JP2009165920A - 耐傷性塗膜を有するアルミ建材及びその製造方法 - Google Patents

耐傷性塗膜を有するアルミ建材及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ひっかき摩擦や塵埃巻き込み摩擦に対する耐傷性を確保した熱硬化塗膜を有するアルミ建材を提供する。
【解決手段】 水溶性電着塗料にフッ素樹脂パウダーを0.05〜0.5phr,ポリオレフィン系樹脂を0.05〜3.0phr配合した電着塗料を用い,陽極酸化皮膜2に電着塗装した後,焼付けを行ってアルミ建材に熱硬化塗膜3を形成する。塗膜表層を含めて分散したフッ素樹脂パウダー31と塗膜表層に浸出分散したポリオレフィン系樹脂のワックス粒子32が相乗的に作用して塗膜の摩擦係数を低下する結果,高度な耐傷性を確保できる。フッ素樹脂パウダーを単独で用いることによる外観不良やシーリング材との接着不良の発生も防止できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は,建具,カーテンウォール,外構材等のアルミ建材に関し,特にその塗膜に耐傷性を付与した耐傷性塗膜を有するアルミ建材及びその製造方法に関する。
この種耐傷性塗膜を形成するようにアルミの陽極酸化皮膜に対する塗装工程と,該塗装した熱硬化樹脂塗料を熱硬化する焼付工程を経て熱硬化塗膜を形成するに用いる水溶性電着塗料として,下記特許文献のものは,アニオン型アクリル系の水溶性電着塗料にフッ素樹脂パウダーを配合することによって,熱硬化塗膜に耐傷性(耐擦り傷性,耐傷付き性等といってもよい)を付与するものとされ,このとき該水溶性電着塗料は,例えばアクリル樹脂にアミノ樹脂を加えた熱硬化性樹脂に対して,10μm以下のフッ素樹脂パウダーを1〜30phr配合するものとされ,これによって光沢値,鉛筆硬度,付着性,対アルカリ性,耐酸性を確保するとともに,例えば塗膜面に10g/cmの荷重を負荷したダンボール紙を用いた,5cmストロークの50往復摩擦テストによっても擦り傷の発生がないという程度に高度な耐傷性を確保することができるものとされる。
特開2001−329209号公報
一般にアルミ建材は,これに用いるアルミ(アルミ合金)のバー材にあっては陽極酸化皮膜と熱硬化塗膜の複合皮膜を,また板材にあっては同様の複合皮膜又は化成皮膜と熱硬化塗膜の複合皮膜を備えることによってそれぞれ耐食性を確保するものとされ,また熱硬化塗膜は擦傷に対する基準をクリヤーした所定膜厚のものとされるが,それでもアルミ建材の加工,現場設置,使用形態等によっては熱硬化塗膜が擦傷を受け,その下地や素地が露出することにより耐食性が損なわれるに至る可能性が残されている。擦傷は,バー材や板材における相互の衝接,他の物との衝接等によって生じるが,例えばアルミサッシの如くにサッシ戸を,サッシ枠に開閉自在に収納した可動部分を有するものにあっては,可動部分をなすサッシ枠における突出レール,溝レール等のガイドレールと,サッシ戸における戸車,スラシ等のスライダーとが直接に接触し,スライダーが転動したり,摺動したりするために,可動部分におけるガイドレールの擦傷可能性を解消することは困難である。特にこの種アルミサッシは,ガイドレールを屋外側にして建築物の内外を区画するように設置使用されて風雨に曝されるために,雨水が乾燥して微細な土や砂を含めた塵埃が付着することを避けられず,この塵埃付着があると,スライダーの転動,摺動は,ガイドレールとの間で塵埃巻き込み摩擦となるために,その擦傷可能性を解消することは極めて困難である。
この点,特許文献のように,水溶性電着塗料にフッ素樹脂パウダーを配合すれば,該パウダーは該塗料との相溶性があるから,フッ素樹脂パウダーは,塗膜表層を含めて熱硬化塗膜に分散して,該パウダーが摩擦抵抗を減少するように作用し,従って上記ひっかき摩擦や塵埃巻き込み摩擦による擦傷可能性を可及的に解消することができ,アルミ建材における耐傷性を確保するための耐傷手段として有効なものと認められる。
しかし乍ら,特許文献の水溶性電着塗料によってバー材や板材に上記熱硬化塗膜を形成すると,(1)塗装工程において,塗装面に筋状の塗装ムラ,即ちランダムなスジムラが発生する傾向があること,(2)焼付工程においてこのスジムラが消えるケースと,残存するケースがあり,スジムラが残存したものは外観不良として出荷対象から除外する以外にないこと,(3)熱硬化塗膜を形成したバー材や板材を用いたアルミ建材を実際と同様に建築物に設置するように,建築物の壁面等との間でシーリングを施すと,シーリング材がバー材や板材から剥離した剥離部分が生じて,シーリング不良を招く傾向があること,といった現象が見られる。
本発明はかかる事情に基づいてなされたものであって,その解決課題とするところは,熱硬化塗膜の耐傷性を確保するとともに外観不良やシーリング不良を解消した耐傷性塗膜を有するアルミ建材を提供することにあり,またその製造方法を提供することにある。
上記課題に沿って検討した結果,本発明者らは,(1)熱硬化塗膜の外観不良は,フッ素樹脂パウダーはその水接触角が大きく撥水性を呈することによって,アルミ建材を電着槽から引き上げるに際して,例えば析出しない樹脂成分等の付着物が表面に残存した状態でアルミ建材の乾燥が始まり,付着物を含んだ水分がアルミ建材の表面に集中して液ダレとして流下することによる痕跡に起因していること,(2)シーリング不良は,同じく連続的な撥水点が形成されると,該撥水点が線状乃至面状にシーリングの接着を妨げるように,接着阻害要因をなすように作用することに起因していること,(3)これらフッ素樹脂パウダーによる外観不良,シーリング不良の発生は,熱硬化塗膜中のパウダーの分散含有量に比例するように,これが相対的に多い場合に生じ易く,少ないときには生じないこと,(4)外観不良,シーリング不良のない程度のフッ素樹脂の分散含有量では,熱硬化塗膜の表層のフッ素樹脂が不足して,熱硬化塗膜における擦傷可能性を招き易いこと,(5)このとき,フッ素樹脂パウダーに加えて,更にポリオレフィン系樹脂を熱硬化塗膜に分散含有するように併用すれば,ポリオレフィン系樹脂は,熱硬化塗膜の熱硬化に際して表層に浸出分散したワックス粒子となり,ワックス作用を発揮することによってフッ素樹脂パウダーとともに熱硬化塗膜の耐傷性を有効に確保するものとなること,(6)フッ素樹脂パウダーとポリオレフィン系樹脂のワックス粒子の併存によって,外観不良,シーリング不良を招くことは基本的にないこと,(7)これらの併用によって,フッ素樹脂パウダーがアルミ建材における静摩擦係数を低下し,ポリオレフィン系樹脂のワックス粒子が動摩擦係数を低下するとともにこれらが相乗的に作用することによって,ひっかき摩擦,塵埃巻き込み摩擦に対して,擦傷可能性を可及的に解消し得る熱硬化塗膜とすることができることについて,その知見を得るに至った。
本発明はかかる知見に基づいてなされたもので,請求項1に記載の発明を,熱硬化塗膜に耐傷性を付与したアルミ建材であって,該熱硬化塗膜の塗膜表層を含めて分散したフッ素樹脂パウダーと,その塗膜表層に浸出分散したポリオレフィン系樹脂のワックス粒子の双方を分散含有してなることを特徴とする耐傷性塗膜を有するアルミ建材としたものである。
請求項2に記載の発明は,上記に加えて,熱硬化塗膜におけるフッ素樹脂パウダーと,ポリオレフィン系樹脂のワックス粒子の分散含有量について,フッ素樹脂パウダーが0.05wt%,ワックス粒子が0.5wt%をそれぞれ下回ると,熱硬化塗膜に対するひっかき摩擦や巻き込み摩擦による擦傷が生じ易くなって,擦傷可能性の解消が不充分となる一方,フッ素樹脂パウダーが0.5wt%を上回ると,熱硬化塗膜の熱硬化後にも上記スジムラの外観不良が残存するとともにシーリング不良を招く傾向が強くなり,またワックス粒子の増減によって外観不良,シーリング不良を招くことはないにしても,ワックス粒子の増加により熱硬化塗膜の光沢度を上げるように作用するとともに電着塗装を行うとき,その電流効率を漸減低下するように作用するところ,3.0wt%を上回ると,熱硬化塗膜の光沢度が,市販のアルミ建材に照らして高くなり,光沢度の過度化により商品価値を低下するように作用するとともに電着塗装にあっては電流効率が低下し,電力消費量に無駄を生じるように作用することから,パウダーとワックス粒子の分散含有量を好ましい形態のものとするように,該請求項2に記載の発明を,上記熱硬化塗膜におけるパウダーの分散含有量を0.05〜0.5wt%,上記ワックス粒子の分散含有量を0.05〜3.0wt%としてなることを特徴とする請求項1に記載の耐傷性塗膜を有するアルミ建材としたものである。
請求項3に記載の発明は,主にバー材の電着塗装によるアルミ建材の製造を行うについて,水溶性熱硬化樹脂塗料を用いることによって,フッ素樹脂パウダー及びポリオレフィン系樹脂は塗膜への移行率が,前者で60%程度,後者で70%程度であるから,該移行率を考慮してフッ素樹脂パウダー及びポリオレフィン系樹脂のワックス粒子を上記好ましい形態の分散含有量とする製造方法を提供するように,これを,フッ素樹脂パウダーを0.05〜0.5phr,ポリオレフィン系樹脂を0.05〜3.0phr配合した水溶性熱硬化樹脂塗料をアルミの化成皮膜又はアルミの陽極酸化皮膜に塗装する塗装工程と,該塗装した熱硬化樹脂塗料を熱硬化してその表層に上記ポリオレフィン系樹脂を浸出分散する焼付工程を備えることを特徴とする耐傷性塗膜を有するアルミ建材の製造方法としたものである。
請求項4に記載の発明は,電着塗装以外の塗装方法を採用することも多い主に板材のアルミ建材を製造するについて,同じくフッ素樹脂パウダー及びポリオレフィン系樹脂のワックス粒子を上記好ましい形態の分散含有量とする製造方法を提供するように,これを,フッ素樹脂パウダーを0.05〜0.5phr,ポリオレフィン系樹脂を0.05〜3.0phr配合した熱硬化樹脂塗料をアルミの化成皮膜にロールコート,スプレー塗装又はフローコートによって塗装する塗装工程と,該塗装した熱硬化樹脂塗料を熱硬化してその表層に上記ポリオレフィン系樹脂を浸出分散する焼付工程を備えることを特徴とする耐傷性塗膜を有するアルミ建材の製造方法としたものである。
本発明はこれらをそれぞれ発明の要旨として,上記課題解決の手段としたものである。
本発明は以上のとおりに構成したから,請求項1に記載の発明は,熱硬化塗膜の耐傷性を確保するとともに外観不良やシーリング不良を解消した耐傷性塗膜を有するアルミ建材を提供することができる。
請求項2に記載の発明は,上記に加えて,熱硬化塗膜中のフッ素樹脂パウダーとポリオレフィン系樹脂のワックス粒子の分散含有量を好ましい形態のものとすることができる。
請求項3に記載の発明は,主にバー材の電着塗装によるアルミ建材の製造を行うについて,フッ素樹脂パウダー及びポリオレフィン系樹脂のワックス粒子を上記好ましい形態の分散含有量とする製造方法を提供することができる。
請求項4に記載の発明は,電着塗装以外の塗装方法を採用することも多い主に板材のアルミ建材を製造するについて,同じくフッ素樹脂パウダー及びポリオレフィン系樹脂のワックス粒子を上記好ましい形態の分散含有量とする製造方法を提供することができる。
以下,更に具体的に本発明を説明すれば,図1はアルミ建材に形成した複合皮膜のモデルを示した縦断面図であり,図中1は,バー材又は板材のアルミ素地,2は複合皮膜のアルミ素地1側に位置する陽極酸化皮膜,3は該陽極酸化皮膜2上に塗装した熱硬化樹脂塗膜であり,該熱硬化樹脂塗膜3は,その塗膜表層を含めて分散したフッ素樹脂パウダー31と,その塗膜表層に浸出分散したポリオレフィン系樹脂のワックス粒子32の双方を分散含有してあり,これによって該アルミ建材の熱硬化塗膜3は,フッ素樹脂パウダー31が静摩擦係数を低下し,ポリオレフィン系樹脂のワックス粒子32が動摩擦係数を低下するとともにこれらが相乗的に作用することによって,そのひっかき摩擦,塵埃巻き込み摩擦に対する耐傷性を確保したものとしてある。このとき熱硬化塗膜3は,これらフッ素樹脂パウダー31とポリオレフィン系樹脂のワックス粒子32の双方を分散含有するも,例えば着色艶消しの良好な塗膜面を有して,スジムラ等外観不良がなく,また壁面との間の防水に用いるシーリング材との良好な接着性を有して,例えばアルミサッシ,アルミカーテンウオール等の建造物に設置使用する用途のアルミ建材として好適な上記耐傷性を備えたものとしてある。
本例にあって上記熱硬化塗膜3におけるフッ素樹脂パウダー31の分散含有量は,これを0.05〜0.5wt%,上記ポリオレフィン系樹脂のワックス粒子32の分散含有量は,これを0.05〜3.0wt%としてあり,これによって,上記フッ素樹脂パウダー31の含有による静摩擦係数の低下とポリオレフィン系樹脂のワックス粒子32の含有による動摩擦係数の低下を行うとともにこれらの相乗的な作用によって好ましい耐傷性を確保するものとしてあり,これによって,フッ素樹脂パウダー31,ワックス粒子32がそれぞれ0.05wt%を下回ることによる静摩擦係数と動摩擦係数の高止まりによる擦傷可能性を解消するとともにフッ素樹脂パウダー31が0.5wt%を上回ることによるスジムラの外観不良,シーリング不良の可能性を解消し,またワックス粒子32が3.0wt%を上回ることによる熱硬化塗膜の光沢度の過度化や,熱硬化塗膜3形成時の電流効率の低下を防止したものとしてある。
熱硬化塗膜は,例えばアクリル系,メラミン系,ポリエステル系等の熱硬化樹脂を主体とした各種塗料を常法に従って使用するものとしてあり,フッ素樹脂パウダーは,PVdF(ポリフッ化ビニリデン樹脂),PTFE(四フッ化エチレン樹脂),BTFE(四フッ化エチレン・エチレン樹脂),FEP(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン樹脂)等のうちから選択したものを使用でき,またポリオレフィン系樹脂は,エチレン,プロピレン,ブテンなどのオレフィン類の単独重合体又は異種ポリオレフィンとの共重合体のうちから選択したものを使用するものとしてある。
このときフッ素樹脂パウダーは,平均粒径を0.1μm〜数百μm程度とした各種粒径のものが市販されるが,該フッ素樹脂パウダーの平均粒径は,これを0.2μm〜7μm程度のものとして,水溶性電着塗料に分散含有するのが,アルミ建材の耐傷性に相応しく静摩擦係数を低下した熱硬化塗膜を得る上で好ましい。即ちフッ素樹脂パウダーの平均粒径が0.2μmを下回ると価格的に高価となりアルミ建材として実用的でなくなり,一方7μmを上回ると,この種の熱硬化塗膜の膜厚は,一般に10μm以下であることから,熱硬化塗膜の膜厚に近いものが含まれる結果,熱硬化塗膜の密着性,表面粗さ,耐衝撃性といった塗膜性能に影響を与える可能性を招く。
ポリオレフィン系樹脂は,融点が50℃程度から150℃程度にして極性が低いものから高いものまで各種のものが市販されるが,融点が100〜140℃程度,好ましくは100〜130℃のワックス粒子を使用して,これを水溶性電着塗料に分散含有するのが,アルミ建材の耐傷性に相応しく動摩擦係数を低下した熱硬化塗膜を得る上で好ましい。このとき該ポリオレフィン系樹脂のワックス粒子は,その平均粒径を1.5〜7μm程度,例えば2.5〜7μm程度のものとするのが,上記フッ素樹脂パウダーにおけると同様に塗膜性能を維持しつつ上記擦傷可能性を解消する上で好ましい。
耐傷性塗膜を有するアルミ建材の製造は,フッ素樹脂パウダーを0.05〜0.5phr,ポリオレフィン系樹脂を0.05〜3.0phr配合した水溶性熱硬化樹脂塗料をアルミの陽極酸化皮膜に電着塗装する塗装工程と,該塗装した熱硬化樹脂塗料を熱硬化してその表層に上記ポリオレフィン系樹脂を浸出分散する焼付工程を備えるものとすればよく,これによってフッ素樹脂パウダー31及びワックス粒子32の上記含有量によって耐傷性を備えた熱硬化塗膜3を形成することができ,また熱硬化塗膜の光沢度の過度化や,熱硬化塗膜3形成時の電流効率の低下を防止したものとすることができる。
陽極酸化皮膜を形成する陽極酸化工程,塗装工程,焼付工程は,それぞれ常法に従って,これを行えばよく,塗装工程,焼付工程を経ることによって,アルミ建材に電着された熱硬化性塗膜が架橋してその熱硬化がなされるとともにフッ素樹脂パウダー31が塗膜表層を含めて熱硬化塗膜3中に分散して含有され且つポリオレフィン系樹脂のワックス粒子32が塗膜表層に浸出分散して含有されるようになる。即ちフッ素樹脂パウダーは,水溶性熱硬化塗料に対する相溶性があることによりその配合によって水溶性熱硬化塗料に均一に分散し,該分散状態でアルミ建材に電着され熱硬化塗料が熱硬化して塗膜を形成する一方,ポリオレフィン系樹脂のワックス粒子32は,同様に熱硬化塗料に分散状態で電着されるが,焼付工程で高温を受けて溶融するとともに浸出性があることにより塗膜表層に移行して浸出し,該浸出状態で熱硬化して塗膜を形成する。
上記例は,熱硬化樹脂塗膜を陽極酸化皮膜上に電着塗装によって形成したものとしたが,同じくフッ素樹脂パウダーとポリオレフィン系樹脂のワックス粒子を分散含有することによって耐傷性を有する熱硬化樹脂塗膜は,アルミ建材のバー材又は板材,特にカーテンウォール等のパネル用の板材においては,アルミ素地を化成処理して形成した,例えばクロムとアルミの酸化物皮膜による化成皮膜に塗装したものとすることができる。この場合,アルミ建材の製造は,これを,上記陽極酸化皮膜に代えて化成皮膜を形成し,電着塗装の塗装工程に代えて,ロールコート,スプレー塗装又はフローコートの塗装工程を用いるようにすればよい。即ちその製造方法は,フッ素樹脂パウダーを0.05〜0.5phr,ポリオレフィン系樹脂を0.05〜3.0phr配合した熱硬化樹脂塗料をアルミの化成皮膜にロールコート,スプレー塗装又はフローコートによって塗装する塗装工程と,該塗装した熱硬化樹脂塗料を熱硬化してその表層に上記ポリオレフィン系樹脂を浸出分散する焼付工程を備えるものとすればよい。このとき熱硬化性樹脂塗料,フッ素樹脂パウダー,ポリオレフィン系樹脂のワックス粒子については,上記と同様のものを用いるとともに化成処理,ロールコート,スプレー塗装又はフローコートの塗装工程は常法に従って,これを行えばよい。
このようにフッ素樹脂パウダーとポリオレフィン系樹脂のワックス粒子を分散含有した熱硬化樹脂塗膜は,フッ素樹脂パウダーが静摩擦係数の低下作用を,ワックス粒子が動摩擦係数の低下作用を分担するとともにこれらが相乗的に機能して摩擦抵抗を大きく減少して,熱硬化塗膜に対するひっかき摩擦や巻き込み摩擦による擦傷可能性を可及的に解消して,これら摩擦に対する耐久性を確保したものとするとともに上記外観不良やシーリング不良のないアルミ建材とすることができる。
即ち図2は,フッ素樹脂パウダー配合量をゼロ,0.1wt%とし,ポリオレフィン系樹脂の配合量をゼロ,0.5wt%,1.0wt%,3wt%と変化したとき及びポリオレフィン系樹脂をゼロとし,フッ素樹脂パウダーの配合量を単独で0.5wt%としたときの圧子摺動試験の結果を示したグラフである。これによれば,フッ素樹脂パウダーを0.1wt%配合したときに,該パウダーがゼロのときに比較して塗膜の耐久性が飛躍的に向上し,ポリオレフィン系樹脂0.5wt%の配合によって,フッ素樹脂パウダーを単独で0.5wt%としたときより優れた耐久性を示しており,該図2から,フッ素樹脂パウダー,ポリオレフィン系樹脂を配合することによって熱硬化塗膜が双方を分散含有することによってこれらが摩擦係数の低下に相乗効果を奏することが分る。
図3は,フッ素樹脂パウダー及びポリオレフィン系樹脂をともにゼロとしたときの摩擦係数を100として,フッ素樹脂パウダー配合量をゼロとし,ポリオレフィン系樹脂の配合量をゼロ,0.5wt%,1.0wt%,3.0wt%と変化したとき,ポリオレフィン系樹脂の配合量をゼロとし,フッ素樹脂パウダーを0.5wt%としたとき,並びにフッ素樹脂パウダーの配合量を0.1wt%とし,ポリオレフィン系樹脂の配合量を0.5wt%,1.0wt%,3.0wt%としたときの相対的な摩擦係数を示したグラフである。これによれば,ポリオレフィン系樹脂のワックス粒子が動摩擦係数を低下するように作用し,フッ素樹脂パウダーが静摩擦係数を低下するように作用すること,フッ素樹脂パウダー及びポリオレフィン系樹脂の双方を配合することによって静摩擦係数及び動摩擦係数を低下し,特に動摩擦係数を大きく低下するに至ることが判明する。
四フッ化エチレン樹脂(住友スリーエム株式会社ダイニオンTF9207)0.1phrとし,ポリエチレン樹脂(ビックケミー・ジャパン株式会社Aquamat263)を0.1phr,0.3phr,0.5phr,1.0phr,2.0phr,3.0phrと変化して,それぞれ水溶性熱硬化樹脂塗料(神東塗料株式会社製)に配合した各電着塗料を用いて,厚さ9μmの陽極酸化皮膜を形成したJIS6063T5アルミ板(6×12cm)に電圧200Vで電着塗装を施し,厚さ10μmの電着塗膜を形成し,電着塗膜の目視による外観不良有無の評価を行った。その後アルミ板に200℃,30分間の焼付を施して,フッ素樹脂パウダーとポリオレフィン系樹脂を含有する熱硬化塗膜を形成し,同じく熱硬化塗膜の目視による外観評価を行った。更に圧子摺動試験として,摺動試験機の可動テーブルにアルミ板を固定し,SUSボール圧子に100kg/cmの荷重を負荷してアルミ板に載置した上,可動テーブルを往復移動してボール圧子による熱硬化塗膜の擦傷(熱硬化塗膜の剥れによる陽極酸価皮膜の露出)までの摺動回数(往復移動1回で2回カウント)を測定した。目視による外観不良有無の評価及び圧子摺動試験結果の評価を表1に示す。
四フッ化エチレン樹脂を0.3phrとした以外,実施例1と同様とした。外観不良有無の評価及び圧子摺動試験結果の評価を表1に示す。
四フッ化エチレン樹脂を0.5phrとした以外,実施例1と同様とした。外観不良有無の評価及び圧子摺動試験結果の評価を表1に示す。
比較例1
四フッ化エチレン樹脂を0phrとした以外,実施例1と同様とした。外観不良有無の評価及び圧子摺動試験結果の評価を表1に示す。
比較例2
四フッ化エチレン樹脂を0.01phrとした以外,実施例1と同様とした。外観不良有無の評価及び圧子摺動試験結果の評価を表1に示す。
比較例3
四フッ化エチレン樹脂を0.03phrとした以外,実施例1と同様とした。外観不良有無の評価及び圧子摺動試験結果の評価を表1に示す。
比較例4
四フッ化エチレン樹脂を0.05phrとした以外,実施例1と同様とした。外観不良有無の評価及び圧子摺動試験結果の評価を表1に示す。
比較例5
四フッ化エチレン樹脂を1.0phrとした以外,実施例1と同様とした。外観不良有無の評価及び圧子摺動試験結果の評価を表1に示す。
Figure 2009165920
フッ素樹脂パウダーとポリオレフィン系樹脂ワックス粒子の分布モデルを示すアルミの縦断面図である。 フッ素樹脂パウダーとポリオレフィン系樹脂の配合による圧子摺動試験の結果を示す棒グラフである。 フッ素樹脂パウダーとポリオレフィン系樹脂の配合による摩擦係数の変化を示す棒グラフである。
符号の説明
1 アルミ素地
2 陽極酸化皮膜
3 熱硬化樹脂塗膜
31 フッ素樹脂パウダー
32 ワックス粒子

Claims (4)

  1. 熱硬化塗膜に耐傷性を付与したアルミ建材であって,該熱硬化塗膜の塗膜表層を含めて分散したフッ素樹脂パウダーと,その塗膜表層に浸出分散したポリオレフィン系樹脂のワックス粒子の双方を分散含有してなることを特徴とする耐傷性塗膜を有するアルミ建材。
  2. 上記熱硬化塗膜におけるパウダーの分散含有量を0.05〜0.5wt%,上記ワックス粒子の分散含有量を0.05〜3.0wt%としてなることを特徴とする請求項1に記載の耐傷性塗膜を有するアルミ建材。
  3. フッ素樹脂パウダーを0.05〜0.5phr,ポリオレフィン系樹脂を0.05〜3.0phr配合した水溶性熱硬化樹脂塗料をアルミの化成皮膜又はアルミの陽極酸化皮膜に塗装する塗装工程と,該塗装した熱硬化樹脂塗料を熱硬化してその表層に上記ポリオレフィン系樹脂を浸出分散する焼付工程を備えることを特徴とする耐傷性塗膜を有するアルミ建材の製造方法。
  4. フッ素樹脂パウダーを0.05〜0.5phr,ポリオレフィン系樹脂を0.05〜3.0phr配合した熱硬化樹脂塗料をアルミの化成皮膜にロールコート,スプレー塗装又はフローコートによって塗装する塗装工程と,該塗装した熱硬化樹脂塗料を熱硬化してその表層に上記ポリオレフィン系樹脂を浸出分散する焼付工程を備えることを特徴とする耐傷性塗膜を有するアルミ建材の製造方法。
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