JPH0562247B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （発明の技術分野） この発明は、デイスク ブレーキ、特に、ブレ
ーキ支持体と、デイスクを挟むように配設されて
いるとともにデイスクと対向する側面上にパツド
を備えているキヤリパ本体と、キヤリパ本体とブ
レーキ支持体との間に配設されデイスクの軸方向
に伸びたガイド手段とを備えたデイスク ブレー
キに関する。

（発明の従来技術およびその問題点） この種のデイスク ブレーキにおいて、キヤリ
パ本体は、上記支持体に対してデイスクの軸方向
へ移動可能、つまり浮動可能となつている。それ
により、組立て時における製造公差による支持体
とデイスクとの間の相対位置にかかわらず、同様
に、パツドの摩耗およびブレーキの種々の構成部
材の熱膨張に起因する寸法変化にかかわらず、キ
ヤリパ本体は、ブレーキング時、常に所定の位置
に位置決めされている。

キヤリパ本体は浮動自在にするため、およびデ
イスクの位置に応じて位置決めされるように、キ
ヤリパ本体とブレーキ支持体との間にガイド手段
を設けることが考えられる。従来の方法およびデ
イスク ブレーキに広く使用されている方法によ
れば、ブレーキ支持体は、略円筒状で平行にかつ
互いに離間して設けられた２つのガイドを備えて
おり、キヤリパ本体は、これらのガイドに沿つて
摺動する。また、キヤリパ本体は、これらのガイ
ドに連結されたブツシユを備えている。この方法
は、多くの面で利点を有しているが、デイスク
ブレーキの効率を制限してしまう欠点を有してい
る。

特に、キヤリパ本体は、デイスク上に位置決め
されるように自由に移動しなければならないにも
かかわらず、ブレーキングの初期においてロツク
し易い。

（発明の目的） この発明は、以上の点に鑑みなされたもので、
その目的は、上述した従来の欠点を除去する構造
的および機能的特徴を有するデイスク ブレーキ
を提供することにある。

（発明の概要） 上記目的を達成するため、この発明のデイスク
ブレーキによれば、ガイド手段はキヤリパ本体
が回動可能に取付けられたピンを備えており、こ
のピンはパツドの下流側で支持体に取付けられて
いる。また、パツドの上流側で上記支持体にキヤ
リパ本体用の係止手段が取付けられキヤリパ本体
の回動を防止している。

（発明の実施例） 以下図面を参照しながらこの発明の好ましい実
施例について詳細に説明する。

符号１により示されたこの発明の一実施例に係
わるデイスク ブレーキは、前輪駆動の自動車に
適したものが示されている。

第１図に示すように、デイスク ブレーキ１
は、望ましくは軽合金から鋳造されたブレーキ支
持体２を備えている。支持体２は、ネジ３および
４により、図示しない公知の車輪のハブ７の外周
から突出したラグ５および６に強固に固定されて
いる。また、デイスク ブレーキ１は、望ましく
は軽合金から鋳造されたキヤリパ本体８を有して
おり、このキヤリパ本体は、ブレーキ デイスク
１０の外周部９を跨ぐように配設されている。な
お、ブレーキ デイスク１０の軸は、Ｘ−Ｘで示
されている。この外周部９は、デイスク１０の環
状のブレーキング帯域を構成しており、デイスク
１０は、図示しない公知の手段によりハブ７に強
固に固定されている。

ブレーキ支持体２とキヤリパ本体８との間に
は、デイスク１０の軸Ｘ−Ｘと平行に伸びたガイ
ド手段１１が配設され、キヤリパ本体をブレーキ
支持体に対してＹ−Ｙ方向へ自由に摺動可能とし
ている。

第１図および第２図に示すように、デイスク１
０に対して接線方向ｔ−ｔに所定長さ延在してい
るキヤリパ本体８は、デイスクの外周部９の両側
に位置したシユー１２，１３とともに一体に形成
されている。以下に説明するように、キヤリパ本
体８のシユー１２，１３には、それぞれデイスク
１０の外周部９と対向したブレーキ パツド１
４，１５が取付けられている。これらのパツド１
４，１５は、デイスクの接線方向ｔ−ｔに沿つて
所定長さ延在している。

キヤリパ本体８は、シユー１３の位置に、従来
の方法で、小さな油圧シリンダ１６を備えてお
り、このシリンダは、デイスク１０の外周部９の
表面に向かつてパツド１５を付勢するとともに、
その反作用により、パツド１４を外周部９の反対
側の表面に向かつて付勢する。

特に、各パツド１４，１５は鋼鉄性の板１７，
１８、望ましくは板ぬき形成された板と、この板
に取付けられた摩擦物質から成るライニング１
９，２０とを有している。

デイスクの外周部９、パツド１４，１５および
キヤリパ本体８のシユー１２，１３は、デイスク
１０の径方向で軸Ｘ−Ｘおよび接線ｔ−ｔに直交
するｒ−ｒ方向に所定長さ延在しており、望まし
くは、ｔ−ｔ方向におけるパツドの長さの約1/3
だけｒ−ｒ方向へ伸びている。

ブレーキング帯域、つまりデイスクの外周部９
は、円弧上の経路Ｓ−Ｓに沿つてデイスク ブレ
ーキを通過し、矢印Ｆで示された方向（自動車の
通常の走行状態において）の線ｔ−ｔに接触す
る。デイスク ブレーキの上記矢印Ｆ方向に対す
る各移動位置を上流側および下流側として示して
いる。

以下の説明および特許請求の範囲において使用
される“上流側”および“下流側”位置は、上述
したように、デイスク ブレーキ内のデイスクの
外周部の移動方向に関連した位置を示している。

第１図および第２図に示すように、この実施例
において、キヤリパ本体８とブレーキ支持体２と
の間に設けられたガイド手段１１は、パツド１
４，１５の下流側に配置され望ましは円筒状のピ
ン２１を備えている。ピン２１は、デイスクの軸
Ｘ−Ｘと平行な軸ａ−ａを有しているとともに、
パツド１４，１５の下流側でブレーキ支持体２に
設けられた小さなラグ２２上に取付けられてい
る。

キヤリパ本体８は、ピン２１に回動自在に取付
けられている。

この目的のため、キヤリパ本体８は、パツド１
４，１５の下流側で、円筒状のボア２４を有する
ボス２３に固定されており、このボスは所定の遊
びを有してピン２１上を摺動可能と成つている。

詳細にのべると、ピン２１は望ましくは鋼鉄製
のスリーブ２５から構成されており、このスリー
ブは、外周が目盛り決めされているとともに、ラ
グ２２に形成されたさら穴キヤビテイ２６内に係
合された一端を有している。また、スリーブ２５
は、キヤビテイ内を同軸に伸びラグ２２と係合し
た鋼鉄製のボルト２７によりキヤビテイ２６内に
強固に保持されている。

ボス２３はボア２４の両端に、ほこりの浸入そ
防止するベローズ型のシール部材２８，２９をそ
れぞれ備えている。

各シール部材２８，２９は、ボア２４に形成さ
れた環状の溝３０，３１とスリーブ２５の外周に
形成された環状の溝３２，３３との間を伸びてい
る。それにより、ボス２３はピン２１に対してピ
ンの軸方向へ摺動可能であるとともに、キヤリパ
本体８全体もブレーキ支持体２に対してＸ−Ｘ方
向へ摺動可能となつている。

ピン２１は、充分な強度を有するように所定の
直径に設定されている。

また、ボア２４の長さは、ボス２３が引掛かる
ことなくピン２１に沿つて確実にガイドされるよ
うに、所定の長さ、例えばピンの径の２倍に設定
されている。

デイスク ブレーキ１は、キヤリパ本体８用の
係止手段３４を備えている。係止手段３４は、キ
ヤリパ本体８の回動を防止するようにパツド１
４，１５の上流側でブレーキ支持体２上に配設さ
れている。

第５図に示すように、係止手段３４は、ロツド
３５を備えており、このロツドはパツド１４，１
５の上流側でブレーキ支持体２を設けられたラグ
３６に取付けられている。

また、ロツド３５は、パツド１４，１５の上流
側でキヤリパ本体８から突出した付加部材３８の
ボア３７内に緩く挿入されている。

ロツド３５とボア３７との間には、テフロンか
ら成るスリーブ５１が設けられ衝撃保護を提供し
ている。また、ロツド３５は円筒状のブツシユ３
９を有し、このブツシユを同軸的に貫通しラグ３
６と係合したネジ４０により、ラグ３６に取外し
可能に固定されている。

ロツド３５は、ネジ４０を緩めることにより容
易に取外すことができる。

ピン２１の回りで回動可能にブレーキ支持体２
上に配設されたキヤリパ本体８は、ロツド３５が
ボア３７の内周壁と係合することにより回動が防
止されている。

ロツド３５とボア３７との間の隙間は、キヤリ
パ本体８の回動を防止するように所定範囲内の遊
びに設定されている。

第１図ないし第３図に示すように、デイスク
ブレーキ１において、パツド１４，１５はｔ−ｔ
方向に伸びているとともに、ピン４１によつてキ
ヤリパ本体８上に支持されている。このピン４１
は、ｘ−ｘ方向と平行な軸を有しているとともに
キヤリパ本体８に緩く設けられている。また、パ
ツド１４，１５は、板１７，１８にそれぞれ形成
された孔４２，４３を介してピン４１と緩く係合
されている。

また、ピン４１回りでのパツド１４，１５の移
動を防止するように、保持手段４４が設けられて
いる。

この保持手段４４は、細い円柱状のピン４５，
４６を備えている。これらのピン４５，４６は、
軸ｘ−ｘと平行な方向に延びその端がキヤリパ本
体８内に収容されているとともに、デイスク１０
の外周縁の直ぐ外側に位置しシユー１２，１３の
間を伸びている。

パツド１４，１５の端部はピン４５，４６と係
合しており、これらの端部は孔４２，４３に関し
て対称的に配設されたフツク状の端部４７を成し
ている。各フツク状端部４７は、２つの支持面４
７ａ，４７ｂで各ピン４５，４６を囲んでおり、
一方の支持面４７ａはｔ−ｔ方向に延び、他方の
支持面４７ｂはｔ−ｔ方向と直交する方向に延び
ている。これらの支持面４７ａ，４７ｂはそれぞ
れピン４１に対向している。

それぞれのピン４５及び４６は、鋼鉄製のねじ
４８及び４９の一部であつて、ねじ４８及び４９
の先端部は、それぞれ、シユー１２に所定の力で
締め付けられている。

各ネジ４８，４９は、一方のシユーに当接した
頭部と他方のシユーと係合したネジの切られた端
とを有している。これらのネジ４８，４９は、所
定の強さで締められてキヤリパ本体８を強化する
ように作用し、それにより、油圧シリンダ１６に
より与えられるブレーキング時の負荷作用と反対
方向の予備負荷応力をキヤリパ本体８に与える。

そのため、キヤリパ本体のサイズを大幅に削減
することができ、その結果、キヤリパ本体の重量
および製造コストを減少させることができる。

小さなバネ５０がキヤリパ本体８を押圧し、ピ
ン４１を介してパツド１４，１５に一定の圧力を
作用させている。それにより、パツド１４，１５
はピン４５，４６に向かつて付勢され、ブレーキ
不使用時におけるパツドの衝突音および震動が防
止されている。

ブレーキが使用されている間、キヤリパ本体８
はピン２１に沿つて自由に摺動してデイスク１０
上に位置決めされる。

同時に、各パツドの一方のフツク状端部４７が
ピン４６に圧接する。

同時に、ボア３７の周壁をロツド３５と係合さ
せる角度的な遊びがキヤリパ本体とブレーキ支持
体との間に生じると、キヤリパ本体８はピン２１
によつて係止された状態に保持され、接線方向の
ブレーキ力を作用させる。

この状態に成ると、必要な時間だけブレーキン
グが続けられる。

単一の円筒ピンの存在により、デイスク１０の
軸方向に沿つたブレーキ支持体に対するキヤリパ
本体８の摺動は、引掛かることなく確実に行われ
る。

また、ロツド３５がボア３７内に係合している
ため、キヤリパ本体８の回動は防止されている。

パツド１４，１５は、フツク状端部によりキヤ
リパ本体内に強固に保持されており、ブレーキン
グの間、接線方向のブレーキング力およびフツク
状端部の反作用の中和効果によるｔ−ｔ方向のけ
ん引力を連続的に受ける。パツド１４，１５はフ
ツク状端部４７を介して接線方向のブレーキング
力をキヤリパ本体に与える。これらのフツク状端
部４７は、ネジ４８，４９と接触しているが、こ
れらの端部およびネジは高い強度を有する物質
（鋼鉄）から成つているため、局部的な損傷を防
止することができる。

一方、ロツド３５を取外すと、キヤリパ本体８
はピン２１の回りで自由に回動可能となる。そし
て、キヤリパ本体は、第１図にαで示された角
度、例えば100度だけ回動され、破線で示された
位置に至る。この位置において、パツドはキヤリ
パ本体から容易に取外すことができる。

（発明の効果） 以上のように構成されたこの発明に係るデイス
ク ブレーキによれば、ブレーキングの初期にお
いて、キヤリパ本体を引掛かることなくデイスク
に対して位置決めすることができるとともに、確
実にブレーキングすることができる。

また、この発明のデイスク ブレーキは、狭い
スペースに設置することができ、特に、径方向、
つまりｒ−ｒ方向の長さを削減することができ、
前輪駆動の自動車に特に適している。

更に、この発明のデイスク ブレーキは、簡単
な機械加工によつて得られる構成部品により形成
されているとともに、容易に組立ておよび取付け
を行うことができる。

また、摩耗したパツドを新しいパツドと容易に
交換することができ、必要であれば、デイスク自
身も容易に交換することができる。

なお、この発明は上記実施例に限定されること
なく、この発明の範囲内で種々変形可能であるこ
とは言うまでもない。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この発明の一実施例に係るデイスク
ブレーキの側面図、第２図は、第１図の線−
に沿つた断面図、第３図は、上記デイスク ブ
レーキを第２図の矢印方向から見た一部破断側
面図、第４図は、第１図の線−に沿つた断面
図、第５図は、第１図の線−に沿つた断面図
である。 １……デイスク ブレーキ、２……ブレーキ支
持体、８……キヤリパ本体、１０……ブレーキ
デイスク、１１……ガイド手段、１４，１５……
パツド、２１……ピン、３４……係止手段、３５
……ロツド。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ブレーキ支持体と、デイスクを跨ぐように配
   設されているとともに、デイスクと対向した側面
   上にそれぞれパツドを有するキヤリパ本体と、上
   記ブレーキ支持体と上記キヤリパ本体との間に配
   設され、デイスクの軸方向に沿つて延出されたガ
   イド手段と、上記キヤリパ本体の回動を防止する
   ために、上記パツドの上流側で上記ブレーキ支持
   体に設けられた係止手段と、上記パツドを上記キ
   ヤリパ本体内に維持する保持手段と、を備えたデ
   イスクブレーキにおいて、 上記ガイド手段は、上記ブレーキ支持体上の上
   記パツドの下流側に取付けられ、上記キヤリパ本
   体を回動可能に支持する支点ピンを含み、 上記パツドは、上記支点ピンよりもパツドの上
   流側に配置された中央ピンを介して上記キヤリパ
   本体に緩く取付けられ、 上記保持手段は、上記中央ピンを挟んで、上記
   中央ピンと平行に延出され、自身の一端部に設け
   られたねじ部を介して上記キヤリパ本体に所定の
   力で強固に締め付けられて、上記各パツドに形成
   された各フツク部と係合される２本の細いピンを
   有することを特徴とするデイスクブレーキ。 ２ 上記係止手段は、上記キヤリパ本体に形成さ
   れた座を通つて緩く設けられたロツドを有してい
   ることを特徴とする請求項１に記載のデイスクブ
   レーキ。 ３ 上記ロツドは、上記ブレーキ支持体に取外し
   可能に取付けられていることを特徴とする請求項
   ２に記載のデイスクブレーキ。