JP2023113154A - ハット形鋼矢板の製造方法 - Google Patents

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和範 杉田
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Abstract

【課題】フランジ波の発生を抑制することができるハット形鋼矢板の製造方法を提供すること。【解決手段】圧延対象材に複数の孔型を用いて、粗圧延、中間圧延及び仕上げ圧延を順次施して、ウェブとフランジと腕部と継手部とを有するハット形鋼矢板の製造方法であって、粗圧延及び中間圧延は、それぞれ複数の孔型のうちの2以上の孔型を用いた複数パス圧延により行われ、仕上げ圧延は、複数の孔型のうちの1以上の孔型を用いた1パス以上の圧延により行われ、複数の孔型は、フランジの高さ方向中央部を圧延する箇所のロール隙が、フランジの高さ方向中央部以外の他の部位を圧延する箇所のロール隙よりも狭く設定された第1の孔型と、第1の孔型よりも圧延対象材の搬送方向で下流側に位置し、全断面での減面率Raと、フランジの高さ方向中央部の圧下率Rfcとが、Ra≧Rfc-0.02を満たすように形成された第2の孔型とをそれぞれ1以上備えて構成される。【選択図】図8

Description

本発明は、ハット形鋼矢板の製造方法に関する。
従来、ハット形等の両端に継手を有する鋼矢板の製造は、孔型圧延法によって行われている。この孔型圧延法の一般的な工程としては、先ず加熱炉において所定の温度に加熱した鋼素材(矩形材)を、孔型をそれぞれ備えた、粗圧延機、中間圧延機及び仕上げ圧延機によって順に圧延することが知られている。また、粗圧延機、中間圧延機及び仕上げ圧延機による圧延をそれぞれ、粗圧延、中間圧延及び仕上げ圧延ともいい、これらの圧延を総称して造形圧延ともいう。
孔型圧延法として、例えば、特許文献1には、粗圧延、中間圧延及び仕上げ圧延において、ロールに複数の孔型を刻設し、各孔型にて1~2パスずつ圧延を行い、ハット形鋼矢板を製造する技術が開示されている。また、特許文献2には、フランジを有する鋼矢板の製造であって、粗圧延工程及び中間圧延工程における圧延対象材の圧延は、連続する複数の孔型における複数パス圧延によって行われ、複数の孔型での圧延において、連続する2つの孔型では、後段の孔型におけるフランジ総圧下率に比べて、圧延中立線近傍でのフランジ圧下率が小さくなるような所定の条件にてフランジ対応部のロール隙を構成し、圧延を行う技術が開示されている。また、特許文献3には、ハット形鋼矢板の圧延方法について、粗圧延工程、中間圧延工程及び仕上げ圧延工程における圧延対象材の圧延は、複数の孔型における複数パス圧延によって行われ、複数の孔型での圧延において、少なくとも2つの孔型では、前段孔型が、フランジ対応部の圧延中立線近傍からウェブ肩近傍まで、及び、圧延中立線近傍から腕付け根近傍までのフランジ厚を圧延中立線近傍よりも厚くし、後段孔型が、フランジ厚を厚くしたフランジ対応部を強圧下するように圧延する方法が開示されている。
特開2006-88176号公報 特開2019-38014号公報 特開2021-62384号公報
しかしながら、上記従来の技術には、未だ解決すべき以下のような問題があった。すなわち、特許文献1に開示された技術では、粗圧延、中間圧延工程、仕上げ圧延工程にて、フランジを製品とほぼ同じ角度の直線状態として1孔型で1~2パスの圧延を行うが、特にフランジ幅が大きく板厚が薄い場合には、リバース圧延を行うと断面内各部の延伸バランスが取れず、フランジ波が発生してしまう場合がある。また、特許文献2及び3に開示された技術では、フランジ波の発生を抑制するための条件が十分ではなく、特許文献2及び3に開示された条件で圧延を行ってもフランジ波が発生したり、あるいは、特許文献2及び3に開示された条件を達成する圧延が困難な場合があったりするという問題があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、フランジ波の発生を抑制することができるハット形鋼矢板の製造方法を提供することである。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るハット形鋼矢板の製造方法は、圧延対象材に複数の孔型を用いて、粗圧延、中間圧延及び仕上げ圧延を順次施して、ウェブとフランジと腕部と継手部とを有するハット形鋼矢板を製造するハット形鋼矢板の製造方法であって、前記粗圧延及び前記中間圧延は、それぞれ前記複数の孔型のうちの2以上の孔型を用いた複数パス圧延により行われ、前記仕上げ圧延は、前記複数の孔型のうちの1以上の孔型を用いた1パス以上の圧延により行われ、前記複数の孔型は、前記フランジの高さ方向中央部を圧延する箇所のロール隙が、前記フランジの高さ方向中央部以外の他の部位を圧延する箇所のロール隙よりも狭く設定された第1の孔型と、前記第1の孔型よりも前記圧延対象材の搬送方向で下流側に位置し、全断面での減面率Raと、前記フランジの高さ方向中央部の圧下率Rfcとが、Ra≧Rfc-0.02を満たすように形成された第2の孔型とを、それぞれ1以上備えて構成されることを特徴とするものである。
また、本発明に係るハット形鋼矢板の製造方法は、上記の発明において、前記第1の孔型は、前記粗圧延の最終パスの孔型と、前記中間圧延の最初のパスの孔型との少なくとも一方に適用されることを特徴とするものである。
また、本発明に係るハット形鋼矢板の製造方法は、上記の発明において、前記第2の孔型は、前記中間圧延の最終パスの孔型、前記最終パスの1つ前のパスの孔型、前記仕上げ圧延の最初のパスの孔型のいずれか1以上の孔型に適用されることを特徴とすることを特徴とするものである。
また、本発明に係るハット形鋼矢板の製造方法は、上記の発明において、前記第1の孔型を連続するパスの孔型にそれぞれ適用することを特徴とするものである。
また、本発明に係るハット形鋼矢板の製造方法は、上記の発明において、前記第1の孔型が刻設されたロールの前記フランジの高さ方向中央部に対応する位置に凸部が設けられており、前記第1の孔型が連続するパスの孔型に適用される場合、前記凸部の凸量は、前記圧延対象材の搬送方向で下流側に設けられた前記第1の孔型ほど小さく設定されることを特徴とするものである。
また、本発明に係るハット形鋼矢板の製造方法は、上記の発明において、前記第2の孔型を連続するパスの孔型にそれぞれ適用することを特徴とするものである。
本発明に係るハット形鋼矢板の製造方法は、フランジ波の発生を抑制することができるという効果を奏する。
図1は、ハット形鋼矢板の断面形状を示した図である。 図2は、圧延ラインの設備構成を示す説明図である。 図3は、粗圧延のロール孔型を示した図である。 図4は、中間圧延のロール孔型を示した図である。 図5は、仕上げ圧延のロール孔型を示した図である。 図6は、フランジ波を模式的に示した図である。 図7(a)は、K3孔型圧延でフランジ波が発生した場合におけるK3孔型圧延前後のフランジ厚の分布を示したグラフである。図7(b)は、K3孔型圧延でフランジ波が発生していない場合におけるK3孔型圧延前後のフランジ厚の分布を示したグラフである。 図8は、フランジの高さ方向中央部の圧下率Rfc、及び、全断面での減面率Raで整理したフランジ波の発生状況の調査結果を示した図である。 図9(a)は、K6孔型におけるフランジ部位の部分拡大図である。図9(b)は、図9(a)中のA部の拡大図である。
以下に、本発明に係るハット形鋼矢板の製造方法の実施形態について説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。また、本実施形態においては、ハット形鋼矢板形状の圧延対象材を、ウェブがフランジよりも上方に位置する姿勢(いわゆる逆U姿勢、あるいは、ハット姿勢)で圧延されるものとして説明するが、当然、本発明の適用範囲はその他の姿勢(例えばU姿勢)での圧延にも及ぶ。
図1は、ハット形鋼矢板1の断面形状を示した図である。
本実施形態において製造されるハット形鋼矢板1は、図1に示すように、長手方向に直交する一様な断面形状がハット形である。ハット形鋼矢板1は、断面形状として、ウェブ11と、一対のフランジ12と、一対の腕部13と、一対の継手部14とを有する。ウェブ11は、一方向(図1の左右方向であり、以下では、「左右方向」とも称する。)に延在する部位である。一対のフランジ12は、ウェブ11の左右方向の両端に接続され、左右方向に対して傾いて延在する部位である。図1に示す例では、一対のフランジ12は、ウェブ11の反対側の端部が上下方向(図1の上下方向であり、左右方向に直交する方向)の下側となるように傾いて延在する。一対の腕部13は、一対のフランジ12のウェブ11が接続されていない側に接続され、左右方向に延在する部位である。一対の継手部14は、一対の腕部13のフランジ12が接続されていない側に接続される部位であり、上下方向の上側または下側に開いた鉤状の形状を有する。一対の継手部14は、鋼矢板として用いられる際に、他の鋼矢板の継手部に嵌合することで、他の鋼矢板との接続に用いられる部位である。なお、本実施形態では、腕部13と継手部14とをまとめて平坦部ともいう。平坦部は、ハット形鋼矢板1において、フランジ12のウェブ11が接続されていない側の端に接続して形成され、左右方向に延在する平坦箇所を有する部位である。本実施形態では、腕部13が、平坦部における平坦箇所となる。また、図1のWで示す一対の継手部14間の距離を有効幅といい、図1のHで示すウェブ11の上面から腕部13の下面までの上下方向の距離を有効高さという。
次に、ハット形鋼矢板1に製造に用いる圧延ラインについて説明する。図2は、圧延ライン2の設備構成を示す説明図である。
図2において、圧延ライン2での圧延進行方向、つまり、圧延対象材の搬送方向は、図2中に矢印で示す方向である。加熱炉3で加熱された圧延対象材であるスラブは、複数の孔型を用いて、粗圧延機4、中間圧延機5、仕上げ圧延機6の順に熱間で孔型圧延され、図1に示すハット形鋼矢板1の製品形状に仕上げられる。これらの圧延機には、カリバと呼ばれる孔型が、上ロールと下ロールとに刻設されている。なお、本実施形態では、粗圧延機4、中間圧延機5及び仕上げ圧延機6による圧延をそれぞれ、粗圧延、中間圧延、仕上げ圧延ともいい、これらの圧延を総称して造形圧延ともいう。本実施形態において、粗圧延及び中間圧延は、それぞれ前記複数の孔型のうちの2以上の孔型を用いた複数パス圧延により行われ、仕上げ圧延は、前記複数の孔型のうちの1以上の孔型を用いた1パス以上の圧延により行われ、図2に示すように、粗圧延3段(Box、K8、K7)、中間圧延4段(K6、K5、K4、K3)及び、仕上げ圧延2段(K2、K1)が例示される。
図3は、粗圧延のロール孔型を示した図である。具体的には、図3にハット形鋼矢板1の粗圧延に用いられる粗圧延機4の孔型の例を示しており、上ロール41と下ロール42とに対し、Box孔型、K8孔型及びK7孔型という3つの孔型が刻設されている。
本実施形態の粗圧延では、まず、Box孔型で圧延対象材(素材)であるスラブの幅圧下が行われる。次いで、K8孔型で、スラブのハット形への曲げ変形及び厚み圧下が行われる。さらに、K7孔型で、さらに厚み圧下が行われ、製品断面形状に近い形に造形される。粗圧延のK8孔型及びK7孔型では、それぞれ複数パスの圧延が行われている。
中間圧延機5についても同様に、2~4つ程度の孔型が上下で一つのロール組に刻設されており、これらの孔型での圧延が順次行われる。図4は、中間圧延のロール孔型を示した図である。具体的には、図4にハット形鋼矢板1用の中間圧延機5における圧延機5Aの孔型の例を示しており、上下で一つのロール組である上ロール51Aと下ロール52Aとに対し、K6孔型及びK3孔型の2つの孔型が刻設されている。
また、ハット形鋼矢板1用の中間圧延機5における図示しないもう一方の圧延機5Bにも2つの孔型、K5孔型とK4孔型とが刻設されている。
本実施形態の中間圧延では、中間圧延の1パス目にK6孔型で圧延を行い(K5圧延はダミーで圧下なし)、1パス目とは逆方向の圧延となる2パス目には、K6孔型とK5孔型とでのタンデム圧延を行う。さらに3パス目には、K4孔型とK3孔型とでタンデム圧延を行う。
仕上げ圧延機6についても同様に、1~3つ程度の孔型が上下で一つのロール組に刻設されており、これらの孔型での圧延が順次行われる。図5は、仕上げ圧延のロール孔型を示した図である。具体的には、図5にハット形鋼矢板1用の仕上げ圧延機6の孔型の例を示しており、上下で一つのロール組である上ロール61と下ロール62とに対し、K2孔型及びK1孔型の2つの孔型が刻設されている。
本実施形態の仕上げ圧延では、中間圧延された素材に対して、仕上げ圧延の1パス目にK2孔型で最終的な厚みを仕上げる圧延を行い、逆方向の圧延となる2パス目にK1孔型で継手部14の爪曲げ成型が行われ、製品断面形状となる。3パス目はK1孔型を通す正方向の圧延であるが、圧下や爪曲げを行わないダミー圧延としている。なお、この仕上げ圧延では、2パス目をダミー圧延として、3パス目にK1孔型で爪曲げを行っても構わない。また、K2孔型で2パスの圧延を行ってもよい。
このようなハット形鋼矢板1の圧延では、「フランジ波」と呼ばれる形状不良が発生することがある。図6は、フランジ波20を模式的に示した図である。図6に示したフランジ波20は、フランジ12(の外面側)が平坦とはならずに長手方向で高さが変化し波打ち形状となる形状不良である。
ここで、フランジ波は、厚みが薄くなる中間圧延の後半パスや仕上げ圧延で発生することが多い。発生したフランジ波が最終圧延後に残っていると、その材は製品とすることはできず(不合格品)、製品歩留まりを大きく低下させるため、フランジ波の発生を抑制する必要がある。なお、フランジ波のない合格品とは、例えば、本実施形態において、フランジの外面側について、長手方向での波の最高点と波の最低点との高さの差が予め定めた許容値を超えていない材をいい、前記許容値は適宜設定されるが本実施形態では0.5[mm]とする。
本願発明者らは、製品ウェブ厚が13.2[mm]となる25H(シリーズ呼称)のハット形鋼矢板1について、フランジ波の発生条件を明らかにするために、中間圧延の最終パスであるK3孔型圧延に注目し、K3孔型圧延での圧下条件を種々変更し、フランジ波の発生有無を調査した。また、この際にK3孔型圧延前後の断面内の厚み分布を調査し、K3孔型圧延での各部位の圧下率や全断面での減面率Raを算出し、フランジ波の発生状況と対比した。
ここで、K3孔型圧延での減面率Raは、K3孔型での圧延前の材料の全断面積をA0とし、K3孔型での圧延後の材料の全断面積をA1としたとき、下記数式(1)で表される。
Figure 2023113154000002
圧下率は、例えば、フランジ12の高さ方向中央部の圧下率Rfcであれば、K3孔型での圧延前のフランジ12の高さ方向中央部の厚みをt0とし、K3孔型での圧延後の同部位の厚みをt1としたとき、下記数式(2)で表される。
Figure 2023113154000003
図7(a)は、K3孔型圧延でフランジ波が発生した場合におけるK3孔型圧延前後のフランジ厚のフランジ12の高さ方向での分布を示したグラフである。図7(b)は、K3孔型圧延でフランジ波が発生していない場合におけるK3孔型圧延前後のフランジ厚のフランジ12の高さ方向での分布を示したグラフである。なお、図7中の三角形でプロットしたグラフは、K3孔型圧延の前のフランジ厚のフランジ12の高さ方向での分布を示している。また、図7中の丸でプロットしたグラフは、K3孔型圧延の後のフランジ厚のフランジ12の高さ方向での分布を示している。
ハット形鋼矢板1の1シリーズである25Hは、フランジ12の鉛直方向の高さは約300[mm]であるが、フランジ12の高さ方向中央で厚みが厚くなる傾向があり、図7(a)に示した例では、K3孔型圧延でフランジ波が発生していた。一方、図7(b)に示した例では、フランジ12の厚み分布が図7(a)とほとんど変わらず、フランジ12の高さ方向中央部の圧下率Rfcも図7(a)とほぼ同等であるが、フランジ波は発生していなかった。このように、図7(a)と図7(b)とで差異が生じた理由として、図7(a)では、ウェブ11及び腕部13の平均圧下率が0.08と小さく、結果として減面率Raが小さいのに対し、図7(b)では、ウェブ11及び腕部13の平均圧下率を0.11と大きくし、減面率Raを大きくしたことが考えられた。
そこで、本願発明者らは、K3孔型圧延におけるフランジ12の高さ方向中央部の圧下率Rfc及び全断面での減面率Raで、フランジ波の発生状況の調査結果を整理した。この調査結果を図8に示す。フランジ波は、フランジ12の高さ方向中央部の圧下率Rfcが全断面の減面率Raよりも大きい時に発生しやすい。逆に、フランジ12の高さ方向中央部の圧下率Rfcに対して、ウェブ11や腕部13の平均圧下率を確保し、全断面の減面率Raを大きくした場合には、フランジ波の発生を抑制できることがわかった。
そして、このような結果を本願発明者らは整理していき、最終的に、下記数式(3)を満たす条件でK3孔型圧延を行えば、フランジ波の発生を抑制できることが判明した。
Figure 2023113154000004
次に、上記数式(3)を満足させてK3孔型圧延を行ってフランジ波を抑制するために、フランジ波が問題となるK3孔型の圧延よりも、上流側における圧延条件及び圧延方法について説明する。
フランジ波が問題となるのは、中間圧延の後半から仕上げ圧延であり、ここでのフランジ波の発生を抑制するためには、これより上流側の圧延においてフランジ12の高さ方向中央部の増厚を防ぐことが重要である。フランジ波の原因となる増厚が発生しやすいのは、中間圧延以降の孔型での圧延であるが、この増厚をあらかじめ抑制するために、粗圧延の最終のK7孔型や中間圧延の最初のK6孔型における圧延は、フランジ12の高さ方向中央部を圧下するロール隙を、フランジ12の他の部位を圧下するロール隙よりも狭めることが肝要である。
図9(a)は、K6孔型におけるフランジ部位の部分拡大図である。図9(b)は、図9(a)中のA部の拡大図である。
図9に示すように、本実施形態においては、中間圧延の最初のK6孔型として、下ロール52Aのフランジ12の高さ方向中央部に対応する位置に凸量dの凸部521Aを設けて、フランジ12の高さ方向中央部を圧下するロール隙をフランジ12の他の部位よりも狭めた第1の孔型を適用している。なお、図9中の「L1」は、フランジ12に沿った方向での凸部521Aの幅を示している。図9(b)中の「L2」は、ハット形鋼矢板1の左右方向(ウェブ11に沿った方向)での凸部521Aの幅を示している。また、第1の孔型としては、上ロールと下ロールとのいずれか一方または両方におけるフランジ12の高さ方向中央部に対応する位置に凸部を設けた孔型であればよい。凸部の形状は、図9(b)に示したような円弧形状に限るものではなく、例えば、台形形状や三角形形状などであってもよい。
そして、本実施形態では、第1の孔型をK6孔型に適用してK6孔型圧延を行い、中間圧延の初期にフランジ12の高さ方向中央部の極端な増厚を防ぐ圧延を行う。また、圧延ライン2において、このような第1の孔型を適用する最初の孔型(上流側の孔型)としてはK6孔型またはK7孔型が望ましく、いずれを最初の孔型とするかは適宜設定すればよい。なお、このようにロールに凸部を設けても、当該孔型での圧延でフランジ12の高さ方向中央部が孔型形状通りに凹むとは限らず、この部位の厚みがフランジ12の他の部位よりも増厚する場合もある。ここで必要なのは、フランジ波の発生が問題となる中間圧延の後半から仕上げ圧延において、上記数式(1)を満たす圧延が行えるように、フランジ12の高さ方向中央部の過度な増厚を防ぐことである。
また、K7孔型及びK6孔型以外の孔型についても第1の孔型を適用してもよいが、複数の孔型として第1の孔型を適用する場合には、最初に適用した孔型から連続する孔型に適用することが望ましい。例えば、最初の孔型としてK7孔型が選択された場合には、K7孔型、K6孔型、K5孔型・・・と順に第1の孔型を適用し、最初の孔型としてK6孔型が選択された場合には、K6孔型、K5孔型、K4孔型と順に第1の孔型を適用することが望ましい。言い換えれば、最初にK7孔型に第1の孔型を選択した場合には、K7孔型、K6孔型、K4孔型を第1の孔型とし、K5孔型を第1の孔型としないのは望ましくない。その理由としては、K5孔型での圧延においてフランジ12の高さ方向中央部の凹みがなくなってしまい、この状態で再度、K4孔型圧延でフランジ12の高さ方向中央部を凹ませようとすると、そのK4孔型圧延でフランジ12の高さ方向中央部の圧下が大きくなり過ぎてしまい、ロールへの圧延反力が局所的に大きくなり過ぎたり、K4孔型圧延の時点でフランジ波が発生したりするおそれがあるためである。
連続するパスの孔型のそれぞれを第1の孔型とする場合、第1の孔型が刻設されたロールに設ける凸部の凸量は、その孔型と圧延条件に応じて、個別に設定することができるが、連続するパスの孔型のうち、圧延対象材の搬送方向で下流側(以下、単に下流側とも記す)ほど、圧延対象材の搬送方向で上流側(以下、単に上流側とも記す)よりも凸量を小さくすることが望ましい。その理由は、連続するパスの孔型うち下流側ほど凸量を大きくしていくと、凸部で圧下するフランジ12の高さ方向中央部の圧下が大きくなり過ぎてしまい、ロールへの圧延反力が局所的に大きくなり過ぎたり、当該凸部で圧下する時点でフランジ波が発生したりするおそれがあるためである。
そして、上流側の孔型を第1の孔型として圧延した後、上記数式(3)を満たす第2の孔型とするのはフランジ波が発生しやすい中間圧延の後半から仕上げ圧延の孔型であり、具体的には、中間圧延の最終3パス目のK3孔型及びK4孔型、並びに、仕上げ圧延の最初のパスのK2孔型が、これに該当する。そこで、本実施形態においては、第2の孔型を適用する最初の孔型を、K2孔型、K3孔型及びK4孔型のいずれかとする。第1の孔型と同様、K2孔型、K3孔型及びK4孔型以外の孔型についても第2の孔型を適用してもよいが、複数の孔型として第2の孔型を適用する場合には、最初に第2の孔型を適用した孔型から連続するパスの孔型に第2の孔型を適用することが望ましい点も第1の孔型と同様である。
第1の孔型及び第2の孔型ともに、複数の孔型に適用することによって、フランジ波の発生を好適に抑制することができる。言い換えると、フランジ波の最高点と最低点との差を小さくし、よりフラットな状態に近づけることができ、ハット形鋼矢板1を本実施形態におけるフランジ波のない合格品とすることができる。
(実施例1)
本発明の実施例1として、製品ウェブ厚が13.2[mm]となる25Hのハット形鋼矢板1について、図2に示した圧延ライン2で図3~図5に示したロール孔型を用いて圧延を行った。また、適合例1~5並びに比較例1及び2において、図9(a)及び図9(b)に示したような下ロールにおけるフランジ12の高さ方向中央部に凸部を設けた第1の孔型を適用した孔型と、第2の孔型を適用した孔型とは、表1に示す通りである。そして、各適合例及び各比較例ともに、製品段階でのフランジ波の発生有無を調査した。また、合わせて別途、K5孔型~K3孔型での圧延後に圧延を中止し、K4孔型~K2孔型での圧延前の厚み分布を実測した種々の途中材を採取し、第2の孔型における圧延条件を明確にした。この結果を表1に示す。
Figure 2023113154000005
表1に示すように、適合例1~5では、上記数式(3)を満たす条件で圧延ができており、フランジ波の発生は抑制されて良好な形状の製品を採取することができた。これに対して、比較例1及び2では、形状が合格となる製品を採取することができなかった。
(実施例2)
本発明の実施例2として、製品ウェブ厚が15.0[mm]となる45H(シリーズ呼称)のハット形鋼矢板1について、図2に示した圧延ライン2で図3~図5に示したロール孔型を用いて圧延を行った。この実施例2では、K6孔型について、図9(a)及び図9(b)に示したような下ロールにおけるフランジ12の高さ方向中央部に凸部を設けた第1の孔型を適用して圧延を行った。この凸部の凸量は0.6[mm]とした。また、中間圧延の孔型のうち、K6孔型よりも下流側になるK5孔型とK4孔型とK3孔型とは、フランジ12を圧下するロール隙がフランジ高さ方向で一定な孔型(凸量=0[mm])とした。そして、このロール孔型で圧延を行ったところ、圧延1本目でのK3孔型圧延において、フランジ波が発生した。そこで、圧延2本目及び圧延3本目について、K4孔型までのロール隙を少し広げ、K3孔型圧延前のウェブ厚と腕厚とを1本目よりも厚くし、K3孔型圧延におけるウェブ11及び腕部13の圧下が強くなるようにした。なお、フランジ圧下部は孔型として70[°]の角度があるため、ロール隙を広げても、フランジ厚はウェブ厚及び腕厚に比べて厚くならない。そして、圧延1本目から3本目までのK3孔型圧延の圧下率条件とフランジ波の発生状況とを表2に示す。
Figure 2023113154000006
表2に示すように、適合例6及び7では、第2の孔型の条件を達成して圧延ができており、フランジ波の発生は抑制されて良好な形状の製品を採取することができた。これに対して、比較例3では、第2の孔型の条件が未達で圧延がおこなわれ、形状が合格となる製品を採取することができなかった。
なお、上記の実施例1及び2では、ハット形鋼矢板1のシリーズとして25H及び45Hの圧延例を示したが、本発明はハット形鋼矢板の他のシリーズ(10Hや50Hなど)でも適用できることを確認している。また、K3孔型圧延でのフランジ波の抑制について示したが、K4孔型やK2孔型など、他の孔型についても、本発明の適用により、同様の効果が発揮できることを確認している。
1 ハット形鋼矢板
2 圧延ライン
3 加熱炉
4 粗圧延機
5 中間圧延機
5A,5B 圧延機
6 仕上げ圧延機
11 ウェブ
12 フランジ
13 腕部
14 継手部
20 フランジ波
41,51A,61 上ロール
42,52A,62 下ロール
521A 凸部

Claims (6)

  1. 圧延対象材に複数の孔型を用いて、粗圧延、中間圧延及び仕上げ圧延を順次施して、ウェブとフランジと腕部と継手部とを有するハット形鋼矢板を製造するハット形鋼矢板の製造方法であって、
    前記粗圧延及び前記中間圧延は、それぞれ前記複数の孔型のうちの2以上の孔型を用いた複数パス圧延により行われ、
    前記仕上げ圧延は、前記複数の孔型のうちの1以上の孔型を用いた1パス以上の圧延により行われ、
    前記複数の孔型は、前記フランジの高さ方向中央部を圧延する箇所のロール隙が、前記フランジの高さ方向中央部以外の他の部位を圧延する箇所のロール隙よりも狭く設定された第1の孔型と、前記第1の孔型よりも前記圧延対象材の搬送方向で下流側に位置し、全断面での減面率Raと、前記フランジの高さ方向中央部の圧下率Rfcとが、Ra≧Rfc-0.02を満たすように形成された第2の孔型とを、それぞれ1以上備えて構成されることを特徴とするハット形鋼矢板の製造方法。
  2. 前記第1の孔型は、前記粗圧延の最終パスの孔型と、前記中間圧延の最初のパスの孔型との少なくとも一方に適用されることを特徴とする請求項1に記載のハット形鋼矢板の製造方法。
  3. 前記第2の孔型は、前記中間圧延の最終パスの孔型、前記最終パスの1つ前のパスの孔型、前記仕上げ圧延の最初のパスの孔型のいずれか1以上の孔型に適用されることを特徴とする請求項1または2に記載のハット形鋼矢板の製造方法。
  4. 前記第1の孔型を連続するパスの孔型にそれぞれ適用することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のハット形鋼矢板の製造方法。
  5. 前記第1の孔型が刻設されたロールの前記フランジの高さ方向中央部に対応する位置に凸部が設けられており、
    前記第1の孔型が連続するパスの孔型に適用される場合、前記凸部の凸量は、前記圧延対象材の搬送方向で下流側に設けられた前記第1の孔型ほど小さく設定されることを特徴とする請求項4に記載のハット形鋼矢板の製造方法。
  6. 前記第2の孔型を連続するパスの孔型にそれぞれ適用することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のハット形鋼矢板の製造方法。
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