JP2014065882A - ポリエステルフィルムならびにそれを用いた太陽電池バックシートおよび太陽電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】
重金属元素を含有せず、耐湿熱性と色調を満足するポリエステルフィルムを提供すること。さらに、かかる太陽電池バックシート用フィルムを用いることで、高い耐久性を有した太陽電池バックシートおよびそれを用いた太陽電池を提供する。
【解決手段】
カルシウム元素、マンガン元素、アルミニウム元素のうち少なくとも1種類の金属元素を含有するポリエステルフィルムであって、該ポリエステルフィルムを構成するポリエステルが、カルシウム元素、マンガン元素以外の2価の金属元素の含有量が前記ポリエステルに対してそれぞれ5ppm以下、酸化チタンに由来するチタン元素を除くチタン元素含有量が1ppm以上20ppm以下、リン元素含有量が5ppm以上100ppm以下、アルカリ金属元素含有量が3ppm以上100ppm以下であり、
かつ、前記ポリエステルに対するチタン元素含有量をT(mol/ton)、リン元素含有量をP(mol/ton)、アルカリ金属元素含有量をM1(mol/ton)とするとき、下記(i)式、(ii)式を満たすことを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム。
(i)0.13≦T/P≦0.85
(ii)T/M1≧0.1
【選択図】なし

Description

本発明は、特に太陽電池バックシートとして好適に使用できるポリエステルフィルムに関し、また、該フィルムを用いた太陽電池バックシートや太陽電池に関する。
ポリエステル(特にポリエチレンテレフタレートや、ポリエチレン−2、6−ナフタレンジカルボキシレートなど)樹脂は機械特性、熱特性、耐薬品性、電気特性に優れ、様々な用途に用いられている。そのポリエステルをフィルム化したポリエステルフィルム、中でも二軸配向ポリエステルフィルムは、その機械特性、電気特性などから、銅貼り積層板、太陽電池バックシート、粘着テープ、フレキシブルプリント基板、メンブレンスイッチ、面状発熱体、もしくはフラットケーブルなどの電気絶縁材料、磁気記録材料や、コンデンサ用材料、包装材料、自動車用材料、建築材料、写真用途、グラフィック用途、感熱転写用途などの各種工業材料として使用されている。
これらの用途のうち、特に屋外で用いられる太陽電池バックシートなどでは、長期にわたり温度や湿気面で過酷な環境下で使用されることが多い。そのため、太陽電池バックシートを構成する樹脂として汎用的なポリエステルを用いると、加水分解により分子量が低下し、また、脆化が進行して機械特性などが低下してしまうため、その改善、すなわち耐湿熱性の向上が求められている。また、太陽電池バックシートを構成する樹脂に重金属元素が含有していると、太陽電池の長年にわたる使用過程や太陽電池を廃棄する過程において、太陽電池バックシートを構成する樹脂に含まれる重金属元素が環境中へ排出される懸念がある。そのため、近年では、環境保護の観点より、太陽電池バックシートを構成する樹脂中に含有する重金属元素量を低下させることも求められている。一般的に、ポリエステルの湿熱雰囲気下における加水分解は、ポリエステルの末端カルボキシル基を自己触媒として進行し、ポリエステルが加水分解した結果さらに末端カルボキシル基量が増加し、加水分解がより進行する。そのため、耐湿熱性を向上させるためには、湿熱雰囲気下での末端カルボキシル基量の増加を抑えることが必要である。特許文献1では、ポリカルボジイミドを添加して、耐湿熱性を向上させる技術が検討されている。また、特許文献2では、チタン化合物を重合触媒として用い、重金属元素を含有しないポリエステル樹脂から構成される太陽電池バックシートについて検討されている。特許文献3、4、5では、リン酸とリン酸アルカリ金属塩を添加することで、湿熱雰囲気下におけるポリエステルの末端カルボキシル基量の増加を抑制し、そのポリエステル組成物からなるフィルムの耐湿熱性を向上させる技術が検討されている。特許文献6、7、8、9では、リン化合物の含有量と金属化合物の含有量の比率を調節し、湿熱雰囲気下におけるポリエステルの末端カルボキシル基量の増加を抑制し、ポリエステルの耐久性を向上させる技術が検討されている。
特表平11−506487号公報 特開2007−204538号公報 特開2010−248492号公報 国際公開第2010/103945号 国際公開第2011/052290号 特開2003−306536号公報 特開2008−81533号公報 特開2006−265792号公報 特開2000−309649号公報
しかしながら、特許文献1では、耐湿熱性向上効果は高いものの、ポリカルボジイミドとポリエステルが反応して生成する化合物の耐熱性が低いために、溶融成形時に人体に有害な分解ガスを発生するため、安全性に問題がある。特許文献2では、湿熱雰囲気下における末端カルボキシル基量増加量が多くなったり、また、重合触媒として用いるチタン化合物の高い触媒活性によって、得られるポリエステルフィルムは黄味を帯び、色調に劣るという課題がある。特許文献3〜8では、ポリエステルフィルムの耐湿熱性は十分なものではなく、また、重合触媒としてチタン化合物を用いた場合、得られるポリエステルフィルムは色調に劣ったものとなる。特許文献9では、ポリエステルに含有させるリン化合物の、耐湿熱性向上に対する効果が十分でなく、得られるポリエステルフィルムの耐湿熱性も十分なものではない。また、重合触媒としてチタン化合物を用いた場合、色調に劣る。
このように、従来技術では、重金属元素を含有せず、かつ、安全性や色調に問題なく、湿熱雰囲気下における末端カルボキシル基量増加を十分に抑制することが出来ていなかった。そのため、長期間にわたる使用ではポリエステルフィルムの加水分解反応が進行するため、機械特性を保てなくなるという問題があった。
そこで、本発明の課題は、アンチモン化合物などの重金属元素を用いず、あるいはその使用量が少量であり、チタン化合物を重合触媒として用いても、黄味を抑制できて色調に優れており、かつ湿熱雰囲気下での末端カルボキシル基量の増加を抑制することができ、優れた耐湿熱性を発現するポリエステルフィルムを提供することである。
上記課題を解決するために、本発明は、次のような構成を有するものである。
(1)ポリエステルフィルムを構成するポリエステルが、カルシウム元素、マンガン元素、アルミニウム元素のうち少なくとも1種類の金属元素を含有し、前記ポリエステルに含有するカルシウム元素、マンガン元素以外の2価の金属元素量が前記ポリエステルに対してそれぞれ5ppm以下、酸化チタンに由来するチタン元素を除くチタン元素量が1ppm以上20ppm以下、リン元素量が5ppm以上100ppm以下、アルカリ金属元素含有量が3ppm以上100ppm以下であり、
かつ、前記ポリエステルに対するチタン元素含有量をT(mol/ton)、リン元素含有量をP(mol/ton)、アルカリ金属元素含有量をM1(mol/ton)とするとき、下記(i)式、(ii)式を満たすことを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム。
(i)0.13≦T/P≦0.85
(ii)T/M1≧0.1
(2)前記ポリエステルに対する、カルシウム元素とマンガン元素とアルミニウム元素の含有量の和が5ppm以上150ppm以下であることを特徴とする(1)に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
(3)前記ポリエステルに対するアルカリ金属元素含有量をM1(mol/ton)、カルシウム元素含有量とマンガン元素の含有量の和をM2(mol/ton)、アルミニウム元素含有量をM3(mol/ton)とするとき、下記(iii)式で求められる、前記ポリエステルにおける金属含有量Ma(mol/ton)と、リン元素含有量P(mol/ton)が、下記(iv)式を満たすことを特徴とする(1)または(2)に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
(iii)Ma=M1/2+M2+3×M3/2
(iv)0.75≦Ma/P≦3.0
(4)カルシウム元素、マンガン元素のうち少なくとも1種類の金属元素を含有することを特徴とする(1)に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
(5)前記ポリエステルに対する、カルシウム元素とマンガン元素の含有量の和が5ppm以上150ppm以下であることを特徴とする(4)に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
(6)前記ポリエステルに対するアルカリ金属元素含有量をM1(mol/ton)、カルシウム元素含有量とマンガン元素の含有量の和をM2(mol/ton)とするとき、下記(v)式で求められる、前記ポリエステルにおける金属含有量Mb(mol/ton)と、リン元素含有量P(mol/ton)が、下記(vi)式を満たすことを特徴とする(4)または(5)に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
(v)Mb=M1/2+M2
(vi)0.75≦Mb/P≦3.0
(7)前記ポリエステルに含有するアルカリ金属元素が、カリウム元素、ナトリウム元素のうち少なくとも1種類である(1)〜(6)のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
(8)前記ポリエステルが、リン酸とリン酸アルカリ金属塩を添加して得られることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
(9)前記ポリエステルが、アルコキシ基、フェノキシ基、アシレート基、アミノ基および水酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を有しているチタン化合物(酸化チタン除く)を添加して得られることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
(10)太陽電池バックシートに用いられる(1)〜(9)のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
(11)(1)〜(10)のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルムを用いた太陽電池バックシート。
(12)(11)に記載の太陽電池バックシートを用いた太陽電池。
本発明によれば、重金属元素を含有せず、もしくは重金属元素の含有量が少なく、耐湿熱性および色調を満足するポリエステルフィルムを提供することができる。さらには、かかるポリエステルフィルムを用いることで、高性能な太陽電池バックシートおよびそれを用いた太陽電池を提供することができる。
本発明のポリエステルフィルムは、二軸配向ポリエステルフィルムである。二軸配向ポリエステルフィルムは、一般に、未延伸状態のポリエステルシートをシート長手方向および幅方向に延伸し、その後熱処理を施し、結晶配向を完了させることにより、得ることができる。本発明では、該二軸配向ポリエステルフィルムを構成するポリエステルが、下記(I)から(V)の要件を満たすことが必要である。
(I)カルシウム元素、マンガン元素、アルミニウム元素の少なくとも1種類の金属元素を含有し、カルシウム元素、マンガン元素以外の2価の金属元素の含有量が前記ポリエステルに対してそれぞれ5ppm以下であること。
(II)酸化チタンに由来するチタン元素を除くチタン元素含有量が、前記ポリエステルに対して1ppm以上20ppm以下であること。
(III)リン元素含有量が、前記ポリエステルに対して5ppm以上100ppm以下であること。
(IV)アルカリ金属元素含有量が、前記ポリエステルに対して3ppm以上100ppm以下であること。
(V)前記ポリエステルに対するチタン元素含有量をT(mol/ton)、リン元素含有量をP(mol/ton)、アルカリ金属元素含有量をM1(mol/ton)とするとき、下記(i)式、(ii)式を満たすこと。
(i)0.13≦T/P≦0.85
(ii)T/M1≧0.1
以下、具体例を挙げつつ、本発明について詳細に説明する。
本発明のポリエステルフィルムは、ポリエステルがフィルムを構成する必要がある。ここでいうポリエステルがフィルムを構成するとは、フィルムを構成する樹脂中にポリエステルが80重量%以上含有されているものを示す。フィルムを構成する樹脂中のポリエステルの含有量は、好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上、特に好ましくは98重量%以上である。
本発明でいうポリエステルとは、ジカルボン酸構成成分とジオール構成成分を有してなるものである。なお、本明細書内において、構成成分とはポリエステルを加水分解することで得ることが可能な最小単位のことを示す。
かかるポリエステルを構成するジカルボン酸構成成分としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸類、脂環族ジカルボン酸類、芳香族ジカルボン酸類などのジカルボン酸およびそのエステル誘導体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。脂肪族ジカルボン酸類としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、エイコサンジオン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸などが挙げられる。また、脂環族ジカルボン酸類としては、例えば、アダマンタンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸などが挙げられる。また、芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フェニルエンダンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、9,9’−ビス(4−カルボキシフェニル)フルオレン酸などが挙げられる。
また、かかるポリエステルを構成するジオール構成成分としては、例えば、脂肪族ジオール類、脂環式ジオール類、芳香族ジオール類などのジオールおよびこのようなジオールが複数個連なったものなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。脂肪族ジオール類としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオールなどが挙げられる。また、脂環式ジオール類としては、例えば、シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、イソソルビドなどが挙げられる。また、芳香族ジオール類としては、例えば、ビスフェノールA、1,3―ベンゼンジメタノール,1,4−ベンセンジメタノール、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどが挙げられる。
また、上記本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、機械特性、結晶性、耐湿熱性の観点からテレフタル酸および/または2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールを主たる構成成分とするポリエステルであることが好ましい。テレフタル酸および/または2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールを主たる構成成分とするポリエステルとは、全ジカルボン酸構成成分中におけるテレフタル酸および/または2,6−ナフタレンジカルボン酸の構成成分の割合が90mol%以上、かつ全ジオール構成成分中のエチレングリコール構成成分の割合が90mol%以上のポリエステルのことをいう。全ジカルボン酸構成成分中におけるテレフタル酸および/または2,6−ナフタレンジカルボン酸の構成成分の割合、および全ジオール構成成分中のエチレングリコール構成成分の割合を上記の範囲とすることで、機械特性、結晶性、耐湿熱性を良好とすることが出来る。
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、カルボン酸基および/または水酸基を3つ以上有する構成成分を共重合成分として、該ポリエステルの全構成成分に対して0.025mol%以上1.5mol%以下含有することが好ましい。
ここでいうカルボン酸基および/または水酸基を3つ以上有する構成成分とは、カルボン酸基数と水酸基数のどちらか、あるいは両方を1分子中に3基以上持つもののことを指す。
カルボン酸基および/または水酸基を3つ以上有する構成成分を共重合した場合は、多官能化合物成分の部分で分子鎖同士が架橋される。架橋された結果、分子鎖の分子運動性が低下し、加水分解の進行がより抑制されるため好ましい。カルボン酸基および/または水酸基を3つ以上有する構成成分としては、トリメリット酸、シクロヘキサントリカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ピロメリット酸、ブタンテトラカルボン酸、長鎖脂肪族カルボン酸を3量体化したトリマー酸などの多価カルボン酸ならびにその無水物およびエステル、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシヘキサンなどの多価アルコール、クエン酸、ジヒドロキシベンゼンカルボン酸、ジヒドロキシナフタレンカルボン酸などの多価ヒドロキシカルボン酸ならびにその無水物およびエステルなどを挙げることができる。特にカルボン酸基および/または水酸基を3つ有する構成成分であることが耐湿熱性、フィルム成形性の点から好ましい。
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、カルシウム元素、マンガン元素の少なくとも1種類の金属元素を含有し、かつ、カルシウム元素、マンガン元素以外の2価の金属元素の含有量がそれぞれ前記ポリエステルに対して5ppm以下であることが必要である。この理由については後述する。
ここで、ポリエステルに含有する金属元素とは、原子だけではなく、イオン状態でポリエステル中に存在するものも含むものとする。なお、一般的には、金属元素は、ポリエステル中ではイオン状態として存在する。また、前記2価の金属元素とは、化学周期表第3周期までのアルカリ土類金属元素と、第5周期以降の第1族から12族までの元素、およびTiを除く第4周期の遷移金属元素を指す。本発明における金属元素の価数とは、金属原子の電子軌道のうち、最外殻または最外殻に最も近い位置にあるs軌道に存在する電子の個数の合計である。
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、酸化チタンに由来するチタン元素を除くチタン元素含有量が、前記ポリエステルに対して1ppm以上20ppm以下である必要がある。ここで、酸化チタンに由来するチタン元素を除くチタン元素を含有するチタン化合物は、重合触媒能を有しており、重合触媒として機能する。酸化チタンに由来するチタン元素を除くチタン元素含有量が、前記ポリエステルに対して1ppm未満であると、重合活性が十分に得られず、重合時間の遅延が起こり、受ける熱履歴が多くなるため、得られるポリエステルは黄色く着色し、色調に劣る、あるいは末端カルボキシル基量が多くなり、耐湿熱性に劣る。酸化チタンに由来するチタン元素を除くチタン元素含有量が、前記ポリエステルに対して20ppmを超えると、得られるポリエステルが黄色く着色したり、重合活性が高すぎるため、重合中にゲル化または突沸が起こり、ポリエステルを得ることができない、あるいは、ポリエステルを得られたとしても耐湿熱性に劣る。酸化チタンに由来するチタン元素を除くチタン元素含有量は、前記ポリエステルに対して8ppm以上16ppm以下であることが、重合反応性、色調、耐湿熱性の観点からは好ましい。
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、リン元素含有量が、前記ポリエステルに対して5ppm以上100ppm以下であることが必要である。リン元素含有量が5ppm未満であると、該ポリエステルの耐熱性が悪くなり、フィルム成形押出し時に受ける熱履歴により、ポリエステルの劣化が進行し、得られるポリエステルフィルムを構成するポリエステルの末端カルボキシル基量が大きくなり、耐湿熱性に劣る。リン元素含有量が100ppmを超えると、該リン元素を含有するリン化合物が、重合触媒として作用する前記チタン化合物の重合活性を失活させるため、重合活性が十分に得られず、重合時間の遅延が起こる、あるいは十分な重合度のポリエステルを得られなくなってしまう。
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、アルカリ金属元素含有量が、前記ポリエステルに対して、アルカリ金属元素換算で3ppm以上100ppm以下であることが必要である。アルカリ金属元素含有量が、3ppm未満であれば、得られるポリエステルフィルムの色調に劣り、100ppmを超えると、異物化の懸念があり、得られるポリエステルフィルムの耐湿熱性に劣る。
上記本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステルに含有されるアルカリ金属元素、マンガン元素、カルシウム元素は、リン元素を含む化合物またはポリエステルの末端カルボキシル基と化学結合し、リン化合物による重合触媒の失活を抑制したり、末端カルボキシル基の自己触媒作用を抑制して加水分解を抑制する効果をもたらす。アルカリ金属元素は重合触媒の失活の抑制に効果があり、マンガン元素、カルシウム元素は重合触媒の失活抑制と、末端カルボキシル基の自己触媒作用の抑制による加水分解の抑制に効果的である。
さらに、ポリエステルフィルムを構成するポリエステルを合成する際、重合触媒としてチタン化合物を用いる場合、ポリエステル中にアルカリ金属元素を含有すると、ポリエステルの黄色化を抑制する色調改善効果を有する。現在の所、この効果を奏する詳細な機構はわかっていないが、チタン化合物を重合触媒として用いることによるポリエステルの色調悪化は、チタン化合物がポリエステルのエステル基のカルボニル酸素に配位することにより、ポリエステル分子鎖の分解が促進されて起こるものと推定されるところ、アルカリ金属元素は、チタン化合物のエステル基のカルボニル酸素への配位を抑制することにより、色調改善効果を有するものと考えられる。
一般的に、ポリエステルに含有される金属イオンは、末端カルボキシル基を含むカルボニル基の酸素と化学結合する。特に金属イオンが末端カルボキシル基のカルボニル基の酸素と化学結合した場合、水分子が存在することで末端カルボキシル基の自己触媒作用が発現し、それによって加水分解が起こり、ポリエステルが劣化するに至る。この加水分解を抑制するためには、末端カルボキシル基と化学結合する金属イオンと、水分子とを、安定化させることが効果的である。つまり、金属イオンと水分子とを水和せしめることが効果的である。この効果の指標として、金属イオンの水和エンタルピーと金属イオンの半径の積を用いることができる。この積の値が大きい金属元素としてカルシウムイオン、マンガンイオン、アルミニウムイオンを挙げることができる。これらの金属イオンを含有したポリエステルは効果的に水分子を安定化させることが可能となり、その結果ポリエステルの耐湿熱性を向上させることができる。すなわち、本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、カルシウム元素、マンガン元素、アルミニウム元素の少なくともいずれか1種類の金属元素を含有することが必要である。3価の金属イオンであるアルミニウム元素は、2価の金属イオンであるカルシウム元素、マンガン元素に比べて、ポリエステル中のエステル基の酸素への配位が、カルシウム元素、マンガン元素よりも相対的に強く起こる。そのため、エステル基の炭素に正電荷がより誘起され、エステル基近傍に水分子が接近しやすくなる結果、カルシウム元素、マンガン元素に比べて相対的に耐湿熱性を向上させる効果は小さい。そのため、本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、カルシウム元素、マンガン元素の少なくとも1種類の金属元素を含有することが好ましい。一方、本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステルにおいて、マンガン元素、カルシウム元素以外のいずれかの2価の金属元素の含有量が、前記ポリエステルに対して5ppmを超えると、マンガン元素、カルシウム元素、アルミニウム元素による耐湿熱性向上効果が得られない。
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、前記ポリエステルに対するチタン元素含有量をT(mol/ton)、リン元素含有量をP(mol/ton)、アルカリ金属元素含有量をM1(mol/ton)とするとき、下記(i)式、(ii)式を満たすことが必要である。
(i)0.13≦T/P≦0.85
(ii)T/M1≧0.1
T/Pが0.13未満であると、重合触媒として作用する前記チタン化合物の重合活性を失活させるため、重合活性が十分に得られず、重合時間の遅延が起こり、得られるポリエステルは黄味を帯び、色調に劣る、あるいは、末端カルボキシル基量が多くなり、耐湿熱性に劣る。T/Pが0.85を超えると、該ポリエステルの耐熱性が悪くなるため、フィルム成形押出し時に受ける熱履歴により、ポリエステルの劣化が進行し、得られるポリエステルフィルムの末端カルボキシル基量が大きくなり、耐湿熱性に劣る。好ましくは、T/Pの範囲は、0.4以上0.6以下である。
また、T/M1が、0.1未満であると、異物が発生し、また耐湿熱性に劣る。一般に、湿熱雰囲気下において、ポリエステルは加水分解反応が進行して低分子量化し、分子鎖の運動性は高まり、結晶化が進行しやすくなる。結晶化が進行すると、フィルムの脆化が起こるとともに、衝撃が加わった場合に、応力の分散が不十分になるため、僅かな衝撃が加わっただけでも破断に至る状態となり、耐湿熱性に劣ったものとなる。ポリエステルフィルム中に異物が発生すると、該異物を核とした結晶化がより進行して、肥大な結晶が出来やすくなるために、得られるポリエステルフィルムの耐湿熱性が低下してしまう。よって、耐湿熱性の観点から、異物は少ないことが好ましい。T/M1の上限は、特に設けられるものではないが、色調の観点より、1.0以下が好ましい。より好ましくは0.7以下、さらに好ましくは0.3以下、さらにより好ましくは0.2以下、最も好ましくは0.15以下である。
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、カルシウム元素、マンガン元素、アルミニウム元素の含有量の和が5ppm以上150ppm以下であることが好ましい。カルシウム元素、マンガン元素、アルミニウム元素の含有量の和が5ppm未満だと、上述したマンガン元素、カルシウム元素、アルミニウム元素による重合触媒の失活抑制効果や末端カルボキシル基の自己触媒抑制効果を十分でなくなるため、耐湿熱性低下が起こる場合がある。カルシウム元素、マンガン元素、アルミニウム元素の含有量の和が150ppmを超えると、異物化や、耐湿熱性低下の懸念がある。上述したとおり、カルシウム元素やマンガン元素は、耐湿熱性向上効果がアルミニウム元素に比べて高いため、本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、カルシウム元素、マンガン元素の含有量の和が5ppm以上150ppm以下であることが好ましい。カルシウム元素、マンガン元素の含有量の和は5ppm以上100ppm以下であることより好ましく、5ppm以上50ppm以下であることがさらに好ましい。
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、真比重5.0以上の金属元素の含有量が50ppm以下であることが好ましい。前記ポリエステル中の真比重5.0以上の含有量を50ppm以下とすることにより、本発明のポリエステルフィルムを太陽電池バックシートとして用いた時に環境中へ重金属元素が排出されることを抑制することができる。本発明における真比重とは空隙を含まない比重のことをいい、比重とは、標準物質(4℃における水)に対するある物質の同体積での質量の比のことをいう。真比重が5.0以上の金属元素としては、具体的にはアンチモン元素、ゲルマニウム元素、コバルト元素、すず元素、亜鉛元素、マンガン元素、鉛元素、カドミウム元素などが挙げられる。真比重5.0以上の金属元素の含有量は30ppm以下であることがより好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、該ポリエステルフィルムを構成するポリエステルにおいて、前記ポリエステルに対するアルカリ金属元素含有量をM1(mol/ton)、カルシウム元素含有量とマンガン元素の含有量の和をM2(mol/ton)、アルミニウム元素含有量をM3(mol/ton)とするとき、下記(iii)式で求められる、前記ポリエステルにおける金属含有量Ma(mol/ton)と、リン元素含有量P(mol/ton)が、下記(iv)式を満たすことが好ましい。
(iii)Ma=M1/2+M2+3×M3/2
(iv)0.75≦Mb/P≦3.0
この式におけるMaは、ポリエステルにおいて、リン化合物に由来する陰イオンと化学結合する、金属元素のイオンの含有量を表すものである。ただし、ポリエステル中でリン化合物に由来する陰イオンは2価であるので、2価の金属元素の陽イオンと1:1で相互作用する。そのため、ポリエステル中で1価の陽イオンとなる金属元素の含有量M1に対しては係数0.5を乗じる必要がある。また、ポリエステル中で3価の陽イオンとなる金属元素の含有量M3に対しては係数1.5を乗じる必要がある。
よって、Ma/Pが小さすぎる場合、リン化合物量に対する金属元素量が少なすぎて、リン化合物による重合触媒失活の抑制またはポリエステル組成物の末端カルボキシル基の自己触媒作用の抑制が十分でなく、湿熱雰囲気下での加水分解反応の進行を抑えることができず、耐湿熱性が低下するおそれがある。また、Ma/Pが大きすぎる場合、金属元素を含有する化合物が過剰となり、異物化するおそれがある。このため、Ma/Pは上記(iv)式の範囲とするのが好ましい。より好ましくは、0.9以上2.0以下、さらに好ましくは1.0以上1.5以下である。最も好ましくは、1.2以上1.3以下である。
本発明のポリエステルフィルムは、該ポリエステルフィルムを構成するポリエステルにおいて、前記ポリエステルに対するアルカリ金属元素含有量をM1(mol/ton)、カルシウム元素含有量とマンガン元素含有量の和をM2(mol/ton)とするとき、下記(v)式で求められる、前記ポリエステルにおける金属含有量Mb(mol/ton)と、リン元素含有量P(mol/ton)が、下記(vi)式を満たすことが好ましい。
(v)Mb=M1/2+M2
(vi)0.75≦Mb/P≦3.0
一般に、リン化合物は、ポリエステルで陰イオンとして存在するため、ポリエステル中にイオン状態で存在する金属元素と化学結合する。リン化合物に由来する陰イオンが、重合触媒に由来する金属元素のイオンと化学結合すると、重合触媒が失活することになる。ポリエステル中に、重合触媒由来の金属元素以外の金属元素のイオンを存在させることで、重合触媒に由来する金属元素イオンとリン化合物に由来する陰イオンとの化学結合を抑制することができ、重合触媒の失活を抑制できる。ここで、リン化合物による重合触媒失活の抑制またはポリエステルの末端カルボキシル基の自己触媒作用の抑制の指標となるのが、上述の(vi)式で表されるMb/Pである。この式におけるMbは、ポリエステルにおいて、リン化合物に由来する陰イオンと化学結合する、金属元素のイオンの含有量を表すものである。ただし、ポリエステル中でリン化合物に由来する陰イオンは2価であるので、2価の金属元素の陽イオンと1:1で相互作用する。そのため、ポリエステル中で1価の陽イオンとなる金属元素の含有量M1に対しては係数0.5を乗じる必要がある。
よって、Mb/Pが小さすぎる場合、リン化合物量に対する金属元素量が少なすぎて、リン化合物による重合触媒失活の抑制またはポリエステル組成物の末端カルボキシル基の自己触媒作用の抑制が十分でなく、湿熱雰囲気下での加水分解反応の進行を抑えることができず、耐湿熱性が低下するおそれがある。また、Mb/Pが大きすぎる場合、金属元素を含有する化合物が過剰となり、異物化するおそれがある。このため、Mb/Pは上記(vi)式の範囲とするのが好ましい。より好ましくは、0.9以上2.0以下、さらに好ましくは1.0以上1.5以下である。最も好ましくは、1.2以上1.3以下である。
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステルに含有するアルカリ金属元素は、特に限定されるものではないが、長期の耐湿熱性の観点より、カリウム元素、ナトリウム元素のうち少なくとも1種類であることが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、リン化合物としてリン酸およびリン酸アルカリ金属塩を添加して得られることが好ましい。このような構成によれば、緩衝作用により、ポリエステルの末端カルボキシル基の活性が低下し、湿熱雰囲気下での加水分解の進行を抑制する結果、耐湿熱性を向上させることが可能となる。リン酸アルカリ金属塩としては、例えば、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素ニナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、リン酸二水素リチウム、リン酸水素二リチウム、リン酸三リチウムなどが挙げられる。好ましくはリン酸二水素アルカリ金属塩、リン酸水素二アルカリ金属塩である。また、アルカリ金属元素がナトリウム,カリウムであるリン酸アルカリ金属塩が長期の耐湿熱性の点から好ましい。特に好ましくはリン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウムである。
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、アルコキシ基、フェノキシ基、アシレート基、アミノ基および水酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を有しているチタン化合物(酸化チタン除く)を添加して得られることが好ましい。具体的なアルコキシ基には、テトラエトキシド、テトラプロポキシド、テトライソプロポキシド、テトラブトキシド、テトラ−2−エチルヘキソキシド等のチタンテトラアルコキシド、アセチルアセトン等のβ−ジケトン系官能基、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸等のヒドロキシ多価カルボン酸系官能基、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のケトエステル系官能基が挙げられ、特に脂肪族アルコキシ基が好ましい。また、フェノキシ基には、フェノキシ、クレシレイト等が挙げられる。また、アシレート基には、ラクテート、ステアレート等のテトラアシレート基、フタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸またはそれらの無水物等の多価カルボン酸系官能基、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、カルボキシイミノ二酢酸、カルボキシメチルイミノ二プロピオン酸、ジエチレントリアミノ五酢酸、トリエチレンテトラミノ六酢酸、イミノ二酢酸、イミノ二プロピオン酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二プロピオン酸、メトキシエチルイミノ二酢酸等の含窒素多価カルボン酸系官能基が挙げられ、特に脂肪族アシレート基が好ましい。また、アミノ基には、アニリン、フェニルアミン、ジフェニルアミン等が挙げられる。また、これらの置換基を2種含んでなるジイソプロポキシビスアセチルアセトンやトリエタノールアミネートイソプロポキシド基が挙げられる。
本発明のポリエステルフィルムにおいて、フィルムを構成するポリエステルとしては、溶融押出しによってフィルムを形成し得る熱可塑性樹脂であれば特に限定されず、中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロへキシレンジメチレンテレフタレートおよびこれら混合物からなるものが好適に用いられ、より好ましくは製膜性が良好という点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、固有粘度が0.6dl/g以上1.0dl/g以下であることが機械特性、耐熱性の点から好ましい。よって、ポリエステルフィルムを構成するポリエステルの固有粘度は0.6dl/g以上1.1dl/g以下であることが好ましい。より好ましくは、0.7dl/g以上0.9dl/g以下である。
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、末端カルボキシル基量が、15eq./t(equivalent/ton)以下であることが耐湿熱性の点から好ましい。よって、ポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、末端カルボキシル基量が17eq./t(equivalent/ton)以下であることが耐湿熱性の点から好ましい。さらに好ましくは14eq./t以下である。末端カルボキシル基量が17eq./t以下のポリエステルは、例えば、リン酸アルカリ金属塩を、エステル交換反応またはエステル化反応終了後から重合反応初期(固有粘度が0.3未満)までの間に添加する方法や、上記方法で得られたポリエステルをさらに固相重合する方法などで得ることができる。また固相重合は、溶融重合を固有粘度0.5dl/g以上0.6dl/g以下で終了させて一旦チップ化した後に行うことが好ましい。また、固相重合温度は、ポリエステルの融点Tm−60℃以上Tm−30℃以下、真空度0.3Torr以下で行うと末端カルボキシル基量を低下することができるため好ましい。
本発明のポリエステルフィルムにおいて、本発明の効果が損なわれない範囲で、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、有機系/無機系の易滑剤、有機系/無機系の微粒子(着色顔料を含む)、充填剤、核剤、染料、分散剤、カップリング剤等の添加剤が配合されていてもよい。
上記着色顔料が白色顔料である場合は、該顔料の含有量がポリエステルフィルムを構成するポリエステルに対して1重量%以上20重量%以下であることが好ましい。
白色顔料としては、紫外線に対する安定性(耐UV性)の観点から、硫酸バリウム、酸化チタンなどが好ましいが、ルチル型酸化チタンであることが、耐UV性と耐湿熱性の観点から特に好ましい。含有量が1重量%に満たないと耐UV性が充分に発揮されない。含有量が20重量%を超えると、耐湿熱性が低下するおそれがある。
また、上記着色顔料が黒色顔料である場合は、該顔料の含有量がポリエステルフィルムを構成するポリエステルに対して0.5重量%以上5重量%以下であることが好ましい。黒色顔料としては、耐UV性と耐湿熱性の観点からカーボンブラックであることが好ましい。含有量が0.5重量%に満たないと、耐UV性が充分でなく、5重量%を超えると耐湿熱性が低下するおそれがある。
また、本発明のポリエステルフィルムの厚みは10μm以上300μm以下であるのが好ましく、さらに好ましくは20μm以上200μm以下、最も好ましくは30μm以上150μm以下である。ポリエステルフィルムの厚みが10μm未満の場合、フィルムの平坦性が悪くなったり、300μmより厚い場合、例えば、太陽電池バックシートとして用いた場合に、太陽電池セルの全体厚みが厚くなり過ぎるので好ましくない。
次に、本発明の二軸延伸(二軸配向)ポリエステルフィルムの製造方法を説明する。
押出機に供給された原料を押出機内で溶融せしめ、ダイから冷却したキャストドラム上に押出して未延伸(無配向)のポリエステルシートを得る。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャストドラム等の冷却体に密着させ、急冷固化させることが好ましい。なお、押出機での溶融押出する際は、窒素雰囲気下で溶融させ、押出機へのチップ供給から、口金までに押出される時間は短い程良く、目安としては30分以下、より好ましくは15分以下、更に好ましくは5分以下とすることが、末端カルボキシル基増加抑制の点で好ましい。
次に、得られた未延伸のポリエステルシートを二軸延伸し、二軸延伸(二軸配向)ポリエステルフィルムを得る。延伸は、ポリエステルのガラス転移温度(Tg)以上の温度にて行うことが好ましい。二軸延伸する方法としては、長手方向と幅方向の延伸とを分離して行う逐次二軸延伸方法の他に、長手方向と幅方向の延伸を同時に行う同時二軸延伸方法のどちらであっても構わない。
逐次二軸延伸の場合は、ポリエステルのTg℃以上Tg+15℃以下、より好ましくはTg℃以上Tg+10℃以下の温度に加熱されたロール群に導き、長手方向(すなわちフィルムの進行方向。また、「縦方向」と称することもある、)に3倍以上5倍以下に延伸し、20℃以上50℃以下の温度のロール群で冷却する。続いて、フィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、Tg+5℃以上Tg+30℃以下、より好ましくはTg+5℃以上Tg+25℃以下、更に好ましくはTg+5℃以上Tg+20℃以下の温度に加熱された雰囲気中で、長手方向に直角な方向(「幅方向」または「横方向」と称することがある)に3倍以上5倍以下に延伸することが好ましい。
延伸倍率は、同時二軸延伸、逐次二軸延伸共に、長手方向と幅方向それぞれ3倍以上5倍以下とするが、面積延伸倍率を12倍以上、より好ましくは13倍以上、更に好ましくは14倍以上、特に好ましくは15倍以上、最も好ましくは16倍以上となるように延伸する。特に面積延伸倍率を13倍以上とすることが、得られたフィルムの耐湿熱性がより向上するという点からより好ましい。面積倍率が13倍未満であると、得られる二軸延伸フィルムの耐湿熱性が低下することがあるため好ましくない。また面積延伸倍率が20倍を越えると延伸時に破れを生じ易くなる傾向がある。
また、得られた二軸延伸フィルムの結晶配向を完了させて、平面性と寸法安定性を付与するために、ポリエステルの融点未満の温度で1秒間以上30秒間以下の熱処理を行ない、均一に徐冷後、室温まで冷却するのが好ましい。一般に、熱処理温度が低いとフィルムの熱収縮が大きくなるため、高い熱寸法安定性を付与するためには熱処理温度は高くすることが好ましい。
ただし、熱処理温度を高くしすぎるとフィルム中のポリエステルの非晶部が緩和され、分子運動性が高い状態となり、加水分解が起こりやすくなったり、高湿高温雰囲気下において、加水分解後の熱結晶化が促進され、脆化が進行しやすくなることがあるので好ましくない。そのため、ポリエステルの融点から熱処理温度を差し引いた値が、40℃以上90℃以下、より好ましくは50℃以上80℃以下、更に好ましくは55℃以上75℃以下となるように設定するのが好ましい。また、熱処理工程中では、必要に応じて幅方向あるいは長手方向に3〜12%の弛緩処理を施してもよい。続いて必要に応じて、他部材との密着性をさらに高めるためにコロナ放電処理などを行い、巻き取ることにより、本発明のポリエステルフィルムを得ることができる。
また、他のフィルムを積層する場合は、公知の共押出し法、作製したフィルム上に他の熱可塑性樹脂を溶融押出して口金から押出しながらラミネートする方法(溶融ラミネート法)、本発明のポリエステルフィルムと他の樹脂からなるフィルムとを熱圧着する方法(熱ラミネート法)、本発明のポリエステルフィルムと他の樹脂からなるフィルムとを接着剤を介して貼り合わせる方法(接着法)、本発明のポリエステルフィルムの表面に別の材料を塗布して積層する方法(コーティング法)、およびこれらを組み合わせた方法等を使用することができる。
本発明のポリエステルフィルムは、重金属元素を含有せず、もしくは重金属含有量が少なく、耐湿熱性および色調に優れ、環境への重金属の排出懸念なく長期耐久性が重視されるような用途に使用することができ、特に、太陽電池バックシート用フィルムとして好適に用いられる。
また、本発明のポリエステルフィルムを用いて、太陽電池バックシートとするには、例えば、本発明のポリエステルフィルムにEVAとの密着性を向上させるEVA密着層、EVA密着層との密着性を挙げるためのアンカー層、水蒸気バリア層、紫外線を吸収するための紫外線吸収層、発電効率を高めるための光反射層、意匠性を発現させるための光吸収層、各層を接着するための接着層などから構成されるものであり、特に本発明のポリエステルフィルムは、紫外線吸収層、光吸収層として好適に用いることができる。
本発明のポリエステルフィルムを用いてなる太陽電池バックシートの厚みは50μm以上500μm以下が好ましく、100μm以上300μm以下がより好ましい。更に好ましくは、125μm以上200μm以下である。厚みが10μm未満の場合、フィルムの平坦性を確保することが困難となる。一方、500μmより厚い場合、太陽電池に搭載した場合、太陽電池全体の厚みが大きくなりすぎることがある。
本発明の太陽電池は、本発明のポリエステルフィルムを用いた太陽電池バックシートを用いることを特徴とする。本発明のポリエステルフィルムを用いた太陽電池バックシートは、従来のバックシートと比較して、重金属元素を含有せず、もしくは重金属含有量が少なく、耐湿熱性および色調に優れ、特に、重金属元素を含有せず、耐湿熱性に優れている特徴を活かして、環境への重金属の排出懸念なく、長期耐久性が要求される太陽電池用途などへの適用が可能となる
以上のように、本発明のポリエステルフィルムを用いた太陽電池バックシートを太陽電池に組み込むことにより、従来の太陽電池と比べて、高耐久の太陽電池とすることが可能となる。本発明の太陽電池は、環境への重金属の排出懸念なく、太陽光発電、小型電子部品の電源など、屋外用途、屋内用途に限定されず各種用途に好適に用いることができる。
(特性の評価方法)
特性の評価方法を以下に述べる。
(A)破断伸度測定
ASTM−D882(1999)に基づいて、ポリエステルフィルムを1cm×20cmの大きさに切り出し、当該ポリエステルフィルムを以下の条件で引っ張ったときの破断伸度を測定した。なお、測定はn=5で実施し、また、フィルムの長手方向、幅方向のそれぞれについて測定した後、それらの平均値として、破断伸度を求めた。
チャック間の距離:5cm
引っ張り速度:300mm/min
(B)耐湿熱性
耐湿熱性は、耐湿熱試験後の伸度保持率により評価した。
(B−1)ポリエステルフィルムの耐湿熱性
タバイエスペック(株)製プレッシャークッカーにて、温度125℃、相対湿度100%RHの条件下でポリエステルフィルムを72時間処理し、その後上記(A)に従って破断伸度を測定して、破断伸度E1とした。
また、処理を行う前のフィルムについても上記(A)に従って破断伸度E0を測定し、こうして得られた破断伸度E0,E1を用いて、次の(1)式により伸度保持率を算出した。
伸度保持率(%)=E1/E0×100 (1)式
得られた伸度保持率について、以下のように判定した。
伸度保持率が50%以上の場合:S
伸度保持率が45%以上50%未満の場合:A
伸度保持率が40%以上45%未満の場合:B
伸度保持率が35%以上40%未満の場合:C
伸度保持率が30%以上35%未満の場合:D
伸度保持率が30%未満の場合:E
S〜Dが良好であり、その中でもSが最も優れている。
(B−2)バックシートの耐湿熱性
(B−1)と同様の方法で、バックシートの耐湿熱性を求めた。すなわち、処理前のバックシートの破断伸度をE0’とし、温度125℃、相対湿度100%RHの条件下で72時間処理した後のバックシートの破断伸度を破断伸度E1’として、次の(2)式により伸度保持率を算出した。
伸度保持率(%)=E1’/E0’×100 (2)式
得られた伸度保持率について、以下のように判定した。
伸度保持率が50%以上の場合:S
伸度保持率が45%以上50%未満の場合:A
伸度保持率が40%以上45%未満の場合:B
伸度保持率が35%以上40%未満の場合:C
伸度保持率が30%以上35%未満の場合:D
伸度保持率が30%未満の場合:E
S〜Dが良好であり、その中でもSが最も優れている。
(C)色調
測定には、日本電色工業(株)製の分光式色彩計SE−2000を用いた。測定条件は、C光源、視野角2°、反射測定モード、試料測定径を30mmφにて測定した。また、標準合せは、付属の標準白色板(上述の測定方法におけるX値、Y値、Z値が、93.67、95.54、113.35)を用いた。サンプルは、ポリエステルフィルムを20枚重ね合せ、さらに光源より最も離れた位置に白色フィルム(東レ(株)製、“ルミラー”(登録商標)E20F)を重ねたものを用い、当該サンプルのb値をJIS Z−8722(2000)に準じて測定した。また、サンプル数はn=5とし、それぞれのb値を測定して、その平均値をb0として算出し、得られたb0について、以下のように判定した。
b0が0未満の場合:S
b0が0以上0.2未満の場合:A
b0が0.2以上0.4未満の場合:B
b0が0.4以上0.6未満の場合:C
b0が0.6以上0.8未満の場合:D
b00.8以上の場合:E
S〜Dが良好であり、その中でもSが最も優れている。
(D)固有粘度(IV)
オルトクロロフェノール100mlに、ポリエステル、またはポリエステルフィルムを溶解させ(溶液濃度C=1.2g/ml)、その溶液の25℃での粘度をオストワルド粘度計を用いて測定した。また、同様に溶媒の粘度を測定した。得られた溶液粘度、溶媒粘度を用いて、下記(3)式により、[η]を算出し、得られた[η]の値を固有粘度(IV)として求めた。
ηsp/C=[η]+K[η]・C (3)式
(ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)―1、Kはハギンス定数(0.343とする)である。)
(E)アルカリ金属元素を除く金属元素量、およびリン元素の定量
理学電機(株)製蛍光X線分析装置(型番:3270)を用いて測定した。
凍結粉砕したポリエステルフィルム8gを、JIS K0119の記載に準じて分析試料とした。定量は、JIS K0119(1999)10.1d)の記載に準じて行い、試料中の各元素の含有量を求めた。
(F)アルカリ金属元素量の定量
ポリエステルフィルム1gを白金皿にとり、700℃にて1.5時間かけて完全に灰化させ、つぎに灰化物を、体積が50mlになるように0.1規定の塩酸に溶かし、溶液Aを得た。溶液Aに不溶物が無い場合は、これを測定試料として用いた。
一方、溶液Aに不溶物がある場合は、以下の方法によって、測定試料を得た。新たにポリエステルフィルム1gを白金皿にとり、700℃にて1.5時間かけて完全に灰化させ、つぎに灰化物を6.5規定の硝酸5mlに溶かし、溶液Bを得た。溶液Bを加熱し、硝酸を蒸発せしめ、残渣を得た。当残渣を、体積が50mlになるように0.1規定の塩酸に溶かし、溶液Bを得た。当該溶液Bを測定試料として用いた。
上記の測定試料を用いて、偏光ゼーマン原子吸光光度計(曰立製作所製、型番:180−80、フレーム:アセチレン−空気)を用いて原子吸光分析法にて定量を行った。
(G)末端カルボキシル基量
Mauliceの方法(文献M.J.Maulice,F. Huizinga,Anal.Chim.Acta,22 363(1960))に準じて、以下の方法にて測定した。ポリエステル、またはポリエステルフィルム0.5gを、o−クレゾール10mLに温度100℃にて溶解した後、25℃条件下30分間静置冷却し、0.02NのNaOH/メタノール溶液によって滴定し、末端カルボキシル基濃度を測定し、eq./ポリエステル1tの値で示した。なお、滴定時の指示薬はフェノールレッドを用いて、黄緑色から淡紅色に変化したところを滴定の終点とした。
(H)ポリエステルの融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg)
JIS K7122(1999)に準じて、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置”ロボットDSC−RDC220”を、データ解析にはディスクセッション”SSC/5200”を用いて、ポリエステルの融点Tm、およびポリエステルのガラス転移温度Tg、を測定した。測定は、サンプルパンにポリエステルを5mg秤量し、昇温速度は20℃/min、1stRUNで樹脂を25℃から300℃まで20℃/分の昇温速度で加熱し、その状態で5分間保持し、次いで25℃以下まで急冷し、再度室温から20℃/分の昇温速度で300℃まで昇温を行って測定を行った。得られた2ndRunの結晶融解ピークにおけるピークトップの温度を融点Tmとした。
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
まず、触媒の合成方法を説明する。
参考例1(チタン触媒A、チタンアルコキシド化合物の合成方法)
攪拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に攪拌されているチタンテトライソプロポキシド(284g、1.0モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(496g、8.0モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節した。その反応フラスコに、NaOHの32重量%水溶液125gを滴下漏斗によりゆっくり加えて透明な黄色の液体を得た(Ti含有量5.2重量%)。
参考例2(チタン触媒B、クエン酸キレートチタン化合物の合成方法)
攪拌機、凝縮器及び温度計を備えた3Lのフラスコ中に温水(371g)にクエン酸・一水和物(532g、2.52モル)を溶解させた。この攪拌されている溶液に滴下漏斗からチタンテトライソプロポキシド(284g、1.0モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、これによりイソプロパノール/水混合物を減圧下で蒸留・留去した。その生成物を70℃より低い温度まで冷却し、その溶液を攪拌しながらNaOHの32重量%水溶液380gを滴下漏斗によりゆっくり加えた。得られた生成物をろ過し、次いでエチレングリコール(504g、8.1モル)と混合し、そして真空下で加熱してイソプロパノール/水を除去し、わずかに曇った淡黄色の生成物(Ti含有量3.85重量%)を得た。
参考例3(チタン触媒C、乳酸キレートチタン化合物の合成方法)
攪拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に攪拌されているチタンテトライソプロポキシド(284g、1.0モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(218g、3.51モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節した。その反応混合物を15分間攪拌し、その反応フラスコに乳酸アンモニウムの85重量%水溶液252gを加え、透明な淡黄色の生成物(Ti含有量6.54重量%)を得た。
(実施例1)
[二軸配向フィルムの製造]
テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコール57.5重量部、酢酸マンガン0.0079重量部(マンガン金属元素換算で25ppm)、酢酸ナトリウム0.0043重量部(ナトリウム金属元素換算で12ppm)、チタン触媒A0.0096重量部(チタン金属元素換算で5ppm)を150℃、窒素雰囲気下で溶融した。この溶融物を撹拌しながら230℃まで3時間かけて昇温し、メタノールを留出させ、エステル交換反応を終了した。エステル交換反応終了後、リン酸0.0026重量部(リン金属元素換算で6ppm)をエチレングリコール0.5重量部に溶解したエチレングリコール溶液を添加した。このときのポリエステル組成物の固有粘度は0.2未満であった。この後、重合反応を最終到達温度285℃、真空度0.1Torrで行い、固有粘度0.52、末端カルボキシル基量15eq./tのポリエチレンテレフタレートを得た。得られたポリエチレンテレフタレートを160℃で6時間乾燥、結晶化させた。その後、220℃、真空度0.3Torr、8時間の固相重合を行い、固有粘度0.85、末端カルボキシル基量10.2eq./tのポリエチレンテレフタレートを得た。得られたポリエチレンテレフタレート組成物のガラス転移温度は82℃、融点は255℃であった。
固相重合後のポリエチレンテレフタレートを180℃の温度で2時間真空乾燥した後窒素雰囲気下で押出機に供給した。押出温度280℃でTダイから吐出させ、キャスティングドラム(20℃)にて急冷し、静電印加法にてシート化した。このシートをフィルムの長手方向に延伸温度90℃、延伸倍率3.5倍で延伸したのち、フィルムの幅方向に延伸温度100℃、延伸倍率4.2倍で延伸し、熱処理を200℃で8秒間行い、厚さ50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
得られたポリエステルフィルムにおける、チタン元素、リン元素、ナトリウム元素、およびマンガン元素の含有量、モル比T/P、T/M1、Ma/PおよびMb/P、末端カルボキシル基量、耐湿熱性および色調の評価結果を表2に示す。表2に示すように、耐湿熱性および色調に優れるポリエステルフィルムであった。
[太陽電池バックシートの作製]
得られたポリエステルフィルムに、接着剤(“タケラック”(登録商標)A310(三井武田ケミカル(株)製)90重量%、“タケネート”(登録商標)A3(三井武田ケミカル(株)製)10重量%を混合したもの)を塗布し150℃30秒乾燥させたのち、厚さ100μmポリエチレンフィルムを重ね合わせて、50℃に加熱したラミネーターに通して貼り合わせ、厚さ155μmの太陽電池バックシートを作製した。得られたバックシートの耐湿熱性の評価を実施したところ、表2の通り、良好な耐湿熱性を有することが分かった。
(実施例2〜5)
チタン元素、リン元素、ナトリウム元素、マンガン元素の添加量が表1に示すようにチタン触媒A、リン酸、酢酸ナトリウム、酢酸マンガンを添加した以外は、実施例1と同様にして、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムにおける、チタン元素、リン元素、ナトリウム元素、およびマンガン元素の含有量、モル比T/P、T/M1、Ma/PおよびMb/P、末端カルボキシル基量、耐湿熱性および色調の評価結果を表2に示す。表2に示すように、実施例3〜5では、実施例1よりも高い耐湿熱性を示した。
また、得られたポリエステルフィルムを用いて、実施例1と同様の方法で太陽電池バックシートを作製した。得られたバックシートの耐湿熱性の評価を実施したところ、表2の通り、良好な耐湿熱性を有することが分かった。
(実施例6〜10)
チタン元素、リン元素、ナトリウム元素、マンガン元素の添加量が表1に示すようにチタン触媒A、リン酸、酢酸ナトリウム、酢酸マンガンを添加した以外は、実施例1と同様にして、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムにおける、チタン元素、リン元素、ナトリウム元素、およびマンガン元素の含有量、モル比T/P、T/M1、Ma/PおよびMb/P、末端カルボキシル基量、耐湿熱性および色調の評価結果を表2に示す。表2に示すように、実施例1よりT/M1が小さく、実施例1よりも優れた色調を有しており、また、いずれも良好な耐湿熱性を有するポリエステルフィルムであった。特に、実施例7では、実施例1よりも高い耐湿熱性を有していた。
また、得られたポリエステルフィルムを用いて、実施例1と同様の方法で太陽電池バックシートを作製した。得られたバックシートの耐湿熱性の評価を実施したところ、表2の通り、良好な耐湿熱性を有することが分かった。
(実施例11〜24)
チタン元素、リン元素、ナトリウム元素、マンガン元素の添加量が表1に示すようにチタン触媒A、リン酸、酢酸ナトリウム、酢酸マンガンを添加した以外は、実施例1と同様にして、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムにおける、チタン元素、リン元素、ナトリウム元素、およびマンガン元素の含有量、モル比T/P、T/M1、Ma/PおよびMb/P、末端カルボキシル基量、耐湿熱性および色調の評価結果を表2に示す。表2に示すように、実施例1よりT/M1が大きく、実施例1よりも劣るものの優れた色調を有しており、また、いずれも良好な耐湿熱性を有するポリエステルフィルムであった。特に、実施例14、17、18、20、21は高い耐湿熱性を有していた。
また、得られたポリエステルフィルムを用いて、実施例1と同様の方法で太陽電池バックシートを作製した。得られたバックシートの耐湿熱性の評価を実施したところ、表2の通り、良好な耐湿熱性を有することが分かった。
(実施例25)
酢酸マンガンを添加する代りに、酢酸カルシウムを、カルシウム元素の添加量が表1に示すように添加した以外は、実施例1と同様にして、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムにおける、チタン元素、リン元素、ナトリウム元素、およびカルシウム元素の含有量、モル比T/P、T/M1、Ma/PおよびMb/P、末端カルボキシル基量、耐湿熱性および色調の評価結果を表2に示す。実施例25は、優れた耐湿熱性および色調を有するポリエステルフィルムであった。
また、得られたポリエステルフィルムを用いて、実施例1と同様の方法で太陽電池バックシートを作製した。得られたバックシートの耐湿熱性の評価を実施したところ、表2の通り、良好な耐湿熱性を有することが分かった。
(実施例26)
酢酸ナトリウムを添加する代りに、酢酸カリウムを、カリウム元素の添加量が表1に示すように添加した以外は、実施例1と同様にして、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムにおける、チタン元素、リン元素、カリウム元素、およびマンガン元素の含有量、モル比T/P、T/M1、Ma/PおよびMb/P、末端カルボキシル基量、耐湿熱性および色調の評価結果を表2に示す。表2に示すように、実施例26は、優れた耐湿熱性および色調を有するポリエステルフィルムであった。
また、得られたポリエステルフィルムを用いて、実施例1と同様の方法で太陽電池バックシートを作製した。得られたバックシートの耐湿熱性の評価を実施したところ、表2の通り、良好な耐湿熱性を有することが分かった。
(実施例27)
酢酸ナトリウムを添加する代りに、酢酸リチウムを、リチウム元素の添加量が表1に示すように添加した以外は、実施例1と同様にして、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムにおける、チタン元素、リン元素、リチウム元素、およびマンガン元素の含有量、モル比T/P、T/M1、Ma/PおよびMb/P、末端カルボキシル基量、耐湿熱性および色調の評価結果を表2に示す。表2に示すように、実施例27は、耐湿熱性はやや低下するものの、耐湿熱性および色調に優れるポリエステルフィルムであった。
また、得られたポリエステルフィルムを用いて、実施例1と同様の方法で太陽電池バックシートを作製した。得られたバックシートの耐湿熱性の評価を実施したところ、表2の通り、良好な耐湿熱性を有することが分かった。
(実施例28〜30)
酢酸ナトリウムおよびリン酸を添加する代りに、エステル交換反応終了後にリン酸およびリン酸二水素ナトリウムを、リン元素の含有量およびナトリウム元素の含有量が表1になるよう添加した以外は、実施例1と同様にして、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムにおける、チタン元素、リン元素、ナトリウム金属元素、およびマンガン金属元素の含有量、モル比T/P、T/M1、Ma/PおよびMb/P、末端カルボキシル基量、耐湿熱性および色調の評価結果を表2に示す。表2に示すように、M/Pが同じである実施例(実施例28では実施例14、実施例29は実施例17、実施例30は実施例18)と比較して、より高い耐湿熱性を有しており、また同等の優れた色調を有するポリエステルフィルムであった。
また、得られたポリエステルフィルムを用いて、実施例1と同様の方法で太陽電池バックシートを作製した。得られたバックシートの耐湿熱性の評価を実施したところ、表2の通り、良好な耐湿熱性を有することが分かった。
(実施例31〜32)
チタン触媒Aを添加する代わりに、チタン触媒Bまたはチタン触媒Cを、チタン元素の添加量が表1になるよう添加した以外は、実施例1と同様にして、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムにおける、チタン元素、リン元素、ナトリウム金属元素、およびマンガン金属元素の含有量、モル比T/P、T/M1、Ma/PおよびMb/P、末端カルボキシル基量、耐湿熱性および色調の評価結果を表2に示す。表2に示すように、ポリエステルフィルムにおける含有元素量が同じである実施例14と同等の優れた耐湿熱性および色調を有するポリエステルフィルムであった。
また、得られたポリエステルフィルムを用いて、実施例1と同様の方法で太陽電池バックシートを作製した。得られたバックシートの耐湿熱性の評価を実施したところ、表2の通り、良好な耐湿熱性を有することが分かった。
(実施例33〜34)
酢酸マンガンを添加する代りに、酢酸アルミニウムを添加し、チタン元素、リン元素、ナトリウム元素、アルミニウム元素の添加量が表1に示すようにした以外は、実施例1と同様にして、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムにおける、チタン元素、リン元素、ナトリウム元素、およびアルミニウム元素の含有量、モル比T/P、T/M1、Ma/PおよびMb/P、末端カルボキシル基量、耐湿熱性および色調の評価結果を表2に示す。表2に示すように、優れた耐湿熱性を有していた。また、得られたポリエステルフィルムを用いて、実施例1と同様の方法で太陽電池バックシートを作製した。得られたバックシートの耐湿熱性の評価を実施したところ、表2の通り、良好な耐湿熱性を有することが分かった。
(実施例35)
酢酸マンガンを添加する代りに、酢酸マンガンおよび酢酸アルミニウムを添加し、チタン元素、リン元素、ナトリウム元素、マンガン元素、アルミニウム元素の添加量が表1に示すようにした以外は、実施例1と同様にして、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムにおける、チタン元素、リン元素、ナトリウム元素、マンガン元素、およびアルミニウム元素の含有量、モル比T/P、T/M1、Ma/PおよびMb/P、末端カルボキシル基量、耐湿熱性および色調の評価結果を表2に示す。表2に示すように、優れた耐湿熱性と色調を有していた。特に、実施例12よりも高い耐湿熱性を有していた。
また、得られたポリエステルフィルムを用いて、実施例1と同様の方法で太陽電池バックシートを作製した。得られたバックシートの耐湿熱性の評価を実施したところ、表2の通り、良好な耐湿熱性を有することが分かった。
(比較例1)
チタン元素、リン元素、ナトリウム元素の添加量が表3に示すようにチタン触媒A、リン酸、酢酸ナトリウムを添加した以外は、実施例1と同様にして、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムにおける、チタン元素、リン元素、ナトリウム元素、およびマンガン元素の含有量、モル比T/P、T/M1、Ma/PおよびMb/P、末端カルボキシル基量、耐湿熱性および色調の評価結果を表4に示す。表4に示すように、ポリエステルフィルムにおけるチタン元素含有量が少なく、T/PおよびT/M1が不適切であるため、末端カルボキシル基量も多く、耐湿熱性に劣り、また色調にも劣るポリエステルフィルムであった。
(比較例2)
チタン元素、リン元素、ナトリウム元素の添加量が表3に示すようにチタン触媒A、リン酸、酢酸ナトリウムを添加した以外は、実施例1と同様にして、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムにおける、チタン元素、リン元素、ナトリウム元素、およびマンガン元素の含有量、モル比T/P、T/M1、Ma/PおよびMb/P、末端カルボキシル基量、耐湿熱性および色調の評価結果を表4に示す。表4に示すように、ポリエステルフィルムにおけるリン元素含有量が多く、末端カルボキシル基量が多く、耐湿熱性に劣るポリエステルフィルムであった。
(比較例3〜5)
チタン元素、リン元素、ナトリウム元素の添加量が表3に示すようにチタン触媒A、リン酸、酢酸ナトリウムを添加した以外は、実施例1と同様にして、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムにおける、チタン元素、リン元素、ナトリウム元素、およびマンガン元素の含有量、モル比T/P、T/M1、Ma/PおよびMb/P、末端カルボキシル基量、耐湿熱性および色調の評価結果を表4に示す。表4に示すように、ポリエステルフィルムにおけるチタン元素含有量が多いために、重合中にゲル化が進行し、また、比較例3および4ではT/Pが大きすぎ、耐湿熱性に劣るポリエステルフィルムであった。また比較例3では、色調にも劣るポリエステルフィルムであった。
(比較例6〜7)
チタン元素、リン元素、ナトリウム元素の添加量が表3に示すようにチタン触媒A、リン酸、酢酸ナトリウムを添加した以外は、実施例1と同様にして、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムにおける、チタン元素、リン元素、ナトリウム元素、およびマンガン元素の含有量、モル比T/P、T/M1、Ma/PおよびMb/P、末端カルボキシル基量、耐湿熱性および色調の評価結果を表4に示す。リン元素含有量が少なく、T/Pが大きすぎ、耐湿熱性に劣るポリエステルフィルムであった。
(比較例8〜13)
チタン元素、リン元素、ナトリウム元素の添加量が表3に示すようにチタン触媒A、リン酸、酢酸ナトリウムを添加した以外は、実施例1と同様にして、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムにおける、チタン元素、リン元素、ナトリウム元素、およびマンガン元素の含有量、モル比T/P、T/M1、Ma/PおよびMb/P、末端カルボキシル基量、耐湿熱性および色調の評価結果を表4に示す。ナトリウム元素含有量が少ないため、色調に劣るポリエステルフィルムであった。
(比較例14〜16)
チタン元素、リン元素、ナトリウム元素の添加量が表3に示すようにチタン触媒A、リン酸、酢酸ナトリウムを添加した以外は、実施例1と同様にして、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムにおける、チタン元素、リン元素、ナトリウム元素、およびマンガン元素の含有量、モル比T/P、T/M1、Ma/PおよびMb/P、末端カルボキシル基量、耐湿熱性および色調の評価結果を表4に示す。T/M1が小さすぎ、耐湿熱性に劣るポリエステルフィルムであった。
(比較例17〜22)
チタン元素、リン元素、ナトリウム元素の添加量が表3に示すようにチタン触媒A、リン酸、酢酸ナトリウムを添加した以外は、実施例1と同様にして、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムにおける、チタン元素、リン元素、ナトリウム元素、およびマンガン元素の含有量、モル比T/P、T/M1、Ma/PおよびMb/P、末端カルボキシル基量、耐湿熱性および色調の評価結果を表4に示す。比較例17〜19では、T/Pが小さすぎ、また比較例20〜22では、T/Pが大きすぎ、耐湿熱性に劣るポリエステルフィルムであった。
(比較例23)
チタン元素、リン元素、ナトリウム元素の添加量が表3に示すようにチタン触媒A、リン酸、酢酸ナトリウムを添加した以外は、実施例1と同様にして、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムにおける、チタン元素、リン元素、ナトリウム元素、およびマンガン元素の含有量、モル比T/P、T/M1、Ma/PおよびMb/P、末端カルボキシル基量、耐湿熱性および色調の評価結果を表4に示す。ナトリウム元素の含有量が多すぎ、またT/M1も小さく、耐湿熱性に劣るポリエステルフィルムであった。
(比較例24)
酢酸マンガンを添加する代りに、酢酸マンガンおよび酢酸マグネシウムを、マンガン元素およびマグネシウム元素の添加量が表3に示すように添加した以外は、実施例1と同様にして、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムにおける、チタン元素、リン元素、ナトリウム元素、マンガン元素およびマグネシウム元素の含有量、モル比T/P、T/M1、Ma/PおよびMb/P、末端カルボキシル基量、耐湿熱性および色調の評価結果を表4に示す。表4に示すように、比較例24は、耐湿熱性に劣るポリエステルフィルムであった。
(比較例25〜26)
酢酸マンガンを添加する代りに、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛を、マグネシウム元素、亜鉛元素の添加量が表3に示すように添加した以外は、実施例1と同様にして、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムにおける、チタン元素、リン元素、ナトリウム元素、マグネシウム元素/亜鉛元素の含有量、モル比T/P、T/M1、Ma/PおよびMb/P、末端カルボキシル基量、耐湿熱性および色調の評価結果を表4に示す。表4に示すように、耐湿熱性に劣るポリエステルフィルムであった。
Figure 2014065882
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本発明のポリエステルは、重金属元素を含有せず、耐湿熱性および色調に優れたポリエステルフィルムで、その特性を生かして太陽電池バックシート、面状発熱体、もしくはフラットケーブルなどの電気絶縁材料、コンデンサ用材料、自動車用材料、建築材料をはじめとした用途に好適に使用することができる。

Claims (12)

  1. カルシウム元素、マンガン元素、アルミニウム元素のうち少なくとも1種類の金属元素を含有するポリエステルフィルムであって、該ポリエステルフィルムを構成するポリエステルが、カルシウム元素、マンガン元素以外の2価の金属元素の含有量が前記ポリエステルに対してそれぞれ5ppm以下、酸化チタンに由来するチタン元素を除くチタン元素含有量が1ppm以上20ppm以下、リン元素含有量が5ppm以上100ppm以下、アルカリ金属元素含有量が3ppm以上100ppm以下であり、
    かつ、前記ポリエステルに対するチタン元素含有量をT(mol/ton)、リン元素含有量をP(mol/ton)、アルカリ金属元素含有量をM1(mol/ton)とするとき、下記(i)式、(ii)式を満たすことを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム。
    (i)0.13≦T/P≦0.85
    (ii)T/M1≧0.1
  2. 前記ポリエステルに対する、カルシウム元素とマンガン元素とアルミニウム元素の含有量の和が5ppm以上150ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  3. 前記ポリエステルに対するアルカリ金属元素含有量をM1(mol/ton)、カルシウム元素含有量とマンガン元素の含有量の和をM2(mol/ton)、アルミニウム元素含有量をM3(mol/ton)とするとき、下記(iii)式で求められる、前記ポリエステルにおける金属含有量Ma(mol/ton)と、リン元素含有量P(mol/ton)が、下記(iv)式を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
    (iii)Ma=M1/2+M2+3×M3/2
    (iv)0.75≦Ma/P≦3.0
  4. カルシウム元素、マンガン元素のうち少なくとも1種類の金属元素を含有することを特徴とする請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  5. 前記ポリエステルに対する、カルシウム元素とマンガン元素の含有量の和が5ppm以上150ppm以下であることを特徴とする請求項4に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  6. 前記ポリエステルに対するアルカリ金属元素含有量をM1(mol/ton)、カルシウム元素含有量とマンガン元素の含有量の和をM2(mol/ton)とするとき、下記(v)式で求められる、前記ポリエステルにおける金属含有量Mb(mol/ton)と、リン元素含有量P(mol/ton)が、下記(vi)式を満たすことを特徴とする請求項4または5に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
    (v)Mb=M1/2+M2
    (vi)0.75≦Mb/P≦3.0
  7. 前記ポリエステルに含有するアルカリ金属元素が、カリウム元素、ナトリウム元素の少なくとも1種類である請求項1〜6のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  8. 前記ポリエステルが、リン酸とリン酸アルカリ金属塩を添加して得られることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  9. 前記ポリエステルが、アルコキシ基、フェノキシ基、アシレート基、アミノ基および水酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を有しているチタン化合物(酸化チタン除く)を添加して得られることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  10. 太陽電池バックシートに用いられる請求項1〜9のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルムを用いた太陽電池バックシート。
  12. 請求項11に記載の太陽電池バックシートを用いた太陽電池。
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