JPH066302Y2 - ドラムブレーキ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 本考案はドラムブレーキに関するものである。

従来技術 一対のブレーキシューと、それらブレーキシュー間に架
け渡されたストラットと、そのストラットのブレーキシ
ューの一方の側に位置する一端部側においてストラット
が所定の間隙を有して内部を挿通する状態で且つその一
方のブレーキシューおよびストラット間に所定の予圧状
態で設けられ、そのストラットを他方のブレーキシュー
側へ常時付勢してストラットのがたつきを防止するコイ
ル状のアンチラトルスプリングとを備えたドラムブレー
キが知られている。

考案が解決すべき問題点 しかしながら、かかるドラムブレーキにおいては、アン
チラトルスプリングの付勢力に基づいてストラットの長
手方向のがたつきは好適に防止されるのであるが、スト
ラットがアンチラトルスプリングの内部に所定のがたを
有する状態で挿通させられていることに起因して、車両
走行中の振動時等においてストラットがアンチラトルス
プリング内において前記長手方向と略直角な方向（アン
チラトルスプリング径方向）にがたついて異音を生ずる
場合があった。

問題点を解決するための手段 本考案は以上の事情を背景にして為されたものであっ
て、その目的とするところは、アンチラトルスプリング
内におけるストラットの長手方向と略直角な方向のがた
つきを効果的に防止する技術を提供することにある。か
かる目的を達成するために、本考案は、前記のようなド
ラムブレーキにおいて、前記アンチラトルスプリング
に、そのスプリングの周方向一部を内周側へ曲成するこ
とにより前記ストラットと弾性的に当接する当接部を設
けたことを特徴とする。

作用および考案の効果 このようにすれば、アンチラトルスプリングにそのスプ
リングの径方向においてストラットと弾性的に当接する
当接部が設けられているので、車両走行中の振動時等に
おいてストラットがアンチラトルスプリング内において
前記長手方向と略直角な方向にがたつくのを効果的に防
止し得て、かかるストラットのがたつきに起因する異音
の発生を効果的に防止し得る。

実施例 以下、本考案の一実施例を示す図面に基づいて詳細に説
明する。

第２図は本考案が適用されたデュオサーボ型ドラムブレ
ーキを示す図であって、たとえばドラムインディスクブ
レーキのパーキングブレーキ機構として使用されるもの
である。図において、バッキングプレート１０上には一
対のブレーキシュー１２，１４がシューホルドダウン装
置１６，１８により互いに拡開可能に支持されている。
ブレーキシュー１２，１４は、円弧状かつ板状のシュー
リム２０，２２と、それらシューリム２０，２２の内周
側に突設されてバッキングプレート１０と略平行に位置
する板状のシューウェブ２４，２６とを有してそれぞれ
構成されており、シューウェブ２４，２６の相対向する
一端部は、図示しないスプリングにより互いに接近する
方向へ付勢された状態で、軸心方向長さが可変とされた
アジャスタ２８の両端部とそれぞれ係合させられてい
る。一方、シューウェブ２４，２６の他端部は、バッキ
ングプレート１０上に固定されたアンカピン３０の側面
とそれぞれ当接させられるようになっているとともに、
そのアンカピン３０と両ブレーキシュー１２，１４との
間にそれぞれ張設されたシューリターンスプリング３
２，３４により互いに接近する方向へ常時付勢されてい
る。一方のブレーキシュー１２の他端部側（アンカピン
３０側）には、一端部にパーキングケーブル（図示せ
ず）が接続されたパーキングブレーキレバー３６がその
他端部において回動可能に取り付けられているととも
に、それらブレーキシュー１２およびパーキングブレー
キレバー３６とブレーキシュー１４との間には、ストラ
ット４０が、その両端部においてシューウェブ２４およ
びパーキングブレーキレバー３６とシューウェブ２６と
を板厚方向にそれぞれ挟むとともにアジャスタ２８およ
びアンカピン３０と接近離隔する方向においてシューウ
ェブ２４，２６およびパーキングブレーキレバー３６に
対する相対移動が略阻止された状態で、かつアンチラト
ルスプリング３８によりブレーキシュー１２側へ向かっ
て常時付勢された状態で架け渡されている。なお、かか
るデュオサーボ型ドラムブレーキの作動は良く知られた
ものであるとともに本考案の理解に必ずしも必要ではな
いため、その詳細な説明は省略する。

上記アンチラトルスプリング３８は、第１図および第２
図に示すように、コイル状を成し、ストラット４０のブ
レーキシュー１４側に位置する一端部においてそのスト
ラット４０が所定の間隙を有して内部を挿通する状態で
且つアンチラトルスプリング３８の軸心方向一端部とス
トラット４０に突設された一対のストッパ部４２との当
接によりストラット４０の他端部側への相対移動が阻止
された状態で設けられているとともに、シューリターン
スプリング３２，３４の付勢力に従ってアンチラトルス
プリング３８の軸心方向他端部がシューウェブ２６と所
定の予圧状態で当接させられている。これにより、スト
ラット４０はアンチラトルスプリング３８によってブレ
ーキシュー１２側に向かって常時付勢されており、かか
る付勢力に基づいてそのストラット４０の専ら長手方向
におけるがたつきが防止されている。本実施例において
は、ブレーキシュー１４が一方のブレーキシューに、ブ
レーキシュー１２が他方のブレーキシューにそれぞれ相
当する。

ここで、アンチラトルスプリング３８には、第１図に示
すように、その周方向一部が軸心と平行な方向の全長に
亘って内周側へ曲成されることにより、当接部４４が一
体に設けられており、この当接部４４がストラット４０
のアジャスタ２８側の面と弾性的に当接させられてい
る。これにより、車両走行中の振動時等においてストラ
ット４０がアンチラトルスプリング３８内においてスト
ラット４０長手方向と略直角な方向（アンチラトルスプ
リング３８径方向）であって且つ第１図および第２図中
上下方向にがたつくことが効果的に防止されて、かかる
ストラット４０のがたつきに起因する異音の発生が効果
的に防止される。この場合において、当接部４４とスト
ラット４０との摩擦抵抗等に基づいて、アンチラトルス
プリング３８内におけるストラット４０の長手方向と略
直角な方向であって且つ第１図中左右方向におけるがた
つきをも或る程度防止し得る。

なお、前述の実施例において、アンチラトルスプリング
３８には周方向の一箇所にのみ当接部４４が設けられて
いるが、必ずしもその必要はなく、周方向の複数箇所に
当接部を設けても良い。この場合においては、ストラッ
ト４０の第１図中上下方向および左右方向のがたを共に
効果的に防止することが可能となる。

また、前述の実施例においては、アンチラトルスプリン
グ３８の軸心と平行な方向の全長に亘って当接部４４が
設けられているが、必ずしもその必要はなく、前記軸心
と平行な方向の一部のみを内周方向へ曲成することによ
り当接部を形成しても良い。

また、前述の実施例においては、デュオサーボ型ドラム
ブレーキに本考案が適用された場合について説明した
が、それ以外のドラムブレーキにおいても本考案を適用
し得ることは勿論である。

その他、本考案はその趣旨を逸脱しない範囲において種
々変更が加えられ得るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は第２図のＩ−Ｉ視断面の要部を拡大して示す図
である。第２図は本考案が適用されたドラムブレーキの
要部を示す正面図である。 １２，１４：ブレーキシュー ３８：アンチラトルスプリング ４０：ストラット ４４：当接部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】一対のブレーキシューと、該ブレーキシュ
   ー間に架け渡されたストラットと、該ストラットの該ブ
   レーキシューの一方の側に位置する一端部側において該
   ストラットが所定の間隙を有して内部を挿通する状態で
   且つ該一方のブレーキシューおよび該ストラット間に所
   定の予圧状態で設けられ、該ストラットを他方のブレー
   キシュー側へ常時付勢して該ストラットのがたつきを防
   止するコイル状のアンチラトルスプリングとを備えたド
   ラムブレーキにおいて、 前記アンチラトルスプリングに、該スプリングの周方向
   一部を内周側へ曲成することにより前記ストラットと弾
   性的に当接する当接部を設けたことを特徴とするドラム
   ブレーキ。