JP4012407B2 - ハット型鋼矢板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、土木建築分野における、地下土留め,基礎構造および港湾,河川における護岸,さらには地中における止水壁に用いる構造部材として使用されるハット型鋼矢板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、鋼矢板を製造する場合は、(1)熱間圧延方法により鋼矢板として使用される最終状態まで製造するか、もしくは、(2)ロールフォーミング加工などによる冷間成形加工方法により鋼矢板として使用される最終状態まで製造する方法、(3)継手部のみ鋼矢板本体に溶接により取り付けるようにする方法が採用されている。
【0003】
前記(1)の熱間圧延による鋼矢板の製造方法としては、特開平10−192905「U形鋼矢板の製造方法」、特開平7−124602「Z型鋼矢板用粗形鋼片の圧延方法」、特許第2861829号「非対称U型鋼矢板の圧延方法」などが公表されている。
【0004】
前記(1)の熱間圧延方法は、いずれもビームブランクや幅の広いブルームから粗圧延,中間圧延,仕上げ圧延と多数の圧延加工工程を経て、板厚等を変化させ最終形状に製造する方法である。
【0005】
前記(2)の冷間加工による製造方法としては、コイル状に巻かれた比較的薄い帯状鋼板を素材として、コイルから帯状鋼板を繰り出して、順次、多数のロール成形を経て最終形状に製造する方法である。
【0006】
一方、特許第2957994号「鋼矢板の矯正具及び矯正方法」および特開平9−182916「U型鋼矢板の矯正方法および矯正治具」では、熱間圧延により最終形状に圧延された鋼矢板の曲がりやそりを部分的に矯正する方法として、冷間で成形する方法がある。しかし、これらの矯正方法および矯正治具は、鋼矢板の部分的な矯正の範疇にとまり、鋼矢板の矢板幅方向寸法あるいは矢板高さ寸法を鋼矢板全長にわたり加工して、新たな寸法形状の鋼矢板を製造する発明を開示あるいは示唆する技術を公開しているものではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図8〜図9に示すように、鋼矢板の肉厚に変化を持たせ、かつ一定形状の鋼矢板を多量に製造する場合に適している前記(1)の熱間圧延で製造される鋼矢板は、一般的に、厚肉で強固な継手と高い断面性能を有しているのに対し、肉厚に変化を持たせることが難しい前記(2)の冷間成形では、鋼板から成形されるために比較的薄肉(板厚6mm以下)で、かつ板厚が一様であり、熱間圧延による鋼矢板と比べて、概して継手耐力が弱く、断面性能としては小さい鋼矢板の製造に用いられる。
【0008】
また、前記(1)の熱間圧延では、大規模な圧延設備が必要であり、かつ様々な形状の鋼矢板を製造するためには、中間形状および最終形状に応じた各々の圧延工程の圧延ロールが多数必要となる。また、異なった形状の圧延を行う際には、ロールの組み替え作業が必要となり、多大な設備費用が生じることとなる。さらに、圧延設備には固有の製造能力が限定されるために、製造寸法の自由度が低いことが課題であった。したがって、現在の熱間圧延では、鋼矢板幅寸法で、600mm以上の広幅の鋼矢板は製作されていない。
【0009】
さらに、ロールフォーミングなどの(2)の冷間成形では、熱間圧延と比較して自由度が高いものの、継手の強度が小さく、硬質な地盤に対応できる鋼矢板の製造は不可能であり、厚肉の鋼矢板が製造できないのみならず、鋼矢板のウェブ部およびフランジ部の板厚を変化することもできない。
【0010】
一方、熱間圧延により製造した鋼矢板の矯正方法として冷間加工を行う手法もあるが、小さな装置により局部的な矯正に対応できるだけで、鋼矢板の形状そのものを、その全長に渡って変化させることはできない。また、熱間圧延と鋼矢板全長にわたる冷間加工の組み合わせ自体知られていない。
【0011】
また、継手部を熱間圧延により製造し、継手部のない状態で鋼矢板本体を製作したのち、継手部を鋼矢板本体に連続した溶接により一体に固着した鋼矢板も知られているが、溶接作業が煩雑であり、鋼矢板の製造コストが著しく高くなるという問題がある。
【0012】
本発明は、通常、熱間圧延で製造するような、比較的厚肉で強固な継手を有するハット型鋼矢板の製造において、従来になく自由度が高く、低コストで多品種の製造に対応することができるハット型鋼矢板の製造方法を提供することにある。
【0013】
さらに詳しくは、本発明は、ハット型鋼矢板を製造するにあたり、継手強度の高い鋼矢板の製造に適している熱間圧延の利点を生かしつつ、種々の断面形状の鋼矢板を製造するのに経済的でない熱間圧延の欠点を、折り曲げ加工の自由度の高く経済的な冷間加工を巧みに組み合わせることによって、種々の寸法形状のハット型鋼矢板を容易に低コストで製造することができるハット型鋼矢板の製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記の問題を有利に解決するために、第1発明のハット型鋼矢板の製造方法においては、熱間圧延により鋼矢板を製造した後、支承ロールがフラットロールのみであるロールフォーミングによる冷間加工により、前記ハット型鋼矢板における、接続用フランジ部とその両側に接続されている各ウェブ部との角度、前記各ウェブ部とこれらに接続されている各フランジ部との角度、又は前記両方の角度を変えて、前記接続用フランジ部と前記各フランジ部が平行になるように成形し、前記熱間圧延によるハット型鋼矢板とは異なる断面高さ又は幅の断面形状を有するハット型鋼矢板を製造することを特徴とする。
【0015】
また第2発明においては、第1の発明に記載の鋼矢板の製造方法において、前記熱間圧延により、ウェブ部とこれらに接続されている各フランジ部との角度を、前記接続用フランジ部と平行にしないでハット型鋼矢板を製造した後、前記冷間加工により前記接続用フランジ部と前記各フランジ部が平行になるように成形することを特徴とする。
【0016】
さらに第3発明においては、熱間圧延により製造されたハット型鋼矢板を、支承ロールがフラットロールのみであるロールフォーミングによる冷間加工にて前記ハット型鋼矢板における、接続用フランジ部とその両側に接続されている各ウェブ部との角度、前記各ウェブ部とこれらに接続されている各フランジ部との角度、又は前記両方の角度を変えて、前記接続用フランジ部と前記各フランジ部が平行になるように成形し、前記熱間圧延によるハット型鋼矢板とは異なる高さ又は幅の断面形状を有するハット型鋼矢板を製造することを特徴とする。
【0018】
【作用】
本発明によると、圧延設備の能力を越える広幅のハット型鋼矢板、および断面高の高いハット型鋼矢板の製造を可能にする。また、コーナー部の冷間加工により、断面性能の高い鋼矢板から壁面積当たり鋼重(鋼材重量)の低い広幅鋼矢板の製造を可能にする。
【0019】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
図1は本発明の一実施形態の鋼矢板の製造方法を説明するための説明図であって、鋼矢板高さ又は幅寸法の異なる鋼矢板を製造する場合の一例として、ハット型鋼矢板1を製造する場合の実施形態を示すものであって、まず、公知の熱間圧延手段により、図1(a)に示すように、鋼矢板本体1aにおけるフランジ部2と接続用フランジ部6とウェブ部3並びに継手部4を備えた、ハット型鋼矢板としての基本形態を備えた鋼矢板5として製造する。図1(a)中、2点鎖線で示す矩形部分の範囲Aは、現設備による熱間圧延によって、製造可能な鋼矢板の寸法範囲を示している。
【0020】
前記のように、熱間圧延を採用することにより、継手耐力の高い継手部4の製造が可能であると共に、鋼矢板本体1aにおけるフランジ部2と接続用フランジ部6とウェブ部3の板厚を、所望の板厚に自由に設定できる点で有利であるので、熱間圧延工程により製作する。
【0021】
次いで、前記の熱間圧延工程により製作されたハット型鋼矢板5を、図1(b)に示すように、冷間加工として支承ロールがフラットロールのみであるロールフォーミング加工により、対向するウェブ部3間を、狭めるように加工すると共に、継手側の各フランジ部2と、各ウェブ部3を接続する接続用フランジ部6の平行を保つように、接続用フランジ部6と、その両側に接続されている各ウェブ部3との溝側の角度θを小さくなるように加工することにより断面高(各フランジ部2下面から直角に接続用フランジ部6の上面までの寸法)の高い鋼矢板を製造し、これにより鋼矢板のウェブ部3に交差するフランジ部2,6に平行な軸(X軸)回りの断面2次モーメントを高めて、断面性能を向上させることができる。前記の冷間加工の温度としては、A1変態点以下の温度で加工するか、あるいは再結晶温度以下の温度で加工するようにすればよい。したがって、熱間圧延によって製造された中間状態の鋼矢板が、常温に冷却された場合には、A1変態点以下あるいは再結晶温度以下に適宜加熱して加工することもできるし、常温のまま加工することでもよい。すなわち本発明における冷間加工とは、常温での加工に加えて、温間加工を含む意味で使用している。
【0022】
また前記の熱間圧延工程により製作された鋼矢板5を、図1(c)に示すように、冷間加工として、支承ロールがフラットロールのみであるロールフォーミング加工により、対向するウェブ部3間を、接続用フランジ6の両端のコーナー部(屈折部または屈曲部)を中心として、前記角度θを広げるように加工すると共に、継手側の各フランジ部2と、各ウェブ部3を接続する接続用フランジ部6の平行を保つように、各フランジ部2の延長面と、これらに接続されている各ウェブ部3との溝8側の角度βを小さくなるように加工する。
【0023】
このように加工することにより、鋼矢板1のウェブ部3に交差するフランジ部2,6に平行な軸(X軸)回りの断面2次モーメントは低くなるが、鋼矢板1の幅が大きくなるので、隣り合う鋼矢板1の継手4を噛合わせて壁体を構築する場合、壁面積当りの鋼材重量が少なくなり、著しく経済的な鋼矢板とすることができる。
【0024】
このように、熱間圧延によって製造された鋼矢板5の各フランジ2,6およびウェブ部3の板厚並びに、継手部4の断面形状を変えないで、冷間加工によって、ウェブ部3に接続する各フランジ部2,6の交差する角度のみを変更するだけで、熱間圧延によって製造された鋼矢板5とは、全体としての断面形状が著しく異なる断面形状の新規なハット型鋼矢板1とすることができる。しかも、現設備による熱間圧延によっては、製造不可能な形状の鋼矢板の製造が可能になっている。
【0025】
またこのような熱間圧延工程と冷間加工とを組み合わせることにより、一例として、図1(a)に示すようなハット型鋼矢板5の形態から、図1(b)に示すようなハット型鋼矢板1から図1(c)に示すようなハット型鋼矢板等、鋼矢板幅寸法の全く異なる新たなハット型鋼矢板1を築造することができる。
【0026】
図2は、ハット型鋼矢板の別の製造形態を示す実施形態を説明するための説明図であって、図2(a)に示すように、予め熱間圧延工程において、ウェブ部3に接続する両端側のフランジ部2を接続用フランジ部6と平行としないで、両端側のフランジ部2を接続用フランジ部6側に折り曲げた状態で、鋼矢板5を熱間圧延により製造した後、冷間加工として支承ロールがフラットロールのみであるロールフォーミング加工により、接続用フランジ部6に接続するウェブ部3の溝8側の角度θだけを小さくなるように加工すると、図2(b)に示すような、接続用フランジ部6と端部側のフランジ部2が平行な、所定の形状のハット型鋼矢板1に製作することができる。
【0027】
この場合には、ウェブ部3と端部側のフランジ部2がなす溝外側の角度αを、熱間圧延のままで、冷間加工により変化させない形態である。
前記の角度αを熱間圧延において、大きく設定して、冷間加工により、ウェブ部3の傾斜角を緩めるか、同時にフランジ部2の冷間加工を施して、鋼矢板1の幅寸法を大きくなるように加工すると、図2(c)に示すような広幅のハット型鋼矢板1を製造することができる。もちろん、この形態の場合も、適宜フランジ部2,6の角度θ,αを設定することにより、図2(b)の変形形態以外の、現行の熱間設備では製造不可能な形態の鋼矢板を製造することもできる。
【0028】
前記各実施形態に示すように、熱間圧延と冷間加工とを巧みに組み合わせることにより、従来のように設備費の高い熱間圧延設備によって、継手強度の高いすべてのハット型鋼矢板を生産する必要がなく、ハット型鋼矢板について、熱間圧延による一定の断面形状のハット型鋼矢板から冷間加工によって断面形状の異なる所定の幅寸法あるいは断面高のハット型鋼矢板に容易に変化させる加工にて対応できるため、従来のように各種ごとに熱間圧延によりさまざまな断面寸法のすべてのハット型鋼矢板を予め製造しておく必要がないので、準備する断面寸法形態のハット型鋼矢板の形態を大幅に低減することができ、しかも各断面形状ごとに圧延ロールを準備する必要がなく、熱間圧延の設備費を大幅に低減して、設備費の安い冷間加工に置き換えることができるため、ハット型鋼矢板を経済的に製造することができる。そのため、従来のようにさまざまな寸法の断面形状のハット型鋼矢板を、ストックヤードに蓄積しておく必要もなく、例えば、所定の断面寸法のハット型鋼矢板のみをヤードに蓄積しておき、このハット型鋼矢板から冷間加工によって、さまざまな寸法の断面形状のハット型鋼矢板に製造することができる。
【0029】
図3〜図6は、熱間圧延によって製造された中間状態のハット型鋼矢板5を使用して、冷間加工として支承ロールがフラットロールのみであるロールフォーミング加工を採用して成形し、最終状態のハット型鋼矢板1を製造する場合の説明図であって、まず接続用フランジ部6を一定のレベルに保持するように、左右方向(矢板長手方向)に間隔をおいて平行に、支持フレーム(図示を省略)により支持され、駆動装置により駆動される多数の下部支承ロール10が横軸により回転可能に設けられて、前記下部支承ロール10により接続用フランジ部6の下面が支持されて所定のレベルに保持されていると共に、前記下部支承ロール10に間隔をおいて平行に対向するように、駆動装置により駆動される多数の上部支承ロール11が横軸により回転可能に設けられ、前記各支承ロール10,11によって、ハット型鋼矢板1における接続用フランジ部6が所定のレベルに把持されている。
また左右方向に間隔をおいて配置されている前記各支承ロール10,11の側部(前後方向)に離れた位置に配置された側部フランジ支承ロール12,13,14が前記支承ロール10,11よりも低レベル位置に位置するように左右方向に間隔をおいて配置され、横軸により回転可能に構成されている。
【0030】
前記側部フランジ支承ロール12,13,14のうち、左右方向一端側(上流側)の各側部フランジ支承ロール12は、所定のレベルに設けられ、これに所定の距離をおいて下流端部側の複数の各側部支承ロール14は、前記上流側の側部支承ロール12よりも低レベル位置に、また前記各支承ロール10,11の中心軸線と同一の垂直面に中心軸線が位置するように設けられている。
【0031】
前記各側部フランジ支承ロール12,13,14のうち、上流側の各側部フランジ支承ロール12は、側部フランジ2の上面に係合する側部フランジ支承上面ロール12aと、側部フランジ2の下面に係合する側部フランジ支承下面ロール12bとにより構成されている。前後方向に間隔をおいた上流側の各側部フランジ支承ロール12の前後方向の間隔は、熱間圧延により製造された中間状態の幅広のハット型鋼矢板5における各側部フランジ2に係合するように配置されている。
【0032】
また、下流側の各側部フランジ支承ロール14は、側部フランジ2の上面に係合する側部フランジ支承上面ロール14aと、側部フランジの下面に係合する側部フランジ支承下面ロール14bとにより構成されている。また前後方向に間隔をおいた下流側の各側部フランジ支承ロール14の前後方向の間隔は、冷間成形後の幅狭のハット型鋼矢板1における各側部フランジ2に係合するように配置されている。
【0033】
上流側の側部フランジ支承ロール12と下流側の側部フランジ支承ロール14の間に位置する、中間部の傾斜面に沿って漸次低レベル位置に位置するように配置されていると共に、漸次前後方向の間隔幅が狭くなるように配置された、中間部の各側部フランジ支承ロール13は、それぞれ成形ロールとして作用され、側部フランジ2の上面に係合する側部フランジ上面支承ロール13aと、側部フランジ2の下面に係合する側部フランジ下面支承ロール13bとにより構成され、前記各支承ロール12(12a,12b),13(13a,13b),14(14a,14b)は、側部フランジ2の上下面を把持するように配置されている。
【0034】
前記下流端部側の上面支承ロール14aの下端レベルは、熱間圧延された鋼矢板5を所定の寸法形状に最終的に成形加工される鋼矢板1の側部フランジ2の上面位置になるように設定され、かつ前記上面支承ロール14aに対向する下面支承ロール14bの上端レベルは、熱間圧延された鋼矢板5を所定の寸法形状に最終的に成形加工される鋼矢板1の側部フランジ2の下面位置になるように設定されている。
【0035】
このように、前記の傾斜面に沿って設けられている多段式の多数の側部フランジ支承(成形)ロール13(13a,13b)により、上流側から下流側に送られる鋼矢板の側部フランジ2が、接続用フランジ6に対して徐々に所定のレベル低下され、かつ接続用フランジ6に対して平行状態を保って成形される。
【0036】
また前記の傾斜面に沿って設けられている多段式の多数の側部フランジ支承(成形)ロール13は、上流側から下流側に向って、順次接近するように配置されているので、上流側から下流側に送られる鋼矢板の側部フランジ2が、所定のレベルで順次接近するように成形される。
【0037】
横軸により回転可能に構成されている前記各ロール10〜14は、適宜、駆動装置(図示を省略した)により駆動され、上下移動可能に位置調整自在に、また、側部フランジ支承用ロール12〜14は、水平状態で前後方向の位置調整(鋼矢板幅方向の位置調整)可能に支持されている。
【0038】
なお、冷間成形において、図9に示すように、前記の各横向きの各ロール以外に、傾斜した縦軸を中心として回転可能に支持されたウェブ部成形用ロール15を、熱間圧延されたハット型鋼矢板における対向するウェブ部の内側に配置してもよく、あるいは各ウェブ部の外側に配置してもよく、これらのウェブ部成形用ロール15によって、接続用フランジ部6に対するウェブ部の角度を拡大または縮小させるようにすることができる。これらのウェブ部整形用ロール15を配置する場合には、図9(b)に示すように、側部支承ロールの間に配置するようにすればよい。また、この場合に、上流側端部と、下流側端部との間に配置される中間ウェブ整形用ロール15については、左右方向に位置調整自在に、またロール傾斜縦軸の傾斜角度を調整可能にかつ傾斜角度固定自在な支持機構を備えたロール支持装置により、保持されるように構成されている。
【0039】
なお、前記各実施形態において、支承ロールあるいは成形用ロールの位置調整手段あるいは傾斜角度の調整手段としては、公知の適宜の手段を採用することができる。
【0040】
また、本発明の最終的なハット型鋼矢板を製造する場合の中間状態の鋼矢板としては、従来公知の熱間圧延ハット型鋼矢板を採用することができる。
【0041】
前記実施形態においては、熱間圧延後に、ロールフォーミング加工により最終的な鋼矢板に成形加工する形態を示したが、熱間圧延後に、温間加工を含む冷間加工として、プレス加工あるいはこれら以外の加工手段の組み合わせを採用して、これにより最終的な鋼矢板に成形加工してもよい。
【0042】
なお、冷間加工においては、板厚等を変化させる場合もあるが、前記各実施形態のように、継手部の断面形状およびウェブ部の板厚並びに各フランジ部の板厚等の鋼矢板としての基本的形態を変化させないで、これらの部分が連設されている角度のみを変化するように冷間加工するようにすると、著しく低コストで、鋼矢板を製造することができる。
【0043】
【発明の効果】
本発明によると、下記のような効果を奏することができる。
1.本製造方法により、強固な継手を持つハット型鋼矢板を同一の熱間圧延設備を用いて製造し、冷間加工により、前記熱間圧延設備では不可能なハット型鋼矢板でも製造できるので、自由度の高いハット型鋼矢板の製造を可能にする。
2.ハット型鋼矢板を熱間圧延設備により製造する場合の設備費を大幅に削減し、ロールの組み替え作業費を削減すことができる。
3.同一の圧延方法により中間製品となるハット型鋼矢板を大量に生産することが可能であり、この中間状態のハット型鋼矢板を、用途に応じて冷間加工により、各種寸法形状の最終製品が製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係るハット型鋼矢板の製造方法を説明するための説明図であって、(a)は熱間圧延により製造されたハット型鋼矢板を示す平面図であり、(b)は(a)に示す鋼矢板の幅を小さくなるように冷間加工して新たな狭幅の鋼矢板幅寸法および高い鋼矢板高さを有するハット型鋼矢板を示す平面図であり、(c)は(a)に示す鋼矢板の幅を大きくなるように冷間加工して新たな広幅の鋼矢板幅寸法および鋼矢板高さを有するハット型鋼矢板を示す平面図である。
【図2】 本発明の第1実施形態に係るハット型鋼矢板の別の製造方法を説明するための説明図であって、(a)は熱間圧延により製造されたハット型鋼矢板を示す平面図であり、(b)は(a)に示す鋼矢板の幅を小さくなるように冷間加工して新たな狭幅の鋼矢板幅寸法および高い鋼矢板高さを有するハット型鋼矢板を示す平面図であり、(c)は(a)に示す鋼矢板の幅を大きくなるように冷間加工して新たな広幅の鋼矢板幅寸法および低い鋼矢板高さを有するハット型鋼矢板を示す平面図である。
【図3】 本発明の第1実施形態のハット型鋼矢板を、ロールフォーミング加工により製造する場合のロール配置を示す説明図であり、(a)は概略側面図、(b)は概略平面図である。
【図4】 本発明の第1実施形態のハット型鋼矢板を、ロールフォーミング加工により製造する場合の広幅部のロール配置を示す縦断正面図であり、図3のA−A線断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態のハット型鋼矢板を、ロールフォーミング加工により製造する場合の狭幅部のロール配置を示す縦断正面図であり、図3のB−B線断面図である。
【図6】 本発明の第1実施形態のハット型鋼矢板を、ロールフォーミング加工により製造する場合の中間部のロール配置を示す縦断正面図であり、図3のC−C線断面図である。
【図7】 本発明の鋼矢板を、ロールフォーミング加工により製造する場合に、中間部にウェブ成形用ロール配置を示す縦断正面図であり、(a)は概略側面図、(b)は概略平面図である。
【図8】(a)は従来の熱間圧延によるハット型鋼矢板の一例を示す平面図、(b)は従来の熱間圧延によるU型鋼矢板の一例を示す平面図である。
【図9】(a)は従来の熱間圧延によるZ型鋼矢板の一例を示す平面図、(b)は従来の熱間圧延によるZ型鋼矢板の他の例を示す平面図である。
【符号の説明】
1 鋼矢板
2 フランジ部
3 ウェブ部
3a 第1ウェブ部
3 第2ウェブ部
4 継手部
5 熱間圧延により製造された鋼矢板
6 接続用フランジ
8 溝
10 下部支承ロール
11 上部支承ロール
12 側部フランジ支承ロール
13 側部フランジ支承ロール
13a 側部フランジ上面支承ロール
13b 側部フランジ下面支承ロール
14 側部フランジ支承ロール
14a 側部フランジ上面(またはフランジ外側)支承ロール
14b 側部フランジ下面(またはフランジ内側)支承ロール
15 ウェブ部成形用ロール
16 第2ウェブ支承ロール
16a 第2ウェブ支承外面ロール
16b 第2ウェブ支承内面ロール
17 第2ウェブ支承ロール
17a 第2ウェブ支承外面ロール
17b 第2ウェブ支承内面ロール
18 第2ウェブ支承ロール
18a 第2ウェブ支承外面ロール
18b 第2ウェブ支承内面ロール
Claims (3)
- 熱間圧延によりハット型鋼矢板を製造した後、支承ロールがフラットロールのみであるロールフォーミングによる冷間加工により、前記ハット型鋼矢板における、接続用フランジ部とその両側に接続されている各ウェブ部との角度、前記各ウェブ部とこれらに接続されている各フランジ部との角度、又は前記両方の角度を変えて、前記接続用フランジ部と前記各フランジ部が平行になるように成形し、前記熱間圧延によるハット型鋼矢板とは異なる高さ又は幅の断面形状を有するハット型鋼矢板を製造することを特徴とするハット型鋼矢板の製造方法。
- 前記熱間圧延により、ウェブ部とこれらに接続されている各フランジ部との角度を、前記接続用フランジ部と平行にしないでハット型鋼矢板を製造した後、前記冷間加工により前記接続用フランジ部と前記各フランジ部が平行になるように成形することを特徴とする請求項1記載のハット型鋼矢板の製造方法。
- 熱間圧延により製造されたハット型鋼矢板を、支承ロールがフラットロールのみであるロールフォーミングによる冷間加工にて、前記ハット型鋼矢板における、接続用フランジ部とその両側に接続されている各ウェブ部との角度、前記各ウェブ部とこれらに接続されている各フランジ部との角度、又は前記両方の角度を変えて、前記接続用フランジ部と前記各フランジ部が平行になるように成形し、前記熱間圧延によるハット型鋼矢板とは異なる高さ又は幅の断面形状を有するハット型鋼矢板を製造することを特徴とするハット型鋼矢板の製造方法。
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