JP6619946B2 - 複層軸受の製造方法および複層軸受 - Google Patents

複層軸受の製造方法および複層軸受 Download PDF

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本発明は、複層軸受用の下地層付き金属製基材、複層軸受の製造方法および複層軸受用の下地層付き金属製基材、複層軸受に関する。
複層軸受では、金属製基材の表面に樹脂層を密着させて確実に取着させるため、金属製基材の表面に下地層を形成し、この下地層の上に樹脂層を形成している。この下地層は、従来、金属製基材に形成された銅めっき層と、この銅めっき層の上に形成された銅系焼結層とで構成されている。
より詳細に説明すると、従来、複層軸受の金属製基材として、SPCCなどの圧延鋼板が用いられており、まず、多数の複層軸受が得られる大きさの一枚の鋼板を用意する。
次に、下地層を形成する。すなわち、一枚の鋼板にメッキ処理を施し、一枚の鋼板の全面に銅めっき層を形成する。この銅めっき層は、鋼板と銅系焼結層との密着性を確保するためのものである。
次に、一枚の鋼板の一方の面の銅めっき層の上に銅系焼結層を形成する。これにより、一枚の鋼板の一方の面に、銅めっき層と銅系焼結層とで構成された下地層が形成される。
そして、この下地層の上に樹脂層を形成する。
次に、一方の面に下地層、樹脂層が形成された一枚の鋼板を、製造すべき複層軸受の大きさに切断(シャーリング)することが行なわれ、下地層、樹脂層が形成された鋼板が多数得られる。
最後に、例えば、複層軸受が円筒状の滑り軸受である場合には、樹脂層が内側にくるように切断された鋼板を円筒曲げ成形する。
したがって、出来上がった複層軸受は、切断された箇所で金属製基材である鋼板と、銅めっき層と銅系焼結層とで構成された下地層がむき出しとなる。
特開2013−2517
そのため、従来の複層軸受では、複層軸受の端面に鋼板と、下地層がむき出しとなる。すなわち、鋼板と、下地層を構成する銅めっき層と銅系焼結層とがむき出しとなる。そのため、例えば、硫黄成分を含む油中での使用、塩水中での使用など、腐食性環境下での使用には耐久性の点で限界があった。
そこで、金属製基材としてステンレス鋼を用いることが考えられるが、下地層を銅めっき層と銅系焼結層とで構成した場合には、やはり、下地層、樹脂層が形成された一枚の鋼板を、製造すべき複層軸受の大きさに切断した際に、切断された箇所で下地層を構成する銅めっき層と銅系焼結層がむき出しとなり、腐食性環境下での使用には耐久性の点で限界がある。
また、金属製基材としてステンレス鋼を用い、下地層としてステンレス焼結層を用いることが考えられる。この場合には、下地層、樹脂層が形成された一枚の鋼板を、製造すべき複層軸受の大きさに切断した際に、切断された箇所で金属製基材と下地層がむき出しとなっても、金属製基材と下地層がともにステンレス製であるため、腐食性環境下での使用に問題がないものの、ステンレス焼結層を作るには1200℃以上の温度で処理する必要があるため、放電プラズマ焼結法や真空焼結法など、特殊な焼結法にて焼結する必要があり、汎用的な連続炉を用いてステンレス焼結層を作ることは困難である。
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、連続炉を用いて製造でき、腐食性環境下での耐久性を向上する上で有利な複層軸受用の下地層付き金属製基材、複層軸受の製造方法および複層軸受用の下地層付き金属製基材、複層軸受を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明の第1は、金属製基材と、前記金属製基材の上に設けられた下地層とを有する複層軸受用の下地層付き金属製基材の製造方法であって、前記金属製基材としてステンレス鋼板を用い、前記下地層を、ステンレス鋼の粉体と接合用ろう材とを混合した混合物を前記ステンレス鋼板の上に散布し、散布後、非酸化性雰囲気下で加熱して前記接合用ろう材を溶融させ、加熱後、徐冷することで、前記ステンレス鋼の粉体を前記ステンレス鋼板の表面に前記接合用ろう材を介して積み重ねて形成するようにしたことを特徴とする。
本発明の第2は、複層軸受の製造方法であって、ステンレス鋼の粉体と接合用ろう材とを混合した混合物を生成する混合物生成工程と、ステンレス鋼板の上に前記混合物を散布する散布工程と、前記混合物が散布されたステンレス鋼板を非酸化性雰囲気下で加熱して前記接合用ろう材を溶融させ、加熱後、徐冷することで、前記ステンレス鋼板の表面に、前記ステンレス鋼の粉体が前記接合用ろう材を介して積み重ねられて形成された下地層を形成する下地層形成工程と、前記下地層の上に、滑り性を有する樹脂材料を配置して加熱し、ローラにより押圧して平坦な軸受面を有する樹脂層を形成する樹脂層形成工程とを備えることを特徴とする。
本発明の第3は、前記混合物生成工程において前記混合物を、前記ステンレス鋼の粉体100質量部に対して前記接合用ろう材を90質量部〜300質量部の割合で混合して生成することを特徴とする。
本発明の第4は、金属製基材と、前記金属製基材の上に形成された下地層とを有する複層軸受用の下地層付き金属製基材であって、前記金属製基材はステンレス鋼板からなり、前記下地層は、前記ステンレス鋼板の表面にステンレス鋼の粉体が接合用ろう材を介して積み重ねられて形成されていることを特徴とする。
本発明の第5は、前記ステンレス鋼の粉体と前記接合用ろう材とは、前記ステンレス鋼の粉体100質量部に対して前記接合用ろう材が90質量部〜300質量部の割合で混合されていることを特徴とする。
本発明の第6は、前記下地層の上に樹脂層が形成されていることを特徴とする複層軸受である。
本発明の第7は、前記接合用ろう材は、Niろう材であることを特徴とする。
本発明の第8は、前記Niろう材は、融点が950℃以下であることを特徴とする。
本発明の第9は、前記Niろう材は、リンを10〜11質量%含むことを特徴とする。
前記本発明の第1の発明によれば、加熱は、接合用ろう材の融点近傍の範囲の温度をかけることで足りるため、放電プラズマ焼結法や真空焼結法など、特殊な焼結法にて焼結することなく汎用的な連続炉の使用が可能となる。
また、下地層は、ステンレス鋼の粉体が積み重ねられて形成され、下地層の表面は微細な凹凸を有しているため、樹脂層を含む軸受層との密着性に優れる。
また、製造時に切断された箇所で金属製基材及び下地層がむき出しになっていても、金属製基材及び下地層はステンレス鋼であることから、本発明の下地層付き金属製基材を用いた複層軸受の腐食性環境下での使用の耐久性を向上する上で有利となる。
また、従来のように、下地層を形成するためのめっき層が不要となることから、時間を要するメッキ処理を省略でき、複層軸受用の下地層付き金属製基材を短時間で製造する上で有利となる。
前記本発明の第2の発明によれば、加熱は、接合用ろう材の融点近傍の範囲の温度をかけることで足りるため、放電プラズマ焼結法や真空焼結法など、特殊な焼結法にて焼結することなく汎用的な連続炉の使用が可能となる。
また、樹脂層と下地層とが確実に密着して取着され、したがって、下地層を介して樹脂層がステンレス鋼板に確実に取着されている。
また、製造時に切断された箇所で金属製基材及び下地層がむき出しになっていても、金属製基材及び下地層はステンレス鋼であることから、複層軸受の腐食性環境下での使用の耐久性を向上する上で有利となる。
また、従来のように、下地層を形成するためのめっき層が不要となることから、時間を要するメッキ処理を省略でき、複層軸受を短時間で製造する上で有利となる。
前記本発明の第3の発明によれば、ステンレス鋼板とステンレス鋼の粉体との接合強度、及び下地層と樹脂層との密着性の点で有利となる。
前記本発明の第4の発明によれば、下地層の製造時、接合用ろう材の融点近傍の範囲の温度をかけることで足りるため、放電プラズマ焼結法や真空焼結法など、特殊な焼結法にて焼結することなく汎用的な連続炉を用いた製造が可能となる。
また、下地層は、ステンレス鋼の粉体が積み重ねられて形成され、下地層の表面は微細な凹凸を有しているため、樹脂層を含む軸受層との密着性に優れる。
また、製造時に切断された箇所で金属製基材及び下地層がむき出しになっていても、金属製基材及び下地層はステンレス鋼であることから、本発明の下地層付き金属製基材を用いた複層軸受の腐食性環境下での使用の耐久性を向上する上で有利となる。
また、従来のように、下地層を形成するためのめっき層が不要となることから、時間を要するメッキ処理を省略でき、複層軸受用の下地層付き金属製基材を短時間で製造する上で有利となる。
前記本発明の第5の発明によれば、ステンレス鋼板とステンレス鋼の粉体との接合強度、及び下地層と樹脂層との密着性の点で有利となる。
前記本発明の第6の発明によれば、樹脂層と下地層とが確実に密着して取着され、したがって、下地層を介して樹脂層がステンレス鋼板に確実に取着されている。
また、製造時に切断された箇所で金属製基材及び下地層がむき出しになっていても、金属製基材及び下地層はステンレス鋼であることから、腐食性環境下での使用の耐食性に優れる複層軸受を得る上で有利となる。
前記本発明の第7の発明によれば、Niろう材は、ステンレス鋼に対して濡れ性に優れ、耐食性に優れるため、ステンレス鋼の粉体が相互に確実に接合された下地層を得る上で有利となる。
前記本発明の第8の発明によれば、融点が950℃以下のNiろう材を使用することで、汎用的な連続炉においても安定して製造可能となる。
前記本発明の第9の発明によれば、リンを10〜11質量%含むNiろう材は、共晶点に近く固相温度と液相温度の差が少ないため、汎用的な連続炉においてもより安定して製造可能であるとともに、ステンレス鋼との濡れ性に非常に優れることにより、ステンレス鋼の紛体が相互に確実に接合された下地層を得るとともに、ステンレス鋼板と下地層との充分な接合強度を得る上で有利である。
第1の実施の形態の複層軸受の斜視図である。 下地層の拡大図である。 (A)〜(E)は一枚のステンレス鋼板から多数の第1の実施の形態の複層軸受を製造する場合の説明図である。
以下に添付図面を参照して、本発明の製造方法を複層軸受と共に説明する。
まず、複層軸受が、円筒状の滑り軸受である第1の実施の形態について図1〜図3を参照して説明する。
図1、図2に示すように、複層軸受10Aは、金属製基材をなす円筒状のステンレス鋼板12と、ステンレス鋼板12の内周面の全域に形成された下地層14と、下地層14の上に形成された樹脂層16とを備えている。
このような複層軸受10Aを製造するに際して、図3(A)〜(E)に示すように、所定の大きさの一枚の平板状のステンレス鋼板18の一方の面の全域に、下地層14を介して樹脂層16を形成しておき、このステンレス鋼板18を切断して適宜大きさの矩形体26を得、この矩形体26を円筒曲げ成形することで製造され、図1において符号1002は合せ目を示している。
なお、製品である複層軸受10Aを構成するステンレス鋼板を符号12で示し、複層軸受10Aを構成する前の段階のステンレス鋼板を符号18で示す。
(混合物生成工程)
より詳細に説明すると、複層軸受10Aを製造するに際して、ステンレス鋼の粉体20(図2参照)と接合用ろう材とを混合した混合物22(図3(B)参照)を生成する。
ここで、ステンレス鋼の粉体20として、粒径37〜62μmを用いたが、複層軸受の製造において、樹脂層を取着するに充分なアンカー効果を有する下地層を形成できるものであれば、いずれの粒径も使用可能である。なお、ステンレス鋼の粉体20及びステンレス鋼板18は、オーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系のいずれの組み合わせでも良い。なお、ステンレス鋼の粉体20は製造方法の違いにより、水アトマイズ粉末、ガスアトマイズ粉末、遠心アトマイズ粉末等があり、いずれも使用可能である。粉末形状が球形であるガスアトマイズ粉末や、遠心アトマイズ粉末に対し、粉末表面に凹凸を有する水アトマイズ粉末を使用した方が、下地層と樹脂層をより確実に密着させることが可能である。
また、接合用ろう材としては、Niろう材や銀ろうなど従来公知の様々な接合用ろう材が使用可能であるが、中でもステンレス鋼に対して濡れ性に優れ、より耐食性に優れるNiろう材が好適であり、リン(P)を10〜11質量%含むNiろう材はより好適である。
ステンレス鋼の粉体20と接合用ろう材の混合比において、ステンレス鋼の粉体100質量部に対して接合用ろう材を90質量部以上の割合で、ステンレス鋼板18へのステンレス鋼の粉体20の接合強度が十分となり、接合用ろう材の割合がさらに増えるほど接合強度は大きくなる。しかしながら、ステンレス鋼の粉体20に対して接合用ろう材の割合が増えるほど、ステンレス鋼の粉体同士の間の隙間(下地層表面の微細な凹凸)が小さくなり、下地層と樹脂層の密着性が低下する。よって、ステンレス鋼の粉体100質量部に対して接合用ろう材を90質量部〜300質量部の割合で混合することが、ステンレス鋼板18とステンレス鋼の粉体20との接合強度、及び下地層14と樹脂層16との密着性の点で好ましく、140質量部〜240質量部の割合で混合するとより好ましい。
(散布工程)
次に、図3(A)に示すように、多数の複層軸受10Aが得られるように所定の大きさの一枚の平板状のステンレス鋼板18を用意する。
そして、図3(B)に示すように、ステンレス鋼板18の表面の全域に混合物22を散布する。
混合物22は、ステンレス鋼板18の上に均一の厚さで散布することが望ましい。
例えば、散布後、ステンレス鋼板18の表面と平行にステンレス鋼板18の表面から所定の高さ(例えば、0.1〜0.2mm)に位置するようにロッドを延在させ、このロッドをその長手方向または長手方向と直交する方向に移動させるなどのことを行なうと、散布された混合物22の厚さを均一にする上で好ましい。
(下地層形成工程)
つぎに、混合物22が散布されたステンレス鋼板18を非酸化性雰囲気下で接合用ろう材の融点近傍の範囲の温度、例えば、875℃〜950℃の範囲で加熱する。
この場合、非酸化性雰囲気とは還元性雰囲気や不活性雰囲気、真空状態を含み、還元性雰囲気には水素ガスや水素窒素混合ガスなどが用いられ、不活性雰囲気にはアルゴンガスやヘリウムガスなどが用いられる。このような非酸化性雰囲気のなかでも、接合部表面に付着した酸化物等の影響を受けにくい還元性雰囲気下がより好ましい。なお、本実施の形態では、汎用的な連続炉を用いるため真空状態を使用できない。
加熱時、ステンレス鋼の融点は1400℃〜1530℃の範囲であるため、ステンレス鋼の粉体20は溶融しない。
これに対して接合用ろう材は、融点が950℃以下であるため、接合用ろう材は、加熱時溶融してステンレス鋼板18の表面に速やかに拡がると共に、ステンレス鋼の粉体20間に速やかに拡がる。
加熱後、非酸化性雰囲気下で徐冷する。
これによりステンレス鋼板18の表面に、図2に示すように、接合用ろう材によりステンレス鋼の粉体20が接合されると共に、ステンレス鋼の粉体20どうしが接合され、ステンレス鋼板18の表面にステンレス鋼の粉体20が積み重ねられて形成され表面に微細な凹凸を有する下地層14が形成される。
(樹脂層形成工程)
次に、図3(C)に示すように、下地層14の上に、滑り性を有する樹脂材料を配置して加熱し、ローラにより押圧して平坦な軸受面を有する樹脂層16を形成する。
この場合、下地層14の上に樹脂材料を配置しとは、下地層14の上に樹脂材料を散布または塗布することや、下地層14の上に樹脂製の薄い帯板あるいは膜体を敷くことなどを広く含む概念であり、従来の銅めっきと銅系焼結層からなる下地層の上に樹脂層を形成する際に使用される従来公知の様々の手法が採用可能である。
また、滑り性を有する樹脂材料としては、複層軸受に使用される従来公知の様々な樹脂が採用可能であり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアミドイミド樹脂およびこれらの樹脂を主成分とし、これに潤滑油剤や強化材を配合したものなどが挙げられる。
次に、図3(D)に示すように、樹脂層16が形成されたステンレス鋼板18を切断線24に沿って切断することで、図3(E)に示すように、一方の面の全域に樹脂層16が形成された矩形体26を得、次に、樹脂層16が内側となるように矩形体26を円筒曲げ成形し、図1に示すステンレス鋼板12と、下地層14と、樹脂層16とを備える円筒状の複層軸受10Aを得る。
なお、ステンレス鋼板12、下地層14、樹脂層16の各厚さは、従来と同様に、使用に応じて適宜設定される。
本実施の形態によれば、ステンレス鋼板12に接合された下地層14の表面は、ステンレス鋼の粉体20が積み重ねられて形成され、表面に微細な凹凸を有しているため、樹脂層16と下地層14とが確実に密着して取着され、したがって、下地層14を介して樹脂層16がステンレス鋼板12に確実に取着されている。
また、下地層14、樹脂層16が形成されたステンレス鋼板18から所望の大きさに切断された矩形体26は、切断された箇所である4辺において金属製基材及び下地層がむき出しとなり、樹脂層16と反対の面も金属製基材がむき出しとなる。しかしながら、むき出しとなった金属製基材及び下地層はステンレス鋼及びNiろう材であることから、耐食性に優れる複層軸受10Aを得る上で有利となる。
したがって、例えば、硫黄成分を含む油中や、塩水中で使用する際の耐食性(耐硫化腐食性、耐塩水腐食性)に優れ、腐食性環境下での複層軸受10Aの耐久性を高める上で有利となる。
また、従来のように、下地層を形成するためのめっき層が不要となることから、メッキ処理を省略でき、詳細には、ステンレス基材への時間を要するめっき処理及びメッキ処理に必要なサンディングやショットブラスト工程が不要となり、複層軸受10Aを短時間で製造する上で有利となる。
なお、実施の形態では金属製基材として所定の大きさの平板状のステンレス鋼板を用いたが、これに限らず一定幅の連続した鋼帯(コイル)を用いてもよい。
また、実施の形態では、金属製基材としてめっき処理されていないステンレス鋼板を用いたが、例えば、Niめっきしたフェライト系のSUS430ステンレス鋼板など、Niめっき等のめっき処理したステンレス鋼板も用いることができる。
(実施例)
下地層と金属基材との密着力および耐食性試験を行うために、下記に示す下地層付き金属製基材の試験片を作製した。
金属基材として、オーステナイト系のSUS316Lステンレス鋼板を用いた。
下地層として、オーステナイト系のSUS316Lステンレス鋼の粉体とリン(P)を11質量%含むNiろう材を4:6の質量比率(ステンレス鋼の粉体100質量部に対してNiろう材150質量部)で混合した混合物を用いた。
ステンレス鋼板の上に混合物を散布後、水素窒素混合ガス(還元性雰囲気)中で、890〜920℃で5分間熱処理して、下地層付き金属製基材を作製した。
同様に、上記ステンレス鋼の粉体とNiろう材を3:7の質量比率(ステンレス鋼の粉体100質量部に対してNiろう材233質量部)で混合した混合物を生成し、上記と同様にして下地層付き金属製基材を作製した。
2つの試験片について、金属基材に接合した下地層に対してたがね打込み試験を実施し、いずれも接合状態が良好であることを確認した。
また、極圧添加剤として硫黄成分を含むギアオイル(150℃)、3.5%濃度の塩水(常温)、pH2の希硫酸水溶液(常温)への浸漬試験を実施し、充分な耐食性を有することを確認した。
次に、上記2種類の下地層付き金属製基材の下地層の上に、滑り性を有する樹脂材料としてポリテトラフルオロエチレン樹脂を主成分とする樹脂材料を散布し、加熱処理、ローラによる押圧処理を施して樹脂層を形成し、複層軸受試験片を作製した。
これらの試験片を用いて下地層と樹脂層との密着性の評価を実施した。
評価は垂直剥離試験により行った。垂直剥離試験とは、試験片の樹脂層表面を脱フッ素処理後、エポキシ系接着剤にて所定の径の鋼製ピンを接着し、試験片とピンとの引き剥がし力を測定する方法である。
評価の結果、いずれも充分な密着力を有することを確認した。
10A……複層軸受
12、18……ステンレス鋼板
14……下地層
16……樹脂層
20……ステンレス鋼の粉体
22……混合物
24……切断線

Claims (5)

  1. ステンレス鋼の粉体と接合用ろう材とを混合した混合物を生成する混合物生成工程と、
    ステンレス鋼板の上に前記混合物を散布する散布工程と、
    前記混合物が散布されたステンレス鋼板を非酸化性雰囲気下で加熱して前記接合用ろう材を溶融させ、加熱後、徐冷することで、前記ステンレス鋼板の表面に、前記ステンレス鋼の粉体が前記接合用ろう材を介して積み重ねられて形成された下地層を形成する下地層形成工程と、
    前記下地層の上に、滑り性を有する樹脂材料を配置して加熱し、ローラにより押圧して平坦な軸受面を有する樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、
    を備え、
    前記接合用ろう材は、リンを10〜11質量%含むNiろう材である、
    ことを特徴とする複層軸受の製造方法。
  2. 前記混合物生成工程において前記混合物を、前記ステンレス鋼の粉体100質量部に対して前記接合用ろう材を90質量部〜300質量部の割合で混合して生成する、
    ことを特徴とする請求項記載の複層軸受の製造方法。
  3. 金属製基材と、前記金属製基材の上に形成された下地層と、前記下地層の上に樹脂層が形成されている複層軸受であって、
    前記金属製基材はステンレス鋼板からなり、
    前記下地層は、前記ステンレス鋼板の表面にステンレス鋼の粉体が接合用ろう材を介して積み重ねられて形成され、
    前記接合用ろう材は、リンを10〜11質量%含むNiろう材である、
    ことを特徴とする複層軸受
  4. 前記ステンレス鋼の粉体と前記接合用ろう材とは、前記ステンレス鋼の粉体100質量部に対して前記接合用ろう材が90質量部〜300質量部の割合で混合されている、
    ことを特徴とする請求項記載の複層軸受
  5. 前記Niろう材は、融点が950℃以下である、
    ことを特徴とする請求項3または4記載の複層軸受
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