JP7078038B2 - 繊維状炭素ナノ構造体分散液及びその製造方法、並びに繊維状炭素ナノ構造体 - Google Patents

繊維状炭素ナノ構造体分散液及びその製造方法、並びに繊維状炭素ナノ構造体 Download PDF

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Description

本発明は、繊維状炭素ナノ構造体分散液及びその製造方法、並びに繊維状炭素ナノ構造体に関する。
近年、導電性、熱伝導性及び機械的特性に優れる材料として、繊維状炭素材料、特にはカーボンナノチューブ(以下、「CNT」と称することがある。)等の繊維状炭素ナノ構造体が注目されている。
しかし、CNT等の繊維状炭素ナノ構造体は直径がナノメートルサイズの微細な構造体であるため、単体では取り扱い性や加工性が悪い。そこで、例えば、CNTを分散させた溶液を調製し、この溶液を基材等に塗布することで、複数本のCNTを膜状に集合させて、「バッキーペーパー」と称されることもあるカーボンナノチューブ膜(以下、「CNT膜」と称することがある。)を形成し、当該CNT膜を導電膜等として用いること等が提案されている。また、CNTを分散させた塗工液としては、例えば、溶媒中に高純度のCNTを分散させた塗工液が知られている(特許文献1参照)。
米国特許第7556746号明細書
しかしながら、特許文献1に記載の塗工液は、CNTの分散性が十分ではなかった。分散性が不十分な塗工液を用いて形成されたCNT膜は、導電性や強度に劣るため、分散性に優れる繊維状炭素ナノ構造体を含む分散液が望まれているのが現状である。
そこで、本発明は、繊維状炭素ナノ構造体の分散性に優れる繊維状炭素ナノ構造体分散液及びその製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、分散液の調製に用いた場合に、得られる分散液の分散性を向上させうる繊維状炭素ナノ構造体を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を行った。そして、本発明者は、分散液中に含有させる繊維状炭素ナノ構造体の性状が特定の条件を満たすようにすることで、繊維状炭素ナノ構造体が凝集しにくく、分散性に優れる分散液が得られることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の繊維状炭素ナノ構造体分散液は、分光吸収スペクトルにおいて、500cm-1以上600cm-1以下の波数領域に少なくとも一つの吸収ピークを有する繊維状炭素ナノ構造体と、溶媒とを含むことを特徴とする。このような特定の吸収特性を有する繊維状炭素ナノ構造体は、分散液中にて凝集しにくく、かかる繊維状炭素ナノ構造体を含有する分散液は分散性が高い。
なお、本明細書において、「吸収ピーク」は、分光吸収スペクトルを二次多項式でフィッティングすることで、検出することができる。
ここで、本発明の繊維状炭素ナノ構造体分散液では、前記繊維状炭素ナノ構造体の酸素原子比率が11at%以上であることが好ましい。このような分散液は、繊維状炭素ナノ構造体の分散性に一層優れる。
なお、本明細書において、「酸素原子比率」とは、X線光電子分光分析によって決定した繊維状炭素ナノ構造体表面における全原子量と酸素原子(O)の存在量との比率により表される値である。より具体的には、「酸素原子比率」は、繊維状炭素ナノ構造体表面を構成する全原子量を100at%として、酸素原子(O)の存在量の占める比率を算出することにより求められる値である。そして「酸素原子比率」は、X線光電子分光分析に基づいて算出することができる。
また、本発明の繊維状炭素ナノ構造体分散液では、前記繊維状炭素ナノ構造体はカーボンナノチューブを含み、前記カーボンナノチューブを含む前記繊維状炭素ナノ構造体は、G/D比が2.0未満であることが好ましい。分散液中に含有される繊維状炭素ナノ構造体がカーボンナノチューブを含んでおり、且つかかる繊維状炭素ナノ構造体のG/D比が2.0未満であれば、分散液の分散性が一層優れたものとなる。
なお、「G/D比」とは、ラマンスペクトルにおけるDバンドピーク強度に対するGバンドピーク強度の比を指す。
また、本発明の繊維状炭素ナノ構造体分散液では、前記繊維状炭素ナノ構造体はカーボンナノチューブを含み、前記カーボンナノチューブを含む前記繊維状炭素ナノ構造体は、比表面積が400m/g以下であることが好ましい。分散液中に含有される繊維状炭素ナノ構造体がカーボンナノチューブを含んでおり、且つかかる繊維状炭素ナノ構造体の比表面積が400m/g以下であれば、分散液の分散性が一層優れたものとなる。
なお、「繊維状炭素ナノ構造体の比表面積」は、BET法に従って測定した窒素吸着比表面積を意味する。
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の繊維状炭素ナノ構造体分散液の製造方法は、分光吸収スペクトルにおいて、200cm-1以上300cm-1以下の波数領域に少なくとも一つの吸収ピークを有する繊維状炭素ナノ構造体を酸化処理する工程(A)と、前記工程(A)を経て得られた酸処理繊維状炭素ナノ構造体を含む混合液を分散処理して、分光吸収スペクトルにおいて、500cm-1以上600cm-1以下の波数領域に少なくとも一つの吸収ピークを有する繊維状炭素ナノ構造体が分散されてなる分散液を得る工程(B)と、を含むことを特徴とする。かかる工程(A)及び(B)を含む製造方法によれば、分散性の高い繊維状炭素ナノ構造体分散液が効率的に得られる。
また、本発明の繊維状炭素ナノ構造体分散液の製造方法は、前記工程(A)を経て得られた前記酸処理繊維状炭素ナノ構造体の酸素原子比率が11at%以上であることが好ましい。このような製造方法によれば、一層分散性の高い繊維状炭素ナノ構造体分散液が得られる。
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の繊維状炭素ナノ構造体は、分光吸収スペクトルにおいて、500cm-1以上600cm-1以下の波数領域に少なくとも一つの吸収ピークを有するとともに、酸素原子比率が11at%以上であることを特徴とする。このような繊維状炭素ナノ構造体は、分散液の調製に使用した場合に、得られる分散液の分散性を優れたものとしうる。
また、本発明の繊維状炭素ナノ構造体は、カーボンナノチューブを含んでなり、且つ、G/D比が2.0未満であることが好ましい。このような繊維状炭素ナノ構造体は、分散液の調製に使用した場合に、得られる分散液の分散性を一層優れたものとしうる。
さらに、本発明の繊維状炭素ナノ構造体は、カーボンナノチューブを含んでなり、且つ、比表面積が400m/g以下であることが好ましい。このような繊維状炭素ナノ構造体は、分散液の調製に使用した場合に、得られる分散液の分散性を一層優れたものとしうる。
本発明によれば、繊維状炭素ナノ構造体の分散性に優れる繊維状炭素ナノ構造体分散液及びその製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、分散液の調製に用いた場合に、得られる分散液の分散性を向上させうる繊維状炭素ナノ構造体を提供することができる。
図1は、表面に細孔を有する試料のt-プロットの一例を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
(繊維状炭素ナノ構造体分散液)
本発明の繊維状炭素ナノ構造体分散液は、分光吸収スペクトルにおいて、500cm-1以上600cm-1以下の波数領域に少なくとも一つの吸収ピークを有する繊維状炭素ナノ構造体と、溶媒とを含む。本発明の分散液は、分光吸収スペクトルにおいて、500cm-1以上600cm-1以下の波数領域に少なくとも一つの吸収ピークを有する繊維状炭素ナノ構造体を含むので、分散性に優れる。その理由は明らかではないが、以下の通りであると推察される。
本発明者は、分光吸収スペクトルにおける吸収ピークが検出される波数領域は、繊維状炭素ナノ構造体の長さや、繊維状炭素ナノ構造体上に生じた欠陥から欠陥までの距離を反映しうることに着目した。そして、本発明者は、上記特定の波数領域に吸収ピークを呈し得る、すなわち、特定の長さ、及び/又は特定の欠陥頻度を呈し得る、繊維状炭素ナノ構造体を分散液中に含有させることで、分散液中における繊維状炭素ナノ構造体の分散性を顕著に向上し得ることを新たに見出し、本発明を完成させた。
<分散液に含有される繊維状炭素ナノ構造体>
ここで、本発明の繊維状炭素ナノ構造体分散液に含有される繊維状炭素ナノ構造体は、500cm-1以上600cm-1以下の波数領域に少なくとも一つの吸収ピークを有する限りにおいて、特に限定されることなく、例えば、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維等を用いることができる。これらは、1種単独で、或いは、2種以上が混合された状態で分散液中に含有されていてもよい。
中でも、本発明の繊維状炭素ナノ構造体分散液に含有されうる繊維状炭素ナノ構造体は、カーボンナノチューブを含む繊維状炭素ナノ構造体であることが好ましい。分散液がカーボンナノチューブを含む繊維状炭素ナノ構造体を含んでいれば、かかる分散液を用いて、導電性や強度に一層優れた炭素膜を形成することができる。なお、本明細書において、「炭素膜」とは、カーボンナノチューブ等の繊維状炭素ナノ構造体の集合体よりなる膜をいう。
そして、カーボンナノチューブを含む繊維状炭素ナノ構造体は、特に限定されることなく、カーボンナノチューブ(CNT)のみを含んでいてもよいし、CNTと、CNT以外の繊維状炭素ナノ構造体との混合物であっても良い。
さらに、本発明の繊維状炭素ナノ構造体分散液に含有される繊維状炭素ナノ構造体が1つの吸収ピークを有することが好ましい。なお、分散液に含有される繊維状炭素ナノ構造体が複数の吸収ピークを有する場合には、少なくとも最も強い吸収ピークが500cm-1以上600cm-1以下の波数領域内であることが好ましい。また、分散液に含有される繊維状炭素ナノ構造体は、500cm-1未満、或いは600cm-1超の波数領域には吸収ピークを有さないことが好ましい。さらにまた、分散液に含有される繊維状炭素ナノ構造体は、少なくとも一つの吸収ピークを510cm-1以上560cm-1以下の領域に有することが好ましい。
本発明の繊維状炭素ナノ構造体分散液に含有される繊維状炭素ナノ構造体は、酸素原子比率が11at%以上であることが好ましい。含有される繊維状炭素ナノ構造体の酸素原子比率が11at%以上であれば、分散液は、繊維状炭素ナノ構造体の分散性に一層優れる。より好ましくは、繊維状炭素ナノ構造体の酸素原子比率は、13at%以上であり、16at%以下である。繊維状炭素ナノ構造体の酸素原子比率が16at%以下であれば、繊維状炭素ナノ構造体の導電性、熱伝導性、及び強度が損なわれることを抑制しつつ、分散液の分散性を一層向上させることができる。
本発明の繊維状炭素ナノ構造体分散液に含有される繊維状炭素ナノ構造体は、G/D比が2.0未満であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましく,1.0以下であることがさらに好ましく、0.8以下であることが特に好ましい。G/D比が2.0未満である繊維状炭素ナノ構造体は分散性に優れており、分散液の分散性を一層向上させうる。なお、かかる繊維状炭素ナノ構造体が後述する本発明の製造方法の工程(A)を経て得られた繊維状炭素ナノ構造体である場合には、かかる工程(A)にて、繊維状炭素ナノ構造体の分散性を十分に高めうる程度に、繊維状炭素ナノ構造体の切断及び酸化が生じたことを意味しうる。
本発明の繊維状炭素ナノ構造体分散液に含有される繊維状炭素ナノ構造体は、BET比表面積が400m/g以下であることが好ましく、300m/g以下であることがより好ましく、250m/g以下であることがさらに好ましく、通常、10m/g以上である。BET比表面積が400m/g以下である繊維状炭素ナノ構造体は分散性に優れており、分散液の分散性を一層向上させうる。なお、BET比表面積が上記上限値以下である繊維状炭素ナノ構造体が、後述する本発明の製造方法の工程(A)を経て得られた繊維状炭素ナノ構造体である場合には、かかるBET比表面積の値は、工程(A)にて、繊維状炭素ナノ構造体の分散性を十分に高めうる程度に、繊維状炭素ナノ構造体の酸化が生じたことを意味しうる。具体的には、特に、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体では、酸処理によりBET比表面積を上記上限値以下とすることで、以下のような理由により分散液中における分散性が向上し得ると推察される。
まず、BET比表面積測定は、通常、試料を乾燥してから測定するので、繊維状炭素ナノ構造体がCNTである場合には、CNTを構成するグラフェンシートの層間に存在している溶媒が取り除かれる。その際に、酸処理が進んでいるほどCNT同士が密なバンドルを形成して、比表面積は低下する。一方で、実際にCNTが分散液中にて分散して存在する場合には、CNTを構成する層間に溶媒が存在しており、酸処理されたCNTと分散液の溶媒分子とが電気二重層を形成して分散が安定化すると考えられる。このため、酸処理されているほど分散が安定すると推察される。
<溶媒>
また、本発明の繊維状炭素ナノ構造体分散液に含有される溶媒としては、例えば、非ハロゲン系溶媒、及び非水溶媒等が挙げられる。具体的には、上記溶媒としては、水;メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、アミルアルコール、メトキシプロパノール、プロピレングリコール、エチレングリコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、α-ヒドロキシカルボン酸のエステル、ベンジルベンゾエート(安息香酸ベンジル)等のエステル類;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、モノメチルエーテル等のエーテル類;N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系極性有機溶媒;トルエン、キシレン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、パラジクロロベンゼン、等の芳香族炭化水素類;サリチルアルデヒド、ジメチルスルホキシド、4-メチル-2-ペンタノン、N-メチルピロリドン、γ-ブチロラクトン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。中でも、分散性に特に優れる観点から、水、乳酸エチル、イソプロパノール、メチルエチルケトンが好ましい。これらは1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
本発明の繊維状炭素ナノ構造体分散液中の繊維状炭素ナノ構造体の濃度は、上記溶媒1Lに対して、上記繊維状炭素ナノ構造体が1mg以上含まれることが好ましく、100mg以上含まれることがより好ましい。また、10000mg以下であることが好ましい。溶媒に対して繊維状炭素ナノ構造体が1mg以上含まれれば、導電性や強度に優れる炭素膜を形成することができる。また、含まれる繊維状炭素ナノ構造体が10000mg以下であれば、繊維状炭素ナノ構造体の凝集を抑制して、繊維状炭素ナノ構造体の分散性に一層優れる分散液を得ることができる。
本発明の繊維状炭素ナノ構造体分散液中の繊維状炭素ナノ構造体の濃度は、0.005質量%以上であることが好ましく、0.01質量%以上であることがより好ましく、5質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。繊維状炭素ナノ構造体の濃度が0.005質量%以上であれば、導電性や強度に優れる炭素膜を形成することができる。また、繊維状炭素ナノ構造体の濃度が5質量%以下であれば、繊維状炭素ナノ構造体の凝集を抑制して、繊維状炭素ナノ構造体の分散性に一層優れる分散液を得ることができる。
本発明の繊維状炭素ナノ構造体分散液は、導電性、強度に一層優れる炭素膜を形成することができ、また、繊維状炭素ナノ構造体の分散性に一層優れる分散液が得られる観点から、分散剤を実質的に含まないことが好ましい。本明細書において、「実質的に含まない」とは、不可避的に混入する場合を除いて積極的には配合しないことをいい、具体的には、繊維状炭素ナノ構造体分散液中の含有量が、0.05質量%未満であることが好ましく、0.01質量%未満であることがより好ましく、0.001質量%未満であることが更に好ましい。
なお、上記分散剤としては、界面活性剤、合成高分子、天然高分子等が挙げられる。
本発明の繊維状炭素ナノ構造体分散液は、繊維状炭素ナノ構造体分散液中の不純物が少なくなり、また、特性の安定した長寿命の電子部品を作製できる観点から、繊維状炭素ナノ構造体分散液中の金属不純物の濃度が、1×1018原子/cm未満であることが好ましく、15×1016原子/cm未満であることがより好ましい。
本発明の繊維状炭素ナノ構造体分散液は、繊維状炭素ナノ構造体の分散性が一層向上し、また、均一な炭素膜を形成できる観点から、繊維状炭素ナノ構造体の沈殿物及び凝集物が実質的に含まれないことが好ましい。
なお、本明細書において、沈殿物、凝集物とは、10000Gで20分間遠心して沈殿する繊維状ナノ構造体をいう。
<物性>
本発明の繊維状炭素ナノ構造体分散液の粘度は、0.5mPa・s以上であることが好ましく、1mPa・s以上であることがより好ましく、1000mPa・s以下であることが好ましく、100mPa・s以下であることがより好ましい。繊維状炭素ナノ構造体分散液の粘度が0.5mPa・s以上1000mPa・s以下であれば、繊維状炭素ナノ構造体の分散性に優れる。
なお、本発明において、「繊維状炭素ナノ構造体分散液の粘度」は、JIS Z8803に準拠して、10s-1以上1000s-1以下の範囲内の少なくとも一つのせん断速度(例えば、152s-1)で、温度25℃で測定することができる。
本発明の繊維状炭素ナノ構造体分散液の、分光光度計を用いて測定した吸光度は、分散性の観点から、光路長:1mm、波長:550nmにおいて、0.1以上であることが好ましく、0.2以上であることがより好ましく、10以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましい。繊維状炭素ナノ構造体分散液の吸光度が0.1以上であれば、繊維状炭素ナノ構造体分散液中の繊維状炭素ナノ構造体の量を十分に確保することができる。また、繊維状炭素ナノ構造体分散液の吸光度が10以下であれば、繊維状炭素ナノ構造体分散液中に含まれている分散性の高い繊維状炭素ナノ構造体の割合を高め、また、導電性及び強度に優れる炭素膜を形成することができる。
本発明の繊維状炭素ナノ構造体分散液の吸光度比は、凝集物が少なく高純度となり、また、繊維状炭素ナノ構造体の分散性に優れる観点から、0.5以上であることが好ましく、0.7以上1.0以下であることがより好ましい。
なお、本発明において「吸光度比」は、繊維状炭素ナノ構造体分散液と、繊維状炭素ナノ構造体分散液をろ過精製して得た精製済分散液と、について、それぞれ、分光光度計を用いて光路長1mm、波長550nmでの吸光度を測定し、精製済分散液の吸光度の値を、ろ過精製処理をしていない繊維状炭素ナノ構造体分散液の吸光度の値で除して算出することができる。
吸光度比が高い、即ち、ろ過精製の前後で繊維状炭素ナノ構造体分散液の吸光度の変化が小さい程、分散液中に含有される繊維状炭素ナノ構造体の凝集性が低く、繊維状炭素ナノ構造体分散液が分散性に優れることを意味する。
<用途>
本発明の繊維状炭素ナノ構造体分散液は、ロジック回路等の電子回路、DRAM、SRAM、NRAM等のメモリ、半導体装置、インターコネクト、相補型MOS、バイポラートランジスタ等の電子部品;微量ガス等の検出器等の化学センサー;DNA、タンパク質等の測定器等のバイオセンサー;太陽電池、タッチパネル等の導電膜;等の電子工学品を製造する際に用いることができ、例えば、電子工学品を製造する際の塗工液や構成材料として用いることができる。中でも、導電性や強度に優れる製品が得られるという観点から、半導体装置の構成材料として好適である。
(繊維状炭素ナノ構造体分散液の製造方法)
本発明の繊維状炭素ナノ構造体分散液の製造方法は、分光吸収スペクトルにおいて、200cm-1以上300cm-1以下の波数領域に少なくとも一つの吸収ピークを有する繊維状炭素ナノ構造体を酸化処理する工程(A)と、工程(A)を経て得られた酸処理繊維状炭素ナノ構造体を含む混合液を分散処理して、分光吸収スペクトルにおいて、500cm-1以上600cm-1以下の波数領域に少なくとも一つの吸収ピークを有する繊維状炭素ナノ構造体が分散されてなる分散液を得る工程(B)とを含む。任意で、工程(B)は、複数本の繊維状炭素ナノ構造体と、溶媒とを含む分散混合液を遠心分離し、複数本の繊維状炭素ナノ構造体の一部を沈殿させる操作(遠心分離)と、遠心分離により得られた上澄み液を分取する操作(分取)とを含みうる。更に任意で、上記工程(A)と工程(B)との間に、不純物分離処理工程を実施しても良い。
少なくとも上記工程(A)及び工程(B)を含む本発明の繊維状炭素ナノ構造体分散液の製造方法によれば、繊維状炭素ナノ構造体の分散性に優れる分散液が効率的に得られる。
<工程(A)>
工程(A)では、分光吸収スペクトルにおいて、200cm-1以上300cm-1以下の波数領域に少なくとも一つの吸収ピークを有する繊維状炭素ナノ構造体を酸化処理する。以下、200cm-1以上300cm-1以下の波数領域に少なくとも一つの吸収ピークを有する(以下、簡潔に「所定の第1の光学特性」とも称する)、本発明の製造方法にて材料として用いうる繊維状炭素ナノ構造体の好適属性について詳述する。なお、上記所定の第1の光学特性を満たす材料としての繊維状炭素ナノ構造体は、得られる分散液の分散性を向上させる観点から、200cm-1以上300cm-1以下の波数領域に一つの吸収ピークを有することが好ましい。
さらに、材料としての繊維状炭素ナノ構造体が1つのピークを有することが好ましい。なお、材料としての繊維状炭素ナノ構造体が複数の吸収ピークを有する場合には、少なくとも最も強い吸収ピークが200cm-1以上300cm-1以下の波数領域内であることが好ましい。また、材料としての繊維状炭素ナノ構造体は、200cm-1未満、或いは300cm-1超の波数領域には吸収ピークを有さないことが好ましい。さらにまた、材料としての繊維状炭素ナノ構造体は、少なくとも一つの吸収ピークを210cm-1以上270cm-1以下の領域に有することが好ましい。分散液中における繊維状炭素ナノ構造体の分散性を一層向上させうるからである。
[材料としての繊維状炭素ナノ構造体]
本発明の製造方法にて用いうる材料としての繊維状炭素ナノ構造体は、上記分散液に含有されうる繊維状炭素ナノ構造体に関連して説明したように、例えば、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維等でありうる。なお、材料としての繊維状炭素ナノ構造体は、CNTのみを含んでいてもよいし、CNTと、CNT以外の繊維状炭素ナノ構造体との混合物であっても良い。また、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、CNTの開口処理が施されておらず、吸着等温線から得られるt-プロットが上に凸な形状を示すことがより好ましい。
ここで、一般に、吸着とは、ガス分子が気相から固体表面に取り去られる現象であり、その原因から、物理吸着と化学吸着に分類される。そして、t-プロットの取得に用いられる窒素ガス吸着法では、物理吸着を利用する。なお、通常、吸着温度が一定であれば、繊維状炭素ナノ構造体に吸着する窒素ガス分子の数は、圧力が大きいほど多くなる。また、横軸に相対圧(吸着平衡状態の圧力Pと飽和蒸気圧P0の比)、縦軸に窒素ガス吸着量をプロットしたものを「等温線」といい、圧力を増加させながら窒素ガス吸着量を測定した場合を「吸着等温線」、圧力を減少させながら窒素ガス吸着量を測定した場合を「脱着等温線」という。
そして、t-プロットは、窒素ガス吸着法により測定された吸着等温線において、相対圧を窒素ガス吸着層の平均厚みt(nm)に変換することにより得られる。即ち、窒素ガス吸着層の平均厚みtを相対圧P/P0に対してプロットした、既知の標準等温線から、相対圧に対応する窒素ガス吸着層の平均厚みtを求めて上記変換を行うことにより、繊維状炭素ナノ構造体のt-プロットが得られる(de Boerらによるt-プロット法)。
ここで、表面に細孔を有する試料の典型的なt-プロットを図1に示す。表面に細孔を有する試料では、窒素ガス吸着層の成長は、次の(1)~(3)の過程に分類される。そして、下記の(1)~(3)の過程によって、図1に示すようにt-プロットの傾きに変化が生じる。
(1)全表面への窒素分子の単分子吸着層形成過程
(2)多分子吸着層形成とそれに伴う細孔内での毛管凝縮充填過程
(3)細孔が窒素によって満たされた見かけ上の非多孔性表面への多分子吸着層形成過程
そして、本発明の製造方法で用いる材料としての繊維状炭素ナノ構造体のt-プロットは、図1に示すように、窒素ガス吸着層の平均厚みtが小さい領域では、原点を通る直線上にプロットが位置するのに対し、tが大きくなると、プロットが当該直線から下にずれた位置となり、上に凸な形状を示す。かかるt-プロットの形状は、繊維状炭素ナノ構造体の全比表面積に対する内部比表面積の割合が大きく、繊維状炭素ナノ構造体を構成する炭素ナノ構造体に多数の開口が形成されていることを示しており、その結果として、繊維状炭素ナノ構造体は、凝集しにくくなる。
なお、材料としての繊維状炭素ナノ構造体のt-プロットの屈曲点は、0.2≦t(nm)≦1.5を満たす範囲にあることが好ましく、0.45≦t(nm)≦1.5を満たす範囲にあることがより好ましく、0.55≦t(nm)≦1.0を満たす範囲にあることが更に好ましい。t-プロットの屈曲点の位置が上記範囲であると、繊維状炭素ナノ構造体が更に凝集しにくくなり、繊維状炭素ナノ構造体の分散性に一層優れる分散液が得られる。
ここで、「屈曲点の位置」とは、前述した(1)の過程の近似直線Aと、前述した(3)の過程の近似直線Bとの交点である。
更に、材料としての繊維状炭素ナノ構造体は、t-プロットから得られる全比表面積S1に対する内部比表面積S2の比(S2/S1)が0.05以上0.30以下であるのが好ましい。S2/S1が0.05以上0.30以下であれば、繊維状炭素ナノ構造体が更に凝集しにくくなり、繊維状炭素ナノ構造体の分散性に一層優れる分散液が得ることができる。
また、材料としての繊維状炭素ナノ構造体の全比表面積S1及び内部比表面積S2は、特に限定されないが、個別には、S1は、400m/g以上2500m/g以下であることが好ましく、800m/g以上1200m/g以下であることが更に好ましい。一方、S2は、30m/g以上540m/g以下であることが好ましい。
ここで、繊維状炭素ナノ構造体の全比表面積S1及び内部比表面積S2は、そのt-プロットから求めることができる。具体的には、図1に示すt-プロットにより説明すると、まず、(1)の過程の近似直線の傾きから全比表面積S1を、(3)の過程の近似直線の傾きから外部比表面積S3を、それぞれ求めることができる。そして、全比表面積S1から外部比表面積S3を差し引くことにより、内部比表面積S2を算出することができる。
因みに、繊維状炭素ナノ構造体の吸着等温線の測定、t-プロットの作成、及び、t-プロットの解析に基づく全比表面積S1と内部比表面積S2との算出は、例えば、市販の測定装置である「BELSORP(登録商標)-mini」(日本ベル(株)製)を用いて行うことができる。
また、材料として、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体を使用する場合、繊維状炭素ナノ構造体中のCNTとしては、特に限定されることなく、単層カーボンナノチューブ及び/又は多層カーボンナノチューブを用いることができるが、CNTは、単層から5層までのカーボンナノチューブであることが好ましく、単層カーボンナノチューブであることがより好ましい。単層カーボンナノチューブを使用すれば、多層カーボンナノチューブを使用した場合と比較し、繊維状炭素ナノ構造体の分散性に優れる分散液が得ることができる。
また、材料としての繊維状炭素ナノ構造体としては、平均直径(Av)に対する、直径の標準偏差(σ)に3を乗じた値(3σ)の比(3σ/Av)が0.20超0.60未満の繊維状炭素ナノ構造体を用いることが好ましく、3σ/Avが0.25超の繊維状炭素ナノ構造体を用いることがより好ましく、3σ/Avが0.40超の繊維状炭素ナノ構造体を用いることが更に好ましい。3σ/Avが0.20超0.60未満の繊維状炭素ナノ構造体を使用すれば、繊維状炭素ナノ構造体の分散性に一層優れる分散液が得ることができる。
なお、「繊維状炭素ナノ構造体の平均直径(Av)」及び「繊維状炭素ナノ構造体の直径の標準偏差(σ:標本標準偏差)」は、それぞれ、透過型電子顕微鏡を用いて無作為に選択した繊維状炭素ナノ構造体100本の直径(外径)を測定して求めることができる。そして、繊維状炭素ナノ構造体の平均直径(Av)及び標準偏差(σ)は、繊維状炭素ナノ構造体の製造方法や製造条件を変更することにより調整してもよいし、異なる製法で得られた繊維状炭素ナノ構造体を複数種類組み合わせることにより調整してもよい。
そして、材料としての繊維状炭素ナノ構造体としては、前述のようにして測定した直径を横軸に、その頻度を縦軸に取ってプロットし、ガウシアンで近似した際に、正規分布を取るものが通常使用される。
更に、材料としての繊維状炭素ナノ構造体は、ラマン分光法を用いて評価した際に、Radial Breathing Mode(RBM)のピークを有することが好ましい。なお、三層以上の多層カーボンナノチューブのみからなる繊維状炭素ナノ構造体のラマンスペクトルには、RBMが存在しない。
また、材料としての繊維状炭素ナノ構造体は、G/D比が2.0以上10.0以下であることが好ましい。G/D比が2.0以上10.0以下であれば、工程(A)において効率よく酸処理をすることが可能となり、繊維状炭素ナノ構造体の分散性に一層優れる分散液が得ることができる。
更に、材料としての繊維状炭素ナノ構造体の平均直径(Av)は、0.5nm以上であることが好ましく、1nm以上であることが更に好ましく、15nm以下であることが好ましく、10nm以下であることが更に好ましい。繊維状炭素ナノ構造体の平均直径(Av)が0.5nm以上15nm以下であれば、繊維状炭素ナノ構造体の分散性に一層優れる分散液が得ることができる。
また、材料としての繊維状炭素ナノ構造体は、合成時における構造体の平均長さが100μm以上であることが好ましい。なお、合成時の構造体の長さが長いほど、分散時に繊維状炭素ナノ構造体に破断や切断等の損傷が発生し易いので、合成時の構造体の平均長さは5000μm以下であることが好ましい。さらに、得られる分散液の分散性を向上させる観点から、材料としての繊維状炭素ナノ構造体の合成時の平均長さは、1000μm以下であることがより好ましい。
そして、材料としての繊維状炭素ナノ構造体のアスペクト比(長さ/直径)は、10を超えることが好ましい。なお、繊維状炭素ナノ構造体のアスペクト比は、透過型電子顕微鏡を用いて無作為に選択した繊維状炭素ナノ構造体100本の直径及び長さを測定し、直径と長さとの比(長さ/直径)の平均値を算出することにより求めることができる。
更に、材料としての繊維状炭素ナノ構造体のBET比表面積は、800m/g以上であることが好ましく、1000m/g以上であることがより好ましく、2500m/g以下であることが好ましく、1500m/g以下であることがより好ましい。繊維状炭素ナノ構造体のBET比表面積が800m/g以上であれば、工程(A)において酸との接触面積を増やすことができ、繊維状炭素ナノ構造体の分散性に一層優れる分散液が得ることができる。また、繊維状炭素ナノ構造体のBET比表面積が2500m/g以下であれば、繊維状炭素ナノ構造体がもつ導電性、熱伝導性、強度といった特長が損なわれることを抑制できる。
ここで、上述した材料としての繊維状炭素ナノ構造体は、後述のスーパーグロース法によれば、カーボンナノチューブ成長用の触媒層を表面に有する基材上に、基材に略垂直な方向に配向した集合体(配向集合体)として得られるが、当該集合体としての、繊維状炭素ナノ構造体の質量密度は、0.002g/cm以上0.2g/cm以下であることが好ましい。質量密度が0.2g/cm以下であれば、液中での繊維状炭素ナノ構造体同士の結びつきが弱くなるので、繊維状炭素ナノ構造体分散液中で繊維状炭素ナノ構造体を均質に分散させることができる。また、質量密度が0.002g/cm以上であれば、繊維状炭素ナノ構造体の一体性を向上させ、バラけることを抑制できるため取り扱いが容易になる。
更に、材料としての繊維状炭素ナノ構造体は、複数の微小孔を有することが好ましい。繊維状炭素ナノ構造体は、中でも、孔径が2nmよりも小さいマイクロ孔を有するのが好ましく、その存在量は、下記の方法で求めたマイクロ孔容積で、好ましくは0.40mL/g以上、より好ましくは0.43mL/g以上、更に好ましくは0.45mL/g以上であり、上限としては、通常、0.65mL/g程度である。繊維状炭素ナノ構造体が上記のようなマイクロ孔を有することで、繊維状炭素ナノ構造体が更に凝集しにくくなる。なお、マイクロ孔容積は、例えば、繊維状炭素ナノ構造体の調製方法及び調製条件を適宜変更することで調整することができる。
ここで、「マイクロ孔容積(Vp)」は、繊維状炭素ナノ構造体の液体窒素温度(77K)での窒素吸脱着等温線を測定し、相対圧P/P0=0.19における窒素吸着量をVとして、式(I):Vp=(V/22414)×(M/ρ)より、算出することができる。なお、Pは吸着平衡時の測定圧力、P0は測定時の液体窒素の飽和蒸気圧であり、式(I)中、Mは吸着質(窒素)の分子量28.010、ρは吸着質(窒素)の77Kにおける密度0.808g/cmである。マイクロ孔容積は、例えば、「BELSORP(登録商標)-mini」(日本ベル(株)製)を使用して求めることができる。
上記材料としての繊維状炭素ナノ構造体は、例えば、カーボンナノチューブ製造用の触媒層を表面に有する基材上に、原料化合物及びキャリアガスを供給して、化学的気相成長法(CVD法)によりCNTを合成する際に、系内に微量の酸化剤(触媒賦活物質)を存在させることで、触媒層の触媒活性を飛躍的に向上させるという方法(スーパーグロース法;国際公開第2006/011655号参照)において、基材表面への触媒層の形成をウェットプロセスにより行うことで、効率的に製造することができる。なお、以下では、スーパーグロース法により得られるカーボンナノチューブを「SGCNT」と称することがある。
上記材料としての繊維状炭素ナノ構造体は、繊維状炭素ナノ構造体分散液中の不純物が少なくなり、特性の安定した長寿命の電子部品を作製できる観点から、繊維状炭素ナノ構造体に含まれる金属不純物の濃度が、5000ppm未満であることが好ましく、1000ppm未満であることがより好ましい。
本明細書において、金属不純物の濃度は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)、エネルギー分散型X線分析(EDAX)、気相分解装置及びICP質量分析(VPD、ICP/MS)等により測定することができる。
ここで、金属不純物とは、繊維状炭素ナノ構造体を製造する際に用いた金属触媒等が挙げられ、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、第3~13族、ランタノイド族の各属する金属元素、Si、Sb、As、Pb、Sn、Bi等の金属元素、及びこれらを含む金属化合物等が挙げられる。より具体的には、Al、Sb、As、Ba、Be、Bi、B、Cd、Ca、Cr、Co、Cu、Ga、Ge、Fe、Pb、Li、Mg、Mn、Mo、Ni、K、Na、Sr、Sn、Ti、W、V、Zn、Zr等の金属元素及びこれらを含む金属化合物が挙げられる。
上記材料としての繊維状炭素ナノ構造体は、繊維状炭素ナノ構造体分散液の分散性を一層向上させ、また、均一な炭素膜を形成し特性の安定した電子部品を作製できる観点から、粒径が500nm超の粒子状不純物が実質的に含まれないことが好ましく、粒径が300nm超の粒子状不純物が実質的に含まれないことがより好ましく、粒径が100nm超の粒子状不純物が実質的に含まれないことがさらに好ましく、粒径が45nm超の粒子状不純物が実質的に含まれないことが特に好ましい。
なお、本明細書において、粒子状不純物の濃度は、基板上に繊維状炭素ナノ構造体分散液を塗布し、表面を商品名「surfscan」KLA Tencor Corporation製等を用いて測定することができる。
なお、これらの材料としての繊維状炭素ナノ構造体についての諸属性の内、平均直径は、繊維状炭素ナノ構造体が、分散液中に含有された状態となった場合であっても、上記と同じ数値範囲を満たしていることが好ましい。
[酸化処理]
酸化処理とは、例えば、pH2以下の酸性溶液中に繊維状炭素ナノ構造体を添加して混合液を得て、繊維状炭素難構造体を酸化処理することを意味する。より具体的には、酸化処理において、混合液を所定の温度条件下で還流させることにより、混合液中の繊維状炭素ナノ構造体を酸化処理することが好ましい。酸性溶液としては、例えば、硝酸、塩酸、硫酸等が挙げられる。また、混合液を得る際の混合方法としては、任意の方法による撹拌操作を行い得る。また、混合液を得る際の撹拌時間は、0.1時間以上10時間以下とすることが好ましい。さらに、混合液を還流させる際の温度条件は、100℃以上150℃以下とすることが好ましく、還流時間は3時間以上20時間以下とすることが好ましい。
なお、酸性溶液の溶媒は、上述したような、本発明の繊維状炭素ナノ構造体分散液に含有されうる溶媒でありうるが、中でも、水が好ましい。
<工程(B)>
工程(B)では上述した工程(A)を経て得られた酸処理繊維状炭素ナノ構造体を含む混合液を分散処理して、分光吸収スペクトルにおいて、500cm-1以上600cm-1以下の波数領域に少なくとも一つの吸収ピークを有する(以下、簡潔に「所定の第2の光学特性」とも称する)繊維状炭素ナノ構造体が分散されてなる分散液を得る。かかる所定の第2の光学特性を満たす繊維状炭素ナノ構造体は、得られる分散液の分散性を向上させる観点から、500cm-1以上600cm-1以下の波数領域に吸収ピークを有することが好ましい。
[分散処理]
工程(B)では、まず、工程(A)、及び後述する任意の不純物分離処理工程を経て得られた酸処理繊維状炭素ナノ構造体を含む混合液を分散処理する。かかる分散処理においては、特に限定されることなく、超音波分散処理等の、繊維状炭素ナノ構造体を含む液の分散に使用されている既知の分散処理方法を用いることができる。
なお、かかる分散処理に際して、酸処理繊維状炭素ナノ構造体を含む混合液のpHを中性(pH6~pH8程度)に調節するために、任意の中和剤を添加しても良い。かかる中和剤としては、特に限定されることなく、pH9以上pH14以下のアルカリ性溶液、より具体的には、水酸化ナトリウム水溶液やアンモニア水溶液等が挙げられる。また、分散処理に際して、必要に応じて、酸処理繊維状炭素ナノ構造体を含む混合液に対して溶媒を添加しても良い。かかる溶媒は、上記工程(A)で用いる溶媒と、本工程で添加する溶媒とは同一であっても異なっていても良いが、同じ溶媒であることが好ましい。
そして、分散処理時間は、1時間以上30時間以内とすることが好ましい。
[遠心分離]
そして、工程(B)では、上記分散処理を経た液を、遠心分離する。かかる遠心分離により、分散処理を経た液中に含まれる複数本の繊維状炭素ナノ構造体の一部を沈殿させることができる。そして、遠心分離により、凝集性の高い繊維状炭素ナノ構造体が沈殿し、分散性に優れる繊維状炭素ナノ構造体は上澄み液中に残存する。
分散混合液の遠心分離は、特に限定されることなく、既知の遠心分離機を用いて行うことができる。
中でも、得られる上澄み液中に分散性に優れる繊維状炭素ナノ構造体を適度に残存させ、分散性に優れる繊維状炭素ナノ構造体分散液を得る観点からは、分散混合液を遠心分離する際の遠心加速度は、2000G以上であることが好ましく、5000G以上であることがより好ましく、20000G以下であることが好ましく、15000G以下であることがより好ましい。
また、得られる上澄み液中に分散性に優れる繊維状炭素ナノ構造体を適度に残存させ、分散性に優れる繊維状炭素ナノ構造体分散液を得る観点からは、分散混合液を遠心分離する際の遠心分離時間は、20分間以上であることが好ましく、30分間以上であることがより好ましく、120分間以下であることが好ましく、90分間以下であることがより好ましい。
[分取]
遠心分離の後、遠心分離により得られた上澄み液を分取することができる。そして、上澄み液の分取は、例えば、デカンテーションやピペッティング等により、沈殿層を残して上澄み液を回収することにより行うことができる。具体的には、例えば、遠心分離後の分散混合液の液面から5/6の深さまでの部分に存在する上澄み液を回収すればよい。
ここで、遠心分離後の分散混合液から分取した上澄み液は、遠心分離により沈殿しなかった繊維状炭素ナノ構造体を含んでおり、500cm-1以上600cm-1以下の波数領域に少なくとも一つの吸収ピークを有する繊維状炭素ナノ構造体が分散されてなる分散液である。
<不純物分離処理工程>
なお、上記工程(A)及び工程(B)の間に、任意で、不純物を分離する不純物分離処理工程を実施することができる。具体的には、不純物分離処理工程では、例えば、超高速遠心機等を用いた高速遠心処理;重力ろ過、クロスフローろ過、真空ろ過等を用いたフィルターろ過処理;非フラーレン炭素材料の選択的酸化;これらの組み合わせ;等の分離操作を行い得る。例えば、クロスフローろ過の場合には、膜等のろ材によりろ過装置内が一次側領域と二次側領域とに隔てられ、一次側領域から被ろ過対象である流体が流入し、かかる流体の一部が膜を通過して二次側に移行し透過液となり、膜を通過しなかった流体は一次側領域を還流し続ける。従って、繊維状炭素ナノ構造体を通過させにくく、且つ不純物の透過し易い孔径のろ材を用いてクロスフローろ過を実施することで、繊維状炭素ナノ構造体を一次側に残留させつつ、不純物を二次側に移行させることができる。
なお、任意で、不純物分離処理にあたり、本発明の分散液に含有させうる上記溶媒を、工程(A)を経て得られた酸処理繊維状炭素ナノ構造体を含む分散液に対して添加し得る。なお、上記工程(A)で用いる溶媒と、本工程で添加する溶媒とは同一であっても異なっていても良いが、同じ溶媒であることが好ましい。
(繊維状炭素ナノ構造体)
本発明の繊維状炭素ナノ構造体は、分光吸収スペクトルにおいて、500cm-1以上600cm-1以下の波数領域に少なくとも一つの吸収ピークを有するとともに、酸素原子比率が11at%以上であることを特徴とする。かかる繊維状炭素ナノ構造体を分散液の調製に用いた場合に、分散性に優れた分散液を得ることができる。そして、本発明の繊維状炭素ナノ構造体は、上述した本発明の繊維状炭素ナノ構造体分散液の製造方法に含まれる工程(A)に従って効率的に製造することができる。換言すると、本発明の繊維状炭素ナノ構造体は、上述した「材料としての繊維状炭素ナノ構造体」を、上記工程(A)に従って酸化処理して得られた酸処理繊維状炭素ナノ構造体でありうる。そして、本発明の繊維状炭素ナノ構造体は、(繊維状炭素ナノ構造体分散液)の項目にて、<分散液に含有される繊維状炭素ナノ構造体>について記載したような各種属性を満たすことが好ましい。より具体的には、本発明の繊維状炭素ナノ構造体は、カーボンナノチューブを含むことが好ましい。また、本発明の繊維状炭素ナノ構造体は、G/D比が2.0未満であることが好ましい。さらに、本発明の繊維状炭素ナノ構造体は、BET比表面積が400m/g以下であることが好ましい。
なお、上述したような繊維状炭素ナノ構造体の各種属性は、かかる繊維状炭素ナノ構造体を用いて分散液を調製した場合に、超音波分散処理等の一般的な分散処理を経ることによっては、大幅に変化しない。即ち、分散処理前の繊維状炭素ナノ構造体について測定した各種属性の値は、そのまま分散液中における繊維状炭素ナノ構造体について当てはまりうる。その逆も同様に成立しうる。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」、は、特に断らない限り、質量基準である。
実施例、比較例において、分光吸収スペクトルにおける吸収ピーク(以下、簡潔に「吸収ピーク」とも称する)の波数、各種繊維状炭素ナノ構造体のG/D比及び比表面積、酸処理繊維状炭素ナノ構造体の酸素原子比率、及び分散液の吸光度比は、それぞれ以下のようにして測定又は算出した。
<吸収ピークの波数>
実施例、比較例で用いた材料としての繊維状炭素ナノ構造体を、1質量%ドデシルベンゼンスルホン酸溶液中に投入し、チップタイプ超音波ホモジナイザー(Sonics社製、VCX500、出力200W)による超音波分散処理を10分間行い、吸収ピーク測定用分散液を調製した。得られた吸収ピーク測定用分散液をろ過して薄膜を作製した。なお、分散液に含有されていた繊維状炭素ナノ構造体については、分散液をろ過して薄膜を作製した。
得られた薄膜を、電気低効率が8000Ω・cm以上の高抵抗シリコンウェハ(Floating Zoneウェハ)の上に載置した。紫外線、可視、近赤外領域から波数4cm-1程度の領域までにおける分光吸収スペクトルを測定するために、以下の3種の測定器を用いた。
4cm-1~70cm-1:大塚電子社製、THz-TDS system TR-1000
70cm-1~8000cm-1:Bruker Optics社製、Vertex 80v
25000cm-1~5000cm-1:島津製作所製、V3100
そして、得られた分光吸収スペクトルを2次多項式でフィッティングして、吸収ピークの波数を決定した。
<G/D比>
顕微レーザラマン分光光度計(サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)製Nicolet Almega XR)を使用し、実施例、比較例で使用した材料としての繊維状炭素ナノ構造体、及び、実施例、比較例で得られた酸処理繊維状炭素ナノ構造体のラマンスペクトルを計測した。そして、得られたラマンスペクトルについて、1590cm-1近傍で観察されたGバンドピークの強度と、1340cm-1近傍で観察されたDバンドピークの強度とを求め、G/D比を算出した。
<比表面積>
JIS Z8830に準拠し、BET比表面積測定装置((株)マウンテック製、HM model-1210)を用いて、実施例、比較例で使用した材料としての繊維状炭素ナノ構造体、及び、実施例、比較例で得られた酸処理繊維状炭素ナノ構造体の比表面積を測定した。
<酸素元素比率>
実施例、比較例で工程(A)、及びその後の不純物分離処理工程を経て得られた酸処理繊維状炭素ナノ構造体を含む保持液をろ過して得たろ物を乾燥して、X線光電子分光分析装置(Thermo Fisher Scientific社製、VG Theta Probe)で分析した。O1sのピーク面積と、検出された全ピーク面積とを求め、これに基づいて繊維状炭素ナノ構造体表面を構成する全原子量に対する酸素原子(O)存在量の比(at%)(=O原子存在量/全原子量×100)を算出し、この値を酸素原子比率(at%)とした。
<吸光度比>
実施例、比較例で調製した繊維状炭素ナノ構造体分散液を、0.2μmのシリンジフィルター(ポール社製、製品名「アクロディスクシリンジフィルター」)を用いて、ろ過精製して精製済分散液を得た。実施例、比較例で調製したそのままの、即ち、ろ過精製処理をしていない繊維状炭素ナノ構造体分散液(未精製分散液)、及び精製済分散液を用いて、分光光度計(日本分光社製、商品名「V670」)により、光路長1mm、波長550nmでの吸光度をそれぞれ測定した。そして、下記式により、吸光度比を求めた。
吸光度比=(精製済分散液の吸光度)/(未精製分散液の吸光度)
(実施例1)
<繊維状炭素ナノ構造体分散液の調製>
[工程(A)]
繊維状炭素ナノ構造体としてのSGCNT(ゼオンナノテクノロジー社製、ZEONANO SG101、3σ/Av:0.58、質量密度:0.03g/cm、マイクロ孔容積:0.45mL/g)1gを、酸性溶液としての7.7MのHNO250mL中に添加して混合液とした。混合液を8時間撹拌し、さらに、125℃に昇温して12時間還流して、混合液中に含まれるSGCNTを酸化処理した。
[不純物分離処理工程]
その後、上記工程(A)を経た混合液に対して、脱イオン水1800mLを添加し、超音波照射機(本多電子製、製品名「WTC-1200-40」)を用いて40kHzで60分間超音波処理した後、0.02μmのセラミック膜を用いてクロスフローろ過を開始した。かるクロスフローろ過を、pH4.0になるまで継続し、セラミック膜を通過した液体を透過液として廃棄し、セラミック膜を通過しなかった液体を保持液として回収した。保持液を用いて、上記に従って酸処理繊維状炭素ナノ構造体の酸素元素比率を測定した。また、保持液中の酸処理繊維状炭素ナノ構造体をろ取及び乾燥して、上記に従ってG/D比及び比表面積を測定した。結果を表1に示す。
[工程(B)]
不純物分離処理工程を経て得られた、保持液に対して、中和剤として0.1%アンモニア水溶液を添加して、保持液のpHを7.1に調整した。そして、超音波照射機で2時間超音波処理を行い、分散処理した。その後、超遠心分離機(日立工機製、製品名「CP-80NX」)を用いて10000Gで20分間遠心してから、上澄み液を回収した。即ち、遠心分離により得られた上澄み液を分取する処理を行った。かかる、遠心分離~分取までの処理を1サイクルとして、各サイクルにて分取した上澄み液を次のサイクルの遠心分離に供し、これを4サイクル繰り返した。4サイクル目で分取した上澄み液を、繊維状炭素ナノ構造体分散液とした。得られた繊維状炭素ナノ構造体分散液は100mLであった。
得られた繊維状炭素ナノ構造体分散液における、溶媒1Lに対する繊維状炭素ナノ構造体の含有量は、1000mgであり、金属不純物の濃度は、1.1×1014原子/cm未満であり、JIS Z8803に準拠して測定した、温度25℃、せん断速度152s-1における粘度は1.1mPa・sであり、光路長:1mm、波長:550nmにおける吸光度は0.7であった。また、得られた繊維状炭素ナノ構造体分散液を用いて、上記に従って、吸収ピーク及び吸光度比を測定又は算出した。結果を表1に示す。
(実施例2)
繊維状炭素ナノ構造体として、実施例1とは別の製造ロットで製造されたSGCNT(ゼオンナノテクノロジー社製、ZEONANO SG101)を用いた以外は、実施例1と同様にして繊維状炭素ナノ構造体分散液を得た。また、実施例1と同様に各種測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
<繊維状炭素ナノ構造体の合成>
特許第4621896号公報に記載のスーパーグロース法に従い、以下の条件において、繊維状炭素ナノ構造体としてのSGCNTを合成した。得られたSGCNTについて、上記に従って吸収ピークの波数を測定した。結果を表1に示す。
・原料炭素化合物:エチレン;供給速度50sccm
・雰囲気:ヘリウム/水素混合ガス;供給速度1000sccm
・圧力:1大気圧
・水蒸気添加量:300ppm
・反応温度:750℃
・反応時間:10分
・金属触媒:鉄薄膜(厚さ3nm)
・基材:シリコンウェハ
<繊維状炭素ナノ構造体分散液の調製>
繊維状炭素ナノ構造体として、上述のようにして合成したSGCNTを用いた以外は、実施例1と同様にして繊維状炭素ナノ構造体分散液を得た。また、実施例1と同様に各種測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
繊維状炭素ナノ構造体を、アークプラズマジェット法に従って合成されたCNT(名城ナノカーボン社製、「APJ」)を用いた以外は、実施例1と同様にして繊維状炭素ナノ構造体分散液を得た。また、実施例1と同様に各種測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 0007078038000001
表1に示されるように、酸処理CNTの吸収ピークが500cm-1以上600cm-1以下の波数領域内にある実施例1~2の繊維状炭素ナノ構造体分散液は、吸光度比が高く、分散性に優れていたことが分かる。一方、材料CNTの吸収ピーク及び酸処理CNTの吸収ピークが共に実施例1~2よりも高い波数であった比較例1は、使用したCNTの長さが実施例よりも短かったと想定されるが、分散性に劣っていた。また、材料CNTの吸収ピーク及び酸処理CNTの吸収ピークが共に実施例よりも低い波数であった比較例2は、使用したCNTの長さが実施例1~2よりも長かったと想定されるが、分散性に劣っていた。
本発明によれば、繊維状炭素ナノ構造体の分散性に優れる繊維状炭素ナノ構造体分散液を提供することができる。
また、本発明によれば、分散液の調製に用いた場合に、得られる分散液の分散性を向上させうる繊維状炭素ナノ構造体を提供することができる。

Claims (7)

  1. 分光吸収スペクトルにおいて、500cm-1以上600cm-1以下の波数領域に少なくとも一つの吸収ピークを有する繊維状炭素ナノ構造体と、溶媒とを含み、
    前記繊維状炭素ナノ構造体はカーボンナノチューブを含み、
    前記カーボンナノチューブを含む前記繊維状炭素ナノ構造体は、比表面積が400m /g以下である、
    繊維状炭素ナノ構造体分散液。
  2. 前記繊維状炭素ナノ構造体の酸素原子比率が11at%以上である、請求項1に記載の繊維状炭素ナノ構造体分散液。
  3. 記カーボンナノチューブを含む前記繊維状炭素ナノ構造体は、G/D比が2.0未満である、請求項1又は2に記載の繊維状炭素ナノ構造体分散液。
  4. 分光吸収スペクトルにおいて、200cm-1以上300cm-1以下の波数領域に少なくとも一つの吸収ピークを有する繊維状炭素ナノ構造体を酸化処理する工程(A)と、
    前記工程(A)を経て得られた酸処理繊維状炭素ナノ構造体を含む混合液を分散処理して、分光吸収スペクトルにおいて、500cm-1以上600cm-1以下の波数領域に少なくとも一つの吸収ピークを有する繊維状炭素ナノ構造体が分散されてなる分散液を得る工程(B)と、
    を含む繊維状炭素ナノ構造体分散液の製造方法。
  5. 前記工程(A)を経て得られた前記酸処理繊維状炭素ナノ構造体の酸素原子比率が11at%以上である、請求項に記載の繊維状炭素ナノ構造体分散液の製造方法。
  6. 分光吸収スペクトルにおいて、500cm-1以上600cm-1以下の波数領域に少なくとも一つの吸収ピークを有するとともに、酸素原子比率が11at%以上であり、
    カーボンナノチューブを含み、さらに、
    比表面積が400m /g以下である、
    繊維状炭素ナノ構造体。
  7. /D比が2.0未満である、請求項に記載の繊維状炭素ナノ構造体。
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