアルミニウム板の温度
が上昇しても、低い温度から高い温度までの種々の温度
域においてアルミニウム板および成形金型の潤滑性を高
め、高速、連続成形を可能とする。とくにフッ素系樹脂
粉末は高温になった場合におけるプレス成形時の潤滑性
能を向上させる。
【0015】潤滑剤中における天然ワックス、ポリオレ
フィン系ワックスおよびフッ素系樹脂粉末の配合割合
は、天然ワックスとポリオレフィン系ワックスの混合物
の場合には、重量比で、潤滑剤1に対してポリオレフィ
ン系ワックスが0.3 〜0.7 、好ましくは0.4 〜0.6 の範
囲とし、天然ワックス、ポリオレフィン系ワックスおよ
びフッ素系樹脂粉末の混合物の場合には、潤滑剤1に対
してポリオレフィン系ワックスとフッ素系樹脂粉末の合
計重量が0.3 〜0.7 、好ましくは0.4 〜0.6 の範囲とす
る。
【0016】また、潤滑剤中に配合されるポリオレフィ
ン系ワックスおよびフッ素系樹脂粉末は、平均粒径0.1
〜4.0 μm の範囲のものを使用するのが好ましく、これ
らの平均粒径が0.1 μm 未満では分散が不安定で潤滑性
が不十分となる。4.0 μm を越えると成形時において金
型への付着が増大し好ましくない。皮膜の光沢も劣化す
る。ポリオレフィン系ワックスおよびフッ素系樹脂粉末
のさらに好ましい粒径は1.0 〜3.0 μm の範囲である。
【0017】潤滑皮膜は、上記の水分散型ポリウレタン
樹脂を60〜90重量部、ケイ素化合物粒子を5 〜20重量
部、および潤滑剤を固形分として5 〜30重量部含有する
組成物をつくり、この組成物を、ロール塗装、スプレー
塗装、浸漬塗装などを適用して、アルミニウム板表面に
設けられたクロメート皮膜上に塗布したのち、実体板表
面温度(PMT)が140 〜240 ℃となるよう加熱するこ
とにより形成される。
【0018】上記の温度への加熱により潤滑皮膜中の樹
脂の硬化が進行するとともに、潤滑剤が溶融して潤滑皮
膜の上層部に濃縮され、乾燥形成された潤滑皮膜は、表
層部に潤滑剤が濃縮され、皮膜内部にもある程度の潤滑
剤が残留したものとなる。このような潤滑剤分布をもつ
潤滑皮膜を形成したアルミニウム板をプレス成形した場
合、プレス成形の初期段階においては表層部に濃縮され
た潤滑剤が潤滑に寄与し、プレス成形が進行した段階で
は皮膜内部に存在する潤滑剤が潤滑に寄与することによ
り、優れた潤滑特性が得られる。
【0019】加熱における実体板温度(PMT)が140
℃未満では、潤滑皮膜中の樹脂分の硬化が少なく、潤滑
剤の表層部への濃縮も十分でなく、初期段階での潤滑、
とくに低い温度でのプレス成形における初期潤滑性がわ
るく、実体板温度(PMT)が240 ℃を越えると、皮膜
表層部への潤滑剤の濃縮が過度となり、成形途中で潤滑
剤が板表面から剥離し易くなって、多段プレス成形およ
び摺動距離の長いプレス成形時における潤滑性が劣化す
る。
【0020】
【作用】本発明によれば、アルミニウム板の表面にクロ
メート皮膜を設け、該クロメート皮膜上に水分散型ポリ
ウレタン樹脂、ケイ素化合物粒子および潤滑剤からなる
潤滑皮膜を形成したアルミニウム板において、皮膜中に
存在するケイ素化合物粒子の粒径を0.05〜4.0 μm と
し、潤滑剤中に天然ワックスを含有させることにより、
とくに潤滑処理アルミニウム板の耐食性が向上し、高速
プレス成形時にアルミニウム板の温度が上昇しても、低
い温度から高い温度までの全ての温度域においてプレス
成形時の潤滑性を高めることができる。
【0021】また、本発明においては、クロメート皮
膜、クロメート皮膜上に形成された潤滑皮膜を形成する
ための水分散ポリウレタン樹脂、ケイ素化合物粒子およ
び潤滑剤からなる組成物の配合比率とケイ素化合物の粒
径範囲、組成物中の潤滑剤の組成と粒径、および潤滑皮
膜の加熱条件の特定された組み合わせによって、高速、
連続プレス成形において十分な潤滑効果が達成され、耐
食性、塗膜密着性に優れたアルミニウム板が得られる。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して説
明する。 実施例1 アルミニウム合金A5182(4.5 %Mg、0.20%M
n、0.06%Cu、0.12%Si、0.20%Fe、0.02%Z
n、0.10%Cr、0.02%Ti、Al残)の焼鈍板材(O
材、厚さ1.0mm)を使用し、板材表面を脱脂、洗浄後、市
販の反応型クロメート処理液を用いてCrPO4 ・4H
2 Oを主体とするリン酸クロメート皮膜を生成させた。
ついで、クロメート皮膜上に、下記水分散型ポリウレタ
ン樹脂、ケイ素化合物粒子および潤滑剤を混合した組成
物をバーコーターで塗布したのち、電気乾燥炉中で、所
定の板表面温度(PMT)になるように、2分間加熱
し、潤滑皮膜を形成した。
【0023】水分散型ポリウレタン樹脂の製造方法を以
下に示す。 樹脂1:フタル酸−エチレングリコールーポリエステル
250gを80℃で30分間脱水したのち、トルイレンジイソシ
アネート389gと反応させ、30℃に冷却し。冷却しながら
アセトン400g中にネオペンチルグリコール125gおよびN-
メチル- ジエタノールアミン75g を含む溶液を注ぎ込
み、1 時間後、この溶液にさらに665gのアセトンを加え
た。得られた高粘度の50%ポリウレタン溶液の200gに氷
酢酸5gを加え、ついで水50g 中にリン酸1.3gを含む溶液
を加え、さらに200gの水および50gのエチレングリコー
ルモノメチルエーテルアセテートを加えたのち、アセト
ンを真空下で除き、水分散型ポリウレタン樹脂を得る。
【0024】樹脂2:アジピン酸−エチレングリコール
ーポリエステル1000g を60℃で脱水したのち、トルイレ
ンジイソシアネート512gと反応させて、80℃に30分間保
持し、この溶融物に30℃でアセトン2l中にジエチレング
リコール620gおよびN-メチル- ジエタノールアミン125g
を含む溶液を流し込む。この際、冷却して発熱反応を軽
減させる。ついで50℃で4 時間撹拌し、高粘度の溶液を
アセトン2.8lで希釈し、50℃の温度に2 時間放置し、得
られた高粘度の46%ポリウレタン溶液400gを硫酸ジメチ
ル1.1gとともに50℃で30分間加熱し、続いて乳酸6gを加
え、さらに水300gを加えたのち、アセトンを真空下で除
き、高粘度水分散型ポリウレタン樹脂を得る。
【0025】樹脂3:ポリテトラメチレンエーテルグリ
コール200g、トルエン90g およびトルイレンジイソシア
ネート34.8g を混合し、80℃で1 時間撹拌する。室温ま
で冷却し、末端にイソシアネート基を有するウレタンプ
レポリマーを得る。このプレポリマーのイソシアネート
基を測定すると2.5 %であった。別の容器にアセトン12
0g、ジエチレントリアミン2.52g を入れ、外部から水冷
し、10℃に保持しながら前記プレポリマー68g を徐々に
2 時間をかけて滴下する。ついで、エピクロルヒドリン
2.20g を加え、50℃で30分間撹拌し、室温に冷却後、2
%酢酸水350gを撹拌しながら加え、pH5 〜6 に調整す
る。pH調整後、温度を50〜60℃に上げ、減圧して溶剤
を除去したのち、水を加えて固形分30%の安定な水分散
型ポリウレタン樹脂を得る。
【0026】ケイ素化合物粒子として、平均粒径0.05μ
m および0.1 μm のコロイダルシリカ、および平均粒径
が1 μm 、3 μm および4 μm のシリカ粉末を使用し
た。潤滑剤としては、ワックスa(ラノリンワックス、
融点40〜60℃) 、ワックスb(ポリエチレン粉末、融点
100 〜130 ℃) およびワックスc(ポリ四フッ化エチレ
ン樹脂粉末)を使用した。ポリエチレン粉末およびポリ
四フッ化エチレン樹脂粉末の平均粒径は0.5 μm 、1 μ
m 、3 μm 、および4 μm である。
【0027】潤滑皮膜を形成したアルミニウム板(試験
材)の評価方法を以下に示す。バウデン試験による初期
潤滑性:荷重4.9N、鋼球SUJ-2 、4.8mm 径、滑り速度4.
0mm/s 、測定温度30℃、滑り性の評価は摺動10回までの
摩擦係数の最大値で行う。評価点 5;摩擦係数0.05未
満、4;0.05以上0.1 未満、3;0.1 以上0.2 未満、2;0.2
以上0.3 未満、1;0.3 以上
【0028】深絞り性試験によるプレス成形性評価:試
験材形状112.5mm 径、ダイス内径52.8mm( 肩部R 5mm)、
ポンチ外径50.0mm( 肩部R 5mm)、成形速度2.0mm/s 、成
形性の評価は破断直前の限界成形高さによる。評価点
5;限界成形高さ18mm以上、4;16mm以上18mm未満、3;14mm
以上16mm未満、2;12mm以上14mm未満、1;12mm未満
【0029】連続深絞り成形試験による高速プレス成形
性評価:試験材形状112.5mm 径、ダイス内径52.8mm( 肩
部R 5mm)、ポンチ外径50.0mm( 肩部R 5mm)、成形速度50
mm/s、成形高さ10mm、高速プレス成形性の評価は、破断
直前の限界成形数による。評価点 5;限界成形数1000以
上、4;800 以上1000未満、3;600 以上800 未満、2;400
以上600 未満、1;400 未満
【0030】多段深絞り成形試験によるプレス成形性評
価:試験材形状200mm 径、成形方法は円錐台段付き成形
法(3段) 、成形速度2.0mm/s 、最終製品形状は円錐台(
上面部径53mm、下面部径100mm 、高さ50mm) 、成形性評
価は最終製品の外観観察による。評価点 5;極めて良
好、4;塗膜剥離微小、3;塗膜剥離小、2;塗膜剥離中、1;
破断
【0031】塩水噴霧試験による耐食性評価:試験材形
状は平板(幅70mm×長さ150mm)、評価は白錆発生までの
時間による。評価点 5;1000時間以上、4;700 時間以上
1000時間未満、3;400 時間以上700 時間未満、2;100 時
間以上400 時間未満、1;100時間未満
【0032】上塗り塗料による塗膜密着性評価:上塗り
塗料は関西ペイント(株)製アクリル樹脂系塗料マジク
ロン1000、塗膜厚さ25μm 、焼付け条件150 ℃×20分、
劣化条件は80℃熱水に2 時間浸漬、塗膜密着性の評価
は、1mm ゴバン目テープ剥離後の塗膜残存数( X/100)に
よる。評価点 5;塗膜残存数(X)100、4;90以上100 未
満、3;80以上90未満、2;50以上80未満、1;50未満
【0033】各試験材のクロメート皮膜および潤滑皮膜
の形成条件を表1、表2に示し、各試験材の評価結果を
表3に示す。本発明に従う試験材は、表3に示すよう
に、いずれも初期潤滑性、プレス成形性、耐食性、塗膜
密着性において優れた性能を示した。なお、各評価試験
において、実用化可能レベルの評価点3以上のものを合
格とした。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】比較例1 実施例1と同一のアルミニウム板を使用して、実施例1
と同様にクロメート皮膜および潤滑皮膜を形成し、実施
例1と同じ評価試験を行った。クロメート皮膜および潤
滑皮膜形成条件を表4、表5に示す。また評価結果を表
6に示す。表4、表5において、本発明の条件を外れた
ものには下線を付した。
【0038】
【表4】
【0039】
【表5】
【0040】
【表6】
【0041】試験材No.1は潤滑皮膜を有せず、初期潤滑
性およびプレス成形性の評価試験においてはプレス油(
粘度20cSt/40℃) を1g/m2 塗布して試験を行ったが、プ
レス成形性がわるく、試験材No.2はクロメート皮膜のC
r量が少ないため耐食性および塗膜密着性が劣る。試験
材No.3はCr量が多過ぎるため、クロメート皮膜の凝集
破壊に起因してプレス成形性および塗膜密着性が低下し
ている。No.4は潤滑皮膜量が少ないため十分な潤滑性能
が得られず、プレス成形性が低下している。No.5は潤滑
皮膜量が多過ぎるため、プレス成形中に潤滑皮膜が剥離
し易くなり、多段深絞り試験での成形性が劣化してい
る。No.6は潤滑皮膜の加熱温度が低いため、潤滑皮膜表
面へのワックスの濃縮が不十分となりプレス成形性が劣
る。試験材No.7は潤滑皮膜の加熱温度が高過ぎるため、
潤滑皮膜の表面にワックスが過度に濃縮したことに起因
して、プレス成形の途中段階でワックスが金型に付着し
て消耗し、多段深絞り試験での成形性を低下させてい
る。No.8は、弾性特性の低いポリウレタン樹脂を使用し
たため、高速プレス成形性がわるくなっている。No.9は
ケイ素化合物粒子の配合量が多いため、潤滑皮膜の弾性
率が小さくなり高速プレス成形性が劣っている。
【0042】比較例2 実施例1と同一のアルミニウム板を使用して、実施例1
と同様にクロメート皮膜および潤滑皮膜を形成し、実施
例1と同じ評価試験を行った。なお、ケイ素化合物粒子
として、平均粒径が0.01μm および5 μm のものを追加
し、平均粒径が0.1 μm および5 μm のポリエチレン粉
末および四フッ化エチレン粉末を追加使用した。クロメ
ート皮膜および潤滑皮膜形成条件を表7、表8に示す。
また、評価結果を表9に示す。表7、表8において本発
明の条件を外れたものには下線を付した。
【0043】
【表7】
【0044】
【表8】
【0045】
【表9】
【0046】試験材No.10 は潤滑材の配合量が多く皮膜
の弾性率が小さくなり、高速プレス成形性が劣る、No.1
1 はワックスaの比率が小さいため初期潤滑性が低下す
る。No.12 はワックスaの比率が高過ぎるため、高速プ
レス成形性が低下している。No.13 はケイ素化合物の粒
径が大きく、No.14 はワックスb、cの粒径が大きく、
No.15 およびNo.16 はそれぞれワックスbおよびワック
スcの粒径が大きいため、いずれもこれらの潤滑剤が金
型に直接接触し、金型への蓄積が多くなり、連続深絞り
試験における成形性を低下させている。No.17 はケイ素
化合物の粒径が小さく、また試験材No.18 はワックス
b、cの粒径が小さいため、組成物中での分散がわるく
なりプレス成形性を害する。
【0047】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば、プレス
油を使用することなしに連続且つ高速プレス成形加工を
可能としたアルミニウム板が提供される。当該アルミニ
ウム板は耐食性、塗膜密着性にも優れ、家電製品、建材
製品、容器などの材料として有効である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B05D 7/24 302 A 7415−4F T 7415−4F 303 H 7415−4F C08K 3/36 NFZ C08L 75/04 NFY C23C 22/33 22/82

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム板の表面にクロメート皮膜
    を設け、該クロメート皮膜上に水分散型ポリウレタン樹
    脂、ケイ素化合物粒子および潤滑剤からなる潤滑皮膜を
    形成してなる潤滑処理アルミニウム板において、潤滑皮
    膜中におけるケイ素化合物粒子の平均粒径が0.05〜4.0
    μm であり、潤滑剤中に天然ワックスを含むことを特徴
    とするプレス成形性に優れた潤滑処理アルミニウム板。
  2. 【請求項2】 アルミニウム板の表面にクロメート皮膜
    を設け、該クロメート皮膜上に水分散型ポリウレタン樹
    脂、ケイ素化合物粒子および潤滑剤からなる組成物によ
    り潤滑皮膜を形成する潤滑処理アルミニウム板の製造方
    法において、クロム量5 〜50mg/m2 のクロメート皮膜を
    設け、該クロメート皮膜上に、水分散型ポリウレタン樹
    脂を60〜90重量部、ケイ素化合物粒子を5 〜20重量部、
    および潤滑剤を固形分として5 〜30重量部含有し、ケイ
    素化合物粒子の平均粒径が0.05〜4.0 μm である組成物
    を塗布して、潤滑皮膜を形成することを特徴とするプレ
    ス成形性に優れた潤滑処理アルミニウム板の製造方法。
  3. 【請求項3】 潤滑剤として、融点が50〜90℃の天然ワ
    ックスおよび融点が90℃以上のポリオレフィン系ワック
    スの混合物からなり、潤滑剤中におけるポリオレフィン
    系ワックスの重量が潤滑剤1に対して0.3 〜0.7 の範囲
    で、ポリオレフィン系ワックスの平均粒径が0.5 〜4.0
    μm であるものを使用することを特徴とする請求項2記
    載の成形性に優れた潤滑処理アルミニウム板の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 潤滑剤がフッ素系樹脂粉末を含み、潤滑
    剤中におけるポリオレフィン系ワックスとフッ素系樹脂
    粉末との合計重量が潤滑剤1に対して0.3 〜0.7 の範囲
    で、ポリオレフィン系ワックスおよびフッ素系樹脂粉末
    の平均粒径が0.5 〜4.0 μm であることを特徴とする請
    求項3記載の成形性に優れた潤滑処理アルミニウム板の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 潤滑皮膜を形成したのち、皮膜形成アル
    ミニウム板の実体板表面温度(PMT)が140 〜240 ℃
    となるように加熱して乾燥皮膜とすることを特徴とする
    請求項2〜4項記載のプレス成形性に優れた潤滑処理ア
    ルミニウム板の製造方法。
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