JP7120019B2 - ポリエステル樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents
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Description
(1)アンチモン元素を含有し、下記式(I)~(IV)、(VII)を満たし、窒素及び硫黄、ハロゲンより選ばれる元素の総含有量(ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対する重量比)が10ppm未満であることを特徴とするポリエチレンテレフタレート樹脂組成物。
ΔCOOH/COOH≦2.0 (II)
5ppm≦Mn含有量(ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対する重量比)≦40ppm (III)
4ppm≦Na含有量(ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対する重量比)≦40ppm (IV)
17ppm≦P含有量(ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対する重量比)≦50ppm (VII)
ここで、ΔCOOHとは、飽和水蒸気下で155℃、4時間湿熱処理した際のCOOH末端基増加量(当量/トン)であり、COOHとは、湿熱処理前のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物中のカルボキシル末端基量(当量/トン)である。
線状オリゴマー発生量とは、温度23℃、湿度50%の環境下に24時間以上静置したポリエチレンテレフタレート樹脂を窒素下、290℃で20分間処理した際の線状オリゴマー増加量である。
(2)ナトリウム元素とリン元素の含有量のモル比であるNa/Pが0.3以上1.2以下であることを特徴とする(1)記載のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物。
(3)ゲル化率が7wt%以下であることを特徴とする(1)~(2)のいずれに記載のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物。
(4)(1)のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物からなるポリエチレンテレフタレートフィルム。
(5)(1)のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物からなる層を少なくとも1層有する積層ポリエチレンテレフタレートフィルム。
(6)(1)のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物からなる層を少なくとも片表面に有する積層ポリエチレンテレフタレートフィルム。
(7)(1)のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物からなる離型用ポリエチレンテレフタレートフィルム。
(8)ジカルボン酸成分またはそのエステル形成誘導体成分と、ジオール成分とをエステル化反応またはエステル交換反応し、次いで重縮合反応してポリエチレンテレフタレートを製造するに際して、ポリエチレンテレフタレートのIV(固有粘度)が0.4以下の段階で、マンガン化合物及びアンチモン化合物を添加し、かつ重縮合反応終了までの段階でリン酸とリン酸アルカリ金属塩を添加することを特徴とする請求項1記載のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法。
(9)リン酸アルカリ金属塩がリン酸ナトリウム塩であることを特徴とする(8)記載のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法。
本発明に用いられるポリエステル樹脂とは、ジカルボン酸成分とジオール成分を重縮合して得られるポリエステル樹脂を指す。
なお、本発明の効果の範囲を損なわない程度に、他のジカルボン酸成分やヒドロキシカルボン酸誘導体、ジオール成分が共重合されていてもよい。
5ppm≦Mn含有量≦40ppm (III)
下限として好ましくは10ppm以上である。また、上限として好ましくは30ppm以下である。上記下限以上とすることで、溶融成形時に発生するゲル組成物を抑制できるため成形体の欠点を抑制できる。また、マンガン元素はフィルム延伸工程などのポリエステル融点以下の比較的低い温度での加熱処理においても触媒活性が高いためにポリエステルの熱分解や酸化分解、加水分解に寄与する。したがって、上記上限以下のマンガン元素量を満たすことで、加工工程における線状オリゴマー発生量を低減することが可能となる。
4ppm≦Na含有量≦40ppm (IV)
下限として好ましくは10ppm以上である。また上限として好ましくは30ppm以下である。上記範囲とすることで、耐加水分解性が良好となり、加水分解に起因する線状オリゴマー発生を抑制できる。上記範囲から外れる場合、ポリエステル樹脂組成物の耐加水分解性が悪化する。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、ジカルボン酸成分またはそのエステル形成誘導体成分と、ジオール成分とをエステル化反応またはエステル交換反応し、次いで重縮合反応してポリエステルを製造するに際して、ポリエステルのIV(固有粘度)が0.4以下の段階で、マンガン化合物を添加し、かつ重縮合反応終了までの段階でリン化合物とリン酸アルカリ金属塩を添加し、かつその含有量(ポリエステル樹脂組成物に対する重量比)が下記式(V)、(VI)を満たすことで得ることができる。
5ppm≦Mn含有量≦40ppm (V)
4ppm≦アルカリ金属元素含有量≦40ppm (VI)
本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法において、マンガン化合物はポリエステル樹脂のIV(固有粘度)が0.4以下の段階で添加することが必要である。上記範囲に添加することで、重合反応性が良好となり、またポリエステル樹脂への分散性も良好となるため、透明性が高まる。その中でも、エステル交換反応にてポリエステルオリゴマーを得る場合は、反応をより効率的に進行させるため、エステル交換反応開始時にマンガン化合物を添加することが好ましい。また、エステル化反応にてポリエステルオリゴマーを得る場合には、エステル化反応終了時からポリエステル樹脂のIVが0.4以下の段階でマンガン化合物を添加することが好ましく、エステル化反応終了時から、重縮合反応開始までに添加することがより好ましい。エステル化反応は、テレフタル酸などの酸成分による自己触媒反応により、無触媒でも十分に反応は進行し、触媒を含有しているとジオール成分の2量体などの副生成物が増加することから、無触媒で実施し、ポリエステルの粘度が上昇する前に添加することで、耐熱性を損なうことなく、マンガン化合物の分散性が向上し高透明性を発現することが可能となる。
5ppm≦Mn含有量≦40ppm (VII)
下限として好ましくは10ppm以上である。また、上限として好ましくは30ppm以下である。上記下限以上とすることで、溶融成形時に発生するゲル組成物を抑制できるため成形体の欠点を抑制できる。また、マンガン元素はフィルム延伸工程などのポリエステル融点以下の比較的低い温度での加熱処理においても触媒活性が高いためにポリエステル樹脂の熱分解や酸化分解、加水分解に寄与する。したがって、上記上限以下のマンガン元素量を満たすことで、加工工程における線状オリゴマー発生量を低減することが可能となる。
また、添加する際の形態は粉体、スラリー、溶液のいずれでもよく、分散性の点から、溶液として添加することが好ましい。このときの溶媒は、ポリエステル樹脂組成物のジオール成分と同一にすることが好ましく、ポリエチレンテレフタレートの場合はエチレングリコールを用いることが特に好ましい。
リン化合物の添加量には特に制限を設けないが、添加量の下限としては、リン酸として25ppm以上であることが好ましく、より好ましくは45ppm以上である。添加量の上限としては、200ppm以下であることが好ましく、より好ましくは150ppm以下である。上記範囲にすることで、重合の遅延を起こすことがなく、ポリエステル樹脂組成物の熱安定性を良好にすることができる。なお、リン酸は通常の場合、水溶液として入手できるため、前記添加量は水溶液の濃度から換算したリン酸成分正味の添加量である。
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレートが仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸とエチレングリコール(テレフタル酸に対し1.15倍モル)のスラリーをスネークポンプにて徐々に添加し、エステル化反応を進行させる。反応系内の温度は245~255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了とする。
また、実施例9、12は参考例と読み替える。
ポリエステル樹脂組成物0.1gを0.001g以内の精度で秤量し、10mlのo-クロロフェノールを用いて100℃×30分間加熱して溶解した。溶液を室温まで冷却し、25℃の水槽中に設置したオストワルド粘度計に該溶液を8ml仕込み、標線を通過する秒数を計測した(A秒)。
また、o-クロロフェノールのみ8ml用いて前記と同様に25℃の水槽中に設置したオストワルド粘度計で標線を通過する秒数を計測した(B秒)。
ここでKは0.343,Cは試料溶液の濃度(g/100ml)である。
Mauriceの方法に準じて測定した。(文献 M.J.Maurice,F.Huizinga,Anal.Chem.Acta、22、363(1960)) 。
すなわち、ポリエステル樹脂組成物0.5gを0.001g以内の精度で秤量する。該試料にo-クレゾール/クロロホルムを7/3の質量比で混合した溶媒50mlを加え、加熱して内温が90℃になってから20分間加熱攪拌して溶解する。また混合溶媒のみもブランク液として同様に別途加熱する。溶液を室温に冷却し、1/50Nの水酸化カリウムのメタノール溶液で電位差滴定装置を用いて滴定をおこなう。また、混合溶媒のみのブランク液についても同様に滴定を実施する。
ポリエステル樹脂組成物のCOOH末端基量は、以下の式により計算した。
COOH末端基量(当量/トン)={(V1-V0)×N×f}×1000/S
ここでV1は試料溶液での滴定液量(mL)、V0はブランク液での滴定液量(mL)、
Nは滴定液の規定度(N)、fは滴定液のファクター、Sはポリエステル樹脂組成物の質量(g)である。
原子吸光法((株)日立製作所製:偏光ゼーマン原子吸光光度型180-80、フレーム:アセチレン空気)にて定量を行った。
ポリエステル樹脂組成物を凍結粉砕し、室温で3時間減圧乾燥した。その後、ICP発光分光分析法(三菱化学(株)製ND-100型)にて定量を行った。
ポリエステル樹脂組成物を凍結粉砕し、室温で3時間減圧乾燥した。その後、燃焼イオンクロマトグラフ(東亜DKK(株)製ICA2000)により定量を行った。このとき、5ppm未満は検出下限以下(ND)とした。
ポリステル樹脂組成物を凍結粉砕機(Sprex CertiPerp社製)にて粉砕し、容量50mlのステンレスビーカーに0.5g秤量した。真空乾燥機を用いて、50℃で2時間真空乾燥した後、酸素濃度1%の窒素ガス流通下(流量0.5L/分)、300℃で6時間加熱処理を行った。これを、20mlのo-クロロフェノールで、160℃で1時間溶解し、放冷した。この溶液を、ガラスフィルター(柴田科学(株)製、3GP40)を使用してろ過し、ジクロロメタンにてガラスフィルターを洗浄した。ガラスフィルターを130℃で2時間乾燥し、ろ過前後のろ過器の重量の増加分より、ポリエステル重量(0.5g)に対する重量分率を求め、ゲル化率(%)とした。
ポリエステル樹脂組成物を飽和水蒸気下、155℃で4時間湿熱処理し、処理前後のCOOH末端基量を測定することで、COOH末端基増加量(ΔCOOH=処理後COOH-処理前COOH)を算出した。このΔCOOHの値を処理前のCOOH末端基量で割ることで耐加水分解性を評価した。
なお、処理装置は次の加熱処理装置を使用した。
PRESSER COOKER 306SIII(HIRAYAMA製作所(株)製) 。
温度23℃、湿度50%の環境下に24時間以上静置したポリエステル樹脂組成物(水分率2500ppm)を0.1g計量し、これを入れた封管内を窒素雰囲気下とし、290℃で20分溶融処理を行った。溶融処理した封管内の試料を2mLのHFIP(ヘキサフルオロ-2-プロパノール)/クロロホルム=1/1(体積)混合溶液で溶解させた後、ビーカーに移し、クロロホルム3mLを添加し、さらにメタノール40mLを徐々に加えた。その後、ペーパーフィルター(ADVANTEC製No.2)でろ過して得られた溶液を濃縮乾固させて得られた残渣にDMF(N,N-ジメチルホルムアミド)0.5mLを加えて溶解・分散させ、エタノールを加えて5mLに定容した。孔径0.45μmのPTFEメンブレンフィルターでろ過した溶液を試料溶液とした。得られた試料溶液を、LC/UVで分析することにより、溶融処理後のポリエステル樹脂組成物中の線状オリゴマー(TPA、MHET、BHET)の含有量を測定した。この時、溶融処理前後の線状オリゴマー含有量の差(溶融処理後含有量-溶融処理前含有量)を算出することで、線状オリゴマー発生量を求めた。
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245~255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了とした。
マンガン化合物及びリン酸の添加量を表1の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表1に示す。
実施例2~5にて得られたポリエステル樹脂組成物は、ゲル化率および耐加水分解性が良好であり、線状オリゴマー発生量も少ないことから、光学フィルムや離型フィルムに好適な物性を有していた。
比較例1で得られたポリエステル樹脂組成物は、マンガン化合物を添加していないため、ゲル化率・ΔCOOH/COOHが増加した。
比較例2~3で得られたポリエステル樹脂組成物は、マンガン化合物の添加量が多いため、ΔCOOH/COOH及び線状オリゴマー発生量が増加した。
リン酸アルカリ金属塩の添加量を表2の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表2に示す。
実施例6~9で得られたポリエステル樹脂組成物は、ゲル化率および耐加水分解性が良好であり、線状オリゴマー発生量も少ないことから、光学フィルムや離型フィルムに好適な物性を有していた。
比較例4で得られたポリエステル樹脂組成物は、リン酸アルカリ金属塩を添加していないため、ΔCOOH/COOH及び線状オリゴマー発生量が増加した。
比較例5で得られたポリエステル樹脂組成物は、リン酸アルカリ金属塩の添加量が多いため、ΔCOOH/COOHが増加した。
リン酸の添加量を表3の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表3に示す。
実施例10~12で得られたポリエステル樹脂組成物は、ゲル化率および耐加水分解性が良好であり、線状オリゴマー発生量も少ないことから、光学フィルムや離型フィルムに好適な物性を有していた。
比較例6にて得られたポリエステル樹脂組成物は、リン酸を添加していないため、ΔCOOH/COOH及び線状オリゴマー発生量が増加した。
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245~255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了とした。
テレフタル酸ジメチル101.0重量部、エチレングリコール64.6重量部(ジカルボン酸成分の2倍モル)の割合でそれぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込んだ。内容物を150℃で溶解した後、酢酸マンガン4水和物0.018重量部のエチレングリコール溶液(マンガン元素として40ppm)、三酸化二アンチモンを0.012重量部のエチレングリコールスラリー添加し撹拌した。240℃まで昇温しながらメタノールを留出させ、所定量のメタノールが留出した後、リン酸0.006重量部とリン酸2水素ナトリウム2水和物0.0095重量部(ナトリウム元素として14ppm)の混合エチレングリコール溶液を添加し、エステル交換反応を終了した。
その後、反応物を重合装置に移送し、次いで重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.62相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水中にストランド状に吐出、カッティングし、ポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表4に示す。
実施例1と同様にエステル反応を進め、こうして得られた255℃のエステル化反応物105重量部(PET100重量部相当)を重合装置に移送し、酢酸マンガン4水和物0.01重量部のエチレングリコール溶液(マンガン元素として23ppm)、三酸化二アンチモン0.012重量部のエチレングリコールスラリーを添加した。その後、エチレングリコール5重量部(テレフタル成分対比0.15倍モル)を追加添加して解重合を進め、次いでリン酸0.006重量部とリン酸2水素ナトリウム2水和物0.0095重量部(ナトリウム元素として14ppm)の混合エチレングリコール溶液を添加した。その後、テトラブチルアンモニウムメタンスルホネート0.01重量部を添加した。
その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.62相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水中にストランド状に吐出、カッティングし、ポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表4に示す。
実施例15では窒素元素、硫黄元素が合計9ppm弱含まれており、実施例1と比較してゲル化率、線状オリゴマー発生量が増加していた。
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245~255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了とした。
リン化合物をトリメチルリン酸からエチルジエチルホスホノアセテートへ変更し、その添加量を0.0137重量部とする以外は実施例16と同様の方法で重合し、ポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表4に示す。
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245~255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了とした。
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245~255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了とした。
比較例8で得られたポリエステル樹脂組成物は、マンガン元素及び窒素元素、硫黄元素を多量に含有していることから、ゲル化率およびΔCOOH/COOHが増加し、線状オリゴマー発生量が増加した。
Claims (9)
- アンチモン元素を含有し、下記式(I)~(IV)、(VII)を満たし、窒素及び硫黄、ハロゲンより選ばれる元素の総含有量(ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対する重量比)が10ppm未満であり、リン酸及びリン酸アルカリ金属塩を用いてなることを特徴とするポリエチレンテレフタレート樹脂組成物。
線状オリゴマー発生量(ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対する重量比)<900ppm (I)
ΔCOOH/COOH≦2.0 (II)
5ppm≦Mn含有量(ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対する重量比)≦40ppm (III)
4ppm≦Na含有量(ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対する重量比)≦40ppm (IV)
17ppm≦P含有量(ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対する重量比)≦50ppm (VII)
ここで、ΔCOOHとは、飽和水蒸気下で155℃、4時間湿熱処理した際のCOOH末端基増加量(当量/トン)であり、COOHとは、湿熱処理前のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物中のカルボキシル末端基量(当量/トン)である。
線状オリゴマー発生量とは、温度23℃、湿度50%の環境下に24時間以上静置したポリエチレンテレフタレート樹脂を窒素下、290℃で20分間処理した際の線状オリゴマー増加量である。 - ナトリウム元素とリン元素の含有量のモル比であるNa/Pが0.3以上1.2以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物。
- ゲル化率が7wt%以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物。
- 請求項1のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物からなるポリエチレンテレフタレートフィルム。
- 請求項1のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物からなる層を少なくとも1層有する積層ポリエチレンテレフタレートフィルム。
- 請求項1のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物からなる層を少なくとも片表面に有する積層ポリエチレンテレフタレートフィルム。
- 請求項1のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物からなる離型用ポリエチレンテレフタレートフィルム。
- ジカルボン酸成分またはそのエステル形成誘導体成分と、ジオール成分とをエステル化反応またはエステル交換反応し、次いで重縮合反応してポリエチレンテレフタレートを製造するに際して、ポリエチレンテレフタレートのIV(固有粘度)が0.4以下の段階で、マンガン化合物及びアンチモン化合物を添加し、かつ重縮合反応終了までの段階でリン酸とリン酸アルカリ金属塩を添加することを特徴とする請求項1記載のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法。
- リン酸アルカリ金属塩がリン酸ナトリウム塩であることを特徴とする請求項8記載のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法。
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