JP5676870B2 - 再絞り成形性に優れた缶胴用アルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents

再絞り成形性に優れた缶胴用アルミニウム合金板およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、深絞りと再絞りによって缶胴が形成される缶胴用として好適なアルミニウム合金板およびその製造方法に関するものである。
一般に缶ボディとしては、その開口端部に缶蓋が巻締められる缶や、開口端部にキャップが螺着されるボトル缶等があり、飲料等の内容物が充填、密封され、市場において流通している。このような缶ボディは、従来、JIS3004(AA3004)またはJIS3104(AA3104)のAl合金からなる板材に絞り加工およびしごき加工を施すことによって行われるDI(Draw-Ironing)加工により形成されている。
例えば図1に示す如く、板材を打ち抜いて円盤状のブランク材Wを形成し、このブランク材Wをカッピングプレスによって絞り加工することにより底の浅いカップ状体W1に成形する。次にDI加工装置によって、カップ状体W1に再絞りしごき加工および張り出し加工によるドーム成形を施して有底円筒状体W2を形成する。このDI加工装置による再絞り加工は、カップ状体W1をパンチスリーブと再絞りダイとの間に配置し加工することで所定のカップ径とした後、複数のアイアニング・ダイを順次通過させることで徐々にしごき加工し、カップ状体の側壁をしごいて伸張させる。このしごき加工が終了した有底筒状体W2は、加工装置のパンチスリーブが更に前方に押し出て底部をボトム成形金型に押圧することにより、底部に、例えばドーム部12aを有した缶状体15を得ることができる。
即ち、図2に詳細に示す如く、缶状体15の底部12の中央側に、胴部11の缶軸方向に胴部11の内側に向けて凹むドーム部12aを形成するとともに、このドーム部12aの外周縁部に胴部11の缶軸方向における外側に向けて突出する環状凸部12cを形成する。そして、この環状凸部12cの先端部分に接地部12bを形成し、この接地部12bを介して缶状体15が接地面L上において正立姿勢をとるようにされている。
この種の飲料缶において、しごき加工性を損なうことなく低コストで缶底接地部の小径化に対応し得る缶胴用アルミニウム合金板として、以下の特許文献1に記載の如く、Mg0.8〜1.4wt%、Mn0.7〜1.3wt%、Fe0.2〜0.5wt%、Si0.1〜0.5wt%、Cu0.1〜0.3wt%、Ti0.005〜0.05wt%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなるアルミニウム合金板であって、引張強さと伸び率を特定の範囲内にあるようにした缶胴用アルミニウム合金板が提案されている。
特開2001−262261号公報
ところで、この種の飲料缶には、更なる薄肉軽量化が望まれており、薄肉軽量化を達成するためには、飲料缶において缶底部の耐圧強度の確保が必要となる。これを達成する方法は大きく分けて2種類考えられ、そのうちの1つの方法は材料強度を高くする方法であり、もう1つの方法は飲料缶の缶底の形状を工夫する方法である。
後者の方法には、飲料缶の接地部分の径の小径化や接地アール部(図2に示す構造の場合、接地部12b)の小径化が有効であると考えられるが、これらを実施すると再絞り成形時に缶底部での破断が生じ易くなる問題がある。即ち、再絞り成形時にポンチにより缶底部を加工中に缶底が抜けて破れてしまうおそれがある。
また、飲料缶の軽量化やデザイン性の面から、缶高さと缶胴比を従来の飲料缶より大きくしたいとの要求もある。従来の製造方法では、このカップ径/接地径(接地部12bが描く円の径)=1.7、カップ径/缶胴径=1.3程度が代表的であった。ここで一般的な飲料缶の缶胴成形は、2回絞り加工(深絞り+再絞り)で実施されており、缶高さと缶胴径の比を大きくするためには、再絞り比を大きくする必要がある。従ってこの場合も再絞り成形時に缶底での破断が発生し易くなる問題がある。
更に、従来の缶に比べて缶胴を細くした細長い缶を新規デザインの要望などに応じて作成する場合、上記の絞り比がどうしても大きくならざるを得ない問題がある。
また、従来の缶を更に薄肉化する場合、問題点が2つ考えられる。1つ目の問題点は、缶底部の板厚が薄くなることによる缶強度不足である。ただし、この問題点は先にも記載の如く缶底形状を工夫することで対応は可能となる。2つ目の問題点は、F(フランジ)/W(ウォール)厚の薄肉化が限界の場合のメタル量の不足である。この場合、ブランク径を大きくしてメタル量を確保する必要があるため、必然的にカップ径も大きくならざるを得ない。通常缶とボトル缶とでカップ径/缶胴径が異なるのも、ボトル缶の方がブランク径が大きいことによる。即ち、更なる薄肉化を行う必要が生じてブランク径を大きくしようとした場合に従来材料では対応できない問題がある。
そこで本発明者は、上述の再絞り性を向上させるためには、従来材料よりも、引張強さと耐力との差が大きく、伸び率が高い材料であって、しかも、缶底部の強度を確保するために必要最低限の耐力を有する材料の提供が有効であると考えた。
また、そのようなアルミニウム合金板を製造するために、この種のアルミニウム合金板の製造方法について研究したところ、中間焼鈍として連続焼鈍を用い、最終冷間圧延後に所定の条件で仕上焼鈍を行うことで析出強化と回復の相互効果により、従来の材料に比べて引張強さと耐力との差異が大きく、伸び率が高く、再絞り性に優れた材料を開発できることを知見し、本願発明に到達した。
本発明は以上の背景に基づきなされたもので、飲料缶の薄肉軽量化を更に推し進めることができるとともに、軽量化やデザイン性の面で缶高さと缶胴径の比を従来のものより大きくしても再絞り成形時に缶底での破断が生じない再絞り成形性に優れた缶胴用アルミニウム合金板の提供と、その製造方法の提供を目的とする。
本発明の再絞り成形性に優れた缶胴用アルミニウム合金板は、缶胴の底部に凸型の接地部が形成されてなり、その接地部のR径が2.0mm以下の飲料缶に用いられるアルミニウム合金板であって、前記飲料缶は、前記アルミニウム合金板をカッピング加工によりカップ状体としてからDI加工により有底円筒状体とし、金型による成形加工により缶胴の底部に凸型の接地部が形成され、カップ径と接地径の比が1.94以上2.5以下、かつカップ径と缶胴径の比が1.40以上1.8以下の飲料缶であり、質量%でSi:0.1〜0.5%、Fe:0.3〜0.7%、Cu:0.05〜0.5%、Mn:0.5〜1.5%、Mg:0.4〜1.5%、Cr:0.001〜0.05%、Zn:0.05〜0.5%、Ti:0.001〜0.05%を含有し、残部が不可避不純物を含み、スラブ鋳造と熱間圧延と冷間圧延により得られ、引張強さが307MPa以下であり、引張強さと耐力の差が36MPa以上であり、かつ伸び率が6%以上であり、AB耐力が240MPa以上であることを特徴とする。
本発明の再絞り成形性に優れた缶胴用アルミニウム合金板において、ベーキング後の伸び率が7.1%以上であることが好ましい。
本発明の再絞り成形性に優れた缶胴用アルミニウム合金板において、前記飲料缶は、カップ径と接地径の比が1.94以上2.23以下、かつカップ径と缶胴径の比が1.44以上1.67以下の飲料缶であることを特徴とする。
本発明の再絞り成形性に優れた缶胴用アルミニウム合金板において、前記飲料缶は、ベーキング後の座屈強度が1735N以上1774N以下、ベーキング後の耐圧強度が746kPa以上760kPa以下であることを特徴とする。
本発明の再絞り成形性に優れた缶胴用アルミニウム合金板は、口径が34mm以上のボトル缶用であることを特徴とする。
本発明は先に記載の再絞り成形性に優れた缶胴用アルミニウム合金板を製造するに際し、鋳造で得たスラブに対し、熱間圧延、冷間圧延によって中間板厚まで加工されたアルミニウム合金板に、加熱速度10〜200℃/秒、保持温度500〜570℃、保持時間1〜30秒、冷却速度10〜200℃/秒の連続焼鈍を施し、次いで圧延率45〜80%で最終板厚まで最終冷間圧延を行った後、保持温度120〜180℃に30分以上保持する最終熱処理を施すことを特徴とする。
本発明は先に記載の再絞り成形性に優れた缶胴用アルミニウム合金板を製造するに際し、鋳造で得たスラブに対し、熱間圧延、冷間圧延によって中間板厚まで加工されたアルミニウム合金板に、加熱速度10〜200℃/秒、保持温度500〜570℃、保持時間1〜30秒、冷却速度10〜200℃/秒の連続焼鈍を施し、次いで圧延率45〜80%で最終板厚まで最終冷間圧延を行った後、120℃以上に30分以上保持する状態を確保する冷却を行うことを特徴とする。
本発明によれば、飲料缶の薄肉軽量化を更に推し進めることができるとともに、軽量化やデザイン性の面で缶高さと缶胴径の比を従来のものより大きくしても再絞り成形時に缶底での破断が生じない再絞り成形性に優れた缶胴用アルミニウム合金板を提供することができる。
本発明の製造方法によれば、中間焼鈍として連続焼鈍を用い、最終冷間圧延後に所定の温度域で所定時間以上保持する仕上焼鈍となる熱処理を行うか、あるいは、最終冷間圧延後に所定温度域に所定時間保持する冷却を行うことで析出強化と回復の相互効果により、従来の材料に比べて引張強さと耐力との差異が大きく、伸び率が高く、再絞り性に優れた缶胴用アルミニウム合金板を製造することができる。
アルミニウム合金板材から有底筒状体を形成するまでの一般工程を説明する工程説明図。 図1に示す有底筒状体の環状凸部を示す断面図。
以下、本発明の具体的な実施形態について説明する。
本発明の一実施形態に係る缶胴用アルミニウム合金板においてその組成は、質量%でSi:0.1〜0.5%、Fe:0.3〜0.7%、Cu:0.05〜0.5%、Mn:0.5〜1.5%、Mg:0.4〜1.5%、Cr:0.001〜0.05%、Zn:0.05〜0.5%、Ti:0.001〜0.05%を含有し、残部が不可避不純物とされている。なお、本願明細書において特に指定しない限り組成比の上限値と下限値を〜で結んで表示する場合、下限値以上、上限値以下を示すものとする。よって、Si:0.1〜0.5%と表記した場合は、Si含有量が0.1質量%以上、0.5質量%以下の範囲を示す。
先ず、本発明で使用するアルミニウム合金の組成限定理由について説明する。Siは同時に含有されるMgとともに化合物を形成し、固溶硬化、析出硬化、分散硬化作用を及ぼすほか、Al、Mn、Feなどとも金属間化合物を形成して、しごき成形時にダイスに対する焼き付きを防止する効果を発揮する。Si含有量が0.1%未満では、所望の潤滑性能を発揮できず、ダイスへの焼き付きを防止するのに不十分である。一方、Si含有量が0.5%を越えると脆くなり加工性が劣化する。従ってSiの適正含有量は、0.1〜0.5%と設定する。
Fe及びCrは結晶の微細化と、しごき成形加工時にダイスに対する焼き付きを防止する効果を発揮する。Feの場合には含有量が0.3%未満では所望の効果が得られず、一方、Fe含有量が0.7%を越えると脆くなり加工性が劣化する。従ってFeの適正含有量は、0.3〜0.7%と設定する。Crの場合には、Cr含有量が0.001%未満では所望の効果が得られず、一方、Cr含有量が0.05%を越えると脆くなり加工性が劣化する。従ってCrの適正含有量は、0.001〜0.05%とする。
CuはMgと金属間化合物を形成し、固溶硬化、析出硬化、分散硬化作用を及ぼす。Cu含有量が0.05%未満ではこれらの効果が乏しく、またCu含有量が0.5%を越えると加工性が劣化する。従って、Cuの適正な含有量は0.05〜0.5%に設定する。
MnはFe、Si、Alとともに金属間化合物を形成し、晶出相及び分散相となって分散効果作用を発揮するとともに、しごき成型加工時にダイスに対する焼き付きを防止する効果を発揮する。Mn含有量が0.5%未満では、所望の硬化特性が得られず、一方、Mn含有量が1.5%を越えると脆くなり加工性が劣化する。従ってMnの適正含有量は、0.5〜1.5%と設定する。Mgは固溶体強化作用を有し、圧延加工時に加工硬化性を高めるとともに、前記SiやCuと共存することで分散硬化と析出硬化作用を発揮する。Mg含有量が0.4%未満ではこれらの作用効果が十分発揮されず、またMg含有量が1.5%を越えると加工性が劣化し、特にカール加工性が低下する。従って、Mgの適正含有量は0.4〜1.5%に設定する。
Znは析出するMg、Si、Cuの金属間化合物を微細化する作用を有する。Zn含有量が0.05%未満では効果が不十分で、Zn含有量が0.5%を越えると加工性と耐食性が劣化する。従ってZnの適正な含有量は0.05〜0.5%とする。
Tiは結晶粒を微細化し、加工性を改善する効果を発揮する。Ti含有量が0.001%未満ではこれらの効果が発揮されず、また0.05%を越えると粗大な化合物ができて、加工性が劣化する。従って、Tiの適正な含有量は0.001〜0.05%とする。
以上説明の組成比のアルミニウム合金板において、飲料缶とするための再絞り性を向上させるためには、従来材料よりも、引張強さと耐力との差が大きく、伸び率が高い材料であって、しかも、缶底部の強度を確保するために必要最低限の耐力を有する材料の提供が有効である。
また、そのようなアルミニウム合金板を製造するために、この種のアルミニウム合金板の製造方法において、中間焼鈍として連続焼鈍を用い、最終冷間圧延後に所定の条件で仕上焼鈍を行うことで析出強化と回復の相互効果により、従来の材料に比べて引張強さと耐力との差異が大きく、伸び率が高く、再絞り性に優れた材料を提供することができる。
即ち、前記組成比のアルミニウム合金板を製造するには、溶製したスラブを熱間圧延加工し、熱間圧延仕上板厚を例えば2.6mmとしてから、中間冷間圧延加工し、中間焼鈍、最終冷間圧延を経て最終熱処理を行って缶用としての板厚、例えば、0.35mmの板厚とすることが好ましい。
前述の熱間圧延仕上を行う場合の仕上温度は280℃〜480℃の範囲であることが好ましい。
前記中間冷間圧延を行う場合の圧延率は40〜90%の範囲であることが好ましい。
前記中間焼鈍を行う場合の温度は500〜570℃の範囲、1〜30秒の範囲であることが好ましい。
前記最終冷間圧延を行う場合の圧延率は45〜80%の範囲、最終冷間圧延仕上温度は140℃以上であることが好ましく、この場合に120℃以上に30分以上保持する状態を確保する冷却を行うことが好ましい。
また、前記最終冷間圧延を行った後、保持温度120〜180℃に30分以上保持する最終熱処理を施すことが好ましい。この最終熱処理の際の保持温度範囲を前記範囲から外れるように120℃よりも低くした場合、十分な底抜け性の改善が見られない。
また、180℃を越える温度で最終熱処理を行うと、底抜け性の改善効果はそれ以上に増加せず、場合によっては若干減少傾向を示し、また、消費エネルギー的にも無駄が多くなる。
以下に、本発明の具体的実施例について説明するが、本願発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の表1に示す組成比の合金スラブを溶製し、表2に示すNo.1〜No.7、No.10の試料は、熱間圧延加工により板厚2.6mmのアルミニウム合金板を作製し、このアルミニウム合金板に圧延率58%の中間冷間圧延を施し、板厚1.1mmのアルミニウム合金板を作製し、このアルミニウム合金板に連続焼鈍炉(CAL)にて以下の表2に示す温度、保持時間の条件にて中間焼鈍を行った。
この後、表2に示す圧延率、仕上温度、仕上板厚にて最終冷間圧延を行い、必要に応じて表2に示す最終熱処理を行って飲料缶用のアルミニウム合金板を得た。
表2に示すNo.1〜7、10の試料は、熱間圧延仕上温度280℃で板厚2.6mmとした試料、No.8、9の試料は、熱間圧延仕上温度320℃で板厚2.0mmとし、中間焼鈍を行わなかった試料である。
これらのアルミニウム合金板試料について引張強さ(TS:MPa)、耐力(YS:MPa)、伸び(EL:%)、引張強さ−耐力(TS−YS:MPa)を測定した結果を表3に記載する。また、各アルミニウム合金板試料について、210℃で10分加熱するベーキング処理を施し、このベーキング後の引張強さ(TS:MPa)、耐力(AB耐力:YS:MPa)、伸び(EL:%)を測定した結果を表3に併記する。
表3に示す座屈強度とは、DI缶にベーキング処理(210℃10分)を施した後、缶軸方向に圧縮荷重を負荷し、缶底部(図2の底部12)が座屈した時の平均荷重(サンプル数n=10)を示し、耐圧強度とは、DI缶にベーキング処理(210℃10分)を施した後、缶胴内部にエアー圧をかけて、缶底のドーム部12a(図2参照)が反転した時の平均圧力(サンプル数n=10)を示す。
Figure 0005676870
Figure 0005676870
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また、表2に示す条件で製造されたNo.1〜10のアルミニウム合金板試料について、先に図1を元に説明したカッピング加工およびDI加工を施し、そのDI加工時の底抜け性について調査した結果を表4に示す。
表4に示す結果は、DI加工を施す場合に、図1に示すカップ状体W1とした場合のカップ径(外径)と、図2に示す缶状体15とした場合の缶胴径(外径)と、接地部の径(接地円の直径)と、カップ径/接地径と、カップ径/缶胴径と、缶高さ/缶胴径と、接地部R径(接地部アール径)について設定条件を実施条件として以下の表5に記載した条件の場合に得られた結果である。
Figure 0005676870
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表3に示す如く、No.1〜3、7〜9の試料はいずれも引張強さ−耐力(TS−YS:MPa)の値が30MPaを下回る試料であるのに対し、No.4、6の試料はいずれも引張強さ−耐力(TS−YS:MPa)の値が30MPaを越える試料である。No.4の試料にあっては、表4に示すA〜Hの全ての実施条件においていずれも底抜け性に優れ、100缶製缶して1缶も底抜けを生じない、優れた底抜け性を示した。
No.6の試料にあっては、実施条件F、Hにて若干底抜けを生じたが、その他の条件A〜E、Gにおいて100缶製缶して1缶も底抜けを生じない、優れた底抜け性を示した。
表5の実施条件Bは接地部R径を2.5mmとする実施条件であるが、このように接地部R径を大きくすると、表4に示す如くNo.1〜10のいずれの試料であっても底抜け性は良好となり、いずれの試料においても底抜け性、換言すると、再絞り成形性に問題を生じない。これは、接地部R径の値を2.5mmより小さい1.5mm、2.0mmとした場合に、再絞り成形性に大きな影響があり、接地部R径が小さい程、再絞り成形性を阻害する傾向があり、再絞り成形性に制約が生じることを意味する。
しかし、先にも説明した如く、飲料缶の更なる薄肉軽量化のためには、缶底部の耐圧強度の確保が必要となるので、これを達成するための接地径の小径化、接地部R径の小径化が必要となり、このため、接地部R径を小径化しても、再絞り成形性に支障を来さないことが重要となる。
この点に鑑み、接地部R径を小さくしても、実施条件に広く対応することができる、No.4、6のアルミニウム合金板試料が有望であり、これらの試料は、表3に示す如く引張強さ−耐力(TS−YS:MPa)の値が30MPaを越える試料であり、伸びが6.0%を越える試料であり、AB耐力が240MPa以上の試料であり、缶強度における座屈強度と耐圧強度においても優れている。また、No.5のアルミニウム合金板試料は最終熱処理温度が190℃と高いために、缶強度における座屈強度と耐圧強度においてNo.4、6のアルミニウム合金板試料より若干劣る結果となった。
なお、カップ径/接地径の上限は2.5が好ましく、カップ径/缶胴径の上限は1.8が好ましい。
次に、表2に示すアルミニウム合金板の製造条件について検討すると、No.1、6の試料は、最終熱処理を行っていない試料であるが、No.6の試料は最終冷間圧延後の冷却条件として、120℃以上の温度域を1時間維持する条件で冷却している。これに対してNo.1のアルミニウム合金板試料は、最終冷間圧延の仕上温度が110℃であり、ここから冷却しているために120℃以上の状態が保持されていない。
No.1の試料は表3に示す如く伸びが不足し、TS−YSの値が低く、再絞り成形性に劣り、座屈強度、耐圧強度とも低くなっている。これに対し、No.6の試料は、伸びが高く、TS−YSの値が高く、再絞り成形性に優れ、座屈強度、耐圧強度とも高くなっている。
No.2の試料は、最終熱処理温度を150℃としたが20分しか熱処理していない試料であるが、伸びが不足し、TS−YSの値が低く、再絞り成形性が低下している。
No.4の試料は150℃に2時間保持する熱処理を施すことで、伸びが高く、TS−YSの値が高く、再絞り成形性に優れ、座屈強度、耐圧強度とも高くなっている。
No.7の試料は中間焼鈍を500℃未満の470℃で施した試料であるが、伸びが不足し、TS−YSの値が低く、再絞り成形性に劣り、座屈強度、耐圧強度とも低くなっている。
No.8、9の試料は中間冷間圧延と中間焼鈍を行っていない試料であるが、伸びが不足し、TS−YSの値が低く、再絞り成形性に若干劣り、座屈強度、耐圧強度とも低くなっている。
これらの試験結果から、前記組成比のアルミニウム合金板において、接地部のR径が2.0mm以下の飲料缶に用いられるアルミニウム合金板であって、引張強さと耐力の差が30MPa以上であり、かつ伸び率が6%以上であり、AB耐力が240MPa以上であるならば、DI加工する場合の再絞り成形性に優れることが明らかになった。
また、前記アルミニウム合金板を製造する場合、最終冷間圧延後に120〜180℃に30分以上保持する最終熱処理を施すか、最終冷間圧延後に120℃以上の温度に30分以上維持できる冷却条件を選択することで、引張強さと耐力の差が30MPa以上であり、かつ伸び率が6%以上であり、AB耐力が240MPa以上であるアルミニウム合金板を得ることが可能となり、このアルミニウム合金板をDI加工することで、軽量化やデザイン性の面で缶高さと缶胴径の比を従来のものより大きくした飲料缶を製造しても、再絞り成形性の良好な状態で飲料缶を製造できることが明らかになった。
W…ブランク材、W1…カップ状体、W2…有底筒状体、11…缶胴、12…底部、12a…ドーム部、12b…接地部、12c…環状凸部、15…缶状体、L…接地面。

Claims (7)

  1. 缶胴の底部に凸型の接地部が形成されてなり、その接地部のR径が2.0mm以下の飲料缶に用いられるアルミニウム合金板であって、
    前記飲料缶は、前記アルミニウム合金板をカッピング加工によりカップ状体としてからDI加工により有底円筒状体とし、金型による成形加工により缶胴の底部に凸型の接地部が形成され、カップ径と接地径の比が1.85以上2.5以下、かつカップ径と缶胴径の比が1.40以上1.8以下の飲料缶であり、
    質量%でSi:0.1〜0.5%、Fe:0.3〜0.7%、Cu:0.05〜0.5%、Mn:0.5〜1.5%、Mg:0.4〜1.5%、Cr:0.001〜0.05%、Zn:0.05〜0.5%、Ti:0.001〜0.05%を含有し、残部が不可避不純物を含み、スラブ鋳造と熱間圧延と冷間圧延により得られ、引張強さが307MPa以下であり、引張強さと耐力の差が36MPa以上であり、かつ伸び率が6%以上であり、AB耐力が240MPa以上であることを特徴とする再絞り成形性に優れた缶胴用アルミニウム合金板。
  2. ベーキング後の伸び率が7.1%以上であることを特徴とする請求項1に記載の再絞り成形性に優れた缶胴用アルミニウム合金板。
  3. 前記飲料缶は、カップ径と接地径の比が1.94以上2.23以下、かつカップ径と缶胴径の比が1.44以上1.67以下、缶高さ/缶胴径2.1以上2.3以下の飲料缶であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の再絞り成形性に優れた缶胴用アルミニウム合金板。
  4. 前記飲料缶のベーキング後の座屈強度が1735N以上1774N以下、ベーキング後の耐圧強度が746kPa以上760kPa以下である請求項3記載の再絞り成形性に優れた缶胴用アルミニウム合金板。
  5. 口径が34mm以上のボトル缶用であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の再絞り成形性に優れた缶胴用アルミニウム合金板。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の再絞り成形性に優れた缶胴用アルミニウム合金板を製造するに際し、
    鋳造で得たスラブに対し、熱間圧延、冷間圧延によって中間板厚まで加工されたアルミニウム合金板に、加熱速度10〜200℃/秒、保持温度500〜570℃、保持時間1〜30秒、冷却速度10〜200℃/秒の連続焼鈍を施し、次いで圧延率45〜80%で最終板厚まで最終冷間圧延を行った後、保持温度120〜180℃に30分以上保持する最終熱処理を施すことを特徴とする缶胴用アルミニウム合金板の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の再絞り成形性に優れた缶胴用アルミニウム合金板を製造するに際し、
    鋳造で得たスラブに対し、熱間圧延、冷間圧延によって中間板厚まで加工されたアルミニウム合金板に、加熱速度10〜200℃/秒、保持温度500〜570℃、保持時間1〜30秒、冷却速度10〜200℃/秒の連続焼鈍を施し、次いで圧延率45〜80%で最終板厚まで最終冷間圧延を行った後、120℃以上に30分以上保持する状態を確保する冷却を行うことを特徴とする缶胴用アルミニウム合金板の製造方法。
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