本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
<静電荷像現像用キャリアおよび静電荷像現像用キャリアの製造方法>
電子写真法による印字速度の高速化および使用環境の多様化に伴い、樹脂被覆層を有するキャリアには、長期間にわたりキャリアの帯電性やキャリア抵抗の変動を少なくすることが望ましいが、樹脂被覆層を厚膜にすると現像剤のトナーに含まれる添加剤等の付着による帯電性の変動が発生する場合があり、樹脂被覆層を薄くすると磁性芯材粒子が露出して帯電性が変動したり、抵抗が低下したりしてしまい、結果として印字画像の劣化が発生してしまう場合がある。この現象は高温高湿環境下(35℃85%RH環境下)の使用で顕著に現れ、特に高温高湿環境下での長期の連続使用後の画像形成において、キャリア抵抗が低下し、電荷注入されたキャリアが帯電ロールや感光体や感光体クリーニング部材等を汚染したり傷つけたりして、画像欠陥を発生させてしまう場合がある。
本発明者らは、鋭意研究した結果、磁性芯材粒子とこの磁性芯材粒子を被覆している樹脂被覆層を有する静電荷像現像用キャリアにおいて、この磁性芯材粒子に絶縁破壊が発生しにくいカルシウムを含有させ、そのカルシウムを磁性芯材粒子の表面部に多く存在させ、なおかつ被覆樹脂で被覆された後においても、カルシウムが多く存在する磁性芯材粒子の表面を予めキャリアの表面に対して一定の比率で露出させることにより、高温高湿下での長期の画像形成後においても、安定して高画質を確保しつつ、キャリア抵抗の低下に起因する画像欠陥が抑制されることを見出した。さらに、画像劣化を改善できることをも見出した。これは、絶縁破壊の起こりにくいカルシウムを磁性芯材粒子の表面部に含有させ、尚且つ磁性芯材粒子の表面のカルシウムを予めキャリアの表面の一部に露出させることにより、使用開始時より長期使用後に至るまでのキャリア表面の組成変動が少なくなり、キャリア抵抗の変動を抑え、キャリア抵抗の低下による電荷注入を防ぐためと考えられる。このように、被覆樹脂が摩耗しても安定して抵抗を保持する構造を維持することにより、高温高湿環境においても長期にわたって安定したトナー現像性が得られ、高温高湿環境下での長期の画像形成においてキャリア表面の組成変動が起因となる画像抜け等の画像欠陥が少なくなると考えられる。
本発明の実施形態に係るキャリアは、磁性芯材粒子と、磁性芯材粒子の表面を被覆している樹脂被覆層とを有する。また、磁性芯材粒子が0.05質量%以上のカルシウムを含有し、磁性芯材粒子の表面部におけるカルシウム含有比率が、磁性芯材粒子の内部におけるカルシウム含有比率より高く顕在するものである。本明細書においては、特に言及する場合を除き、単なる「キャリア」とは、磁性芯材粒子と樹脂被覆層とを有するものであるとする。
磁性芯材粒子のカルシウム含有量は、0.05質量%以上1.0質量%以下の範囲であり、0.1質量%以上0.5質量%以下の範囲であることが好ましい。磁性芯材粒子のカルシウムの含有量が0.05質量%未満では絶縁抵抗を付与する効果が少なく、1.0質量%を超えると磁化特性などに影響が出る。
磁性芯材粒子のカルシウムの含有量は、蛍光X線分析装置(例えば、PRIMUS II(リガク株式会社製)など)を使用して、磁性芯材粒子をセルロースに分散させ、成型したものを分析することにより、測定される。
また、本発明の実施形態に係るキャリアでは、カルシウムが、磁性芯材粒子の内部より磁性芯材粒子の表面部に多く存在し、磁性芯材粒子内部のカルシウム含有比率(a)に対する磁性芯材粒子表面部のカルシウム含有比率(b)の比b/aが5以上である。b/aの上限は特に制限されず、例えば、カルシウムを磁性芯材粒子内部に含有せず、前記aがゼロまたは検出限界以下である磁性芯材粒子を使用することもできる。特に、前記b/aが10以上100以下であることが好ましい。前記b/aが5未満であると、磁性芯材粒子表面に絶縁抵抗を付与する効果が少なくなり、キャリア抵抗の安定性が損なわれる場合がある。
磁性芯材粒子の表面部および内部のカルシウム含有比率は、電子線マイクロアナリシス法により、電子線マイクロアナライザ(例えば、EPMA−1610(株式会社島津製作所製)など)を使用して、測定する。磁性芯材粒子の表面を分析して、表面部におけるカルシウム含有比率b(質量%)を求める。磁性芯材粒子の内部におけるカルシウム含有比率a(質量%)については、磁性芯材粒子をミクロトームでカット後、現れた断面を分析して、内部におけるカルシウム含有比率a(質量%)を求める。測定値としては、磁性芯材粒子の表面および内部における5.0μmφの領域を10点測定し、その平均値とする。樹脂被覆層を有するキャリアについては、溶剤により樹脂被覆層を除去することにより、磁性芯材粒子の表面部または内部のカルシウム含有比率を測定することが可能である。
ここで、本明細書において、磁性芯材粒子の「表面部」とは、磁性芯材粒子の粒径に対して表面から5%までの部分をいい、磁性芯材粒子の「内部」とは、その磁性芯材粒子の粒径に対して表面から5%までの部分以外の部分をいう。
キャリア表面部のカルシウム含有比率cは、電子線マイクロアナリシスにより測定される。例えば電子線マイクロアナライザEPMA−1610を使用して、キャリアの表面を分析して、表面部におけるカルシウム含有比率c(質量%)を求める。前記磁性芯材粒子の表面部におけるカルシウム含有比率b(質量%)に対する、キャリアの表面部における含有比率c(質量%)の比c/bは、0.1以上0.5以下の範囲であり、0.2以上0.4以下の範囲であることがより好ましい。前記c/bが0.1未満であると、長期使用時の組成変動が大きくなる場合があり、前記c/bが0.5を超えると、磁性芯材粒子の被覆樹脂での被覆量が足りていない場合がある。
本明細書において、キャリアの「表面部」とは、キャリアの粒径に対して表面から5%までの部分をいう。キャリア表面のカルシウム含有量も磁性芯材粒子の表面部と同じ方法で分析すればよい。測定値としては、キャリア表面における0.5μmφの領域を10点測定し、その平均値とする。
キャリアにおける磁性芯材粒子の露出率(以下、単に「芯材露出率」とも言う。)とは、磁性芯材粒子の表面が樹脂被覆層で被覆されてなるキャリアにおいて、磁性芯材粒子の表面が露出している面積(樹脂被覆層で被覆されていない面積)の、全表面積に対する面積比である。キャリアの芯材露出率は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてキャリアの表面を撮影し、画像解析装置を用いて磁性芯材粒子の露出部と被覆樹脂部の判定および各面積の測定を行うことにより、測定される。
磁性芯材粒子の表面の凹凸の平均間隔Smは、1.0μm以上5.0μm以下の範囲であることが好ましく、1.2μm以上2.5μm以下の範囲であることがより好ましく、1.5μm以上1.8μm以下の範囲であることが更に好ましい。凹凸の平均間隔Smが1.0μm未満であると、被覆樹脂層形成用溶液の染込みが悪くなり、密着性が低下する場合がある。凹凸の平均間隔Smが5.0μmを超えると、密着性が低下する場合がある。
磁性芯材粒子の表面の凹凸の最大高さRyは、0.5μm以上3.0μm以下の範囲が好ましく、0.7μm以上1.0μm以下の範囲がより好ましい。凹凸の最大高さRyが0.5μm未満であると、被覆樹脂層形成後の芯材露出をさせることが難しくなる場合がある。凹凸の最大高さRyが3.0μmを超えると、磁性芯材粒子の強度が低下する場合がある。
磁性芯材粒子の表面の凹凸の平均間隔Smおよび最大高さRyは、JIS B0601(1994年度版)に準拠して測定される。平均間隔Smおよび最大高さRyの具体的な測定方法としては、磁性粒子50個について、超深度カラー3D形状測定顕微鏡(例えば製品名VK−9500(株式会社キーエンス製)など)により、倍率3000倍で表面を観察して測定される。
凹凸の平均間隔Smは、観察したコア表面の3次元形状から、粗さ曲線を求め、該粗さ曲線が平均線と交差する交点から求めた山谷−周期の間隔の平均値を求める。Sm値を求める際の基準長さは、10μmであり、カットオフ値は、0.08mmである。
最大高さRyは、粗さ曲線を求め、その平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から最も高い山頂までの高さYpと最も低い谷底まで の深さYvとの和(Yp+Yv)を求めることで最大高さRyを得る。Ry値を求める際の基準長さは10μmであり、カットオフ値は、0.08mmである。
キャリアの表面部のカルシウム含有比率、および、キャリアの表面における磁性芯材粒子の露出率を測定するには、測定サンプルとして、静電荷像現像用現像剤からトナーを脱離させて得られるキャリアを使用する。より具体的なトナーの脱離方法としては、たとえば現像剤10gを100mlビーカーにとり、脱イオン水50mlと界面活性剤数滴を添加し、超音波をかけ、ビーカーの底より磁石でキャリアを吸着させ上澄みの除去を実施する。上記作業を数回繰り返してトナーを脱離させ、脱イオン水で数回洗浄後乾燥し、キャリアを得ることができる。
また、磁性芯材粒子について、カルシウム含有量、内部および表面部のカルシウム含有比率、表面の凹凸の平均間隔Smおよび最大高さRyを測定するには、上記の通り静電荷像現像用現像剤からトナーを脱離させて得られたキャリアから、溶剤等により被覆樹脂層を除去して得られる磁性芯材粒子が用いられる。より具体的な被覆樹脂層の除去方法としては、たとえばビーカーにキャリアと適当な溶剤を添加して超音波を掛け、被覆樹脂を溶解後、ビーカーの底より磁石でキャリアを吸着させて上澄みを除去し、これを繰り返すことで被覆樹脂が除去された磁性芯材粒子を得ることができる。
磁性芯材粒子の体積平均粒子径は、15μm以上100μm以下の範囲であることが好ましく、15μm以上50μm以下の範囲であることがより好ましい。体積平均粒子径が15μm未満であると、現像剤保持体上に保持できず現像されてしまう場合があり、100μmを超えると、小粒径トナーを均一に帯電できない場合がある。
磁性芯材粒子の飽和磁化は、40emu/g以上であることが好ましく、50emu/g以上75emu/g以下の範囲であることがより好ましい。磁性芯材粒子の飽和磁化が40emu/g未満であると、現像の際に現像機マグネットロールから離脱してしまい画像欠陥を起こす場合がある。
本実施形態において、磁性芯材粒子の製造方法としては、特に限定しないが、その製造方法の一例を説明する。
磁性芯材粒子は、例えば下記の一般的なフェライト芯材粒子の製造方法に準じて製造される。各酸化物を適量配合し、水を加え、湿式ボールミルまたは湿式振動ミル等で例えば1時間以上、好ましくは1時間以上20時間以下粉砕混合する。このようにして得られたスラリを乾燥し、さらに粉砕した後、例えば700℃以上1200℃以下の温度で仮焼成する。仮焼成後、さらに湿式ボールミルまたは湿式振動ミル等で粉砕し、粒径1μm以下の混合粉を得る。得られた混合粉をスプレードライヤー等の造粒手段で造粒し、例えば1000℃以上1500℃以下の温度で1時間以上24時間以下保持し、本焼成を行う方法などが挙げられる。
本実施形態においては、仮焼成後にミル等で粉砕して得られる混合粉の粒径、および、造粒方法の調整や焼成温度を調整することにより、得られる磁性芯材粒子の表面における凹凸の平均間隔Smおよび最大高さRyが制御される。例えば、混合粉の粒径を大きくし、焼成温度を上げ磁性芯材粒子表面の焼結を進めることにより、当該平均間隔Smを大きくすることができ、混合粉の粒径を大きくし、焼結温度を抑えることにより、当該最大高さRyを大きくすることができる。
本実施形態においては、上記造粒において、乳化重合あるいはその他の方法により結着樹脂を含む樹脂粒子分散液を作製し、磁性芯材粒子の原料組成物の分散液とともにヘテロ凝集させ、その後、融合、合一する乳化重合凝集法により実施してもよい。
磁性芯材粒子の原料としては、従来公知のものを使用すればよいが、好ましくはフェライトやマグネタイトが選ばれる。他の原料として、例えば鉄粉が知られている。鉄粉の場合は比重が大きいためトナーを劣化させやすいので、フェライトやマグネタイトの方が安定性に優れている。磁性芯材粒子の原料組成物であるフェライトの例としては、一般的に下記式で表されるフェライトが挙げられる。
(MO)X(Fe2O3)Y
(式中、Mは、Cu、Zn、Fe、Mg、Mn、Li、Ti、Ni、Sn、Sr、Si、Al、Ba、Co、Mo、Ca等から選ばれる少なくとも1種を含有する。またX、Yは質量mol比を示し、かつ条件X+Y=100を満たす)。
上記Mは、Caが含まれることが必要である。上記Mが、Ca以外にLi、Mg、Mn、SrおよびSnから選択される1種もしくは数種を含み、且つ、Fe、Ca、Li、Mg、Mn、Sr、Snおよび酸素原子以外の成分の含有量が1質量%以下であるフェライト粒子が、磁性芯材粒子として好ましい。Cu、Zn、Ni元素を添加することにより、磁性芯材粒子は、低抵抗になり易く、電荷漏洩が起こり易くなり、また、樹脂被覆し難い傾向にあり、環境依存性も悪くなる傾向にある。さらに、Cu、ZnおよびNiは重金属であるため、キャリアに与えるストレスが強くなり、使用寿命に対し悪影響を与えることがある。安全性の観点から近年ではMn元素やMg元素を添加したフェライトが一般に普及している。
本実施形態においては、磁性芯材粒子が0.05質量%以上1.0質量%以下のカルシウムを含有する。磁性芯材粒子にカルシウムを存在させることにより、存在しない場合と比較して高抵抗となり、電荷注入が発生しにくい。
磁性芯材粒子にカルシウムを含有させる方法としては、特に制限はないが、例えば、磁性芯材粒子の原料組成物に、カルシウム化合物(酸化カルシウム、炭酸カルシウムなどのカルシウム無機塩など)を含有させる方法などが挙げられる。磁性芯材粒子の原料組成物にカルシウム化合物を含有させて焼結する場合には、上記カルシウム化合物を、例えば、上記式で表されるフェライトが得られるように他の酸化物と混合して組成物とし、次いでその組成物を焼結させればよい。この場合、例えば、カルシウムを組成物として含有するフェライト組成物を、磁性芯材粒子の表面に被覆し、その後焼結することにより、磁性芯材粒子の表面部におけるカルシウム含有量が、磁性芯材粒子の内部におけるカルシウム含有量より高い磁性芯材粒子が製造される。
また、磁性芯材粒子の溶剤等に樹脂が分散した溶液に、更に炭酸カルシウム粒子を分散させ、得られた分散液を磁性芯材粒子の表面に塗布した後、ニーダコータなどで溶剤を除去し、脱炭焼成(例えば、500℃以上800℃以下)後、再度焼成を実施してもよい。この方法により、磁性芯材粒子の表面部におけるカルシウム含有量が、磁性芯材粒子の内部におけるカルシウム含有量より高くなるためである。また、磁性芯材粒子の表面部のカルシウムは、磁性芯材粒子表面の焼塊凸凹部の凸部に焼結して顕在する傾向がある。
これらの磁性芯材粒子の製造方法においては、磁性芯材粒子の粒度分布が狭くなることがある。磁性芯材粒子の製造においては、必要に応じて焼結粒子を解砕し、篩分、分級などの粒度調整を実施してもよい。
本実施形態においては被覆樹脂を磁性芯材粒子の表面へ被覆形成して使用する。
被覆樹脂を磁性芯材粒子の表面へ被覆形成する代表的な方法としては、樹脂可溶な溶媒に被覆樹脂と導電性粒子などを投入して樹脂被覆層形成用溶液とし、磁性芯材粒子の粉末を樹脂被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、樹脂被覆層形成用溶液を磁性芯材粒子の表面に噴霧するスプレ法、磁性芯材粒子を流動エアーにより浮遊させた状態で樹脂被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダコータ中で磁性芯材粒子と樹脂被覆層形成用溶液を混合し、次いで溶剤を除去するニーダコータ法等が挙げられる。ニーダコータ中で磁性芯材粒子と樹脂被覆層形成用溶液を混合し、次いで溶剤を除去するニーダコータ法において製造されることが好ましい。
磁性芯材粒子には、磁性金属、磁性酸化物、あるいは磁性粒子などを内部分散した樹脂粒子がある。しかし、これらは親水性であり、高湿下において帯電性が低下する場合があることから、帯電性の環境変動が大きい。また、これらは高表面エネルギ材料であるためにトナー成分で汚染されやすく、帯電性の維持性が悪い場合がある。キャリアの表面を、疎水性あるいは低表面エネルギである樹脂で被覆することにより、前述の帯電に関する諸問題が改善される。一方、絶縁性である樹脂により、高い被覆率で磁性芯材粒子の表面が被覆されると、キャリアとしての電気抵抗が上昇し、ベタ画像の再現性が悪化することがある。この場合は、電気抵抗の上昇を回避する目的で、導電性粒子を樹脂被覆層内に分散させる等の対応を行えばよい。
また、樹脂被覆層にワックスを含有させてもよい。ワックスは疎水性であり、かつ常温においても比較的柔らかく、膜強度が低い。これはワックスの分子構造に由来するが、この特性のために樹脂被覆層にワックスが存在すると、トナー表面に添加されている外添剤の粒子、あるいはトナーバルク成分といったトナー成分がキャリア表面に付着し難い。また付着したとしても、その付着部分のワックスが分子レベルで剥離することによって表面が一新され、キャリア表面が付着汚染され難くなるという効果がある。
通常、ニーダコータ法で製造する場合、磁性芯材粒子と、導電性粒子などを分散した樹脂被覆層形成用溶液を混合し、撹拌しながら加熱と減圧を行い、溶剤を除去することにより、樹脂被覆層が形成される。
樹脂被覆層に使用される被覆樹脂(マトリックス樹脂)としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合を含むストレートシリコーン樹脂またはその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、フェノール樹脂、アミノ樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、アミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。特に好ましくは、ポリスチレン樹脂、アクリル酸樹脂、スチレンアクリル共重合体が挙げられる。これらの樹脂を用いると樹脂被覆膜の強度が高く、かつ、導電材料および帯電制御剤が樹脂中に良好に分散する。
被覆樹脂層に含有させるワックスとしては特に制限するものではなく、例えば、パラフィンワックスおよびその誘導体、モンタンワックスおよびその誘導体、マイクロクリスタリンワックスおよびその誘導体、フィッシャートロプシュワックスおよびその誘導体、ポリオレフィンワックスおよびその誘導体等が挙げられる。誘導体とは、その酸化物、ビニルモノマとの重合体、グラフト変性物などを含む。この他に、アルコール、脂肪酸、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、エステルワックス、酸アミド等を用いてもよい。また、その他に公知のものを用いてもよい。ワックスの融点は、60℃以上200℃以下の範囲が好ましく、80℃以上150℃以下の範囲がより好ましい。ワックスの融点が60℃未満であると、キャリアとしての流動性が悪化する場合がある。
樹脂被覆層に帯電制御剤を含有させてもよい。帯電制御剤としては例えば、ニグロシン染料、ベンゾイミダゾール系化合物、四級アンモニウム塩化合物、アルコキシ化アミン、アルキルアミド、モリブデン酸キレート顔料、トリフェニルメタン系化合物、サリチル酸金属塩錯体、アゾ系クロム錯体、銅フタロシアニンなどが挙げられるが、公知のいかなる帯電制御剤を含有させてよい。特に好ましくは四級アンモニウム塩化合物、アルコキシ化アミン、アルキルアミドが挙げられる。これらの帯電制御剤は分散状態の制御がし易く、また、被覆樹脂界面との密着性がよいため、樹脂被覆膜からの帯電制御剤の脱離が抑制される。また、帯電制御剤が導電材料の分散助剤として働き、樹脂被覆層中の導電材料の分散状態がほぼ均一化され、若干の樹脂被覆層が剥れてもキャリア抵抗の変化が抑制される。その理由としては、後述する導電材料は表面が容易に酸化され、また水分の影響を受けやすいため、親水性が高く、粒子表面の水等により凝集しやすい構造になっている。よって導電材料を被覆樹脂中に分散する場合、被覆樹脂の極性は一般に低いため前述の凝集はそのまま残り、そのために被覆樹脂内部に導電材料の偏在が生じやすい。これに対して前述の帯電制御剤は被覆樹脂界面との密着性が良く、また極性もある程度高いことから、該導電材料との密着性も向上するため、導電材料の分散性を向上させるものと推定される。
樹脂被覆層中の帯電制御剤の含有量としては、磁性芯材粒子の質量を100質量部としたとき、0.001質量部以上5質量部以下の範囲が好ましく、0.01質量部以上0.5質量部以下の範囲がより好ましい。帯電制御剤の含有量が5質量部を超えると、樹脂被覆層の強度が低下し、使用時のストレスによりキャリアが変質する場合があり、0.001質量部未満であると、帯電制御剤の機能が発揮されないだけでなく、導電材料の分散性が向上されない場合がある。
導電材料としては、例えば、金、銀、銅といった金属や、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化スズ、カーボンブラック等が挙げられ、なかでもカーボンブラックが、被覆樹脂中への分散性、抵抗制御の点で好ましい。ただし、これらに限定されるものではない。樹脂被覆層中の導電材料の含有量は、キャリア体積固有抵抗を所望の特性にするため、被覆樹脂100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下の範囲が好ましく、3質量部以上20質量部以下の範囲がより好ましい。
樹脂被覆層形成用溶液の調製に使用する溶剤は、前記被覆樹脂を溶解するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化物などを使用すればよい。
本実施形態においては被覆後のキャリアの磁性芯材粒子の露出率は5.0%以上30%以下であることが好ましく、10%以上20%以下がより好ましい。5.0%未満であると長期使用後に被覆樹脂が摩耗した場合に、キャリアの表面組成変動が大きくなる可能性があり、30%を超えると、被覆樹脂が少ないためにトナーを帯電することができなくなる可能性がある。
樹脂被覆層の平均膜厚は、通常0.1μm以上10μm以下の範囲であることが好ましい。本実施形態においては、磁性芯材粒子の表面の凹凸の最大高さRyが0.5μm以上3.0μm以下の範囲であることが好ましく、0.4μm以上2.8μm以下の範囲であることがより好ましく、また、磁性芯材粒子の露出率が5.0%以上30%以下の範囲にあることが好ましく、10%以上20%以下の範囲であることがより好ましいため、樹脂被覆層の平均膜厚は0.3μm以上3μm以下の範囲であることがより好ましく、0.4μm以上2.8μm以下の範囲であることが更に好ましい。
本実施形態におけるキャリアの体積固有抵抗値は、高画質を達成するために、通常の現像コントラスト電位の上下限に相当する1,000Vである場合に、106Ω・cm以上1014Ω・cm以下の範囲であることが好ましく、108Ω・cm以上1013Ω・cm以下の範囲であることがより好ましい。キャリアの体積固有抵抗値が106Ω・cm未満であると、細線の再現性が悪く、また感光体(像保持体)へ移行するキャリアの量が増え、感光体を傷つけやすくなる場合がある。一方、キャリアの体積固有抵抗値が1014Ω・cmを超えると、黒ベタ、ハーフトーンの再現性が悪くなる場合がある。
<静電荷像現像用現像剤>
本実施形態に係る静電荷像現像用現像剤(現像剤)は、本実施形態に係る静電荷像現像用キャリア(キャリア)と静電荷像現像用トナー(トナー)とを含有する。本実施形態に係る現像剤は、本実施形態に係るキャリアおよびトナーを適当な配合割合で混合することにより調製される。キャリアの含有量((キャリア)/(キャリア+トナー)×100)としては、85質量%以上99質量%以下の範囲が好ましく、87質量%以上98質量%の範囲がより好ましく、89質量%以上97質量%以下の範囲がさらに好ましい。
以下、本実施形態に係る静電荷像現像用現像剤に用いられるトナーについて説明する。
本実施形態に用いられるトナーは、少なくとも結着樹脂および着色剤を含有し、必要に応じて離型剤およびその他の成分を含有する。また、本実施形態に用いられるトナーには、上記構成を有するトナー粒子の他、種々の目的で外部添加剤(以下、単に「外添剤」と称することがある)が添加されていてもよい。
本実施形態に用いられるトナーには、公知の結着樹脂や各種の着色剤等を使用してもよい。本実施形態に用いられるトナーにおける結着樹脂としては、ポリエステル樹脂のほかに、ポリオレフィン樹脂、スチレンとアクリル酸またはメタクリル酸との共重合体、ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、変性ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂、ポリエーテルポリオール樹脂等を単独で用いてもよいし、併用してもよい。
本実施形態に用いられるトナーにおける着色剤としては、シアンの着色剤として、例えば、C.I.ピグメントブルー1、同2、同3、同4、同5、同6、同7、同10、同11、同12、同13、同14、同15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:6、同16、同17、同23、同60、同65、同73、同83、同180、C.I.バットシアン1、同3、同20等や、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルーの部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBCのシアン顔料、C.I.ソルベントシアン79、162等のシアン染料等を用いてもよい。
また、マゼンタの着色剤として、例えば、C.I.ピグメントレッド1、同2、同3、同4、同5、同6、同7、同8、同9、同10、同11、同12、同13、同14、同15、同16、同17、同18、同19、同21、同22、同23、同30、同31、同32、同37、同38、同39、同40、同41、同48、同49、同50、同51、同52、同53、同54、同55、同57、同58、同60、同63、同64、同68、同81、同83、同87、同88、同89、同90、同112、同114、同122、同123、同163、同184、同202、同206、同207、同209等、ピグメントバイオレット19のマゼンタ顔料や、C.I.ソルベントレッド1、同3、同8、同23、同24、同25、同27、同30、同49、同81、同82、同83、同84、同100、同109、同121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ベーシックレッド1、同2、同9、同12、同13、同14、同15、同17、同18、同22、同23、同24、同27、同29、同32、同34、同35、同36、同37、同38、同39、同40等のマゼンタ染料等、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ロータミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B等を用いてもよい。
また、イエローの着色剤として、例えば、C.I.ピグメントイエロー2、同3、同15、同16、同17、同97、同180、同185、同139等のイエロー顔料等を用いてもよい。
さらに、ブラックトナーの場合には、例えば、カーボンブラック、活性炭、チタンブラック、磁性粉、Mn含有の非磁性粉等を用いてもよい。
また、本実施形態に用いられるトナーは、帯電制御剤を含有してもよく、ニグロシン、4級アンモニウム塩、有機金属錯体、キレート錯体等を用いてもよい。
さらに本実施形態においては、トナー粒子の表面に、表面改質剤として種々の樹脂粉や無機化合物を外添剤として添加してもよい。樹脂粉としてポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、ナイロン、メラミン、ベンゾグアナミン、フッ素系樹脂等の球状粒子等を用いることができる。種々の公知の無機化合物としては、例えば、SiO2、TiO2、Al2O3、MgO、CuO、ZnO、SnO2、CeO2、Fe2O3、BaO、CaO、K2O、Na2O、ZrO2、CaO・SiO2、CaCO3、K2O(TiO2)n、MgCO3、Al2O3・2SiO2、BaSO4、MgSO4等を例示することができ、好ましくはSiO2、TiO2、Al2O3が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、またこれらの1種あるいは2種以上併用しても構わない。また、外添剤の体積平均粒径は、0.1μm以下のものが好ましく、外添剤の添加量は、例えば、トナー粒子100質量%に対して、0.1質量%以上20質量%以下の範囲である。
本実施形態においては、上記外添剤は、長期に安定した印字品質を得るためには望ましいが、キャリア表面の埋没、変形、研磨等を引き起こし、特に体積平均粒径が50nm以上200nm以下の粒子で有るときに作用が大きい。本実施形態では、体積平均粒径が50nm以上200nm以下の外添剤粒子を有する静電荷像現像用トナーを使用した際に、特に本実施形態のキャリアの表面の埋没、変形、研磨抑制効果が大きい。
さらにまた、本実施形態に用いられるトナーは、離型剤を含有することが好ましい。該離型剤としては、エステルワックス、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリエチレンとポリプロピレンの共重合物、ポリグリセリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックス、脱酸カルナバワックス等のポリマーおよびワックス;パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、ブランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸等の不飽和脂肪酸類;ステアリンアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、あるいはさらに長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコール類等の飽和アルコール類;ソルビトール等の多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド類、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミド等の、不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミド等の芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸等のビニル系モノマを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリド等の脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加等によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物等が挙げられる。
本実施形態において、トナー(トナー粒子)の製造方法は特に限定されないが、高画質を得るために、湿式製法で作製されることが好ましい。湿式製法としては、結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された結着樹脂分散液と、着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化凝集法;結着樹脂を得るための重合性単量体と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法;結着樹脂、着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法;等が挙げられる。また、上記方法で得られたトナー粒子をコアにして、さらに樹脂粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法を行ってもよい。また、一般の粉砕分級法により得られたトナー粒子でもよい。
<画像形成装置、画像形成方法およびプロセスカートリッジ>
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、前記静電荷像を本実施形態に係る静電荷像現像用現像剤を用いて現像してトナー画像を形成する現像手段と、前記現像されたトナー画像を被転写体(記録媒体)に転写する転写手段と、を備えるものである。本実施形態に係る画像形成装置は、必要に応じて、前記像保持体表面を帯電する帯電手段、前記記録媒体に前記トナー画像を定着する定着手段、像保持体表面を清掃する像保持体清掃手段等を含むものであってもよい。
なお、この画像形成装置において、例えば前記現像手段を含む部分が、画像形成装置本体に対して脱着可能なカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。該プロセスカートリッジとしては、本実施形態に係る静電荷像現像用現像剤を収納し、像保持体表面に形成された静電荷像を前記静電荷像現像用現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジが好適に用いられる。これにより、静電荷像現像用現像剤の取り扱いを容易にし、種々の構成の画像形成装置への適応性を高められる。
本実施形態に係る画像形成装置により、像保持体表面を帯電する帯電工程と、前記像保持体表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、前記静電荷像を本実施形態に係る静電荷像現像用現像剤により現像してトナー画像を形成する現像工程と、前記トナー画像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に前記トナー画像を定着する定着工程と、を含む本実施形態に係る画像形成方法が実施される。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。画像形成装置301は、帯電部310と、露光部312と、像保持体である電子写真感光体314と、現像部316と、転写部318と、クリーニング部320と、定着部322とを備える。
画像形成装置301において、電子写真感光体314の周囲には、電子写真感光体314の表面を帯電する帯電手段である帯電部310と、帯電された電子写真感光体314を露光し画像情報に応じて静電荷像を形成する静電荷像形成手段である露光部312と、静電荷像を現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段である現像部316と、電子写真感光体314の表面に形成されたトナー像を記録媒体324の表面に転写する転写手段である転写部318と、転写後の電子写真感光体314表面上に残存したトナー等の異物を除去して電子写真感光体314の表面を清掃する像保持体清掃手段であるクリーニング部320とが、この順で配置されている。また、記録媒体324に転写されたトナー像を定着する定着手段である定着部322が転写部318の側方に配置されている。
本実施形態に係る画像形成装置301の動作について説明する。まず、帯電部310により、像保持体である電子写真感光体314の表面が帯電される(帯電工程)。次に、露光部312により電子写真感光体314の表面に光が当てられ、光の当てられた部分の帯電電荷が除去され、画像情報に応じて静電荷像が形成される(静電荷像形成工程)。その後、静電荷像が現像部316により現像され、電子写真感光体314の表面にトナー画像が形成される(現像工程)。例えば、電子写真感光体314として有機感光体を用い、露光部312としてレーザビーム光を用いたデジタル式電子写真複写機の場合、電子写真感光体314の表面は、帯電部310により負電荷を付与され、レーザビーム光によりドット状にデジタル静電荷像が形成され、レーザビーム光の当たった部分に現像部316でトナーを付与され可視像化される。この場合、現像部316にはマイナスのバイアスが印加されている。次に転写部318で、用紙等の記録媒体324がこのトナー像に重ねられ、記録媒体324の裏側からトナーとは逆極性の電荷が記録媒体324に与えられ、静電気力によりトナー像が記録媒体324に転写される(転写工程)。転写されたトナー像は、定着部322において定着部材により熱および圧力が加えられ、記録媒体324に融着されて定着される(定着工程)。一方、転写されずに電子写真感光体314の表面に残存したトナー等の異物はクリーニング部320で除去される(クリーニング工程)。この帯電からクリーニングに至る一連のプロセスで一回のサイクルが終了する。なお、図1において、転写部318で用紙等の記録媒体324に直接トナー像が転写されているが、中間転写体等の転写体を介して転写されてもよい。
以下、図1の画像形成装置301における帯電手段、像保持体、静電荷像形成手段(露光手段)、現像手段、転写手段、像保持体清掃手段、定着手段について説明する。
(帯電手段)
帯電手段である帯電部310としては、例えば、図1に示すコロトロン等の帯電器が用いられるが、導電性または半導電性の帯電ロールを用いてもよい。導電性または半導電性の帯電ロールを用いた接触型帯電器は、電子写真感光体314に対し、直流電流を印加するか、交流電流を重畳させて印加してもよい。例えばこの帯電部310により、電子写真感光体314との接触部近傍の微小空間で放電を発生させることにより電子写真感光体314表面を帯電させる。なお、通常は、−1000V以上−300V下に帯電される。また前記の導電性または半導電性の帯電ロールは単層構造あるいは多重構造でもよい。また、帯電ロールの表面をクリーニングする機構を設けてもよい。
(像保持体)
像保持体は、少なくとも静電荷像(潜像)が形成される機能を有する。像保持体としては、電子写真感光体が好適に挙げられる。電子写真感光体314は、円筒状の導電性の基体外周面に有機感光体等を含む塗膜を有する。塗膜は、基体上に、必要に応じて下引き層、および、電荷発生物質を含む電荷発生層と、電荷輸送物質を含む電荷輸送層とを含む感光層がこの順序で形成されたものである。電荷発生層と電荷輸送層の積層順序は逆であってもよい。これらは、電荷発生物質と電荷輸送物質とを別個の層(電荷発生層、電荷輸送層)に含有させて積層した積層型感光体であるが、電荷発生物質と電荷輸送物質との双方を同一の層に含む単層型感光体であってもよく、望ましくは積層型感光体である。また、下引き層と感光層との間に中間層を有していてもよい。また、有機感光体に限らずアモルファスシリコン感光膜等他の種類の感光層を使用してもよい。
(静電荷像形成手段)
静電荷像形成手段(露光手段)である露光部312としては、特に制限はなく、例えば、像保持体表面に、半導体レーザ光、LED(Light Emitting Diode)光、液晶シャッタ光等の光源を、所望の像様に露光する光学系機器等が挙げられる。
(現像手段)
現像手段である現像部316は、像保持体上に形成された静電荷像を、トナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する機能を有する。現像装置としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択すればよいが、例えば、静電荷像現像用トナーをブラシ、ローラ等を用いて電子写真感光体314に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。電子写真感光体314には、通常直流電圧が使用されるが、さらに交流電圧を重畳させて使用してもよい。
(転写手段)
転写手段である転写部318としては、例えば、図1に示す記録媒体324の裏側からトナーとは逆極性の電荷を記録媒体324に与え、静電気力によりトナー像を記録媒体324に転写するもの、あるいは記録媒体324に直接接触して転写する導電性または半導電性のロール等を用いた転写ロールおよび転写ロール押圧装置を用いればよい。転写ロールには、像保持体に付与する転写電流として、直流電流を印加してもよいし、交流電流を重畳させて印加してもよい。転写ロールは、帯電すべき画像領域幅、転写帯電器の形状、開口幅、プロセススピード(周速)等により、適切に設定すればよい。また、低コスト化のため、転写ロールとして単層の発泡ロール等が好適に用いられる。転写方式としては、紙等の記録媒体324に直接転写する方式でも、中間転写体を介して記録媒体324に転写する方式でもよい。
中間転写体としては、公知の中間転写体を用いればよい。中間転写体に用いられる材料としては、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアルキレンフタレート、熱硬化ポリイミド樹脂;並びに、PC/ポリアルキレンテレフタレート(PAT)、エチレンテトラフロロエチレン共重合体(ETFE)/PC、ETFE/PATなどのブレンド材料等が挙げられるが、機械的強度の観点から熱硬化ポリイミド樹脂を用いた中間転写ベルトが好ましい。
(像保持体清掃手段)
像保持体清掃手段であるクリーニング部320については、像保持体上の残留トナー等の異物を清掃するものであれば、ブレードクリーニング方式、ブラシクリーニング方式、ロールクリーニング方式を採用したもの等を選定すればよい。
(定着手段)
定着手段(画像定着装置)である定着部322としては、記録媒体324に転写されたトナー像を加熱、加圧あるいは加熱加圧により定着するものであり、定着部材を具備する。
(記録媒体)
トナー像を転写する記録媒体324としては、例えば、電子写真方式の複写機またはプリンタ等に使用される普通紙、OHPシート等が挙げられる。定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録媒体の表面も平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等を使用してもよい。
また特公平2−21591で提案されているトリクル現像と組み合わせることにより、さらに長期に安定した画像形成がなされる。
図2は、本実施形態に係る画像形成装置の他の例である4連タンデム方式のカラー画像形成装置を示す概略構成図である。図2に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1〜第4の画像形成ユニット10Y,10M,10C,10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する場合がある)10Y,10M,10C,10Kは、水平方向に互いに予め定められた距離をあけて並設されている。なお、これらユニット10Y,10M,10C,10Kは、画像形成装置本体に対して脱着可能なプロセスカートリッジであってもよい。
各ユニット10Y,10M,10C,10Kの図面における上方には、各ユニットを通して中間転写体としての中間転写ベルト20が延設されている。中間転写ベルト20は、図における左から右方向に互いに距離をあけて配置された駆動ローラ22および支持ローラ24に、中間転写ベルト20の内面が接するように巻きつけて設けられ、第1のユニット10Yから第4のユニット10Kに向う方向に走行されるようになっている。なお、支持ローラ24は、図示しないバネ等により駆動ローラ22から離れる方向に力が加えられており、両者に巻きつけられた中間転写ベルト20に張力が与えられている。また、中間転写ベルト20の像保持体側面には、駆動ローラ22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。また、各ユニット10Y,10M,10C,10Kの現像装置(現像手段)4Y,4M,4C,4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y,8M,8C,8Kに収められたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーが供給される。
上述した第1〜第4のユニット10Y,10M,10C,10Kは、同等の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1のユニット10Yについて代表して説明する。なお、第1のユニット10Yと同等の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した参照符号を付すことにより、第2〜第4のユニット10M,10C,10Kの説明を省略する。
第1のユニット10Yは、像保持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を予め定められた電位に帯電させる帯電ローラ2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yによって露光して静電荷像を形成する露光装置(静電荷像形成手段)3、静電荷像に帯電したトナーを供給して静電荷像を現像する現像装置(現像手段)4Y、現像したトナー像を中間転写ベルト20上に転写する1次転写ローラ5Y(1次転写手段)、および1次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置(クリーニング手段)6Yが順に配置されている。
なお、1次転写ローラ5Yは、中間 転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。さらに、各1次転写ローラ5Y(5M,5C,5K)には、1次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各1次転写ローラに印加する転写バイアスを可変する。
以下、第1ユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。まず、動作に先立って、帯電ローラ2Yによって感光体1Yの表面が−800V以上−600V以下程度の電位に帯電される。感光体1Yは、導電性(例えば、20℃における体積抵抗率が1×10−6Ωcm以下であること)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂程度の抵抗率を有すること)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー印字パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
静電荷像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。このようにして感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って予め定められた現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによって可視像化(現像化)される。
現像装置4Y内には、例えば、少なくともイエロートナーとキャリアとを含む静電荷像現像用現像剤が収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で撹拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体)上に保持されている。そして感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された静電荷像部にイエロートナーが静電的に付着し、静電荷像がイエロートナーによって現像される。
現像効率、画像粒状性、階調再現性等の観点から、直流成分に交流成分を重畳させたバイアス電位(現像バイアス)を現像剤保持体に付与してもよい。具体的には、現像剤保持体直流印加電圧Vdcを例えば−700V以上−300V以下としたとき、現像剤保持体交流電圧ピーク幅Vp−pを例えば0.5kV以上2.0kV以下の範囲としてもよい。イエローのトナー像が形成された感光体1Yは、引き続き予め定められた速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー像が予め定められた1次転写位置へ搬送される。
感光体1Y上のイエロートナー像が1次転写位置へ搬送されると、1次転写ローラ5Yに1次転写バイアスが印加され、感光体1Yから1次転写ローラ5Yに向う静電気力がトナー像に作用し、感光体1Y上のトナー像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と逆極性の(+)極性であり、例えば第1ユニット10Yでは制御部に(図示せず)よって+10μA程度に制御されている。一方、感光体1Y上に残留したトナーはクリーニング装置6Yで除去されて回収される。
また、第2のユニット10M以降の1次転写ローラ5M,5C,5Kに印加される1次転写バイアスも、第1のユニットに準じて制御されている。こうして、第1のユニット10Yにてイエロートナー像の転写された中間転写ベルト20は、第2〜第4のユニット10M,10C,10Kを通して順次搬送され、各色のトナー像が重ねられて多重転写される。
第1〜第4のユニットを通して4色のトナー像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と中間転写ベルト内面に接する支持ローラ24と中間転写ベルト20の像保持面側に配置された2次転写ローラ(2次転写手段)26とから構成された2次転写部へと至る。一方、記録紙(記録媒体)Pが供給機構を介して2次転写ローラ26と中間転写ベルト20とが圧接されている隙間に予め定められたタイミングで給紙され、2次転写バイアスが支持ローラ24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と同極性の(−)極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力がトナー像に作用し、中間転写ベルト20上のトナー像が記録紙P上に転写される。なお、この際の2次転写バイアスは2次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
この後、記録紙Pは定着装置(ロール状定着手段)28における一対の定着ロールの圧接部(ニップ部)へと送り込まれトナー像が加熱され、色重ねしたトナー像が溶融されて、記録紙P上へ定着される。
トナー像を転写する記録媒体としては、例えば、電子写真方式の複写機またはプリンタ等に使用される普通紙、OHPシート等が挙げられる。
カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
なお、上記例示した画像形成装置は、中間転写ベルト20を介してトナー像を記録紙Pに転写する構成となっているが、この構成に限定されるものではなく、感光体から直接トナー像が記録紙に転写される構造であってもよい。
図3は、本実施形態に係る静電荷像現像用現像剤を収容するプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。プロセスカートリッジ200は、現像装置111とともに、感光体107、帯電ローラ108、感光体クリーニング装置113、露光のための開口部118、および、除電露光のための開口部117を、取り付けレール116を用いて組み合わせ、そして一体化したものである。なお、図2において符号300は記録媒体を示す。
そして、このプロセスカートリッジ200は、転写装置112と、定着装置115と、図示しない他の構成部分とから構成される画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。
図3で示すプロセスカートリッジ200では、感光体107、帯電装置108、現像装置111、クリーニング装置113、露光のための開口部118、および、除電露光のための開口部117を備えているが、これら装置は選択的に組み合わせてもよい。本実施形態に係るプロセスカートリッジでは、現像装置111のほかには、感光体107、帯電装置108、クリーニング装置(クリーニング手段)113、露光のための開口部118、および、除電露光のための開口部117から構成される群から選択される少なくとも1種を備えてもよい。
次に、トナーカートリッジおよび現像剤カートリッジについて説明する。トナーカートリッジは、画像形成装置に着脱可能に装着され、少なくとも、前記画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するためのトナーを収容するものである。なお、トナーカートリッジには少なくともトナーが収容されればよく、画像形成装置の機構によっては、例えば現像剤が収められてもよい。現像剤が収められたトナーカートリッジを現像剤カートリッジと称する。
なお、図2に示す画像形成装置は、トナーカートリッジ8Y,8M,8C,8Kの着脱が可能な構成を有する画像形成装置であり、現像装置4Y,4M,4C,4Kは、各々の現像装置(色)に対応したトナーカートリッジと、図示しないトナー供給管で接続されている。また、トナーカートリッジ内に収納されているトナーが少なくなった場合には、このトナーカートリッジが交換される。
本実施形態に係る画像形成装置および画像形成方法は、前記静電荷像現像用現像剤(本実施形態に係るキャリア)を用いているため、長期の画像形成後における画像劣化の発生を抑制する。
また、特公平2−21591号公報で提案されているトリクル現像と組み合わせることにより、離脱した球形粒子(キャリア)が現像剤保持体の上に蓄積することなく、長期に安定した画像形成が行われる。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
磁性芯材粒子、磁性芯材粒子の原料組成物(混合物)およびキャリア等の体積平均粒径は、レーザ回折式粒度分布測定機(堀場製作所製、LA−700)を使用して測定した。
磁性芯材粒子のカルシウムの含有量は、蛍光X線分析装置PRIMUS II(リガク社製)を使用して測定した。より詳しくは、磁性芯材粒子100質量部およびセルロース10質量部を振動粉砕機に加えて分散させ、得られた混合物を、ダイスを使用し、プレス装置で成型して、上記測定を行った。
磁性芯材粒子の表面部および内部におけるカルシウム含有比率、キャリアの表面部におけるカルシウム含有比率は、マイクロアナライザEPMA−1610(株式会社島津製作所製)を使用して測定した。磁性芯材粒子の内部におけるカルシウム含有比率は、磁性芯材粒子をミクロトームでカット後、断面を分析し、当該含有比率を測定し、算出した。磁性芯材粒子の表面部およびキャリアの表面部におけるカルシウム含有比率は、それぞれの表面部を分析して、それぞれの含有比率を測定し、算出した。測定値としては、磁性芯材粒子の表面部および内部、並びにキャリアの表面部のそれぞれにおいて、0.5μmφの領域を10点測定したときの平均値とした。
キャリア表面における磁性芯材粒子の露出率は、500個のキャリアのそれぞれを、電界放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて1000倍で撮影し、磁性芯材粒子露出部と樹脂被覆部の各表面積を画像解析装置で測定し、得られた露出率を平均することにより求めた。
磁性芯材粒子の表面の凹凸の平均間隔Smおよび最大高さRyは、磁性粒子50個について、超深度カラー3D形状測定顕微鏡(製品名VK−9500、株式会社キーエンス製)により、倍率3000倍で表面を観察してSmおよびRyを測定し、平均することにより求めた。
<実施例1>
[磁性芯材粒子1の作製]
・Mn3O4粉末 25質量部
・Fe2O3粉末 75質量部
・CaCO3粉末 0.2質量部
上記原料を混合ミルで混合した後、900℃にて1時間の焼成を実施した。
焼成した混合粉に
・水 20質量部
・ポリビニルアルコール 3.0質量部
を調合し混合液とした。調合した混合液を湿式ボールミルで12時間撹拌した。混合粉の体積平均粒径は0.5μmであった。
次いで、得られた混合液をスプレードライヤーで造粒した後、篩を用いて体積平均粒径が42μm程度の乾燥粒子を有する造粒物を得た。得られた造粒物に0.3質量部のCaCO3粉末を混合した。
この造粒物を焼成炉に充填し、窒素ガス雰囲気中にて1150℃で4時間焼成し、塊状の焼成品を得た。得られた焼成品をハンマーミルで解砕し、この粉砕物を風力分級機にかけて微粉部分を分級除去した。次に磁場選鉱して非磁性部分を分離し、篩を通して体積平均粒径35μmの磁性芯材粒子1を得た。
得られた磁性芯材粒子のカルシウム含有量は0.2質量%であり、磁性芯材粒子内部のカルシウム含有比率(a)が0.05質量%であり、磁性芯材粒子表面部のカルシウム含有比率(b)が3.0質量%であり、b/aが60であった。磁性芯材粒子表面の凸凹の平均間隔Smおよび最大高さRyはそれぞれ1.5μmおよび0.8μmであった。
磁性芯材粒子1 100質量部
トルエン 8質量部
スチレン−メタクリル酸メチル共重合体
(スチレン:メタクリル酸メチル=25:75(モル比)) 2質量部
カーボンブラック(VXC−72、キャボット社製) 0.2質量部
被覆樹脂であるスチレン−メタクリル酸メチル共重合体およびカーボンブラックをトルエンに投入してサンドミルで撹拌分散して樹脂被覆層形成用溶液を調製した。この溶液を磁性芯材粒子1とともに真空脱気型ニーダに入れて、温度60℃を保ち、10分間撹拌した後、撹拌モータの電流値をモニタし、減圧してトルエンを留去した。得られた樹脂被覆層形成キャリアを、目開き75μmの網で篩分してキャリア1を得た。
キャリア1の表面部のカルシウム含有比率(c)は1.2質量%であり、c/bは0.4であった。キャリア1の芯材露出率は20%であった。また、キャリア1の体積平均粒径は36μmであった
[現像剤の調製]
外添トナー8質量部とキャリア1 100質量部とを、Vブレンダを用いて、40rpmで20分間撹拌した後、125μm網目のシーブを用いて篩分を行い、現像剤1を得た。
[評価]
以下のハーフトーン画質、画像抜け、および細線再現性の3つの評価項目により、高温高湿下での長期の画像形成後における画像欠陥の評価を行った。結果を表1に示す。
[キャリアおよび現像剤の評価]
上記現像剤1を用いて、富士ゼロックス株式会社製複写機Docu Centre Color 500改造機により、35℃85%RH環境下で、A4用紙に1%印字チャートを100,000枚印字した。初期(10枚目)、10,000枚、50,000枚、80,000枚、および100,000枚印字後の印字チャート、並びに、100,000枚印字後72時間放置した後に印字した印字チャートについて、ハーフトーン画質および画像抜けの評価を下記の基準で行った。得られた結果を表1に示す。
(ハーフトーン画質)
印字チャートにおいて、濃度ムラおよびカスレなどの画質の劣化を目視にて観察し、下記の基準で評価した。
○:ハーフトーン画質の劣化が目視ではまったく認められない場合
△:ハーフトーン画質の劣化が不明確ながら目視で認められた場合
×:ハーフトーン画質の劣化が目視で明確に認められた場合
(画像抜け)
黒ベタ画像10枚中のキャリア飛びによる画像抜けの数を目視にて計測し、以下の基準で評価した。
○:2個以下
△:3個以上9個以下
×:10個以上
(細線再現性)
上記現像剤1および上記改造機を用いて、35℃85%RH環境下で、A4用紙に1%印字チャートを100,000枚印字した。初期(10枚目)、10,000枚、50,000枚、80,000枚、および100,000枚印字後、並びに、100,000枚印字後72時間放置した後、2,400dpiの解像度での1on1off画像(1ドットラインが1ドット間隔で並行に配置された画像)を、現像方向に対し垂直方向の5cm×5cmチャートとして、A4用紙の左上および中央および右下に出力した。出力されたサンプルを×100倍の目盛付きルーペを用いて、線間隔が、トナーの飛び散り等によって狭くなっている箇所、或いは、細線が細くなることにより広くなっている箇所が無いか観察した。その観察結果と観察された箇所の線間隔から、下記の基準でグレード評価を行った。得られた結果を表1に示す。
○:全てのチャートにおいて、飛び散りによる線間隔の減少、細線細りによる増加がほとんど見られない場合
△:線間隔の減少、増加は見られるが細線が確認できるチャートが少なくとも1つある場合
×:細線の間隔が判別できないか、または、細線に欠落が見られるチャートが少なくとも1つある場合
<実施例2>
混合ミルに投入するCaCO3粉末の量を0.4質量部とし、造粒後に混合するCaCO3粉末の量を0.1質量部に変更すること以外は実施例1と同じ方法で、磁性芯材粒子2を得た。
得られた磁性芯材粒子2のカルシウム含有量は0.2質量%であり、磁性芯材粒子内部のカルシウム含有比率(a)が0.10質量%であり、磁性芯材粒子表面部のカルシウム含有比率(b)が0.7質量%であり、b/aが7であった。磁性芯材粒子表面の凹凸の平均間隔Smおよび最大高さRyはそれぞれ2.5μmおよび0.8μmであった。
磁性芯材粒子1を磁性芯材粒子2に換えること以外は同じ方法で、磁性芯材粒子を被覆樹脂で被覆し、キャリア2を得た。得られたキャリア2の表面部のカルシウム含有比率(c)は0.5質量%であり、c/bは0.5であった。キャリア2の芯材露出率は28%であった。また、キャリア2の体積平均粒径は36μmであった。
キャリア2を使用すること以外は実施例1と同じ方法で現像剤2を作製し、印字物の評価を実施した。評価結果を表2に示す。
<実施例3>
混合ミルに投入するCaCO3粉末の量を0.05質量部とし、造粒後に混合するCaCO3粉末の量を0.15質量部とすること以外は実施例1と同じ方法で、磁性芯材粒子3を得た。
得られた磁性芯材粒子3のカルシウム含有量は0.08質量%であり、磁性芯材粒子内部のカルシウム含有比率(a)が0.04質量%であり、磁性芯材粒子表面部のカルシウム含有比率(b)が1.0質量%であり、b/aが25であった。磁性芯材粒子表面の凹凸の平均間隔Smおよび最大高さRyはそれぞれ1.8μmおよび0.9μmであった。
磁性芯材粒子1を磁性芯材粒子3に換えること以外は同じ方法で、磁性芯材粒子を被覆樹脂で被覆し、キャリア3を得た。得られたキャリア3の表面部のカルシウム含有比率(c)は0.4質量%であり、c/bは0.4であった。キャリア3の芯材露出率は15%であった。また、キャリア3の体積平均粒径は36μmであった。
キャリア3を使用すること以外は実施例1と同じ方法で現像剤3を作製し、印字物の評価を実施した。評価結果を表2に示す。
<実施例4>
混合ミルに投入するCaCO3粉末の量を1.2質量部とし、造粒後に混合するCaCO3粉末の量を1.2質量部に変更すること以外は実施例1と同じ方法で、磁性芯材粒子4を得た。
得られた磁性芯材粒子4のカルシウム含有量は0.95質量%であり、磁性芯材粒子内部のカルシウム含有比率(a)が0.20質量%であり、磁性芯材粒子表面部のカルシウム含有比率(b)が7.0質量%であり、b/aが35であった。磁性芯材粒子表面の凹凸の平均間隔Smおよび最大高さRyはそれぞれ2.0μmおよび0.7μmであった。
磁性芯材粒子1を磁性芯材粒子4に換えること以外は同じ方法で磁性芯材粒子を被覆樹脂にて被覆し、キャリア4を得た。得られたキャリア4の表面部のカルシウム含有比率(c)は2.0%であり、c/bは0.29であった。キャリア4の芯材露出率は18%であった。また、キャリア4の体積平均粒径は36μmであった。
キャリア4を使用すること以外は実施例1と同じ方法で現像剤4を作製し、印字物の評価を実施した。
<参考例5>
混合ミルに投入するCaCO3粉末の量を0.05質量部とし、造粒後に混合するCaCO3粉末の量を0.08質量部に変更すること以外は実施例1と同じ方法で、磁性芯材粒子5を得た。
得られた磁性芯材粒子Xのカルシウム含有量は0.05質量%であり、内部のカルシウム含有比率(a)は0.01質量%であり、表面部のカルシウム含有比率(b)は0.5質量%であり、b/aは50であった。磁性芯材粒子表面の凹凸の平均間隔Smおよび最大高さRyはそれぞれ1.8μmおよび0.8μmであった。
磁性芯材粒子1を磁性芯材粒子5に換えること以外は実施例1と同じ方法で、磁性芯材粒子5を被覆樹脂で被覆し、キャリア5を得た。得られたキャリア5の表面部のカルシウム含有比率(c)は0.2質量%であり、c/bは0.40であった。キャリア5の芯材露出率は15%であり、体積平均粒径は36μmであった。
キャリア5を使用すること以外は実施例1と同じ方法で現像剤5を作製し、印字物の評価を実施した。評価結果を表2に示す。
<実施例6>
混合ミルに投入するCaCO3粉末の量を1.0質量部とし、造粒後に混合するCaCO3粉末の量を1.5質量部に変更すること以外は実施例1と同じ方法で、磁性芯材粒子6を得た。
得られた磁性芯材粒子Xのカルシウム含有量は1.0質量%であり、内部のカルシウム含有比率(a)は0.2質量%であり、表面部のカルシウム含有比率(b)は8.0質量%であり、b/aは40であった。磁性芯材粒子表面の凹凸の平均間隔Smおよび最大高さRyはそれぞれ1.8μmおよび0.8μmであった。
磁性芯材粒子1を磁性芯材粒子6に換えること以外は実施例1と同じ方法で、磁性芯材粒子6を被覆樹脂で被覆し、キャリア6を得た。得られたキャリアXの表面部のカルシウム含有比率(c)は2.5質量%であり、c/bは0.31であった。キャリア6の芯材露出率は15%であり、体積平均粒径は36μmであった。
キャリア6を使用すること以外は実施例1と同じ方法で現像剤6を作製し、印字物の評価を実施した。評価結果を表2に示す。
<実施例7>
混合ミルに投入するCaCO3粉末の量を0.5質量部とし、造粒後に混合するCaCO3粉末をなしに変更すること以外は実施例1と同じ方法で、磁性芯材粒子7を得た。
得られた磁性芯材粒子7のカルシウム含有量は0.2質量%であり、内部のカルシウム含有比率(a)は0.1質量%であり、表面部のカルシウム含有比率(b)は0.5質量%であり、b/aは5であった。磁性芯材粒子表面の凹凸の平均間隔Smおよび最大高さRyはそれぞれ1.7μmおよび0.9μmであった。
磁性芯材粒子1を磁性芯材粒子7に換えること以外は実施例1と同じ方法で、磁性芯材粒子7を被覆樹脂で被覆し、キャリア7を得た。得られたキャリア7の表面部のカルシウム含有比率(c)は0.2質量%であり、c/bは0.4であった。キャリア7の芯材露出率は13%であり、体積平均粒径は36μmであった。
キャリア7を使用すること以外は実施例1と同じ方法で現像剤7を作製し、印字物の評価を実施した。評価結果を表2に示す。
<実施例8>
混合ミルに投入するCaCO3粉末の量を0.02質量部とし、造粒後に混合するCaCO3粉末を0.23質量部に変更すること以外は実施例1と同じ方法で、磁性芯材粒子8を得た。
得られた磁性芯材粒子Xのカルシウム含有量は0.2質量%であり、内部のカルシウム含有比率(a)は0.01質量%であり、表面部のカルシウム含有比率(b)は1.0質量%であり、b/aは100であった。磁性芯材粒子表面の凹凸の平均間隔Smおよび最大高さRyはそれぞれ1.8μmおよび1.0μmであった。
磁性芯材粒子1を磁性芯材粒子8に換えること以外は実施例1と同じ方法で、磁性芯材粒子8を被覆樹脂で被覆し、キャリア8を得た。得られたキャリア8の表面部のカルシウム含有比率(c)は0.4質量%であり、c/bは0.4であった。キャリア8の芯材露出率は10%であり、体積平均粒径は36μmであった。
キャリア8を使用すること以外は実施例1と同じ方法で現像剤8を作製し、印字物の評価を実施した。評価結果を表2に示す。
<実施例9>
スチレン−メタクリル酸メチル共重合体を2.5質量部、カーボンブラックを0.25質量部に変更すること以外は実施例1と同じ方法で、磁性芯材粒子1を被覆樹脂で被覆し、キャリア9を得た。得られたキャリア9の表面部のカルシウム含有比率(c)は0.3質量%であり、c/bは0.1であった。キャリア9の芯材露出率は5%であり、体積平均粒径は36μmであった。
キャリア9を使用すること以外は実施例1と同じ方法で現像剤9を作製し、印字物の評価を実施した。評価結果を表2に示す。
<実施例10>
スチレン−メタクリル酸メチル共重合体を1.5質量部、カーボンブラックを0.15質量部に変更すること以外は実施例1と同じ方法で、磁性芯材粒子1を被覆樹脂で被覆し、キャリア10を得た。得られたキャリア10の表面部のカルシウム含有比率(c)は1.5質量%であり、c/bは0.50であった。キャリア10の芯材露出率は4%であり、体積平均粒径は36μmであった。
キャリア10を使用すること以外は実施例1と同じ方法で現像剤10を作製し、印字物の評価を実施した。評価結果を表2に示す。
<実施例11>
スチレン−メタクリル酸メチル共重合体を2.5質量部、カーボンブラックを0.25質量部に変更すること以外は実施例1と同じ方法で、磁性芯材粒子8を被覆樹脂で被覆し、キャリア11を得た。得られたキャリア11の表面部のカルシウム含有比率(c)は0.15質量%であり、c/bは0.15であった。キャリア11の芯材露出率は4%であり、体積平均粒径は36μmであった。
キャリア11を使用すること以外は実施例1と同じ方法で現像剤11を作製し、印字物の評価を実施した。評価結果を表2に示す。
<実施例12>
スチレン−メタクリル酸メチル共重合体を1.5質量部、カーボンブラックを0.15質量部に変更すること以外は実施例1と同じ方法で、磁性芯材粒子2を被覆樹脂で被覆し、キャリア12を得た。得られたキャリア12の表面部のカルシウム含有比率(c)は0.35質量%であり、c/bは0.50であった。キャリア12の芯材露出率は32%であり、体積平均粒径は36μmであった。
キャリア12を使用すること以外は実施例1と同じ方法で現像剤12を作製し、印字物の評価を実施した。評価結果を表2に示す。
<比較例1>
原料として、混合ミル投入時、および造粒後のいずれにおいてもCaCO3粉末を混合しないこと以外は実施例1と同じ方法で、磁性芯材粒子13を得た。
得られた磁性芯材粒子13のカルシウム含有量は0.01質量%であり、磁性芯材粒子内部のカルシウム含有比率(a)が0.005質量%であり、磁性芯材粒子表面部のカルシウム含有比率(b)が0.02質量%であり、b/aが4であった。磁性芯材粒子13の表面の凹凸の平均間隔Smおよび最大高さRyはそれぞれ1.0μmおよび1.2μmであった。
磁性芯材粒子1を磁性芯材粒子13に換えること以外は同じ方法で磁性芯材粒子を被覆樹脂にて被覆し、キャリアXを得た。得られたキャリア13の表面部カルシウム含有比率(c)は検出されなかった。キャリア13の芯材露出率は25%であり、体積平均粒径は36μmであった。
キャリアXを使用すること以外は実施例1と同じ方法で現像剤Xを作製し、印字物の評価を実施した。
<比較例2>
混合ミルに投入するCaCO3粉末の量を0.1質量部とし、造粒後に混合するCaCO3粉末をなしに変更すること以外は実施例1と同じ方法で、磁性芯材粒子14を得た。
得られた磁性芯材粒子14のカルシウム含有量は0.08質量%であり、内部のカルシウム含有比率(a)は0.05質量%であり、表面部のカルシウム含有比率(b)は0.2質量%であり、b/aは4であった。磁性芯材粒子表面の凹凸の平均間隔Smおよび最大高さRyはそれぞれ1.0μmおよび0.9μmであった。
磁性芯材粒子1を磁性芯材粒子14に換えること以外は実施例1と同じ方法で、磁性芯材粒子14を被覆樹脂で被覆し、キャリア14を得た。得られたキャリア14の表面部のカルシウム含有比率(c)は0.1質量%であり、c/bは0.5であった。キャリア14の芯材露出率は22%であり、体積平均粒径は36μmであった。
キャリア14を使用すること以外は実施例1と同じ方法で現像剤14を作製し、印字物の評価を実施した。評価結果を表2に示す。
<比較例3>
スチレン−メタクリル酸メチル共重合体を4.0質量部、カーボンブラックを0.4質量部に変更すること以外は実施例1と同じ方法で、磁性芯材粒子1を被覆樹脂で被覆し、キャリア15を得た。
得られたキャリア15の表面部のカルシウム含有比率(c)は0.2質量%であり、c/bは0.07であった。キャリア15の芯材露出率は0.2%であり、体積平均粒径は36μmであった。
キャリア15を使用すること以外は実施例1と同じ方法で現像剤15を作製し、印字物の評価を実施した。評価結果を表2に示す。
<比較例4>
スチレン−メタクリル酸メチル共重合体を1.0質量部、カーボンブラックを0.1質量部に変更すること以外は実施例1と同じ方法で、磁性芯材粒子1を被覆樹脂で被覆し、キャリア16を得た。
得られたキャリア16の表面部のカルシウム含有比率(c)は1.8質量%であり、c/bは0.6であった。キャリア15の芯材露出率は35%であり、体積平均粒径は36μmであった。
キャリア16を使用すること以外は実施例1と同じ方法で現像剤16を作製し、印字物の評価を実施した。評価結果を表2に示す。
<比較例5>
混合ミルに投入するCaCO3粉末の量を1.5質量部とし、造粒後に混合するCaCO3粉末の量を1.5質量部に変更すること以外は実施例1と同じ方法で、磁性芯材粒子17を得た。
得られた磁性芯材粒子17のカルシウム含有量は1.2質量%であり、内部のカルシウム含有比率(a)は0.4質量%であり、表面部のカルシウム含有比率(b)は10質量%であり、b/aは25であった。磁性芯材粒子表面の凹凸の平均間隔Smおよび最大高さRyはそれぞれ2.0μmおよび0.8μmであった。
磁性芯材粒子1を磁性芯材粒子17に換えること以外は実施例1と同じ方法で、磁性芯材粒子17を被覆樹脂で被覆し、キャリア17を得た。
得られたキャリア17の表面部のカルシウム含有比率(c)は3.0質量%であり、c/bは0.3であった。キャリア17の芯材露出率は20%であり、体積平均粒径は36μmであった。
キャリア17を使用すること以外は実施例1と同じ方法で現像剤17を作製し、印字物の評価を実施した。評価結果を表2に示す。
(評価結果)
実施例1〜12の結果が示すように、磁性芯材粒子が0.05質量%以上1.0質量%以下のカルシウムを含み、磁性芯材粒子内部のカルシウム含有比率(a)に対する磁性芯材粒子表面部のカルシウム含有比率(b)の比b/aが5以上であり、また、前記芯材粒子表面部のカルシウム含有比率(b)に対する、樹脂被覆層で被覆された後のキャリア表面部のカルシウム含有比率(c)の比c/bが0.1以上0.5以下であることで、比較例に比べて、高温高湿下での長期の画像形成後においても、安定して高画質を確保しつつ、キャリア抵抗の低下に起因する画像欠陥が抑制される静電荷像現像用キャリアが提供された。