JP5424481B2 - カーボンナノチューブを含んだ炭素材料の精製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、電池や電気二重層キャパシタの電極材料、走査トンネル顕微鏡の探針、導電性材料、或いは、樹脂やセラミックスの強化のための材料等として用いられるカーボンナノチューブを含んだ炭素材料の精製方法及びこの精製方法により得られた炭素材料に関する。
上記カーボンナノチューブは炭素元素の六員環から成る網目を円筒状に巻き上げた構造をしており、カーボンナノチューブを構成するグラフェンシートの枚数(層数)により分別すると、単層カーボンナノチューブと多層カーボンナノチューブ(尚、層数が2層あるいは3層の場合は、各々2層カーボンナノチューブ、3層カーボンナノチューブと称されることも有る)に大別される。
ここで、上記単層カーボンナノチューブは、上記多層カーボンナノチューブに比較して構造が単純であるが故に理論的解析が急速に進展し、既存の材料を凌ぐ熱伝導率や弾性係数、引張強度、許容電流密度を有し、バリスティック伝導性(弾道的電子伝導性)や半導体特性を有することが理論的に示唆されてきた。現在、これらの特性の多くが実験的に実証されつつあり、応用研究へと発展しつつある。
尚、チューブ状ではなく、単なる極細炭素繊維なるものはカーボンナノファイバーと呼ばれ、カーボンナノチューブ(特に単層カーボンナノチューブ)とは区別されるものである。これは、カーボンナノチューブに期待される上記の特徴がチューブ状であることに起因するからであり、単なる極細炭素繊維であるカーボンナノファイバーでは上記の特徴を発揮することができないからである。
次に、上記カーボンナノチューブの合成方法としては、現在までに、アーク放電法、レーザー蒸発法、CVD法等が知られている。この中でも、上記アーク放電法は、上記レーザー蒸発法と比べてカーボンナノチューブを多量に合成できるという特徴があり、また、CVD法に比べて結晶性に優れるという特徴があるので、カーボンナノチューブの合成方法として期待されている。
上記アーク放電法を用いてカーボンナノチューブを作成する場合には、真空容器内を100〜500Torr程度のヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス或いは水素や硫化水素などの含水素ガスで満たし、真空容器内で対向する炭素電極間にアーク放電を起させて、炭素と触媒金属とを含有した陽極側の炭素電極を蒸発させてカーボンナノチューブを合成する方法である。尚、当該合成時には陰極側に堆積物が成長することが知られており、この堆積物は陰極堆積物と呼ばれている。
また、アーク放電法に用いる上記陽極側の炭素電極としては、金属を含まない純炭素電極と、触媒金属を含む金属−炭素複合電極に大別できる。一般的に、上記純炭素電極を陽極に用いると多層カーボンナノチューブが陰極堆積物内部に生成する一方、金属−炭素複合電極を陽極に用いると単層カーボンナノチューブが生成しチャンバー内壁へ堆積する傾向がある。そして、上記金属−炭素複合電極に用いる触媒金属としてはFe、Ni、Coなどの鉄族金属が知られており、これら鉄族金属を0.3〜5mol%添加しておくと、触媒としての作用が発揮されて、カーボンナノチューブが生成するといわれている(下記非特許文献1参照)。
更に、触媒金属として鉄族金属を単独で用いるよりも、NiとYとの二元系を用いた場合には、単層カーボンナノチューブの生成量が増加することも知られている(下記非特許文献2参照)。
加えて、雰囲気ガスとして水素を用いると共に鉄を含有した金属−炭素複合電極を陽極に用いてアーク放電した場合には、水素が非晶質炭素を除去することによって、非晶質炭素を殆ど含まない(カーボンナノチューブの割合が多い)炭素材料を得ることが知られている(下記非特許文献3参照)。
しかしながら、このようにアーク放電で単層カーボンナノチューブを作製する場合には触媒金属が必要となる一方、精製後にカーボンナノチューブを利用しようとする際には当該触媒金属は不純物として取り扱われる。したがって、不純物を取り除くことにより、カーボンナノチューブのみを単離し、カーボンナノチューブの基礎的物性を向上させて広範な応用を図るためには、カーボンナノチューブを十分に精製することが必要となる。このような精製手段としては、下記に示す方法が知られている。
(1)触媒金属を塩酸水溶液や硫酸水溶液などの酸性水溶液中で溶解させる湿式精製法(下記特許文献1参照)。
(2)触媒金属の沸点以上に加熱して、触媒金属を蒸発除去させる方法(下記非特許文献4参照)
特開平8−198611号公報
斎藤弥八、坂東俊治共書:カーボンナノチューブの基礎,コロナ社,1998
C.Journet et a1,Nature,388 1997,756−758
X. Zhao,Chem. Phys. Lett,373,2003、266−271
Carbon,41,2003,1273−1280
しかしながら、上述した方法では、以下に示すような問題がある。
(1)の方法の問題
(1)の方法では、酸性水溶液中に分散させる際に超音波照射することによるカーボンナノチューブの損傷や切断が生じる結果、カーボンナノチューブの性能低下を招来したり、酸処理後の乾燥工程でカーボンナノチューブが塊状に固化し高分子等に分散させることが容易ではない等の問題がある。
(2)の方法の問題
(2)の方法では、触媒金属が沸点に達する以前に、溶融した触媒金属が炭素を固溶して黒鉛として再析出する触媒黒鉛化現象により、単層カーボンナノチューブあるいは多層カーボンナノチューブ、または非晶質炭素が黒鉛へ転化してしまう問題がある。触媒黒鉛化現象により生成した黒鉛成分は除去が容易ではなく、カーボンナノチューブに対する不純物となり好ましくない。また、1400℃を超える温度では単層カーボンナノチューブの構造変化が生じる事が知られており、適応できない問題がある。
本発明は上記課題を考慮したものであって、カーボンナノチューブの損傷や切断が生じたり、カーボンナノチューブが塊状に固化するのを抑制しつつ、触媒金属やカーボンナノチューブ以外の炭素成分を取り除くことができ、しかも、多層カーボンナノチューブのみならず1400℃以上で構造変化が著しい単層カーボンナノチューブにも適用できるカーボンナノチューブを含んだ炭素材料の精製方法及びこの精製方法により得られた炭素材料を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、少なくとも炭素と触媒金属とを含む原料を陽極として用い、アーク放電法によりカーボンナノチューブを含む炭素材料を作製する炭素材料作製工程と、上記炭素材料と、ハロゲン及び/又はハロゲン化合物を含むガスとを接触させるハロゲン処理工程と、を有することを特徴とする。
炭素材料をハロゲンガス等で処理するような精製方法(乾式精製処理法)を用いた場合には、超音波照射することなく精製処理(純化処理)を行なうことができるので、カーボンナノチューブに損傷や切断が生じたり、カーボンナノチューブが塊状に固化するのを抑制しつつ、不純物である触媒金属を除去することができる。
また、アーク放電法によりカーボンナノチューブを含む炭素材料を作製しているので、カーボンナノチューブを多量に合成でき、しかも、カーボンナノチューブの結晶性に優れる。
尚、後述の内容を理解するために、上記ハロゲン処理工程に関して若干の説明をしておくと、触媒金属の表面の一部が炭素被膜(非晶質炭素やグラファイトから成る)で覆われていない場合には、触媒金属とハロゲンガスとが接触できるので、このような触媒金属は除去可能であるが、触媒金属の表面の全部が炭素被膜で覆われている場合には、触媒金属とハロゲンガスとが接触できないので、このような触媒金属は除去が困難である。
また、便宜上、本明細書において触媒金属とは、カーボンナノチューブの作製時に直接的な作用を発揮するもの(例えば、鉄、銅、ニッケル等の鉄族金属)をいう。
ここで、上記炭素材料作製工程と上記ハロゲン処理工程との間、又は上記ハロゲン処理工程の後に、上記炭素材料と酸素を含むガスとを接触させる酸化処理工程を有しているのが好ましい。
このように酸化処理工程を有していれば、主としてカーボンナノチューブ以外の炭素成分(非晶質炭素等の不純物)が除去されるために、炭素材料の精製が一層促進される。また、この工程は酸素ガス等で処理する乾式処理であるので、水洗や乾燥などの後処理を必要とすることがなく、且つ、この工程においてもカーボンナノチューブが塊状に固化するのを抑制することができる。
尚、酸化処理工程は、ハロゲン処理工程の後のみならず炭素材料作製工程とハロゲン処理工程との間でも行なうことができるが、ハロゲン処理工程の後に行なわれるのが望ましい。なぜなら、触媒金属は炭素に対して非常に強い酸化触媒作用を有しているため、触媒金属を除去しうるハロゲン処理工程を経ることなく酸化処理を行うと、カーボンナノチューブ以外の炭素成分のみならずカーボンナノチューブまでもが大量に焼失(酸化)するおそれがある。したがって、先ずハロゲン処理により大部分の触媒金属を除去した後に酸化処理すれば、カーボンナノチューブまでもが大量に焼失することを防止でき、この結果、カーボンナノチューブの回収率が向上するからである。
上記炭素材料作製工程において、上記陽極の原料には希土類金属から選択される少なくとも1種が含まれていることが望ましい。
このように陽極の原料には希土類金属から選択される少なくとも1種が含まれているのが好ましいのは、以下に示す2つの理由による。
(1)希土類金属自体はカーボンナノチューブの作成時に直接的に作用を発揮する効果は、鉄族金属に比べて極めて弱いが、むしろアーク放電をする際の蒸発の促進剤としての役割を有する。即ち、ニッケルや鉄等を単独で用いるよりも、ニッケルや鉄族等の他に希土類金属を添加した方がカーボンナノチューブの成長を促進できるという理由。
(2)また、カーボンナノチューブ作製後において、希土類金属は、カーボンナノチューブ内にも若干存在するとはいうものの、主としてニッケルや鉄等の触媒金属の表面に形成された非晶質炭素やグラファイト中に存在する。このような状態で酸化処理を行なうと、希土類金属が酸化触媒としての役割を発揮するために、触媒金属の表面に存在する非晶質炭素やグラファイトを除去することができる。この際、非晶質炭素は希土類金属がなくても酸化処理で有る程度除去することができるが、結晶性の高いグラファイトは希土類金属の存在無しには除去し難い。したがって、希土類金属は主としてグラファイトの酸化除去に有用である。ここで、希土類金属が非晶質炭素やグラファイト中に存在する(微分散する)理由は、一般的に、希土類金属は炭化物を形成し易く、非晶質炭素やグラファイトと希土類金属とに相分離し難いということに起因するものと考えられる。
尚、カーボンナノチューブの表面にも希土類金属が存在するので、酸化処理時に悪影響を及ぼすのではないかとも考えられるが、上述の如く、希土類金属は主として非晶質炭素やグラファイト中に存在するものであり、カーボンナノチューブ内には少量しか存在しないので、その影響は極めて少ない。
更に、CVD法でカーボンナノチューブを作製する場合にもイットリウム等の希土類金属を用いることがあるが、この場合には、アルミナ等から成る多孔性担体の細孔表面や内部に希土類金属を担持させるという構成であるので、酸化処理によって非晶質炭素やグラファイトの除去を円滑化するという機能を有するものではないということを付言しておく。
上記希土類金属としてイットリウムを用いることが望ましい。
希土類金属としては、スカンジウム、ランタン、或いはイットリウム等が例示されるが、イットリウムは他の希土類金属に比べて安価であるため、イットリウムを用いた場合には炭素材料の製造コスト及び精製コストを低減することができる。
上記ハロゲン処理工程の後に上記酸化処理工程を有する場合に、酸化処理工程の後に再度のハロゲン処理工程を有することが望ましい。
上述の如く、酸化処理工程を経ると、触媒金属の表面に存在する非晶質炭素やグラファイトが除去されて触媒金属が露出した状態となるので、酸化処理工程の後に再度のハロゲン処理工程を経ると、炭素材料作製工程において全面がグラファイト等で覆われていた触媒金属をも除去することができる。
尚、希土類金属が添加されている場合には、酸化処理工程において非晶質炭素のみならず結晶性の高いグラファイトをも除去することができるので、再度のハロゲン処理工程における触媒金属の除去を一層確実に行うことができる。
上記ハロゲン処理工程を600℃以上1600℃以下の温度雰囲気で行うことが望ましい。
このように規制するのは、以下に示す理由による。
即ち、600℃未満の温度でハロゲン又はハロゲン化合物を含むガスとカーボンナノチューブを含有する炭素材料とを接触させると、炭素材料中の触媒金属等の金属不純物が塩素化合物に転化し気化するのが困難となって除去され難くなる。一方、1600℃を超える温度では金属不純物による触媒黒鉛化減少が顕著に発してしまう。以上のことから、ハロゲン処理工程は600℃以上1600℃以下の温度雰囲気で行なわれることが望ましい。
尚、ハロゲン処理工程が800℃未満であると塩素化合物のハロゲン化合物の沸点とほぼ等しくなるため除去効率が低下する一方、1300℃を超えると単層カーボンナノチューブの直径が変化する問題が生じる。したがって、このような不都合を抑制するには、ハロゲン処理工程は800℃以上1300℃以下で行なわれることが一層望ましい。
上記陽極の原料には希土類金属から選択される少なくとも1種が含まれており、且つ、ハロゲン処理工程の後に酸化処理工程と再度のハロゲン処理工程とを有する場合に、酸化処理工程後のハロゲン処理工程は酸化処理工程前のハロゲン処理工程よりも高温で行なわれることが望ましい。
酸化処理工程前のハロゲン処理工程においてはNi等の触媒金属(炭素材料作製工程の後において、少なくとも表面の一部が露出している触媒金属)のみを除去するのが好ましい。なぜなら、酸化処理工程前のハロゲン処理工程において希土類金属をも除去すると、その後の酸化処理工程においてグラファイトを除去することができなくなる場合が生じ、この結果、酸化処理工程後の再度のハロゲン処理工程において、触媒金属(炭素材料作製工程の後において、全面がグラファイト等で覆われている触媒金属)を除去することができなくなる。したがって、酸化処理工程前のハロゲン処理工程においては、Ni等の触媒金属のみを除去できる温度(約800℃〜1000℃)で行なうのが望ましい。
一方、酸化処理工程において、希土類金属は上述のような優れた効果を発揮しうるが、酸化処理工程後は不純物となる。したがって、酸化処理工程後のハロゲン処理工程においては、触媒金属(炭素材料作製工程の後において、全面がグラファイト等で覆われている触媒金属)のみならず希土類金属をも除去するのが望ましい。したがって、当該ハロゲン処理工程においては、触媒金属のみならず希土類金属をも除去できる温度(約1200℃以上)で行なうのが好ましい。
上記ハロゲン処理工程におけるガスとして塩素ガスを用いる、請求項1〜6のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブを含んだ炭素材料の精製方法。
このように塩素ガスが好ましいのは、塩素はフッ素等に比べてカーボンナノチューブとの反応性が低いので、ハロゲン処理時にカーボンナノチューブにダメージを与えるのを抑制するためである。また、当該処理時のガスとしては塩素と炭素とを含むようなハロゲン化合物のガスを用いることもできるが、このようなガスを用いた場合には、当該成分中の炭素が不純物として炭素材料に析出する等の課題が生じることがあるので、上述の如く塩素ガス(特に、純粋な塩素ガス)を用いるのが望ましい。
上記酸化処理工程を250℃以上800℃以下の温度雰囲気で行うことが望ましい。
非晶質炭素の酸化開始温度はカーボンナノチューブやグラファイトよりも低温であるとはいうものの、酸化処理工程において非晶質炭素を円滑に除去する場合には、250℃以上の温度であることが望ましい。但し、800℃を超える温度で酸化処理工程を行なうと、非晶質炭素のみならず、カーボンナノチューブ等の酸化開始温度を超えてしまい、しかも酸化速度が速いために、炭素成分全てが同時に燃焼を開始することがある。このようなことを考慮すれば、酸化処理工程は250℃以上800℃以下の温度雰囲気で行なわれることが望ましい。特に、酸化処理時間を短縮する観点からは350℃以上であることが好ましく、カーボンナノチューブの酸化を避ける観点からは500℃以下が好ましい。
また、上記目的を達成するために本発明は、少なくとも炭素と触媒金属とを含む原料を用いてカーボンナノチューブを含む炭素材料を作製する炭素材料作製工程と、上記炭素材料とハロゲン及び/又はハロゲン化合物を含むガスと接触させるハロゲン処理工程と、上記炭素材料と酸素を含むガスとを接触させる酸化処理工程と、を有することを特徴とする。
上述の如く、炭素材料をハロゲンガス及び酸素ガス等で処理する精製方法(乾式精製処理法)を用いた場合には、カーボンナノチューブに損傷や切断が生じたり、カーボンナノチューブが塊状に固化するのを抑制しつつ、触媒金属等の不純物を除去することができる。
また、このように酸化処理工程を有していれば、上述の如く、主としてカーボンナノチューブ以外の炭素成分(非晶質炭素等の不純物)が除去されるために、炭素材料の精製が一層促進される。また、この工程も酸素ガス等で処理する乾式処理であるので、水洗や乾燥などの後処理を必要とすることがなく、且つ、この工程においてカーボンナノチューブが塊状に固化するのを抑制することができる。
尚、炭素材料の作製としては、アーク放電法の他、レーザー蒸発法、CVD法等であっても良い。
上記酸化処理工程を上記ハロゲン処理工程の後に行うことが望ましい。
このような工程順で行なった場合には、上述したように、カーボンナノチューブまでもが大量に焼失することを防止できるので、カーボンナノチューブの回収率を向上させることができる。
上記炭素材料作製工程において、上記陽極の原料には希土類金属から選択される少なくとも1種が含まれていることが望ましい。
炭素材料をCVD法で作製した場合には、上述した希土類金属添加効果のうち、炭素材料の作製時において、カーボンナノチューブの成長を促進できるという作用効果が発揮され、また、炭素材料をアーク放電法又はレーザー蒸発法で作製した場合には、カーボンナノチューブの成長を促進させるという作用効果の他に、酸化処理時に、結晶性の高いグラファイトを酸化除去できるという作用効果が発揮される。
上記希土類金属としてイットリウムを用いることが望ましい。
上述の如く、希土類金属としてイットリウムを用いた場合には、炭素材料の製造コスト及び精製コストを低減することができる。
上記酸化処理工程の後に再度のハロゲン処理工程を有することが望ましい。
このような工程であれば、上述の如く、炭素材料作製工程において全面が非晶質炭素等で覆われていた触媒金属をも除去することができる。
上記ハロゲン処理工程を600℃以上1600℃以下の温度雰囲気で行なうことが望ましい。
このような温度範囲であれば、上述したように、触媒金属等の金属不純物の除去が容易となり、且つ、金属不純物が塩素化合物に転化せずに気化してしまうのを抑制できる。また、このような温度範囲のなかでも、800℃以上1300℃以下であることが好ましいのは上述の場合と同様である。
上記陽極の原料には希土類金属から選択される少なくとも1種が含まれており、且つ、ハロゲン処理工程の後に酸化処理工程と再度のハロゲン処理工程とを有する場合に、酸化処理工程後のハロゲン処理工程を酸化処理工程前のハロゲン処理工程よりも高温で行うことが望ましい。
このように規制すれば、上述したように、非晶質炭素やグラファイトを除去しつつ、触媒金属と希土類金属とを除去することができる。
上記ハロゲン処理工程におけるガスとして塩素ガスを用いることが望ましい。
このように塩素ガスを用いれば、上述したように、ハロゲン処理時にカーボンナノチューブにダメージを与えるのを抑制できる。
上記酸化処理工程を250℃以上800℃以下の温度雰囲気で行うことが望ましい。
このような温度範囲であれば、上述したように、非晶質炭素を円滑に除去でき、且つ、炭素成分全てが同時に燃焼を開始するのを抑制できる。また、このような温度範囲のなかでも、350℃以上500℃以下であることが好ましいのは上述の場合と同様である。
また、上記目的を達成するために本発明は、上述のカーボンナノチューブを含んだ炭素材料の精製方法により得られた炭素材料であることを特徴とする。
更に、示唆熱・熱重量法による灰分分析により測定した場合に、炭素材料の総量に対する金属不純物の濃度が5重量%以下であることが望ましい。
上述の方法で作製すれば、金属不純物の濃度が低くなって、カーボンナノチューブの含有率を飛躍的に向上させることができる。尚、炭素材料の総量に対する金属不純物の濃度は5重量%以下が望ましいが、その中でも、1.0重量%、特に0.1重量%以下であることが望ましい。炭素材料の総量に対する金属不純物の濃度を低下させるためには、ハロゲン処理時の温度や陽極の原料に含まれるイットリウム等の希土類金属の量を規制することにより達成することができる。また、一般的には、カーボンナノチューブの純度は高い方が望ましいが、用途によっては、必ずしも高純度であることを要求されない場合もある。したがって、精製コストを考慮しつつ金属不純物の濃度を規定するのが望ましい。
ラマン分光分析の測定により得られるスペクトルで、1570〜1610cm-1の範囲内での最大ピーク強度をG、1320〜1360cm-1の範囲内での最大ピーク強度をDとしたときに、G/D比が80以上であることが望ましい。
上述の方法で作製すれば、G/D比が80以上となってグラファイト化度が高くなるため、高品質なカーボンナノチューブを得ることができる。
水蒸気吸着分析法による吸着率が200cc/g以下であることが望ましい。
上述の方法で作製すれば、塩酸水溶液や硫酸水溶液に触れることがないので、湿式精製法において顕著な表面官能基の付加が少なくなって、高品質なカーボンナノチューブを得ることができる。尚、水蒸気吸着分析法による吸着率は、130cc/g以下であることがより望ましい。
X線光電子分析法による感度係数法で算出したO/C値が0.032以下であることが望ましい。
X線光電子分析法による感度係数法で算出したO/C値と上記水蒸気吸着量とは相関があり、当該O/C値で炭素材料を規制する場合には、0.032以下であることが望ましく、特に、0.016以下であることが望ましい。
上述の炭素材料が合成樹脂に配合されて形成されていることを特徴とする樹脂成形体。
本発明に係る炭素材料は合成樹脂中であっても分散がされやすいことから、かかる炭素材料を合成樹脂に配合して成形することで、機械的強度、熱伝導性、電気伝導性等の諸性能に優れた樹脂成形品を安定した品質で得ることができ、とりわけ炭素材料の配向方向における上記特性を高めることができる。使用される合成樹脂については特に限定されるものではなく、熱可塑性合成樹脂、熱硬化性合成樹脂のいずれであってもよく、また成形の方法についても押出成形、射出成形、注型成形、ブロー成形等適宜の方法で成形することができる。また複層成形を行い、いずれか一層に炭素材料を配合してもよく、例えば表層のみに炭素材料を配合し、炭素材料の使用量を抑えて前記特性を高めることも可能となる。
上述の炭素材料を用いて形成されていることを特徴とする繊維。
上記樹脂成形体と同様に、上述の炭素材料は繊維のフィラメント中に均一に分散が可能であり、繊維の品質を安定化することができる。特に、フィラメントを細くすると、通常の炭素材料では均一な分散が図ることができず、繊維が破断しやすくなるのに対して、本発明に係る炭素材料ではフィラメントを細くしても均一な分散が図ることができるので、繊維が破断するのを抑制することができる。
上述の炭素材料を用いて形成されていることを特徴とするヒートシンク。
ヒートシンクに炭素材料を添加すれば、ヒートシンクの熱伝導性が高くなるので、放熱効率が向上する。但し、ヒートシンク中に炭素材料が均一に分散されていない場合には、ヒートシンク内で熱伝導性のバラツキが生じて、均一な放熱が図られ難くなる。これに対して、本発明に係る炭素材料は分散性の高く、ヒートシンク中に炭素材料が均一に分散されるので、ヒートシンク内で熱伝導性のバラツキが生じるのを抑制でき、この結果、均一な放熱を図ることができる。尚、ヒートシンクは、樹脂に炭素材料を配合して作製したり、炭素材料を樹脂に練り込んで成形した複合体を黒鉛化すること等により作製することができる。
上述の炭素材料を用いて形成されていることを特徴とする摺動材。
摺動材に炭素材料を添加すれば、摺動材の耐摩耗性が高くなる。但し、摺動材中に炭素材料が均一に分散されていない場合には、炭素材料の割合が少ない部分において耐摩耗性が低下して、当該部分のみが磨り減ることがある。これに対して、本発明に係る炭素材料は分散性が高く、摺動材中に炭素材料が均一に分散されるので、一部分のみが磨り減る等の不具合の少ない、安定した耐摩耗性を有する摺動材を得ることができる。尚、摺動材は、上記ヒートシンクの場合と同様に、合成樹脂等に炭素材料を配合して作製したり、炭素材料を合成樹脂等に練り込んで成形した複合体を黒鉛化すること等により作製することができる。
上述の炭素材料を用いて形成されていることを特徴とする導電性フィルム。
フィルム中に炭素材料を添加すれば、フィルムに導電性を付与することができる。但し、フィルム中に炭素材料が均一に分散されていない場合には、炭素材料の割合が少ない部分で導電性が低下することがある。これに対して、本発明に係る炭素材料は分散性が高く、フィルム中に炭素材料が均一に分散されるので、優れた導電性を有するフィルムを得ることができる。尚、導電性フィルムの形成方法としては、フィルム中に炭素材料を練り込む方法や、フィルムの表層部に炭素材料を配合する方法があるが、フィルムに十分な導電性を付与するには、後者の方法を用いるのが望ましい。炭素材料が配合された表層部を形成する方法としては、ブロー成形等のフィルムの成形時に複数層成形する方法や、フィルム本体に炭素材料が配合された塗料を塗布して形成する方法が例示される。
上述の炭素材料を用いて形成されていることを特徴とする電界電子放出源材料。
本発明に係る炭素材料は、純度が高められていることから、材料中の品質が安定しており、電界電子放出源材料として用いた場合には、例えばエミッタ時のチラつき等を低減することができる。またG/D比が高められたものを用いれば、グラフェンシート中の欠陥が少なくなっていることから、電子放出源として用いた場合に結晶格子の崩壊が少なく、耐久性を高めることができる。
上述の炭素材料を用いて形成されていることを特徴とする電極の導電助剤。
本発明の炭素材料は高い導電性を有することから、電極の内部抵抗を低下させて、電池やキャパシタの充放電効率を高めることができる。また、炭素材料の純度が高められていることから、炭素材料に含まれる不純物元素に起因する自己放電の促進や、不純物の溶出による溶媒及び電解質(溶質)の変質分解や析出を低減できる。またG/D比が高められたものを用いれば、グラフェンシート中の欠陥が少なくなされていることから、電極の内部抵抗が更に小さくなるので、上記特性の改善に加え、蓄電デバイスのエネルギー変換効率、出力密度及びエネルギー密度等を向上させることができる。
尚、本発明に係る電極の導電助剤は、電極一般に用いることができるが、とりわけリチウムイオン二次電池や電気二重層コンデンサ用の電極の導電助剤として好適に用いることができる。
上述の炭素材料を用いて形成されていることを特徴とする触媒担持材。
カーボンは触媒により分解され難いため、触媒の担持体としては好適に用いられるが、本発明に係る炭素材料はとりわけ高純度のナノスケールの繊維状体であることから、比表面積の拡大を容易に達成できる。したがって、触媒と反応対象物との接触面積を増加させることが可能となって、高い反応効率を有する触媒担持体を得ることができる。また、合成時の触媒金属が高い割合で除去されていることから、残存した触媒が触媒毒となる恐れが小さく、反応阻害要因の少ない担持体とすることもできる。
本発明によれば、カーボンナノチューブの損傷や切断が生じたり、カーボンナノチューブが塊状に固化するのを抑制しつつ、触媒金属やカーボンナノチューブ以外の炭素成分を取り除くことができ、しかも、多層カーボンナノチューブのみならず1400℃以上で構造変化が著しい単層カーボンナノチューブの精製にも適用できるという優れた効果を奏する。
また、カーボンナノチューブを含んだ煤状粉末中の金属不純物の濃度を低減することができるので、灰分分析により測定した金属不純物濃度を飛躍的に低減でき、且つ、カーボンナノチューブが損傷を被ることがないのでラマン分光分析によるG/D比が高くなり、しかも、乾式精製法にて精製するので、表面官能基の付加が少なくなるといった優れた効果も奏する。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、この最良の形態及び後述の実施例によりこの発明が限定されるものではない。
A.最良の形態で用いる装置
(炭素材料を製造する装置)
図1は、アーク放電法により、単層カーボンナノチューブを含んだ炭素材料を製造する装置(以下、炭素材料製造装置と称するときがある)である。図1に示すように、当該炭素材料製造装置は、上チャンバー1と下チャンバー2とを有しており、これら両チャンバー1、2は管路3により連通されている。上記下チャンバー2内には陽極4と陰極5とが対向するように配置されており、これら両極4、5間の距離L1は5mmとなるように配置されている。
上記陽極4は、Ni(ニッケル):Y(イットリウム)=4.2:1.0mo1%の割合で含有した金属/炭素複合材料から成り、その形状は縦15mm×横15mm×長さ300mmの直方体形状を成している。また、上記陰極5は黒鉛から成り、直径30mm×長さ50mmの円柱状を成している。一方、上記上チャンバー1内にはコールドトラップ6が設けられており、このコールドトラップ6内には液体窒素を流すための管路(図示せず)が設けられている。そして、上記両極4、5間に電圧を印加することにより陽極4から炭素成分や金属(Ni、Y)が蒸発し、この蒸発物をコールドトラップ6で冷却することにより、上チャンバー1内に単層カーボンナノチューブを含んだ炭素材料(チャンバー煤であって、以下、未精製炭素材料と称するときがある)9が生成されることになる。
(ハロゲン処理装置)
図2は、上記装置で製造された未精製炭素材料を精製するための一工程を司るハロゲン処理装置を示す概念図である。図2に示すように、本実施例に係るハロゲン処理装置は、ステンレス製のチャンバー11の内側に炭素繊維フェルト断熱材層12を設け、その炭素繊維フェルト断熱材層12の内側にカーボン製のヒーター13を配置し、更にそのヒーター13の内側にカーボン製のサセプター14を備えている。このサセプター14の内部には、未精製炭素材料9を内封したカーボン製のルツボ15が設置されている。尚、上記未精製炭素材料9への不純物混入を防ぐべく、上記サセプター14及びルツボ15は予め高純度化されていることが望ましい。
また、上記チャンバー11は真空容器であって、その上部にはチャンバー11内部と連通するガス排出管路16が設けられ、このガス排出管路16内に設けられた真空ポンプ18によりチャンバー11の減圧状態を維持できる。一方、上記チャンバー11の下部には、上記チャンバー11内部と連通し塩素ガス含有不活性ガスをチャンバー11内部に導入するガス供給管路17が設けられている。そして、上記塩素ガス含有不活性ガスは、上記未精製炭素材料の塩化処理を行なった後、上記ガス排出管路16内に設けられたダストキャッチャー19と上記真空ポンプ18とを経て、最終的にはスクラバー20中の苛性ソーダにより中和され無害化されて大気開放される構成となっている。尚、図2における21は、メッシュ状の底板であって、このようにメッシュ状とすることにより、塩素ガス含有不活性ガスをサセプター14内部に円滑に導入することが可能となっている。
(酸化処理装置)
図3は、上記ハロゲン処理装置で一次精製されたカーボンナノチューブを含んだ炭素材料を更に精製するための一工程を司る酸化処理装置を示す概念図である。図3に示すように、本実施例に係る酸化処理装置は、両端がステンレス製のシールポート32、33により封口された筒状の酸化処理炉31を有している。上記シールポート33のガス導入路33aには、内部にアルゴンガスが貯蔵された第1ボンベ34と内部にアルゴンガス及び酸素ガスが貯蔵された第2ボンベ35とが管路38を介して接続されており、これにより、酸化処理炉31内にアルゴンガス又はアルゴンガスと酸素ガスとの混合ガスを導入することができる。尚、34a、35aはガス流量計である。一方、上記シールポート32のガス排出路32aには、酸化処理炉31内に導入されたガスを外部に排出するための管路39が接続されている。
また、上記酸化処理炉31の外部には、酸化処理炉31内を加温するためのヒーター36が設けられる一方、上記酸化処理炉31の内部には石英製のルツボ37が設けられている。このルツボ37は、図4(a)(b)に示すように、筒状を成す本体部37aを有しており、この本体部37aの一方の端部には側壁37bが設けられている。この側壁37bには多数の孔37cが設けられており、この孔37cを上述したガスが通ることによって、図2の装置でハロゲン処理を終えた炭素材料にガスを均一に当てることが可能になる。尚、このような作用を発揮するためには、上記ルツボ37を2個併設することが望ましい。
B.上記3つの装置を用いた炭素材料の製造、及びこの炭素材料の精製
(炭素材料の製造)
先ず、上記(1)に示す炭素材料製造装置の上下チャンバー1、2内の圧力が5Torr以下となるように図示しない真空ポンプで真空引きした後に、上下チャンバー1、2内の圧力が200Torrとなるようにヘリウムガスを導入し、450Aの電流を流すと共に、電極間距離L1を5mmに保った状態で25Vの直流電圧を印加してアーク放電させた(図1中の符号8部分でアークプラズマが発生している状態)。このアーク放電により陽極4から炭素成分や触媒金属等が蒸発し、この蒸発物がヘリウムガスとともに上チャンバー1のコールドトラップ6表面に搬送される。そうすると、コールドトラップ6で蒸発物が冷却され、これによって、未精製炭素材料9が生成されることになる。次いで、上記アーク放電が終了した後、上下チャンバー1、2内部を十分に冷却し、更に大気開放することにより、上チャンバー1内に堆積した未精製炭素材料5.3gを回収した。
(炭素材料の精製)
炭素材料の精製は、下記(1)〜(3)に示す3つの工程を経て行なった。
(1)ハロゲン処理工程
上記未精製炭素材料500.0mgをルツボ15内に配置し、当該ルツボ15を図2で示したハロゲン処理装置内に配置した。次いで、チャンバー11内を1Torr以下に真空排気し、更に、カーボン製ヒーター13に通電を行なってチャンバー11内部を1000℃まで昇温させた。次に、ガス供給管路17からアルゴンガスをチャンバー11内に導入して、チャンバー11内部の圧力が70Torrとなるように調整し、当該圧力となった後は毎分1Lのアルゴンガスをチャンバー11内に導入した。その後、アルゴンガスに加えて、ガス供給管路17から塩素ガスをチャンバー11内に導入し、チャンバー内部の圧力が90Torrとなるように調整し、当該圧力となった後は毎分0.3Lの塩素ガスをチャンバー11内に導入した。そのままの状態で、1時間保持した後に通電を停止し、更にアルゴンガスと塩素ガスとの導入を停止して真空冷却した。最後に、1Torr以下の圧力で真空冷却を12時間行なった後、チャンバー11内部が室温まで冷却されていることを確認したうえで大気圧になるまで窒素ガスをチャンバー11内に導入し、しかる後、チャンバー11を開封してルツボ15を取り出した。このようにして未精製炭素材料のハロゲン処理を行なった。尚、ハロゲン処理を行なった炭素材料を秤量したところ、326.9mgであった。
(2)酸化処理工程
上記ハロゲン処理を行なった炭素材料200mgを、図3及び図4に示したルツボ37内に配置すると共に、第1ボンベ34からアルゴンガスを酸化処理炉31内に導入しつつヒーター36で酸化処理炉31内を400℃まで上昇させた。このような状態で、上記内部に炭素材料を備えたルツボ37を酸化処理炉31内に配置させ、且つ、第1ボンベ34のバルブを閉じ、第2ボンベのバルブを開けることにより、酸化処理炉31内にアルゴンガスと酸素ガスとの混合ガス(アルゴンガスと酸素ガスとの体積比率は80:20)を導入した。この場合の混合ガス導入量は毎分1Lとした。尚、酸素ガス以外にアルゴンガスを含むのは、アルゴンガスの存在によりカーボンナノチューブ酸化を緩やかに行うこと、即ち、酸化速度のコントロールを可能とするためである。このような状態を30分間保持した後、酸化処理炉31からルツボ37取り出して、更にルツボ37内で冷却した。このようにしてハロゲン処理を終えた炭素材料の酸化処理を行なった。尚、当該炭素材料を冷却した後に秤量したとところ110.9mgであった。
(3)再度のハロゲン処理工程
上記ハロゲン処理工程で用いたハロゲン処理装置を用いて、上記酸化処理を行なった炭素材料100mgを再度のハロゲン処理(以下、ハロゲン再処理と称するときがある)した。尚、ハロゲン再処理工程における各種条件(チャンバー11内の圧力や温度等)は上記(1)ハロゲン処理工程で示した条件と全て同様であるので、その詳細は省略する。また、ハロゲン再処理工程後の炭素材料を秤量したところ65.6mgであった。
〔第1実施例〕
(実施例1)
実施例1としては、上記最良の形態における(1)ハロゲン処理工程を終えた炭素材料を用いた。
このようにして作製した炭素材料を、以下、本発明炭素材料A1と称する。
(実施例2)
実施例2としては、上記最良の形態における(2)酸化処理工程を終えた炭素材料を用いた。
このようにして作製した炭素材料を、以下、本発明炭素材料A2と称する。
(実施例3)
実施例3としては、上記最良の形態における(3)ハロゲン再処理工程を終えた炭素材料を用いた。
このようにして作製した炭素材料を、以下、本発明炭素材料A3と称する。
(比較例1)
比較例1においては、上記最良の形態で示した未精製炭素材料を塩酸で湿式精製処理した。具体的には、以下の通りである。
先ず、未精製炭素材料500.0mgを500mlの三角フラスコに入れた後、35重量%の濃塩酸を当該三角フラスコ内に100ml注ぎ込み、更に超音波を5分間照射させて濃塩酸中に未精製炭素材料を分散させた。次に、上記三角フラスコをドラフト内で12時開静置させた後、濾過して濾液が中性となるまで蒸留水で洗浄した。次いで、濾紙上の残渣を50mlのビーカーに蒸留水で流し入れた後、ビーカーごと120℃の乾燥機内で乾燥させ、更に真空乾燥炉内にて120℃で2時間の真空乾燥処理を行なった。このようにして未精製炭素材料の塩酸処理を行なった。尚、塩酸処理を行なった炭素材料を秤量したところ、488.6mgであった。
このようにして作製した炭素材料を、以下、比較炭素材料Z1と称する。
(比較例2)
上記比較例1で得られた塩酸処理終了後の炭素材料200.0mgを、上記図3及び図4で示した酸化処理装置にて酸化処理した。尚、酸化処理工程における各種条件(酸化処理炉31内の圧力や温度等)は上記実施例2の条件と全て同様であるので、その詳細は省略する。また、酸化処理工程後の炭素材料を秤量したところ164.6mgであった。
このようにして作製した炭素材料を、以下、比較炭素材料Z2と称する。
(比較例3)
上記比較例2で得られた酸化処理終了後の炭素材料100.0mgに再度の塩酸処理(以下、塩酸再処理と称するときがある)を行なった。尚、塩酸再処理工程における各種条件(酸濃度や酸に浸漬する時間等)は上記比較例1の塩酸処理工程における条件と全て同様であるので、その詳細は省略する。また、塩酸再処理工程後の炭素材料を秤量したところ27.4mgであった。
このようにして作製した炭素材料を、以下、比較炭素材料Z3と称する。
(比較例4)
CVD法で作製したカーボンナノチューブ(Unidym社製のカーボンナノチューブであって、未精製の場合のG/D比は8.5、未精製の場合の灰分量は31.45重量%である)を用いた他は、上記実施例1と同様にしてハロゲン処理工程を終えた炭素材料を作製した。
このようにして作製した炭素材料を、以下、比較炭素材料Y1と称する。
(実験)
上記本発明炭素材料A1〜A3及び比較炭素材料Z1〜Z3、Y1を用いて、下記(1)〜(4)の実験を行ったので、その結果を表1に示す。
(1)カーボンナノチューブの結晶性の評価
カーボンナノチューブの結晶性の評価は、ラマン分光法によるG/D比の評価が一般的である。尚、TEM観察による可視的な評価が併用されることもあるが、当該評価法では定量的表現が困難であることを考慮して、本実験においてはラマン分光法を採用した。具体的には、以下の通りである。
ラマン分光法におけるラマンスペクトルにおいて、1570〜1610cm-1(通常は、1590cm-1付近)でのピークはグラファイトの六員環網目の面内収縮振動でありG−Bandと呼ばれる。また、1320〜1360cm-1(通常は、1340cm-1付近)に見られるピークは、欠陥に起因しておりD−Bandと呼ばれる。したがって、G−BandとD−Bandとのピーク強度の比であるG/D比は、その値が大きいほどカーボンナノチューブを構成するグラフェンシート中の欠陥の割合が小さいと見なされることから、カーボンナノチューブを含んだ炭素材料中のカーボンナノチューブの品質評価に用いることができる。
但し、G−Bandの強度はラマン分光法で用いるレーザー励起波長に共鳴的に依存するため、G/D比もレーザー励起波長に依存する。したがって、同じ指標で評価するには同じレーザー励起波長を用いで評価する必要がある。本実験においては、ラマン分光法は波長532nmのYAGレーザーを用い、サーモニコレイ社の顕微ラマン分光装置ALMEGAによりマクロモードで測定した。
(2)炭素材料の純度分析
炭素材料の純度分析には、示唆熱・熱重量法(TG/DTA)を用いた。具体的には、以下の通りである。
先ず、炭素材料(試料)を白金皿に載せて、毎分400mlの流量で大気を流しつつ毎分10℃の速度で1000℃まで昇温して完全に灰化させた。次に、白金皿に残った灰分の重量から炭素材料の純度を算出し、灰分のXMAから灰分の組成を定量分析したうえで炭素材料中の金属不純物の濃度を算出した。
尚、TG/DTAにおいて、酸化開始温度の差異から、先ず非晶質炭素の燃焼が生じ、次にカーボンナノチューブの燃焼が生じ、最後にグラファイトの燃焼が生じることが知られている。したがって、DTGのピーク面積を比較することで、単層カーボンナノチューブ含有炭素材料中の非晶質炭素とカーボンナノチューブとグラファイトとの組成比率を知ることができる。
(3)炭素材料の表面官能基量の相対比較
炭素材料の表面官能基量の相対比較には、水蒸気吸着率の測定を用いた。未精製炭素材料から湿式精製法(比較例の塩酸処理、塩酸再処理)により金属不純物を除去する場合は、カーボンナノチューブ表面に大量の表面官能基(水酸基やカルボニル基等)が付着していることが知られている。これらの表面官能基の付加率が高いほど水蒸気吸着率が高くなり、付加率が低いほど水蒸気吸着率が低くなるといえる。水蒸気吸着率の測定には、ユアサアイオニクス(株)製のハイドロソープ1000HS−1を用いた。前処理として、100℃で2時間の真空乾燥をした後に100℃の水蒸気を吸脱着させた。
また、水蒸気吸着率の測定で得られた炭素材料の表面官能基の相対比較結果を検証する目的で、X線光電子分析法(XPS)による酸素の定量を試みた。XPS装置としては、(株)クレイトスアナリティカル製(販売元、(株)島津製作所)AXIS−165を用いた。具体的には、炭素材料試料をホルダーに導電性接着剤で固定してXPS装置内部へ挿入後、8×10-9Torr以下に真空引きした後に測定を開始した。また、X線はMgターゲットを電流値15mA、加速電圧15kVで用いた。そして、露光時間1000msで0.5eVの刻み幅で測定し、532eV付近に現れる酸素元素の1sピークと、284eV付近に現れる炭素元素の1sピークとを観測した。酸素の定量は感度係数法を採用した。すなわち、酸素元素の1sのピーク面積を感度係数(0.63)で除した値を、炭素元素の1sピーク面積を感度係数(0.205)で除した値で除し、これによって得られた値をO/C値として算出した。
(4)その他
煤状粉未中における金属不純物の存在形態を調査する目的で、XRDによる定性分析に併せてTEM観察及びTEM中でのEDX分析を行なった。
Figure 0005424481
(1)G/D比に関する結果
表1から明らかなように、G/D比に関して、アーク放電法により作製した未精製の炭素材料においては101であるが、本発明の如く乾式精製処理を施した場合には、ハロゲン処理後の本発明炭素材料A1では115、酸化処理後の本発明炭素材料A2では115、ハロゲン再処理後の本発明炭素材料A3では134であり、未精製の炭素材料よりG/D比が大きくなっており、グラフェンシート中の欠陥が少なくなっていることが認められる。これに対して、同一の未精製の炭素材料を用いたにも関わらず、比較例の如く湿式精製処理を施した場合には、塩酸処理後の比較炭素材料Z1では49、酸化処理後の比較炭素材料Z2では95、塩酸再処理後の比較炭素材料Z3では87であって、未精製の炭素材料より小さくなっており、グラフェンシート中の欠陥が多くなっていることが認められる。
これは、比較例の如く湿式精製処理を用いた場合には、酸性水溶液中に分散させる際に超音波を照射することによって、カーボンナノチューブに損傷や切断が生じるのに対して、本発明の如く乾式精製処理を用いた場合には、超音波照射することなく処理を行なうことができるので、カーボンナノチューブに損傷や切断が生じないということに起因するものと考えられる。
尚、G/D比に関して、CVD法により炭素材料を作製した場合には、未精製の炭素材料においては8.5であるが、ハロゲン処理後の比較炭素材料Y1では8.8であり、未精製の炭素材料よりG/D比が大きくなっていることが認められる。但し、CVD法により炭素材料を作製した場合には、アーク放電法により炭素材料を作製した場合に比べて、G/D比の絶対値が極めて小さくなっている。これは、CVD法により炭素材料を作製した場合には、アーク放電法と較べ欠陥が多く生じやすいためと考えられる。
(2)灰分の割合に関する結果
表1から明らかなように、灰分(触媒金属とイットリウム)の割合に関して、未精製の炭素材料においては50.8重量%であるが、本発明の如く乾式精製処理を施した場合には、ハロゲン処理後の本発明炭素材料A1では20.6重量%、酸化処理後の本発明炭素材料A2では35.2重量%、ハロゲン再処理後の本発明炭素材料A3では0.07重量%であり、灰分が十分に除去されていることが認められる。これに対して、同一の未精製の炭素材料を用いたにも関わらず、比較例の如く湿式精製処理を施した場合には、塩酸処理後の比較炭素材料Z1では49.8重量%、酸化処理後の比較炭素材料Z2では73.6重量%、塩酸再処理後の比較炭素材料Z3では8.7重量%であって、灰分が十分に除去されていないことが認められる。したがって、本発明炭素材料A1〜A3(特に、本発明炭素材料A3)は比較炭素材料Z1〜Z3と比べて(同一の処理が終了した時点での比較であり、例えば、本発明炭素材料A3では比較炭素材料Z3と比べて)、極めてカーボンナノチューブの割合が高いことがわかる。
尚、酸化処理後の本発明炭素材料A2がハロゲン処理後の本発明炭素材料A1より灰分の割合が高くなり、また、酸化処理後の比較炭素材料Z2が塩酸処理後の比較炭素材料Z1より灰分の割合が高くなっているのは、酸化処理により、非晶質炭素が除去されるため、その分だけ炭素材料中の灰分の相対的な割合が増加するということに起因するものである。
また、アーク放電法により炭素材料を作製した場合には、ハロゲン処理後の灰分の減少率は約59.4%(〔[50.8−20.6]/50.8〕×100)であるのに対して、CVD法により炭素材料を作製した場合には、ハロゲン処理後の灰分の減少率は約43.2%(〔[31.45−17.85]/31.45〕×100)であって、後者の場合の方が灰分の減少率が低くなっていることが認められる。
(3)金属不純物濃度に関する結果
本実験は上記灰分の具体的内容を明らかにするために行なったものである。
表1から明らかなように、金属不純物濃度に関に関して、未精製の炭素材料においてはNi元素が46.8重量%、Y元素が4.0重量%であるが、本発明の如く乾式精製処理を施した場合には、ハロゲン処理後の本発明炭素材料A1ではNi元素が17.8重量%、Y元素が2.8重量%、酸化処理後の本発明炭素材料A2ではNi元素が30.7重量%、Y元素が4.5重量%、ハロゲン再処理後の本発明炭素材料A3ではNi元素が0.017重量%、Y元素が0.051重量%であることが認められる。これに対して、同一の未精製の炭素材料を用い、比較例の如く湿式精製処理を施した場合には、塩酸処理後の比較炭素材料Z1ではNi元素が46.9重量%、Y元素が2.9重量%、酸化処理後の比較炭素材料Z2ではNi元素が69.0重量%、Y元素が4.6重量%、塩酸再処理後の比較炭素材料Z3ではNi元素が8.1重量%、Y元素が0.6重量%であることが認められる。
上記の結果から、本発明炭素材料A1〜A3と比較炭素材料Z1〜Z3とでは、Y元素の残存量については余り差異がみられないが、Ni元素の残存量については、本発明炭素材料A1〜A3は比較炭素材料Z1〜Z3と比べて(同一の処理が終了した時点での比較であり、例えば、本発明炭素材料A1では比較炭素材料Z1と比べて)低減していることが認められる。したがって、Ni元素の残存量が灰分の量に大きく影響していることがわかる。
尚、実施例3におけるハロゲン再処理工程における処理温度を、実施例1におけるハロゲン処理工程における処理温度より高くすると(1200℃程度)、Y元素の残存量を一層低減することが可能である。また、触媒金属としては、Niの代わりに後述のFe或いはCoを用いても、同様の結果を得ることができる。
(4)その他の実験に関する結果
表1から明らかなように、ハロゲン再処理後の本発明炭素材料A3では純度が99.9重量%と非常に高いのに対して、塩酸再処理後の比較炭素材料Z3では純度が91.3重量%と低くなっていることが認められる。また、ハロゲン再処理後の本発明炭素材料A3では水吸着が129.3cc/gと少ないのに対して、塩酸再処理後の比較炭素材料Z3では水吸着が205.0cc/gと多くなっていることも認められる。
また、XPSの測定結果から、未精製の炭素材料のO/C値は0.028であった。ハロゲン処理後の本発明炭素材料A1のO/C値は0.008であるのに対して、塩酸処理後の比較炭素材料Z1のO/C値は0.049であり、比較炭素材料Z1の方が本発明炭素材料A1よりO/C値が大きくなっていることが認められた。更に、ハロゲン再処理後の本発明炭素材料A3では、O/C値が0.015であるのに対して、塩酸再処理後の比較炭素材料Z3ではO/C値が0.058であり、比較炭素材料Z3の方が本発明炭素材料A3よりO/C値が大きくなっていることが認められた。以上のことから、O/C値は上記水蒸気吸着量と相関があることが確認できる。尚、上記実験には示していないが、O/C値が0.032以下であれば、水蒸気吸着量を所望の値(200cc/g、より好ましくは170cc/g)以下に規制できることが確認できた。したがって、O/C値は0.032以下であることが望ましい。
また、未精製の炭素材料をXRDの分析したところ、Ni金属が同定された。更に、当該炭素材料をTEM観察したところ、10〜30nmの粒子が観察され、更にEDXにより当該粒子はNi金属粒子であることが判明した。尚、Y元素は単層カーボンナノチューブ付近において若干検出されているが、主として、グラファイトや非晶質炭素中に存在していることが判明した。
表1には示していないが、比較炭素材料Z1〜Z3ではカーボンナノチューブが塊状に固化していることが認められるのに対して、本発明炭素材料A1〜A3では、そのような不都合は生じていないことが認められた。また、本発明炭素材料A3ではTG/DTA酸化開始温度が600℃であって、通常より高くなっていることも認められた。
〔第2実施例〕
(実施例1)
(1)炭素材料の製造
炭素材料を製造する装置としては、上記最良の形態で示した図1の装置を用いた。但し、陽極の触媒金属としてFe(1.0mol%)元素のみを用いると共に、上下チャンバー内に導入するガスとして、アルゴン:水素=6:4の割合のアルゴンと水素の混合ガスを用いた点が最良の形態とは異なっている。このようにして、上チャンバー1内に堆積した未精製炭素材料2.1gを回収した。
(2)ハロゲン処理
上記未精製炭素材料500.0mgをルツボ15に封入し、上記図2で示したハロゲン処理装置を用い、最良の形態のハロゲン処理工程に記載の条件と同様の条件でハロゲン処理を行なった。尚、ハロゲン処理を行なった炭素材料を秤量したところ、340.9mgであった。
このようにして作製した炭素材料を、以下、本発明炭素材料B1と称する。
(実施例2)
上記ハロゲン処理後の炭素材料200mgをルツボ内に配置し、上記図3で示した酸化処理装置を用い、最良の形態の酸化処理工程に記載の条件と同様の条件で酸化処理を行なった。尚、酸化処理後の炭素材料を秤量したところ、190mgであった。
このようにして作製した炭素材料を、以下、本発明炭素材料B2と称する。
(実施例3)
上記酸化処理後の炭素材料100.0mgをルツボ15に封入し、上記図1で示したハロゲン処理装置を用い、最良の形態のハロゲン再処理工程に記載の条件と同様の条件でハロゲン再処理を行なった。尚、ハロゲン再処理後の炭素材料を秤量したところ、88.3mgであった。
このようにして作製した炭素材料を、以下、本発明炭素材料B3と称する。
(実験)
上記本発明炭素材料B1〜B3を用いて、上記第1実施例の(1)カーボンナノチューブの結晶性の評価、(2)炭素材料の純度分析、及び(3)炭素材料の表面官能基量の相対比較と同様の実験を行ったので、その結果を表2に示す。
Figure 0005424481
(1)G/D比に関する結果
表2から明らかなように、G/D比に関して、未精製の炭素材料においては22であるが、本発明の如く乾式精製処理を施した場合には、ハロゲン処理後の本発明炭素材料B1では58、酸化処理後の本発明炭素材料B2では34、ハロゲン再処理後の本発明炭素材料B3では20であり、上記第1実施例で示した本発明炭素材料A1〜A3に比べてG/D比が低くなっていることが認められる。
これは、未精製の炭素材料作製時の触媒金属が、本発明炭素材料B1〜B3ではFe元素のみであるのに対して、上記第1実施例で示した本発明炭素材料A1〜A3ではNi元素(Fe元素と同様の役割を担う触媒金属)のみならずY元素をも含んでいることに起因するものと考えられる。
(2)灰分の割合及び金属不純物濃度に関する結果
表2から明らかなように、灰分の割合に関して、未精製の炭素材料においては58.5重量%であるが、本発明の如く乾式精製処理を施した場合には、ハロゲン処理後の本発明炭素材料B1では7.88重量%、酸化処理後の本発明炭素材料B2では18.81重量%、ハロゲン再処理後の本発明炭素材料B3では14.31重量%であり、本発明炭素材料B1、B2の段階では本発明炭素材料A1、A2と遜色ないが、本発明炭素材料B3の段階では本発明炭素材料A3と比べて灰分が十分には除去されていないことが認められる。この理由を図5により説明する。
a.Ni(或いはFe)粒子の表面の一部が、非晶質炭素やグラファイトから成る炭素被膜で覆われていない場合
図5(a)に示すように、未精製の炭素材料(合成直後)においてNi(或いはFe)粒子40の表面の一部が炭素被膜42で覆われていない場合(Ni粒子40の表面の少なくとも一部が露出している場合)に塩素等のハロゲンガス43でハロゲン処理を行なうと、ハロゲンガス43とNi粒子40とが直接接することになるので、ハロゲン処理によりNi粒子40が円滑に除去される。この結果、Ni粒子40の表面の一部が炭素被膜42で覆われていない場合にはY粒子41の有無に関わらずNi粒子40が除去される。
b.Ni(或いはFe)粒子の表面の全部が、非晶質炭素やグラファイトから成る炭素被膜で覆われている場合であって、Y粒子が含まれている場合
図5(b)に示すように、未精製の炭素材料(合成直後)においてNi(或いはFe)粒子40の表面の全部が炭素被膜42で覆われている場合(Ni粒子40の表面が全く露出していない場合)に塩素ガス等のハロゲンガス43でハロゲン処理を行なっても、ハロゲンガス43とNi粒子40とが直接接しないので、Ni粒子40は除去されない。しかしながら、ハロゲン処理後の酸化処理において、Y粒子41が触媒としての作用を発揮するために、酸化処理工程でNi粒子40表面の炭素被膜42が除去されることになる。そして、Ni粒子40の表面が露出した状態でハロゲン再処理を行なうと、ハロゲンガス43とNi粒子40とが直接接することになるので、ハロゲン再処理によりNi粒子40が円滑に除去される。以上のように、Ni粒子40の表面の全部が炭素被膜42で覆われている場合であっても、Y粒子41が存在していれば、Ni粒子40が除去されることになる。
c.Ni(或いはFe)粒子の表面の全部が、非晶質炭素やグラファイトから成る炭素被膜で覆われている場合であって、Y粒子が含まれていない場合
図5(c)に示すように、Ni(或いはFe)粒子40の表面の全部が炭素被膜42で覆われている場合には、b.の場合と同様に、塩素ガス等のハロゲンガス43でハロゲン処理を行なっても、ハロゲンガス43とNi粒子40とが直接接しないので、Ni粒子40は除去されない。更に、ハロゲン処理後の酸化処理において、Y粒子41が存在しないために、Ni粒子40表面の炭素被膜42(特に、結晶性の高いグラファイト被膜)が十分に除去されない。この結果、Ni粒子40の表面が露出していない状態でハロゲン再処理が行なわれ、ハロゲンガス43とNi粒子40とが直接接しないので、Ni粒子40が除去されない。以上のように、Ni粒子の表面の全部が、非晶質炭素やグラファイトから成る炭素被膜42で覆われている場合であって、Y粒子が含まれていない場合には、Ni粒子40が除去されないことになる。
d.まとめ
上記a.〜c.で示した理由により、Y粒子を含む本発明炭素材料A3では灰分が十分に除去される一方、Y粒子を含まない本発明炭素材料B3では灰分が十分には除去されないことになる。したがって、カーボンナノチューブを含む炭素材料の作製時には、Yを含ませておくのが好ましい。
(3)その他の実験に関する結果
表2から明らかなように、ハロゲン再処理後の本発明炭素材料B3では水吸着が110.9cc/gと少なくなっていることが認められる。
(4)陽極の触媒金属としてFeを用いる場合の利点及びその改良点
上述の実験結果からは、陽極の触媒金属としてFeを用いた場合の利点は少ないようにも思えるが、雰囲気ガスとして水素を用いると共に、Feを含有した金属・炭素複合電極を陽極に用いてアーク放電した場合には、水素が非晶質炭素を除去することによって、非晶質炭素を殆ど含まない炭素材料が得られることが知られており、(前記非特許文献3参照)且つ、Fe粒子周辺の炭素膜も数層のみであって薄いことも知られている。
但し、そのようにして作製したカーボンナノチューブを含む炭素材料において、Fe粒子のいくつかは、水素によって除去出来なかった結晶性の高いグラファイト膜で完全に覆われており、塩素処理やハロゲン処理では容易に除去できない。したがって、純度の高い炭素材料を得るには、大気や過酸化水素水等によりグラファイト膜を酸化させて除去する必要があるが、カーボンナノチューブよりも安定なグラファイト膜を除去するには強い酸化処理を施さなければならない。しかし、このような処理を施すと、グラファイト膜のみならずカーボンナノチューブの大部分も同時に失うことになり、精製収率が低くなる。
そこで、雰囲気ガスとして水素を用いると共に、触媒金属としてのFeとYとを含む金属・炭素複合電極を陽極に用いて、カーボンナノチューブを含む炭素材料にYを含ませることが有効である。そして、このようにして作製した炭素材料においては、元来、非晶質炭素の含有量が少ない上に、Yの添加効果でFe粒子表面のグラファイト膜を容易に除去でき、比較的弱い酸化処理で精製可能である。この結果、カーボンナノチューブの精製収率を飛躍的に向上させることができる。
(その他の事項)
(1)上記実施例では未精製の炭素材料をアーク放電法で作製したが、このような方法に限定するものではなく、レーザー蒸発法、CVD法等を用いて作製しても本発明を適用しうることは勿論である。但し、結晶性の高いカーボンナノチューブを含んだ高純度炭素材料を得るには、アーク放電法あるいはレーザー蒸発法により合成された炭素材料を用いることが望ましい。
(2)カーボンナノチューブとしては、単層カーボンナノチューブを用いることもできるし、多層カーボンナノチューブを用いることもできるが、不活性ガス雰囲気中で加熱するのみで金属不純物を除去できる多層カーボンナノチューブと異なり、1400℃以上での構造変化を生じる単層カーボンナノチューブに本発明を用いる方がより効果的である。
(3)上記実施例では高温中でハロゲン処理を行なったが、この方法に限定するものではなく、プラズマ中でハロゲン処理を行なっても同様の作用効果を得ることができる。
(4)酸化処理工程において、酸化ガスとして酸素ガスを用い、酸化ガスと混合させるガスとしてアルゴンガスを用いたが、これらのガスに限定するものではなく、前者のガスとして空気等を用い、後者のガスとして窒素ガス、ヘリウムガス、ネオンガスを用いることも可能である。また、非晶質炭素やグラファイトを除去する工程としては酸化処理工程に限定するものではなく、水素ガスを用いた還元処理工程であっても良い。尚、この場合には、非晶質炭素はメタンとなって除去されることになる。
(5)アーク放電法によりカーボンナノチューブを含む炭素材料を作製する場合は、陽極原料の総量に対する金属触媒の量は0.5mol%以上5mol%以下であることが望ましく、また、陽極原料にイットリウムを含む場合には、陽極原料の総量に対するイットリウムの量は0.125mol以上1.25mol%以下であることが望ましい。
本発明は、例えば、燃料電池やリチウム2次電池用負極材、樹脂や有機半導体との複合材料からなる高強度樹脂、導電性樹脂、電磁波シールド材の材料、走査型トンネル顕微鏡用プローブ、電界電子放出源、ナノピンセットの材料、吸着材料、医療用ナノカプセル、繊維、ヒートシンク、摺動材、電極の導電助剤、触媒担持材及び導電性フィルムの材料として好ましく適用することができる。
炭素材料を製造する装置の説明図である。 ハロゲン処理装置の説明図である。 酸化処理装置の説明図である。 酸化処理装置に用いるルツボを示す図であって、同図(a)は縦断面図、同図(b)は側面図である。 金属不純物や炭素被膜を除去する際の説明図であって、同図(a)は触媒金属の表面の一部が炭素被膜で覆われていない場合の説明図、同図(b)は触媒金属の表面の全部が炭素被膜で覆われている場合であってY粒子が含まれている場合の説明図、同図(c)は触媒金属の表面の全部が炭素被膜で覆われている場合であってY粒子が含まれていない場合の説明図である。
符号の説明
4:陽極
5:陰極
13:ヒーター
14:サセプター
15:ルツボ
31:酸化処理炉
34:第1ボンベ
35:第2ボンベ
36:ヒーター
37:ルツボ

Claims (7)

  1. 少なくとも炭素と触媒金属とを含む原料を陽極として用い、アーク放電法によりカーボンナノチューブを含む炭素材料を作製する炭素材料作製工程と、
    上記炭素材料と、ハロゲンガス及び/又はハロゲン化合物ガスを含むガスとを接触させる最初のハロゲン処理工程と、
    を有し、上記ハロゲン処理工程の後に、上記炭素材料と酸素ガスを含むガスとを接触させる酸化処理工程を有し、
    更に上記酸化処理工程の後に、上記炭素材料と、ハロゲンガス及び/又はハロゲン化合物ガスを含むガスとを接触させる再度のハロゲン処理工程を有することを特徴とするカーボンナノチューブを含んだ炭素材料の精製方法。
  2. 上記炭素材料作製工程において、上記陽極の原料には希土類金属から選択される少なくとも1種が含まれている、請求項1に記載のカーボンナノチューブを含んだ炭素材料の精製方法。
  3. 上記希土類金属としてイットリウムを用いる、請求項2に記載のカーボンナノチューブを含んだ炭素材料の精製方法。
  4. 上記再度のハロゲン処理工程は、最初のハロゲン処理工程より高温で行われる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブを含んだ炭素材料の精製方法。
  5. 上記ハロゲン処理工程を600℃以上1600℃以下の温度雰囲気で行う、請求項1〜4のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブを含んだ炭素材料の精製方法。
  6. 上記ハロゲン処理工程におけるガスとして塩素ガスを用いる、請求項1〜5のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブを含んだ炭素材料の精製方法。
  7. 上記酸化処理工程を250℃以上800℃以下の温度雰囲気で行う、請求項2〜6のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブを含んだ炭素材料の精製方法。
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