JP5228323B2 - 単層カーボンナノチューブの製造方法 - Google Patents
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近年、単層カーボンナノチューブを含む試料の精製のための多数の異なるアプローチが追求された。これらのアプローチは主として酸化的方法、化学修飾法、濾過、クロマトグラフィーなどに分類することができる。
カーボンナノチューブの精製方法に関しては多くの文献がある(例えば、非特許文献1〜10参照。)。
シリコン表面上に良く分散させた単層カーボンナノチューブを空気中において500℃で処理することにより単層カーボンナノチューブを切断する熱酸化法が開発された。しかしながら、このような高温は大量の単層カーボンナノチューブの消失を避けられず、収率を非常に低くしてしまう。
カーボンナノチューブの切断方法に関しては多くの文献がある(例えば、非特許文献11〜18参照。)。
この発明が解決しようとするさらに他の課題は、上記の単層カーボンナノチューブの製造方法を利用して単層カーボンナノチューブを製造することにより、高性能の単層カーボンナノチューブ応用装置を製造することができる単層カーボンナノチューブ応用装置の製造方法を提供することである。
単層カーボンナノチューブを含むカーボン系材料を酸で処理する工程と、
上記酸で処理された上記カーボン系材料を酸化剤で処理する工程と、
上記酸化剤で処理された上記カーボン系材料を還元性ガスで処理する工程と
を有することを特徴とする単層カーボンナノチューブの製造方法である。
単層カーボンナノチューブを含むカーボン系材料を酸で処理する工程と、
上記酸で処理された上記カーボン系材料を酸化剤で処理する工程と、
上記酸化剤で処理された上記カーボン系材料を還元性ガスで処理する工程とを実行することにより製造されることを特徴とする単層カーボンナノチューブである。
単層カーボンナノチューブを含むカーボン系材料を酸で処理する工程と、
上記酸で処理された上記カーボン系材料を酸化剤で処理する工程と、
上記酸化剤で処理された上記カーボン系材料を還元性ガスで処理する工程と
を有することを特徴とする単層カーボンナノチューブ応用装置の製造方法である。
第1の例による単層カーボンナノチューブの製造方法は、
(a)酸溶液を用いて金属不純物を除去する工程と、
(b)10℃以上70℃以下の温度で2時間以上20時間以下超音波処理を行うことにより単層カーボンナノチューブを界面活性剤またはポリマーまたはそれらの混合物からなる分散剤で包み込む工程と、
(c)上記分散剤で包み込まれた上記単層カーボンナノチューブを、濃硫酸と硝酸、過マンガン酸塩、ニクロム酸塩、鉄酸塩、過酸化水素および過硫酸塩化合物からなる群より選ばれた少なくとも一種類の酸化剤との混合物中において10℃以上70℃以下の温度で4時間以上80時間以下超音波処理を行うことにより切断する工程と、
(d)上記切断された上記単層カーボンナノチューブを管状炉で還元性ガスを0.2L/min以上5.0L/min以下の流量で流しながら500℃以上1500℃以下の温度で処理する工程とを有し、
最終的な精製された短い単層カーボンナノチューブを透過型電子顕微鏡で観察したとき、観察されたカーボンナノチューブの少なくとも95%以上が単層カーボンナノチューブであることを特徴とする。
(a)酸溶液を用いて金属不純物を除去する工程と、
(b)10℃以上70℃以下の温度で2時間以上20時間以下超音波処理を行うことにより単層カーボンナノチューブを界面活性剤またはポリマーまたはそれらの混合物からなる分散剤で包み込む工程と、
(c)上記分散剤で包み込まれた上記単層カーボンナノチューブを、濃硫酸と硝酸、過マンガン酸塩、ニクロム酸塩、鉄酸塩、過酸化水素および過硫酸塩化合物からなる群より選ばれた少なくとも一種類の酸化剤との混合物中において10℃以上70℃以下の温度で4時間以上80時間以下超音波処理を行うことにより切断する工程と、
(d)上記切断された上記単層カーボンナノチューブを管状炉で還元性ガスを0.2L/min以上5.0L/min以下の流量で流しながら500℃以上1500℃以下の温度で処理する工程とを有し、
最終的な精製された短い単層カーボンナノチューブを透過型電子顕微鏡で観察したとき、観察されたカーボンナノチューブの95%以上が単層カーボンナノチューブであり、かつ、単層カーボンナノチューブの少なくとも90%以上が1000nmより短いことを特徴とする。
(a)酸溶液を用いて金属不純物を除去する工程と、
(b)10℃以上70℃以下の温度で2時間以上20時間以下超音波処理を行うことにより単層カーボンナノチューブを界面活性剤またはポリマーまたはそれらの混合物からなる分散剤で包み込む工程と、
(c)上記分散剤で包み込まれた上記単層カーボンナノチューブを、濃硫酸と硝酸、過マンガン酸塩、ニクロム酸塩、鉄酸塩、過酸化水素および過硫酸塩化合物からなる群より選ばれた少なくとも一種類の酸化剤との混合物中において10℃以上70℃以下の温度で4時間以上80時間以下超音波処理を行うことにより切断する工程と、
(d)上記切断された上記単層カーボンナノチューブを管状炉で還元性ガスを0.2L/min以上5.0L/min以下の流量で流しながら500℃以上1500℃以下の温度で処理する工程とを有し、
(e)上記(d)の工程を必要な回数繰り返し、
最終的な単層カーボンナノチューブ組成物を共鳴ラマン散乱測定(励起波長は785nm)で評価したとき、100〜250cm-1付近のRBMバンドおよび1580cm-1付近のGバンドを観察することができ、1330cm-1(Dバンド)付近のピーク高さは1580cm-1(Gバンド)付近のピーク高さの1/30よりも高くないことを特徴とする。
(a)酸溶液を用いて金属不純物を除去する工程と、
(b)10℃以上70℃以下の温度で2時間以上20時間以下超音波処理を行うことにより単層カーボンナノチューブを界面活性剤またはポリマーまたはそれらの混合物からなる分散剤で包み込む工程と、
(c)上記分散剤で包み込まれた上記単層カーボンナノチューブを、濃硫酸と硝酸、過マンガン酸塩、ニクロム酸塩、鉄酸塩、過酸化水素および過硫酸塩化合物からなる群より選ばれた少なくとも一種類の酸化剤との混合物中において10℃以上70℃以下の温度で4時間以上80時間以下超音波処理を行うことにより切断する工程と、
(d)上記切断された上記単層カーボンナノチューブを管状炉で還元性ガスを0.2L/min以上5.0L/min以下の流量で流しながら500℃以上1500℃以下の温度で処理する工程とを有し、
最終的な精製された単層カーボンナノチューブを透過型電子顕微鏡で観察したとき、単層カーボンナノチューブの少なくとも65%以上が1000nmより短いことを特徴とする。
(a)最終的な単層カーボンナノチューブを透過型電子顕微鏡で観察したとき、単層カーボンナノチューブの少なくとも90%以上が1000nmより短い。
(b)最終的な単層カーボンナノチューブ組成物を透過型電子顕微鏡で観察したとき、カーボンナノチューブの少なくとも95%以上が単層カーボンナノチューブである。
(c)切断および精製された単層カーボンナノチューブを共鳴ラマン散乱測定(励起波長は785nm)で観察したとき、100〜250cm-1付近のRBMバンドおよび1580cm-1付近のGバンドを観察することができ、1330cm-1(Dバンド)付近のピーク高さが1580cm-1(Gバンド)付近のピーク高さの1/10よりも高くなく、RBMピーク強度はGバンドの強度の30%よりも高い。
(a)切断および精製された単層カーボンナノチューブを透過型電子顕微鏡で観察したとき、単層カーボンナノチューブの少なくとも65%以上が1000nmより短い、
(b)最終的な単層カーボンナノチューブ組成物を透過型電子顕微鏡で観察したとき、少なくとも90%以上が単層カーボンナノチューブである。
単層カーボンナノチューブ応用装置は、およそ単層カーボンナノチューブを用いるものである限り全てのものが含まれ、用途や機能を問わない。
単層カーボンナノチューブを含むカーボン系材料を酸で処理する工程と、
上記酸で処理された上記カーボン系材料を遠心処理する工程と、
上記遠心処理された上記カーボン系材料を還元性ガスで処理する工程と
を有することを特徴とする単層カーボンナノチューブの製造方法である。
単層カーボンナノチューブを含むカーボン系材料を酸で処理する工程と、
上記酸で処理された上記カーボン系材料を遠心処理する工程と、
上記遠心処理された上記カーボン系材料を還元性ガスで処理する工程とを実行することにより製造されることを特徴とする単層カーボンナノチューブである。
単層カーボンナノチューブを含むカーボン系材料を酸で処理する工程と、
上記酸で処理された上記カーボン系材料を遠心処理する工程と、
上記遠心処理された上記カーボン系材料を還元性ガスで処理する工程と
を有することを特徴とする単層カーボンナノチューブ応用装置の製造方法である。
上記以外のことは、その性質に反しない限り、第1〜第3の発明に関連して説明したことが成立する。
この発明による単層カーボンナノチューブの製造方法の基本的構成は、典型的には、酸溶液における処理による金属不純物の除去の工程、分散剤の吸着および酸化剤溶液による切断の工程、最後に還元性ガスによる精製の工程である。このような一連の工程により、一様に短く高純度の単層カーボンナノチューブをほとんど欠陥を持たずに得ることができる。
金属不純物の除去に用いられる酸の濃度は特に限定されるものではないが、好ましくは1〜7Mであり、最も好ましくは2.6Mである。そのような濃度は、適度な量の欠陥がチューブ壁に生成されることを保証し、この欠陥が切断の工程において攻撃サイトとなり得る。
切断された単層カーボンナノチューブを還元性ガスにより処理する際には、還元性試薬として新鮮なガスを連続的に供給することができ、生成された廃ガスがやがて炉から排気されることを保証するためにこのガスは流すことが好ましい。
還元性ガスの流速は特に限定されないが、1L/minから5L/minの間の流速がより好ましく、これは完全な還元反応を保証することができる。
第1の実施形態による単層カーボンナノチューブの製造方法は、
(a)酸溶液を用いて金属不純物を除去する工程と、
(b)10℃以上70℃以下の温度で2時間以上20時間以下超音波処理を行うことにより単層カーボンナノチューブを界面活性剤またはポリマーまたはそれらの混合物からなる分散剤で包み込む工程と、
(c)上記分散剤で包み込まれた上記単層カーボンナノチューブを、濃硫酸と硝酸、過マンガン酸塩、ニクロム酸塩、鉄酸塩、過酸化水素および過硫酸塩化合物からなる群より選ばれた少なくとも一種類の酸化剤との混合物中において10℃以上70℃以下の温度で4時間以上80時間以下超音波処理を行うことにより切断する工程と、
(d)上記切断された上記単層カーボンナノチューブを管状炉で還元性ガスを0.2L/min以上5.0L/min以下の流量で流しながら500℃以上1500℃以下の温度で処理する工程とを有し、
最終的な精製された短い単層カーボンナノチューブを透過型電子顕微鏡で観察したとき、観察されたカーボンナノチューブの少なくとも95%以上が単層カーボンナノチューブであることを特徴とする。
(a)酸溶液を用いて金属不純物を除去する工程と、
(b)10℃以上70℃以下の温度で2時間以上20時間以下超音波処理を行うことにより単層カーボンナノチューブを界面活性剤またはポリマーまたはそれらの混合物からなる分散剤で包み込む工程と、
(c)上記分散剤で包み込まれた上記単層カーボンナノチューブを、濃硫酸と硝酸、過マンガン酸塩、ニクロム酸塩、鉄酸塩、過酸化水素および過硫酸塩化合物からなる群より選ばれた少なくとも一種類の酸化剤との混合物中において10℃以上70℃以下の温度で4時間以上80時間以下超音波処理を行うことにより切断する工程と、
(d)上記切断された上記単層カーボンナノチューブを管状炉で還元性ガスを0.2L/min以上5.0L/min以下の流量で流しながら500℃以上1500℃以下の温度で処理する工程とを有し、
最終的な精製された短い単層カーボンナノチューブを透過型電子顕微鏡で観察したとき、観察されたカーボンナノチューブの少なくとも95%以上が単層カーボンナノチューブであり、かつ、単層カーボンナノチューブの少なくとも90%以上が1000nmより短いことを特徴とする。
(a)酸溶液を用いて金属不純物を除去する工程と、
(b)10℃以上70℃以下の温度で2時間以上20時間以下超音波処理を行うことにより単層カーボンナノチューブを界面活性剤またはポリマーまたはそれらの混合物からなる分散剤で包み込む工程と、
(c)上記分散剤で包み込まれた上記単層カーボンナノチューブを、濃硫酸と硝酸、過マンガン酸塩、ニクロム酸塩、鉄酸塩、過酸化水素および過硫酸塩化合物からなる群より選ばれた少なくとも一種類の酸化剤との混合物中において10℃以上70℃以下の温度で4時間以上80時間以下超音波処理を行うことにより切断する工程と、
(d)上記切断された上記単層カーボンナノチューブを管状炉で還元性ガスを0.2L/min以上5.0L/min以下の流量で流しながら500℃以上1500℃以下の温度で処理する工程とを有し、
(e)上記(d)の工程を必要な回数繰り返し、
最終的な単層カーボンナノチューブ組成物を共鳴ラマン散乱測定(励起波長は785nm)で評価したとき、100〜250cm-1付近のRBMバンドおよび1580cm-1付近のGバンドを観察することができ、1330cm-1(Dバンド)付近のピーク高さは1580cm-1(Gバンド)付近のピーク高さの1/30よりも高くないことを特徴とする。
(a)酸溶液を用いて金属不純物を除去する工程と、
(b)10℃以上70℃以下の温度で2時間以上20時間以下超音波処理を行うことにより単層カーボンナノチューブを界面活性剤またはポリマーまたはそれらの混合物からなる分散剤で包み込む工程と、
(c)上記分散剤で包み込まれた上記単層カーボンナノチューブを、濃硫酸と硝酸、過マンガン酸塩、ニクロム酸塩、鉄酸塩、過酸化水素および過硫酸塩化合物からなる群より選ばれた少なくとも一つの酸化剤との混合物中において10℃以上70℃以下の温度で4時間以上80時間以下超音波処理を行うことにより切断する工程と、
(d)上記切断された上記単層カーボンナノチューブを管状炉で還元性ガスを0.2L/min以上5.0L/min以下の流量で流しながら500℃以上1500℃以下の温度で処理する工程とを有し、
最終的な単層カーボンナノチューブを透過型電子顕微鏡で観察したとき、単層カーボンナノチューブの少なくとも65%以上が1000nmより短いことを特徴とする。
すなわち、下記の条件を満たす切断および精製された単層カーボンナノチューブを得ることが可能である。
(a)最終的な単層カーボンナノチューブを透過型電子顕微鏡で観察したとき、単層カーボンナノチューブの少なくとも80%以上が1000nmより短い。
(b)最終的な単層カーボンナノチューブ組成物を透過型電子顕微鏡で観察したとき、カーボンナノチューブの少なくとも95%以上が単層カーボンナノチューブである。
(c)切断および精製された単層カーボンナノチューブを共鳴ラマン散乱測定(励起波長は785nm)で観察したとき、100〜250cm-1付近のRBMバンドおよび1580cm-1付近のGバンドを観察することができ、1330cm-1(Dバンド)付近のピーク高さが1580cm-1(Gバンド)付近のピーク高さの1/30よりも高くなく、RBMピーク強度はGバンドの強度の30%よりも高い。
(a)切断および精製された単層カーボンナノチューブを透過型電子顕微鏡で観察したとき、単層カーボンナノチューブの少なくとも65%以上が1000nmより短い。
(b)最終的な単層カーボンナノチューブ組成物を透過型電子顕微鏡で観察したとき、90%以上が単層カーボンナノチューブである。
切断および精製された単層カーボンナノチューブを透過型電子顕微鏡で観察したとき、単層カーボンナノチューブの80%以上が200nm以上800nm以下の長さである。
切断および精製された単層カーボンナノチューブを透過型電子顕微鏡で観察したとき、単層カーボンナノチューブの80%以上が300nm以上600nm以下の長さである。
この発明のTG−DSC分析は以下の条件で行われる。得られた試料の約10mgを5℃/minの昇温速度で加熱する。雰囲気として空気を用いる。参照用として空の白金パンを用いる。
(2)単層カーボンナノチューブは低アスペクト比であることによりほとんどバンドル化しない。これは単層カーボンナノチューブ組成物の性質を向上させるのに有益である。
(3)数十nmの長さは現在のマイクロパターニングのスケールと適合し、したがってトランジスタのような電子デバイスの構築に重要である。
(4)短い単層カーボンナノチューブは表面積がより大きく、これは水素貯蔵媒体、触媒担体などとしての応用に重要である。
以下において、この発明を実施例に基づいて詳細にさらに説明するが、この発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
単層カーボンナノチューブの酸処理
単層カーボンナノチューブは炭化水素触媒分解法により合成されたものをそのまま用いた。この単層カーボンナノチューブのモフォロジーを図1に、それらの共鳴ラマンスペクトルを図2に示す。これらの単層カーボンナノチューブはまず、金属不純物を除去し、チューブ壁に欠陥を生成するために硝酸還流プロセスを行った。1.2gの合成直後の単層カーボンナノチューブを200mLの2.6M HNO3 溶液に添加し、次いで140℃において48時間還流を行った。次に、こうして得られた試料をpHが中性になるまで蒸留水で数回(4〜5回)洗浄した。
HNO3 処理した単層カーボンナノチューブを、界面活性剤として4mLのTriton X−100を含み、NaOHによりpH10に調節された200mLの水に懸濁し、次いで20℃において10時間超音波処理を行った。このプロセスは、その後の切断溶液における単層カーボンナノチューブの分散性を改善し、切断効率を高めるために用いられた。次に、単層カーボンナノチューブの吸着されなかった分散剤を除去するために、処理された試料を濾過し、蒸留水で2回洗浄した後、最後に120℃において24時間乾燥させて最終生成物とした。この最終生成物をHNO3 −Triton−単層カーボンナノチューブと表す。
10mgのHNO3 −Triton−単層カーボンナノチューブをビーカー中において濃H2 SO4 /HNO3 の3:1の混合物40mL中に懸濁し、水浴中で35〜45℃において14時間超音波処理した。次に、得られた懸濁液を、最終的なpHが7に到達するまで、200mLの蒸留水で希釈し、濾過し、数回洗浄した。生成物のモフォロジーを図3に示す。次に、この生成物をさらに、濃H2 SO4 /30%H2 O2 水溶液の4:1混合物中において20℃で1時間攪拌することにより研磨した。4サイクルの洗浄および濾過を行った後、切断された単層カーボンナノチューブが得られ、TEM(透過型電子顕微鏡)により評価を行った(図4参照。)。
5mgの切断された単層カーボンナノチューブを石英ボートに載せ、管状炉内において1000℃で2時間、アンモニアガス(>99%純度、Lixin Gas Co.Shanghai)を1L/min流しながら加熱した。精製反応が終了した後、炉を切り、アンモニアガスを流しながら室温に自然冷却した。この高温ではアンモニアガスはN2 およびH2 ガスに分解する。生成されたばかりのH2 ガスはより活性であり、したがってカーボン不純物をCH4 に還元することができる。精製された短い単層カーボンナノチューブを共鳴ラマン分光(図5)およびTEM(図6)により評価し、それらの長さの分布を図7にプロットした。図5のラマンスペクトルの強度は図2の1580cm-1におけるGバンドと同じ強度が得られるように規格化した。
図4に示すように、さらにH2 O2 溶液中の処理により単層カーボンナノチューブをより短くすることができ、この工程後には不純物を部分的に除去することができる。
金属不純物の除去および分散性の向上のために実施例1で用いたものと同じプロセスによりHNO3 −Triton−単層カーボンナノチューブを得た。ただし、切断プロセスには、切断試薬として、HNO3 /H2 SO4 溶液の代わりに、H2 O2 /H2 SO4 溶液を用いた。40mLの96%H2 SO4 を10mLの30%H2 O2 溶液に添加して新鮮な溶液(4:1、vol/vol 96%H2 SO4 /30%H2 O2 )を調製した。温度を35℃に下げた後直ぐに、この混合液中に25mgのHNO3 −Triton−単層カーボンナノチューブを分散させ、さらにこの温度で30時間超音波処理を行った。超音波処理を行った後、懸濁液を1Lの蒸留水に添加することにより酸化反応を急停止させた。次に、最終的なpHが7に到達するまで、この溶液を濾過し、蒸留水で数回洗浄した。次に、得られた試料を120℃において24時間乾燥させた。これらの試料のTEM像を異なる倍率で図8AおよびBに示す。
図8Aに示すように、H2 O2 /H2 SO4 溶液により30時間処理を行った後には、単層カーボンナノチューブは数百nmの短い単層カーボンナノチューブに切断された。対照的に、図8Bに示すように、多層カーボンナノチューブは、平均的な長さが数十nmの一層短く、カールした壊れた断片に破壊される。
図9に示すように、アンモニア処理は破壊された多層カーボンナノチューブ断片およびアモルファスカーボン不純物を選択的に除去したことが分かる。これらの試料はアンモニア処理後に高純度となる。観察された物質種の95%以上が単層カーボンナノチューブである。
金属不純物の除去および分散性の向上のために実施例1で用いたものと同じプロセスによりHNO3 −Triton−単層カーボンナノチューブを得た。ただし、切断プロセスには、切断試薬として、HNO3 /H2 SO4 溶液の代わりに、(NH4 )2 S2 O8 /H2 SO4 溶液を用いた。25mgのHNO3 −Triton−単層カーボンナノチューブを50mLの96%H2 SO4 にあらじめ1時間分散させて混合物を均一化した。次に、4gのアンモニア過硫酸塩(NH4 )2 S2 O8 を酸化剤として添加し、この混合物をさらに35〜40℃において4、8、20、30時間超音波処理した。超音波処理を行った後、懸濁液を1Lの蒸留水に添加することにより酸化反応を急停止させた。次に、最終的なpHが7に到達するまで、この溶液を濾過し、蒸留水で数回洗浄した。次に、得られた試料を120℃において24時間乾燥させた。超音波処理を20時間行った試料のTEM像を図10に示す。超音波処理を20時間行ったこの試料のTG−DSC曲線を図11に示す。比較のために、実施例1または3のHNO3 −Triton−単層カーボンナノチューブのTG−DSC曲線も示す。切断時間の関数として単層カーボンナノチューブの長さの分布を測定した。その結果を図12に示す。これらの切断された単層カーボンナノチューブはさらに、実施例2と同じアンモニア処理プロセスを用いて精製された。得られた試料は高純度で、95%以上が単層カーボンナノチューブである。
図11Aから分かるように、320℃における重量減少ピークはTriton X−100の燃焼によるものであり、これは同じ温度でのDSC曲線における鋭い発熱ピークと一致している。DSC曲線における450〜600℃の広い発熱ピークは、アモルファスカーボン、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、グラファイトナノ粒子などを含むあらゆるカーボン種の燃焼によるものである。異なるカーボン種は異なる燃焼温度を有するため、図11Aの広いバンドは、酸処理された単層カーボンナノチューブ中に多くのカーボン不純物が存在することを示している。800℃以上の温度での燃焼後の試料の残留質量は0に減少し、これは金属不純物が完全に除去されたことを示す。対照的に、(NH4 )2 S2 O8 /H2 SO4 溶液で切断された試料のカーボン燃焼バンドはずっと狭く、ピーク温度はこの切断処理後に576℃から636℃にシフトしており、これは純度が著しく改善されていることを示す。
切断温度を20℃に設定し、切断時間を30時間に設定することを除いて実施例3と同様なプロセスにより、切断および精製された単層カーボンナノチューブを製造した。最終的な切断および精製された単層カーボンナノチューブのTEM像を図13に示す。
図13より、90%以上の物質種が単層カーボンナノチューブであることが分かる。ほとんどの単層カーボンナノチューブは300〜800nmの長さを有する。
単層カーボンナノチューブは炭化水素触媒分解法により合成されたものをそのまま用いた。この単層カーボンナノチューブはまず、実施例1と同様に、2.6M HNO3 溶液中で還流を行った。単層カーボンナノチューブの表面を改質するために、単層カーボンナノチューブの分散剤として、Triton X−100の代わりに、PVP(ポリ(ビニルピロリドン))溶液を用いた。HNO3 処理した単層カーボンナノチューブをPVP溶液中において10時間超音波処理し、次いで蒸留水で2回洗浄した後、120℃において12時間乾燥させた。次に、得られた単層カーボンナノチューブに実施例2と同じH2 O2 /H2 SO4 切断およびアンモニア精製プロセスを施す。図14は最終的な精製された短い単層カーボンナノチューブの長さの分布を示す。ほとんどの単層カーボンナノチューブは200〜700nmの長さの範囲に入り、1000nmより長い単層カーボンナノチューブはTEM像に観察されなかった。
アンモニア処理の温度を900℃に設定することを除いて実施例3と同様なプロセスにより、切断および精製された単層カーボンナノチューブを製造した。最終的な切断および精製された単層カーボンナノチューブのTEM像を図15に示す。
図15を図10と比較すると、試料は900℃でのアンモニア処理後に、より高純度になっていることが分かる。しかしながら、試料中にはアモルファスカーボンや断片化された多層カーボンナノチューブのような不純物がかなりの量存在しており、これはこの温度ではアンモニアの水素化能力が低いことを示している。900℃におけるこの処理工程の収率は60%である。
単層カーボンナノチューブは炭化水素触媒分解法により合成されたものをそのまま用いた。この単層カーボンナノチューブは、精製反応物としてアンモニアガスの代わりにNH3 とアルゴンとの混合ガスを用いることを除いて実施例1と同様なプロセスを用いて処理した。NH3 およびArの流量はそれぞれ0.6L/minおよび0.2L/minに保った。最終的な単層カーボンナノチューブのほとんどは300〜800nmの長さである。1000nmより長い単層カーボンナノチューブは観察されなかった。
単層カーボンナノチューブは触媒化学気相成長法により合成されたものをそのまま用いた。この単層カーボンナノチューブは、不純物として金属触媒に由来する金属不純物、アモルファスカーボンおよび多層カーボンナノチューブを約60〜70重量%含む。この合成直後の単層カーボンナノチューブを2.6M HNO3 溶液に添加し、次いで140℃において24時間還流を行った。
HNO3 処理した単層カーボンナノチューブを、界面活性剤としてTriton X−100を2重量%含む水溶液に懸濁し、次いで超音波処理を行って分散させた。次に、単層カーボンナノチューブの吸着されなかった分散剤を除去するために、処理された試料を濾過し、蒸留水で洗浄し、乾燥させた。
HNO3 −Triton−単層カーボンナノチューブを酸溶液(3:1、vol/vol 96%H2 SO4 /65%HNO3 )中で30〜40℃において14時間超音波処理した。次に、得られた150mgの試料を600mLの溶液(4:1、vol/vol
96%H2 SO4 /30%H2 O2 )中において室温で0.5時間攪拌することにより研磨した。こうして単層カーボンナノチューブの切断を行った。この後、この溶液を濾過し、生成物を蒸留水で洗浄した。
上述のようにして切断された単層カーボンナノチューブを石英ボートに載せ、管状炉内において1000℃で2時間、アンモニアガス(>99%純度、Lixin Gas Co.Shanghai)を1L/min流しながら加熱した。精製反応が終了した後、炉を切り、アンモニアガスを流しながら室温に自然冷却した。
上述のようにして精製および切断された1.0mgの単層カーボンナノチューブを20mLのP123水溶液(P123はBASF社製)に分散させ、10時間超音波処理を行った。P123水溶液のP123濃度は2.5mg/mL、0.5mg/mL、0.1mg/mLおよび0.05mg/mLの4水準に変えた。この後、こうして得られた分散液を遠心機に入れ、13000rpmで0.5時間遠心した。
P123水溶液中に分散された単層カーボンナノチューブの安定性はP123濃度が高くなるほど高くなった。P123濃度が2.5mg/mLおよび0.5mg/mLのP123水溶液中では単層カーボンナノチューブは2か月以上安定に分散し、P123濃度が0.1mg/mLおよび0.05mg/mLのP123水溶液中では単層カーボンナノチューブは1週間以上安定に分散していた。
得られた単層カーボンナノチューブをTEMおよび共鳴ラマン散乱測定で評価した結果、実施例1と同様な結果が得られた。
例えば、上述の実施形態および実施例において挙げた数値、材料、原料、プロセスなどはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、材料、原料、プロセスなどを用いてもよい。
Claims (8)
- 単層カーボンナノチューブを含むカーボン系材料を酸で処理する工程と、
上記酸で処理された上記カーボン系材料を分散剤で処理する工程と、
上記分散剤で処理された上記カーボン系材料を酸化剤で処理する工程と、
上記酸化剤で処理された上記カーボン系材料を還元性ガスで処理する工程と
を有する単層カーボンナノチューブの製造方法。 - 上記カーボン系材料を酸で処理することにより、上記カーボン系材料に含まれる金属不純物を除去するとともに、上記単層カーボンナノチューブのチューブ壁に欠陥を生成する請求項1記載の単層カーボンナノチューブの製造方法。
- 上記カーボン系材料を酸化剤で処理することにより上記単層カーボンナノチューブを切断する請求項1記載の単層カーボンナノチューブの製造方法。
- 上記カーボン系材料を還元性ガスで処理することにより、上記カーボン系材料のうちの上記単層カーボンナノチューブ以外のカーボンを除去する請求項1記載の単層カーボンナノチューブの製造方法。
- 上記酸は硝酸である請求項1記載の単層カーボンナノチューブの製造方法。
- 上記酸化剤は、硝酸、過マンガン酸塩、ニクロム酸塩、鉄酸塩、過酸化水素および過硫酸塩化合物からなる群より選ばれた少なくとも一種類を含む請求項1記載の単層カーボンナノチューブの製造方法。
- 上記還元性ガスはアンモニアを含む請求項1記載の単層カーボンナノチューブの製造方法。
- 上記分散剤は界面活性剤またはポリマーまたはそれらの混合物からなる請求項1記載の単層カーボンナノチューブの製造方法。
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