JPH07315196A - アンチスキッド制御装置 - Google Patents

アンチスキッド制御装置

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JPH07315196A
JPH07315196A JP6109957A JP10995794A JPH07315196A JP H07315196 A JPH07315196 A JP H07315196A JP 6109957 A JP6109957 A JP 6109957A JP 10995794 A JP10995794 A JP 10995794A JP H07315196 A JPH07315196 A JP H07315196A
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JP
Japan
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wheel speed
wheel
speed
value
maximum
Prior art date
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Application number
JP6109957A
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English (en)
Inventor
Koichi Shimizu
弘一 清水
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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    • B60T8/00Arrangements for adjusting wheel-braking force to meet varying vehicular or ground-surface conditions, e.g. limiting or varying distribution of braking force
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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10STECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
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    • Y10S303/07Small tire digest

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  • Chemical & Material Sciences (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】応急用タイヤ等の小径タイヤを装着した車輪速
を適切に補正して,算出される疑似車速やABS制御の
正確性を向上して制動距離を確保可能とする。 【構成】例えば小径タイヤ装着車輪速Vwj である最大
車輪速Vwmaxと2番目に大きい第2車輪速vw2ndとの偏
差の比から,通常タイヤの外径と小径タイヤの外径との
径差率εを算出し、この径差率εが,ABS制御に支障
のない最小径差率εLOとABS制御を実行する必要のな
い最大径差率εHiとの間に所定時間TMR10以上あると
きに補正条件設定フラグFC をセットして、前記最大車
輪速Vwmaxである小径タイヤ装着車輪速Vwj が,前記
最小径差率εLOを満足する誤差率Δkだけ小さくなるよ
うに、当該最大車輪速Vwmaxを微小変更量Δk0 相当分
ずつ補正すると共に、前記径差率εが中止径差率εOFF
以下である状態が短い所定時間TMR20以上であるとき
に補正を中止する構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、制動時に各輪に配設さ
れた制動用シリンダの流体圧を最適状態に制御して車輪
のロックを防止すると共に旋回時等の舵取り効果を確保
し,特に応急用タイヤ等の小径タイヤを装着した場合で
も制動距離を確保可能なアンチスキッド制御装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】車両の制動時における車輪のロックを防
止するアンチスキッド制御装置は、一般に,制御対象車
輪の車輪速を検出して,その車体速(誤差等の関係から
最大車輪速と等価であると判断される場合が多い)との
偏差の比からスリップ率を算出し、このスリップ率が,
舵取り効果や制動距離の確保に有効とされるスリップ率
の基準値である基準スリップ率を越えるような場合に
は,制動用シリンダへの流体圧を減圧し、この減圧によ
って当該車輪のスリップ率が基準スリップ率以下となる
と再び制動用シリンダへの流体圧を増圧し、所謂ポンピ
ングブレーキ的な操作を自動制御することによって制動
力を調整制御する。この車体速に対する基準スリップ率
を中心に考えれば、当該車体速から基準スリップ率を満
足する目標車輪速が算出設定され、この目標車輪速を各
車輪速が越えているかいないかで,制動力を調整制御す
ることも原理的には同じである。
【0003】一方、前記制御対象車輪のスリップ率算出
に必要な車体速の設定或いは検出にあたっては、所謂変
速機の出力軸回転速度等から得られる車体速が,特に制
動中にあって誤差を生じ易く、また制動中にアクセルペ
ダルの踏込みはないから駆動輪が実際の車体速を越えて
スリップしていることはないとして,前述したように多
くの場合,前記検出された各制御対象車輪速を用いて,
車体速を算出推定するようにしている。具体的には、例
えば本出願人が先に提案した特開平4−27650号公
報に記載される疑似車速発生装置のように,車体に配設
された前後加速度センサの出力値,即ち前後加速度検出
値を入力信号とし、アンチスキッド制御中の制御信号を
制御入力として、このアンチスキッド制御中に,当該制
御信号の立ち上がり時点において選択された最大車輪速
検出値を初期値として,前後加速度検出値の積分値を加
算し、このようにして算出される車体速算出値を疑似車
速として疑似的に求めるように構成されている。つま
り、制動中に駆動輪が車体速を越えるスリップ状態には
なく且つ各制御対象車輪のロックを確実に防止するとい
う思想から、車体速の算出推定は,検出される最大車輪
速検出値が用いられることが多い。なお、前記各車輪速
の検出にあたっては,実際の車輪の回転速度を検出する
ことが困難であることから、各車輪の回転角速度が当該
車軸の回転角速度と等価又はほぼ等価であるとして,こ
の車軸回転角速度から各車輪速を検出しており、具体的
には例えばホイールハブより車両内側に取付けられ且つ
ホイールハブと等角速回転するディスクの外周にセレー
ション状の歯を形成し、当該ディスクの回転に伴って,
この歯と対向するコイルに発生する磁界強度の変化を,
例えば電圧値の変化として検出し、この電圧値の変化を
波形成形して各車軸の回転角速度を算出し、この車軸回
転角速度に通常タイヤの外半径を乗じて,車輪速に置換
している。
【0004】ところで、実際の車両走行にあっては,例
えばタイヤのパンク等により応急用タイヤを装着するこ
ともある。一般に、昨今の普通乗用車の応急用タイヤは
通常のタイヤ,所謂初期設定されているタイヤよりも小
径なのであるが、このような小径タイヤを装着した車輪
の,前記車輪速センサ等により検出された車輪速は、前
述のように実際の車輪速が車軸回転角速度から置換して
算出されたものであるために、通常のタイヤを装着した
車輪速検出値よりも大きな値となる。具体的に,例えば
直進走行時にあって実際の車体速が一定である場合に
は、小径タイヤを装着した車輪の車軸の方が,通常のタ
イヤを装着した車輪の車軸よりも速く回転しなければな
らないから(実際の小径タイヤ外周速度は同じであ
る)、当該小径タイヤを装着した車輪の車軸回転角速度
は,通常のタイヤを装着した車輪の車軸回転角速度より
も大きくなり、この大きな車軸回転角速度に通常タイヤ
の外半径を乗じて置換算出される車輪速検出値は,その
他の車輪速検出値よりも大きな値となろう。従って、こ
のように他よりも突出して大きな車輪速検出値を最大車
輪速検出値として,前述のようにして算出推定された車
体速算出値は、実際の車体速よりも大きな値になる。
【0005】そして、このように実際の車体速よりも大
きな値で算出推定された車体速算出値を用いて,前述の
ようなアンチスキッド制御を行う場合には、例えば同等
の基準スリップ率を満足する車輪速の目標値(以下,目
標車輪速とも記す)が,真の車体速に応じた目標車輪速
よりも大きな値になる。この目標車輪速は,例えば前述
のアンチスキッド制御においては制動用シリンダへの流
体圧の減圧開始のための閾値であるから、特に車輪速検
出値が前記した車体速算出値よりも常時小さい,通常の
タイヤを装着した車輪において、制動後のアンチスキッ
ド制御では,各車輪速検出値の減少に伴って当該車輪速
検出値がこの目標車輪速を下回った時点で減圧が開始さ
れることになり、真の車体速に応じたアンチスキッド制
御の減圧開始タイミングよりも,その減圧開始タイミン
グが早くなることになる。また、例えばこの目標車輪速
を,一旦,減圧を開始した後の車輪速増速復帰に伴う制
動用シリンダへの流体圧の増圧開始の閾値に設定したア
ンチスキッド制御にあっては、前記車体速算出値と通常
のタイヤを装着した車輪速との偏差が小さいために,ゆ
っくりとしかその車輪速が増速復帰しないこともあっ
て、当該アンチスキッド制御の増圧タイミングが,真の
車体速に応じたアンチスキッド制御の増圧開始タイミン
グよりも遅くなることになる。従って、何れの制御態様
のアンチスキッド制御にあっても,特に通常のタイヤを
装着した車輪の制動用シリンダへの流体圧は小さめに設
定されるから、少なくとも小径タイヤを装着した車輪以
外の車輪への制動力は小さくなり、結果的に車両の制動
距離が大きくなってしまう可能性がある。
【0006】このような問題を解決するためのアンチス
キッド制御装置としては、例えば特開平2−16936
2号公報(以下,第1従来例とも記す)や,特開平3−
67764号公報(以下,第2従来例とも記す)に記載
されるものが提案されている。このうち、前者,即ち第
1従来例に記載されるアンチスキッド制御装置は、前述
のような小径タイヤ装着異径車輪速に代表される最大車
輪速検出値を除く,その他の車輪速検出値の最大偏差が
所定の閾値以下であって且つ最大車輪速検出値とその他
の車輪速検出値の最大値,即ち2番目に大きい車輪速検
出値(以下,第2車輪速検出値とも記す)との偏差が所
定の閾値以上である状態が,所定の期間を越えて継続し
たときに、当該最大車輪速検出値を,前述のような車体
速算出に用いないようにしたものである。また、最大車
輪速検出値と第2車輪速検出値との偏差が所定の閾値以
下である状態が,所定の期間を越えて継続したときに
は、前記最大車輪速を用いた車体速算出の禁止を解除す
るようにもしている。このアンチスキッド制御装置によ
れば、少なくともアンチスキッド制御が開始されるまで
の車体速算出値は,前記小径タイヤ装着異径車輪速を除
いて算出推定されるから、駆動輪が車体速を越えて大幅
にスリップしているような状態を除いては,算出推定さ
れる車体速算出値は真の車体速と等価又はほぼ等価なも
のとすることが可能である。従って、この車体速算出値
をアンチスキッド制御中にも用いることができれば,少
なくとも通常のタイヤを装着した車輪に対しては良好な
制動用シリンダへの流体圧制御によって制動力を最適な
状態に制御することも可能である。
【0007】また、後者,即ち第2従来例に記載される
アンチスキッド制御装置は、従来と同様に,前述のよう
な小径タイヤ装着異径車輪速に代表される最大車輪速検
出値をも含んで,各車輪速検出値の最大値から車体速を
算出推定するが、この車体速算出値から所定速度差だけ
小さい値を,前述のような制動用シリンダへの流体圧の
増圧開始の閾値に設定すると共に、小径タイヤのような
異径タイヤの装着を判定し、当該異径タイヤの装着が判
定されたときには,前記制動用シリンダへの流体圧の増
圧開始閾値がより小さくなるように,前記車体速算出値
から減じられる所定速度差を大きくするようにしてあ
る。つまり、この車体速算出値から所定速度差が減じら
れた値が,前記目標車輪速に相当すると考えればよい。
このアンチスキッド制御装置によれば、少なくとも小径
タイヤ等の異径タイヤを装着した車輪速検出値,即ち前
述の最大車輪速検出値が、その他の通常のタイヤを装着
した車輪速検出値に対して所定の比率で大きく、つまり
異径タイヤの通常タイヤに対する外径の比が所定値で、
且つ前記通常時に車体速算出値から減じられる所定速度
差に対する前記異径タイヤ装着時に減じられる所定速度
差の比が,このタイヤ外径比の逆比である場合には、例
えば小径タイヤ装着異径車輪速である最大車輪速検出値
から車体速を算出推定しても、実際の前記目標車輪速
は,真の車体速,即ち通常タイヤ装着車輪速検出値に応
じた小さな値となる。従って、一旦,減圧を開始した後
の車輪速増速復帰に伴う制動用シリンダへの流体圧の増
圧開始の閾値であるこの小さな目標車輪速までは,真の
車体速と車輪速との偏差が大きいために当該車輪速が速
やかに増速復帰することもあって、アンチスキッド制御
の増圧タイミングが,前記所定速度差を一定として算出
された大きな値の目標車輪速に応じたアンチスキッド制
御の増圧開始タイミングよりも早くなることになる。従
って、少なくとも通常タイヤ装着車輪に対するアンチス
キッド制御による流体圧は,前記大きめに算出推定され
る車体速算出値をそのまま用いたときよりも良好に制御
されて,制動力を最適な状態に制御することも可能であ
る。なお、前記タイヤ外径比と所定速度差に与える比と
の相関は,当該公報には開示されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来のアンチスキッド制御装置には以下のような問題があ
る。まず、前記第1従来例では,最大車輪速検出値と第
2車輪速検出値との偏差が所定の閾値以下となるまで当
該最大車輪速検出値をネグレクトして車体速を算出推定
するために、アンチスキッド制御に必要な車体速算出の
ための車輪速検出値が一つ減ることになり、結果的にア
ンチスキッド制御が不確実なものになる可能性がある。
例えば、前記小径タイヤ装着車輪以外の全ての車輪がロ
ックする或いはロック傾向を示したとき,それらの車輪
速検出値から得られる第2車輪速検出値と,当該小径タ
イヤ装着車輪速である最大車輪速検出値との偏差は、よ
り大きくなって前記所定の閾値以下とはならないから,
依然として当該最大車輪速検出値はネグレクトされた状
態で車体速が算出推定される。そして、この状態では,
車体速算出値は真の車体速よりもどんどん小さな値とな
ってしまい、この車体速算出値を用いて前記基準スリッ
プ率を満足するように算出設定される目標車輪速も小さ
な値となる。従って、この目標車輪速を,例えば前述の
アンチスキッド制御の制動用シリンダへの流体圧の減圧
開始のための閾値に設定すると、制動後のアンチスキッ
ド制御において,各車輪速検出値の減少に伴って目標車
輪速も小さくなるために、各車輪速検出値は目標車輪速
を下回りにくくなって,減圧開始タイミングが真の車体
速に応じたアンチスキッド制御の減圧開始タイミングよ
りも遅れる。また、例えばこの目標車輪速を,一旦,減
圧を開始した後の車輪速増速復帰に伴う制動用シリンダ
への流体圧の増圧開始の閾値に設定したアンチスキッド
制御にあっては、制御対象車輪速が当該目標車輪速まで
直ぐに増速復帰してしまうから、当該アンチスキッド制
御の増圧タイミングが,真の車体速に応じたアンチスキ
ッド制御の増圧開始タイミングよりも早くなることにな
る。従って、何れの制御態様のアンチスキッド制御にあ
っても,小径タイヤ装着異径車輪を含む各制御対象車輪
の制動用シリンダへの流体圧は大きめに設定されるか
ら、各車輪速を前記基準スリップ率を満足する領域に制
御できなくなる虞れがある。
【0009】また、前記第2従来例では,前記小径タイ
ヤ装着異径車輪速のような最大車輪速検出値を用いた車
体速の算出推定は実行すると共に、異径タイヤ装着判定
時には,当該車体速算出値に対する所定速度差を大きく
して,制動用シリンダへの流体圧の増圧の閾値である目
標車輪速を小さく設定するのであるが、前述のように通
常タイヤと異径タイヤとの外径比と,通常タイヤ装着車
輪速のみに基づく車体速算出値から減じられる所定速度
差と異径タイヤ装着車輪速にも基づく車体速算出値から
減じられる所定速度差との比とに関する記述がないため
に、例えば当該特開平3−67764号公報に記載され
るように通常タイヤ装着車輪速のみに基づく車体速算出
値から減じられる所定速度差を3km/h,異径タイヤ装着
車輪速にも基づく車体速算出値から減じられる所定速度
差を10km/hといったように一意に設定してしまうと、
当該異径タイヤ装着車輪速である最大車輪速検出値から
得られた車体速算出値が,これを除くその他の車輪速検
出値から得られる,真の車体速と等価又はほぼ等価な車
体速算出値に対して,この所定速度差の逆比でない場合
には、これらの所定速度差を用いて算出される制動用シ
リンダへの流体圧の増圧開始閾値である目標車輪速は,
通常タイヤと異径タイヤとの外径比を正確に反映してい
ないものとなるから、この目標車輪速に基づいて当該流
体圧,即ち制動力を制御した場合には、少なくとも通常
のタイヤを装着した車輪に対しては前記基準スリップ率
を満足する車輪速領域に制御できない可能性がある。ま
た、異径タイヤを装着した車輪速検出値に対しては何ら
の対応も講じられていないために、この目標車輪速に対
して,単に異径タイヤ装着車輪速の大小だけで流体圧,
即ち制動力を制御したのでは、前記基準スリップ率を満
足する車輪速は全く考慮されていない関係から当該基準
スリップ率を満足する車輪速領域への制御は困難なもの
となる。
【0010】本発明はこれらの諸問題に鑑みて開発され
たものであり、特に小径タイヤを装着した車輪速検出値
を用いて車体速を算出推定する場合でも,この小径タイ
ヤ装着車輪速検出値による車体速算出値の誤差をできる
だけ小さくすると共に、この車体速算出値に応じて制動
力制御される小径タイヤ装着車輪についても,前記基準
スリップ率を満足する車輪速領域に制御して、前記舵取
り効果や制動距離の確保を可能なアンチスキッド制御装
置を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本件発明者等は前記諸問
題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果,以下の知見を得
て本発明を開発した。即ち、何れの制御態様のアンチス
キッド制御装置にあっても,要は小径タイヤを装着した
最大車輪速検出値から得られる車体速算出値を,真の車
体速と同等又はほぼ同等な値に正確に補正すればよい。
ここで、小径タイヤを制御対象車輪の何れか一輪に装着
して走行しているときには,当該小径タイヤのタイヤ外
径は簡単に変化するものではないから、少なくとも車両
の走行状態が安定している状態で,前述のようにこの小
径タイヤ装着異径車輪の車軸回転角速度から置換して算
出される当該車輪速検出値は,その他の通常のタイヤを
装着した車輪速検出値よりも突出して大きく且つ安定し
ているはずである。つまり、通常のタイヤを装着した車
輪速も小径タイヤを装着した車輪速も,車体速に応じて
変化するのであるが、タイヤ外径比が空気圧変動などに
より大きく変化しない限り,両者の車輪速検出値の比は
一定或いはほぼ一定となろう。そこで、この最大車輪速
検出値とその他の車輪速検出値との誤差(検出値だけに
着目すれば誤差ではなくて単なる偏差である)の比率
を,誤差率として算出し、この誤差率分だけ,最大車輪
速検出値,即ち小径タイヤ装着異径車輪速検出値をその
他の車輪速検出値に対して補正すれば、その値は,当該
小径タイヤ装着異径車輪の車軸回転角速度に通常タイヤ
の外半径を乗じた値ではなく,真の小径タイヤ装着異径
車輪速となる。このように真の小径タイヤ装着異径車輪
速に最大車輪速検出値を補正することで,この補正され
た最大車輪速検出値を用いて算出された前記車体速算出
値は真の車体速と同等又はほぼ同等の値となると共に、
この車体速算出値を用いて得た基準スリップ率を満足す
る目標車輪速と,通常のタイヤを装着した車輪速検出値
との比較は勿論、前記真の小径タイヤ装着異径車輪速と
を比較してアンチスキッド制御を行うことで全ての制御
対象車輪への制動力,即ち各制動用シリンダへの流体圧
を本来の制御態様に応じて最適に制御することができる
から、前述のロック防止は勿論,舵取り効果や制動距離
の確保等も達成することができよう。また、前記車体速
を評価算出するためのデータが確保できることになるか
ら、アンチスキッド制御そのものの信頼性を向上するこ
ともできる。
【0012】ここで、問題となるのは前記した車両の安
定走行状態の判定である。前記目的を達成するために必
要な車両の安定走行状態とは,車輪速が安定している状
態と考えればよい。既知のようにアンチスキッド制御中
は、前述のような制動用シリンダへの流体圧の増減圧に
よって制動力が変動するために車輪速も変動しており、
またこのような制動力変動に伴う車輪速変動下で,前記
誤差率の算出を行うこと自体が無意味なことであるか
ら、少なくともアンチスキッド制御が実行されていない
状態で前記誤差率の算出を行うべきである。換言すれ
ば、少なくとも前記誤差率の算出はアンチスキッド制御
前に行い、アンチスキッド制御中は,それ以前に算出さ
れた誤差率を用いて最大車輪速検出値の補正を行う必要
がある。
【0013】また、実際の車両の走行中にあっては,全
ての制御対象車輪が通常のタイヤを装着している場合で
も、例えば路面のうねりや凹凸,段差及びそれらに伴う
各車輪のバウンシング,旋回や蛇行に伴う各車輪の車輪
速差,駆動輪の回転駆動力過多による車体速を越えるス
リップ,所謂空転等によって、各車輪速検出値も変動し
続けていると考えられる。特に、このうち駆動輪の空転
に関しては,通常,その他の車輪,即ち従動輪の車輪速
検出値よりも当該駆動輪速検出値は大幅に大きな値とな
り,しかもその状態が比較的長時間継続する。一方、少
なくとも車輪速変動がない状態では,前述のように小径
タイヤ装着車輪からの最大車輪速検出値は,その他の車
輪速検出値に対して比較的大きく突出した状態が常に持
続される。従って、前記旋回やバウンシング等に伴う比
較的小さな車輪速変動に対して,この変動を伴う車輪速
検出値を用いて算出された前記誤差率が,或る所定値以
上でない状態が或る所定時間以上継続するような場合に
は、この算出された誤差率は,前記車輪速安定状態にお
いて小径タイヤ装着車輪の最大車輪速検出値を補正する
誤差率としては不適当であると判断できる。また、前記
空転等に伴う大幅に大きな車輪速変動に対しても,この
変動を伴う車輪速検出値を用いて算出された前記誤差率
が,前記とは個別の或る所定値以下でない状態が或る所
定時間以上継続するような場合には、この算出された誤
差率は,前記車輪速安定状態において小径タイヤ装着車
輪の最大車輪速検出値を補正する誤差率としては不適当
であると判断できる。逆に言えば、これらの車輪速変動
を除く時に算出された誤差率が,或る所定値以上で且つ
個別の所定値以下である状態が或る所定時間以上継続す
ることを判断すれば、その誤差率は,前記小径タイヤ装
着車輪の最大車輪速検出値を補正する誤差率として適当
であると判定することにもなろう。従って、この誤差率
を最大車輪速検出値の補正に適するものか否かの判定
は、前記不適当判断の所定値を閾値として,それより外
側の領域を不感帯に設定し、この不感帯にある状態又は
不感帯でない状態の経過時間を計測することで行うこと
ができよう。つまり、この判定を行うことで,当該誤差
率を用いた最大車輪速検出値の補正条件を設定すること
ができる。
【0014】また、前記最大車輪速検出値とその他の車
輪速検出値とから算出された誤差率が,不感帯でない状
態で所定時間以上継続した結果,当該誤差率を用いて最
大車輪速検出値を補正する条件が設定されたとしても、
当該不感帯でない状態に及ぶ誤差率を算出させるに足る
前述のような車輪速変動は常に発生していると考えた方
がより現実的である。つまり、全体としての誤差率は不
感帯でない領域に存在はしているものの,常時算出され
る誤差率はこの不感帯でない領域内で微変動していると
いうことである。従って、前記最大車輪速検出値とその
他の車輪速検出値とから直接的に算出された誤差率を,
そのまま最大車輪速検出値の補正に用いたのでは、前記
バウンシング等による車輪速の微変動がダイレクトに影
響してしまって,真の小径タイヤ装着車輪速からずれて
しまう可能性が大きい。そこで、例えば,この直接的に
算出された誤差率にフィルタリングをかけて前記車輪速
微変動を抑制した誤差率とするか、或いはこの直接的に
算出された誤差率を用いて算出される最大車輪速検出値
の補正値にフィルタリングをかけて前記車輪速微変動を
抑制した値とするなどすればよい。
【0015】また、前記不感帯を誤差率の小さい側にも
設定する関係で,例えば全ての制御対象車輪に通常タイ
ヤが装着されている場合でも、車両の停車間際には各車
輪速検出値の僅かな変動が,算出される誤差率を不感帯
でない領域にまで大きくしてしまうため、この誤差率の
小さい側に設定される不感帯に相当する所定車輪速値以
下となったら,当該車輪速検出値を零にする必要が生じ
る。ところが、このように或る所定車輪速値以下で当該
車輪速検出値を零にすることにすると、全ての制御対象
車輪に通常タイヤが装着されていても,例えば旋回しな
がらの停車で各輪の車輪速検出値が零になるタイミング
にずれが生じるから、例えば何れかの車輪速検出値が既
に零になっているにも関わらず,その他の車輪速が零に
なっていない場合には,前記のようにして不感帯でない
状態が所定時間以上継続すると誤差率が算出されてしま
うが、この誤差率は,強制的に零に設定された車輪速値
を用いているために,前記小径タイヤを装着した異径車
輪の最大車輪速検出値の補正に不適当である。そこで、
この誤差率の算出は,車両の走行安定状態判定の意味を
含めて,車体速算出値が或る所定値以上で行うことにす
る。
【0016】而して、本発明のうち請求項1に係るアン
チスキッド制御装置は、図1の基本構成図に示すよう
に,制御対象となる各輪の車輪速を検出する車輪速検出
手段と、前記車輪速検出手段で検出された車輪速検出値
に基づいて車体速を算出する車体速算出手段と、前記車
体速算出手段で算出された車体速算出値及び車輪速検出
手段で検出された車輪速検出値から得られる当該車輪の
スリップ率が基準スリップ率に保たれると共に,当該制
御対象となる車輪のロックを防止するために,各輪に備
えられた制動用シリンダへの流体圧を制御する制御手段
とを備えたアンチスキッド制御装置において、前記車輪
速検出手段で検出された車輪速検出値のうちの最大車輪
速検出値を通常のタイヤより小径のタイヤが装着された
異径車輪速であるとして,少なくとも前記制御手段が制
動用シリンダへの流体圧を制御していないときに前記最
大車輪速検出値とその他の各車輪速検出値とから算出さ
れた誤差率に基づいて,当該最大車輪速検出値を補正す
る補正手段を備えたことを特徴とするものである。
【0017】また、本発明のうち請求項2に係るアンチ
スキッド制御装置は、図1の基本構成図に示すように,
前記補正手段が、前記最大車輪速検出値及びその他の各
車輪速検出値から得られる誤差率が,予め設定された不
感帯又は不感帯でない状態である時間を計測して,当該
誤差率を用いた前記最大車輪速検出値に対する補正を行
うべきか否かの補正条件を設定する補正条件設定手段を
備えたことを特徴とするものである。
【0018】また、本発明のうち請求項3に係るアンチ
スキッド制御装置は、図1の基本構成図に示すように,
前記補正手段が、前記最大車輪速検出値及びその他の各
車輪速検出値から得られる誤差率にフィルタリングをか
けて,前記最大車輪速検出値に対する補正が行われるフ
ィルタ手段を備えたことを特徴とするものである。ま
た、本発明のうち請求項4に係るアンチスキッド制御装
置は、図1の基本構成図に示すように,前記補正手段
が、前記各車輪速検出値からの誤差率算出を,前記車体
速算出値が所定の車体速値以上で行う補正許可手段を備
えたことを特徴とするものである。
【0019】
【作用】本発明のうち請求項1に係るアンチスキッド制
御装置では、図1の基本構成図に示すように,少なくと
も前記制御手段が制動用シリンダへの流体圧を制御して
いない,即ち非アンチスキッド制御時に、前記補正手段
が,前記車輪速検出手段で検出された最大車輪速検出値
と,例えば第2車輪速検出値等のその他の車輪速検出値
との誤差の比率から誤差率を算出し、この誤差率分だけ
前記最大車輪速検出値を小さくするように補正するため
に、当該最大車輪速検出値が前記小径タイヤ装着異径車
輪速である場合には、小径タイヤと通常のタイヤとの外
径比に応じた,その他の車輪との車軸回転角速度比が是
正されて真の小径タイヤ装着異径車輪速が得られる。従
って、この真の小径タイヤ装着異径車輪速は車体速を評
価するのに妥当なものであるから、これを用いて前記車
体速算出手段で算出される車体速算出値は真の車体速と
同等又はほぼ同等のものであると考えられ、この真の車
体速と同等又はほぼ同等の車体速算出値に応じて算出さ
れる基準スリップ率に,通常のタイヤを装着した各車輪
速検出値,つまり最大車輪速検出値を除く車輪速検出値
のスリップ率が収まるように、前記制御手段が各車輪へ
の制動力,即ち前記制動用シリンダへの流体圧を増減圧
制御することでそれらの車輪による舵取り効果や制動距
離を確保できると共に、前記真の小径タイヤ装着異径車
輪速と同等又はほぼ同等に補正された最大車輪速検出値
のスリップ率も前記基準スリップ率に収まるように,前
記制御手段が当該小径タイヤ装着異径車輪への制動力,
即ち前記制動用シリンダへの流体圧を増減圧制御するこ
とで当該車輪のロックを確実に防止すると共に舵取り効
果や制動距離を確保できる。勿論、非アンチスキッド制
御時に前記誤差率の算出を行うから,少なくとも以下の
ような車両の安定走行状態,即ち車輪速の安定状態で算
出される誤差率は、前記小径タイヤ装着異径車輪速であ
る最大車輪速検出値を補正するのに妥当なものとなる。
また、前記従来のように,単に最大車輪速検出値をネグ
レクトするものではないから、その分だけアンチスキッ
ド制御の信頼性が向上する。
【0020】また、本発明のうち請求項2に係るアンチ
スキッド制御装置は、図1の基本構成図に示すように,
前記補正手段に備えられた補正条件設定手段が、例えば
前述のようにバウンシングや旋回に伴う車輪速変動を除
去できるように小さめに設定された不感帯や,駆動輪の
空転に伴う車輪速変動を除去できるように大きめに設定
された不感帯に対して、前記最大車輪速検出値及び第2
車輪速検出値等のその他の各車輪速検出値から得られる
誤差率が,これらの不感帯又は不感帯でない状態である
時間を計測して、例えば各不感帯でない状態が或る所定
時間以上経過した場合には,車輪速安定状態で算出され
た当該誤差率は最大車輪速検出値の補正を行うのに適当
であると判定し、或いは各不感帯である状態が或る所定
時間以上経過した場合には,車輪速安定状態であっても
算出された当該誤差率は最大車輪速検出値の補正を行う
のに不適当であると判定し、これらの誤差率の判定条件
によって補正の可否を条件設定することができるので、
このうち適当であると判定された誤差率をもって前述の
ようにして補正された最大車輪速検出値は,真の小径タ
イヤ装着異径車輪速と同等又はほぼ同等であるとして、
より一層正確な制動力制御が可能となる。
【0021】また、本発明のうち請求項3に係るアンチ
スキッド制御装置は、図1の基本構成図に示すように,
前記補正手段に備えられたフィルタ手段が、例えば前記
路面凹凸や段差等に伴う車輪速の微変動の影響を受けた
誤差率によって,前述のように補正される最大車輪速検
出値が真の小径タイヤ装着異径車輪速からずれてしまう
のを抑制するために、例えばこの直接的に算出された誤
差率にフィルタリングをかけるとか、或いはこの直接的
に算出された誤差率を用いて算出される最大車輪速検出
値の補正値にフィルタリングをかけるなどして、これら
の車輪速変動が補正された最大車輪速検出値に与える影
響を抑制してより一層正確な小径タイヤ装着異径車輪速
の算出設定を可能とする。
【0022】また、本発明のうち請求項4に係るアンチ
スキッド制御装置は、図1の基本構成図に示すように,
前記補正手段に備えられた補正許可手段が、前記車体速
算出手段で算出された車体速算出値が所定の車体速値以
上となったときに,前記補正手段による誤差率の算出を
許可するために、例えば前述のように誤差率の小さい側
に設定される不感帯に相当する所定車輪速値以下となっ
たら,当該車輪速検出値を零にするようにした結果,例
えば旋回しながらの停車で各輪の車輪速検出値が零にな
るタイミングにずれによって,誤差率が不適当に算出さ
れるのを防止することができる。
【0023】
【実施例】以下、本発明の各実施例を図面に基づいて説
明する。図2〜図6は本発明のアンチスキッド制御装置
の一実施例を示すものである。図2中,1FL,1FR
は左右前輪、1RL,1RRは左右後輪であって、後輪
1RL,1RRにはエンジンEGからの回転駆動力が変
速機T,プロペラシャフトPS及びディファレンシャル
ギヤDGを介して伝達され、各車輪1FL〜1RRに
は、夫々制動用シリンダとしてのホイルシリンダ2FL
〜2RRが設けられ、更に前輪1FL,1FRにこれら
の車輪回転数に応じた正弦波信号SiFL ,SiFR を出力
する車輪速センサ3FL,3FRが取付けられ、プロペ
ラシャフトPSに後輪1RL,1RRの平均回転数に応
じた正弦波信号SiRを出力する車輪速センサ3Rが取付
けられ、更に各車輪速センサ3FL〜3Rには車輪速演
算回路15FL〜15Rが接続され、これらにより所謂
3センサ3チャンネルのアンチスキッド制御装置の車輪
速検出手段をなす。
【0024】各前輪側ホイルシリンダ2FL,2FRに
は、ブレーキペダル4の踏込みに応じて2系統のマスタ
シリンダ圧が前輪側アクチュエータ6FL,6FRを介
して個別に供給されると共に、後輪側ホイルシリンダ2
RL,2RRには、マスタシンダ5からのマスタシリン
ダ圧が共通の後輪側アクチュエータ6Rを介して供給さ
れる。
【0025】アクチュエータ6FL〜6Rの夫々は、図
3に示すように,マスタシリンダ5に接続される油圧配
管7とホイルシリンダ2FL〜2RRとの間に介装され
た電磁流入弁8と、この電磁流入弁8と並列に接続され
た電磁流出弁9,油圧ポンプ10及び逆止弁11の直列
回路と、流出弁9及び油圧ポンプ10間の油路に接続さ
れたアキュームレータ12とを備えている。なお、各ア
クチュエータ6FL〜6Rの油圧ポンプ10やアキュー
ムレータ12等は互いに共用化してもよいが、その場合
には共用化されたポンプやアキュームレータへの油圧の
流入出を制御する弁が必要となることに注意したい。
【0026】そして、各アクチュエータ6FL〜6Rの
電磁流入弁8,電磁流出弁9及び油圧ポンプ10は、車
輪速センサ3FL〜3Rからの車輪速正弦波信号SiFL
〜S iRが入力されると共に,車体に取付けられた前後加
速度を検出する前後加速度センサ13の前後加速度検出
値XG が入力されるコントローラCRからの液圧制御信
号EV,AV及びMRによって制御される。
【0027】ここで前記前後加速度センサ13は、車両
に前後方向加速度が作用していないときに零電圧とな
り、前進加速度が作用したときにこれに比例した正の電
圧となり、後退加速度が作用したときにこれに比例した
負の電圧となる前後加速度検出値XG を出力する。前記
コントローラCRは、車輪速センサ3FL〜3Rからの
車輪速正弦波信号SiFL 〜SiRが入力され,これらと各
車輪1FL〜1RRの回転半径とから車輪の周速度(車
輪速)VwFL〜VwR を演算する前記車輪速演算回路1
5FL〜15Rと、この車輪速演算回路15FL〜15
Rの車輪速VwFL〜VwR を後述する制動圧制御回路で
適宜補正した各車輪速Vwj (j=FL〜R)のうち,
最も高い車輪速(セレクトハイ車輪速,最大車輪速)V
H を選択するセレクトハイスイッチ16と、このセレ
クトハイスイッチ16で選択されたセレクトハイ車輪速
VwH と前後加速度センサ13の前後加速度検出値XG
とが入力されて,これらに基づいて疑似車速Vi を算出
する疑似車速発生装置17と、この疑似車速発生装置1
7から出力される疑似車速Vi と,前記車輪速VwFL
VwFR及びVw R とに基づいて制動時のアンチスキッド
制御を行うと共に,前記車輪速演算回路15FL〜15
Rで算出された車輪速VwFL〜VwR の補正を行う制動
圧制御装置18とを備えており、制動圧制御装置18か
ら出力される制御信号が駆動回路22a〜22cを介し
て前記アクチュエータ6FL〜6Rに供給される。な
お、前記車輪速演算回路15FL〜15Rで車輪速Vw
FL〜VwR の算出に用いられる各車輪1FL〜1RRの
回転半径には,通常のタイヤ,即ち初期設定されたタイ
ヤの外半径が用いられている。具体的に、前記車輪速セ
ンサ3FL〜3Rは,前記各前車軸やプロペラシャフト
に取付けられてそれらと等角速度で回転するディスクの
外周にセレーション状の歯を形成し、各車軸やプロペラ
シャフトと共に各ディスクが回転すると,当該ディスク
の歯に対向するコイルに磁界強度の変化が発生し、この
磁界強度の変化を例えば電圧の変化で検出すれば、この
電圧変化が各ディスクの回転速度に応じた周波数の正弦
波状信号となって検出される。従って、前記各車輪速演
算回路15FL〜15Rでは,例えばこの各ディスクの
回転速度に応じた周波数の正弦波状信号を波形成形して
パルス化し,更にディスクの半径で除せば、各前車軸や
プロペラシャフトの回転角速度が得られるから,この回
転角速度に通常タイヤの外周の半径(以下,単に外半径
とも記す)を乗じて通常タイヤ装着車輪速を得ることが
できる。
【0028】前記疑似車速発生装置17には、例えば本
出願人が先に提案した特開平4−27650号公報に記
載されるものを適用できる。この疑似車速発生装置17
について簡潔に説明すれば,前記前後加速度センサ13
の出力値,即ち前後加速度検出値XG を入力信号とし、
後述するアンチスキッド制御中の制御信号MRを制御入
力として、当該制御信号MRが論理値“1”の場合に,
当該制御信号MRの立ち上がり時点において前記セレク
トハイスイッチ16で選択されたセレクトハイ車輪速V
H を初期値として,前後加速度検出値XG の積分値を
加算し、推定車体速度を疑似車速Vj として疑似的に求
めるように構成されている。
【0029】前記制動圧制御装置18は、基本的に、各
車輪速VwFL,VwFR及びVwR と,疑似車速Vi とに
基づいて各車輪1FL〜1RRに設けたホイルシリンダ
2FL〜2RRへの供給圧力を制御するアクチュエータ
6FL〜6Rを制御するものであり、図2に示すように
例えばA/D変換機能を有する入力インターフェース回
路25a,D/A変換機能を有する出力インターフェー
ス25d,演算処理装置25b及び記憶装置25cを少
なくとも有するマイクロコンピュータ25で構成され、
各車輪速Vwj (j=FL〜R)と前記疑似車速Vi
から算出される各車輪のスリップ率及び各車輪速の微分
値,即ち車輪加減速度V'wj と、前記ホイルシリンダ2
FL〜2RRへの制動圧の増減圧タイミングに係る予め
設定された各車輪の基準スリップ率Sj0(j=FL〜
R)及び加減速度閾値α,βとの比較を行って,各ホイ
ルシリンダ2FL〜2RRへの制動圧を急増圧モード,
保持モード,減圧モード及び緩増圧モードに適宜選択す
る制動圧制御を行う。つまり、この制動圧制御こそがア
ンチスキッド制御であって,本制動圧制御回路18の主
幹はこのアンチスキッド制御を実行することである。
【0030】ここで、このアンチスキッド制御,即ち制
動圧制御を実行するために前記マイクロコンピュータ2
5で実行される演算処理を,図4のフローチャートに基
づいて、また一般的なアンチスキッド制御の作用を,図
5の制動圧制御特性曲線に基づいて説明する。この制動
圧制御処理は、所定時間(例えば5msec.)ΔT毎のタ
イマ割込処理として実行され、ASはアンチスキッド制
御フラグ,Tは減圧タイマを示し、これらはキースイッ
チのオンによる電源投入時及び前回のアンチスキッド制
御の終了時にステップS9からステップS11に移行し
て“0”にリセットされると共に、制御フラグASが
“1”にセットされている間,前記論理値“1”の制御
中信号MRが前記疑似車速発生装置17に出力される。
【0031】即ち、図4の処理が開始されると,先ずス
テップS1で各車輪速演算回路15j(j=FL,F
R,R)から出力された或いは後述する演算処理によっ
て補正された現在の車輪速検出値Vwj を読込み、疑似
車速演算回路17からの疑似車速Vi を読込む。次にス
テップS2に移行して、前記ステップS1で読込んだ各
車輪速検出値VwjNを,前回の処理時に読込んだ車輪速
検出値Vwj(N-1)から減算して,単位時間当たりの車輪
速変化量,即ち車輪加減速度V'wj を算出し、これを記
憶装置25cの所定記憶領域に記憶する。
【0032】次にステップS3に移行して、下記1式の
演算を行って各車輪のスリップ率S j を算出する。 Sj =(Vi −Vwj )/Vi ・100 ……… (1) 次にステップS4に移行して、前記ステップS3で算出
された各車輪のスリップ率Sj が基準スリップ率Sj0
上であるか否かを判定し、当該車輪のスリップ率Sj
基準スリップ率Sj0以上である場合にはステップS5に
移行し、そうでない場合にはステップS6に移行する。
【0033】前記ステップS5では、前記ステップS2
で算出された各車輪加減速度V'wjが予め設定された正
の車輪加減速度閾値β以上であるか否かを判定し、当該
車輪加減速度V'wj が前記閾値β以上である場合にはス
テップS7に移行し、そうでない場合にはステップS8
に移行する。前記ステップS7では、前記減圧タイマT
を“0”にリセットしてからステップS9に移行する。
【0034】また、前記ステップS8では、前記減圧タ
イマTを所定値T0 にセットすると共に,アンチスキッ
ド制御フラグASを“1”にセットしてから前記ステッ
プS9に移行する。一方、前記ステップS6では、前記
減圧タイマTが“0”より大きいか否かを判定し、当該
減圧タイマTが“0”より大きい場合にはステップS1
0に移行し、そうでない場合には前記ステップS9に移
行する。
【0035】前記ステップS10では、現在の減圧タイ
マTから“1”を減じた値を新たな減圧タイマTとし
て,これを記憶装置25cの所定記憶領域に記憶してか
ら前記ステップS9に移行する。前記ステップS9で
は、アンチスキッド制御を終了できるか否かを判定し、
当該アンチスキッド制御終了可能である場合にはステッ
プS11に移行し、そうでない場合にはステップS12
に移行する。
【0036】前記ステップS11では、前記減圧タイマ
Tを“0”にリセットすると共に,前記アンチスキッド
制御フラグASを“0”にリセットしてからステップS
13に移行する。前記ステップS12では、前記減圧タ
イマTが“0”より大きいか否かを判定し、当該減圧タ
イマTが“0”より大きい場合にはステップS14に移
行し、そうでない場合には前記ステップS15に移行す
る。
【0037】前記ステップS15では、前記ステップS
2で算出された車輪加減速度V'wjが前記予め設定され
た閾値β以上であるか否かを判定し、当該車輪加減速度
V'w j が前記閾値β以上である場合にはステップS16
に移行し、そうでない場合にはステップS17に移行す
る。前記ステップS16では、前記アンチスキッド制御
フラグASが“0”のリセット状態であるか否かを判定
し、当該アンチスキッド制御フラグASが“0”のリセ
ット状態である場合には前記ステップS13に移行し、
そうでない場合にはステップS20に移行する。
【0038】一方、前記ステップS17では、前記ステ
ップS2で算出された車輪加減速度V'wj が予め設定さ
れた車輪加減速度閾値α以下であるか否かを判定し、当
該車輪加減速度V'wj が前記閾値α以下である場合には
ステップS18に移行し、そうでない場合にはステップ
S19に移行する。また、前記ステップS19では、前
記アンチスキッド制御フラグASが“0”のリセット状
態であるか否かを判定し、当該アンチスキッド制御フラ
グASが“0”のリセット状態である場合には前記ステ
ップS13に移行し、そうでない場合にはステップS2
1に移行する。
【0039】そして、前記ステップS13では、当該制
御対象車輪1FL〜1RRの各ホイルシリンダ2FL〜
2RRへの制動圧を急増圧モードに設定してからメイン
プログラムに復帰する。また、前記ステップS14で
は、当該制御対象車輪1FL〜1RRの各ホイルシリン
ダ2FL〜2RRへの制動圧を減圧モードに設定してか
らメインプログラムに復帰する。
【0040】また、前記ステップS18では、当該制御
対象車輪1FL〜1RRの各ホイルシリンダ2FL〜2
RRへの制動圧を高圧保持モードに設定してからメイン
プログラムに復帰する。また、前記ステップS20で
は、当該制御対象車輪1FL〜1RRの各ホイルシリン
ダ2FL〜2RRへの制動圧を低圧保持モードに設定し
てからメインプログラムに復帰する。
【0041】また、前記ステップS21では、当該制御
対象車輪1FL〜1RRの各ホイルシリンダ2FL〜2
RRへの制動圧を緩増圧モードに設定してからメインプ
ログラムに復帰する。従って、この演算処理の作用を図
5に従って簡潔に説明すると,基準スリップ率Sj0(初
期設定される基準スリップ率Sj0は通常のタイヤの舵取
り効果及び制動距離の確保可能な15%程度であると考
えればよい)未満であり、且つ制御フラグAS及び減圧
タイマTが共に“0”であり、車輪加減速度V'wj が予
め設定された負の加減速度閾値α及び正の加減速度閾値
βの間,即ちα<V'wj <βである非制動時及び制動初
期時には、ステップS9,S11又はS15,S17,
S19を経て,S13でアクチュータ6FL〜6Rの圧
力をマスタシリンダ5の圧力に応じた圧力とする急増圧
モードに設定する。この急増圧モードでは、アクチュー
タ6FL〜6Rに対する制御信号EV及びAVを,共に
論理値“0”として、アクチューエータ6FL〜6Rの
流入弁8を開状態に,流出弁9を閉状態に夫々制御す
る。
【0042】そして、制動状態となると車輪速検出値V
j が徐々に減少し、これに応じて車輪加減速度V'wj
が図5の曲線に示すように小さくなり(負の方向に減少
し)、この車輪加減速度V'wj が負の加減速度閾値αを
越えると,ステップS17からステップS18に移行
し、ホイルシリンダ2FL〜2RRの内圧を一定値に保
持する高圧側の保持モードとなる。この高圧側の保持モ
ードでは、アクチュエータ6FL〜6Rの流入弁8を閉
状態に,流出弁9を閉状態に夫々制御し、ホイルシリン
ダ2FL〜2RRの内圧をその直前の圧力に保持する。
【0043】しかしながら、この保持モードにおいて
も,車輪に対して制動力が作用しているので、図5の曲
線に示すように車輪加減速度V'wj が減少すると共に、
スリップ率Sj が増加する。そして、各輪のスリップ率
j が前記各輪の基準スリップ率Sj0を越え,且つ車輪
加減速度V'wj が正の加減速度閾値β未満を維持してい
るときには、ステップS4からステップS5を経てステ
ップS8に移行して,減圧タイマTを予め設定された所
定値T0 にセットすると共に制御フラグASを“1”に
セットし、これに応じて論理値“1”の制御中信号MR
を出力してアクチュエータ6FL〜6Rの油圧ポンプ1
0を作動状態とする。このため、ステップS12からス
テップS14に移行し、アクチュエータ6FL〜6Rの
圧力を徐々に減圧する減圧モードとなる。この減圧モー
ドでは、アクチュエータ6FL〜6Rの流入弁8を閉状
態,流出弁9を開状態として,ホイルシリンダ2FL〜
2RRに保持されている圧力を流出弁9,油圧ポンプ1
0及び逆止弁11を介してマスタシリンダ5側に戻し、
ホイルシリンダ2FL〜2RRの内圧を減少させる。
【0044】この減圧モードになると、車輪に対する制
動力が緩和されるものの,車輪速検出値Vwj は暫くは
減少状態を維持し、このため図5の曲線に示すように車
輪加減速度V'wj は更に負の方向に減少し且つスリップ
率Sj は増加傾向を継続するが、その後,車輪速検出値
Vwj の減少率が低下して加速状態に移行する。これに
応じて車輪加減速度V'wj が正方向に増加し、車輪加減
速度V'wj が正の加速度閾値β以上となると、前記ステ
ップS4からステップS5を経てステップS7に移行す
る。このステップS7では、減圧タイマTを“0”にリ
セットしてから前記ステップS9に移行する。従って、
ステップS12の判定でT=0となるのでステップS1
5に移行し、V'wj ≧βであるのでステップS16に移
行し、制御フラグAS=0であるのでステップS20に
移行し、アクチュエータ6FL〜6Rの圧力を低圧側で
保持する低圧側の保持モードに移行する。この低圧側の
保持モードでは、前記高圧側の保持モードと同様に制御
信号EVを論理値“1”,制御信号AVを論理値“0”
に制御して,ホイルシリンダ2FL〜2RRの内圧をそ
の直前の圧力に保持する。
【0045】この低圧側の保持モードにおいても,車輪
に対しては制動力が作用しているので、車輪速検出値V
j の増加率は徐々に減少し、車輪加速度V'wj が正の
加減速度閾値β未満となると、ステップS15からステ
ップS17に移行し、V'wj>αであるのでステップS
19に移行し、制御フラグASが未だ“1”であるので
ステップS21に移行する。このステップS21では、
マスタシリンダ5からの圧力作動油を間欠的にホイルシ
リンダ2FL〜2RRに供給し,当該ホイルシリンダ2
FL〜2RRの内圧がステップ状に増圧されて緩増圧モ
ードとなる。この緩増圧モードでは、アクチュエータ6
FL〜6Rに対する制御信号EVを論理値“0”及び論
理値“1”に所定間隔で繰り返すと共に、制御信号AV
を論理値“0”として、アクチュエータ6FL〜6Rの
流入弁8を所定間隔で開閉し、流出弁9を閉状態とする
ことにより、ホイルシリンダ2FL〜2RRの内圧を徐
々にステップ状に増圧する。
【0046】この緩増圧モードになると、ホイルシリン
ダ2FL〜2RRの圧力上昇が緩やかとなるので、車輪
1FL〜1RRに対する制動力が徐々に増加し、車輪1
FL〜1RRが減速状態となって車輪速検出値Vwj
減少する。その後、車輪加減速度V'wj が負の加減速度
閾値α未満となると,前記ステップS17からステップ
S18に移行して高圧側の保持モードとなり、その後、
各輪のスリップ率Sjが基準スリップ率Sj0以上となる
と,前記ステップS4からステップS5を経てステップ
S8に移行し、次いでステップS9,S12を経てステ
ップS14に移行して減圧モードとなり、然る後、低圧
保持モード、緩増圧モード、高圧保持モード、減圧モー
ドが繰り返され、アンチスキッド効果を発揮することが
できる。なお、車両の速度がある程度低下したときに
は、減圧モードにおいてスリップ率Sj が基準スリップ
率Sj0未満に回復する場合があり、このときには前記ス
テップS4からステップS6に移行し、前記したように
減圧モードを設定するステップS8で減圧タイマTが所
定値T0 にセットされているので、ステップS10に移
行して減圧タイマTの所定設定値を“1”だけ減算して
からステップS9に移行することになる。従って、この
ステップS6からステップS10に移行する処理を繰り
返して減圧タイマTが“0”となると,ステップS9〜
S19を経てステップS21に移行して緩増圧モードに
移行し、次いで高圧側の保持モードに移行してから減圧
モードに移行する,即ち図5に破線で示すように制動圧
制御が実行されることになる。
【0047】そして、車両が停止近傍の速度になったと
き、緩増圧モードの選択回数が所定値以上となったとき
等の制御終了条件を満足する状態となったときには,ス
テップS9の判断によって制御終了と判断されるので、
このステップS9からステップS11に移行して減圧タ
イマT及び制御フラグASを夫々“0”にリセットして
からステップS13に移行して、急増圧モードとしてか
らアンチスキッド制御を終了する。
【0048】一方、前述したように前記マイクロコンピ
ュータ25では,前記疑似車速発生装置17から出力さ
れる疑似車速Vi を真の車体速と同等又はほぼ同等のも
のとしたり、或いはより確実な制動圧制御によって各輪
のロックを確実に防止しながら舵取り効果や制動距離を
確保したりするために、前記各車輪速演算回路15jか
ら出力される車輪速Vwj を補正する演算処理もなされ
る。この車輪速Vwjの補正は,具体的に応急用タイヤ
等の小径タイヤを装着した車輪から検出される車輪速検
出値を真の車輪速と同等又はほぼ同等にするために行わ
れるものであり、従って前記図4に示すアンチスキッド
制御の演算処理や疑似車速発生装置17で用いられる車
輪速は,必要に応じて補正された車輪速でなければなら
ない。
【0049】ここで、この車輪速補正の基本原理につい
て説明する。前記車輪速センサ3FL〜3R及び車輪速
演算回路15FL〜15Rでは,各前車軸又はプロペラ
シャフトの回転角速度に通常タイヤの外周の半径(外半
径)を乗じて車輪速Vwj (j=FL〜R)を算出出力
しているために、例えば前記応急用タイヤのような小径
タイヤを装着すると,当該小径タイヤを装着した外径の
異なる(異径)車輪の車軸やプロペラシャフトは、安定
直進走行時等において,同等の車体速におけるその他の
車輪の車軸やプロペラシャフトよりも速く回転するか
ら、当該小径タイヤ装着異径車輪の車軸又はプロペラシ
ャフトの回転角速度が大きくなり、これに通常タイヤの
外半径を乗じて得られた車輪速は,真の小径タイヤ装着
異径車輪速よりも大きな値になってしまい、しかも前記
車輪速センサ3FL〜3Rや車輪速演算回路15FL〜
15Rには,当該検出すべき車輪に小径タイヤが装着さ
れていることを判別する機能や,或いは通常タイヤと小
径タイヤとのタイヤ外半径比を補正する機能はない。つ
まり、前記車輪速演算回路15FL〜15Rから出力さ
れる車輪速Vwj は,小径タイヤを装着すると否応なく
大きな値になり、その値は,通常タイヤを装着した車輪
速Vwj よりも或る程度大きく突出したものとなろう。
【0050】このような突出して大きな車輪速Vwj
発生し、この車輪速Vwj をそのまま前記セレクトハイ
スイッチ16に与えると、当該セレクトハイスイッチ1
6は前記誤った小径タイヤ装着異径車輪速を最大車輪速
VwH として選出し、この最大車輪速VwH に基づいて
前記疑似車速発生装置17から出力される疑似車速V i
は,真の車体速よりも大きな値になってしまう。そし
て、この真の車体速よりも大きな疑似車速Vi を用い,
前記1式に従って算出される少なくとも通常タイヤを装
着した各車輪のスリップ率Sj は、真の車体速に対する
車輪のスリップ率(以下,単に真のスリップ率とも記
す)よりも大きな値となり、前記図4のアンチスキッド
制御の演算処理では,この算出された各車輪のスリップ
率Sj は前記基準スリップ率Sj0を越え易くなるから、
ステップS4からステップS5を経てステップS8に至
り,更にステップS12からステップS14に移行する
減圧モードへの移行タイミングが早くなることになる。
この傾向は,前記小径タイヤ装着異径車輪速が真の値に
補正されない限り,前記図4のアンチスキッド制御の演
算処理で緩増圧モードや高圧保持モードと共に繰り返さ
れることになるから、少なくとも通常タイヤを装着した
車輪への制動圧は,真の車体速に基づく制動圧よりも小
さくなって、制動力が小さくなって制動距離が長くなっ
てしまう。但し、小径タイヤ装着異径車輪速である最大
車輪速VwH に対しては、前記誤った車体速である疑似
車速Vi を用いて算出されるスリップ率Sj も,同じ誤
差率倍されたものであるから、制動圧制御については適
切に行われることになる。
【0051】このような不具合を是正するために、本実
施例では前記小径タイヤ装着異径車輪速として算出出力
される最大車輪速を真の値と同等又はほぼ同等となるよ
うに補正する。このように真の値に補正された小径タイ
ヤ装着異径車輪速は、車体速を評価するのに妥当なもの
であるし,またこの補正された小径タイヤ装着異径車輪
速を用いて算出出力される疑似車速Vi から得られたス
リップ率Sj も制動圧を制御するのに妥当なものであ
る。具体的には、各車輪速が安定している状態で,最大
車輪速Vwmax(ここでは,前記セレクトハイスイッチ1
6で選出される最大車輪速VwH と区別するためにVwm
axと記す)と2番目に大きな第2車輪速Vw2ndとの偏差
の,当該第2車輪速Vw2ndに対する比を両車輪の外径差
の比率(以下,単に径差率とも記す)εとして算出し、
この径差率εから,前記図4のアンチスキッド制御の演
算処理で,実際の車輪速制御に影響のない程度の最小径
差率εLOを減じた値を誤差率Δkとし、最大車輪速Vwm
axに対応する各車輪速Vwjに,“1”から誤差率Δk
を減じた値を乗じて真の小径タイヤ装着異径車輪速Vw
j0とする。勿論、前記図4の演算処理によるアンチスキ
ッド制御中,即ち前記アンチスキッド制御フラグASが
“1”にセットされている間は、当該アンチスキッド制
御によって車輪速が微変動している状態であるから、こ
の間は前記誤差率Δkの算出は行わず、更に具体的に
は,それ以前に算出されている誤差率Δkを用いてアン
チスキッド制御中の小径タイヤ装着異径車輪速,即ち最
大車輪速Vwmaxの補正を行うこととする。
【0052】さて、実際の車両走行にあっては,全ての
制御対象車輪が通常のタイヤを装着している場合でも、
例えば路面のうねりや凹凸,段差及びそれらに伴う各車
輪のバウンシング,旋回や蛇行に伴う各車輪の車輪速
差,駆動輪の回転駆動力過多による車体速を越えるスリ
ップ,所謂空転等によって、各車輪速Vwj も変動し続
けていると考えられる。特に、このうち駆動輪である後
輪1RL,1RRの空転時には,通常,従動輪である前
輪1FL,1RR等のその他の車輪の車輪速Vw j より
も当該後輪速VwRL,VwRRは大幅に大きな値となり,
しかもその状態が比較的長時間継続する。一方、少なく
とも車輪速変動がない状態では,前述のように小径タイ
ヤ装着車輪からの最大車輪速Vwmaxは,前記第2車輪速
Vw2ndに対して比較的大きく突出した状態が常に持続さ
れる。従って、前記真の小径タイヤ装着異径車輪速Vw
j0の補正にあたって,前記旋回やバウンシング等に伴う
比較的小さな車輪速変動の影響ができるだけ前記誤差率
Δkにでないように、前記径差率εが,前記図4のアン
チスキッド制御の演算処理で,実際の車輪速制御に影響
のない程度の最小径差率εLO以下の場合には、当該誤差
率Δkの算出を行わないものとする。つまり、この最小
径差率εLO以下の領域が,誤差率Δkが小さい側に設定
される不感帯に相当する。また、同じく真の小径タイヤ
装着異径車輪速Vwj0の補正にあたって,前記空転等に
伴う大幅に大きな車輪速変動の影響ができるだけ前記誤
差率Δkにでないように、前記径差率εが,タイヤのパ
ンク時等,前記図4のアンチスキッド制御の演算処理を
実施する必要のない最大径差率ε Hi以上の場合には、当
該誤差率Δkの算出を行わないものとする。つまり、こ
の最大径差率εHi以上の領域が,誤差率Δkが大きい側
に設定される不感帯に相当する。そして、本実施例で
は,前記径差率εが,二つの不感帯でない状態,即ちε
LO<ε<εHiの状態が所定時間Δt1 以上継続されたと
きに、各車輪速は安定状態にあって小径タイヤ装着異径
車輪速を補正する条件を満足するものとして,補正条件
設定フラグFC を“1”のセット状態とし、前記誤差率
Δkの算出設定と共に,この誤差率Δkに基づく最大車
輪速Vwmaxの補正を行うものとする。なお、具体的な演
算処理では第1タイマTMR1 が所定値TMR10以上と
なったときを前記所定時間Δt1 の経過時とする。つま
り、前記演算処理がタイマ割込み処理等である場合に
は,そのサンプリング時間ΔTの繰り返し回数nが前記
所定時間Δt1 となるときの繰り返し回数nが、前記第
1タイマTMR1 の所定値TMR10であると考えればよ
い。ちなみに、この所定時間Δt1 は,例えば10秒と
いった比較的長時間に設定してある。
【0053】また、本実施例では,前記径差率εが最小
径差率εLO以下となったときに,即座に前記補正条件設
定フラグFC が“0”にリセットされて誤差率Δkの算
出設定が中止されてしまわないように、この最小径差率
εLOより小さい誤差率算出中止径差率(以下,単に中止
径差率とも記す)εOFF を設定し、算出された径差率ε
が,この中止径差率εOFF 以下となる状態が所定時間Δ
2 以上継続されたときに、補正条件設定フラグFC
“0”にリセットし、前記誤差率Δkを“0”とする。
なお、具体的な演算処理では第2タイマTMR2 が所定
値TMR20以上となったときを前記所定時間Δt2 の経
過時とする。つまり、前記演算処理がタイマ割込み処理
等である場合には,そのサンプリング時間ΔTの繰り返
し回数nが前記所定時間Δt2 となるときの繰り返し回
数nが、前記第2タイマTMR2の所定値TMR20であ
ると考えればよい。ちなみに、この所定時間Δt2 は,
例えば1秒といった比較的短時間に設定してある。
【0054】以上を統合すると,前記径差率εは、誤差
率Δkが不感帯であるか否かを直接判定するまえの評価
指標であると考えられ、本発明のアンチスキッド制御装
置では,前記径差率εを誤差率補正条件設定指標である
と考えればよい。また、前記算出された径差率εが各不
感帯でない状態,即ちεLO<ε<εHiの状態が所定時間
Δt1 以上継続された結果,その時の誤差率Δkを用い
た最大車輪速Vwmaxの補正条件が設定されたとしても、
当該不感帯でない状態に及ぶ径差率εを算出させるに足
る前述のような車輪速変動は常に発生していると考えら
れる。つまり、全体としての径差率εはεLO<ε<εHi
を満足しているものの,常時算出される径差率εはこの
不感帯でない領域内で微変動しているということであ
る。従って、この微変動を続ける径差率εを,そのまま
最大車輪速Vwmaxの補正に用いたのでは、算出される小
径タイヤ装着車輪速Vwjcが常に微変動してしまって,
真の車体速と同等又はほぼ同等な疑似車速Vi の算出
や,真の小径タイヤ装着車輪速の算出に支障を及ぼす可
能性がある。そこで、本実施例では,前述のようにして
誤差率Δkを算出設定したり,或いは誤差率Δkを
“0”に設定したりする際に、各サンプリング時間毎の
演算処理で,急激な制御の変化を抑制できる微小誤差率
変更量(以下,単に微小変更量とも記す)Δk0 ずつ,
当該誤差率Δkを目標値に向けて変化させて,所謂車輪
速の微変動にフィルタリングをかけるようにした。な
お、このフィルタリングのかけ方については,例えば算
出された制御量に対して実行される制御量間のゲインに
フィルタを設けるなどしてもよい。
【0055】また、本実施例では,前記不感帯を径差率
εの小さい側にも設定する関係で,例えば全ての制御対
象車輪1FL〜1RRに通常タイヤが装着されている場
合でも、車両の停車間際には各車輪速Vwj の僅かな変
動が,算出される径差率εを不感帯でない領域にまで大
きくしてしまうため、この径差率εの小さい側に設定さ
れる不感帯閾値εLOに相当する所定車輪速値Vw0 以下
となったら,当該車輪速Vwj を“0”にする必要が生
じる。ところが、このように或る所定車輪速値Vw0
下で当該車輪速Vwj を“0”にすることにすると、全
ての制御対象車輪に通常タイヤが装着されていても,例
えば旋回しながらの停車で旋回内輪速の方が旋回外輪速
よりも小さいから当該旋回内輪速の方が先に“0”に変
更されるように,各輪の車輪速Vwj が“0”になるタ
イミングにずれが生じるから、例えば何れかの車輪速V
j が既に“0”になっているにも関わらず,その他の
車輪速Vwj が未だ“0”になっていない場合には,真
の車輪速を反映していない径差率εや誤差率Δkが算出
されてしまうため、これら径差率εや誤差率Δkの算出
は、前記疑似車速Vi が所定車速値V0 以上で実行する
ものとし,また演算上,何れか最小となる車輪速(以
下,単に最小車輪速とも記す)Vwminが“0”に変更さ
れてしまった場合には実行しないものとする。
【0056】以上の発明原理に基づいて、前記制動圧制
御回路18のマイクロコンピュータ25で実行される車
輪速補正の演算処理を,図6のフローチャートに基づい
て説明する。この車輪速補正処理は、所定時間,例えば
5msec.毎のタイマ割込処理で且つ前記図4のアンチス
キッド制御の演算処理よりも高い優先順位の演算処理と
して実行され、ASはアンチスキッド(以下,ABSと
も記す)制御フラグ,TMR1 は第1タイマ,TMR2
は第2タイマ,FC は補正条件設定フラグ,Fwj (j
=FL〜R)は補正対象車輪フラグを示す。
【0057】即ち、図6の処理が開始されると,先ずス
テップS31で各車輪速演算回路15j(j=FL,F
R,R)から出力される現在の車輪速検出値Vwj ,疑
似車速演算回路17からの疑似車速Vi を読込む。次に
ステップS32に移行して、前記マイクロコンピュータ
25の記憶装置25cに記憶されている最新の車輪誤差
率Δk,制御対象車輪フラグFwj ,前記図4の演算処
理によるアンチスキッド制御フラグASを読込む。
【0058】次にステップS33に移行して、前記ステ
ップS32で読込まれたアンチスキッド制御フラグAS
が“1”のセット状態であるか否かを判定し、当該アン
チスキッド制御フラグASが“1”のセット状態である
場合にはステップS34に移行し、そうでない場合には
ステップS35に移行する。前記ステップS35では、
前記ステップS31で読込まれた疑似車速Vi が所定車
速値V0 より小さいか否かを判定し、当該疑似車速Vi
が所定車速値V0 より小さい場合には前記ステップS3
4に移行し、そうでない場合にはステップS36に移行
する。
【0059】前記ステップS36では、前記ステップS
31で読込まれた三つの車輪速Vw FL,VwFR,VwR
のうちから最大となる最大車輪速Vwmaxを,下記2式に
従って選出してからステップS37に移行する。なお、
2式中,maxは最大値選出を意味する。 Vwmax=max(VwFL,VwFR,VwR ) ……… (2) 前記ステップS37では、前記ステップS31で読込ま
れた三つの車輪速Vw FL,VwFR,VwR のうちから2
番目に大きい第2車輪速Vw2ndを,下記3式に従って選
出してからステップS38に移行する。なお、3式中,
midは中央値選出を意味する。
【0060】 Vw2nd=mid(VwFL,VwFR,VwR ) ……… (3) 前記ステップS38では、前記ステップS31で読込ま
れた三つの車輪速Vw FL,VwFR,VwR のうちから最
小となる最小車輪速Vwminを,下記4式に従って選出し
てからステップS39に移行する。なお、4式中,mi
nは最小値選出を意味する。
【0061】 Vwmin=min(VwFL,VwFR,VwR ) ……… (4) 前記ステップS39では、前記ステップS36で選出さ
れた最大車輪速Vwmaxが前記所定車輪速値Vw0 以上で
あるか否かを判定し、当該最大車輪速Vwmaxが前記所定
車輪速値Vw0 以上である場合にはステップS40に移
行し、そうでない場合にはステップS41に移行する。
【0062】前記ステップS41では、前記最大車輪速
Vwmaxを“0”に変更設定してから前記ステップS40
に移行する。前記ステップS40では、前記ステップS
37で選出された第2車輪速Vw2ndが前記所定車輪速値
Vw0 以上であるか否かを判定し、当該第2車輪速Vw2
ndが前記所定車輪速値Vw0 以上である場合にはステッ
プS42に移行し、そうでない場合にはステップS43
に移行する。
【0063】前記ステップS43では、前記第2車輪速
Vw2ndを“0”に変更設定してから前記ステップS42
に移行する。前記ステップS42では、前記ステップS
38で選出された最小車輪速Vwminが前記所定車輪速値
Vw0 以上であるか否かを判定し、当該最小車輪速Vwm
inが前記所定車輪速値Vw0 以上である場合にはステッ
プS44に移行し、そうでない場合にはステップS45
に移行する。
【0064】前記ステップS45では、前記最小車輪速
Vwminを“0”に変更設定してから前記ステップS44
に移行する。前記ステップS44では、前記ステップS
38で選出されたか又はステップS45で変更設定され
た最小車輪速Vwminが前記所定車輪速値Vw0 より小さ
いか否かを判定し、当該最小車輪速Vwminが前記所定車
輪速値Vw0 より小さい場合には前記ステップS34に
移行し、そうでない場合にはステップS46に移行す
る。
【0065】前記ステップS46では、前記ステップS
36で選出された最大車輪速Vwmax及びステップS37
で選出された第2車輪速Vw2ndを用い,下記5式に従っ
て径差率εを算出してからステップS47に移行する。 ε=(Vwmax−Vw2nd)/Vw2nd ……… (4) 前記ステップS47では、補正条件設定フラグFC
“1”のセット状態であるか否かを判定し、当該補正条
件設定フラグFC が“1”のセット状態である場合には
ステップS48に移行し、そうでない場合にはステップ
S49に移行する。
【0066】前記ステップS49では、前記ステップS
46で算出された径差率εが前記最小径差率εLO以下で
あるか否かを判定し、当該径差率εが前記最小径差率ε
LO以下である場合にはステップS50に移行し、そうで
ない場合にはステップS51に移行する。前記ステップ
S51では、前記ステップS46で算出された径差率ε
が前記最大径差率εHi以上であるか否かを判定し、当該
径差率εが前記最大径差率εHi以上である場合には前記
ステップS50に移行し、そうでない場合にはステップ
S52に移行する。
【0067】前記ステップS52では、第1タイマTM
R1 をインクリメントしてからステップS53に移行す
る。前記ステップS53では、前記第1タイマTMR1
が前記所定値TMR10より小さいか否かを判定し、当該
第1タイマTMR1 が前記所定値TMR10より小さい場
合にはステップS54に移行し、そうでない場合にはス
テップS55に移行する。
【0068】前記ステップS55では、前記補正条件設
定フラグFC を“1”にセットしてからステップS56
に移行する。前記ステップS56では、補正対象車輪フ
ラグFwj の添字jを前記最大車輪速Vwmaxに相当する
車輪位置j(Vwmax) (j=FL〜R)に設定すると共
に,これを前記記憶装置25cに更新記憶してから前記
ステップS50に移行する。
【0069】一方、前記ステップ48では、前記ステッ
プS46で算出された径差率εが前記中止径差率εOFF
より大きいか否かを判定し、当該径差率εが前記中止径
差率εOFF より大きい場合には前記ステップS50に移
行し、そうでない場合にはステップS57に移行する。
前記ステップS57では、第2タイマTMR2 をインク
リメントしてからステップS58に移行する。
【0070】前記ステップS58では、前記第2タイマ
TMR2 が前記所定値TMR20より小さいか否かを判定
し、当該第2タイマTMR2 が前記所定値TMR20より
小さい場合には前記ステップS54に移行し、そうでな
い場合にはステップS59に移行する。
【0071】前記ステップS59では、前記補正条件設
定フラグFC を“0”にリセットしてから前記ステップ
S50に移行する。前記ステップS50では、前記第1
タイマTMR1 及び第2タイマTMR2 と共に“0”に
リセットしてから前記ステップS54に移行する。前記
ステップS54では、前記補正条件設定フラグFC
“1”のセット状態であるか否かを判定し、当該補正条
件設定フラグFC が“1”のセット状態である場合には
ステップS60に移行し、そうでない場合はステップS
61に移行する。
【0072】前記ステップS61では、前記ステップS
32で読込まれた誤差率Δkが,前記ステップS46で
算出された径差率εから前記最小径差率εLO以上か否か
を判定し、当該誤差率Δが最小径差率εLO以上である場
合にはステップS62に移行し、そうでない場合にはス
テップS63に移行する。前記ステップS62では、前
記誤差率Δkが未だ大き過ぎるとして当該誤差率Δkか
ら前記微小変更量Δk0 だけ減じた値を新たな誤差率Δ
kに設定すると共に,前記記憶装置25cに更新記憶し
てから前記ステップS34に移行する。
【0073】前記ステップS63では、前記誤差率Δk
が未だ小さ過ぎるとして当該誤差率Δkに前記微小変更
量Δk0 を和した値を新たな誤差率Δkに設定すると共
に,前記記憶装置25cに更新記憶してから前記ステッ
プS34に移行する。一方、前記ステップS60では、
前記誤差率Δkが“0”以下であるか否かを判定し、当
該誤差率Δkが“0”以下である場合にはステップS6
4に移行し、そうでない場合にはステップS65に移行
する。
【0074】前記ステップS64では、前記誤差率Δk
を“0”を設定すると共に前記補正対象車輪フラグFw
j をクリアして,これらを前記記憶装置25cに更新記
憶してから前記ステップS34に移行する。前記ステッ
プS65では、前記誤差率Δkが未だ大き過ぎるとして
当該誤差率Δkから前記微小変更量Δk0 だけ減じた値
を新たな誤差率Δkに設定すると共に,前記記憶装置2
5cに更新記憶してから前記ステップS34に移行す
る。
【0075】そして、前記ステップS34では、前記ス
テップS56で設定された又はステップS32で読込ま
れた制御対象車輪フラグFwj が前左輪を示すFwFL
あるか否かを判定し、当該制御対象車輪フラグFwj
前左輪を示すFwFLである場合にはステップS66に移
行し、そうでない場合にはステップS67に移行する。
【0076】前記ステップS67では、前記ステップS
56で設定された又はステップS32で読込まれた制御
対象車輪フラグFwj が前右輪を示すFwFRであるか否
かを判定し、当該制御対象車輪フラグFwj が前右輪を
示すFwFRである場合にはステップS68に移行し、そ
うでない場合にはステップS69に移行する。前記ステ
ップS69では、前記ステップS56で設定された又は
ステップS32で読込まれた制御対象車輪フラグFwj
が後輪を示すFwR であるか否かを判定し、当該制御対
象車輪フラグFwj が後輪を示すFwR である場合には
ステップS70に移行し、そうでない場合にはメインプ
ログラムに復帰する。
【0077】前記ステップS66では、前記ステップS
31で読込まれた前左輪速VwFL及び前記ステップS6
2〜S65で算出設定された又はステップS32で読込
まれた誤差率Δkを用いて,下記6式に従って前左輪速
VwFLを補正すると共にその値を前記記憶装置25cに
更新記憶してからメインプログラムに復帰する。 VwFL=max(0,(1−Δk)VwFL) ……… (6) 前記ステップS68では、前記ステップS31で読込ま
れた前右輪速VwFR及び前記ステップS62〜S65で
算出設定された又はステップS32で読込まれた誤差率
Δkを用いて,下記7式に従って前右輪速VwFRを補正
すると共にその値を前記記憶装置25cに更新記憶して
からメインプログラムに復帰する。
【0078】 VwFR=max(0,(1−Δk)VwFR) ……… (7) 前記ステップS68では、前記ステップS31で読込ま
れた後輪速VwR 及び前記ステップS62〜S65で算
出設定された又はステップS32で読込まれた誤差率Δ
kを用いて,下記8式に従って後輪速VwR を補正する
と共にその値を前記記憶装置25cに更新記憶してから
メインプログラムに復帰する。
【0079】 VwR =max(0,(1−Δk)VwR ) ……… (8) 次に、前記図6の演算処理の作用について説明する。
今、車両が良好で平坦な路面を直進走行していて、その
平均車体速は前記所定車速値V0 よりも大きく且つ各車
輪速は前記所定車輪速値Vw0 よりも大きく、制動中で
なく、例えば左前輪1FLに応急用タイヤである小径タ
イヤを装着し、駆動輪である後輪1RL,1RRの車輪
速VwR が,前右輪1FRの車輪速VwFRよりも平均的
に僅かに大きい状態を想定する。また、前記記憶装置2
5cに更新記憶されている誤差率Δkは“0”に,また
補正対象車輪フラグFwj はクリアされている。
【0080】この車両走行状態で,前記図6の演算処理
が開始されると,ステップS32で読込まれるアンチス
キッド制御フラグASは“0”のリセット状態であるか
らステップS33からステップS35に移行し、またス
テップS31で読込まれる疑似車速Vi も前記所定車速
値V0 よりも大きいはずであるからステップS36に移
行する。
【0081】ここで、車両は平坦な路面を直進走行中で
あるから,前記小径タイヤが装着された前左輪1FLの
車輪速(以下,単に前左輪速とも記す)VwFLは安定し
て,その他の車輪速VwFR,VwR よりも比較的大きく
突出しており、また通常タイヤを装着した駆動輪である
後輪1RL,1RRの平均車輪速(以下,単に後輪速と
も記す)VwR は従動輪で且つ通常タイヤを装着してい
る前右輪1FRの車輪速(以下,単に前右輪速とも記
す)VwFRよりも僅かに大きいとする。従って、前記ス
テップS36では,前記前左輪速VwFLが最大車輪速V
wmaxに選出され、次いでステップS37で後輪速VwR
が第2車輪速Vw2ndに選出され、次いでステップS38
で前右輪速VwFRが最小車輪速Vwminに選出され、それ
らは夫々,前記マイクロコンピュータ25の演算処理装
置25bが備えるバッファに一時記憶される。
【0082】更に、各車輪速Vwj は前記所定車輪速値
Vw0 よりも大きいから,続くステップS39〜S4
3,S45で“0”に変更されることはなく、また最小
車輪速Vwminである前右輪速VwFRも所定車輪速値Vw
0 よりも大きいから,ステップS44からステップS4
6に移行する。このステップS46では、前記ステップ
S36で最大車輪速Vwmaxに選出された前左輪速V
FL,第2車輪速Vw2ndに選出された後輪速VwR を用
いて,前記5式に従って車輪径差率εが算出される。こ
のとき、駆動輪である後輪1RL,1RRの平均車輪速
VwR は,真の車体速よりも僅かに大きいかもしれない
が,その誤差は小さいとすれば、平坦な路面を走行中の
車両にあって算出される径差率εは,小径タイヤの外半
径と通常タイヤの外半径との偏差の比を正確又はほぼ正
確に反映した数値となる。
【0083】次いでステップS47では、補正条件設定
フラグFC が未だ“0”のリセット状態であるからステ
ップS49に移行し、良好な平坦路面を走行中の車両に
あって,前記検出された各車輪速Vwj は安定していて
その外半径比だけを反映した数値であると考えられるか
ら、前記ステップS46で算出された径差率εは,前記
アンチスキッド制御に支障を来さない最小径差率εLO
りも大きく且つ前記アンチスキッド制御を実行する必要
のない最大径差率εHiよりも小さいはずであり、その結
果,ステップS51を経てステップS52に移行して第
1タイマTMR1 をインクリメントしてからステップS
53に移行するが、この第1タイマTMR1 のカウンタ
値は未だ前記所定値TMR10より小さいからステップS
54に移行する。
【0084】このステップS54では、未だ補正条件設
定フラグFC が“0”に維持されているためにステップ
S60に移行し、未だ誤差率Δkの算出設定がなされて
おらず,数値的には“0”に維持されているからステッ
プS64に移行して、当該誤差率Δkは“0”に維持さ
れると共に,補正対象車輪フラグFwj もクリアされ続
けてステップS34に移行する。しかし、補正対象車輪
フラグFwj はクリアされ続けているために,当該ステ
ップS34からステップS67,S69を経てメインプ
ログラムに復帰し、次いでこの図6の演算処理が実行さ
れるサンプリング時間ΔT毎に,少なくとも車両がこの
良好な平坦路面を安定して直進走行し且つ前記第1タイ
マTMR1 のカウント値が前記所定値TMR10以上とな
るまで,このフローが繰り返される。
【0085】やがて、前記第1の所定時間Δt1 を満足
する所定回数nだけこのフローが繰り返されて,前記第
1タイマTMR1 のカウント値が前記所定値TMR10
上になると、前記図6の演算処理のステップS53から
ステップS55に移行して補正条件設定フラグFC
“1”にセットされ、次いでステップS56で補正対象
車輪フラグFwj の添字jが,最大車輪速Vwmaxの車輪
位置FLに設定されて補正対象車輪フラグFwFLがセッ
トされ、更にステップS50で前記第1タイマTMR1
のカウント値が“0”にリセットされる。
【0086】従って、ステップS54で前記補正条件設
定フラグFC が“1”のセット状態であるためにステッ
プS61に移行し、未だ“0”に維持されている誤差率
Δkは,ステップS63に移行して前記微小変更量Δk
0 だけ大きな値となり、続くステップS34で制御対象
フラグFwFLであるからステップS66に移行して、小
径タイヤを装着した前左輪速VwFLは,前記誤差率Δk
分だけ,即ち前記微小変更量Δk0 分だけ小さな値に補
正されてメインプログラムに復帰する。次いでこの図6
の演算処理が実行されるサンプリング時間ΔT毎に,少
なくとも車両がこの良好な平坦路面を安定して直進走行
し且つ前記誤差率Δkが前記最小径差率εLOより小さく
なるまで,前記ステップS47で補正条件設定フラグF
C が“1”のセット状態であるからステップS48に移
行し、前記ステップS46で算出される径差率εは,前
記中止径差率εOFF よりも大きいからステップS50に
移行し、以後,ステップS54,S61,S63,S3
4,S66を経てメインプログラムに復帰するフローが
繰り返され、その演算処理毎に前記小径タイヤを装着し
た前左輪速VwFLは,前記微小変更量Δk0 分に相当す
る値ずつ小さな値に補正される。そして、やがて小径タ
イヤを装着した前左輪速VwFLは,前記誤差率Δk分だ
け補正され、前記アンチスキッド制御に支障のない程度
の真の車輪速に収束するから、この真の前左輪速VwFL
を用いて前記疑似車速発生装置17から出力される疑似
車速Vi は,真の車体速と同等又はほぼ同等の数値とな
ろうし、この真の車体速と同等又はほぼ同等の疑似車速
i を用いて算出される,通常タイヤを装着したその他
の車輪速Vwj のスリップ率Sj も真の値と同等又はほ
ぼ同等となるために、それに基づいて前記図4の演算処
理で実行されるアンチスキッド制御は,各輪の制動圧を
最適な状態に制御することができるから、各輪のロック
が確実に防止されると共に舵取り効果や制動距離も確保
することができる。また、前記補正された真の前左輪速
VwFLを用い,前記真の車体速と同等又はほぼ同等の疑
似車速Vi に基づく当該前左輪1FLのホイルシリンダ
2FLへの制動圧も最適な状態に制御することができる
から、当該前左輪1FLのロックが確実に防止されると
共に舵取り効果や制動距離も確保することができる。
【0087】しかしながら、実際の路面は見かけ上,平
坦であっても検出される各車輪速Vwj は微変動を繰り
返しており、従って前記図6の演算処理のステップS4
6で算出される径差率εも,前記最小径差率εLOより大
きく且つ最大径差率εHiより小さい範囲内で微変動して
いる。しかし、当該径差率εが前記中止径差率εOFF
りも大きいとすれば,一旦,前記補正条件設定フラグF
C が“1”のセット状態になると、前記図6の演算処理
が実行されるサンプリング時間ΔT毎に,前記ステップ
S54からステップS61を経てステップS63では大
きな径差率εを補正するために誤差率Δkを微小変更量
Δk0 ずつ小さく変更し又はステップS62では小さな
径差率εを補正するために誤差率Δkを微小変更量Δk
0 ずつ大きく変更するために、この微変動する径差率ε
に応じ且つ最小径差率εLOを満足する誤差率Δkの算出
設定が随時実行され、この微変動する誤差率Δkに応じ
て,小径タイヤを装着した前左輪速VwFLの補正が前記
ステップS34からステップS66で行われる。その
際、各車輪速Vwj が比較的大きく変動したために,前
記図6の演算処理のステップS46で算出された径差率
εも,前記中止径差率εOFF よりも大きな数値の範囲で
はあるものの,大きく変動したとしても、前記ステップ
S62又はステップS63で誤差率Δkは前記微小変更
量Δk0 ずつしか変更されず、またステップS34から
ステップS66において小径タイヤ装着前左輪速VwFL
もそれに見合った分ずつしか補正されないから、前述の
ように制御の急激な変動を抑制するフィルタリングがか
けられていることになる。
【0088】また、前記第1タイマTMR1 が未だ所定
値TMR10より小さくて,前記補正条件設定フラグFC
が“1”にセットされていない状態で、例えば前述のよ
うな車輪のバウンシングや旋回等の比較的小さな車輪速
Vwj の微変動が発生し,その結果,前記ステップS4
6で算出された径差率εが最小径差率εLO以下となった
場合には、前記図6の演算処理のステップS49からス
テップS50に移行する。また、何らかの要因による車
輪の空転に伴い,比較的大きな車輪速Vwj の変動が発
生し,その結果,前記ステップS46で算出された径差
率εが最大径差率εHi以下となった場合には、前記図6
の演算処理のステップS51からステップS50に移行
する。そして、このようにステップS50に移行する
と,それまでの車輪速安定条件が如何様な状態にあって
も,前記第1タイマTMR1 が“0”にリセットされて
しまうから、この時点から前記車輪速安定条件が再び成
立する,即ち補正条件設定フラグFC が“1”にセット
されるまで待機状態となる。つまり、前記第1タイマT
MR1 のカウントアップ所定値TMR10が,前述のよう
に比較的長時間に設定されていることを考え合わせれ
ば、各車輪速Vwj が十分に安定しているときにのみ小
径タイヤを装着している車輪速,即ち前左輪速VwFL
補正されることになるから、逆にその補正値の信頼性が
向上する。
【0089】一方、この状態から車両が旋回状態に移行
したり,車輪がバウンシングしたりして、前記図6の演
算処理のステップS46で算出された径差率εが前記中
止径差率εOFF 以下となると、当該演算処理のステップ
S48からステップS57に移行して第2タイマTMR
2 がインクリメントされるが,この第2タイマTMR2
のカウンタ値が前記所定値TMR20より小さいためにス
テップS58からステップS54に移行されて、未だ補
正条件設定フラグFC が“1”のセット状態であり且つ
補正対象車輪フラグFwFLがセットされているから、前
記ステップS54からステップS61を経て,ステップ
S62又はステップS63,ステップS34,S66の
フローが繰り返されて小径タイヤを装着した前左輪速V
FLは暫くの間,補正されるが、やがて前記第2タイマ
TMR2 のカウンタ値が前記所定値TMR20以上となっ
て前記比較的短時間に設定されている所定時間Δt2
上経過すると、前記図6の演算処理が実行される最初の
サンプリング時間ΔTで,前記ステップS58からステ
ップS59に移行して補正条件設定フラグFC が“0”
にリセットされ、次いでステップS50で第2タイマT
MR2 が“0”にリセットされるから、続くステップS
54からステップS60に移行して,前回までに算出設
定されている誤差率Δkが未だ“0”より大きいために
ステップS65に移行し、この誤差率Δkから前記微小
変更量Δk0 を減じた値を新たな誤差率Δkに設定し、
更に未だ補正対象車輪フラグFwFLがセットされたまま
であるから,ステップS34からステップS66に移行
して、前記ステップS65で算出された微小変更量Δk
0 だけ小さい誤差率Δkに応じて,小径タイヤを装着す
る前左輪速VwFLを補正し、以後,前記ステップS46
で算出される径差率εが前記最小径差率εLOより大きく
且つ最大径差率εHiより小さい時間が,前記所定時間Δ
1 以上経過して前記補正条件設定フラグFC が“1”
にセットされるまで,このフローが繰り返され、そのサ
ンプリング時間ΔT毎に,前記小さめに補正されていた
小径タイヤ装着前左輪速VwFLは、前記微小変更量Δk
0 に応じた数値だけ大きくなってゆき、やがて前記変更
設定される誤差率Δkが“0”以下となると,前記ステ
ップS60からステップS64に移行して、当該誤差率
Δkは“0”に設定されると共に,補正対象車輪フラグ
Fwj がクリアされるから、前記ステップS34,S6
7,S69からそのままメインプログラムに復帰し、こ
の時点で前記小径タイヤ装着前左輪速VwFL, 全く補
正されていない数値に復帰している。つまり、換言すれ
ば,応急用タイヤを通常タイヤに戻すなどした場合に
は,前記ステップS46で算出される径差率εが前記中
止径差率εOFF より小さくなるはずであり、そのような
場合には前記第2タイマTMR2 が,前記比較的短時間
に設定されている所定時間Δt2 の経過と共に所定値T
MR20でカウントアップするから、その後は,当該前左
輪速VwFLは通常の数値に比較的短時間で復帰し、各車
輪速Fwj を用いた前記図4の演算処理によるアンチス
キッド制御を阻害しない。勿論、それまでの誤差率Δk
に対して,当該誤差率Δkは,前記微小変更量Δk0
つしか変更設定されないから、その結果,補正値が変化
する小径タイヤ装着VwFLは緩やかに変化し、例えその
間にアンチスキッド制御が実行されてもその制御には急
激な変化が発生しない。つまり、このように誤差率Δk
を“0”に復帰するときにもフィルタリングの効果によ
って,制御の急激な変化や不連続性が回避される。
【0090】一方、前記誤差率Δkが,前記小径タイヤ
の外半径と通常タイヤの外半径との偏差の比を正確に反
映して算出設定され、且つ補正の対象となる前左輪1F
Lに対して補正対象車輪フラグFwFLがセットされてい
る状態で、ブレーキペダルの踏込みと共にアンチスキッ
ド制御が開始されると、前記図6の演算処理が実行され
るサンプリング時間ΔT毎にステップS32で読込まれ
るアンチスキッド制御フラグASが“1”のセット状態
であるためにステップS34に移行し、更にステップS
66に移行して,前回までに更新記憶されている正確な
誤差率Δkを用いて前左輪速VwFLの補正が実行され続
ける。従って、この間,補正される前左輪速VwFLは真
の前左輪速と同等又はほぼ同等であるから、この車輪速
をも用いて,前記疑似車速発生装置17から算出出力さ
れる疑似車速Vi は真の車体速と同等か又はほぼ同等で
あり、前述のようにこの疑似車速Vi を用いた前記図4
の演算処理によるアンチスキッド制御装置は,当該小径
タイヤ装着前左輪1FLをも含んで各輪への制動圧を最
適な状態に制御することができるから、各輪のロックは
確実に防止されると共に舵取り効果や制動距離を確保す
ることができる。
【0091】また、前記誤差率Δkが,前記小径タイヤ
の外半径と通常タイヤの外半径との偏差の比を正確に反
映して算出設定され、且つ補正の対象となる前左輪1F
Lに対して補正対象車輪フラグFwFLがセットされてい
るか、又は誤差率Δkが“0”にクリアされ且つ補正対
象車輪フラグFwj がクリアされている状態で、前記疑
似車速発生装置17からの疑似車速Vi が前記所定車速
値V0 より小さくなると,前記図6の演算処理が実行さ
れるサンプリング時間ΔT毎にステップS35からステ
ップS34に移行し、また最小車輪速Vwminが前記所定
車輪速値Vw0より小さくなると,同じくステップS4
4から前記ステップS34に移行するために、誤差率Δ
kや補正対象車輪フラグFwFLがセットされている場合
には,前記と同様にこの誤差率Δkを用いてステップS
34からステップS66において真の前左輪速VwFL
補正設定され、また誤差率Δkや補正対象車輪フラグF
j がクリアされている場合には,前記と同様に何れの
車輪速Vwj も補正しないフローが繰り返される。従っ
て、前記径差率εの小さい側に不感帯閾値である最小径
差率εLOを設定したために,例えば旋回停車時に、誤っ
た誤差率Δkが算出設定されたり,それに伴って誤った
前左輪速VwFLが補正設定されたりすることがない。
【0092】なお、前記図6の演算処理において応急用
タイヤ等の小径タイヤを装着した車輪が前右輪であった
り後輪であったりした場合には,前記最大車輪速Vwmax
に選出される車輪速が当該車輪の車輪速Vwj となり、
また補正対象車輪フラグFw j が当該車輪位置を示し、
また該当するステップで当該車輪速Vwj が補正される
だけで、基本的には前記演算処理の骨子は変化ない。
【0093】以上より、図6の演算処理全体が本発明の
アンチスキッド制御装置の補正手段に相当し、以下同様
に,図6の演算処理のステップS47からステップS5
6が補正条件設定手段に相当し、同演算処理のステップ
S60からステップS64がフィルタ手段に相当し、同
演算処理のステップS35が補正許可手段に相当し、前
記図4の演算処理が制御手段に相当し、前記各車輪速セ
ンサ3FL〜3R及び車輪速演算回路15FL〜15R
が車輪速検出手段に相当し、前記セレクトハイスイッチ
16及び疑似車速発生装置17が車体速算出手段に相当
する。
【0094】次に前記実施例のアンチスキッド制御装置
によるホイルシリンダ圧制御のシミュレーション結果に
ついて図7のタイムチャートを用いて説明する。このタ
イムチャートは、当該車両の前左輪に応急用タイヤ等の
小径タイヤを装着して,一見平坦な安定摩擦係数路面を
走行したものであり、時刻t0 から一定の加速度β0
発進加速しながら直進走行し、時刻t3 で必要な加速を
終了して定速直進走行状態に移行したが,時刻t3 を同
じくして前記前左輪に路面凹凸によるバウンス入力があ
り、やがて同じ直線走行状態のまま,時刻t12でブレー
キペダルの踏込みと同時に制動を開始し、それと同時刻
12で前記図4の演算処理によるアンチスキッド制御が
開始され、必要な減速量を得て時刻t34でブレーキペダ
ルの踏込みを解除すると共に,そのときの車体速でその
まま定速左旋回走行を開始し、時刻t36で定常円左旋回
走行に移行したものをシミュレートしたものである。
【0095】ここでは、常に後輪速VwR が,前記図6
の演算処理で第2車輪速Vw2ndに選出され続け,且つ前
記制動時を除く当該第2車輪速Vw2ndに選出された後輪
速VwR が真の車体速(以下,単に実車体速とも記す)
C と等価であり、また前記制動時には,その前後の第
2車輪速Vw2ndに選出された後輪速VwR と等価な実車
体速VC を連結する傾き一定の直線に従って,実車体速
C が減速したものとする。また、前記図6の演算処理
において,前記小径タイヤを装着した前左輪速VwFL
常に最大車輪速Vwmaxに選出され続けられたものとし、
やがて当該図6の演算処理によって補正設定された前左
輪速を補正前左輪速VwFLC と表し、この補正前左輪速
VwFLC の設定と共に,前記制動時を除く前記疑似車速
発生装置17から出力される疑似車速Vi は,前記前左
輪速VwFLが補正される以前は前記最大車輪速Vwmaxに
選出されている前左輪速VwFLに一致していたが,当該
前左輪速の補正後は前記補正前左輪速VwFLC に補正疑
似車速ViCとして一致したものとし、また前記制動時に
は,その前後の補正前左輪速VwFLC と等価な補正疑似
車速ViCを連結する傾き一定の直線に従って,補正疑似
車速ViCも減速したものとする。また、少なくともアン
チスキッド制御中を除いて前記図6の演算処理で設定さ
れる前記最小径差率εLOを,その時点の後輪速VwR
選出された第2車輪速Vw2ndに置換して当該第2車輪速
Vw2ndに和した速度を最小径差率車輪速VwLOとし、前
記最大径差率εHiを,その時点の後輪速VwR が選出さ
れた第2車輪速Vw2ndに置換して当該第2車輪速Vw2nd
に和した速度を最大径差率車輪速VwHiとし、前記中止
径差率εOFF を,その時点の後輪速VwR が選出された
第2車輪速Vw2ndに置換して当該第2車輪速Vw2ndに和
した速度を中止径差率車輪速VwOFF として表すが、こ
こでは理解を容易化するために制動中のこれらの車輪速
の表記は割愛する。また制動中にあって,前記補正され
ない最大車輪速Vwmax,即ち補正されない前左輪速Vw
FLを疑似車速Vi としたとき,この疑似車速Vi に対し
て前記基準スリップ率Sj0を満足する速度を目標車輪速
* W とし、前記補正された補正前左輪速VwFLC を補
正疑似車速ViCとしたとき,この補正疑似車速ViCに対
して前記基準スリップ率Sj0を満足する速度を補正目標
車輪速V* WCとして表す。
【0096】そして、図7aには,非制動時において実
車体速VC と同等な第2車輪速Vw2ndである後輪速Vw
R と,疑似車速Vi に設定される最大車輪速Vwmaxであ
る前左輪速VwFLとの経時変化、並びに制動中において
補正されない最大車輪速Vwmaxである前左輪速Vw
FL(二点鎖線)と,補正前左輪速VwFLC (実線)との
経時変化を表す。また、図7bには,前記図6の演算処
理における第1タイマTMR1 の経時変化を,図7cに
は,同じく図6の演算処理における第2タイマTMR2
の経時変化を,夫々表す。また、図7dには,前記図6
の演算処理における補正条件設定フラグFC の経時変化
を表す。また、図7eには,前記図4の演算処理におけ
るアンチスキッド制御フラグASの経時変化を表す。ま
た、図7fには,前記補正目標車輪速V* WCによる第2
車輪速Vw2ndである後輪速VwR (実線)と,補正され
ない目標車輪速V* W による第2Vw2ndN である後輪速
VwRN(二点鎖線)との経時変化を表す。また、図7g
には,前記後輪速VwR の微分値である後輪加減速度
V'WR を,図7hには,当該後輪のホイルシリンダ圧P
Rを,夫々表す。
【0097】まず、図4のアンチスキッド制御の演算処
理及び図6の車輪速補正制御の演算処理に基づきなが
ら,図7aに示す各速度の経時変化について説明する。
即ち、図7aの部分詳細図に示すように,時刻t0 で発
進した車両の加速され続ける疑似車速Vi (最大車輪速
Vwmaxであり,前左輪速VwFLである)は、時刻t1
前記所定車速値V0 となり、同時に各車輪速のうちの最
小車輪速Vwminが前記所定車輪速値Vw0 以上であるた
め、図6の演算処理において,前左輪速VwFLを最大車
輪速Vwmaxとし且つ後輪速VwR を第2車輪速Vw2ndと
して径差率εの算出が行われるが、この時刻t1 以後,
時刻t2 までの時間、前記第2車輪速Vw2ndに対して前
記中止径差率εOFF を満足する中止径差率車輪速Vw
OFF よりも最大車輪速Vwmaxが小さい状態が維持された
ために、実質的には前記第1タイマTMR1 のインクリ
メントが実行されずに,前記誤差率Δkは“0”に維持
され続けて、最大車輪速Vwmaxである前左輪速VwFL
補正はなされなかった。
【0098】やがて、前記時刻t3 で車両が定速直進走
行状態に移行したために,第2車輪速Vw2ndである後輪
速VwR は実車体速VC と等価な定速状態に移行した
が、前述のように前左輪には一時的なバウンス入力があ
ったために,最大車輪速Vwmaxである前左輪速VwFL
その後も加速され続け、結果的に時刻t2 で中止径差率
車輪速VwOFF を越えて前記時刻t3 で最小径差率車輪
速VwLOをも越え,更に時刻t4 で最大径差率車輪速V
Hiをも越えてしまった。従って、前記図6の演算処理
によって前記時刻t3 から時刻t4 までの時間t3 〜t
4 ,前記第1タイマTMR1 はカウントインクリメント
されたが、当該時間t3 〜t4 が前記所定時間Δt1
りも短く且つ時刻t4 で最大径差率車輪速VwHiを前左
輪速VwFLが越えてしまったために,当該第1タイマT
MR1 はその時刻t4 で“0”にクリアされてしまっ
た。
【0099】次いで、前記最大車輪速Vwmaxに選出され
続けている前左輪速VwFLはその加速が収束して減速に
転じ、時刻t5 で前記最大径差率車輪速VwHiを下回っ
て,時刻t6 で最小径差率車輪速VwLOをも下回り、更
に時刻t7 で中止径差率車輪速VwOFF をも下回ってし
まった。従って、前記図6の演算処理によって前記時刻
5 から時刻t6 までの時間t5 〜t6 ,前記第1タイ
マTMR1 はカウントインクリメントされたが、当該時
間t5 〜t6 が前記所定時間Δt1 よりも短く且つ時刻
6 で最小径差率車輪速VwLOを前左輪速VwFLが下回
ってしまったために,当該第1タイマTMR1 は前記所
定値TMR10に到達する以前に,その時刻t6 で“0”
にクリアされ、次いで前記時刻t7 で,今度は,第2タ
イマTMR2 のカウントインクリメントが開始された。
【0100】次いで、同じく最大車輪速Vwmaxに選出さ
れ続けている前左輪速VwFLはその減速が収束して加速
に転じ、時刻t8 で中止径差率車輪速VwOFF を越えて
時刻t9 で最小径差率車輪速VwLOを越え、やがて前記
最大径差率車輪速VwHiと最小径差率車輪速VwLOとの
間で,本来の通常タイヤの外半径と小径タイヤの外半径
との比率を反映した車輪速に収束安定した。従って、前
記図6の演算処理によって前記時刻t7 から時刻t8
での時間t7 〜t8 ,前記第2タイマTMR2はカウン
トインクリメントされたが、当該時間t7 〜t8 が前記
所定時間Δt2よりも短く且つ時刻t8 で中止径差率車
輪速VwOFF を前左輪速VwFLが越えてしまったため
に,当該第2タイマTMR2 は前記所定値TMR20に到
達する以前に,その時刻t8 で“0”にクリアされ、次
いで前記時刻t9 で,第1タイマTMR1 のカウントイ
ンクリメントが開始された。
【0101】その後、前記時刻t9 からの時間が前記所
定時間Δt1 に相当する時刻t10で前記第1タイマTM
R1 は所定値TMR10に到達し、これと共に前記図6の
演算処理によって補正条件設定フラグFC が“1”にセ
ットされ、同時に算出される径差率εを前記最小径差率
εLOに収めるために前記誤差率Δkが前記微小変更量Δ
0 ずつ次第に大きくなり、結果的に補正前左輪速Vw
FLC は前記最小径差率車輪速VwLOに向けて次第に小さ
な値に補正され、前記疑似車速Vi はこの補正前左輪速
VwFLC と同等の補正疑似車速ViCに補正されていっ
た。
【0102】その後も、前記最大車輪速Vwmaxである実
際の前左輪速VwFLには大きな変動がなかったために、
前記補正前左輪速VwFLC は,時刻t11で前記最小径差
率車輪速VwLOと同等なまで小さく補正され、これに伴
って補正疑似車速ViCも小さく補正され、少なくとも前
記制動を開始した時刻t12までこの安定状態が維持され
た。
【0103】そして、前記時刻t12で制動が開始される
と,図示されない何れかの車輪に対する制動圧を減圧す
べくアンチスキッド制御が開始され、それに伴って図4
のアンチスキッド制御の演算処理により同時刻t12でア
ンチスキッド制御フラグASが“1”にセットされ、こ
のアンチスキッド制御フラグASは制動が終了する時刻
34まで“1”にセットされ続け,当該時刻t34
“0”にリセットされた。この時間t12〜t34、前記図
6の演算処理による新たな誤差率Δkの算出設定は実行
されず、それ以前に算出設定された誤差率Δkを用いて
補正前左輪速VwFL C が補正設定され、具体的には未だ
実際の前左輪速VwFLが最大車輪速Vwmaxとして選出さ
れていると仮定すれば、この補正前左輪速VwFLC は常
に最大車輪速Vwmaxを(1−Δk)倍して算出設定され
る。また、同じく時間t12〜t34では,それ以前に算出
設定された誤差率Δkによる補正前左輪速VwFLC を用
いて補正疑似車速ViCが算出出力されることになるか
ら、前述のように実車体速VC が傾き一定の直線に従っ
て減速しているとすれば,前記補正疑似車速ViCは,こ
の実車体速VC に前記最小径差率εLOを乗じて当該実車
体速VC に和した値となり、従って当該補正疑似車速V
iCは,実車体速VC の減速傾きよりも最小径差率ε LO
け大きな減速傾きで一様に減速しているものと考えてよ
く、具体的には当該補正疑似車速ViCは,前記最大車輪
速Vwmaxのみから得られる疑似車速Vi を(1−Δk)
倍した値となる。一方、前記補正目標車輪速V* WCも補
正されない目標車輪速V* W も,補正疑似車速ViC又は
補正されない疑似車速Vi に対して,“1”から基準ス
リップ率Sj0を減じた値,具体的には(1−Sj0)倍し
た値に一意に設定されるわけであるから、前記補正前左
輪速VwFLC が補正されない前左輪速VwFLを(1−Δ
k)倍して算出設定され,同時に補正疑似車速ViCが補
正されない疑似車速Vi を(1−Δk)倍して算出設定
されていることを考え合わせれば、補正前左輪速Vw
FLC が補正目標車輪速V* WCに対して経時的にとる挙動
も,補正されない前左輪速VwFLが補正されない目標車
輪速V* W に対して経時的にとる挙動も同等かほぼ同等
のものとなることが推定されよう。具体的にも、制動開
始と同時にアンチスキッド制御が開始されたとすれば,
当該制動開始後に減速する両者は時刻t15で補正目標車
輪速V* WC又は補正されない目標車輪速V* W を下回
り、次いで増速する両者は時刻t17でそれらを上回り、
次いで減速する両者は時刻t24でそれらを再び下回り、
次いで増速する両者は時刻t26でそれらを再び上回り、
次いで減速する両者は時刻t30でそれらを三たび下回
り、次いで増速する両者は時刻t32でそれらを三たび上
回ることになる。実質的なアンチスキッド制御の子細に
着目すれば、補正前左輪速VwFLC が補正されない前左
輪速VwFLに対して(1−Δk)倍されているために,
各車輪速の微分値である補正前左輪加減速度V'wFLC
補正されない前左輪加減速度V'wFLに対して(1−Δ
k)倍されており、従って前記制動用シリンダへの増減
圧制御タイミングに関わる各閾値α,βを越える時刻も
変化すると考えられるが、例えば図5に示すように前述
のアンチスキッド制御の実際(即ち同図に示す制御曲線
パターン)において,負の加減速度閾値αが制動圧の緩
増圧モードから高圧保持モードへの切替え閾値で,正の
加減速度閾値βが制動圧の減圧から低圧保持モードへの
切替え閾値である場合には、各加減速度閾値α,βを補
正前左輪加減速度V'wFLC が越えるタイミングが,同じ
く補正されない前左輪加減速度V'wFLが越えるタイミン
グに対して遅くなる時間も早くなる時間もほぼ同等であ
ると考えられ、前記各目標車輪速V* WC又はV* W を越
えるタイミングが補正の有無で同等であることを考え合
わせれば、全制動力は補正の有無でほぼ変化なく、その
ためにこの前左輪速は何れの場合も前記基準スリップ率
を満足する領域に制御されるから,当該車輪のロックは
防止され,同時に舵取り効果や制動距離も確保すること
ができる。
【0104】そして、前記時刻t34以後,時刻t36まで
が直進走行から旋回走行への移行期であり、当該時刻t
36で定常円旋回走行となるのであるが、前記制動終了時
である時刻t34でアンチスキッド制御フラグASが
“0”にリセットされ且つ補正条件設定フラグFC が未
だ“1”のセット状態であるため、前記図6の演算処理
によって新たな径差率ε及び当該径差率εに応じた誤差
率Δkが算出設定される。ここで、前記時間t34〜t36
で,第2車輪速Vw2ndである後輪速VwR は定速化した
のに対して,最大車輪速Vwmaxである前左輪速VwFL
減速し続け、従って図6の演算処理で算出される径差率
εも誤差率Δkも小さくなり続ける。そして、前記最大
車輪速Vwmaxである前左輪速VwFLは,時刻t35で,前
記第2車輪速Vw2ndである後輪速VwR に対して設定さ
れる前記中止径差率車輪速VwOFF を下回った。そこ
で、この時刻t35から前記第2タイマTMR2 のカウン
トがインクリメントされ、その後、前記時刻t35からの
時間が前記所定時間Δt2 に相当する時刻t37で前記第
2タイマTMR2 は所定値TMR20に到達し、これと共
に前記図6の演算処理によって補正条件設定フラグFC
が“0”にリセットされ、同時に算出されるそれまでの
誤差率Δkを“0”LOに収めるために当該誤差率Δkが
前記微小変更量Δk0 ずつ次第に小さくなり、結果的に
補正前左輪速VwFL C は,前記最大車輪速Vwmaxとして
選出されている補正されない前左輪速VwFLに向けて次
第に大きくなり、前記疑似車速Vi はこの補正前左輪速
VwFLC と同等の補正疑似車速ViCに補正され、やがて
時刻t38で補正されない前左輪速Vw FLに一致してその
状態が維持された。
【0105】一方、問題なのは前述したように,その他
の通常のタイヤを装着した車輪への制動力である。そこ
で、前記時刻t12から時刻t34までの制動時における後
輪ホイルシリンダ圧PR について考察する。まず、疑似
車速が補正疑似車速ViCに補正された結果,目標車輪速
も補正目標車輪速V* WCに補正された場合について,そ
の経時変化をみてみる。
【0106】ここでは、まず急増圧モードが選択されて
それに合わせて後輪ホイルシリンダ圧PR が増圧され、
これに合わせて傾きを増加しながら車輪速が減速される
から後輪加減速度V'wR は負の領域で減少し、やがてこ
の後輪加減速度V'wR が負の加減速度閾値α未満となる
時刻t14で高圧保持モードに移行し、後輪ホイルシリン
ダ圧PR がその直前の内圧に保持され,車輪速の減速の
傾きはほぼ一定となり、後輪加減速度V'wR の減少変化
率も小さくなる。
【0107】次いで減速を続ける後輪速VwR が前記補
正疑似車速ViCに対して基準スリップ率Sj0を満足する
補正目標車輪速V* WCを下回る時刻t15で減圧モードに
移行し、後輪ホイルシリンダ圧PR がアクチュエータ6
Rの作用による所定の傾きで減圧される。これにより、
後輪速VwR は暫くの間減速を継続するが,やがて増速
傾向に移行し、これに合わせて後輪加減速度V'wR は3
次曲線的に正の領域まで増加する。なお、この時刻t15
で後輪用アンチスキッド制御フラグASが“1”にセッ
トされ、減圧タイマTが所定値T0 にセットされる。
【0108】次いで正の領域で増加している後輪加減速
度V'wR が正の加減速度閾値β以上となる時刻t18で,
減圧タイマTはその値の如何に関わらず“0”にリセッ
トされて低圧保持モードに移行し、後輪ホイルシリンダ
圧PR がその直前の内圧に保持され,後輪速VwR の増
速の傾きはほぼ一定となり、後輪加減速度V'wR の増加
変化率も小さくなり,やがて正の領域で減少し始め、次
いでこの後輪加減速度V'wR が前記正の加減速度閾値β
以上となる時刻t19で緩増圧モードに移行して,後輪ホ
イルシリンダ圧PR が所定の傾きで増圧され、これに合
わせて後輪加減速度V'wR は3次曲線的に負の領域まで
減少し、これ以後,前記後輪速VwR 及び後輪加減速度
V'wR ,後輪ホイルシリンダ圧PR はこれを繰り返すこ
とになり、次いでこの後輪加減速度V'wR が前記負の加
減速度閾値αを下回る時刻t22で高圧保持モードに移行
し、次に後輪速VwR が前記補正目標車輪速V* WCを下
回る時刻t23で減圧モードに移行し、次に後輪加減速度
V'wR が前記正の加減速度閾値βを上回る時刻t25で低
圧保持モードに移行し、次に後輪加減速度V'wR が前記
正の加減速度閾値βを下回る時刻t27で緩増圧モードに
移行し、次に後輪加減速度V'wR が前記負の加減速度閾
値αを下回る時刻t29で高圧保持モードに移行し、次に
後輪速VwR が前記補正目標車輪速V* WCを下回る時刻
30で減圧モードに移行し、次に後輪加減速度V'wR
前記正の加減速度閾値βを上回る時刻t32で低圧保持モ
ードに移行し、次に後輪加減速度V'wR が前記正の加減
速度閾値βを下回る時刻t33で緩増圧モードに移行し、
制動終了時刻t34で後輪ホイルシリンダ圧PR は速やか
に減圧されるが,図7hに破線で示すように実質的には
やや傾きをもって減圧されるであろう。
【0109】次に、前記補正されない疑似車速Vi をも
って補正されない目標車輪速V* Wに対する後輪ホイル
シリンダ圧PRN(図7f〜hに二点鎖線で示す)につい
て,その経時変化をみてみる。ここでは、問題とする後
輪以外の車輪の制動用シリンダにより十分な制動力を得
て前記補正疑似車速Vi に伴う補正目標車輪速V* WC
用いた場合と同様に実車体速VC が減速したと前提し、
この実車体速VC を満足する後輪ホイルシリンダ圧PRN
をシミュレートするが、まず急増圧モードが選択されて
それに合わせて後輪ホイルシリンダ圧PRNが増圧され、
これに合わせて傾きを増加しながら車輪速が減速される
から後輪加減速度V'wRNは負の領域で減少するものの、
前記補正目標車輪速V* WCを用いた場合の減圧開始タイ
ミング,即ち時刻t15よりも早い時刻t13で、前記後輪
速VwRNが補正されない目標車輪速V* W を下回ってし
まうために,前記図4のアンチスキッド制御の演算処理
で減圧モードに移行し、それ以後,後輪速VwRNは増速
傾向に移行するから後輪加減速度V'wRNも増加する。
【0110】しかし、この増加する後輪加減速度V'wRN
が前記正の加減速度閾値βを上回る以前の時刻t16,
増速する後輪速VwRNが前記補正されない目標車輪速V
* Wを上回ってしまうから,図5の制御パターンに破線
で示すように,図4のアンチスキッド制御の演算処理で
は緩増圧モードに移行することになり、これに伴って後
輪速VwRNは減速し始めると共に後輪加減速度V'wRN
3次曲線的に負の領域まで減少する。しかし、ここでも
減少する後輪加減速度V'wRNが前記負の加減速度閾値α
を下回る以前の時刻t20で,前記後輪速VwRNが補正さ
れない目標車輪速V* W を下回ってしまうために,前記
図4のアンチスキッド制御の演算処理で減圧モードに移
行し、それ以後,時刻t21で緩増圧モード,時刻t27
減圧モード,時刻t28で緩増圧モード,時刻t31で減圧
モード,時刻t33で緩増圧モードに移行するパターンを
繰り返し、前記制動終了時刻t34で後輪ホイルシリンダ
圧PR が減圧される。
【0111】さて、前述のように小径タイヤ装着車輪で
ある前左輪速VwFLを補正した場合と,しない場合とで
は、少なくとも前記アンチスキッド制御による通常タイ
ヤを装着した後輪のホイルシリンダ圧PR の減圧タイミ
ングが早くなることが確認され、また前記アンチスキッ
ド制御の説明に記述したように,前左輪速VwFLを補正
しない場合の通常タイヤ装着後輪ホイルシリンダ圧PR
は減圧と緩増圧とを交互に繰り返すことから,目標車輪
速と検出される車輪速との偏差が小さく,全体に制動圧
が小さく抑制されることを意味している。
【0112】一方、図7hで,ホイルシリンダ圧PR
“0”基線からの総面積は,前記アンチスキッド制御に
よる制動に係る全仕事量に相当するが、少なくとも同図
で見るかぎり,前記小径タイヤ装着前左輪速VwFLを補
正しても,しなくても、両者の制動仕事量はそれほど差
異がないようにも考えられる。しかしながら、前記通常
タイヤ装着後輪ホイルシリンダ圧PR が小さく抑制され
る傾向は,図示されない通常タイヤ装着前右輪ホイルシ
リンダ圧にも同様に発生すると考えられ、従って,前述
のように小径タイヤ装着前左輪ホイルシリンダ圧は補正
の有無に関わらず,それほど変化がないと考えられるか
ら、これらを総合すると車両全体としての制動力は小さ
くなって実車体速VC は図7fで,前記前左輪速VwFL
を補正した場合と同等に減速するとは考えられない。つ
まり、実車体速VC の減速度が小さいから前記前左輪速
VwFLを補正しない場合の後輪ホイルシリンダPR の減
圧開始タイミングから増圧開始タイミングまではもっと
間延びすると考えられ、従って前記減圧開始タイミング
が一定であるとすれば,相対的に増圧開始タイミングが
遅くなることになろう。このことからも、通常タイヤを
装着した各車輪への制動圧は小さくなって車両全体とし
ての制動力が小さくなると考えられる。
【0113】これに対して、前左輪速VwFLを補正した
場合の制動圧は正に図7に明示される通りであって真の
実車体速VC と同等又はほぼ同等に算出出力される補正
疑似車速ViCに対して,各車輪速のスリップ率は前記基
準スリップ率の領域内に制御されるから、車両としての
制動力を確保して制動距離を確保すると共に,各車輪の
ロックを確実に防止して舵取り効果も確保することがで
きる。
【0114】なお、前記実施例においては後輪側の車輪
速を共通の車輪速センサで検出する3チャンネルアンチ
スキッド制御装置の場合についてのみ詳述したが、これ
に限らず後輪側の左右輪についても個別に車輪速センサ
を設け、これに応じて左右のホイルシリンダに対して個
別のアクチュエータを設ける,所謂4チャンネルのアン
チスキッド制御装置にも展開可能である。
【0115】また、前記実施例においては車輪速選択値
としてセレクトハイ車輪速を選択する場合について説明
したが、アンチスキッド制御中はセレクトハイ車輪速を
選択し、非アンチスキッド制御中は最も低いセレクトロ
ー車輪速を選択するようにしてもよい。また、本発明の
アンチスキッド制御装置は,後輪駆動車,前輪駆動車,
四輪駆動車等のあらゆる車両に適用可能である。
【0116】また、前記実施例においては制動圧制御装
置18としてマイクロコンピュータを適用した場合につ
いて説明したが、これに限定されるものではなく、比較
回路,演算回路,論理回路等の電子回路を組み合わせて
構成することもできる。
【0117】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係るアンチ
スキッド制御装置によれば、小径タイヤを装着した異径
車輪速が,その他の通常タイヤを装着した車輪速に対し
て、車両の安定走行状態で一様に大きくなることに着目
して、当該小径タイヤ装着異径車輪速に相当する最大車
輪速を,その他の車輪速との誤差率で補正するために、
この補正された最大車輪速は,真の小径タイヤ装着異径
車輪速と同等又はほぼ同等となり、この補正された車輪
速をも用いて車体速を算出すれば,アンチスキッド制御
の確実性が向上すると共に、舵取り効果や制動距離も確
保することができる。また、前記誤差率の算出は,アン
チスキッド制御中のように強制的に車輪速が変動してい
るときや、誤差率そのものが不感帯領域にあるときには
実行せず、しかも所定の不感帯でない領域にある状態が
所定時間以上継続したときに,前記最大車輪速である小
径タイヤ装着異径車輪速の補正を実行することとしたた
めに、前記補正された小径タイヤ装着異径車輪速は,真
の車輪速により等しくなり、前記アンチスキッド制御の
確実性がより一層向上する。また、実際の車両走行で微
変動している車輪速に基づいて算出される前記誤差率も
微変動を繰り返しているが,この微変動の影響が前記補
正小径タイヤ装着異径車輪速にでないようにフィルタリ
ングをかけることで、前記アンチスキッド制御の確実性
がより一層向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアンチスキッド制御装置の概略構成を
示す基本構成図である。
【図2】本発明のアンチスキッド制御装置の一例を示す
ブロック図である。
【図3】図2のアンチスキッド制御装置に使用されるア
クチュエータの一例を示す構成図である。
【図4】図2のアンチスキッド制御装置における制動圧
制御回路の演算処理の一例を示すフローチャートであ
る。
【図5】図2に示す制動圧制御回路で実行される制動圧
制御の説明図である。
【図6】図2のアンチスキッド制御装置における制動圧
制御回路で実行される車輪速補正演算処理の一実施例を
示すフローチャートである。
【図7】本発明の動作の説明に供する波形図である。
【符号の説明】
1FL,1FRは前輪 1RL,1RRは後輪 2FL〜2RRはホイルシリンダ 3FL〜3Rは車輪速センサ 4はブレーキペダル 5はマスタシリンダ 6FL〜6Rはアクチュエータ 7は配管 8は流入弁 9は流出弁 10は油圧ポンプ 11は逆止弁 12はアキュームレータ 13は前後加速度センサ 15FL〜15Rは車輪速演算回路 16はセレクトハイスイッチ 17は疑似車速演算回路 18は制動圧制御回路 CRはコントローラ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 制御対象となる各輪の車輪速を検出する
    車輪速検出手段と、前記車輪速検出手段で検出された車
    輪速検出値に基づいて車体速を算出する車体速算出手段
    と、前記車体速算出手段で算出された車体速算出値及び
    車輪速検出手段で検出された車輪速検出値から得られる
    当該車輪のスリップ率が基準スリップ率に保たれると共
    に,当該制御対象となる車輪のロックを防止するため
    に,各輪に備えられた制動用シリンダへの流体圧を制御
    する制御手段とを備えたアンチスキッド制御装置におい
    て、前記車輪速検出手段で検出された車輪速検出値のう
    ちの最大車輪速検出値を通常のタイヤより小径のタイヤ
    が装着された異径車輪速であるとして,少なくとも前記
    制御手段が制動用シリンダへの流体圧を制御していない
    ときに前記最大車輪速検出値とその他の各車輪速検出値
    とから算出された誤差率に基づいて,当該最大車輪速検
    出値を補正する補正手段を備えたことを特徴とするアン
    チスキッド制御装置。
  2. 【請求項2】 前記補正手段は、前記最大車輪速検出値
    及びその他の各車輪速検出値から得られる誤差率が,予
    め設定された不感帯又は不感帯でない状態である時間を
    計測して,当該誤差率を用いた前記最大車輪速検出値に
    対する補正を行うべきか否かの補正条件を設定する補正
    条件設定手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載
    のアンチスキッド制御装置。
  3. 【請求項3】 前記補正手段は、前記最大車輪速検出値
    及びその他の各車輪速検出値から得られる誤差率にフィ
    ルタリングをかけて,前記最大車輪速検出値に対する補
    正が行われるフィルタ手段を備えたことを特徴とする請
    求項1又は2に記載のアンチスキッド制御装置。
  4. 【請求項4】 前記補正手段は、前記各車輪速検出値か
    らの誤差率算出を,前記車体速算出値が所定の車体速値
    以上で行う補正許可手段を備えたことを特徴とする請求
    項1乃至3の何れかに記載のアンチスキッド制御装置。
JP6109957A 1994-05-24 1994-05-24 アンチスキッド制御装置 Pending JPH07315196A (ja)

Priority Applications (4)

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JP6109957A JPH07315196A (ja) 1994-05-24 1994-05-24 アンチスキッド制御装置
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