JP2009151189A - 静電荷像現像用キャリア、静電荷像現像剤、カートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成方法、及び、画像形成装置 - Google Patents

静電荷像現像用キャリア、静電荷像現像剤、カートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成方法、及び、画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】温度や湿度等の環境依存性が少ないとともに、被覆樹脂層が剥離しにくく、長期にわたり安定的に画像形成を行うことができる静電荷像現像用キャリアを提供すること。
【解決手段】磁性粒子に樹脂被覆層を少なくとも形成した粒子であり、前記樹脂被覆層が、少なくとも多価カルボン酸及び多価アルコールより得られるポリエステル樹脂を含み、前記ポリエステル樹脂が、前記多価アルコール由来の下記式(1)で表されるモノマー単位を5mol%以上50mol%以下有し、前記樹脂被覆層の磁性粒子に対する被覆率が80%以上であることを特徴とする静電荷像現像用キャリア。式(1)中、R1乃至R6はそれぞれ独立に、置換基を表し、X及びYはそれぞれ独立に、単結合又は二価の有機基を表し、m及びnはそれぞれ独立に、0以上4以下の整数を表す。
Figure 2009151189

【選択図】なし

Description

本発明は、静電荷像現像用キャリア、静電荷像現像剤、カートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成方法、及び、画像形成装置に関する。
電子写真法など静電潜像を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々の分野で利用されている。電子写真法においては、帯電、露光工程により感光体上に静電潜像を形成し、トナーを含む現像剤で静電潜像を現像し、転写、定着工程を経て可視化される。
ここで用いられる現像剤には、トナーとキャリアからなる二成分現像剤と、磁性トナーなどのようにトナー単独で用いられる一成分現像剤とがある。その中でも二成分現像剤は、キャリアが現像剤の撹拌・搬送・帯電などの機能を分担し、現像剤として機能分離されているため、制御性がよいなどの特徴があり、現在広く用いられている。特に、樹脂被覆を施したキャリアを用いる現像剤は、帯電制御性が優れ、環境依存性の改善が比較的容易である。
例えば、特許文献1には、キャリア芯材の表面に、メタクリル酸シクロアルキルエステルを単量体成分として含む重合体による被覆層を形成したことを特徴とする静電荷像現像用キャリアが記載されている。
また、特許文献2には、(A)ジオルガノシロキシ基を含有する繰り返し単位を有するポリイミド樹脂:100重量部(B)1分子中にエポキシ基を2個以上含有する化合物:0.1〜70重量部を主成分とする電子写真キャリア用コーティング剤、及び、それをキャリア核粒子の表面に被覆硬化してなる電子写真用キャリアが記載されている。
さらに、特許文献3には、キャリア芯材、及びその表面を被覆する樹脂被覆層を有するキャリアであって、該樹脂被覆層が、樹脂を構成する単量体ユニット単位として、フッ化ビニリデン(VDF)を2〜50モル%、テトラフルオロエチレン(TFE)を2〜50モル%(但し、前記VDFとTFEの合計量は15〜85モル%)、かつ、シクロヘキシル基を含むビニルエーテル及び/又はアクリルエステル1種以上を2〜70モル%、含む硬化性含フッ素樹脂被覆層であることを特徴とするキャリアが記載されている。
特開昭59−104664号公報 特開平10−239913号公報 特開2002−82494号公報
本発明の目的は、温度や湿度等の環境依存性が少ないとともに、被覆樹脂層が剥離しにくく、長期にわたり安定的に画像形成を行うことができる静電荷像現像用キャリア、並びに、前記静電荷像現像用キャリアを用いた静電荷像現像剤、カートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成方法、及び、画像形成装置を提供することである。
本発明の上記課題は、以下の<1>、<6>乃至<10>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>乃至<5>とともに以下に示す。
<1> 磁性粒子に樹脂被覆層を形成した粒子であり、前記樹脂被覆層が、多価カルボン酸及び多価アルコールより得られるポリエステル樹脂を含み、前記ポリエステル樹脂が、前記多価アルコール由来の下記式(1)で表されるモノマー単位を5mol%以上50mol%以下有し、前記樹脂被覆層の磁性粒子に対する被覆率が80%以上であることを特徴とする静電荷像現像用キャリア、
Figure 2009151189
(式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6はそれぞれ独立に、置換基を表し、X及びYはそれぞれ独立に、単結合又は二価の有機基を表し、m及びnはそれぞれ独立に、0以上4以下の整数を表す。)
<2> 前記樹脂被覆層中に導電粉を含む上記<1>記載の静電荷像現像用キャリア、
<3> 前記磁性粒子と前記樹脂被覆層との間に金属酸化物を含有する層を有し、前記磁性粒子の金属主組成分と前記金属酸化物とが異なるものである上記<1>又は<2>に記載の静電荷像現像用キャリア、
<4> 前記金属酸化物が、前記磁性粒子の金属主組成分より絶縁性が高く、前記磁性粒子における前記金属酸化物の含有割合をa(%)、前記金属酸化物を含有する層における前記金属酸化物の含有割合をb(%)とした時、b≧50であり、かつ、(b/1000)<a<(b/10)である上記<3>に記載の静電荷像現像用キャリア、
<5> 前記金属酸化物が、アルミナを含む上記<3>又は<4>に記載の静電荷像現像用キャリア、
<6> 上記<1>乃至<5>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用キャリアを含む静電荷像現像剤、
<7> 上記<1>乃至<5>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用キャリア、又は、上記<6>に記載の静電荷像現像剤を少なくとも収納したカートリッジ、
<8> 潜像保持体上に形成された静電潜像をトナーを含む上記<6>に記載の静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、潜像保持体、前記潜像保持体を帯電させる帯電手段、及び、前記潜像保持体の表面に残存したトナーを除去するクリーニング手段よりなる群から選ばれた少なくとも1種とを備えるプロセスカートリッジ、
<9> 潜像保持体と、前記潜像保持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記潜像保持体を露光して該潜像保持体上に静電潜像を形成させる露光手段と、トナーを含む現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を前記潜像保持体から被転写体に転写する転写手段とを有し、前記現像剤が上記<1>乃至<5>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用キャリアを含む画像形成装置、
<10> 潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程、前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程、及び、前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程を含み、前記現像剤が上記<1>乃至<5>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用キャリアを含む画像形成方法。
本発明によれば、温度や湿度等の環境依存性が少ないとともに、被覆樹脂層が剥離しにくく、長期にわたり安定的に画像形成を行うことができる静電荷像現像用キャリア、並びに、前記静電荷像現像用キャリアを用いた静電荷像現像剤、カートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成方法、及び、画像形成装置を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
(静電荷像現像用キャリア)
本発明の静電荷像現像用キャリア(以下、単に「キャリア」ともいう。)は、磁性粒子(以下、「芯材」ともいう。)に樹脂被覆層を形成した粒子であり、前記樹脂被覆層が、多価カルボン酸及び多価アルコールより得られるポリエステル樹脂を含み、前記ポリエステル樹脂が、前記多価アルコール由来の下記式(1)で表されるモノマー単位を5mol%以上50mol%以下有し、前記樹脂被覆層の磁性粒子に対する被覆率が80%以上であることを特徴とする。
Figure 2009151189
(式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6はそれぞれ独立に、置換基を表し、X及びYはそれぞれ独立に、単結合又は二価の有機基を表し、m及びnはそれぞれ独立に、0以上4以下の整数を表す。)
この構成により、本発明の静電荷像現像用キャリアでは、温度や湿度等の環境依存性が少ないとともに、被覆樹脂層が剥離しにくく、高速で長時間連続プリントを行った場合においても、長期にわたり安定的に画像形成を行うことができる。この理由は、以下のように推測される。
二成分現像剤においてはトナーとキャリアが摩擦帯電により生じた電荷がトナー表面とキャリア表面に生ずる。トナーは絶縁性が高いため、高温高湿下においても十分に生じた電荷を保持できるが、キャリアは高画質化の目的で半導電性に抵抗が制御されているため、キャリア表面に生じた電荷が高温高湿下で漏洩しやすい。そのため、生じた電荷を漏洩させないことが、高温高湿下での帯電量を低下させない、つまり環境依存性を少なくすることとなる。
また、高温高湿下の電荷漏洩は、キャリア表面の被覆樹脂層が環境中の水分を吸着し、その吸着水分を介在して発生電荷が気中放電するためでもあると考えられる。
そのため本発明者らは、その被覆樹脂層表面に水分が吸着しにくくするため、被覆樹脂層中に前記式(1)で表されるモノマー単位を5mol%以上50mol%以下有するポリエステル樹脂を用いることが非常に適していることを見出した。
詳細な理由は明らかではないが、フルオレン骨格を有することにより、樹脂中の炭化水素基比率が増大し、樹脂被覆層の疎水性が高まるために、被覆樹脂層中に水分を保持しづらくなると共に、熱可塑性樹脂を用いることで、芯材を被覆するための樹脂を有機溶剤中に溶解させたものと芯材とを混合及び脱溶媒するようなコーティング工程において、樹脂中のフルオレン骨格基が表面に配向しながら溶剤が除去されていき、完成したキャリアの表面も脂環基が配向された状態で固定化可能となり、いっそう雰囲気水分を保持しづらくなるからと考えられる。またこれは、溶剤を用いずに、加熱することにより芯材表面に樹脂を固定化する製造方法においても同様のことが言える。
また、さらにはフルオレン骨格を含む樹脂自身が高抵抗であるために、導電粉を使用した場合における抵抗制御が容易になるため、樹脂被覆層に導電粉を使用することが好ましい。
一方で、長期にわたり画像形成を行う際に、現像剤が現像手段内において撹拌され続けると、キャリア表面の被覆樹脂層の摩耗や剥離の懸念についても、磁性粒子との密着性にも優れる理由により解決される。
〔1〕前記式(1)で表されるモノマー単位を5mol%以上50mol%以下有するポリエステル樹脂は低硬化収縮性を有し、硬化時においてキャリアコアと被覆樹脂間に応力が働きにくい。
〔2〕9,9−ジフェニルフルオレン骨格が下記に示す3方向の分子屈曲(カルド)構造を有するため、磁性粒子表面の微細な凹部に樹脂のフルオレン骨格部分が入り込むことにより、擬似アンカー効果が働くと考えられる。
Figure 2009151189
上記に示すように、9,9−ジフェニルフルオレン骨格は、フルオレン骨格の面方向、及び、2つのフェニル基の面方向のそれぞれが互いに異なる方向となっているカルド構造を有する。また、2つのフェニル部分においては、それぞれ、フルオレン骨格と樹脂の主鎖とがパラ位の関係で結合しているにより、カルド構造を有することによる効果をより顕著に得ることができる。
前記樹脂被覆層は、前記式(1)で表されるモノマー単位を5mol%以上50mol%以下有するポリエステル樹脂を少なくとも含む。
5mol%より小さい場合、上記の9,9−ジフェニルフルオレン骨格の効果が十分に得られず、樹脂被覆層と芯材粒子とのアンカー効果が小さくなったり、十分な耐熱性や抵抗・高表面硬度・疎水性が得られなかったりする。
逆に50mol%より多い場合には、樹脂硬度が高くなりすぎたり、芯材への濡れ性が悪くなったりして、被覆樹脂が剥がれ易くなる可能性があり、その結果、色点・白抜けなどの画質不良や、長期間の連続プリント後の帯電低下による画質不良が発生する可能性がある。
以上のことから、本発明のキャリアは、キャリア表面における樹脂被覆層は、式(1)の9,9−ジフェニルフルオレン骨格を有する樹脂を含むため、環境の影響を受け難くなり、高温高湿下で帯電量が低下することなく、高温高湿下と低温低湿下との帯電量差が小さい(すなわち、環境依存性が少ない)。
それに加えて、本発明の被覆樹脂は、樹脂被覆層の摩耗や剥離を抑制し、長期間の現像機内攪拌に耐えることができるため、白点や黒点のようなディフェクトを防止するとともに、高画質画像を長期にわたって安定的に提供することができる。
樹脂被覆層の摩耗や剥離を抑制し、長期間の現像機内撹拌に耐えられる理由としては、9,9−ジフェニルフルオレン骨格を含む樹脂が、高溶融粘度特性を有し、また高表面硬度を有するためであると推定されている。
また、樹脂被覆層中に導電粉を含有することで抵抗を調整するキャリアでは、さらに著しい電荷漏洩が生ずるため、この漏洩を抑制することはさらに重要である。またトナーが結晶性樹脂を含有する場合、トナーの発生電荷量も少なくなるため、よりいっそう電荷漏洩を抑制する必要がある。したがって、このような場合、樹脂被覆層表面に水分が吸着しにくく環境依存性が少ない、本発明のキャリアを用いることが特に有効である。
特に、カーボンブラックなどをキャリア中の導電粉として用いた場合、被覆樹脂層の剥離が起こると黒色のキャリア樹脂剥がれ粉が生じるため、カブリとなって認識されてしまう。
また、導電粉を用いない場合、又は、透明あるいは白色の導電粉を用いた場合においても、キャリア樹脂剥がれ粉によって機内汚染を生じ、露光部を汚染し精細な潜像を形成できなくなったり、帯電器を汚染し感光体を均一に帯電することができず、白点や黒点を生じるようになったりする。
したがって、このような場合、樹脂被覆層が剥離しにくい本発明のキャリアを用いることが特に有効である。
以下、キャリアを構成する各組成成分について説明する。
(磁性粒子)
本発明のキャリアに用いることができる磁性粒子(芯材)は、一般に磁性金属、磁性酸化物、あるいは磁性粒子を内部分散した樹脂粒子が例示できる。
上記磁性金属、磁性酸化物、又は、磁性粒子を内部分散した樹脂粒子をそのままキャリアとして使用した場合、これらは親水性であり高湿下において帯電性を低下する欠点を有することから帯電性の環境変動が大きい、また高表面エネルギー材料であるために、トナー成分で汚染されやすく、帯電性の維持性が悪いといった問題がある。
よって、キャリア表面は疎水性、あるいは低表面エネルギーである樹脂で被覆することにより、前述の帯電に関する諸問題を改善することができる。
一方、絶縁性である樹脂により高い被覆率で芯材表面が被覆されると、キャリアとしての電気抵抗が上昇し、ベタ画像の再現性が悪化することがある。この場合は電気抵抗の上昇を回避する目的で導電性粒子を被覆層内に分散させる等の対応を行うことにより、より優れた性能を発揮することができる。
本発明のキャリアに用いることができる磁性粒子(芯材)の材料としては、以下に記す条件を満足すれば、特に制限はない。
具体的には例えば、鉄、鋼、ニッケル、コバルト等の磁性金属;これらの磁性金属とマンガン、クロム、希土類等との合金;及びフェライト、マグネタイト等の磁性酸化物;等が挙げられる。
特に、本発明に好適に用いることができる芯材としては、表面均一化が容易で帯電性が安定するため、フェライト粒子が例示できる。
本発明に用いることができる芯材におけるフェライトの例としては、一般的に下記式で表される。
(MO)X(Fe23Y
(式中、Mは、Cu、Zn、Fe、Mg、Mn、Ca、Li、Ti、Ni、Sn、Sr、Al、Ba、Co、Mo等から選ばれる少なくとも1種を表し、また、X及びYは重量mol比を示し、かつ条件X+Y=100を満たす。)
上記Mは、Li、Mg、Ca、Mn、Sr、Snの1種若しくは数種の組み合わせであり、かつ、それら以外の成分の含有量が1重量%以下であるフェライト粒子であることが好ましい。上記の金属原子であると、芯材の電気抵抗が適度であり、被覆率も容易に所望の数値範囲とすることができ、環境依存性にも優れる。
芯材は、造粒、焼結により形成されるが、前処理として、微細に粉砕することが好ましい。粉砕方法は特に問わず、公知の粉砕方法に従って粉砕等することができ、具体的には例えば、乳鉢、ボールミル、ジェットミル等を挙げることができる。前処理での最終的な粉砕状態は、材質等によって異なるが、造粒、焼結前の芯材の体積平均粒径は、2μm以上10μm以下であることが好ましい。上記範囲であると、使用し適した粒径であり、また、容易に所望の粒径を得ることができ、円形度も適度な値となる。
また、焼結温度は従来の場合よりも低く抑えることが好ましく、具体的には、用いる材質によって異なるが、500℃以上1,200℃以下が好適であり、600℃以上1,000℃以下がより好適である。焼結温度が500℃以上であると、キャリアとして必要な磁力が十分得られ、また、1,200℃以下であると、結晶成長の速度が適度であり、内部構造が均一であり、かつ、クラックやひびのない粒子を得ることができる。
焼結温度を低く抑えるために、焼結工程では、仮焼結を段階的に行うことが好ましい。そのため、全体の焼結にかける時間は長くすることが好ましい。
芯材の体積平均粒子径は、10μm以上500μm以下が好ましく、20μm以上150μm以下がより好ましく、30μm以上100μm以下がさらに好ましい。芯材の体積平均粒径が10μm以上であると、静電荷像現像剤に用いた場合にトナー・キャリア間の付着力が適度であり、トナーの現像量が十分得られる。一方、500μm以下であると、磁気ブラシが荒くなることがなく、きめ細かい画像が形成される。
芯材の磁力は、1,000エルステッドにおける飽和磁化が50emu/g以上であることが好ましく、60emu/g以上であることがより好ましい。飽和磁化が50emu/g以上であると、キャリアがトナーと共に、感光体上に現像されてしまうことを抑制できる。
磁気特性の測定することができる装置は、特に制限はないが、振動試料型磁気測定装置VSMP10−15(東英工業(株)製)を好適に用いることができる。
例えば、測定試料を内径7mm、高さ5mmのセルに詰めて前記装置にセットする。測定は印加磁場を加え、最大1,000エルステッドまで掃引する。次いで、印加磁場を減少させ、記録紙上にヒステリシスカーブを作製する。カーブのデータより、飽和磁化、残留磁化、保持力を求めることができる。なお、本発明においては、飽和磁化は1,000エルステッドの磁場において測定された磁化を示す。
芯材の体積電気抵抗(体積抵抗率)は、105Ω・cm以上109.5Ω・cm以下の範囲であることが好ましく、107Ω・cm以上109Ω・cm以下の範囲であることがより好ましい。体積電気抵抗が105Ω・cm以上であると、繰り返し複写によって、現像剤中のトナー濃度が減少した際に、キャリアへの電荷の注入が生じず、キャリア自体が現像されてしまうことを抑制できる。一方、体積電気抵抗が109.5Ω・cm以下であると、際立ったエッジ効果や擬似輪郭等を抑制でき、画質に優れる。
本発明において、芯材の体積電気抵抗(Ω・cm)は、以下のように測定する。なお、測定環境は、温度20℃、湿度50%RHとする。
20cm2の電極板を配した円形の治具の表面に、測定対象物を1mm以上3mm以下程度の厚さになるように平坦に載せ、層を形成する。この上に前記同様の20cm2の電極板を載せ、層を挟み込む。測定対象物間の空隙をなくすため、層上に載置した電極板の上に4kgの荷重をかけてから層の厚み(cm)を測定する。層の上下の両電極には、エレクトロメーター及び高圧電源発生装置に接続されている。両電極に電界が103.8V/cmとなるように高電圧を印加し、このとき流れた電流値(A)を読み取ることにより、測定対象物の体積電気抵抗(Ω・cm)を計算する。測定対象物の体積電気抵抗(Ω・cm)の計算式は、下記式に示す通りである。
式:R=E×20/(I−I0)/L
上記式中、Rは測定対象物の体積電気抵抗(Ω・cm)、Eは印加電圧(V)、Iは電流値(A)、I0は印加電圧0Vにおける電流値(A)、Lは層の厚み(cm)をそれぞれ表す。また、20の係数は、電極板の面積(cm2)を表す。
芯材の体積平均粒子径dは、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LS Particle Size Analyzer:LS13 320、ベックマン−コールター社製)を用いて測定することができる。得られた粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、小粒径側から体積累積分布を引いて、累積50%となる粒径を体積平均粒径dとする。
また、芯材の真比重ρは、ルシャテリエ比重瓶を用い、JIS−K−0061の5−2−1に準拠して真比重を測定する。操作は次の通りに行う。
(1)ルシャテリエ比重瓶に約250mlのエチルアルコールを入れ、メニスカスが目盛りの位置にくるように調整する。
(2)比重瓶を恒温水槽に浸し、液温が20.0±0.2℃になったとき、メニスカスの位置を比重瓶の目盛りで正確に読み取る。(精度0.025mlとする)
(3)試料を約100g量り取り、その質量をW(g)とする。
(4)量り取った試料を比重瓶に入れ泡を除く。
(5)比重瓶を恒温水槽に浸し、液温が20.0±0.2℃になったとき、メニスカスの位置を比重瓶の目盛りで正確に読み取る。(精度0.025mlとする)
(6)下記式により真比重を算出する。
D=W/(L2−L1)
ρ=D/0.9982
上記式中、Dは試料の密度(20℃)(g/cm3)、ρは試料の真比重(20℃)、Wは試料の見かけの質量(g)、L1は試料を比重瓶に入れる前のメニスカスの読み(20℃)(ml)、L2は試料を比重瓶に入れた後のメニスカスの読み(20℃)(ml)、0.9982は20℃における水の密度(g/cm3)である。
<被覆樹脂層>
本発明のキャリアに用いられる被覆樹脂層は、少なくとも多価カルボン酸及び多価アルコールより得られるポリエステル樹脂を含み、前記ポリエステル樹脂が、前記多価アルコール由来の下記式(1)で表されるモノマー単位を5mol%以上50mol%以下有し、前記樹脂被覆層の磁性粒子に対する被覆率が80%以上である。
Figure 2009151189
(式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6はそれぞれ独立に、置換基を表し、X及びYはそれぞれ独立に、単結合又は二価の有機基を表し、m及びnはそれぞれ独立に、0以上4以下の整数を表す。)
前記樹脂被覆層に含有される前記ポリエステル樹脂(以下、「特定ポリエステル樹脂」ともいう。)は、前記多価アルコール由来の前記式(1)で表されるモノマー単位を5mol%以上50mol%以下有していれば、特に制限は無く、目的に応じて適宜選択することができる。また、特定ポリエステル樹脂は、熱可塑性樹脂であることが好ましい。
なお、ポリエステル樹脂におけるモノマー単位とは、ポリエステル樹脂中の全エステル結合におけるカルボニル部分とアルコキシ部分との間で切断された各単位をいう。
前記式(1)で表されるモノマー単位を形成する多価アルコールとしては、以下の式(2)で表される化合物が例示できる。
Figure 2009151189
式(2)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、X、Y、m及びnは、前記式(1)におけるR1、R2、R3、R4、R5、R6、X、Y、m及びnと同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(2)で表される化合物としては、以下に示すビスフェノールフルオレン(BPF)、ビスクレゾールフルオレン(BCF)、及び、ビスフェノキシエタノールフルオレン(BPEF)が好ましく例示できる。
Figure 2009151189
さらにその中でも、特に反応性・熱特性などの観点から、BPEFが好ましい。
前記特定ポリエステルは、前記式(1)で表されるモノマー単位以外に、例えば、以下の式(A)又は式(B)に示すようなモノマー単位を含んでいてもよい。また、前記特定ポリエステルの末端は、−COOR又は−OHであることが好ましい。前記Rは水素原子、一価以上の金属原子、又は、低級アルキル基を表す。
Figure 2009151189
式(A)中、A1は多価カルボン酸残基であり、二価以上の有機基を表し、mは0以上の整数を表す。また、波線は他のモノマー単位との結合部位、又は、樹脂末端のROとの結合部位を表す。Rは水素原子、一価以上の金属原子、又は、低級アルキル基を表す。
式(B)中、A2は多価アルコール残基であり、二価以上の有機基を表し、nは0以上の整数を表す。また、波線は他のモノマー単位との結合部位、又は、樹脂末端の水素原子との結合部位を表す。
前記A1は、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、及び、これらを2以上組み合わせた炭化水素よりなる群から選ばれた炭化水素から2以上の水素原子を除いた基であることが好ましい。
前記A2は、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、並びに、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素及び/又はエーテル結合を2以上組み合わせた炭化水素又はエーテル化合物よりなる群から選ばれた炭化水素又はエーテル化合物から2以上の水素原子を除いた基であることが好ましい。
前記mは、0以上3以下の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましい。
前記nは、0以上3以下の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましい。
式(A)で表されるモノマー単位はそれぞれ、特定ポリエステル中に、1種単独で有していてもよく、2種以上を有していてもよい。また、式(B)で表されるモノマー単位特定ポリエステル中に、有していなくとも、1種単独で有していてもよく、2種以上を有していてもよい。
前記特定ポリエステル樹脂の作製に用いることができる、前記式(2)で表される化合物以外の、多価カルボン酸及び多価アルコールとしては、特に制限はなく、公知の単量体用いることができる。
多価カルボン酸とは、1分子中にカルボキシル基を2個以上含有する化合物である。
多価カルボン酸としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。中でも、次の単量体を好ましく挙げることができる。
このうち、ジカルボン酸は1分子中にカルボキシル基を2個含有する化合物であり、シュウ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、β−メチルアジピン酸、リンゴ酸、マロン酸、ピメリン酸、酒石酸、アゼライン酸、ピメリン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、シトラコン酸、シクロヘキサン−3,5−ジエン−1,2−カルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、粘液酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレンジプロピオニック酸、m−フェニレンジプロピオニック酸、m−フェニレン二酢酸、p−フェニレン二酢酸、o−フェニレン二酢酸、ジフェニル二酢酸、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸、1,1−シクロペンテンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキセンジカルボン酸、ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、1,3−アダマンタンジカルボン酸、1,3−アダマンタンジ酢酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸等を挙げることができる。
また、ジカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸、クエン酸等を挙げることができる。
上記のカルボン酸は、カルボキシル基以外の官能基を有していてもよく、酸ハロゲン化物、酸無水物、エステル化合物等のカルボン酸誘導体を用いることもできる。また、前記エステル化合物としては、低級エステル化合物であることが好ましい。
これらは、一種単独で使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。
なお、低級エステルとは、エステルのアルコキシ部分の炭素数が1以上8以下であることを示す。具体的には、メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエステル及びイソブチルエステル等が例示できる。
これらの中でも、多価カルボン酸としては、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリメリット酸が特に好ましく例示できる。
多価アルコールとは、1分子中に水酸基を2個以上含有する化合物である。
多価アルコールとしては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。中でも、次の単量体を好ましく挙げることができる。
ジオールは1分子中に水酸基を2個含有する化合物であり、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、オクタデカンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールF、ビスフェノールP、ビスフェノールS、ビスフェノールZ、水素添加ビスフェノール、ビフェノール、ナフタレンジオール、1,3−アダマンタンジオール、1,3−アダマンタンジメタノール、1,3−アダマンタンジエタノール等を例示できる。
また、ジオール以外の多価アルコールとしては、グリコール、ペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサエチロールメラミン、テトラメチロールベンゾグアナミン、テトラエチロールベンゾグアナミン等を例示できる。
本発明では、上記ビスフェノール類が少なくとも1つのアルキレンオキサイド基を有することが好ましい。アルキレンオキサイド基としては、エチレンオキサイド基、プロピレンオキサイド基、ブチレンオキサイド等を挙げることができるが、これらに限定されない。好適には、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドである。その付加モル数は、ヒドロキシル基1モルに対し、2モル以上6モル以下であることが好ましい。
上述の単量体のうち、好適に使用される単量体としては、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、及び、ビスフェノールA、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールS、ビスフェノールZの各アルキレンオキサイド付加物である。
また、前記特定ポリエステルの作製に使用する多価アルコール成分は、前記式(2)で表される化合物のみであることが好ましい。
また、本発明における樹脂被覆層は、前記特定ポリエステル樹脂以外に、他のポリエステル樹脂や、ポリエステル樹脂以外の重縮合樹脂、付加重合型樹脂を含んでいてもよい。
他のポリエステル樹脂としては、前記多価カルボン酸、前記多価アルコール、公知のヒドロキシカルボン酸等よりなるものが例示できる。
ポリエステル樹脂以外の重縮合樹脂としては、ポリアミド等が例示できる。
付加重合型樹脂としては、熱可塑性樹脂であれば特に制限はなく、公知のラジカル重合型樹脂やカチオン重合型樹脂、アニオン重合型樹脂を用いることができる。
ラジカル重合型樹脂としては、焼成時焼成残分が少ないほどよいが、特に限定するものではなく、例えば、熱可塑性樹脂などを挙げることができる。具体的には、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類の単独重合体又は共重合体(スチレン系樹脂);アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類の単独重合体又は共重合体(オレフィン系樹脂);エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等の非ビニル縮合系樹脂、及びこれら非ビニル縮合系樹脂とビニル系モノマーとのグラフト重合体などが挙げられる。これらの樹脂は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記樹脂は、前記重合性単量体のラジカル重合等により製造することができる。
ここで用いるラジカル重合用開始剤としては、特に制限はない。具体的には、例えば、過酸化水素、過酸化アセチル、過酸化クミル、過酸化tert−ブチル、過酸化プロピオニル、過酸化ベンゾイル、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、ペルオキシ炭酸ジイソプロピル、テトラリンヒドロペルオキシド、1−フェニル−2−メチルプロピル−1−ヒドロペルオキシド、過トリフェニル酢酸tert−ブチルヒドロペルオキシド、過蟻酸tert−ブチル、過酢酸tert−ブチル、過安息香酸tert−ブチル、過フェニル酢酸tert−ブチル、過メトキシ酢酸tert−ブチル、過N−(3−トルイル)カルバミン酸tert−ブチル等の過酸化物類;2,2’−アゾビスプロパン、2,2’−ジクロロ−2,2’−アゾビスプロパン、1,1’−アゾ(メチルエチル)ジアセテート、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)硝酸塩、2,2’−アゾビスイソブタン、2,2’−アゾビスイソブチルアミド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルプロピオン酸メチル、2,2’−ジクロロ−2,2’−アゾビスブタン、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、1,1’−アゾビス(1−メチルブチロニトリル−3−スルホン酸ナトリウム)、2−(4−メチルフェニルアゾ)−2−メチルマロノジニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸、3,5−ジヒドロキシメチルフェニルアゾ−2−メチルマロノジニトリル、2−(4−ブロモフェニルアゾ)−2−アリルマロノジニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルバレロニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸ジメチル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサンニトリル、2,2’−アゾビス−2−プロピルブチロニトリル、1,1’−アゾビス−1−クロロフェニルエタン、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、1,1’−アゾビス−1−シクロへプタンニトリル、1,1’−アゾビス−1−フェニルエタン、1,1’−アゾビスクメン、4−ニトロフェニルアゾベンジルシアノ酢酸エチル、フェニルアゾジフェニルメタン、フェニルアゾトリフェニルメタン、4−ニトロフェニルアゾトリフェニルメタン、1,1’−アゾビス−1,2−ジフェニルエタン、ポリ(ビスフェノールA−4,4’−アゾビス−4−シアノペンタノエート)、ポリ(テトラエチレングリコール−2,2’−アゾビスイソブチレート)等のアゾ化合物類;1,4−ビス(ペンタエチレン)−2−テトラゼン、1,4−ジメトキシカルボニル−1,4−ジフェニル−2−テトラゼン等が挙げられる。
前記樹脂の分子量調整は、連鎖移動剤を用いて行うこともできる。該連鎖移動剤としては、特に制限はなく、具体的には炭素原子と硫黄原子との共有結合を持つものがよく、より具体的には、n−プロピルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、n−アミルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−ヘプチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ノニルメルカプタン、n−デシルメルカプタン等のn−アルキルメルカプタン類;イソプロピルメルカプタン、イソブチルメルカプタン、s−ブチルメルカプタン、tert−ブチルメルカプタン、シクロヘキシルメルカプタン、tert−ヘキサデシルメルカプタン、tert−ラウリルメルカプタン、tert−ノニルメルカプタン、tert−オクチルメルカプタン、tert−テトラデシルメルカプタン等の分鎖型アルキルメルカプタン類;アリルメルカプタン、3−フェニルプロピルメルカプタン、フェニルメルカプタン、メルカプトトリフェニルメタン等の含芳香環系のメルカプタン類;などが挙げられる。
樹脂被覆層に用いることが樹脂として、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、フェノール樹脂、アミノ樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、アミド樹脂、エポキシ樹脂等を好ましく例示することができるが、これらに限定されるものではない。特に好ましくは、ポリスチレン樹脂、アクリル酸樹脂、スチレン−アクリル共重合体が挙げられる。これらの樹脂を用いると被覆膜強度が高く、かつ、後述する導電粉及び帯電制御剤の分散ができる。
また、前記付加重合型樹脂の作製に用いる単量体(モノマー)としては、従来より用いられているモノマー、具体的には、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、ジエチルアミノメチルメタクリレート、ジメチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、アクリロイルモルフォリン等のアミノ基含有アクリル系モノマーやそれらの誘導体等を含む窒素含有アクリル系モノマー;その他のアクリル系モノマー;ポリエチレン及びポリプロピレンなどのオレフィン樹脂を構成するモノマー;ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル及びポリビニルケトン等のポリビニル系樹脂及びポリビニリデン系樹脂を構成するモノマー;オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂又はその変性品を構成するモノマー;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素系樹脂を構成するモノマー;ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂(ユリア樹脂)、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリアミド樹脂等のアミノ樹脂を構成するモノマー;エポキシ樹脂を構成するモノマー;等のそれ自体の公知の樹脂を構成するモノマーが好ましく例示できる。
これらの中でも、特定ポリエステル樹脂以外の樹脂成分として、(メタ)アクリル樹脂を用いることが好ましく、メタクリル樹脂を用いることがより好ましい。
メタクリル樹脂の作製に使用するモノマーとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、及び、メタクリル酸パーフルオロオクチルエチルよりなる群から選ばれた少なくとも1種のモノマーを使用することが好ましい。
被覆樹脂層には、抵抗を制御するためなどの目的で、必要に応じて導電粉を含んでも良い。
導電粉として具体的には例えば、金、銀、銅等の金属粒子;カーボンブラック;ケッチェンブラック;アセチレンブラック;酸化チタン、酸化亜鉛等の半導電性酸化物粒子;酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム粉末等の表面を酸化スズ、カーボンブラック、金属等で覆った粒子;などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
導電粉としては、製造安定性、コスト、導電性等が良好である点で、カーボンブラック粒子が好ましい。
カーボンブラックの種類としては、特に制限はないが、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が50ml/100g以上250ml/100g以下であるカーボンブラックが、製造安定性に優れて好ましい。
導電粉の体積平均粒子径は、0.5μm以下のものが好ましく、0.05μm以上0.5μm以下のものがより好ましく、0.05μm以上0.35μm以下のものがさらに好ましい。体積平均粒子径が0.5μm以下であると、導電粉が被覆樹脂層から脱落しにくく、安定した帯電性が得られる。
導電粉の体積平均粒子径は、レーザー回析式粒度分布測定装置(LA−700:(株)堀場製作所製)を用いて測定する。
測定法としては、界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液50ml中に測定試料を2g加え、超音波分散機(1,000Hz)にて2分間分散して、試料を作製し、測定する。
得られたチャンネルごとの体積平均粒子径を、体積平均粒子径の小さい方から累積し、累積50%になったところを体積平均粒子径とする。
導電粉の体積電気抵抗は、101Ω・cm以上1011Ω・cm以下であることが好ましく、103Ω・cm以上109Ω・cm以下がより好ましい。
また、導電粉の体積電気抵抗は、芯材の体積電気抵抗と同様にして測定する。
導電粉の含有量は、被覆樹脂層全体に対し、1容量%以上50容量%以下が好ましく、3容量%以上20容量%以下がより好ましい。含有量が50容量%以下であると、キャリア抵抗が低下せず、現像像へのキャリア付着などによる画像欠損を抑制できる。一方、含有量が1容量%以上であると、キャリアの電気抵抗が適度な値であり、現像時、キャリアが現像電極として十分に働き、特に黒のベタ画像を形成した際にエッジ効果を抑制できる等、ソリッド画像の再現性に優れる。
また、被覆樹脂層は、他に樹脂粒子を含有してもよい。
樹脂粒子としては、例えば、熱可塑性樹脂粒子、熱硬化性樹脂粒子等が挙げられる。これらの中でも、比較的硬度を上げることが容易な観点から熱硬化性樹脂が好ましく、トナーに負帯電性を付与する観点からは、N原子を含有する含窒素樹脂による樹脂粒子が好ましい。なお、これらの樹脂粒子は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
樹脂粒子の体積平均粒子径としては、0.1μm以上2.0μm以下が好ましく、0.2μm以上1.0μm以下がより好ましい。樹脂粒子の平均粒径が0.1μm以上であると、被覆樹脂層における樹脂粒子の分散性に優れる。一方、2.0μm以下であると、被覆樹脂層から樹脂粒子の脱落が生じにくく、本来の効果を十分発揮できる。
樹脂粒子の体積平均粒子径は、導電粉の体積平均粒子径と同様な測定を行うことによって求めることができる。
樹脂粒子の含有量は、被覆樹脂層全体に対し、1重量%以上50重量%以下であることが好ましく、1重量%以上30重量%以下であることがより好ましく、1重量%以上20重量%以下であることがさらに好ましい。樹脂粒子の含有率が1重量%以上であると、樹脂粒子の効果が十分得られ、50重量%以下であると、被覆樹脂層からの脱落が生じにくく、安定した帯電性が得られる。
被覆樹脂層を芯材表面に形成する方法としては、特に制限はないが、例えば、導電粉と、脂環基含有アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等と、を溶剤中に含む被膜形成用液を用いる方法などが挙げられる。
例えば、芯材を被膜形成用液に浸漬する浸漬法、被膜形成用液を芯材の表面に噴霧するスプレー法、芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被膜形成用液と混合し溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。これらの中でも、本発明においては、ニーダーコーター法が好ましい。
被膜形成用液に用いる溶剤としては、樹脂のみを溶解することが可能なものであれば、特に制限はなく、それ自体公知の溶剤の中から選択することができる。具体的には例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;などが挙げられる。
被覆樹脂層中に樹脂粒子が分散されている場合において、その厚み方向及びキャリア表面の接線方向に、樹脂粒子が均一に分散しているため、キャリアを長期間使用して被覆樹脂層が摩耗したとしても、常に未使用時と同様な表面形成を保持でき、トナーに対し、良好な帯電付与能力を長期間にわたって維持することができる。
また、被膜樹脂層に導電粉が分散されている場合においては、その厚み方向及びキャリア表面の接線方向に、導電粉が均一に分散しているため、キャリアを長期間使用して被膜樹脂層が摩耗したとしても、常に未使用時と同様な表面形成を保持でき、キャリア劣化を長期間防止することができる。
なお、被膜樹脂層に樹脂粒子と導電粉とが分散されている場合において、上述の効果を同時に奏することができる。
また被覆樹脂層は、単層に限られず、2層以上の構成であってもよい。
本発明のキャリア中における被覆樹脂層の全含有量は、芯材100重量部に対し、0.5重量部以上10重量部以下の範囲が好ましく、1重量部以上5重量部以下がより好ましく、1重量部以上3重量部以下がさらに好ましい。被覆樹脂層の含有量が0.5重量部以上であると、芯材粒子の表面露出が少なく、現像電界の注入を抑制することができる。また、被覆樹脂層の含有量が10重量部以下であると、被覆樹脂層から遊離する樹脂粉が少なく、現像剤中に剥がれた樹脂粉を初期の段階から抑制することができる。
被覆樹脂層による芯材表面の被覆率は80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、100%に近ければ近いほど好ましい。被覆率が80%未満の場合には、長期に渡って使用した場合にキャリアへの電荷注入が発生し、電荷注入が起こったキャリアが感光体上へ移行し、画像上に白抜けが発生してしまう場合がある。
なお、被覆樹脂層の被覆率は、XPS測定により求めることができる。XPS測定装置としては、日本電子(株)製、JPS80を使用し、測定は、X線源としてMgKα線を用い、加速電圧を10kV、エミッション電流を20mVに設定して実施し、被覆樹脂層を構成する主たる元素(通常は炭素)と、芯材を構成する主たる元素(例えば芯材がマグネタイトなどの酸化鉄系材料の場合は鉄及び酸素)とについて測定する(以下、芯材が、酸化鉄系である場合を前提に説明する)。ここで、炭素についてはC1sスペクトルを、鉄についてはFe2p3/2スペクトルを、酸素についてはO1sスペクトルを測定する。
これらの各々の元素のスペクトルに基づいて、炭素、酸素、鉄の元素個数(AC+AO+AFe)を求めて、得られた炭素、酸素、鉄の元素個数比率より下記式(9)に基づいて、芯材単体、及び、芯材を被覆樹脂層で被覆した後(キャリア)の鉄量率を求め、続いて、下記式(10)により被覆率を求めた。
式(9):鉄量率(atomic%)=AFe/(AC+AO+AFe)×100
式(10):被覆率(%)={1−(キャリアの鉄量率)/(芯材単体の鉄量率)}×100
なお、芯材として、酸化鉄系以外の材料を用いる場合には、酸素の他に芯材を構成する金属元素のスペクトルを測定し、上述の式(9)や式(10)に準じて同様の計算を行えば被覆率を求めることができる。
各被覆樹脂層の平均膜厚は、0.1μm以上10μm以下であることが好ましく、0.1μm以上3.0μm以下であることがより好ましく、0.1μm以上1.0μm以下であることがさらに好ましい。被覆樹脂層の平均膜厚が0.1μm以上であると、長時間使用時に被覆樹脂層剥離による抵抗低下が発生せず、キャリアの粉砕の制御が容易である。一方、被覆樹脂層の平均膜厚が10μm以下であると、飽和帯電量に達するまでの時間が短い。
被覆樹脂層の平均膜厚(μm)は、芯材の真比重をρ(無次元)、芯材の体積平均粒子径をd(μm)、被覆樹脂層の平均比重をρC、芯材100重量部に対する被覆樹脂層の全含有量をWC(重量部)とすると、下記式(11)以下のようにして求めることができる。
式(11):平均膜厚(μm)={[キャリア1個当たりの被覆樹脂量(導電粉等の添加物もすべて含む)/キャリア1個当たりの表面積]}/被覆樹脂層の平均比重
={[4/3π・(d/2)3・ρ・WC]/[4π・(d/2)2]}/ρC
=(1/6)・(d・ρ・WC/ρC
また、前記樹脂被覆層には、ワックスを含有させてもよい。
ワックスは疎水性であり、かつ常温においても比較的柔らかく膜強度が低い。これはワックスの分子構造に由来するが、この特性のためにキャリア被覆層にワックスが存在すると、トナー表面に添加されている外添剤と称する微小な粒子、あるいはトナーバルク成分といったトナー成分がキャリア表面に付着しにくい。また付着したとしてもその付着部分のワックス分子レベルの剥離によって表面が一新されキャリア表面は付着汚染されにくいという効果がある。
ワックスとしては特に制限するものではなく、例えば、パラフィンワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュワックス及びその誘導体、ポリオレフィンワックス及びその誘導体等である。誘導体とは酸化物、ビニルモノマーとの重合体、グラフト変性物を含む。この他に、アルコール、脂肪酸、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、エステルワックス、酸アミド等も利用できる。また、その他公知のものも使用できる。ワックスの融点は60℃以上200℃以下が好ましい。さらに好ましくは、ワックスの融点は80℃以上150℃以下である。60℃以上であると、キャリアとしての流動性に優れる。
本発明のキャリアにおける樹脂被覆層は、帯電制御剤を含有していてもよい。また、帯電制御剤は、導電粉と併用することが好ましい。
帯電制御剤は、例えば、ニグロシン染料、ベンゾイミダゾール系化合物、四級アンモニウム塩化合物、アルコキシ化アミン、アルキルアミド、モリブデン酸キレート顔料、トリフェニルメタン系化合物、サリチル酸金属塩錯体、アゾ系クロム錯体、銅フタロシアニンなど、公知のいかなるものでも構わない。特に好ましくは四級アンモニウム塩化合物、アルコキシ化アミン、アルキルアミドが挙げられる。
これらの帯電制御剤は分散状態の制御がし易く、また、被覆樹脂界面との密着性がよいため、樹脂被覆層からの帯電制御剤の脱離が抑制できる。また、帯電制御剤が導電粉の分散助剤として働き、樹脂被覆層中の導電粉の分散状態が均一化され、若干のコート層剥がれでもキャリア抵抗変化を抑制できる。その理由としては、導電粉は表面が容易に酸化されたり、また、水分の影響を受けるため、親水性が高く、粒子表面の水等により凝集しやすい構造になっている。これを被覆樹脂中に分散する場合、樹脂の極性は一般に低いため前述の凝集はそのまま残り、そのために被覆樹脂内部に偏在が生じやすい。これに対し前述の帯電制御剤は被覆樹脂界面との密着性がよく、また、極性もある程度高いことから、該導電粉との密着性も向上するため、分散性を向上させることができるものと推定される。
帯電制御剤の添加量としては芯材を100重量部としたとき、好ましくは0.001重量部以上5重量部以下であり、より好ましくは0.01重量部以上0.5重量部以下である。上記範囲であると、樹脂被覆層の強度が十分であり、使用時のストレスにより変質が生じにくいキャリアが得られ、また、導電材料の分散性に優れる。
(金属酸化物を含有する層)
本発明の静電荷像現像用キャリアは、前記前記磁性粒子と前記樹脂被覆層との間に金属酸化物を含有する層(以下、「金属酸化物含有層」ともいう。)を有することが好ましい。
また、前記磁性粒子の金属主組成分と前記金属酸化物とは、異なるものであることが好ましい。
前記金属酸化物を含有する層において、前記金属酸化物は、前記磁性粒子の金属主組成分より電気抵抗が高いことが好ましい。
前記金属酸化物は、一般的に下記式で表されるフェライト組成物でもよく、単独の金属酸化物でもよい。
(MO)X(Fe23Y
(式中、Mは、Cu、Zn、Fe、Mg、Mn、Ca、Li、Ti、Ni、Sn、Sr、
Al、Ba、Co、Mo等から選ばれる少なくとも1種を表し、また、X及びYは、重量mol比を示し、かつ条件X+Y=100を満たす。)
前記金属酸化物は、電気抵抗及び強度面から、アルミナであることが特に好ましい。
前記金属酸化物粒子の平均粒径は、1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましく、0.01μm以上0.5μm以下であることがさらに好ましい。
平均粒径を前記の範囲に調製することにより、凝集粒子への付着粒子の凝集を良好にし、更に粒子間の組成の偏在を抑制することができ、キャリア性能や信頼性のバラツキを低く抑えることができるという利点がある。
前記金属酸化物粒子は付着工程で添加され、添加量は芯材粒子表面被覆率で調整をすることが可能であるが、50%以上被覆することが好ましく、70%以上90%以下被覆することがより好ましい。被覆率が50%以上であると樹脂被覆層が剥離した場合に電荷注入を抑制することができる。また、金属酸化物の含有率は、X線マイクロアナライザEPMA−1610((株)島津製作所製)を使用し、測定することができる。金属酸化物粒子は芯材表面に多く存在することが好ましく、芯材の表面及びキャリアをミクロトームでカット後断面を分析した時の比率が下記式の範囲にあることが好ましい。
すなわち、前記磁性粒子における前記金属酸化物の含有割合をa(%)、前記金属酸化物を含有する層における前記金属酸化物の含有割合をb(%)とした時、
b≧50であり、かつ、
(b/1000)<a<(b/10)であることが好ましい。
上記範囲であると、芯材の電気抵抗が適度であり、また、焼成の際に容易に溶融することができる。
本発明のキャリアの製造方法としては、特に限定しないが、以下に、その好適な製造方法と共により詳細に説明する。
代表例として、一般的なフェライト芯材の製造方法は、各酸化物を適量配合し、水を加え、湿式ボールミル又は湿式振動ミル等で、好ましくは1時間以上、より好ましくは1時間以上20時間以下粉砕混合する。このようにして得られたスラリーを乾燥し、さらに粉砕した後700℃以上1,200℃以下の温度で仮焼成する。仮焼成後さらに湿式ボールミル又は湿式振動ミル等で1μm以下に粉砕した後、造粒し、1,000℃以上1,500℃以下の温度で1時間以上24時間以下保持し、本焼成を行う方法が例示できる。
本発明においては、公知の方法により、造粒において乳化重合あるいはその他の方法により結着樹脂を含む樹脂粒子分散液を作製し、芯材組成物の分散液とともにヘテロ凝集させ、その後融合・合一する乳化重合凝集法により、本発明のキャリアを製造することが好ましい。
本発明に用いることができる乳化重合凝集法としては、粒径が1μm以下の結着樹脂粒子を分散した樹脂粒子分散液、及び、芯材組成物を分散した分散液等を混合する工程(以下、「分散工程」ともいう。)、樹脂粒子、芯材組成物等を目的の粒径に凝集させる工程(以下、「凝集工程」ともいう。)、芯材の主成分以外の金属酸化物を含有する層を形成する工程(以下、「付着工程」ともいう。)、樹脂粒子のガラス転移点以上の温度に加熱し凝集体を融合し粒子を形成する工程(以下、「融合工程」ともいう。)を含むことが好ましい。また、金属酸化物を含有する層を設けない場合は、前記方法から付着工程を除いた方法であることが好ましい。
以下、乳化重合凝集法を例に説明する。
凝集工程においては、分散工程にて混合された樹脂粒子分散液、芯材組成物の分散液の各粒子が凝集して凝集粒子を形成する。該凝集粒子はヘテロ凝集等により形成され、一般的には前記凝集粒子とは極性が異なるイオン性界面活性剤やpH調整剤、金属塩等の一価以上の電荷を有する化合物を添加し、必要に応じpHを制御しながら温度を上昇させ目的粒径まで凝集させる。
凝集工程において、芯材組成物を凝集させる場合、凝集開始時に分散系の粘度をできるだけ高く保ち、芯材組成物が沈降してしまうことを防ぐ必要がある。上記方法としてはカルボン酸基含有化合物などを添加し、その分子量や酸価を調整することで可能である。
上記記載のカルボン酸基含有化合物としては、重量平均分子量Mwが500以上3,000以下の範囲にあり、酸価が150mg・KOH/g以上600mg・KOH/g以下の範囲にあることが有効であるが、特には限定しない。
カルボン酸基含有化合物としては、カルボン酸基を有する単量体のオリゴマー又は共重合樹脂、及びそれらの塩などが挙げられる。カルボン酸基を有する単量体としては、例えば、カルボン酸基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物等が挙げられる。カルボン酸基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物としては、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチルエステル、マレイン酸モノオクチルエステル等が挙げられる。カルボン酸基を有する単量体との共重合樹脂としては、例えば、スチレン−アクリル酸共重合樹脂、スチレン−アクリル酸エステル−アクリル酸共重合樹脂、α−メチルスチレン−アクリル酸共重合樹脂、スチレン−マレイン酸共重合樹脂等やそれらの塩等が挙げられる。また、それらの共重合樹脂の一部がエステル化されていてもよい。
芯材は、予め各酸化物を適量配合で粉砕混合し、さらに粉砕した後700℃以上1,200℃以下の温度で仮焼成する。仮焼成後さらに湿式ボールミル又は湿式振動ミル等で必要に応じ分散剤を使用し、水中に1μm以下に粉砕分散する。水中での芯材の粒径は、1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましく、0.01μm以上0.5μm以下の範囲にあることがさらに好ましい。
分散剤として、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤等の界面活性剤を使用することが好ましい。この中でも、分散力が強く分散に優れているため、アニオン系界面活性剤を用いることがより好ましい。
界面活性剤の各分散液中における含有量としては、一般的には少量であり、具体的には0.01重量%以上10重量%以下の範囲にあることが好ましく、0.05重量%以上5重量%以下の範囲にあることがより好ましく、0.1重量%以上2重量%以下の範囲にあることがさらに好ましい。含有量が0.01重量%以上であると、分散液の分散が安定であり、凝集剤を使用しない状態では凝集を生じにくく、また、凝集時に各粒子間の安定性がほぼ一定であり、特定粒子の遊離が生じる等の問題が生じにくい。また、10重量%以下であると、粒子の粒度分布が狭く、また、粒子径の制御が容易である。
また、本発明において、金属酸化物を含有する層を設ける場合、前記凝集工程と融合工程との間に、凝集粒子分散液中に、芯材のフェライト組成物以外の金属酸化物粒子を分散させた粒子分散液を添加混合して前記凝集粒子に粒子を付着させて付着粒子を形成する工程(付着工程)を設けることが好ましい。
付着工程では、凝集工程で調製された凝集粒子分散液中に、粒子分散液を添加混合して、凝集粒子に粒子を付着させて付着粒子を形成する。添加される粒子は、凝集粒子に凝集粒子から見て新たに追加される粒子に該当するので、本明細書では「追加粒子」と記載する場合がある。追加粒子としては、金属酸化物粒子の他に樹脂粒子等を単独若しくは複数組み合わせたものであってもよい。追加粒子分散液を追加混合する方法としては、特に制限はなく、例えば徐々に連続的に行ってもよいし、複数回に分割して段階的に行ってもよい。
付着工程を設けることにより、シェル構造を形成することができ、金属酸化物を含有する層で芯材組成物の表面露出を低減でき、結果として抵抗の安定性やキャリアの寿命を向上させることができる。
付着工程後の融合工程においては、前記凝集粒子中の樹脂粒子が、その樹脂のガラス転移温度以上の温度条件で溶融し、凝集粒子は不定形から徐々に球形へと変化してゆく。このとき凝集粒子の形状は不定形であるが、合一により球形に近くなってゆく。所望の形状になった段階で加熱を中止し、冷却することによって粒子を形成する。
前記結着樹脂粒子分散液中の樹脂粒子の平均粒径は、1μm以下であることが好ましく、0.01μm以上1μm以下の範囲にあることがより好ましい。平均粒径が1μm以下であると、凝集融合して得る粒子の粒度分布が狭い。平均粒径を上記の範囲に調製することにより、凝集粒子中への芯材組成物や追加粒子の分散を良好にし、粒子間の組成の偏在を抑制することができ、キャリア性能や信頼性のバラツキを低く抑えることができるという利点がある。なお、前記平均粒径は、例えばレーザー回折式粒度分布測定機やコールターカウンターなどで測定することができる。
以上のような材料を用いて、凝集工程では、樹脂粒子分散液、芯材組成物分散液を添加混合して調製された分散液を、撹拌しながら室温から樹脂のガラス転移温度プラス5℃程度の温度範囲で加熱することにより樹脂粒子及び芯材組成物粒子などを凝集させて凝集粒子を形成する。
前記凝集工程においては、互いに混合された前記樹脂粒子分散液、前記芯材組成物粒子分散液の粒子が凝集して凝集粒子を形成する。該凝集粒子はヘテロ凝集等により形成され、凝集粒子の安定化、粒度/粒度分布制御を目的として、凝集粒子とは極性が異なるイオン性界面活性剤や、金属塩等の一価以上の電荷を有する化合物を添加することにより形成される。
前記凝集工程においては、pH変化により凝集粒子を発生させ、粒子の粒径を調整することができる。同時に粒子の凝集を安定に、また迅速に、又は、より狭い粒度分布を持つ凝集粒子を得る方法として、凝集剤を添加してもよい。
凝集剤としては、一価以上の電荷を有する化合物が好ましく、その具体例としては、イオン性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等の水溶性界面活性剤類;塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸等の酸類;塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸アンモニウム、硝酸アルミニウム、硝酸銀、硫酸銅、炭酸ナトリウム等の無機酸の金属塩;酢酸ナトリウム、蟻酸カリウム、シュウ酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム等の脂肪族酸、芳香族酸の金属塩;ナトリウムフェノレート等のフェノール類の金属塩;アミノ酸の金属塩;トリエタノールアミン塩酸塩、アニリン塩酸塩等の脂肪族、芳香族アミン類の無機酸塩類;等が挙げられる。
凝集剤は、より好ましくは、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸アンモニウム、硝酸アルミニウム、硝酸銀、硫酸銅、炭酸ナトリウム等の無機酸の金属塩;酢酸ナトリウム、蟻酸カリウム、シュウ酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム等の脂肪族酸の金属塩;等の無機、有機の金属塩であり、さらに好ましくは硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム等の多価の無機金属塩が凝集粒子の安定性、凝集剤の熱や経時に対する安定性、洗浄時の除去等の点で好適に用いることができる。
これらの凝集剤の添加量は、電荷の価数により異なるが、いずれも少量であって、結着樹脂粒子に対して、一価の場合は3重量%以下、二価の場合は1重量%以下、三価の場合は0.5重量%以下であることが好ましい。凝集剤の量は少ない方が好ましいため、価数の多い化合物が好ましい。
このようにして形成された凝集粒子に、金属酸化物粒子(追加粒子)を追加添加して凝集粒子の表面に金属酸化物粒子被覆層を形成する(付着工程)。次いで、樹脂のガラス転移温度以上に加熱処理して凝集粒子を融合させ、凝集粒子含有液を得、冷却する。次いで、得られた凝集粒子含有液は、遠心分離及び/又は吸引濾過により処理して、凝集粒子を分離し、イオン交換水によって1回から3回洗浄する。その後、凝集粒子を濾別し、イオン交換水によって1回から3回洗浄し、乾燥することによって、金属酸化物を含有する層を有する芯材組成分散粒子を得ることができる。
前記分散粒子は1,000℃以上1,500℃以下の温度で1時間以上24時間以下保持し、焼成を行う。この際、結着樹脂の焼成残りを少なくするために500℃以上1,000℃以下で1時間以上24時間以下焼成し、さらに上記温度で焼成してもよい。
芯材は、粒度分布を狭く作ることが可能だが必要にあわせ焼結粒子を解砕し、粒度調整を実施するため、篩分、分級など粒度調整を実施してもよい。
樹脂を芯材へ被覆形成する場合、代表的な方法としては、樹脂可溶な溶媒に樹脂と導電性粒子などを投入して樹脂被覆層形成用原料溶液とし、芯材の粉末を樹脂被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、樹脂被覆層形成用溶液を芯材の表面に噴霧するスプレー法、芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中で芯材と樹脂被覆層形成用溶液を混合し、次いで溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられるが、本発明のキャリアにおいてはニーダーコーター中で芯材と樹脂被覆層形成用溶液及び磁性粒子を混合し、次いで溶剤を除去するニーダーコーター法において製造される。
通常ニーダーコーター法で製造する場合、キャリア芯材と導電性粒子などを分散した被覆層形成用溶液を混合し、撹拌しながら加熱と減圧をして溶剤を除去する。
前記樹脂被覆層形成用溶液の調製に使用する溶剤は、前記樹脂を溶解するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化物などを使用することができる。
<キャリアの特性>
キャリアの重量平均粒子径は、15μm以上50μm以下が好ましく、25μm以上40μm以下がより好ましい。キャリアの重量平均粒子径が15μm以上であると、キャリア汚染が少ない。また、キャリアの重量平均粒子径が50μm以下であると、撹拌によるトナー劣化を抑制できる。
キャリアの重量平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LS Particle Size Analyzer:LS13 320、ベックマン−コールター社製)を用いて測定する。
得られた粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、小粒径側から体積累積分布を引いて、累積50%となる粒径を体積平均粒子径とする。
また、キャリアの形状係数SF1は、100以上145以下であることが好ましい。高画質と現像剤の攪拌効率を両立するためである。
なお、キャリアの形状係数SF1は、下記式(12)により求められる値を意味する。
式(12):SF1=100π×(ML)2/(4×A)
ここで、MLはキャリア粒子の最大長、Aはキャリア粒子の投影面積である。
なお、キャリア粒子の最大長と投影面積は、スライドガラス上にサンプリングしたキャリア粒子を光学顕微鏡により観察し、ビデオカメラを通じて画像解析装置(LUZEX III、NIRECO社製)に取り込んで、画像解析を行うことにより求めたものである。この際のサンプリング数は100個以上で、その平均値を用いて、式(12)に示す形状係数を求める。
キャリアの飽和磁化は、40emu/g以上であることが好ましく、50emu/g以上であることがより好ましい。
磁気特性の測定としての装置は振動試料型磁気測定装置VSMP10−15(東英工業(株)製)を用いる。測定試料は内径7mm、高さ5mmのセルに詰めて前記装置にセットする。測定は印加磁場を加え、最大1,000エルステッドまで掃引する。ついで、印加磁場を減少させ、記録紙上にヒステリシスカーブを作製する。カーブのデータより、飽和磁化、残留磁化、保持力を求める。本発明においては、飽和磁化は1,000エルステッドの磁場において測定された磁化を示す。
キャリアの体積電気抵抗は、1×107Ω・cm以上1×1015Ω・cm以下の範囲に制御されることが好ましく、1×108Ω・cm以上1×1014Ω・cm以下の範囲であることがより好ましく、1×108Ω・cm以上1×1013Ω・cm以下の範囲であることがさらに好ましい。
キャリアの体積電気抵抗が1×1015Ω・cm以下であると、高抵抗にならず、現像時の現像電極としての働きに優れ、特にベタ画像部でエッジ効果が生じず、ソリッド再現性に優れる。一方、1×107Ω・cm以上であると、抵抗が適度であり、現像剤中のトナー濃度が低下した時に現像ロールからキャリアへ電荷の注入が生じにくく、キャリア自体の現像が生じにくい。
また、キャリアの体積電気抵抗は、芯材の体積電気抵抗と同様にして測定を行う。
(静電荷像現像剤)
本発明の静電荷像現像剤は、少なくとも静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」とともいう。)と、本発明の静電荷像現像用キャリアを含む。以下、本発明の静電荷像現像用現像剤(以下、単に「現像剤」とともいう。)について説明する。
トナーとしては、特に制限はなく、公知のトナーを用いることができる。トナーとしては例えば、結着樹脂と着色剤を有する着色トナーを挙げることができる。その他にも、結着樹脂と赤外線吸収剤を有する赤外線吸収トナーなどを用いることも可能である。
結着樹脂としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;等の単独重合体又は共重合体等が挙げられる。これらの中でも特に代表的な結着樹脂としては、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリスチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン等が挙げられる。
また、結晶性の結着樹脂としては、結晶性を持つ樹脂であれば特に制限はなく、具体的には、結晶性ポリエステル樹脂、結晶性付加重合型樹脂が挙げられるが、定着時の紙への接着性や帯電性、及び、好ましい範囲での融点調整の観点から結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。また、適度な融点をもつ脂肪族系の結晶性ポリエステル樹脂がより好ましい。
前記結晶性付加重合型樹脂としては、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸オレイル、(メタ)アクリル酸ベヘニル等の長鎖アルキル、アルケニルの(メタ)アクリル酸エステルを用いたビニル系樹脂が挙げられる。なお、本明細書において、“(メタ)アクリル”なる記述は、“アクリル”及び“メタクリル”のいずれをも含むことを意味するものである。
一方、前記結晶性ポリエステル樹脂は、酸(ジカルボン酸)成分とアルコール(ジオール)成分とから合成されるものであり、本発明において、「酸由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂の合成前には酸成分であった構成部位を指し、「アルコール由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂の合成前にはアルコール成分であった構成部位を指す。本発明において、「結晶性ポリエステル樹脂」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するものを指す。また、前記結晶性ポリエステル主鎖に対して他成分を共重合したポリマーの場合、他成分が50重量%以下の場合、この共重合体も結晶性ポリエステルと呼ぶ。
−酸由来構成成分−
前記酸由来構成成分は、脂肪族ジカルボン酸が好ましく、直鎖型の脂肪族ジカルボン酸が特に好ましい。直鎖型の脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸など、或いはその低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられる。中でも、炭素数6から10のものが結晶融点や帯電性の観点から好ましい。結晶性を高めるためには、これら直鎖型のジカルボン酸を、酸構成成分の95mol%以上用いることが好ましく、98mol%以上用いることがより好ましい。
その他のモノマーとしては、特に限定はなく、例えば、高分子データハンドブック:基礎編」(高分子学会編:培風館)に記載されているようなモノマー成分である、従来公知の2価又のカルボン酸と、2価のアルコールがある。これらのモノマー成分の具体例としては、2価のカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の二塩基酸、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記酸由来構成成分としては、前述の脂肪族ジカルボン酸由来構成成分のほか、スルホン酸基を持つジカルボン酸由来構成成分等の構成成分が含まれているのが好ましい。
前記スルホン酸基を持つジカルボン酸は、顔料等の色材の分散を良好にできる点で有効である。また樹脂全体を水に乳化或いは懸濁して、トナー母粒子を微粒子に作製する際に、スルホン酸基があれば、後述するように、界面活性剤を使用しないで乳化或いは懸濁が可能である。このようなスルホン基を持つジカルボン酸としては、例えば、2−スルホテレフタル酸ナトリウム塩、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ナトリウム塩等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でも、コストの点で、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩等が好ましい。前記スルホン酸基を持つジカルボン酸の含有量は0.1から2.0mol%であることが好ましく、0.2から1.0mol%であることが好ましい。含有量が2mol%よりも多いと、帯電性が悪化する。尚、本発明において「構成mol%」とは、ポリエステル樹脂における各構成成分(酸由来構成成分、アルコール由来構成成分)をそれぞれ1単位(mol)したときの百分率を指す。
−アルコール由来構成成分−
アルコール構成成分としては脂肪族ジアルコールが望ましく、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ドデカンジオール、1,12−ウンデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール、などが挙げられ、中でも炭素数6から10のものが結晶融点や帯電性の観点から好ましい。結晶性を高めるためには、これら直鎖型のジアルコールを、アルコール構成成分の95mol%以上用いることが好ましく、98mol%以上用いることがより好ましい。
その他の2価のジアルコールとしては、例えば、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド付加物、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、必要に応じて、酸価や水酸基価の調製等の目的で、酢酸、安息香酸等の1価の酸や、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等の1価のアルコールや、ベンゼントリカルボン酸、ナフタレントリカルボン酸等、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステル、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなど3価のアルコールも使用することができる。
前記ポリエステル樹脂は、前記のモノマー成分の中から任意の組み合わせで、例えば、重縮合(化学同人)、高分子実験学(重縮合と重付加:共立出版)やポリエステル樹脂ハンドブック((株)日刊工業新聞社編)等に記載の従来公知の方法を用いて合成することができ、エステル交換法や直接重縮合法等を単独で、又は、組み合わせて用いることができる。前記酸成分とアルコール成分とを反応させる際のmol比(酸成分/アルコール成分)としては、反応条件等によっても異なるため、一概には言えないが、直接重縮合の場合は通常1/1程度、エステル交換法の場合は、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノールなど真空下で脱留可能なモノマー過剰に用いる場合が多い。前記ポリエステル樹脂の製造は、重合温度180℃以上250℃以下の間で行われることが好ましく、また、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合時に発生する水やアルコールを除去しながら反応させることができる。モノマーが、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。重縮合反応においては、溶解補助溶剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪いモノマーが存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪いモノマーとそのモノマーと重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分とともに重縮合させるとよい。
前記ポリエステル樹脂の製造時に使用可能な触媒としては、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属化合物、亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物、亜リン酸化合物、リン酸化合物、及び、アミン化合物等が挙げられ、具体的には、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム、酢酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸マンガン、ナフテン酸マンガン、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、三酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン、トリブチルアンチモン、ギ酸スズ、シュウ酸スズ、テトラフェニルスズ、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ナフテン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニール、酢酸ジルコニール、ステアリン酸ジルコニール、オクチル酸ジルコニール、酸化ゲルマニウム、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、トリエチルアミン、トリフェニルアミン等の化合物が挙げられる。この中で、帯電性の観点からスズ系触媒、チタン系触媒が好ましく、中でも、ジブチルスズオキシドが好ましく用いられる。
結晶性ポリエステル樹脂の融点は50℃以上120℃以下であることが好ましく、60℃以上110℃以下であることがより好ましい。融点が50℃以上であると、トナーの保存性や、定着後のトナー画像の保存性に優れる。また、120℃以下であると、低温定着性に優れる。
なお、本発明において、前記結晶性ポリエステル樹脂の融点の測定には、示差走査熱量計(DSC)を用い、室温から150℃まで毎分10℃の昇温速度で測定を行った時のJIS K−7121に示す入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度として求めることができる。尚、結晶性の樹脂には、複数の融解ピークを示す場合があるが、本発明においては、最大のピークをもって融点とみなす。
着色剤としては、特に制限はないが、例えば、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デユポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・ブルー15:1、ピグメント・ブルー15:3等が挙げられる。
また、トナーは、必要に応じて帯電制御剤を含むことができる。その際、特にカラートナー等に用いる場合には、色調に影響を与えない無色又は淡色の帯電制御剤が好ましい。その帯電制御剤としては、公知のものを使用することができるが、アゾ系金属錯体;サルチル酸若しくはアルキルサルチル酸の金属錯体又は金属塩;等を用いることが好ましい。
また、トナーは、低分子量プロピレン、低分子量ポリエチレン、ワックス等のオフセット防止剤等、その他の公知の成分を含むこともできる。
ワックスは、例えば、次のようなものが挙げられる。パラフィンワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュワックス及びその誘導体、ポリオレフィンワックス及びその誘導体等である。誘導体とは酸化物、ビニルモノマーとの重合体、グラフト変性物を含む。この他に、アルコール、脂肪酸、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、エステルワックス、酸アミド等も利用できる。
また、トナーは、内部に無機酸化物粒子を添加しても良い。無機酸化物粒子としては例えば、SiO2、TiO2、Al23、CuO、ZnO、SnO2、CeO2、Fe23、MgO、BaO、CaO、K2O、Na2O、ZrO2、CaO・SiO2、K2O・(TiO2n、Al23・2SiO2、CaCO3、MgCO3、BaSO4、MgSO4等を例示することができる。これらのうち、特にシリカ粒子、チタニア粒子が好ましい。酸化物粒子の表面は、必ずしも予め疎水化処理されている必要はないが、疎水化処理されていてもよい。疎水化処理されていると、内部の無機粒子の一部がトナー表面に露出した場合においても、帯電の環境依存性及びキャリア汚染性を、効果的に少なく抑えることができる。
疎水化処理は、疎水化処理剤に無機酸化物を浸漬等することにより行うことができる。疎水化処理剤としては特に制限はないが、例えば、シランカップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。これらの中でもシランカップリング剤が好適に挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、クロロシラン、アルコキシシラン、シラザン、特殊シリル化剤のいずれかのタイプを使用することも可能である。
具体的には、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−(ビストリメチルシリル)アセトアミド、N,N−(トリメチルシリル)ウレア、tert−ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシピロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
疎水化処理剤の量としては、無機酸化物粒子の種類等により異なり一概に規定することはできないが、無機酸化物粒子100重量部に対して、5重量部以上50重量部以下が好ましい。
またトナーは、無機酸化物粒子をトナー表面に添加することもできる。トナー表面に添加される無機酸化物粒子としては、上述の無機酸化物粒子を好ましく例示できる。酸化物粒子は、表面が予め疎水化処理されていることが好ましい。この疎水化処理によりトナーの粉体流動性改善のほか、帯電の環境依存性、キャリア汚染性を効果的に少なく抑えることができる。
疎水化処理は、上記と同様に、疎水化処理剤に無機酸化物を浸漬等することにより行うことができる。疎水化処理剤としては特に制限はないが、例えば、シランカップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。これらの中でもシランカップリング剤が好適に挙げられる。
前記シランカップリング剤としては、上述のシランカップリング剤を好ましく例示できる。
疎水化処理剤の量としては、上記と同様に、無機酸化物粒子の種類等により異なり一概に規定することはできないが、無機酸化物粒子100重量部に対して、5重量部以上50重量部以下が好ましい。
トナーの粒度分布については、4μm以下の粒径のトナー粒子が、全トナー粒子数の6個数%以上25個数%以下であることが好ましく、6個数%以上16個数%以下であることがより好ましい。4μm以下の粒径のトナー粒子が6個数%以上であると、微小なドット再現性や粒状性に寄与する粒子数が適度であり、繰り返し複写を行うと現像に寄与しにくい粒子径のトナー数が少なく、現像機中への滞留が生じず、繰り返し複写を行った後でも画質に優れる。一方、25個数%以下であると、トナーの流動性、現像剤の搬送性、及び、現像性に優れる。
また、16μm以上の粒径のトナー粒子は、1.0体積%以下であることが好ましい。1.0体積%以下であると、細線再現性や階調性に優れ、転写時、16μm以上の粗粉トナーがトナー層中に少ないため、感光体と転写体の静電的付着状態を妨げず、転写効率及び画質に優れる。
また、トナーの体積平均粒子径が、5μm以上9μm以下であることが好ましく、高画質を再現するためには上述した粒度分布の好ましい範囲と両立していることがより好ましい。体積平均粒子径5μm以上であると、トナーの流動性に優れ、キャリアから十分な帯電能を付与され、背景部へのカブリが生じず、濃度再現性に優れる。体積平均粒子径が9μm以下であると、先述したキャリアの特性を十分発揮でき、微細なドットの再現性、階調性、粒状性の改善効果が十分得られる。
従って、上述したトナーの粒度分布及び体積平均粒子径を有することによって、写真や絵画、パンフレット等の画像面積の大きく、濃度階調がある原稿の繰り返し複写においても微細な潜像のドットに対して、忠実な再現性が期待できる。
トナーの粒度分布及び体積平均粒子径は、コールターマルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)を用いて測定する。電解液としては、ISOTON−II(ベックマン−コールター社製)を使用する。
具体的な測定法としては、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液2ml中に、測定試料を0.5mg以上50mg以下加え、これを前記電解液100ml以上150ml以下中に添加する。この測定試料を懸濁させた電解液を超音波分散器で約1分間分散処理を行い、前記コールターマルチサイザーII型により、アパーチャー径が100μmのアパーチャーを用いて、粒径が2.0μm以上60μm以下の範囲の粒子の粒度分布を測定する。測定する粒子数は50,000である。
測定された粒度分布を、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小径側から累積分布を描き、累積50%となる粒径を重量平均粒子径と定義する。
トナーの製造方法は、一般に使用されている混練粉砕法や湿式造粒法等を利用することができる。ここで、湿式造粒法としては、懸濁重合法、乳化重合法、乳化重合凝集法、ソープフリー乳化重合法、非水分散重合法、in−situ重合法、界面重合法、乳化分散造粒法、凝集・合一法等を用いることができる。
混練粉砕法で本発明のトナーを作製するには、結着樹脂、必要に応じて着色剤やその他の添加剤等を、ヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機により充分混合し、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダの如き熱混練機を用いて溶融混練して樹脂類を互いに相溶せしめた中に、赤外線吸収剤、酸化防止剤等を分散又は溶解せしめ、冷却固化後粉砕及び分級を行ってトナーを得ることができる。
湿式造粒法によりトナー粒子を作製した場合には、トナー粒子の形状係数は110以上135以下の範囲であることが好ましい。
ここで上記トナー粒子の形状係数は、キャリアの形状係数SF1と同様にして求められる。
本発明の現像剤における、トナーとキャリアの混合重量比としては、トナー重量/キャリア重量が0.01以上0.3以下であることが好ましく、0.03以上0.2以下であることがより好ましい。
本発明の現像剤は、予め現像手段(現像剤収容容器)内に収容される現像剤としてはもちろんのこと、例えばトリクル現像方式などに利用される供給用現像剤としても適用することができる。
(カートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成方法、及び、画像形成装置)
次に、本発明のカートリッジについて説明する。
本発明のカートリッジは、本発明の静電荷像現像用キャリア、又は、本発明の静電荷像現像剤を少なくとも収納したカートリッジである。また、本発明のカートリッジは、画像形成装置に脱着可能であることが好ましい。
画像形成装置において、本発明の現像剤を収納した本発明のカートリッジを利用することにより、温度や湿度等の環境依存性が少ないとともに、被覆樹脂層が剥離しにくく、長期にわたり安定的に画像形成を行うことができる。
ここで、本発明のカートリッジは、特にトリクル現像方式の画像形成装置に用いる場合、本発明の現像剤を収納するカートリッジであってもよいし、トナーを単独で収納するカートリッジと本発明のキャリアを単独で収納するカートリッジとを別体としたものであってもよい。
本発明の画像形成方法は、潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程とを含み、前記現像剤として本発明の静電荷像現像用キャリアを含む。
本発明の画像形成方法としては、上記のような特定のキャリアを用いて現像剤を調製し、それを用いて常用の電子写真複写機により静電像の形成及び現像を行い、得られたトナー像を転写紙上に静電転写した上加熱ローラの温度を一定温度に設定した加熱ローラ定着器により定着して複写画像を形成する。
また、本発明の静電荷像現像用キャリアは、通常の静電荷像現像方式(電子写真方式)の画像形成方法に使用することができる。本発明の画像形成方法は、具体的には、例えば、静電潜像形成工程、現像工程、転写工程、及び、クリーニング工程を含む方法であることが好ましい。前記各工程は、それ自体一般的な工程であり、例えば、特開昭56−40868号公報、特開昭49−91231号公報等に記載されている。なお、本発明の画像形成方法は、それ自体公知のコピー機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施することができる。
前記静電潜像形成工程は、静電潜像担体上に静電潜像を形成する工程である。
前記現像工程は、現像剤担体上の現像剤層により前記静電潜像を現像してトナー画像を形成する工程である。前記現像剤層としては、静電荷像現像用トナー及び前記本発明の静電荷像現像用キャリアを含有する本発明の静電荷像現像剤を含んでいれば特に制限はない。
前記転写工程は、前記トナー画像を被転写体上に転写する工程である。また、転写工程における被転写体としては、中間転写体や紙等の被記録媒体が例示できる。
前記定着工程では、加熱ローラの温度を一定温度に設定した加熱ローラ定着器により、転写紙上に転写したトナー像を定着して複写画像を形成する。
前記クリーニング工程は、静電潜像担持体上に残留する静電荷像現像剤を除去する工程である。
本発明の画像形成方法においては、さらにリサイクル工程をも含む態様が好ましい。前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程において回収した静電荷像現像用トナーを現像剤層に移す工程である。このリサイクル工程を含む態様の画像形成方法は、トナーリサイクルシステムタイプのコピー機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施することができる。また、クリーニング工程を省略し、現像と同時にトナーを回収する態様のリサイクルシステムにも適用することができる。
本発明の画像形成装置は、潜像保持体と、前記潜像保持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記潜像保持体を露光して該潜像保持体上に静電潜像を形成させる露光手段と、トナーを含む現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を前記潜像保持体から被転写体に転写する転写手段とを有し、前記現像剤が本発明の静電荷像現像用キャリアを含む。
従って、本発明の現像剤を用いた本発明の画像形成装置を利用することにより、温度や湿度等の環境依存性が少ないとともに、被覆樹脂層が剥離しにくく、長期にわたり安定的に画像形成を行うことができる。
なお、本発明の画像形成装置は、上記のような潜像保持体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段とを少なくとも含むものであれば特に限定はされないが、その他必要に応じて、定着手段や、クリーニング手段、除電手段等を含んでいていてもよい。
前記転写手段では、中間転写体を用いて2回以上の転写を行ってもよい。また、転写手段における被転写体としては、中間転写体や紙等の被記録媒体が例示できる。
また、現像手段は、本発明の現像剤を収容するための現像剤収容容器と、現像剤を現像剤収容容器に供給するための現像剤供給手段と、現像剤収容容器内に収容されている現像剤の少なくとも一部を、排出するための現像剤排出手段とを備える構成、すなわち、トリクル現像方式を採用してもよい。
ここで、現像剤収容容器に供給するための現像剤(供給用現像剤)は、トナー・キャリア混合重量比が、(トナー重量/キャリア重量)≧2であることが好ましく、(トナー重量/キャリア重量)≧3であることがより好ましく、(トナー重量/キャリア重量)≧5であることがさらに好ましい。
このようなトリクル現像方式を用いる場合、被覆樹脂層が剥離しやすい樹脂被覆キャリアを用いると、もともと現像剤収容容器にある現像剤における被覆樹脂層の剥離が起こるだけでなく、現像剤供給手段から現像剤収容容器に随時供給される現像剤における被覆樹脂層の剥離も起こることとなり、トリクル現像方式を用いない場合に比べて、キャリア樹脂剥がれ粉による影響が大きくなる。
しかし、本発明の現像剤を用いた本発明の画像形成装置を利用すれば、本発明の現像剤における樹脂被覆層が剥離しにくく、トリクル現像方式を用いても上記問題が生じにくいため、環境依存性を少なく抑えつつ、かつ、長期にわたり安定的に画像形成を行うことができる。
前記潜像保持体、及び、前記の各手段は、前記の画像形成方法の各工程で述べた構成を好ましく用いることができる。前記の各手段は、いずれも画像形成装置において公知の手段が利用できる。また、本発明の画像形成装置は、前記した構成以外の手段や装置等を含むものであってもよい。また、本発明の画像形成装置は、前記した手段のうちの複数を同時に行ってもよい。
本発明のプロセスカートリッジは、潜像保持体上に形成された静電潜像をトナーを含む本発明の現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、潜像保持体、前記潜像保持体を帯電させる帯電手段、及び、前記潜像保持体の表面に残存したトナーを除去するクリーニング手段よりなる群から選ばれた少なくとも1種とを備える。また、本発明のプロセスカートリッジは、画像形成装置に脱着可能であることが好ましい。
また、本発明のプロセスカートリッジは、その他必要に応じて、除電手段等のその他の部材を含んでいてもよい。
画像形成装置において、本発明を収容した本発明のプロセスカートリッジを利用することにより、温度や湿度等の環境依存性が少ないとともに、被覆樹脂層が剥離しにくく、長期にわたり安定的に画像形成を行うことができる。
以下、本発明のカートリッジ、画像形成装置、及びプロセスカートリッジについて、図面を用いて具体的に説明する。
図1は、本発明の画像形成装置の好適な一実施形態(第一実施形態)の基本構成を概略的に示す断面図である。図1に示す画像形成装置は、本発明のカートリッジを備えた構成となっている。
図1に示す画像形成装置10は、潜像保持体12、帯電手段14、露光手段16、現像手段18、転写手段20、クリーニング手段22、除電手段24、定着手段26、カートリッジ28を備える。
なお、現像手段18中及びカートリッジ28中に収納される現像剤は、本発明の現像剤である。
また、図1は便宜上、本発明の現像剤を収納した現像手段18及びカートリッジ28を一つずつ備えた構成のみを図示しているが、例えばカラー画像形成装置の場合などは、画像形成装置に応じた数の現像手段18及びカートリッジ28を備えた構成をとることも可能である。
図1示す画像形成装置は、カートリッジ28の着脱が可能な構成を有する画像形成装置であり、カートリッジ28は、現像剤供給管30を通して現像手段18に接続されている。よって画像形成を行う際は、カートリッジ28の中に収納されている本発明の現像剤が、現像剤供給菅30を通して現像手段18に供給されることにより、長期間にわたり、本発明の現像剤を用いた画像を形成することができる。また、カートリッジ28の中に収納されている現像剤が少なくなった場合には、このカートリッジ28を交換することができる。
潜像保持体12の周囲には、潜像保持体12の回転方向(矢印A方向)に沿って順に、潜像保持体12表面を均一に帯電させる帯電手段14、画像情報に応じて潜像保持体12表面に静電潜像を形成させる露光手段16、形成された静電潜像に本発明の現像剤を供給する現像手段18、潜像保持体12表面に当接し潜像保持体12の矢印A方向への回転に伴い矢印B方向に従動回転することができるドラム状の転写手段20、潜像保持体12表面に当接するクリーニング装置22、潜像保持体12表面を除電する除電手段24が配置されている。
潜像保持体12と転写手段20との間は、矢印C方向と反対側から不図示の搬送手段により矢印C方向に搬送される被記録媒体50が挿通可能である。静電潜像保持体12の矢印C方向側には加熱源(不図示)を内蔵した定着手段26が配置され、定着手段26には圧接部32が設けられている。また、静電潜像保持体12と転写手段20との間を通過した被記録媒体50は、この圧接部32を矢印C方向へと挿通可能である。
潜像担持体12としては、例えば感光体又は誘電記録体等が使用できる。
感光体としては例えば、単層構造の感光体又は多層構造の感光体等を用いることができる。また感光体の材質としては、セレンやアモルファスシリコン等の無機感光体や、有機感光体等が考えられる。
帯電手段14としては、例えば、導電性又は半導電性のローラ、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触帯電装置、コロナ放電を利用したコロトロン帯電やスコロトロン帯電などの非接触型の帯電装置等、公知の手段を使用することができる。
露光手段16としては、公知の露光手段の他に、トナー像を被記録媒体表面の所望の位置に形成しうるような信号を形成できるような、従来公知のいずれの手段を使うこともできる。
露光手段としては、例えば、半導体レーザー及び走査装置の組み合わせ、光学系からなるレーザー走査書き込み装置、あるいは、LEDヘッドなど、従来公知の露光手段を使用することができる。均一で、解像度の高い露光像を作るという好ましい態様を実現させるためには、レーザー走査書き込み装置又はLEDヘッドを使うことが好ましい。
転写手段20としては、具体的には例えば、電圧を印加した導電性又は半導電性のローラ、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を用いて、潜像担持体12と被記録媒体50との間に電界を作り、帯電したトナーの粒子からなるトナー像を転写する手段や、コロナ放電を利用したコロトロン帯電器やスコロトロン帯電器などで被記録媒体50の裏面をコロナ帯電して、帯電したトナーの粒子からなるトナー像を転写する手段など、従来公知の手段を使用することができる。
また、転写手段20として、二次転写手段を用いることもできる。すなわち、図示しないが二次転写手段は、トナー像を一旦中間転写体に転写した後、中間転写体から被記録媒体50にトナー像を二次転写する手段である。
クリーニング手段22としては例えば、クリーニングブレード、クリーニングブラシなどが挙げられる。
除電手段24としては例えば、タングステンランプ、LEDなどが挙げられる。
定着手段26としては、例えば加熱ロールと加圧ロールとからなるような加熱加圧によりトナー像を定着する熱定着器や、フラッシュランプ等による光照射によりトナー像を加熱して定着する光定着器などが利用できる。
加熱ロール又は加圧ロール等のロール表面を形成する材料は、トナーを付着させない目的で、例えばトナーに対して離型性の優れた材料、シリコンゴムやフッ素系樹脂などであることが好ましい。この際、シリコーンオイル等の離型性液体を、ロール両面に塗布しないことが望ましい。離型性液体は、定着ラチチュードを広くすることに対しては有効であるが、定着される記録媒体に転移するため、画像形成された印刷物にベトツキが生じ、テープを貼れないことやマジックで文字を書き加えられないこと等の問題が生じる可能性がある。この問題は、被記録媒体としてOHPなどのフィルムを用いる場合により顕著となる。また、離型性液体は、定着画像表面の荒さをスムーズにすることが困難であるため、記録媒体としてOHPフィルムを用いる場合に特に重要となる画像透明性が低下する要因にもなる場合がある。しかし、トナーにワックス(オフセット防止剤)を含む場合には、十分な定着ラチチュードを示すので、定着ロールに塗布されるシリコーンオイル等の離型性液体は必要無い。
被記録媒体50としては、特に制限はなく、普通紙や光沢紙等をはじめとする従来公知のものが利用できる。また被記録媒体は、基材と基材上に形成された受像層を有するものを利用することもできる。
次に、画像形成装置10を用いた画像形成について説明する。まず、潜像保持体12の矢印A方向への回転に伴い、帯電手段14により潜像保持体12表面を帯電し、帯電された潜像保持体12表面に露光手段16により画像情報に応じた静電潜像を形成し、この静電潜像が形成された潜像保持体12表面に、静電潜像の色情報に応じて現像手段18から本発明の現像剤Pを供給することによりトナー像を形成する。
次に、潜像保持体12表面に形成されたトナー像は、潜像保持体12の矢印A方向への回転に伴い、潜像保持体12と転写手段20との接触部に移動する。この際、接触部を、被記録媒体50が、不図示の用紙搬送ロールにより矢印C方向に挿通され、潜像保持体12と転写手段20との間に印加された電圧により、潜像保持体12表面に形成されたトナー像が接触部にて被記録媒体50表面に転写される。
トナー像を転写手段20に転写した後の潜像保持体12の表面は、クリーニング手段22のクリーニングブレードによって残留しているトナーが除去され、除電手段24により除電される。
このようにしてトナー像がその表面に転写された被記録媒体50は、定着手段26の圧接部32に搬送され、圧接部32を通過する際に、内蔵された加熱源(不図示)によってその圧接部32の表面が加熱された定着手段26によって加熱される。この際、トナー像が被記録媒体50表面に定着されることにより画像が形成される。
図2は、本発明の画像形成装置の他の好適な一実施形態(第二実施形態)の基本構成を概略的に示す断面図である。
図2に示す画像形成装置は、本発明の現像剤(供給用現像剤)を、現像手段内にある現像剤収容容器へ現像剤供給手段により適宜供給すると共に、現像剤収容容器に収容されている現像剤の少なくとも一部を、現像剤排出手段により適宜排出する、トリクル現像方式を採用した構成となっている。
本発明の実施形態に係る画像形成装置100は、図2に示すように、矢印aで示すように、時計回り方向に回転する潜像保持体110と、潜像保持体110の上方に、潜像保持体110に相対して設けられ、潜像保持体110の表面を負に帯電させる帯電手段120と、帯電手段120により帯電した潜像保持体110の表面に、現像剤(トナー)で形成しようとする画像を書き込んで静電潜像を形成する露光手段130と、露光手段130の下流側に設けられ、露光手段130で形成された静電潜像にトナーを付着させて潜像保持体110の表面にトナー像を形成する現像手段140と、潜像保持体110に当接しつつ矢印bで示す方向に走行するとともに、潜像保持体110の表面に形成されたトナー像を転写するエンドレスベルト状の中間転写ベルト150と、中間転写ベルト150にトナー像を転写した後の潜像保持体110の表面を除電して、表面に残った転写残トナーを除去し易くする除電手段160と、潜像保持体110の表面を清掃して前記転写残トナーを除去するクリーニング手段170とを備える。
帯電手段120、露光手段130、現像手段140、中間転写ベルト150、除電手段160、及びクリーニング手段170は、潜像保持体110を囲む円周上に、時計周り方向に配設されている。
中間転写ベルト150は、内側から、張架ローラ150A、150B、バックアップローラ150C、及び駆動ローラ150Dによって緊張され、保持されるとともに、駆動ローラ150Dの回転に伴い矢印bの方向に駆動される。中間転写ベルト150の内側における潜像保持体110に相対する位置には、中間転写ベルト150を正に帯電させて中間転写ベルト150の外側の面に静電潜像保持体110上のトナーを吸着させる1次転写ローラ151が設けられている。中間転写ベルト150の下方における外側には、被記録媒体Pを正に帯電させて中間転写ベルト150に押圧することにより、中間転写ベルト150に形成されたトナー像を被記録媒体P上に転写する2次転写ローラ152がバックアップローラ150Cに対向して設けられている。
中間転写ベルト150の下方には、さらに、2次転写ローラ152に被記録媒体Pを供給する記録媒体供給装置153と、2次転写ローラ152においてトナー像が形成された被記録媒体Pを搬送しつつ、前記トナー像を定着させる定着手段180とが設けられている。
被記録媒体供給装置153は、1対の搬送ローラ153Aと、搬送ローラ153Aで搬送される被記録媒体Pを2次転写ローラ152に向かって誘導する誘導スロープ153Bと、を備える。一方、定着手段180は、2次転写ローラ152によってトナー像が転写された記録媒体Pを加熱・押圧することにより、前記トナー像の定着を行う1対の熱ローラである定着ローラ181と、定着ローラ181に向かって被記録媒体Pを搬送する搬送コンベア182とを有する。
被記録媒体Pは、被記録媒体供給装置153と2次転写ローラ152と定着手段180とにより、矢印cで示す方向に搬送される。
中間転写ベルト150の近傍には、さらに、2次転写ローラ152において被記録媒体Pにトナー像を転写した後に中間転写ベルト150に残ったトナーを除去するクリーニングブレードを有する中間転写体クリーニング手段154が設けられている。
以下、現像手段140について詳細に説明する。
現像手段140は、現像領域で潜像保持体110に対向して配置されており、例えば、負(−)極性に帯電するトナー及び正(+)極性に帯電するキャリアからなる2成分現像剤を収容する現像剤収容容器141を有している。現像剤収容容器141は、現像剤収容容器本体141Aとその上端を塞ぐ現像剤収容容器カバー141Bとを有している。
現像剤収容容器本体141Aはその内側に、現像ロール142を収容する現像ロール室142Aを有しており、現像ロール室142Aに隣接して、第1撹拌室143Aと第1攪拌室143Aに隣接する第2撹拌室144Aとを有している。また、現像ロール室142A内には、現像剤収容容器カバー141Bが現像剤収容容器本体141Aに装着された時に現像ロール142表面の現像剤の層厚を規制するための層厚規制部材145が設けられている。
第1撹拌室143Aと第2撹拌室144Aとの間には仕切り壁141Cにより仕切られており、図示しないが、第1撹拌室143A及び第2撹拌室144Aは仕切り壁141Cの長手方向(現像装置長手方向)両端部に連通部が設けられて連通しており、第1撹拌室143A及び第2撹拌室144Aによって循環撹拌室(143A+144A)を構成している。
そして、現像ロール室142Aには、静電潜像保持体110と対向するように現像ロール142が配置されている。現像ロール142は、図示しないが磁性を有する磁性ロール(固定磁石)の外側にスリーブを設けたものである。第1撹拌室143Aの現像剤は磁性ロールの磁力によって現像ロール142の表面上に吸着されて、現像領域に搬送される。また、現像ロール142はそのロール軸が現像剤収容容器本体141Aに回転自由に支持されている。ここで、現像ロール142と潜像保持体110とは、逆方向に回転し、対向部において、現像ロール142の表面上に吸着された現像剤は、潜像保持体110の進行方向と同方向から現像領域に搬送するようにしている。
また、現像ロール142のスリーブには、不図示のバイアス電源が接続され、所定の現像バイアスが印加されるようになっている(本実施の形態では、現像領域に交番電界が印加されるように、直流成分(DC)に交流成分(AC)を重畳したバイアスを印加)。
第1撹拌室143A及び第2撹拌室144Aには現像剤を撹拌しながら搬送する第1撹拌部材143(撹拌・搬送部材)及び第2撹拌部材144(撹拌・搬送部材)が配置されている。第1撹拌部材143は、現像ロール142の軸方向に伸びる第1回転軸と、回転軸の外周に螺旋状に固定された撹拌搬送羽根(突起部)とで構成されている。また、第2攪拌部材144も、同様に、第2回転軸及び撹拌搬送羽根(突起部)とで構成されている。なお、撹拌部材は現像剤収容容器本体141Aに回転自由に支持されている。そして、第1撹拌部材143及び第2撹拌部材144は、その回転によって、第1撹拌室143A及び第2撹拌室144Aの中の現像剤は互いに逆方向に搬送されるように配設されている。
そして、第2撹拌室144Aの長手方向一端側には、供給用トナー及び供給用キャリアを含む供給用現像剤を第2撹拌室144Aへ適宜供給するための現像剤供給手段146の一端が連結されており、現像剤供給手段146の他端には、供給用現像剤を収容している現像剤カートリッジ147が連結されている。また、第2撹拌室144Aの長手方向一端側には、収容している現像剤を適宜排出するための現像剤排出手段148の一端も連結されており、現像剤排出手段148の他端には図示しないが排出した現像剤を回収する現像剤回収容と連結されている。
このように現像手段140は、現像剤カートリッジ147から現像剤供給手段146を経て供給用現像剤を現像手段140(第2撹拌室144A)へ適宜供給し、古くなった現像剤を現像剤排出手段148から適宜排出する、所謂トリクル現像方式(現像剤の帯電性能の低下を防止して現像剤交換のインターバルを延ばすために、現像装置内に供給用現像剤(トリクル現像剤)を徐々に供給する一方で、過剰になった(劣化したキャリアを多く含む)劣化現像剤を排出しながら現像を行う現像方式である)を採用している。
ここで本実施形態では、本発明の供給用現像剤を収容している現像剤カートリッジ147を用いる構成を一例として挙げたが、現像剤カートリッジ147は、供給用トナーを単独で収納するカートリッジと本発明の供給用キャリアを単独で収納するカートリッジとを別体としたものであってもよい。
次に、クリーニング手段170について詳細に説明する。クリーニング手段170は、ハウジング171と、ハウジング171から突出するように配設されるクリーニングブレード172を含んで構成されている。クリーニングブレード172は、潜像保持体110の回転軸の延在方向に延びる板状のものであって、潜像保持体110における1次転写ローラ151による転写位置より回転方向(矢印a方向)下流側で且つ、除電手段160によって除電される位置より回転方向下流側に、先端部(以下、エッジ部という)が圧接されるように設けられている。
クリーニングブレード172は、潜像保持体110が所定方向(矢印a方向)に回転することによって、1次転写ローラ151により被記録媒体Pに転写されずに潜像保持体110上に担持されている未転写残留トナーや被記録媒体Pの紙粉等の異物を、堰き止めて潜像保持体110から除去する。
また、ハウジング171内の底部には、搬送部材173が配設されており、ハウジング171における搬送部材173の搬送方向下流側にはクリーニングブレード172により除去されたトナー粒子(現像剤)を現像手段140へ供給するための供給搬送手段174の一端が連結されている。そして、供給搬送手段174の他端は現像剤供給手段146へ合流するように連結されている。
このようにクリーニング手段170は、ハウジング171の底部に設けられた搬送部材173の回転に伴い、供給搬送手段174を通じて未転写残留トナー粒子を現像手段140(第2撹拌室144A)へと搬送し、収容されている現像剤(トナー)とともに撹拌搬送して再利用するトナーリクレームを採用している。
図3は、本発明の画像形成装置のさらに他の好適な一実施形態(第三実施形態)の基本構成を概略的に示す断面図である。
図3に示す画像形成装置は、本発明のプロセスカートリッジを備えた構成となっている。
図3に示す画像形成装置200は、画像形成装置本体(図示せず)に脱着可能に配設されるプロセスカートリッジ210と、露光手段216と、転写手段220と、定着手段226とを備えている。
プロセスカートリッジ210は、静電潜像形成のための開口部211Aが設けられた筐体211内に潜像保持体212と共に、その周囲に帯電手段214、現像手段218、及びクリーニング手段222を取り付けレール(図示せず)により組み合わせて一体化したものである。なお、プロセスカートリッジ210は、これに限られず、現像手段218と、潜像保持体212、帯電手段214、及び、クリーニング手段222からなる群から選ばれる少なくとも一種と、を備えていればよい。
一方、露光手段216は、プロセスカートリッジ210の筐体211の開口部211Aから潜像保持体212に潜像形成可能な位置に配置されている。また、転写手段220は潜像保持体212に対向する位置に配置されている。
潜像保持体212、帯電手段214、露光手段216、現像手段218、転写手段220、クリーニング手段222、定着手段226、及び、被記録媒体250における個々の詳細については、上記図1の画像形成装置10における潜像保持体12、帯電手段14、露光手段16、現像手段18、転写手段20、クリーニング手段22、定着手段26、及び、被記録媒体50と同様である。
また、図3の画像形成装置200を用いた画像形成についても、上記図1の画像形成装置10を用いた画像形成と同様である。
以下、実施例を交えて本発明を詳細に説明するが、以下に示す実施例のみに本発明は限定されるものではない。
〔測定方法〕
<BET比表面積の測定方法>
測定装置として、BET比表面積計(SA3100、ベックマン−コールター社製)を用い、測定試料を0.1g精秤し、サンプルチューブに入れた後、脱ガス処理し、多点法の自動測定により得られた数値を、芯材のBET比表面積Aとした。
<芯材の体積平均粒子径の測定方法>
芯材の体積平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LS Particle Size Analyzer:LS13 320、ベックマン−コールター社製)を用いて測定した。得られた粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、小粒径側から体積累積分布を引いて、累積50%となる粒径を体積平均粒子径とした。
<芯材の真比重の測定方法>
また、芯材の真比重は、ルシャテリエ比重瓶を用い、JIS−K−0061の5−2−1に準拠して真比重を測定した。操作は次の通りに行った。
(1)ルシャテリエ比重瓶に約250mlのエチルアルコールを入れ、メニスカスが目盛りの位置にくるように調整する。
(2)比重瓶を恒温水槽に浸し、液温が20.0±0.2℃になったとき、メニスカスの位置を比重瓶の目盛りで正確に読み取る。(精度0.025mlとする)
(3)試料を約100g量り取り、その質量をW(g)とする。
(4)量り取った試料を比重瓶に入れ泡を除く。
(5)比重瓶を恒温水槽に浸し、液温が20.0±0.2℃になったとき、メニスカスの位置を比重瓶の目盛りで正確に読み取る。(精度0.025mlとする)
(6)次式により真比重を算出する。
D=W/(L2−L1)
ρ=D/0.9982
式中、Dは試料の密度(20℃)(g/cm3)、ρは試料の真比重(20℃)、Wは試料の見かけの質量(g)、L1は試料を比重瓶に入れる前のメニスカスの読み(20℃)(ml)、L2は試料を比重瓶に入れた後のメニスカスの読み(20℃)(ml)、0.9982は20℃における水の密度(g/cm3)である。
<磁気特性の測定方法>
磁気特性の測定としての装置は、振動試料型磁気測定装置VSMP10−15(東英工業(株)製)を用いた。測定試料は内径7mm、高さ5mmのセルに詰めて前記装置にセットする。測定は印加磁場を加え、最大3,000エルステッドまで掃引した。ついで、印加磁場を減少させ、記録紙上にヒステリシスカーブを作製した。カーブのデータより、飽和磁化、残留磁化、保持力を求めた。本発明においては、飽和磁化は1,000エルステッドの磁場において測定された磁化を示す。
<芯材、導電粉、キャリアの体積電気抵抗の測定方法>
上記芯材、導電粉、キャリアの体積電気抵抗(Ω・cm)は以下のように測定した。なお、測定環境は、温度20℃、湿度50%RHとした。
20cm2の電極板を配した円形の治具の表面に、測定対象物を1mm以上3mm以下程度の厚さになるように平坦に載せ、層を形成した。この上に前記同様の20cm2の電極板を載せ、層を挟み込んだ。測定対象物間の空隙をなくすため、層上に載置した電極板の上に4kgの荷重をかけてから層の厚み(cm)を測定した。層の上下の両電極には、エレクトロメーター及び高圧電源発生装置に接続されている。両電極に電界が103.8V/cmとなるように高電圧を印加し、このとき流れた電流値(A)を読み取ることにより、測定対象物の体積電気抵抗(Ω・cm)を計算した。測定対象物の体積電気抵抗(Ω・cm)の計算式は、下記式に示す通りである。
式:R=E×20/(I−I0)/L
上記式中、Rは測定対象物の体積電気抵抗(Ω・cm)、Eは印加電圧(V)、Iは電流値(A)、I0は印加電圧0Vにおける電流値(A)、Lは層の厚み(cm)をそれぞれ表す。また、20の係数は、電極板の面積(cm2)を表す。
<導電粉及び樹脂粒子における体積平均粒子径の測定方法>
導電粉及び樹脂粒子の体積平均粒子径は、レーザー回析式粒度分布測定装置(LA−700:(株)堀場製作所製)を用いて測定した。
測定法としては、まず、分散液となっている状態の試料を固形分で約2gになるように調整し、これにイオン交換水を添加して、約40mlにした。これをセルに適当な濃度になるまで投入し、2分待って、セル内の濃度がほぼ安定になったところで測定した。
得られたチャンネルごとの体積平均粒子径を、体積平均粒子径の小さい方から累積し、累積50%になったところを体積平均粒子径とする。
<被覆率の測定方法>
被覆樹脂層の被覆率は、XPS測定により求めた。XPS測定装置としては、日本電子(株)製、JPS80を使用し、測定は、X線源としてMgKα線を用い、加速電圧を10kV、エミッション電流を20mVに設定して実施し、被覆樹脂層を構成する主たる元素(通常は炭素)と、芯材を構成する主たる元素(例えば芯材がマグネタイトなどの酸化鉄系材料の場合は鉄及び酸素)とについて測定した(以下、芯材が、酸化鉄系である場合を前提に説明する)。ここで、炭素についてはC1sスペクトルを、鉄についてはFe2p3/2スペクトルを、酸素についてはO1sスペクトルを測定した。
これらの各々の元素のスペクトルに基づいて、炭素、酸素、鉄の元素個数(AC+AO+AFe)を求めて、得られた炭素、酸素、鉄の元素個数比率より下記式(9)に基づいて、芯材単体、及び、芯材を被覆樹脂層で被覆した後(キャリア)の鉄量率を求め、続いて、下記式(10)により被覆率を求めた。
式(9):鉄量率(atomic%)=AFe/(AC+AO+AFe)×100
式(10):被覆率(%)={1−(キャリアの鉄量率)/(芯材単体の鉄量率)}×100
なお、芯材として、酸化鉄系以外の材料を用いる場合には、酸素の他に芯材を構成する金属元素のスペクトルを測定し、上述の式(9)や式(10)に準じて同様の計算を行えば被覆率を求めることができる。
被覆樹脂層の平均膜厚(μm)は、芯材の真比重をρ(無次元)、芯材の体積平均粒子径をd(μm)、被覆樹脂層の平均比重をρC、芯材100重量部に対する被覆樹脂層の全含有量をWC(重量部)とすると、下記式(11)以下のようにして求めることができる。
式(11):平均膜厚(μm)={[キャリア1個当たりの被覆樹脂量(導電粉等の添加物もすべて含む)/キャリア1個当たりの表面積]}/被覆樹脂層の平均比重
={[4/3π・(d/2)3・ρ・WC]/[4π・(d/2)2]}/ρC
=(1/6)・(d・ρ・WC/ρC
<キャリアの体積平均粒子径及びトナーの体積平均粒子径の測定方法>
キャリアの体積平均粒子径は、電子顕微鏡(SEM)を用いて行った。より具体的にはSEMにより画像を得た後、粒子一つにつき粒子の径(最長部分)r1を測定した。これを100個につき測定した後、r1〜r100を球径換算し体積を求め、1番目から100番目までの50%となったときの値を体積平均粒子径とした。
トナーの体積平均粒子径は、コールターマルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)を用いて測定した。電解液としては、ISOTON−II(ベックマン−コールター社製)を使用した。
測定法としては、まず、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液2ml中に、測定試料を0.5mg以上50mg以下加え、これを前記電解液100ml以上150ml以下中に添加した。この測定試料を懸濁させた電解液を超音波分散器で約1分間分散処理を行い、前記コールターマルチサイザーII型により、アパーチャー径が100μmのアパーチャーを用いて、粒径が2.0μm以上60μm以下の範囲の粒子の粒度分布を測定した。測定する粒子数は50,000とした。
測定された粒度分布を、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、重量又は体積について小径側から累積分布を描き、累積50%となる粒径をそれぞれ重平均粒子径又は体積平均粒子径と定義する。
<形状係数の求め方>
形状係数SF1は、下記式(11)により求めた。
式(11):SF1=100π×(ML)2/(4×A)
ここで、MLは粒子の最大長、Aは粒子の投影面積である。粒子の最大長と投影面積は、スライドガラス上にサンプリングした粒子を光学顕微鏡により観察し、ビデオカメラを通じて画像解析装置(LUZEX III、NIRECO社製)に取り込んで、画像解析を行うことにより求めた。この際のサンプリング数は100個以上で、その平均値を用いて、式(11)に示す形状係数を求めた。
<樹脂のガラス転移点の測定方法>
樹脂のガラス転移点(Tg)は、示差走査熱量計((株)島津製作所製:DSC−50)を用い、昇温速度3℃/分の条件下で測定を行い、吸熱部におけるベースラインと立ち上がりラインとの延長線の交点の温度をガラス転移点とした。
〔芯材の製造〕
<芯材Aの製造>
芯材Aの製造は、以下のようにして行った。
Fe23 70重量部、MnO2 22重量部、Mg(OH)2 7重量部を混合し、湿式ボールミルで30時間混合/粉砕してスプレードライヤにより造粒、乾燥した後、ロータリーキルンを用いて850℃、7時間の仮焼成1を行った。こうして得られた仮焼成物1を、湿式ボールミルで2時間粉砕し、体積平均粒径を2.1μmとした後、さらにスプレードライヤにより造粒、乾燥した後、ロータリーキルンを用いて910℃、6時間の仮焼成2を行った。こうして得られた仮焼成物2を、湿式ボールミルで5時間粉砕し、体積平均粒径を5.4μmとした後、さらにスプレードライヤにより造粒、乾燥した後、電気炉を用いて温度905℃で12時間の本焼成を行った。解砕工程、分級工程を経て体積平均粒径34.0μmの芯材Aを調製した。
得られた芯材Aの特性は、表1の通りである。
<芯材Bの製造>
芯材Bの製造は、以下のようにして行った。
Fe23 70重量部、MnO2 22重量部、Mg(OH)2 7重量部を混合し、湿式ボールミルで30時間混合/粉砕してスプレードライヤにより造粒、乾燥した後、ロータリーキルンを用いて850℃、7時間の仮焼成1を行った。こうして得られた仮焼成物1を、湿式ボールミルで2.5時間粉砕し、体積平均粒径を2.0μmとした後、さらにスプレードライヤにより造粒、乾燥した後、ロータリーキルンを用いて910℃、5時間の仮焼成2を行った。こうして得られた仮焼成物2を、湿式ボールミルで6時間粉砕し、体積平均粒径を4.9μmとした後、さらにスプレードライヤにより造粒、乾燥した後、電気炉を用いて温度950℃で17時間の本焼成を行った。解砕工程、分級工程を経て体積平均粒径36.0μmの芯材Bを調製した。BET=0.111であった。
<芯材Cの製造>
芯材Cを製造するにあたり、下記の各分散液を作製した。
〔樹脂粒子分散液(1)の調製〕
・スチレン 280部
・n−ブチルアクリレート 100部
・アクリル酸 8部
・ドデシルメルカプタン 10部
・四臭化炭素 3部
上記各成分を予め混合して溶解し、溶液を調製しておき、非イオン性界面活性剤(三洋化成工業(株)製:ノボニール)7部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンRK)10部をイオン交換水520部に溶解した界面活性剤溶液と、前記溶液とをフラスコに投入し、乳化した。10分間ゆっくりと混合しながらさらに、過硫酸アンモニウム3部を溶解したイオン交換水70部を投入し、窒素置換を行った。その後、フラスコを撹拌しながらオイルバスで内容物が70℃になるまで加熱し、6時間そのまま乳化重合を継続した。その後、この反応液を室温まで冷却して、平均粒径が150nm、ガラス転移点が58.0℃、質量平均分子量Mwが25,000、Mw/Mnが2.5の樹脂粒子分散液(1)を得た。
〔カルボン酸基含有分散剤液(1)の調製〕
スチレン−マレイン酸共重合体GSM601((株)岐阜セラツク製造所製Mw=6,000、酸価=470)にアンモニア水を添加し加熱しながら溶解し、樹脂濃度が30%になるように調整しカルボン酸基含有分散剤液(1)を得た。
〔キャリア芯材組成物分散液(1)の調製〕
・Fe23 75重量部
・MnO2 22重量部
・MgO 3重量部
を混合し、湿式ボールミルで30時間混合/粉砕してスプレードライヤにより造粒、乾燥した後、ロータリーキルンを用いて850℃、7時間の仮焼成1を行った。
この混合物に以下を追加して、これを湿式ボールミルで6時間粉砕を行い、キャリア芯材組成物分散液(1)を調製した。
・アニオン性界面活性剤(ネオゲンRK:第一工業製薬(株)製) 10部
・イオン交換水 200部
キャリア芯材組成物分散液(1)の粒度分布を測定すると、平均粒径500nmであった。
〔金属酸化物分散液(1)の調製〕
・アルミナ 100部
・アニオン界面活性剤(竹本油脂(株)製:パイオニンA−45−D) 2部
・イオン交換水 200部
上記を混合溶解し、湿式ボールミルで24時間粉砕した。その結果平均粒径300nmの金属酸化物粒子(アルミナ)を分散させてなる金属酸化物分散液(1)を得た。
〔金属酸化物分散樹脂粒子分散液(1)〕
上記で得られた金属酸化物分散液(1)を用いて、金属酸化物分散樹脂粒子分散液(1)を下記の様にして作製した。
・樹脂粒子分散液(1) 150部
・金属酸化物分散液(1) 500部
・カチオン性界面活性剤(花王(株)製:サニゾールB50) 3部
・カルボン酸基含有分散剤液(1)5部
・イオン交換水 600部
上記各成分を丸底ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて混合分散させた後、加熱用オイルバスで撹拌しながら加熱し、凝集温度を62℃まで加熱し30分保持して凝集粒子を形成した。得られた凝集粒子の一部を光学顕微鏡で観察したところ、凝集粒子の平均粒径は約6μmの金属酸化物分散粒子液(1)を得た。
〔芯材Cの作製〕
・樹脂粒子分散液(1) 150部
・キャリア芯材組成物分散液(1) 800部
・カチオン性界面活性剤(花王(株)製:サニゾールB50) 3部
・カルボン酸基含有分散剤液(1) 5部
・イオン交換水 600部
上記各成分を丸底ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて混合分散させた後、加熱用オイルバスで撹拌しながら加熱し、凝集温度を74℃まで加熱し30分保持して凝集粒子を形成した。得られた凝集粒子の一部を光学顕微鏡で観察したところ、凝集粒子の平均粒径は約35μmであった。この凝集粒子液に、金属酸化物分散樹脂粒子分散液(1)を緩やかに50部追加し、さらに85℃で30分間加熱撹拌し、凝集粒子液(C)を得た。得られた凝集粒子液中の凝集粒子の平均粒径は約38μmであった。
次いで、アンモニア水でpHを9.0に調整した後、密閉し105℃まで加熱し、7時間そのまま保持して凝集粒子を融合させた。その後、冷却し、濾過、イオン交換水で充分洗浄した。これを真空乾燥機で乾燥させ、その後900℃無酸素状態で2時間焼成後、1200℃で4時間焼成し、アルミナ含有層を有する芯材Cを得た。コールターカウンターで融合粒子の体積平均粒径D50vを測定したところ33.0μmであった。また、磁性粒子におけるアルミナの含有割合は0.1であり、アルミナ含有層におけるアルミナの含有割合は85%であった。
なお、上記の磁性粒子におけるアルミナの含有割合、及び、アルミナ含有層におけるアルミナの含有割合は、X線マイクロアナライザEPMA−1610((株)島津製作所製)を用いて、加速電圧15kV、試料電流0.1μA、照射範囲φ100μm(電子ビーム径)の条件で、磁性粒子部、及び、アルミナ含有層にそれぞれ照射させて測定を行うことによって求めた。
<芯材Dの製造>
芯材Dを製造するにあたり、下記の分散液を作製した。
〔金属酸化物分散液(2)の調製〕
・二酸化マンガン 100部
・アニオン界面活性剤(竹本油脂(株)製:パイオニンA−45−D) 2部
・イオン交換水 200部
上記を混合溶解し、湿式ボールミルで24時間粉砕した。その結果平均粒径300nmの金属酸化物粒子(アルミナ)を分散させてなる金属酸化物分散液(2)を得た。
〔金属酸化物分散樹脂粒子分散液(2)の調製〕
上記で得られた金属酸化物分散液(2)を用いて金属酸化物分散樹脂粒子分散液(2)を下記の様にして作製した。
・樹脂粒子分散液(1) 150部
・金属酸化物分散液(2) 500部
・カチオン性界面活性剤(花王(株)製:サニゾールB50) 3部
・カルボン酸基含有分散剤液(1) 5部
・イオン交換水 600部
上記各成分を丸底ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて混合分散させた後、加熱用オイルバスで撹拌しながら加熱し、凝集温度を62℃まで加熱し、30分保持して凝集粒子を形成した。得られた凝集粒子の一部を光学顕微鏡で観察したところ、凝集粒子の平均粒径は約6μmの金属酸化物分散樹脂粒子分散液(2)を得た。
〔芯材Dの作製〕
・樹脂粒子分散液(1) 150部
・キャリア芯材組成物分散液(1) 800部
・カチオン性界面活性剤(花王(株)製:サニゾールB50) 3部
・カルボン酸基含有分散剤液(1) 5部
・イオン交換水 600部
上記各成分を丸底ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて混合分散させた後、加熱用オイルバスで撹拌しながら加熱し、凝集温度を74℃まで加熱し、30分保持して凝集粒子を形成した。得られた凝集粒子の一部を光学顕微鏡で観察したところ、凝集粒子の平均粒径は約35μmであった。この凝集粒子液に、金属酸化物分散樹脂粒子分散液(2)を緩やかに50部追加し、さらに85℃で30分間加熱撹拌し、凝集粒子液(D)を得た。得られた凝集粒子液中の凝集粒子の平均粒径は約38μmであった。
次いで、アンモニア水でpHを9.0に調整した後、密閉し105℃まで加熱し、7時間そのまま保持して凝集粒子を融合させた。その後、冷却し、濾過、イオン交換水で充分洗浄した。これを真空乾燥機で乾燥させ、その後900℃無酸素状態で2時間焼成後、1200℃で4時間焼成し、二酸化マンガン含有層を有する芯材Dを得た。コールターカウンターで融合粒子の体積平均粒径D50vを測定したところ33.0μmであった。また、磁性粒子における二酸化マンガンの含有割合は0.1であり、アルミナ含有層における二酸化マンガンの含有割合は54%であった。
Figure 2009151189
〔被覆樹脂層の材料となる樹脂の製造〕
被覆樹脂層の樹脂の製造は、以下のようにして行った。
<樹脂Aの製造>
・ビスフェノキシエタノールフルオレン(BPEF) 219.3重量部
・テレフタル酸 74.75重量部
・無水トリメリット酸 9.60重量部
・ドデシルベンゼンスルホン酸(DBSA) 0.65重量部
を加え120℃で6時間撹拌する。さらに
・ベンゼン 300重量部
を加え、60℃に加熱しで6時間振とうし重合した。
反応物をメチルエチルケトンに溶解し、7倍量のヘキサンで沈殿させ、樹脂Aを得た。
得られた樹脂は、重量平均分子量Mw=58,000、ガラス転移温度111℃、体積電気抵抗1016であった。
得られた樹脂Aの組成及び特性は、表2の通りである。
<樹脂Bの製造>
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物(BPA−2EO) 126.6重量部
・ビスフェノールフルオレン(BPF) 35.0重量部
・テレフタル酸 8.31重量部
・シクロヘキサンジカルボン酸 68.8重量部
・無水トリメリット酸 9.6重量部
・ドデシルベンゼンスルホン酸(DBSA) 0.65重量部
を加え120℃で6時間撹拌して重縮合樹脂を得た。
上記のようにして得られた樹脂108.8重量部に対し、さらに、
・メタクリル酸メチル 140.1重量部
・メタクリル酸ジメチルアミノエチル(ジメチルアミノエチルメタクリレート) 1.5重量部
・ベンゼン 300重量部
・アゾビスイソブチロニトリル 0.6重量部
を混合し、60℃に加熱しで6時間振とうし重合した。
反応物をメチルエチルケトンに溶解し、7倍量のヘキサンで沈殿させ、樹脂Bを得た。
得られた樹脂は、重量平均分子量Mw=96,000、ガラス転移温度112℃、体積電気抵抗1016であった。
得られた樹脂Bの組成及び特性は、表2の通りである。
<樹脂Cの製造>
・ビスクレゾールフルオレン(BCF) 189.3重量部
・テレフタル酸 75.0重量部
・ドデシルベンゼンスルホン酸(DBSA) 0.65重量部
を加え120℃で6時間撹拌して重縮合樹脂を得た。
上記のようにして得られた樹脂108.8重量部に対し、さらに、
・メタクリル酸メチル 90重量部
・パーフルオロオクチルエチルメタクリレート−メチルメタクレート 7.0重量部
・ベンゼン 300重量部
・アゾビスイソブチロニトリル 0.6重量部
を混合し、60℃に加熱して6時間振とうし重合した。反応物をメチルエチルケトンに溶解し、7倍量のヘキサンで沈殿させ、樹脂Cを得た。得られた樹脂は、重量平均分子量Mw=98,000、ガラス転移温度102℃、体積電気抵抗1016であった。
得られた樹脂Cの組成及び特性は、表2の通りである。
<樹脂Dの製造>
樹脂Dの製造は、以下のようにして行った。
・メタクリル酸メチル 240重量部
・スチレン 60重量部
・ベンゼン 300重量部
・アゾビスイソブチロニトリル 0.6重量部
を混合し、60℃に加熱しで6時間振とうし重合する。反応物をメチルエチルケトンに溶解し、7倍量のヘキサンで沈殿させ、樹脂Dを得た。得られた樹脂は、重量平均分子量Mw=105,000、ガラス転移温度99℃、体積電気抵抗1016であった。
得られた樹脂Dの組成及び特性は、表2の通りである。
<樹脂Eの製造>
・BCF 170.0重量部
・BPF 35.0重量部
・テレフタル酸 66.4重量部
・無水トリメリット酸 20.0重量部
・DBSA 0.65重量部
を加え、120℃で6時間撹拌して重縮合樹脂を得た。
上記のようにして得られた樹脂108.8重量部に対し、さらに、
・ベンゼン 300重量部
を加え、60℃に加熱しで6時間振とうし重合する。
反応物をメチルエチルケトンに溶解し、7倍量のヘキサンで沈殿させ、樹脂Eを得た。
得られた樹脂は、重量平均分子量Mw=56,000、ガラス転移温度101℃、体積電気抵抗1016であった。
得られた樹脂Eの組成及び特性は、表2の通りである。
Figure 2009151189
〔キャリアの製造〕
(実施例1:キャリアAの製造)
・芯材A 100重量部
・トルエン 20重量部
・樹脂A 3重量部
・カーボンブラック(VXC−72;キャボット社製) 0.3重量部
上記材料のうち、樹脂Aをトルエンにて希釈したのち、カーボンブラックを加え、ホモジナイザーで5分間撹拌し、樹脂溶液を作製した。本樹脂溶液と芯材Aとを真空脱気型ニーダーに入れ、80℃で30分間撹拌した後、減圧してトルエンを除去して、該フェライト粒子表面上に被膜を形成して、キャリアAを得た。
(実施例2:キャリアBの製造)
樹脂Aの代わりに樹脂Bを用いた以外は、キャリアAと同様にしてキャリアBを得た。
(実施例3:キャリアCの製造)
芯材Aの代わりに芯材Bを用い、樹脂Aの代わりに樹脂Cを用いた以外は、キャリアAと同様にしてキャリアCを得た。
(実施例4:キャリアDの製造)
芯材Aの代わりに芯材Bを用い、樹脂Aの仕込み量を3重量部から3.8重量部に代えた以外は、キャリアAと同様にしてキャリアDを得た。
(実施例5:キャリアEの製造)
芯材Aの代わりに芯材Bを用い、樹脂Aの仕込み量を3重量部から2.8重量部に代えた以外は、キャリアAと同様にしてキャリアEを得た。
(実施例6:キャリアFの製造)
・芯材C 100重量部
・トルエン 20重量部
・樹脂A 3重量部
・カーボンブラック(VXC−72;キャボット社製) 0.3重量部
上記材料のうち、樹脂Aをトルエンにて希釈したのち、カーボンブラックを加え、ホモジナイザーで5分間撹拌し、樹脂溶液を作製した。本樹脂溶液と芯材Aとを真空脱気型ニーダーに入れ、80℃で30分間撹拌した後、減圧してトルエンを除去して、該フェライト粒子表面上に被膜を形成して、キャリアFを得た。
(実施例7:キャリアGの製造)
・芯材D 100重量部
・トルエン 20重量部
・樹脂B 2.8重量部
・カーボンブラック(VXC−72;キャボット社製) 0.3重量部
上記材料のうち、樹脂Aをトルエンにて希釈したのち、カーボンブラックを加え、ホモジナイザーで5分間撹拌し、樹脂溶液を作製した。本樹脂溶液と芯材Aとを真空脱気型ニーダーに入れ、80℃で30分間撹拌した後、減圧してトルエンを除去して、該フェライト粒子表面上に被膜を形成して、キャリアGを得た。
(比較例1:キャリアHの製造)
樹脂Aの代わりに樹脂Dを用いた以外は、キャリアAと同様にしてキャリアHを得た。
(比較例2:キャリアIの製造)
芯材Aの代わりに芯材Bを用い、樹脂Aの代わりに樹脂Eを用いた以外は、キャリアAと同様にしてキャリアIを得た。
(比較例3:キャリアJの製造)
芯材Aの代わりに芯材Bを用い、樹脂Aの仕込み量を3重量部から2.5重量部に代えた以外はキャリアAと同様にしてキャリアJを得た。
(比較例4:キャリアKの製造)
芯材Aの代わりに芯材Bを用い、樹脂Aの仕込み量を3重量部にしキャリアAと同様にしてキャリアKを得た。
実施例1乃至5及び比較例1乃至3において作製した各キャリアに使用した芯材及び樹脂を表3に示す。また、各キャリアの被覆率を表4に示す。
Figure 2009151189
Figure 2009151189
〔トナーaの製造〕
<トナーaの製造>
・ポリエステル樹脂(ビスフェノールAと1,3−プロパンジオールの共重合体、Mw=60,000) 77部
・植物系ワックス(カルナバワックス) 6部
・芳香族炭化水素共重合石油樹脂 7部
・SiO2粒子(R972;日本アエロジル(株)製) 5部
・C.I.ピグメント・ブルー15:3 5部
上記各成分をヘンシェルミキサーで充分予備混合を行い、2軸型ロールミルにより溶融混練し、冷却後ジェットミルにより粉砕を行い、さらに風力式分級機で2回分級を行い、平均粒径6.5μm、4μm以下の粒径のトナー粒子数15個数%、16μm以上の粒径のトナー粒子0.7体積%のトナー粒子(シアントナー)を製造した。
この粒子100部と、外添剤としてBET比表面積100m2/gの疎水性酸化チタン粒子0.5部と40nmの疎水性シリカ粒子をヘンシェルミキサーにて混合してトナー粒子aを調製した。
〔現像剤の製造〕
上記において製造したキャリア(キャリアA乃至H)を92重量部と、上記において製造したトナーaを8重量部とを、それぞれ混合し現像剤A乃至Hを得た。
〔評価方法〕
これらの現像剤及び供給用現像剤を用いて、電子写真複写機/プリンター複合機(DocuCentreColor 400CP富士ゼロックス(株)製)の改造機を用い、以下のような方法により、現像性、カブリ、画質、帯電器へのキャリア樹脂粉汚染による電位ムラの評価を高温高湿環境(30℃、80%RH)及び低温低湿環境(10℃、10%RH)にて行った。
<現像性、カブリ、画質、帯電ロールへのキャリア樹脂粉付着による電位ムラ評価>
それぞれの環境下にて、5cm×2cmのソリッドパッチを現像させ、感光体表面の現像トナー画像を、テープ表面の粘着性を利用して転写し、その重量(W1)を測定し、現像性を評価した。
また、同様に感光体表面の背景部をテープ表面の粘着性を利用して転写し紙(J紙:富士ゼロックスオフィスサプライ(株)製)表面に貼り付け、目視によりカブリ、黒点を評価した。
さらに帯電ロールの電位を測定し、その帯電ムラを測定した。
また、上記テスト時感光体カブリについて目視で確認した。
<現像性の評価基準>
○:W1が4.5g/m2以上
△:W1が4.0g/m2以上4.5g/m2未満
×:W1が4.0g/m2未満
<カブリ/画質評価基準>
各現像剤を現像機に充填し、上記改造機にセットし、各環境下に一晩放置し、細線画像を印刷した時の非画像部の濃度をX−Rite404A:(X−Rite社製)を用いて5箇所測定し、平均値をとった。
非画像部のカブリの濃度における評価基準は、
○:X−Rite測定濃度が0.01以上であり、目視上カブリが見られない。
△:X−Rite測定濃度が0.01を超え0.02未満であり、目視上は殆どカブリを識別できない。
×:X−Rite測定濃度が0.02以上であり、目視でもカブリを認識できる。
<黒点/画質評価基準>
○:目視及びルーペを用いて観察しても黒点なし。
△:目視では黒点の識別は困難だがルーペを用いて観察すると黒点が確認される。
×:目視でも黒点有り。
<帯電ムラの評価基準>
○:帯電ロールに帯電ムラなし。
△:帯電ロールに帯電ムラは見られるが、画質上は問題なし。
×:帯電ロールに帯電ムラがあり、現像像も目視でムラが観察される。
これらの評価終了後、それぞれの環境で、像密度1%の画像:像密度7%の画像=1:1となるように連続プリントを10,000枚行った後に、再度上記現像性、カブリ、画質、帯電ロールへのキャリア樹脂粉付着による電位ムラを評価した。
結果を表5に示す。
Figure 2009151189
これらの結果から分かるように、本実施例では、比較例に比べ、温度や湿度等の環境依存性(特に、高温高湿環境と低温低湿環境との帯電量差)が少ないとともに、被覆樹脂層が剥離しにくく、長期にわたり安定的に画像形成を行うことができる。
本発明の画像形成装置の好適な一実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。 本発明の画像形成装置の他の好適な一実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。 本発明の画像形成装置のさらに他の好適な一実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。
符号の説明
10、100、200:画像形成装置
12、110、212:潜像保持体
14、120、214:帯電手段
16、130、216:露光手段
18、140、218:現像手段
20、220:転写手段
26、180、226:定着手段
28、147:カートリッジ
141:現像剤収容容器
146:現像剤供給手段
148:現像剤排出手段
152:2次転写ローラ
210:プロセスカートリッジ

Claims (10)

  1. 磁性粒子に樹脂被覆層を形成した粒子であり、
    前記樹脂被覆層が、多価カルボン酸及び多価アルコールより得られるポリエステル樹脂を含み、
    前記ポリエステル樹脂が、前記多価アルコール由来の下記式(1)で表されるモノマー単位を5mol%以上50mol%以下有し、
    前記樹脂被覆層の磁性粒子に対する被覆率が80%以上であることを特徴とする
    静電荷像現像用キャリア。
    Figure 2009151189
    (式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6はそれぞれ独立に、置換基を表し、X及びYはそれぞれ独立に、単結合又は二価の有機基を表し、m及びnはそれぞれ独立に、0以上4以下の整数を表す。)
  2. 前記樹脂被覆層中に導電粉を含む請求項1記載の静電荷像現像用キャリア。
  3. 前記磁性粒子と前記樹脂被覆層との間に金属酸化物を含有する層を有し、前記磁性粒子の金属主組成分と前記金属酸化物とが異なるものである請求項1又は2に記載の静電荷像現像用キャリア。
  4. 前記金属酸化物が、前記磁性粒子の金属主組成分より絶縁性が高く、
    前記磁性粒子における前記金属酸化物の含有割合をa(%)、前記金属酸化物を含有する層における前記金属酸化物の含有割合をb(%)とした時、
    b≧50であり、かつ、
    (b/1000)<a<(b/10)である請求項3に記載の静電荷像現像用キャリア。
  5. 前記金属酸化物が、アルミナを含む請求項3又は4に記載の静電荷像現像用キャリア。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1つに記載の静電荷像現像用キャリアを含む静電荷像現像剤。
  7. 請求項1乃至5のいずれか1つに記載の静電荷像現像用キャリア、又は、請求項6に記載の静電荷像現像剤を少なくとも収納した
    カートリッジ。
  8. 潜像保持体上に形成された静電潜像をトナーを含む請求項6に記載の静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、
    潜像保持体、前記潜像保持体を帯電させる帯電手段、及び、前記潜像保持体の表面に残存したトナーを除去するクリーニング手段よりなる群から選ばれた少なくとも1種とを備える
    プロセスカートリッジ。
  9. 潜像保持体と、
    前記潜像保持体を帯電させる帯電手段と、
    帯電した前記潜像保持体を露光して該潜像保持体上に静電潜像を形成させる露光手段と、
    トナーを含む現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、
    前記トナー像を前記潜像保持体から被転写体に転写する転写手段とを有し、
    前記現像剤が請求項1乃至5のいずれか1つに記載の静電荷像現像用キャリアを含む
    画像形成装置。
  10. 潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、
    前記潜像保持体表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程、
    前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程、及び、
    前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程を含み、
    前記現像剤が請求項1乃至5のいずれか1つに記載の静電荷像現像用キャリアを含む
    画像形成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015114459A (ja) * 2013-12-11 2015-06-22 株式会社リコー 現像剤、補給用現像剤、及びプロセスカートリッジ
JP2015184485A (ja) * 2014-03-24 2015-10-22 富士ゼロックス株式会社 静電荷像現像用キャリア、静電荷像現像剤、現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
JP2016156967A (ja) * 2015-02-25 2016-09-01 富士ゼロックス株式会社 静電荷像現像剤、現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び、画像形成方法

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