以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。但し、以下で参照する各図は、説明の便宜上、本発明の一実施形態の構成部のうち、本実施形態を説明するために必要な主要部を簡略化して示したものである。
図1は、駅のホームY1に停留中の車両X1を示す。図1に示すように、車両X1は、レール上を走行する列車であって、当該車両X1の左右には乗降者が乗り降りするための乗降口21,22が設けられている。本実施形態では、乗降口21,22のうち乗降口21がホームY1側に位置しており、当該ホームY1にて待機中の乗降者が乗降口21を通じて車両X1に乗り込むことができる。
車両X1は、乗降口21,22のそれぞれを開閉するドア31,32を有している。ドア31,32は、車両X1の左右のそれぞれに設けられている。ドア31とドア32とは、同様の構成を有している。ここで、図2は、乗降口21を開閉するドア31を示す。図2に示すように、ドア31は、互いに対向する左右一対の第1ドア31aおよび第2ドア31bを有している。
第1ドア31aおよび第2ドア31bは、空気式シリンダCの動作によって開閉される。具体的に、本実施形態に係るドアコントローラ7と第1ドア31aおよび第2ドア31bとの連結には、ラックアンドピニオン方式が採用される。ドア31の上方には、第1ドア31aおよび空気式シリンダCに連結される上側ラックと、第2ドア31bの連結される下側ラックと、上側ラックと下側ラックとの間に位置するピニオンと、が設けられている。そして、ドアコントローラ7からの指令に基づき、コンプレッサによって空気式シリンダCを作動することにより、上側ラックが移動するとともにピニオンを介して当該上側ラックに連動して下側ラックが移動する。空気式シリンダCが一方方向に移動すると、第1ドア31aと第2ドア31bとが互いに近づくように移動し、これにより乗降口21が閉じられることになる。一方、空気式シリンダCが前記一方方向の反対方向に移動すると、第1ドア31aと第2ドア31bとが互いに遠ざかるように移動し、これにより乗降口21が開かれることになる。
なお、本実施形態では、ラックアンドピニオン方式を採用しているが、これに限らず、ベルト式を採用してもよい。ベルト式を採用する場合、ドア31の上方には、ベルトが配置され、当該ベルトに第1ドア31aおよび第2ドア31bのそれぞれが連結されることになる。
また、本実施形態では、空気式シリンダCを利用してドア31の開閉を行っているが、これに限らず、モータ等の電気式の駆動装置を利用してドア31の開閉を行ってもよい。
ドア31,32の戸先には、弾性部材41,42が取り付けられている。具体的には、図2に示すように、ドア31のうち第1ドア31aの戸先には、第1弾性部材41が取り付けられており、第2ドア31bの戸先には、第2弾性部材42が取り付けられている。弾性部材41,42は、例えばゴム材料によって形成される。
ここで、第1ドア31aと第2ドア31bとが互いに近づく方向に移動すると、第1弾性部材41と第2弾性部材42とが互いに接触することになる。このとき、第1ドア31aと第2ドア31bとは、空気式シリンダCの動作によって互いに近づく方向に一定の力を加えられた状態にある。このため、第1弾性部材41と第2弾性部材42とは、互い接触した後に少し押し潰されることになり、この状態で第1ドア31aと第2ドア31bとが静止することにより、ドア31が全閉状態に維持される。なお、ドア31をモータ等の電気式の駆動装置によって開閉する場合には、例えば第1ドア31aと第2ドア31bとを機械的にロックすることにより、ドア31が全閉状態に維持されることになる。また、ドア31が全開状態にあるときは、空気式シリンダCの動作によって当該全開状態が維持される。
また、第1弾性部材41は、図3に示すように、当該第1弾性部材41の変形に伴って内圧が変化する中空部41aを有している。なお、第2弾性部材42も同様に中空部を有している。
ここで、車両X1は、車両X1における戸挟みを検出する戸挟み検出装置Z1を備えている。車両X1における戸挟みとは、ドア31,32が閉じられた後に当該ドア31,32において乗降者の着衣等の物が挟まった状態にあることを指す。戸挟み検出装置Z1は、車両X1の左右のドア31,32にそれぞれ設けられている。
戸挟み検出装置Z1は、弾性部材41,42の変形に応じた信号を出力する圧力スイッチ51,52と、ドア31,32が閉じられたことを検出する戸閉スイッチ6と、圧力スイッチ51,52からの信号に応じて戸挟みを検出する戸挟み検出部73と、を有している。本実施形態では、戸挟み検出装置Z1のうち戸挟み検出部73は、ドア31,32の開閉制御および減圧制御を行うためのドアコントローラ7に含まれている。
以下では、ドア31に設けられた圧力スイッチ51,52、戸閉スイッチ6、およびドアコントローラ7について説明する。なお、ドア32に設けられた圧力スイッチ51,52、戸閉スイッチ6、およびドアコントローラ7についても同様の構成を有する。
第1圧力スイッチ51は、第1弾性部材41に繋がっており、第2圧力スイッチ52は、第2弾性部材42に繋がっている。また、第1圧力スイッチ51および第2圧力スイッチ52は、ドアコントローラ7に共通接続されている。
第1圧力スイッチ51および第2圧力スイッチ52は同様の構成を有しているため、以下では第1圧力スイッチ51の構成について説明する。
図3に示すように、圧力スイッチ51は、本体51Aと当該本体51Aの内部に位置する空間Sを有している。また、圧力スイッチ51は、空間Sを第1空間S1と第2空間S2とに分けるように、当該空間Sを仕切る膜板51aを有している。第1空間S1は、チューブT1を通じて第1弾性部材41の中空部41aに繋がっており、当該中空部41aと均圧となる。また、第2空間S2は、大気開放されている。
膜板51aのうち第2空間S2側の面には、第1接点51bが設けられている。また、圧力スイッチ51は、感度調整部51cを有している。本実施形態では、感度調整部51cは、先端に第2接点51dを有している。そして、感度調整部51cは、第2接点51dが第2空間S2において第1接点51bに対向するように、本体51Aに取り付けられている。第2接点51dは、通常状態において第1接点51bとは離間している。
ここで、第1弾性部材41が潰されることにより変形し、中空部41aの内圧が高くなった場合、当該中空部41aに繋がっている第1空間S1の内圧が第2空間S2の内圧に比して高くなることにより、膜板51aの中央部分が第2空間S2側に移動するように撓む。これにより、第1接点51bと第2接点51dとの離間距離が変化し、当該第1接点51bと第2接点51dとが接触することによって、第1圧力スイッチ51がON状態となる。ON状態となった第1圧力スイッチ51は、ドアコントローラ7に出力信号を送る。
なお、本実施形態では、感度調整部51cは、ネジ状部材であって、当該感度調整部51cを回動させることにより、通常状態における第1接点51bと第2接点51dとの離距離を適宜変更することができる。例えば、第1接点51bと第2接点51dとの離間距離を相対的に短くした場合、弾性部材41の変形量が僅かであっても、第1圧力スイッチ51がON状態となり、出力信号がドアコントローラ7に送られることになる。
また、本実施形態では、弾性部材41,42の変形に応じて信号を出力する出力手段として、中空部41aにおける内圧の変化に応じて信号を出力する圧力スイッチ51,52を採用したが、これに限らない。例えば、弾性部材41,42の変形量を直接的に計測し、当該計測値に応じた信号を出力することが可能な計測装置を出力手段として採用してもよい。
戸閉スイッチ6は、ドア31が閉じられたことを検出する。具体的には、戸閉スイッチ6は、図2に示すように、ドア31が閉じられることにより第2ドア31bが所定の位置に達すると、車両X1の本体における接触部C1に接触するように、第2ドア31bに取り付けられている。接触部C1に接触した戸閉スイッチ6は、当該戸閉スイッチ6が有する図示しない接点同士が接触することによりON状態となり、これによりドア31が閉じられたことを示す出力信号をドアコントローラ7に送る。
なお、戸閉スイッチ6は、第1ドア31aに取り付けられてもよい。
また、戸閉スイッチ6がON状態となるドア31において、第1弾性部材41と第2弾性部材42との間に僅かな空隙が生じていてもよいし、第1弾性部材41と第2弾性部材42とが接触していてもよい。本実施形態では、ドア31が全開状態から全閉状態に移行する途中において、戸閉スイッチ6がON状態となった時点で、第1弾性部材41と第2弾性部材42との間に例えば15mm程度の空隙が生じているものとする。その後、第1弾性部材41と第2弾性部材42とが接触し、空気式シリンダCの動作によって第1弾性部材41と第2弾性部材42とが互いに押しつぶされた状態で、第1ドア31aと第2ドア31bとが静止することにより、ドア31が全閉状態となる。
このように、戸閉スイッチ6がON状態となるドア31において第1弾性部材41と第2弾性部材42との間に僅かな空隙が生じている場合、車両X1の走行時における衝撃や風圧等の影響によって、ドア31が閉じられているにも関わらず戸閉スイッチ6がOFF状態となってしまうことを抑止できる。
ドアコントローラ7は、ドア31の開閉制御、減圧制御、および戸挟み検出を行う。ドアコントローラ7は、図略のCPU、メモリ等からなるMPUや外部機器との入出力インターフェース等のハードウェアから構成されている。図2に示すように、ドアコントローラ7は、ドア開閉部71と、ドア減圧部72と、戸挟み検出部73と、を機能的に有している。
ドア開閉部71は、ドア31の開閉の制御を行う。具体的に、ドア開閉部71は、コンプレッサを介して空気式シリンダCを作動する制御を行う。これにより、ドア31が全開状態と全閉状態との間で移動することになる。
ドア減圧部72は、全閉状態にあるドア31において、第1ドア31aと第2ドア31bとが互いに近づく方向に当該第1ドア31aおよび第2ドア31bを押圧する力を弱める制御を行う。具体的には、前述のとおり、第1ドア31aおよび第2ドア31bには、ドア31が全閉状態にある場合に、空気式シリンダCの動作によって互いに近づく方向に押圧する力が加わっている。ドア減圧部72は、所定期間に亘って空気式シリンダCの動作を変更する制御を行うことにより、当該所定期間内における第1ドア31aおよび第2ドア31bを押圧する力を弱める。これにより、ホームY1側において、乗降者の着衣が第1ドア31aと第2ドア31bとの間に挟まった際に、第1ドア31aと第2ドア31bとを乗降者の手によって開くことにより戸挟みを解消することが容易となる。前記所定期間は、例えば戸閉スイッチ6がON状態となってから車両X1がホームY1を出発するまでの期間に設定される。
戸挟み検出部73は、ドア31が閉じられたことによる弾性部材41,42の変形に応じた圧力スイッチ51,52の出力信号を除外しつつ、ドア31が閉じられた後に戸挟みによる弾性部材41,42の変形に応じた圧力スイッチ51,52の出力信号を戸挟み情報として検出する。
具体的には、圧力スイッチ51,52は、弾性部材41,42の変形によって第1接点51bと第2接点51dとが接触した場合に、戸挟み検出部73に出力信号を送る。ここで、戸挟み検出部73は、ソフトウェアのアルゴリズムによって、ドア31が閉じられることにより戸閉スイッチ6がON状態となってから所定時間が経過するまでの期間(以下、除外期間と称する)内における圧力スイッチ51,52の出力信号の検出を無効化する。このため、除外期間内において、ドア31が閉じられた際に弾性部材41,42が変形することにより圧力スイッチ51,52から戸挟み検出部73に出力信号が送られた場合であっても、当該出力信号は検出されない。なお、戸挟み検出部73における検出の無効化とは、圧力スイッチ51,52からの出力信号を戸挟み検出部73が受信しないように当該戸挟み検出部73を制御すること、あるいは受信した出力信号をメモリに記憶しないことである。
そして、戸挟み検出部73は、除外期間経過後における圧力スイッチ51,52の出力信号を戸挟み情報として検出し、当該検出した戸挟み情報を記憶する。このような戸挟み情報の記憶は、ドアコントローラ7内のメモリにおいて行われる。
なお、本実施形態では、ドア31が閉じられたことによる弾性部材41,42の変形に応じた圧力スイッチ51,52の出力信号を戸挟み情報から除外する手段として、戸挟み検出部73における当該出力信号の検出の無効化を採用したが、これに限らない。
例えば、圧力スイッチ51,52において出力信号の出力を無効化してもよい。これによっても、ドア31が閉じられたことによる圧力スイッチ51,52の出力信号を戸挟み情報から除外することができる。圧力スイッチ51,52において出力信号の出力を無効化するには、ソフトウェアとスイッチとが併用されることになる。具体的には、例えば圧力スイッチ51,52とドアコントローラ7との接続部分にスイッチを設け、ソフトウェアのアルゴリズムによって、除外期間において当該スイッチをOFF状態にする。これにより、除外期間において圧力スイッチ51,52からの出力信号が戸挟み検出部73に送られることを抑止する。
また、圧力スイッチ51,52を停止してもよい。これによっても、ドア31が閉じられたことによる圧力スイッチ51,52の出力信号を戸挟み情報から除外することができる。圧力スイッチ51,52を停止するには、ソフトウェアとスイッチとが併用されることになる。具体的には、例えば除外期間において圧力スイッチ51,52への電力の供給を停止するスイッチを設け、ソフトウェアのアルゴリズムによって、除外期間において当該スイッチをOFF状態にすることにより圧力スイッチ51,52の機能を停止させる。これにより、除外期間において圧力スイッチ51,52が出力信号を生成することを抑止する。
また、ドア開閉部71と、ドア減圧部72と、戸挟み検出部73と、が相互に独立している場合であれば、戸挟み検出部73を停止してもよい。これによっても、ドア31が閉じられたことによる圧力スイッチ51,52の出力信号を戸挟み情報から除外することができる。具体的には、例えば除外期間において戸挟み検出部73への電力の供給を停止する。これにより、除外期間における戸挟み検出部73の機能を停止させ、当該除外期間において戸挟み検出部73が圧力スイッチ51,52からの出力信号を検出することを抑止する。
除外期間は、例えばドアコントローラ7内のメモリに記録されている。この除外期間の長さは、ドア31が閉じられたことによって生じる弾性部材41,42の変形が、圧力スイッチ51,52から出力信号が出力されない程度に収束するまでに要する収束時間以上に設定される。具体的に、除外期間は、例えば500〜1000msに設定される。
なお、メモリに記録された除外期間の長さは、変更可能である。具体的に、前記収束時間は、ドア31が閉まる速度や弾性部材41,42の弾性率に応じて変化する。そこで、例えばドア31が閉まる速度や車両X1の温度を測定し、当該測定結果に応じて、ドアコントローラ7内の入出力インターフェースを通じてメモリに記憶された除外期間の長さを変更するようにしてもよい。これにより、除外期間を適当な長さに設定することができる。
なお、車両X1における温度の検知センサとして、例えばドアコントローラ7に温度検知センサを設けてもよい。また、車両X1に設けられた冷暖房装置における温度検知センサを利用してもよい。
車両X1の運転室8に設けられた制御盤には、開閉指令部81と、検出許可部82と、戸挟み報知部83と、リセット部84と、ドア閉報知部85と、が設けられている。ドアコントローラ7は、制御盤に設けられた各部81〜85と通信を行う。なお、制御盤は、必ずしも運転室8に設けられていなくともよく、状況に応じて設置箇所を適宜変更することができる。
開閉指令部81は、ドアコントローラ7のドア開閉部71にドア31の開閉指令を行う機能を有する。車両X1の運転士は、開閉指令部81を操作する。これにより、開閉指令部81がドア31,32に設けられたドアコントローラ7のドア開閉部71に開指令または閉指令を行う。開閉指令部81は、左側のドア31に設けられたドアコントローラ7と右側のドア32に設けられたドアコントローラ7とに別個に指令を行うことができる。
例えば、全閉状態にあるドア31,32において、ドア31のみを開く場合、車両X1の運転士が開閉指令部81を操作することにより、当該開閉指令部81がドア31に設けられたドアコントローラ7のドア開閉部71にのみ開指令を行う。開指令を受けたドア開閉部71は、第1ドア31aおよび第2ドア31bを全開状態に向かう方向へ移動させる制御を行う。その後、ドア開閉部71が閉指令を受けた場合には、当該ドア開閉部71は、第1ドア31aおよび第2ドア31bを全閉状態に向かう方向へ移動させる制御を行う。
ドア閉報知部85には、ドアコントローラ7を通じて戸閉スイッチ6がON状態であることを示す信号が送られる。ドア閉報知部85は、ドア31,32のそれぞれに設けられた戸閉スイッチ6の全てから前記信号を受けた場合に、例えばランプを点灯することにより車両X1のドア31,32が全て閉じられていることを車両X1の運転士に報知する。車両X1の運転士は、ドア閉報知部85におけるランプの点灯を確認した後に車両X1を発車させる操作を行う。
検出許可部82は、ドアコントローラ7の戸挟み検出部73に対して、圧力スイッチ51,52の出力信号の検出を許可する許可信号を送る役割を有する。検出許可部82は、例えばドア閉報知部85から車両X1のドア31,32が全て閉じられていることを示す信号を受けて、ドア31,32のそれぞれに設けられたドアコントローラ7の戸挟み検出部73に許可信号を送る。ドア31,32のそれぞれに設けられたドアコントローラ7のうち、開閉指令部81から開指令および閉指令を受けた後に検出許可部から許可信号を受けたドアコントローラ7は、車両X1が動き出してから所定距離に達するまでの間において戸挟み検出部73に圧力スイッチ51,52の出力信号の検出を許可する。具体的に、ドアコントローラ7は、例えば前記許可信号を受けてから一定時間経過するまでの間において戸挟み検出部73に圧力スイッチ51,52の出力信号の検出を許可する。ここで、前記一定時間は、車両X1が駅のホームY1を出発してから当該ホームY1を通過し終えるまでに要する時間以上に設定され、例えばドアコントローラ7内のメモリに記憶されている。そして、前記一定時間の経過後、ドアコントローラ7は、車両X1が所定距離に達したとして戸挟み検出部73における圧力スイッチ51,52の出力信号の検出を停止する。
なお、検出許可部82はなくともよい。この場合、例えばドア31が閉じられることにより当該ドア31に設けられた戸閉スイッチ6がOFF状態からON状態に切り替わった際に、当該戸閉スイッチ6から信号を受けたドアコントローラ7が一定時間の間だけ戸挟み検出部73に圧力スイッチ51,52の出力信号の検出を許可する。
戸挟み報知部83には、ドア31,32のそれぞれに設けられたドアコントローラ7の戸挟み検出部73から戸挟み情報を記憶していることを示す信号が送られる。具体的に、戸挟み検出部73は、圧力スイッチ51,52における出力信号を戸挟み情報として検出した際に、当該検出した戸挟み情報を記憶するとともに、当該戸挟み情報を記憶していることを示す信号を戸挟み報知部83に送る。戸挟み報知部83は、いずれかのドアコントローラ7から前記信号を受けると、例えばランプを点灯することにより車両X1のドア31,32のいずれかにおいて戸挟みが発生している旨を報知する。車両X1の運転士は、戸挟み報知部83におけるランプの点灯を確認した後に、例えば開閉指令部81を操作することによりドア31,32のうち戸挟みが発生しているドアを開くことによって、当該戸挟みを解消することができる。
リセット部84は、ドアコントローラ7の戸挟み検出部73に対して当該戸挟み検出部73に記憶された戸挟み情報をリセットするためのリセット信号を送る機能を有する。車両X1の運転士は、例えば戸挟み報知部83におけるランプが点灯している状態において戸挟みは発生していないことを確認した場合に、リセット部84を操作する。これにより、リセット部84からドア31,32のそれぞれに設けられたドアコントローラ7の戸挟み検出部73にリセット信号を送る。リセット信号を受けた戸挟み検出部73は、当該戸挟み検出部73に記憶された戸挟み情報をリセットする。これにより、戸挟み検出部73から戸挟み報知部83に送られている信号が遮断され、戸挟み報知部83におけるランプが消灯する。
次に、図4および図5を参照しつつ、駅のホームY1に車両X1が到着してから当該ホームY1を出発して次の駅へ向かうまでの各種の動作フローについて説明する。
図5におけるスタート時点は、車両X1が駅のホームY1に到着した時点である。この時点においては、図4(i)に示すようにドア31,32が全閉状態であり、図4(c)に示すようにドア31,32のそれぞれに設けられたドアコントローラ7の戸挟み検出部73における圧力スイッチ51,52の出力信号の検出は停止されている。車両X1が駅のホームY1に到着後、当該車両X1の運転士は、開閉指令部81を操作する。これにより、図4(a)に示すように開閉指令部81がドア開閉部71に開指令を送る(ステップST1にてYES)。本実施形態では、ドア31,32のうちドア31がホームY1側に位置するため、当該ドア31に設けられたドアコントローラ7のドア開閉部71に開指令を送る。
開閉指令部81より開指令を受けたドア開閉部71は、全閉状態にあるドア31を開ける制御を行う(ステップST2)。これにより、図4(i)に示すようにドア31が全開状態まで開き、その過程において図4(b)に示すように戸閉スイッチ6がON状態からOFF状態に切り替わる(ステップST3)。そして、ドア31が全開された状態で、車両X1とホームY1との間において乗降口21を通じて乗降者の乗り降りが行われる。
車両X1の運転士は、乗降者の乗り降りが完了したことを確認した後、開閉指令部81を操作する。これにより、図4(a)に示すように開閉指令部81がドア開閉部71に閉じ指令を送る(ステップST4にてYES)。開閉指令部81より閉指令を受けたドア開閉部71は、全開状態にあるドア31を閉じる制御を行う(ステップST5)。これにより、図4(i)に示すようにドア31が全閉状態まで閉じ、その過程において図4(b)に示すように戸閉スイッチ6がOFF状態からON状態に切り替わる(ステップST6)。
ステップST6にて戸閉スイッチ6がOFF状態からON状態に切り替わると、戸閉スイッチ6からドア31が閉じられたことを示す出力信号がドアコントローラ7に送られる。
戸閉スイッチ6から出力信号を受けたドアコントローラ7は、当該出力信号を運転室8のドア閉報知部85に送る。ドア31,32のそれぞれに設けられたドアコントローラ7の全てから前記出力信号を受けたドア閉報知部85は、車両X1の運転士に対してドア31,32が全て閉じられていることを報知する。これとともに、ドア閉報知部85は、ドア31,32の全てが閉じられていることを示す信号を検出許可部82に送る。前記信号を受けた検出許可部82は、戸挟み検出部73に対して圧力スイッチ51,52の出力信号の検出を許可する許可信号を送る(ステップST7にてYES)。これにより、図4(c)に示すように許可信号を受けてから一定時間経過することにより車両X1が動き出してから所定距離に達するまでの間において、戸挟み検出部73における圧力スイッチ51,52の出力信号の検出が許可される。
また、戸閉スイッチ6から出力信号を受けた戸挟み検出部73は、除外期間における圧力スイッチ51,52の出力信号の検出を無効化する。具体的には、戸閉スイッチ6がON状態となったことにより、図4(f)に示すように除外期間がスタートし、当該除外期間がタイムアップするまで戸挟み検出部73における圧力スイッチ51,52の出力信号の検出が無効化される。
ここで、除外期間がスタートしてから僅かに時間が経過した段階で、図4(i)に示すようにドア31が全閉状態となり、これに伴い弾性部材41と弾性部材42とが互いに押し潰されることにより弾性部材41,42が変形する。そして、当該変形が収束するまでの間、図4(e)に示すように圧力スイッチ51,52がOFF状態からON状態に切り替わり、当該圧力スイッチ51,52から戸挟み検出部73に出力信号が送られる。この際、戸挟み検出部73においては圧力スイッチ51,52の出力信号の検出が無効化されている。したがって、除外期間内においては戸挟み情報が検出されることはない。
なお、本実施形態では、除外期間の始点は、戸挟み検出部73が戸閉スイッチ6から出力信号を受けた時点であるが、これに限らない。ドア31が閉まったことにより圧力スイッチ51,52がON状態となっている期間が除外期間に含まれるのであれば、当該除外期間の始点はいつであってもよい。例えば、除外期間の始点は、開閉指令部81からドア開閉部71に閉指令が送られた時点であってもよい。この場合、開閉指令部81は、ドア開閉部71に閉指令を送ると同時に戸挟み検出部73にも信号を送り、当該信号を受けた戸挟み検出部73が除外期間をスタートさせる。
また、戸閉スイッチ6から当該戸閉スイッチ6がON状態であることを示す出力信号を受けたドア減圧部72は、図4(d)に示すように当該出力信号を受けてから一定時間経過するまでの間において、空気式シリンダCの動作を変更する。これにより、ドア31が閉じられることによって戸挟みが発生した際に、第1ドア31aと第2ドア31bとによって挟まれる力を軽減し、戸挟みを容易に解消することができる。
ステップST7にて圧力スイッチ51,52の出力信号の検出が許可された戸挟み検出部73は、除外期間が経過した段階で(ステップST8にてYES)、圧力スイッチ51,52の出力信号の検出を有効化する。ここで、ドア31において戸挟みが発生している場合、ドア31に挟まった物を当該ドア31から引き抜こうとすることにより弾性部材41,42が変形する。このため、ドア31において戸挟みが発生している場合、除外期間経過後であっても図4(e)に示すように圧力スイッチ51,52がOFF状態からON状態に切り替わる(ステップST9にてYES)。これにより、圧力スイッチ51,52から戸挟み検出部73に出力信号が送られる。そして、圧力スイッチ51,52から出力信号を受けた戸挟み検出部73は、当該出力信号を戸挟み情報として検出し、図4(h)に示すように当該戸挟み情報を記憶する(ステップST10)。
ステップST10にて戸挟み情報を記憶した戸挟み検出部73は、当該戸挟み情報を記憶していることを示す信号を戸挟み報知部83に送る。前記信号を受けた戸挟み報知部83は、ドア31において戸挟みが発生している旨を車両X1の運転士に報知する。車両X1の運転士は、戸挟み報知部83の報知を受けて、戸挟みの発生の有無を目視にて確認する。ここでは、ドア31に着衣を挟まれた乗降者が、自ら当該着衣をドア31から引き抜くことにより戸挟みを解消したものとする。
車両X1がホームY1を出発する前段階において、ドア減圧部72は、図4(d)に示すように空気式シリンダCの動作を変更する制御を終了する。これにより、第1弾性部材41と第2弾性部材42とが互いに強く押し付けられることになり、車両X1の走行中におけるドア31の開放を抑止できる。
空気式シリンダCの動作を変更する制御を終了したドア減圧部72は、当該制御の終了を示す信号を戸挟み検出部73に送る。当該信号を受けた戸挟み検出部73は、除外期間をスタートさせ、当該除外期間がタイムアップするまでの圧力スイッチ51,52の出力信号の検出を無効化する。これにより、空気式シリンダCの動作が元の状態に戻ることに伴って弾性部材41,42が変形し、当該変形に応じて圧力スイッチ51,52から戸挟み検出部73へ送られる出力信号が検出されることを抑止できる。
また、乗降者が自らドア31から着衣を引き抜くことにより戸挟みを解消したことにより、ホームY1において戸挟みが発生していないことを確認した車両X1の運転士は、当該車両X1を発車させる前に、リセット部84を操作する。これにより、図4(g)に示すようにリセット部84が戸挟み検出部73にリセット信号を送る(ステップST11にてYES)。リセット信号を受けた戸挟み検出部73は、図4(h)に示すように当該戸挟み検出部73に記憶された戸挟み情報をリセットする(ステップST12)。そして、戸挟み検出部73に記憶された戸挟み情報がリセットされると、戸挟み報知部83における報知が終了する。このように、リセット部84の操作を完了した車両X1の運転士は、車両X1を発車させる操作を行い、当該車両X1がホームY1を出発する。
その後、戸挟み検出部73は、車両X1がホームY1を出発するように動き出してから所定距離に達した時点で、図4(c)に示すように圧力スイッチ51,52の出力信号の検出を停止する(ステップST13)。この状態で、車両X1が次の駅のホームに到着し、当該ホームにて図5に示す動作のフローチャートをステップST1から繰り返すことになる。
なお、上記では、ステップST1〜ステップST10の完了後、ドア31に着衣を挟まれた乗降者が自力で戸挟みを解消した例について説明したが、これに限らない。ステップST1〜ステップ10の完了後、車両X1の運転士がドア31を開くことにより戸挟みを解消してもよい。以下では、図6を参照しつつ、駅のホームY1に停留中の車両X1において、車両X1の運転士がドア31を開くことにより戸挟みを解消し、再びドア31を閉じるまでの各種の動作フローについて説明する。
図6のスタート時点は、ステップST1〜ステップST10が完了した時点である。この時点において、車両X1の運転士は、戸挟み報知部83による報知を受けて、戸挟みの発生の有無を目視にて確認する。そして、戸挟みが発生していることを確認した車両X1の運転士は、開閉指令部81を操作する。これにより、開閉指令部81がドア31に設けられたドアコントローラ7のドア開閉部71に開指令を送る(ステップST14にてYES)。
開閉指令部81より開指令を受けたドア開閉部71は、全閉状態にあるドア31を開く制御を行う(ステップST15)。そして、ドア31が全閉状態から全開状態へ向けて移動する過程において、戸閉スイッチ6がON状態からOFF状態に切り替わるとともに(ステップST16)、ドア31に挟まれた乗降者の着衣が当該ドア31から開放される。これにより、ドア31における戸挟みが解消される。
ここで、ステップ16にて戸閉スイッチ6がON状態からOFF状態に切り替わると、当該戸閉スイッチ6から戸挟み検出部73への出力信号の送信が停止される。このとき、戸挟み検出部73は、当該戸挟み検出部73に記憶された戸挟み情報をリセットする(ステップST17)。戸挟み検出部73に記憶された戸挟み情報がリセットされると、当該戸挟み検出部73から戸挟み報知部83に送られる信号が停止する。これにより、戸挟み報知部83による戸挟みの報知が終了する。
ドア31を開くことにより当該ドア31における戸挟みの解消を確認した車両X1の運転士は、開閉指令部81を操作する。これにより、開閉指令部81がドア31に設けられたドアコントローラ7のドア開閉部71に閉指令を送る(ステップST18にてYES)。開閉指令部81より閉指令を受けたドア開閉部71は、ドア31を閉じる制御を行う(ステップST19)。以上のようにしてドア31が閉じられ、戸閉スイッチ6がOFF状態からON状態に切り替わることにより、戸挟み検出部73における戸挟み情報の検出が再度行われることになる。
本実施形態に係る戸挟み検出装置Z1では、戸挟み検出部73は、ドア31が閉じられたことによる弾性部材41,42の変形に応じて圧力スイッチ51,52から送られる出力信号を戸挟み情報として検出しないように構成されている。このため、弾性部材41,42を戸挟み検出用に特別な形状に加工しなくとも、ドア31が全閉された際の衝撃による誤検出を防止しつつ、ドア31における戸挟みの発生を精度良く検出することができる。そのため、ホームY1に位置する乗降者の着衣等がドア31に挟まった状態で車両X1が走行することにより、当該乗降者の引き摺り事故が発生することを抑止できる。
さらに、本実施形態に係る戸挟み検出装置Z1では、ドア31が閉じられたことによって弾性部材41,42の変形が生じる際に、戸挟み検出部73において圧力スイッチ51,52の出力信号の検出の無効化を行っている。これにより、戸挟み検出部73は、ドア31が閉じられたことによる弾性部材41,42の変形に応じた圧力スイッチ51,52の出力信号を除外することができる。なお、ドア31が閉じられたことに伴う圧力スイッチ51,52の出力信号は、当該圧力スイッチ51,52の停止、当該圧力スイッチ51,52の出力の無効化、または戸挟み検出部73の停止によって除外されてもよい。
さらに、本実施形態に係る戸挟み検出装置Z1では、戸挟み検出部73における圧力スイッチ51,52の出力信号の検出の無効化がソフトウェアによって行われるため、例えば圧力スイッチ51,52自体または戸挟み検出部73自体を停止するスイッチ等のハードウェアを設ける必要がなく、構成が簡略化される。
特に、ソフトウェアを用いて除外期間における圧力スイッチ51,52の出力信号が戸挟み情報として検出されないようにすると、例えば除外期間内における出力信号を故障検知に利用することもできる。具体的には、例えば除外期間内における圧力スイッチ51,52の出力信号の長さや、当該出力信号の始点と戸閉スイッチ6がON状態となった時点との間隔等を、正常時と比較することにより、圧力スイッチ51,52および戸閉スイッチ6が正常に動作しているか否かを判断することができる。
さらに、本実施形態に係る戸挟み検出装置Z1では、ドア31,32が閉じられたことを検出する既設の戸閉スイッチ6を利用できるので、新たなセンサ等を設けることなく、ドア31,32が閉じられたことによる圧力スイッチ51,52の出力信号を除外する除外期間の始点を定めることができる。そして、除外期間を用いることによって容易かつ確実に圧力スイッチ51,52の出力信号を除外することができる。
さらに、本実施形態に係る戸挟み検出装置Z1では、例えばドア31,32が閉まる速度や弾性部材41,42の弾性率等に応じて除外期間の長さを適宜変更することができる。このため、ドア31,32が閉じられてから弾性部材41,42の変形が収まるまでに要する時間を除外期間内に確実に収めることができる。
さらに、本実施形態に係る戸挟み検出装置Z1では、閉じられたドア31において乗降者の戸挟みが確認された場合に、開閉指令部81を操作してドア31を開くことにより、戸挟みを解消することができる。このとき、戸挟み検出部73に記憶されていた戸挟み情報がリセットされることにより、戸挟み報知部83による報知が終了し、戸挟みが解消されたことを確認することができる。
さらに、本実施形態に係る戸挟み検出装置Z1では、車両X1が駅のホームY1を出発してから当該ホームY1を通過し終えた時点で戸挟み検出部73が戸挟み情報の検出を停止する。このため、戸挟みが発生しない状況において戸挟み検出部73が誤って戸挟み情報を検出してしまうことを抑止できる。
さらに、本実施形態に係る戸挟み検出装置Z1では、開閉指令部81によって左右のドア31,32のうちドア31に設けられたドアコントローラ7のドア開閉部71にのみ開閉指令が行われ、当該ドアコントローラ7の戸挟み検出部73にのみ戸挟み情報の検出が許容される。このため、ドア32に設けられたドアコントローラ7の戸挟み検出部73において、誤って戸挟み情報が検出されることを抑止できる。
さらに、本実施形態に係る戸挟み検出装置Z1では、感度調整部51cによって第1接点51bと第2接点51dとの離間距離を調整することにより圧力スイッチ51,52の感度を変更することができる。このため、例えばドア31,32が閉まる速度や弾性部材の弾性率等に応じて圧力スイッチ51,52の感度を変更することにより、戸挟み検出部73において精度良く戸挟み情報を検出することができる。
なお、本実施形態では、空気式シリンダCによってドア31の開閉が行われ、当該空気式シリンダCの動作を制御することによりドア31の減圧制御を行う例について説明したが、本実施形態に係る戸挟み検出装置Z1は、モータ等の電気式の駆動装置によってドア31の開閉を行う態様にも好適である。具体的に、モータ等の電気式の駆動装置によってドア31の開閉を行う場合、第1ドア31aと第2ドア31bとを機械的にロックすることによりドア31を全閉状態に維持するため、ホームY1にて第1ドア31aと第2ドア31bとの間に着衣等を挟まれた乗降者は、自らの手によってドア31を開くことができない。すなわち、モータ等の電気式の駆動装置によってドア31の開閉を行う場合には、ドア31に着衣等を挟まれた乗降者が自ら戸挟みを解消することが困難である。そこで、モータ等の電気式の駆動装置によってドア31の開閉を行う態様において本実施形態に係る戸挟み検出装置Z1を適用すると、戸挟みの発生を認識した車両X1の運転士がドア31を開くことにより、確実に戸挟みを解消することができる。
なお、本実施形態では、戸挟み検出部73において圧力スイッチ51,52の出力信号の検出を無効化する除外期間を設定することにより、ドア31が閉じたことによる圧力スイッチ51,52の出力信号を除外したが、これに限らない。ドア31が閉じたことによる圧力スイッチ51,52の出力信号は、以下の変形例1〜3のようにして除外されてもよい。
変形例1では、図7に示すように第1圧力スイッチ51と第2圧力スイッチ52とが個別にドアコントローラ7に接続されている。このため、ドアコントローラ7の戸挟み検出部73は、第1圧力スイッチ51からの出力信号と第2圧力スイッチ52からの出力信号を個別に受信することができる。そして、戸挟み検出部73は、第1圧力スイッチ51から出力信号を受けたタイミングと、第2圧力スイッチ52からの出力信号を受けたタイミングとが同時であるか否かを判定可能に構成されている。具体的に、戸挟み検出部73は、前記タイミング同士が所定範囲に収まっているか否かを判定し、当該所定範囲に収まっている場合に圧力スイッチ51,52の出力信号の受信タイミングが同時であると判定する。圧力スイッチ51,52の出力信号の受信タイミングが同時でないと判定した戸挟み検出部73は、前記出力信号を戸挟み情報として検出する。
ここで、図8および図9を参照しつつ、変形例1において駅のホームY1に到着した車両X1が当該ホームY1を出発して次の駅へ向かうまでの各種の動作フローについて説明する。
図9に示すように、変形例1の動作フローは、図5に示すステップST8およびステップST9に代えてステップST20およびステップST21を含んでいる。具体的には、ステップST7にて戸挟み検出部73の圧力スイッチ51,52の出力信号の検出が許可された後、当該戸挟み検出部73は、圧力スイッチ51,52の出力信号の検出を開始する。そして、圧力スイッチ51,52の少なくともいずれかがON状態となった場合に(ステップST20にてYES)、戸挟み検出部73に出力信号が送られる。
次に、戸挟み検出部73は、圧力スイッチ51から出力信号を受けたタイミングと圧力スイッチ52から出力信号を受けたタイミングとが同時であるか否かを判定する(ステップST21)。変形例1では、図8(e)および(f)に示すようにドア31が全開状態から全閉状態に至った時点で圧力スイッチ51,52の双方が同時にOFF状態からON状態に切り替わっている。これは、ドア31が閉じられることによって、第1弾性部材41と第2弾性部材42とが互いに押し潰されることにより同時に変形したためである。このため、ドア31が閉じられたことによる圧力スイッチ51,52の出力信号は、戸挟み検出部73に同時に送られる。圧力スイッチ51,52から同時に出力信号を受けた戸挟み検出部73は、当該出力信号を戸挟み情報として検出せず、ステップST20に戻る。
ここで、図8(e)および(f)に示すように、ドア31が閉じられることによりON状態となった圧力スイッチ51,52がOFF状態に戻った後、第1圧力スイッチ51のみが再びON状態に切り替わっている。これは、例えば乗降者の着衣がドア31に挟まることにより戸挟みが発生している状態において、当該乗降者が戸挟みを解消するためにドア31に挟まった着衣を第1弾性部材41側に引っ張ることにより、当該第1弾性部材41にのみ変形が生じたためである。そして、第1圧力スイッチ51がON状態となり(ステップ20にてYES)、当該第1圧力スイッチ51から出力信号を受けた戸挟み検出部73は、第1圧力スイッチ51から出力信号を受けたタイミングにて第2圧力スイッチ52から出力信号を受けていないと判定する(ステップST21にてNO)。その後、戸挟み検出部73は、第1圧力スイッチ51から受けた出力信号を戸挟み情報として検出する。
このように、変形例1では、弾性部材41,42が同時に変形した場合において圧力スイッチ51,52から戸挟み検出部73に同時に送られた出力信号を、ドア31が閉じられたことによる出力信号として除外している。
また、変形例2では、戸挟み検出部73は、戸閉スイッチ6がOFF状態からON状態に切り替わってから圧力スイッチ51,52の出力信号を受信した回数をカウントする機能を有している。そして、戸挟み検出部73は、圧力スイッチ51,52の出力信号を受信した回数が所定回数に達したか否かを判定し、所定回数に達した場合に当該出力信号を戸挟み情報として検出する。なお、前記所定回数は、ドア31が閉じられたことにより戸挟み検出部73が圧力スイッチ51,52から出力信号を受信する回数よりも多く設定される。
ここで、図10および図11を参照しつつ、変形例2において駅のホームY1に到着した車両X1が当該ホームY1を出発して次の駅へ向かうまでの各種の動作フローについて説明する。
図11に示すように、変形例2の動作フローは、図9に示すステップST21に代えてステップST22を含んでいる。
具体的には、戸挟み検出部73は、ステップST6にて戸閉スイッチ6がOFF状態からON状態に切り替わった際に、当該戸閉スイッチ6から信号を受けて、圧力スイッチ51,52の出力信号の受信回数のカウントを開始する。ここで、図10(h)に示すようにドア31が全開状態から全閉状態となった時点で、図10(e)に示すように圧力スイッチ51,52がOFF状態からON状態に切り替わり、当該圧力スイッチ51,52から戸挟み検出部73に出力信号が送られる(ステップST20にてYES)。このとき、弾性部材41,42は、ドア31が閉じられた衝撃により収縮と膨張とを繰り返すように変形するため、図10(e)に示すように圧力スイッチ51,52は複数回に亘ってON状態とOFF状態とを繰り返すことになる。変形例2では、図10(e)に示すようにドア31が全閉状態となった時点で圧力スイッチ51,52が3回ON状態となっており、戸挟み検出部73は、ドア31が閉じられたことにより圧力スイッチ51,52から3回出力信号を受けることになる。
ステップST20にて圧力スイッチ51,52がON状態となることにより戸挟み検出部73が出力信号を受信すると、当該戸挟み検出部73は、その出力信号が、戸閉スイッチ6がON状態となってから何回目の出力信号であるかを判断し、その回数が所定値以上であるか否かを判定する(ステップST22)。変形例2では、前記所定値は4に設定されている。このため、ドア31が閉められたことによって圧力スイッチ51,52から戸挟み検出部73に送られた3回の出力信号は、その回数が所定値に達していないと判定され(ステップST22にてNO)、ステップST20に戻って圧力スイッチ51,52の出力信号の検出を繰り返す。
ここで、図10(e)に示すように、ドア31が閉じられたことにより3回ON状態となった後にOFF状態を維持している圧力スイッチ51,52は、再びON状態に切り替わっている。これは、例えば乗降者の着衣がドア31に挟まることにより戸挟みが発生している状態において、当該乗降者が戸挟みを解消するためにドア31に挟まった着衣を引っ張ることにより、弾性部材41,42に変形が生じたためである。このとき、圧力スイッチ51,52から出力信号を受けた戸挟み検出部73は、戸閉スイッチ6がON状態となってから4回目の出力信号であると判断し、その回数が所定値4以上であると判定する(ステップST22にてYES)。これにより、戸挟み検出部73は、圧力スイッチ51,52から受けた出力信号を戸挟み情報として検出し、当該戸挟み情報を記憶する(ステップST10)。
このように、変形例2では、戸閉スイッチ6がON状態となった後に圧力スイッチ51,52から送られる出力信号の回数をカウントし、所定回数未満の当該出力信号をドア31が閉じられたことによる出力信号として除外している。
また、変形例3では、戸挟み検出部73は、圧力スイッチ51,52の出力信号を受けて、当該出力信号と前回受信した出力信号との受信間隔を計測する機能を有する。そして、戸挟み検出部73は、前記受信間隔が所定値以上であるか否かを判定し、所定値以上であった場合に圧力スイッチ51,52の出力信号を戸挟み情報として検出する。なお、前記所定値は、ドア31が閉じられたことにより圧力スイッチ51,52がON状態とOFF状態とを繰り返す際の出力信号の受信間隔よりも大きく設定される。
ここで、図10および図12を参照しつつ、変形例3において駅のホームY1に到着した車両X1が当該ホームY1を出発して次の駅へ向かうまでの各種の動作フローについて説明する。
図12に示すように、変形例3の動作フローは、図11に示すステップST22に代えてステップST23を含んでいる。
具体的には、図10(h)に示すようにドア31が全開状態から全閉状態となった時点で、図10(e)に示すように圧力スイッチ51,52がOFF状態からON状態に切り替わり、当該圧力スイッチ51,52から戸挟み検出部73に出力信号が送られる(ステップST20にてYES)。このとき、弾性部材41,42は、ドア31が閉じられた衝撃により収縮と膨張とを繰り返すように変形するため、図10(e)に示すように圧力スイッチ51,52は複数回に亘ってON状態とOFF状態とを繰り返すことになる。
ステップST20にて圧力スイッチ51,52がON状態となることにより戸挟み検出部73が出力信号を受けると、当該戸挟み検出部73は、その出力信号と前回受信した出力信号との受信間隔を計測し、当該計測値が所定値以上であるか否かを判定する(ステップST23)。変形例3では、前記所定値は、ドア31が閉じられたことによって、戸挟み検出部73が複数回に亘って圧力スイッチ51,52から受信する出力信号の受信間隔よりも十分に大きく設定されている。このため、ドア31が閉められたことによって圧力スイッチ51,52から戸挟み検出部73に送られた複数回の出力信号は、その受信間隔が所定値に達していないと判定され(ステップST23にてNO)、ステップST20に戻って圧力スイッチ51,52の出力信号の検出を繰り返す。
ここで、図10(e)に示すように、ドア31が閉じられたことにより3回ON状態となった後にOFF状態を維持している圧力スイッチ51,52は、ある程度時間が経った段階で再びON状態に切り替わっている。これは、例えばドア31が閉じられてからある程度時間が経過して車両X1がホームY1を出発した際に、ドア31に着衣等を挟まれた乗降者が少し引き摺られることによって弾性部材41に変形が生じたためである。このとき、圧力スイッチ51,52から出力信号を受けた戸挟み検出部73は、当該出力信号と前回受信した出力信号との受信間隔が所定値以上であると判定する(ステップST23にてYES)。これにより、戸挟み検出部73は、圧力スイッチ51,52から受けた出力信号を戸挟み情報として検出し、当該戸挟み情報を記憶する(ステップST10)。
このように、変形例3では、圧力スイッチ51,52から出力信号を受けた戸挟み検出部73が当該出力信号と前回受信した出力信号との受信間隔を計測し、当該受信間隔が所定値に達していない場合の出力信号をドア31が閉じられたことによる出力信号として除外している。
以上説明した本実施形態および変形例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、本実施形態および変形例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
例えば、本実施形態および変形例では、ドア31,32が両開きの例について説明したが、これに限らず、ドア31,32が片開きであってもよい。この場合、戸挟み検出部73は、片ドアの戸先に設けられた弾性部材と乗降口21,22の縁部との間における戸挟みを検出することになる。