JPH0126508Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は自動車等の車両のシートサスペンシヨ
ンに使用して好適な体重調整装置に関する。

従来の技術 従来、自動車等のシートにおいては、シートを
弾性的に支持することによつて振動の吸収を図る
ようにしたいわゆるシートサスペンシヨン装置を
備えたものが数多く実施されているが、最近この
シートサスペンシヨンにおいては体重の異なる乗
員が着席した場合も常に一定のシートの支持高さ
を得るための体重調整装置を備えたものが提案さ
れている。

従来のこの種のシートサスペンシヨンの体重調
整装置の一例を第５図によつて説明するに、１は
アツパーフレーム、２はロアフレームであつて、
このアツパーフレーム１とロアフレーム２とはＸ
形状をなした左右一対のリンク３，３によつて上
下方向に揺動可能に連結されている。

このＸ形リンク３は周知のように、２本のリン
ク体４及び５が、そのほぼ中央において軸６によ
り回動自在に枢支されたもので、これらのＸ形リ
ンク３の夫々の後方側（又は前方側でもよい）の
上端５ａがアツパーフレーム１に対して軸７によ
り回動自在に取付けられ、下端４ｂがロアフレー
ム２に対して軸８により回動自在に取付けられ、
かかるＸ形リンク３の夫々の前方側（又は後方側
でもよい）の下端５ｂが、ロアフレーム２に対し
てコロ９等により前後動可能なように摺動自在に
取付けられている。又Ｘ形リンク３の前方側の上
端４ａ同志は、互いに差し渡たされたフレーム１
０により互いに連結され、これにより、アツパー
フレーム１の前方部分を下方より支持するように
している。

又Ｘ形リンク３の後方側の上端５ａ同志もフレ
ーム１１により連結され、これに夫々一対のスプ
リング１２の夫々の一端が係止されている。

そしてアツパーフレーム１に枢軸１３を介して
ベルクランク１４が回動自在に取付けられてお
り、その一端は、横方向に延長された調整軸１５
に係合し、他端は、引張りフレーム１６の一端
に、軸１７により回動自在に連結されている。又
この引張りフレーム１６は、イコライザフレーム
１８に対して軸１９を中心として回動できるよう
に連結されており、上述した一対のスプリング１
２の他端は夫々このイコライザフレーム１８の両
端に係止されている。

尚調整軸１５は、この例では回動軸として構成
され、これには、その一部にねじ溝２０が形成さ
れており、これにナツト２１が噛合されており、
上述したベルクランク１４の一端がこのナツト２
１に係合されている。

又、このような装置のほぼ中央には、シヨツク
アブソーバ２２が配置され、その一端がロアフレ
ーム２の後方側の辺に回動自在に取付けられ、他
端が、フレーム１０に回動自在に取付けられてい
る。

そして調整軸１５を回動操作してナツト２１を
進退させることによりベルクランク１４、引張フ
レーム１６を介して引張スプリング１２の張力を
可変して、体重の異なる乗員が着席した場合にも
アツパーフレーム１が常に一定の高さに支持され
るように調整を行なう。

考案が解決しようとする問題点 しかしながら従来のこのような構成によれば、
一対の引張りスプリング１２間を大きく採れない
だけでなく、調整機構としてねじ軸とナツトブロ
ツクによるねじ機構を採用しているため、その調
整時に、例えば50Kg乃至100Kgまでの間に回動調
整軸１５を相当数回動（手動による）させなけれ
ばならず、操作性が極めて悪く、またこのときの
操作力も100Kgに向つて調整する程重くなり、実
際上、自動車のドアを閉めた状態ではその調整操
作が不能である欠点を有する。

また、調整機構はアツパーフレーム１側に配設
されているので、アツパーフレーム１の上面に直
接シート本体のクツシヨン体を取付ると着座時に
クツシヨン体が調整機構に干渉し異物感を感じる
ため、アツパーフレーム１の上面に更に別体のク
ツシヨンフレームを取付け、このクツシヨンフレ
ーム上にクツシヨン体を載置する構成を採らねば
ならず、このため重量及び厚みが増してしまい、
普通乗用車の如き限られたスペース内には適用が
困難であつた。

そこで本考案は斯る点に鑑みてなされたもの
で、簡単な操作で調整が可能で、しかも軽量化及
び薄形化を図つたシートサスペンシヨンの体重調
整装置を提供することを目的とする。

問題を解決するための手段 本考案は上述の目的を達成するために、アツパ
ーフレーム３１とロアフレーム３２とを左右一対
の前部リンク３３及び後部リンク３４によつて上
下方向に揺動可能に連結し、ロアフレーム３２の
両側部間に回動軸４１を軸支してその両端部にピ
ニオンギヤ４２を一体に取り付けると共に、この
ピニオンギヤ４２に、ロアフレーム３２に対して
上下方向に回動自在に取り付けられたセクタギヤ
４３を噛み合わせ、このセクタギヤ４３の枢着点
から延長される突出片部４３ｂと、前部リンク４
３のロアフレーム３２側軸支部と一体に回動する
アーム３９の端部との間に引張スプリング４５を
架け渡し、かつ回動軸４１の一端をロアフレーム
３２側に備えられたロツク装置４８に連結してな
るものである。

作 用 上述の手段は次のように作用する。

ロツク装置４８の操作レバー４８ｂの操作によ
つて回動軸４１と一体にピニオンギヤ４２を回転
させると、これと噛み合つているセクタギヤ４３
が回動され、これによつて引張スプリング４５の
張力が変化することにより前部リンク３３が回動
されてアツパーフレーム３１の支持高さが可変さ
れる状態となる。

実施例 以下、第１図〜第４図を参照しながら本考案の
実施例を説明する。

図において３０は本考案が適用されるシートサ
スペンシヨンを全体として示し、３１はシート体
が取付けられるアツパーフレーム、３２は床面側
に固定されるロアフレームで、これらアツパーフ
レーム３１とロアフレーム３２とはその前後に一
対ずつ配される前部リンク３３，３３及び後部リ
ンク３４，３４によつて連結されている。即ち、
ロアフレーム３２の両側部の前端部間にはロツド
３５が軸支されており、このロツド３５の両端部
に前部リンク３３，３３が、夫々一端部において
固着され、他端部はアツパーフレーム３１の両側
部の前端に軸ピン３６，３６によつて枢着されて
いる。また後部リンク３４，３４は夫々一端部が
ロアフレーム３２の両側部の後端に、他端部がア
ツパーフレーム３１の両側部の後端に夫々軸ピン
３７，３７及び３８，３８によつて枢着されてお
り、これによつてアツパーフレーム３１、前部リ
ンク３３、ロアフレーム３２及び後部リンク３４
によつて平行リンク機構Ｌが構成されてアツパー
フレーム３１はロアフレーム３２に対しその両側
に配される平行リンク機構Ｌ，Ｌによつて平行状
態を保ちながら高さが可変する如くなされてい
る。

また、ロツド３５には前部リンク３３，３３に
夫々隣接してアーム３９，３９が、その一端部に
おいて前部リンク３３，３３に対し後方に向つて
略直角に固着されている。このアーム３９，３９
は夫々対向した両アーム部材３９ａ，３９ｂによ
つて構成されており、その他端部間には後述する
引張スプリングの一端が係止されるピン４０，４
０が軸支されている。

またロアフレーム３２の両側部の中間部間には
回動軸４１が軸支され、この回動軸４１の両端部
にピニオンギヤ４２，４２が一体に嵌着されてい
る。

そしてさらにロアフレーム３２の両側部には回
動軸４１の軸支部より後方においてセクタギヤ４
３，４３が軸ピン４４，４４によつて上下方向に
回動自在に軸支されており、夫々ギヤ面４３ａ，
４３ａがピニオンギヤ４２，４２に噛合してい
る。

このセクタギヤ４３，４３にはそのロアフレー
ム３２に対する軸支部よりギヤ面４３ａ，４３ａ
と反対方向に延長された突出片部４３ｂ，４３ｂ
が形成されており、この突出片部４３ｂ，４３ｂ
の先端部と上述したアーム３９，３９のピン４
０，４０との間には引張スプリング４５，４５が
張架されている。

またこの引張スプリング４５，４５と並行して
アブソーバ４６，４６が配され、夫々前端はアー
ム３９，３９に軸支されたピン４０，４０の延長
端部に、後端はロアフレーム３２の両側面部の中
間部間に横架されたフレーム３２ａに夫々上下方
向に回動可能に連結されている。

またロアフレーム３２の一側部はその前部にお
いて下縁折曲部が外側方向に延長され、この延長
部にブラケツト４７が垂直に固着されてこのブラ
ケツト４７にロツク装置４８が回動可能に取付け
られており、このロツク装置４８に回動軸４１の
一端が連結されている。

このロツク装置４８は従来周知のものでその詳
細な説明を省略するも、ロツク装置本体４８ａに
対し出没自在に操作レバー４８ｂが備えられてお
り、この操作レバー４８ｂが引込んだ状態ではロ
ツク装置本体４８ａはブラケツト４７に対しロツ
クされた状態にあり、操作レバー４８ｂを引き出
すことによりブラケツト４７に対してロツク装置
本体４８ａが回動可能となり、この状態で操作レ
バー４８ｂを回動操作することによりロツク装置
本体４８ａと共に回動軸４１が回動する如くなさ
れている。

また、ロアフレーム３２の両側部の後部上面に
はアツパーフレーム３１が最下位置に設定された
際の衝撃を吸収するためのストツパーラバー４
９，４９が取り付けられている。

そしてさらにシートサスペンシヨン３０の後部
にはストツパー機構５０が備えられている。

即ち、後部リンク３４，３４と同軸にストツパ
ープレート５１，５１が夫々下端部において前後
方向に回動可能に軸支され、その上部後端縁には
切欠状の係合部５１ａ，５１ａが形成されてお
り、この係合部５１ａ，５１ａに対応してアツパ
ーフレーム３１の両側部の中間部には内面側に係
合ピン５２，５２が植設されている。両側のスト
ツパープレート５１，５１の中間部間にはロツド
５３が軸支され、このロツド５３の中央部にはリ
ンク片５４，５４ａ，５４ｂがその一端部におい
て嵌着されている。

また、このリンク片５４に対応して、ロアフレ
ーム３２の両側面部の中間部間に横架された支持
フレーム３２ａには、シヤフト５５が前後方向に
摺動自在に嵌挿支持されている。このシヤフト５
５は、支持フレーム３２ａの前側面部と止め輪５
６間に圧縮介挿されたスプリング５７によつて常
時後方向に偏倚されており、その後端部は上述の
リンク片５４の下端部に連結ピン５８によつて回
動可能に連結されている。

また、このシヤフト５５とリンク片５４の連結
においては、ストツパープレート５１，５１が係
合ピン５２，５２に係合した状態においてシヤフ
ト５５に対するリンク片５４の連結角度θが90゜、
即ちロツド５３と連結ピン５８が垂直方向に相対
するように設定してある。

そしてこのシヤフト５５の前端は、ロアフレー
ム３２の前側部に取り付けられた操作レバー５９
にワイヤ６０を介して連結されており、この操作
レバー５９の回動操作によつてシヤフト５５が前
後方向に摺動され、これと連結状態にあるストツ
パープレート５１，５１が前後方向に回動される
如くなされている。

また、アツパーフレーム３１においては、その
両側部の上面部に、パッド受け用のスプリングを
係止するための透孔６１が適宜間隔で複数形成さ
れており、また両側部の後端部にはシートバツク
のリクライニング装置を取り付けるためのナツト
６２，６２が固着されている。

以上のように構成される本例のシートサスペン
シヨンの体重調整装置は、乗員が着席するとその
荷重によつてアツパーフレーム３２が押し下げら
れ、乗員は引張スプリング４５，４５及びアブソ
ーバ４６，４６によつて適度な弾性をもつて支持
されることになる。尚この状態においてはストツ
パー機構５０のストツパープレート５１，５１は
その係合部５１ａ，５１ａが夫々アツパーフレー
ム３１の係合ピン５２，５２から離隔した状態に
ある。

そしてこの着席状態においては、乗員の体重に
よつてアツパーフレーム３１の変位量が異なるの
で、操作レバー４８ｂの起伏回動操作によつてピ
ニオンギヤ４２，４２を介してセクタギヤ４３，
４３を回動させ、その突出片部４３ｂ，４３ｂに
後端が係止されている引張スプリング４５，４５
の張力を可変し、その前端が係止されている前部
リンク３３，３３をそのロアフレーム側軸支部を
中心として起伏回動させることによりアツパーフ
レーム３１をロアフレーム３２に対し昇降させて
乗員が常に一定の高さに支持されるように調整す
る。

即ち、例えば体重の重い乗員が着席した場合に
は、その荷重によつて引張スプリング４５，４５
及びアブソーバ４６，４６が大きく引張られるた
めアツパーフレーム３１は通常より低い位置に設
定されることになるので、この着席状態で操作レ
バー４８ｂをロツク装置本体４８ａから引き出し
て上方へ持ち上げるように回動操作し、引張スプ
リング４５，４５を後方へ強く引張ることにより
乗員の体重に抗してアツパーフレーム３１を通常
の支持高さまで上昇させる。

またこれとは逆に体重の軽い乗員が着席した場
合にはアツパーフレーム３１は通常より高い支持
位置に設定されることになるので、この着席状態
で操作レバー４８ｂを下方へ押し下げるように回
動操作して引張スプリング４５，４５の引張力を
弱めることによりアツパーフレーム３１を通常の
支持高さまで下降させる。

このようにしてロツク装置４８の操作レバー４
８ｂを乗員の体重に応じて回動操作することによ
り、いかなる体重の乗員が着席した場合において
も常に一定の高さに支持することができる。

また、本装置のサスペンシヨン機能を停止しよ
うとする場合は、先ずアツパーフレーム３１を所
定の支持高さに設定して係合ピン５２，５２をス
トツパープレート５１，５１の係合部５１ａ，５
１ａに対応させた後、操作レバー５９の操作によ
つてシヤフト５５を介してストツパープレート５
１，５１を回動させてその係合部５１ａ，５１ａ
を係合ピン５２，５２に夫々係合させることによ
りアツパーフレーム３１はロアフレーム３２に対
し昇降不能にロツクされ、引張スプリング４５，
４５及びアブソーバ４６，４６による弾性支持が
停止される。

そしてこのロツク状態においては、ストツパー
プレート５１と、後部リンク３４と、アツパーフ
レーム３１の両側部の後部とによつてトラス構造
Ｔが構成されることになるので、アツパーフレー
ム３１はロアフレーム３２に対してより強固にロ
ツクされ、このためシートサスペンシヨン全体と
しての剛性が向上し、アツパーフレーム３１に強
い振動や大きな荷重が加わつた場合にも不測にロ
ツクが解除されることはない。

さらにこのロツク状態においては、リンク片５
４のシヤフト５５に対する連結角度が90゜、即ち
ロツド５３と連結ピン５８が垂直方向に相対する
ように設定されているため、アツパーフレーム３
１に過大負荷が加わり係合ピン５２，５２を介し
てストツパープレート５１，５１に外れ方向の力
が作用しても、その力はリンク片５４を介してシ
ヤフト５５の連結ピン５８に垂直に加わることに
なり、従つてシヤフト５５は摺動されないためス
トツパープレート５１，５１は係合ピン５２，５
２に対する係合が保持されることになるので、簡
単にロツクが解除されてしまうことはない。

以上のように本例のシートサスペンシヨンの体
重調整装置によれば、調整機構としてピニオンギ
ヤ４２とセクタギヤ４３による歯車機構を用いた
ことにより、操作レバー４８ｂの少ない操作量で
大きなアツパーフレーム３１の変位量を得ること
ができ、またこれら調整機構等は全てロアフレー
ム３２側に配したことによりアツパーフレーム３
１の中央部に空間が生じ、このためアツパーフレ
ーム３１に直接クツシヨン体を取り付けてもクツ
シヨン体が調整機構に干渉することはなく、従つ
て従来のようにアツパーフレーム３１上に別体の
クツシヨンフレームを配する必要がないのでシー
ト全体の軽量化及び薄形化を図れる利点がある。

尚、本例においては前部リンク３３，３３と一
体に回動するアーム３９，３９を設け、このアー
ム３９，３９とセクタギヤ４３，４３の突出片部
間に引張スプリング４５，４５を張設してある
が、これに限らず例えばセクタギヤ４３，４３の
中央部と後部リンク３４，３４間に張設するよう
にしてもよい。

考案の効果 以上の如く本考案のシートサスペンシヨンの体
重調整装置によれば、調整機構としてピニオンギ
ヤとセクタギヤによる歯車機構を用いたことによ
りロツク装置の操作レバーの少ない回動操作量で
充分な調整量を得ることができるので、操作性が
極めて良く、また引張スプリング及びセクタギヤ
等の調整機構は全てロアフレーム側に配設したこ
とによりアツパーフレームの中央部には空間が生
じ、この空間をクツシヨン体の撓み代として利用
できるので、アツパーフレームを直接にクツシヨ
ンフレームとして用いることができ、従つてシー
ト全体の軽量化及び薄形化を図れる等、特に乗用
車の如き小スペースの車両に適用して効果が大き
い。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を適用したシートサスペンシヨ
ンの縦断側面図、第２図は同、片側部分の一部切
欠いた平面図、第３図は同、全体の斜視図、第４
図は要部の縦断側面図、第５図は従来例の斜視図
である。 図中、３１はアツパーフレーム、３２はロアフ
レーム、３３は前部リンク、３４は後部リンク、
４１は回動軸、４２はピニオンギヤ、４３はセク
タギヤ、４５は引張スプリング、４８はロツク装
置である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 床面側に配されるロアフレームに対しアツパー
   フレームを、その前後において左右一対のリンク
   によつて上下方向に変位可能に連結し、上記ロア
   フレームの両側部間に回動軸を軸支してその両端
   部にピニオンギヤを嵌着すると共に、上記ロアフ
   レームの両側部に上下方向に回動自在に枢着され
   たセクタギヤを夫々上記ピニオンギヤに噛合さ
   せ、該セクタギヤと上記前後リンクの何れか一方
   のリンクの上記ロアフレームの近傍部との間に
   夫々引張スプリングを、上記アツパーフレームが
   上記ロアフレームに対して上方向に偏倚されるよ
   うに張架し、かつ上記回動軸の一端に、操作レバ
   ーの操作によつて上記ロアフレームに対し上記回
   動軸を回動可能とするロツク装置を連結してな
   り、該ロツク装置の操作レバーの操作によつて上
   記回動軸と一体に上記ピニオンギヤを回転させ、
   これに伴なう上記セクタギヤの回動により上記引
   張スプリングの張力を可変するようにしたことを
   特徴とするシートサスペンシヨンの体重調整装
   置。