JPH032014Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 本考案はドラムブレーキに用いられるブレーキ
シユーに関するものである。

従来技術 円弧状を成し、長手方向中間部に内周側に向か
つて開口する切欠が形成されたシユーウエブをそ
れぞれ有する一対のブレーキシユーを備えるとと
もに、一端においてバツキングプレートに揺動可
能に取り付けられ且つ中間部が前記シユーウエブ
の前記切欠内を挿通させられたシユーホルドダウ
ンピンと、そのシユーホルドダウンピンの他端側
とシユーウエブとの間に所定の予荷重が付与され
た状態で且つシユーホルドダウンピンが挿通する
状態で介装されたコイルスプリングとを有し、前
記ブレーキシユーを互いに拡開可能な状態で前記
バツキングプレート上に支持するシユーホルドダ
ウン装置を備えたドラムブレーキが知られてい
る。そして、上記一対のブレーキシユーの外周側
には、それらの外周面とそれぞれ所定の間隙を有
した状態で回転ドラムが配設されている。

上記コイルスプリングは、通常、一対のカツプ
に軸心方向において挟まれた状態でシユーホルド
ダウンピンの他端側とシユーウエブとの間に介装
されており、ブレーキシユーの外周側に回転ドラ
ムが配設されていない状態でブレーキシユーが外
周方向に押し出された場合には、前記切欠の開口
からシユーホルドダウンピンが大きく飛び出して
前記カツプおよびコイルスプリングがシユーウエ
ブ上から脱落してしまう場合があつた。

このため、従来より、シユーウエブの前記切欠
より外周側の所定位置に係合穴を形成するととも
に、シユーウエブと当接する側のカツプの外周縁
部にバツキングプレートに向かつて突き出す係合
爪を突設し、その係合爪を係合穴内に挿入するこ
とにより、それら係合穴と係合爪との係合に基づ
いて前記カツプおよびコイルスプリングのシユー
ウエブからの脱落を防止することが行われてい
る。

考案が解決すべき問題点 しかしながら、この場合においては、二種類の
カツプが必要となつて部品点数および組付け作業
工数を比較的多く要するとともに、シユーウエブ
側のカツプに上記のような係合爪を設けるために
カツプの成形工程等が増大し、ドラムブレーキを
安価に提供し難いという問題があつた。

問題点を解決するための手段 本考案は以上の事情を背景にして為されたもの
であつて、その要旨とするところは、前記のよう
なドラムブレーキにおいて、前記シユーウエブ
に、前記コイルスプリングの一端部とそのシユー
ウエブの内周方向への相対移動不能に係合する突
出部を設けたことにある。

作用および考案の効果 このようにすれば、シユーホルドダウンピンの
他端側とシユーウエブとの間にシユーホルドダウ
ンピンが挿通する状態で介装されたコイルスプリ
ングの一端部が、シユーウエブに設けられた突出
部にシユーウエブの内周方向への相対移動不能に
係合されるので、たとえブレーキシユーの外周側
に回転ドラムが配設されていない状態でブレーキ
シユーが外周側へ比較的大きく押し出されたとし
ても、カツプおよびコイルスプリングのシユーウ
エブ上からの脱落を防止し得る。しかも、一種類
のカツプを一個使用するだけで良いため部品点数
および組付け作業工数を従来に比べて低減し得る
とともに、カツプに従来のような係合爪を形成す
る必要がなくなるので、ドラムブレーキを全体と
してより安価に提供し得る。

実施例 以下、本考案の一実施例を示す図面に基づいて
詳細に説明する。

第３図は本考案が適用されたブレーキシユーを
備えたドラムブレーキの一例を示す図であつて、
バツキングプレート１０上にはシユーウエブ１
２，１４をそれぞれ有する一対のブレーキシユー
１６，１８がシユーホルドダウン装置２０，２２
により互いに拡開可能に支持されている。シユー
ウエブ１２，１４の互いに近接する各一端部はバ
ツキングプレート１０上に固定されたアンカピン
２４の側面とそれぞれ当接させられるようになつ
ているとともに、シユーウエブ１２，１４の各他
端部はアジヤストホイール２６の回転に伴つて伸
長させられることによりブレーキシユー１６，１
８をそれぞれ外周側へ押し出してシユー間隙を調
節する連結部材２８の両端部と図示しないスプリ
ングの付勢力に従つてそれぞれ係合させられてい
る。

一方のブレーキシユー１６のシユーウエブ１２
のバツキングプレート１０側であつてアンカピン
２４側の端部近傍には、一端部にパーキングケー
ブル３０が連結されたパーキングブレーキレバー
３２がその他端部においてピン３４により回動可
能に取り付けられている。パーキングブレーキレ
バー３２の中間部とブレーキシユー１８のシユー
ウエブ１４との間にはストラツト３６が架け渡さ
れている。前記パーキングケーブル３０が引き込
まれてパーキングブレーキレバー３２が第３図中
左まわりに回動させられることにより、ストラツ
ト３６およびピン３４により両ブレーキシユー１
６，１８が互いに拡開されて制動が行われること
となるが、かかるパーキングブレーキ作動は良く
知られたものであるとともに、本考案の理解に必
ずしも必要ではないため、その詳細な説明は省略
する。なお、３８，４０は、両ブレーキシユー１
６，１８の連結部材２８と反対側の各端部をアン
カピン２４の側面とそれぞれ当接する方向へ常時
付勢することにより、それらブレーキシユー１
６，１８を縮径させるリターンスプリングであ
る。

次に、上記シユーホルドダウン装置２０，２２
について詳細に説明する。なお、各シユーホルド
ダウン装置２０，２２は同様に構成されているた
め、以下の説明は一方のシユーホルドダウン装置
２０についてのみ行うこととする。

シユーホルドダウン装置２０は、第１図および
第３図に示すように、半円形状かつ板状の頭部４
２と中間部が軸心から離隔する方向に曲成された
軸部４４とを有するシユーホルドダウンピン４６
と、全体として円板状を成すとともに環状溝４８
を有するカツプ５０と、コイルスプリング５２と
から成る。シユーホルドダウンピン４６は、その
頭部４２と反対側の端部においてバツキングプレ
ート１０に形成された貫通穴５４に抜けが阻止さ
れた状態で揺動可能に取り付けられているととも
に、シユーホルドダウンピン４６の中間部はシユ
ーウエブ１２の長手方向中央部に内周側に向かつ
て開口するように形成された切欠５６内を挿通さ
せられている。シユーホルドダウンピン４６の頭
部４２側には、前記カツプ５０が抜けが阻止され
た状態で装着されており、そのカツプ５０の環状
溝４８とシユーウエブ１２との間に前記コイルス
プリング５２が所定の予荷重が付与された状態で
介装されている。

シユーウエブ１２のバツキングプレート１０と
反対側の面には、第１図および第２図に示すよう
に、前記切欠５６のシユーウエブ１２外周側に位
置する部分を取り囲むようにして、略Ｃ字形の突
起５８が突設されている。この突起５８は、本実
施例の突出部を構成するものであつて、コイルス
プリング５２の内径より僅かに小さい外径を有し
ており、たとえばコイニングによりシユーウエブ
１２に一体に形成されたものである。そして、突
起５８がコイルスプリング５２の一端部に挿入さ
れることにより、コイルスプリング５２およびカ
ツプ５０のシユーウエブ１２内周方向への相対移
動が殆ど阻止されている。

このように、本実施例によれば、シユーウエブ
１２に突設された突起５８とコイルスプリング５
２の一端部の内周面との係合（当接）に基づいて
コイルスプリング５２およびカツプ５０のシユー
ウエブ１２内周方向への相対移動が殆ど阻止され
ているので、たとえブレーキシユー１６，１８の
外周側に回転ドラムが配設されていない状態（第
３図に示す状態）において、ブレーキシユー１
６，１８が外周側へ比較的大きく押し出されたと
しても、カツプ５０およびコイルスプリング５２
がシユーウエブ１２上から脱落することが防止さ
れる。しかも、一種類のカツプ５０を一個使用す
るだけで良いため部品点数および組付け作業工数
が従来に比べて低減されるとともに、カツプに従
来のような係合爪を形成する必要がないので、ド
ラムブレーキが全体としてより安価に提供され
る。

また、本実施例によれば、前記突起５８のコイ
ニング加工をシユーウエブ１２，１４のパーキン
グブレーキレバー３２取付用の穴等のプレスによ
る打抜き加工などと同時に行うことも可能である
ため、かかる場合にはドラムブレーキが一層安価
に提供される。

なお、前述の実施例において、突出部は略Ｃ字
形の突起５８にて構成されており、その突起５８
がコイルスプリング５２の一端部に挿入されてい
るが、必ずしもその必要はなく、たとえば、第４
図に示すように、シユーウエブ１２の切欠５６の
底部近傍に突起６０を一体あるいは一体的に設
け、その突起６０をコイルスプリング５２の一端
部の内周面と係合させても良いし、第５図に示す
ように、シユーウエブ１２の切欠５６の開口側両
縁部に一対の突起６２を一体あるいは一体的に設
け、その突起６２をコイルスプリング５２の外周
面と係合させるようにしても良い。

また、前記突出部を切欠５６よりシユーウエブ
１２外周側の所定位置に設けるとともに、コイル
スプリングを構成する線材の一端部からコイルス
プリングの外周方向に延びるフツク部を設け、こ
のフツク部を前記突出部に引つ掛けるようにして
も良い。

また、前記突出部は、シユーウエブ１２に突設
されたピンあるいはボルト等であつても良い。

また、前述の実施例においては、パーキングブ
レーキ機構のみを備えたデユオサーボ型ドラムブ
レーキに本考案が適用された場合について説明し
たが、必ずしもその必要はなく、シユーウエブに
内周側に向かつて開口する切欠を有し、その切欠
内にシユーホルドダウンピンが挿通させられた状
態でシユーホルドダウン装置が装着されるブレー
キシユーを備えたドラムブレーキであれば、本考
案の効果を得ることが可能である。

その他、本考案はその趣旨を逸脱しない範囲に
おいて種々変更が加えられ得るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は第３図の−視断面の要部拡大図で
ある。第２図は第１図のシユーウエブをコイルス
プリング側から見た図である。第３図は本考案が
適用されたブレーキシユーを備えたドラムブレー
キの一例を示す正面図である。第４図および第５
図は本考案の他の例をそれぞれ示す図であつて、
第２図に相当する図である。 １０：バツキングプレート、１２，１４：シユ
ーウエブ、１６，１８：ブレーキシユー、２０，
２２：シユーホルドダウン装置、４６：シユーホ
ルドダウンピン、５２：コイルスプリング、５
６：切欠、５８，６０，６２：突起。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 円弧状を成し、長手方向中間部に内周側に向か
   つて開口する切欠が形成されたシユーウエブをそ
   れぞれ有する一対のブレーキシユーと、 一端においてバツキングプレートに揺動可能に
   取り付けられ且つ中間部が前記シユーウエブの前
   記切欠内を挿通させられたシユーホルドダウンピ
   ンと、該シユーホルドダウンピンの他端側と該シ
   ユーウエブとの間に所定の予荷重が付与された状
   態で且つ該シユーホルドダウンピンが挿通する状
   態で介装されたコイルスプリングとを有し、前記
   ブレーキシユーを互いに拡開可能な状態で前記バ
   ツキングプレート上に支持するシユーホルドダウ
   ン装置と を備えたドラムブレーキにおいて、 前記シユーウエブに、前記コイルスプリングの
   一端部と該シユーウエブの内周方向への相対移動
   不能に係合する突出部を設けたことを特徴とする
   ドラムブレーキ用ブレーキシユー。