現在、再発性および難治性のB細胞悪性腫瘍とABC−DLBCLを含む血液悪性腫瘍を処置する(診断する、を含む)方法のニーズがある。本出願は、部分的には、Btk阻害剤が固形の血液悪性腫瘍中のリンパ球の移動(または、場合によっては、リンパ球増加症)を引き起こすという予期しない発見に基づいている。リンパ球細胞の移動は、さらなるがん治療へのその露出とバイオマーカースクリーニングへのその利用可能性を増加させる。
特定の実施形態において、個体の血液悪性腫瘍を処置するための方法が本明細書に開示され、該方法は、(a)血液悪性腫瘍から複数の細胞を移動させるのに十分な量の不可逆的なBtk阻害剤を含む第1の処置を、個体に施す工程;(b)個体から得られたサンプル中の移動した複数の細胞を分析する工程;および、(c)個体に第2の処置を施す工程、を含む。いくつかの実施形態では、不可逆的なBtk阻害剤の量は、血液悪性腫瘍からの複数の細胞のリンパ球増加症を引き起こすのに十分な量である。いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、B細胞悪性腫瘍である。いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は白血病、リンパ球増殖性疾患または骨髄性疾患である。いくつかの実施形態では、移動した細胞は骨髄性細胞またはリンパ球細胞である。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、移動した複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度が、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、移動した複数の細胞の末梢血濃度がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、移動した複数の細胞の末梢血濃度が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度があらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、末梢血中の移動した複数の細胞の数を数える工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がBtk阻害剤の投与前の数と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して、末梢血中の移動した複数の細胞の数が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数が、あらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、複数の細胞から分離した細胞集団のバイオマーカーのプロファイルを準備する工程を含み、バイオマーカーのプロファイルは、バイオマーカーの発現、バイオマーカーの発現レベル、バイオマーカーの突然変異、またはバイオマーカーの存在を示す。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、ZAP70;t(14,18);β−2マイクログロブリン;p53突然変異状態;ATM突然変異状態;del(17)p;del(11)q;del(6)q;CD5;CD11c;CD19;CD20;CD22;CD25;CD38;CD103;CD138;分泌された、表面の、または細胞質の、免疫グロブリン発現;VH突然変異状態;または、これらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、該方法はバイオマーカーのプロファイルに基づいた第2の処置を提供する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、該方法はバイオマーカーのプロファイルに基づいた第2の処置の効能を予想する工程をさらに含む。 いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、ハイリスクのCLL、またはCLL/SLLではないリンパ腫である。いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、多発性骨髄腫、辺縁帯リンパ腫、バーキットリンパ腫、非バーキット高悪性度B細胞リンパ腫、または節外性辺縁帯B細胞リンパ腫である。いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、急性または慢性の骨髄性(あるいは骨髄球性)白血病、骨髄異形成症候群、または急性リンパ芽球性白血病である。いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、再発性または難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、再発性または難治性のマントル細胞リンパ腫、再発性または難治性の濾胞性リンパ腫、再発性または難治性のCLL、再発性または難治性のSLL;再発性または難治性の多発性骨髄腫である。いくつかの実施形態において、不可逆的なBtk阻害剤は、(R)−1−(3−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)prop−2−en−1−one(すなわち、PCI−32765/イブルチニブ)である。いくつかの実施形態において、第2の処置はレナリドミドを含む。いくつかの実施形態において、第2の処置はボルテゾミブを含む。いくつかの実施形態において、第2の処置はソラフェニブを含む。いくつかの実施形態において、第2の処置はゲムシタビンを含む。いくつかの実施形態において、第2の処置はデキサメタゾンを含む。いくつかの実施形態において、第2の処置はベンダムスチンを含む。いくつかの実施形態において、第2の処置はR−406を含む。いくつかの実施形態において、第2の処置はタキソールを含む。いくつかの実施形態において、第2の処置はビンクリスチンを含む。いくつかの実施形態において、第2の処置はドキソルビシンを含む。いくつかの実施形態において、第2の処置はテムシロリムスを含む。いくつかの実施形態において、第2の処置はカルボプラチンを含む。いくつかの実施形態において、第2の処置はオファツムマブを含む。いくつかの実施形態において、第2の処置はリツキシマブを含む。いくつかの実施形態において、第2の処置はGA101を含む。いくつかの実施形態では、第2の処置はR−ICE(イホスファミド、カルボプラチン、エトポシド)を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、個体から得られたサンプル中の移動した複数の細胞を分析するために、分析機器を使用する工程を含む。
特定の実施形態において、個体の低悪性度の血液悪性腫瘍を処置するための方法が本明細書に開示され、該方法は、(a)低悪性度の血液悪性腫瘍から複数の細胞を移動させるのに十分な量の不可逆的なBtk阻害剤を含む第1の処置を、個体に施す工程;(b)個体から得られたサンプル中の移動した複数の細胞を分析する工程;および、(c)個体に第2の処置を施す工程、を含む。いくつかの実施形態では、不可逆的なBtk阻害剤の量は、血液悪性腫瘍からの複数の細胞のリンパ球増加症を引き起こすのに十分な量である。いくつかの実施形態では、移動した細胞は骨髄性細胞またはリンパ球細胞である。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、移動した複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度が、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、移動した複数の細胞の末梢血濃度がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、移動した複数の細胞の末梢血濃度が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度があらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、末梢血中の移動した複数の細胞の数を数える工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がBtk阻害剤の投与前の数と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して、末梢血中の移動した複数の細胞の数が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数が、あらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、複数の細胞から分離した細胞集団のバイオマーカーのプロファイルを準備する工程を含み、バイオマーカーのプロファイルは、バイオマーカーの発現、バイオマーカーの発現レベル、バイオマーカーの突然変異、またはバイオマーカーの存在を示す。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、ZAP70;t(14,18);β−2マイクログロブリン;p53突然変異状態;ATM突然変異状態;del(17)p;del(11)q;del(6)q;CD5;CD11c;CD19;CD20;CD22;CD25;CD38;CD103;CD138;分泌された、表面の、または細胞質の、免疫グロブリン発現;VH突然変異状態;または、これらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、該方法はバイオマーカーのプロファイルに基づいて第2の処置を提供する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、該方法はバイオマーカーのプロファイルに基づいて第2の処置の効能を予想する工程をさらに含む。いくつかの実施形態において、不可逆的なBtk阻害剤は、(R)−1−(3−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)prop−2−en−1−one(すなわち、PCI−32765/イブルチニブ)である。いくつかの実施形態において、第2の処置はレナリドミドを含む。いくつかの実施形態では、第2の処置は、リツキシマブ、シクロホスファミド、塩酸ドキソルビシン、硫酸ビンクリスチンおよびプレドニゾン(R−CHOP)を含む。いくつかの実施形態において、第2の処置はテムシロリムスを含む。いくつかの実施形態では、該方法は、個体から得られたサンプル中の移動した複数の細胞を分析するために、分析機器を使用する工程を含む。
特定の実施形態において、個体の非ホジキンリンパ腫を処置する方法が本明細書に開示され、該方法は、(a)非ホジキンリンパ腫からの複数の細胞を移動させるのに十分な量の不可逆的なBtk阻害剤を含む第1の処置を、個体に施す工程;(b)個体から得られたサンプル中の移動した複数の細胞を分析する工程;および、(c)個体に第2の処置を施す工程、を含む。いくつかの実施形態では、不可逆的なBtk阻害剤の量は、血液悪性腫瘍からの複数の細胞のリンパ球増加症を引き起こすのに十分な量である。いくつかの実施形態では、移動した細胞は骨髄性細胞またはリンパ球細胞である。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、移動した複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度が、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、移動した複数の細胞の末梢血濃度がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、移動した複数の細胞の末梢血濃度が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度があらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、末梢血中の移動した複数の細胞の数を数える工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がBtk阻害剤の投与前の数と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して、末梢血中の移動した複数の細胞の数が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数が、あらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、複数の細胞から分離した細胞集団のバイオマーカーのプロファイルを準備する工程を含み、バイオマーカーのプロファイルは、バイオマーカーの発現、バイオマーカーの発現レベル、バイオマーカーの突然変異、またはバイオマーカーの存在を示す。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、ZAP70;t(14,18);β−2マイクログロブリン;p53突然変異状態;ATM突然変異状態;del(17)p;del(11)q;del(6)q;CD5;CD11c;CD19;CD20;CD22;CD25;CD38;CD103;CD138;分泌された、表面の、または細胞質の、免疫グロブリン発現;VH突然変異状態;または、これらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、該方法はバイオマーカーのプロファイルに基づいて第2の処置を提供する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法はバイオマーカーのプロファイルに基づいて第2の処置の効能を予想する工程をさらに含む。いくつかの実施形態において、不可逆的なBtk阻害剤は、(R)−1−(3−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)prop−2−en−1−one(すなわち、PCI−32765/イブルチニブ)である。いくつかの実施形態において、第2の処置はボルテゾミブを含む。いくつかの実施形態では、第2の処置はベンダムスチンおよびリツキシマブ(BR)を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、個体から得られたサンプル中の移動した複数の細胞を分析するために、分析機器を使用する工程を含む。
特定の実施形態において、個体のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を処置するための方法が本明細書に開示され、該方法は、(a)DLBCLからの複数の細胞を移動させるのに十分な量の不可逆的なBtk阻害剤を含む第1の処置を、個体に施す工程;(b)個体から得られたサンプル中の移動した複数の細胞を分析する工程;および、(c)個体に第2の処置を施す工程、を含む。いくつかの実施形態では、不可逆的なBtk阻害剤の量は、血液悪性腫瘍からの複数の細胞のリンパ球増加症を引き起こすのに十分な量である。いくつかの実施形態では、移動した細胞は骨髄性細胞またはリンパ球細胞である。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、移動した複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度が、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、移動した複数の細胞の末梢血濃度がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、移動した複数の細胞の末梢血濃度が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度があらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、末梢血中の移動した複数の細胞の数を数える工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がBtk阻害剤の投与前の数と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して、末梢血中の移動した複数の細胞の数が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数があらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、複数の細胞から分離した細胞集団のバイオマーカーのプロファイルを準備する工程を含み、バイオマーカーのプロファイルは、バイオマーカーの発現、バイオマーカーの発現レベル、バイオマーカーの突然変異、またはバイオマーカーの存在を示す。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、ZAP70;t(14,18);β−2マイクログロブリン;p53突然変異状態;ATM突然変異状態;del(17)p;del(11)q;del(6)q;CD5;CD11c;CD19;CD20;CD22;CD25;CD38;CD103;CD138;分泌された、表面の、または細胞質の、免疫グロブリン発現;VH突然変異状態;または、これらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、該方法はバイオマーカーのプロファイルに基づいて第2の処置を提供する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、該方法はバイオマーカーのプロファイルに基づいて第2の処置の効能を予想する工程をさらに含む。いくつかの実施形態において、不可逆的なBtk阻害剤は、(R)−1−(3−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)prop−2−en−1−one(すなわち、PCI−32765/イブルチニブ)である。いくつかの実施形態において、第2の処置はボルテゾミブを含む。いくつかの実施形態において、第2の処置はレナリドミドを含む。いくつかの実施形態では、第2の処置は、リツキシマブ、シクロホスファミド、塩酸ドキソルビシン、硫酸ビンクリスチンおよびプレドニゾン(R−CHOP)を含む。いくつかの実施形態において、第2の処置はテムシロリムスを含む。いくつかの実施形態では、DLBCLは、DLBCL、ABCサブタイプ(ABC−DLBCL))である。いくつかの実施形態では、DLBCLは、DLBCL、GCBサブタイプ(GCB−DLBCL))である。いくつかの実施形態では、該方法は、個体から得られたサンプル中の移動した複数の細胞を分析するために、分析機器を使用する工程を含む。
特定の実施形態において、個体の濾胞性リンパ腫(FL)を処置するための方法が本明細書に開示され、該方法は、(a)濾胞性リンパ腫から複数の細胞を移動させるのに十分な量の不可逆的なBtk阻害剤を含む第1の処置を、個体に施す工程;(b)個体から得られたサンプル中の移動した複数の細胞を分析する工程;および、(c)個体に第2の処置を施す工程、を含む。いくつかの実施形態では、不可逆的なBtk阻害剤の量は、血液悪性腫瘍からの複数の細胞のリンパ球増加症を引き起こすのに十分な量である。いくつかの実施形態では、移動した細胞は骨髄性細胞またはリンパ球細胞である。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は移動した複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度が、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、移動した複数の細胞の末梢血濃度がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、移動した複数の細胞の末梢血濃度が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度があらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、末梢血中の移動した複数の細胞の数を数える工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がBtk阻害剤の投与前の数と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して、末梢血中の移動した複数の細胞の数が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数が、あらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、複数の細胞から分離した細胞集団のバイオマーカーのプロファイルを準備する工程を含み、バイオマーカーのプロファイルは、バイオマーカーの発現、バイオマーカーの発現レベル、バイオマーカーの突然変異、またはバイオマーカーの存在を示す。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、ZAP70;t(14,18);β−2マイクログロブリン;p53突然変異状態;ATM突然変異状態;del(17)p;del(11)q;del(6)q;CD5;CD11c;CD19;CD20;CD22;CD25;CD38;CD103;CD138;分泌された、表面の、または細胞質の、免疫グロブリン発現;VH突然変異状態;または、これらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、該方法はバイオマーカーのプロファイルに基づいて第2の処置を提供する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法はバイオマーカーのプロファイルに基づいて第2の処置の効能を予想する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、不可逆的なBtk阻害剤は、(R)−1−(3−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)prop−2−en−1−one(すなわち、PCI−32765/イブルチニブ)である。いくつかの実施形態では、第2の処置はレナリドミドを含む。いくつかの実施形態では、第2の処置は、リツキシマブ、シクロホスファミド、塩酸ドキソルビシン、硫酸ビンクリスチンおよびプレドニゾン(R−CHOP)を含む。いくつかの実施形態において、第2の処置はテムシロリムスを含む。いくつかの実施形態では、該方法は、個体から得られたサンプル中の移動した複数の細胞を分析するために、分析機器を使用する工程を含む。
特定の実施形態において、個体のCLLまたはSLLを処置する方法が本明細書に開示され、該方法は、(a)CLLまたはSLLから複数の細胞を移動させるのに十分な量の不可逆的なBtk阻害剤を含む第1の処置を、個体に施す工程;(b)個体から得られたサンプル中の移動した複数の細胞を分析する工程;および、(c)個体に第2の処置を施す工程、を含む。いくつかの実施形態では、不可逆的なBtk阻害剤の量は、血液悪性腫瘍からの複数の細胞のリンパ球増加症を引き起こすのに十分な量である。いくつかの実施形態では、移動した細胞は骨髄性細胞またはリンパ球細胞である。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、移動した複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度が、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、移動した複数の細胞の末梢血濃度がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、移動した複数の細胞の末梢血濃度が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度があらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、末梢血中の移動した複数の細胞の数を数える工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がBtk阻害剤の投与前の数と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して、末梢血中の移動した複数の細胞の数が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数が、あらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、複数の細胞から分離した細胞集団のバイオマーカーのプロファイルを準備する工程を含み、バイオマーカーのプロファイルは、バイオマーカーの発現、バイオマーカーの発現レベル、バイオマーカーの突然変異、またはバイオマーカーの存在を示す。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、ZAP70;t(14,18);β−2マイクログロブリン;p53突然変異状態;ATM突然変異状態;del(17)p;del(11)q;del(6)q;CD5;CD11c;CD19;CD20;CD22;CD25;CD38;CD103;CD138;分泌された、表面の、または細胞質の、免疫グロブリン発現;VH突然変異状態;または、これらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、該方法はバイオマーカーのプロファイルに基づいて第2の処置を提供する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、該方法はバイオマーカーのプロファイルに基づいて第2の処置の効能を予想する工程をさらに含む。いくつかの実施形態において、不可逆的なBtk阻害剤は、(R)−1−(3−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)prop−2−en−1−one(すなわち、PCI−32765/イブルチニブ)である。いくつかの実施形態において、第2の処置はレナリドミドを含む。いくつかの実施形態では、第2の処置はベンダムスチンおよびリツキシマブ(BR)を含む。いくつかの実施形態では、第2の処置は、フルダラビン、シクロホスファミド、およびリツキシマブ(FCR)を含む。いくつかの実施形態において、第2の処置はオファツムマブを含む。いくつかの実施形態において、第2の処置はリツキシマブを含む。いくつかの実施形態では、該方法は、個体から得られたサンプル中の移動した複数の細胞を分析するために、分析機器を使用する工程を含む。
特定の実施形態において、個体のマントル細胞リンパ腫を処置するための方法が本明細書に開示され、該方法は、(a)マントル細胞リンパ腫からの複数の細胞を移動させるのに十分な量の不可逆的なBtk阻害剤を含む第1の処置を、個体に施す工程;(b)個体から得られたサンプル中の移動した複数の細胞を分析する工程;および、(c)個体に第2の処置を施す工程、を含む。いくつかの実施形態では、不可逆的なBtk阻害剤の量は、血液悪性腫瘍からの複数の細胞のリンパ球増加症を引き起こすのに十分な量である。いくつかの実施形態では、移動した細胞は骨髄性細胞またはリンパ球細胞である。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、移動した複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度が、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、移動した複数の細胞の末梢血濃度がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、移動した複数の細胞の末梢血濃度が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度があらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、末梢血中の移動した複数の細胞の数を数える工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がBtk阻害剤の投与前の数と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して、末梢血中の移動した複数の細胞の数が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数が、あらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、複数の細胞から分離した細胞集団のバイオマーカーのプロファイルを準備する工程を含み、バイオマーカーのプロファイルは、バイオマーカーの発現、バイオマーカーの発現レベル、バイオマーカーの突然変異、またはバイオマーカーの存在を示す。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、ZAP70;t(14,18);β−2マイクログロブリン;p53突然変異状態;ATM突然変異状態;del(17)p;del(11)q;del(6)q;CD5;CD11c;CD19;CD20;CD22;CD25;CD38;CD103;CD138;分泌された、表面の、または細胞質の、免疫グロブリン発現;VH突然変異状態;または、これらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、該方法はバイオマーカーのプロファイルに基づいて第2の処置を提供する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、該方法はバイオマーカーのプロファイルに基づいて第2の処置の効能を予想する工程をさらに含む。いくつかの実施形態において、不可逆的なBtk阻害剤は、(R)−1−(3−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)prop−2−en−1−one(すなわち、PCI−32765/イブルチニブ)である。いくつかの実施形態において、第2の処置はテムシロリムスを含む。いくつかの実施形態では、該方法は、個体から得られたサンプル中の移動した複数の細胞を分析するために、分析機器を使用する工程を含む。
特定の実施形態において、個体のワルデンシュトレームマクログロブリン血症を処置するための方法が本明細書に開示され、該方法は、(a)マントル細胞リンパ腫から複数の細胞を移動させるのに十分な量の不可逆的なBtk阻害剤を含む第1の処置を、個体に施す工程;(b)個体から得られたサンプル中の移動した複数の細胞を分析する工程;および、(c)個体に第2の処置を施す工程、を含む。いくつかの実施形態では、不可逆的なBtk阻害剤の量は、血液悪性腫瘍からの複数の細胞のリンパ球増加症を引き起こすのに十分な量である。いくつかの実施形態では、移動した細胞は骨髄性細胞またはリンパ球細胞である。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、移動した複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度が、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、移動した複数の細胞の末梢血濃度がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、移動した複数の細胞の末梢血濃度が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度があらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、末梢血中の移動した複数の細胞の数を数える工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がBtk阻害剤の投与前の数と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して、末梢血中の移動した複数の細胞の数が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数が、あらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、複数の細胞から分離した細胞集団のバイオマーカーのプロファイルを準備する工程を含み、バイオマーカーのプロファイルは、バイオマーカーの発現、バイオマーカーの発現レベル、バイオマーカーの突然変異、またはバイオマーカーの存在を示す。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、ZAP70;t(14,18);β−2マイクログロブリン;p53突然変異状態;ATM突然変異状態;del(17)p;del(11)q;del(6)q;CD5;CD11c;CD19;CD20;CD22;CD25;CD38;CD103;CD138;分泌された、表面の、または細胞質の、免疫グロブリン発現;VH突然変異状態;またはこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、該方法はバイオマーカーのプロファイルに基づいて第2の処置を提供する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、該方法はバイオマーカーのプロファイルに基づいて第2の処置の効能を予想する工程をさらに含む。いくつかの実施形態において、不可逆的なBtk阻害剤は、(R)−1−(3−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)prop−2−en−1−one(すなわち、PCI−32765/イブルチニブ)である。いくつかの実施形態では、第2の処置はリツキシマブ、シクロホスファミド、塩酸ドキソルビシン、硫酸ビンクリスチンおよびプレドニゾン(R−CHOP)を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、個体から得られたサンプル中の移動した複数の細胞を分析するために、分析機器を使用する工程を含む。
特定の実施形態において、個体の多発性骨髄腫(MM)を処置する方法が本明細書に開示され、該方法は、(a)MMからの複数の細胞を移動させるのに十分な量の不可逆的なBtk阻害剤を含む第1の処置を、個体に施す工程;(b)個体から得られたサンプル中の移動した複数の細胞を分析する工程;
および、(c)個体に第2の処置を施す工程、を含む。いくつかの実施形態では、不可逆的なBtk阻害剤の量は、血液悪性腫瘍からの複数の細胞のリンパ球増加症を引き起こすのに十分な量である。いくつかの実施形態では、移動した細胞は骨髄性細胞またはリンパ球細胞である。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は移動した複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度が、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、移動した複数の細胞の末梢血濃度がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、移動した複数の細胞の末梢血濃度が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度があらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、末梢血中の移動した複数の細胞の数を数える工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がBtk阻害剤の投与前の数と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して、末梢血中の移動した複数の細胞の数が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数が、あらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、複数の細胞から分離した細胞集団のバイオマーカーのプロファイルを準備する工程を含み、バイオマーカーのプロファイルは、バイオマーカーの発現、バイオマーカーの発現レベル、バイオマーカーの突然変異、またはバイオマーカーの存在を示す。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、ZAP70;t(14,18);β−2マイクログロブリン;p53突然変異状態;ATM突然変異状態;del(17)p;del(11)q;del(6)q;CD5;CD11c;CD19;CD20;CD22;CD25;CD38;CD103;CD138;分泌された、表面の、または細胞質の、免疫グロブリン発現;VH突然変異状態;または、これらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、該方法はバイオマーカーのプロファイルに基づいて第2の処置を提供する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、該方法はバイオマーカーのプロファイルに基づいて第2の処置の効能を予想する工程をさらに含む。いくつかの実施形態において、不可逆的なBtk阻害剤は、(R)−1−(3−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)prop−2−en−1−one(すなわち、PCI−32765/イブルチニブ)である。いくつかの実施形態において、第2の処置はレナリドミドを含む。いくつかの実施形態では、該方法は、個体から得られたサンプル中の移動した複数の細胞を分析するために、分析機器を使用する工程を含む。
特定の実施形態において、個体の血液悪性腫瘍を処置するための方法が本明細書に開示され、該方法は、(a)血液悪性腫瘍から複数の細胞を移動させるのに十分な量の不可逆的なBtk阻害剤を含む第1の処置を、個体に施す工程;および、(b)複数の細胞から分離した細胞集団のバイオマーカーのプロファイルを準備する工程、を含む。いくつかの実施形態では、不可逆的なBtk阻害剤の量は、血液悪性腫瘍からの複数の細胞のリンパ球増加症を引き起こすのに十分な量である。いくつかの実施形態では、バイオマーカーの発現プロファイルは、診断するため、予後を決定するため、あるいは、血液悪性腫瘍の予測プロファイルを作成するために、使用される。いくつかの実施形態では、バイオマーカーのプロファイルは、バイオマーカーの発現、バイオマーカーの発現レベル、バイオマーカーの突然変異、またはバイオマーカーの存在を示す。いくつかの実施形態では、バイオマーカーのプロファイルは、血液悪性腫瘍がBtkシグナル伝達に影響を与えるかどうかを示す。いくつかの実施形態では、バイオマーカーのプロファイルは、血液悪性腫瘍の生存がBtkシグナル伝達に影響を与えるかどうかを示す。いくつかの実施形態では、バイオマーカーのプロファイルは、血液悪性腫瘍がBtkシグナル伝達に影響を与えていないことを示す。いくつかの実施形態では、バイオマーカーのプロファイルは、血液悪性腫瘍の生存がBtkシグナル伝達に影響を与えていないことを示す。いくつかの実施形態では、バイオマーカーのプロファイルは、血液悪性腫瘍がBCRシグナル伝達に影響を与えるかどうかを示す。いくつかの実施形態では、バイオマーカーのプロファイルは、血液悪性腫瘍の生存がBCRシグナル伝達に影響を与えるかどうかを示す。いくつかの実施形態では、バイオマーカーのプロファイルは、血液悪性腫瘍がBCRシグナル伝達に影響を与えていないことを示す。いくつかの実施形態では、バイオマーカーのプロファイルは、血液悪性腫瘍の生存がBCRシグナル伝達に影響を与えていないことを示す。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、ZAP70;t(14,18);β−2マイクログロブリン;p53突然変異状態;ATM突然変異状態;del(17)p;del(11)q;del(6)q;CD5;CD11c;CD19;CD20;CD22;CD25;CD38;CD103;CD138;分泌された、表面の、または細胞質の、免疫グロブリン発現;VH突然変異状態;または、これらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、ZAP70;t(14,18);β−2マイクログロブリン;p53突然変異状態;ATM突然変異状態;del(17)p;del(11)q;del(6)q;CD5;CD11c;CD19;CD20;CD22;CD25;CD38;CD103;CD138;分泌された、表面の、または細胞質の、免疫グロブリン発現;VH突然変異状態;または、これらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、該方法はバイオマーカーのプロファイルに基づいて第2の処置を提供する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、該方法はバイオマーカーのプロファイルに基づいて第2の処置の効能を予想する工程をさらに含む。
<特定の化学用語>
他に定義されない限り、本明細書で用いられる全ての技術的および科学的な用語は、請求項に係る主題が属する当該分野の知識を有する者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書の用語に複数の定義がある場合、この項の定義が優先される。URLまたは他のそのような識別子またはアドレスが言及される場合、そのような識別子は変更可能であり、インターネット上の特定の情報は変動することがあるが、同等の情報はインターネットを検索することで見つけることができることが理解されよう。そのようなものについての言及は、そのような情報の利用可能性と好適な普及を証拠づけるものである。
前述の一般的な記載と以下の詳細な記載は、あくまで典型的かつ説明的なものに過ぎず、請求項に係る任意の主題を限定するものでないことに留意する。本出願では、単数の使用は、特別に別記しない限り、複数を含んでいる。明細書および添付の請求項内で用いられる通り、単数形「a」、「an」および「the」は、その文脈が他に明確に指示していない限り、複数の指示対象を含む。本出願において、「または」の使用は特に明記しない限り、「および/または」を意味する。更に、用語「含んでいる(including)」の使用は、「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含まれる(included)」といった他の形態と同じく、制限はない。
本明細書で使用される段落の表題は、組織的に用いるために過ぎず、記載された請求項に係る主題を制限するものとして解釈されるべきものではない。限定されないが、特許、特許出願、記事、書籍、説明書、および論文を含む、出願で引用されるすべての文献または文献の一部は、いかなる目的のためにそのまま引用されることによって明確に組み込まれる。
標準的な化学用語の定義は、CareyおよびSundbergの“ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY 4TH ED.” Vols.A(2000)and B(2001),Plenum Press, New Yorkを含む参考文献で見られる。特に指示がない限り、当業者の考え得る範囲内で、質量分析、NMR、HPCL、タンパク質化学、生化学、組換えDNA技術、および薬理学の従来の方法が、使用される。特定の定義が与えられなければ、本明細書に記載されている、分析化学、有機合成化学、医薬、薬化学、について用いた命名法と、それらの検査の方法、技術と、は当業者に既知のものである。標準的な技術は、化学合成、化学分析、薬剤の調整、処方、および、送達、ならびに、患者の処置に用いられ得る。標準的な技術は、組み換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、および、組織の培養と形質転換(例えば、エレクトロポレーション、リポフェクション)に使用され得る。反応および精製の技術は、例えば、メーカーの仕様書のキットを用いて、または、当該技術で一般に遂行されるように、または、本明細書に記載されるように、行うことができる。前述の技術および手順は、一般に、当該技術分野で公知の従来の方法で、および、本明細書にわたって引用および議論される様々な一般的でより具体的な参考文献で記載されるように、行うことができる。
本明細書に記載されている方法および組成物は、本明細書に記載されている特別な方法、プロトコル、株化細胞、コンストラクト、および試薬に限定されず、そして、それ自体が変化してもよいことが理解されよう。また、本明細書で使用された用語は、特定の実施形態のみについて記述する目的のものであり、添付された請求項によってのみ限定的な、本明細書に記載の方法と組成物の範囲を制限することは意図されていない、ということが理解さよう。
本明細書で言及されたすべての出版物および特許は、例えば、出版物に記載されているコンストラクトおよび方法論を記載および開示する目的で、それらをそのまま引用することで本明細書に組み込まれており、本明細書に記載の方法、組成物および化合物に関連して使用されてもよい。本明細書で議論された出版物は、本出願の出願日よりも前に開示するためだけに提供される。本明細書のいずれも、本明細書に記載の発明者が先の発明によって、または、それ以外の理由で、そのような開示に先行することができないという承認として解釈されてはならない。
「アルキル」基は、脂肪族炭化水素基を表す。アルキル部分は、「飽和アルキル」基を含んでもよく、これは、任意のアルケンまたはアルキンの部分を包含しないことを意味している。アルキル部分は同様に、「不飽和アルキル」部分を含んでよく、これは、少なくとも1つのアルケンまたはアルキン部分を包含するということを意味している。「アルケン」部分は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有している基を指す。また、「アルキン」部分は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有している基を指す。アルキル部分は、飽和であろうと不飽和であろうと、分岐鎖、直鎖、または、環状であってもよい。構造次第で、アルキル基は、モノラジカルまたはジラジカル(すなわち、アルキレン基)となり得る。アルキル基は1〜6つの炭素原子を有する「低級アルキル」でもあり得る。
本明細書で用いられているように、C1−Cxは、C1−C2、C1−C3...C1−Cxを含む。
「アルキル」部分は1〜10の炭素原子を有してもよい(これは本明細書で現れる場合はいつでも、「1〜10」などの数の範囲は、指定された範囲のそれぞれの整数を表す。例えば「1〜10の炭素原子」は、アルキル基が1つの炭素原子、2つの炭素原子、3つの炭素原子から最大で10の炭素原子を有してもよいことを意味するが、本定義は数の範囲が指定されない場合の用語「アルキル」の存在にも及ぶ)本明細書に記載されている化合物のアルキル基は、「C1−C4アルキル」、または同様の表示で指定することができる。ほんの一例として、「C1−C4アルキル」は、1〜4つの炭素原子がアルキル鎖の中にあることを示し、すなわち、アルキル鎖は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびt−ブチルの中から選択されている。したがって、C1−C4アルキルは、C1−C2アルキルおよびC1−C3アルキルを含んでいる。アルキル基は置換可能または非置換可能であり得る。典型的なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、三級ブチル、ペンチル、ヘキシル、エテニル、プロペニル、ブテニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを含むが、これらに限定されない。
本明細書で使用されているように、用語「非環状アルキル」は、環状ではない(すなわち、少なくとも1つの炭素原子を包含する直鎖または分枝鎖)アルキルを指す。非環状アルキルは完全に飽和可能であるか、または、非環状アルケンおよび/またはアルキンを包含することができる。非環状アルキルは随意に置換可能である。
用語「アルケニル」は、アルキル基の最初の2つの原子が芳香族基の一部ではない二重結合を形成する、アルキル基の一種を指す。すなわち、アルケニル基は、原子−C(R)=C(R)−Rから始まり、Rは、同じでも異なってもよいアルケニル基の残りの部分を指す。アルケニル部分は、分枝鎖、直鎖、または、環状あるいは環式(この場合、「シクロアルケニル」基としても知られている)であってもよい。構造次第では、アルケニル基は、モノラジカルまたはジラジカル(すなわち、アルケニレン基)であり得る。アルケニル基は随意に置換され得る。アルケニル基の非限定的な例は、−CH=CH2、−C(CH3)=CH2、−CH=CHCH3、−C(CH3)=CHCH3を含んでいる。アルケニレン基は、限定されないが、−CH=CH−、−C(CH3)=CH−、−CH=CHCH2−、−CH=CHCH2CH2−、および、−C(CH3)=CHCH2を含む。アルケニル基は2〜10の炭素を有し得る。アルケニル基は同様に、2〜6つの炭素原子を有する「低級アルケニル」でもありえる。
用語「アルキニル」は、アルキル基の最初の2つの原子が三重結合を形成する、アルキル基の一種を指す。すなわち、アルキニル基は、原子−C≡C−Rから始まり、Rは、同じでも異なってもよいアルキニル基の残りの部分を指す。アルキニル部分の「R」部分は、分枝鎖、直鎖、あるいは環状であってもよい。構造次第で、アルキニル基は、モノラジカルまたはジラジカル(すなわち、アルキニレン基)であり得る。アルキニル基は随意に置換され得る。アルキニル基の非限定的な例は、限定されないが、−C≡CH、−C≡CCH3、−C≡CCH2CH3、−C≡C−、および、−C≡CCH2を含む。アルキニル基は2〜10の炭素を有し得る。アルキニル基は同様に、2〜6つの炭素原子を有する「低級アルキニル」でありえる。
「アルコキシ」基は(アルキル)O−基を指しており、アルキルは本明細書で定義されている通りである。
「ヒドロキシアルキル」は、少なくとも1つの水酸基で置換された、本明細書に定義されたようなアルキルラジカルを指す。ヒドロキシアルキルの非限定的な例は、限定されないが、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル、2−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル、2,3−ジヒドロキシブチル、3,4−ジヒドロキシブチル、および、2−(ヒドロキシメチル)−3−ヒドロキシプロピルを含む。
「アルコキシアルキル」は、本明細書で定義されるようなアルコキシ基によって置換された、本明細書で定義されるようなアルキルラジカルを指す。
「アルケニルオキシ」基は、(アルケニル)O−基を表し、アルケニルは本明細書に定義される通りである。
用語「アルキルアミン」は、−N(アルキル)xHy基を指し、xとyは、x=1、y=1、および、x=2、y=0の中から選択される。x=2の場合、付いているN原子とともに取り込まれるアルキル基は、随意に環状の環構造を形成することができる。
「アルキルアミノアルキル」は、本明細書で定義されるようなアルキルアミンによって置換された、本明細書で定義されるようなアルキルラジカルを指す。
「アミド」は、式−C(O)NHRまたは−NHC(O)Rを含む化学部分であり、ここで、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を介して結合する)、および、ヘテロ脂環式(環炭素を介して結合する)の中から選択される。アミド部分は、アミノ酸またはペプチド分子と、本明細書に記載されている化合物との間に結合を形成してもよく、その結果としてプロドラッグを形成する。本明細書に記載される化合物上の任意のアミンまたはカルボキル側鎖がアミノ化され得る。
そのようなアミドを作る手順および特定の基は、当業者には知られており、および、そのまま引用することで本明細書に組み込まれる文献「Greene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley & Sons, New York, NY, 1999」等の参考文献で容易に見つけることができる。
用語「エステル」は、式−COORを含む化学部分を指しており、ここで、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を介して結合する)、および、ヘテロ脂環式(環炭素を介して結合する)の中から選択される。本明細書に記載の化合物上の任意のヒドロキシまたはカルボキシル側鎖は、エステル化され得る。前記エステルを作る手順および特定の基は、当業者には知られており、および、そのまま引用することで本明細書に組み込まれる文献「Greene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley & Sons, New York, NY, 1999」等の参考文献で容易に見つけることができる。
本明細書に使用されるように、用語「環」は、任意の共有結合した構造を指す。環は、例えば、炭素環式化合物(例えばアリールとシクロアルキル)、複素環化合物(例えば、ヘテロアリールおよび非芳香族複素環)、芳香族化合物(例えばアリールとヘテロアリール)、および非芳香族化合物(例えばシクロアルキルおよび非芳香族複素環)を含んでいる。環は、随意に置換され得る。環は、単環式または多環式でもよい。
本明細書に使用されるように、用語「環系」は1以上の環を指す。
用語「員環」は、任意の環式構造を包含できる。用語「員」は、環を構成する骨格原子の数を示すことを意味している。したがって、例えば、シクロヘキシル、ピリジン、ピランおよびチオピランは、6員環であり、シクロペンチル、ピロール、フランおよびチオフェンは、5員環である。
用語「縮合」は、2つ以上の環が1つ以上の結合を共有する構造を指す。
用語「炭素環式の」または「炭素環」は、環を形成する原子の各々が炭素原子である環を表す。炭素環はアリールとシクロアルキルとを含んでいる。したがって、この用語は、環バックボーン(backbone)が、炭素(すなわちヘテロ原子)とは異なる少なくとも1つの原子を包含する炭素環と、複素環(「複素環式の」)を区別する。複素環はヘテロアリールとヘテロシクロアルキルとを含んでいる。炭素環と複素環とは、随意に置換され得る。
用語「芳香族」は、4n+2πの電子を含む、非局在化したπ−電子系を有する平面環を表しており、nは整数である。芳香環は、5、6、7、8、9、または9よりも多い原子から形成可能である。芳香族化合物は随意に置換され得る。用語「芳香族」は、炭素環式アリール(例えばフェニル)と複素環式アリール(または「ヘテロアリール」または「ヘテロ芳香族」)の基(例えばピリジン)の両方を含む。この用語は、単環式または縮合多環式(すなわち、近接する対の炭素原子を共有する環)の基を含む。
本明細書に使用されているように、用語「アリール」は、環を形成する原子の各々が炭素原子である芳香環を表す。アリール環は、5、6、7、8、9、または9より多い炭素原子によって、形成され得る。アリール基は、随意に置換され得る。アリール基の例としては、限定されないが、フェニル、ナフタレニル、フェナントレニル、アントラセラニル、フルオレニルおよびインデニルが挙げられる。構造によって、アリール基は、モノラジカルまたはジラジカル(すなわち、アリーレン基)となり得る。
「アルコキシ」基は、(アリール)O−基を表しており、ここで、アリールは本明細書に定義される通りである。
「アラルキル」は、アリール基で置換された、本明細書に定義されるようなアルキルラジカルを意味する。非限定的なアラルキル基としては、ベンジル、フェネチルなどが挙げられる。
「アラルケニル」は、本明細書で定義されるようなアリール基によって置換された、本明細書で定義されるようなアルケニルラジカルを指す。
用語「シクロアルキル」は、炭素と水素のみを包含しており、飽和、一部不飽和、または、完全不飽和であってもよい、単環式または多環式のラジカルを指している。シクロアルキル基は、3〜10の環状原子を有する基を含む。シクロアルキル基の実例は、次の部分を含んでいる。
構造次第で、シクロアルキル基は、モノラジカルまたはジラジカル(すなわち、シクロアルキレン基)となり得る。シクロアルキル基は、3〜8つの炭素原子を有する「低級シクロアルキル」でありえる。
「シクロアルキル」は、シクロアルキル基で置換された、本明細書に定義されるようなアルキルラジカルを意味する。非限定的なシクロアルキルアルキル基としては、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチルなどが挙げられる。
用語「複素環」は、O、S、およびNから各々が選択された1〜4のヘテロ原子を包含しているヘテロ芳香族およびヘテロ脂環式の基を指し、ここで、各複素環基は、前記基の環が2つの隣接したOまたはS原子を包含していないという条件で、その環系の中に4〜10の原子を有している。本明細書において、複素環中の炭素原子の数が示される(例えばC1−C6複素環)場合は常に、少なくとも1つの他の原子(ヘテロ原子)は環の中になければならない。「C1−C6複素環」のような表示は、環の炭素原子の数のみを指しており、環の原子の総数を指していない。複素環式環が環の中に追加のヘテロ原子を有し得ることが理解されよう。「4〜6員複素環」のような表示は、環の中に含まれる原子の総数を指している(すなわち、少なくとも1つの原子が炭素原子であり、少なくとも1つの原子がヘテロ原子であり、残りの2〜4の原子が炭素原子またはヘテロ原子である、4、5または6員環)。2つ以上のヘテロ原子を有している複素環では、それらの2つ以上のヘテロ原子は、互いに同じまたは異なるものであり得る。複素環は随意に置換され得る。複素環との結合は、ヘテロ原子で、または、炭素原子を介して行うことができる。非芳香族複素環基は、その環系内に4つの原子しか備えていない基を含むが、芳香族複素環基は、その環系内に少なくとも5つの原子を備えなければならない。複素環基は、ベンゾ縮合した環系を含む。4員複素環基の例は、アゼチジニル(アゼチジン由来)である。5員複素環基の例は、チアゾリルである。6員複素環基の例は、ピリジルであり、10員複素環基の例は、キノリニルである。非芳香族複素環基の例は、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、チオクサニル、ピペラジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアセピニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、インドリニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、3H−インドリル、および、キノリジニルである。芳香族複素環基の例は、ピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンズオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、およびフロピリジニルである。上に列挙した基に由来するような前述の基は、可能な場合には、C−付加またはN−付加であってもよい。例えば、ピロール由来の基は、ピロール−1−イル(N−付加)またはピロール−3−イル(C−付加)であってもよい。さらに、イミダゾル由来の基は、イミダゾル−1−イルまたはイミダゾル−3−イル(両方ともN−付加)、またはイミダゾル−2−イル、イミダゾル−4−イル、またはイミダゾル−5−イル(全てC−付加)であってもよい。複素環基は、ベンゾ縮合環系と、ピロリジン−2−オン等の1つまたは2つのオキソ(=O)部分で置換された環系とを含む。構造により、複素環基は、モノラジカルまたはジラジカル(すなわち、ヘテロシクレン基)となり得る。
用語「ヘテロアリール」または代替的に「ヘテロ芳香族」は、窒素、酸素、および硫黄から選択される1以上の環へテロ原子を含むアリール基を表す。N含有「ヘテロ芳香族」または「ヘテロアリール」部分は、環の骨格原子の少なくとも1つが窒素原子である芳香族基を指す。ヘテロアリール基の実例は次の部分を含んでいる。
構造により、ヘテロアリール基は、モノラジカルまたはジラジカル(すなわち、ヘテロアリーレン基)となり得る。
本明細書で使用されるように、用語「非芳香族複素環」、「ヘテロシクロアルキル」、または、「ヘテロ脂環式」は、環を形成する1つ以上の原子がヘテロ原子である、非芳香環を指す。「非芳香族複素環」または「ヘテロシクロアルキル」基は、窒素、酸素、硫黄から選択された少なくとも1つのヘテロ原子を含むシクロアルキル基を指す。ラジカルは、アリールまたはヘテロアリールと縮合することもある。ヘテロシクロアルキル環は、3、4、5、6、7、8、9、または9より多い原子によって形成され得る。ヘテロシクロアルキル環は、随意に置換され得る。特定の実施形態では、非芳香族複素環は、例えば、酸素とチオを含有する基のような、1またはそれ以上のカルボニル基またはチオカルボニル基を包含している。ヘテロシクロアルキルの例としては、限定されないが、ラクタム、ラクトン、環式イミド、環式チオイミド、環式カルバマート、テトラヒドロチオピラン、4H−ピラン、テトラヒドロピラン、ピペリジン、1,3−ジオキシン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキシン、1,4−ジオキサン、ピペラジン、1,3−オキサチアン、1,4−オキサチイン、1,4−オキサチアン、テトラヒドロ−1,4−チアジン、2H−1,2−オキサジン、マレイミド、コハク酸イミド、バルビツール酸、チオバルビツール酸、ジオキソピペラジン、ヒダントイン、ジヒドロウラシル、モルホリン、トリオキサン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロフラン、ピロリン、ピロリジン、ピロリドン、ピロリジオン、ピラゾリン、ピラゾリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、1,3−ジオキソール、1,3−ジオキソラン、1,3−ジチオール、1,3−ジチオラン、イソキサゾリン、イソオキサゾリジン、オキサゾリン、オキサゾリジン、オキサゾリジノン、チアゾリン、チアゾリジン、および、1,3−オキサチオランが挙げられる。非芳香族複素環としても表されるヘテロシクロアルキル基の実例は以下を含む。
用語「ヘテロ脂環式」は、限定されないが、単糖類、二糖類、およびオリゴ糖を含む、炭水化物のすべての環状形態も含んでいる。構造により、ヘテロシクロアルキル基は、モノラジカルまたはジラジカル(すなわち、ヘテロシクロアルキレン基)となり得る。
用語「ハロ」、あるいは、代替的に「ハロゲン」または「ハライド」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、および、ヨードを意味する。
用語「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」、「ハロアルキニル」、および、「ハロアルコキシ」は、少なくとも1つの水素がハロゲン原子に置き換えられる、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびアルコキシルの構造を含んでいる。2つ以上の水素原子がハロゲン原子に置き換えられる特定の実施形態では、ハロゲン原子は、互いにすべて同じである。2つ以上の水素原子がハロゲン原子に置き換えられる他の実施形態では、ハロゲン原子は、互いにすべてが同じではない。
本明細書で用いられるような用語「フルオロアルキル」は、少なくとも1つの水素がフッ素原子に置き換えられるアルキル基を指す。フルオロアルキル基の例としては、限定されないが、−CF3、−CH2CF3、−CF2CF3、−CH2CH2CF3、および同種のものが挙げられる。
本明細書で用いられるように、用語「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルケニル」、および、「ヘテロアルキニル」は、1以上の骨格の鎖原子がヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、硫黄、シリコン、燐、またはそれらの組み合わせ)である、随意に置換されたアルキル、アルケニル、および、アルキニルのラジカルを含んでいる。ヘテロ原子は、ヘテロアルキル基の任意の内部の位置に、または、ヘテロアルキル基が分子の残りの部分に付く位置に、置かれてもよい。例としては、限定されないが、−CH2−O−CH3、−CH2−CH2−O−CH3、−CH2−NH−CH3、−CH2−CH2−NH−CH3、−CH2−N(CH3)−CH3、−CH2−CH2−NH−CH3、−CH2−CH2−N(CH3)−CH3、−CH2−S−CH2−CH3、−CH2−CH2、−S(O)−CH3、−CH2−CH2−S(O)2−CH3、−CH=CH−O−CH3、−Si(CH3)3、−CH2−CH=N−OCH3、および、−CH=CH−N(CH3)−CH3が挙げられる。加えて、2つまでのヘテロ原子は、一例として、−CH2−NH−OCH3、および、−CH2−O−Si(CH3)3のように連続的であってもよい。
用語「ヘテロ原子」は、炭素または水素以外の原子を指す。ヘテロ原子は、典型的には酸素、硫黄、窒素、シリコンおよび燐の中から独立して選択されるが、これらの原子に限定されない。2つ以上のヘテロ原子が存在する実施形態では、2つ以上のヘテロ原子が互いに全て同じであり得るか、あるいは、2つ以上のヘテロ原子のうちのいくつかまたは全てが他のものとは各々異なるものであり得る。
「結合」または「単結合」との用語は、結合によりつながれた原子がより大きな下部構造の一部であると考えられるときの2つの原子または2つの部分間の化学結合を指す。
「イソシアネート」基はNCO基を表す。
「イソチオシアネート」基は、NCS基を表す。
用語「部分」は、分子の特定の区域または官能基を表す。化学的部分は、分子に埋め込まれたまたは付加された、化学物質としてしばしば認識される。
「スルフィニル」基はS(=O)Rを指す。
「スルホニル」基はS(=O)2Rを指す。
「チオアルコキシ」基または「アルキルチオ」基は、−S−アルキル基を指す。
「アルキルチオアルキル」基は、−S−アルキル基で置換されたアルキル基を指す。
本明細書で使用されているように、用語、「O−カルボキシ」または「アシルオキシ」は、式RC(=O)O−の基を指す。
「カルボキシ」は、−C(O)OHラジカルを意味する。
本明細書で使用されているように、用語「アセチル」は、式−C(=O)CH3の基を指す。
「アシル」は基−C(O)Rを指す。
本明細書で使用されているように、用語「トリハロメタンスルホニル」は、Xがハロゲンである、式、X3CS(=O)2−の基を指す。
本明細書で使用されているように、用語「シアノ」は、式−CNの基を指す。
「シアノアルキル」は、少なくとも1つのシアノ基で置換された、本明細書に定義されるようなアルキルラジカルを意味する。
本明細書で使用されているように、用語、「N−スルホンアミド」または「スルホニルアミノ」は、式RS(=O)2NH−の基を指す。
本明細書で使用されているように、用語「O−カルバミル」は、式−OC(=O)NR2の基を指す。
本明細書で使用されているように、用語「N−カルバミル」は、式ROC(=O)NH−の基を指す。
本明細書で使用されているように、用語「O−チオカルバミル」は、式−OC(=S)NR2の基を指す。
本明細書で使用されているように、用語「N−チオカルバミル」は、式ROC(=S)NH−の基を指す。
本明細書で使用されているように、用語「C−アミド」は式−C(=O)NR2の基を指す。
「アミノカルボニル」は−CONH2ラジカルを指す。
本明細書で使用されているように、用語「N−アミド」は、式RC(=O)NH−の基を指す。
本明細書で使用されているように、数の指定なくそれだけで出てくる置換基「R」は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素によって結合した)、および、非芳香族複素環(環炭素によって結合した)の中から選択された置換基を指す。
用語「随意に置換された」または「置換された」は、言及された基が、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルスルホン、アリールスルホン、シアノ、ハロ、アシル、ニトロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、アミノ(一置換および二置換アミノ基を含む)、および、これらの保護誘導体から個別におよび独立的に選択される1以上の追加の基によって置換されてもよいことを意味する。一例として、随意の置換基はLsRsでもよく、それぞれのLsは、単結合、−O−、−C(=O)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)2−、−NH−、−NHC(O)−、−C(O)NH−、S(=O)2NH−、−NHS(=O)2、−OC(O)NH−、−NHC(O)O−、−(置換または非置換のC1−C6アルキル)、または、−(置換または非置換のC2−C6アルケニル)から独立して選択され、および、それぞれのRsは、H、(置換または非置換のC1−C4アルキル)、(置換または非置換のC3−C6シクロアルキル)、ヘテロアリール、または、ヘテロアルキルから独立して選択される。上記の置換基の保護誘導体を形成することもある保護基は、当業者には知られており、上記の「Greene and Wuts」等の参考文献で見られることもある。
用語「マイケル供与体部分」は、マイケル反応に関与することができる官能基を指しており、新しい共有結合は、マイケル供与体部分の一部とそのドナー部分との間で形成される。マイケル供与体部分は求電子試薬であり、「ドナー部分」は求核試薬である。
用語「求核試薬」または「求核の」は、電子の豊富な化合物またはその部分を指す。求核試薬の一例としては、何ら限定はされないが、例えば、Btkのシステイン481のような、分子のシステイン残基が挙げられる。
用語「求電子試薬」または「求電子の」は、電子不足または電子欠損の分子、またはその部分を指す。求電子試薬の例としては、何ら限定されないが、マイケル供与体部分が挙げられる。
本明細書で使用されているように、製剤、組成物、または成分に関する用語「許容可能な」または「薬学的に許容可能な」とは、処置されている被験体の全般的な健康に対して持続的な有害な効果を及ぼさないこと、あるいは、化合物の生物活性または特性を抑止せず、かつ、比較的無毒であるということを意味する。
本明細書で使用されているように「B細胞リンパ球増殖性疾患(BCLD)バイオマーカー」は、任意の生体分子(血液、他の体液または組織のいずれかで見られる)、または、BCLD関連の疾病または疾患の兆候である任意の染色体異常を指す。
本明細書で使用されているように、「腫瘍」は、悪性または良性にかかわらず、すべての腫瘍細胞の成長および増殖と、すべての前がんおよびがんの細胞と組織を指す。本明細書で使用されるように「腫瘍性の」とは、悪性または良性にかかわらず、異常な組織の増殖をもたらす、調節不全なまたは未制御な細胞の増殖の任意の形態を指す。したがって、「腫瘍細胞」は、調節不全または未制御な細胞の増殖を有する悪性および良性の細胞を含んでいる。
「がん」および「がん性の」との用語は、一般的に未制御な細胞増殖を特徴とする哺乳動物の生理的な状態を指すまたは記載している。がんの例としては、限定されないが、リンパ腫および白血病のようなB細胞リンパ球増殖性疾患(BCLD)と固形腫瘍とが挙げられる。「B細胞に関連するがん」または「B細胞系統のがん」によって、調節不全なまたは未制御な細胞増殖がB細胞に関連付けられる対象となる任意の型のがんがある。
がんの文脈における「難治性である」によって、対象となる特定のがんが特定の治療薬を用いる治療に対して耐性がある、または、反応しない。がんは、特定の治療薬を用いた処置の開始時(すなわち、該治療薬に対する当初の曝露に反応しない)から、または、該治療薬に対する耐性を進行させた結果として、該治療薬を用いた第1の処置期間にわたって、または、該治療薬を用いたその後の治療期間中に、特定の治療薬を用いた療法に対して難治性であり得る。
「アゴニスト活性」によって、1つの物質がアゴニストとして機能することを意図している。アゴニストは細胞上の受容体と結合し、受容体の天然リガンドによって引き起こされるのと類似したまたは同じ反応または活性を引き起こす。
「アンタゴニスト活性」によって、物質がアンタゴニストとして機能することを意図している。Btkのアンタゴニストは、Btkによって媒介される応答のいずれかの誘発を防ぐまたは減らす。
「有意な」アゴニスト活性によって、B細胞応答のアッセイで測定されるような中性物質または陰性対照によって引き起こされるアゴニスト活性よりも少なくとも30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%も大きなアゴニスト活性が意図されている。好ましくは、「有意な」アゴニスト活性は、B細胞応答のアッセイで測定されるような中性物質または陰性対照によって引き起こされたアゴニスト活性よりも、少なくとも2倍大きなまたは少なくとも3倍大きなアゴニスト活性である。したがって、例えば、対象となるB細胞応答がB細胞の増殖である場合、「有意な」アゴニスト活性は、中性物質または陰性対照によって引き起こされたB細胞の増殖のレベルよりも、少なくとも2倍大きなまたは少なくとも3倍大きいB細胞の増殖のレベルを引き起こすことである。
「有意なアゴニスト活性がない」物質は、中性物質または陰性対照によって引き起こされるアゴニスト活性よりもせいぜい約25%大きなアゴニスト活性、好ましくは、B細胞応答のアッセイで測定されるような中性物質または陰性対照によって引き起こされたアゴニスト活性よりもせいぜい約20%大きな、15%大きな、10%大きな、5%大きな、1%大きな、0.5%大きな、または、約0.1%大きなアゴニスト活性を示す。
いくつかの実施形態では、Btk阻害剤治療薬はアンタゴニスト抗Btk抗体である。そのような抗体は、ヒト細胞のBtk抗原に結合すると、上記のように有意なアゴニスト活性を有していない。本発明の1つの実施形態では、アンタゴニスト抗Btk抗体は、1つの細胞応答において有意なアゴニスト活性がない。本発明の別の実施形態では、アンタゴニスト抗Btk抗体は、2以上の細胞応答(例えば、増殖および分化、または、増殖、分化、および、B細胞について抗体産生)のアッセイで有意なアゴニスト活性がない。
「Btkを媒介としたシグナル伝達」によって、Btkの活性に直接的または間接的に依存した生物活性のいずれかが意図される。Btkを媒介としたシグナル伝達の例は、Btk発現細胞の増殖および生存と、Btk発現細胞内の1つ以上のBtkシグナル伝達経路の刺激とを導く信号である。
Btk「シグナル伝達経路」または「シグナル変換経路」は、Btkの活性に由来するとともに、シグナル伝達経路を通って送信されるとシグナル伝達カスケード内の1以上の下流の分子の活性化をもたらす信号を生成する、少なくとも1つの生化学的反応または生化学的反応群を意味するように意図されている。シグナル変換経路は、細胞表面から細胞の原形質膜を横断し、かつ、一連のシグナル伝達分子の1以上を通って、細胞の細胞質を通って、場合によっては細胞核まで信号を伝達する、多くのシグナル伝達分子を含んでいる。本発明のとりわけ興味深いことは、NF−κBシグナル伝達経路を介してNF−κBの活性化を最終的に制御する(増強または阻害する)Btkシグナル変換経路である。
本発明の方法はがんを処置する方法を対象としており、これらの方法は、特定の実施形態において、該方法における特定のBCLDバイオマーカーの発現または存在を決定するために抗体を利用する。以下の用語および定義はそのような抗体に当てはまる。
「抗体」および「免疫グロブリン」(Ig)は同じ構造特性を備える糖タンパク質である。
これらの用語は同義的に使用される。例によっては、免疫グロブリンの抗原特異性は知られているかもしれない。
用語「抗体」は最も広い意味で使用され、完全に組み立てられた抗体、抗原(例えば、Fab、F(ab’)2、Fv、単一鎖抗体、二重異性抗体、抗体キメラ、ハイブリッド抗体、二重特異性抗体、ヒト化した抗体など)と結合することができる抗体フラグメント、および、前述のものを含む組み換え型ペプチドを網羅している。
本明細書で使用されるような用語「モノクローナル抗体」および「mAb」は、抗体の実質的に均質な集団から得られた抗体を指しており、すなわち、該集団を含む個々の抗体は、ごくわずかな量存在する自然に発生する可能性のある変異を除いて同一である。
「自然の抗体」または「自然の免疫グロブリン」は一般に、2つの同一の軽(L)鎖と2つの同一の重(H)鎖からなる、約150,000ダルトンのヘテロ四量体の糖タンパク質である。それぞれの軽鎖が1つの共有ジスルフィド結合によって重差と結合しており、ジスルフィド結合の数は、異なる免疫グロブリンのアイソタイプの重鎖のなかで変化する。それぞれの重鎖と軽鎖はさらに、規則的に間隔を置いた鎖内のジスルフィド架橋も有している。それぞれの重鎖は1つの末端に可変領域(VH)と、その後の多くの定常領域を有している。それぞれの軽鎖は1つの末端に可変領域(VL)と、もう一方の末端に定常領域を有している。軽鎖の定常領域は重鎖の第1の定常領域と位置が合わさっており、軽鎖の可変領域は重鎖の可変領域と位置が合わされている。特定のアミノ酸残基は、軽鎖と重鎖の可変領域間の界面を形成すると考えられている。
用語「可変」は、可変領域の特定の部分が抗体において配列が広範囲に異なるという事実を指す。可変領域は抗原結合特異性を与える。しかしながら、可変性は抗体の可変領域全体で均一に分布していない。それは、ともに軽鎖と重鎖の可変領域にある相補性決定領域(CDR)または超可変領域と呼ばれる3つのセグメントに集中している。可変領域の高度に保存された部分は、フレームワーク(FR)領域に入れられる(celled)。生来の重鎖と軽鎖の可変領域はそれぞれ、3つのCDRによって接続された、大部分がβプリーツシート構造を採用している4つのFR領域を含んでおり、該領域はβプリーツシート構造を接続する(場合によってはその一部を形成する)ループを形成する。それぞれの鎖のCDRはFR領域によって接近してまとめられ、他の鎖からのCDRによって、抗体の抗原結合部位の形成に貢献する(Kabat et al. (1991) NIH PubL. No. 91−3242, Vol. I, pages 647−669を参照)定常領域は、抗体を抗原に結合することに直接関与しないが、Fc受容体(FcR)結合、抗体依存性の細胞毒性への抗体の関与、補体依存性細胞傷害の誘導、および、マスト細胞脱顆粒のような様々なエフェクター機能を示す。
用語「超可変領域」は、本明細書に使用されるとき、抗原結合の原因である抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」からのアミノ酸残基(すなわち、軽鎖可変領域の残基24−34(L1)、50−56(L2)、および、89−97(L3)と、重鎖可変領域の31−35(H1)、50−65(H2)、および、95−102(H3);Kabat et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institute of Health, Bethesda, Md.)、および/または、「超可変ループ」からの残基(すなわち、軽鎖可変領域の残基26−32、50−52(L2)、および、91−96(L3)と、重鎖可変領域の(H1)、53−55(H2)、および、96−101(13);Clothia and Lesk, (1987) J. Mol. Biol., 196:901−917)を含んでいる。本明細書でみなされているように、「フレームワーク」または「FR」残基は、超可変領域の残基以外の可変領域の残基である。
「抗体フラグメント」は、インタクトな抗体の一部、好ましくはインタクトな抗体の抗原結合または可変領域を含む。抗体フラグメントの例としては、Fab、Fab、F(ab’)2、および、Fvフラグメント;二重異性抗体;直線状の抗体(Zapata et al.(1995) Protein Eng. 10:1057−1062);単一鎖の抗体分子;および、抗体フラグメントから形成された多選択性抗体が挙げられる。抗体のパパイン消化は、それぞれが単一の抗原結合部位を含む、「Fab」フラグメントと呼ばれる2つの同一の抗原結合フラグメントと、名前が容易に結晶するその能力を反映している残余「Fc」フラグメントとを生成する。ペプシン処置は、2つの抗原結合部位を有し、架橋抗原の能力を依然として有する、F(ab’)2フラグメントを産生する。
「Fv」は、完全な抗原認識と結合部位を包含している最小の抗体フラグメントである。この領域は、緊密な非共有結合性会合の1つの重鎖と1つの軽鎖の可変領域の二量体からなる。この構造において、VH−VL二量体の表面上の抗原結合部位を定義するために、それぞれの可変領域の3つのCDRが相互に作用する。まとめて、6つのCDRが抗体に抗原結合特異性を与える。しかしながら、全結合部位よりも低い親和性においてであるが、1つの可変領域(または、抗原に特異的なわずか3つのCDRしか含まないFvの半分)でも、抗原を認識し、抗原と結合する能力を有している。
FAbフラグメントは、軽鎖の定常領域と重鎖の第1の定常領域(CH1)も包含している。FAbフラグメントは、抗体のヒンジ領域からの1つ以上のシステインを含む重鎖CH1領域のカルボキシ末端での少数の残基の追加の分だけ、Fab’フラグメントとは異なる。Fab’−SHは、Fab’について本明細書で指定されたとおりであり、定常領域のシステイン残基は遊離チオール基を有している。
Fab’フラグメントは、F(ab’)2フラグメントの重鎖ジスルフィド架橋を減らすことによって生成される。抗体フラグメントの他の化学的結合も知られている。
任意の脊椎種からの抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、その定常領域のアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)とラムダ(λ)と呼ばれる2つの明らかに異なるタイプの1つに割り当てることができる。
その重鎖の定常領域のアミノ酸配列次第で、免疫グロブリンは異なる分類に割り当てることができる。ヒト免疫グロブリンの5つの主な分類:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMがあり、これらのいくつかは下位分類(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、および、IgA2にさらに分類されることもある。異なる分類の免疫グロブリンに対応する重鎖の定常領域はそれぞれ、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、および、ミューと呼ばれる。異なる分類の免疫グロブリンのサブユニット構造と三次元配置は周知である。異なるアイソタイプは異なるエフェクター機能を有している。例えば、ヒトIgG1およびIgG3アイソタイプは、ADCC(抗体依存性細胞媒介性細胞傷害)活性を有する。
「標識」との単語は、本明細書で使用されるとき、「標識化された」抗体を生成するために抗体に直接または間接的に共役している検知可能な化合物または組成物を指す。標識はそれ自体が検知可能であってもよく(例えば、放射性同位元素標識または蛍光標識)、または、酵素標識の場合には、検知可能な基質化合物または組成物の化学的変化を触媒することもある。
本明細書で使用されているように、製剤、組成物、または成分に関する「許容可能な」または「薬学的に許容可能な」との用語は、治療を受ける被験体の全般的な健康に対して持続的な有害な効果を及ぼさないこと、または、化合物の生物活性または特性を抑止せず、比較的無毒であることを意味する。
本明細書で使用されているように、用語「アゴニスト」とは、その存在が、例えばBtkのようなタンパク質の自然発生リガンドの存在に由来する生物活性と同じタンパク質の生物活性をもたらす、化合物を指している。
本明細書に使用されているように、用語「部分アゴニスト」とは、その存在が、タンパク質の自然発生リガンドの存在に由来する生物活性と同じタイプであるが規模の小さなタンパク質の生物活性をもたらす、化合物を指す。
本明細書で使用されているように、用語「アンタゴニスト」は、その存在がタンパク質の生物活性の規模を減少させる、化合物を指している。特定の実施形態では、アンタゴニストの存在は、例えばBtkのようにタンパク質の生物活性の完全な抑制を結果としてもたらす。特定の実施形態では、アンタゴニストは阻害剤である。
本明細書で用いられているように、用語「ブルトン型チロシンキナーゼ(Btk)」は、例えば、米国特許6,326,469(GenBank Accession No.NP_000052)で開示されているように、ヒトからのブルトン型チロシンキナーゼを指す。
用語「ブルトン型チロシンキナーゼホモログ」は、本明細書で使用されているように、ブルトン型チロシンキナーゼのオルソログ、例えば、マウス(GenBank Accession No.AAB47246)、イヌ(GenBank Accession No.XP_549139)、ラット(GenBank Accession No.NP_001007799)、ニワトリ(GenBank Accession No.NP_989564)、または、ゼブラフィッシュ(GenBank Accession No.XP_698117)のオルソログ、および、ブルトン型チロシンキナーゼの基質(例えば、アミノ酸配列「AVLESEEELYSSARQ」を有するペプチド基質)の1つ以上に対するキナーゼ活性を示す前述のもののいずれかの縮合タンパク質を指している。
「同時投与」または「併用療法」などの用語は、本明細書で使用されるように、一人の患者に対する治療薬の投与を包含することを意味し、同じまたは異なる投与経路によって、あるいは、同じまたは異なる時間に、薬剤が投与される処置を含めるように意図されている。
用語「有効な量」は、本明細書で使用されるように、血液中のリンパ球の小集団の増加または出現をもたらす(例えば、医薬品の減量(pharmaceutical debulking))、投与される十分な量のBtk阻害剤またはBtk阻害化合物を指す。例えば、診断用途および/または治療用途の「有効な量」は、過度の有害な副作用を生じることなく、リンパ球の小集団の血液中の増加または出現を臨床的に有意なほど減少させるために必要とされる、本明細書で開示した化合物を含む組成物の量である。適切な「有効な量」は、いかなる個々の場合でも、用量漸増研究などの技術を使用して定められてもよい。
「治療上有効な量」との用語は、本明細書で用いられるように、B細胞リンパ球増殖性疾患(BCLD)などの1以上の症状をある程度和らげる、投与される薬剤または化合物の十分な量を指す。その結果は、BCLDの徴候、症状、または原因の減少および/または緩和であり得るか、あるいは、生物系の任意の他の所望の変化であり得る。用語「治療上有効な量」は、例えば、予防に有効な量を含む。本明細書に開示した化合物の「有効な量」は、過度の有害な副作用を生じずに、望ましい薬理学的効果または治療の改善を達成するのに有効な量である。「有効な量」または「治療上有効な量」は、式(A)、式(B)、式(C)、または、式(D)のいずれかの化合物の代謝の変動、被験体の年齢、体重、全身状態、処置されている疾病、処置されている疾病の重症度、処方する医師の判断によって、被験者ごとに変化し得ることが理解されよう。ほんの一例として、治療上有効な量は、限定されないが、用量漸増臨床治験を含む日常的な実験によって決定されてもよい。
用語「増強する(enhannce)」または「増強すること(enhancing)」は、効力または持続時間のいずれかにおいて、所望の効果を増加または延長することを意味する。一例として、治療薬の効果を「増強すること」は、効力または持続時間のいずれかにおいて、疾患、障害、または疾病の処置を行なっているあいだに治療薬の効果を増加または延長する能力を指す。本明細書で用いられているように、用語「増強するのに有効な量」は、疾患、障害、または疾病の処置において、治療薬の効果を増強するのに適切な量を指す。患者に用いる場合、この用途にとって有効な量は、疾患、障害または疾病の重篤度および経過、以前の治療、患者の健康状態および薬物に対する応答、処置する医師の判断によって変わるであろう。
本明細書で使用されているように、用語「相同システイン(homologous cysteine)」は、本明細書で定義されているように、ブルトン型チロシンキナーゼのシステイン481と相同シーケンス位置内で見られるシステイン残基を指す。例えば、システイン482は、ブルトン型チロシンキナーゼのラットオルソログの相同システインであり、システイン479は、ニワトリオルソログの相同システインであり、および、システイン481は、ゼブラフィッシュオルソログの相同システインである。別の例において、Brutonのチロシンに関連付けられるTecキナーゼファミリーであるTXKの相同システインはシステイン350である。同様に、kinase.com/human/kinome/phylogeny.htmlでワールド・ワイド・ウェブ上に公表されたチロシンキナーゼ(TK)のシーケンスアラインメントを参照。
本明細書で使用されているように、「同一」との用語は、同じである2つ以上のシーケンスまたはサブシーケンスを指す。加えて、本明細書に使用されているように、「実質的に同一」との用語は、比較窓によって最大限一致させるために比較および位置合わせする際に、あるいは、比較アルゴリズムを使用して、または、手動による位置合わせや目視検査によって測定されるような領域を指定する際に、同じであるシーケンス単位の割合を有する2つ以上のシーケンスを指す。ほんの一例として、2つ以上のシーケンスは、シーケンス単位が特定の領域で、約60%同一、約65%同一、約70%同一、約75%同一、約80%同一、約85%同一、約90%同一、または、約95%同一であれば、「実質的に同一」であってもよい。前記割合は、2つ以上のシーケンスの「割合同一性」について記述するためのものである。シーケンスの同一性は、長さで少なくとも約75−100のシーケンス単位である領域にわたって、長さで約50のシーケンス単位である領域にわたって、または、特に指定されない場合、全体のシーケンスにわたって、存在し得る。この定義はテストシーケンスの相補対も指している。ほんの一例として、アミノ酸残基が同じであるとき、2つ以上のポリペプチドシーケンスは同じであり、アミノ酸残基が指定された領域で、約60%同一、約65%同一、約70%同一、約75%同一、約80%同一、約85%同一、約90%同一、または、約95%同一である場合、2つ以上のポリペプチドシーケンスは、「実質的に同一」である。同一性は、長さで少なくとも約75−100のアミノ酸である領域にわたって、長さで約50のアミノ酸である領域にわたって、または、特に指定されない場合、ポリペプチドシーケンスのシーケンス全体にわたって、存在し得る。加えて、ほんの一例として、核酸残基が同じであるとき、2つ以上のポリヌクレオチドシーケンスは同じであり、核酸残基が指定された領域で、約60%同一、約65%同一、約70%同一、約75%同一、約80%同一、約85%同一、約90%同一、または、約95%同一である場合、2つ以上のポリヌクレオチドシーケンスは、「実質的に同一」である。同一性は、長さで少なくとも約75−100の核酸である領域にわたって、長さで約50の核酸である領域にわたって、または、特に指定されない場合、ポリヌクレオチドシーケンスのシーケンス全体にわたって、存在し得る。
本明細書で使用されているように、用語「阻害する」、「阻害すること」、または、キナーゼの「阻害剤」は、酵素のリン酸転移酵素活性の阻害を指す。
本明細書で使用されているように、「不可逆的な阻害剤」との用語は、標的タンパク質(例えばキナーゼ)と接触して、該タンパク質を含む、または、該タンパク質内に、新しい共有結合の形成をもたらす化合物を指し、それによって、標的タンパク質の生物活性(例えば、リン酸転移酵素活性)の1つ以上は、不可逆的な阻害剤のその後の存在または不在に関係なく減少するまたは無効にされる。
本明細書で使用されているように、「不可逆的なBtk阻害剤」は、Btkのアミノ酸残基との共有結合を形成することができるBtkの阻害剤を指している。1つの実施形態では、Btkの不可逆的な阻害剤は、Btkのシステイン残基との共有結合を形成することができる。特定の実施形態では、不可逆的な阻害剤は、Btkのシステイン481残基(またはそのホモログ)と、あるいは、別のチロシンキナーゼの相同的な対応する位置のシステイン残基と、共有結合を形成することができる。
本明細書で使用されているように、「分離された」との用語は、対象外の成分から対象の成分を分離し取り除くことを指す。分離した物質は、乾燥状態、半乾燥状態、または、限定されないが水溶液を含む溶液内に存在し得る。分離した成分は均一な状態になりえるか、あるいは、分離した成分は、追加の薬学的に許容可能な担体および/または賦形剤を含む医薬組成物の一部になりえる。ほんの一例として、核酸またはタンパク質は、それが自然な状態で関連付けられる細胞成分の少なくともいくつかを含んでいないときに、あるいは、核酸またはタンパク質が、インビボまたはインビトロでの生産の濃度よりも高いレベルで濃縮されている細胞成分の少なくともいくつかを含んでいないときに、前記核酸またはタンパク質は「分離している」。同様に、一例として、遺伝子は、遺伝子に隣接し、対象の遺伝子以外のタンパク質をコード化する読取枠から離れているときに、分離している。
本明細書で開示される化合物の「代謝物」は、化合物が代謝される際に形成されるその化合物の誘導体である。用語「活性代謝物」は、化合物が代謝される時に形成される、化合物の生物学的に活性な誘導体を指す。本明細書で用いられるように、用語「代謝」は、有機体によって特定の物質が変化するプロセス(加水分解反応、および、酸化反応のような酵素によって触媒された反応などを含むが、これらに限定されない)の合計を指す。従って、酵素は化合物に特定の構造的変化をもたらし得る。例えば、チトクロームP450は、様々な酸化反応および還元反応を触媒する一方で、ウリジン2リン酸グルクロニルトランスフェラーゼは、芳香族アルコール、脂肪族アルコール、カルボン酸、アミン、および遊離スルフヒドリル基への活性化グルクロン酸分子の転移を触媒する。代謝についてのさらに詳しい情報は、「The Pharmacological Basis of Therapeutics, 9th Edition, McGraw−Hill (1996)」から得られる。本明細書で開示された化合物の代謝物は、宿主への化合物の投与と宿主から採取した組織サンプルの解析とによって、あるいは、肝細胞を用いた化合物のインビトロでのインキュベーションとその結果として得られた化合物の分析とによって、特定される。両方の方法は当該技術で周知である。いくつかの実施形態では、化合物の代謝物は、酸化のプロセスによって形成され、対応するヒドロキシ包含化合物に相当する。いくつかの実施形態では、化合物は薬理学的に活性な代謝物に代謝される。
用語「調節する」は、本明細書で用いられているように、標的の活性を変化させるために、標的と直接的または間接的に相互作用することを意味しており、標的の活性の変化には、ほんの一例ではあるが、標的の活性の増強、標的の活性の阻害、標的の活性の制限、または標的の活性の拡大が含まれる。
本明細書で使用されているように、用語「修飾物質」は分子の活性を変化させる化合物を指す。例えば、修飾物質は、修飾物質がない状態での活性の大きさと比較して、分子の特定の活性の大きさの増加または減少を引き起こし得る。特定の実施形態では、修飾物質は、分子の1つ以上の活性の大きさを減少させる阻害剤である。特定の実施形態では、阻害剤は、分子の1つ以上の活性を完全に防ぐ阻害剤である。特定の実施形態では、修飾物質は、分子の1つの活性の大きさを増加させる活性化体である。特定の実施形態では、修飾物質の存在は、修飾物質がない状態では生じない活性を結果としてもたらす。
本明細書で使用されているように、用語「選択的な結合化合物」は、1つ以上の標的タンパク質の任意の部分に選択的に結合する化合物を指す。
本明細書で使用されているように、用語「選択的に結合する」は、非標的タンパク質に結合するよりも大きな親和性を伴って、選択的結合化合物が、例えばBtkのような標的タンパク質に結合する能力を指す。特定の実施形態では、特異的結合は、非標的用の親和性よりも、少なくとも10、50、100、250、500、1000倍またはそれ以上の親和性によって、標的に結合することを指す。
本明細書で使用されているように、用語「選択的修飾物質」は、非標的活性に対して標的活性を選択的に調節する化合物を指す。特定の実施形態では、特定の修飾物質は、非標的活性より、少なくとも10、50、100、250、500、1000倍またはそれ以上の標的活性を調節することを指す。
本明細書で使用されているように、「十分に精製された」との用語は、他の成分を実質的にまたは本質的に含まない対象となる成分であって、他の成分が一般的に、精製前に対象となる成分を伴う、または、該成分に相互に作用する、対象となる成分を指す。ほんの一例として、対象となる成分は、対象となる成分の調合剤が、(乾重量に対して)約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満包、約10%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、あるいは、1%未満の汚染成分を含有しているときに、「十分に精製され」てもよい。したがって、「十分に精製された」対象となる成分は、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、またはそれ以上の精製レベルを有することもある。
本明細書で使用されているような、用語「被験体」は、治療、観察、または実験の対象である包入動物を指す。ほんの一例として、被験体は、限定されないが、ヒトを含む哺乳動物であってもよい。
本明細書で使用されているように、用語「標的活性」は、選択的な修飾物質によって調節され得る能力を有する生物活性を指す。特定の例示的な標的活性は、限定されないが、結合親和性、シグナル変換、酵素活性、腫瘍の増殖、B細胞リンパ球増殖性疾患の原因に関連する特定のバイオマーカーに対する効果を含む。
本明細書で使用されているように、用語「標的タンパク質」は、選択的な結合化合物によって結合され得る能力を有しているタンパク質の分子または部分を指す。特定の実施形態では、標的タンパク質はBtkである。
用語は「処置する」、「処置すること」、または、「処置」は、本明細書で使用されているように、疾患または疾病またはその症状を軽減、寛解、または改善すること;疾患または疾病またはその症状を管理すること;さらなる症状を防ぐこと;症状の根本的な代謝の原因を改善または予防すること;疾患または疾病を阻害すること、例えば、疾患または疾病の発現を抑えること;疾患または疾病を和らげること;疾患または疾病の退行をもたらし、疾患または疾病によって引き起こされた状態を和らげること;あるいは、疾患または疾病の症状を止めること、を含む。用語「処置する」、「処置している」、または「処置」は、限定されないが、予防処置および/または治療処置を含む。
本明細書で使用されているように、IC50は、反応を測定するアッセイにおいてBtkの阻害などの最大反応の50%の阻害を達成する、特定の試験化合物の量、濃度、または投与量を指す。
本明細書で使用されているように、EC50は、特定の試験化合物によって誘発され、引き起こされ、または、強められる、特定の反応の最大発現の50%で用量依存性の反応を誘発する特定の試験化合物の投与量、濃度、または量を指す。
<血液悪性腫瘍>
特定の実施形態において、個体の血液悪性腫瘍を処置するための方法が本明細書に開示され、該方法は、(a)血液悪性腫瘍から複数の細胞を移動させるのに十分な量の不可逆的なBtk阻害剤を含む第1の処置を、個体に施す工程;(b)個体から得られたサンプル中の移動した複数の細胞を分析する工程;および、(c)個体に第2の処置を施す工程、を含む。いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、ハイリスクのCLL、またはCLL/SLLではないリンパ腫である。いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、多発性骨髄腫、辺縁帯リンパ腫、バーキットリンパ腫、非バーキット高悪性度B細胞リンパ腫、または節外性辺縁帯B細胞リンパ腫である。いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、急性または慢性の骨髄性(あるいは骨髄球性)白血病、骨髄異形成症候群、または急性リンパ芽球性白血病である。いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は非ホジキンリンパ腫(NHL)である。いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は慢性リンパ性白血病(CLL)である。いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍はマントル細胞リンパ腫(MCL)である。いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍はびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)である。ある実施形態では、血液悪性腫瘍はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、(ABCサブタイプ)である。いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)(GCBサブタイプ)である。いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍はワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)である。いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は多発性骨髄腫である。いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍はバーキットリンパ腫である。いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は濾胞性リンパ腫である。いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は形質転換濾胞性リンパ腫である。いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は辺縁帯リンパ腫である。
特定の実施形態において、個体の血液悪性腫瘍を処置するための方法が本明細書に開示され、該方法は、(a)血液悪性腫瘍から複数の細胞を移動させるのに十分な量の不可逆的なBtk阻害剤を含む第1の処置を、個体にに施す工程;(b)個体から得られたサンプル中の移動した複数の細胞を分析する工程;および、(c)個体に第2の処置を施す工程、を含む。いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は再発性または難治性である。いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、再発性または難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、再発性または難治性のマントル細胞リンパ腫、再発性または難治性の濾胞性リンパ腫、再発性または難治性のCLL、再発性または難治性のSLL;
再発性または難治性の多発性骨髄腫である。いくつかの実施形態では、不可逆的なBtk阻害剤の量は、血液悪性腫瘍からの複数の細胞のリンパ球増加症を引き起こすのに十分な量である。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、移動した複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度が、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、移動した複数の細胞の末梢血濃度がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、移動した複数の細胞の末梢血濃度が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度があらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、末梢血中の移動した複数の細胞の数を数える工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がBtk阻害剤の投与前の濃度と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して、末梢血中の移動した複数の細胞の数が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数が、あらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。
特定の実施形態において、個体の血液悪性腫瘍を処置するための方法が本明細書に開示され、該方法は、(a)血液悪性腫瘍から複数の細胞を移動させるのに十分な量の不可逆的なBtk阻害剤を含む第1の処置を、個体に施す工程;(b)個体から得られたサンプル中の移動した複数の細胞を分析する工程;および、(c)個体に第2の処置を施す工程、を含む。いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、ハイリスクと分類された血液悪性腫瘍である。いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、ハイリスクCLLまたはハイリスクSLLである。いくつかの実施形態では、不可逆的なBtk阻害剤の量は、血液悪性腫瘍からの複数の細胞のリンパ球増加症を引き起こすのに十分な量である。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、移動した複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度が、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、移動した複数の細胞の末梢血濃度がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、移動した複数の細胞の末梢血濃度が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度があらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、末梢血中の移動した複数の細胞の数を数える工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がBtk阻害剤の投与前の濃度と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して、末梢血中の移動した複数の細胞の数が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数が、あらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。
特定の実施形態において、個体の血液悪性腫瘍を処置するための方法が本明細書に開示され、該方法は、(a)血液悪性腫瘍から複数の細胞を移動させるのに十分な量の不可逆的なBtk阻害剤を含む第1の処置を、個体に施す工程;(b)個体から得られたサンプル中の移動した複数の細胞を分析する工程;および、(c)個体に第2の処置を施す工程、を含む。いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は低悪性度の血液悪性腫瘍である。いくつかの実施形態では、不可逆的なBtk阻害剤の量は、血液悪性腫瘍からの複数の細胞のリンパ球増加症を引き起こすのに十分な量である。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、移動した複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度が、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、移動した複数の細胞の末梢血濃度がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、移動した複数の細胞の末梢血濃度が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度があらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、末梢血中の移動した複数の細胞の数を数える工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がBtk阻害剤の投与前の濃度と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して、末梢血中の移動した複数の細胞の数が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数が、あらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置はレナリドミドである。いくつかの実施形態では、第2の処置は、リツキシマブ、シクロホスファミド、塩酸ドキソルビシン、硫酸ビンクリスチン、および、プレドニゾン(R−CHOP)である。いくつかの実施形態では、第2の処置はテムシロリムスである。
特定の実施形態において、個体の血液悪性腫瘍を処置するための方法が本明細書に開示され、該方法は、(a)マントル細胞リンパ腫から複数の細胞を移動させるのに十分な量の不可逆的なBtk阻害剤を含む第1の処置を、個体に施す工程;(b)個体から得られたサンプル中の移動した複数の細胞を分析する工程;および、(c)個体に第2の処置を施す工程、を含む。いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、形質転換された血液悪性腫瘍である。いくつかの実施形態では、不可逆的なBtk阻害剤の量は、血液悪性腫瘍からの複数の細胞のリンパ球増加症を引き起こすのに十分である。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、移動した複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度が、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、移動した複数の細胞の末梢血濃度がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、移動した複数の細胞の末梢血濃度が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度があらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、末梢血中の移動した複数の細胞の数を数える工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がBtk阻害剤の投与前の数と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して、末梢血中の移動した複数の細胞の数が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数が、あらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。
B細胞リンパ増殖性疾患(BCLD)は、血液の新生物であり、とりわけ、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、及び白血病を含む。BCLDは、リンパ組織(リンパ腫の場合のように)、又は骨髄(白血病及び骨髄腫の場合のように)のいずれかにおいて生じ得、それら全ては、リンパ球又は白血球の無制御増殖に関与している。BCLDの多くのサブタイプ、例えば、慢性リンパ球性白血病(CLL)及び非ホジキンリンパ腫(NHL)がある。BCLDの疾患経過及び処置は、BCLDのサブタイプに依存している。しかしながら、各サブタイプ内においてでされ、臨床症状、形態学的外観、及び治療への反応は、不均一である。
悪性リンパ腫は、リンパ組織内で主に存在する細胞の悪性形質転換である。悪性リンパ腫の2つの群は、ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫(NHL)である。両方のタイプのリンパ腫は、網内系組織に浸潤する。しかしながら、それらは、新生物細胞の起源、疾患の部位、全身症状の存在、及び処置に対する反応において異なる(Freedman et al.,「Non−Hodgkin’s Lymphomas」Captter 134,Cancer Medicine,(America Cancer Society,B.C.Decker Inc.の承認刊行物,Hamilton,Ontario,2003)。
<非ホジキンリンパ腫>
特定の実施形態において、個体の非ホジキンリンパ腫を処置するための方法が本明細書に開示され、該方法は、(a)マントル細胞リンパ腫から複数の細胞を移動させるのに十分な量の不可逆的なBtk阻害剤を含む第1の処置を、個体に施す工程;(b)個体から得られたサンプル中の移動した複数の細胞を分析する工程;および、(c)個体に第2の処置を施す工程、を含む。いくつかの実施形態では、不可逆的なBtk阻害剤の量は、血液悪性腫瘍からの複数の細胞のリンパ球増加症を引き起こすのに十分である。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、移動した複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度が、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、移動した複数の細胞の末梢血濃度がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、移動した複数の細胞の末梢血濃度が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度があらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、末梢血中の移動した複数の細胞の数を数える工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がBtk阻害剤の投与前の数と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して、末梢血中の移動した複数の細胞の数が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数が、あらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置は、ボルテゾミブである。いくつかの実施形態では、第2の処置は、ベンダムスチン及びリツキシマブ(BR)である。
特定の実施形態では、処置の必要性がある個体における再発性又は難治性の非ホジキンリンパ腫を処置するための方法が本明細書においてさらに開示されており、当該方法は、治療上有効な量の(R)−1−(3−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)prop−2−en−1−ワン(つまりPCI−32765/イブルチニブ)を個体に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、再発性又は難治性のびまん性大B細胞リンパ腫(DLBCL)、再発性又は難治性のマントル細胞リンパ腫、又は再発性又は難治性の濾胞性リンパ腫である。
非ホジキンリンパ腫(NHL)は、主にB細胞起源である悪性腫瘍の多様な群である。NHLは、脾臓、リンパ節や扁桃腺などのリンパ系に関連付けられた任意の臓器において発症し得、どの年齢でも発生する可能性がある。NHLは、多くの場合、腫大したリンパ節、発熱及び体重減少によって特徴付けられる。NHLは、B−細胞又はT−細胞NHLのいずれかに分類される。骨髄又は幹細胞の移植に続くリンパ増殖性障害に関連するリンパ腫は、通常、B細胞NHLである。Working Formulation分類体系では、NHLは、自然の進化の過程によって、低−、中間−、及び高悪性度のカテゴリに分類された(「The Non−Hodgkin’s LymphomaPathologic Classification Project,」Cancer 49(1982):2112−2135を参照」)。低悪性度リンパ腫は、無痛性であり、生存期間中央値は、5〜10年(Horning and Rosenberg(1984)N.Engl.J.Med.311:1471−1475)である。化学療法は、大部分の無痛性リンパ腫において奏効を誘導することができるが、治癒はまれであり、ほとんどの患者は、最終的には再発し、さらなる治療を必要とする。中間及び高悪性度リンパ腫は、より攻撃的な腫瘍であるが、それらは化学療法を用いて治療されるより大きなチャンスがある。しかしながら、これらのかなりの割合の患者が再発し、さらなる処置を必要とする。
B細胞NHLの非限定的なリストは、バーキットリンパ腫(例えば、風土病バーキットリンパ腫及び散発性バーキットリンパ腫)、皮膚B細胞リンパ腫、皮膚周辺帯リンパ腫(MZL)は、大細胞をびまん性リンパ腫(DLBCL)、びまん性混合小及び大細胞リンパ腫、びまん性切れ込み小細胞、びまん性小リンパ球性リンパ腫、節外性周辺帯B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、濾胞切れ込み小細胞(グレード1)、濾胞性混合切れ込み小及び大細胞(グレード2)、濾胞性大細胞(グレード3)、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、血管内リンパ腫、大細胞免疫芽球性大細胞リンパ腫(LCL)、リンパ芽球性リンパ腫、MALTリンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、免疫大細胞リンパ腫、前駆体B−リンパ芽球性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)、節外性周辺帯B細胞リンパ腫、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、縦隔大B細胞リンパ腫、節性周辺ゾーンB細胞リンパ腫、脾臓周辺帯B細胞リンパ腫、原発性縦隔B細胞リンパ腫、lymphoplasmocyticリンパ腫、ヘアリー細胞白血病、Waldenstrom型Macroglobulinemia、及び原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫を含む。追加的な非ホジキンリンパ腫が、本発明の範囲内において企図され、かつ当業者には明らかである。
<DLBCL>
特定の実施形態において、個体のDLBCLを処置するための方法が本明細書に開示され、該方法は、(a)マントル細胞リンパ腫から複数の細胞を移動させるのに十分な量の不可逆的なBtk阻害剤を含む第1の処置を、個体に施す工程;(b)個体から得られたサンプル中の移動した複数の細胞を分析する工程;および、(c)個体に第2の処置を施す工程、を含む。いくつかの実施形態では、不可逆的なBtk阻害剤の量は、血液悪性腫瘍からの複数の細胞のリンパ球増加症を引き起こすのに十分である。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、移動した複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度が、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、移動した複数の細胞の末梢血濃度がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、移動した複数の細胞の末梢血濃度が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度があらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、末梢血中の移動した複数の細胞の数を数える工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がBtk阻害剤の投与前の数と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して、末梢血中の移動した複数の細胞の数が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数が、あらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置は、レナリドマイドである。いくつかの実施形態では、第2の処置は、リツキシマブ、シクロホスファミド、塩酸ドキソルビシン、硫酸ビンクリスチン、及びプレドニゾン(R−CHOP)である。いくつかの実施形態では、第2の処置は、テムシロリムスである。いくつかの実施形態では、第2の処置は、ボルテゾミブである。
本明細書において使用されるように、用語「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)」は、びまん性増殖パターン及び高−中間増殖指数を有すると胚中心Bリンパ球を指す。DLBCLは、すべてのリンパ腫の約30%に相当し、中心芽細胞型、免疫芽細胞型、T−細胞/組織球豊富型、未分化型、及び形質芽細胞型のサブタイプを含むいくつかの形態学的変種とともに提示され得る。遺伝学的検査は、DLBCLの異なるサブタイプが存在することを示した。これらのサブタイプは、異なる見通し(予後)及び処置への応答を有するように思われる。DLBCLは、どの年齢層にも影響を与えるが、高齢者(平均年齢は60代半ばである)に多く発生する。
特定の実施形態において、個体のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、ABC−サブタイプ(ABC−DLBCL)を処置するための方法が本明細書に開示され、該方法は、(a)マントル細胞リンパ腫から複数の細胞を移動させるのに十分な量の不可逆的なBtk阻害剤を含む第1の処置を、個体に施す工程;(b)個体から得られたサンプル中の移動した複数の細胞を分析する工程;および、(c)個体に第2の処置を施す工程、を含む。いくつかの実施形態では、不可逆的なBtk阻害剤の量は、血液悪性腫瘍からの複数の細胞のリンパ球増加症を引き起こすのに十分である。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、移動した複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度が、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、移動した複数の細胞の末梢血濃度がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、移動した複数の細胞の末梢血濃度が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度があらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、末梢血中の移動した複数の細胞の数を数える工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がBtk阻害剤の投与前の数と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して、末梢血中の移動した複数の細胞の数が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数が、あらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置は、レナリドマイドである。いくつかの実施形態では、第2の処置は、リツキシマブ、シクロホスファミド、塩酸ドキソルビシン、硫酸ビンクリスチン、及びプレドニゾン(R−CHOP)である。いくつかの実施形態では、第2の処置は、テムシロリムスである。いくつかの実施形態では、第2の処置は、ボルテゾミブである。
びまん性大B細胞リンパ腫のABCサブタイプ(ABC−DLBCL)は、血漿分化中に進行が妨げられる胚中心後B細胞から生じると考えられる。DLBCLのABCサブタイプ(ABC−DLBCL)は、全DLBCL診断の約30%を占める。少なくとも治療可能なDLBCLの分子サブタイプ、すなわち、ABC−DLBCLと診断された患者は、他のタイプのDLCBLを有する個体と比較して、典型的には、有意に減少した生存率を示す。ABC−DLBCLは、胚中心マスター調整剤BCL6をダウンレギュレートする染色体転座と、形質細胞の分化に必要な転写抑制因子をコード化するPRDM1遺伝子を不活性化する変異体とに最も一般的に関連付けられている。
ABC−DLBCLの病因において特に関連するシグナル伝達経路は、核因子(NF)−κB転写複合体によって媒介されるものである。NF−κBファミリーは、5員(P50、P52、P65、C−RELとRELB)を含む。当該5員は、ホモ及びヘテロ二量体を形成し、転写因子として機能して、様々な増殖、アポトーシス、炎症及び免疫応答を媒介し、かつB細胞の発達及び生存にとって重要である。NF−κBは、細胞増殖及び細胞生存を制御する遺伝子の調節因子としての真核細胞によって広く使用される。従って、多くの異なる種類のヒト腫瘍は、NF−κBを誤って調節していた。つまり、NF−κBは、構成的活性型である。活性型NF−κBは、細胞増殖を維持し、そうでなければアポトーシスを介して細胞を死なせるだろう状況から当該細胞を保護する遺伝子の発現をオンにする。
DLBCLのABCのNF−κBへの依存は、CARD11、BCL10及びMALT1(CBM複合体)からなるIkBキナーゼの上流のシグナル伝達経路に依存する。CBM経路との干渉は、ABC DLBCL細胞におけるNF−κBシグナル伝達を失わせ、アポトーシスを誘導する。NF−κB経路の構成的活性の分子基盤は、現在の調査の対象であるが、ABC DLBCLのゲノムに対するいくつかの体細胞変異は、明らかにこの経路を引き起こす。例えば、DLBCLにおけるCARD11のコイルドコイルドメインの体細胞変異により、このシグナル伝達スキャホールドタンパク質は、MALT1及びBCL10とのタンパク質間相互作用を自然発生的に核形成することができ、それにより、IKK活性及びNF−κB活性化を引き起こす。B細胞受容体のシグナル伝達経路の構成的活性は、野生型CARD11を有するABC DLBCLにおけるNF−κBの活性化に関与しており、これは、B細胞受容体のサブユニットCD79A及びCD79Bの細胞質尾部内の変異体と関連付けられる。シグナル伝達アダプタMYD88における発がん活性化変異体は、NF−κBを活性化して、ABC DLBCL細胞の生存を維持する際に、B細胞受容体のシグナル伝達と相乗作用する。また、NF−κB経路の負の制御因子(A20)における不活性化変異体は、ABC DLBCLにおいてほぼ独占的に発生する。
確かに、NF−κBシグナル伝達経路の複数の成分に影響を与える遺伝的変化が、ABC−DLBCL患者の50%より多くの患者において最近同定された。ここでは、これらの病変は、構成的なNF−κB活性化を促進し、これにより、リンパ腫の増殖に寄与する。これらは、リンパ球特異的細胞質スキャホールドタンパク質であるCARD11の変異体(ケースの10%未満)を含み、当該リンパ球特異的細胞質スキャホールドタンパク質は、MALT1及びBCL10とともに、BCRシグナロソームを形成する。当該BCRシグナロソームは、抗原受容体からNF−κB活性化の下流媒介因子に信号を中継する。ケースのさらに大きな割合(30%未満)は、負のNF−κB制御因子A20を不活性化する二対立遺伝子の病変を運ぶ。さらに、NF−κB標的遺伝子の高レベルの発現は、ABC−DLBCL腫瘍試料において観察された。例えば、U.Klein et al.,(2008),Nature Reviews Immunology 8:22−23;R.E.Davis etal.,(2001),Journal of Experimental Medicine 194:1861−1874;G.Lentz et al.,(2008),Science319:1676−1679;M.Compagno et al.,(2009),Nature 459:712−721;及びL.Srinivasan et al.,(2009),Cell 139:573−586)を参照。
OCI−LY10などのABCサブタイプのDLBCL細胞は、慢性活動性BCRシグナル伝達を有し、本明細書に記載されるBtk阻害剤に非常に敏感である。本明細書に記載される不可逆的なBtk阻害剤は、OCI−LY10の増殖を強力かつ不可逆的に阻害する(EC50 連続暴露=10nM、EC50 1時間のパルス=50nM)。また、アポトーシスの誘導は、カスパーゼ活性化によって示されるように、アネキシンVフローサイトメトリー及びサブG0画分における増加がOCILy10において観察される。感受性及び耐性細胞の両方が同様のレベルでBtkを発現し、Btkの活性部位が、蛍光標識された親和性プローブを用いて示すように、両方において阻害剤によって完全に占有されている。OCI−LY10細胞は、本明細書に記載されるBtk阻害剤によって依存的に阻害される用量であるNF−κBに慢性的に対して活性なBCRシグナル伝達を有することが示されている。本明細書において検討した細胞株中でのBtk阻害剤の活性はまた、シグナル伝達プロファイル(Btk、PLCγ、ERK、NF−κB、AKT)、サイトカイン分泌プロファイル、及びmRNA発現プロファイル(BCR刺激なし及びありの両方)を比較することによって、かつ、これらプロファイルにおいて観察された有意の違いによって特徴付けられる。これらのプロファイルは、Btk阻害剤処置に最も敏感な患者集団を特定する臨床バイオマーカーに導く。米国特許第7,711,492号、及びStaudtetal.,Nature,Vol.463,Jan.7,2010,pp.88−92を参照。その内容は、その全体が参照によって援用される。
特定の実施形態において、個体のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、GCB−サブタイプ(GCB−DLBCL)を処置するための方法が本明細書に開示され、該方法は、(a)マントル細胞リンパ腫から複数の細胞を移動させるのに十分な量の不可逆的なBtk阻害剤を含む第1の処置を、個体に施す工程;(b)個体から得られたサンプル中の移動した複数の細胞を分析する工程;および、(c)個体に第2の処置を施す工程、を含む。いくつかの実施形態では、不可逆的なBtk阻害剤の量は、血液悪性腫瘍からの複数の細胞のリンパ球増加症を引き起こすのに十分である。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、移動した複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度が、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、移動した複数の細胞の末梢血濃度がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、移動した複数の細胞の末梢血濃度が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度があらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、末梢血中の移動した複数の細胞の数を数える工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がBtk阻害剤の投与前の数と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して、末梢血中の移動した複数の細胞の数が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数が、あらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置は、レナリドマイドである。いくつかの実施形態では、第2の処置は、リツキシマブ、シクロホスファミド、塩酸ドキソルビシ、硫酸ビンクリスチン、及びプレドニゾン(R−CHOP)である。いくつかの実施形態では、第2の処置は、テムシロリムスである。いくつかの実施形態では、第2の処置は、ボルテゾミブである。
<濾胞性リンパ腫>
特定の実施形態において、個体の濾胞性リンパ腫を処置するための方法が本明細書に開示され、該方法は、(a)マントル細胞リンパ腫から複数の細胞を移動させるのに十分な量の不可逆的なBtk阻害剤を含む第1の処置を、個体に施す工程;(b)移動した複数の細胞を分析する工程;および、(c)個体に第2の処置を施す工程、を含む。いくつかの実施形態では、不可逆的なBtk阻害剤の量は、血液悪性腫瘍からの複数の細胞のリンパ球増加症を引き起こすのに十分である。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、移動した複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度が、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、移動した複数の細胞の末梢血濃度がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、移動した複数の細胞の末梢血濃度が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度があらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、末梢血中の移動した複数の細胞の数を数える工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がBtk阻害剤の投与前の数と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して、末梢血中の移動した複数の細胞の数が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数が、あらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置は、レナリドマイドである。いくつかの実施形態では、第2の処置は、リツキシマブ、シクロホスファミド、塩酸ドキソルビシ、硫酸ビンクリスチン、及びプレドニゾン(R−CHOP)である。いくつかの実施形態では、第2の処置は、テムシロリムスである。
本明細書において用いられるように、用語「濾胞性リンパ腫」は、リンパ腫細胞が結節又は濾胞内にクラスタ化したいくつかのタイプの非ホジキンリンパ腫のうちの任意のものを指す。細胞はリンパ節において円形状又は小結節状に増殖する傾向があるので、用語濾胞が使用される。このリンパ腫を有する人の平均年齢は、約60歳である。
<CLL/SLL>
特定の実施形態において、個体のCLL又はSLLを処置するための方法が本明細書に開示され、該方法は、(a)マントル細胞リンパ腫から複数の細胞を移動させるのに十分な量の不可逆的なBtk阻害剤を含む第1の処置を、個体に施す工程;(b)個体から得られたサンプル中の移動した複数の細胞を分析する工程;および、(c)個体に第2の処置を施す工程、を含む。いくつかの実施形態では、不可逆的なBtk阻害剤の量は、血液悪性腫瘍からの複数の細胞のリンパ球増加症を引き起こすのに十分である。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、移動した複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度が、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、移動した複数の細胞の末梢血濃度がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、移動した複数の細胞の末梢血濃度が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度があらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、末梢血中の移動した複数の細胞の数を数える工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がBtk阻害剤の投与前の数と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して、末梢血中の移動した複数の細胞の数が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数が、あらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置は、ベンダムスチンとリツキシマブ(BR)である。いくつかの実施形態では、第2の処置は、フルダラビン、シクロホスファミド及びリツキシマブ(FCR)である。いくつかの実施形態では、第2の処置は、オファツムマブである。いくつかの実施形態では、第2の処置は、リツキシマブである。いくつかの実施形態では、第2の処置は、レナリドマイドである。
慢性リンパ性白血病、及び小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)は、発現がわずかに異なるが、同じ疾患として一般的に考えられている。がん細胞がCLLと呼ばれるか、又はSLLと呼ばれるかはがん細胞が集まる場所によって決定される。がん細胞がリンパ節(リンパ系(体内に見られる主に小さな血管からなる系)のライマメ状構造)において主に見られる場合、SLLと呼ばれる。SLLは、すべてのリンパ腫の約5%〜10%を占める。がん細胞の大部分が血流及び骨髄内にあるときは、がん細胞はCLLと呼ばれる。
CLL及びSLLの両方は、成長が遅い疾患である。ただ、はるかに一般的であるCLLは、より遅く成長する傾向がある。CLL及びSLLは、同じように処理される。それらは、標準的な処置では一般的に治癒可能でないと考えられているが、疾患の段階及び成長率に依存して、大半の患者は10年よりも長く生きる。時折時間をかけて、これらの成長が遅いリンパ腫は、より積極的なタイプのリンパ腫に変形することがある。
慢性リンパ性白血病(CLL)は、白血病の最も一般的なタイプである。米国の100760人がCLLを有して生活しているか、又はCLLから奏効していると推定される。CLLと新たに診断されるほとんど(>75%)の人が50歳以上である。現在、CLL処置は、あからさまな治療よりも疾患やその症状を抑制することに焦点を当てている。CLLは、化学療法、放射線療法、生物学的療法又は骨髄移植によって処置される。症状は、しばしば外科的(腫大した脾臓の脾臓摘出除去)に又は放射線療法(腫れ上がったリンパ節の「デバルキング」)によって治療される。CLLは、ほとんどの場合、徐々に進行するが、CLLは一般的に不治であると考えられる。あるCLLは、高リスクに分類される。本明細書で使用されるように、「高リスクCLL」は、以下のうちの少なくとも1つによって特徴付けられるCLLを意味する:1)17p13;2)11q22−;3)ZAP−70+及び/又はCD38+を有する未変異のIgVH+と;又は4)トリソミー12。
患者の臨床症状又は血球数は、患者の生活の質に影響を及ぼし得るところまで疾患が進行したことを示すときにCLL処置が典型的には施される。
小リンパ球性白血病(SLL)は、上記のCLLと非常に類似しており、またB細胞のがんである。SLLでは、異常リンパ球が主にリンパ節に影響を与える。しかしながら、CLLでは、異常細胞が主に血液や骨髄に影響を与える。脾臓は両条件において影響を受け得る。SLLは、非ホジキンリンパ腫の全症例の約25分の1を占める。SLLは、青年期から高齢期にかけていつでも発生し得るが、50歳未満は稀である。SLLは、緩慢性リンパ腫と考えられている。これは病気が非常にゆっくりと進行し、患者は診断後何年も生きる傾向があることを意味する。しかしながら、ほとんどの患者は進行性疾患と診断され、SLLは、様々な化学療法薬によく反応するが、一般的に不治であると考えられている。いくつかのがんは、一方の性又は他方の性でより頻繁に発生する傾向があるが、SLLによる症例及び死亡は、男女性間で均等に分かれている。診断時の平均年齢は60歳である。
SLLは、無痛であるが、永続的に進行する。この疾患の通常のパターンは、疾患の奏効期で、放射線療法及び/又は化学療法に対する高い反応率のうちの1つである。数ヶ月又は数年後に必然的な再発が続く。再処置は、再び反応につながるが、やはり疾患が再発する。これは、SLLの短期的な予後は非常に良好であるが、時間の経過とともに、多くの患者が再発性疾患の致命的な合併症を発症することを意味する。典型的にCLL及びSLLと診断される個体の年齢を考慮すると、患者の生活の質を妨げない最小の副作用を伴う、疾患の簡単かつ効果的な処置の必要性が当該技術分野において存在する。本発明は、当該技術分野におけるこの長年の必要性を満たす。
<マントル細胞リンパ腫>
特定の実施形態において、個体のマントル細胞リンパ腫を処置するための方法が本明細書に開示され、該方法は、(a)マントル細胞リンパ腫から複数の細胞を移動させるのに十分な量の不可逆的なBtk阻害剤を含む第1の処置を、個体に施す工程;(b)個体から得られたサンプル中の移動した複数の細胞を分析する工程;および、(c)個体に第2の処置を施す工程、を含む。いくつかの実施形態では、不可逆的なBtk阻害剤の量は、血液悪性腫瘍からの複数の細胞のリンパ球増加症を引き起こすのに十分である。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、移動した複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度が、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、移動した複数の細胞の末梢血濃度がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、移動した複数の細胞の末梢血濃度が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度があらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、末梢血中の移動した複数の細胞の数を数える工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がBtk阻害剤の投与前の数と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して、末梢血中の移動した複数の細胞の数が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数が、あらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置は、テムシロリムスである。
本明細書で使用されるように、用語「マントル細胞リンパ腫」は、正常胚中心包を取り囲むマントルゾーン内のCD5陽性抗原ナイーブ前胚中心B細胞に起因するB細胞リンパ腫のサブタイプを指す。MCL細胞は、通常、DNAにおけるt(11:14)染色体転座に起因してサイクリンD1を過剰発現する。より具体的には、転座は、t(14;11)(q13;q32)である。リンパ腫の約5%のみが、このタイプのものである。細胞の大きさは、小から中である。男性が最も大きく影響を受ける。患者の平均年齢は、60代前半である。リンパ腫と診断されるとき、リンパ腫は、リンパ節、骨髄、及びとても頻繁に脾臓を含む場所に広がっている。マントル細胞リンパ腫は、とりわり成長が早いリンパ腫ではないが、治療が困難である。
<周辺帯B細胞リンパ腫>
特定の実施形態において、個体の周辺帯B細胞リンパ腫を処置するための方法が本明細書に開示され、該方法は、(a)マントル細胞リンパ腫から複数の細胞を移動させるのに十分な量の不可逆的なBtk阻害剤を含む第1の処置を、個体に施す工程;(b)個体から得られたサンプル中の移動した複数の細胞を分析する工程;および、(c)個体に第2の処置を施す工程、を含む。いくつかの実施形態では、不可逆的なBtk阻害剤の量は、血液悪性腫瘍からの複数の細胞のリンパ球増加症を引き起こすのに十分である。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、移動した複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度が、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、移動した複数の細胞の末梢血濃度がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、移動した複数の細胞の末梢血濃度が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度があらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、末梢血中の移動した複数の細胞の数を数える工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がBtk阻害剤の投与前の数と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して、末梢血中の移動した複数の細胞の数が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数が、あらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。
本明細書で使用されるように、用語「周辺帯B細胞リンパ腫」は、周辺帯(濾胞マントルゾーンの外側の斑状領域)のリンパ組織に影響を与える、関連するB細胞新生物の群を指す。周辺帯リンパ腫は、リンパ腫の約5%〜10パーセントを占める。これらのリンパ腫の細胞は、顕微鏡下で小さく見える。節外性周辺帯B細胞リンパ腫、節性周辺帯B細胞リンパ腫、脾臓周辺帯リンパ腫を含む周辺帯リンパ腫の3つの主なタイプがある。
<MALT>
特定の実施形態において、個体のMALTを処置するための方法が本明細書に開示され、該方法は、(a)マントル細胞リンパ腫から複数の細胞を移動させるのに十分な量の不可逆的なBtk阻害剤を含む第1の処置を、個体に施す工程;(b)個体から得られたサンプル中の移動した複数の細胞を分析する工程;および、(c)個体に第2の処置を施す工程、を含む。いくつかの実施形態では、不可逆的なBtk阻害剤の量は、血液悪性腫瘍からの複数の細胞のリンパ球増加症を引き起こすのに十分である。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、移動した複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度が、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、移動した複数の細胞の末梢血濃度がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、移動した複数の細胞の末梢血濃度が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度があらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、末梢血中の移動した複数の細胞の数を数える工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がBtk阻害剤の投与前の数と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して、末梢血中の移動した複数の細胞の数が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数が、あらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。
本明細書で使用されるように、用語「粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫」は、周辺帯リンパ腫の節外性の症状を指す。少数のMALTリンパ腫は、中悪性度非ホジキンリンパ腫(NHL)として最初は顕在化するか又は低悪性度の形態から進化するかのいずれかであるが、ほとんどのMALTリンパ腫は、低悪性度である。MALTリンパ腫のほとんどは、胃で発生し、胃MALTリンパ腫の約70%がヘリコバクターピロリ感染と関連している。いくつかの細胞遺伝学的異常は、最も一般的なトリソミー3又はt(11;18)であることが同定されている。これらの他のMALTリンパ腫の多くは、細菌やウイルスによる感染症に関連付けられる。MALTリンパ腫の患者の平均年齢は、約60歳である。
<節性周辺帯B細胞リンパ腫>
特定の実施形態において、個体の周辺帯B−細胞リンパ腫を処置するための方法が本明細書に開示され、該方法は、(a)マントル細胞リンパ腫から複数の細胞を移動させるのに十分な量の不可逆的なBtk阻害剤を含む第1の処置を、個体に施す工程;(b)個体から得られたサンプル中の移動した複数の細胞を分析する工程;および、(c)個体に第2の処置を施す工程、を含む。いくつかの実施形態では、不可逆的なBtk阻害剤の量は、血液悪性腫瘍からの複数の細胞のリンパ球増加症を引き起こすのに十分である。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、移動した複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度が、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、移動した複数の細胞の末梢血濃度がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、移動した複数の細胞の末梢血濃度が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度があらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、末梢血中の移動した複数の細胞の数を数える工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がBtk阻害剤の投与前の数と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して、末梢血中の移動した複数の細胞の数が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数が、あらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。
用語「節性周辺帯B細胞リンパ腫」は、主にリンパ節に見られる無痛性B細胞リンパ腫を指す。この疾患は稀であり、すべての非ホジキンリンパ腫(NHL)の1%しかを占めていない。節性周辺帯B細胞リンパ腫は、高齢患者で最も多く診断され、男性よりも女性の方が感染しやすい。B細胞の周辺帯で突然変異が生ずるので、この疾患は、周辺帯リンパ腫として分類される。リンパ節に節性周辺帯B細胞リンパ腫を閉じ込めるので、この疾患はまた、結節としても分類される。
<脾臓周辺帯B細胞リンパ腫>
特定の実施形態において、個体の脾臓周辺帯B細胞リンパ腫を処置するための方法が本明細書に開示され、該方法は、(a)マントル細胞リンパ腫から複数の細胞を移動させるのに十分な量の不可逆的なBtk阻害剤を含む第1の処置を、個体に施す工程;(b)個体から得られたサンプル中の移動した複数の細胞を分析する工程;および、(c)個体に第2の処置を施す工程、を含む。いくつかの実施形態では、不可逆的なBtk阻害剤の量は、血液悪性腫瘍からの複数の細胞のリンパ球増加症を引き起こすのに十分である。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、移動した複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度が、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、移動した複数の細胞の末梢血濃度がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、移動した複数の細胞の末梢血濃度が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度があらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、末梢血中の移動した複数の細胞の数を数える工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がBtk阻害剤の投与前の数と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して、末梢血中の移動した複数の細胞の数が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数が、あらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。
用語「脾臓周辺帯B細胞リンパ腫」は、世界保健機関(WHO)の分類に組み込まれる特異的な低悪性度小B細胞リンパ腫を指す。特徴は、絨毛形態、様々な臓器(特に骨髄)が関与する洞様毛細血管内パターン、相対的な無痛経過の巨脾症(中等度のリンパ球増加症)である。芽球増加及び攻撃性を伴う腫瘍進行が、少数の患者で観察される。分子及び細胞遺伝学的研究は、おそらく、標準化された診断基準の欠如のために不均一な結果を示した。
<バーキットリンパ腫>
特定の実施形態において、個体のバーキットリンパ腫を処置するための方法が本明細書に開示され、該方法は、(a)マントル細胞リンパ腫から複数の細胞を移動させるのに十分な量の不可逆的なBtk阻害剤を含む第1の処置を、個体に施す工程;(b)個体から得られたサンプル中の移動した複数の細胞を分析する工程;および、(c)個体に第2の処置を施す工程、を含む。いくつかの実施形態では、不可逆的なBtk阻害剤の量は、血液悪性腫瘍からの複数の細胞のリンパ球増加症を引き起こすのに十分である。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、移動した複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度が、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、移動した複数の細胞の末梢血濃度がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、移動した複数の細胞の末梢血濃度が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度があらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、末梢血中の移動した複数の細胞の数を数える工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がBtk阻害剤の投与前の数と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して、末梢血中の移動した複数の細胞の数が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数が、あらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。
用語「バーキットリンパ腫」は、一般的に、子供たちに影響を与える非ホジキンリンパ腫(NHL)のタイプを指す。それは、しばしば、リンパ節以外の身体の部分から始まり、当該身体の部分に影響を与える侵攻性の高いタイプのB細胞リンパ腫である。その成長の早い性質にもかかわらず、バーキットリンパ腫は、しばしば現代の集中的な治療で治癒可能である。大きく分けて2種類のバーキットリンパ腫がある−散発性及び地域性型(variety):
地域性のバーキットリンパ腫:この疾患は、成人よりもはるかに多くの子供に影響を与え、95%の症例でEpstein Barr Virus(EBV)感染に関連している。これは主に、赤道アフリカで発生し、そこでは、すべての小児がんの約半数が、バーキットリンパ腫である。それは、特徴として顎骨を伴う可能性が高い。これは、散発性のバーキットリンパ腫においてはまれなかなり顕著な特徴である。それはまた、一般的に腹部に影響を与える。
散発性のバーキットリンパ腫:欧米を含む世界の他の部分に影響するバーキットリンパ腫の種類は、散発性型である。ここでも、それは主に、子供たちの疾患である。Epstain Barr Virus(EBV)感染の直接的な証拠は、5人の患者につき1人で存在するが、EBV間のリンクは、地域性亜種ほど強力ではない。リンパ節をの障害よりも、90%より多くの子供において特に影響を受けるのは腹部である。骨髄障害は、散発亜種よりも一般的である。
<ワルデンシュトレームマクログロブリン血症>
特定の実施形態において、個体のワルデンシュトレームマクログロブリン血症を処置するための方法が本明細書に開示され、該方法は、(a)マントル細胞リンパ腫から複数の細胞を移動させるのに十分な量の不可逆的なBtk阻害剤を含む第1の処置を、個体に施す工程;(b)個体から得られたサンプル中の移動した複数の細胞を分析する工程;および、(c)個体に第2の処置を施す工程、を含む。いくつかの実施形態では、不可逆的なBtk阻害剤の量は、血液悪性腫瘍からの複数の細胞のリンパ球増加症を引き起こすのに十分である。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、移動した複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度が、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、移動した複数の細胞の末梢血濃度がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、移動した複数の細胞の末梢血濃度が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度があらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、末梢血中の移動した複数の細胞の数を数える工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がBtk阻害剤の投与前の数と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して、末梢血中の移動した複数の細胞の数が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数が、あらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置は、リツキシマブ、シクロホスファミド、塩酸ドキソルビシ、硫酸ビンクリスチン、及びプレドニゾン(R−CHOP)である。
用語「デンストレームマクログロブリン血症」はまた、リンパ形質細胞性リンパ腫とも知られ、リンパ球と呼ばれる白血球のサブタイプを伴うがんである。それは、最終分化したBリンパ球の無制御なクローン増殖により特徴付けられる。それはまた、免疫グロブリンM(IgM抗体)と呼ばれる抗体を作製するリンパ腫細胞によっても特徴づけられる。IgM抗体は、血液中を大量に循環し、血液の液体部分をシロップのように濃くさせる。これは、多くの臓器への血流の減少につながり得、脳内の血流の悪さに起因する視覚障害(目の奥の血管内の血行不良のために)及び神経障害(頭痛、めまい、錯乱など)を引き起こす。その他の症状は、疲労感や脱力感、及び容易に出血する傾向を含み得る。根底にある病因は、完全には理解されていないが、染色体6上の遺伝子座6p21.3を含む数多くの危険因子が同定された。自己抗体を有する自己免疫疾患の既往歴を有する人々においてWMを発症するリスクが2〜3倍増加し、特に肝炎、ヒト免疫不全ウイルス、及びリケッチア症に関連するリスクが高くなる。
<多発性骨髄腫>
特定の実施形態において、個体の骨髄腫を処置するための方法が本明細書に開示され、該方法は、(a)マントル細胞リンパ腫から複数の細胞を移動させるのに十分な量の不可逆的なBtk阻害剤を含む第1の処置を、個体に施す工程;(b)個体から得られたサンプル中の移動した複数の細胞を分析する工程;および、(c)個体に第2の処置を施す工程、を含む。いくつかの実施形態では、不可逆的なBtk阻害剤の量は、血液悪性腫瘍からの複数の細胞のリンパ球増加症を引き起こすのに十分である。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、移動した複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度が、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、移動した複数の細胞の末梢血濃度がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、移動した複数の細胞の末梢血濃度が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度があらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、末梢血中の移動した複数の細胞の数を数える工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がBtk阻害剤の投与前の数と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して、末梢血中の移動した複数の細胞の数が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数が、あらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置は、レナリドマイドである。
MM、骨髄腫、形質細胞性骨髄腫として、又はケーラー病(オットーケーラー後)としても知られる多発性骨髄腫は、形質細胞として知られる白血球のがんである。B細胞のタイプである形質細胞は、ヒト及び他の脊椎動物における抗体の産生を担う免疫系の重要な一部である。それらは骨髄で産生され、リンパ系を介して輸送される。
<白血病>
特定の実施形態において、個体の白血病を処置するための方法が本明細書に開示され、該方法は、(a)マントル細胞リンパ腫から複数の細胞を移動させるのに十分な量の不可逆的なBtk阻害剤を含む第1の処置を、個体に施す工程;(b)個体から得られたサンプル中の移動した複数の細胞を分析する工程;および、(c)個体に第2の処置を施す工程、を含む。いくつかの実施形態では、不可逆的なBtk阻害剤の量は、血液悪性腫瘍からの複数の細胞のリンパ球増加症を引き起こすのに十分である。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、移動した複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度が、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、移動した複数の細胞の末梢血濃度がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、移動した複数の細胞の末梢血濃度が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度があらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、末梢血中の移動した複数の細胞の数を数える工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がBtk阻害剤の投与前の数と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して、末梢血中の移動した複数の細胞の数が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数が、あらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。
白血病は、血液細胞、通常白血球(leukocyte)(白血球(white blood cell))の異常な増加を特徴とする血液又は骨髄のがんである。白血病は、病気のスペクトルをカバーする広範な用語である。第1の区分は、急性及び慢性の形態間である:(i)急性白血病は、未成熟な血球の急速な増加を特徴とする。この密集により、骨髄は健康な血液細胞を産生できなくなる。悪性細胞が急速に進行及び蓄積し、その後血流にあふれ出し身体の他の臓器に広がるために、急性白血病において即時の処置が必要とされる。急性型の白血病は、小児において白血病の最も一般的な形態であり;(ii)慢性型の白血病は、比較的成熟した、しかし依然異常な白血球の過剰な蓄積によって区別される。典型的には、数ヶ月又は数年をかけて進行し、細胞は、正常細胞よりもはるかに高い速度で産生され、その結果、血液中に多くの異常な白血球をもたらす。慢性白血病は、主に高齢者に発生しるが、理論的にはあらゆる年齢層で発生し得る。さらに、どの種類の血球の影響を受けているかに応じて疾患は細分化される。この区分は、白血病を、リンパ芽球性又はリンパ性白血病、及び骨髄性又は骨髄性白血病に分け:(i)リンパ芽球性又はリンパ性白血病においては、感染と戦う免疫系細胞であるリンパ球を形成するために通常続けられるある種の骨髄細胞においてがん性の変化が起こり;(ii)骨髄又は骨髄性白血病においては、赤血球、いくつかの他の白血球の種類、及び血小板の形成するために通常続けられるある種の骨髄細胞においてがん性の変化が起こる。
これらの主なカテゴリ内には、限定されないが、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、及びヘアリー細胞白血病(HCL)を含むいくつかのサブカテゴリがある。
<Btk阻害剤>
被験体において、ほんの一例としてBCLDといったがんを処置するための方法もまた本明細書に提示される。ここでは、被験体は、Btkの阻害剤の投与によって処置された。本明細書に記載の方法において使用される適した不可逆的なBtk化合物の以下の記載においては、参照される標準的な化学用語の定義は(本明細書において、別に定義しない場合には)、Carey and Sundberg 「Advanced Organic Chemistry 4th Ed.」Vols.A(2000)and B(2001),Plenum Press,New Yorkを含む参考資料にて見つけるができる。特に明記しない限りは、当該技術分野の通常の技術の範囲内の質量分析法、NMR、HPLC、タンパク質化学、生化学、組換えDNA技術及び薬理学の従来の方法が用いられる。また、Btk(例えば、ヒトのBtk)についての核酸配列及びアミノ酸配列は、例えば、米国特許第6,326,469号に開示されているように当該分野において周知である。特定の定義が提供されない限りは、本明細書において記載される分析化学、合成有機化学、及び医薬及び製薬化学に関連して用いられる命名法、及び分析化学、合成有機化学、及び医薬及び製薬化学の実験手順及び技術は、当該技術分野において周知である。標準的な技術は、化学合成、化学分析、薬学的調製、処方、及び送達、ならびに患者の処置のために使用することができる。
本明細書に記載のBtk阻害剤化合物は、Btk、及びBtkのシステイン481のアミノ酸配列の位置に相同であるチロシンキナーゼのアミノ酸配列位置にシステイン残基を有するキナーゼに対して選択的である。一般的に、本明細書に記載される方法において使用されるBtkの不可逆阻害化合物は、インビトロアッセイ、例えば無細胞生化学的アッセイ又は細胞機能アッセイにおいて同定又は特徴付けられる。このようなアッセイは、不可逆的なBtk阻害剤化合物に対してインビトロIC50を決定するのに有用である。
例えば、無細胞キナーゼアッセイは、ある範囲の濃度の候補の不可逆的なBtk阻害剤化合物の非存在下又は存在下でのキナーゼのインキュベーション後にBtk活性を判定するように使用することができる。候補化合物が、実際に不可逆的なBtk阻害剤である場合には、Btkのキナーゼ活性は、阻害剤を含まない培地で繰り返し洗浄することによって回復しない。例えば、J.B.Smaill,et al.(1999),J.Med.Chem.42(10):1803−1815を参照のこと。さらに、Btkと、候補の不可逆的なBtk阻害剤との間の共有複合体形成は、当該技術で周知の多くの方法(例えば、質量分析)によって容易に判定され得るBtkの不可逆的阻害の有用な指標である。例えば、いくつかの不可逆的なBtk阻害剤化合物は、(例えば、マイケル反応を介して)BtkのCys481と共有結合を形成することができる。
Btk阻害剤についての細胞機能アッセイは、ある範囲の濃度の候補の不可逆的なBtk阻害剤化合物の非存在下又は存在下での細胞株におけるBtkの仲介経路の刺激(例えば、ラモス細胞におけるBCR活性化)に応答して1つ以上の細胞のエンドポイントを測定することを含む。BCR活性化への応答を判定するための有用なエンドポイントは、例えば、Btkの自己リン酸化、Btkの標的タンパク質(例えば、PLC−γ)のリン酸化、及び細胞質カルシウム流出を含む。
多くの無細胞生化学的アッセイ(例えばキナーゼアッセイ)及び細胞機能アッセイ(例えば、カルシウム流出)のハイスループットアッセイは、当該技術分野の当業者に周知である。また、ハイスループットスクリーニングシステムは、市販されている(例えば、Zymark Corp.,Hopkinton,マサチューセッツ州;Air Technical Industries,Mentor,オハイオ州;Beckman Instruments,Inc.Fullerton,カリフォルニア州;Precision Systems,Inc.,Natick,マサチューセッツ州等)。これらのシステムは、典型的には、すべてのサンプル及び試薬のピペッティング、液体分注、時限インキュベーション、及びアッセイに適した検出器でのマイクロプレートの最終読み取りを含む全手順を自動化する。これにより、自動化されたシステムは、過度の労力を必要とせずに多くの不可逆的なBtkの化合物の同定及び特徴付けを可能にする。
いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、有機小分子(small organic molecule)、巨大分子、ペプチド又は非ペプチドからなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、本明細書において提供されるBtk阻害剤は、可逆的又は不可逆的阻害剤である。特定の実施形態では、Btk阻害剤は不可逆的阻害剤である。
いくつかの実施形態では、不可逆的なBtk阻害剤は、Bruton型チロシンキナーゼ、ブルトン型チロシンキナーゼ同族体、又はBtkチロシンキナーゼシステイン同族体のシステイン側鎖と共有結合を形成する。
不可逆のBtk阻害剤化合物は、上記の疾患(例えば、自己免疫疾患、炎症性疾患、アレルギー疾患、B−細胞増殖性疾患、又は血栓塞栓性障害)のいずれかを処理するための医薬の製造のために使用することができる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法に使用される不可逆的なBtk阻害剤化合物は、Btk、又は10μM未満のインビトロIC50とのBtk同族体のキナーゼ活性を阻害する(例えば、1μM未満、0.5μM未満、0.4μm未満、0.3μm未満、0.1未満、0.08μm未満、0.06未満μM、0.05μm未満、0.04μm未満、0.03未満μM未満、0.02μM未満、0.01未満、0.008μM未満、0.006μM未満、0.005μM未満、0.004μM未満、0.003μM未満、0.002未満、0.001M未満、0.00099μM未満、0.00098μM未満、0.00097μM未満、0.00096μM未満、0.00095μM未満、0.00094μM未満、0.00093μM未満、0.00092未満、又は0.00090μM未満)。
一実施形態では、不可逆的なBtk阻害剤化合物は、その標的チロシンキナーゼの活性形態(activated form)(例えば、チロシンキナーゼのリン酸化形態)を選択的かつ不可逆的に阻害する。例えば、活性化されたBtkは、チロシン551でトランスリン酸化される。従って、標的キナーゼがシグナル伝達事象によって一度活性化されると、これらの実施形態では不可逆的なBtk阻害剤は、細胞内の標的キナーゼを阻害する。
他の実施形態では、本明細書に記載の方法において使用されるBtk阻害剤は、式(A)、式(B)、式(C)、式(D)、式(E)、又は式(F)のいずれかの構造を有する。また本明細書において、そのような化合物の薬学的に許容可能な塩、医薬的に許容される溶媒和物、薬学的に活性な代謝産物、及び薬学的に許容可能なプロドラッグが記載される。少なくとも1つのそのような化合物又はそのような化合物の薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、薬学的に活性な代謝産物又は薬学的に許容可能なプロドラッグを含む医薬組成物が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物が酸化可能な窒素原子を含む場合、窒素原子は、当該技術分野でにおいて周知の方法によってN−オキシドに変換することができる。特定の実施形態では、式(A)、式(B)、式(C)、式(D)、式(E)、又は式(F)でのいずれかによって表される構造を有する異性体及び化学的に保護された形態の化合物が提供される。
式(A)及びその薬学的に活性な代謝産物、薬学的に許容可能な溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、又は薬学的に許容可能なプロドラッグは、以下の通りである。
ここで:
Aは独立してN又はCR5から選択され;
R1は、H、L2−(置換又は非置換のアルキル)、L2−(置換又は非置換のシクロアルキル)、L2−(置換又は非置換のアルケニル)、L2−(置換又は非置換のシクロアルケニル)、L2−(置換又は非置換の複素環)、L2−(置換又は非置換のヘテロアリール)、又はL2−(置換又は非置換のアリール)であり、ここで、L2は、結合、O、S、−S(=O)、−S(=O)2、C(=O)−(置換又は非置換のC1−C6アルキル)、又は−(置換又は非置換のC2−C6アルケニル)であり;
R2及びR3は、独立して、H、低級アルキル及び置換の低級アルキルであり;
R4はL3−X−L4−Gであり、ここで
L3は随意であり、存在する場合は、結合、随意に置換された又は非置換のアルキル、随意に置換された又は非置換のシクロアルキル、随意に置換された又は非置換のアルケニル、随意に置換された又は非置換のアルキニルであり;
Xは随意であり、存在する場合は、結合、O、−C(=O)、S、−S(=O)、−S(=O)2、−NH、−NR9、−NHC(O)−C(O)NH、−NR9C(O)、−C(O)NR9、−S(=O)2NH、−NHS(=O)2、−S(=O)2NR9−、−NR9S(=O)2、−OC(O)NH−、−NHC(O)O−、−OC(O)NR9−、−NR9C(O)O−、−CH=NO−、−ON=CH−、−NR10C(O)NR10−、ヘテロアリール、アリール、−NR10C(=NR11)NR10−、−NR10C(=NR11)−、−C(=NR11)NR10−、−OC(=NR11)−、又は−C(=NR11)O−であり、;
L4は随意であり、存在する場合は、結合、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換のアルケニル、置換又は非置換のアルキニル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換の複素環であり;
又はL3、L4及びXは、一緒になって、窒素を含有する複素環を形成し;
Gは、
ここで、
R6、R7及びR8は、独立して、H、低級アルキル又は置換の低級アルキル、低級ヘテロアルキル又は置換の低級ヘテロアルキル、置換又は非置換の低級シクロアルキル、及び置換又は非置換の低級ヘテロシクロアルキルの中から選択され;
R5は、H、ハロゲン、−L6−(置換又は非置換のC1−C3アルキル)、−L6−(置換又は非置換のC2−C4アルケニル)、−L6−(置換又は非置換のヘテロアリール)、又は−L6−(置換又は非置換のアリール)であり、ここで、L6は、結合、O、S、−S(=O)、S(=O)2、NH、C(O)、−NHC(O)O、OC(O)NH、NHC(O)、又はC(O)NHであり;
各R9は、独立して、H、置換又は非置換の低級アルキル、及び置換又は非置換の低級シクロアルキルの中から選択され;
各R10は、独立して、H、置換又は非置換の低級アルキル、又は置換又は非置換の低級シクロアルキルであり;又は
2つのR10基は、一緒になって、5−、6−、7−、又は8員複素環を形成することができ、又は
R9及びR10は、一緒になって、5−、6−、7−、又は8員複素環を形成することができ、
各R11は、独立して、H、−S(=O)2R8、−S(=O)2NH2、−C(O)R8、−CN、−NO2、ヘテロアリール、又はヘテロアルキルの中から選択される。
一態様では、式(A1)の構造を有する化合物及びその薬学的に活性な代謝産物、薬学的に許容可能な溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、又は薬学的に許容可能なプロドラッグは、以下のとおりである。
ここで
Aは独立してN又はCR5から選択され;
R1は、H、L2−(置換又は非置換アルキル)、L2−(置換又は非置換のシクロアルキル)、L2−(置換又は非置換のアルケニル)、L2−(置換又は非置換のシクロアルケニル)、L2−(置換又は非置換の複素環)、L2−(置換又は非置換のヘテロアリール)、又はL2−(置換又は非置換のアリール)であり、ここで、L2は、結合、O、S、−S(=O)、−S(=O)2、C(=O)−(置換又は非置換のC1−C6アルキル)、又は−(置換又は非置換のC2−C6アルケニル)であり;
R2及びR3は、独立して、H、低級アルキル及び置換の低級アルキルから選択され;
R4はL3−X−L4−Gであり、ここで
L3は随意であり、存在する場合は、結合、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルキルヘテロ、又はアルキルヘテロシクロアルキルから選択される随意に置換された基であり;
Xは随意であり、存在する場合は、結合、O、−C(=O)、S、−S(=O)、−S(=O)2、−NH、−NR9、−NHC(O)−C(O)NH、−NR9C(O)、−C(O)NR9、−S(=O)2NH、−NHS(=O)2、−S(=O)2NR9−、−NR9S(=O)2、−OC(O)NH−、−NHC(O)O−、−OC(O)NR9−、−NR9C(O)O−、−CH=NO−、−ON=CH−、−NR10C(O)NR10−、ヘテロアリール、アリール、−NR10C(=NR11)NR10−、−NR10C(=NR11)−、−C(=NR11)NR10−、−OC(=NR11)−、又は−C(=NR11)O−であり;
L4は随意であり、存在する場合は、結合、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換のアルケニル、置換又は非置換のアルキニル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換の複素環であり;
又はL3、X及びL4は、一緒になって窒素を含有する複素環を形成し、又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、又はアルキルヘテロシクロアルキルから選択される随意に置換された基を形成し;
Gは、
ここで、Raは、H、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のシクロアルキルであり;R7及びR8は、Hであり;
R6は、H、置換又は非置換のC1−4アルキル、置換又は非置換のC1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のC1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のC2−C8ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換ヘテロアリール、C1−4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)であり、;
R6及びR8は、Hであり;
R7は、H、置換又は非置換のC1−C4アルキル、置換又は非置換のC1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のC1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のC2−C8ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル);又は
R6及びR8は一緒になって結合を形成し;
R7は、H、置換又は非置換のC1−C4アルキル、置換又は非置換のC1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のC1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のC2−C8ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)であり;又は
R5は、H、ハロゲン、−L6−(置換又は非置換のC1−C3アルキル)、−L6−(置換又は非置換のC2−C4アルケニル)、−L6−(置換又は非置換のヘテロアリール)、又は−L6−(置換又は非置換のアリール)、ここで、L6は、結合、O、S、−S(=O)、S(=O)2、NH、C(O)、−NHC(O)O、−OC(O)NH、−NHC(O)、又は−C(O)NHであり;
各R9は、独立して、H、置換又は非置換の低級アルキル、及び置換又は非置換の低級シクロアルキルの中から選択され;
各R10は、独立して、H、置換又は非置換の低級アルキル、又は置換又は非置換の低級シクロアルキルであり;又は
2つのR10基は、一緒になって、5−、6−、7−、又は8員複素環を形成することができ、又は
R9及びR10は、一緒になって、5−、6−、7−、又は8員複素環を形成し;又は
各R11は、独立して、H、−S(=O)2R8、−S(=O)2NH2、−C(O)R8、−CN、−NO2、ヘテロアリール、又はヘテロアルキルから選択される。
別の実施形態では、式(A1)の化合物の薬学的に許容可能な塩が提供される。ほんの一例として、例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及び過塩素酸などの無機酸、又は酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸又はマロン酸などの有機酸と形成されるアミノ基の塩がある。さらに塩には、対イオンが、アジピン酸、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、及び吉草酸塩などのアニオンものが含まれる。さらに塩には、対イオンが、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、及び(少なくとも1つの有機部分で置換された)第四級アンモニウムカチオンなどのカチオンであるものが含まれる。
別の実施形態では、エステル基がホルメート、酢酸、プロピオネート、ブチレート、アクリレート及びエチルスクシネートから選択されるものを含む式(A1)の化合物の薬学的に許容可能なエステルがある。
別の実施形態では、式(A1)の化合物の薬学的に許容可能なカルバメートがある。別の実施形態では、式(A1)の化合物の薬学的に許容可能なN−アシル誘導体がある。N−アシル基の例としては、N−アセチル及びN−エトキシカルボニル基が挙げられる。
さらなる実施形態では、式(A)の化合物は及びその薬学的に許容可能な活性な代謝産物、薬学的に許容可能な溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、又は薬学的に許容可能なプロドラッグ、以下の構造の式(B)を有する。
ここで:
Yは、アルキル又は置換のアルキル、又は4−、5−、又は6員のシクロアルキル環であり;
各Raは、独立して、H、ハロゲン、−CF3、−CN、−NO2、OH、NH2、−La−(置換又は非置換のアルキル)、−La−(置換又は非置換のアルケニル)、−La−(置換又は非置換のヘテロアリール)、又は−La−(置換又は非置換のアリール)であり、ここで、Laは、結合、O、S、−S(=O)、−S(=O)2、NH、C(O)、CH2、−NHC(O)O、−NHC(O)、又は−C(O)NHであり;
Gは、
ここで、
R6、R7及びR8は、独立して、H、低級アルキル又は置換の低級アルキル、低級ヘテロアルキル又は置換の低級ヘテロアルキル、置換又は非置換の低級シクロアルキル、及び置換又は非置換の低級ヘテロシクロアルキルの中さら選択され;
R12は、H又は低級アルキルであり;又は
Y及びR12は一緒になって4−、5−、又は6員の複素環を形成する。
さらなる実施形態では、Gは、
の中から選択される。
さらなる実施形態では、
は
の中から選択される
さらなる実施形態では、式(A1)の化合物及びその薬学的に許容可能な活性な代謝産物、薬学的に許容可能な溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、又は薬学的に許容可能なプロドラッグは、以下の構造の式(B1)を有する。
ここで:
Yは、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルキレンアリーレン、アルキレンヘテロアリーレン、及びアルキレンヘテロシクロアルキレンの中から選択される随意的に置換された基であり;
各Raは、独立して、H、ハロゲン、−CF3、−CN、−NO2、OH、NH2、−La−(置換又は非置換のアルキル)、−La−(置換又は非置換のアルケニル)、−La−(置換又は非置換のヘテロアリール)、又は−La−(置換又は非置換のアリール)であり、ここで、Laは、結合、O、S、−S(=O)、−S(=O)2、NH、C(O)、CH2、−NHC(O)O、−NHC(O)、又は−C(O)NHであり;
Gは、
であり、ここで、Raは、H、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のシクロアルキルであり;及び、
R7及びR8は、Hであり;
R6は、H、置換又は非置換のC1−C4アルキル、置換又は非置換のC1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のC1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のC2−C8ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)であり;
R6及びR8は、Hであり;
R7は、H、置換又は非置換のC1−C4アルキル、置換又は非置換のC1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のC1−C8アルキルC3−C6シクロアルキルは、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のC2−C8ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)であり、;又は
R6とR8は一緒になって結合を形成し;
R7は、H、置換又は非置換のC1−C4アルキル、置換又は非置換のC1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のC1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のC2−C8ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)であり、;
R12は、H又は低級アルキルであり;又は
Y及びR12は一緒になって4−、5−、又は6員の複素環を形成する。
さらなる実施形態では、Gは、
の中から選択され、ここで、Rは、H、アルキル、アルキルヒドロキシ、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アルキルアルコキシ、アルキルアルコキシアルキルである。
さらなる実施形態では、
は
の中から選択される。
さらなる実施形態では、式(B)の化合物及びその薬学的に許容可能な活性な代謝産物、薬学的に許容可能な溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、又は薬学的に許容可能なプロドラッグは、以下の構造の式(C)を有する。
Yは、アルキル又は置換のアルキル、又は4−、5−、又は6員のシクロアルキル環であり;
R12は、H又は低級アルキルであり;又は
Y及びR12は一緒になって4−、5−、又は6員の複素環を形成し;
Gは
であり、ここで、R6、R7及びR8は、独立して、H、低級アルキル又は置換の低級アルキル、低級ヘテロアルキル又は置換の低級ヘテロアルキル、置換又は非置換の低級シクロアルキル、及び置換又は非置換の低級ヘテロシクロアルキルの中から選択される。
さらなる実施形態では、式(B1)の化合物及びその薬学的に許容可能な活性な代謝産物、薬学的に許容可能な溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、又は薬学的に許容可能なプロドラッグは、以下の構造の式(C1)を有する。
Yは、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、及びアルキルヘテロシクロアルキルの中から随意に置換された基であり;
R12は、H又は低級アルキルであり;又は
YとR12は一緒になって、4−、5−、又は6員の複素環形成し;
Gは、
であり、ここで、Raは、H、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のシクロアルキルであり;及び、
R7及びR8は、Hであり;
R6は、H、置換又は非置換のC1−C4アルキル、置換又は非置換のC1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のC1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のC2−C8ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル);
R6及びR8は、Hであり;
R7は、H、置換又は非置換のC1−C4アルキル、置換又は非置換のC1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のC1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のC2−C8ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル);又は
R6及びR8は、一緒になって結合を形成し;
R7は、H、置換又は非置換のC1−C4アルキル、置換又は非置換のC1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のC1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のC2−C8ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)である。
さらなる又は代替的な実施形態では、式(A1)、式(B1)又は式(C1)のうちのいずれかの「G」基は、分子の物理的及び生物学的特性を修飾するために使用される任意の基である。このような調整/修飾は、分子のマイケルアクセプターの化学的活性度、酸性度、塩基性度、親油性、溶解度及び他の物理的特性を修飾する基を使用して達成される。Gへのこのような修飾によって変調される物理的及び生物学的特性は、ほんの一例として、マイケルアクセプター基の化学反応性、溶解度、インビボの吸収性、及びインビボの代謝を高めることを含む。さらに、インビボ代謝は、ほんの一例として、インビボPK特性、オフターゲット活性、cypP450相互作用に関連づけられた潜在毒性、薬物間相互作用等を制御することを含む。さらに、Gへの修飾により、一例として、血漿タンパク質及び脂質に結合する特異的及び非特異的タンパク質、ならびにインビボでの組織分布の調整を介してインビボでの化合物の有効性を調整することが可能である。
別の実施形態では、本明細書おいて式(D)の化合物が提供される。式(D)及びその薬学的に活性な代謝産物、又は薬学的に許容可能な溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、又は薬学的に許容可能なプロドラッグは以下の通りである。
ここで:
Laは、CH2、O、NH又はSであり;
Arは、置換又は非置換のアリール、又は置換又は非置換のヘテロアリールであり;
Yは、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールの中から選択される随意に置換された基であり;
Zは、C(=O)、OC(=O)、NHC(=O)、C(=S)、S(=O)x、OS(=O)x、NHS(=O)であり、ここで、xは、1又は2であり;
R6、R7、及びR8は各々、独立して、H、置換又は非置換のC1−C4アルキル、置換又は非置換のC1−C4ヘテロアルキル、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のC2−C6ヘテロシクロアルキル、C1−C6アルコキシアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換のC1−C4アルキル(アリール)、置換又は非置換のC1−C4アルキル(ヘテロアリール)、置換又は非置換のC1−4アルキル(C3−C8シクロアルキル)、又は置換又は非置換のC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)であり;又は
R7及びR8は、一緒になって結合しを形成する。
一実施形態では、式(D1)の構造を有する化合物及びその薬学的に活性な代謝産物、又は薬学的に許容可能な溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、又は薬学的に許容可能なプロドラッグがある。
ここで
Laは、CH2、O、NH又はSであり;
Arは、随意に置換された芳香族炭素環又は芳香族複素環であり;
Yは、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルキレンアリーレン、アルキレンヘテロアリーレン、及びアルキレンヘテロシクロアルキレン、又はそれらの組み合わせの中から選択される随意に置換された基であり;
Zは、C(=O)、NHC(=O)、NRaC(=O)、NRaS(=O)xであり、ここで、xは1又は2であり、Raは、H、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のシクロアルキルであり;及び、
R7及びR8は、Hであり;
R6は、H、置換又は非置換のC1−C4アルキル、置換又は非置換のC1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のC1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のC2−C8ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)であり;
R6及びR8は、Hであり;
R7は、H、置換又は非置換のC1−C4アルキル、置換又は非置換のC1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のC1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のC2−C8ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)であり;又は
R6とR8は一緒になって結合を形成し;
R7は、H、置換又は非置換のC1−C4アルキル、置換又は非置換のC1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のC1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のC2−C8ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル);又はそれらの組み合わせである。
別の実施形態では、式(A1)の化合物の薬学的に許容可能な塩が提供される。ほんの一例として、例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及び過塩素酸などの無機酸、又は酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸又はマロン酸などの有機酸と形成されるアミノ基の塩がある。さらに塩には、対イオンが、アジピン酸、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、及び吉草酸塩などのアニオンものが含まれる。さらに塩には、対イオンが、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、及び(少なくとも1つの有機部分で置換された)第四級アンモニウムカチオンなどのカチオンであるものが含まれる。
別の実施形態では、エステル基がホルメート、酢酸、プロピオネート、ブチレート、アクリレート及びエチルスクシネートから選択されるものを含む式(D1)の化合物の薬学的に許容可能なエステルがある。
別の実施形態では、式(D1)の化合物の薬学的に許容可能なカルバメートがある。別の実施形態では、式(D1)の化合物の薬学的に許容可能なN−アシル誘導体がある。N−アシル基の例としては、N−アセチル及びN−エトキシカルボニル基が挙げられる。
さらなる実施形態では、LaはOである。
さらなる実施形態では、Arはフェニルである。
さらなる実施形態では、Zは、C(=O)、NHC(=O)、又はNCH3C(=O)。
さらなる実施形態では、R1、R2、及びR3の各々はHである。
一実施形態では、R6、R7、及びR8が全てHである式(D1)の化合物がある。別の実施形態では、R6、R7、及びR8は、全てがHであるわけではない。
ありとあらゆる実施形態について、置換基は、列挙された代替物のサブセットの中から選択することができる。例えば、いくつかの実施形態では、Laは、CH2、O、又はNHである。他の実施形態では、LaはO又はNHである。さらに他の実施形態では、LaはOである。
いくつかの実施形態では、Arは、置換又は非置換のアリールである。さらに他の実施形態では、Arは、6員アリールである。他のいくつかの実施形態では、Arは、フェニルである。
いくつかの実施形態では、xは2である。さらに他の実施形態では、Zは、C(=O)、OC(=O)、NHC(=O)、S(=O)x、OS(=O)x、又はNHS(=O)xである。いくつかの他の実施形態では、Zは、C(=O)、NHC(=O)、又はS(=O)2である。
いくつかの実施形態では、R7及びR8は、独立して、H、非置換のC1−C4アルキル、置換のC1−C4アルキル、非置換のC1−C4ヘテロアルキル、及び置換のC1−C4ヘテロアルキルの中から選択され;又は、R7及びR8は一緒になって結合を形成する。さらに他の実施形態では、R7及びR8の各々は、Hであり;又は、R7及びR8は一緒になって結合を形成する。
いくつかの実施形態では、R6は、H、置換又は非置換のC1−C4アルキル、置換又は非置換のC1−C4ヘテロアルキル、C1−C6アルコキシアルキル、C1−C2アルキル−N(C1−C3アルキル)2、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C4アルキル(C3−C8シクロアルキル)、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)である。いくつかの他の実施形態では、R6は、H、置換又は非置換のC1−C4アルキル、置換又は非置換のC1−C4ヘテロアルキル、C1−C6アルコキシアルキル、C1−C2アルキル−N(C1−C3アルキル)2、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C4アルキル(C3−C8シクロアルキル)、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)である。さらに他の実施形態では、R6は、H、置換又は非置換のC1−C4アルキル、−CH2−O−(C1−C3アルキル)、−CH2−N(C1−C3アルキル)2、C1−C4アルキル(フェニル)、又はC1−C4アルキル(5−又は6員ヘテロアリール)である。いくつかの実施形態では、R6は、H、置換又は非置換のC1−C4アルキル、−CH2−O−(C1−C3アルキル)、−CH2−N(C1−3アルキル)2、C1−C4アルキル(フェニル)、又はC1−C4アルキル(1又は2N個の原子を含有する5−又6員ヘテロアリール)、又はC1−C4アルキル(1又は2N個の原子を含有する5−又は6員ヘテロシクロアルキル)である。
いくつかの実施形態では、Yは、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、及びヘテロの中から選択される随意に置換された基である。他の実施形態では、Yは、C1−C6アルキル、C1−C6ヘテロアルキル、4−、5−、6−又は7−員のシクロアルキル、及び4−、5−、6−又は7員ヘテロシクロアルキルの中から選択される随意に置換された基である。さらに他の実施形態では、Yは、C1−C6アルキル、C1−C6ヘテロアルキル、5−又は6−員のシクロアルキル、及び1又は2N個の原子を含有する5−又は6員ヘテロシクロアルキルの中から選択される随意に置換された基である。
様々な変形について、上記の基の任意の組み合わせが、本明細書において企図される。なお、本明細書で提供される化合物についての置換基及び置換パターンは、化学的に安定であり、かつ当該技術分野において周知の技術ならびに本明細書に記載された技術によって合成することができる化合物を提供するように当業者によって選択することができる。
一実施形態では、キナーゼの不可逆的な阻害剤は、式(E)の構造及びその薬学的に活性な代謝産物、又は薬学的に許容可能な溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、又は薬学的に許容可能なプロドラッグを有する:
ここで:
は、チロシンキナーゼを含み、さらにBtkキナーゼシステイン同族体を含む、キナーゼの活性部位に結合する部分であり;
Yは、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、ヘテロシクロアルキレン、シクロアルキレン、アルキレンアリーレン、アルキレンヘテロアリーレン、アルキレンシクロアルキレン、及びアルキレンヘテロシクロアルキレンの中から選択される随意に置換された基であり;
Zは、C(=O)、OC(=O)、NHC(=O)、NCH3C(=O)、C(=S)、S(=O)x、OS(=O)x、NHS(=O)であり、ここで、xは1又は2であり;
R6、R7、及びR8の各々は、独立して、H、置換又は非置換のC1−C4アルキル、置換又は非置換のC1−C4ヘテロアルキル、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のC2−C6ヘテロシクロアルキル、C1−C6アルコキシアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換のC1−C4アルキル(アリール)、置換又は非置換のC1−C4アルキル(ヘテロアリール)、置換又は非置換のC1−C4アルキル(C3−C8シクロアルキル)、又は置換又は非置換のC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)であり;又は
R7及びR8は一緒になって結合を形成する。
いくつかの実施形態では、
は、
から選択される置換の縮合ビアリール部分である。
一態様では、式(F)の化合物が本明細書において提供される。式(F)及びそられらの薬学的に活性な代謝産物、又は薬学的に許容可能な溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、又は薬学的に許容可能なプロドラッグは、以下の通りである。
ここで
Laは、CH2、O、NH又はSであり;
Arは、置換又は非置換のアリール、又は置換又は非置換のヘテロアリールであり;及び、
(a)Yは、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルキレンアリーレン、アルキレンヘテロアリーレン、アルキレンシクロアルキレン、及びアルキレンヘテロシクロアルキレンの中から選択される随意に置換された基であり;
Zは、C(=O)、NHC(=O)、NRaC(=O)、NRaS(=O)x、ここで、xは1又は2であり、Raは、H、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のシクロアルキルであり;及び、
(i)R6、R7及びR8の各々は、独立して、H、置換又は非置換のC1−C4アルキル、置換又は非置換のC1−C4ヘテロアルキル、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のC2−C6ヘテロシクロアルキル、C1−C6アルコキシアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換のC1−C4アルキル(アリール)、置換又は非置換のC1−C4アルキル(ヘテロアリール)、置換又は非置換のC1−C4アルキル(C3−C8シクロアルキル)、又は置換又は非置換のC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)であり;
(ii)R6及びR8は、Hであり;
R7は、H、置換又は非置換のC1−C4アルキル、置換又は非置換のC1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のC1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のC2−C8ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル);又は
(iii)R7及びR8は一緒になって結合を形成し;
R6は、H、置換又は非置換のC1−C4アルキル、置換又は非置換のC1−C4ヘテロアルキル、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のC2−C6ヘテロシクロアルキル、C1−C6アルコキシアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換のC1−C4アルキル(アリール)、置換又は非置換のC1−C4アルキル(ヘテロアリール)、置換又は非置換のC1−C4アルキル(C3−C8シクロアルキル)、又は置換又は非置換のC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)又は
(b)Yは、シクロアルキレン又はヘテロシクロアルキレンから選択される随意に置換された基であり;
Zは、C(=O)、NHC(=O)、NRaC(=O)、NRaS(=O)x、ここで、xは1又は2であり、Raは、H、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のシクロアルキルであり;及び、
(i)R7及びR8は、Hであり;
R6は、置換又は非置換のC1−4アルキル、置換又は非置換のC1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のC1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のC2−C8ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換ヘテロアリール、C1−4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)であり;
(ii)R6及びR8は、Hであり;
R7は、置換又は非置換のC1−C4アルキル、置換又は非置換のC1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のC1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のC2−C8ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)であり;又は
(iii)R7及びR8は、一緒になって結合を形成し;
R6は、置換又は非置換のC1−C4アルキル、置換又は非置換のC1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のC1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のC2−C8ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)である。
式(A)、式(B)、式(C)、式(D)の化合物のさらなる実施形態は、限定されないが、
からなる群から選択される化合物を含む。
さらに別の実施形態では、本明細書において提供される化合物は、
から選択される。
一態様では、本明細書において以下から選択される化合物が提供される:1−(3−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)prop−2−en−1−one(化合物4);(E)−1−(3−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)but−2−en−1−one(化合物5);1−(3−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)スルホニルエテン(sulfonylethene)(化合物6);1−(3−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)prop−2−yn−1−one(化合物8);1−(4−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)prop−2−en−1−one(化合物9);N−((1s,4s)−4−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)シクロヘキシル)アクリルアミド(化合物10);1−((R)−3−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン(ピロリジン)−1−yl)prop−2−en−1−one(化合物11);1−((S)−3−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−yl)ピロリジン−1−イル)prop−2−en−1−one(化合物12);1−((R)−3−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)prop−2−en−1−one(化合物13);1−((S)−3−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)prop−2−en−1−one(化合物14);及び(E)−1−(3−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)−4−(ジメチルアミノ)but−2−en−1−one(化合物15)。
いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、以下の構造を有する:
いくつかの実施形態では、Btkの阻害剤は、(R)−1−(3−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)prop−2−en−1−one(すなわちPCI−32765/イブルチニブ)である。
一実施形態では、Btk阻害剤は、α−シアノ−β−ヒドロキシ−β−メチル−N−(2,5−ジブロモフェニル)プロペンアミド(LFM−A13)、AVL−101、4−ターシャリー(tert)−ブチル−N−(3−(8−(フェニルアミノ)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)フェニル)ベンズアミド、5−(3−アミノ−2−メチルフェニル)−1−メチル−3−(4−(モルホリン−4−カルボニル)フェニルアミノ)ピラジン−2(1H)−one、N−(2−メチル−3−(4−メチル−6−(4−(モルホリン−4−カルボニル)フェニルアミノ)−5−オキソ−4,5−ジハイドロピラジン(dihydropyrazin)−2−イル)フェニル)アセトアミド、4−ターシャリー−ブチル−N−(2−メチル−3−(4−メチル−6−(4−(モルホリン−4−カルボニル)フェニルアミノ)−5−オキソ−4,5−ジハイドロピラジン−2−yl)フェニル)ベンズアミド、5−(3−(4−ターシャリー−ブチルベンジルアミノ)−2−メチルフェニル)−1−メチル−3−(4−(モルホリン−4−カルボニル)フェニルアミノ)ピラジン−2(1H)−one、5−(3−(3−ターシャリー−ブチルベンジルアミノ)−2−メチルフェニル)−1−メチル−3−(4−(モルホリン−4−カルボニル)フェニルアミノ)ピラジン−2(1H)−one、3−ターシャリー−ブチル−N−(2−メチル−3−(4−メチル−6−(4−(モルホリン−4−カルボニル)フェニルアミノ)−5−オキソ−4,5−ジハイドロピラジン−2−yl)フェニル)ベンズアミド、6−ターシャリー−ブチル−N−(2−メチル−3−(4−メチル−6−(4−(モルホリン−4−カルボニル)フェニルアミノ)−5−オキソ−4,5−ジハイドロピラジン−2−yl)フェニル)ニコチンアミド、及びテレイン酸である。
明細書全体を通して、基及びそれらの置換基は、安定な部分及び化合物を提供するように当業者によって選択することができる。
(化合物の調製)
式Dの化合物は、当業者に周知の標準的な合成技術を使用して、又は本明細書に記載の方法と組み合わせて、当該技術分野で周知の方法を使用して合成することができる。さらに、本明細書において提示される溶媒、温度及びその他の反応条件は、当業者によって変更し得る。さらなる指針として、以下の合成方法がまた利用されてもよい。
反応は、本明細書に記載の化合物を提供するために、直鎖状配列で用いることができ、又は反応は、本明細書に記載の方法及び/又は当該技術分野で周知の方法によってその後接合される断片を合成するために使用してもよい。
<求核試薬と求電子試薬の反応による共有結合の形成>
本明細書に記載される化合物は、新しい官能基又は置換基を形成するために、種々の求電子試薬又は求核試薬を用いて修飾することができる。「共有結合及びそれらの前駆体の例」と題する表1は、利用可能な求電子試薬及び求核試薬のさまざまな組み合わせを生み、かつ利用可能な求電子試薬及び求核試薬のさまざまな組み合わせに向けた指針として使用することができる共有結合及び前駆体官能基の例を選択的にリストアップする。前駆体官能基は、求電子基及び求核基として示される。
<保護基の使用>
記載される反応においては、反応性官能基、例えばヒドロキシ、アミノ、イミノ、チオ又はカルボキシ基(これらは最終生成物において望まれる)の反応における非所望の関与を避けるために、これらを保護する必要があるかもしれない。保護基は、一部又はすべての反応性部分をブロックし、保護基が除去されるまでこのような基が化学反応に関与することを防止するように使用される。一実施形態では、各保護基は、異なる手段により除去可能である。完全に異なる反応条件下で切断される保護基は、異なる除去(differential removal)の要件を満たす。保護基は、酸、塩基、及び水素化分解によって除去することができる。トリチル、ジメトキシトリチル、アセタール及びt−ブチルジメチルシリルなどの基は、酸に不安定であり、水素化分解によって除去可能であるCbz基、及び塩基に不安定であるFmoc基で保護されたアミノ基の存在下で、カルボキシ及びヒドロキシ反応性部分を保護するために使用されてもよい。カルボン酸及びヒドロキシ反応性部分は、t−ブチルカルバメートなどの酸不安定基、及び酸及び塩基の両方に安定しているが加水分解で除去可能なカルバメートでブロックされたアミンの存在下で、限定されないが、メチル、エチル、アセチルなどの塩基不安定基でブロックされてもよい。
カルボン酸及びヒドロキシ反応性部分はまた、ベンジル基などの加水分解で除去可能な保護基でブロックされていてもよく、酸と水素結合できるアミン基は、Fmocなどの塩基不安定基でブロックされてもよい。カルボン酸反応性部分は、本明細書に例示するような単純なエステル化合物への変換によって保護することができ、又はそれらは、2,4−ジメトキシベンジルなどの酸化的に除去可能な保護基でブロックされてもよく、共存するアミノ基は、フッ化物に不安定なシリルカルバメートでブロックされてもよい。
アリルブロック基は、酸及び塩基保護基の存在下で有用である。なぜなら前者は、安定しており、その後、金属又はπ酸触媒によって除去することができるからである。例えば、アリルブロックカルボン酸は、酸に不安定なt−ブチルカルバメート又は塩基に不安定な酢酸アミンの存在下で、PD0触媒反応で脱保護することができる。保護基のさらに別の形態は、化合物又は中間体を付着させることができる樹脂である。残基が樹脂に付着している間、その官能基はブロックされ、反応することができない。樹脂から遊離すると、官能基は反応できる。
典型的に、ブロック/保護基は、以下から選択することができる:
他の保護基、加えて保護基の作成及びそれらの除去に適用できる技術の詳細な説明は、Greene and Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,3rd Ed.,John Wiley & Sons,New York,NY,1999,and Kocienski,Protective Groups,Thieme Verlag,New York,NY,1994に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
<化合物の更なる形態>
本明細書に記載される化合物は、1つ以上の立体中心を有することができ、各中心は、R又はS配置で存在し得る。本明細書に示される化合物は、すべてのジアステレオマー、エナンチオマー、及びエピマー形態ならびにそれらの適切な混合物を含む。立体異性体は、所望であれば、当該技術分野において周知の方法、例えばキラルクロマトグラフィーカラムによる立体異性体の分離によって得ることができる。
ジアステレオマー混合物は、周知の方法によって、例えばクロマトグラフィー及び/又は分別結晶化によって、それらの物理化学的相違に基づいて個々のジアステレオマーに分離することができる。一実施形態では、鏡像異性体は、キラルクロマトグラフィーカラムによって分離することができる。他の実施形態では、鏡像異性体は、適切な光学活性化合物(例えば、アルコール)との反応によって、エナンチオマー混合物をジアステレオマー混合物に変換し、ジアステレオマーを分離し、個々のジアステレオマーを対応する純粋なエナンチオマーに変換(例えば、加水分解)にすることによって分離することができる。ジアステレオマー、鏡像異性体、及びそれらの混合物を含むすべてのそのような異性体は、本明細書に記載の組成物の一部とみなされる。
本明細書に記載の方法及び製剤は、N−酸化物、結晶形態(多形としても知られる)、又は本明細書に記載の化合物の薬学的に許容可能な塩、ならびに同種の活性を有するこれらの化合物の活性代謝物の使用を含む。いくつかの状況では、化合物は、互変異性体として存在し得る。全ての互変異性体は、本明細書に示される化合物の範囲内に含まれる。加えて、本明細書に記載される化合物は、水、エタノール等といった薬学的に許容可能な溶媒を有する非溶媒和形態ならびに溶媒和形態で存在することができる。本明細書に示される化合物の溶媒和形態もまた、本明細書に開示されていると考えられる。
未酸化形態の式Dの化合物は、0〜80℃で、アセトニトリル、エタノール、水性ジオキサン等(これらに限定されない)といった適当な不活性有機溶媒中の硫黄、二酸化硫黄、トリフェニルホスフィン、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、三塩化リン、トリブロミド(tribromide)等(これらに限定されない)といった還元剤で処理することによって、式Dの化合物のN−オキシドから調製することができる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、プロドラッグとして調製される。「プロドラッグ」は、インビボで親薬物に変換される薬剤を指す。いくつかの状況では、プロドラッグは、親薬物よりも投与が容易であり得るため、プロドラッグはしばしば有用である。プロドラッグは、親薬物がなくとも、例えば、経口投与によって生物学的に利用可能である。プロドラッグはまた、親薬物よりも医薬組成物における溶解性を向上させることができる。限定されないが、プロドラッグの例としては、本明細書に記載の化合物である。水溶性が移動性にとって弊害である細胞膜を横切る伝送を容易にするために、本明細書に記載の化合物はエステル(「プロドラッグ」)として投与される。エステルは、その後、水溶性が有益である細胞内に入るとカルボン酸(活性実体:active entity)に代謝的に加水分解される。プロドラッグのさらなる例は、ペプチドが活性部分を明らかにするように代謝される酸基に結合された短鎖ペプチド(ポリアミノ酸)であってもよい。特定の実施形態では、インビボ投与の際に、プロドラッグは、化合物の生物学的に、薬学的又は治療的に活性な形態に化学的に変換される。特定の実施形態では、プロドラッグは、1つ以上の工程又はプロセスによって、化合物の生物学的、薬学的又は治療的に活性な形態に酵素的に代謝される。プロドラッグを製造するために、薬学的に活性化合物は、活性化合物がインビボ投与の際に再生されるように修飾される。プロドラッグは、薬物の代謝安定性又は輸送特性を変えるように、副作用又は毒性を覆い隠すように、薬物の味を改善するために、又は薬物の他の特性又は性質特徴を変えるように設計することができる。インビボでの薬力学的プロセス及び薬物代謝の知識のおかげで、一旦製薬的に活性な化合物が周知になると、当業者は、化合物のプロドラッグを設計することができる。(例えば、Nogrady(1985)Medicinal Chemistry A Biochemical Approach,Oxford University Press,New York,388−392頁;Silverman(1992),The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action,Academic Press,Inc.,San Diego,352−401頁,Saulnier et al.,(1994),Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters,Vol.4,p.1985を参照)。
本明細書に記載の化合物のプロドラッグ形態は、特許請求の範囲に含まれる。プロドラッグは、本明細書に記載の誘導体を生成するためにインビボで代謝される。いくつかの場合において、本明細書に記載の化合物のいくつかは、別の誘導体又は活性化合物のプロドラッグであってもよい。
いくつかの状況において、プロドラッグは、親薬物よりも投与が容易であり得るため、プロドラッグはしばしば有用である。プロドラッグは、親薬物がなくとも、例えば、経口投与によって生物学的に利用可能である。プロドラッグはまた、親薬物よりも医薬組成物における溶解性を向上させることができる。プロドラッグは、部位特異的組織への薬物輸送を向上させるために、修飾因子として使用される可逆的薬物誘導体として設計することができる。いくつかの実施形態では、プロドラッグの設計は、効果的な水溶性を向上させる。例えば、Fedorak et al.,Am.J.Physiol.,269:G210−218(1995);McLoed et al.,Gastroenterol,106:405−413(1994);Hochhaus et al.,Biomed.Chrom.,6:283−286(1992);J.Larsen and H.Bundgaard,Int.J.Pharmaceutics,37,87(1987);J.Larsen et al.,Int.J.Pharmaceutics,47,103(1988);Sinkula et al.,J.Pharm.Sci.,64:181−210(1975);T.Higuchi and V.Stella,Pro−drugs as Novel Delivery Systems,Vol.14 of the A.C.S.Symposium Series;and Edward B.Roche,Bioreversible Carriers in Drug Design,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987を参照。その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
式Dの化合物の芳香環部分上の部位は、様々な代謝反応に敏感であり、故に、ほんの一例として、ハロゲンなどの芳香族環構造上への適切な置換基の取り込みにより、この代謝経路を減少、最小化又は排除することができる。
本明細書に記載の化合物は、本明細書に提示される様々な式及び構造において列挙されたものと同一である同位体標識化合物を含むが、1つ以上の原子は、自然界に通常見られる原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子によって置換される。本発明の化合物に組み込むことができる同位体の例としては、例えば、それぞれ2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O、35S、18F、36Clなどの水素、炭素、窒素、酸素、フッ素及び塩素の同位元素が挙げられる。例えば3H及び14Cなどの放射性同位体が組み込まれる本明細書に記載される特定の同位体標識化合物は、薬物及び/又は基質の組織分布アッセイにおいて有用である。さらに、重水素(すなわち、2H)などの同位体での置換は、より大きな代謝安定性から生じるいくつかの治療的利点、例えばインビボ半減期の増加又は必要投与量の減少をもたらし得る。
追加の又はさらなる実施形態では、本明細書に記載される化合物は、代謝産物を生産するために必要とする生物への投与の際に代謝される。代謝産物は、次いで、所望の治療効果を含む所望の効果をもたらすために使用される。
本明細書に記載する化合物は、薬学的に許容可能な塩として形成され、及び/又はとして使用することができる。薬学的に許容可能な塩のタイプには、限定されないが:(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタリン酸等といった薬学的に許容可能な無機酸;又は酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、トリフルオロ酢酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−メチルビシクロ−[2.2.2]オクタ−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、4,4’−メチレンビス−(3−ヒドロキシ−2−エン−1−カルボン酸)、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第3級(tertiary)ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸等といった薬学的に許容可能な有機酸と、化合物の遊離塩基形態とを反応させることによって形成される、酸付加塩;(2)親化合物中に存在する酸性プロトンが金属イオン、例えばアルカリ金属イオン(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム)、アルカリ土類イオン(例えばマグネシウム、又はカルシウム)、又はアルミニウムイオンによって置換されるか;又は有機塩基と調和する(coordinate)かのいずれかのときに形成される、塩を含む。許容される有機塩基は、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミン等を含む。許容される無機塩基は、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等を含む。
薬学的に許容可能な塩の対応する対イオンは、限定されないが、イオン交換クロマトグラフィー、イオンクロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動、誘導結合プラズマ、原子吸光分光分析、質量分析、又はそれらの任意の組み合わせを含む様々な方法を使用して用いて分析し、同定することができる。
塩は、以下の技術の少なくとも1つを用いて回収する:濾過、濾過に続く非溶媒による沈殿、溶媒の蒸発、又は、水溶液の場合には、凍結乾燥。
薬学的に許容可能な塩への言及は、溶媒付加形態又はそれらの結晶形態、特に溶媒和物又は多形体を含むことが理解されるべきである。溶媒和物は、溶媒の化学量論的又は非化学量論量のいずれかを含み、水、エタノール等といった薬学的に許容可能な溶媒による結晶化過程中に形成され得る。溶媒が水の場合、水和物が形成され、又は溶媒がアルコールである場合にはアルコラートが形成される。本明細書に記載の化合物の溶媒和物は、本明細書に記載のプロセス中に簡便に調製又は形成することができる。加えて、本明細書に提供される化合物は、非溶媒和ならびに溶媒和形態で存在することができる。一般に、溶媒和形態は、本明細書において提供される化合物及び方法の目的のために非溶媒和形態と等しいと考えられる。
塩への言及は、溶媒付加形態又はそれらの結晶形態、特に溶媒和物又は多形体を含むことが理解されるべきである。溶媒和物は、溶媒の化学量論的又は非化学量論量のいずれかを含み、水、エタノール等の薬学的に許容可能な溶媒による結晶化過程中にしばしば形成される。溶媒が水の場合、水和物が形成され、又は溶媒がアルコールである場合にはアルコラートが形成される。多形体は、化合物の同じ元素組成の異なる結晶充填配置を含む。多形体は、通常、異なるX線回折パターン、赤外スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形状、光学的及び電気的性質、安定性及び溶解性を有する。再結晶溶媒、結晶化速度、及び保存温度などの様々な要因は、単結晶形態が支配することを引き起こしかねない。
本明細書中に記載する化合物は、限定されないが、非晶質形態、粉砕された形態、ナノ粒子形態を含む様々な形態であってもよい。加えて、本明細書に記載される化合物は、多形体としても知られている結晶形態を含む。多形体は、化合物の同じ元素組成の異なる結晶充填配置を含む。多形体は、通常、異なるX線回折パターン、赤外スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形状、光学的及び電気的性質、安定性及び溶解性を有する。再結晶溶媒、結晶化速度、及び保存温度などの様々な要因は、単結晶形態が支配することを引き起こしかねない。
薬学的に許容可能な塩、多形体及び/又は溶媒和物のスクリーニング及び特徴付けは、限定されないが、熱分析、X線回折、分光法、蒸気収着、及び顕微鏡検査を含む様々な技術を用いて達成することができる。熱分析法は、多形転移(これに限定されない)を含む熱化学分解又は含む熱物理過程に対処し、このような方法は、形形態間の関係を分析するために、重量損失を判定するために、ガラス転移温度を見つけるために、又は賦形剤適合性研究のために使用される。このような方法としては、限定されないが、示差走査熱量測定(DSC)、変調示差走査熱量測定(MDCS)、熱重量分析(TGA)、及び熱重量及び赤外分析(TG/IR)を含む。X線回折法は、限定されないが、単結晶及び粉末回折計及びシンクロトロン源を含む。使用される様々な分光技術は、限定されないが、ラマン、FTIR、UVIS、及びNMR(液体及び固体)を含む。様々な顕微鏡技術は、限定されないが、偏光顕微鏡法、エネルギー分散型X線分析(EDX)を用いる走査電子顕微鏡(SEM)、EDXを用いる環境制御型走査電子顕微鏡(ガス又は水蒸気雰囲気中)、IR顕微鏡、及びラマン顕微鏡を含む。
明細書全体を通して、基及びそれらの置換基は、安定な部分及び化合物を提供するために当業者が選択することができる。
<薬物動態>
特定の実施形態において、個体の血液悪性腫瘍を処置するための方法が本明細書に開示され、該方法は、マントル細胞リンパ腫から複数の細胞を移動させるのに十分な量の不可逆的なBtk阻害剤を含む第1の処置を、個体に施す工程を含む。いくつかの実施形態では、方法はさらに、個体に第2の処置を施す工程を含む。
いくつかの実施形態では、Btkの阻害剤は、40mg/mL〜40ng/mLの間の1日目のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、45mg/mL〜390ng/mLの間の1日目のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、48.7ng/mL〜383ng/mLの間の1日目のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、40〜50ng/mLの間の1日目のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、80〜90ng/mLの間の1日目のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、90〜100ng/mLの間の1日目のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、100〜110ng/mLの間の1日目のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、110〜の120ng/mLの間の1日目のCmax及びを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、120〜130ng/mLの間の1日目のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、130〜140ng/mLの間の1日目のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、140〜150ng/mL間の1日目のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、150〜160ng/mLの間の1日目のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、160〜170ng/mLでの1日目の間のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、170〜180ng/mLの間の1日目のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、180〜190ng/mLの間の1日目のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、190〜200ng/mLの間の1日目のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、200〜300ng/mL間の1日目のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、300〜400ng/mLの間の1日目のCmaxを有する。
いくつかの実施形態では、Btkの阻害剤は、40mg/mL〜40ng/mLの間の1日目のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、48.7ng/mL〜383ng/mLの間の1日目のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤の1.25mg/kgの用量は、48.7ng/mLの1日目のCmaxmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤の2.5mg/kgの用量は、90.4ng/mLの1日目のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤の5mg/kgの用量は、86.1ng/mLの1日目のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤の8.3mg/kgでの用量は、135ng/mLの1日目のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤の12.5mg/kgを用量は、383ng/mLの1日目のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤の560mg/日の用量は、156ng/mLの1日目のCmaxを有する。
いくつかの実施形態では、Btkの阻害剤は、20mg/mL〜30ng/mLの間の定常状態のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、20mg/mL〜30ng/mLの間の定常状態のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、30mg/mL〜50ng/mLの間の定常状態のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、50mg/mL〜70ng/mLの間の定常状態のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、70mg/mL〜90ng/mLの間の定常状態のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、90mg/mL〜100ng/mLの間の定常状態のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、10mg/mL〜110ng/mLの間で定常状態のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、110mg/mL〜120ng/mLの間で定常状態のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、120mg/mL〜130ng/mLの間で定常状態のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、130mg/mL〜140ng/mLの間で定常状態のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、140mg/mL〜150ng/mLの間で定常状態のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、150mg/mL〜160ng/mLの間で定常状態のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、160mg/mL〜170ng/mLの間で定常状態のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、170mg/mL〜180ng/mLの間で定常状態のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、180mg/mL〜190ng/mLの間で定常状態のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、200mg/mL〜240ng/mLの間で定常状態のCmaxを有する。
いくつかの実施形態では、Btkの阻害剤は、27ng/mL〜236ng/mLの間の定常状態のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤の1.25mg/kgでの用量は、27ng/mLの定常状態のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤の2.5mg/kgの用量は、114ng/mLの定常状態のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤の5mg/kgの用量は、112ng/mLの定常状態のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤の8.3mg/kgの用量は、183ng/mLの定常状態のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤の12.5mg/kgを用量は、236ng/mLの定常状態のCmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤の560mg/日の用量は、122ng/mLの定常状態のCmaxを有する。
いくつかの実施形態では、Btkの阻害剤は、1〜2.5時間の間のTmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、1.5〜2.3時間の間のTmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、1.7と2.3時間の間のTmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、1.8と2.2時間の間のTmaxを有する。
いくつかの態様では、Btk阻害剤の1.25mg/kgの用量は、1時間のTmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤の2.5mg/kgの用量は、2.1時間のTmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤を5mg/kgの用量は、2.3時間のTmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤の8.3mg/kgの用量は、1.8時間のTmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤の12.5mg/kgでの用量は、1.7時間のTmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤の560mg/日の用量は、1.8時間のTmaxを有する。
いくつかの実施形態では、Btkの阻害剤のポスト(post)Tmaxの平均半減期は、1.5〜3時間の間である。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、1.5〜2.7時間の間の平均半減期のポストTmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、1.5〜2.5時間の間の平均半減期のポストTmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、1.5〜2.2時間の間の平均半減期のポストTmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、1.5〜1.7時間の間の平均半減期のポストTmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、2〜3時間の間の平均半減期のポストTmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、2.5〜3時間の間の平均半減期のポストTmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、2.5〜2.9時間の間の平均半減期のポストTmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、2.5〜2.8時間の間の平均半減期のポストTmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、2.5〜2.7時間の間の平均半減期のポストTmaxを有する。
いくつかの態様では、Btk阻害剤の1.25mg/kgの用量は、1.7時間の平均半減期のポストTmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤の2.5mg/kgの用量は、1.5時間の平均半減期のポストTmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤を5mg/kgの用量は、2.5時間の平均半減期のポストTmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤の8.3mg/kgの用量は、2.1時間の平均半減期のポストTmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤の12.5mg/kgの用量は、1.5時間の平均半減期のポストTmaxを有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤560mgの用量は、2.65時間の平均半減期のポストTmaxを有する。
いくつかの実施形態では、Btkの阻害剤は、100〜200ng・h/mLの間の1日目のAUC0−∞を有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、150〜160ng・h/mLの1日目のAUC0−∞を有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、150〜1100ng・h/mLの1日目のAUC0−∞を有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、150〜1000ng・h/mLの1日目のAUC0−∞を有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、150〜750ng・h/mLの1日目のAUC0−∞を有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、150〜50ng・h/mLの1日目のAUC0−∞を有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は100〜200ng・h/mLの1日目のAUC0−∞を有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、400〜500ng・h/mLの1日目のAUC0−∞を有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、400〜800ng・h/mLの1日目のAUC0−∞を有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、400〜1000ng・h/mLの1日目のAUC0−∞を有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、700〜1000ng・h/mLの1日目のAUC0−∞を有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、700〜800ng・h/mLの1日目のAUC0−∞を有する。
いくつかの実施形態では、Btk阻害剤の1.25mg/kgの用量は、181ng・h/mLを1日目のAUC0−∞を有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤の2.5mg/kgの用量は、494ng・h/mLを1日目のAUC0−∞を有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤の5mg/kgの用量は、419ng・h/mLの1日目のAUC0−∞を有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤の8.3mg/kgの用量は、923ng・h/mLの1日目のAUC0−∞を有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤の12.5mg/kgの用量は、1550ng・h/mLの1日目のAUC0−∞を有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤560mgの用量は、749ng・h/mLの1日目のAUC0−∞を有する。
いくつかの実施形態では、Btk阻害剤の体重が正規化された用量(mg/kg/日)は、可変な1日目のAUC0−∞と定常状態AUC0−24の結果をもたらす。
いくつかの実施形態では、Btkの阻害剤は、300〜3000ng・h/mLの定常状態AUC0−24を有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、300〜2500ng・h/mLの定常状態のAUC0−24を有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、300〜2000ng・h/mLの定常状態のAUC0−24を有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、300〜1600ng・h/mLの定常状態のAUC0−24を有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、1500〜2500ng・h/mLの間の定常状態のAUC0−24を有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、1500〜2000ng・h/mLの間の定常状態のAUC0−24を有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、1500〜1900ng・h/mLの間の定常状態のAUC0−24を有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤は、1500〜1600ng・h/mLの間の定常状態のAUC0−24を有する。
いくつかの実施形態では、Btk阻害剤の1.25mg/kgの用量は、定常状態301ng・h/mLのAUC0−24を有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤の2.5mg/kgの用量は、1840ng・h/mLの定常状態のAUC0−24を有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤の5mg/kgの用量は、1580ng・h/mLの定常状態のAUC0−24を有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤の8.3mg/kgの用量は、2330ng・h/mLの定常状態のAUC0−24を有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤の12.5mg/kgの用量は、2936ng・h/mLの定常状態のAUC0−24を有する。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤560mgの用量は、1553ng・h/mLの定常状態のAUC0−24を有する。
いくつかの実施形態では、Btk阻害剤の非結合画分は、1%〜5%の間である。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤の非結合画分は1.5%〜4%の間である。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤の非結合画分は、2%〜3%の間である。いくつかの実施形態では、Btk阻害剤の非結合画分は2.5%である。
<第2の処置>
特定の実施形態において、個体の血液悪性腫瘍を処置するための方法が本明細書に開示され、該方法は、(a)不可逆的なBtk阻害剤を含む第1の処置を個体に施す工程;および(b)個体に第2の処置を施す工程、を含む。さらに 特定の実施形態において、個体の血液悪性腫瘍を処置するための方法が本明細書に開示され、該方法は、(a)マントル細胞リンパ腫から複数の細胞を移動させるのに十分な量の不可逆的なBtk阻害剤を含む第1の処置を、個体に施す工程;(b)個体から得られたサンプル中の移動した複数の細胞を分析する工程;および、(c)個体に第2の処置を施す工程、を含む。いくつかの実施形態では、不可逆的なBtk阻害剤の量は、血液悪性腫瘍からの複数の細胞のリンパ球増加症を引き起こすのに十分である。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、移動した複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度が、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、移動した複数の細胞の末梢血濃度がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、移動した複数の細胞の末梢血濃度が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、移動した複数の細胞の末梢血濃度があらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、末梢血中の移動した複数の細胞の数を数える工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がBtk阻害剤の投与前の数と比較して増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の処置の施術は、末梢血中の移動した複数の細胞の数がその後減少した後に起こる。いくつかの実施形態では、移動した複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して、末梢血中の移動した複数の細胞の数が増加した持続期間を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、末梢血中の移動した複数の細胞の数が、あらかじめ定義した時間にわたって増加した後に、第2の処置を施す工程をさらに含む。
いくつかの実施形態では、第2の処置前にBtk阻害剤を投与すると、第2の処置に対する免疫介在性反応を減少させる。いくつかの実施形態では、オファツムマブ前にBtk阻害剤を投与すると、オファツムマブに対する免疫媒介性反応を減少させる。
いくつかの態様では、第2の処置は、化学療法剤、ステロイド、免疫療法剤、標的療法、又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、第2の処置は、B細胞受容体経路阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、B細胞受容体経路阻害剤は、CD79A阻害剤、CD79B阻害剤、CD19阻害剤、リン阻害剤、Sykの阻害剤、PI3K阻害剤、Blnk阻害剤、PLCγ阻害剤、PKCβ阻害剤、又はそれらの組み合わせである。いくつかの態様では、第2の処置は、抗体、B細胞受容体シグナル伝達阻害剤、PI3K阻害剤、IAP阻害剤、mTOR阻害剤、放射免疫療法、DNA損傷剤、プロテオソーム阻害剤、ヒストンデアシラーゼ(deacytlase)阻害剤、タンパク質キナーゼ阻害剤、ヘッジホッグ阻害剤、Hsp90阻害剤、テロメラーゼ阻害剤、Jak1/2阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、PKC阻害剤、PARP阻害剤、又はそれらの組合せを含む。
いくつかの実施形態では、第2の処置は、クロラムブシル、イホスファミド、ドキソルビシン、メサラジン、サリドマイド、レナリドミド、テムシロリムス、エベロリムス、フルダラビン、ホスタマチニブ(fostamatinib)、パクリタキセル、ドセタキセル、オファツムマブ、リツキシマブ、デキサメタゾン、プレドニゾン、CAL−101、イブリツモマブ、トシツモマブ、ボルテゾミブ、ペントスタチン、エンドスタチン、又はそれらの組み合わせを含む。
いくつかの実施形態では、第2の処置は、レナリドミドを含む。
いくつかの実施形態では、第2の処置は、ボルテゾミブを含む。
いくつかの実施形態では、第2の処置は、ソラフェニブを含む。
いくつかの実施形態では、第2の処置は、ゲムシタビンを含む。
いくつかの実施形態では、第2の処置は、デキサメタゾンを含む。
いくつかの実施形態では、第2の処置は、ベンダムスチンを含む。
いくつかの実施形態では、第2の処理は、R−406を含む。
いくつかの実施形態では、第2の処置は、HDAC阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤は、以下の式(I)の構造又はその薬学的に許容可能な塩を有する:
ここで:
R1は、水素又はアルキルであり;
Xは、−O−、−NR2−、又は−S(O)nであり、nは0〜2であり、R2は水素又はアルキルであり;
Yは、シクロアルキルで随意に置換されたアルキレン、随意に置換されたフェニル、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、随意に置換されたフェニルアルキルチオ(phenylalkylthio)、随意に置換されたフェニルアルキルスルホニル、ヒドロキシ、又は随意に置換されたフェノキシ;
Ar1は、フェニレン又はヘテロアリーレン、ここで、Ar1は、アルキル、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、又はハロアルキルから独立して選択される1又は2つの基で随意に置換され;
R3は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、又は随意に置換されたフェニルであり;及び
Ar2は、アリール、アラルキル、アラルケニル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアラルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、又はヘテロシクロアルキルアルキル;及び個々の立体異性体、個々の幾何異性体、又はそれらの混合物である。
いくつかの実施形態では、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤は、3−((ジメチルアミノ)メチル)−N−(2−(4−(ヒドロキシカルバモイル)フェノキシ)エチル)ベンゾフラン−2−カルボキサミドである。
いくつかの実施形態では、第2の処置は、タキソールを含む。
いくつかの実施形態では、第2の処置は、ビンクリスチンを含む。
いくつかの実施形態では、第2の処置は、ドキソルビシンを含む。
いくつかの実施形態では、第2の処置は、テムシロリムスを含む。
いくつかの実施形態では、第2の処置は、カルボプラチンを含む。
いくつかの実施形態では、第2の処置は、オファツムマブを含む。
いくつかの実施形態では、第2の処置は、リツキシマブを含む。
いくつかの実施形態では、第2の処置は、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン、及び随意にリツキシマブを含む。
いくつかの実施形態では、第2の処置は、ベンダムスチンとリツキシマブを含む。
いくつかの実施形態では、第2の処置は、フルダラビン、シクロホスファミド、及びリツキシマブを含む。
いくつかの実施形態では、第2の処置は、シクロホスファミド、ビンクリスチン、及びプレドニゾン、ならびに随意にリツキシマブを含む。
いくつかの実施形態では、第2の処置は、エトポシド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、プレドニゾロン、及び随意にリツキシマブを含む。
いくつかの実施形態では、第2の処置は、デキサメタゾン及びレナリドマイドを含む。
追加のがん処置は、以下のものを含む:例えばベンダムスチン、クロラムブシル、クロルメチン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、プレドニムスチン、トロフォスファミドなどのナイトロジェンマスタード;ブスルファン、マンノスルファン、トレオスルファンなどのスルホン酸アルキル;カルボコン、チオテパ、トリアジコンなどのエチレンイミン;カルムスチン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン、セムスチン、ストレプトゾシンなどのニトロソウレア;例えばエトグルシドなどのエポキシド;例えばダカルバジン、ミトブロニトール、ピポブロマン、テモゾロミドなどの他のアルキル化剤;例えばメトトレキサート、ペメトレキセド(permetrexed)、プララトレキサート、ラルチトレキセドなどの葉酸類似体;例えばクラドリビン、クロファラビン、フルダラビン、メルカプトプリン、ネララビン、チオグアニンなどのプリン類似体;例えばアザシチジン、カペシタビン、カルモフール、シタラビン、デシタビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、テガフールなどのピリミジン類似体;例えばビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンフルニン、ビノレルビンなどのビンカアルカロイド;例えばエトポシド、テニポシドなどのポドフィロトキシン誘導体;例えばデメコルチンなどのコルヒチン誘導体;例えばドセタキセル、パクリタキセル、パクリタキセルポリグルメックスなどのタキサン;例えばトラベクテジンなどの他の植物アルカロイド及び天然物;例えばダクチノなどのアクチノマイシン;例えばアクラルビシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、ピラルビシン、バルルビシン、ゾルビシン(zorubincin)などのアントラサイクリン;例えばブレオマイシン、イクサベピロン、マイトマイシン、プリカマイシンなどの細胞傷害性抗生物質;例えばカルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチンなどの白金化合物;例えばプロカルバジンなどのメチルヒドラジン;例えばアミノレブリン酸、エファプロキシ、メチルアミノレブリン、ポルフィマーナトリウム、テモポルフィンなどの増感剤;例えばダサチニブ、エルロチニブ、エベロリムス、ゲフィチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、ニロチニブ、パゾナニブ(pazonanib)、ソラフェニブ、スニチニブ、テムシロリムスなどのタンパク質キナーゼ阻害剤;例えばアリトレチノイン、アルトレタミン、アムザクリン(amzacrine)、アナグレリド、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、ベキサロテン、ボルテゾミブ、セレコキシブ、デニロイキンジフチトクス、ラムスチン、ヒドロキシカルバミド、イリノテカン、ロニダミン、マソプロコール、ミルテホシン、ミトグアゾン、ミトタン、オブリメルセン、ペガスパルガーゼ、ペントスタチン、ロミデプシン、シチマジーンセラデノベック(sitimagene ceradenovec)、チアゾフリン、トポテカン、トレチノイン、ボリノスタットなど他の抗悪性腫瘍薬;例えばジエチルスチルベノル(diethylstilbenol)、エチニルエストラジオール、ホスフェストロール、リン酸ポリエストラジオールなどのエストロゲン;例えばゲストノロン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロールなどのプロゲスト;例えばブセレリン、ゴセレリン、リュープロレリン、トリプトレリンなどのゴナドトロピン放出ホルモン類似体;例えばフルベストラント、タモキシフェン、トレミフェンなどの抗エストロゲン;例えばビカルタミド、フルタミド、ニルタミド、酵素阻害剤、アミノグルテチミド、アナストロゾール、エキセメスタン、フォルメスタン、レトロゾール、ボロゾールなどの抗アンドロゲン;例えばアバレリクス、デガレリクスなどの他のホルモン拮抗薬;例えばヒスタミン二塩酸塩、ミファムルチド、ピドチモド、プレリキサフォル、ロキニメックス、サイモペンチンなどの免疫賦活剤;例えばエベロリムス、グスペリムス、レフルノミド、ミコフェノール酸、シロリムスなどの免疫抑制剤;例えばシクロスポリン、タクロリムスなどのカルシニューリン阻害剤;例えばアザチオプリン、レナリドミド、メトトレキサート、サリドマイドなどの他の免疫抑制剤;例えばイオベングアン(iobenguane)などの放射性医薬品。
追加のがん処置は、インターフェロン、インターロイキン、腫瘍壊死因子、成長因子等を含む。
追加のがん処置は、以下のものを含む:例えばアンセスチム、フィルグラスチム、レノグラスチム、モルグラモスチム、ペグフィルグラスチム、サルグラモスチムなどの免疫賦活剤;例えばインターフェロンα天然、インターフェロンα2a、インターフェロンα2b、インターフェロンアルファコン1、インターフェロンα−n1、インターフェロンβ天然、インターフェロンβ−1a、インターフェロンβ−1b、インターフェロンγ、ペグインターフェロンα2a、ペグインターフェロンα2bなどのインターフェロン;例えばアルデスロイキン、オプレルベキンなどのインターロイキン;例えばBCGワクチン、酢酸グチラマー、ヒスタミン二塩酸塩、イムノシアニン、レンチナン、黒色腫ワクチン、ミファムルチド、ペガデマーゼ、ピドチモド、プレリキサフォル、ポリI:C、ポリICLC、ロキニメックス、タソネルミン、チモペンチンなどの他の免疫賦活剤;例えばアバタセプト、アベチムス(abetimus)、アレファセプト、抗リンパ球免疫グロブリン(ウマ)、抗胸腺免疫グロブリン(ウサギ)、エクリズマブ、エファリズマブ、エベロリムス、グスペリムス、レフルノミド、ムロマブ(muromab)CD3、ミコフェノール酸、ナタリズマブ、シロリムスなどの免疫抑制剤;例えばアダリムマブ、アフェリモマブ、セルトリズマブペゴル、エタネルセプト、ゴリムマブ、インフリキシマブなどのTNFα阻害剤;例えばアナキンラ、バシリキシマブ、カナキヌマブ、ダクリズマブ、メポリズマブ、リロナセプト、トシリズマブ、ウステキヌマブなどのインターロイキン阻害剤;例えばシクロスポリン、タクロリムスなどのカルシニューリン阻害剤;例えばアザチオプリン、レナリドミド、メトトレキサート、サリドマイドのような他の免疫抑制剤。
追加のがん処置は、アダリムマブ、アレムツズマブ、バシリキシマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、セルトリズマブペゴル、ダクリズマブ、エクリズマブ、エファリズマブ、ゲムツズマブ、イブリツモマブチウキセタン、インフリキシマブ、ムロモナブ−CD3、ナタリズマブ、パニツムマブ、ラニビズマブ、リツキシマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ等、又はそれらの組み合わせを含む。
追加のがん処置は、以下のものを含む:例えばアレムツズマブ、ベバシズマブ、カツマキソマブ(catumaxomab)、セツキシマブ、エドレコロマブ、ゲムツズマブ、オファツムマブ、パニツムマブ、リツキシマブ、トラスツズマブ、免疫抑制剤、エクリズマブ、エファリズマブ、ムロマブCD3、ナタリズマブなどのモノクローナル抗体;例えばアダリムマブ、アフェリモマブ、セルトリズマブペゴル、ゴリムマブ、インフリキシマブ、インターロイキン阻害剤、バシリキシマブ、カナキヌマブ、ダクリズマブ、メポリズマブ、トシリズマブ、ウステキヌマブ、放射性医薬品、イブリツモマブチウキセタン、トシツモマブなどのTNFα阻害剤;例えばアバゴボマブ(abagovomab)、アデカツムマブ(adecatumumab)、アレムツズマブ、抗CD30モノクローナル抗体Xmab2513、抗METモノクローナル抗体MetMAb、アポリズマブ、アポマブ(apomab)、アルシツモマブ、バシリキシマブ、二重特異性抗体2B1、ブリナツモマブ(blinatumomab)、ブレンツキシマブベドチン(vedotin)、カプロマブ(capromab)ペンデチド(pendetide)、シクツムマブ(cixutumumab)、クロディシマブ(claudiximab)、コナツムマブ(conatumumab)、ダセツズマブ(dacetuzumab)、デノスマブ、エクリズマブ、エプラツズマブ、エプラツズマブ、エルツマクソマブ(ertumaxomab)、エタラシズマブ(etaracizumab)、フィギツムマブ(figitumumab)、フレソリムマブ(fresolimumab)、ガリキシマブ、ガニツマブ(ganitumab)、ゲムツズマブオゾガマイシン、ブレムバツモマブ(glembatumumab)、イブリツモマブ、イノツズマブ(inotuzumab)、オゾガマイシン、イピリムマブ、レキサツムマブ、リンツズマブ(lintuzumab)、リンツズマブ(lintuzumab)、ルカツムマブ(lucatumumab)、マパツムマブ、マツズマブ、ミラツズマブ(milatuzumab)、モノクローナル抗体CC49、ネシツズマブ(necitumumab)、ニモツズマブ、オファツムマブ、オレゴボマブ、ペルツズマブ、ラマツリマブ(ramacurimab)、ラニビズマブ、シプリズマブ、ソネプシズマブ(sonepcizumab)、タネズマブ(tanezumab)、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレメリムマブ、ツソツズマブ(tucotuzumab)セルモロイキン、ベルツズマブ、ビジリズマブ、ボロシキシマブ、ザルツムマブなどの他のものくろーモノクローナル抗体。
追加のがん処置は、細胞内シグナル伝達ネットワーク(例えば、B細胞受容体及びIgE受容体からのシグナルのホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)シグナル伝達経路)などの腫瘍微小環境に影響を与える薬剤を含む。いくつかの実施形態では、第2の薬剤は、PI3Kシグナル伝達阻害剤又はsycキナーゼ阻害剤である。一実施形態では、syk阻害剤は、R788である。別の実施形態では、ほんの一例として、エンザスタウリンなどのPKCγ阻害剤である。
腫瘍微小環境に影響を与える薬剤の例としては、以下のものを含む:PI3Kシグナル伝達阻害剤、sycキナーゼ阻害剤、例えばダサチニブ、エルロチニブ、エベロリムス、ゲフィチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、ニロチニブ、パゾナニブ(pazonanib)、ソラフェニブ、スニチニブ、テムシロリムスなどのタンパク質キナーゼ阻害剤;例えば、GT−111、JI−101、R1530のなどの他の血管新生阻害剤;例えばAC220、AC480、ACE−041、AMG900、AP24534、Arry−614、AT7519、AT9283、AV−951、アキシチニブ、AZD1152、AZD7762、AZD8055、AZD8931、バフェチニブ(bafetinib)、BAY73−4506、BGJ398、BGT226、BI811283、BI6727、BIBF1120、BIBW2992、BMS−690154、BMS−777607、BMS−863233、BSK−461364、CAL−101、CEP−11981、CYC116、DCC−2036、ジナシクリブ(dinaciclib)、ドビチニブ(dovitinib)乳酸、E7050、EMD1214063、ENMD−2076、ホスタマチニブ(fostamatinib)ジナトリウム、GSK2256098、GSK690693、INCB18424、INNO−406、JNJ−26483327、JX−594、KX2−391、リニファニブ(linifanib)、LY2603618、MGCD265、MK−0457、MK1496、MLN8054、MLN8237、MP470、NMS−1116354、NMS−1286937、ON01919.Na、OSI−027、OSI−930、Btk阻害剤、PF−00562271、PF−02341066、PF−03814735、PF−04217903、PF−04554878、PF−04691502、PF−3758309、PHA−739358、PLC3397、プロゲニポイエチン(progenipoietin)、R547、R763、ラムシルマブ(ramucirumab)、レゴラフェニブ(regorafenib)、RO5185426、SAR103168、S3333333CH727965、SGI−1176、SGX523、SNS−314、TAK−593、TAK−901、TKI258、TLN−232、TTP607、XL147、XL228、XL281RO5126766、XL418、XL765などの他のキナーゼ阻害剤。
Btk阻害剤化合物と組み合わせて使用される抗がん剤のさらなる例としては、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼシグナル伝達の阻害剤、例えば、U0126、PD98059、PD184352、PD0325901、ARRY−142886、SB239063、SP600125、BAY43−906、ウォルトマン、又はLY294002;Syk阻害剤;mTOR阻害剤;及び抗体(例えば、リツキサン)を含む。
Btk阻害剤化合物と組み合わせて用いることができる他の抗がん剤は以下のものを含む:アドリアマイシン、ダクチノマイシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、シスプラチン、アシビシン、アクラルビシン;アコダゾ−ル(acodazole)塩酸塩;アクロニン;アドゼレシン;アルデスルロイキン;アルトレタミン;アンボマイシン;酢酸アメタントロン;アミノグルテチミド;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン(azotomycin);バチマスタット;ベンゾデパ(benzodepa);ビカルタミド;ビサントレン塩酸塩;ビスナフィド(bisnafide)ジメシラート;ビゼレシン(bizelesin);硫酸ブレオマイシン;ブレキナールナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセマイド(caracemide);カルベチマー;カルボプラチン;カルムスチン;塩酸カルブシン(carubicin);カルゼレシン;セデフィンゴール(cedefingol);クロラムブシル;シロールマイシン;クラドリビン;メシル酸クリスナトール;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;ダウノルビシン塩酸塩;デシタビン;デキソルマプラチン(dexormaplatin);デザグアニン(dezaguanine);デザグアニンメシラート;ジアジコン(diaziquone);ドキソルビシン;塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン;クエン酸ドロロキシフェン;プロピオン酸ドロモスタノロン;デュアゾマイシン(duazomycin);エダトレキセート;エフロルニチン塩酸塩;エルサミツルシン(elsamitrucin);エンロプラチン;エンプロマート(enpromate);エピロビジン(epipropidine);エピルビシン塩酸塩;エルブロゾール(erbulozole);エソルビシン塩酸塩;ラムスチン;エストラムスチンリン酸ナトリウム;エンタニゾール(etanidazole);エトポシド;リン酸エトポシド;エタプリン(etoprine);ファドロゾール塩酸塩;ファザラビン(fazarabine);フェンレチニド;フロクスウリジン(floxouridine);リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;フルロシタビン(flurocitabine);フォスキドン(fosquidone);フォストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;ゲムシタビン塩酸塩;ヒドロキシウレア;イダルビシン塩酸塩;イホスファミド;イイモホシン(iimofosine);インターロイキンIl(組換えインターロイキンII又はrlL2を含む)、インターフェロンα−2a;インターフェロンα2b;インターフェロンα−N1;インターフェロンα−N3;インターフェロンβ−l;インターフェロンγ−lB;イプロプラチン;イリノテカン塩酸塩;酢酸ランレオチド;レトロゾール;酢酸ロイプロリド;リアロゾール塩酸塩;ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;ロソキサントロン塩酸塩;マソプロコール;メイタンシン;メクロレタミン塩酸塩;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲストロール;メルファラン;メノガリル(menogaril);メルカプトプリン;メトトレキサート;メトトレキサートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミンチドミド(mitindomide);マイトカルシン(mitocarcin);マイトクロミン(mitocromin);マイトギリン;マイトマルシン(mitomalcin);マイトマイシン;ミトスペール(mitosper);ミトタン;ミトキサントロン塩酸塩;ミコフェノール酸;ノコダゾール(nocodazoie);ノガラマイシン;オルマプラチン;オキシスラン(oxisuran);ペガスパルガーゼ;パリオマイシン(peliomycin);ペンタマスチン(pentamustine);ペプロマイシン硫酸塩;ペルフォスファミド(perfosfamide);ピポブロマン;ピポスルファン;ピロキサントロン(piroxantrone)塩酸塩;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;プロカルバジン塩酸塩;ピューロマイシン;ピューロマイシン塩酸塩;ピラゾフリン;リボプリン(riboprine);ログレチミド(rogletimide);サフィンゴール;サフィンゴール塩酸塩;セムスチン;シムトラゼン(simtrazene);スパルフォセート(sparfosate)ナトリーム;スパルソマイシン;スピロゲルマニウム(spirogermanium)塩酸塩;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン(streptonigrin);ストレプトゾシン;スロフェヌル(sulofenur);タリソマイシン(talisomycin);テコガランナトリウム;テガフール;テロキサントロン(teloxantrone)塩酸塩;テモポルフィン(temoporfin);テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;トレミフェンクエン酸塩;酢酸トレストロン(trestolone);リン酸トリシリビン;トリメトレキサート;トリグルクロン酸トリメトレキサート;トリプトレリン;ツブロゾール(tubulozole)塩酸塩;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;ビンブラスチン硫酸塩;ビンクリスチン硫酸塩;ビンデシン;ビンデシン硫酸塩;ビネピジン硫酸塩;ビングリシネート(vinglycinate)硫酸塩;ビンロイロシン(vinleurosine)硫酸塩;酒石酸ビノレルビン;ビンロシジン(vinrosidine)硫酸塩;ビンゾリジン(vinzolidine)硫酸塩;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;ゾルビシン塩酸塩。
Btk阻害剤化合物と組み合わせて用いることができる他の抗がん剤としては、以下のものを含む:20−epi−1,25ジヒドロキシビタミンD3;5−エチニルウラシル;アビラテロン;アクラルビシン;アシルフルベン;アデシペノール(adecypenol);アドゼレシン;アルデスロイキン;ALL−TKアンタゴニスト;アルトレタミン;アンバスムスチン(ambamustine);アミドックス(amidox);アミフォスチン;アミノレブリン酸;アムルビシン;アムサクリン;アナグレリド;アナストロゾール;アンドログラホリド;血管新生阻害剤;アンタゴニストD;アンタゴニストG;アンタレリックス(antarelix);抗背側化形態形成タンパク質−1;抗アンドロゲン、前立腺がん;抗エストロゲン;抗新生物薬;アンチセンスオリゴヌクレオチド;アフィディコリングリシン;アポトーシス遺伝子調節因子;アポトーシス調節因子;アプリン酸;ara−CDP−DL−PTBA;アルギニンデアミナーゼ;アスラクリン(asulacrine);アタメスタン;アトリムスチン(atrimustine);アキシナスタチン(axinastatin)1;アキシナスタチン2;アキシナスタチン3;アザセトロン;アザトキシン(azatoxin);アザチロシン;バッカチンIII誘導体;バラノール;バチマスタット;BCR/ABLアンタゴニスト;ベンゾクロリン(benzochlorins);ベンゾイルスタウロスポリン(benzoylstaurosporine);βラクタム誘導体;β−アレチン(alethine)βアクラマイシン(aclamycin)B;ベツリン酸;bFGF阻害剤;ビカルタミド;ビサントレン;ビサジリヂニルスペルミン(bisaziridinylspermine);ビスナフィド;ビストラテン(bistratene)A;ビゼレシン(bizelesin);ブレフラート(breflate);ブロピリミン;ブドチタン;ブチオニンスルホキシミン;カルシポトリオール;カルホスチンC;カンプトテシン誘導体;カナリア痘IL−2;カペシタビン;カルボキサミド−アミノ−トリアゾール;カルボキシアミドトリアゾール;CaRestM3;CARN70;軟骨由来阻害剤;カルゼレシン;カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS);カスタノスペルミン;セクロピンB;セトロレリクス;クロルンス(chlorlns);スルホンアミドクロロキノキサリン;スルホンアミド;シカプロスト;cis−ポルフィリン;クラドリビン;クロミフェン類似体;クロトリマゾール;コリスマイシンA;コリスマイシンB;コンブレタスタチンA4;コンブレタスタチン類似体;コナゲニン;クラムベンジン(crambescidin)816;クリスナトール(crisnatol);クリプトフィシン8;クリプトフィシンA誘導体;クラシンA;シクロペンタアントラキノン;シクロプラタム(cycloplatam);シペマイシン(cypemycin);シタラビンオクホスファート;細胞溶解性因子;サイトスタチン(cytostatin);ダクリキシマブ(dacliximab);デシタビン;デヒドロジデムニン(dehydrodidemnin)B;デスロレリン;デキサメタゾン;デキシフォスファミド;デクスラゾキサン;デキサヴェラパミル(dexverapamil);ジアジコン;ジデムニンB;ディドックス(didox);ジエチルノルスペルミン(diethylnorspermine);ジヒドロ−5−アザシチジン;9−ジオキサマイシン(dioxamycin);ジフェニルスピロムスチン;ドコサノール;ドラセトロン;ドキシフルリジン;ドロロキシフェン;ドロナビノール;デュオカルマイシンSA;エブセレン;エコムスチン;エデルフォシン;エドレコロマブ;エフロルニチン;エレメン;エミテフール(emitefur);エピルビシン;エプリステリド;エストラムス類似体;エストロゲンアゴニスト;エストロゲンアンタゴニスト;エタニダゾール(etanidazole);リン酸エトポシド;エキセメスタン;ファドロゾール;ファザラビン(fazarabine);フェンレチニド;フィルグラスチム;フィナステリド;フラボピリドール;フレゼラスチン(flezelastine);フルアステロン(fluasterone);フルダラビン;フルオロダウノルニシン塩酸塩;フォルフェニメックス;フォルメスタン;フォストリエシン;フォテムスチン;ガドリニウムテキサフィリン;硝酸ガリウム;ガロシタビン;ガニレリクス;ゼラチナーゼ阻害剤;ゲムシタビン;グルタチオン阻害剤;ヘプスルファム;ヘレグリン;ヘキサメチレンビスアセトアミド;ヒペリシン;イバンドロン酸;イダルビシン;イドキシフェン;イドラマントーネ;イルモホシン;イロマスタット;イミダゾアクリドーネ;イミキモド;免疫賦活ペプチド;例えば増殖因子−1受容体阻害剤などのインスリン;インターフェロンアゴニスト;インターフェロン;インターロイキン;イオベングアン;ヨードドキソルビシン;イポメアノール,4−;イロプラクト;イルソグラジン;イソベンガゾール;イソホモハリコンドリンB;イタセトロン;ジャスプラキノリド;カハラリドF;ラメラリン−Nトリアセテート;ランレオチド;レイナマイシン;レノグラスチム;レンチナン硫酸塩;レプトルスタチン;レトロゾール;白血病抑制因子;白血球αインターフェロン;ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン;リュープロレリン;レバミゾール;リアロゾール;リニアポリアミン類似体;親油性二糖ペプチド;親油性白金化合物;リッソクリナミド7;ロバプラチン;ロンブリシン;ロメトレキソール;ロニダミン;ロソキサントロン;ロバスタチン;ロキソリビン;ルルトテカン;ルテチウムテキサフィリン;リソフィリン(lysofylline);溶解性ペプチド;マイタンシン;マンノスタチンA;マリマスタット;マソプロコール;マスピン;マトリリシン阻害剤;マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤;メノガリル(menogaril);メルバロン;メテレリン(meterelin);メチオニナーゼ;メトクロプラミド;MIF阻害剤;ミフェプリストン;ミルテホシン;ミリモスチム;ミスマッチの二本鎖RNA;ミトグアゾン;ミトラクトール;マイトマイシン類似体;ミトナフィド;マイトトキシン線維芽細胞増殖因子−サポリン;ミトキサントロン;モファロテン(mofarotene);モルグラモスチム;モノクローナル抗体、ヒト絨毛性ゴナドトロピン;モノホスホリルリピドA+ミオバクテリウム細胞壁sk;モピダモル(mopidamol);多剤耐性遺伝子阻害剤;複数の腫瘍抑制剤1に基づく治療;マスタード抗がん剤;ミカペルオキシドB;マイコバクテリア細胞壁抽出物;ミリアポロン(myriaporone);N−アセチルジナリン;N−置換ベンズアミド;ナファレリン;ナグレスチブ(nagrestip);ナロキソン+ペンタゾシン;ナパビン;ナフターピン;ナルトグラスチム;ネダプラチン;ネモルビシン;ニーリドロニック(neridronic)酸;中性エンドペプチダーゼ;ニルタミド;ニサマイシン;一酸化窒素調節因子;ニトロキシド抗酸化剤;ニトルリン;O6−ベンジルグアニン;オクトレオチド;オキセノン;オリゴヌクレオチド;オナプリストン;オンダンセトロン;オンダンセトロン;オラシン;経口サイトカイン誘発剤;オルマプラチン;オサテロン;オキサリプラチン;オグサウノマイシン;パラウアミン;パルミトイルリゾキシン(palmitoylrhizoxin);パミドロン酸;パラキシトリオール(panaxytriol);パノミフェン;パラバクチン;パゼリプチン;ペガスパルガーゼ;ペルデシン;ペントサンポリサルフェートナトリウム;ペントスタチン;ペントロゾール;パーフルブロン;ペルフォスファミド;ペリリルアルコール;フェナジノマイシン;フェニル酢酸;ホスファターゼ阻害剤;ピシバニール;ピロカルピン塩酸塩;ピラルビシン;ピリトレキシム;プラセチンA;プラセチンB、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤;白金錯体;白金化合物;白金トリアミン複合体;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニゾン;プロピルbis−アクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアソーム阻害剤;タンパク質Aに基づく免疫調節剤;タンパク質キナーゼC阻害剤;タンパク質キナーゼC阻害剤、微細藻類;タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤;プルプリン;ピラゾロアクリジン;ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレン(polyoxyethylerie)共役;rafアンタゴニスト;ラルチトレキセド;ラモセトロン;rasファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;ras阻害剤、ras−GAP阻害剤;脱メチル化レテルリプチン;レニウムRe186エチドロン酸;リゾキシン;リボザイム;RIIレチンアミド;ログレチミド;ロヒツキン;ロムルチド;ロキニメックス;ラビジノンB1;ラボキシル;サフィンゴール;セイントピン;SarCNU;サルコフィトール(sarcophytol)A;サルグラモスチム;Sdi 1模倣物(mimetic);セムスチン;老化由来抑制剤1、センスオリゴヌクレオチド;シグナル変換阻害剤;信号伝達変調因子;単鎖抗原結合タンパク質;シゾフィラン;ソブゾキサン;ナトリウムボロカプテート;フェニル酢酸ナトリウム;サルバロル(solverol);ソマトメジン結合タンパク質;ソナーミン(sonermin);スパルフォシック(sparfosic)酸;スピカマイシンD;スピロムスチン;スプレノペンチン(splenopentin);スポンギスタチン1;スクアラミン;幹細胞阻害剤;幹細胞***阻害剤;スティピアミド(stipiamide);ストロメリシン阻害剤;スルフィノジン(sulfinosine);超活性血管作動性腸管ペプチドアンタゴニスト;スラジスタ(suradista);スラミン;スワインソニン;合成グリコサミノグリカン;タルリムスチン(tallimustine);タモキシフェンメチオジド;タウロムスチン;タザロテン;テコガランナトリウム;テガフール;テルラピリリウム(tellurapyrylium);テロメラーゼ阻害剤;テモポルフィン(temoporfin);テモゾロミド;テニポシド;テトラクロロデカオキシド;テトラゾミン;タリブラスチン;チオコラリン;トロンボポイエチン;トロンボポイエチン模倣物;チマルファシン;サイモポエチン受容体アゴニスト;チモチリナン(thymotrinan);甲状腺刺激ホルモン;スズエチルエチオプルプリン;チラパザミン;チタノセンジクロリド;トプセンチン;トレミフェン;全能性幹細胞因子;翻訳阻害剤;トレチノイン;トリアセチルウリジン;トリシリビン;トリメトレキセート;トリプトレリン;トロピセトロン;ツロステリド;チロシンキナーゼ阻害剤;チルホスチン;UBC阻害剤;ウベニメクス;尿生殖洞由来増殖抑制因子;ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト;バプレオチド;バリオリン(variolin)B;ベクター系;赤血球遺伝子治療;ベラレゾール(velaresol);ベラミン(veramine);ベルジン;ベルテポルフィン;ビノレルビン;ビンキサルチン(vinxaltine);ビタキシン;ボロゾール;ザノテロン;ゼニプラチン;ジラスコノブ(zilascorb);及びジノスタチンスチマラマー。
Btk阻害剤化合物と組み合わせて用いることができるさらに他の抗がん剤は、アルキル化剤、代謝拮抗剤、天然産物、又はホルモン、例えば、ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロロエタミン、シクロホスファミド、クロラムブシルなど)、アルキルスルホン酸(例えば、ブスルファン)、ニトロソ尿素(例えば、カルムスチン、ロムスチンなど)、又はトリアゼン(ダカルバジンなど)を含む。代謝拮抗剤の例としては、限定されないが、葉酸類似体(例えば、メトトレキサート)、又はピリミジン類似体(例えば、シタラビン)、プリン類似体(例えば、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン)を含む。
Btk阻害剤化合物と組み合わせてを用いることができるアルキル化剤の例としては、限定されないが、ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロロエタミン、シクロホスファミド、クロラムブシル、メルファランなど)、エチレンイミン及びメチルメラミン(例えば、ヘキサメチルメラミン、チオテパ)、アルキルスルホン酸(例えば、ブスルファン)、ニトロソ尿素(例えば、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾシンなど)、又はトリアゼン(ダカルバジンなど)を含む。代謝拮抗剤の例としては、限定されなが、葉酸類似体(例えば、メトトレキサート)、又はピリミジン類似体(例えば、フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン)、プリン類似体(例えば、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン)を含む。
安定化した微小管によりG2−M期における細胞を制止することによって作用し、かつBtk阻害剤化合物と組み合わせて使用することができる抗がん薬の例は、以下の市販薬剤及び開発中の薬剤を非限定的に含む:エルブロゾール(Erbulozole)(また、R−55104としても知られる)、ドラスタイン(Dolastain)10(また、DLS−10及びNSC−376128としても知られる)、イセチオン酸ミボブリン(Mivobulin)(また、CI−980としても知られる)、ビンクリスチン(Vincristine)、NSC−639829、ディスコデルモリド(Discodermolide)(また、NVP−XX−A−296としても知られる)、ABT−751(Abbott、また、E−7010としても知られる)、アルトリルチン(Altorhyrtin)(アルトリルチンA、及びアルトリルチンCなど)、スポンジスタチン(Spongistatin)(スポンジスタチン1、スポンジスタチン2、スポンジスタチン3、スポンジスタチン4、スポンジスタチン5、スポンジスタチン6、スポンジスタチン7、スポンジスタチン8、及びスポンジスタチン9など)、セマドチン(Cemadotin)塩酸塩(また、LU−103793及びNSC−D−669356としても知られる)、エポチロン(Epothilone)(エポチロンA、エポチロンB、エポチロンC(また、デソキシエポチロン(desoxyepothilone) A又はdEpoAとしても知られる)、エポチロンD(また、KOS−862、dEpoB、及びデソキシエポチロンBとも呼ばれる)、エポチロンE、エポチロンF、エポチロンB N−オキサイド、エポチロンA N−オキサイド、16−アザ−エポチロンBなど)、21−アミノエポチロンB(また、BMS−310705としても知られる)、21−ヒドロキシエポチロン(hydroxyepothilone) D(また、デスオキシエポチロン(Desoxyepothilone) F、及びdEpoFとしても知られる)、26−フルオロエポチロン(fluoroepothilone))、アウリスタチン(Auristatin)PE(また、NSC−654663としても知られる)、ソブリドチン(Soblidotin)(また、TZT−1027としても知られる)、LS−4559−P(Pharmacia、また、LS−4577としても知られる)、LS−4578(Pharmacia、また、LS−477−Pとしても知られる)、LS−4477(Pharmacia)、LS−4559(Pharmacia)、RPR−112378(Aventis)、ビンクリスチン(Vincristine)硫酸塩、DZ−3358(Daiichi)、FR−182877(Fujisawa、また、WS−9885Bとしても知られる)、GS−164(Takeda)、GS−198(Takeda)、KAR−2(Hungarian Academy of Sciences)、 BSF−223651(BASF、また、ILX−651及びLU−223651としても知られる)、SAH−49960(Lilly/Novartis)、SDZ−268970(Lilly/Novartis)、AM−97(Armad/Kyowa Hakko)、AM−132(Armad)、AM−138(Armad/Kyowa Hakko)、IDN−5005(Indena)、クロプトフィシン(Cryptophycin)52 (また、LY−355703としても知られる)、AC−7739(Ajinomoto、また、AVE−8063A及びCS−39.HCIとしても知られる)、AC−7700(Ajinomoto、また、AVE−8062、AVE−8062A、CS−39−L−Ser.HCI、及びRPR−258062Aとしても知られる)、ビチレブアミド(Vitilevuamide)、ツブリシン(Tubulysin)A、カナデンソル(Canadensol)、センタウレイジン(Centaureidin)(また、NSC−106969としても知られる)、T−138067(Tularik、また、T−67、TL−138067及びTI−138067としても知られる)、COBRA−1(Parker Hughes Institute、また、DDE−261及びWHI−261としても知られる)、H10(Kansas State University)、H16(Kansas State University)、オンコシジン(Oncocidin)A1(また、BTO−956及びDIMEとしても知られる)、DDE−313(Parker Hughes Institute)、フィジアノリド(Fijianolide)B、ラウリマリド(Laulimalide)、SPA−2(Parker Hughes Institute)、SPA−1(Parker Hughes Institute、また、SPIKET−Pとしても知られる)、3‐IAABU(Cytoskeleton/Mt.Sinai School of Medicine、また、MF−569としても知られる)、ナルコシン(Narcosine)(また、NSC−5366としても知られる)、ナスカピン(Nascapine)、D−24851 (Asta Medica)、A−105972(Abbott)、ヘミアステルリン(Hemiasterlin)、3‐BAABU(Cytoskeleton/Mt.Sinai School of Medicine、またMF−191としても知られる)、TMPN(Arizona State University)、バナドセン(Vanadocene)アセチルアセトネート、T−138026(Tularik)、モんサトロール(Monsatrol)、イナノシン(Inanocine)(また、NSC−698666としても知られる)、3‐lAABE(Cytoskeleton/Mt.Sinai School of Medicine)、A−204197(Abbott)、T−607(Tuiarik、また、T−900607)、RPR−115781(Aventis)、エリウセロビン(Eleutherobin)(デスメチルエロイテロビン(Desmethyleleutherobin)、デスアセチルエロイテロビン(Desaetyleleutherobin)、イソエロイテロビン(Isoeleutherobin)A、及びZ−エリウセロビンなど)、カリバエオシド(Caribaeoside)、カリバエオリン(Caribaeolin)、ハリコンドリン(Halichondrin)B、D−64131(Asta Medica)、D−68144(Asta Medica)、ジアゾナミド(Diazonamide)A、A−293620(Abbott)、NPI−2350(Nereus)、タッカロノリド(Taccalonolide)A、TUB−245(Aventis)、A−259754(Abbott)、ジオゾスタチン(Diozostatin)、(−)−フェニラヒスチン(Phenylahistin)(また、NSCL−96F037ともしても知られる)、D−68838(Asta Medica)、D−68836(AstaMedica)、ミオセベリン(Myoseverin)B、D−43411(Zentaris、また、D−81862ともしても知られる)、A−289099(Abbott)、A−318315(Abbott)、HTI−286(また、SPA−110、トリフルオロ酢酸塩(trifluoroacetate salt)としても知られる)(Wyeth)、D−82317(Zentaris)、D−82318 (Zentaris)、SC−12983(NCI)、リン酸レスベラスタチンナトリウム(Resverastatin phosphate sodium)、BPR−OY−007(National Health Research Institutes)、及びSSR−250411(Sanofi)。
<バイオマーカー>
特定の実施形態において、個体の血液悪性腫瘍を処置するための方法が本明細書に開示され、該方法は、(a)マントル細胞リンパ腫から複数の細胞を移動させるのに十分な量の不可逆的なBtk阻害剤を含む第1の処置を、個体に施す工程;及び(b)複数の細胞から単離された細胞の集団のためのバイオマーカープロファイルを調製する工程、を含む。いくつかの実施形態では、不可逆的なBtk阻害剤の量は、悪性腫瘍から細胞の複数のリンパ球を誘導するのに十分である。
いくつかの実施形態では、バイオマーカー発現プロファイルは、血液悪性腫瘍の予後を診断し、判定し、又は予測プロファイルを作成するために使用される。いくつかの実施形態では、バイオマーカープロファイルは、バイオマーカーの発現、バイオマーカーの発現レベル、バイオマーカーにおける突然変異、又はバイオマーカーの存在を示す。
いくつかの実施形態では、バイオマーカープロファイルは、血液悪性腫瘍がBtkのシグナル伝達に影響を与えるどうかを示す。いくつかの実施形態では、バイオマーカープロファイルは、血液悪性腫瘍の生存がBtkのシグナル伝達をに影響を与えるどうかを示す。
いくつかの実施形態では、バイオマーカーのプロファイルは、血液悪性腫瘍がBtkシグナル伝達に影響を与えていないことを示す。いくつかの実施形態では、バイオマーカーのプロファイルは、血液悪性腫瘍の生存がBtkシグナル伝達に影響を与えていないことを示す。
いくつかの実施形態では、バイオマーカーのプロファイルは、血液悪性腫瘍がBCRシグナル伝達に影響を与えるかどうかを示す。いくつかの実施形態では、バイオマーカーのプロファイルは、血液悪性腫瘍の生存がBCRシグナル伝達に影響を与えるかどうかを示す。
いくつかの実施形態では、バイオマーカーのプロファイルは、血液悪性腫瘍がBCRシグナル伝達に影響を与えていないことを示す。いくつかの実施形態では、バイオマーカーのプロファイルは、血液悪性腫瘍の生存がBCRシグナル伝達に影響を与えていないことを示す。
いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、CLLである。いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)である。いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、ABCサブタイプ(ABC−DLBCL)である。いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、マントル細胞リンパ腫(MCL)である。いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、濾胞性リンパ腫(FL)である。
いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、任意の細胞遺伝学的、細胞表面分子又はタンパク質又はRNA発現マーカーである。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、次のとおりである。ZAP70;t(14,18);β−2マイクログロブリン;p53突然変異状態;ATM突然変異状態;del(17)p;del(11)q;del(6)q;CD5;CD11c;CD19;CD20;CD22;CD25;CD38;CD103;CD138;分泌された、表面又は細胞質免疫グロブリン発現;VH突然変異状態;又はそれらの組み合わせ。
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、バイオマーカープロファイルに基づいて、個体に第2の処置を提供することを含む。いくつかの実施形態では、本方法はさらに、バイオマーカープロファイルに基づいて、不可逆的なBtk阻害剤を投与しないことを含む。いくつかの実施形態では、本方法はさらに、バイオマーカープロファイルに基づいて、第2の処置を投与することを含まない。いくつかの実施形態では、本方法はさらに、バイオマーカープロファイルに基づいて、処置の有効性を予測することを含む。
特定の実施形態では、本方法は、特定のバイオマーカーの発現又は存在に基づいて、血液悪性腫瘍の予後を診断し、判定し、又は予測プロファイルを作成することを含む。他の実施形態では、本方法は、影響を受けたリンパ球における特定のバイオマーカーの発現又は存在に基づいて患者集団を階層化することを含む。さらに他の実施形態では、本方法はさらに、影響を受けたリンパ球における特定のバイオマーカーの発現又は存在に基づいて被験体の治療を判定することを含む。さらに他の実施形態では、本方法はさらに、影響を受けたリンパ球における特定のバイオマーカーの発現又は存在に基づいて被験体における治療に対する反応を予測することを含む。
特定の態様では、本明細書において、被検体における血液悪性腫瘍の予後を診断し、判定し、又予測プロファイルを作成する方法が提供される。前記方法は:(a)血液中のリンパ球の小集団の増加または出現をもたらすのに十分なBtk阻害剤を被験体に投与する工程と;(b)リンパ球の1つ以上の小集団から1つ以上のバイオマーカーの発現又は存在を判定する工程と;を含み、ここで、1つ以上のバイオマーカーの発現又は存在は、血液悪性腫瘍を診断するために使用され、血液悪性腫瘍の予後を決定する、又は血液悪性腫瘍の予測プロファイルを作成する。一実施形態では、リンパ球の小集団の血液中の増加又は出現は、免疫表現によって決定される。別の実施形態では、リンパ球の小集団の血液中の増加又は出現は、蛍光活性化細胞選別(FACS)によって決定される。
他の態様では、本明細書において血液悪性腫瘍を有する患者集団を階層化する方法が提供される。前記方法は:(a)血液中のリンパ球の小集団の増加または出現をもたらすのに十分なBtk阻害剤を被験体に投与する工程と;(b)リンパ球の1つ以上の小集団から1つ以上のバイオマーカーの発現又は存在を判定する工程と;を含み、ここで、1つ以上のバイオマーカーの発現又は存在は、血液悪性腫瘍の処置のために患者を階層化するために使用される。一実施形態では、リンパ球の小集団の血液中の増加又は出現は、免疫表現によって決定される。別の実施形態では、リンパ球の小集団の血液中の増加又は出現は、蛍光活性化細胞選別(FACS)によって決定される。
さらに他の実施形態では、本明細書において血液悪性腫瘍を有する被験体における治療を決定する方法が提供される。前記方法は:(a)血液中のリンパ球の小集団の増加または出現をもたらすのに十分なBtk阻害剤を被験体に投与する工程と;(b)リンパ球の1つ以上の小集団から1つ以上のバイオマーカーの発現又は存在を判定する工程と;を含み、ここで、1つ以上のバイオマーカーの発現又は存在は、血液悪性腫瘍の処置のための治療を決定するために使用される。一実施形態では、リンパ球の小集団の血液中の増加又は出現は、免疫表現によって決定される。別の実施形態では、リンパ球の小集団の血液中の増加又は出現は、蛍光活性化細胞選別(FACS)によって決定される。
さらに他の実施形態では、本明細書において、血液悪性腫瘍を有する被験体における治療に対する応答を予測する方法が提供される。前記方法は:(a)血液中のリンパ球の小集団の増加または出現をもたらすのに十分なBtk阻害剤を被験体に投与する工程と;(b)リンパ球の1つ以上の小集団から1つ以上のバイオマーカーの発現又は存在を判定する工程と;を含み、ここで、1つ以上のバイオマーカーの発現又は存在は、血液悪性腫瘍のための治療に対する対象の応答を予測するために使用される。一実施形態では、リンパ球の小集団の血液中の増加又は出現は、免疫表現によって決定される。別の実施形態では、リンパ球の小集団の血液中の増加又は出現は、蛍光活性化細胞選別(FACS)によって決定される。
特定の態様では、本明細書において、被験体における血液悪性腫瘍の予後を診断し、判定し、予測プロファイルを作成する方法が提供される。前記方法は、Btk阻害剤の用量を受けた被験体におけるリンパ球の1つ以上の小集団から1つ以上のバイオマーカーの発現又は存在を判定する工程を含み、ここで、1つ以上のバイオマーカーの発現又は存在は、血液悪性腫瘍を診断し、血液悪性腫瘍の予後を判定し、又は血液悪性腫瘍の予測プロファイルを作成するために使用される。一実施形態では、Btk阻害剤の用量は、免疫表現型によって定義された血液中のリンパ球の小集団の増加又は出現をもたらすのに十分である。別の実施形態では、リンパ球の1つ以上の小集団から1つ以上のバイオマーカーの発現又は存在を判定する工程はさらに、1種以上のリンパ球を単離し、検出し、又は測定することを含む。さらに別の実施形態では、Btk阻害剤は、可逆的又は不可逆的阻害剤である。
他の態様では、本明細書において、血液悪性腫瘍を有する患者集団を階層化する方法が提供される。前記方法は、Btk阻害剤の用量を受けた被験体におけるリンパ球の1つ以上の小集団から1つ以上のバイオマーカーの発現又は存在を判定する工程を含み、ここで、1つ以上のバイオマーカーの発現又は存在は、血液悪性腫瘍の治療のために患者を階層化するために使用される。一実施形態では、Btk阻害剤の用量は、免疫表現型によって定義された血液中のリンパ球の小集団の増加又は出現をもたらすのに十分である。別の実施形態では、リンパ球の1つ以上の小集団から1つ以上のバイオマーカーの発現又は存在を判定する工程はさらに、1種以上のリンパ球を単離し、検出し、又は測定することを含む。さらに別の実施形態では、Btk阻害剤は、可逆的又は不可逆的阻害剤である。
さらに他の態様では、本明細書において、血液悪性腫瘍を有する被験体における治療を決定する方法が提供される。前記方法は、Btk阻害剤の用量を受けた被験体におけるリンパ球の1つ以上の小集団から1つ以上のバイオマーカーの発現又は存在を判定する工程を含み、ここで、1つ以上のバイオマーカーの発現又は存在は、血液悪性腫瘍の処置のための治療を決定するために使用される。一実施形態では、Btk阻害剤の用量は、免疫表現型によって定義された血液中のリンパ球の小集団の増加又は出現をもたらすのに十分である。別の実施形態では、リンパ球の1つ以上の小集団から1つ以上のバイオマーカーの発現又は存在を判定する工程はさらに、1種以上のリンパ球を単離し、検出し、又は測定することを含む。さらに別の実施形態では、Btk阻害剤は、可逆的又は不可逆的阻害剤である。
さらに他の態様では、本明細書において、血液悪性腫瘍を有する被験体における治療に対する反応を予測する方法が提供される。前記方法は、Btk阻害剤の用量を受けた被験体における1つ以上の循環リンパ球から1つ以上のバイオマーカーの発現又は存在を判定する工程を含み、ここで、1つ以上のバイオマーカーの発現又は存在は、血液悪性腫瘍のための治療に対する被験体の応答を予測するために使用される。一実施形態では、Btk阻害剤の用量は、免疫表現型によって定義された血液中のリンパ球の小集団の増加又は出現をもたらすのに十分である。別の実施形態では、リンパ球の1つ以上の小集団から1つ以上のバイオマーカーの発現又は存在を判定する工程はさらに、1種以上のリンパ球を単離し、検出し、又は測定することを含む。さらに別の実施形態では、Btk阻害剤は、可逆的又は不可逆的阻害剤である。
本明細書において企図されるように、血液悪性腫瘍に関連するバイオマーカーは、いくつかの実施形態において、本方法で利用される。これらのバイオマーカーは、任意の生体分子(血液、その他の体液、又は組織のいずれかで見られる)、又は血液悪性腫瘍の兆候である染色体異常を含む。特定の実施形態では、バイオマーカーは、限定されないが、TdT、CD5、CD11c、CD19、CD20、CD22、CD79a、CD15、CD30、CD38、CD138、CD103、CD25、ZAP−70、p53突然変異状態、ATM突然変異状態、IgVH突然変異状態、染色体17の欠失(del 17p)、染色体6の欠失(del 6q)、染色体7の欠失(del 7q)、染色体11の欠失(del 11q)、トリソミー12、染色体13の欠失(del 13q)、t(11:14)染色体転座、t(14:18)染色体転座、CD10、CD23、β−2マイクログロブリン、bcl−2発現、CD9、ヘリコバクターピロリ菌の存在、CD154/CD40、Akt、NF−κB、WNT、Mtor、ERK、MAPK、及びSrcチロシンキナーゼ発現を含む。特定の実施態様では、バイオマーカーは、ZAP−70、CD5、t(14;18)、CD38、β−2マイクログロブリン、p53突然変異状態、ATM突然変異状態、染色体17pの欠失、染色体11qの欠失、表面又は細胞質免疫グロブリン、CD138、CD25、6qの欠失、CD19、CD20、CD22、CD11c、CD103、染色体7pの欠失、VH突然変異状態、又はそれらの組み合わせを含む。
特定の態様では、既知の処置から利益を得るであろう、血液悪性腫瘍のがん有する、又血液悪性腫瘍のがんを有する前の患者の小集団は、s当該技術分野において周知の1つ以上の臨床的に有用なバイオマーカーの候補被験体をスクリーニングすることによって同定される。当業者に周知の任意の臨床的に有用な予後マーカーを使用することができる。いくつかの実施形態では、小集団は、慢性リンパ性白血病(CLL)を有する患者を含み、特に興味深い臨床的に有用な予後マーカーとしては、限定されないが、ZAP−70、CD38、β2マイクログロブリン、及び細胞遺伝学的マーカー、例えばp53突然変異状態、ATM突然変異状態、染色体の欠失(染色体17pの欠失及び染色体11qの欠失など)を含む。これら全ては、この疾患に対して臨床的に有用な予後マーカーである。
ZAP−70は、T細胞抗原受容体(TCR)のゼータサブユニットと関連し、T細胞活性化及び現像(Chan et.al(1992)Cell 71:649−662)において中心的な役割を果たするチロシンキナーゼである。ZAP−70は、チロシンリン酸化を受け、TCR刺激後のシグナル伝達を媒介する際に重要である。チロシンキナーゼの過剰発現又は構成的活性化は、白血病及びいくつかのタイプの固形腫瘍を含む多くの悪性腫瘍に関与していることが実証された。例えば、増加したZAP−70RNA発現レベルは、慢性リンパ性白血病(CLL)の予後マーカーである(Rosenwald et.al(2001)J.Exp.Med.194:1639−1647)。ZAP−70は、T細胞及びナチュラルキラー細胞において発現するが、正常なB細胞において発現することが知られていない。しかしながら、ZAP−70は、慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)の患者のB細胞において、より具体的には、未変異のIg遺伝子を有するCLL/SLLの患者において見られる、より積極的な臨床経過を有する傾向があるCLL患者のサブセットにおいて高レベルで発現する(Wiestner et.al(2003)Blood 101:4944−4951;米国特許出願公開第2030203416号)。ZAP−70発現レベルとIg遺伝子突然変異状態との間に相関があるので、ZAP−70は、重篤な疾患(高ZAP−70、未変異のIg遺伝子)を有する可能性が高く、それ故に積極的な治療のための候補者である患者を同定するための予後指標として使用することができる。
CD38は、シグナル伝達分子、ならびにサイクリックADPリボース(cADPRは)の合成及び分解を触媒する外酵素である。CD38発現は、骨髄前駆体B細胞において高レベルで存在し、正常な休止B細胞においてダウンレギュレートされ、次いで、最終分化した形質細胞に再発現する(Campana et.al(2000)Chem.Immuno.75:169−188)。CD38は、CD38の発現が一般的にあまり良好でない結果を示すB−CLLにおける信頼できる予後指標である(D’Aren et al.(2001)Leuk.Lymphoma 42:109;Del Poeta et al.(2001)Blood 98:2633;Durig et al.(2002)Leukemia 16:30; Ibrahim et al. (2001)Blood 98:181;Deaglio et al.(2003)Blood 102:2146−2155)。CD38発現が関連付けられる好ましくない臨床的表れは、疾患の進行段階、化学療法に対する乏しい応答、初期処置が必要される前の短い時間、及びより短い生存時間を含む(Deaglio et al.(2003)Blood 102:2146−2155)。病初では、CD38の発現とIgV遺伝子変異との間で強い相関が観察され、未変異V遺伝子を有する患者は、変異したV遺伝子を有する患者よりも高い割合のCD38.sup.+B−CLLを見せた(Damle et al.(1999)Blood 94:1840−1847)。しかしながら、その後の研究では、CD38発現が常にIgV遺伝子の再配列と相関しているわけでないことが示された(Hamblin et al.(2002)Blood 99:1023;Thunberg et al.(2001)Blood 97:1892)。
p53は、腫瘍抑制因子として作用する核リンタンパク質である。野生型p53は、細胞の成長及び***の調節に関与する。p53は、DNAに結合し、細胞***刺激タンパク質(CDK2)と相互作用するタンパク質(p21)の産生を刺激する。p21は、CDK2に結合するとき、細胞は、次の段階の細胞***に入ることを阻止される。変異p53は、効果的にDNAを結合することができない、それにより、p21が細胞***の停止シグナルとして作用することを妨げ、結果として、無制御な細胞***及び腫瘍形成を生じさせる。p53はまた、DNA損傷、細胞ストレス又はいくつかのがん遺伝子の異常発現に応答して、プログラムされた細胞死(アポトーシス)の誘導を調節する。いくつかのがん細胞株における野生型p53の発現は、増殖抑制制御を回復させることが示された(Casey et al.(1991)Oncogene 6:1791−1797;Takahashi et al.(1992)Cancer Res.52:734−736)。p53における突然変異は、結腸、***、肺、卵巣、膀胱、及び多くの他の器官の腫瘍を含むほとんどの腫瘍型において見られる。p53突然変異は、バーキットリンパ腫、L3型B細胞急性リンパ芽球性白血病、B細胞慢性リンパ性白血病に関連することが見出された(Gaidano et al.(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 88:5413−5417)。p53の異常はまた、B細胞前リンパ球性白血病に関連することが見出された(Lens et al.(1997)Blood 89:2015−2023)。p53の遺伝子は、17p13.105−P12の染色体17の短腕に位置する。
Β−2−マイクログロブリンは、クラスI主要組織適合遺伝子複合体(MHC)のα鎖と非共有的に関連付けられた細胞外タンパク質である。これは、血清において検出可能であり、CLL(Keating et al.(1998)Blood 86:606a)及びHodgkinリンパ腫(Chronowski et al.(2002)Cancer 95:2534−2538)において予後不良の指標である。これは、白血病、リンパ腫、及び多発性骨髄腫を含むリンパ球増殖性疾患に臨床的に使用される。ここでは、血清β−2−マイクログロブリンレベルは、腫瘍細胞の負荷、予後、及び疾患活性に関連している(Bataille et al.(1983)Br.J.Haematol.55:439−447;Aviles et al.(1992)Rev.Invest.Clin.44:215−220)。P2マイクログロブリンはまた、骨髄腫患者のステージングに有用である(Pasqualetti et al.(1991)Eur.J.Cancer 27:1123−1126)。
細胞遺伝学的異常はまた、血液悪性腫瘍の予測プロファイルを作成するためのマーカーはとして使用することができる。例えば、染色体異常は、CLL患者の大部分において見られ、CLLの経過を予測するのに役立つ。例えば、17pの欠失は、攻撃的な疾患の進行の指標である。また、染色体17pの欠失又はp53突然変異、又は両方を有するCLL患者は、化学療法及びリツキシマブに十分に反応しないことが知られている。染色体17pの対立遺伝子の損失もまた、大腸がんにおいて有用な予後マーカーであり得る。ここでは、17Pの欠失を有する患者は、大腸がんにおける疾患の播種の増加傾向と関連付けられる(Khine et al.(1994)Cancer 73:28−35)。
染色体11(11q)の長腕の欠失は、様々なタイプのリンパ増殖性疾患の中の最も頻度の高い染色体構造異常のうちの1つである。染色体11qの欠失、及び場合によってはATM突然変異を有するCLL患者は、この欠陥や17Pの欠失もない患者に比べて生存率が低い。さらに、11qの欠失は、しばしば大規模なリンパ節転移を伴う(Dohner et al.(1997)Blodd 89:2516−2522)。この欠失はまた、高用量療法及び自家移植後の疾患の永続性のリスクが高い患者を同定する。
血管拡張性失調症変異(ATA4)遺伝子は、細胞周期停止、アポトーシス、及びDNA二本鎖切断の修復に関与する腫瘍抑制遺伝子である。これは、染色体11において見られる。ATM突然変異は、乳がん(Chenevix−Trench et al.(2002)J.Natl.Cancer Inst.94:205−215;Thorstenson et al.(2003)Cancer Res.63:3325−3333)及び/又は早期発症乳がん(Izatt et al.(1999)Genes Chromosomes Cancer 26:286−294;Teraoka et al.(2001)Cancer 92:479−487)の家族歴のある女性における乳がんのリスク増加と関連付けられる。ATM遺伝子の突然変異/欠失と横紋筋肉腫との関連性の度合い(frequency)が高い(Zhang et al.(2003)Cancer Biol.Ther.1:87−91)。
患者における染色体異常を検出するための方法は、当該技術分野で周知である(例えば、Cuneo et al.(1999)Blood 93:1372−1380;Dohner et al.(1997)Blood 89:2516−2522を参照)。ATMなどの突然変異したタンパク質を測定するための方法は、当該技術分野において周知である(例えば、Butch et al.(2004)Clin.Chem.50:2302−2308)。
従って、本明細書に記載の方法において評価されるバイオマーカーは、上記に記載の細胞の生存及びアポトーシスタンパク、及び血液悪性腫瘍に関連するシグナル伝達経路に関与するタンパク質を含む。発現又は存在を判定することは、タンパク質又は核酸レベルであり得る。従って、バイオマーカーは、これらのタンパク質及びこれらの単複質をコード化する遺伝子を含む。検出がタンパク質レベルである場合、バイオマーカータンパク質は、全長ポリペプチド又はその任意の検出可能な断片を含み、これらのタンパク質配列の変異体を含むことができる。同様に、検出がヌクレオチドレベルである場合、バイオマーカー核酸は、全長コード配列を含むDNA、完全長コード配列の断片、これらの配列の変異体(例えば、天然変異体又はスプライス変異体)、又はこのような配列の相補体を含む。バイオマーカー核酸はまた、RNA、例えば目的のバイオマーカータンパク質をコード化する全長配列、目的の全長RNA配列の断片、又はこれらの配列の変異体を含むmRNAを含む。バイオマーカータンパク質及びバイオマーカー核酸はまた、これらの配列の変異体を含む。「断片」とは、ポリヌクレオチドの一部又はアミノ酸配列の一部、及びそれによってコード化されたたんぱく質を意図している。バイオマーカーのヌクレオチド配列の断片であるポリヌクレオチドは、一般に少なくとも10、15、20、50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、800、900、1000、1100、1200、1300、又は1400の連続したヌクレオチド、又は本明細書に開示された全長バイオマーカーポリヌクレオチドに存在する数までの数のヌクレオチドを含む。バイオマーカーポリヌクレオチドの断片は、一般に少なくとも15、25、30、50、100、150、200、又は250の連続するアミノ酸、又は本発明の全長バイオマーカータンパク質に存在する数までの数のアミノ酸をコード化する。「変異体」は、実質的に類似の配列を意味することを意図している。一般に、本発明の特定のバイオマーカーの変異体は、当該技術分野で周知の配列アラインメントプログラムによって決定されるように、バイオマーカーに対して、少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上の配列同一性を有する。
上記で提供したように、当該技術分野で周知の任意の方法は、本明細書に記載のバイオマーカーの発現又は存在を判定するための方法において使用することができる。候補被験体から得られた血液試料のおけるバイオマーカーの循環レベルは、例えば、ELISA、ラジオイムノアッセイ(RIA)、電気化学発光(ECL)、ウェスタンブロット、多重化技術、又は他の同様の方法によって測定することができる。バイオマーカーの細胞表面発現は、例えば、フローサイトメトリー、免疫組織化学、ウェスタンブロット、免疫沈降、磁気ビーズ選択、これらの細胞表面マーカーのいずれかを発現する細胞の定量化によって測定することができる。バイオマーカーRNA発現レベルは、RT−PCR、Qt−PCR、マイクロアレイ、ノーザンブロット、又は他の類似の技術によって測定することができる。
上述したように、タンパク質又はヌクレオチドレベルで、目的のバイオマーカーの発現又は存在を判定することは、当業者に周知の任意の検出方法を用いて達成することができる。「発現を検出する」又は「のレベルを検出する」ことは、生物学的試料中のバイオマーカータンパク質又は遺伝子の発現レベル又は存在を判定することを意図している。従って、「発現を検出する」とは、発現しない、検出可能には発現しない、低レベルで発現する、通常のレベルで発現する、又は過剰に発現するとバイオマーカーが判定する場合を含む。
本明細書で提供される方法の特定の態様では、リンパ球の1つ以上の小集団は、単離され、検出され又は測定される。特定の実施形態では、リンパ球の1つ以上の小集団は、免疫表現型検査技術を用いて、単離され、検出され又は測定される。他の実施形態では、リンパ球の1つ以上の小集団は、蛍光活性化セルソーティング(FACS)技術を用いて、単離され、検出され又は測定される。
本明細書で提供される方法の特定の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、ZAP−70、CD5、t(14;18)、CD38、β−2マイクログロブリン、p53突然変異状態、ATM突然変異状態、染色体17pの欠失、染色体11qの欠失、表面又は細胞質免疫グロブリン、CD138、CD25、6qの欠失、CD19、CD20、CD22、CD11c、CD103、染色体7qの欠失、VH突然変異状態、又はそれらの組み合わせを含む。
特定の態様では、本明細書に記載の方法の判定する工程は、バイオマーカーの組み合わせの発現又は存在を判定する必要がある。特定の実施形態では、バイオマーカーの組み合わせは、CD19とCD5又とであり、又はCD20とCD5とである。
特定の態様では、これらの様々なバイオマーカー及び生物学的試料中の任意の臨床的に有用な予後マーカーの発現又は存在は、例えば、免疫組織化学的技術又は核酸に基づく技術(in situハイブリダイゼーション及びRT−PCRなど)を使用してタンパク質又は核酸レベルで検出することができる。一実施形態では、1つ以上のバイオマーカーの発現又は存在は、核酸増幅のための手段、核酸配列決定のための手段、核酸マイクロアレイ(DNA及びRNA)を利用する手段、又は特異的に標識されたプローブを用いたin situハイブリダイゼーションのための手段によって行われる。
他の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーの発現又は存在を判定する工程は、ゲル電気泳動を介して行われる。一実施形態では、判定は、膜への転写、及び特異的プローブとのハイブリダイゼーションを介して行われる。
他の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーの発現又は存在を判定する工程は、診断イメージング技術によって行われる。
さらに他の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーの発現又は存在を判定する工程は、検出可能な固体基板によって行われる。一実施形態では、検出可能な固体基板は、抗体で官能化された常磁性ナノ粒子である。
別の態様では、本明細書において、継続処置又は非継続処置、又は1の治療から別の治療への変更を案内するために一連の処置の後に残留リンパ腫を検出又は測定するための方法が提供される。前記方法は、被験体におけるリンパ球の1つ以上の小集団から、1つ以上のバイオマーカーの発現又は存在を判定する工程を含む。ここでは、一連の処置は、Btk阻害剤を用いた処置である。
試験及び対照生物学的試料内で本明細書に記載のバイオマーカー及び随意にサイトカインマーカーの発現を検出するための方法は、核酸又はタンパク質レベルのいずれかでのこれらのマーカーの量又はの存在を判定する任意の方法を含む。このような方法は、当該技術分野において周知であり、限定されないが、ウェスタンブロット、ノーザンブロット、ELISA、免疫沈降、免疫蛍光、フローサイトメトリー、免疫組織化学、核酸ハイブリダイゼーション技術、核酸逆転写法、及び核酸増幅方法を含む。特定の実施形態では、バイオマーカーの発現は、例えば、特異的なバイオマーカータンパク質に対して向けられた抗体を使用して、タンパク質レベルで検出される。これらの抗体は、ウェスタンブロット、ELISA、多重化技術、免疫沈降、又は免疫組織化学技術などの様々な方法において使用することができる。いくつかの実施形態では、サイトカインマーカーの検出は、電気化学発光(ECL)によって達成される。
候補被験体の生体試料においてバイオマーカー(例えば、バイオマーカー、細胞生存又は増殖のバイオマーカー、アポトーシスのバイオマーカー、Btk媒介のシグナル伝達経路のバイオマーカー)を特異的に同定及び定量化するための手段が企図される。従って、いくつかの実施形態では、生物学的試料中の目的のバイオマーカータンパク質の発現レベルは、そのバイオマーカータンパク質又はその生物学的に活性な変異体と特異的に相互作用することができる結合タンパク質によって検出される。好ましくは、標識抗体、その結合部分、又は他の結合パートナーが使用されてもよい。本明細書で使用されるときの用語「標識」は、「標識」抗体を生成するように抗体に直接的又は間接的に共役している検出可能な化合物又は組成物を指す。標識は、それ自体(例えば、放射性同位体標識又は蛍光標識)によって検出可能であり、又は酵素標識の場合には、検出可能な基質化合物又は組成物の化学変化を触媒し得る。
バイオマーカータンパク質の検出のための抗体は、起源がモノクローナル又はポリクローナルであってもよいし、又は合成的又は組換え的に産生されてもよい。複合体化タンパク質の量、例えば結合タンパク質(例えば、バイオマーカータンパク質に特異的に結合する抗体)に関連付けられたバイオマーカータンパク質の量は、当業者に周知の標準的なタンパク質検出方法を用いて判定される。免疫学的アッセイ設計、理論及びプロトコルの詳細なレビューは、当該技術分野の多くのテキストにおいて見ることができる(例えば、Ausubel et al., eds.(1995)Current Protocols in Molecular Biology)(Greene Publishing and Wiley−Interscience,NY));Coligan et al., eds.(1994)Current Protocols in Immunology (John Wiley&Sons, Inc., New York,N.Y.を参照)。
抗体を標識するために使用されるマーカーの選択は、用途に応じて変化する。しかしながら、マーカーの選択は、当業者には容易に決定することができる。これらの標識された抗体は、目的のバイオマーカー又はタンパク質の存在を検出するためにイムノアッセイならびに組織学的な用途において使用することができる。標識された抗体は、ポリクローナル又はモノクローナルであってもよい。さらに、目的のタンパク質を検出するのに使用される抗体は、本明細書の他の箇所において記載されるように、放射性原子、酵素、発色団又は蛍光部分、又は比色タグで標識することができる。タグ付け標識の選択はまた、所望の検出制限に依存する。酵素アッセイ(ELISA)は、典型的には、酵素基質と酵素タグ化複合体との相互作用によって形成された着色生成物の検出を可能にする。検出可能な標識として機能できる放射性核種は、例えば、I−131、I−123、I−125、Y−90、Re−188、Re−186、At−211、Cu−67、Bi−212、及びPd−109を含む。検出可能な標識として機能できる酵素の例としては、限定されないが、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを含む。発色性部分は、限定されないが、フルオレセイン及びローダミンを含む。抗体は、当該技術分野で周知の方法によってこれらの標識に共役することができる。例えば、酵素及び発色団分子は、例えばジアルデヒド、カルボジイミド、ジマレイミド等といったカップリング剤を用いて抗体に共役することができる。代替的に、共役は、リガンド−受容体対を介して生じ得る。適切なリガンド−受容体対の例には、ビオチン−アビジン又はビオチン−ストレプトアビジン、及び抗体−抗原がある。
特定の実施形態では、生物学的試料内、例えば体液の試料内の目的の1つ以上のバイオマーカー又は目的の他のタンパク質の発現又は存在は、ラジオイムノアッセイ又は酵素結合免疫アッセイ法(ELISA)、競合的結合酵素結合イムノアッセイ、ドットブロット(例えば、Promega Protocols and Applications Guide 2nd ed.;Promega Corporation(1991)を参照)、ウェスタンブロット(例えば、Sambrook et al.(1989)Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Vol.3,Chapter 18 (Cold Spring Harbor Laboratory Press,Plainview,N.Y.)、クロマトグラフィー、好ましくは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、又は当該技術分野で周知の他のアッセイによって決定される。従って、検出アッセイは、限定されないが、免疫ブロット法、免疫拡散、免疫電気泳動、又は免疫沈降といった工程を含むことができる。
特定の他の実施形態では、本発明の方法は、腫瘍の第1選択薬(first−line oncotherapeutic teatment)に不応性である(つまり、耐性である又は耐性になった)上記のものを含む血液悪性腫瘍を同定し、処置するのに有用である。
本明細書に記載の1つ以上のバイオマーカーの発現又は存在はまた、核酸レベルで判定することができる。発現を評価するための核酸に基づく技術は、当該技術分野において周知であり、例えば、生物学的試料中のバイオマーカーmRNAのレベルを判定することを含む。多くの発現検出方法は、単離されたRNAを使用する。mRNAの単離に対して不利になるようには(against)選択しない任意のRNA単離技術を、RNAの精製に利用することができる(例えば、Ausubel et al.,ed.(1987−1999)Current Protocols in Molecular Biology(John Wiley&Sons,NewYork)を参照)。さらに、当業者に周知の技術、例えば、米国特許第4,843,155号に開示される単一工程RNA単離プロセスといった技術を用いて多数の組織試料を容易に処理することができる。
従って、いくつかの実施形態では、バイオマーカー又は目的の他のタンパク質の検出は、核酸プローブを用いて核酸レベルでアッセイされる。用語「核酸プローブ」は、特に意図された標的核酸分子、例えば、ヌクレオチド転写物に選択的に結合することができる任意の分子を指す。プローブは、当業者によって合成され、又は適切な生物学的製剤から誘導することができる。プローブは、例えば、放射性標識、蛍光標識、酵素、化学発光タグ、比色タグ、又は当該技術分野で周知であるか或いは上記で議論された他の標識又はタグで標識されるように特別に設計されてもよい。プローブとして利用できる分子の例としては、限定されないが、RNA及びDNAを含む。
例えば単離されたmRNAは、限定されないがサザン又はノーザン分析、ポリメラーゼ連鎖反応分析及びプローブアレイを含むハイブリダイゼーション又は増幅アッセイに使用し得る。mRNAレベルを検出する方法の1つは、単離されたmRNAを、検出する遺伝子によってコードされたmRNAとハイブリダイズできる核酸分子(プローブ)と接触させる工程を含む。前記核酸プローブは例えば全長cDNA又は少なくとも7、15、30、50、100、250又は500ヌクレオチドの長さであるオリゴヌクレオチドのようなcDNAの一部であって、且つ本明細書中に上記したバイオマーカーをコードするmRNA又はゲノムDNAに厳しい条件下で特異的にハイブリダイズすることができるcDNA又はその一部であり得る。
mRNAのプローブとのハイブリダイゼーションは、バイオマーカー又はその他の目的のターゲットタンパク質が発現されていることを示す。
1つの実施形態において、mRNAは固体表面に固定されプローブと接触される。例えば単離されたmRNAはアガロースゲル上で泳動され、mRNAはゲルからニトロセルロースのような薄膜に移動される。別の実施形態において、例えばジーンチップアレイにおいてプローブは固体表面に固定され、プローブと接触される。当業者はバイオマーカー又は目的のその他のタンパク質をコードするmRNAのレベルの検出に使用するために、公知のmRNA検出方法を容易に適用できる。
サンプル中の目的のmRNAのレベルを測定する代替的な方法は、例えばRT−PCR(例えば米国特許第4,683,202号参照)、リガーゼ連鎖反応(Barany(1991)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:189−193参照)、自家持続配列複製法(Guatelli et al. (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:1874−1878参照)、転写増幅システム(Kwoh et al. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:1173−1177参照)、Q−ベータレプリカーゼ(Lizardi et al. (1988) Bio/Technology 6:1197参照)、ローリングサイクル複製(米国特許第5,854,033号参照)又は任意の他の核酸増幅方法を含む、核酸増幅のプロセスを備えている。この核酸増幅のプロセスは、その後当業者に公知の技術を用いて増幅された分子を検出する工程が続く。これらの検出スキームは核酸分子が非常に低い数で存在する場合、その核酸分子の検出に特に有用である。発明の特定の態様では、バイオマーカーの発現は定量的蛍光RT−PCR(すなわちTaqman(登録商標)システム)によって評価される。
目的のRNAの発現レベルはメンブレンブロット(ノーザン、ドットのようなハイブリダイゼーション分析に使用されるようなもの)又はマイクロウェル、サンプルチューブ、ゲル、ビーズ又はファイバー(又は結合した核酸を含む任意の固形の支持体)を使用して観察される。引用によって本明細書中に組み込まれる米国特許第5,770,722号、米国特許第5,874,219号、米国特許第5,744,305号、米国特許第5,677,195号及び米国特許第5,445,934号を参照されたい。発現の検出は溶液において核酸プローブを使用する工程をさらに含み得る。
発明の1つの実施形態において、1つ以上のバイオマーカーの発現又は存在を測定するためにマイクロアレイが用いられる。異なる実験間の再現性があるために、マイクロアレイはこの目的に特によく適している。DNAマイクロアレイは、多数の遺伝子の発現レベルを同時に測定する1つの方法を提供する。各アレイは固形支持体に結合した捕捉プローブの複製可能なパターンからなる。標識化されたRNA又はDNAはアレイ上の相補的なプローブにハイブリダイズし、その後レーザースキャンによって検出される。アレイ上の各プローブのハイブリダイゼーション強度が測定され、相対的な遺伝子発現レベルを表す定量的な値に変換される。引用によって本明細書中に組み込まれる米国特許第6,040,138号、米国特許第5,800,992号、米国特許第6,020,135号、米国特許第6,033,860号及び米国特許第6,344,316号を参照されたい。高密度オリゴヌクレオチドアレイはサンプル中の多数のRNAの遺伝子発現プロファイルを測定するのに特に有用である。
力学的な合成方法を使用するこれらのアレイの合成技術は、引用によってその全体が本明細書中に組み込まれる米国特許第5,384,261号に記載されている。平面のアレイ表面が好ましいものの、アレイは実質的に任意の形状又は多数の表面に形成されてもよい。アレイはビーズ、ゲル、高分子表面、光ファイバーのような繊維又は任意の他の適切な物質上のペプチド又は核酸であり得る(その各々の全体が全ての目的のために本明細書に組み込まれる米国特許第5,770,358号、米国特許第5,789,162号、米国特許第6,040,193号及び米国特許第5,800,992号を参照)。アレイは包括的なデバイスの診断又はその他の操作を可能にするためにこのような様式で組み込まれても(packaged)良い。例えば引用によって本明細書中に組み込まれる米国特許第5,856,174号及び米国特許第5,922,591号を参照されたい。
<医薬組成物/製剤>
医薬組成物は、薬学的に使用できる調合剤へと活性化合物を加工するのを促進する賦形剤及び補助剤を含む1つ以上の生理学的に許容可能な担体を使用して従来通りに処方され得る。適切な製剤は選択した投与経路に依存する。任意の公知の技術、担体及び賦形剤は適切に及び当該技術分野において認められているように使用され得る。本明細書中に記載される医薬組成物の概要は、例えば引用によってその全てが本明細書中に組み込まれるRemington: The Science and Practice of Pharmacy, 第19版 (Easton, Pa.: Mack Publishing Company, 1995年); Hoover, John E., Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania 1975年; Liberman, H.A. and Lachman, L., Eds., Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N.Y., 1980年; 及びPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems第7版 (Lippincott Williams & Wilkins1999年)において見られる。
本明細書において医薬組成物は、本明細書中に記載された化合物の混合物に関する。その医薬組成物は、例えば担体、安定化剤、希釈剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤及び/又は賦形剤のようなその他の化学成分を備える式Dの化合物又は第二の薬剤である。医薬組成物は化合物の生物への投与を助ける。本明細書中で提供される処置方法又は用途を実践する際には、本明細書中で記載された化合物の治療上効果的な量が医薬組成物として処置される疾患、障害又は疾病を有する哺乳動物に投与される。好ましくは、哺乳動物はヒトである。治療上効果的な量は、疾患の重篤度、被験体の年齢及び相対的な健康、使用される化合物の有効性及びその他の要因に依存して大きく変化し得る。化合物は単一で又は混合物の成分として1つ以上の治療薬と組み合わせて使用し得る。
特定の実施形態において、組成物は、酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸及び塩酸のような酸、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム及びトリス−ヒドロキシメチルアミノメタンのような塩基;クエン酸塩/デキストロース、炭酸水素ナトリウム及び塩化アンモニウムのようなバッファーを含む、1つ以上のpH調整剤又は緩衝剤も含んでよい。当該酸、塩基及びバッファーは、許容可能な範囲で組成物のpHを維持するのに必要な量で含まれる。
他の実施形態において、組成物は、組成物の浸透圧を許容可能な範囲にするために必要な量の1つ以上の塩も含んでよい。当該塩はナトリウム、カリウム又はアンモニウム陽イオン及び塩化物、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、重炭酸塩、硫酸塩、チオ硫酸塩又は亜硫酸水素塩アニオンを有するものを含み、適切な塩は塩化ナトリウム、塩化カリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム及び硫酸アンモニウムを含む。
用語「薬学的な組み合わせ」は、本明細書中で使用されるように、1つ以上の活性成分を混合又は組み合わせた結果である生産物を意味し、調合薬(Fixed combination)及び非調合薬を含む。用語「調合薬」は例えば本明細書中に記載された化合物である活性成分及び助剤が両方とも単一の単位(entity)又は用量として同時に患者に投与されるものを意味する。用語「非調合薬」は例えば本明細書中に記載された化合物である活性成分及び助剤が別々の単位として、中断の制限時間は特になく、同時に、並行して(concurrently)又は連続して患者に投与されるものを意味する。当該投与は、患者の体内において2つの化合物の効果的なレベルを提供する。後者は、例えば3つ以上の活性成分を投与するカクテル治療にも適用される。
本明細書中に記載された医薬製剤は、限定されないが経口、非経口(例えば静脈内、皮下、筋肉内)、鼻腔内、頬、局所、直腸又は経皮投与経路等多くの投与経路によって被験体に投与され得る。本明細書中に記載された医薬製剤は限定されないが、水性液体分散剤、自己乳化分散剤、固溶体、リポソーム分散、エアゾール剤、固体剤形、散剤、即時放出製剤、徐放製剤、速溶製剤(fast−melt formulations)、錠剤、カプセル剤、丸剤、遅延放出製剤、拡張放出製剤、拍動性放出製剤(pulsatile release formulations)、多粒子製剤、及び即時放出製剤と制御放出製剤を含む。
本明細書中に記載された化合物を含む医薬組成物は、ほんの一例として例えば標準的な混合、溶解、粒状化、ドラジェ作製、粉末化、乳化、封入、取り込み又は圧迫を用いる等従来通り製造されてもよい。
「消泡剤」は、水分散液の凝固、最終的な薄膜における泡又はほとんどの場合加工を妨げる等の結果につながる加工中の泡立ちを少なくする。消泡剤の例はシリコンエマルジョン又はセスキオレイン酸ソルビタンを含む。
「抗酸化剤」は例えばブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸、重亜硫酸ナトリウム、トコフェノールを含む。特定の実施形態において、抗酸化剤は必要なところで化学的安定性を向上させる。
特定の実施形態において、本明細書中で提供される組成物は、微生物活性を阻害するために1つ以上の保存料を含んでもよい。適切な保存料はメルフェン(登録商標)及びチメロサールのような水銀を含む物質、安定化した二酸化塩素、及び塩化ベンザルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム及び塩化セチルピリジニウムのような第四級アンモニウム化合物を含む。
本明細書中に記載された製剤は、抗酸化剤、金属キレート剤、チオールを含む化合物及びその他の一般的な安定化剤の利益を享受する。当該安定化剤の例は、限定されないが:(a)約0.5%から約2%w/vのグリセロール、(b)約0.1%から約1%w/vのメチオニン、(c)約0.1%から約2%w/vのモノチオグリセロール、(d)約1mMから約10mMのEDTA、(e)約0.01%から約2%w/vのアスコルビン酸、(f)0.003%から約0.02%w/vのポリソルベート80、(g)0.001%から約0.05%w/vのポリソルベート20、(h)アルギニン、(i)ヘパリン、(j)硫酸デキストラン、(k)シクロデキストリン、(l)ペントサン多硫酸ナトリウム及びその他のヘパリノイド、(m)マグネシウム及び亜鉛のような二価陽イオン、又は(n)その組み合わせ、を含む。
「結合剤」は粘性をもたらし、例えばアルギニン酸及びその塩、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース(例えばMethocel(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、Klucel(登録商標))、エチルセルロース(例えばEthocel(登録商標))及び結晶セルロース(例えばAvicel(登録商標))等のセルロース誘導体、結晶デキストロース、アミロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、酸性多糖類、ベントナイト、ゼラチン、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、クロスポビドン、ポビドン、デンプン、アルファ化デンプン、トラガカントガム、デキストリン、ショ糖(例えばDiPac(登録商標))、グルコース、デキストロース、糖蜜、マンニトール、ソルビトール、キシリトール(Xylitab(登録商標)及びラクトース等の糖、アカシア、トラガカントガム、ガティガム、イサポールハスク( isapol husk )の粘液、ポリビニルピロリドン(例えば、Polyvidon(登録商標) CL、Kollidon (登録商標) CL、Polyplasdone(登録商標) XL−10)、カラマツアラビノガラクタン、Veegum(登録商標)、ポリエチレングリコール、ワックス、アルギン酸ナトリウム等の天然又は合成ガム等を含む。
「担体」又は「担体材料」は、薬剤学における任意の一般的に使用される賦形剤を含み、任意の式D及び第二の薬剤のような本明細書中に記載された化合物との適合性および所望の剤形の放出プロファイル特性に基づいて選択されるべきである。担体材料の例として、例えば、結合剤、懸濁剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、溶解剤、安定剤、潤滑剤、湿潤剤、希釈剤などが含まれる。「薬学的に適合な担体材料」は、限定されないが、例えば、アカシア、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、マルトデキストリン、グリセリン、ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン(PVP)、コレステロール、コレステロールエステル、カゼイン酸ナトリウム、ダイズレシチン、タウロコール酸、ホスホチジルコリン、塩化ナトリウム、リン酸三カルシウム、リン酸二カリウム、セルロース及びセルロース複合体、ステアロイルラクチル酸ナトリウム糖(sugars sodium stearoyl lactylate)、カラギーナン、モノグリセリド、ジグリセリド、アルファ化デンプンなどを含んでもよい。例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 第19版 (Easton, Pa.: Mack Publishing Company, 1995年); Hoover, John E., Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania 1975年; Liberman, H.A. and Lachman, L., Eds., Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N.Y., 1980年; 及び Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, 第7版 (Lippincott Williams & Wilkins1999年)を参照されたい。
「分散剤」及び/又は「粘度調整剤」には、液状媒体又は粒状化方法又は混合方法を通して薬物の拡散及び均一性を制御する材料が含まれる。幾つかの実施形態において、これらの剤はコーティング又は崩壊マトリクスの効果も促進する。例示的な拡散促進剤/分散剤には、親水性ポリマー、電解質、Tween(登録商標)60または80、PEG、ポリビニルピロリドン(PVP、商業上Plasedone(登録商標)として知られている)、及び例えばヒドロキシプロピルセルロース(例えばHPC、HPC−SL及びHPC−L)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばHPMC K100、HPMC K4M、HPMC K15M及びHPMC K100M)、カルボキシプロピルメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレート(HPMCAS)、非結晶セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー(S630)、エチレンオキシド及びホルムアルデヒドを備えた4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノールポリマー(チロキサポールとしても知られている)、ポロクサマー(例えばエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのブロックコポリマーであるPluronic F68(登録商標)、F88(登録商標)及びF108(登録商標))等の炭水化物に基づく分散剤、及びポロキサミン(例えば、エチレンジアミンにプロピレンオキシド及びエチレンオキシドを連続的に加えたものに由来する四官能性ブロックコポリマーであり、Poloxamine 908(登録商標)としても知られているTetronic908(登録商標)(BASF株式会社、パーサイパニー、N.J.))、ポリビニルピロリドンK12、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25、又はポリビニルピロリドンK30、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー(S−630)、ポリエチレングリコール(例えばポリエチレングリコールは約300から約6000、又は約3350から約4000、又は約7000から約5400の分子量を有し得る)カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリソルベート−80、アルギン酸ナトリウム、ガム(例えばトラガカントガム、アカシアガム、グアーガム、キサンタンガムを含むキサンタンのような)、糖類、セルロース誘導体(例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムのような)、ポリソルベート−80、アルギン酸ナトリウム、ポリエトキシル化ソルビタンモノラウレート、ポリエトキシル化ソルビタンモノラウレート、ポビドン、カルボマー、ポリビニルアルコール(PVA)、アルギン酸塩、キトサン及びその組み合わせなどが含まれる。
セルロース又はトリエチルセルロースのような可塑剤も、分散剤として使用される。
分散剤はリポソーム分散において特に有用で、自己乳化分散剤はジミリストイルホスファチジルコリン、卵からの天然ホスファチジルコリン、卵からの天然ホスファチジルグリセロール、コレステロール及びイソプロピルミリステートである。
1つまたは複数の崩壊促進剤と1つまたは複数の拡散促進剤の組み合わせもまた、本発明において使用され得る。
用語「希釈剤」は、送達前に所望の化合物を希釈するために使用される化学化合物を指す。希釈剤はより安定した環境を提供できるため、化合物を安定させるために使用され得る。緩衝液中に溶解する塩(pHの制御又は維持を提供することもできる)は、限定されないがリン酸緩衝生理食塩溶液を含む当該技術分野における希釈剤として利用される。特定の実施形態において、希釈剤は圧縮を促進する、又はカプセル充填の際の均質な混合のための十分な容積を作り、組成物の容積を増加させる。そのような化合物は例えばラクトース、デンプン、マンニトール、ソルビトール、デキストロース、Avicel(登録商標)のような結晶性セルロース、第二リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物、リン酸三カルシウム、リン酸カルシウム、無水ラクトース、噴霧乾燥されたラクトース、アルファ化デンプン、Di−Pac(登録商標)(Amstar)のような圧縮可能な糖類、マンニトール、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレート、ショ糖に基づく希釈剤、粉砂糖、第一硫酸カルシウム一水和物、硫酸カルシウム二水和物、乳酸カルシウム三水和物、デキストレート、加水分解された固形穀物、アミロース、粉状のセルロース、カルボン酸カルシウム、グリシン、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、イノシトール、ベントナイト等が含まれる。
用語「崩壊する」は胃腸液に接触した際の剤形の溶解及び分散の両方を含む。「崩壊剤又は崩壊剤(Disintegration agents or disintegrants)」は、物質の粉砕又は崩壊を促進する。崩壊剤の例は、例えばコーンスターチ又はジャガイモデンプンのような天然デンプン、National1551又はAmijel(登録商標)のようなアルファ化デンプン、又はPromogel(登録商標)又はExplotab(登録商標)のようなデンプングリコール酸ナトリウム等のデンプン、木製品、メチル結晶セルロース(methylcrystalline cellulose)、例えば、Avicel(登録商標)、Avicel(登録商標)PH101、Avicel(登録商標)PH102、Avicel(登録商標)PH105、Elcema(登録商標)P100、Emcocel(登録商標)、Vivacel(登録商標)、Ming Tia(登録商標)、およびSolka−Floc(登録商標)などのセルロース、メチルセルローショ糖カルメロースすなわち架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース(Ac−Di−Sol(登録商標))、架橋カルボキシメチルセルロース、または架橋クロスカルメロースなどの架橋セルロース、グリコール酸ナトリウムデンプンなどの架橋デンプン、クロスポビドンなどの架橋ポリマー、架橋ポリビニルピロリドン、アルギン酸もしくはアルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸の塩などのアルギン酸塩、Veegum(登録商標)HV(ケイ酸マグネシウムアルミニウム)などのクレイ、寒天、グアール、イナゴマメ、カラヤ(Karaya)、ペクチン、またはトラガカントなどのガム、ナトリウムグリコール酸デンプン、ベントナイト、天然の海綿質、界面活性剤、陽イオン交換樹脂などの樹脂、シトラスパルプ、ラウリル硫酸ナトリウム、混合デンプン(combination starch)中のラウリル硫酸ナトリウムなどを含む。
「薬剤の吸収」または「吸収」は、例えば消化管から門脈又はリンパ系へ薬剤が移動するような、薬剤投与部位から障壁を通って血管内又は作用部位に移動する過程を典型的に意味する。
「腸溶コーティング」は、胃内で実質的に完全な状態で残存するが、小腸に達した時点で溶解して薬剤を放出する物質である。一般に腸溶コーティングは、胃の低pH環境においては放出を妨げるが、高いpH(典型的にはpH 6又は7)ではイオン化することで、小腸又は結腸内で十分に溶解して活性薬剤を小腸又は結腸内に放出するポリマー材料を含む。
「崩壊促進剤」は、胃腸液中において特定の材料の崩壊を制御する材料を含む。崩壊促進剤は一般に、当業者に既知である。例示的な崩壊促進剤には例えば、親水性ポリマー、電解質、タンパク質、ペプチド、およびアミノ酸などがある。
「充填剤」は、ラクトース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、結晶性セルロース、セルロース粉末、デキストロース、デキストレート、デキストラン、デンプン、アルファ化デンプン、ショ糖、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコールなどの化合物等を含む。
本発明の薬学的組成物において有用である「香味料」または「甘味料」は、例えば、アカシアシロップ、アセスルファムK、アリテーム、アニス、リンゴ、アスパルテーム、バナナ、ババロア、ベリー、クロフサスグリ、バタースコッチ、クエン酸カルシウム、ショウノウ、カラメル、チェリー、チェリークリーム、チョコレート、シナモン、風船ガム、シトラス、シトラスポンチ、シトラスクリーム、綿菓子、ココア、コーラ、クールチェリー、クールシトラス、チクロ、シラマート(cylamate)、デキストロース、ユーカリ、オイゲノール、フルクトース、フルーツポンチ、ジンジャー、グリシルレチン酸、甘草(リコリス)シロップ、ブドウ、グレープフルーツ、ハチミツ、イソマルト、レモン、ライム、レモンクリーム、グリチルリチル酸一アンモニウム(MagnaSweet(登録商標))、マルトール、マンニトール、メープル、マシュマロ、メントール、ミントクリーム、ミックスベリー、ネオヘスペリジンDC、ネオテーム、オレンジ、西洋ナシ、ピーチ、ペパーミント、ペパーミントクリーム、Prosweet(登録商標)粉末、ラズベリー、ルートビア、ラム、サッカリン、サフロール、ソルビトール、スペアミント、スペアミントクリーム、イチゴ、イチゴクリーム、ステビア、スクラロース、ショ糖、サッカリンナトリウム、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、マンニトール、タリン、シリトール、スクラロース、ソルビトール、スイスクリーム、タガロース、タンジェリン、タウマチン、トゥッティフルッティ、バニラ、クルミ、スイカ、ワイルドチェリー、ウィンターグリーン、キシリトール、またはこれらの着香成分の任意の組み合わせ、例えば、アニス−メントール、チェリー−アニス、シナモン−オレンジ、チェリー−シナモン、チョコレート−ミント、ハチミツ−レモン、レモン−ライム、レモン−ミント、メントール−ユーカリ、オレンジ−クリーム、バニラ−ミント、およびこれらの混合物を含む。
「潤滑剤」及び「流動促進剤」は、材料の付着又は摩擦を妨げる、低下させる、または阻害する化合物である。例示的な潤滑剤は例えば、ステアリン酸、水酸化カルシウム、タルク、ステアリルフマル酸ナトリウム、鉱油などの炭化水素、又は水素添加ダイズ油(Sterotex(登録商標))などの水素添加植物油;高級脂肪酸;およびアルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、グリセロール、タルク、ロウ、Stearowet(登録商標)、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ポリエチレングリコール等の高級脂肪酸のアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩;又はCarbowax(商標)などのメトキシポリエチレングリコール、オレイン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、グリセリルベヘネート、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸マグネシウムもしくはラウリル硫酸ナトリウム、Syloid(商標)、Carb−O−Sil(登録商標)などのコロイド状シリカ、コーンスターチなどのデンプン、シリコーン油、界面活性剤等を含む。
「測定可能な血清濃度」または「測定可能な血漿濃度」は、典型的には、投与後に血流中に吸収される治療薬の、1 ml、1 dl、又は1 lの血清あたりの、mg、μg、またはngの治療薬として測定される血清濃度または血漿濃度を意味する。本願明細書中で使用されているように、測定可能な血漿濃度は典型的にng/ml又はμg/mlで測定される。
「薬力学(Pharmacodynamics)」は、作用部位における薬剤の濃度に対して観察される生物学的反応を決定する因子を意味する。
「薬物動態(Pharmacokinetics)」は、作用部位における適切な濃度の薬剤の到達および維持を決定する因子を意味する。
「可塑剤」は、マイクロカプセル化用材料またはフィルムコーティングを軟化して、脆くならないようにするために使用される化合物である。適切な可塑剤は例えば、PEG 300、PEG 400、PEG 600、PEG 1450、PEG 3350、およびPEG 800などのポリエチレングリコール、ステアリン酸、プロピレングリコール、オレイン酸、およびトリアセチンなどを含む。幾つかの実施形態において、可塑剤は分散剤又は湿潤剤として機能し得る。
「可溶化剤」は、トリアセチン、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、ラウリル硫酸ナトリウム、ドクサートナトリウム、ビタミンE TPGS、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−ヒドロキシエチルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、エタノール、n−ブタノール、イソプロピルアルコール、コレステロール、胆汁塩、ポリエチレングリコール200−600、グリコフロール、トランスクトール、プロピレングリコール及びジメチルイソソルビド等の化合物を含む。
「安定剤」は、任意の抗酸化剤、緩衝剤、酸などの化合物等を含む。
「定常状態」は、本明細書中で用いられるように、プラトー又は一定の血漿薬物暴露をもたらす1つの投与間隔内で投与された薬剤の量が除去された薬剤の量と等しい場合である。
「懸濁剤」は、例えばポリビニルピロリドンK12、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25、またはポリビニルピロリドンK30のようなポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニルのコポリマー(S630);ポリエチレングリコールの分子量は例えば、約300〜約6000、または約3350〜約4000、または約7000〜約5400であるポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレート、ポリソルベート−80、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、例えば、トラガカントガムやアカシアガム、グアールガム、キサンタンガムを含むキサンタン等のガム、糖類、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリソルベート−80、アルギン酸ナトリウム、ポリエトキシル化ソルビタンモノラウレート、ポリエトキシル化ソルビタンモノラウレート、ポビドンなどの化合物を含む。
「界面活性剤」は、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリソルベート、ポロクサマー、胆汁酸塩、モノステアリン酸グリセリン、酸化エチレンと酸化プロピレンのコポリマー(例えばPluronic(登録商標)(BASF))などの化合物を含む。幾つかの他の界面活性剤は、例えばポリオキシエチレン(60)、水素添加されたヒマシ油等のポリオキシエチレン脂肪酸グリセリド及び植物油、並びに例えばオクトキシノール10、オクトキシノール40等のポリオキシエチレンアルキルエーテル及びアルキルフェニルエステルを含む。幾つかの実施形態において、界面活性剤は物理的な安定性を向上させる又はその他の目的のために含まれ得る。
「増粘剤」は例えばメチルセルロース、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレート、ヒドロプロピルメチルフタル酸セルロース、カルボマー、ポリビニルアルコール、アルギン酸塩、アカシア、キトサン及びその組み合わせを含む。
「湿潤剤」はオレイン酸、モノステアリン酸グリセリン、ソルビタンモノオレイン酸塩、ソルビタンモノラウリル酸塩、トリエタノールアミンオレイン酸塩、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸塩、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリル酸塩、ドクセートナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドクセートナトリウム(sodium doccusate)、トリアセチン、Tween 80、ビタミンE TPGS、アンモニウム塩等のような化合物を含む。
<剤形>
本明細書に記載されている組成物は、これらに限定されないが、経口、非経口(例えば静脈内、皮下、または筋肉内)、口腔、鼻腔内、直腸または経皮性の投与経路が含まれる、いずれかの従来方法を経て投与される患者のために製剤することができる。本明細書で用いられる用語「被験体」は、動物、望ましくはヒトおよびヒト以外を含む哺乳類、を意味する語として用いられている。患者及び被験体の用語は、どちらも同じように用い得る。
さらに、本明細書に記載されている医薬組成物に含まれる式(D)又は第二の薬剤のいずれかの化合物は、以下のいずれの適した剤形にも製剤することができ、それらに限定されない。それらは、経口水性分散剤、液剤、ゲル、シロップ、エリキシル剤、スラリー、懸濁化剤などであり、処置される患者による経口摂取には固体経口剤、エアロゾル、放出制御剤、速溶製剤、発泡性製剤、凍結乾燥製剤、錠剤、粉末、丸剤、糖衣錠、カプセル、徐放性製剤、持続放出製剤、パルス放出製剤、多粒子製剤、並びに即時放出剤および放出制御剤がある。
経口用薬剤は、以下のように得ることができる;一以上の固体賦形剤と一以上の本明細書に記載されている化合物を混合し、生じた混合物を適宜粉砕する。その後錠剤または糖衣錠の芯を得るために、必要に応じて適した補助剤を加えた後に、顆粒の混合物を処理する。適した賦形剤には、例えばラクトース、ショ糖、マンニトール、またはソルビトールのような糖類;例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガントガム、メチルセルロース、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムのようなセルロース製剤;並びに他のポリビニルピロリドン(PVPまたはポビドン)またはリン酸カルシウムなどが含まれる。必要に応じて崩壊剤である、架橋クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、寒天またはアルギン酸もしくはその塩であるアルギン酸ナトリウムなどが加えられ得る。
糖衣錠の芯は、適したコーティングとともに提供される。この目的のために、濃縮された糖溶液で、適宜アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポルゲル(carbopol gel)、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、及び適した有機溶媒又は溶媒の混合物を含み得るものが用いられ得る。活性化合物用量の異なる組み合わせを同定または特徴付けるために、錠剤または糖衣錠のコーティングに染料または顔料が付加され得る。
経口的に用いることのできる薬剤には、ゼラチン製の押し込み式カプセル、並びにゼラチン、および可塑剤であるグリセロールまたはソルビトール製などの軟性な封入カプセルが含まれる。押し込み式カプセルは活性成分が、ラクトースのような充填剤、デンプンのような結合剤、及び/又はタルクあるいはマグネシウムステアレートのような潤滑剤、および任意の安定化剤とを混合して含み得る。軟カプセルにおいて、活性化合物は適した液体である脂肪油、流動パラフィン又は液体ポリエチレングリコールなどの中で、溶解または懸濁し得る。さらに、安定化剤も加えられ得る。全ての経口投与の製剤は、そのような投与における適切な投与量とすべきである。
幾つかの実施形態において、本明細書で開示されている固形剤形は、錠剤(懸濁錠剤、速溶錠剤、噛んで分解する錠剤(bite−disintegration tablet)、即分解性錠剤、発泡性錠剤、またはカプレットが含まれる)、丸剤、粉末(無菌包装された粉末、分配粉末(dispensable powder)又は発泡性粉末が含まれる)、カプセル(例えば動物由来のゼラチンもしくは植物由来のHPMCで作られたカプセル、または「スプリンクルカプセル」等の軟性および硬性の両方のカプセルを含む)、固体分散剤、固体溶液、生体内分解性剤形、放出制御剤、パルス放出剤形、多粒子剤形、ペレット、顆粒、またはエアロゾルの形があり得る。他の実施形態において、医薬製剤は粉末の形である。さらに他の実施形態において、医薬製剤は錠剤の形であり、速溶錠剤を含むがこれに限定されない。さらに、本明細書に記載されている医薬製剤は単一カプセルとして又は複数のカプセル剤形として投与され得る。幾つかの実施形態において医薬製剤は、2つ、3つ、4つのカプセル又は錠剤により投与される。
幾つかの実施形態において、例えば錠剤、発泡性の錠剤及びカプセルである固形剤形は、式(A1−A6)、式(B1−B6)、式(C1−C6)、もしくは式(D1−D6)のいずれかの化合物の粒子に、一以上の薬学的な賦形剤を混合することにより調製され、バルクブレンド組成物を形成する。これらのバルクブレンド組成物が均一であると言及するとき、それは式(A1−A6)、式(B1−B6)、式(C1−C6)、もしくは式(D1−D6)のいずれかの化合物の粒子が、組成物の中で均等に分散されて、故に組成物が容易に同様に有効な単位の剤形である錠剤、丸剤、およびカプセルなどにさらに分割され得ることを意味している。個々の単一投与はまた、被膜コーティングも含み、それは経口摂取により又は希釈剤への接触により分解する。これらの製剤は、従来の薬学的技術により製造することができる。
従来の薬学的技術には、例えば一つのまたは組み合わせによる以下の方法:(1)乾式複合化法、(2)直接圧縮、(3)製粉、(4)乾式もしくは非水性造粒法、(5)湿式造粒法又は(6)融合、が含まれる。例えば、Lachman et al., The Theory and Practice of Industrial Pharmacy (1986)を参照されたい。他の方法は、例えば噴霧乾燥、パンコーティング、溶融粒状化、粒状化、流動床噴霧乾燥またはコーティング(例えば、ヴルスターコーティング)、タンジェンシャルコーティング、トップスプレー法、錠剤化、押し出し法などを含む。
本明細書に記載されている薬学的な固形剤形は、本明細書に記載されている化合物、および一以上の医薬的に許容される添加剤である適合性担体、結合剤、充填剤、懸濁化剤、香味料、甘味剤、崩壊剤、分散剤、界面活性剤、潤滑剤、着色剤、希釈剤、可溶化剤、加湿剤、可塑剤、安定化剤、浸透促進剤、湿潤剤、消泡剤、抗酸化剤、保存剤、またはこれらの一以上の組み合わせを含み得る。また他の態様において、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 20th Edition (2000)に記載されているような標準のコーティング手順を用い、被膜コーティングは式(A1−A6)、式(B1−B6)、式(C1−C6)、もしくは式(D1−D6)のいずれかの化合物の製剤のまわりに提供される。一つの実施形態において、式(A1−A6)、式(B1−B6)、式(C1−C6)、もしくは式(D1−D6)のいずれかの化合物の粒子の一部又は全部がコーティングされる。別の実施形態において、式(A1−A6)、式(B1−B6)、式(C1−C6)、もしくは式(D1−D6)のいずれかの化合物の粒子の一部又は全部がマイクロカプセル化される。さらに別の実施形態において、式(A1−A6)、式(B1−B6)、式(C1−C6)、もしくは式(D1−D6)のいずれかの化合物の粒子は、マイクロカプセル化されておらず、またコーティングされていない。
本明細書に記載されている固形剤形に用いるのに適した担体は、これらに限定されないが、アカシア、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、マルトデキストリン、グリセリン、ケイ酸マグネシウム、カゼインナトリウム、大豆レシチン、塩化ナトリウム、リン酸三カルシウム、リン酸二カリウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、カラゲナン、モノグリセリド、ジグリセリド、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレート、ショ糖、微結晶性セルロース、ラクトース、マンニトール等を含む。
本明細書に記載されている固形剤形に用いるのに適した充填剤は、これらに限定されないが、ラクトース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶性セルロース、セルロース粉末、デキストロース、デキストレート、デキストラン、デンプン、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルメチルフタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレート(HPMCAS)、ショ糖、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコール、等を含む。
式(A1−A6)、式(B1−B6)、式(C1−C6)、もしくは式(D1−D6)のいずれかの化合物を固体剤形マトリックスから可能なかぎり効果的に放出するため、特に剤形が結合剤により圧縮されているときに、製剤に崩壊剤がしばしば用いられる。崩壊剤は、水分が剤形に吸収されるときの膨張または毛細管現象によって、剤形マトリックスの破壊に役立つ。本明細書に記載されている固形剤形に用いるのに適した崩壊剤は、これらに限定されないが、天然デンプンであるトウモロコシデンプン又はジャガイモデンプン、アルファ化デンプンであるNational1551もしくはAmijel(登録商標)、又はデンプングリコール酸ナトリウムであるPromogel(登録商標)もしくはExplotab(登録商標)、セルロースである木材製品、メチル結晶性セルロース、例えばAvicel(登録商標)、Avicel(登録商標)PH101、Avicel(登録商標)PH102、Avicel(登録商標)PH105、Elcema(登録商標)P100、Emcocel(登録商標)、Vivacel(登録商標)、Ming Tia(登録商標)及びSolka−Floc(登録商標)、メチルセルローショ糖カルメロース、または架橋セルロースである架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(Ac−Di−Sol(登録商標))、架橋カルボキシメチルセルロース、又は架橋クロスカルメロース、架橋デンプンであるデンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポリマーであるクロスポビドン、架橋ポリビニルピロリドン、アルギン酸塩であるアルギン酸もしくはアルギン酸ナトリウム、クレイであるVeegum(登録商標)HV(ケイ酸アルミニウムマグネシウム)、ガムである寒天、グアー、イナゴマメ、カラヤガム、ペクチン、もしくはトラガント、デンプングリコール酸ナトリウム、ベントナイト、天然海綿、界面活性剤、樹脂である陽イオン交換樹脂、柑橘類パルプ、ラウリル硫酸ナトリウム、デンプンと併用したラウリル硫酸ナトリウムなどを含む。
結合剤は、固体経口剤形の製剤に接着性を与える:粉末充填カプセル製剤において、軟性又は硬性の殻のカプセルに充填され得るプラグ形成を助け、並びに錠剤製剤において、圧縮後に錠剤が損なわれないことを確実にし、および圧縮または充填段階より前に、均一に混合することを保証する。本明細書に記載されている固形剤形の結合剤に用いるのに適した材料は、これらに限定されないが、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース(例えば、Methocel(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、ヒプロメルロースUSPフォーマコート−603、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレート(アコート(Aqoate)HS−LFおよびHS)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、Klucel(登録商標))、エチルセルロース(例えば、Ethocel(登録商標))、および微結晶性セルロース(例えば、Avicel(登録商標))、微結晶性デキストロース、アミロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、多糖酸、ベントナイト、ゼラチン、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルのコポリマー、クロスポビドン、ポビドン、デンプン、アルファ化デンプン、トラガント、デキストリン、糖であるショ糖(例えば、Dipac(登録商標))、グルコース、デキストロース、糖蜜、マンニトール、ソルビトール、キシリトール(例えば、Xylitab(登録商標))、ラクトース、天然または合成ガムであるアカシア、トラガント、ガッチガム(ghatti gum)、イサポールハスク(isapol husks)の粘液、デンプン、ポリビニルピロリドン(例えば、Povidone(登録商標)CL、Kollidon(登録商標)CL、Polyplasdone(登録商標)XL−10、およびPovidone(登録商標)K−12)、カラマツアラボガラクタン、Veegum(登録商標)、ポリエチレングリコール、ワックス、アルギン酸ナトリウム等を含む。
一般に、結合剤の割合が20−70%であるものが粉末充填ゼラチンカプセル製剤に用いられる。錠剤製剤において結合剤を使用する割合は、直接圧縮、湿式造粒法、ローラー圧縮、またはそれ自体が中程度の結合剤としてふるまうことができる充填剤のような他の賦形剤を使用するかどうかによって異なる。当該技術に熟達した調合者(formulator)は、製剤における結合剤の割合を決定することができるが、錠剤製剤では結合剤を使用する割合は70%までが一般的である。
本明細書に記載されている固形剤形に用いるのに適した潤滑剤または流動促進剤には、ステアリン酸、水酸化カルシウム、タルク、トウモロコシデンプン、フマル酸ステアリルナトリウム、アルカリ金属およびアルカリ土類金属塩であるアルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ワックス、Stearowet(登録商標)、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ポリエチレングリコールまたはメトキシポリエチレングリコールであるCarbowax(商標)、PEG4000、PEG5000、PEG6000、プロピレングリコール、オレイン酸ナトリウム、ベヘン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリン、安息香酸グリセリル、ラウリル硫酸マグネシウムまたはラウリル硫酸ナトリウムなどが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書に記載されている固形剤形に用いるのに適した希釈剤は、これらに限定されないが、糖類(ラクトース、ショ糖、およびデキストロースを含む)、多糖(デキストレートおよびマルトデキストリンを含む)、ポリオール(マンニトール、キシリトール、およびソルビトールを含む)、シクロデキストリン等を含む。
用語「非水溶性希釈剤」は、医薬品の製剤に用いられる典型的な化合物を表し、それらは例えばリン酸カルシウム、硫酸カルシウム、デンプン、修飾デンプンおよび微結晶性セルロース、並びにミクロセルロース(例えば約0.45g/cm3の密度を有する、例えばAvicel、粉末セルロース)、並びにタルクである。
本明細書に記載されている固形剤形に用いるのに適した湿潤剤には、例えばオレイン酸、モノステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、四級アンモニウム化合物(例えばPolyquat10(登録商標))、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ドクサートナトリウム、トリアセチン、ビタミンE TPGSなどが含まれる。
本明細書に記載されている固形剤形に用いるのに適した界面活性剤には、例えばラウリル硫酸ナトリウム、モノオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリソルベート、ポロクサマー、胆汁塩、モノステアリン酸グリセリル、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドのコポリマー、例えばPluronic(登録商標)(BASF)などが含まれる。
本明細書に記載されている固形剤形に用いるのに適した懸濁化剤は、これらに限定されないが、ポリビニルピロリドン、例えばポリビニルピロリドンK12、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25又はポリビニルピロリドンK30、ポリエチレングリコール、例えばポリエチレングリコールは約300から約6000、もしくは約3350から約4000、もしくは約7000から約5400の分子量を有し得る、ビニルピロリドン/酢酸ビニルのコポリマー(S630)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリソルベート80、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ガムである例えばトラガントガム及びアカシアガム、グアーガム、キサンタンガムを含むキサンタン、糖、セルロース化合物である例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリソルベート80、アルギン酸ナトリウム、ポリエトキシレート化モノラウリン酸ソルビタン、ポリエトキシレート化モノラウリン酸ソルビタン、ポビドン等を含む。
本明細書に記載されている固形剤形に用いるのに適した抗酸化剤は、例えばブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、アスコルビン酸ナトリウム及びトコフェロールを含む。
当然のことながら、本明細書に記載されている固形剤形に用いる添加剤の間ではかなりの重複がある。ゆえに上述の添加剤は、本明細書に記載されている固形剤形に含まれ得る添加剤の種類に関して、単に例示的で、限定されることのないものとして見なされるべきである。そのような添加剤の量は、目的とする特定の性質に応じて、当業者によって容易に決定することができる。
他の実施形態において、医薬製剤の層は一以上が可塑化される。説明すると、固体であれ液体であれ、可塑剤は一般的に高い沸点を有する。適した可塑剤は、コーティング組成物の重量(w/w)にして約0.01%から約50%を加えることができる。可塑剤は、これらに限定されないが、ジエチルフタレート、クエン酸エステル、ポリエチレングリコール、グリセロール、アセチル化グリセリド、トリアセチン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、セバシン酸ジブチル、ステアリン酸、ステアロール、ステアリン酸塩、およびヒマシ油を含む。
圧縮された錠剤は、上記の製剤のバルクブレンドを圧縮することにより製剤された固形剤形である。様々な実施形態において、圧縮された錠剤で、口の中で溶解するよう意図されているものには、一以上の香味料が含まれる。他の実施形態において、圧縮された錠剤には最終の圧縮された錠剤を囲む被膜が含まれる。幾つかの実施形態において、被膜コーティングは、製剤から式(D)又は第二の薬剤の化合物の遅延放出を提供できる。他の実施形態において被膜コーティングは、患者の薬剤服用のコンプライアンスに役立つ(例えばOpadry(登録商標)コーティングまたは糖コーティング)。被膜コーティングにはOpadry(登録商標)が含まれ、典型的に錠剤重量に対して約1%から約3%の範囲である。他の実施形態において、圧縮された錠剤には一以上の賦形剤が含まれる。
カプセルは例えば、上記の式(D)又は第二の薬剤のいずれかの化合物の製剤のバルクブレンドを、カプセルの中に入れることにより製剤され得る。幾つかの実施形態において製剤(非水性懸濁化剤および溶液)は、軟ゼラチンカプセルに入れられる。他の実施形態において、製剤は標準ゼラチンカプセルまたは非ゼラチンカプセルで、例えばHPMCを含むようなカプセルに入れられる。他の実施形態において、製剤はスプリンクルカプセルに入れられ、そのカプセルは丸ごと飲み込むか、又はカプセルは開封され、その内容物が食前に食べ物に振りかけられ得る。幾つかの実施形態において、治療上の用量は複数(例えば2、3または4)のカプセルに分けられる。幾つかの実施形態において、製剤における全ての用量は1つのカプセルの形で供給される。
様々な実施形態において、式(D)又は第二の薬剤の化合物の粒子、および一以上の賦形剤は、錠剤のような塊へ乾式混合されおよび圧縮され、この塊は例えば、経口投与の後に約30分以下、約35分以下、約40分以下、約45分以下、約50分以下、約55分以下、もしくは約60分以下以内に実質的に崩壊し、これにより製剤を胃腸液に放出する医薬組成物を提供するのに十分な硬度を有する。
別の実施形態において、剤形にはマイクロカプセル化製剤が含まれ得る。幾つかの実施形態において一以上の他の適合性材料がマイクロカプセル化物質の中に含まれる。例示的な材料は、これらに限定されないが、pH調整剤、崩壊促進剤、消泡剤、抗酸化剤、香味料、並びに担体材料である結合剤、懸濁化剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、可溶化剤、安定化剤、潤滑剤、湿潤剤、および希釈剤が含まれる。
本明細書に記載されているマイクロカプセル化に有用である物質には式(D)又は第二の薬剤のいずれかの化合物と適合な物質が含まれ、それは他の適合でない賦形剤から式(D)又は第二薬剤のいずれかの化合物を十分に分離する。式(D)又は第二薬剤のいずれかの化合物と適合な物質は、インビボで式(D)又は第二薬剤のいずれかの化合物の放出を遅らせるものである。
本明細書に記載されている化合物を含む製剤の遅延放出に有用である代表的なマイクロカプセル化物質には、これらに限定されないが、ヒドロキシプロピルセルロースエーテル(HPC)であるKlucel(登録商標)もしくはニッソーHPC(Nisso HPC)、低置換ヒドロキシプロピルセルロースエーテル(L−HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテル(HPMC)であるセピフィルム−LC、Pharmacoat(登録商標)、メトロースSR、Methocel(登録商標)−E、Opadry(登録商標)YS、プリマフロ(PrimaFlo)、ベネセルMP824、およびベネセルMP843、メチルセルロースポリマーであるMethocel(登録商標)−A、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレートAQOAT(HF−LS、HF−LG、HF−MS)およびMetolose(登録商標)、エチルセルロース(EC)およびこれらの混合物であるE461、Ethocel(登録商標)、Aqualon(登録商標)−EC、Surealease(登録商標)、ポリビニルアルコール(PVA)であるオパドライAMB、ヒドロキシエチルセルロースであるNatrosol(登録商標)、カルボキシメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース(CMC)の塩であるAqualon(登録商標)−CMC、ポリビニルアルコールおよびポリエチレングリコールのコポリマーであるKollicoat IR(登録商標)、モノグリセリド(マイベロール)、トリグリセリド(KLX)、ポリエチレングリコール、修飾食用デンプン、アクリルポリマーおよびEudragit(登録商標)EPO、Eudragit(登録商標)L30D−55、Eudragit(登録商標)FS30D、Eudragit(登録商標)L100−55、Eudragit(登録商標)L100、Eudragit(登録商標)S100、Eudragit(登録商標)RD100、Eudragit(登録商標)E100、Eudragit(登録商標)L12.5、Eudragit(登録商標)S12.5、Eudragit(登録商標)NE30D、もしくはEudragit(登録商標)NE40Dのようなセルロースエーテルをアクリルポリマーに加えた混合物、セルロースアセテートフタレート、HPMCおよびステアリン酸の混合物のようなセピフィルム、シクロデキストリン、並びにこれらの物質の混合物が含まれる。
他の実施形態において、可塑剤であるポリエチレングリコール、例えばPEG300、PEG400、PEG600、PEG1450、PEG3350、およびPEG800、ステアリン酸、プロピレングリコール、オレイン酸、並びにトリアセチンはマイクロカプセル化物質に組み込まれる。他の実施形態において、医薬組成物の遅延放出に有用であるマイクロカプセル化物質は、USPまたは国民医薬品集(NF)からのものである。さらに他の態様において、マイクロカプセル化物質はKlucel(登録商標)である。また他の実施形態において、マイクロカプセル化物質はメソセルである。
マイクロカプセル化されている式(D)又は第二の薬剤のいずれかの化合物は、当業者に周知な方法により製剤され得る。そのような周知の方法には、例えば噴霧乾燥プロセス、回転盤溶媒(spinningdisk−solvent)プロセス、熱溶解プロセス、噴霧冷却法、流動床、静電沈着、遠心押出、回転懸濁分離(rotational suspension separation)、液体−気体もしくは固体−気体界面における重合、押出圧力、または溶媒抽出液のスプレーが含まれる。これらに加えて複数の化学技術、例えば複合コアセルベーション、溶媒蒸発、ポリマーポリマー不適合性、液体媒体における界面重合、インサイチュ重合、液体の中での乾燥、および液体媒体における脱溶媒和も用いることができる。さらに他の方法として、ローラー圧縮、押出/球形化、液滴形成、またはナノ粒子コーティングなども用いられ得る。
1つの実施形態において、式(D)又は第二の薬剤のいずれかの化合物の粒子は、上記の形の一つに製剤される前にマイクロカプセル化される。また別の実施形態において、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 20th Edition(2000)に記載されている標準のコーティング手順によって、さらに製剤される前に一部もしくはそのほとんどの粒子はコーティングする。
他の実施形態において、式(D)又は第二の薬剤のいずれかの化合物の固体製剤は、一以上の層とともに可塑化されている(コーティングされている)。説明すると、固体であれ液体であれ、可塑剤は一般的に高い沸点を有する。適した可塑剤は、コーティング組成物の重量(w/w)にして約0.01%から約50%を加えることができる。可塑剤には、これらに限定されないが、ジエチルフタレート、クエン酸エステル、ポリエチレングリコール、グリセロール、アセチル化グリセリド、トリアセチン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、セバシン酸ジブチル、ステアリン酸、ステアロール、ステアレート、およびヒマシ油が含まれる。
他の実施形態において、本明細書に記載されている式(D)又は第二の薬剤のいずれかの化合物を有する製剤を含む粉末は、一以上の医薬的な賦形剤および香味料を含むように製剤され得る。そのような粉末は、例えば、製剤およびバルクブレンド組成物を形成するための随意の医薬的賦形剤の混合により調製され得る。付加的な態様において、懸濁化剤及び/又は湿潤剤も含まれる。このバルクブレンドは、一律に、単一用量パッケージングまたは複数用量パッケージングの単位に分割される。
他の実施形態において、発泡性粉末もまた、本明細書の開示に従って調製される。発泡性塩は、経口投与のため、医薬を水の中で分散するために用いられている。発泡性塩は顆粒もしくは粗い粉末であり、重炭酸ナトリウム、クエン酸および/または酒石酸で通常構成される乾燥混合物の中の薬剤を含む。本明細書に記載されている組成物の塩を水に加えると、酸および塩基は炭酸ガスを遊離するように反応し、これにより「泡立ち」が起こる。発泡性塩の例は、例えば重炭酸ナトリウム、又は重炭酸ナトリウム及びナトリウム炭酸塩の混合物、クエン酸及び/又は酒石酸等の成分を含む。二酸化炭素の遊離をもたらす、いずれの酸−塩基の組み合わせは、重炭酸ナトリウム並びにクエン酸および酒石酸の組み合わせの代わりに用いることができるが、これは成分が医薬的使用に適しており、約6.0以上のpHをもたらす場合に限る。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されている固形剤形は、腸溶コーティングされている遅延放出の経口剤形として、すなわち消化管の小腸の中で放出を及ぼすために腸溶コーティングを利用する、本明細書に記載されている医薬組成物の経口剤形として、製剤することができる。腸溶コーティングされている剤形は、圧縮され又は型にはめられもしくは押出された錠剤形(コーティングの有無を問わない)であり得て、活性成分および/または他の組成物成分でそれら自体がコーティングされている又はコーティングされていないものの顆粒、粉末、ペレット、ビーズもしくは粒子を含み得る。腸溶コーティングされている経口剤形はまた、固体担体または組成物でそれら自体がコーティングされている又はコーティングされていないもののペレット、ビーズもしくは顆粒を含むカプセル(コーティングの有無を問わない)としてもあり得る。
本明細書で用いられている用語「遅延放出」は、もし遅延放出の変化がない場合達成されていたであろう、腸管の中のやや一般的に予測可能な位置より末梢に、放出が達成され得ることによる送達を指す。幾つかの実施形態において、放出の遅延方法はコーティングである。任意のコーティングは、全体のコーティングが胃腸液の中においてpH約5以下では溶解しないが、pH約5以上で溶解するための、十分な厚さに適合されるべきである。期待されることは、pH依存溶解特性を示すいずれかの陰イオン性ポリマーは、下部消化管への送達を達成するため、本明細書に記載されている方法および組成物において、腸溶コーティングとして用いることができるということである。幾つかの実施形態において、本明細書に記載されているポリマーは、陰イオン性のカルボン酸重合体である。他の実施形態においては、ポリマーおよびこれらの混合可能な混合物、並びにそれらのいくつかの性質が含まれるが、以下に限定されない。
シェラック(また精製ラックとも呼ばれている)は、昆虫の樹脂性分泌物から得られる精製された産物である。このコーティングは、pH>7の媒体で溶解する。
アクリルポリマー。アクリルポリマーの性能(本来それらは、生体液で溶解)は、置換の程度および種類に基づいて変わることができる。適したアクリルポリマーの例には、メタクリル酸コポリマー、およびメタクリル酸アンモニウムコポリマーが含まれる。オイドラギットシリーズE、L、S、RL、RSおよびNE(ロームファルマ社)は、有機溶媒、水性分散、または乾燥粉末において、可溶化されたものとして利用できる。オイドラギットシリーズRL、NE、およびRSは胃腸管の中で不溶性だが、浸透性を有し、また本来は結腸を標的に用いられている。オイドラギットシリーズEは、胃の中で溶解する。オイドラギットシリーズL、L−30DおよびSは、胃の中で不溶性であり、腸の中で溶解する。
セルロース誘導体。適したセルロース誘導体の例は、エチルセルロース、セルロースの部分酢酸エステルと無水フタル酸による反応混合物である。その性能は、置換の程度および種類に基づいて変えることができる。酢酸フタル酸セルロース(CAP)は、pH>6において溶解する。アクアテリック(FMC)は、水性ベースの系であり、また粒子<1μmを有する噴霧乾燥したCAP偽ラテックス(psuedolatex)である。アクアテリックの他の成分には、プルロニクス、Tween、およびアセチル化モノグリセリドが含まれ得る。他の適したセルロース誘導体には、トリメリト酸酢酸セルロース(イーストマン)、メチルセルロース(フォーマコート、メソセル)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースサクシネート(HPMCS)、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(例えば、AQOAT(信越))が含まれる。その性能は、置換の程度および種類に基づいて変えることができる。例えば、HPMCPであるHP−50、HP−55、HP−55S、HP−55Fのグレードが適している。その性能は、置換の程度および種類に基づいて変えることができる。例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの適当なグレードには、AS−LG(LF)でpH5で溶解するもの、AS−MG(MF)でpH5.5で溶解するもの、およびAS−HG(HF)でより高いpHで溶解するものが含まれるが、これらに限定されない。これらのポリマーは、顆粒として、または微細な粉末として、水性分散液に提供される。ポリ酢酸フタル酸ビニル(PVAP)。PVAPはpH>5で溶解し、またそれは水蒸気および胃液に対する浸透性がずっと低い。
幾つかの実施形態において、コーティングは通常そうであるように、可塑剤を含みあるいは他の可能なコーティング賦形剤である着色剤、タルク、及び/又はステアリン酸マグネシウム(これらは周知技術である)を含むことができる。適した可塑剤には、クエン酸トリエチル(シトロフレックス2)、トリアセチン(トリ酢酸グリセリル)、アセチルクエン酸トリエチル(シトロフレックA2)、カルボワックス400(ポリエチレングリコール400)、フタル酸ジエチル、クエン酸トリブチル、アセチル化モノグリセリド、グリセロール、脂肪酸エステル、プロピレングリコール、およびフタル酸ジブチルが含まれる。とりわけ陰イオン性のカルボン酸アクリルポリマーは、通常可塑剤、特にフタル酸ジブチル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチルおよびトリアセチンの重量の10−25%を含む。従来のコーティング技術である噴霧またはパンコーティングは、コーティングに適用するため用いられる。コーティングの厚さは、腸管の中で局所的な送達により目的部位に届くまで、経口剤形が損なわれないままであることを保障するのに十分でなければならない。
コーティング物質を可溶化または分散するため、並びにコーティング性能およびコーティングされている産物を改善するために、可塑剤以外に着色剤、粘着性消失剤、界面活性剤、消泡剤、潤滑剤(例えばカルナウバワックスまたはPEG)もコーティングに加えられ得る。
他の実施形態において、本明細書に記載されている製剤で、式(D)又は第二の薬剤の化合物を含むものは、パルス型用量剤形を用いて送達される。パルス型剤形は、制御された遅延時間の後の所定の時点、または特定部位において、一以上の即時のパルス放出を提供することができる。他の多くの種類の放出制御系は、当業者に周知であり、また本明細書に記載されている製剤に用いるのに適している。そのような送達系の例には、例えばポリマーに基づく(polymer−based)系であるポリ乳酸およびポリグリコール酸、水素化ピラン(plyanhydrides)およびポリカプロラクトン;多孔質マトリックス、非ポリマー系でない脂質でステロールを含み、例えばコレステロール、コレステロールエステルおよび脂肪酸、または中性脂肪で例えばモノ、ジ、およびトリグリセリド;ヒドロゲル放出系;シラスティック系;ペプチド系;ワックスコーティング、生体内分解性の剤形、従来の結合剤を用いた圧縮された錠剤などが含まれる。例えば以下を参照されたい、Liberman et al., Pharmaceutical Dosage Forms, 2 Ed., Vol. 1, pp. 209−214 (1990), Singh et al., Encyclopedia of Pharmaceutical Technology, 2nd Ed., pp. 751−753 (2002), 米国特許第4,327,725号、4,624,848号、4,968,509号、5,461,140号、5,456,923号、5,516,527号、5,622,721号、5,686,105号、5,700,410号、5,977,175号、6,465,014号、および6,932,983号、これらのそれぞれは特に引例として援用されている。
幾つかの実施形態において医薬製剤が提供されており、それは本明細書に記載されている式(D)又は第二の薬剤のいずれかの化合物の粒子、及び被験体の経口投与のための少なくとも一つの分散剤または懸濁化剤を含む。その製剤は、懸濁のための粉末及び/又は顆粒であり得て、水との混合により実質的に均一な懸濁液が得られる。
経口投与のための液体製剤は、水性懸濁化剤が可能で、これらに限定されないが、医薬的に許容される経口水性分散液、エマルジョン、溶液、エリキシル剤、ゲル、およびシロップを含む群から選択される。例えば、Singh et al., Encyclopedia of Pharmaceutical Technology, 2nd Ed., pp. 754−757 (2002)を参照されたい。式(A1−A6)の化合物の粒子に加えて、液体剤形は以下の添加剤を含み得る:(a)崩壊剤、(b)分散剤、(c)湿潤剤、(d)少なくとも一つの保存剤、(e)増粘剤、(f)少なくとも一つの甘味料、および(g)少なくとも一つの香味料。幾つかの実施形態において、水性分散液はさらに結晶性阻害剤を含むことができる。
本明細書に記載されている水性懸濁液および分散液は、少なくとも4時間は均一な状態のままでいることができ、これはUSP薬剤師薬局方(USP Pharmacists’ Pharmacopeia)(2005年版,905章)に定義されている。均一性は組成物全体の均一性の決定と一致するような方法で決定されるべきである。1つの実施形態において、水性懸濁液は1分以下の物理的な攪拌により再び懸濁されて均一な懸濁液となり得る。別の実施形態において、水性懸濁液は45秒以下の物理的な攪拌により再び懸濁されて均一な懸濁液となり得る。さらに別の実施形態において、水性懸濁液は30秒以下の物理的な攪拌により、再び懸濁されて均一な懸濁液となり得る。別の実施形態において、均一な水性分散液を維持するために、攪拌は必要でない。
水性懸濁液および分散液において用いる崩壊剤の例には、これらに限定されないが、デンプン、例えば、天然デンプンであるトウモロコシデンプンもしくはジャガイモデンプン、アルファ化デンプンであるNational1551もしくはAmijel(登録商標)、またはデンプングリコール酸ナトリウムであるPromogel(登録商標)もしくはExplotab(登録商標);セルロースである木材製品、メチル結晶性セルロース、例えば、Avicel(登録商標)、Avicel(登録商標)PH101、Avicel(登録商標)PH102、Avicel(登録商標)PH105、Elcema(登録商標)P100、Emcocel(登録商標)、Vivacel(登録商標)、MingTia(登録商標)、およびSolka−Floc(登録商標)、メチルセルローショ糖カルメロース、または架橋セルロースである架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(Ac−Di−Sol(登録商標))、架橋カルボキシメチルセルロース、もしくは架橋クロスカルメロース;架橋デンプンであるデンプングリコール酸ナトリウム;架橋ポリマーであるクロスポビドン;架橋ポリビニルピロリドン;アルギン酸もしくはアルギン酸塩であるアルギン酸ナトリウム;クレイであるVeegum(登録商標)HV(ケイ酸アルミニウムマグネシウム);ガムである寒天、グアー、イナゴマメ、カラヤガム、ペクチン、もしくはトラガント、デンプングリコール酸ナトリウム、ベントナイト、天然海綿、界面活性剤、樹脂である陽イオン交換樹脂、柑橘類パルプ、ラウリル硫酸ナトリウム、デンプンと併用したラウリル硫酸ナトリウム、などが含まれる。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されている水性懸濁液および分散液に適した分散剤は周知技術であり、例えば親水性ポリマー、電解質、Tween(登録商標)60もしくは80、PEG、ポリビニルピロリドン(PVP;商業的にPlasdone(登録商標)として知られている)、並びに炭水化物に基づく分散剤である例えば、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースエーテル(例えばHPC、HPC−SL、およびHPC−L)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテル(例えばHPMCK100、HPMCK4M、HPMCK15M、およびHPMCK100M)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレート、非結晶性セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルのコポリマー(Plasdone(登録商標)、例えば、S−630)、エチレンオキサイドおよびホルムアルデヒド(チロキサポールとしても知られている)を加えた4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール重合体、ポロクサマー(例えば、PluronicsF68(登録商標)、F88(登録商標)、およびF108(登録商標)でこれらはエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドのブロックコポリマーである);並びにポロキサミン(例えば、Tetronic 908(登録商標)、Poloxamine908(登録商標)としても知られていて、それはプロピレンオキサイドおよびエチレンオキサイドをエチレンジアミンへ逐次付加して生じる四官能性ブロックコポリマー(BASF社、パーシパニー(Parsippany)、N.J.)が含まれる。他の実施形態において、分散剤は以下の剤を一つも含まない群から選択される:親水性ポリマー;電解質;Tween(登録商標)60もしくは80;PEG;ポリビニルピロリドン(PVP);ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースエーテル(例えば、HPC、HPC−SL、およびHPC−L);ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテル(例えばHPMCK100、HPMCK4M、HPMCK15M、HPMCK100M、およびPharmacoat(登録商標)USP2910(信越));カルボキシメチルセルロースナトリウム;メチルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース;ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート;ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレート;非結晶性セルロース;ケイ酸アルミニウムマグネシウム;トリエタノールアミン;ポリビニルアルコール(PVA);エチレンオキサイドおよびホルムアルデヒドを加えた4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール重合体;ポロクサマー(例えば、Pluronics F68(登録商標)、F88(登録商標)、およびF108(登録商標)、それらはエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドのブロックコポリマーである);またはポロキサミン(例えば、Tetronic908(登録商標)、Poloxamine908(登録商標)としても知られている)。
本明細書に記載されている水性懸濁液および分散液に適した湿潤剤は周知のものであり、これらに限定されないが、セチルアルコール、グリセロールモノステアリン酸塩、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、市販のTween(登録商標)である例えば、Tween20(登録商標)およびTween80(登録商標)(ICIスペシャルティケミカルズ社))、並びにポリエチレングリコール(例えば、Carbowax3350(登録商標)および1450(登録商標)、並びにCarbopol934(登録商標)(ユニオンカーバイド))、オレイン酸、モノステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドクサートナトリウム、トリアセチン、ビタミンE TPGS、タウロコール酸ナトリウム、シメチコン、ホスファチジルコリンなどが含まれる。
本明細書に記載されている水性懸濁液および分散液に適した保存料は、例えばソルベート酸カリウム、パラベン(例えば、メチルパラベンおよびプロピルパラベン)、安息香酸およびそれの塩、ブチルパラベンのようなパラヒドロキシ安息香酸の他のエステル、アルコールであるエチルアルコールまたはベンジルアルコール、フェノール化合物であるフェノール、並びに第4級化合物である塩化ベンザルコニウムが含まれる。本明細書で用いるように、保存剤は微生物増殖を阻害するのに十分な濃度で剤形に組み込まれている。
本明細書に記載されている水性懸濁液および分散液に適した増粘剤は、これらに限定されないが、メチルセルロース、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、Plasdon(登録商標)S−630、カルボマー、ポリビニルアルコール、アルギン酸塩、アカシア、キトサンおよびこれらの配合剤を含む。増粘剤の濃度は、選択された薬剤および目的とする粘度によって決まる。
本明細書に記載されている水性懸濁液および分散液に適した甘味料の例には、例えばアカシアシロップ、アセルフェームK、アリテーム、アニス、リンゴ、アスパルテーム、バナナ、ババロア、ベリー、黒スグリ、バタースコッチ、クエン酸カルシウム、樟脳、カラメル、チェリー、チェリークリーム、チョコレート、シナモン、バブルガム、シトラス、シトラスパンチ、シトラスクリーム、コットンキャンディ、ココア、コーラ、クールチェリー、クールシトラス、シクラメート、シラメート、デキストロース、ユーカリノキ、オイゲノール、フルクトース、フルーツポンチ、ジンジャー、グリシルレチン酸、甘草(リコリス)シロップ、ブドウ、グレープフルーツ、蜂蜜、イソモルト、レモン、ライム、レモンクリーム、グリチルレチン酸一アンモニウム(Magnasweet(登録商標))、マルトール、マンニトール、メープル、マシュマロ、メントール、ミントクリーム、ミックスベリー、ネオヘスペリジンDC、ネオテーム、オレンジ、洋なし、モモ、ペパーミント、ペパーミントクリーム、Prosweet(登録商標)粉末、ラスベリー、ルートビアー、ラム、サッカリン、サフロール、ソルビトール、スペアミント、スペアミントクリーム、イチゴ、イチゴクリーム、ステビア、スクラロース、ショ糖、サッカリン酸ナトリウム、サッカリン、アスパルテーム、アセルフェームカリウム、マンニトール、タリン、スクラロース、ソルビトール、スイスクリーム、タガトース、タンジェリン、タウマチン、トゥッティフルッティ(tutti fruitti)、バニラ、クルミ、スイカ、ワイルドチェリー、ウィンターグリーン、キシリトール、またはこれらの香料成分の任意の組み合わせ、例えば、アニス−メントール、チェリー−アニス、シナモン−オレンジ、チェリー−シナモン、チョコレート−ミント、ハニー−レモン、レモン−ライム、レモン−ミント、メントール−ユーカリ、オレンジ−クリーム、バニラ−ミント、およびその混合物が含まれる。1つの実施形態において、水性液体分散液は水性分散液の容積の約0.001%から約1.0%の間の濃度である甘味料または香味料を含むことができる。もう一つの実施形態において、水性液体分散液は水性分散液の容積の約0.005%から約0.5%の間の濃度である甘味料または香味料を含むことができる。またもう一つの実施形態において、水性液体分散液は水性分散液の容積の約0.01%から約1.0%の間の濃度である甘味料または香味料を含むことができる。
上記に記載した添加剤に加えて、液体製剤は技術的に一般に用いられる不活性な希釈剤である水または他の溶媒、可溶化剤、および乳化剤も含むことができる。例示的な乳化剤は、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、ラウリル硫酸ナトリウム、ドクサートナトリウム、コレステロール、コレステロールエステル、タウロコール酸、ホスファチジルコリン、油である綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、またはこれらの物質の混合物などである。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されている医薬製剤は自己乳化ドラッグデリバリーシステム(SEDDS)とすることができる。エマルジョンは別の相における一つの不混和相の分散液で、通常は液滴の形である。一般的に、エマルジョンは激しい力学的な分散によって作られる。エマルジョン又はマイクロエマルジョンとは反対にSEDDSは、任意の外部からの力学的な分散又は攪拌を伴わずに過剰の水が加えられたとき、自発的にエマルジョンを形成する。溶液の中で液滴を分配するために必要なのは、穏やかな混合だけであるということがSEDDSの利点である。また、水または水相を投与の直前に加えることができ、これは不安定なまたは疎水性活性成分の安定性を確保する。ゆえにSEDDSは、疎水性活性成分の経口および非経口送達のための有効な送達システムを提供する。SEDDSは、疎水性活性成分のバイオアビイラビリティの改善を提供し得る。自己乳化剤形の製法は周知技術であり、例えば米国特許第5,858,401号、6,667,048号および6,960,563号が含まれるが、これらに限定されることはなく、これらのそれぞれは特に引用によって組み込まれる。
当然のことながら、本明細書に記載されている水性分散液または懸濁液に用いられている上述の添加剤の間には重複がある。何故なら与えられる添加剤は異なる当業者によってしばしば異なる分類がされ、または一般に複数の異なる機能のいずれにも用いられるからである。ゆえに上述の添加剤は、本明細書に記載されている製剤に含むことのできる添加剤の種類に関して、単に代表的なものであって限定されることのないように理解されるべきである。そのような添加剤の量は、目的とする特定の性質に応じて、当業者によって容易に決定され得る。
<鼻腔内製剤>
鼻腔内製剤は周知であり、例えば米国特許第4,476,116号、5,116,817号および6,391,452号に記載されており、これらのそれぞれは特に引用によって組み込まれる。式(A1−A6)、式(B1−B6)、式(C1−C6)、もしくは式(D1−D6)のいずれかの化合物が含まれる製剤で、これらのおよび他の周知技術によって製造されるものは、ベンジルアルコールまたは他の適した保存剤、フッ化炭素、および/または他の可溶化剤もしくは分散剤で周知のものを用いて、生理食塩水で溶液として製造される。例えば、Ansel, H. C. et al., Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Sixth Ed. (1995)を参照されたい。好ましくは、これらの組成物および製剤は、適切な無毒で医薬的に許容される成分とともに製造される。これらの成分は経鼻剤形の製剤の当業者に周知であり、またそれらのいくつかは、REMINGTON: THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY, 21st edition, 2005で見つけることができ、これはこの分野の標準的な参考文献である。適した担体の選択は、目的とする経鼻剤形の実際の性質に強く依存し、例えば溶液、懸濁液、軟膏、またはゲルがある。経鼻剤形は、活性成分に加えて、一般的に多量の水を含む。pH調整剤、乳化剤もしくは分散剤、保存剤、界面活性剤、ゲル化剤、または緩衝剤、並びに他の安定化剤および可溶化剤のような他の成分も少量存在し得る。経鼻剤形は、鼻汁と等張であるべきである。
吸入による投与において、本明細書に記載されている式(D)又は第二の薬剤のいずれかの化合物はエアロゾル、噴霧または粉末の形であり得る。本明細書に記載されている医薬組成物は、適した高圧ガス、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切な気体を用いて、加圧パックまたはネブライザーによるエアロゾルスプレーの形で、適宜送達される。加圧エアロゾルの場合は、定量を送達するためのバルブを提供することにより、定量が送達され得る。そのようなカプセルおよびカートリッジのほんの一例として、インヘイラーまたは吸入器に用いるゼラチンが製剤され得て、それは本明細書に記載されている化合物の混合粉体、およびラクトースまたはデンプンのような、適した粉末ベースを含む。
<バッカル製剤>
式(D)又は第二の薬剤のいずれかの化合物を含むバッカル製剤は、様々な周知製剤を用いて投与され得る。例えば、そのような製剤には米国特許第4,229,447号、4,596,795号、4,755,386号、および5,739,136号が含まれるが、これらに限定されることはなく、これらのそれぞれは特に引用によって組み込まれる。また、本明細書に記載されているバッカル剤形は、さらに、生体内分解性(加水分解性)の重合体担体を含むことができ、それは剤形を口腔の粘膜に付着させる働きもする。バッカル剤形は、所定の時間にわたり徐々に崩壊するために作られており、式(D)又は第二の薬剤のいずれかの化合物の送達が基本的にくまなく提供される。当業者に理解されるように、バッカル製剤の送達は経口の薬剤投与がもたらす不都合、例えば遅延吸収、胃腸管に存在する液体による活性薬剤の分解、および/または肝臓における初回通過不活性化を回避する。生体内分解性(加水分解性)の重合体担体に関しては、当然のことながら、目的の薬剤放出特性が損なわれておらず、並びに、担体が式(D)又は第二の薬剤のいずれかの化合物、および口腔用量単位に存在し得る任意の他の成分と混合可能である限り、実質的にそのような担体はいずれも用いることができる。一般的に重合体担体は、口腔の粘膜の濡れた表面に付着する、親水性(水溶性および水膨潤性)ポリマーを含む。本明細書で有用な重合体担体の例には、アクリル酸ポリマーなど、例えば「カルボマー」(BFグッドリッチから得ることができる、Carbopol(登録商標)はそのようなポリマーの一つである)として知られているものが含まれる。他の成分もまた、本明細書に記載されているバッカル剤形に組み込まれ得るが、これらに限定されない、崩壊剤、希釈剤、結合剤、潤滑剤、香味料、着色剤、保存剤、などが含まれる。口腔または舌下投与のために、組成物は従来の方法により製剤される錠剤、ドロップ、またはゲルの形を取り得る。
<経皮製剤>
本明細書に記載されている経皮製剤は、当該技術分野において記載されている様々なデバイスを用いて投与され得る。例えばそのようなデバイスには、これらに限定されないが、米国特許番号第3,598,122号、3,598,123号、3,710,795号、3,731,683号、3,742,951号、3,814,097号、3,921,636号、3,972,995号、3,993,072号、3,993,073号、3,996,934号、4,031,894号、4,060,084号、4,069,307号、4,077,407号、4,201,211号、4,230,105号、4,292,299号、4,292,303号、5,336,168号、5,665,378号、5,837,280号、5,869,090号、6,923,983号、6,929,801号、および6,946,144号が含まれ、それぞれは引用によってその全体が組み込まれる。
本明細書に記載されている経皮剤形には、技術的に通常である特定の医薬的に許容される賦形剤が組み込まれ得る。1つの実施形態において、本明細書に記載されている経皮製剤には少なくとも三つの成分が含まれ、それらは:(1)式(D)又は第二の薬剤のいずれかの化合物の製剤、(2)浸透促進剤、および(3)水性補助剤である。加えて、経皮製剤にはこれらに限定されないが、付加的な成分である、ゲル化剤、クリームおよび軟膏基剤、などが含まれ得る。幾つかの実施形態において経皮製剤はさらに、吸収を高め、そして経皮製剤が皮膚から除去されることを防ぐために、織物又は織物でない裏当て材を含むことができる。他の実施形態において本明細書に記載されている経皮製剤は、皮膚の中への拡散を促進するために、飽和または過飽和状態を保持することができる。
本明細書に記載されている経皮化合物の投与に適した製剤には、経皮送達デバイスおよび経皮送達パッチを用いることができ、並びにポリマーまたは接着剤の中で溶解及び/又は分散している、親油性エマルジョンまたは緩衝水溶液となることができる。そのようなパッチは、医薬製剤の持続的な、パルス性の、またはオンデマンドの送達のために構成され得る。またさらに、本明細書に記載されている化合物の経皮送達は、イオン導入パッチの方法などにより達成することができる。また、経皮パッチは式(D)又は第二の薬剤のいずれかの化合物の制御された送達を提供できる。吸収率は、速度制限膜(rate−controlling membrane)を用いて、または化合物をポリマーマトリックスもしくはゲルの中にトラップすることによって、遅くすることができる。逆に吸収を増加するために、吸収促進剤を用いることができる。吸収促進剤または担体には、皮膚の中での移動を補助する、吸収性のある医薬的に許容される溶媒が含まれ得る。例えば経皮デバイスは、裏当て層、適宜担体を有する化合物を含むリザーバー、随意に宿主の皮膚に制御され且つ予め決められた速度で長期間にわたって化合物を送達するための速度制御されたバリアーを含む包帯であって、デバイスを皮膚に固定するための手段である。
<注射製剤>
式(D)又は第二の薬剤のいずれかの化合物を含む製剤で、筋肉内、皮下、または静脈注射に適したものには、生理学的に許容される無菌の水溶液もしくは非水溶液、分散液、懸濁液またはエマルジョン、および無菌の注射可能な溶液または分散液へと再構成するための無菌の粉末が含まれ得る。適した水性および非水性担体、希釈剤、溶剤の例は、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、クレモフォールなど)、これらの適切な混合物、植物油(例えばオリーブ油)およびオレイン酸エチルのような注射可能な有機エステルである。例えば、レシチンのようなコーティングを用いることによって、分散液の場合は要求される粒径を維持することによって、および界面活性剤の使用によって、適切な流動性を維持することができる。皮下注射に適した製剤には、添加剤である保存剤、湿潤剤、乳化剤、および分配剤が含まれ得る。微生物の発育の予防は、多様な抗菌剤および抗真菌剤である、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、などによって保証され得る。等張剤である糖、塩化ナトリウムを含めることが好ましいこともあり得る。注射可能である医薬剤形の持続的吸収は、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンのような吸収を遅らせる薬剤を用いることによってもたらすことができる。
静脈注射にあたって、本明細書に記載されている化合物は水溶液中で製剤することができて、生理学的に適合なバッファーであるハンクス溶液、リンガー溶液、または生理食塩水の緩衝液の中であることが好ましい。経粘膜投与にあたり、透過されるバリアーに対して適した浸透剤が製剤に用いられる。そのような浸透剤は一般的に周知である。他の非経口注射にあたり、適した製剤には水溶液または非水溶液を含むことができ、生理学的に混合可能な緩衝剤または賦形剤と一緒であることが好ましい。そのような賦形剤は一般的に周知である。
非経口注射には、ボーラス注入または持続的な点滴が含まれ得る。注射のための製剤は単位用量剤形、例えば加えられた保存剤とともにアンプル又は複数用量容器として存在し得る。本明細書に記載されている医薬組成物は、無菌の懸濁液、油性又は水性溶媒における溶液又はエマルジョンとして非経口注射のために適した形であり得て、並びに懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤のような製造化剤(formulatory agent)を含み得る。非経口投与用の医薬製剤には、水溶性の剤形での活性化合物の水溶液が含まれる。また、活性化合物の懸濁化剤が、適切な油性注射懸濁液として製剤され得る。適切な親油性溶媒もしくは媒体には、ゴマ油のような脂肪油、またはオレイン酸エチルもしくはトリグリセリドのような合成脂肪酸エステル、またはリポソームが含まれる。水溶液注入の懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランのような懸濁液の粘性を増加させる物質を含み得る。随意に懸濁液は適切な安定化剤または薬剤で、化合物の溶解度を増加させて高濃度溶液の調製を可能にするものも含み得る。代替的に、使用前に活性成分は適した溶媒、例えば無菌でピロゲンのない水との構成のために粉末の形であり得る。
<他の製剤>
特定の実施形態において、医薬化合物の送達系には、例えばリポソームやエマルジョンなどが用いられ得る。特定の実施形態において、本明細書で提供されている組成物は粘膜付着性ポリマーも含むことができ、それは例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボマー(アクリル酸ポリマー)、ポリメチルメタクリル樹脂、ポリアクリルアミド、ポリカルボフィル、アクリル酸/ブチルアクリレートコポリマー、アルギン酸ナトリウムおよびデキストランから選択される。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されている化合物は局所的に投与され得て、また様々な局所に投与可能である、溶液、懸濁液、ローション、ゲル、ペースト、薬用スティック、バルム、クリームまたは軟膏などの組成物に製剤され得る。そのような医薬化合物には、可溶化剤、安定化剤、張性増強剤、緩衝剤および保存剤が含まれ得る。
本明細書に記載されている化合物は、従来の坐剤の基剤であるココアバターまたは他のグリセリド、並びに合成ポリマーであるポリビニルピロリドン、PEGなどを含む、浣腸、直腸ゲル、直腸フォーム(rectal foams)、直腸エアロゾル、坐剤、ゼリー状坐剤、または停留浣腸のような直腸の組成物としても製剤され得る。組成物が坐剤の形だと、これらに限定されないが、適宜ココアバターと組み合わせた脂肪酸グリセリドの混合物のような低融点ワックスが最初に溶ける。
<投薬及び処置>
特定の実施形態において、本明細書で開示されているのは個体の血液悪性腫瘍を処置する方法であって、該方法は(a)悪性腫瘍から複数の細胞を移動するのに十分な量の不可逆的なBtk阻害剤を含む薬剤によって、前記個体に第1の処置を行う工程、及び(b)移動した複数の細胞を分析する工程、を含む。幾つかの実施形態において、不可逆的なBtk阻害剤の量は300mg/日以上1000mg/日以下である。幾つかの実施形態において、不可逆的なBtk阻害剤の量は420mg/日以上840mg/日以下である。幾つかの実施形態において、不可逆的なBtk阻害剤の量は約420mg/日、約560mg/日又は約840mg/日である。幾つかの実施形態において、不可逆的なBtk阻害剤の量は約420mg/日である。幾つかの実施形態において、不可逆的なBtk阻害剤のAUC0−24は約150から約3500ng*h/mLの間である。幾つかの実施形態において、不可逆的なBtk阻害剤のAUC0−24は約500から約1100ng*h/mLの間である。幾つかの実施形態において、Btk阻害剤は経口投与される。幾つかの実施形態において、Btk阻害剤は1日1回、1日2回又は1日3回投与される。幾つかの実施形態において、Btk阻害剤は疾患の進行、許容できない毒性又は個人の選択まで投与される。幾つかの実施形態において、Btk阻害剤は疾患の進行、許容できない毒性又は個人の選択まで連日投与される。幾つかの実施形態において、Btk阻害剤は疾患の進行、許容できない毒性又は個人の選択まで1日おきに投与される。幾つかの実施形態において、Btk阻害剤は維持治療である。
本明細書に記載されている化合物は、Btkもしくはこのホモログの阻害のため、又は血液悪性腫瘍と診断された患者及び/又は被験体を含む、少なくとも一部分においてBtkもしくはこのホモログの阻害により利益を得る疾患又は症状の処置のための薬物の製剤において用いることができる。また、そのような治療が必要な被験体における、本明細書に記載されているいずれの疾患もしくは症状の治療方法には、本明細書に記載されている式(A)、式(B)、式(C)、もしくは式(D)のいずれかの化合物、またはこれらの医薬的に許容される塩、医薬的に許容されるN−オキシド、医薬的に活性な代謝物、医薬的に許容されるプロドラッグ、もしくは医薬的に許容される溶媒和物の少なくとも一つの、前記被験体に対する治療上の有効量を含む医薬組成物の投与が含まれる。
本明細書に記載されている化合物が含まれる組成物は、予防、治療又は維持の処置のために投与することができる。幾つかの実施形態において、本明細書に記載されている化合物を含む組成物は治療への応用のために投与される(例えば、血液悪性腫瘍と診断された患者に投与する)。幾つかの実施形態において、本明細書に記載されている化合物を含む組成物は治療への応用のために投与される(例えば、血液悪性腫瘍を患いやすいあるいは発症するリスクのある患者に投与する)。幾つかの実施形態において、本明細書に記載されている化合物を含む組成物は維持治療を受ける寛解期の患者に投与される。
本明細書に記載されている化合物の量はその用途(例えば、治療、予防又は維持)に依存する。本明細書に記載されている化合物の量は、疾患又は症状の重篤度及び進行、先の治療、患者の健康状態、体重、薬物への反応及び処置する医師の判断に依存する。当業者の範囲内で、そのような治療上効果的な量を日常的に行う実験(例えば、限定されないが用量漸増臨床試験)によって決定することは、十分に考えられている。幾つかの実施形態において、不可逆的なBtk阻害剤の量は300mg/日以上1000mg/日以下である。幾つかの実施形態において、不可逆的なBtk阻害剤の量は420mg/日以上840mg/日以下である。幾つかの実施形態において、不可逆的なBtk阻害剤の量は400mg/日以上860mg/日以下である。幾つかの実施形態において、不可逆的なBtk阻害剤の量は約360mg/日である。幾つかの実施形態において、不可逆的なBtk阻害剤の量は約420mg/日である。幾つかの実施形態において、不可逆的なBtk阻害剤の量は約560mg/日である。幾つかの実施形態において、不可逆的なBtk阻害剤の量は約840mg/日である。幾つかの実施形態において、不可逆的なBtk阻害剤の量は2mg/kg/日以上13mg/kg/日以下である。幾つかの実施形態において、不可逆的なBtk阻害剤の量は2.5mg/kg/日以上8mg/kg/日以下である。幾つかの実施形態において、不可逆的なBtk阻害剤の量は2.5mg/kg/日以上6mg/kg/日以下である。幾つかの実施形態において、不可逆的なBtk阻害剤の量は2.5mg/kg/日以上4mg/kg/日以下である。幾つかの実施形態において、不可逆的なBtk阻害剤の量は約2.5mg/kg/日である。幾つかの実施形態において、不可逆的なBtk阻害剤の量は約8mg/kg/日である。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されているBtk阻害剤は連日投与される。幾つかの実施形態において、本明細書に記載されているBtk阻害剤は1日おきに投与される。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されているBtk阻害剤は1日1回投与される。幾つかの実施形態において、本明細書に記載されているBtk阻害剤は1日2回投与される。幾つかの実施形態において、本明細書に記載されているBtk阻害剤は1日 回投与される。幾つかの実施形態において、本明細書に記載されているBtk阻害剤は1日 回投与される。
幾つかの実施形態において、Btk阻害剤は疾患の進行、許容できない毒性又は個人の選択まで投与される。幾つかの実施形態において、Btk阻害剤は疾患の進行、許容できない毒性又は個人の選択まで連日投与される。幾つかの実施形態において、Btk阻害剤は疾患の進行、許容できない毒性又は個人の選択まで1日おきに投与される。
患者の状態が改善している場合、医者の判断に基づいて化合物は、持続的に投与され得る;代替的に、投与される薬剤の用量は特定の期間、一時的に減少し得るか、または一時的に中止し得る(すなわち「休薬日」である)。休薬日の長さは、2日から1年の間で変えることができて、ほんの一例として2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、35日、50日、70日、100日、120日、150日、180日、200日、250日、280日、300日、320日、350日、または365日が含まれる。休薬日の間の用量の減少は、10%から100%となることができて、ほんの一例として10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%が含まれる。
いったん患者の症状の改善が起こった場合には、必要に応じて維持用量が投与される。続いて、症候に応じて用量もしくは投与の頻度、またはその両方を、症候の機能として、改善された疾患、障害もしくは症状が維持される段階まで減らすことができる。しかしながら患者は、いずれの症候の再発に関しても、長期にわたる間欠的な処置を必要とし得る。
そのような量に相当する薬の投与量は、特定の化合物、疾患の重症度、治療が必要な患者または宿主の属性(例えば、体重)といった要因によって変わるであろうが、それでもやはり、個々の場合、例えば特定の薬が投与されていること、投与経路、治療している状況、および治療している患者または宿主、をめぐる特定の状況に応じて、周知な方法を用いて型通りに決めることができる。しかしながら一般に、成人の治療に用いられる用量は、典型的には、一日あたり0.02−5000mg、または一日あたり約1−1500mgまでの範囲である。好ましい用量は都合よく単一用量、または分割用量として存在し、同時に(又は短期間に)、または適切な間隔、例えば一日あたり2、3、4もしくはそれ以上の副用量(sub−doses)で投与され得る。
本明細書に記載されている医薬組成物は、正確な用量を単回投与するのに適した単位剤形としてあり得る。単位剤形において、製剤は一以上の化合物の適切な量を含む単位投与量に分けられる。単位投与量は、製剤の個々の量を含むパッケージの形としてあり得る。非限定の例は、包装された錠剤又はカプセル、およびバイアルまたはアンプルの中の粉末である。水性懸濁組成物は、単一投与用で再び密閉できない容器にパッケージされ得る。代替的に、複数用量用で再び密閉できる容器を用いることができ、その場合組成物は保存剤を含むことが典型的である。ほんの一例として非経口注射の製剤は、これらに限定されないがアンプル、または複数用量用容器の中を含む、単位剤形として保存剤とともに存在し得る。幾つかの実施形態において、各単位用量剤形は本明細書に記載されている化合物を210mg含む。幾つかの実施形態において、個体は1日に1つの単位用量剤形を投与される。幾つかの実施形態において、個体は1日に2つの単位用量剤形を投与される。幾つかの実施形態において、個体は1日に3つの単位用量剤形を投与される。幾つかの実施形態において、個体は1日に4つの単位用量剤形を投与される。
前述の範囲は単に示唆的なものである。何故なら個々の処置レジメンに関して変わり得る数は大きく、またこれらの推奨値から大きくそれることは珍しくないからである。そのような用量は、例えば多数の変わり得る数はこれらに限定されないが、使用する化合物の活性、治療している疾患もしくは症状、投与の形態、個々の患者における必要量、治療している疾患もしくは症状の重症度、および医者の判断によって変化し得る。
そのような処置レジメンの毒性および治療上の有効性は、細胞培養および実験動物における標準医薬手順によって決定することができ、それにはこれらに限定されないが、LD50(個体数の50%致死量)およびED50(個体数の50%有効量)の決定が含まれる。毒性効果と治療効果の間の用量比は治療上の指標であり、且つLD50とED50の間の割合として示され得る。化合物が高い治療上の指標を示すことが望ましい。細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータは、ヒトが用いる際の用量の範囲を定めるために、用いることができる。そのような化合物の用量は、最小の毒性量でED50を含む血中濃度の範囲内であることが好ましい。その用量は、用いられる剤形、および利用される投与経路によって、この範囲内で変わり得る。
<キット/製品>
本発明は、本発明の方法を実行するためのキットを包含する。例えば、キットは例として生体サンプル中のアポトーシス、細胞増殖又は生存、又はタンパク質レベルあるいは核酸レベルでのBtk媒介性シグナル経路のバイオマーカー等の本明細書に記載されているバイオマーカーを検出することができるラベル化された化合物又は薬剤、及び目的のBCLD治療薬剤を有するサンプルの培養の後、サンプル中のバイオマーカーの量を測定するための手段(例えば、抗体又は目的のバイオマーカーをコードするRNAに結合するオリゴヌクレオチドプローブ)を含み得る。キットは、各個々の目的のバイオマーカーを検出することができる個々のラベル化された化合物又は薬剤及びサンプル中の各バイオマーカーの量を測定するための手段を含むことで複数の目的のバイオマーカーを検出できるようにパッケージされ得る。
使用する第二の薬剤の具体的な選択は、患者の健康状態及びBtk阻害剤の適切な処置プロトコルに関する担当医の診断及び判断に依存する。
以下の特定の、および非限定の実施例は、単に実例として解釈され、そしていかなる場合であっても、本開示を限定するものではない。さらなる詳述がなくても、当業者は本明細書の説明に基づき、本開示を最大限に利用することができると考えられる。本明細書で引用されている全ての出版物は、これらにより、引例としてそのまま援用されている。URL、またはその他の識別子、もしくアドレスに参考文献がなされている場合、そのような識別子は変わり、またインターネット上の特定の情報は現れてすぐ消えることがあり得ることは理解されているが、相当する情報はインターネットで検索することにより見つけることができることも理解されている。その参照は、そのような情報の利用性および公への普及を証明する。
以下に提供される臨床研究は、不可逆性Btk阻害剤(R)−1−(3−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピロゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−yl)ピリミジン−1−yl)prop−2−en−1−one(即ちPCI−32765/イブルチニブ)で例証される。幾つかの実施形態において、そのような研究は式(A)、(A1)、(B)、(B1)、(C)、(C1)、(D)、(D1)、(E)又は(F)の任意のBtk阻害剤を用いて行った。幾つかの実施形態において、そのような研究は式DのBtk阻害剤を用いて行った。
<実施例1:Btk阻害剤PCI−32765の安全性及び効果を決定するための臨床試験>
PCI−32765のファーストインヒューマン用量漸増研究の主要エンドポイントは、有害事象プロファイルを決定するため、Btk活性部位占有率を決定するため、最大耐用量(MTD)を見つけるため(もしMTDが得られなかったとすれば、最大用量は完全なBtk占有を達成した用量の3つ上の用量レベルとなっただろう)、及びPCI−32765の薬物動態を決定するためのものである。副次的エンドポイントはPCI−32765単独治療への主要反応を評価するためのものである。
この非盲検試験の用量漸増部分にはB細胞悪性腫瘍(組織診断は以下の表2に記載されている)を有する被験体を登録し、現在完了している。
5つの用量レベル(計n=56)を28日間オン及び7日間オフの処置スケジュールで試験した。用量レベルは1.25 (n=7)、2.5(n=9)、5.0(n=6)、8.3(n=8)及び12.5(n=7) mg/kg/日だった。2つの追加の患者群は35日間のスケジュールにおいて連続的な毎日の投与を受けた。1つの群は8.3 mg/kg/日(n=10)を受け、一方もう1つの群は560 mg/日(「固定」のコホート、n=9)だった。ABC DLBCLを有する患者は560 mg/日で処置した。他の組織診断を有する患者の登録が完了し、これらの患者からのデータが報告されている(Advani et al., 2010)。
合計56人の患者において7人の完全奏効(CR)及び23人の部分奏効(PR)が確認された。追加の10人の被験体は安定した疾患(SD)を有していた。奏効は全ての組織診断の全ての用量レベルで観察された。反応データは表2に要約されている(以下参照)。
MTDには到達しなかった。2人の用量制限毒性(DLT)が確認された。1人の被験体は2.5 mg/kg/日の用量レベルで長期間の好中球減少を有し、もう1人の被験体は8.3 mg/kg/日の用量レベルでアレルギー反応を有した。最終の用量レベル(12.5mg/kg/日)ではDLTは見られなかった。完全Btk占有は全ての患者において2.5 mg/kg/日で見られた。
1日目及び8日目(定常状態)の薬物動態の結果は以下の表3及び4に表されている。式Dの化合物の合計血漿濃度(合計=結合画分+非結合画分)は一般的に1日目の1.25、2.5、5.0、8.3及び12.5 mg/kgの体重で標準化された用量を増加させることにより増加する。
1日目の曲線下面積値を0から無限まで(AUC0−∞)、投与後0から24時間の定常状態(AUC0−24h)から推定した。Cmax及びAUC値は、1日目及び定常状態において用量を1.25から12.5mg/kgに増加させると増加した。用量で標準化した定常状態でのCmax及びAUC値は一般的に用量に比例した増加を示すが、1日目及び定常状態での2.5mg/kg用量レベルで用量に比例した増加以上の増加が見られた。最大血漿濃度までの時間(Tmax)は1から2.3時間の範囲だった。Tmax後の式Dの化合物の平均半減期は1.5から2.5時間だった。体重で標準化された用量(mg/kg/日)を受けた患者において、1日目のAUC0−∞及び定常状態(8日目)での平均AUC0−24hに関して全ての用量レベルに渡って被験体間の高い変動が見られた。560mg/日の固定用量の投与は、結果的にAUC0−∞として測定された式Dの化合物への平均全身暴露(mean systemic exposure)をもたらし、これは5と8.3 mg/kgの用量レベルで測定された平均暴露の中間であった。定常状態(8日目)では、560mg/kgの固定用量を受けた被験体における全身暴露は、体重で標準化された用量を受けた被験体における暴露と比較してより低い被験体間の変動(AUC0−24hの変動計数として測定された)を有した。
1日目のPK及び薬力学プロファイルの分析は、Btk活性部位の占有率は≧200ng・h/mlのAUC値で投与後4及び24時間に飽和することを示した。定常状態では、≧2.5 mg/kg/日の用量を受けた全ての被験体が≧245ng・h/mlのAUC値を有した。これはPCI−32765の化合物の短い血漿半減期にも関わらず、不可逆性阻害剤は少なくとも24時間効果的であり、よって1日に1回の投与がBtk活性部位の完全な占有を維持するのに十分であることを示した。
CLLにおいて、PCI−32765はケモカイン分泌及びケモカイン媒介性の悪性細胞遊走及び接着を阻害する。臨床試験内の相関的な研究として、患者の原発腫瘍サンプルはナース様細胞とともに共培養し、1nM PCI−32765とともに24時間培養した。処置の後、CCL3の分泌レベルは393±172 pg/μlから54±46 pg/μl(p<0.05)に落ち、CCL4のレベルは2550±678 pg/μlから394±188 pg/μl(p<0.05)に落ちた。さらに、同じ試験からの患者のサンプルに由来する初期のCLL培養物において、1μMのPCI−32765はCXCL12媒介走化性(対照の57±9%、n=10)及びCXCL13媒介走化性(対照の46±5%、n=10)を減少させた。この試験のCLL患者からの血漿サンプルは処置前の高いCCL3/4レベルを明らかにし、処置後これらのレベルは著しく低下した。PCI−32765の最初の投与後24時間でCCL3レベルは60±29 pg/μlから16±13 pg/μlに低下し、CCL4の処置前のレベルは106±55 pg/μlから23±12 pg/μl (n=6)に低下した。
<実施例2:CLLを有する患者におけるPCI−32765の臨床試験>
再発性又は難治性(R/R)慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)を有する個体におけるPCI−32765の効果を研究するため、第Ib/II相臨床試験を行った。
研究タイプ:介入的
割り付け:非ランダム化
エンドポイント分類:安全性試験
介入モデル:平行試験
遮蔽化:非盲検
主要目的:治療
I群(高齢、未処置、個体)は420 mg/日のPCI−32765を受けた。II群(高齢、未処置、個体)は840 mg/日のPCI−32765を受けた。III群(fludaraによる処置を2回受けたR/R個体)は420 mg/日のPCI−32765を受けた。IV群(fludaraによる処置を2回受けたR/R個体)は840 mg/日のPCI−32765を受けた。患者の特徴は表5及び6に要約されている。
腫瘍評価は2つの処置サイクルごとに行った。
研究目的:
CLL/SLLを有する個体におけるPCI−32765の抗がん効果、例えばリンパ節症/脾腫の減少、及び絶対リンパ球数(ACL)の変化の動態を記載すること。
PCI−32765の安全性プロファイルをまとめること。
包含基準:
・未処置群のみ:診断によって確認されたCLL/SLLを有し、NCI又は国際研究グループガイドライン11−14によって処置が必要である≧65歳の男女。
・再発性/難治性群のみ:診断によって確認された治療によって奏効しないCLL/SLLを有する≧18歳の男女(すなわち、CLL/SLLのための先の≧2回の処置及びCLLを有する被験体にプリンアナログ(例えばフルダラビン)を投与しなければならなかった少なくとも1つのレジメンに失敗したこと)。
・≧40 kgの体重。
・≦2のECOGパフォーマンスステータス。
・性的にアクティブで子供を産むことができる場合、研究の間及び試験薬の最後の投与から30日間避妊具を使用することへの同意。
・苦もなくカプセルを飲み込めることを含む、この研究プロトコルにおいて全ての所要の評価及び手順に参加する意思と能力。
・研究の目的とリスクを理解できる能力、署名と日付のあるインフォームドコンセントを提供できること、及び保護された健康情報を使用することへの承諾(国及び地方の被験体プライバシー法令に基づいて)。
除外基準:
・治験責任医師の判断において、被験体を危険にさらす、PCI−32765POの吸収又は代謝を妨げる、あるいは研究の結果を過度に危険にさらす可能性がある命の危険がある病気、症状又は器官の機能障害。
・試験薬の最初の投与前4週間の間の任意の免疫治療、化学治療、放射線治療又は実験的治療(疾患関連の症状のためのコルチコステロイドは許容されるが、試験薬の投与前に1週間の洗い出しが要求される)。
・リンパ腫による中枢神経系(CNS)障害。
・試験薬の最初の投与前4週間の間の大きな手術。
・クレアチニン>1.5×制度的な正常値上限(ULN)、全ビリルビン>1.5×ULN(ギルバート病によるものを除く)、血清中のアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST/SGOT)あるいは(ALT/SGPT)>2.5×病状がない場合の正常値上限(ULN)。
・QT延長あるいは心室性不整脈を引き起こすことが知られている薬物との併用
・左脚ブロック、2度房室ブロックII型、3度ブロック、徐脈及びQTc>470msecを含む、顕著な検診心電図(ECG)の異常
・授乳期、妊娠期
奏効基準:
SLL事例では変更することなくNHL IWG基準を適用した。
CLL事象には以下の変更を有する2008 CLL IWG基準を適用した:
1)PD用の基準に見合うその他のパラメーターが欠如した孤立したリンパ球増加症は、PDと見なされない。
2)リンパ球増加症を経験したが、他の測定可能なパラメーターによってPRが得られた患者は、PRとして分類される事象であるベースラインからALCの50%減少が見られるまで「節(nodal)」の奏効に分類された。
3)処置関連のリンパ球増加症を有し、ベースライン時に通常のALC(<5K)を有する患者がPRに分類されるには<5Kへの正常化が要求される。
結果:
研究の結果は表6−11に表されている。
本研究からの結果が図2−7においてさらに要約されている。図2はCLLに苦しむ患者におけるPCI−32765での処置前及び後のLN奏効を図示している。図3は420 mg/日又は840 mg/日のPCI−32765を投与されたR/R CLL患者における、PCI−32765での一連の処置による全身腫瘍組織量の減少を示す。図4は未処置又は420 mg/日のPCI−32765を投与されたR/R CLL患者における、PCI−32765での一連の処置の間の絶対リンパ球数(ALC)及びリンパ節(LN)の直径の積和(SPD)を表す。図5は処置における連続したサイクル(サイクル2、5、8、11及び最良奏効)に渡る420 mg/日のPCI−32765を投与された未処置患者における累積最良奏効を表す。図6は処置における連続したサイクル(サイクル2、5、8、11及び最良奏効)に渡る420 mg/日のPCI−32765を投与されたR/R CLL患者における累積最良奏効を表す。図7は処置の連続したサイクルに渡って420 mg/日のPCI−32765を投与されたR/R CLL患者対未処置(TN)患者における累積最良奏効の比較を表す。
結果:
第II相の暫定的なデータは、PCI−32765が未処置及び再発性/難治性CLL/SLL患者の両方において有効なことを裏付けた。クラス特異的な急激なリンパ節の減少と同時にリンパ球増加症が患者の大多数で見られた。2008 CLL IWG の客観的奏効(PR+CR)及び節奏効はハイリスクなゲノムの特徴に耐性があり独立しているように思われる。再発性又は難治性患者の大部分(86%)は12ヶ月で無増悪であった(420 mgコホート)。
<実施例3:PCI−32765服用者の長期間追跡試験>
この研究はB細胞性白血病あるいは慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)を有する患者におけるPCI−32765の固定用量の連日のレジメンの、長期間の安全性を決定することを目的とする。
研究の種類:介入的
割り付け:非ランダム化
エンドポイント分類:安全性試験
介入モデル:単群試験
遮蔽化:非盲検ラベル
主要目的:治療
介入:PCI−32765を420mg/日
適用条件:B細胞性慢性リンパ性白血病(B−cell Chronic Lymphocytic Leukemia)、小リンパ球性リンパ腫、B細胞性慢性リンパ性白血病(Diffuse Well−Differentiated Lymphocytic Lymphoma)、B細胞性白血病、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ワルデンシュトロームマクログロブリン血症、バーキットリンパ腫、B細胞性びまん性リンパ腫
<主要評価項目>
有害事象/安全性耐性[時間枠:治験薬の最後の服用後30日]−有害事象の頻度、重症度、関連性
<副次的評価項目>
1,腫瘍反応[時間枠:基準のケア当たりの腫瘍評価の頻度]−腫瘍反応は確立された奏効基準に基づき評価される。この研究においては、疾患の進行の時期、反応の継続時間を記録する。
2,腫瘍反応[時間枠:疾患の進行の時期]−B細胞性白血病と慢性リンパ性白血病の確立された奏効基準に基づいた反応の継続時間の評価。
<包含基準>
・B細胞性白血病あるいはCLL/小リンパ球性リンパ腫(SLL)の患者の男女であり、先のPCI−32765研究においてPCI−32765POに対して安定した疾患を示したもの、又は少なくとも6ヶ月間反応したもので且つ治験薬の継続を望む者あるいはPCYC−04753の治験において疾患の進行があり、さらに高い投与量を望む者。
・米国東部がん治療共同研究グループ(ECOG)パフォーマンスステータス≦2。
・研究の期間と最終の治験薬の投与後30日間においては、性的にアクティブで
出産可能な場合でも避妊をすることの同意。
・嚥下カプセルを含む、研究のプロトコルにおける全ての必要な評価と処置に、困難無
く、参加する意志があり参加可能であること。
・当該治験の目的とリスクを理解する能力を有し、署名と日付を記入したインフォームドコンセントと保護された健康情報の使用承諾とを提供すること(国及び地域の患者のプライバシーの法令に従ったもの)。
<除外基準>
・治験責任医師の判断において、被験体を危険にさらす、PCI−32765POの吸収又は代謝を妨げる、あるいは研究の結果を過度の危険にさらす可能性のある命の危険がある疾患、症状、組織の機能障害。
・免疫治療、化学治療、放射線治療、コルチコステロイド(プレドニゾン20mg/日と同等より多い量)、又は実験的治療との併存。
・QT延長あるいは心室性不整脈を引き起こすことが知られている薬物との併用。
・リンパ腫による中枢神経系(CNS)障害。
・クレアチニン>1.5×制度的の正常値上限(ULN)、 全ビリルビン>1.5×ULN(ギルバート病によるものを除く)、血清中のアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST/SGOT)あるいは(ALT/SGPT)>2.5×疾患がない場合の正常値上限(ULN)
・授乳期、妊娠期
<実施例4: 再発性/難治性MCLにおけるPCI−32765の第2相臨床試験>
この研究の目的はボルテゾミブを事前使用していない又は使用した再発性/難治性MCLを有する被験体へのPCI−32765の有効性を評価することを目的とする。副次的な目的としてはこの群でのPCI−32765カプセルの固定用量の連日のレジメンの安全性を評価することである。
研究の種類:介入的
割り付け:非ランダム化
エンドポイント分類:安全性/有効性試験
介入モデル:平行試験
遮蔽化:非盲検ラベル
主要目的:治療
介入:PCI−32765を560mg/日
<主要評価項目>
治験薬に対して反応を有する参加者の数を評価する。[時間枠:症状の進行、又は他の抗がん治療を開始するまで参加者を追跡する。]
<副次的評価項目>
1,安全性と許容性の評価として有害事象を有する参加者の数を評価する。[時間枠:症状の進行、又は他の抗がん治療を開始するまで参加者を追跡する。]
2,治験薬に対して体がどのように反応するのかを決定することを支援するため参加者の薬物動態の値を評価する。[時間枠:治験薬投与の最初の月の間手順を実行する。]
3,患者報告項目[時間枠:症状の進行、あるいは他の抗がん治療を開始するまで参加者を追跡する。]
4,クオリティ・オブ・ライフに関連する健康を決定するための項目を報告した参加者の数を評価する。
<包含基準>
・男女≧18歳
・ECOGのパフォーマンスステータス≦2
・病理学的にMCLであることが確認され、サイクリンD1あるいはt(11;14)の過剰発現が確認されており、2cm以上の最大の直径の断層像で2つの直交するディメンジョンよって測定可能であること。
・または直近のレジメンにおいて最低限、部分奏効(PR)を得るための確認された障害、又は直近のレジメンの後に疾患の進行が確認されていること。
・少なくとも1以上、5以下のMCLに対するレジメン(注意:ボルテゾミブによる処置≧2サイクルを受けた被験体は、単剤又は併用治療レジメンのうちの一部のどちらの場合でもボルテゾミブ暴露群と考える。)
・カプセルを苦もなく飲み込めることを含む、研究のプロトコルにおける全ての必要な評価と処置に、参加する意志があり参加可能であること。
・当該治験の目的とリスクを理解する能力を有し、署名と日付を記入したインフォームドコンセントと保護された健康情報の使用承諾とを提供すること(国と地域のプライバシーの法令に従ったもの)。
<主要除外基準>
・最初の治験薬の投与前における、3週間以内の化学療法、6週間以内のニトロソ尿素の使用、4週間以内の治療用抗がん抗体、10週間以内の放射性あるいは毒素免疫複合体の使用、3週間以内の放射線治療、又は2週間以内の大きな手術。
・治験責任医師の判断において、被験体を危険にさらす、PCI−32765POの吸収、代謝を妨げる、あるいは治験の結果を過度の危険にさらす可能性のある命の危険がある疾患、症状、組織の機能障害。
・コントロール不良性不整脈、症候性不整脈、鬱血性心不全等の臨床上重要な循環器系疾患、スクリーニングの6ヶ月以内の心筋梗塞等、又はニューヨーク心臓協会の心機能分類によりクラス3あるいは4とされる任意の心疾患。
・吸収不良症候群、胃腸の機能に重大な影響を与える疾患、胃、小腸、結腸炎の切除、症候性炎症性腸疾患、又は部分的あるいは完全な腸閉塞。
・以下のいずれかの検査所見の異常:好中球絶対数(ANC)<750細胞/mm3(0.75×109/L)(骨髄障害の記録がない場合において)、血小板数<50,000 細胞/mm3(50×109/L)(輸血をされていない状態のもので、骨髄障害の記録がない場合において)、血清中のアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST/SGOT)又はアラニントランスアミナーゼ(ALT/SGPT)≧3×正常値上限(ULN)、クレアチニン>2×ULN
当該研究の患者の特徴を下の表12、13に示す。
当該研究の患者の傾向を表14に示す。
<結果>
ボルテゾミブ未暴露群、ボルテゾミブ暴露群の再発性又は難治性MCLの患者の最良の奏効の結果は図19と下の表15に示す。
PCI−32765は再発性又は難治性MCLに対して高い奏効率を示し、望ましい安全性プロフィールを示した。研究の期間に有意な骨髄抑制は見られなかった。
<実施例5:再発性/難治性CLLにおけるPCI−32765+オファツムマブの併用投与の第2相臨床試験>
この研究は再発性/難治性CLL/SLLそして関連する疾患に対するPCI−32765とオファツムマブ併用投与の固定用量の連日のレジメンの、有効性と安全性を確認することを目的とした。
研究の種類:介入的
割り付け:非ランダム化
エンドポイント分類:安全性試験
介入モデル:単群試験
遮蔽化:非盲検ラベル
主要目的:治療
介入:PCI−32765を420mg/日、オファツムマブを標準的投与量
適用条件:B細胞性慢性リンパ性白血病(B−cell Chronic Lymphocytic Leukemia)小リンパ球性リンパ腫、B細胞性慢性リンパ性白血病(Diffuse Well−Differentiated Lymphocytic Lymphoma)、前リンパ球性白血病、リヒター症候性(Richter’s transformation)
<主要評価項目>
PCI−32765に対する反応と安全性[時間枠:1から3サイクルの最後に]
慢性リンパ性白血病に関する最近のガイドラインによって定義された奏効性
<副次的評価項目>
1,薬物動態/薬力学的評価[時間枠:1から2サイクルの期間]
2,PC−32765の薬力学(即ち、PCI−32765のBtkの薬物専有率とbiological market 1/2への影響 )
3,腫瘍反応[時間枠:2、4及び6サイクルの最後に(1サイクル当たり28日)
4,最近のCLLに関するガイドラインに定義されている全奏効率
<包含基準>
組織学的にWHOの造血性新生物分類において定義される慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、前リンパ球血友病(PLL)又はCLL/SLLから生じるリヒター症候群であって以下の1以上の条件を満たすもの。
・生理学的検査あるいは放射線学的研究によって同定された進行性の脾腫及び/またはリンパ節症、骨髄障害による貧血(<11g/dL)または血小板減少症(<100,000/μL)。
・先6ヶ月間の意図しない体重の減少>10%
・NCIのCTCAEでグレード2又は3の倦怠感がある場合。
・感染の証拠なく高熱≧華氏100.5度、又は寝汗>2週間
・2ヶ月間以上>50%の増殖、又は2倍になると予期される期間<6ヶ月、である進行性リンパ腫
・幹細胞移植の前に細胞切除の必要がある場合。
・CLLに対する核酸アナログを含む先の2回以上の治療に失敗した場合、あるいはもし、治療の結果に矛盾がある場合は核酸アナログを含まない先の2回以上の治療に失敗した場合。
・腫瘍細胞に≧10%のCD20の発現
・ECOGのパフォーマンスステータス≦2
・平均余命≧12週間
・被験体は以下に定義されているように機能する器官と骨髄を持っている必要がある:
・好中球絶対数(ANC)が骨髄障害のない状態で≧1000/μL、血小板≧30,000/μL、全ビリルビン量≦1.5×ギルバート病でない場合の正常値上限、AST(SGOT)≦2.5×肝臓の浸潤でない場合の制度的正常値上限、クレアチニン≦2.0mg/dL又はクレアチニンクリアランス≧50mg/分
・先のリツキシマブに対する急性アレルギー反応の記録がないこと
・先のオファツムマブ暴露の記録がないこと
・年齢≧18歳
・体重≧40kg
・カプセルを困難なく飲み込むことができ、吸収不良症候群、胃腸の機能に重大な影響を与える疾患、胃、小腸、結腸炎の切除、症候性炎症性腸疾患、又は部分的あるいは完全な腸閉塞の記録がないこと。
<除外基準>
治験責任医師の判断において、被験体を危険にさらす、PCI−32765POの吸収、代謝を妨げる、あるいは研究の結果を過度の危険にさらす可能性のある命の危険がある疾患、症状、組織の機能障害。
最初の治験薬の投与4週間以内の任意の抗腫瘍免疫療法、化学療法、放射線療法、実験的治療。疾患に由来する症状へのコルチコステロイドの使用は1周間の洗い出しをするのなら認められる。
リンパ腫によるアクティブな中枢神経系(CNS)障害
治験薬の最初の投与の4週間以内の大きな手術
授乳期、妊娠期
基底細胞がん、扁平上皮がん、原発性子宮頸がん、又はその他のがんを除く悪性腫瘍の記録、少なくとも被験体が2年疾患をしていないこと、あるいは生存が<2年に限られていないこと
先の抗がん治療による継続した≧グレード2の毒性の記録(脱毛以外)
研究に参加した患者の特徴を下の表16と17に示す。
患者の性質のデータを表18に示す。
<結果>
最良の奏効率を表19に示す。図20は後のPCI−32765あるいはオファツムマブとの併用治療によるリンパ球の可動化とリンパ節の大きさの減少を示す。併用治療は循環中のリンパ球の総量を減少させた。図21は患者の骨髄反応の組織学的検査を示す。
PCI−32765のオファツムマブとの併用治療は良好な耐容性と高い効果をR/RのCLL/SLL/PLLの患者に対して示した。2サイクル目の終わりに6人の患者の容量制限毒性(DLT)を評価された。それらの患者において生じたDLTは0だった。4人の患者において3サイクル目の終わりにスキャンと血球数検査を行った。4人の内3人がIWGの評価基準で反応性であった。CLL/SSL/PLLの患者の間では、上記の併用治療の結果は、100%のORRを示し、ゲノミクスと無関係だった。
<実施例6:再発性/難治性CLLにおけるPCI−32765とリツキシマブとの併用の第2相臨床試験>
高リスクの疾患の特徴を持つCLL患者、特に再発性の状況においては従来の化学免疫療法は短期間の緩和と乏しい効果しか持たない。ブルートンチロシンキナーゼ阻害剤(BTK)であるイブルチニブ(PCI−32765)はB細胞受容体(BCR)のシグナリングを阻害する、成熟B細胞の悪性腫瘍、特にCLLの患者に対する有望な新しい標的医療である。高リスクCLL患者に対する第1/2相臨床試験のデータから、高リスクCLL患者は低リスク患者と同様にイブルチニブに反応することが示された。イブルチニブの単剤での処置を受けたCLL患者は、特徴として組織のCLL患者細胞の末梢血への移行により遅延性リンパ球増加症は遅延した反応又は安定した疾患を示した。高リスクCLL患者に対する反応性を加速及び改善するため、イブルチニブに対する研究を拡大するため、イブルチニブにリツキシマブを加えた単一機関(single center)、第2相臨床試験が実施された。
患者は連日420mgPOのイブルチニブと1から4週目(サイクル1)に週ごとのリツキシマブ(375mg/m2)、そしてその後、サイクル6まで連日のイブルチニブと月ごとのリツキシマブ、その後は、連日の単剤のイブルチニブのみが処置された。治験への包含は高リスクの疾患を必要とした。(del17p あるいはTP53の変異[処置、非処置]、最先端化学治療後の患者でPFS<36ヶ月、あるいはdel11qを持つ再発性CLL。)
年齢の中央値が65歳(35−82の範囲)、中央値が先に2回の治療で特徴付けされる14人の女性と26人の男性患者。中央値のRai stageが4(1−4の範囲)、β2マイクログロブリンが4.2mg/L(2.2−12.3)、31人の患者はIGHVの変異は持たない、1人のみがIGHVの変異を持ち、残りの患者はIGHVに関しては不明である。19人の患者がdel17pあるいはTP53の変異を持っている(4人は先の治療を受けていない)、13人の患者はdel11qを持っている。追跡の中央値は4ヶ月、40人中38人の患者は疾患の進行無く治療を継続している。1人の患者が関連のない感染性合併症で死亡し、1人の患者が治療の開始前に同意を取り下げた。3ヶ月目で初期の奏効を評価可能な20人の内17人の患者にORR85%の部分的な緩和(PR)が得られ、3人の患者では持続的なリンパ球増加症を伴ったPRが得られた。興味深いことに、この併用治験においては、イブルチニブの単独治療に比べ、リンパ球増加症による移行のピークは初期で短期間であった。これはリツキシマブの添加によるものと推測される。
処置は良好に寛容性であり、わずか13例のグレード3(n=11)あるいはグレード4(n=2)の毒性が見られたのみであり、そしてそれらは、好中球減少、倦怠感、肺炎(n=1)、不眠症及び骨の痛みのように、治療と大きく無関係であり一過性であった。アンケート調査は3サイクル目の処置の後に、評価可能な患者数において(n=21)全体的な健康とクオリティ・オブ・ライフの向上を明らかにした。結論:イブルチニブのリツキシマブとの併用治療は高リスクCLL患者にとっての安全であり、良好に寛容性なレジメンであり、かなりの高い早期の奏効率をもたらす。
<実施例7:再発性/難治性非ホジキンリンパ腫患者に対するPCI−32765にベンダムスチンとリツキシマブを加えた併用した第1相臨床試験>
この第1相研究は再発性/難治性NHL患者に対する、イブルチニブとの併用の場合のR−ベンダムスチンの最大限許容量、容量制限毒性(DLT)、毒性及び初期効果を決定するために設計された。
適格性は再発性/難治性FL、MZL、MCL、変異型NHLそしてDLBCLを有する患者、そして自家幹細胞移植(ASCT)の候補とならなかった先に未処置のMCLを有する患者を含む。ANC>1000/mm3、血小板>50,000/mm3、そしてクレアチニンが2.0mg/dLであることが要求される。先のASCT、リツキシマブ、ベンダムスチン、イブルチニブの使用は許される。処置は一日目にR 375mg/m2、一日目、二日目にベンダムスチン90mg/m2、そして1から28日目にイブルチニブの量(280mgあるいは560mg)を上昇させる処理を6サイクルとからなる。6人の患者がそれぞれの投与量に参加した。反応性の患者に関しては疾患が進行するか、許容できない毒性が出るまでイブルチニブ単独の治療を行なうことができた。ペグフィルグラスチムはグレード4の患者に対しては1−6サイクルの間許可された。奏効性はサイクル3の後とサイクル6の後にInternational Harmonization Criteria(Cheson,JCO 2007)の基準によって評価された。
中央値で年齢72歳(45−84の範囲)の、中央値で3回(0−10の範囲)の先の治療を受けた11人の患者(9人の男性)が参加した。6人の患者は最も最近の治療において難治性であり、4人の患者は先にASCTの経験があり、2人の患者は先にベンダムスチンを使用しており、先にイブルチニブを使用した患者は0人であった。他の特性としては3から4度の疾患の者82%、IPIの上昇>3、節外性変形64%、45において巨大リンパ節膨張>5cm、B症状45%、LDHの上昇36を含む。組織学的検査結果はMCL(n=3)、DLBCL(n=3)、変異型NHL(n=2)、FL(N=2)及びMZL(n=1)であった。9人の患者は280mgのイブルチニブ(n=6)と560mgのイブルチニブ(n=3)による、2以上のサイクルの治療を終了しており(中央値3、1―6の範囲)、2名の患者はサイクル1の終了前にそれぞれ280mgと560mgのイブルチニブによる疾患の進行のため治療を中断したため置き換えられた。6人の患者はプロトコル処置を継続して受けた。治験から外れた5人の患者はサイクル1の完了の前とPDとなったDLBCLと変異型NHLの患者、サイクル3、4の後にPDとなったDLBCLの患者、そしてサイクル4の後にグレード3の好中球減少症≧14日の継続した280mgのイブルチニブとベンダムスチン(90mg/m2)投与を受けていた1人のMCL患者を含む。DLTは見られなかった。グレード3−4の事象はリンパ球減少症(64%)、好中球減少症(27%)、血小板減少症(18%)、膵臓炎(9%)、嘔吐(9%)、帯状疱疹(9%)そして発疹(9%)を含んでいた。280mgのイブルチニブの140mgへの投与量の減少がグレード3の血小板減少症、膵臓炎、そして発疹のため3人の患者に必要であった。ベンダムスチンの投与量の60mg/m2への減少がグレード3の血小板減少症のため1人の患者に必要であった。投与の遅延が4人の患者において血小板減少症(n=1)、好中球減少症(n=1)、膵臓炎(n=1)、発疹(n=1)のため起こった。8人の評価可能な患者において奏効率は38%であり、再現性(restaging scan)が未だとれていない3人の患者に置いては現在プロトコル処置を行っている。MCLを有する3人の患者の反応は、2人の完全奏効と、1人の部分奏効を含んでいる。結論:イブルチニブとR−ベンダムスチンの併用は予期しない毒性もなく、良好に寛容性で有り、非処置群や再発性MCL群の患者に対して有意な効果が見られる。3人の更なる患者において560mgの投与量に用量レベルを増加させ、この併用治療のコホート試験をFL、DLBCL、MCLに特異的に拡大することが計画されている。
<実施例8:再発性/難治性CLLにおけるPCI−32765にベンダムスチンとリツキシマブを加えた併用した第2相臨床試験>
この研究の目的は慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)患者に対するフルダラビン/サイクロフォスファミド/リツキシマブ(FCR)とベンダムスチン/リツキシマブ(BR)のPCI−32765との併用の安全な経口投与を確立することにある。
研究の種類:介入的
割り付け:非ランダム化
エンドポイント分類:安全性試験
介入モデル:単群試験
遮蔽化:非盲検ラベル
主要目的:治療
介入:PCI−32765を420mg/日、標準のFCRあるいはBRレジメン
適用条件:B細胞性慢性リンパ性白血病(B−cell Chronic Lymphocytic Leukemia)、小リンパ球性リンパ腫、B細胞性慢性リンパ性白血病(Diffuse Well−Differentiated Lymphocytic Lymphoma)
<主要評価項目>
長期の血液毒性が見られた患者の数を評価する。[時間枠:治験薬の最初の投与から8週間]
<副次的評価項目>
1,有害事象が現れた参加者の数を安全性と寛容性の指標としてとして評価する[時間枠:PCI−32765の最後の投与より30日後]
2,処置に反応した患者の数をリンパ節の疾患の増加又は減少及び/又は血液検査の結果を測定することにより評価する。[時間枠:患者は最終の被験体が最大12サイクルのPCI−32765の参加を終えるまで研究を継続してもよい。その時点でPCI―32765を受けている任意の患者は、PCI―32765カプセルを受け取るため、長期追跡研究に参加しても良い。
<包含基準>
組織学的に確認されたCLL又はSLLで、少なくとも以下の1の処置を必要とする基準を満たすもの。
・健康診断あるいはX線写真研究によって特定された、進行性の脾腫及び/又はリンパ節膨張症
・骨髄障害による貧血(<11g/dL)または血小板減少症(<100,000/μL)
・先6ヶ月間の意図しない体重の減少>10%の存在
・NCIのCTCAEでグレード2又は3の倦怠感がある場合。
・感染の証拠なく高熱≧100.5度、又は寝汗>2週間
・2ヶ月間以上>50%の増殖、又は2倍になると予期される期間<6ヶ月、である進行性リンパ腫
・CLL/SLLに対する1から3の先の処置レジメン
・ECOGパフォーマンスステータス≦1
・年齡≧18歳
・嚥下カプセルを含む、研究のプロトコルにおける全ての必要な評価と処置に、困難無く、参加する意志があり参加可能であること。
・当該治験の目的とリスクを理解する能力を有し、署名と日付を記入したインフォームドコンセントと保護された健康情報の使用承諾とを提供すること(国と地域のプライバシーの法令に従ったもの)。
<除外基準>
・最初の治験薬の投与より4週間以内の任意の化学療法、治療のための抗悪性新生物抗体(放射性又は毒素免疫複合体を含まない)、放射線治療、あるいは実験的治療、最初の治験薬の投与の10週間以内の放射性又は毒素抗体複合体治療
・QT延長又は心室不整脈を引き起こすことが知られている薬品との併用
・変異性リンパ腫又はリヒター症候群
・治験責任医師の判断において、被験体を危険にさらす、PCI−32765POの吸収、代謝を妨げる、あるいは研究の結果を過度の危険にさらす可能性のある任意の命の危険がある疾患、症状、組織の機能障害
・以下の任意の検査所見の異常:好中球絶対数(ANC)<1000細胞/mm3(1.0×109/L)、血小板数<50,000 細胞/mm3(50×109/L)、血清中のアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST/SGOT)又はアラニントランスアミナーゼ(ALT/SGPT)≧3.0×正常値上限(ULN)、クレアチニン>2.0×ULN又はクレアチニンクリアランス<40mL/min
研究に参加した患者の特性を表20、21に示す。
患者の傾向を表22に示す。
処置レジメンの概要を表23に示す。
<結果>
最良の奏効率の結果を表24と25に示す。図22は以下のPCI―32765処置又はベンダムスチンとリツキシマブとの併用治療によるリンパ球の移動とリンパ節の大きさの縮小を示す。併用治療は循環中の全リンパ球数を減少させた。
ベンダムスチン及びリツキシマブとのPCI−32765の併用投与の結果はIWCLL反応が得られたもので93%、そして完全奏効(CR)は13%であった。ベンダムスチン及びリツキシマブにPCI−32765を加える事による、毒性の増加は見られなかった。先の研究においてはベンダムスチン及びリツキシマブの併用治療は9%のCRを含む59%の反応のみが得られた。すなわち、PCI―32765はベンダムスチン及びリツキシマブと併用した場合、有意に処置を増幅している。
CLL/SLLの患者におけるPCI―32765のFCRとの併用の研究は進行中である。3人の患者が6サイクルの初期の研究において処置された。処置は3人の患者全てにおいて、2のMRD陰性のCR(10−4のMRD陰性)を伴う100%(3/3)の全体奏効を伴い、良好に寛容性であった。3人の患者はPCI−32765により中央値8.5ヶ月の追跡において進行のない状態を維持している。
<実施例9:再発性/難治性DLBCLにおけるPCI―32765の第2相臨床試験>
この研究の目的は再発性/難治性であるデノボ活性化B細胞(ABC)又は胚芽細胞B細胞(GCB)のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)におけるPCI−32765の有効性を評価することである。
研究の種類:介入的
割り付け:非ランダム化
エンドポイント分類:安全性試験
介入モデル:単群試験
遮蔽化:非盲検ラベル
主要目的:治療
介入:560mg/日のPCI―32765
<主要評価項目>
治験薬に奏効性を示す患者の数を評価する。[時間枠:最初の投与より24週間] 患者は疾患の進行あるいは他の抗がん処置を開始するまで追跡される。
<副次的評価項目>
1,安全性と寛容性の測定として有害事象を示した患者の数を評価する。[時間枠:最後のPCI−32765の投与より30日間]患者は疾患の進行あるいは他の抗がん療法を開始するまで追跡される。
2,治験薬に対して体がどのように反応するのかを決定することを支援するため参加者の薬物動態の値を評価する。[時間枠:治験薬の投与の最初の月の間手順を実行する]
<包含基準>
・男女≧18歳
・米国東部がん治療共同研究グループ(ECOG)のパフォーマンスステータス≦2。
・病理学的にデノボDLBCLと確認されていること、被験体は中央判定において適格とされる入手可能な保存組織(archival tissue)を持たなければならない
・以下どちらかに定義される再発性又は難治性の疾患:1)完全寛解(CR)後の疾患の再発、又は2)処置レジメンの終了時の研究へのエントリー前の部分奏効(PR)、安定な疾患(SD)、あるいは進行性の疾患(PD)(疾患の後遺症):被験体は過去に適切な第一の処置レジメンを受けたものでなければならない。研究の参加直前に処置レジメン後に後遺症の疑われる患者はDLBCLの後遺症を生検で証明したものでなければならない。
・高投与量の化学療法/自家幹細胞移植(HDT/ASCT)を受けていない被験体は下記の評価基準に該当する場合はHDT/ASCTに不的確でなければならない。
・年齡≧70歳
・肺機能検査(PFT)による肺の一酸化炭素の拡散容量(DLCO)<50%
・マルチゲートスキャン(MUGA)/心エコー検査装置(ECHO)による左心室駆出分画率(LVEF)<50%
・処置に関した病的状態の許容できないリスクのためHDT/ASCTの適用から除外される他の器官の機能障害又は共存症
・HDT/ASCTを拒否する被験体
・被験体は≧1のコンピューター断層撮影法(CT)スキャンで測定可能な(最大の大きさにおいて>2cm)疾患部位を持たなければならない。
<除外基準>
・変異型DLBCL又は共存する組織学的検査結果を持つDLBCL(例えば、濾胞又は粘膜とリンパ球の複合組織(MALT)のリンパ腫)
・原発縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫(PMBL)
・既知の中枢神経系(CNS)のリンパ腫
・最初の治験薬の投与3週間以内の、任意の化学療法、外照射療法又は抗がん抗体
・治験薬の最初の投与10週間以内の放射性あるいは毒素免疫複合体の使用
・最初の治験薬の投与2週間以内の大きな手術
・治験責任医師の判断において、被験体を危険にさらす、あるいは研究の結果を過度の危険にさらす可能性のある任意の命の危険がある疾患、症状、組織の機能障害
・コントロール不良性不整脈、症候性不整脈、鬱血性心不全等の臨床上重要な循環器系疾患、スクリーニングの6ヶ月以内の心筋梗塞等、又はニューヨーク心臓協会の心機能分類によりクラス3あるいは4とされる任意の心疾患。
・カプセルを飲み込めない、吸収不良性症候群、胃腸の機能に重大な影響を与える疾患、胃、小腸、結腸炎の切除、症候性炎症性腸疾患又は部分的あるいは完全な腸閉塞。
・以下の任意の検査所見の異常:
・好中球絶対数(ANC)<750細胞/mm3(0.75×109/L)骨髄障害の記録がない場合において
・血小板数<50,000細胞/mm3(50×109/L)輸血によるサポートが無く骨髄障害の記録がない場合において
・血清アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST/SGOT)又はアラニントランスアミナーゼ(ALT/SGPT)≧3.0×正常値上限(ULN)
・クレアチニン>2.0×ULN
<実施例10:B細胞リンパ腫由来の細胞株の小集団におけるPCI―32765による増殖阻害>
PCI−32765はB細胞リンパ腫由来の細胞株の小集団の増殖をGI50の値に
おいて0.1から5.5μMの範囲で阻害した(下の表25を参照)。
細胞株において、PCI−32765はレナリドミド、ボルテゾミブ、ソラフェニブ、ゲムシタビン、デキサメタゾン、ベンダムスチン、3−((ジメチルアミノ)メチル)−N−(2−(4−(ヒドロキシカルバモイル)フェノキシ)エチル)ベンゾフラン−2−カルボキシアミド、及びSyKインヒビター R−406と弱いシナジーを、また、タキソール、ビンクリスチン、ドキソルビシン、テムシロリムス、及びカルボプラチンに相加性を示した。異種移植における併用テストが最近開始された。異種移植のDLBCLに対する初期実験はPCI―32765とボルテゾミブの場合より大きな相加性を示した。
初期CLL細胞における0.01−100mcMのPCI―32765による処置の結
果は:1)用量、時間依存性のアポトーシス、2)他の試薬に対する乏しい反応を予測する遺伝子の変化(即ち、del11q,del17p,及びIgVHの遺伝子変異ステータス)による影響が見られないアポトーシス、3)PAPPの切断とカスパーゼ3の活性の誘導を伴った細胞傷害性、4)フィブロネクチン又はHs5間質細胞の存在、非存在に依存しないアポトーシス、そしてそのことはPCI―32765の活性は微小環境の影響で減少しないことを示している。
PCI−32765はB細胞リンパ腫由来の細胞株の小集団の増殖をGI50の値に
おいて0.1から5,5μMの範囲で阻害した(下の表25を参照)。
<実施例11:DLBCL細胞におけるBtk阻害剤の併用のインビトロアッセイ>
BtkインヒビターであるPCI−32765とさらなる抗がん薬との併用がDoHH2細胞でアッセイされた。DOHH2はDLBCL(びまん性大細胞性B細胞リンパ腫)の細胞株であり、変異型濾胞性リンパ腫の患者に由来する。上記の細胞株は中程度にPCI−32765に感受性である。PCI−32765は他の抗がん薬と共に2日間インキュベートされた。アッセイはアラマーブルーアッセイであった。
併用試験は以下のとおりであった:
PCI−32765とゲムシタビン、
PCI−32765とデキサメタゾン、
PCI−32765とレナリドミド、
PCI−32765とR−406、
PCI−32765とテムシロリムス、
PCI−32765とカルボプラチン、
PCI−32765とボルテゾミブ、そして
PCI−32765とドキソルビシン
結果は図23−25に示す。
<実施例12:ABC−DLBCL細胞におけるBtk阻害剤の併用のインビトロアッセイ>
BtkインヒビターであるPCI−32765とさらなる抗がん薬との併用がTMD8細胞でアッセイされた。TMD8はNF―kBシグナリング依存性のABC―DLBCLの細胞株である。それはBKT阻害剤単独に対しても低ナノモル濃度(GI50〜1−3nM)で感受性である。Btk阻害剤は他の抗がん薬物と共に2日間インキュベートされた。アッセイはアラマーブルーアッセイであった。
併用試験は以下の通りであった:
PCI−32765とCAL−101、
PCI−32765とレナリドミド、
PCI−32765とR−406、
PCI−32765とボルテゾミブ、
PCI−32765とビンクリスチン、
PCI−32765とタキソール
PCI−32765とフルダラビン、そして
PCI−32765とドキソルビシン
結果は図26−33に示す。
<実施例13:Btk阻害剤のBRとの併用の臨床試験>
非ホジキンリンパ腫を有する患者におけるBtk阻害剤(例えばPCI−32765)とBR(ベンダムスチンとリツキシマブ)の併用の効果を決定するために臨床試験を実行する。前記Btk阻害剤が投与される。末梢血中のリンパ球濃度の増加に続いて、BRが投与される。
<実施例14:Btk阻害剤のボルテゾミブとの併用の臨床試験>
非ホジキンリンパ腫を有する患者におけるBtk阻害剤(例えばPCI−32765)とボルテゾミブの併用の効果を決定するために臨床試験が開始される。前記Btk阻害剤が投与される。末梢血中のリンパ球濃度の増加に続いて、ボルテゾミブが投与される。
<実施例15:Btk阻害剤のBRとの併用の臨床試験>
CLLを有する患者におけるBtk阻害剤(例えばPCI−32765)とBR(ベンダムスチンとリツキシマブ)の併用の効果を決定するために臨床試験を実行する。前記Btk阻害剤が投与される。末梢血中のリンパ球濃度の増加に続いて、BRが投与される。
<実施例16:Btk阻害剤のFCRとの併用の臨床試験>
CLLを有する患者におけるBtk阻害剤(例えばPCI−32765)とFCR(フルダラビン、サイクロフォスファミド、リツキシマブ)の併用の効果を決定するために臨床試験を実行する。前記Btk阻害剤が投与される。末梢血中のリンパ球濃度の増加に続いて、FCRが投与される。
<実施例17:Btk阻害剤のオファツムマブとの併用の臨床試験>
CLLを有する患者におけるBtk阻害剤(例えばPCI−32765)とオファツムマブの併用の効果を決定するために臨床試験を実行する。前記Btk阻害剤が投与される。末梢血中のリンパ球濃度の増加に続いて、オファツムマブが投与される。
<実施例18:Btk阻害剤のリツキシマブとの併用の臨床試験>
CLLを有する患者におけるBtk阻害剤(例えばPCI−32765)とリツキシマブの併用の効果を決定するために臨床試験を実行する。前記Btk阻害剤が投与される。末梢血中のリンパ球濃度の増加に続いて、リツキシマブが投与される。
<実施例19:Btk阻害剤のレナリドミドとの併用の臨床試験>
再発性、難治性B細胞悪性腫瘍を有する患者におけるBtk阻害剤(例えばPCI−32765)とレナリドミドの併用の効果を決定するために臨床試験を実行する。前記Btk阻害剤が投与される。末梢血中のリンパ球濃度の増加に続いて、レナリドミドが投与される。
<実施例20:Btk阻害剤のレナリドミドとの併用の臨床試験>
DLBCL、緩慢性B細胞リンバ腫、CLL、又は多発性骨髄腫を有する患者におけるBtk阻害剤(例えばPCI−32765)とレナリドミドの併用の効果を決定するために臨床試験を実行する。前記Btk阻害剤が投与される。末梢血中のリンパ球濃度の増加に続いて、レナリドミドが投与される。
<実施例21:Btk阻害剤のR−CHOPとの併用の臨床試験>
再発性、難治性B細胞悪性腫瘍を有する患者におけるBtk阻害剤(例えばPCI−32765)とR−CHOP(リツキシマブ、サイクロフォスファミド、ドキソルビシン塩酸塩、ビンクリスチン硫酸塩、及びプレドニゾン)の併用の効果を決定するために臨床試験を実行する。前記Btk阻害剤が投与される。末梢血中のリンパ球濃度の増加に続いてR−CHOPが投与される。
<実施例22:Btk阻害剤のR−CHOPとの併用の臨床試験>
DLBCL、緩慢性B細胞白血病及びワルデンシュトロームマクログロブリン血症を有する患者におけるBtk阻害剤(例えばPCI−32765)とR−CHOPの併用の効果を決定するために臨床試験を実行する。前記Btk阻害剤が投与される。末梢血中のリンパ球濃度の増加に続いてR−CHOPが投与される。
<実施例23:Btk阻害剤のテムシロリムスとの併用の臨床試験>
再発性、難治性B細胞悪性腫瘍を有する患者におけるBtk阻害剤(例えばPCI−32765)とテムシロリムスの併用の効果を決定するために臨床試験を実行する。前記Btk阻害剤が投与される。末梢血中のリンパ球濃度の増加に続いてテムシロリムスが投与される。
<実施例24:Btk阻害剤のテムシロリムスとの併用の臨床試験>
MCL、DLBCL、又は緩慢性B細胞リンパ腫を有する患者におけるBtk阻害剤(例えばPCI−32765)とテムシロリムスの併用の効果を決定するために臨床試験を実行する。前記Btk阻害剤が投与される。末梢血中のリンパ球濃度の増加に続いてテムシロリムスが投与される。
<実施例25:Btk阻害剤と第二の処置との併用のインビトロアッセイ>
Btk阻害剤であるPCI−32765と第二の処理の併用がTMD8細胞を用いて試験された。
TMD8はNF―kBシグナリング依存性のABC−DLBCLの細胞株である。それはBTK阻害剤単独に対しても低ナノモル濃度(GI50〜1−3nM)で感受性である。Btk阻害剤は他の抗がん薬物と共に2日間インキュベートされた。アッセイはアラマーブルーアッセイであった。
併用は以下の通りであった:
PCI−32765とレナリドミド及びデキサメタゾン
PCI−32765とボルテゾミブ
PCI−32765とR−CHOP(サイクロフォスファミド、ヒドロキシダウノルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン及び随意でリツキシマブ)
PCI−32765とR−EPOCH(エトポシド、ドキソルビシン、ビンクリスチンサイクロフォスファミド、プレドニゾロン及び随意でリツキシマブ)
PCI−32765とR−ICE(イホスファミド、カルボプラチン及びエトポシド)
PCI−32765とオファツムマブ、
PCI−32765とリツキシマブ
PCI−32765とGA101(Genentech)
PCI−32765とBR(ベンダムスチン/リツキシマブ)
<実施例26:医薬組成物:>
以下は示された目的のための式(D)の化合物の組成物である。任意の式(A)、(B)、(C)又は(D)の化合物をこのような医薬組成物に使用することが出来る。特に例を上げれば、化合物は(R)−1―(3−(4―アミノ−3−(4―フェノキシフェニル)―1H―ピラゾロ[3,4―d]ピリミジン−1―yl)prop−2−en−1−one(即ちPCI―32765/イブルチニブ)。
<実施例26a:非経口組成物>
注射により投与するために適した非経口医薬組成物を調整するために、100mgの式(D)の化合物(例えばPCI−32765/イブルチニブ)の水溶性の塩をDMSOに溶解し、10mLの0.9%滅菌生理食塩水と混合する。上記混合物は注射による投与に適した用量単位剤形に組み込まれる。
<実施例26b:経口組成物>
経口送達のための医薬組成物を調整するために、100mgの式(D)の化合物(例えばPCI−32765/イブルチニブ)は750mgのデンプンと混合される。上記混合物は、例えば硬質ゼラチンカプセルのような経口投与に適した用量単位剤形に組み込まれる。
<実施例26c:舌下(硬質トローチ)組成物>
硬質トローチのような口腔送達のための医薬組成物を調整するために、100mgの式(D)の化合物(例えばPCI−32765/イブルチニブ)を420mgの粉状の混合糖、1.6mLのライトコーンシロップ、2.4mlの滅菌水及び0.42mLのミント抽出物と混合する。上記混合物は穏やかに混合され、口腔投与のための硬質トローチを形成するための鋳型に流し込まれる。
<実施例26d:吸入組成物>
吸入送達のための医薬組成物を調整するために、20mgの式(D)の化合物(例えばPCI−32765/イブルチニブ)は50mgの無水クエン酸と100mLの0.9%の塩化ナトリウム溶液と混合される。上記混合物は、例えば噴霧器のような吸入送達に適した吸入送達単位に組み込まれる。
<実施例26e:直腸ゲル組成物>
直腸送達のための医薬組成物を調整するために、100mgの式(D)の化合物(例えばPCI−32765/イブルチニブ)は2.5gのメチルセルロース(1500mPa)、100mgのメチルピラペン、5gのグリセリン及び100mLの精製水と混合される。上記の結果のゲル混合物は、例えば注射器のような吸入投与に適した直腸送達用量単位に組み込まれる。
<実施例26f:局所ゲル組成物>
局所送達のための医薬組成物を調整するために、100mgの式(D)の化合物(例えばPCI−32765/イブルチニブ)は1.75gのヒドロキシプロピルセルロース、10mLのプロピレングリコール、10mLのイソプロピルミリスチン酸塩及び100mLの精製アルコールUSPと混合される。上記の結果のゲル混合物は、例えばチューブのような吸入投与に適した容器に組み込まれる。
<実施例26g:点眼液組成物>
点眼医薬組成物を調整するために、100mgの式(D)の化合物(例えばPCI−32765/イブルチニブ)は0.2ミクロンのフィルター処理された100mLの0.9gのNaClを含有する精製水水溶液と混合される。上記の結果の等張性溶液は例えば点眼液のような、眼からの投与に適した眼送達用量単位に組み込まれる。
<実施例27:マントル細胞リンパ腫におけるリンパ球の移動へのPCI−32765の影響>
他のB細胞受容体(BCR)経路阻害剤の時に見られるように、慢性リンパ性白血病(CLL)の患者において、イブルチニブ処置の後しばしば著しい、しかし一過性の循環中のCLLリンパ球の上昇が見られる。イブルチニブの第1相臨床試験の経過で、マントル細胞リンパ腫(MCL)を含む他のタイプの非ホジキンリンパ腫(NHL)の処置された患者に類似の効果が見られた。この実施例において、我々はMCLの患者の移動細胞のパターンと表現型を特定し、さらにこの効果の機構を調べた。7日後のイブルチニブ(PCI−32765)処理されたMCL患者の末梢血のCD19+CD5+細胞は処置前と比べCXCR4、CD38及びKi67の発現の有意な減少を示した。さらに、MDC、MIP−1β及びCXCL13のような血漿ケモカインは処置1週間後に40―60%減少した。機構としては、我々はイブルチニブがBCRを阻害すること、そしてケモカインがMCL細胞株において接着と走化性を媒介すること、投与量依存性のBCRの阻害、及び間質細胞とCXCL12/CXCL13によるpBtk、pPLCγ2、pErk、又はpAkt刺激を見いだした。重要な事に、イブルチニブは共培養系のMCLにおいて投与量依存的に偽エンペリポレシスを阻害する。我々はBtkがMCL細胞の第二のリンパ組織へのホーミングに不可欠であること、そしてその阻害は悪性腫瘍の末梢血への放出という結果をもたらすことを主張する。
<材料と方法>
<薬物処置患者からのヒトMCL初期試料:>
米国においてPCYC―04753又はPCYC―1104研究に参加したMCLの患者から関連する機関の審査委員会によって許可された、ICHにより提供されたGCPガイドラインとヘルシンキ宣言のインフォームドコンセントとコンプライアンスのプロトコルの原則に従って血液が取り出された。全血サンプルはヘパリンナトリウムCPTチューブ(BD)に集められ、回収した場所において5分間混合後1500rcfで20分間遠心分離された。上記サンプルはファーマサイクリックスに36時間で一晩で輸送された。層流フード内において、チューブの上層よりPBMSは除去され、PBSで洗浄後、90%FBS+10%DMSO(Sigma,St Luis,MO)中で液体窒素中に使用時まで凍結された。
<エクスビボ研究のための細胞株と初期材料:>
MCLの細胞株HBL2(University of kiel,Depertment of Pathology,ドイツのDr.Wolframより快くに提供された。)JeKol(University Medical Center Groningen,オランダのDr.Lydia Visserより快く提供された)、Mino(DSMZ,ドイツ)は10%の熱不活性化ウシ胎児血清と2mMのL−グルタミン、100U/mLペニシリン及び100μg/mLストレプトマイシン(Life Technologies,オランダ)を添加したRPMI1640中で培養された。共培養用及び移動アッセイ用のMino細胞、及びげっ歯類の間質細胞株M2―10B4はATCCから入手され、15%又は10%のウシ胎児血清を加えたRPMI中でそれぞれ維持された。全ての細胞培養試薬はlife Technologies(Grand Island,NY)から得られた。
エクスビボ研究のためにMCL患者由来の末梢血がアムステルダムのアカデミックメディカルセンターの血液学部門より提供された、そしてPBMCがフィコールによって単離され、B細胞がMACSを用いてネガティブセレクション(Miltenyi Biotec)により精製された。この研究はAMCの人体実験に対する医療委員会の承認のもと実行された。インフォームドコンセントはヘルシンキ宣言に従って入手された。
ヘルシンキ宣言に従ったインフォームドコンセントとNIHの組織の審査委員会承認に基づき、末梢血(PB)とリンパ節生検(LN)はナショナルキャンサーインスティチュートの研究#05―C―0170(http://clinicaltrials.gov identifier: NCT00114738)に参加したMCL患者の非処置群より集められた。対応のPBとPLは同日に集められ、処理され、そして平行して分析された。
単核細胞は密度勾配遠心法(フィコールリンパ球分離溶液、ICN Biomedicals)で単離され使用時まで生存状態で90%ウシ胎児血清(FBS)及び10%ジメチルスルホキシド(DMSO)中で液体窒素中に凍結された。
<抗体>
フローサイトメトリーに使用する抗体はBD(San Jose,CA)より購入され、取扱説明書に従って使用された:CD3−V500、CD19−APCCy7、CD19−APC、CD5−PerCPCy5.5、CD5−FITC、CXCR4−PECy7、 CXCR4−PE、CD38−PE、CD62L−PE、CCR7−V450、CXCR3−Alexa488、CXCR5−Alexa647、CD49d−APC、CD29−PE、CD44−V450、CD54−PE、CD11a−APC、CD11c−V450、CD18−FITC、CD40−PECy7、Ki67−Alexa488、Igκ軽鎖−APC、Ig・軽鎖−FITC。
ウエスタンブロットに使用された抗体は以下のとおりである:リン酸化p44/42MAPキナーゼ[T202/Y204]抗ERK1及び2、リン酸化AKT[Ser473]抗PKB/AKT(New England Biolabs,Ipswich,MA)、リン酸化BTK[Y551]抗BTK(BD Biosciences)、リン酸化BTK[Y223]抗BTK(Epitomics,Burlingame,CA)、リン酸化PLCγ2[Y759]抗PLCγ2(BD Biosciences)、抗ERK2(C−14,Santa Cruz Biotechnology,Santa Cruz,CA)、抗AKT(H−136,Santa Cruz Biotechnology)、抗BTK(クローン53,BD Biosciences)、ヤギF(ab)’2抗ヒトIgM(LE/AF,Southern Biotech,Birmingham,AL)、ウサギ抗マウスホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)複合体、及びヤギ抗ウサギHRP複合体(DAKO,Houston,TX)。
<インビトロ実験のための化合物と試薬:>
イブルチニブはファーマサイクリックス(Sunnyvale,CA)より、R406はAxon Medchem(Groningen,オランダ)より、ウォルトマンニン及びホルボール−12―ミリスチン酸塩−13―酢酸(PMA)はシグマ−アルドリッチ(St Louis,MO)から購入された。組み換えヒトsVCAM、ヒト血漿フィブロネクチン、BSA(画分V)、rhCXCL12、rhCXCL13はR&Dシステムズ(Minneapolis,MN)より、rhCCL19及びrhCCL21はMT―diagnostic(Nethelands,BV)より、そしてポリ−l―リジン(PLL)はシグマ−アルドリッチより購入された。
<MCLの表現型検査:>
凍結されたPBMCを37℃のウォーターバスで溶解し、RPMI+10%FBSに再懸濁し、そしてポリプロピレンチューブ(BD−Falcon)中で、表現型の分析の前に2時間、37℃、5%CO2のインキュベーター中で回復させた。PBMCはPBS+2%FBSで洗浄され、沈殿そして表現型検査表面抗体を含むPBS+2%FBSで再懸濁された。全ての染色カクテルは2連チューブで実行された。細胞は30分間染色され、PBSで洗浄され、1300rpmを5分間により沈殿され、そしてPBS+1.6%パラホルムアルデヒド(Electron Microscopy Service,Hatfield,PA)で固定された。Ki67による増殖を分析する細胞は70%のエタノールを用いて−20℃一晩で透過性とし、PBSで再水和し、そしてKi67抗体で染色された。
<フローサイトメトリー>
BD FACS CantoII(BD,San Jose,CA)が全てのフローサイトメトリーによるコレクションに用いられた。この機器は製造元の推奨に従って保守された。CT&Tビーズ(BD)が毎日の測定のベースラインと再現性のため製造元の取扱説明書に従って使用された。ホスホフローアッセイが記載の通り染色され実行された。上述の抗体がBD CompBead Plusと共に環境の埋め合わせ(compensation settings)と抗体染色の整合性のため用いられた。10,000のCD19+細胞がそれぞれの染色サンプルで集められた。上記データはFlowJo7.6(Tree Star,Ashland,OR)を用いて分析及び定量された。
<共培養アッセイ:>
M2−10B4間質細胞、及びB細胞の細胞株のMino細胞の共培養がBurger et al(Blood.1999;94(11):3658−3667)の方法に基づいて確立された。Mino細胞は担体、百日咳毒素(Sigma)、又はイブルチニブを用いて37℃で1時間処理され、培地で洗浄し、そしてコンフルエントな単層の間質細胞を含むプレートに加えられた。上記共培養はMino細胞の間質細胞層の下への移動のため37℃で5時間から一晩培養され、その後それらは十分に移動していない細胞を取り除くため洗浄された。生細胞追跡色素を共培養に使用するため、細胞に最初にAlexa Fluor CellTrackerが取扱説明書に従って加えられた。顕微鏡観察のために、細胞はパラホルムアルデヒドで固定され、DAPIマウンティングメディア(Vectashield,Vector Laboratories,Burlingame,CA)を用いてスライド上にマウントされた。共培養中のMino細胞の移動をフローサイトメトリーで定量するために、細胞はトリプシン処理され、APC―Cy7標識抗CD19抗体(BD Laboratories)で染色された。細胞はCountBright Abusolute Counting Beads(Life Technologies)を用いてBD CantoIIフローサイトメーター上で計数された
<Mino細胞におけるアクチン重合:>
Mino細胞は無血清培地中でカバースリップに37℃で30分間接着した、そしてDMSO、百日咳毒素又はイブルチニブで1時間処理された。細胞はパラホルムアルデヒドで固定され、TritonX−100を用いて透過性とし、そしてAlexa Fluor495標識ファロイジン(Molecular Probes,Grand Island,NY)で染色された。カバースリップはガラススライド上にDAPIを含有したVectashield mounting medium(Vector Laboratories)を用いてマウントされた。顕微鏡観察はZeiss Axioplan2 顕微鏡を使用して63×/1.40プラン−アポクロマート油浸対物レンズを使用して行われ、画像はZeiss Axiocam MRm CCDカメラ及びAxio Vision v.4.8ソフトウェアで取得された。濃度測定法のために、少なくとも30の細胞がそれぞれの条件で画像化された。
<接着アッセイ:>
細胞接着アッセイは基本的には以前に記載したように行われた。詳細には、接着アッセイは10μg/mLのフィブロネクチン、500ng/mLのVCAM―1、又は4%のBSAを含んだPBSを用いて4℃で一晩コート、あるいは1mg/mLのポリ−l−リジンを用いて37℃で15分間処理され、そして4%BSAを含んだRPMI1640でブロッキングされたEIA/RIA96ウェルプレート(Coster)を用いて3連で行われた。細胞は100nMのイブルチニブ、100nMのウォルトマンニン又は1μMのR406で処理あるいは1%のBSAを含むRPMIで1時間前処理された。その後、細胞は100ng/mLのヤギ(Fab)2抗ヒトIgM、又は50ng/mLのPMAで刺激され、そしてその後1.5×105のNamalwaあるいは3.0×105のCLL細胞は即座に100μL/ウェルに植えられ、37℃で30分間培養された。非接着細胞を除くため1%のBSAを含むRPMIで十分に洗浄した後、接着細胞はPBS中の10%のグルタルアルデヒドで10分間固定され、次に20%メタノール中の0.5%クリスタルバイオレットで45分間染色した。水で十分に洗浄した後、染色液はメタノールで溶出され、そして40分後に570nmの吸光度が分光光度計(Multiskan RC spectrophotometer, Thermo Fisher Scientific,Philadephia,PA)で測定された。バックグラウンドの吸光(セルが無い状態)は差し引かれた。非特異的接着による吸光は、4%のBSAでコートしたウェルによって決められ、そしてそれは常に抗IgM刺激細胞の吸光の10%以下であった。最大接着(100%)はPLLでコートされたウェルに細胞を使用することにより決定された。その際、固定の前に洗浄は行わなかった。先に処理を行わなかった抗IgM刺激細胞の接着は100%にノーマライズされ、バーはそれぞれの独立した実験の平均値+SEMを表した。それぞれのアッセイは3連で行った。
ケモカイン媒介性の接着は、500ng/mLのVCAM―1と共に固定されたケモカイン、CXCL12では100ng/mL、CXCL13では100ng/mL、CCL19では100ng/mL又はCCL21では100ng/mLを除いて、上に示したようにアッセイされた。プレートは細胞を加えた直後に、遠心され、2分間の間細胞を接着させた。
代替的には、血清飢餓細胞がまず刺激され、上述のように接着され、そしてイブルチニブ(1μM)が37℃で2時間の後に添加され、その後プレートは非接着細胞を除去するために洗浄された。
<移動アッセイ:>
移動アッセイは基本的には文献(de Gorter et al. Immunity. 2007;26(1):93−104; de Gorter et al. Blood. 2008;111(7):3364−3372)に記載の通り実行された。詳しくは、移動アッセイは500μg/mLのVCAM−1でコートされたトランスウェル(孔サイズは5μm、Costar)を用いて3連で評価する。下の区画には100ng/mLのCXCL12が含まれており、上記細胞は100nMのイブルチニブを用いて37℃で1時間0.5%BSAを含んだRPMIで前処理された。上記の細胞は上の区画に加えられ、37℃で2時間移動を許された。生きている移動細胞の量はFACSで決定されとインプットの量の%量として表された。
<イムノブロッティング:>
イムノブロッティングは基本的には文献(de Rooij et al. Blood. 2012;119(11):2590−2594; de Gorter et al. Blood. 2008;111(7):3364−3372)に記載されたとおりに行われた。詳しくは、RPMI中の107の細胞は37℃で1時間100nMのイブルチニブを用いて前処置された。100ng/mLのヤギ抗ヒトIgM又は(Fab’)2、あるいは100ng/mLのCXCL12で5分間(あるいは示すように)刺激の後、細胞はSDS―PAGEのサンプルバッファに直接溶解された。2×105の細胞が10%SDS−PAGEゲルにアプライされ、ウサギ抗リン酸化ERK1/2(Cell Signaling,Danvers,MA)、ウサギ抗リン酸化AKT、マウス抗リン酸化BTK
又はマウス抗βアクチン、そしてそれに続いてヤギ抗ウサギ又はウサギ抗マウスのHRP複合体、そして増幅された化学発光(GEヘルスケア,Piscataway,NJ)によって現像された。同等の発現と添加を確認するため、ブロッティングは潰され、抗ウサギRRK2抗体、ウサギ抗AKT抗体、及びマウス抗BTK抗体とインキュベートされた。
<統計分析:>
分析はGraphPad Prism 4.0(San Diego,CA)を用いて行われた。統計的な有意差はボンフェローニの事後比較と対応のない場合のスチューデントのt検定の2つのANOVAのどちらかを平均値間の有意差決定するために用いた。平均値とノーマライズされた値(100%)との有意差を決定するために1サンプルt検定が使用された。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001.
<結果>
<MCL患者に対するイブルチニブ投与後の一過性の絶対リンパ球数(ALC)の増加>
様々なB細胞悪性腫瘍の患者が参加した第1相臨床試験において、MCL患者(n=9)は35日のサイクル、即ち28日間の間は1日1回投与し、サイクルの間に7日間の休薬日をもうけ、イブルチニブで処置された。これらの条件下で、ALCの周期性の増減パターンが観察された。これは処置の最初の数週間に続いてALCの上昇が見られ、その後、7日間の休薬日の後にベースラインに戻るというものであった。この周期性のALCのパターンは処置の期間継続した。イブルチニブ処置の治療単位の間に、垂直方向の直径の合計(SPD)で決定される腫瘍の体積はサイクル2、4、6の処置後の評価の間に平均80%減少した。従って、処置の最初の6サイクルの間、それらの患者において末梢血におけるALCのこぎり歯型のパターンの増減を、節奏効と共に観察することができた。同様のALCの増加は次の研究(第2相臨床試験)においても観察され、その場合においてMCL患者は休薬日無しで560mgの固定用量を1日1回処置された。その試験においては、2−4週間の投薬処置の後100%−150%のALCの増加が見られた。上記のALCの増加は一過性であり、2サイクル目の終わりにおいては注目すべきALCの減少が見られた。ALC量の継続した減少がサイクル4−5における先細りまで見られた。
<ALCの上昇はCD19+CD5+細胞に限定された、軽鎖の増加に起因する>
イブルチニブにより増加したリンパ球の集団を明らかにするために、1週間の処置の前(D1)と後(D8)の患者の単離されたPBMCがCD3、CD19、CD5を使って染色されフローサイトメトリーで分析された。上記の増加したリンパ球はCD3―CD19+CD5+と特定され、CD19+CD5+細胞のリンパ球集団における絶対数と割合が1週間のイブルチニブ処置の後、共に有意に増加した(p<0.05)。一方、CD19+CD5―集団においては見られなかった。図35に示された患者において、投薬処置前のCD19+CD3―とCD19+CD5+の集団は各々9.29%と84.4%であり、そして1週間の投薬処置の後63%と98.8%に増加した。上記のCD19+CD3―CD5+細胞は軽鎖に限定されており(データは表示しない)、1週間の処置の後に循環中の末梢におけるMCL細胞の増加をおそらく反映している。いくつかの場合において、移動細胞は異なったサブセットのCD45dim小細胞を備えており、それらはまたMCLと一致する。
ターゲットであるBTKの完全な阻害がこれらの患者において得られたことを確認するために、MCL患者のPBMCにおけるイブルチニブのBTK活性部位への占有率が蛍光プローブ競合結合アッセイを用いて評価された。平均90%以上のターゲットの占有率が1週間の処置の後の患者において観察された。
<投薬処置後の末梢のCD19+CD5+集団はCXCRloCD38loであり、Ki67は減少している>
次に我々はCD19+CD5+細胞における組織への移動とホーミングに関与するケモカインのレセプターであることが知られているCXCR4の発現を分析した。CXCR4の表面における発現はCD19+CD5+集団において1周間の投薬処置の後、有意に減少(p<0.05)した(図36A)。CLL患者におけるCXCR4とCD38の発現が、末梢血のCLL細胞と比較してリンパ節内在の細胞においては低いことが報告されている。そのため、我々は適合した患者のリンパ節と末梢血居住MCL細胞におけるCXCR4とCD38の発現を分析した。実験した3人全ての患者においてLNから単離されたMCL細胞におけるCXCR4の発現は末梢血のものと比較して低かった(図36D)。これは、観察された循環中の新しいCXCR4loのMCL細胞集団と一致し、そして、移動細胞が例えばLNのような組織に由来することと一致する。この意見は同じ時期における目立ったリンパ節膨張症の減少によってもさらに支持される。移動集団に対するさらなる研究が高いCD38+の発現がLN内在MCL細胞に見られるCD38+細胞の上昇と一致することを開示した(図36B/D)。このCD38+細胞における初期の増加はCD19+CD5+細胞の処置に続いて有意に減少し(p<0.01)、そして一方CD19+CD5―細胞(同様に低いCD38の発現を持つ)は有意に変化しなかった(図36B/C)。
次に、我々は移動画分のホーミング及び移動と同様に増殖能のマーカーの変化を試験した。細胞内のKi67の発現は処置の後、有意に減少していた(p<0.05)(図36C)。ホスホフローサイトメトリーによる処置前後の患者のCD20+CD5+小集団の分析の結果、リン酸化ERKもまた減少していた。pErkの発現はほとんどの場合、MCL患者のCD20+CD5+細胞においては健康なボランティアと比べてより高く、そしてそれはイブルチニブ処理により減少したが(図36C、下のパネル)、その差は統計的には有意ではなかった。
さらに、ホーミングにおいて重要なケモカイン(MDC、MIP−1β、CXCL13及びCXCL17)が1週間の処置の後に平均50%より多く減少した。最初サイクルの処置の終わりまでに、さらにまたMDC、MIP−1β、IL−10及びTNF―αは50%減少した(図36E)。
<イブルチニブはMCL/間質細胞共培養において偽エンペリポレシスを阻害する>
イブルチニブで処置されたMCL患者におけるALCの一過性の増加は細胞接着の破壊、及びリンパ節内又は組織コンパートメント内の移動に起因するものである可能性がある。以上のことを研究するために、我々はインビトロでの薬剤の効果を決定するためにMCL−間質細胞の共培養を確立した。初期MCL細胞、又はMino細胞株はげっ歯類の骨髄の間質細胞M2−10B4との共培養系で増殖した。初期MCL細胞又はMino細胞はどちらも接着し、即座にM2―10B4細胞の下へ移動する(偽エンペリポレシス)ことを我々は見つけた。イブルチニブによる偽エンペリポレシスの有意な阻害が光学顕微鏡により観察され、共培養に残っているMino細胞又は初期MCl細胞の数が4時間の共培養の後ゆるやかに洗浄することにより回収されたhCD19+細胞のフローサイトメトリーにより定量された(図37のA及びBの左パネル)。イブルチニブは投与量依存的にMino細胞の間質細胞の下への移動を阻害し、そしてその阻害は100nM(p<0.01)と1000nM(p<0.001)において有意であった。よく研究されているGPCR阻害剤である百日咳毒素はMino細胞の移動阻害に対するポジティブコントロールとして用いられ、移動を200ng/mL(p<0.001)で有意に阻害した。さらにB細胞のホーミングにおいて重要なケモカインであり間質細胞によって生産されるCXCL12は、Mino細胞の皮質のアクチンを増加させ、ファロイジン蛍光顕微鏡での評価によるとその反応は投与量依存的であり、イブルチニブによって10及び100nMにおいて有意に阻害した(p<0.001)(図37のA右パネル)。イブルチニブはまた共培養の初期MCLのアクチンの重合も100nMの濃度(p<0.001)で抑制した(図37のB右パネル)。
<イブルチニブはMCL/間質細胞共培養においてBtkの活性を阻害し、間質細胞によって誘導されるケモカインとサイトカイン分泌を抑制する>
間質細胞との共培養中のMCL細胞に対する上記薬剤の効果をさらに理解するために、Mino細胞は薬剤で処置され、げっ歯類間質細胞(M2―10B4)と共培養又は抗IgMによって刺激された。イブルチニブは投与量依存的に単独のあるいはM2間質細胞との共培養においてMino細胞のpBtk、pPLCγ2及びpAktを阻害した。調製された培地中のケモカインとサイトカインの濃度が、イブルチニブ処置された単独又はM2細胞との共培養又は抗IgMによって刺激されたMCL細胞において決定された。M2間質細胞との共培養においては検出可能なシグナリングタンパク質の活性化が無いにもかかわらず、Mino細胞はBCRの刺激と共培養の後、ケモカインとサイトカインの分泌を増加した。同様の結果がJeko細胞株においても観察された。イブルチニブはげっ歯類の間質細胞はヒトのケモカインとサイトカインを生産しないにもかかわらず、ヒトのIL−10、MDC、MIP−1α、MIP−1β、TNFα、CCL17及びCCL21の生産をBCR活性化後あるいは共培養後に投与量依存的、強力に抑制した。同様に、イブルチニブはM2−10B4又はヒト間質細胞株HS−5との共培養においてJeko1細胞のIL−10、MDC、MIP−1α、MIP−1β、TNFαの生産を抑制した。これらのインビトロのMCL細胞株での結果はイブルチニブによる血漿ケモカイン/サイトカインの減少とよく相関する。
<イブルチニブはインビトロにおいてBCR及びケモカイン介在性の細胞接着と移動を阻害する>
我々はMCLの細胞株Mino、Jeko1及びJVM−1の移動と接着に対するイブルチニブの直接の効果を評価した。まず、それらのMCL細胞株におけるBtkシグナリングへのイブルチニブの効果を決定した。予想した通りにイブルチニブは抗IgM、ケモカインであるCXCL12及びCXCL13刺激の後にBtkと下流のシグナリングタンパク質PLCγ2、MAPキナーゼ、Erk、JNK及びAktのリン酸化を阻害した。細胞表面のCXCR4、CXCR5、CCR7、表面IgM及びα4β1インテグリンの発現がフローサイトメトリーで確認され、それに続いてインビトロ接着及び走化性アッセイが薬剤を用いて行われた。イブルチニブはJeko1及びHBL細胞のフィブロネクチン又はVCAM1への抗IgM刺激による接着を100nM(臨床的に関連性のあるイブルチニブの濃度の濃度)で50―70%の阻害率で有意に阻害した。イブルチニブによる接着の阻害はまた、投与量依存的であった。同様にMino細胞とJeko1細胞のVCAM1又はフィブロネクチンへの接着はCXCL12あるいはCXCL13の活性化の後100nMのイブルチニブによって阻害された。阻害の程度はJeko細胞(20−30%)よりもMino細胞(50−70%)のほうが高かった。接着の変化に加えて、イブルチニブは投与量依存的にMino、Jeko1及びJVM−1細胞のCXCL12誘導性の移動を阻害すること、そしてその際、Mino及びJeko細胞はJVM細胞より薬剤に対して感受性であることを我々は見つけた。イブルチニブはまた、CXCL13に刺激されたMino細胞の移動を1nMから1μMの濃度で投与量依存的に阻害した。
次に、我々は初期MCL細胞においてイブルチニブのシグナリングと接着に対する効果を試験した。正常B細胞と比較してMCL細胞においてはY223のリン酸化が増加した。そしてそのことはB細胞悪性腫瘍においてBCRシグナリングが上昇していることと一致している。イブルチニブは初期MCLと正常B細胞において10nM以上の濃度で自己リン酸化部位であるpBtkとY551(Srcファミリーキナーゼチロシンリン酸化を受ける)を阻害しY759及びY1217のpPLCγ2を減少させる。これらの結果はイブルチニブは直接に初期MCL細胞のBtKの活性を阻害していることを示している。重要な事に、イブルチニブは100nMの濃度で初期MCL細胞においてBCRによって刺激されたフィブロネクチンへの接着と同様にCXCL12又はCXCL13によって活性化されたVCAM1への接着も阻害する。それらの初期細胞における阻害の程度は10−20%であり、その大きさはMCL細胞株におけるものと比べ強くはなかったが、その阻害は統計的には有意であった。
上記の研究は全体としてイブルチニブが初期MCL細胞と同様にMCL細胞株において、それらの細胞のBtk阻害と関連のある、BCR及びCXCL12又はCXCL13により活性化された接着及び移動を阻害することを示した。