JP7148019B2 - ハット形鋼矢板の製造方法 - Google Patents

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Description

(関連出願の相互参照)
本願は、2020年3月10日に日本国に出願された特願2020-041331号に基づき、優先権を主張し、その内容をここに援用する。
本発明は、ハット形鋼矢板の製造方法に関する。
ハット形鋼矢板の製造方法としては、熱間圧延方法により製品となる鋼矢板まで圧延する方法が主流であり、特許文献1、特許文献2には、一般的な孔型圧延法を用いたハット形鋼矢板等の製造方法が開示されている。従来このような公知文献に開示された製造工程でハット形鋼矢板等は製造されていた。以下、これら公知文献に基づき、従来技術について図面を参照して説明する。
ハット形鋼矢板等の造形には一般的に所謂孔型圧延法が採用されている。図1は従来の一般的なハット形鋼矢板の製造工程を示す概略説明図である。ハット形鋼矢板の製造工程としては、図1に示すように、先ず加熱炉により例えば矩形材を所定の温度に加熱し、その後孔型を構成する2重ロール対を有する粗圧延機により粗形材を製造する。そして、該粗形材からそのいずれもが孔型を構成する2重ロール対を有する中間圧延機によって中間材を形成した後、孔型を構成する2重ロール対を有する仕上圧延機によって継手を有する製品を得る。
また、図2(a)~(f)は、従来のハット形鋼矢板の製造において、粗圧延機で行われる工程以降の造形過程を示す説明図である。ここで、図2(a)~(c)は粗圧延機での工程、(d)、(e)は中間圧延機での工程、(f)は仕上圧延機での工程を示している。上記特許文献1には主に中間材の圧延法が記載されており、上記特許文献2には中間材の継手部に対して曲げ加工を施して製品の継手を曲げ整形する方法が記載されている。
矩形材としてはブルーム又はスラブが一般的に使用される。矩形材を粗形材に形成する工程においては、2~3個の孔型が配置された粗圧延機において、配置された孔型により矩形材が順次圧延されることにより粗形材が形成される。次いで、計4~5個の孔型が配置された中間圧延機において、配置された孔型により粗形材が順次圧延されることにより中間材が形成される。ここで、図2に示すように左継手部と右継手部は非対称形状(点対称)であり、高さの差が大きいため、図2(e)に示すように左腕部と、右腕部を水平方向に対して傾斜させることにより、左継手部と右継手部の高さを揃え、断面の慣性主軸を圧下方向(図2の上下方向)に一致させることにより、圧延の出側での曲がりを抑制している。
そして、継手底付け根の周りに継手部が曲げ加工されて整形され、継手が形成される。こうして図2(f)に示す製品が造形される。以上、図1、図2を参照して説明した従来のハット形鋼矢板の造形方法においては、矩形材から製品を造形するに際し、7~10個程度の数の孔型を用い、合計で30パス程度の加工が必要である。
また、特許文献3に開示されているように、上述したような方法で造形された製品に対し、支承ロール等を有するロールフォーミング装置(図3参照)による冷間加工によって、異なる高さ又は幅の断面形状を有するハット形鋼矢板を製造するといった従来技術も公知である。
特許第4464865号公報 特開2007-237276号公報 特開2003-230916号公報
上記特許文献1~3を参照して分かるように、ハット形鋼矢板の製造方法としては、図1~図3に示すような工程が知られている。ここで、従来技術にかかる造形方法において、製造コストを削減するためには、製造効率や歩留まりを高める必要がある。そして、その手段としては、例えば孔型数を減少させることが考えられる。孔型数の減少により孔型間での被圧延材(矩形材、中間材等)の引き継ぎに伴う時間ロス及びその間の放熱による被圧延材の温度低下を抑制することが可能となる。即ち、製造効率の向上が図られ、更には、被圧延材の温度低下が抑制されることで、圧延伸び長さの延長が図られ、被圧延材先後端部の圧延不良部の切り捨て比率を減少させ、歩留まりを向上することが可能となる。
一方、孔型数を減少させることは1つの孔型あたりの圧下量や、各孔型における延伸が増加することを意味している。しかし、孔型を構成する2重ロール対の強度に限界があることや、2重ロール対を駆動させるための圧延機の出力が制約されていることなどから、1パス(孔型における半往復)で被圧延材に大きな圧下量や延伸を与えることは困難である。そのため、1つの孔型で2パス以上の多パスリバース圧延(以下、孔型多パス圧延とも呼称する)を行って所望の延伸(通常1.8以上)を得る必要がある。
一般にハット形鋼矢板等の形鋼は幅方向に板厚分布を有しており、このような形鋼を2重ロール対に設けられた孔型によって圧延するには、各孔型で1パスのみ圧延を行うことが基本原則であり、従来より粗圧延機を用いた圧延(以下、粗圧延と呼称する)及び中間圧延機を用いた圧延(以下、中間圧延と呼称する)の初期を除いては、孔型多パス圧延は行われない。これは、孔型多パス圧延を行うことで、孔型へのメタル(被圧延材)未充満(以下、肉引けと呼称する)、孔型からのメタルの溢れ出し(以下、噛出しと呼称する)や、被圧延材の曲がりが誘発されてしまうからである。ハット形鋼矢板の場合、これらは、図20(a)に示すようなねじれ、図20(b)に示すようなフランジ部の波打ちような上下方向の曲がりとなって現れる。なお、粗圧延や中間圧延の初期においてある程度の孔型多パス圧延が可能な理由は、被圧延材の板厚が比較的大きいので剛性が高く、ねじれ、波打ちや曲がりが発生しにくいことや、たとえ肉引けや噛出しが発生しても比較的軽度であれば後続孔型での圧延によって解消可能だからである。
ハット形鋼矢板においては、フランジ部は両側をウェブ部と腕部で挟まれており、その伸びと幅拡がりが抑制されてフランジ部には噛出しが発生しない代わりに圧縮応力が生じやすく、これが挫屈限界応力を超えると挫屈して波打ち(以下、フランジ波と呼称する)を発生する。この逆に、フランジ部に肉引けが発生する場合には、フランジ部の表面がロールから離れ、ロールがフランジ部を拘束できなくなりねじれを起こす。
即ち、ハット形鋼矢板を複数のカリバーを用いて複数回圧延を行う場合(多パス圧延)に、そのフランジ部とウェブ部の圧下が均等に行われないといった問題点がある。図4に示すように、ハット形鋼矢板のウェブ部は水平形状であり、その状態で上下方向から繰り返し圧下される。そのため、ウェブ部とフランジ部がロール隙方向に同じ圧下量で圧下された場合に、実際の延伸はフランジ部の延伸(tf+ΔF)/tfのほうがウェブ部の延伸(tw+ΔW)/twより小さいものとなっていた。したがって、同一カリバーでロール隙を小さく変更して多パスにわたって、ウェブ部とフランジ部が同じ延伸で圧下することは不可能であり、無理に多パス圧延を行うと、圧延波が発生したり、断面内の線長が大きく変化するために、圧延を安定して行うことが困難であった。
また、特に上記特許文献3においては、熱間圧延を行う圧延スタンドとロールフォーミングによる冷間加工を行うスタンドはオフラインで構成され、製品である鋼矢板の製造が連続的に行われないため、その生産効率には向上の余地があった。具体的には、ロールフォーミングによる冷間加工では、鋼材温度が低いため加工時のスプリングバックが大きくなり冷間で大きなひずみを鋼材に与えることが必要となる。また、加工時の温度が低いと靭性低下など、材質の劣化が懸念される。図21は冷間加工での曲げ成形の形状変化についての説明図であり、長手方向に全幅変動の無い素材(鋼材)に対し特許文献3に開示されたような冷間での曲げ成形を行った後の素材の長手方向の全幅変動を示すグラフである。図21に示すように、冷間での曲げ成形では、特に長手方向端部が、定常部に比べて成形効果が小さく、曲げ不足が生じやすく、全幅が広がっている。そのため、再加工や切り捨てが必要となる恐れがあり、歩留まりや生産性の低下が懸念される。
そこで、上述したような問題点に鑑み、本発明は、中間~仕上げ圧延において1圧延スタンドに1カリバーのみ設けられた圧延スタンドで所望の鋼矢板製品の高さよりも低い高さで圧延を行い、その後オンラインで曲げ成形を行うことによって所望の高さの鋼矢板製品を得る、生産効率の向上、圧延時間の短縮およびコスト削減が実現される鋼矢板の製造方法を提供することを目的とする。
更に本発明は、鋼矢板の製造の中間圧延において、圧延におけるフランジ波の防止や、ねじれの防止を実現させ、孔型多パス圧延を安定的に行うことが可能な鋼矢板の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明によれば、熱間圧延により被圧延材に粗圧延、中間圧延および仕上げ圧延を行った後、曲げ成形を行うハット形鋼矢板の製造方法であって、被圧延材はウェブ対応部、フランジ対応部、腕対応部及び継手対応部から構成され、前記ウェブ対応部と前記フランジ対応部との接続箇所及び前記フランジ対応部と前記腕対応部の接続箇所に加工部位としてのコーナー部が形成され、前記中間圧延は1スタンド1孔型で構成される1又は複数の中間圧延機において上下孔型ロールに設けられた孔型にて熱間で被圧延材を所定の目標製品高さより低い高さで複数パス圧延で行われ、前記曲げ成形は、熱間で行われ、且つ、前記加工部位が変態点以上の温度である状態で行われ、被圧延材を所定の目標高さおよび目標幅に成形させることを特徴とする、ハット形鋼矢板の製造方法が提供される。
本発明によれば、中間圧延~仕上げ圧延において1スタンド1カリバーのみ設けられた圧延スタンドで所望の鋼矢板製品の高さよりも低い高さで圧延を行い、その後オンラインで曲げ成形を行うことによって所望の高さの鋼矢板製品を得る、生産効率の向上、圧延時間の短縮およびコスト削減が実現される。また、鋼矢板の製造の中間圧延において、圧延におけるフランジ波の防止や、ねじれの防止を実現させ、孔型多パス圧延を安定的に行うことが可能となる。
一般的なハット形鋼矢板の製造工程を示す概略説明図である。 従来のハット形鋼矢板の製造において、粗圧延機で行われる工程以降の造形過程を示す説明図である。 ロールフォーミング装置による冷間加工によって、異なる高さ又は幅の断面形状を有するハット形鋼矢板を製造する従来技術の説明図である。 ハット形鋼矢板における、フランジ圧下量ΔFとウェブ圧下量ΔWの関係性についての説明図である。 本発明の実施の形態にかかる圧延ラインの概略説明図である。 曲げ成形機の概略側面断面図である。 曲げ成形機の概略正面図である。 第1スタンドの孔型形状を示す概略的な拡大正面図である。 第2スタンドの孔型形状を示す概略的な拡大正面図である。 曲げ成形時の「ロール隙-被圧延材厚」と「荷重」との関係を示すグラフである。 曲げ成形時の「ロール隙-被圧延材厚」と「ウェブ・フランジ間角度」との関係を示すグラフである。 曲げ成形時の寸法関係を示す概略説明図である。 第1スタンド及び第2スタンドにおいて曲げ成形される被圧延材の形状変化についての説明図であり、(a)は第1スタンドでの加工前、(b)は第1スタンドでの加工時、(c)は第2スタンドでの加工時の概略断面図を示している。 曲げ成形機における仕上材の接触箇所についての説明図である。 曲げ成形機における接触箇所についての説明図である。 第2中間圧延機に設けられる孔型の構成の一例の概略説明図である。 中間圧延に用いる孔型の他の形状に係る概略説明図である。 孔型のロール隙を変動させた場合の概略説明図である。 実施例3に関する説明図である。 ハット形鋼矢板の孔型多パス圧延が不適切な条件で行われる場合に生じる、(a)ねじれ、(b)フランジ波の様子を示す説明図である。 冷間加工での曲げ成形の形状変化についての説明図である。 孔型ロールとの接触状態についての説明図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。なお、本実施の形態では鋼矢板製品としてハット形鋼矢板を製造する場合について説明する。
(圧延ラインの構成)
図5は、本発明の実施の形態にかかるハット形鋼矢板を製造する圧延ラインL(図中一点鎖線)と、圧延ラインLに備えられる圧延機等についての説明図である。なお、図5において圧延ラインLの圧延進行方向は矢印で示されている方向であり、当該方向へ被圧延材が流れ、ライン上の各圧延機、曲げ成形機において圧延、曲げ成形が行われ、製品が造形される。また、図5では、同一の圧延機において被圧延材を複数回往復させる圧延方法(所謂、多パス圧延)についても、一点鎖線にて記載している。
図5に示すように、圧延ラインLには、上流から順に粗圧延機10、第1中間圧延機13、第2中間圧延機16、仕上圧延機19、曲げ成形機20が順に配置されている。また、第1中間圧延機13の上流側にはエッジャー圧延機14が、第2中間圧延機16の下流側にはエッジャー圧延機17がそれぞれ隣接して配置されている。
圧延ラインLにおいては、図示しない加熱炉において加熱された矩形材(被圧延材)が粗圧延機10~仕上圧延機19において順次熱間で圧延され、更に、熱間で曲げ成形機20によって成形され、最終製品となる。なお、以下では説明のため、粗圧延機10で圧延された被圧延材を粗形材、第1中間圧延機13~第2中間圧延機16によって圧延された被圧延材を中間材、仕上圧延機19によって圧延された被圧延材を仕上材19aとも呼称する。即ち、仕上材19aを曲げ成形機20によって成形(断面変更)したものが最終製品(即ち、ハット形鋼矢板製品)となる。
ここで、圧延ラインLに配置される粗圧延機10、第1中間圧延機13、第2中間圧延機16、仕上圧延機19や、付随して配置されるエッジャー圧延機14、17は従来から鋼矢板の製造において用いられている一般的な設備であるため、その詳細な装置構成等についての説明は本実施の形態では省略する。
(曲げ成形機の構成)
次に、曲げ成形機20の詳細な構成について図面を参照して説明する。図6は曲げ成形機20の概略側面断面図であり、図7は曲げ成形機20の概略正面図である。図6、7に図示した曲げ成形機20は、仕上圧延機19において仕上圧延された仕上材19aを曲げ加工(曲げ成形)するものである。なお、図7には以下に説明する曲げ成形機20が備える第1スタンド22の概略正面図を図示している。ここで、本実施の形態では曲げ成形機20は2つの成形スタンド(以下に説明する成形スタンド22、23)から構成される場合を例示して説明しているが、曲げ成形機20は単スタンドあるいは任意の複数のスタンドから構成されていても良い。
図6に示すように、本実施の形態にかかる曲げ成形機20は隣接して直列配置された2つの成形スタンド22、23(以下、上流側の第1スタンド22、下流側の第2スタンド23とも呼称する)を備えている。また、図7に示すように、各スタンド22、23それぞれには、上孔型ロールと下孔型ロールとで構成される成形用孔型(後述する孔型45、55)が設けられており、その孔型形状は第1スタンド22と第2スタンド23とで異なる形状となっている。
ここで、第1スタンド22と第2スタンド23のロール構成ならびに孔型形状について説明する。図8は、第1スタンド22の孔型形状を示す概略的な拡大正面図であり、図9は第2スタンド23の孔型形状を示す概略的な拡大正面図である。なお、図8には曲げ成形機20による成形を行う前の状態である仕上材19aの断面形状を一点鎖線で図示し、図9には第2スタンド23で成形を行う前の状態である仕上材19a’の断面形状を一点鎖線で図示している。また、以下では、略ハット形形状の被圧延材を上開き(後述するウェブ対応部を下方とし、腕対応部を上方に位置させる)姿勢で曲げ成形する場合を例示して説明する。
図7及び図8に示すように、第1スタンド22には、上孔型ロール40と下孔型ロール41が筐体44に支持されて設けられ、上孔型ロール40と下孔型ロール41によって孔型45が構成されている。この孔型45はフランジに対応する部分から継手に対応する部分の形状がハット形鋼矢板製品の一歩手前の形状(即ち、略ハット形鋼矢板製品形状)となっている。孔型45は、仕上材19aのフランジに対応する部分(即ち、フランジ対応部)と、仕上材19aのウェブに対応する部分(即ち、ウェブ対応部)とがなす角度、及び仕上材19aの腕に対応する部分(即ち、腕対応部)とがなす角度をそれぞれ変化させ、仕上材19aの高さ及び幅を所定の形状(即ち、製品に近似した断面形状)に曲げ加工するものである。特にハット形鋼矢板を製造する場合には、粗圧延機10~仕上圧延機19において高さを低く抑えた形状でもって被圧延材(粗形材~仕上材19a)の圧延を行い、曲げ成形機20において被圧延材の高さを所望の製品高さまで高めるように曲げ加工を行うといった方法が採られる。これにより、大型サイズのハット形鋼矢板製品を製造することができるようになる。
また、図9に示すように、第2スタンド23には、上孔型ロール50と下孔型ロール51が筐体54に支持されて設けられ、上孔型ロール50と下孔型ロール51によって孔型55が構成されている。この孔型55は所望の製品形状に近い形状となっており、曲げ成形機20の第1スタンド22にて成形されたフランジに対応する部分(即ち、フランジ対応部)と、仕上材19aのウェブに対応する部分(即ち、ウェブ対応部)とがなす角度、及び腕に対応する部分(即ち、腕対応部)とがなす角度をそれぞれ変化させ、フランジ形状、腕形状及び継手形状を所定の形状(即ち、製品の形状)に成形するものである。即ち、この第2スタンド23では、第1スタンド22での成形において製品形状に対して不十分であったフランジ対応部の傾斜角度を、製品形状に応じた角度まで変形させる成形が行われる。
(曲げ成形時のロール隙)
ここで、曲げ成形時における上記孔型45及び孔型55におけるロール隙(上孔型ロール40と下孔型ロール41のロール隙ならびに上孔型ロール50と下孔型ロール51のロール隙)は、仕上材19aのフランジ対応部及びウェブ対応部の厚みより大きくなるように構成されている。即ち、曲げ成形機20においては、仕上材19aの板厚圧下は行われず、第1スタンド22及び第2スタンド23の各孔型ロールと仕上材19aとは、後述する一部の所定箇所のみにおいて接触して曲げ成形が行われる構成となっている。
また、後述するように、曲げ成形時には、第1スタンド22及び第2スタンド23の各孔型ロールと仕上材19aは、一部の所定箇所について接触に加え圧下が行われても良い。本明細書における「接触」とは、曲げ成形機20において、仕上材19aの特定箇所の上面あるいは下面の一方のみが孔型ロールの周面に当接した状態をいう。これに対し、「圧下」とは、曲げ成形機20において、仕上材19aの特定箇所の上面と下面の両方が孔型ロールに当接し、且つ、厚みを減ずるように力がかかるような状態をいう。
例えば、ウェブ対応部ならびにフランジ対応部に対向する部分の上記ロール隙は仕上材19aのフランジ対応部ならびにウェブ対応部の厚みより0.5mm~3mm程度大きいことが好ましい。加えて、上記孔型45及び孔型55における仕上材19aの腕対応部にかかる箇所においても、そのロール隙は当該腕対応部の厚みよりも断面全域にわたり大きくなるように構成されていても良い。上記ロール隙の猶予範囲が、0.5mmよりも小さい場合には、仕上材19aの板厚の変動の為に厚みを圧下して曲げ成形機20の負荷が増大する可能性があり、3mmよりも大きい場合には、フランジ対応部の傾斜角度を目標の角度に成形できない可能性がある。
ここで本発明者らは、ウェブ対応部ならびにフランジ対応部に対向する部分のロール隙の猶予範囲と、成形機負荷特性(荷重とトルクの変化)及び成形性(曲げ角度の精度)についてより詳細な検討を行った。図10は、仕上材19a曲げ成形時の「ロール隙-材料厚(即ち、ロール隙の猶予値)」と曲げ成形機20にかかる「荷重及びトルク」との関係を示すグラフである。また、図11は、仕上材19a曲げ成形時の「ロール隙-材料厚(即ち、ロール隙の猶予値)」と曲げ成形後の「ウェブ・フランジ間角度」との関係を示すグラフである。
なお、図10、図11のグラフは、寸法条件が、仕上圧延後の仕上材19aが幅1400mm、ウェブ厚14.7mm、フランジ厚11.4mm、フランジ角度40°(ウェブ-フランジ間角度140°)の略ハット形鋼矢板形状を、第1スタンド22でフランジ角度56°(ウェブ-フランジ間角度124°)を目標として曲げ成形した場合を示している。図12は、第1スタンド22での曲げ成形時の寸法関係を示す概略説明図である。ここでの検討は、図12に示すウェブ対応部、フランジ対応部、腕対応部の各箇所でのロール隙T1、T2、T3と、各箇所での仕上材19aの厚みt1、t2、t3との差である「T1-t1」、「T2-t2」、「T3-t3」の値をロール隙の猶予値とし検討を行った。
図10に示すように、曲げ成形時にロール隙の猶予値が0.5mm以上では荷重とトルクの変化は緩やかであるのに対し、ロール隙の猶予値が0.5mm未満、特に0.2mm未満の場合には荷重とトルクの増加率が大きくなり、0mm以下(即ち、厚み圧下)での増大化は顕著である。この結果から、曲げ成形機20の成形負荷(荷重・トルク)を低く抑えるためには、実際の厚み変動を考慮し、ロール隙の猶予値を0.5mm以上とすることが好ましいことが分かる。
また、図11に示すように、曲げ成形時にロール隙の猶予値が0.5mm~3mmであれば、ほぼ曲げ成形を所望の目標角度(即ち、目標のウェブ-フランジ間角度である124°±1°程度)でもって行うことができるのに対し、ロール隙の猶予値が3mm超の場合、孔型ロールによる押込みが小さくなり、曲げが弱くなってウェブ-フランジ角度が目標値に比べ大きくなってしまう傾向がある。そのため、曲げ成形後に精整工程でフランジ角度の大きな矯正が必要となる場合がある。即ち、特に最終スタンドでは、ロール隙の猶予値の上限は3mmとすることが好ましい。
(曲げ成形における形状変化)
続いて、上述したスタンド22、23における被圧延材の成形について説明する。図13は、第1スタンド22及び第2スタンド23において曲げ成形される被圧延材(仕上材19a)の形状変化についての説明図であり、(a)は第1スタンド22での加工前、(b)は第1スタンド22での加工時、(c)は第2スタンド23での加工時の概略断面図を示している。図13(a)に示すように、仕上材19aは略ハット形形状であり、略水平であるウェブ対応部60と、ウェブ対応部60の両端に製品形状より大きい所定の角度(図中に角度αとして示している)のコーナー部70によって連結しているフランジ対応部62、63と、各フランジ対応部62、63においてウェブ対応部との連結側と異なる端部にコーナー部71を介して連結している腕対応部65、66と、腕対応部65、66の先端に形成される継手対応部68、69から構成されている。また、仕上材19aは、仕上圧延機19における圧延によって厚みが略製品の厚みとなっており、継手対応部68、69の形状も、略製品継手形状となっている。
ここで、コーナー部70(以下、ウェブ-フランジコーナー部70とも呼称)の板厚は、製品板厚より厚くなるように寸法設計されても良い。ウェブ-フランジコーナー部70の板厚は、粗圧延機10、第1中間圧延機13、第2中間圧延機16、仕上圧延機19等(図1参照)で行われる熱間圧延での圧延条件や圧延設計により所望の板厚に圧延することができる。
同様に、コーナー部71(以下、フランジ-腕コーナー部71とも呼称)の板厚は、製品板厚より厚くなるように寸法設計されても良い。フランジ-腕コーナー部71の板厚は、粗圧延機10、第1中間圧延機13、第2中間圧延機16、仕上圧延機19等(図1参照)で行われる熱間圧延での圧延条件や圧延設計により所望の板厚に圧延することができる。
この図13(a)に示す仕上材19aは、第1スタンド22の孔型45においてウェブ対応部60とフランジ対応部62、63とのなす角度αが小さくなる(図13(b)に示す角度αとなる)ように曲げ成形され、図13(b)に示すように所望の製品高さに近い高さとなる。即ち、第1スタンド22では、仕上材19aの高さが高くなるような曲げ加工が行われる。
次いで、図13(c)に示すように、第2スタンド23の孔型55において、仕上材19aが略製品形状に曲げ成形される。
(曲げ成形における接触箇所)
また、図14は曲げ成形機20における仕上材19aの接触箇所についての説明図であり、(a)~(d)はそれぞれ接触箇所の一例を示している。なお、図14では接触箇所を太線にて図示している。第1スタンド22の孔型45及び第2スタンド23の孔型55では、各孔型ロールと仕上材19aとは一部の所定箇所のみにおいて接触しており、板厚の圧下は行われない。孔型ロールと仕上材19aとの具体的な接触箇所は、例えば図14(a)に示すように、ウェブ対応部60とフランジ対応部62、63との境界のコーナー部内側70a、70bと、フランジ対応部62、63と腕対応部65、66との境界のコーナー部内側71a、71bである。ここで、「接触」とは、少なくとも材料と孔型ロールが接触していれば良く、更に材料を押圧するような力がかかる状態でも良い。
図14(a)に記載されるように、接触箇所である70a、70bはウェブ対応部60とフランジ対応部62、63との境界のコーナー部70の内側である。一方、接触箇所である71a及び71bはフランジ対応部62、63と腕対応部65、66との境界のコーナー部71の内側である。接触箇所である71a及び71bではそれぞれ70a及び70bでの反力に釣り合う方向に反力が生じる。
ここで、図14(b)に示すウェブ対応部60の下面(外面)中央部60aをこれに対向する孔型ロールに接触させることにより、フランジ対応部62、63とウェブ対応部60とがなす角の曲げが効率的に行える。曲げ成形時には、ウェブ対応部60が図中の下方向に反ろうとするため、ウェブ対応部60の両側(コーナー部70)から離れた下面中央部60aに下孔型ロールを接触させることにより、ウェブ対応部60の両端に効果的に曲げモーメントを付与できるからである。
また、少なくとも最終スタンドである第2スタンド23においては、腕対応部65、66を略水平とするために腕対応部65、66の上面(外面)65a、66aが接触箇所となる。加えて、前述のようにロール隙の猶予値を適正に設定することにより、図14(c)に示すように、第1スタンド22の孔型45及び第2スタンド23の孔型55では、仕上材19aのフランジ対応部62、63の内側上方部分62a、63aを上孔型ロール40、50に接触させると共に、フランジ対応部62、63の外側下方部分62b、63bを下孔型ロール41、51に接触させることが望ましい。この図14(c)に示す箇所を接触させることで、コーナー部70、71に孔型ロール形状による3点曲げを生じさせることにより精度の高い曲げ成形を行うことが可能となる。
また、図14(d)に示すように、上記図14(a)~(c)で説明した箇所に加え、継手対応部68、69の上面(外面)68a、69aを上孔型ロール40、50に接触させても良い。この図14(d)に示す箇所を接触させることで、継手対応部68、69についても略水平となるような成形を行い、更に精度の高い曲げ成形を行うことが可能となる。
ここで、図14(d)に示した曲げ成形中の仕上材19aと孔型ロールとの接触状態について図22を参照してさらに詳しく説明する。図22には図14(d)の仕上材19aの接触箇所に対応した孔型ロールの接触部分を破線で囲んで表示した。仕上材19aのウェブ対応部60とフランジ対応部62、63との境界のコーナー部に対向する上孔型ロールと下孔型ロールのコーナー部90(90a~90d)や、フランジ対応部62、63と腕対応部65、66との境界のコーナー部に対向する上孔型ロールと下孔型ロールのコーナー部94(94a~94d)には通常アール(曲率部分)が形成されている。仕上材19aのウェブ対応部60とフランジ対応部62、63との境界のコーナー部内側70a、70bに対して、それに対向する上孔型ロール40(あるいは50)のコーナー部90a、90cを接触させる。その際、ウェブ対応部60とフランジ対応部62、63との境界のコーナー部外側と、それに対向する下孔型ロール41(あるいは51)のコーナー部90b、90dは接触していない。下孔型ロール41(あるいは51)は仕上材19aのウェブ対応部60の下面(外側)中央部60aに対向する部分と、フランジ対応部62、63の外側下方部分62b、63bに対向する部分で接触している。
また、仕上材19aのフランジ対応部62、63と腕対応部65、66との境界のコーナー部内側71a、71bに対して、それに対向する下孔型ロール41(あるいは51)のコーナー部94b、94dを接触させる。その際、フランジ対応部62、63と腕対応部65、66との境界のコーナー部外側と、それに対向する上孔型ロール40(あるいは50)のコーナー部94a、94cは接触していない。上孔型ロールは仕上材19aの腕対応部65、66の上面(外面)65a、66aに対向する部分と、フランジ対応部62、63の内側上方部分62a、63aに対向する部分で接触している。また、継手対応部68、69の上面(外面)68a、69aは上孔型ロール40、50のそれに対向する部分で接触している。ここでは図14(d)に対応した上下孔型ロールとの接触状態を説明したが、図14(a)~(c)についても仕上材19aの接触箇所に、それに対向する孔型ロールを同様に接触させればよい。
なお、図14(a)~(d)を参照して曲げ成形における仕上材19aに対する好適な接触箇所について説明したが、図14、図22に示すように、曲げ成形において接触するそれぞれの箇所は、仕上材19aの板厚を圧下するような位置構成とはなっていない。具体的には、仕上材19aの特定の箇所を上下孔型ロール双方によって両側から押圧する(即ち、圧下する)ような構成とはなっておらず、上下孔型ロールのロール隙も仕上材19aの板厚より大きくなるように構成されていることから、板厚の圧下は行われない。ウェブ対応部60やフランジ対応部62、63を圧下しなければ、圧下反力を不必要に上げなくて済む。
また、図14、図22では、各コーナー部70、71に対し各孔型ロールの一部箇所を接触させる構成の一例について図示説明したが、本発明における各孔型ロールの接触箇所はこれに限られるものではない。即ち、図14、図22を参照して上述した接触箇所に加え、更なる接触箇所を設けても良い。
図15は曲げ成形機20における仕上材19aの接触箇所についての説明図であり、(a)~(d)は接触箇所の他の一例を示している。ここで、図14と同じ接触箇所については同一の符号を付し、その説明は省略する。図15に示すように、接触箇所として、図14で示したものに加え、ウェブ対応部60とフランジ対応部62、63との境界のコーナー部70の外側70c、70d(以下、ウェブ-フランジコーナー部外側70c、70dとも呼称)と、フランジ対応部62、63と腕対応部65、66との境界のコーナー部71の外側71c、71d(以下、フランジ-腕コーナー部外側71c、71dとも呼称)を設けても良い。
即ち、各孔型ロールと仕上材19aとの接触箇所を図15で示した箇所とした場合、仕上材19aのウェブ-フランジコーナー部70及びフランジ-腕コーナー部71が上下孔型ロール双方に接触し、両側から圧下されるような位置構成となっている。
上述したように、曲げ成形の上流側工程である熱間圧延(粗圧延、中間圧延、仕上圧延等)においては、ウェブ-フランジコーナー部70及びフランジ-腕コーナー部71の板厚が製品板厚より厚くなるように圧延された後、曲げ成形機20に搬送されても良い。そして、仕上材19aのウェブ-フランジコーナー部70及びフランジ-腕コーナー部71に対向する部分の上下孔型ロールのロール隙は、製品板厚となるように設定されても良い。このような寸法構成にあっては、仕上材19aは、曲げ成形機20において、板厚が製品板厚より厚い状態にあるウェブ-フランジコーナー部70及びフランジ-腕コーナー部71が上下孔型ロール双方により圧下されると共に、材料全体が曲げ成形される。
このように、仕上材19aの曲げ成形時に原則として圧下は行わないものの、所定の一部箇所(図15参照)のみ圧下を行っても良い。仕上材19aに対して圧下を行うと、圧下された領域の板厚方向全体が塑性変形する。圧下による塑性変形によって、曲げによる板厚内の応力分布は全体的に圧縮寄りに移動し、コーナー部に作用する曲げモーメントが小さくなる。このため、板厚方向全体が塑性変形する範囲において曲げ成形後のスプリングバックが非常に小さくなる。
即ち、図15に示したように、ウェブ-フランジコーナー部70及びフランジ-腕コーナー部71を圧下しながら曲げ成形を行うと、ウェブ-フランジコーナー部70及びフランジ-腕コーナー部71を圧下しない場合に比べて成形負荷は増加するものの、曲げ成形中の仕上材19aのコーナー部70、71の厚み方向内側の圧縮応力の増大を抑えつつ、外側の引張応力を小さくすることができ、成形後のスプリングバックが減少して仕上材19aの長手方向の寸法形状の変動を小さくすることができる。これにより、製品形状(角度)に制約されることなく最適な形状で圧延を行うことができ、生産性や歩留が向上する。また、寸法精度に優れた大断面の製品を、圧延機のロール径に制約されることなく低コストで製造することができる。更には、冷間で加工する場合に比べて設備を小さくでき、寸法形状や材質の安定化を図ることができる。
なお、図15に示した構成での曲げ成形において、ウェブ-フランジコーナー部70及びフランジ-腕コーナー部71の圧下率が20%を超えると、断面内各部の延伸バランスがとれなくなり、形状が崩れる恐れがある。このため、曲げ成形における圧下率は、20%以下であることが好ましく、さらに好ましくは2~10%である。2%も圧下すれば、ウェブ-フランジコーナー部70及びフランジ-腕コーナー部71の板厚方向全体が塑性域となり、曲げ成形後のスプリングバックを減少させることが可能となる。ただし、このような圧下率の条件を満たすことができるように、圧延工程において被圧延材のウェブ-フランジコーナー部70及びフランジ-腕コーナー部71の板厚を調整しておくことが必要となる。
また、曲げ成形機20が複数スタンドで構成される場合、全てのスタンドでコーナー部70、71の圧下を行っても良いが、少なくとも最終スタンド(本実施形態では第2スタンド23)においてコーナー部70、71の圧下を行えば、成形後のスプリングバッグを減少させる効果を享受することができる。
(作用効果)
以上図14や図15を参照して説明した構成によれば、曲げ成形機20の各上下孔型ロールにおけるロール隙が、仕上材19aのフランジ対応部及びウェブ対応部の厚みより大きくなるような構成としたことにより、例えば圧延工程(粗圧延~仕上圧延)において上下孔型ロールのスラスト方向のずれによって被圧延材の左右のフランジ対応部の厚みに差が生じてしまった場合でも、片側のフランジ対応部のみを厚み圧下を伴いながら曲げ成形し、通材が不安定となってしまうといった事態を回避することができる。
更に、上述したように曲げ成形は、熱間で実施される。好ましくは、仕上圧延機19と曲げ成形機20をタンデムに配置し、仕上圧延と曲げ成形を連続して熱間で行うことで被圧延材の温度低下が少なくなる。ここで、熱間での仕上圧延・曲げ成形とは、被圧延材の変態が完了する前の温度での圧延・成形を言う。このような条件下で曲げ成形を行うことにより、従来の冷間で行う曲げ成形に比べ、曲げ成形機20にかかる成形負荷や、曲げ成形に伴う伸びや靭性の低下等の材質劣化、残留応力を低減させることができる。
このように、図13に示したように曲げ加工が行なわれ、製品であるハット形鋼矢板が製造される。曲げ成形機20においては、孔型ロールによって仕上材19aを成形するものであり、孔型ロール形状によってコーナー部に3点曲げのモーメントが生じ、そのコーナー部をさらに曲げて製品形状に近付けている。このとき、図14あるいは図15に示した仕上材19aの所定箇所のみにおいて各孔型ロールが接触する。なお、図13(b)と図13(c)を参照してそれぞれの孔型45、55で行われる成形について説明したが、これらの曲げ加工は一枚の材料(仕上材19a)に対して連続的に行われるものであり、通常一枚の材料が第1スタンド22と第2スタンド23の双方に同時に通材された状態(即ち、タンデム状態)で成形が行われる。
本実施の形態にかかる鋼矢板の製造方法では、上述したように構成される曲げ成形機20を用いて曲げ成形を行う構成としており、大型で複雑な機構のミルや多台数のミルを用いることなく効率的にハット形鋼矢板製品を製造することができる。加えて、大型のハット形鋼矢板製品を製造する場合にも問題なく適用可能である。
また、本実施の形態では仕上圧延機19のあとに曲げ成形機20が直結されることによって熱間で曲げ成形が行われる。このことによって、曲げ成形機20への被圧延材の入り温度を高く維持することができるため、曲げ成形時に被圧延材の再加熱を行うことを必要とせず、圧延と曲げ成形を連続的に行うことができる。熱間での曲げ成形によれば、冷間の曲げ成形に比べて、曲げ反力が小さく、スプリングバックも小さく、曲げる段数も少なくて済む。
以上、本発明の実施の形態の一例を説明したが、本発明は図示の形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
(中間圧延に用いる孔型の形状)
例えば、上記実施の形態では、曲げ成形機20における曲げ加工について説明したが、ハット形鋼矢板の製造では、曲げ成形機20以外の圧延機についても、その孔型形状等について改良の余地がある。以下では、中間圧延に用いる孔型の好適な形状について説明する。
本発明者らの検討によれば、中間圧延工程では、ウェブ対応部60とフランジ対応部62、63との延伸の釣り合いを保って圧延が行われた場合でも、上下孔型ロールは部位によって上下のロール径が異なるため、被圧延材(特にフランジ対応部62、63)とロールとの相対滑り速度が部位によって異なる。フランジ対応部62、63において、上下のロール径の差が大きい部位では上下ロールの周速差によって被圧延材の伸びが抑制され、一方、上下ロールの直径が等しいピッチラインに対応する位置(以下、「中立線」と記載する)では伸びが生じやすいため、ロールバイト出口の中立線近傍のフランジに長手方向に圧縮応力が発生しやすく、圧縮応力が座屈限界を超えた場合、フランジ対応部62、63にはいわゆるフランジ波と呼ばれる形状不良が発生する。
特に、フランジ幅/フランジ厚の比率が大きいハット形鋼矢板のような大型鋼矢板の製造においては、中立線近傍のフランジの伸びがウェブの伸びに対し相対的に大きくなりやすく、フランジ対応部62、63の中央部にはロールバイト内から長手方向の圧縮応力が作用する。また、座屈限界応力も低下するため、その結果、フランジ波が顕著に発生しやすくなる。
同一の孔型により1パスの圧延を行う場合、直前の孔型の形状との関係によりフランジ延伸やウェブ延伸を考慮した形状の孔型を設計することで、フランジ波を抑制することができる。しかし、同一の孔型により2パス以上の圧延を行う場合、第2パス以降の圧延ではウェブ対応部とフランジ対応部及び腕対応部の各延伸が当該孔型の形状により規定されるため、従来のように孔型の形状を設計しても、リバース圧延途中におけるフランジ波の発生を抑制することはできないことが判明した。例えば、リバース圧延が行われる場合、フランジ対応部62、63では、圧延のたびにこれらフランジ対応部62、63の中央部(中立線近傍)に肉が集まり、フランジ厚みの復元といった現象が発生しやすいことが検討の結果明らかとなった。厚みの復元が発生すると、次パスでのフランジ延伸が増大してしまい、更にフランジ波が生じやすくなり好ましくない。
また、第1中間圧延機13と第2中間圧延機16を比較すると、後段の圧延機の方がより被圧延材(特にフランジ対応部62、63)を薄く圧延するため、上述したフランジ波の発生といった形状不良が顕著になりやすい。また、より仕上圧延に近い工程の方が、形状不良が発生すると、製品形状不良に直結しやすい。即ち、製品寸法精度や圧延の安定性といった観点から、特に後段の圧延機で上記のような問題点を解決することが重要となる。
このような問題点に鑑み、本発明者らは、中間圧延機に設けられる孔型の形状について鋭意検討を行い、上記フランジ波と呼ばれる形状不良が生じないような所定の条件を満たすような孔型形状を創案するに至った。以下では、フランジ波が生じないような構成とした中間圧延機の孔型の詳細な形状について図面を参照して説明する。なお、以下では例えば第2中間圧延機16における特にフランジ対応部63に係る圧延造形を例に挙げて図示・説明するが、対象とする孔型は被圧延材全体に対して厚み圧下を行う孔型であり、第2中間圧延機16の孔型に限定されるものではない。
図16は、第2中間圧延機16に設けられる孔型80の構成の一例の概略説明図であり、(a)に概略全体図を示し、(b)にフランジ対応部63に対向する箇所近傍(図16(a)における破線で囲んだ部分)の拡大図を示す。ここで、図16(b)は孔型80における圧延後の様子を示しており、圧延された被圧延材を一点鎖線で図示している。
図16に示すように、孔型80は、上孔型ロール85と、下孔型ロール88によって構成される。これら上孔型ロール85と下孔型ロール88によって構成される孔型80における孔型圧延によって被圧延材全体に対して厚み圧下(即ち、中間圧延)が行われる。なお、ここでの圧延は、例えば同一孔型80におけるリバース圧延によって行われる。
また、図16に示す孔型80において、被圧延材のフランジ対応部63に対向する対向部分100は、ウェブに近い側から順に、傾斜の異なる複数のフランジ対向部分100a、100b、100cから構成されている。これらフランジ対向部分100a、100b、100cに関し、本明細書では、フランジ対向部分100bを「第1フランジ対向部分」、その両側に配置されたフランジ対向部分100a、100cを「第2フランジ対向部分」、「第3フランジ対向部分」と規定し、呼称する場合もある。また、中央に位置するフランジ対向部分100bによって圧延造形されるフランジ対応部6の部位を「第1フランジ部」、その両側に配置されるフランジ対応部6の各部位(フランジ対向部分100a、100cによって圧延造形される部位)を「第2フランジ部」、「第3フランジ部」と規定し、呼称する場合もある。
なお、図16(a)に示すように、被圧延材のフランジ対応部62に対向する部分101についても、同様にフランジ対向部分101a、101b、101cから構成されている。
フランジ対向部分100a、100b、100cの水平線に対する傾斜角度はそれぞれθf2、θf1、θf3であり、θf1はθf2ならびにθf3よりも大きい角度となっている。また、θf2とθf3は等しい角度でも良い。フランジ対向部分100a、100b、100cにおける上孔型ロール85と下孔型ロール88の間隔tf2、tf1、tf3(ロール隙とも称す)が、それぞれにおいて一定(上孔型ロール85と下孔型ロール88のフランジ対向部分100a、100b、100cが平行)の場合、上孔型ロール85と下孔型ロール88のそれぞれにおける角度θf2、θf1、θf3は等しい。一方、フランジ対向部分100a、100b、100cと水平線のなす角度が上孔型ロール85と下孔型ロール88で異なる場合、角度θf2、θf1、θf3は上孔型ロール85と下孔型ロール88のフランジ対向部分と水平線のなす角度の平均値とすれば良い。また、これら傾斜角度θf2、θf1、θf3は上下孔型ロールのロール隙における中心線Sと水平線とのなす角度で規定しても実質的に同じである。
また、フランジ対向部分100bは、高さ方向において中立線Oを跨ぐような位置に構成され、そのフランジ対向部分100bよりもウェブに近い側にフランジ対向部分100aが位置し、腕(継手)に近い側にフランジ対向部分100cが位置している。即ち、フランジ対向部分100bは中立線Oを跨ぐように位置し、その両側にフランジ対向部分100a、100cが位置する構成となっている。
ここで、1パスあたりの延伸を圧延後(1パス後)の厚みに対する圧延前の厚みの比で定義し、厚みを孔型80における板厚方向のロール隙で代表し、孔型80におけるリバース圧延中の1パスの鉛直方向のロール隙圧下量をΔgとした場合、フランジ対向部分100b、100a、100cの1パスあたりの延伸λf1、λf2、λf3は以下の式(1)~(3)で表される。
λf1=tf’1/tf1=(tf1+Δg・cosθf1)/tf1 ・・・(1)
λf2=tf’2/tf2=(tf2+Δg・cosθf2)/tf2 ・・・(2)
λf3=tf’3/tf3=(tf3+Δg・cosθf3)/tf3 ・・・(3)
なお、tf’1、tf’2、tf’3とは、孔型80においてフランジ対向部分100b、100a、100cのそれぞれに対応するフランジ対応部63の圧延前の厚みに対応するロール隙である。また、tf1、tf2、tf3とは、孔型80においてフランジ対向部分100b、100a、100cのそれぞれで圧延されたフランジ対応部63の厚みに対応するロール隙である。
即ち、tf1、tf2、tf3の関係に基づきθf1をθf2ならびにθf3よりも大きい角度とすることで、この孔型80での圧延においては、以下の式(4)、(5)が満たされる。
λf1<λf2 ・・・(4)
λf1<λf3 ・・・(5)
ここで、上記式(1)~(3)は圧延1パスあたりの延伸を示したものであるが、複数パスで行われるリバース圧延での延伸を総計した場合についても、式(1)~(3)と同様の関係性が成立する。従って、孔型80において、θf1をθf2ならびにθf3よりも大きい角度とすることで、1パスあたりの延伸の場合だけでなく、リバース圧延時の複数パスでの延伸を総計した場合についても、上記式(4)、(5)は満たされる。
この孔型80で圧延造形された被圧延材は、フランジ対応部62、63に複数の傾斜角度を有する屈曲形状となる。この形状は、中間圧延機に設けられた孔型80よりも後段の孔型、例えば、仕上圧延機19(仕上圧延工程)に設けられた孔型などによって所望の平坦なフランジ形状(ハット形鋼矢板製品のフランジ形状)とされる。このようなフランジ平坦化では、リバース圧延は行われない。なお、フランジ部の曲げ戻し後、屈曲部の境界部分には他の部分とのスケールの付着状態等の相違による長手方向に筋状の痕跡が見られる場合があるが、このような痕跡はフランジ部の強度等を低下させるものではなく、鋼矢板としての品質に影響はない。
このような孔型80の構成によれば、角度θf1を大きくすることで圧縮応力が生じやすい中立線O近傍のフランジ延伸を、フランジ対向部分が直線状の孔型(以下、従来孔型とも記載)に対して相対的に低下させ、且つ、中立線Oより離れた位置のフランジ延伸に対して相対的に低下させ、フランジ波の発生を抑制するといった効果が実現される。一方で、角度θf2、θf3を小さくすることでフランジ高さの増加を抑え、フランジ対応部6の断面の延伸は維持される。例えば、フランジ波抑制条件として決めた角度θf1に対し、後段孔型による圧延で所望の平坦なフランジ形状に造形する際の寸法のばらつき抑制を考慮して、孔型80のフランジ対向部分(100a、100b、100c)に対応する中心線Sの線長を従来孔型のフランジ対向部分の中心線の線長と同一とし、継手の水平方向の位置が変化しないように角度θf2、θf3を設計すれば良い。即ち、孔型80でリバース圧延を行うと、フランジ対向部分100bでは従来孔型に比べてフランジ延伸が低下するものの、フランジ対向部分100a、100cでは従来孔型に比べてフランジ延伸が増加するために、フランジ全体としては、従来孔型と同様のフランジ断面延伸を維持できる。なお、孔型80のフランジ対向部分(100a、100b、100c)に対応する中心線Sの線長を従来孔型のフランジ対向部分の中心線の線長と同一とするとは、完全同一を意味するものではなく、誤差の範囲(例えばフランジ対向部分の中心線の線長に対して±1%未満)で同一であれば良い。
ここで、中立線O近傍のフランジ対向部分100b(以下、急傾斜部100bとも呼称する)でのフランジ波を抑制するためには、当該急傾斜部100bにおけるフランジの延伸λf1と、ウェブ対応部60の延伸λwとの関係が以下の式(6)を満たすように角度θf1を設定することが好ましい。
λf1≦λw ・・・(6)
なお、より詳細な条件としては、1パスあたりのλf1/λwを0.967≦λf1/λw≦1.000の範囲内とすることが望ましい。
フランジの延伸はウェブの延伸の影響を強く受けるため、中立線O近傍のフランジ対応部の延伸をウェブの延伸との関係で表現した。ハット形鋼矢板の場合、腕対応部65、66の延伸とウェブ対応部60の延伸とは実質的に等しいと考えられ、中立線O近傍のフランジ対応部の延伸を実質的にウェブ延伸との関係で表すことができる。リバース圧延中の1パスのウェブの延伸λwは以下の式(7)で表される。
λw=tw’/tw=(tw+Δg・cosθw)/tw ・・・(7)
ここで、tw’とは、孔型80でのウェブ対応部60の圧延前の厚みに対応するロール隙である。また、twは、孔型80で圧延されたウェブ対応部60の厚みに対応するロール隙である。また、θwはウェブ対応部60に対応するロール隙の水平線に対する傾斜角度である。
また、フランジ幅方向に厚みが一定のハット形鋼矢板の場合、仕上圧延直前の孔型80では、ロール摩耗等に伴う誤差を除き、最終パスでフランジ対向部分100a、100b、100cの各厚みが一定となるように孔型形状を設計するが、フランジ対向部分100bの傾斜角度θf1はフランジ対向部分100a、100cの傾斜角度θf2、θf3と異なるため、孔型80の途中パスでは各厚みが一定にはならない。そのため、各フランジ対向部分の厚みと延伸、およびウェブ対応部の延伸の関係からフランジ波が最も発生しやすいパスでの延伸比λf1/λw、λf2/λw、λf3/λwを考慮して、各フランジ対向部分の傾斜角度と幅を決定してもよい。
以上説明したように、急傾斜部100bの傾斜角度θf1を大きくすることで中立線O近傍のフランジ延伸を低下させ、この部分に発生する圧縮応力を低減させることができる。
以上、図16を参照して説明したように、中間圧延を行う孔型80の孔型形状を、傾斜角度の異なる複数のフランジ対向部分100a、100b、100cを有する形状とし、これらフランジ対向部分100a、100b、100cの傾斜角度を上記式(1)~(6)で示したような好適な条件に設定することで、当該孔型80での圧延造形においてフランジ対応部63の中立線O近傍に発生する圧縮応力を低減させフランジ波の発生を抑制することが可能となる。更には、リバース圧延においてフランジ対応部63の中立線近傍に肉が集まり発生するフランジ厚みの復元についても減少させることができ、フランジ波の発生が更に抑制される。
一方で、フランジ対向部分100a及び100cにおいて発生するフランジの延伸は、中立線O近傍において発生するフランジの延伸(即ち、フランジ対向部分100bでのフランジの延伸)に比べ相対的に増加し、そこに生じる圧縮応力も増大するが、中立線Oから離れていることに加え、ウェブ対応部60や腕対応部66へのメタルフローが生じやすいために圧縮応力が過大にならない。また、フランジ対応部63において、フランジ対向部分100a及び100cに対応する部位は、ウェブ対応部60や腕対応部66に接続され座屈が生じにくいといった点から、これらの部位にはフランジ波が発生しにくい。
このように、孔型80の孔型形状を、傾斜角度の異なる複数のフランジ対向部分100a、100b、100cを有する形状としたことで、従来孔型での圧延造形に比べ、被圧延材のフランジ対応部62、63の中立線O近傍に生じるフランジ波を抑制させることが可能となり、製品寸法精度や圧延の安定性の向上が実現される。製品形状によっては、従来孔型による圧延では、フランジ対応部62、63の延伸がウェブ対応部60の延伸よりも大きくなり、釣り合いを保つことができずにフランジ波を抑制することができない場合がある。その場合、フランジ全体の傾斜角度を変更するのでなく、図16に示すように急傾斜部100bの傾斜角度θf1を従来の孔型形状のフランジ傾斜角度よりも大きくし、且つ、フランジ対向部分100a及び100cより大きくすることで圧延造形時の被圧延材の高さの増加を抑制し、効果的にフランジ波を抑制できる。
(中間圧延に用いる孔型の他の形状)
また、被圧延材のフランジ対応部62、63に対向する孔型部位(即ち、フランジ対向部分100)において、(被圧延材の)腕側の境界部と(被圧延材の)ウェブ側の境界部を結ぶ直線に対して、中立線O近傍のフランジ対向部分より腕側ではフランジ内側方向に凸形状であり、中立線O近傍のフランジ対向部分よりウェブ側ではフランジ外側方向に凸形状であっても良い。
具体的には、急傾斜部100bを設けたようなフランジ対向部分100の形状については、各フランジ対向部分100a~100cの形状を必ずしも直線形状で構成する必要は無く、フランジ対向部分100a、100b、100cの傾斜角度が上記式(4)~(6)で示したような好適な条件となっていれば、例えば各フランジ対向部分100a~100cの一部又は全部が曲線によって構成されても良い。この場合、急傾斜部100bは、フランジ対向部分100aとの交点、及び、フランジ対向部分100cとの交点で挟まれる範囲として定義され、急傾斜部100bが中立線Oを跨ぐように構成される。
図17は、中間圧延に用いる孔型の他の形状に係る概略説明図であり、フランジ対応部63に対向する箇所近傍の一例を示す概略拡大図である。図17に示すように、フランジ対向部分100a、100cは曲線形状で構成されている。リバース圧延を行う工程は、第2フランジ部を少なくとも一つ含むフランジ部(ウェブ側フランジ部とも称す)に接続されるウェブ対応部60と、第3フランジ部を少なくとも一つ含むフランジ部(腕側フランジ部とも称す)に接続される腕対応部66を形成する工程を含むことが好ましい。この場合、ウェブ対応部60を形成するためのウェブ対向部分100dと、腕対応部66を形成するための腕対向部分100eとを備えることが好ましい。ここで、孔型は、フランジ対向部分100a(第2フランジ対向部分)を少なくとも一つ含むウェブ側フランジ対向部分群と、フランジ対向部分100c(第3フランジ対向部分)を少なくとも一つ含む腕側フランジ対向部分群とを備えることが好ましい。ここで、ウェブ側フランジ対向部分群とウェブ対向部分100dとの境界をPa、腕側フランジ対向部分群と腕対向部分100eとの境界をPcとする。
図17に示す一例では、腕側の境界部Pc(腕対応部66に対向する腕対向部分100eとフランジ対向部分100cとの境界)とウェブ側の境界部Pa(ウェブ対応部60に対向するウェブ対向部分100dとフランジ対向部分100aとの境界)を結ぶ直線Qに対し、フランジ対向部分100aはフランジ外側方向に凸形状となるような曲線形状であり、フランジ対向部分100cはフランジ内側方向に凸形状となるような曲線形状である。また、本変形例では急傾斜部100bは直線形状として図示したが、当該急傾斜部100bを曲線形状としても良い。
図17に示すようなフランジ対向部分100a、100cが曲線形状である場合、当該フランジ対向部分100a、100cの傾斜角度θf2、θf3は、水平線に対するフランジ対向部分100a、100cの高さ方向中央部における接線(図17中のQa、Qc)の傾斜角度により定めれば良い。急傾斜部100bが曲線形状である場合は、角度が最大となる接線に基づき傾斜角度を定めれば良い。図17では直線Qおよび接線Qa、Qcを下孔型ロール88で説明したが、上孔型85ロールでも同様に定めれば良い。その上で、フランジ対向部分100a、100b、100cと水平線のなす角度が上孔型ロール85と下孔型ロール88で異なる場合、θf2、θf1、θf3は上孔型ロール85と下孔型ロール88のフランジ対向部分と水平線のなす角度の平均値とすればよい。このように定義された各フランジ対向部分100a~100cの傾斜角度に関しても、上記式(1)~(6)で示したような好適な条件に設定することで、同様の作用効果が得られる。
即ち、ここでは、孔型80の孔型形状を、傾斜角度の異なる複数のフランジ対向部分100a、100b、100cを有する形状であるとして説明し、各部分100a、100b、100cの詳細な形状については言及していない。フランジ対応部62、63の形状は複数の直線又は曲線、あるいはその両方の組み合わせによって構成されれば良く、それに合わせて各部分100a、100b、100cの形状は任意に設計可能である。仮にフランジ対応部62、63に曲線部分が構成されるような場合には、当該曲線部分の傾斜角度はその接線の角度で定義すればよい。
(厚み違いサイズの作り分け)
上記実施の形態に記載の圧延ラインLは、異なる厚みの製品を製造する場合にも対応できるように構成されているのが好ましい。この圧延ラインLの曲げ成形機20においても、上記実施の形態と同様に仕上材19aの板厚圧下が行われないようにするのが良い。即ち、圧延工程(粗圧延~仕上圧延)を行って仕上材19aの厚みを製品の厚み寸法にした後、曲げ成形機20によって仕上材19aを板厚圧下することなく、当該仕上材19aを製品に近似した断面形状に成形する。かかる場合、曲げ成形機20においては、仕上材19aのウェブ対応部60及びフランジ対応部62、63の厚みの変化に対応するように、孔型45及び孔型55におけるロール隙を調整する。
ここで、例えば図18に示すように孔型45において、ウェブ対応部60に対向する部分45a(以下、ウェブ部分45aと呼称する)のロール隙をtwとし、フランジ対応部62、63に対向する部分45b(以下、フランジ部分45bと呼称する)のロール隙をtfとし、更にウェブ部分45aに対するフランジ部分45bの角度(以下、フランジ角度と呼称する)をθとする。そして、孔型45のロール隙を鉛直方向にΔだけ大きくすると、図18の点線に示すようにウェブ部分45aのロール隙はΔtw(=Δ)だけ大きくなり、フランジ部分45bのロール隙はΔtf(=Δcоsθ)だけ大きくなる。
圧延工程における圧延機(粗圧延機10~仕上圧延機19)における孔型のフランジ角度と、曲げ成形機20におけるフランジ角度θとは異なるため、圧延機と曲げ成形機20のロール隙を同じ量だけ調整しても、これら圧延機と曲げ成形機20におけるフランジ部分45bの変化量Δtfが異なってしまう。具体的には、仕上圧延機19のフランジ角度に比べて曲げ成形機20におけるフランジ角度θの方が大きいため、仕上圧延機19における変化量Δtfに比べて曲げ成形機20における変化量Δtfが小さくなる。そうすると、曲げ成形機20におけるフランジ部分45bにおいて仕上材19aの板厚が圧下されるおそれがある。このため、製品の厚みの変化に応じて、圧延機におけるロール隙の変化量と曲げ成形機20におけるロール隙の変化量は個別に設定する必要がある。
即ち、圧延機におけるロール隙の変化量は、仕上材19aの厚みが製品の厚み寸法になるように設定される。
一方、曲げ成形機20におけるロール隙の変化量は、当該曲げ成形機20によって仕上材19aを成形する際に、想定されるすべての厚みの仕上材19aを板厚圧下しないように設定される。換言すれば、曲げ成形機20におけるロール隙は、仕上材19aの厚みの変化に対応して、これら想定されるすべての厚みより大きくなるように設定される。具体的には、曲げ成形機20における基準部位、例えば孔型45のウェブ部分45aにおいて仕上材19aが板厚圧下されないように、当該ウェブ部分45aのロール隙をその部位の製品の厚みよりAだけ大きく設定した場合(製品厚み+A)に、フランジ部分45bにおいても仕上材19aが板厚圧下されないように、当該フランジ部分45bのロール隙がその部位の製品の厚みよりBだけ大きくなるように設定される(製品厚み+B)。これらAとBは、それぞれ0より大きく、好ましくは5mm以下であり、より好ましくは0.5mm~3mmである。そして、孔型45を形成する上孔型ロール40と下孔型ロール41は、上記ロール隙が設定できるように設計される。
なお、上記説明においては、フランジ部分45bのロール隙が製品の厚み+Bに設定されたが、孔型45において腕対応部65、66に対向する腕部分も同様に、ロール隙が製品の厚み+Cに設定される。CもA、Bと同様、0より大きく、好ましくは5mm以下であり、より好ましくは0.5mm~3mmである。ハット形鋼矢板の場合、製品のウェブ対応部と腕対応部は水平であるため、AとCはほぼ同じになる。また、他の孔型55のロール隙も、上記孔型45のロール隙と同様の方法で設定される。
本形態によれば、上記実施の形態と同様の効果を享受しつつ、曲げ成形機20の同一の上下孔型ロールを用いてロール隙を調整することにより、異なる厚みの製品を製造することができる。したがって、製造可能な製品サイズの自由度を向上させることができる。
(その他)
例えば、上記実施の形態では、曲げ成形機20が第1スタンド22と第2スタンド23から構成される場合について図示し、説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば曲げ成形機20は単スタンドでもよく、また、任意の数の複数スタンドから構成されてもよい。曲げ成形機20が複数スタンドから構成される場合には、各スタンドにおいて曲げ成形を分担して行うことができるため、曲げ成形に伴う継手対応部68、69の形状変化を小さくすることが可能となる。なお、スタンド数は曲げ成形角度と設備投資のバランスから好適に決定され、例えば曲げ成形角度が20°~30°程度であれば、2基スタンドが好適である。
また、上記実施の形態に記載の曲げ成形機20においては、被圧延材(仕上材19a)と、各孔型ロールとの接触部分に潤滑油等を供給し、潤滑することが好ましい。特に、ウェブ対応部60の下面及び腕対応部65、66の上面は、孔型ロールに対して局所的に接触し、相対滑り速度が大きい。そのため、曲げ成形後の製品における当該領域には引っ掻き疵が入りやすくなっている。従って、特にウェブ対応部60の下面及び腕対応部65、66の上面と孔型ロールとの接触部分は潤滑を行う必要がある。このような潤滑を行うことで、引っ掻き疵のない良好な品質の製品を製造することが可能となる。
また、以上の実施の形態ならびにその変形例においては、ハット形鋼矢板製品を上開き(ウェブ対応部に対して腕対応部を上側にした)姿勢で製造する場合を例示して説明したが、逆の下開き(ウェブ対応部に対して腕対応部を下側にした)姿勢で製造する場合にも本発明は適用できる。その場合、継手の向き及び上下孔型ロールを逆配置するものとして考えれば良い。また、上記実施の形態ならびにその変形例等にかかる説明では、最終製品としてハット形鋼矢板を製造する場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えばU形鋼矢板等の鋼矢板製品の製造において適用することもできる。
(実施例1)
本発明にかかる鋼矢板の製造方法により、熱間仕上圧延に引き続き、連続した2スタンドで構成される曲げ成形機によって20°の熱間曲げ成形を行いハット形鋼矢板を製造した場合と、従来技術として、フラットロールからなる複数の支承ロールを用いて冷間加工により曲げ成形を行ってハット形鋼矢板を製造した場合とを比較した。
本発明にかかる鋼矢板の製造方法によれば、曲げ成形後の被圧延材を製品長さに切断後、スプリングバックによってフランジとウェブとがなす角度が最大約0.5°増加した。また、このときの製品長手方向の全幅差は約4.5mmであった。
一方、従来技術にかかる鋼矢板の製造方法によれば、曲げ成形後の被圧延材を製品長さに切断後、スプリングバックによってフランジとウェブとがなす角度が最大約2.2°増加した。また、このときの製品長手方向の全幅差は約25mmであった。
(実施例2)
本発明の実施例2として、ウェブ厚15.0mm、フランジ厚11.3mm、腕厚14.5mmの第1のハット形鋼矢板製品(表中の鋼矢板1)と、ウェブ厚17.0mm、フランジ厚12.8mm、腕厚16.5mmの第2のハット形鋼矢板製品(表中の鋼矢板2)を、同じ曲げ成形ロールから製造するため、以下の表1に示した寸法条件でもって、仕上圧延機と2スタンドの曲げ成形機のロールをそれぞれ共用し、ロール隙を調整するだけで、熱間で曲げ成形を行い製造した。
Figure 0007148019000001
表1に示すように、曲げ成形機の第1スタンドと第2スタンドのいずれのロール隙も、仕上材の厚み(即ち、仕上げ圧延機のロール隙)に対して1.9mm~2.8mm大きくして曲げ成形を実施した。これにより仕上圧延に比べて非常に低い成形負荷で、良好な製品が成形ロール隙調整により製造できた。
(実施例3)
本発明の実施例3として、従来技術に係る2孔型を用いた中間圧延方法と、本発明に係る1孔型複数パスで行われる中間圧延方法と、における中間圧延後の被圧延材の仕上がり温度の違いについて検証を行った。以下の表2は従来法と本発明法の中間圧延における圧延条件を示す表である。また、図19は本実施例3に関する説明図であり、(a)は従来法の孔型配置、(b)は本発明法の孔型配置を示している。
Figure 0007148019000002
図19(a)や表2に示すように、従来法では並列に配置された2孔型に分けて、各孔型2パスずつの圧延を行った。一方、図19(b)や表2に示すように、本発明法では1孔型を直列に配置し、多パス圧延を行った。その結果、表2に示すように、従来法では鋼材をシフトさせる時間がかかるのに対し、本発明法では鋼材のシフトが不要であることから、フランジ仕上がり温度が40℃高いことが分かった。
なお、本発明を適用した場合、ロール胴長が短くなるため、ロール耐荷重が向上する効果がある。ハット形鋼矢板製造において、特に薄肉サイズでパス回数が多いサイズでは、1パスあたりの圧下量が拡大できるので大きなパス回数の削減効果が期待できる。その場合、フランジ仕上がり温度は、表2に示す以上に大きく向上させることが可能となる。
中間圧延での鋼材(被圧延材)の仕上がり温度が高いと、加工エネルギーが少なく、鋼材の鋸断を効率的に行うことができるといったメリットがある。また、上記実施の形態で説明した曲げ成形を行う際に、曲げ成形機にかかる成形負荷や、曲げ成形に伴う伸びや靭性の低下等の材質劣化、残留応力を低減させることができる。
本発明は、ハット形鋼矢板の製造方法に適用できる。
10…粗圧延機
13…第1中間圧延機
14…エッジャー圧延機
16…第2中間圧延機
17…エッジャー圧延機
19…仕上圧延機
19a…仕上材
20…曲げ成形機
22…第1スタンド
23…第2スタンド
40…上孔型ロール
41…下孔型ロール
44…筐体
45…孔型
50…上孔型ロール
51…下孔型ロール
54…筐体
55…孔型
60…ウェブ対応部
62、63…フランジ対応部
65、66…腕対応部
68、69…継手対応部
70…コーナー部
70a、70b…コーナー部内側
70c、70d…コーナー部外側
71…コーナー部
71a、71b…コーナー部内側
71c、71d…コーナー部外側
80…(中間圧延を行う)孔型
100…対向部分
100a~100c…フランジ対向部分
101a~101c…フランジ対向部分
L…圧延ライン
O…中立線

Claims (14)

  1. 熱間圧延により被圧延材に粗圧延、中間圧延および仕上げ圧延を行った後、曲げ成形を行うハット形鋼矢板の製造方法であって、
    被圧延材はウェブ対応部、フランジ対応部、腕対応部及び継手対応部から構成され、
    前記ウェブ対応部と前記フランジ対応部との接続箇所及び前記フランジ対応部と前記腕対応部の接続箇所に加工部位としてのコーナー部が形成され、
    前記中間圧延は1スタンド1孔型で構成される1又は複数の中間圧延機において上下孔型ロールに設けられた孔型にて熱間で被圧延材を所定の目標製品高さより低い高さで複数パス圧延で行われ、
    前記曲げ成形は、熱間で行われ、且つ、前記加工部位が変態点以上の温度である状態で行われ、被圧延材を所定の目標高さおよび目標幅に成形させることを特徴とする、ハット形鋼矢板の製造方法。
  2. 前記中間圧延は、同一の孔型により前記被圧延材に対してリバース圧延を行う工程を具備し、
    前記リバース圧延を行う工程は、中立線を跨ぐ第1フランジ部と、当該第1フランジ部の両側に配置される第2及び第3フランジ部を形成する工程を含み、
    前記リバース圧延を行う孔型は、前記第1フランジ部を形成するための第1フランジ対向部分と、前記第2フランジ部を形成するための第2フランジ対向部分と、前記第3フランジ部を形成するための第3フランジ対向部分と、を備え、
    水平面に対する、前記第1フランジ対向部分の傾斜角度は、前記第2及び第3フランジ対向部分の傾斜角度よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載のハット形鋼矢板の製造方法。
  3. 前記リバース圧延を行う工程は、前記ウェブ対応部と、前記腕対応部を形成する工程を含み、
    前記リバース圧延を行う孔型は、前記ウェブ対応部を形成するためのウェブ対向部分と、前記腕対応部を形成するための腕対向部分と、を備え、
    前記リバース圧延を行う孔型は、前記第2フランジ対向部分を少なくとも一つ含むウェブ側フランジ対向部分群と、前記第3フランジ対向部分を少なくとも一つ含む腕側フランジ対向部分群と、を備え、
    前記ウェブ側フランジ対向部分群と前記ウェブ対向部分との境界部と、前記腕側フランジ対向部分群と前記腕対向部分との境界部と、を結ぶ直線に対し、
    前記第2フランジ対向部分は、フランジ外側方向に凸形状であり、
    前記第3フランジ対向部分は、フランジ内側方向に凸形状であることを特徴とする、請求項2に記載のハット形鋼矢板の製造方法。
  4. 前記リバース圧延を行う孔型においては、前記第1フランジ部におけるフランジ延伸λf1が、前記第2フランジ部及び第3フランジ部におけるフランジ延伸λf2、λf3よりも小さい圧延が行われることを特徴とする、請求項2又は3に記載のハット形鋼矢板の製造方法。
  5. 前記曲げ成形は、上下孔型ロールを用いて行われ、
    前記曲げ成形では、当該上下孔型ロールを用いて前記コーナー部の内側に当該上下孔型ロールの一部を接触させ当該コーナー部を曲げることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のハット形鋼矢板の製造方法。
  6. 前記曲げ成形では、前記ウェブ対応部と前記フランジ対応部との接続部である一方のコーナー部へのロールの接触に伴いかかる力と釣り合う方向に、前記フランジ対応部と前記腕対応部との接続部である他のコーナー部に対し力がかかるようにロールを接触させて成形を行うことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のハット形鋼矢板の製造方法。
  7. 前記曲げ成形は、上下孔型ロールを用いて行われ、
    前記曲げ成形では、当該上下孔型ロールを用いて熱間で前記コーナー部の内側に当該上下孔型ロールの一部を接触させ当該コーナー部を曲げ、
    前記曲げ成形時には、当該上下孔型ロールの前記ウェブ対応部、前記フランジ対応部、及び、前記腕対応部に対向する部分のロール隙は、それぞれ前記ウェブ対応部、前記フランジ対応部、及び、前記腕対応部の厚みより大きいことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のハット形鋼矢板の製造方法。
  8. 前記ウェブ対応部ならびに前記フランジ対応部の厚みの変化に対応して、各厚みより大きくなるように、前記曲げ成形を行う上下孔型ロールの前記ウェブ対応部ならびに前記フランジ対応部に対向する部分のロール隙がそれぞれ設定されることを特徴とする、請求項7に記載のハット形鋼矢板の製造方法。
  9. 前記熱間圧延において、前記コーナー部の板厚が製品板厚よりも厚くなるように前記被圧延材を圧延し、
    前記曲げ成形では、前記上下孔型ロールにより前記コーナー部を圧下することを特徴とする、請求項7又は8に記載のハット形鋼矢板の製造方法。
  10. 前記曲げ成形では、前記被圧延材と前記上下孔型ロールとの接触部分を潤滑することを特徴とする、請求項7~9のいずれか一項に記載のハット形鋼矢板の製造方法。
  11. 前記曲げ成形では前記ウェブ対応部の外側と、前記腕対応部の外面と、に前記上下孔型ロールを接触させることを特徴とする、請求項7~10のいずれか一項に記載のハット形鋼矢板の製造方法。
  12. 前記曲げ成形では前記継手対応部が略水平となるように当該継手対応部の外面に前記上下孔型ロールを接触させることを特徴とする、請求項7~11のいずれか一項に記載のハット形鋼矢板の製造方法。
  13. 前記曲げ成形を行う曲げ成形機と、前記仕上圧延を行う仕上圧延機はタンデムとすることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載のハット形鋼矢板の製造方法。
  14. 前記加工部位は、前記ウェブ対応部と前記フランジ対応部との接続箇所及び前記フランジ対応部と前記腕対応部の接続箇所であり、曲率を有する屈曲部であることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載のハット形鋼矢板の製造方法。
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