以下、実施形態によるディスクブレーキを、4輪自動車に搭載した場合を例に挙げ、添付図面に従って説明する。
図1ないし図8は、第1の実施形態を示している。図1および図2において、ディスクブレーキ1は、被制動部材としてのディスクD(図2)を介して車両(図示せず)に制動力を付与するものである。ディスクDは、ディスクロータとも呼ばれ、車輪(図示せず)と共に回転する。図1ないし図8に示すように、ディスクブレーキ1は、取付部材2と、キャリパ5と、ピストン13と、インナパッド14と、アウタパッド15と、意匠板18とを備えている。
キャリアと呼ばれる取付部材2は、ディスクDの近傍に位置して車両の非回転部位(図示せず)に取付けられる。取付部材2は、ディスクDの外周側をディスクDの軸方向に跨いで配置される。なお、ディスクDの軸方向は、例えば、各図に参考として示すX方向に対応し、本明細書においては「ディスク軸方向」ともいう。
取付部材2は、一対の腕部2A,2Aと、支承部2Bと、補強ビーム2Cとを含んで構成されている。各腕部2A,2Aは、ディスクDの回転方向に離間してディスクDの外周を跨ぐように、ディスクDの軸方向に延びている。なお、ディスクDの回転方向は、例えば、各図に参考として示すY方向に対応し、本明細書においては「ディスク回転方向」、「ディスク接線方向」、または、「ディスク周方向」ともいう。
各腕部2A,2Aは、摺動ピン3,3を介してキャリパ5をディスク軸方向に摺動可能に支持する。支承部2Bは、各腕部2A,2Aの基端側(図2の上端側)を一体化するように接続して設けられ、ディスクDのインナ側(図2の上下方向の上側)となる位置で車両の非回転部位に固定される。補強ビーム2Cは、ディスクDのアウタ側(図2の上下方向の下側)となる位置で各腕部2A,2Aの先端側(図2の下端側)を互いに連結している。これにより、取付部材2の各腕部2A,2Aは、ディスクDのインナ側で支承部2Bにより一体的に連結されるとともに、アウタ側で補強ビーム2Cにより一体的に連結される。
取付部材2のインナ側には、インナ側摩擦パッドであるインナパッド14をディスク軸方向に案内する一対のパッドガイド(図示せず)が設けられている。各パッドガイドは、例えば、ディスク軸方向に延びる断面コ字形状(断面略U字形状)の凹溝として形成され、インナパッド14を挟んでディスク回転向の一側と他側とに離間している。そして、各パッドガイドには、インナパッド14の各耳部(図示せず)がパッドスプリング4,4を介してそれぞれ嵌合(挿嵌)される。
一方、取付部材2のアウタ側にも、アウタ側摩擦パッドであるアウタパッド15をディスク軸方向に案内する一対のパッドガイド2D,2D(図3参照)が設けられている。これら各パッドガイド2D,2Dも、インナ側のパッドガイドと同様に、例えば、ディスク軸方向に延びる断面コ字形状(断面略U字形状)の凹溝として形成され、アウタパッド15を挟んでディスク回転方向の一側と他側とに離間している。そして、各パッドガイド2D,2Dには、アウタパッド15の各耳部15B1,15B1がパッドスプリング4,4を介してそれぞれ嵌合(挿嵌)される。
キャリパ5は、取付部材2に(摺動ピン3,3を介して)ディスク軸方向の移動(摺動変位)を可能に取付けられている。キャリパ5は、ディスクDの外周側をディスク軸方向に跨いで配置される。キャリパ5は、インナ脚部6と、ブリッジ部9と、アウタ脚部11とを含んで構成されている。
インナ脚部6は、ディスク軸方向の一側であるインナ側に設けられている。キャリパ5のインナ脚部6には、例えばツインボアとなる2個のシリンダ7(図4に1個のみ図示)が設けられている。シリンダ7内には、ピストン13が摺動可能に挿嵌される。シリンダ7内には、ブレーキ操作時に外部からブレーキ液圧が供給される。また、インナ脚部6には、ディスク回転方向に突出して一対のピン取付部8,8が一体に設けられている。これら各ピン取付部8,8は、摺動ピン3,3を介してキャリパ5全体を取付部材2の各腕部2A,2Aに摺動可能に支持する。
ブリッジ部9は、取付部材2の各腕部2A,2A間でディスクDの外周側を跨ぐようにインナ脚部6からディスク軸方向の他側であるアウタ側へと延設されている。ブリッジ部9には、ディスクDの径方向に貫通する1対の貫通孔10,10が、ディスク回転方向に離間して設けられている。なお、ディスクDの径方向は、例えば、各図に参考として示すZ方向に対応し、本明細書においては「ディスク径方向」ともいう。
アウタ脚部11は、ブリッジ部9の先端側であるアウタ側からディスク径方向の内向きに延び、先端側が三又状をなした爪部12となっている。即ち、図3に示すように、爪部12は、先端側が三又状に分かれた三つの爪片12A,12B,12Cにより構成されている。爪部12(爪片12A,12B,12C)は、アウタパッド15の裏板15Bに当接する。爪部12は、ブレーキ操作時(制動時)に、アウタパッド15をディスクDのアウタ側の側面(図2の下側の側面)に向けて押圧する。このように、キャリパ5は、インナ側にピストン13が挿嵌されるシリンダ7(シリンダ穴)を有すると共にアウタ側に爪部12を有している。
後述するように、キャリパ5の爪部12には、ディスク周方向の外側(回出側)の側面に位置して意匠板支持用係合溝16,16(図3)が形成されている。また、キャリパ5のブリッジ部9の貫通孔10には、ディスク軸方向のアウタ側の内面に位置して意匠板支持用係合溝17(図4に1個のみ図示)が形成されている。これらの意匠板支持用係合溝16,17には、意匠板18の係合爪22,23が係合される。これにより、キャリパ5の爪部12のアウタ側は、意匠板18によって覆われている。
ピストン13は、有底筒状体として形成され、インナ脚部6のシリンダ7内に摺動可能に挿嵌されている。ピストン13は、その先端側となる開口端面がインナパッド14の裏板14Bに当接する。ピストン13は、ブレーキ操作時に、インナパッド14をディスクDのインナ側の側面(図2の上側の側面)に向けて押圧する。
即ち、ピストン13は、シリンダ7内に外部からブレーキ液圧が供給されると、このときの液圧力で、ディスクD側に向けてディスク軸方向に摺動変位し、インナパッド14をディスクDの一側面(インナ側の側面)側に押圧する。このとき、キャリパ5がディスクDからの押圧反力を受けることにより、キャリパ5全体が取付部材2の腕部2A,2Aに対してインナ側に摺動変位し、爪部12がアウタパッド15をディスクDの他側面(アウタ側の側面)側に押圧する。これにより、ディスクD、延いては、車輪に、制動力を付与することができる。
インナパッド14とアウタパッド15は、ディスクDの軸方向両側面に対向して配置されている。インナパッド14およびアウタパッド15は、取付部材2にディスク軸方向の移動を可能に取付けられている。インナパッド14は、キャリパ5のインナ側からピストン13によってディスクDに押圧され、アウタパッド15は、キャリパ5のアウタ側から爪部12によってディスクDに押圧される。即ち、インナパッド14は、ディスクDをキャリパ5のインナ側となる内側(ディスク軸方向の一側)から押圧し、アウタパッド15は、ディスクDをキャリパ5のアウタ側となる外側(ディスク軸方向の他側)から押圧する。
インナパッド14は、ディスクDの表面(軸方向一側面)に摩擦接触する摩擦材としてのライニング14Aと、ライニング14Aとはディスク軸方向の反対の面に設けられる裏板14Bとを含んで構成されている。この場合、ライニング14Aは、ディスク回転方向に延びる平板状の裏板14Bに固着(接合)されている。裏板14Bには、ディスク回転方向の両側の側縁部に位置してそれぞれ凸形状をなした突出部としての耳部(図示せず)が設けられている。各耳部は、パッドスプリング4,4を介して取付部材2のパッドガイドにそれぞれ摺動可能に挿入(挿嵌)される。
アウタパッド15も、インナパッド14と同様に、ディスクDの表面(軸方向他側面)に摩擦接触する摩擦材としてのライニング15Aと、ライニング15Aとはディスク軸方向の反対の面に設けられる裏板15Bとを含んで構成されている。この場合、ライニング15Aは、ディスク回転方向に延びる平板状の裏板15Bに固着(接合)されている。裏板15Bには、ディスク回転方向の両側の側縁部に位置してそれぞれ凸形状をなした突出部としての耳部15B1,15B1(図3)が設けられている。各耳部15B1,15B1は、パッドスプリング4,4を介して取付部材2のパッドガイド2D,2Dにそれぞれ摺動可能に挿入(挿嵌)される。
ところで、前述の従来技術によれば、キャリパの爪部を覆う化粧プレート(意匠板)をキャリパブラケット(支持部材)に対して取付ボルトで固定する。このため、化粧プレートの振動による弊害、例えば、ビビリ音の増大や耐久性の低下を招くおそれがある。また、化粧プレートをキャリパブラケットに固定するため、固有振動数(固有値)の変化により、ブレーキ鳴き性能や生産性が低下し、所望の性能を維持できなくなる可能性がある。そこで、実施形態では、意匠板18の振動によるビビリ音を低減し、耐久性を向上すべく、キャリパ5に係合溝16,17を設けると共に意匠板18に係合爪22,23を設け、意匠板18の係合爪22,23をキャリパ5の係合溝16,17に係合させる(引っかける)ことにより、意匠板18をキャリパ5に弾性力で支持(固定)している。これにより、振動の吸収効果(減衰効果)を得ることができる。
即ち、意匠板18は、キャリパ5の爪部12のアウタ側を覆うものである。この場合、意匠板18は、ロードホイールの隙間からキャリパ5の爪部12が直接的に見えないように、この爪部12に覆いかぶさるようにキャリパ5に対して支持されている。実施形態では、キャリパ5には、合計4個の意匠板支持用係合溝16,17が形成されている。即ち、キャリパ5の爪部12には、一対の意匠板支持用係合溝16,16が形成されており、キャリパ5のブリッジ部9には、一対の意匠板支持用係合溝17が形成されている。より具体的には、図1,3に示すように、キャリパ5の爪部12には、ディスク周方向の外側(回出側)の側面にそれぞれ位置して意匠板支持用係合溝16,16が形成されている。また、図1,2,4に示すように、キャリパ5のブリッジ部9の各貫通孔10,10には、ディスク軸方向のアウタ側の内面に位置して意匠板支持用係合溝17が形成されている。
一方、意匠板18には、キャリパ5の意匠板支持用係合溝16,17にそれぞれ係合する係合爪22,23が設けられている。そして、意匠板18は、係合爪22,23をキャリパ5の意匠板支持用係合溝16,17に係合させることにより、キャリパ5に対して支持されている。即ち、意匠板18の係合爪22,23とキャリパ5の意匠板支持用係合溝16,17とを弾性的に係合させている。
ここで、意匠板18は、キャリパ5の爪部12をディスク軸方向のアウタ側から覆う正面部19と、キャリパ5のブリッジ部9をディスク径方向の外側(外径側)から覆う平面部20と、これら正面部19と平面部20とを接続する湾曲部21とを備えている。正面部19は、爪部12のアウタ側でディスク径方向およびディスク周方向に延びる板状に形成されている。平面部20は、正面部19のディスク径方向の外側から湾曲部21を介してディスク軸方向のインナ側に向けて延びている。平面部20は、ブリッジ部9のディスク径方向の外側でディスク軸方向およびディスク周方向に延びる板状に形成されている。この場合、平面部20は、キャリパ5の爪部12側からブリッジ部9の貫通孔10,10の手前までディスク軸方向に延びている。
正面部19には、ディスク周方向の外側に位置して一対の係合爪22,22が設けられている。係合爪22,22は、正面部19のディスク周方向の外側の端縁からディスク軸方向のインナ側に向けて延び、その先端側は、ディスク周方向の内側(回入側)かつディスク軸方向のアウタ側に向けてU字状に折り返されている。そして、折り返された部分よりも先端側が、キャリパ5の爪部12のうちディスク周方向の外側(回出側)の側面に設けられた意匠板支持用係合溝16,16に係合されている。
また、平面部20には、ディスク軸方向のインナ側に位置して一対の係合爪23,23が設けられている。係合爪23,23は、平面部20のディスク軸方向のインナ側の端縁からさらにインナ側に向けて延び、その先端側は、ディスク軸方向のアウタ側かつディスク径方向の内側に向けてU字状に折り返されている。また、折り返された部分よりも先端側は、さらにディスク径方向の外側に向けて略直角に折り曲げられている。そして、折り曲げられた部分よりも先端側が、キャリパ5のブリッジ部9の貫通孔10のうちディスク軸方向のアウタ側の内面に設けられた意匠板支持用係合溝17に係合されている。
実施形態では、意匠板18の正面部19に設けられた係合爪22,22は、キャリパ5の意匠板支持用係合溝16,16に係合されている。これら係合爪22,22と意匠板支持用係合溝16,16との係合部は、意匠板18がディスク周方向に変位するのを阻止する周方向係合部となっている。また、意匠板18の平面部20に設けられた係合爪23,23は、キャリパ5の意匠板支持用係合溝17に係合されている。これら係合爪23,23と意匠板支持用係合溝17との係合部は、意匠板18がディスク軸方向に変位するのを阻止する軸方向係合部となっている。このように、実施形態では、意匠板18の係合爪22,23とキャリパ5の意匠板支持用係合溝16,17との係合部は、意匠板18がディスクDの周方向に変位するのを阻止する周方向係合部と、意匠板18がディスクDの軸方向に変位するのを阻止する軸方向係合部とを備えている。意匠板支持用係合溝16,17のうち意匠板支持用係合溝16,16は、「意匠板支持用周方向係合溝」に対応し、係合爪22,23のうち係合爪22,22は、「周方向係合爪」に対応する。また、意匠板支持用係合溝16,17のうち意匠板支持用係合溝17は、「意匠板支持用軸方向係合溝」に対応し、係合爪22,23のうち係合爪23,23は、「軸方向係合爪」に対応する。
第1の実施形態によるディスクブレーキ1は、上述の如き構成を有するもので、次にその動作について説明する。
まず、車両のブレーキ操作時には、キャリパ5のシリンダ7にブレーキ液圧を供給することによりピストン13をディスクDに向けて摺動変位させ、これによりインナパッド14をディスクDの一側面に押圧する。このとき、キャリパ5がディスクDからの押圧反力を受けることにより、キャリパ5全体が取付部材2の腕部2A,2Aに対してインナ側に摺動変位し、キャリパ5の爪部12がアウタパッド15をディスクDの他側面に押圧する。
これにより、インナパッド14およびアウタパッド15は、車輪と共に回転するディスクDを、両者の間で軸方向両側から強く挟持することができ、ディスクDに制動力を付与することができる。そして、ブレーキ操作を解除したときには、シリンダ7への液圧供給が停止されることにより、インナパッド14とアウタパッド15とがディスクDから離間し、再び非制動状態に復帰する。
ここで、第1の実施形態によれば、キャリパ5の爪部12のアウタ側は、意匠板18によって覆われている。この場合、意匠板18は、意匠板18の係合爪22,23をキャリパ5の意匠板支持用係合溝16,17に係合させることにより、キャリパ5に対して弾性的に支持(弾性力で固定)されている。即ち、係合爪22,23と意匠板支持用係合溝16,17とを弾性的に係合させている。これにより、意匠板18の振動を低減(吸収、減衰)することができる。より具体的には、意匠板18のビビリ音を低減でき、かつ、振動に起因する耐久性の低下を抑制できる。しかも、キャリパ5の基本形状を変更する必要がないため、意匠板18によるキャリパ性能への影響を抑制できる。また、レイアウトへの影響も抑制することができるため、車両レイアウトを大きく変更する必要もない。
また、車両に取付けられたディスクブレーキ1をメンテナンスするとき(例えば、摩擦パッドであるインナパッド14、アウタパッド15を交換するとき)に、意匠板18を取外すことも可能である。このため、意匠板18を取外した後は、通常のキャリパ(意匠板を備えていないキャリパ)と同様の作業を行うことが可能である。
さらに、意匠板18は、キャリパ5に対して、係合爪22,23と意匠板支持用係合溝16,17との係合のみで支持されている。このため、例えば、一部をねじ止め固定する構成と比較して、意匠板18のさらなる振動の低減、外観性のさらなる向上が可能になる。いずれにしても、ベース製品(従来品)からの形状変更の規模を少なくでき、生産性を損なわず、外観性を向上することができる。
第1の実施形態によれば、意匠板18は、意匠板18の正面部19の係合爪22,22と意匠板支持用係合溝16,16との係合部(周方向係合部)と、意匠板18の平面部20の係合爪23,23と意匠板支持用係合溝17との係合部(軸方向係合部)とにより、キャリパ5に支持されている。このため、意匠板18をキャリパ5に対して係合爪22,23のみで支持する構成を採用しても(即ち、意匠板をねじ止め固定しなくても)、意匠板18をキャリパ5に対して安定的に支持することができる。これにより、意匠板18の安定的な支持と意匠板18の振動の低減とを高い次元(レベル)で両立させることができる。
次に、図9ないし図14は、第2の実施形態を示している。第2の実施形態の特徴は、意匠板をキャリパに対して、「係合爪と係合溝との係合」と「ねじを用いたねじ止め」とにより支持する構成としたことにある。なお、第2の実施形態では、第1の実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略する。
キャリパ31には、一対の意匠板支持用係合溝32と一対の雌ねじ穴33とが形成されている。即ち、前述の第1の実施形態では、キャリパ5に合計4個の意匠板支持用係合溝16,17が形成されていた。これに対して、第2の実施形態のキャリパ31には、4個の意匠板支持用係合溝16,17に代えて、一対の意匠板支持用係合溝32と一対の雌ねじ穴33とが形成されている。
より具体的に説明すると、キャリパ31の爪部12は、先端側が三又状に分かれた三つの爪片12A,12B,12Cにより構成されている。そして、図10に示すように、キャリパ31の爪部12の基端側、換言すれば、隣り合う爪片12A,12B,12Cの間には、それぞれディスク径方向の内側面に開口するように意匠板支持用係合溝32が形成されている。また、図9および図11に示すように、キャリパ31のブリッジ部9のうち各貫通孔10から外れた部位、即ち、ブリッジ部9のディスク周方向の両端側には、それぞれディスク径方向の内側に向けて延びる雌ねじ穴33が形成されている。雌ねじ穴33には、固定ねじ34,34が螺合される。
一方、意匠板35には、キャリパ31の意匠板支持用係合溝32にそれぞれ係合する係合爪39が設けられている。また、意匠板35には、キャリパ31の雌ねじ穴33に対応する位置にねじ止め片40,40が設けられている。ねじ止め片40,40には、このねじ止め片40,40をブリッジ部9に押さえ付けるための固定ねじ34,34が挿通される挿通孔40A,40A(図11、図13)が形成されている。そして、意匠板35は、係合爪39をキャリパ31の意匠板支持用係合溝32に係合させることにより、キャリパ31に対して支持されている。これと共に、意匠板35は、ねじ止め片40,40の挿通孔40A,40Aに挿通されると共にキャリパ31の雌ねじ穴33に螺合された固定ねじ34,34によりねじ止め片40,40がブリッジ部9に固定されることにより、キャリパ31に対して支持されている。
ここで、意匠板35は、キャリパ31の爪部12をディスク軸方向のアウタ側から覆う正面部36と、キャリパ31のブリッジ部9をディスク径方向の外側(外径側)から覆う平面部37と、これら正面部36と平面部37とを接続する湾曲部38とを備えている。正面部36は、爪部12のアウタ側でディスク径方向およびディスク周方向に延びる板状に形成されている。平面部37は、正面部36のディスク径方向の外側から湾曲部38を介してディスク軸方向のインナ側に向けて延びている。平面部37は、ブリッジ部9のディスク径方向の外側でディスク軸方向およびディスク周方向に延びる板状に形成されている。この場合、平面部37は、キャリパ31の爪部12側からブリッジ部9の貫通孔10,10の手前までディスク軸方向に延びている。
正面部36には、ディスク径方向の内側に位置して一対の係合爪39が設けられている。係合爪39は、正面部36のディスク径方向の内側の端縁からディスク軸方向のインナ側に向けて延び、その先端側は、ディスク径方向の外側かつディスク軸方向のアウタ側に向けて折り曲げられている。そして、折り曲げられた部分よりも先端側が、キャリパ31の爪部12の基端側(隣り合う爪片12A,12B,12Cの間)に設けられた意匠板支持用係合溝32に係合されている。
また、平面部37には、ディスク軸方向のインナ側に位置して一対のねじ止め片40,40が設けられている。ねじ止め片40,40は、平面部37のディスク周方向の両端側でディスク軸方向のインナ側の端縁からさらにインナ側に向けて延び、その中央部には、固定ねじ34,34が挿通される挿通孔40A,40Aが形成されている。ねじ止め片40,40は、キャリパ31の雌ねじ穴33に螺合された固定ねじ34,34によりブリッジ部9に固定される。
第2の実施形態は、上述の如き意匠板35によりキャリパ31の爪部12を覆うもので、その基本的作用については、第1の実施形態によるものと格別差異はない。即ち、第2の実施形態も、第1の実施形態と同様に、係合爪39と意匠板支持用係合溝32とを弾性的に係合させることにより、意匠板35の振動を低減することができる。意匠板支持用係合溝32は、「意匠板支持用軸方向係合溝」に対応し、係合爪39は、「軸方向係合爪」に対応する。また、第2の実施形態によれば、固定ねじ34,34を用いることにより、意匠板35の支持強度を向上することができる。しかも、固定ねじ34,34を螺合する雌ねじ穴33は、ブリッジ部9の上部(ディスク径方向の外側)の平坦位置に設けられているため、例えば、雌ねじ穴33の加工を容易に行うことができる。また、固定ねじ34,34の取外し、延いては、意匠板35の取外しも容易に行うことができる。これにより、従来技術と比較して、生産性(加工性、組立性)を向上することもできる。
次に、図15ないし図17は、第3の実施形態を示している。第3の実施形態の特徴は、第1の実施形態の意匠板の支持構造(即ち「係合爪と係合溝との係合」)に「ねじを用いたねじ止め」を付加した構成としたことにある。なお、第3の実施形態では、第1の実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略する。
キャリパ41には、第1の実施形態のキャリパ5と同様に意匠板支持用係合溝16,17(図3,4参照)が形成されていることに加えて、一対の雌ねじ穴42(図16参照)も形成されている。即ち、前述の第1の実施形態では、キャリパ5に合計4個の意匠板支持用係合溝16,17が形成されていた。これに対して、第3の実施形態のキャリパ41には、4個の意匠板支持用係合溝16,17に加えて、一対の雌ねじ穴42も形成されている。ここで、雌ねじ穴42は、キャリパ41のブリッジ部9に形成されている。より具体的には、図15および図16に示すように、キャリパ41のブリッジ部9のうち各貫通孔10から外れた部位、即ち、ブリッジ部9のディスク周方向の両端側には、それぞれディスク径方向の内側に向けて延びる雌ねじ穴42が形成されている。雌ねじ穴42には、固定ねじ43,43が螺合される。
一方、意匠板18には、キャリパ41の意匠板支持用係合溝16,17にそれぞれ係合する係合爪22,23が設けられている。これに加えて、意匠板18の平面部20には、キャリパ41の雌ねじ穴42に対応する位置に、固定ねじ43,43が挿通される挿通孔20A,20A(図16、図17)が形成されている。そして、意匠板18は、係合爪22,23をキャリパ41の意匠板支持用係合溝16,17に係合させることにより、キャリパ41に対して支持されている。これと共に、意匠板18は、平面部20の挿通孔20A,20Aに挿通されると共にキャリパ41の雌ねじ穴42に螺合された固定ねじ43,43により平面部20がブリッジ部9に固定されることにより、キャリパ41に対して支持されている。
第3の実施形態は、上述の如き意匠板18によりキャリパ41の爪部12を覆うもので、その基本的作用については、第1の実施形態によるものと格別差異はない。即ち、第3の実施形態も、第1の実施形態と同様に、係合爪22,23と意匠板支持用係合溝16,17とを(弾性的に)係合させることにより、意匠板の振動を低減することができる。しかも、第2の実施形態と同様に、固定ねじ43,43を用いることにより、意匠板18の支持強度を向上することができる。しかも、固定ねじ43,43を螺合する雌ねじ穴42は、ブリッジ部9の上部(ディスク径方向の外側)の平坦位置に設けられているため、生産性(加工性、組立性)も確保することができる。
次に、図18ないし図23は、第4の実施形態を示している。第4の実施形態の特徴は、意匠板に係合爪と周方向抑え部とを設けると共に、意匠板の平面部をねじを用いてねじ固定する構成としたことにある。なお、第4の実施形態では、第1の実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略する。
キャリパ51には、一対の意匠板支持用係合溝52と一対の雌ねじ穴53とが形成されている。即ち、図19に示すように、キャリパ51のインナ脚部6の背面、換言すれば、ディスク軸方向のインナ側面には、ディスク周方向に離間して一対の意匠板支持用係合溝52が形成されている。また、図18および図20に示すように、キャリパ51のブリッジ部9のうち各貫通孔10よりもディスク軸方向のインナ側となる位置には、それぞれディスク径方向の内側に向けて延びる雌ねじ穴53がディスク周方向に離間して形成されている。雌ねじ穴53には、固定ねじ54,54が螺合される。
一方、意匠板55には、キャリパ51の意匠板支持用係合溝52にそれぞれ係合する係合爪59が設けられている。また、意匠板55には、キャリパ51のディスク軸方向に延びる側面に当接する周方向抑え部60が設けられている。さらに、意匠板55の平面部57には、キャリパ51の雌ねじ穴53に対応する位置に、固定ねじ54,54が挿通される挿通孔57A,57A(図20、図22)が形成されている。そして、意匠板55は、係合爪59をキャリパ51の意匠板支持用係合溝52に係合させることにより、キャリパ51に対して支持されている。これと共に、意匠板55は、周方向抑え部60がキャリパ51の側面に当接することにより、周方向に位置決めされている。さらに、意匠板55は、平面部57の挿通孔57A,57Aに挿通されると共にキャリパ51の雌ねじ穴53に螺合された固定ねじ54,54により平面部57がブリッジ部9に固定されることにより、キャリパ51に対して支持されている。
ここで、意匠板55は、キャリパ51の爪部12をディスク軸方向のアウタ側から覆う正面部56と、キャリパ51のブリッジ部9をディスク径方向の外側(外径側)から覆う平面部57と、これら正面部56と平面部57とを接続する湾曲部58とを備えている。正面部56は、爪部12のアウタ側でディスク径方向およびディスク周方向に延びる板状に形成されている。平面部57は、正面部56のディスク径方向の外側から湾曲部58を介してディスク軸方向のインナ側に向けて延びている。平面部57は、ブリッジ部9のディスク径方向の外側でディスク軸方向およびディスク周方向に延びる板状に形成されている。この場合、平面部57は、キャリパ51の爪部12側から貫通孔10,10を覆うようにブリッジ部9を超えてインナ脚部6の中間位置までディスク軸方向に延びている。
正面部56のディスク径方向の内側の端縁は、ディスク軸方向のインナ側に向けて突出する突出部56Aとなっている。一方、平面部57には、ディスク軸方向のインナ側に位置して一対の係合爪59が設けられている。係合爪59は、平面部57のディスク軸方向のインナ側の端縁からさらにインナ側に向けて延び、その先端側は、ディスク軸方向のアウタ側かつディスク径方向の内側に向けてV字状に折り返されている。また、折り返された部分よりも先端側は、さらにディスク径方向の外側に向けて略直角に折り曲げられている。そして、折り曲げられた部分よりも先端側が、キャリパ51のインナ脚部6の側面に設けられた意匠板支持用係合溝52に係合されている。
また、平面部57のディスク周方向の両端側には、それぞれディスク径方向の内側に向けて延びる周方向抑え部60が設けられている。周方向抑え部60は、キャリパ51のディスク軸方向に延びる側面に当接することにより、意匠板55がディスク周方向に変位するのを阻止する(位置決めする)ものである。これにより、意匠板55には、キャリパ51の意匠板支持用係合溝52と係合する係合爪59とは別に、意匠板55がディスクDの周方向(回転方向)に変位するのを阻止する周方向抑え部60が設けられている。
さらに、平面部57には、キャリパ51の雌ねじ穴53に対応する位置に、固定ねじ54,54が挿通される挿通孔57A,57A(図20、図22)が形成されている。意匠板55は、平面部57の挿通孔57A,57Aに挿通されると共にキャリパ51の雌ねじ穴53に螺合された固定ねじ54,54により平面部57がブリッジ部9に固定されることにより、キャリパ51に対して支持されている。
第4の実施形態は、上述の如き意匠板55によりキャリパ51の爪部12を覆うもので、その基本的作用については、第1の実施形態によるものと格別差異はない。即ち、第4の実施形態も、第1の実施形態と同様に、係合爪59と意匠板支持用係合溝52とを(弾性的に)係合させることにより、意匠板55の振動を低減することができる。意匠板支持用係合溝52は、「意匠板支持用軸方向係合溝」に対応し、係合爪59は、「軸方向係合爪」に対応する。また、第2の実施形態と同様に、固定ねじ54,54を用いることにより、意匠板55の支持強度を向上すること、および、生産性(加工性、組立性)も確保することができる。さらに、意匠板55の周方向抑え部60により意匠板55がディスク周方向に変位するのを阻止することができる。これにより、この面からも、意匠板55をキャリパ51に対して安定的に支持することができる。
次に、図24および図25は、第5の実施形態を示している。第5の実施形態の特徴は、意匠板を係合爪と周方向抑え部とによりキャリパに支持する構成としたことにある。なお、第5の実施形態では、第1の実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略する。
キャリパ61には、合計4個の意匠板支持用係合溝62,63が形成されている。即ち、キャリパ61の爪部12には、一対の意匠板支持用係合溝62が形成されており、キャリパ61のインナ脚部6には、一対の意匠板支持用係合溝63が形成されている。より具体的には、図25に示すように、キャリパ61の爪部12の基端側、換言すれば、隣り合う爪片12A,12B,12Cの間には、それぞれディスク径方向の内側面に開口するように意匠板支持用係合溝62が形成されている。また、図25に示すように、キャリパ61のインナ脚部6の背面、換言すれば、ディスク軸方向のインナ側面には、ディスク周方向に離間して一対の意匠板支持用係合溝63が形成されている。
一方、意匠板64には、キャリパ61の意匠板支持用係合溝62,63にそれぞれ係合する係合爪68,69が設けられている。また、意匠板64には、キャリパ61のディスク軸方向に延びる側面に当接する周方向抑え部70が設けられている。そして、意匠板64は、係合爪68,69をキャリパ61の意匠板支持用係合溝62,63に係合させることにより、キャリパ61に対して支持されている。これと共に、意匠板64は、周方向抑え部70がキャリパ61の側面に当接することにより、周方向に位置決めされている。
ここで、意匠板64は、キャリパ61の爪部12をディスク軸方向のアウタ側から覆う正面部65と、キャリパ61のブリッジ部9をディスク径方向の外側(外径側)から覆う平面部66と、これら正面部65と平面部66とを接続する湾曲部67とを備えている。正面部65は、爪部12のアウタ側でディスク径方向およびディスク周方向に延びる板状に形成されている。平面部66は、正面部65のディスク径方向の外側から湾曲部67を介してディスク軸方向のインナ側に向けて延びている。平面部66は、ブリッジ部9のディスク径方向の外側でディスク軸方向およびディスク周方向に延びる板状に形成されている。この場合、平面部66は、キャリパ61の爪部12側から貫通孔10,10を覆うようにブリッジ部9を超えてインナ脚部6の中間位置までディスク軸方向に延びている。
正面部65には、ディスク径方向の内側に位置して一対の係合爪68が設けられている。係合爪68は、正面部65のディスク径方向の内側の端縁からディスク軸方向のインナ側に向けて延び、その先端側は、ディスク径方向の外側かつディスク軸方向のアウタ側に向けて折り曲げられている。そして、折り曲げられた部分よりも先端側が、キャリパ61の爪部12の基端側(隣り合う爪片12A,12B,12Cの間)に設けられた意匠板支持用係合溝62に係合されている。
平面部66には、ディスク軸方向のインナ側に位置して一対の係合爪69が設けられている。係合爪69は、平面部66のディスク軸方向のインナ側の端縁からさらにインナ側に向けて延び、その先端側は、ディスク軸方向のアウタ側かつディスク径方向の内側に向けてV字状に折り返されている。また、折り返された部分よりも先端側は、さらにディスク径方向の外側に向けて略直角に折り曲げられている。そして、折り曲げられた部分よりも先端側が、キャリパ61のインナ脚部6の側面に設けられた意匠板支持用係合溝63に係合されている。
また、平面部66のディスク周方向の両端側には、それぞれディスク径方向の内側に向けて延びる周方向抑え部70が設けられている。周方向抑え部70は、キャリパ61のディスク軸方向に延びる側面に当接することにより、意匠板64がディスク周方向に変位するのを阻止する(位置決めする)ものである。これにより、意匠板64には、キャリパ61の意匠板支持用係合溝62,63と係合する係合爪68,69とは別に、意匠板64がディスク周方向に変位するのを阻止する周方向抑え部70が設けられている。
第5の実施形態は、上述の如き意匠板64によりキャリパ61の爪部12を覆うもので、その基本的作用については、第1の実施形態によるものと格別差異はない。即ち、第5の実施形態も、第1の実施形態と同様に、係合爪68,69と意匠板支持用係合溝62,63とを(弾性的に)係合させることにより、意匠板64の振動を低減することができる。意匠板支持用係合溝62,63は、「意匠板支持用軸方向係合溝」に対応し、係合爪68,69は、「軸方向係合爪」に対応する。また、意匠板64の周方向抑え部70により意匠板64がディスク周方向に変位するのを阻止することができる。これにより、この面からも、意匠板64をキャリパ61に対して安定的に支持することができる。
なお、前述の第1の実施形態では、キャリパ5のインナ脚部6に2個のピストン13を設けるツインボアの構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、キャリパのインナ脚部に1個のピストンを設けるシングルボアの構成としてもよいし、キャリパのインナ脚部に3個以上のピストンを設ける構成としてもよい。このことは、第2の実施形態ないし第5の実施形態についても同様である。また、各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることは言うまでもない。
以上説明した実施形態に基づくディスクブレーキとして、例えば下記に述べる態様のものが考えられる。
第1の態様としては、車輪と共に回転するディスクの外周側を跨いで配置され、インナ側にピストンが挿嵌されるシリンダを有すると共にアウタ側に爪部を有するキャリパと、前記キャリパのインナ側から前記ピストンによって前記ディスクに押圧されるインナ側摩擦パッドと、前記キャリパのアウタ側から前記爪部によって前記ディスクに押圧されるアウタ側摩擦パッドと、前記キャリパの前記爪部のアウタ側を覆う意匠板と、を備えてなるディスクブレーキにおいて、前記キャリパには、意匠板支持用係合溝が形成されており、前記意匠板には、前記意匠板支持用係合溝に係合する係合爪が設けられており、前記意匠板は、前記係合爪を前記キャリパの前記意匠板支持用係合溝に係合させることにより、前記キャリパに対して支持されている。
この第1の態様によれば、意匠板の係合爪をキャリパの意匠板支持用係合溝に係合させることにより、意匠板をキャリパに対して弾性的に支持(弾性力で固定)することができる。これにより、意匠板の振動を低減することができる。より具体的には、意匠板のビビリ音を低減でき、かつ、振動に起因する耐久性の低下を抑制できる。しかも、キャリパの基本形状を変更する必要がないため、意匠板によるキャリパ性能への影響を抑制できる。また、レイアウトへの影響も抑制することができるため、車両レイアウトを大きく変更する必要もない。また、車両に取付けられたディスクブレーキをメンテナンスするとき(例えば、摩擦パッドを交換するとき)に、意匠板を取外すことも可能である。このため、意匠板を取外した後は、通常のキャリパ(意匠板を備えていないキャリパ)と同様の作業を行うことが可能である。さらに、意匠板をキャリパに対して、係合爪と意匠板支持用係合溝との係合のみで支持することも可能である。この場合には、意匠板のさらなる振動の低減、外観性のさらなる向上が可能になる。いずれの場合も、ベース製品(従来品)からの形状変更の規模が少ないため、生産性を損なわず、外観性を向上することができる。
第2の態様としては、第1の態様において、前記意匠板の前記係合爪と前記キャリパの前記意匠板支持用係合溝との係合部は、前記意匠板が前記ディスクの周方向に変位するのを阻止する周方向係合部と、前記意匠板が前記ディスクの軸方向に変位するのを阻止する軸方向係合部とを備えている。
この第2の態様によれば、周方向係合部と軸方向係合部とを備えているため、例えば、これらの係合部のみで意匠板をキャリパに支持する場合でも、意匠板をキャリパに対して安定的に支持することができる。これにより、意匠板の安定的な支持と意匠板の振動の低減とをより高い次元(レベル)で両立させることができる。
第3の態様としては、第1の態様において、前記意匠板には、前記キャリパの前記意匠板支持用係合溝と係合する係合爪とは別に、前記意匠板が前記ディスクの周方向に変位するのを阻止する周方向抑え部が設けられている。
この第3の態様によれば、意匠板の周方向抑え部により意匠板がディスクの周方向に変位するのを阻止することができる。これにより、意匠板をキャリパに対して安定的に支持することができる。