JP2022142526A - 鋼矢板の製造装置 - Google Patents

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雅典 河合
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浩 山下
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Abstract

【課題】製品形状の非対称性や温度偏差、圧延中の上下ロールの軸方向のずれなどによって、圧延工程で被圧延材に左右非対称なクロップ部や曲がりが形成され、曲げ成形機での被圧延材の先端のずれ噛みや捩じれが生じた場合であっても、被圧延材の長手方向の寸法変動を抑制する鋼矢板の曲げ成形機を提供する。【解決手段】熱間圧延により鋼矢板を製造する製造装置であって、粗、中間、仕上圧延機、及び、被圧延材に対し仕上げ圧延と連続して曲げ成形を行う曲げ成形機を有し、前記曲げ成形機は、第1スタンドを含む1又は複数のスタンドからなり、被圧延材のウェブ対応部の上面を拘束するウェブ拘束ガイドを、前記曲げ成形機の少なくとも第1スタンド上流側に備え、前記ウェブ拘束ガイドの外幅は、当該ウェブ拘束ガイドの設置位置における被圧延材の定常状態での予変形部の左右フランジ内側間隔より狭く構成されることを特徴とする、鋼矢板の製造装置である。【選択図】図9

Description

本発明は、例えばハット形鋼矢板、U形鋼矢板等の鋼矢板の製造装置に関する。
ハット形鋼矢板、U形鋼矢板等の両端に継手を有する鋼矢板の製造は、例えば特許文献1に示すような孔型圧延法によって行われている。具体的には、孔型圧延法の一般的な工程として、先ず加熱炉において所定の温度に加熱した矩形材を、孔型を備えた粗圧延機、中間圧延機及び仕上圧延機によって順に圧延することが知られている。
また、特にハット形鋼矢板等の大型で非対称な製品を製造する場合に、上記粗圧延機、中間圧延機及び仕上圧延機で製造するためには、多数の孔型が必要となり大規模な設備が必要となる上、造形方法が複雑化し、製品の形状バラツキや形状不良が発生しやすくなる。更には、異なる形状の鋼矢板を製造するためには多数のロールが必要となる。これに対して、特許文献2に示すように、熱間圧延によって鋼矢板を圧延・製造した後に、ロールフォーミングによる冷間加工で曲げ加工(以下、曲げ成形とも呼称する)を行い、圧延設備を超える広幅の鋼矢板及び断面高の高い鋼矢板を製造する技術が知られている。
また、非特許文献1には、板厚が4~7mm程度の薄い鋼板を素材として複数の成形機を冷間で使用し、鋼板に対して曲げ成形を行い、軽量鋼矢板を製造する技術が開示されている。この技術においては、熱間圧延鋼矢板に比べて板厚が薄いため成形が容易であり、鋼板から多数のロールを用いてほぼ対称に曲げ製造するために左右のクロップ部形状の差もほとんど生じないことから、ずれ噛み(噛み込みのずれ)が生じにくいといった利点がある。
また、左右が非対称な鋼矢板を製造する場合に、特に中間圧延や仕上げ圧延時に、圧延機の出側で被圧延材が上下反り、左右曲がり、捩じれなどを起こすことが知られている。これに対して、例えば特許文献3には、圧延機の入出側に板状のガイド(第1~第3のガイド)を設け、上下反り、左右曲がり、捩じれなどを防止する技術が開示されている。
特開平10-192905号公報 特開2003-230916号公報 特開2009-119513号公報
「ロール成形」日本塑性加工学会編、コロナ社、83頁~85頁、111頁~113頁
しかしながら、上記特許文献1に例示される、従来の孔型圧延方法では、中間圧延工程~仕上圧延工程にて孔型シフトを行いながら1孔型で1パスの圧延を行うため、圧延を行う孔型数に応じて被圧延材の総延伸が制約され、製品の延び長さが小さいといった問題がある。更に、従来の孔型圧延方法によって大型の鋼矢板製品を製造する場合には、1つのロールに配置可能な孔型の数が減少したり、ロール径が大きくなってしまい製造効率が低下したり、大型の圧延機が必要になる。
また、上記特許文献2に例示されるような鋼矢板の製造方法では、冷間加工によって曲げ加工を行うこととしており、更にフラットロールである支承ロールを用いて被圧延材のコーナー部を直接圧下しない構成となっているため、当該コーナー部に直接塑性変形が加わりにくく、効果的な曲げ加工が行えないといった問題や、冷間加工であるために成形後のスプリングバックが大きくなりやすいといった問題がある。また、複数の成形ロール(支承ロール)でウェブとフランジを別々のタイミングで成形する場合、支点が被圧延材の長手方向にずれるため曲げ成形の効率が低下するといった問題もある。
また、特許文献2に記載の鋼矢板の製造方法では、冷間加工によって曲げ加工を行う際の温度をA1変態温度以下の温度、あるいは再結晶温度以下の温度としている。このような温度域で曲げ加工を行うと加工負荷が大きく、伸びや靭性の低下等の材質の劣化、残留応力の増大等が問題となる場合もある。従って、これらの課題を改善するために多数の成形ロールを配置する必要が生じ、設備の大型化や構造の複雑化が問題となる。
また、上記非特許文献1に記載の技術は冷間で行われる技術であり、冷間での曲げ成形はクロップ部のない状態でピンチロールで鋼板を拘束して送り込みながら多段スタンドで曲げ成形が行われるのに対し、熱間圧延と連続して曲げ成形を行う場合には、被圧延材に左右非対称なクロップ部や曲がりが形成されやすく、これによるずれ噛みが生じやすいため、非特許文献1の技術を熱間圧延と連続して行う大型の鋼矢板の曲げ成形に適用することは困難であるといった問題がある。
また、上記特許文献3に記載の技術では、鋼矢板を熱間圧延する圧延機に鋼矢板の幅方向にわたる第1~第3のガイドを設けており、安定した圧延を指向している。しかしながら、曲げ成形のような断面形状の大きな変化を伴う成形について好適にガイドを施す構成については何ら言及されていない。即ち、圧延後の鋼矢板に対し曲げ成形を行う場合には、被圧延材が装置に噛み込んだ際に生じる捩じれに対応し、かつ曲げ成形特有な定常状態においてロールバイトの入側で生じる大きな断面変形に対応するためのガイド構成等を適用する必要があり、この特許文献3に記載の技術を鋼矢板の曲げ成形に適用するのは妥当とはいえない。
上記事情に鑑み、本発明の目的は、熱間による仕上圧延の後に被圧延材に対して曲げ成形を行うことで鋼矢板製品を製造するに際し、製品形状の非対称性や温度偏差、圧延中の上下ロールの軸方向のずれなどによって、圧延工程で被圧延材に左右非対称なクロップ部や曲がりが形成され、曲げ成形機での被圧延材の先端のずれ噛みや捩じれが生じた場合であっても、センタリング性を損なわず、被圧延材の長手方向の寸法変動を抑制することが可能な鋼矢板の製造装置を提供することにある。
前記の目的を達成するため、本発明によれば、熱間圧延により鋼矢板を製造する製造装置であって、粗圧延機、中間圧延機、仕上圧延機、及び、被圧延材に対し仕上げ圧延と連続して曲げ成形を行う曲げ成形機を有し、前記曲げ成形機は、第1スタンドを含む1又は複数のスタンドからなり、被圧延材のウェブ対応部の上面を拘束するウェブ拘束ガイドを、前記曲げ成形機の少なくとも第1スタンド上流側に備え、前記ウェブ拘束ガイドの外幅は、当該ウェブ拘束ガイドの設置位置における被圧延材の定常状態での予変形部の左右フランジ内側間隔より狭く構成されることを特徴とする、鋼矢板の製造装置が提供される。
前記曲げ成形機の上下孔型ロールにおける被圧延材のウェブ対応部ならびにフランジ対応部に対向する部分のロール直下でのロール隙は、それぞれ前記ウェブ対応部ならびにフランジ対応部の厚みより大きく構成されても良い。
前記ウェブ拘束ガイドとしてローラーガイドが設けられ、圧延ラインに対し前記ローラーガイドと対向する位置に搬送ローラーが設けられても良い。
前記ウェブ拘束ガイドとして圧延ラインに対し上下一対の対向する上下ローラーガイド対が設けられても良い。
前記搬送ローラーは、平面視において前記ローラーガイドと同一位置又は下流側にずれた位置に設けられても良い。
前記上下ローラーガイド対のうち、下ローラーガイドは、平面視において上ローラーガイドと同一位置又は下流側にずれた位置に設けられても良い。
前記ウェブ拘束ガイドは、前記被圧延材の内側面に沿って圧延方向に延伸する内側ガイドであり、前記内側ガイドの断面形状は、仕上圧延後の被圧延材に近似した断面形状から、曲げ成形直前の被圧延材の断面形状まで連続的に変化する構成であっても良い。
前記被圧延材の下面に沿って、圧延方向に延伸する略平板形状の下側ガイド又は搬送ローラーの少なくともいずれかを備えても良い。
前記ウェブ拘束ガイドは、以下の式(1)を満たす距離Lだけ前記第1スタンドの孔型ロールのロール軸位置から上流側の位置を含んで設けられても良い。
L>L1+L2 ・・・(1)
但し、L1:曲げ成形開始位置と第1スタンドの孔型ロールのロール軸位置との距離、L2:被圧延材のフランジ対応部のクロップ長、である。
前記被圧延材の幅方向両端部外側において圧延方向に延伸する外側ガイドを備えても良い。
本発明によれば、熱間による仕上圧延の後に被圧延材に対して曲げ成形を行うことで鋼矢板製品を製造するに際し、被圧延材に左右非対称なクロップ部や曲がりが形成され、曲げ成形機での被圧延材の先端のずれ噛みや捩じれが生じた場合であっても、センタリング性を損なわず、被圧延材の長手方向の寸法変動を抑制し、少ないスタンド数で大きな曲げ成形を行うことが可能となる。
圧延ラインの概略説明図である。 曲げ成形機の概略側面断面図である。 曲げ成形機の概略正面図である。 第1スタンドの孔型形状を示す概略的な拡大正面図である。 第2スタンドの孔型形状を示す概略的な拡大正面図である。 第1スタンド及び第2スタンドにおいて曲げ成形される被圧延材の形状変化についての説明図である。 曲げ成形機への被圧延材の噛み込み直前の様子を示した概略平面図である。 曲げ成形機における被圧延材の噛み込みの様子を示す概略正面図である。 ローラーガイドを設けた構成についての概略平面図である。 ローラーガイドを設けた構成における被圧延材の噛み込みの様子を示す概略正面図である。 ローラーガイドの支持機構に関する概略側面図である。 ローラーガイドの支持機構に関する概略正面図である。 本発明の第1変形例についての概略説明図である。 本発明の第2変形例についての概略説明図である。 図14(a)のA-A’断面及びB-B’断面における内側ガイド、下側ガイド、外側ガイドと被圧延材の状態を示す概略断面図である。 外側ガイドの変形例についての概略説明図である。 比較例1の結果を示すグラフである。 実施例1の結果を示すグラフである。 ローラーガイドのロール軸を含む圧延方向に垂直な断面における、被圧延材Aの噛み込み時の断面形状と、被圧延材の定常状態の予変形部の断面形状を示した概略説明図である。 曲げ成形における被圧延材Aの予変形の状態を数値解析したグラフである。 ウェブ拘束ガイドとしてのローラーガイドの外幅Qに関する概略説明図である。 ローラーガイドの変形例を示す概略説明図である。 本発明の第3実施例についてのグラフである。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また、本実施の形態では鋼矢板製品としてハット形鋼矢板を製造する場合について説明する。以下では、説明のために圧延ラインTにおける鋼材を、総称して「被圧延材A」と呼称する場合があり、各図において適宜その形状を破線や実線等を用いて図示する場合がある。
(圧延ラインの概略)
図1は、本発明の実施の形態にかかるハット形鋼矢板を製造する製造装置としての圧延ラインT(図中一点鎖線)と、圧延ラインTに備えられる圧延機等についての概略説明図である。なお、図1において圧延ラインTの圧延進行方向は矢印で示されている方向であり、当該方向へ被圧延材が流れ、ライン上の各圧延機、曲げ成形機において圧延・曲げ成形が行われ、製品が造形される。
図1に示すように、圧延ラインTには、上流から順に粗圧延機10、第1中間圧延機13、第2中間圧延機16、仕上圧延機19、曲げ成形機20が順に配置されている。また、第1中間圧延機13にはエッジャー圧延機14が、第2中間圧延機16にはエッジャー圧延機17がそれぞれ隣接して配置されている。
圧延ラインTにおいては、図示しない加熱炉において加熱された矩形材(被圧延材A)が粗圧延機10~仕上圧延機19において順次熱間で圧延され、更に、仕上圧延機19と直線状に配置した曲げ成形機20によって熱間で成形され、最終製品であるハット形鋼矢板となる。なお、以下では説明のため、粗圧延機10で圧延された被圧延材Aを粗形材、第1中間圧延機13、第2中間圧延機16によって圧延された被圧延材を中間材、仕上圧延機19によって圧延された被圧延材を仕上材19aとも呼称する。即ち、仕上材19aを曲げ成形機20によって成形(断面変更)したものが最終製品(即ち、ハット形鋼矢板製品)となる。
ここで、圧延ラインTに配置される粗圧延機10、第1中間圧延機13、第2中間圧延機16、仕上圧延機19や、付随して配置されるエッジャー圧延機14、17は従来から鋼矢板の製造において用いられている一般的な設備であるため、その詳細な装置構成等についての説明は本明細書では省略する。
(曲げ成形機の概略的な構成)
次に、曲げ成形機20の詳細な構成について図面を参照して説明する。図2は曲げ成形機20の概略側面断面図であり、図3は曲げ成形機20の概略正面図である。図2、3に図示した曲げ成形機20は、仕上圧延機19において仕上圧延された仕上材19aを曲げ成形するものである。なお、図3には以下に説明する曲げ成形機20が備える第1スタンド22の概略正面図を図示している。ここで、本実施の形態では曲げ成形機20は2つの成形スタンド(以下に説明する成形スタンド22、23)から構成される場合を例示して説明しているが、曲げ成形機20は1又は任意の複数のスタンドから構成されていても良い。
図2に示すように、本実施の形態にかかる曲げ成形機20は隣接してタンデム配置された2つの成形スタンド22、23(以下、上流側の第1スタンド22、下流側の第2スタンド23とも呼称する)を備えている。また、図3に示すように、各スタンド22、23それぞれには、上孔型ロールと下孔型ロールとで構成される成形用孔型(後述する孔型45、55)が刻設されており、その孔型形状は第1スタンド22と第2スタンド23とで異なる形状となっている。
ここで、第1スタンド22と第2スタンド23のロール構成ならびに孔型形状について説明する。図4は、第1スタンド22の孔型形状を示す概略的な拡大正面図であり、図5は第2スタンド23の孔型形状を示す概略的な拡大正面図である。なお、図4には曲げ成形機20による成形を行う前の状態である仕上材19aの断面形状を一点鎖線で図示し、図5には第2スタンド23で成形を行う前の状態である仕上材19a’の断面形状を一点鎖線で図示している。また、以下では、略ハット形形状の被圧延材を上開き(後述するウェブ対応部を下方とし、腕対応部を上方に位置させる)姿勢で曲げ成形する場合を例示して説明する。
図3及び図4に示すように、第1スタンド22には、上孔型ロール40と下孔型ロール41が筐体44に支持されて設けられ、上孔型ロール40と下孔型ロール41によって孔型45が構成されている。この孔型45はフランジに対応する部分から継手に対応する部分の形状がハット形鋼矢板製品の一歩手前の形状(即ち、略ハット形鋼矢板製品形状)となっている。孔型45は、仕上材19aのフランジに対応する部分(即ち、フランジ対応部)と、仕上材19aのウェブに対応する部分(即ち、ウェブ対応部)とがなす角度、及び仕上材19aの腕に対応する部分(即ち、腕対応部)とがなす角度をそれぞれ変化させ、仕上材19aの高さ及び幅を所定の形状(即ち、製品に近似した断面形状)に曲げ成形するものである。特に大型のハット形鋼矢板を製造する場合には、粗圧延機10~仕上圧延機19において高さを低く抑えた形状でもって被圧延材(粗形材~仕上材19a)の圧延を行い、曲げ成形機20において被圧延材の高さを所望の製品高さまで高めるように曲げ成形を行うといった方法を採ることが好ましい。
また、図5に示すように、第2スタンド23には、上孔型ロール50と下孔型ロール51が筐体54に支持されて設けられ、上孔型ロール50と下孔型ロール51によって孔型55が構成されている。この孔型55は所望の製品形状に近い形状となっており、曲げ成形機20の第1スタンド22にて成形されたフランジに対応する部分(即ち、フランジ対応部)と、仕上材19aのウェブに対応する部分(即ち、ウェブ対応部)とがなす角度、及び腕に対応する部分(即ち、腕対応部)とがなす角度をそれぞれ変化させ、フランジ形状、腕形状及び継手形状を所定の形状(即ち、製品の形状)に成形するものである。即ち、この第2スタンド23では、第1スタンド22での成形において製品形状に対して不十分であったフランジ対応部の傾斜角度を、製品形状に応じた角度まで変形させる成形が行われる。
ここで、曲げ成形時における上記孔型45及び孔型55におけるロール隙(上孔型ロール40と下孔型ロール41のロール隙ならびに上孔型ロール50と下孔型ロール51のロール隙)は、仕上材19aのフランジ対応部及びウェブ対応部の厚みより大きくなるように構成されている。即ち、曲げ成形機20においては、仕上材19aの板厚圧下は行われず、第1スタンド22及び第2スタンド23の各孔型ロールと仕上材19aとは、後述する一部の所定箇所において接触して曲げ成形が行われる構成となっている。なお、具体的には、ウェブ対応部ならびにフランジ対応部に対向する部分の上記ロール隙は仕上材19aのフランジ対応部ならびにウェブ対応部の厚みより0.5mm~3mm程度大きいことが好ましい。加えて、上記孔型45及び孔型55における仕上材19aの腕対応部にかかる箇所においても、そのロール隙は当該腕対応部の厚みよりも断面全域にわたり大きくなるように構成されていても良い。
(曲げ成形における被圧延材の成形)
次に、上述したスタンド22、23における被圧延材の成形について説明する。図6は、第1スタンド22及び第2スタンド23において曲げ成形される被圧延材(仕上材19a)の形状変化についての説明図であり、(a)は第1スタンド22での加工前、(b)は第1スタンド22での加工時、(c)は第2スタンド23での加工時の概略断面図を示している。図6(a)に示すように、仕上材19aは略ハット形形状であり、略水平であるウェブ対応部60と、ウェブ対応部60の両端に所定の角度でもってコーナー部70で連結しているフランジ対応部62、63と、各フランジ対応部62、63においてウェブ対応部との連結側と異なる端部に所定の角度でもってコーナー部71で連結している腕対応部65、66と、腕対応部65、66の先端に形成される継手対応部68、69から構成されている。また、仕上材19aは、仕上圧延機19における圧延によって厚みが略製品の厚みとなっており、継手対応部68、69の形状も、略製品継手形状となっている。
この図6(a)に示す仕上材19aは、第1スタンド22の孔型45において、フランジ対応部62、63の傾斜角度θ1(水平な圧延ピッチラインに対するフランジ対応部の角度θ1)が大きくなる(図6(b)に示す角度θ2となる)ように曲げ成形される。このような曲げ成形により、仕上材19aは、図6(b)に示すように所望の高さとなる。即ち、第1スタンド22では、仕上材19aの高さが高くなるような曲げ成形が行われる。ここでの曲げ成形による角度変化θ2-θ1を第1曲げ成形角度Δθ1とする。
次いで、図6(c)に示すように、第2スタンド23の孔型55において、フランジ対応部62、63の傾斜角度θ2を製品角度θ3に変化させるような曲げ成形が行われる。即ち、図6(b)、(c)に示すように、フランジ対応部62、63の傾斜角度θ2が、製品の角度θ3となるように成形される。それぞれのスタンドでの曲げ成形においては、少なくとも、ウェブ対応部60とフランジ対応部62、63の連結部であるコーナー部70の内側72と、フランジ対応部62、63と腕対応部65、66の連結部であるコーナー部71の内側73を押圧し、コーナー部を十分に塑性変形させることが好ましい。なお、第2スタンド23通過後にもフランジ対応部62、63の傾斜角度変化が生じる恐れがあるため、孔型55の形状は当該角度変化を考慮して決定することが好ましい。ここでの曲げ成形による角度変化θ3-θ2を第2曲げ成形角度Δθ2とする。
なお、これら図6(a)~(c)に記載の曲げ成形工程では、フランジ対応部62、63と腕対応部65、66とがなす角度についても適宜変化させるような曲げ成形も、各スタンドで実施しても良い。最終的な形状としては、腕対応部65、66が略水平となり、製品形状に整合するような曲げ成形を行えば良い。
(曲げ成形前での被圧延材におけるクロップ生成に伴う問題点)
以上説明したように構成される圧延ラインTにおいては、仕上げ圧延後の被圧延材A(仕上材19a)が曲げ成形機20で曲げ成形されて最終製品が製造される。こうして、被圧延材Aを仕上圧延機19から押し込みながら曲げ成形機20に噛み込ませ、仕上げ圧延と連続して曲げ成形を実施することで、噛み込みを容易とし、高い生産性で最終製品の製造を行うことができる。一方で、スラブを素材として鋼矢板製品を製造する場合、通常製品はフランジ厚みの方がウェブ厚みよりも大きいため、仕上げ圧延後には、被圧延材Aの長手方向端部においてフランジ対応部がウェブ対応部よりも先行する。これにより、被圧延材Aの先端には形状不良部(いわゆるクロップ)が生成されることが知られている。即ち、曲げ成形機20の噛み込み直前において被圧延材Aの先端にはクロップが形成された状態であり、その状態で曲げ成形機20への噛み込みが開始されることに伴い種々の問題が生じることが本発明者らにより知見されている。
図7は曲げ成形機20への被圧延材の噛み込み直前の様子を示した概略平面図であり、被圧延材Aの長手方向先端の一部を図示したものである。図7に示すように、曲げ成形機20の第1スタンド22上流側には被圧延材Aの幅方向の両側側方に配置される外側ガイド80が設けられ、この外側ガイド80に誘導された状態で第1スタンド22に被圧延材Aが噛み込まれる。図示のように、仕上げ圧延後の被圧延材Aには、その先端においてクロップが生成されている。クロップの生成に際しては、粗圧延~仕上げ圧延時の上下ロールの軸方向のずれや温度偏差などが原因となり、左右のフランジ対応部62、63の圧下量の差に起因して左右非対称長さのクロップが生成する場合がある。
左右非対称長さのクロップが生成した状態で被圧延材Aが曲げ成形機20に噛み込むと、図7のように、先行する一方のフランジ対応部(図示ではフランジ対応部62)が先に曲げ成形機20の下孔型ロール41に接触する。即ち、一方のフランジ対応部が先行して下孔型ロール41に接触し、そのフランジ対応部が下孔型ロール41への接触により持ち上げられことで被圧延材Aの断面全体が斜めに傾きながら曲げ成形機20に噛み込まれるといった現象が生じる。
図8は曲げ成形機20における被圧延材の噛み込みの様子を示す概略正面図であり、噛み込み状態をスタンド入側方向から見た概略図である。なお、図8では、簡略化のため、ロール及び被圧延材のみを図示し、筐体等は省略している。図7、8に示すように、一方のフランジ対応部(ここではフランジ対応部62)が他方のフランジ対応部(ここではフランジ対応部63)よりも先行して下孔型ロール41に接触し、持ち上げられるために被圧延材Aの断面全体が斜め(図中、反時計回り)に傾き、その状態で噛み込みが進行する。このような状態で噛み込みが進むと被圧延材Aに生じた捩じれが大きくなり、後続の被圧延材Aの噛み込みが不安定になる恐れがある。
また、左右非対称長さのクロップが生成された状態で曲げ成形機20に噛み込む場合に、被圧延材Aに長手方向の曲がりが生じていると、被圧延材Aの幅方向中心と、曲げ成形機20のロール(上孔型ロール40及び下孔型ロール41)の幅方向中心と、がずれる場合がある。図7に示すように、曲げ成形機20の上流側には外側ガイド80が設けられているが、外側ガイド80の間隔は、被圧延材Aの幅に対しある程度余裕を持たせた間隔(例えば数10mm程度の余裕)にて設置されているため、外側ガイド80のみでは十分に対処できない場合がある。被圧延材Aとロールの幅方向中心位置がずれた状態で曲げ成形機20への噛み込みが進んだ場合、被圧延材Aの捩じれが増大し、いわゆるセンターずれと呼ばれるセンタリング性不良が生じる。
以上説明したように、仕上げ圧延後の被圧延材Aを曲げ成形機20に噛み込ませる際には、噛み込みの不安定性や捩じれの発生、センタリング性不良等により、曲げ成形機20において通材が不能になってしまうことが懸念される。本発明者らは、このような種々の問題点を知見し、その解決策について鋭意検討した。以下、これら問題点を解決するための手段について説明する。
(ローラーガイドの構成)
本発明者らは、曲げ成形機20における被圧延材Aの断面形状の変形状態について調査し、噛み込みの不安定性や捩じれの発生、センタリング性不良等を効果的に抑制するための手段について鋭意検討を行った。例えば、特許文献3のように、鋼矢板(例えば、ハット形鋼矢板)の圧延を行う圧延機においては、被圧延材の捩じれ等を抑制するために、ウェブ、フランジ、腕の上下面をそれぞれ圧延機の入側と出側に設置したガイドによって拘束するといった技術が知られている。しかしながら、本実施の形態に係る曲げ成形機20においては、定常状態では、ロールバイト入側で予変形により被圧延材Aの全幅と高さが長手方向に変化する上に、ロールバイト入側の同一位置でも噛み込み時から定常状態の間で被圧延材Aの断面形状が大きく変化するため、フランジや腕を上下から拘束するのは困難であり好ましくない。
このような観点から、本発明者らは、曲げ成形機20(第1スタンド22)の上流側において被圧延材Aのウェブ(ウェブ対応部60)を拘束するようなウェブ拘束ガイドを設ける構成を創案した。以下では、ウェブ拘束ガイドとしてのローラーガイド90を設けた構成について図面を参照して説明する。
図9は、ローラーガイド90を設けた構成についての概略平面図であり、曲げ成形機20への被圧延材の噛み込み直前の様子を示しており、被圧延材Aの長手方向先端の一部を図示したものである。また、図10は、ローラーガイド90を設けた構成における被圧延材の噛み込みの様子を示す概略正面図であり、噛み込み状態を曲げ成形機20の入側方向から見た概略図である。なお、図9、10において、上記図7、8と同じ機能構成を有する構成要素については同一の符号を付してその説明は省略する場合がある。また、ローラーガイド90は、ローラー支持機構や上下昇降機構等を用いて所定の位置に支持されているが、図9、10ではそれら支持機構、昇降機構等は図示していない。
図9、10に示すように、曲げ成形機20の第1スタンド22上流側には、被圧延材Aのウェブ対応部60の上方に位置し、被圧延材A下方の搬送テーブル(あるいは搬送ローラー)との間でウェブ対応部60を拘束するウェブ拘束ガイドとしてのローラーガイド90が設けられている。本実施の形態に係る構成では、被圧延材Aを搬送するための複数の搬送ローラー95が設けられており、当該搬送ローラー95の1つとローラーガイド90との間でウェブ対応部60が拘束される。
ローラーガイド90の寸法は任意に設計可能であるが、好ましくは、ローラーガイド90の設置位置における被圧延材Aの断面形状との関係に基づき寸法を定めれば良い。以下、ローラーガイド90の外幅Qの定め方の一例について説明する。図19は、ローラーガイド90のロール軸を含む圧延方向に垂直な断面における、被圧延材Aの噛み込み時の断面形状(図中の実線)と、被圧延材Aの定常状態の予変形部の断面形状(図中の破線)を示した概略説明図である。また、図20は、曲げ成形における被圧延材Aの予変形の状態を数値解析したグラフであり、(a)は左右フランジ内側間隔Wの定常部における長手方向変化を示すものであり、(b)はフランジ対応傾斜角度(フランジ角度)θの定常部における長手方向変化を示すものである。なお、図20(a)では、ウェブ対応部60の上面からの高さhが200mm、250mm、300mmのそれぞれの位置でのデータを示している。また、図20における横軸は、第1スタンド22から圧延方向の距離であり、0が第1スタンド22の直下を示している。
図20(a)に示すように、hが200mm、250mm、300mmのいずれの位置においても、成形前の左右フランジ内側間隔W0に対し、予変形により左右フランジ内側間隔Wが変化している。例えば、h=250mmの位置での第1スタンド22の2.5m上流(グラフ中の-2500mm位置)でみると、予変形により左右フランジ内側間隔Wが成形前より170mm程度減少していることが分かる。この結果から、ウェブ拘束ガイドとしてのローラーガイド90の外幅Qを、定常部で予変形が生じた際の左右フランジ内側間隔Wより小さく設計することが望ましいといえる。これにより、噛み込み時の捩じれの抑制を図るとともに、定常状態における予変形部の疵の発生を防止できる。
また、図20(b)に示すように、被圧延材Aの定常部では、予変形による長手方向のフランジ角度θも大きく変化していることが分かる。この結果から、ウェブ拘束ガイドとしてのローラーガイド90の外幅Qを、フランジ角度θの値に基づき評価し、フランジの内側に位置するように設計することもできる。
なお、上述したように設計されるウェブ拘束ガイドとしてのローラーガイド90の外幅Qとは、ローラーガイド90本体と、後述するローラー支持部105を含むような構造全体の外幅とすることが好ましい。ここで、ローラーガイド90とローラー支持部105の構造全体の幅Qは、高さ方向位置に応じて異なる場合がある。図21は、ウェブ拘束ガイドとしてのローラーガイド90の外幅Qに関する概略説明図である。図21のように、ローラーガイド90とローラー支持部105の構造全体の幅Qは高さ方向位置に応じて異なり、ロール本体幅Q1のみの場合やロールと支持部全体の幅Q3である。そのため、図20(a)を参照して上述したように、定常部で予変形が生じた際のウェブ対応部60の上面からの高さhと左右フランジ内側間隔Wとの関係に基づきローラーガイド90の外幅Qを設計する場合や、図20(b)を参照して上述したように、フランジ角度θの値に基づきローラーガイド90の外幅Qを設計する場合に、設計に用いる外幅Qは、位置に応じてQ1~Q3といったように好適な位置での外幅Q(Q1~Q3)を用いればよい。
また、図9に示すように、平面視において、第1スタンド22の孔型ロールのロール軸位置をP1、ローラーガイド90のロール軸位置をP2とすると、ローラーガイド90は、ロール軸位置P1から上流側に所定距離Lだけ離間した箇所にロール軸位置P2が位置するように設けられる。また、搬送ローラー95の少なくとも1つは、ローラーガイド90の略下方位置(圧延ラインTおいてローラーガイド90に対向する位置)に設けられることが必要であり、例えば、図9のようにローラーガイド90のロール軸位置P2と平面視で同一位置に搬送ローラー95の少なくとも1つを設けても良い。
ここで、曲げ成形機20の第1スタンド22上流側におけるローラーガイド90の設置位置は、先行するフランジ対応部62が第1スタンド22の下孔型ロール41に接触した段階でウェブ対応部60を拘束できるような位置とする必要がある。具体的には、先行するフランジ対応部62の先端が下孔型ロール41に接触を開始する位置(即ち、曲げ成形開始位置)と下孔型ロール41(あるいは上孔型ロール40)のロール軸位置P1との距離L1と、ウェブ対応部60に対し生じているフランジ対応部62のクロップ長L2と、の和(L1+L2)よりも、ロール軸位置P1とP2との間の距離Lが大きいような位置関係となるようにローラーガイド90を設ける必要がある。即ち、ローラーガイド90を設ける位置は、以下の式(1)を満たすような距離Lだけ第1スタンド22の孔型ロールのロール軸位置P1から上流側に設ける必要がある。
L>L1+L2 ・・・(1)
なお、ウェブ対応部60に対し生じているフランジ対応部62のクロップ長L2は、ウェブ対応部60とフランジ対応部62との延伸差や操業の変動により変わる値であり、被圧延材の個体ごとに異なる値である。よって、クロップ長L2の最大値は、製品サイズや操業条件に応じて任意に定めれば良い。
また、先行するフランジ対応部62の先端が下孔型ロール41に接触を開始する位置と下孔型ロール41のロール軸位置P1との距離L1は、幾何学的な関係により定めることが可能である。具体的には、図9、10に示す、被圧延材Aのフランジ線長B、曲げ成形前のフランジ対応部傾斜角度θ1、当該スタンド(ここでは第1スタンド22)での曲げ成形後のフランジ対応部傾斜角度θ2、下孔型ロール41の腕部半径Ra及びウェブ部半径Rw、センターずれ量X、から以下の式(2)を用いて距離L1を定めることができる。なお、センターずれ量Xとは、被圧延材Aの幅方向中心位置と、第1スタンド22の孔型ロール幅方向中心位置と、のずれ量(被圧延材Aの幅方向中心位置が孔型ロール幅方向中心に対して先行したフランジ側にずれた状態が正の値)である。
Figure 2022142526000002
一例として、フランジ線長Bが542mm、θ1が30°、θ2が50°、Raが912mm、Rwが497mm、Xが30mmである製造条件においては、L1は607mmとなる。例えば、クロップ長L2を900mmとすると、ロール軸位置P1からの距離Lが1507mmより離れた位置にローラーガイドを設置しても良い。距離Lは、操業における距離L1、L2の変動を考慮して、余裕をもって設定することが好ましい。
(ローラーガイドの支持機構、昇降機構の構成)
上述した本実施の形態に係るローラーガイド90を設けるに際し、その支持機構や昇降機構等は任意に設けられれば良く、例えば、曲げ成形機20とは別の筐体を設けて、当該筐体でもってローラーガイド90を支持するといった構成や、曲げ成形機20の第1スタンド22の筐体44に支持機構や昇降機構を取り付け、ローラーガイド90を支持する構成、といった種々の構成が考え得る。ここでは、一例として第1スタンド22の筐体44に支持機構や昇降機構を取り付け、ローラーガイド90を支持する構成を図示・説明する。
図11は、ローラーガイド90の支持機構に関する概略側面図であり、図12は、ローラーガイド90の支持機構に関する概略正面図である。なお、図11、12では、簡略化のため曲げ成形機20のうち第1スタンド22に注視して図示を行い、図12は第1スタンド22の入側(上流側)から見た概略正面図である。また、図11では被圧延材Aの図示は省略し、図11、12においてローラーガイド90に斜線を付している。
図11に示すように、第1スタンド22には、当該スタンドの筐体44に固定され、スタンド上流側に伸びるガイド支持部100と、ガイド支持部100に取り付けられる昇降機構103が設けられる。また、昇降機構103の下端にはローラー支持部105を介して回転自在にローラーガイド90が取り付けられている。昇降機構103は、例えば油圧シリンダー等からなり、その駆動によりローラーガイド90及びローラー支持部105を任意の高さに一体的に昇降させることができる。
ローラーガイド90のロール幅は任意に設計可能であり、被圧延材Aの幅方向へのずれや、安定して拘束可能であるための幅として、例えばウェブ対応部60の幅長さの2/3以上のロール幅を有していることが好ましい。また、ローラーガイド90のロール径はガイド支持部100やローラー支持部105といった設備の規模に応じて任意に設計可能であり、例えば500mm以上に設計しても良い。
このように、昇降機構103を備えた構成でもって設けられるローラーガイド90と、搬送ローラー95により、第1スタンド22の上流側において被圧延材Aのウェブ対応部60を効果的に拘束することができる。特に、被圧延材Aの変形状態や厚みなどに応じてローラーガイド90を好適に昇降させることで、効果的な拘束効果が実現される。
(作用効果)
以上、図面を参照して説明した本実施の形態に係るローラーガイド90を備えた構成の曲げ成形機20(特に第1スタンド22)によれば、被圧延材Aの長手方向先端が曲げ成形機20に噛み込む際に、ウェブ対応部60に比べ先行するフランジ対応部62が先に噛み込まれたとしても、ウェブ対応部60が拘束されることで噛み込み時のずれ噛みや捩じれが抑制される。これにより、曲げ成形時の通材不良が抑制され、被圧延材Aのセンタリング性向上が図られる。
特に、ローラーガイド90を設けるに際し、上記式(1)、(2)で定まる好適な設置位置とすることで、先行するフランジ対応部62が第1スタンド22の下孔型ロール41に接触した段階でウェブ対応部60を拘束でき、効果的な拘束効果を得ることができる。これにより、第1スタンド22で大きな曲げ成形を行う場合でも、被圧延材に左右非対称なクロップ部が形成され、先行するフランジ対応部62が先に噛み込まれても、被圧延材がセンタリングされた状態を保って曲げ成形されていくため、噛み込みが均等に行われずに通材不良となってしまうといったことが回避される。
また、前述したように、曲げ成形時における孔型45のロール直下でのロール隙を、仕上材19aのフランジ対応部及びウェブ対応部の厚みより大きく(例えば0.5mm~3mm程度)なるように構成している。また、曲げ成形時における孔型45のロール直下でのロール隙を、仕上材19aの腕対応部やコーナー部(ウェブ対応部とフランジ対応部の連結部、フランジ対応部と腕対応部の連結部)の厚みよりも大きく構成することが好ましい構成としている。これにより、フランジ対応部62、63がずれて噛み込んだ際にウェブ拘束ガイドで捩じれを抑制した状態で被圧延材Aを孔型45に噛み込ませることで、ずれを修正してセンタリングを容易にする大きな効果がある。
以上、本発明の実施の形態の一例を説明したが、本発明は図示の形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施の形態では、曲げ成形機20が第1スタンド22と第2スタンド23から構成される場合について図示し、説明したが、本発明の適用範囲はこれに限られるものではない。例えば曲げ成形機20は単スタンドでもよく、また、任意の数の複数スタンドから構成されてもよい。曲げ成形機20が複数スタンドから構成される場合には、各スタンドにおいて曲げ成形を分担して行うことができる。スタンド数は曲げ成形角度と設備投資のバランスから好適に決定される。
また、上記実施の形態では、ウェブ拘束ガイドとしてのローラーガイド90の構成として、被圧延材A下方の搬送テーブル(あるいは搬送ローラー)との間でウェブ対応部60を拘束する構成を図示(図9~図11参照)したが、ローラーガイド90の構成はこれに限られるものではない。例えば、図22に示すように、ローラーガイド90を上下一対のローラーガイド対(上ローラーガイド90a及び下ローラーガイド90b)としても良い。このような構成においては、上ローラーガイド90aと下ローラーガイド90bは平面視において圧延方向の同じ位置に配置されても良く、下ローラーガイド90bが下流側にずれて配置されても良い。
また、上記実施の形態において、曲げ成形機20の上下孔型ロールは、上下どちらか一方のみを駆動させ、他方を駆動させないような構成とすることもできる。上下孔型ロールのどちらか一方のみを駆動させる構成とすることで、複数のスタンドのタンデム状態で曲げ成形を行う場合に、通材の速度バランスがとり易くなり、複数のスタンド間での速度バランスの不均衡による被圧延材への張力の発生等が抑えられ、通材の安定化や、不要な被圧延材の形状変化の抑制等が図られる。加えて、ロールを駆動させるためのモータ、スピンドル、ギア等の駆動機構が簡略化できるため、設備の小型化や設備コストの低減が実現される。
また、上記実施の形態では、曲げ成形機20の第1スタンド22の上流側にローラーガイド90を設ける場合について図示・説明したが、曲げ成形機20を構成する複数スタンドのそれぞれに同様のローラーガイド90を設ける構成としても良い。この場合、複数のスタンド全てにおいて被圧延材のセンタリング性を損なうことなく曲げ成形が行われるため効率的に曲げ成形を実施することができ、通材不良等の問題も回避できる。
(本発明の第1変形例)
上記実施の形態においては、被圧延材Aを第1スタンド22の上流側で拘束する場合に、ローラーガイド90とその略下方に位置する搬送ローラー95によってウェブ対応部60を拘束するものとして説明したが、ローラーガイド90と搬送ローラー95との位置関係はこれに限られるものではない。ここでは、本発明の第1変形例として、ローラーガイド90に対向する搬送ローラー95の位置をずらした構成について説明する。
図13は、本発明の第1変形例についての概略説明図である。なお、図13において、上記実施の形態で説明した図9と同じ機能構成を有する構成要素については同一の符号を付してその説明は省略する場合がある。図13に示すように、本発明の第1変形例においては、ローラーガイド90の略下方に位置する搬送ローラー95のロール軸位置が、平面視において第1スタンド22側(即ち、下流側)にずれた状態で設けられている。このように、平面視においてローラーガイド90に比べ下流側に搬送ローラー95を配置し、それらローラーガイド90と搬送ローラー95とで被圧延材Aのウェブ対応部60を拘束するといった構成を採ることで、より効果的に被圧延材Aの先端部(いわゆるクロップ)の捩じれを抑制させることができ、安定的に曲げ成形を実施することができる。
(本発明の第2変形例)
また、上記実施の形態においては、被圧延材Aを第1スタンド22の上流側で拘束するウェブ拘束ガイドとしてローラーガイド90を設ける構成について図示・説明したが、ウェブ拘束ガイドの構成はこれに限られるものではない。即ち、第1スタンド22の上流側を含む領域において圧延方向(被圧延材通材方向)に延伸する内側ガイド及び下側ガイドをウェブ拘束ガイドとして設けても良い。ここでは、本発明の第2変形例として、ウェブ拘束ガイドとして内側ガイド110及び下側ガイド112を第1スタンド22に設けた構成について説明する。
図14は、本発明の第2変形例についての概略説明図であり、(a)は第1スタンド22に設けられた内側ガイド110と下側ガイド112を側面から見た概略説明図であり、(b)は内側ガイド110、下側ガイド112及び外側ガイド80を正面から見た概略説明図である。なお、図14(a)においては一部の搬送ローラー95を図示し、図14(b)では簡略化のため内側ガイド110、下側ガイド112及び外側ガイド80以外の構成要素については省略して図示している。また、図14において、上記実施の形態で説明した図1~図12と同じ機能構成を有する構成要素については同一の符号を付してその説明は省略する場合がある。
図14(a)に示すように、内側ガイド110と下側ガイド112は第1スタンド22の上流から下流に渡って圧延方向に延伸し、第1スタンド22近傍では、第1スタンド22の上流側と下流側に配置される内側ガイド110a、110bと下側ガイド112a、112bから構成される。即ち、曲げ成形時の被圧延材Aは、スタンド上流側で内側ガイド110a、搬送ローラー及び下側ガイド112aとによって上下両側からガイド(拘束)された状態で第1スタンド22に噛み込まれる。なお、図14では第1スタンド22近傍について図示しており、内側ガイド110a、110b及び下側ガイド112a、112bについて説明しているが、第2スタンド23下流側にも内側ガイド及び下側ガイドを設けても良い。
また、図14(b)に示すように、内側ガイド110aは圧延ラインTの上方から下方向に向かって突出する形状であり、その形状は、被圧延材Aの形状に近い形状となっている。即ち、内側ガイド110aの下面は、略ハット形形状である被圧延材Aのウェブ上面に沿うような形状となっている。同様に、スタンド下流側に設置する内側ガイド110bについても、第2スタンド23で曲げ成形される被圧延材Aの形状に合わせて形状を設計しても良い。
一方、図14に示すように、下側ガイド112aは略平板形状であり、噛み込み時の被圧延材Aのウェブ下面に沿うように配置されている。このように内側ガイド110a、搬送ローラー及び下側ガイド112aによって、被圧延材Aは、その上面と下面のそれぞれをガイドされた状態で第1スタンド22に噛み込まれる。
ここで、内側ガイド110aの形状は上述したように、被圧延材Aの形状に近い形状となっているが、ウェブ対応部からフランジ対応部に沿った中央部分の形状は定常圧延状態における被圧延材の圧延方向における形状変化に合わせて変化するような構成となっており、圧延方向(被圧延材A長手方向)に沿って連続的に変化している。図15(a)、(b)は図14(a)のA-A’断面及びB-B’断面における内側ガイド110a、下側ガイド112a、外側ガイド80と、被圧延材Aの状態を示す概略断面図である。図15(a)、(b)に示すように、内側ガイド110aの上流側のA-A’断面では曲げ成形の前工程である仕上圧延が行われた直後の被圧延材Aの断面形状(図中の仕上材19a)に対応した形状を有し、第1スタンド22での曲げ成形が開始される直前のB-B’断面では予変形を生じて上流側よりもフランジ角度が起きた被圧延材Aの断面形状(図中の仕上材19c)に対応した形状を有しており、ガイドの断面形状が長手方向に連続的に変化する構成となっている。
このように、被圧延材A(仕上材19a)は、第1スタンド22での曲げ成形が開始される位置までの間に、予変形により徐々にウェブ対応部とフランジ対応部間の角度が変化するので、被圧延材Aのウェブ対応部とフランジ対応部間の角度変化に合わせて、内側ガイド110aの側面角度を上流側のA-A’断面からB-B’断面の間で長手方向に変化させることで、ガイド疵を発生させることなく、被圧延材Aのセンタリング性を高めることができる。この予変形による長手方向の断面形状の変化に関し、例えば、シミュレーションによって予変形の開始位置から曲げ成形の開始位置までの断面形状の変化を予測し、ガイド形状を決定しても良い。あるいは、被圧延材Aの形状と第1スタンド22の孔型45の形状を直線的に結ぶようにガイド形状を設定することもできる。また、図15(a)、(b)に示すように、内側ガイド110aの両側に、被圧延材の腕部や継手部を誘導するような略水平部を設けても良い。
この場合でも、ずれ噛みにより捩じれが生じても内側ガイド110aによりウェブ上面を拘束することができるため、内側ガイド110aを設ける場合には、その設置位置の一例として、第1スタンド22の孔型ロールのロール軸位置P1の上流側において上記式(1)を満たす位置LがA-A’断面とB-B’断面の間に存在するような構成とすることが好ましい。また、下側ガイド112aの長手方向長さは任意であり、例えば図14におけるA-A’断面位置まで延長しても良い。
なお、図14に示すように、被圧延材A(仕上材19a)に曲がりや反りがある場合でも、ガイド内に安定して誘導するため、内側ガイド110aの先端はA-A’断面のさらに上流に向かって上方向に開度が広がり、幅が狭くなった形状とし、A-A’断面に向かって上流側の断面形状にほぼ沿った形状になるように、内側ガイド110aの形状を変化させることが望ましい。
また、第1スタンド22の上記内側ガイド110aの圧延方向(長手方向)長さは、例えばロール直下からA-A’断面までの距離で2m以上の上流側位置まであることが好ましい。これは、本実施の形態における曲げ成形の場合、定常状態ではロール直下の2m以上上流から被圧延材の予変形が生じるため、ガイドの先端位置をロール直下の2m以上上流にして、ガイドの先端側(曲げ成形機20から遠方側、例えばA-A’断面)の形状を被圧延材A(仕上材19a)の断面形状にほぼ合わせて設定することで、被圧延材A先端部の誘導性を確保しつつ、定常状態でもガイド疵を生じることなく曲げ成形を行うことが可能となるからである。ここで、被圧延材Aと内側ガイド110aとの間には若干のクリアランスを付与することが必要である。
また、内側ガイド110aのA-A’断面位置はロール直下から2m以上上流に位置することが望ましいが、この距離は例えば1.8m以上といったように、多少短くても許容範囲である。この場合、A-A’断面のガイド形状は多少予変形を生じた被圧延材の形状に合わせれば良い。また、ロール直下からA-A’断面位置までの距離が大きく、予変形が生じる位置から第1スタンド22での曲げ成形が開始される直前までに内側ガイド110aを連続して配置することが困難な場合には、長手方向の適切な範囲に限定して内側ガイド110aを配置しても効果は得られる。
また、本変形例では、内側ガイド110aの下面と下側ガイド112aの間隔は、被圧延材Aのウェブ対応部の厚みの1.5倍以上且つ3倍以下とすることが、ガイド疵を抑制し、安定した被圧延材の誘導を行う観点から好ましい。加えて、通材状態での内側ガイド110aの下面と被圧延材Aのウェブ対応部上面との隙間は、3mm以上且つ当該被圧延材Aのウェブ対応部の厚み以下とすることが、ガイド疵を抑制し、安定した被圧延材の誘導を行う観点から好ましい。
また、図14(b)に示すように、外側ガイド80は、通材時の被圧延材A(仕上材19a)の幅方向両側に設置される右ガイド80aと、左ガイド80bから構成されており、それぞれのガイドは圧延方向に延伸する略平板形状である。右ガイド80aと左ガイド80bは所定の間隔で離間した状態で設けられており、その間隔は圧延方向において変化しない。即ち、当該所定の間隔とは、第1スタンド22では曲げ成形前の被圧延材A(仕上材19a)の全幅に合わせた長さとなっている。また、第2スタンド23に設ける場合、第1スタンド22通過後の被圧延材Aの全幅に合わせた長さとなっている。ここで、全幅とは被圧延材Aの左右方向の幅のことであり、全幅に合わせた長さとは、全幅のばらつきを考慮して、例えば約10mm程度のクリアランスを被圧延材A全幅の代表値に加えた長さを指している。
以上、図14、15を参照して本発明の第2変形例に係る構成について説明したが、ここで説明した各ガイドの形状や配置は一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上記実施の形態に係るローラーガイド90と、本変形例の内側ガイド110を組み合わせても良く、ローラーガイド90を組み込んだ内側ガイド110や、ローラーガイド90と第1スタンド22との間に内側ガイド110を追加するといった構成も考えられる。また、図16に示すように、外側ガイド80の上流側先端部を外側に開いた形状として、被圧延材Aに曲がりがある場合でもガイド内に安定して誘導ができるような構成としても良い。また、外側ガイド80の更に上流側に、被圧延材Aの左右方向のセンター位置を粗調整する案内機構を外側ガイド80とは別に設置するといった構成も考えられる。
なお、上記実施の形態ならびにその変形例等にかかる説明では、最終製品としてハット形鋼矢板を製造する場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えばU形鋼矢板等の鋼矢板製品の製造において適用することもできる。
(第1実施例)
本発明の第1実施例として、1スタンド(例えば、上記実施の形態で説明した第1スタンド22参照)での曲げ成形についてアルミモデル実験で通材性の評価を行った。実験での操業条件は、実機換算値で、被圧延材のフランジ線長が542mm一定、Raが912mm、クロップ長L2が530mm、左右フランジクロップ長の差が0、150、300mm、センターずれ量が±15、±30mmとした。また、曲げ成形前の被圧延材フランジ角度(θ1)、及び、曲げ成形角度(Δθ1=θ2-θ1)は以下の表1に示す条件とした。
Figure 2022142526000003
上記操業条件において、比較例1としてローラーガイドを設けない構成のスタンドにて略ハット形形状の被圧延材に対し曲げ成形のモデル実験を行い、通材性の評価を行った。図17は比較例1の結果を示すグラフであり、グラフ中の〇が通材安定、×が通材不安定を示している。
また、上記操業条件において、実施例1としてローラーガイドをスタンドの2.5m上流に設置し、表1のいずれの条件においても、ローラーガイド設置位置での定常状態における予変形部の最大フランジ角度51°でも、被圧延材が接触しないようにガイドを設計し、被圧延材のウェブ上面とローラーガイドとの隙を10mmに設定した状態で略ハット形形状の被圧延材に対し曲げ成形のモデル実験を行い、通材性の評価を行った。図18は実施例1の結果を示すグラフであり、グラフ中の〇が通材安定、×が通材不安定を示している。
比較例1、実施例1ともに上記表1に示す5条件にてモデル実験を行ったが、図17に示すように、比較例1では5条件のうち3条件にて噛み込みが不安定となり、通材不良が発生した。一方、図18に示すように、実施例1では5条件のいずれも安定して通材可能であった。即ち、ローラーガイドを設置することで、安定して通材可能な状態で曲げ成形を行うことが可能な条件(曲げ成形角度)が増加し、効果的に曲げ成形を実施できることが分かった。
(第2実施例)
本発明の第2実施例として、全幅1400mm、高さ501mm、フランジ角度63°、ウェブ厚17.0mm、フランジ厚13.2mmのハット形鋼矢板を仕上げ圧延後に曲げ成形を行うことにより製造した。実施例2及び比較例2として、曲げ成形条件を、仕上げ圧延後のフランジ角度30°から第1スタンドで50°、第2スタンドで63°の2段階として曲げ成形を行った。
実施例2では、ローラーガイドを設けた構成とし、被圧延材のフランジ線長は542mm一定、Raが912mmとし、外側ガイドの間隔は被圧延材の全幅より30mm広い間隔とした。また、距離L1は598mm、クロップ長L2の最大値は900mmとし、ローラーガイドとの距離Lを2.5mに設定した。また、ローラーガイドのロール幅を被圧延材のウェブ対応部の幅長さの90%とし、ローラーガイド設置位置での定常状態における予変形部のフランジ角度37°でも、被圧延材が接触しないようにガイドを設計し、被圧延材のウェブ上面とローラーガイドとの隙を10mmに設定した。一方で、比較例2ではローラーガイドを設けない構成である以外は、実施例2と同じ条件として製造を行った。
ローラーガイドを設けない構成である比較例2では、曲げ成形機の第1スタンドに被圧延材の先端が噛み込んだ直後に捩じれが発生し、ずれ噛みが大きくなったために通材ができない材料が多発した。一方、ローラーガイドを設けた構成である実施例2では、安定した曲げ成形が行われ、良好なハット形鋼矢板が製造できた。
(第3実施例)
本発明の第3実施例として、全幅900mm、高さ368mm、フランジ角度69°、ウェブ厚15.0mm、フランジ厚11.3mmのハット形鋼矢板について、第1スタンドの上流に、図14に示すウェブ拘束ガイドを設置して曲げ成形を行う場合に、シミュレーション解析によりガイド形状を決定し、その結果に基づきウェブ拘束ガイドの形状を決定して曲げ成形を行った。
図23は、第1スタンドのロール直下を0として、曲げ成形における被圧延材のフランジ対応傾斜角度(フランジ角度)θの定常部における長手方向変化のシミュレーション結果である。図23に示すように、仕上圧延後のフランジ角度は40°であり、フランジ角度は第1スタンドのロール直下より3mほど上流の位置より変化し始めている。ここで、ロール直下より2mほど上流まではフランジ角度の変化が小さい。そこで、ウェブ拘束ガイドの内側ガイド110aのA-A’断面位置を第1スタンドのロール直下から2m上流に設定し、B-B’断面位置を第1スタンドのロール直下から0.68m上流に設定した。また、A-A’断面位置とB-B’断面位置での内側ガイドの側面角度を、図23のそれぞれの位置での被圧延材のフランジ角度に合わせ、内側ガイドとフランジ内面の隙を5mmに設定し、A-A’断面からB-B’断面の間で直線的にフランジ角度を変化させた。外側ガイドの間隔は被圧延材の全幅より30mm広い間隔とした。この場合のL1は397mmであり、クロップ長L2を700mmとしてもA-A’断面位置はL1+L2よりも大きい。
上記寸法のハット形鋼矢板を製造するにあたり、図23に基づき決定された形状のガイド(内側ガイド、外側ガイド)を設置し、曲げ成形を行った。その結果、定常状態でのガイド疵を発生させることなく、噛み込み時の被圧延材Aの捩じれの抑制とセンタリング性を高められることが確認された。
本発明は、例えばハット形鋼矢板、U形鋼矢板等の鋼矢板の製造装置に適用できる。
10…粗圧延機
13…第1中間圧延機
14…エッジャー圧延機
16…第2中間圧延機
17…エッジャー圧延機
19…仕上圧延機
19a…仕上材
20…曲げ成形機
22…第1スタンド
23…第2スタンド
40…(第1スタンドの)上孔型ロール
41…(第1スタンドの)下孔型ロール
44…(第1スタンドの)筐体
45…(第1スタンドの)孔型
50…(第2スタンドの)上孔型ロール
51…(第2スタンドの)下孔型ロール
54…(第2スタンドの)筐体
55…(第2スタンドの)孔型
60…ウェブ対応部
62、63…フランジ対応部
65、66…腕対応部
68、69…継手対応部
80(80a、80b)…外側ガイド
90…ローラーガイド
95…搬送ローラー
100…ガイド支持部
103…昇降機構
105…ローラー支持部
110…内側ガイド
112…下側ガイド
A…被圧延材
T…圧延ライン(製造装置)

Claims (10)

  1. 熱間圧延により鋼矢板を製造する製造装置であって、
    粗圧延機、中間圧延機、仕上圧延機、及び、被圧延材に対し仕上げ圧延と連続して曲げ成形を行う曲げ成形機を有し、
    前記曲げ成形機は、第1スタンドを含む1又は複数のスタンドからなり、
    被圧延材のウェブ対応部の上面を拘束するウェブ拘束ガイドを、前記曲げ成形機の少なくとも第1スタンド上流側に備え、
    前記ウェブ拘束ガイドの外幅は、当該ウェブ拘束ガイドの設置位置における被圧延材の定常状態での予変形部の左右フランジ内側間隔より狭く構成されることを特徴とする、鋼矢板の製造装置。
  2. 前記曲げ成形機の上下孔型ロールにおける被圧延材のウェブ対応部ならびにフランジ対応部に対向する部分のロール直下でのロール隙は、それぞれ前記ウェブ対応部ならびにフランジ対応部の厚みより大きく構成されることを特徴とする、請求項1に記載の鋼矢板の製造装置。
  3. 前記ウェブ拘束ガイドとしてローラーガイドが設けられ、圧延ラインに対し前記ローラーガイドと対向する位置に搬送ローラーが設けられることを特徴とする、請求項1又は2に記載の鋼矢板の製造装置。
  4. 前記ウェブ拘束ガイドとして圧延ラインに対し上下一対の対向する上下ローラーガイド対が設けられることを特徴とする、請求項1又は2に記載の鋼矢板の製造装置。
  5. 前記搬送ローラーは、平面視において前記ローラーガイドと同一位置又は下流側にずれた位置に設けられることを特徴とする、請求項3に記載の鋼矢板の製造装置。
  6. 前記上下ローラーガイド対のうち、下ローラーガイドは、平面視において上ローラーガイドと同一位置又は下流側にずれた位置に設けられることを特徴とする、請求項4に記載の鋼矢板の製造装置。
  7. 前記ウェブ拘束ガイドは、前記被圧延材の内側面に沿って圧延方向に延伸する内側ガイドであり、
    前記内側ガイドの断面形状は、仕上圧延後の被圧延材に近似した断面形状から、曲げ成形直前の被圧延材の断面形状まで連続的に変化する構成であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の鋼矢板の製造装置。
  8. 前記被圧延材の下面に沿って、圧延方向に延伸する略平板形状の下側ガイド又は搬送ローラーの少なくともいずれかを備えることを特徴とする、請求項7に記載の鋼矢板の製造装置。
  9. 前記ウェブ拘束ガイドは、以下の式(1)を満たす距離Lだけ前記第1スタンドの孔型ロールのロール軸位置から上流側の位置を含んで設けられることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の鋼矢板の製造装置。
    L>L1+L2 ・・・(1)
    但し、L1:曲げ成形開始位置と第1スタンドの孔型ロールのロール軸位置との距離、L2:被圧延材のフランジ対応部のクロップ長、である。
  10. 前記被圧延材の幅方向両端部外側において圧延方向に延伸する外側ガイドを備えることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の鋼矢板の製造装置。
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