JP2018058939A - ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐加水分解性と耐候性、さらに色調が良好であり、溶融成形時のブリードアウトを抑制したポリエステル樹脂組成物の提供。【解決手段】紫外線吸収剤を共重合し、かつ下記式(I)を満たすことを特徴とするポリエステル樹脂組成物。ΔCOOH/COOH≦3.0(I)(ΔCOOH:155℃100%RH、4時間湿熱処理した際のCOOH末端基増加量)紫外線吸収剤がアルキルヒドロキシル基、カルボキシル基、アルキルエステル基より選ばれる官能基を2つ以上有することを特徴とするポリエステル樹脂組成物。紫外線吸収剤がアルキルヒドロキシル基、カルボキシル基、アルキルエステル基より選ばれる官能基2つ以上有するポリエステル樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、耐加水分解性や耐候性、さらに色調が良好であり、溶融成形時のブリードアウトを抑制したポリエステル樹脂組成物に関するものである。
ポリエステルは機械特性、熱特性、耐薬品性、電気特性、成形性に優れ、様々な用途に用いられている。ポリエステルの中でも、特にポリエチレンテレフタレート(PET)は、透明性や加工性に優れていることから、光学用フィルムなど高品位性が求められる用途に幅広く使われている。しかし、ポリエステルは加水分解による機械物性の低下が進行するため、様々な検討がなされてきた。また、太陽電池用フィルム等の屋外にて長時間される用途においては、耐加水分解性に加え、高い耐候性が要求される。
特許文献1には、耐加水分解性を付与するため、リン酸アルカリ金属塩を添加する技術が開示されている。しかしながら、リン酸アルカリ金属塩による耐加水分解性の付与だけでは、長期にわたって屋外にて使用した場合、耐候性が不足しており、黄変するという課題があった。
また、引用文献2にも開示されているように、ポリエステルに耐候性を付与する方法として、紫外線吸収剤を添加することは一般的である。通常、紫外線吸収剤を添加する場合、混練機などで溶融ポリマーに練りこみ使用するが、成型時にブリードアウトしてしまうため、製膜機の汚染や表面汚染が起こり他部材との接着性が低下するなどの問題が生じる。
WO2010−103945号公報 特開2009−188105号公報
本発明の課題は、上記した従来の課題を解決し、耐加水分解性や耐候性、さらに色調が良好であり、溶融成形時のブリードアウトを抑制したポリエステル樹脂組成物を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明は以下の特徴を有するものである。
(1)紫外線吸収剤を共重合し、かつ下記式(I)を満たすことを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
ΔCOOH/COOH≦3.0 (I)
(ΔCOOH:155℃100%RH、4時間湿熱処理した際のCOOH末端基増加量)
本発明によれば、耐加水分解性や耐候性、さらに色調が良好であり、溶融成形時のブリードアウトを抑制したポリエステル樹脂組成物を提供できる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明におけるポリエステル樹脂組成物とは、ジカルボン酸成分とジオール成分を重縮合して得られるポリエステル樹脂を指す。
本発明におけるジカルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸、鎖状脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸など種々のジカルボン酸成分を用いることができる。その中でも、ポリエステル樹脂組成物の機械的特性、耐熱性、耐加水分解性の観点から、芳香族ジカルボン酸であることが好ましい。特には、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸が重合性、機械的特性から好ましい。さらに、機械特性および成形性の点から、全ジカルボン酸成分の85mol%以上がテレフタル酸であることが好ましい。
本発明におけるジオール成分としては、各種ジオールを用いることができる。例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジオール、脂環式ジオールとしてはシクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジエタノール、デカヒドロナフタレンジメタノール、デカヒドロナフタレンジエタノール、ノルボルナンジメタノール、ノルボルナンジエタノール、トリシクロデカンジメタノール、トリシクロデカンエタノール、テトラシクロドデカンジメタノール、テトラシクロドデカンジエタノール、デカリンジメタノール、デカリンジエタノールなどの飽和脂環式1級ジオール、2,6−ジヒドロキシ−9−オキサビシクロ[3,3,1]ノナン、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(スピログリコール)、5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサン、イソソルビドなどの環状エーテルを含む飽和ヘテロ環1級ジオール、その他シクロヘキサンジオール、ビシクロヘキシル−4,4’−ジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシルプロパン)、2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル)プロパン、シクロペンタンジオール、3−メチル−1,2−シクロペンタジオール、4−シクロペンテン−1,3−ジオール、アダマンジオールなどの各種脂環式ジオールや、ビスフェノールA、ビスフェノールS,スチレングリコール、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどの芳香環式ジオールが例示できる。またジオール以外にもトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの多官能アルコールも用いることができる。
この中で、反応系外に留出させやすいことから、沸点230℃以下のジオールであることが好ましく、低コストであり反応性が高いことから、脂肪族ジオールがより好ましい。さらに、機械的特性の観点からエチレングリコールが特に好ましい。
なお、本発明の効果の範囲を損なわない程度に、他のジカルボン酸やヒドロキシカルボン酸誘導体、ジオールが共重合されていてもよい。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、紫外線吸収剤を共重合していることが必要である。紫外線吸収剤とは、紫外線領域である400nm以下の吸収波長を有する化合物であり、紫外線吸収剤を含有していることで樹脂に耐候性を付与することができる。紫外線吸収能を発現する骨格として、ベンゾトリアゾール骨格やトリアジン骨格、スチレン骨格など共役二重結合を有している骨格を有していることが好ましく、耐熱性や耐加水分解性、色調の点から、スチレン骨格を有していることが好ましい。
さらに上記紫外線吸収剤は、アルキルヒドロキシル基、カルボキシル基、アルキルエステル基より選ばれる官能基を分子内に有するものであり、さらに2つ以上の官能基を有していることが好ましい。上記官能基とは、ポリエステルとエステル交換反応可能な官能基であり、特にメチルエステル基やエチルエステル基といったアルキルエステル基を有する紫外線吸収剤が反応性の点から好ましい。ポリエステルとエステル交換可能な官能基を有していることが、本発明において最も重要であり、この官能基を有していることでポリエステル鎖内に共重合することが可能となり、成型時のブリードアウトを抑制できる。文献(ハート有機化学(2002年三訂版発行)236頁)にも記載がある通り、一般的にフェノール基のようなベンゼン環に直結しているヒドロキシル基は、アルキルヒドロキシル基とは異なり、置換反応が極めて進行しにくい。従って、本発明においては、ポリエステルとエステル交換反応可能な官能基として、フェノール基は含めていない。官能基数の上限としては、特に制限しないが、4つ以下であることが好ましい。特に好ましくは、2つの官能基を有していることが反応性の点から好ましい。官能基数が上記範囲であることで、重合の頭打ちや架橋によるゲル化が起こることなく、良好なポリエステル樹脂組成物を得ることが可能となる。さらに、反応性が良好であるため、ポリエステル樹脂組成物中のCOOH末端基の増加を抑制することができ、良好な耐加水分解性を得ることが可能となる。
紫外線吸収剤をポリエステル中に共重合する方法としては、エステル交換反応またはエステル化反応を経て重縮合反応をする過程において、重縮合反応が終了するまでの間に添加することが好ましい。さらに好ましくは、エステル交換反応またはエステル化反応工程にて添加する。上記工程にて官能基を有する紫外線吸収剤を添加することで、ポリエステル鎖と紫外線吸収剤の反応性が良好となり、成型時のブリードアウトが抑制できる。紫外線吸収剤を添加する手法として、溶融混練や紡糸機や製膜機へ樹脂と供にブレンドし添加する方法が一般的であるが、この手法では官能基を有した紫外線吸収剤でも十分に反応することができず、ブリードアウト抑制が十分ではない。
紫外線吸収剤の共重合量は、ポリエステル中の全ジカルボン酸成分に対し、0.05mol%以上10.0mol%以下であることが好ましい。下限としてより好ましくは、0.2mol%以上である。上限としてより好ましくは5.0mol%以下、さらに好ましくは3.0mol%以下である。上記範囲とすることで、耐加水分解性や色調の低下を引き起こすことなく、耐候性が良好なポリエステル樹脂組成物を得ることが可能となる。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、下記式(I)を満たすことが必要である。
ΔCOOH/COOH≦3.0 (I)
ここで、COOHとは、ポリエステル樹脂組成物中のCOOH末端基量(eq/ton)であり、ΔCOOHとは湿熱処理(155℃100%RH、4時間)した際のCOOH末端基増加量である。本指標が低いほど、耐加水分解性が良好となる。本発明のポリエステル樹脂組成物は、このΔCOOH/COOHが3.0以下であることが必要であり、より好ましくは2.7以下、さらに好ましくは2.5以下である。上記範囲を満たすことで、長期耐加水分解性が求められる太陽電池用途等に供しても問題のない耐加水分解性を発揮できる。本発明において、反応性が良好である紫外線吸収剤を共重合することにより、良好な耐加水分解性を発現している。紫外線吸収剤を添加する手法として、溶融混練にて混合する手法が一般的であるが、この手法では溶融混練にて熱分解が起こるため、COOH末端基量が増加し、耐加水分解性が低下する。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、カラーメーターにて測定したL値が40以上であることが好ましい。より好ましくは45以上であり、さらに好ましくは55以上である。上限は特にないが、90以下であることが好ましい。上記範囲を満たすことで、成形品の外観を損なうことのない良好な色調を有するポリエステル樹脂組成物となる。上記範囲を満たすためには、紫外線吸収剤がトリアジン骨格及びスチレン骨格であることが好ましく、スチレン骨格であることがより好ましい。
また、本発明のポリエステル樹脂組成物は、カラーメーターにて測定したb値が40以下であることが好ましい。より好ましくは35以下であり、さらに好ましくは30以下である。下限は特に制限しないが、b値がマイナスの値となると、青味が強くなるため、0以上であることがより好ましい。上記範囲を満たすことで、成形品の外観を損なうことのない良好な色調を有するポリエステル樹脂組成物となる。上記範囲を満たすためには、紫外線吸収剤の共重合量がポリエステル中の全カルボン酸成分に対し、10.0mol%以下であることが好ましい。また、紫外線吸収剤がスチレン骨格を有していることで、より良好な色調のポリエステル樹脂組成物となる。
さらに、本発明のポリエステル樹脂組成物は、上記L値とb値を同時に満たしていることが好ましい。カラーメーターでの色調測定においては、L値が低下するとb値も見かけ低下するが、これではただ暗い色のポリマーであり、良好な色調とは言えない。したがって、L値とb値ともに上記範囲を満たすことが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、メタルハライドランプを用いて、295〜450nmの紫外線を100mWで48時間照射した際のΔb値が15以下であることが好ましい。より好ましくは10以下であり、さらに好ましくは5以下である。このΔb値は、耐候性の指標であり、小さいほど良好な耐候性を示している。上記範囲を満たすことで、太陽電池用途等に好適な耐候性を有したポリエステル樹脂組成物となる。上記範囲を満たすためには、紫外線吸収剤の共重合量をポリエステル中の全カルボン酸成分に対し、0.05mol%であることが好ましい。
また、本発明のポリエステル樹脂組成物は、厚み100μmのプレスシートに成型し、85℃で100時間加熱処理した際に表面に析出する1μm以上の析出物の個数が1000μm2辺り10個未満であることが好ましい。より好ましくは5個未満であり、さらに好ましくは2個未満である。本指標は紫外線吸収剤の耐ブリードアウト性を評価するものであり、この値が小さいほど、ブリードアウトが抑制できている。本発明では、紫外線吸収剤を共重合していることで、樹脂表面へブリードアウトすることを抑制している。
また、本発明のポリエステル樹脂組成物は、300℃における重量減少率が0.4%以下であることが好ましい。より好ましくは0.25%以下である。上記範囲を満たすことで、ブリードアウトが抑制できるポリエステル樹脂組成物となる。本発明では、ポリエステルと反応可能な官能基を有している反応性良好な紫外線吸収剤をエステル交換反応またはエステル化反応、および重合反応において添加し、十分にポリエステル中に共重合させることで重量減少率を低下させている。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、共重合しているという確認を融点降下にて判断している。ポリエステル中での共重合量1mol%に対し、約2℃の融点降下が生じる。本発明のポリエステル樹脂組成物においては、全カルボン酸成分の85mol%以上がテレフタル酸であることが好ましい。したがって、本発明のポリエステル樹脂組成物は、融点Tmが230℃以上、256℃未満であることが好ましい。上記範囲を満たすことで、成形性や熱安定性を損なうことがない。
以下、本発明におけるポリエステル樹脂組成物の製造方法の具体例を挙げるが、これに制限されない。
テレフタル酸ジメチル、エチレングリコール、紫外線吸収剤をエステル交換反応容器へ仕込む。この際、エチレングリコールの仕込み量を全ジカルボン酸成分に対して1.7〜2.3倍モル添加することで、反応性が良好になる。これらを150℃程度で溶融後、触媒として酢酸マンガン4水和物、三酸化二アンチモンを添加し撹拌する。ついで、240℃まで徐々に昇温しながらメタノールを留出させ、エステル交換反応を実施する。エステル交換反応後、リン酸およびリン酸2水素ナトリウム2水和物を加え、エステル交換触媒を失活させる。
その後、反応物を重合装置に仕込み、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させる。所定の撹拌トルクに到達した段階で反応を終了とし、反応系内を窒素ガスで常圧にし、溶融ポリマーを冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ポリエステル樹脂組成物を得る。
本発明のポリエステル組成物の製造に用いられる触媒は公知のエステル交換触媒、重縮合触媒、助触媒を用いることができる。例えば、重合触媒としてはアンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物、アルミニウム化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、エステル交換触媒及び助触媒としては、マンガン化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物、コバルト化合物、亜鉛化合物、リチウム化合物、ナトリウム化合物、カリウム化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また本発明のポリエステル樹脂組成物の製造において、耐加水分解性を付与するため、リン化合物を含有していることが好ましい。リン化合物は特に限定しないが、リン酸やリン酸エステル、亜リン酸、リン酸金属塩などが挙げられる。特に、リン酸とリン酸アルカリ金属塩が好ましく、この2つを併用していることがさらに好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、末端封鎖剤、酸化防止剤、難燃剤、蛍光増白剤、艶消剤、可塑剤もしくは消泡剤またはその他の添加剤等を必要に応じて配合しても良い。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、耐加水分解性や耐候性、色調が良好であり、溶融成形時のブリードアウトを抑制したものである。したがって、フィルム、繊維など各種用途に好適に用いることができ、特に長期耐加水分解性および長期耐候性の求められる太陽電池バックシート用フィルムや窓ガラス飛散防止フィルムなどのフィルムに用いることが可能である。
以下実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の物性値は以下の方法で測定した。
(1)ポリエステル樹脂組成物の固有粘度(IV)
o−クロロフェノール溶媒を用い、25℃で測定した。
(2)ポリエステル樹脂組成物のCOOH末端基量
Mauliceの方法によって測定した。(文献 M.J.Maulice,F.Huizinga,Anal.Chem.Acta、22、363(1960)) 。
(3)ポリエステル樹脂組成物の耐加水分解性評価(ΔCOOH/COOH)
ポリエステル樹脂組成物を飽和水蒸気下、155℃で4時間湿熱処理し、処理前後のCOOH末端基量を測定することで、COOH末端基増加量(ΔCOOH)を算出した。
ΔCOOH=(湿熱処理後のCOOH末端基量)−(湿熱処理前のCOOH末端基量)
このΔCOOHを上記(2)で測定したCOOH末端基量で割ることでΔCOOH/COOHを算出した。なお、処理装置は次の加熱処理装置を使用した。
PRESSER COOKER 306SIII(HIRAYAMA製作所(株)製) 。
(4)ポリエステル樹脂組成物の色調(L値及びb値)
カラーメーター(スガ試験機(株)製:SM−T45)にて、ポリエステル樹脂組成物の色調を測定した。
(5)ポリエステル樹脂組成物の耐候性評価(Δb値)
ポリエステル樹脂組成物を150℃で8時間真空乾燥した後、290℃に加熱したプレス装置にて厚み100μmのプレスシートを作成した。このプレスフィルムを紫外線劣化促進試験機(SUV−W131(岩崎電気(株)製))を用いて、UV照度100mW/cm、UV波長295〜450nm、ランプ種メタルハライド、温湿度60℃×50%RHで48時間紫外線を照射した。
この紫外線照射前後のプレスフィルムのb値を分光式色差計CM−3600d(KONICA−MINOLTA製)を用い測定することで、Δb値を算出した。
Δb値=(紫外線48時間照射後のb値)−(紫外線照射前のb値) 。
(6)ポリエステル樹脂組成物の重量減少率
ポリステル樹脂組成物をTG/DTA6200(Seiko Instruments Inc製)を用いて重量減少率を測定した。測定条件は以下の通りである。
昇温速度:35℃→400℃(10℃/分)
雰囲気:窒素流通下(流量200ml/min) 。
(7)ポリエステル樹脂組成物の融点Tm
JIS−K7121(制1987)に準じ、下記測定機を用いて2サイクル目の昇温時に得られた融点Tmを適用した。
装置:示差走査熱量計 DSCQ100型(TAインスツルメント社製)
測定条件:窒素雰囲気下
測定範囲:50〜280℃
サンプル重量:10mg(TAインスツルメント社製アルミパン使用)
温度プログラム:
1サイクル目 室温→昇温(16℃/分)→50℃2分保持
→昇温(16℃/分)→280℃5分保持
→電気炉外に取りだし液体窒素にて急冷(2分冷却)
→室温まで昇温(5分放置)
2サイクル目 50℃2分保持→昇温(16℃/分)→280℃
→降温(16℃/分)→25℃ 。
(8)ポリエステル樹脂組成物のスチレン骨格含有量
ポリエステル樹脂のH NMRを測定し、ポリエステル由来のピークとスチレン骨格由来のピーク比より、含有量を算出した。
(9)ポリエステル樹脂組成物の耐ブリードアウト性評価
ポリエステル樹脂組成物を150℃で8時間真空乾燥した後、290℃に加熱したプレス装置にて厚み100μmのプレスシートを作成した。このプレスフィルムを85℃で100時間乾燥機(エスペック社製LHV−122)にて加熱処理を行った。加熱処理後のプレスフィルム表面をSEM観察し、1000μm辺りに1μm以上の析出物の個数を計測した。本計測を5回実施し、平均値を算出した。
(紫外線吸収剤)
本発明の実施例にて使用した紫外線吸収剤の構造は以下に示すものである。
Figure 2018058939
Figure 2018058939
Figure 2018058939
Figure 2018058939
Figure 2018058939
Figure 2018058939
Figure 2018058939
(実施例1)
テレフタル酸ジメチル101重量部、エチレングリコール61重量部、紫外線吸収剤A0.065重量部(ジカルボン酸成分に対し、0.05mol%)をエステル交換反応容器へ仕込んだ。これらを150℃程度で溶融後、触媒として酢酸マンガン4水和物0.07重量部、三酸化二アンチモン0.03重量部を添加し撹拌した。ついで、240℃まで徐々に昇温しながらメタノールを留出させ、エステル交換反応を実施した。エステル交換反応後、リン酸0.02重量部とリン酸2水素ナトリウム2水和物0.026重量部のエチレングリコール混合溶液を加え、エステル交換触媒を失活させた。
その後、反応物を重合装置に仕込み、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.63相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ポリエステル樹脂組成物を得た。
得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表1に示す。
実施例1で得られたポリエステル樹脂組成物は、耐加水分解性および耐候性、色調が良好であり、また耐ブリードアウト性も良好であった。
(実施例2〜6、比較例1、2)
紫外線吸収剤Aの添加量を表1の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表1に示す
実施例2〜6にて得られたポリエステル樹脂組成物は、耐加水分解性および耐候性、色調が良好であり、また耐ブリードアウト性も良好であった。
比較例1にて得られたポリエステル樹脂組成物は、紫外線吸収剤を含有していないため、耐候性が不良であった。
比較例2にて得られたポリエステル樹脂組成物は、紫外線吸収剤の含有量が多く、ΔCOOH/COOHが高く、耐加水分解性が不良であった。
Figure 2018058939
(実施例7〜11、比較例3)
添加する紫外線吸収剤の種類と添加量を表2の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表2に示す。
実施例7にて得られたポリエステル樹脂組成物は、耐加水分解性および耐候性、色調が良好であり、また耐ブリードアウト性も良好であった。
実施例8〜11にて得られたポリエステル樹脂組成物は、耐候性、耐ブリードアウト性が良好であった。
比較例3にて得られたポリエステル樹脂組成物は、ポリエステルと共重合していないため、耐ブリードアウト性が不良であった。
Figure 2018058939
(実施例12)
テレフタル酸ジメチル101重量部、エチレングリコール61重量部、紫外線吸収剤A0.065重量部(ジカルボン酸成分に対し、0.05mol%)をエステル交換反応容器へ仕込んだ。これらを150℃程度で溶融後、触媒として酢酸マンガン4水和物0.07重量部、三酸化二アンチモン0.03重量部を添加し撹拌した。ついで、240℃まで徐々に昇温しながらメタノールを留出させ、エステル交換反応を実施した。エステル交換反応後、リン酸0.02重量部を加え、エステル交換触媒を失活させた。
その後、反応物を重合装置に仕込み、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.63相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ポリエステル樹脂組成物を得た。
得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表3に示す。
実施例12にて得られたポリエステル樹脂組成物は、耐加水分解性および耐候性、色調が良好であり、また耐ブリードアウト性も良好であった。
(比較例4)
テレフタル酸ジメチル101重量部、エチレングリコール61重量部をエステル交換反応容器へ仕込んだ。これらを150℃程度で溶融後、触媒として酢酸マンガン4水和物0.07重量部、三酸化二アンチモン0.03重量部を添加し撹拌した。ついで、240℃まで徐々に昇温しながらメタノールを留出させ、エステル交換反応を実施した。エステル交換反応後、リン酸0.02重量部とリン酸2水素ナトリウム2水和物0.026重量部のエチレングリコール混合溶液を加え、エステル交換触媒を失活させた。
その後、反応物を重合装置に仕込み、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.63相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ポリエステルチップを得た。
この得られたポリエステルチップ100重量部に対し、紫外線吸収剤A0.65重量部(ジカルボン酸成分に対し0.5mol%)の配合比でベント付2軸押出機に供給し、温度280度で溶融押出を実施した。吐出したストランド状ポリマーを水中で冷却し、ペレタイザーにてカットし、ポリエステル樹脂組成物を得た。
得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表3に示す。
比較例4にて得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融押出にて紫外線吸収剤を添加したため、紫外線吸収剤がポリエステル鎖と十分に共重合しておらず、耐ブリードアウト性が不良であった。さらに、COOH末端基量の増加により、ΔCOOH/COOHが高く耐加水分解性が不良であった。
(比較例5)
紫外線吸収剤の種類を表3に示す通り変更した以外は、比較例5と同様の方法でポリエステル樹脂組成物を得た。
得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表3に示す。
比較例5にて得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融押出にてポリエステル鎖と反応可能な官能基を有さない紫外線吸収剤を添加したため、紫外線吸収剤がポリエステル鎖と反応せず、重量減少率が増加し、耐ブリードアウト性が不良であった。また、COOH末端基量の増加により、ΔCOOH/COOHが高く耐加水分解性が不良であった。
Figure 2018058939

Claims (7)

  1. 紫外線吸収剤を共重合し、かつ下記式(I)を満たすことを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
    ΔCOOH/COOH≦3.0 (I)
    (ΔCOOH:155℃100%RH、4時間湿熱処理した際のCOOH末端基増加量)
  2. 紫外線吸収剤がアルキルヒドロキシル基、カルボキシル基、アルキルエステル基より選ばれる官能基を2つ以上有することを特徴とする請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物。
  3. 紫外線吸収剤の共重合量が全ジカルボン酸成分に対し、0.05mol%以上10mol%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステル樹脂組成物。
  4. カラーメーターで測定したL値が40以上、b値が40以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂組成物。
  5. メタルハライドランプを用いて、295〜450nmの紫外線を100mWで48時間照射した際のΔb値が15以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂組成物。
  6. 300℃における重量減少率が0.4%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂組成物。
  7. 紫外線吸収剤がスチレン骨格を有していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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