JP5364291B2 - 接合材、接合部材、接合方法、固体電解質型燃料電池および固体電解質型燃料電池用接合材 - Google Patents
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Description
しかし、NiOおよびFe2O3が還元される際に体積収縮を伴うため、接合部材がやや多孔質になり、酸化雰囲気で製造したときと比べて、還元処理後の接合強度が低下するという問題がある。
また本発明は、前記接合材より形成され、SOFCの運転等において還元雰囲気で使用しても接合強度が低下しにくい接合部材を提供することを目的とする。
また本発明は、前記接合材を用いて、SOFCにおける燃料側電極とインターコネクタ等の他の部材とのあいだ等に、運転等において還元雰囲気で使用しても接合強度が低下しにくい接合部を形成する接合方法を提供することを目的とする。
また本発明は、燃料側電極とインターコネクタ等の他の部材とのあいだ等において、運転等において還元雰囲気で使用しても接合強度が低下しにくい接合部を有し、信頼性が向上したSOFCを提供することを目的とする。
本発明の接合材は、酸化ニッケル(NiO)と、酸化マンガン(MnO2)とを、合計100重量部含有するベース材料を含み、前記酸化マンガンの量を20重量部以上30重量部以下とした。
上記本発明の接合材は、ベース材料に酸化マンガンを用いることにより、SOFCの燃料側導電性接合部材に用いても、還元処理後の収縮が小さくなり、還元処理後の強度低下を抑えることができる。
従って、本発明の接合部材は、上述の通り、SOFCの燃料側に用いた場合に、還元処理後の収縮が小さくなり、還元処理後の強度低下を抑えることができる。
従って、本発明の接合方法によれば、SOFCにおける燃料側電極とインターコネクタ等の部材間に、接合強度に優れた接合部を形成することができる。
従って、本発明のSOFCは、燃料側電極とインターコネクタ等の部材間の接合部の接合強度を高めることができるので、信頼性に優れる。
また本発明によれば、SOFCの運転等において還元雰囲気で使用しても接合強度が低下しにくい接合部材を提供することができる。
また本発明によれば、SOFCにおける燃料側電極とインターコネクタ等の他の部材とのあいだ等に、運転等において還元雰囲気で使用しても接合強度が低下しにくい接合部を形成する接合方法を提供することができる。
また本発明によれば、燃料側電極とインターコネクタ等の他の部材とのあいだ等において、運転等において還元雰囲気で使用しても接合強度が低下しにくい接合部を有し、信頼性が向上したSOFCを提供することができる。
本発明の第1の実施形態は、酸化ニッケル(NiO)と、酸化マンガン(MnO2)とを、合計100重量部含有するベース材料を含み、前記酸化マンガンの量が20重量部以上30重量部以下(酸化ニッケルの量を80重量部以下70重量部以上)である接合材である。
一般に、接合部材は還元される際に体積収縮を伴うため、やや多孔質になり、酸化雰囲気で製造したときと比べて、還元処理後の接合強度が低下するという問題がある。このような還元収縮を防止する目的で、前記熱膨張調整材が添加される。
前記熱膨張調整材の含有量が10重量部未満では、還元収縮防止の効果が小さく不充分となる場合があり好ましくない。また、前記熱膨張調整材の含有量が20重量部を超えると導電性の低下を生ずる場合があるので好ましくない。
これら材料の熱膨張係数は、アルミナが約8×10−6/℃、窒化ケイ素が約4×10−6/℃、炭化ケイ素が約5×10−6/℃、コージェライトが約2×10−6/℃であり、いずれの材料も本発明の接合材において良好な還元収縮防止効果を有する熱膨張調整材として機能する。
前記熱膨張調整材の平均粒径が5μmより小さいと、接合部材の収縮率が大きくなり、大気熱処理時にひび割れが発生して接合強度が低下するので好ましくない。また、熱膨張調整材の平均粒径が15μmより大きいと、接合部材の焼結性が低下し、接合部材の接合強度が低下するので好ましくない。
ビヒクルは、接合材を焼結する際に蒸発し、焼結後の接合部材中には残留しない原料であるが、ビヒクルを用いることにより接合材のベース材料をペースト状にし、取り扱いを容易にすることができる。
ビヒクルは、粉体を分散できるものであれば特に限定されないが、好ましくは、ブチルカルビトール、テレピン油、ブタノール等が挙げられ、特に好ましくはブチルカルビトールである。ビヒクルの添加量は、ビヒクルの種類によって異なるが、ベース材料を100重量部とすると、30重量部以上50重量部以下添加することが好ましい。
前記複数の部材としては、SOFCの運転時に還元雰囲気となる燃料側部材が、還元時の接合強度の低下を抑制できるという本発明の接合材の効果が発揮できるので好適である。従って、本実施形態のSOFCとしては、SOFCの燃料側電極と他の燃料側部材(例えばインターコネクタ)とが前記第2の実施形態による接合部材で接合されたSOFCが挙げられる。
表1に示した分量の酸化ニッケル粉末と酸化マンガン粉末に、ビヒクル(混合溶媒)としてブチルカルビトールを加えて、アルミナ製3本ロールミルを用いて混練し、ペースト状として、実施例1および2ならびに比較例1および2の接合材ペーストのサンプルを得た。
また、上記酸化ニッケル粉末と酸化マンガン粉末の混合粉末に代えて酸化ニッケル粉末と酸化鉄粉末を重量比70:30で含む混合粉末を用いた以外は上記と同様にして、比較例3の接合材ペーストのサンプルを得た。
まず、接合材ペーストを30mm角のインターコネクタ22の片面に100〜200μmの厚さに均一に塗布し、この塗布部分に、30mm角の発電膜23の燃料側電極側を接着した。次に接合材ペーストを大気中1250℃で4時間にわたって焼付処理をしたのち炉冷し、導電性接合部材21の大気焼成後サンプルとした。また、さらに1000℃で4%H2−N2バランス雰囲気で還元処理を施したものを、導電性接合部材21の還元処理後サンプルとした。
酸化マンガンが20重量部未満では所望の還元収縮低減効果が得られず、還元処理後の接合強度が低下することがわかる。また、酸化マンガンが30重量部を超えた場合は、還元処理後の接合部材が膨張することがあり、この場合も還元処理後の接合強度が低下することがわかる。
重量比70:30の酸化ニッケル粉末(粒径1μm)および酸化マンガン粉末(粒径1μm)を合計85重量部とし、これに表2に示す熱膨張調整用粉末を15重量部加えて、実施例3〜8ならびに比較例4および5のベース材料とした。また従来例として、酸化ニッケル(NiO)粉末、酸化鉄(Fe2O3)粉末および酸化チタン(TiO2)粉末を重量比40:40:20で混合したものを比較例6のベース材料とした。これらベース材料にビヒクル(混合溶媒)としてブチルカルビトールを加えて、アルミナ製3本ロールミルを用いて混練し、ペースト状として、接合材ペーストの各サンプルを得た。
また、熱膨張調整材(アルミナ)の粒径が15μmより大きい比較例5では、接合材の焼結性が低下するので、接合強度が低下することが分かる。従って、熱膨張調整材の粒径が15μmより大きいと好ましくないことが分かる。
酸化ニッケル粉末および酸化マンガン粉末の粒径を表3に示すとおりに変え、アルミナ粉末の粒径を全て10μmとした以外は実験例2と同様の方法により、実施例9〜11ならびに比較例7および8の接合材ペーストのサンプルを作製し、これを用いて、実験例1と同様の方法で接合部の接合強度を測定した。測定結果を表3に示す。
酸化ニッケルの粒径が5μmより大きい比較例8では、接合材の焼結性が低下するので、接合強度が低下することが分かる。従って、酸化ニッケルの粒径が5μmより大きいと好ましくないことが分かる。
酸化マンガンの粒径が5μmより大きい比較例8では、接合材の焼結性が低下するので、接合強度が低下することが分かる。従って、酸化マンガンの粒径が5μmより大きいと好ましくないことが分かる。
2,23 発電膜
3,13 燃料側電極
4,14 固体電解質膜
5,15 空気側電極
7,22 インターコネクタ
Claims (13)
- 還元雰囲気で使用される接合材であり、
酸化ニッケルと、
酸化マンガンと
を、合計100重量部含有するベース材料を含み、
前記酸化マンガンの量が20重量部以上30重量部以下である接合材。 - 前記ベース材料100重量部のうち、熱膨張調整材を10重量部以上20重量部以下含有する請求項1に記載の接合材。
- 前記熱膨張調整材が、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素およびコージェライトからなる群より選ばれる少なくとも一種の材料を含む請求項1または請求項2に記載の接合材。
- 前記熱膨張調整材が、平均粒径5μm以上15μm以下の粒子状の熱膨張調整材である請求項2から請求項3のいずれか一項に記載の接合材。
- 前記ベース材料とビヒクルとを含む請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の接合材。
- 複数の部材の間に配置された請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の接合材を焼結して得られた接合部材。
- 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の接合材を複数の部材の間に配置し、
該接合材を焼結する接合方法。 - 前記複数の部材が、固体電解質型燃料電池における燃料側部材を含む請求項7に記載の接合方法。
- 前記複数の部材が、固体電解質型燃料電池における燃料側電極と他の燃料側部材とを含む請求項7に記載の接合方法。
- 複数の部材と、
該複数の部材の間を接合する請求項6に記載の接合部材と
を有する固体電解質型燃料電池。 - 前記複数の部材が、燃料側部材を含む請求項10に記載の固体電解質型燃料電池。
- 前記複数の部材が、固体電解質型燃料電池における燃料側電極と他の燃料側部材とを含む請求項10に記載の固体電解質型燃料電池。
- 酸化ニッケルと、
酸化マンガンと
を、合計100重量部含有するベース材料を含み、
前記酸化マンガンの量が20重量部以上30重量部以下である固体電解質型燃料電池用接合材。
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