JP2007311060A - 固体酸化物形燃料電池用の酸化ニッケル粉末の組成物、その製造方法及びそれを用いた燃料極材料 - Google Patents
固体酸化物形燃料電池用の酸化ニッケル粉末の組成物、その製造方法及びそれを用いた燃料極材料 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2007311060A JP2007311060A JP2006136379A JP2006136379A JP2007311060A JP 2007311060 A JP2007311060 A JP 2007311060A JP 2006136379 A JP2006136379 A JP 2006136379A JP 2006136379 A JP2006136379 A JP 2006136379A JP 2007311060 A JP2007311060 A JP 2007311060A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- nickel oxide
- oxide powder
- fuel electrode
- composition
- electrode material
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/30—Hydrogen technology
- Y02E60/50—Fuel cells
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P70/00—Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
- Y02P70/50—Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product
Landscapes
- Inert Electrodes (AREA)
- Fuel Cell (AREA)
Abstract
【課題】共焼成法による固体酸化物形燃料電池の製造において燃料極材料として用いた際に、その加熱収縮率を上昇させて、焼成時の割れ、剥離、反りなどの問題を解決することができるとともに、それを用いて得られる燃料極の導電率の向上もはかれる酸化ニッケル粉末の組成物と、その効率的な製造方法及びそれを用いた燃料極材料を提供する。
【解決手段】共焼成法により製造される固体酸化物形燃料電池を構成する燃料極に用いる酸化ニッケル粉末の組成物であって、主成分となる酸化ニッケル成分に対してTiO2換算で0.1〜2質量%の酸化チタン成分を含有することを特徴とする。また、上記酸化ニッケル粉末の組成物に安定化ジルコニアを配合して固体酸化物形燃料電池用燃料極材料が提供される。
【選択図】なし
【解決手段】共焼成法により製造される固体酸化物形燃料電池を構成する燃料極に用いる酸化ニッケル粉末の組成物であって、主成分となる酸化ニッケル成分に対してTiO2換算で0.1〜2質量%の酸化チタン成分を含有することを特徴とする。また、上記酸化ニッケル粉末の組成物に安定化ジルコニアを配合して固体酸化物形燃料電池用燃料極材料が提供される。
【選択図】なし
Description
本発明は、固体酸化物形燃料電池用の酸化ニッケル粉末の組成物、その製造方法及びそれを用いた燃料極材料に関し、さらに詳しくは、共焼成法による固体酸化物形燃料電池の製造において燃料極材料として用いた際に、その加熱収縮率を上昇させて、焼成時の割れ、剥離、反りなどの問題を解決することができるとともに、それを用いて得られる燃料極の導電率の向上もはかれる酸化ニッケル粉末の組成物と、その効率的な製造方法及びそれを用いた燃料極材料に関するものである。
近年、固体酸化物形燃料電池は、環境及びエネルギーの両面から新しい発電システムとして期待されている。
一般に、固体酸化物形燃料電池は、空気極、固体電解質及び燃料極が順次積層された構造を有している。通常、燃料極としては、酸化ニッケルと安定化ジルコニアの混合物が用いられ、また、空気極としては多孔性のLaMnO3など、固体電解質としては安定化ジルコニア(ZrO2)などが用いられている。ここで、空気極側から取り込まれた酸素と燃料極側の水素とが、固体電解質を介して電気化学的に反応することにより起電力を生じる。
一般に、固体酸化物形燃料電池は、空気極、固体電解質及び燃料極が順次積層された構造を有している。通常、燃料極としては、酸化ニッケルと安定化ジルコニアの混合物が用いられ、また、空気極としては多孔性のLaMnO3など、固体電解質としては安定化ジルコニア(ZrO2)などが用いられている。ここで、空気極側から取り込まれた酸素と燃料極側の水素とが、固体電解質を介して電気化学的に反応することにより起電力を生じる。
上記固体酸化物形燃料電池の製造方法としては、平板タイプの場合には、まず、セルを支持する部分、一般的には電解質もしくは燃料極を、テープ成形又は押し出し成形により作製し、次いで、その上に他の構成部材のテープ成形物を積層するか、もしくはスラリーを塗布するかして接着させ、その後焼成する方法が行なわれる。その際、製造工程を簡略化して製造コストを低減するために、通常は、燃料極、電解質、空気極等の各構成材料の少なくとも2つを同時に焼成する方法がとられている。しかしながら、この共焼成法においては、燃料極、電解質、及び空気極に用いる各部材の加熱収縮率の差が原因となって、焼成物に割れ又は剥離が生じたり、あるいは反りが発生し、セルからの燃料ガスの漏れ又は発電特性の低下につながるという問題があった。
また、円筒タイプの場合には、円筒状の支持体に電極及び電解質を構成する材料の各スラリーを塗布した後に焼成することによって製造される。この際、共焼成法により製造される場合には、各部材の加熱収縮率を整合させなければ、平板タイプと同様に、割れ、剥離、曲がり等の問題の原因となる。例えば、燃料極を支持体とする場合、その材料の加熱収縮率が低いときには、共焼成法において焼成時に積層させた固体電解質が緻密化せずにその特性が劣化することもある。
さらに、固体酸化物形燃料電池の構成材料のいずれかを焼成し、次いで、その上に他の構成部材を積層して逐次焼成する平板タイプおよび円筒タイプのいずれの逐次焼成法においても、焼成物に割れ又は剥離が生じたり、あるいは反りが発生し、その特性が劣化するという問題がある。
さらに、固体酸化物形燃料電池の構成材料のいずれかを焼成し、次いで、その上に他の構成部材を積層して逐次焼成する平板タイプおよび円筒タイプのいずれの逐次焼成法においても、焼成物に割れ又は剥離が生じたり、あるいは反りが発生し、その特性が劣化するという問題がある。
このような問題に対する解決策として、例えば、燃料電池の電極を作製する際に、電極の厚みを調整する方法(例えば、特許文献1参照。)、電極を分割構造とする方法(例えば、特許文献2参照。)等の電極の構造を工夫することによって、焼成時の収縮による割れ、剥離、反りなどを抑制することが開示されている。しかしながら、これらの方法では、燃料極の構成材料自体の加熱収縮が制御されていないうえ、原料の選択幅が狭くなること、及び製品構成の自由度が制限されること等の問題があった。
ところで、固体酸化物形燃料電池では、電気化学反応により発生した電気を効率的に回収することがセルの出力を向上させるために重要なことであり、このため、電極の導電率の向上も求められている。
この対策として、比抵抗の小さいチタン粒子等を核として酸化ニッケル等で被覆し形成された電極により抵抗値の増大を抑制できることが開示されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、この方法には、電極の焼成において、通常は大気下で行なっているものを、金属チタンを使用するために不活性雰囲気下で行なうために、設備の改造又は更新、ガスの消耗費などのコスト上の問題があった。
この対策として、比抵抗の小さいチタン粒子等を核として酸化ニッケル等で被覆し形成された電極により抵抗値の増大を抑制できることが開示されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、この方法には、電極の焼成において、通常は大気下で行なっているものを、金属チタンを使用するために不活性雰囲気下で行なうために、設備の改造又は更新、ガスの消耗費などのコスト上の問題があった。
以上の状況から、燃料極、電解質、空気極等の各構成材料の少なくとも2つを同時に焼成する共焼成法による固体酸化物形燃料電池の製造において、燃料極材料として用いる際に、焼成時の割れ、剥離、反りなどの問題を解決できるとともに、これを用いて得られる燃料極の導電率の向上もはかれる酸化ニッケル粉末が求められている。
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、共焼成法による固体酸化物形燃料電池の製造において燃料極材料として用いた際に、その加熱収縮率を上昇させて、焼成時の割れ、剥離、反りなどの問題を解決することができるとともに、それを用いて得られる燃料極の導電率の向上もはかれる酸化ニッケル粉末の組成物と、その効率的な製造方法及びそれを用いた燃料極材料を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、共焼成法による固体酸化物形燃料電池の製造において燃料極材料として用いる酸化ニッケル粉末について、鋭意研究を重ねた結果、特定の濃度の酸化チタン成分を含有させた酸化ニッケル粉末の組成物を用いたところ、得られる酸化ニッケルと安定化ジルコニアとからなる燃料極材料の加熱収縮率を大幅に上昇させて、共焼成法による焼成時の割れ、剥離、反りなどの問題を解決することができるとともに、さらに該燃料極材料を用いて得られる燃料極の導電率の向上がはかれることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、共焼成法により製造される固体酸化物形燃料電池を構成する燃料極に用いる酸化ニッケル粉末の組成物であって、
主成分となる酸化ニッケル成分に対してTiO2換算で0.1〜2質量%の酸化チタン成分を含有することを特徴とする酸化ニッケル粉末の組成物が提供される。
主成分となる酸化ニッケル成分に対してTiO2換算で0.1〜2質量%の酸化チタン成分を含有することを特徴とする酸化ニッケル粉末の組成物が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、前記組成物は、酸化ニッケル成分と酸化チタン成分との反応生成相を含むことを特徴とする酸化ニッケル粉末の組成物が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、平均粒径が0.4〜1μmである酸化ニッケル粉末と平均粒径が酸化ニッケル粉末の粒径以下である酸化チタン粉末とを溶媒の存在下又は非存在下に所定の割合で混合することを特徴とする第1の発明の酸化ニッケル粉末の組成物の製造方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、平均粒径が0.4〜1μmである酸化ニッケル粉末と平均粒径が酸化ニッケル粉末の粒径以下である酸化チタン粉末とを溶媒の存在下又は非存在下に所定の割合で混合し、得られた混合粉末を700〜1200℃で焼成することを特徴とする第2の発明の酸化ニッケル粉末の組成物の製造方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1又は2に発明の酸化ニッケル粉末の組成物に安定化ジルコニアを配合してなる固体酸化物形燃料電池用の燃料極材料が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、加圧成形ペレットの1400℃における加熱収縮率が11〜15%であることを特徴とする第5の発明の固体酸化物形燃料電池用の燃料極材料が提供される。
本発明の固体酸化物形燃料電池用の酸化ニッケル粉末の組成物は、特定の濃度の酸化チタン成分を含有する酸化ニッケル粉末の組成物であり、この酸化ニッケル粉末の組成物に安定化ジルコニアを配合してなる燃料極材料の加熱収縮率を上昇させて、共焼成法において焼成時の割れ、剥離、反りなどの問題を解決することができるとともに、さらにこの燃料極材料を用いて得た燃料極の導電率の向上もはかることができるので、その工業的価値は極めて大きい。また、逐次焼成法における焼成時の割れ、剥離、反りの改善にも有効であることは当然である。さらに、本発明の製造方法は、効率的に上記酸化ニッケル粉末の組成物を製造することができるので、有用な方法である。
以下、本発明の固体酸化物形燃料電池用の酸化ニッケル粉末の組成物、その製造方法及びそれを用いた燃料極材料を詳細に説明する。
1.固体酸化物形燃料電池用の酸化ニッケル粉末の組成物
上記酸化ニッケル粉末の組成物は、共焼成法により製造される固体酸化物形燃料電池を構成する燃料極に用いる酸化ニッケル粉末の組成物であって、主成分となる酸化ニッケル成分に対してTiO2換算で0.1〜2質量%の酸化チタン成分を含有することを特徴とする。ここで共焼成法により製造される固体酸化物形燃料電池では、製造工程を簡略化してその製造コストを低減するために、燃料極、電解質、空気極等の各構成材料の少なくとも2つを同時に焼成する工程を用いる。
1.固体酸化物形燃料電池用の酸化ニッケル粉末の組成物
上記酸化ニッケル粉末の組成物は、共焼成法により製造される固体酸化物形燃料電池を構成する燃料極に用いる酸化ニッケル粉末の組成物であって、主成分となる酸化ニッケル成分に対してTiO2換算で0.1〜2質量%の酸化チタン成分を含有することを特徴とする。ここで共焼成法により製造される固体酸化物形燃料電池では、製造工程を簡略化してその製造コストを低減するために、燃料極、電解質、空気極等の各構成材料の少なくとも2つを同時に焼成する工程を用いる。
本発明において、上記酸化ニッケル粉末の組成物が、酸化ニッケル成分に対してTiO2換算で0.1〜2質量%の酸化チタン成分を含むものであることが重要である。これによって、この酸化ニッケル粉末の組成物に安定化ジルコニアを配合してなる燃料極材料の加熱収縮率を上昇させて、焼成時の割れ、剥離、反りなどの問題を解決することができるとともに、さらにこの燃料極材料を用いて得た燃料極の導電率の向上もはかることができる。
すなわち、酸化ニッケル成分に対してTiO2換算で酸化チタン成分の添加率が0.1%未満では、焼成時において燃料極材料の加熱収縮率の増大効果が十分でないため、共焼成に際して加熱収縮率を整合させる効果がなく、さらに得られた燃料極の導電率にも充分な効果が発揮されない。一方、酸化チタン成分の添加率がTiO2換算で2質量%を超えると、焼成時において燃料極材料の加熱収縮率の増大効果はあるものの、得られた燃料極の導電率の向上効果がなく、むしろ導電率が低下してしまう。
より詳しく説明すると、本発明の酸化ニッケル粉末の組成物を用いて得られる燃料極材料の加熱収縮率は、共焼成法により使用される通常の焼成温度(1200〜1500℃)で大幅に増大する。したがって、これを用いて得られる燃料極では、焼成時において他の層との収縮差が緩和されることになるので、共焼成法による焼成工程においても電極の割れ、剥離、反りなどを防止することができる。さらに、これを用いて従来の方法に従って還元処理後に得られる燃料極では、その電気抵抗値を大幅に低減させ導電率を向上させることができるので、上記燃料極材料を用いて得られたセルではその出力を向上させることができる。また、本発明の酸化ニッケル粉末の組成物では、その添加物として大気中で安定である酸化チタン成分を用いるので、電極の焼成において通常通りの大気下で行なうことができ、コスト上の上昇は少ない。
2.固体酸化物形燃料電池用の酸化ニッケル粉末の組成物の製造方法
上記酸化ニッケル粉末の組成物の製造方法としては、特に限定されるものではなく、酸化ニッケル(NiO)と酸化チタン(TiO2)が共存する状態を得ることができれば、如何なる方法であってもよい。
上記酸化ニッケル粉末の組成物の製造方法としては、特に限定されるものではなく、酸化ニッケル(NiO)と酸化チタン(TiO2)が共存する状態を得ることができれば、如何なる方法であってもよい。
この中で、簡便で効率的な方法としては、原料として酸化ニッケルとTiO2等の酸化チタンの両者の粉末を所定の割合で混合する方法が用いられる。ここで、混合方法としては、乾式混合、または水及び有機溶媒を用いた湿式混合する方法を用いることができる。なお、乾式混合には、ブレンダー、ミキサー、ボールミルなどが好適に使用することができる。また、湿式混合には、ボールミル、ディスクミル、ビーズミル、ミキサーなどが好適に使用することができる。
さらに、得られた酸化ニッケルと酸化チタンの混合粉末を、空気などの酸化雰囲気下700〜1200℃の温度で焼成することもできる。これにより、酸化ニッケル成分と酸化チタン成分との反応生成物(NiTiO3)を含む組成物が得られる。
上記の混合方法に用いる酸化ニッケル粉末原料の一次粒子の平均粒径としては、特に限定されるものではないが、0.4〜1μmが好ましい。すなわち、平均粒径が1μmを超えると、発電時に、電極中の反応界面が少なくなり、発電特性に影響を及ぼす可能性があるため、好ましくない。一方、0.4μm未満では、電極中の空隙が大きくなり、強度低下を引き起こす可能性がある。なお、平均粒径は、レーザー回折・散乱法で測定したものである。ただし、この方法では凝集粒子の一次粒径を正確に測定することが難しいことから、SEM観察により直接計測して確認しておく必要がある。
上記の混合方法に用いる酸化チタン粉末原料の平均粒径としては、特に限定されるものではないが、酸化チタン成分を酸化ニッケル成分と均一に混合することにより、より効果的に加熱収縮率の増大と抵抗値の低減に機能するので、酸化ニッケル粉末原料の平均粒径と同等以下にすることが好ましく、さらには酸化ニッケル粉末原料の平均粒径の50%以下にすることがより好ましい。
また、他の酸化ニッケル粉末の組成物の製造方法として、例えば、以下の湿式法による方法が用いられる。
(1)水溶性ニッケル塩の水溶液中に、晶析物中の割合が酸化物換算で所定の割合となるように水溶性チタン塩を溶解しニッケル塩水溶液を得て、その後このニッケル塩水溶液から前駆体である水酸化ニッケルを晶析させる。このとき、水酸化ニッケルの晶析と同時にチタンも晶析するので、この晶析物を酸化雰囲気下所定の温度で焼成することにより、酸化チタンが分散・混合した酸化ニッケル粉末を得ることができる。また、700℃以上の焼成であれば、酸化ニッケル成分と酸化チタン成分との反応生成物(NiTiO3)を含む酸化ニッケル粉末の組成物が得られる。ここで用いる水溶性ニッケル塩及び水溶性チタン塩としては、特に限定されるものではないが、焼成により得られる酸化ニッケル粉末中に不純物元素が残留しない非金属元素の塩が好ましく、例えば、塩化ニッケル(NiCl2)と塩化チタン(TiCl4)とがより好ましい。また、チタンアルコキシドの加水分解反応を利用する方法を用いることができる。
(1)水溶性ニッケル塩の水溶液中に、晶析物中の割合が酸化物換算で所定の割合となるように水溶性チタン塩を溶解しニッケル塩水溶液を得て、その後このニッケル塩水溶液から前駆体である水酸化ニッケルを晶析させる。このとき、水酸化ニッケルの晶析と同時にチタンも晶析するので、この晶析物を酸化雰囲気下所定の温度で焼成することにより、酸化チタンが分散・混合した酸化ニッケル粉末を得ることができる。また、700℃以上の焼成であれば、酸化ニッケル成分と酸化チタン成分との反応生成物(NiTiO3)を含む酸化ニッケル粉末の組成物が得られる。ここで用いる水溶性ニッケル塩及び水溶性チタン塩としては、特に限定されるものではないが、焼成により得られる酸化ニッケル粉末中に不純物元素が残留しない非金属元素の塩が好ましく、例えば、塩化ニッケル(NiCl2)と塩化チタン(TiCl4)とがより好ましい。また、チタンアルコキシドの加水分解反応を利用する方法を用いることができる。
(2)塩化チタンなどの水溶性チタン塩の水溶液に難水溶性のニッケル塩もしくは酸化ニッケル粉末を分散混合させた後、これを乾燥させ、次いで、乾燥物を酸化雰囲気下所定の温度で焼成する。ここで用いる乾燥装置としては、大気乾燥機、真空乾燥機、媒体流動乾燥機、スラリー乾燥機、噴霧乾燥機などを使用することができる。これにより、酸化ニッケル粉末の表面に均質に酸化チタンが析出した粉末が得られる。また、700℃以上の焼成であれば酸化ニッケル成分と酸化チタン成分との反応生成物(NiTiO3)を含む酸化ニッケル粉末の組成物が得られる。
(3)塩化チタンなどの水溶性チタン塩の水溶液に難水溶性のニッケル塩もしくは酸化ニッケル粉末を分散混合させた後、チタンを水酸化物として晶析し、これを乾燥させ、次いで晶析物を酸化雰囲気所定の温度で焼成する。ここで用いる乾燥装置としては、大気乾燥機、真空乾燥機、媒体流動乾燥機、スラリー乾燥機、噴霧乾燥機などを使用することができる。このとき、700℃未満の焼成であれば酸化ニッケルと酸化チタンの均質な混合粉が得られ、700℃以上の焼成であれば酸化ニッケル成分と酸化チタン成分との反応生成物(NiTiO3)を含む酸化ニッケル粉末の組成物が得られる。
上記(1)〜(3)のいずれの方法においても、焼成において、マッフル炉、管状炉、ポット炉、転動炉、プッシャ−炉、バーナー炉などの一般的な焼成炉を使用することができる。
上記焼成温度としては、前駆体である水酸化ニッケルを焼成する場合においては300℃以上の温度で酸化ニッケルに変換することができるが、固体酸化物形燃料電池用の燃料極に好適に使用できる酸化ニッケル粉末の組成物を得るためには、特に限定されるものではないが、空気などの酸化雰囲気下700〜1200℃の温度で焼成することが好ましい。ただし、焼成条件によっては酸化ニッケル粉末が焼結して粒成長又は二次粒子を形成するため、期待される酸化ニッケル粉末の特性に応じて、望ましい焼成条件を定めることが肝要である。しかし、一旦焼結した粒子を再粉砕して、燃料極材料として利用することも行なえる。
ここで得られる酸化ニッケル粉末の粒径としては、特に限定されるものではないが、平均粒径は0.4〜1μmが好ましい。すなわち、平均粒径が1μmを超えると、発電時に、電極中の反応界面が少なくなり、発電特性に影響を及ぼす可能性があるため、好ましくない。一方、0.4μm未満では、電極中の空隙が大きくなり、強度低下を引き起こす可能性がある。なお、平均粒径は、レーザー回折・散乱法で測定したものであるが、上記の理由により、SEM観察により直接計測して確認しておく必要がある。
ここで得られる酸化ニッケル粉末の粒径としては、特に限定されるものではないが、平均粒径は0.4〜1μmが好ましい。すなわち、平均粒径が1μmを超えると、発電時に、電極中の反応界面が少なくなり、発電特性に影響を及ぼす可能性があるため、好ましくない。一方、0.4μm未満では、電極中の空隙が大きくなり、強度低下を引き起こす可能性がある。なお、平均粒径は、レーザー回折・散乱法で測定したものであるが、上記の理由により、SEM観察により直接計測して確認しておく必要がある。
3.固体酸化物形燃料電池用の燃料極材料
本発明の固体酸化物形燃料電池用の燃料極材料は、上記酸化ニッケル粉末の組成物に安定化ジルコニアを配合してなるものである。これを用いて固体酸化物形燃料電池の燃料極を作製する際には、上記酸化ニッケル粉末の組成物は、安定化ジルコニアなど他の構成成分と混練され、燃料極材料スラリーを形成して使用されることができる。
本発明の固体酸化物形燃料電池用の燃料極材料は、上記酸化ニッケル粉末の組成物に安定化ジルコニアを配合してなるものである。これを用いて固体酸化物形燃料電池の燃料極を作製する際には、上記酸化ニッケル粉末の組成物は、安定化ジルコニアなど他の構成成分と混練され、燃料極材料スラリーを形成して使用されることができる。
上記燃料極材料の加熱収縮率としては、特に限定されるものではないが、これを用いて加圧成形して得たペレットで測定したとき、共焼成法における焼成工程で通常用いられる加熱温度又はそれ以上の加熱温度、例えば1400℃で、11〜15%が得られる。これによって、焼成時において他の層との収縮差が緩和され、燃料極の割れ、剥離、反りなどを防止することができる。また、このとき、酸化チタン添加率が上がるほど、加熱収縮率も大きくなる。しかし、さらに添加率を上げても加熱収縮率はそれほど大きくならない。例えば、5質量%の酸化チタンの添加で加熱収縮率は16%となった。
上記燃料極材料に含まれる酸化ニッケル粉末の組成物の割合は、特に限定されるものではないが、50〜70質量%が好ましい。すなわち、混合比を上記範囲とすることにより、電解質と整合性の取れた加熱収縮率を維持しつつ、十分な導電率を発現させることができる。
上記燃料極材料に用いる安定化ジルコニアとしては、特に限定されるものではなく、カルシア、イットリア又はスカンジアで安定化したジルコニア、カルシア、イットリア又はスカンジアで部分的に安定化したジルコニアなどを用いることもできるが、イットリア安定化ジルコニア又はスカンジア安定化ジルコニアがより好ましい。
また、安定化ジルコニアの他に、上記燃料極材料に用いる材料としては、サマリア、ガドリア等を固溶させたセリア等の固体電解質、さらに固体電解質に限らず電極の熱膨張率を電解質と整合させることができる材料であっても構わない。
また、安定化ジルコニアの他に、上記燃料極材料に用いる材料としては、サマリア、ガドリア等を固溶させたセリア等の固体電解質、さらに固体電解質に限らず電極の熱膨張率を電解質と整合させることができる材料であっても構わない。
上記燃料極材料から得られる燃料極は、共焼成法による焼結時の割れ、剥離、反りなどの欠陥は見とめられず、また、高い導電率を示す。すなわち、酸化チタン成分を酸化ニッケル成分に対して0.1〜2質量%添加した場合には、無添加と同等以上の導電率が得られる。また、酸化チタンの添加率が2質量%を超えると、導電率は無添加の場合よりも悪化する。例えば、上記燃料極材料を成形し還元処理した後の導電率は、酸化チタンを1質量%添加した場合、室温下大気中での測定で1.82×104Scm−1、900℃の温度下4%水素96%窒素雰囲気中での測定で3.24×103Scm−1となった。これは、無添加の場合の1.54×104Scm−1(室温)及び2.61×103Scm−1(900℃)よりも大幅に向上することを示している。
なお、酸化ニッケルに酸化チタンを添加することにより、得られる燃料極の導電率が向上する理由としては、微量添加では焼結性が向上し焼結部の欠陥が減少するためと考えられ、さらに添加すると緻密化により導電パスが形成されることで抵抗値が低減されるためと考えられる。実際、酸化チタンの添加量が多くなると、気孔率が低くなっており、構造が緻密化していることがわかる。ただし、酸化チタンを多量に入れると絶縁体である酸化チタンが燃料極中で増加することになり、気孔率低下による導電率の向上より絶縁体増加による導電率低下の影響が大きくなってしまう。
逆に言えば、上記燃料極材料から得られる燃料極は、酸化チタンの添加率により気孔率と導電率を変動させることができる。すなわち、電極構造において燃料ガスの拡散と反応生成ガスである水蒸気の拡散が発電特性に重要な要素であるため、酸化チタン添加量により、最適な電極構造を形成させることができるとともに優れた導電性を達成することが可能となる。例えば、燃料極の気孔率としては、酸化チタン添加率が酸化チタン換算で0.1質量%で30%と大きくなるものの、さらに添加率を増やすにつれて徐々に小さくなる傾向がある。すなわち、酸化チタンを添加していない場合の燃料極の気孔率は23%であることから、酸化チタンを少量添加した酸化ニッケル粉末の組成物を用いて、より多孔質な焼結体からなる燃料極を得ること、あるいは多めに酸化チタンを添加した酸化ニッケル粉末の組成物を用いて、より緻密な焼結体からなる燃料極を得ることができる。ただし、酸化チタンの添加はコストアップになるので、できる限り少量の添加にとどめることが望ましい。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた酸化ニッケル粉末及び酸化チタン粉末の平均粒径、燃料極材料の加熱収縮率、並びに燃料極の導電率及び気孔率の評価方法は、以下の通りである。
(1)平均粒径の測定:レーザー回折・散乱法で行った。
(2)加熱収縮率の測定:酸化ニッケル粉末の組成物とイットリア安定化ジルコニアとを質量比で65:35となるように秤量し、乳鉢で均一に混合して得た燃料極材料を用いて、圧力1t/cm2で一軸加圧成形して直径5mmの円柱状のペレットを作製した。この加圧成形ペレットの加熱収縮率を、TMA装置(ブルカーエイエックスエス社製、型式TMA−4000S)を用いて測定した。具体的には、空気を0.3リットル/分で導入しながら、ペレットを10℃/分の昇温速度で加熱し、1400℃での厚さ方向における収縮率を測定した。
(2)加熱収縮率の測定:酸化ニッケル粉末の組成物とイットリア安定化ジルコニアとを質量比で65:35となるように秤量し、乳鉢で均一に混合して得た燃料極材料を用いて、圧力1t/cm2で一軸加圧成形して直径5mmの円柱状のペレットを作製した。この加圧成形ペレットの加熱収縮率を、TMA装置(ブルカーエイエックスエス社製、型式TMA−4000S)を用いて測定した。具体的には、空気を0.3リットル/分で導入しながら、ペレットを10℃/分の昇温速度で加熱し、1400℃での厚さ方向における収縮率を測定した。
(3)導電率及び気孔率の測定:図1に示す工程図にしたがって測定用試料を得た。図1は、導電率及び気孔率の測定用試料を作製する方法の工程図を表す。図1において、酸化ニッケル粉末の組成物1とイットリア安定化ジルコニア2とを質量比で65:35となるように秤量して電極材料を得る。これにエチルセルロース3を電極材料の全量に対して5質量%添加し、その後、乳鉢を用いて均一になるように混合4を行なう。混合粉体は、成形5において、圧力0.2t/cm2で円柱状のペレットに一軸加圧成形される。次いで、この加圧成形ペレットを用いて、大気下、1500℃で3時間の条件で焼成6を行なう。その後、焼結体から3mm×3mm×20mm程度の直方体の切り出し7を行ない、これを2%水素98%窒素雰囲気下、900℃で3時間の条件で還元8して測定用試料を得た。
導電率の測定は、得られた測定用試料に4本の導線を取り付け、室温下大気雰囲気中もしくは900℃の温度下4%水素96%窒素中に測定用試料を置き、ポテンショ・ガルバノスタット(ソーラトロン社製、型式SI−1287)を用いて直流四端子法にて行なった。また、気孔率の測定は、上記測定用試料を用いて、アルキメデス法で行なった。
導電率の測定は、得られた測定用試料に4本の導線を取り付け、室温下大気雰囲気中もしくは900℃の温度下4%水素96%窒素中に測定用試料を置き、ポテンショ・ガルバノスタット(ソーラトロン社製、型式SI−1287)を用いて直流四端子法にて行なった。また、気孔率の測定は、上記測定用試料を用いて、アルキメデス法で行なった。
(実施例1)
平均一次粒径が0.6μmの酸化ニッケル粉末と、平均粒径0.2μmの酸化チタン(TiO2)粉末を、直径2mmのPSZボールを用いたボールミルに投入し、エタノールを溶媒として湿式混合を行った。なお、ここで酸化チタン添加率は、酸化ニッケル粉末に対してTiO2換算で0.1質量%であった。得られた混合粉を105℃の大気乾燥機で乾燥させた後、解砕し、燃料極材料用の酸化ニッケル粉末の組成物を得た。
その後、上記工程で作製した酸化ニッケル粉末の組成物を用いて、上記加熱収縮率の測定方法により燃料極材料の加熱収縮率を測定した。結果を表1に示す。
また、上記工程で作製した酸化ニッケル粉末の組成物を用いて、上記導電率及び気孔率の測定方法により、燃料極の導電率及び気孔率を測定した。結果を表1に示す。
平均一次粒径が0.6μmの酸化ニッケル粉末と、平均粒径0.2μmの酸化チタン(TiO2)粉末を、直径2mmのPSZボールを用いたボールミルに投入し、エタノールを溶媒として湿式混合を行った。なお、ここで酸化チタン添加率は、酸化ニッケル粉末に対してTiO2換算で0.1質量%であった。得られた混合粉を105℃の大気乾燥機で乾燥させた後、解砕し、燃料極材料用の酸化ニッケル粉末の組成物を得た。
その後、上記工程で作製した酸化ニッケル粉末の組成物を用いて、上記加熱収縮率の測定方法により燃料極材料の加熱収縮率を測定した。結果を表1に示す。
また、上記工程で作製した酸化ニッケル粉末の組成物を用いて、上記導電率及び気孔率の測定方法により、燃料極の導電率及び気孔率を測定した。結果を表1に示す。
(実施例2)
燃料極材料用の酸化ニッケル粉末の組成物の製造において、酸化チタンの添加率が酸化ニッケル粉末に対してTiO2換算で0.5質量%であったこと以外は実施例1と同様に行ない、その後、上記工程で作製した酸化ニッケル粉末の組成物を用いて、上記加熱収縮率の測定方法により燃料極材料の加熱収縮率を、また上記導電率及び気孔率の測定方法により、燃料極の導電率及び気孔率を測定した。結果を表1に示す。
燃料極材料用の酸化ニッケル粉末の組成物の製造において、酸化チタンの添加率が酸化ニッケル粉末に対してTiO2換算で0.5質量%であったこと以外は実施例1と同様に行ない、その後、上記工程で作製した酸化ニッケル粉末の組成物を用いて、上記加熱収縮率の測定方法により燃料極材料の加熱収縮率を、また上記導電率及び気孔率の測定方法により、燃料極の導電率及び気孔率を測定した。結果を表1に示す。
(実施例3)
燃料極材料用の酸化ニッケル粉末の組成物の製造において、酸化チタンの添加率が酸化ニッケル粉末に対してTiO2換算で1質量%であったこと以外は実施例1と同様に行ない、その後、上記工程で作製した酸化ニッケル粉末の組成物を用いて、上記加熱収縮率の測定方法により燃料極材料の加熱収縮率を、また上記導電率及び気孔率の測定方法により、燃料極の導電率及び気孔率を測定した。結果を表1に示す。
燃料極材料用の酸化ニッケル粉末の組成物の製造において、酸化チタンの添加率が酸化ニッケル粉末に対してTiO2換算で1質量%であったこと以外は実施例1と同様に行ない、その後、上記工程で作製した酸化ニッケル粉末の組成物を用いて、上記加熱収縮率の測定方法により燃料極材料の加熱収縮率を、また上記導電率及び気孔率の測定方法により、燃料極の導電率及び気孔率を測定した。結果を表1に示す。
(実施例4)
燃料極材料用の酸化ニッケル粉末の組成物の製造において、酸化チタンの添加率が酸化ニッケル粉末に対してTiO2換算で2質量%であったこと以外は実施例1と同様に行ない、その後、上記工程で作製した酸化ニッケル粉末の組成物を用いて、上記加熱収縮率の測定方法により燃料極材料の加熱収縮率を、また上記導電率及び気孔率の測定方法により、燃料極の導電率及び気孔率を測定した。結果を表1に示す。
燃料極材料用の酸化ニッケル粉末の組成物の製造において、酸化チタンの添加率が酸化ニッケル粉末に対してTiO2換算で2質量%であったこと以外は実施例1と同様に行ない、その後、上記工程で作製した酸化ニッケル粉末の組成物を用いて、上記加熱収縮率の測定方法により燃料極材料の加熱収縮率を、また上記導電率及び気孔率の測定方法により、燃料極の導電率及び気孔率を測定した。結果を表1に示す。
(比較例1)
燃料極材料用の酸化ニッケル粉末の組成物の製造において、酸化チタンの添加を行なわなかったこと以外は実施例1と同様に行ない、その後、上記工程で作製した酸化ニッケル粉末を用いて、上記加熱収縮率の測定方法により燃料極材料の加熱収縮率を、また上記導電率及び気孔率の測定方法により、燃料極の導電率及び気孔率を測定した。結果を表1に示す。
燃料極材料用の酸化ニッケル粉末の組成物の製造において、酸化チタンの添加を行なわなかったこと以外は実施例1と同様に行ない、その後、上記工程で作製した酸化ニッケル粉末を用いて、上記加熱収縮率の測定方法により燃料極材料の加熱収縮率を、また上記導電率及び気孔率の測定方法により、燃料極の導電率及び気孔率を測定した。結果を表1に示す。
(比較例2)
燃料極材料用の酸化ニッケル粉末の組成物の製造において、酸化チタンの添加率が酸化ニッケル粉末に対してTiO2換算で5質量%であったこと以外は実施例1と同様に行ない、その後、上記工程で作製した酸化ニッケル粉末の組成物を用いて、上記加熱収縮率の測定方法により燃料極材料の加熱収縮率を、また上記導電率及び気孔率の測定方法により、燃料極の導電率及び気孔率を測定した。結果を表1に示す。
燃料極材料用の酸化ニッケル粉末の組成物の製造において、酸化チタンの添加率が酸化ニッケル粉末に対してTiO2換算で5質量%であったこと以外は実施例1と同様に行ない、その後、上記工程で作製した酸化ニッケル粉末の組成物を用いて、上記加熱収縮率の測定方法により燃料極材料の加熱収縮率を、また上記導電率及び気孔率の測定方法により、燃料極の導電率及び気孔率を測定した。結果を表1に示す。
(比較例3)
燃料極材料用の酸化ニッケル粉末の組成物の製造において、酸化チタンの添加率が酸化ニッケル粉末に対してTiO2換算で10質量%であったこと以外は実施例1と同様に行ない、その後、上記工程で作製した酸化ニッケル粉末の組成物を用いて、上記加熱収縮率の測定方法により燃料極材料の加熱収縮率を、また上記導電率及び気孔率の測定方法により、燃料極の導電率及び気孔率を測定した。結果を表1に示す。
燃料極材料用の酸化ニッケル粉末の組成物の製造において、酸化チタンの添加率が酸化ニッケル粉末に対してTiO2換算で10質量%であったこと以外は実施例1と同様に行ない、その後、上記工程で作製した酸化ニッケル粉末の組成物を用いて、上記加熱収縮率の測定方法により燃料極材料の加熱収縮率を、また上記導電率及び気孔率の測定方法により、燃料極の導電率及び気孔率を測定した。結果を表1に示す。
表1より、実施例1〜4では、燃料極材料用の酸化ニッケル粉末の組成物の製造において、所定量の酸化チタンの添加を行ない主成分である酸化ニッケル成分に対してTiO2換算で0.1〜2質量%の酸化チタン成分を含む酸化ニッケル粉末の組成物を得たので、それを用いて得た本発明の酸化ニッケル粉末の組成物に安定化ジルコニアを配合してなる燃料極材料の加熱収縮率は大幅に上昇し、共焼成法による焼成時の割れ、剥離、反りなどの問題を解決することができるとともに、さらにこれを用いて得た燃料極の導電率の向上もはかることができることが分かる。また、燃料極の気孔率を酸化チタンを添加しない酸化ニッケル粉末を用いた場合の上下に変化させることができるので最適な電極構造を形成させることが可能であることが分かる。
これに対して、比較例1〜3では、酸化チタン添加率がこれらの条件に合わないので、燃料極材料の加熱収縮率、又は燃料極の導電率のいずれかにおいて満足すべき結果が得られないことが分かる。
これに対して、比較例1〜3では、酸化チタン添加率がこれらの条件に合わないので、燃料極材料の加熱収縮率、又は燃料極の導電率のいずれかにおいて満足すべき結果が得られないことが分かる。
以上より明らかなように、本発明の固体酸化物形燃料電池用の酸化ニッケル粉末の組成物は、共焼成法により製造される固体酸化物形燃料電池で利用される燃料極材料用の酸化ニッケル粉末として好適である。特に、酸化チタンの添加量によって加熱収縮率等の焼結挙動が制御できるだけでなく、電気抵抗値を下げることができるので、その結果として、好適な電極構造を形成することとセル出力を向上させることに有用である。また、本発明による燃料極材料は、固体酸化物形燃料電池の電極以外にも水素生成用の触媒又は水素センサー材料等の電子デバイス材料にも利用することができる。
1 酸化ニッケル粉末の組成物
2 イットリア安定化ジルコニア
3 エチルセルロース
4 混合
5 成形
6 焼成
7 切り出し
8 還元
2 イットリア安定化ジルコニア
3 エチルセルロース
4 混合
5 成形
6 焼成
7 切り出し
8 還元
Claims (6)
- 共焼成法により製造される固体酸化物形燃料電池を構成する燃料極に用いる酸化ニッケル粉末の組成物であって、主成分となる酸化ニッケル成分に対してTiO2換算で0.1〜2質量%の酸化チタン成分を含有することを特徴とする酸化ニッケル粉末の組成物。
- 前記組成物は、酸化ニッケル成分と酸化チタン成分との反応生成相を含むことを特徴とする請求項1に記載の酸化ニッケル粉末の組成物。
- 平均粒径が0.4〜1μmである酸化ニッケル粉末と平均粒径が酸化ニッケル粉末の粒径以下である酸化チタン粉末とを溶媒の存在下又は非存在下に所定の割合で混合することを特徴とする請求項1に記載の酸化ニッケル粉末の組成物の製造方法。
- 平均粒径が0.4〜1μmである酸化ニッケル粉末と平均粒径が酸化ニッケル粉末の粒径以下である酸化チタン粉末とを溶媒の存在下又は非存在下に所定の割合で混合し、得られた混合粉末を700〜1200℃で焼成することを特徴とする請求項2に記載の酸化ニッケル粉末の組成物の製造方法。
- 請求項1又は2に記載の酸化ニッケル粉末の組成物に安定化ジルコニアを配合してなる固体酸化物形燃料電池用の燃料極材料
- 加圧成形ペレットの1400℃における加熱収縮率が11〜15%であることを特徴とする請求項5に記載の固体酸化物形燃料電池用の燃料極材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006136379A JP2007311060A (ja) | 2006-05-16 | 2006-05-16 | 固体酸化物形燃料電池用の酸化ニッケル粉末の組成物、その製造方法及びそれを用いた燃料極材料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006136379A JP2007311060A (ja) | 2006-05-16 | 2006-05-16 | 固体酸化物形燃料電池用の酸化ニッケル粉末の組成物、その製造方法及びそれを用いた燃料極材料 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007311060A true JP2007311060A (ja) | 2007-11-29 |
Family
ID=38843758
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006136379A Pending JP2007311060A (ja) | 2006-05-16 | 2006-05-16 | 固体酸化物形燃料電池用の酸化ニッケル粉末の組成物、その製造方法及びそれを用いた燃料極材料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2007311060A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008098156A (ja) * | 2006-09-12 | 2008-04-24 | Toto Ltd | 固体酸化物形燃料電池セル |
WO2011001930A1 (ja) * | 2009-06-29 | 2011-01-06 | 本田技研工業株式会社 | 電解質・電極接合体の製造方法 |
JP2014063591A (ja) * | 2012-09-20 | 2014-04-10 | Tatsuki Ishihara | 固体酸化物形燃料電池セル用中間層、固体酸化物形燃料電池セル、固体酸化物形燃料電池セル用中間層の製造方法および固体酸化物形燃料電池セルの製造方法 |
WO2023286749A1 (ja) * | 2021-07-12 | 2023-01-19 | 京セラ株式会社 | 電気化学セル、電気化学セル装置、モジュールおよびモジュール収容装置 |
-
2006
- 2006-05-16 JP JP2006136379A patent/JP2007311060A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008098156A (ja) * | 2006-09-12 | 2008-04-24 | Toto Ltd | 固体酸化物形燃料電池セル |
WO2011001930A1 (ja) * | 2009-06-29 | 2011-01-06 | 本田技研工業株式会社 | 電解質・電極接合体の製造方法 |
JP5547188B2 (ja) * | 2009-06-29 | 2014-07-09 | 本田技研工業株式会社 | 電解質・電極接合体の製造方法 |
JP2014063591A (ja) * | 2012-09-20 | 2014-04-10 | Tatsuki Ishihara | 固体酸化物形燃料電池セル用中間層、固体酸化物形燃料電池セル、固体酸化物形燃料電池セル用中間層の製造方法および固体酸化物形燃料電池セルの製造方法 |
WO2023286749A1 (ja) * | 2021-07-12 | 2023-01-19 | 京セラ株式会社 | 電気化学セル、電気化学セル装置、モジュールおよびモジュール収容装置 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5163122B2 (ja) | 固体電解質型燃料電池用の酸化ニッケル粉末材料、その製造方法、それに用いられる原料組成物及びそれを用いた燃料極材料 | |
Liu et al. | Improving the performance of the Ba0. 5Sr0. 5Co0. 8Fe0. 2O3-δ cathode for proton-conducting SOFCs by microwave sintering | |
JP5405591B2 (ja) | 固体酸化物型燃料電池スタック用の共ドープysz電解質 | |
JP5218419B2 (ja) | 固体酸化物形燃料電池用の酸化ニッケル粉末材料とその製造方法、並びにそれを用いた燃料極材料、燃料極、及び固体酸化物形燃料電池 | |
JP5311913B2 (ja) | 高イオン導電性固体電解質材料の製造方法 | |
JP6655122B2 (ja) | プロトン伝導性酸化物燃料電池の製造方法 | |
Moreno et al. | Fabrication and characterization of ceria-based buffer layers for solid oxide fuel cells | |
JP4534188B2 (ja) | 燃料電池用電極材料及びこれを用いた固体酸化物形燃料電池 | |
JP2010251141A (ja) | 固体酸化物形燃料電池用の複合型酸化ニッケル粉末材料とその製造方法、及びそれを用いた燃料極材料 | |
JP2007311060A (ja) | 固体酸化物形燃料電池用の酸化ニッケル粉末の組成物、その製造方法及びそれを用いた燃料極材料 | |
JP4784197B2 (ja) | 固体電解質型燃料電池の燃料極材料用酸化ニッケル粉及び燃料極材料 | |
JP5293382B2 (ja) | 固体酸化物形燃料電池用燃料極およびその製造方法 | |
KR100660218B1 (ko) | 고체산화물 연료전지용 음극재의 제조방법 | |
JP5436588B2 (ja) | 高イオン導電性固体電解質材料及び焼結体、並びに、固体電解質型燃料電池 | |
JP4889166B2 (ja) | 低温焼結性固体電解質材料、電解質電極接合体及びこれを用いた固体酸化物形燃料電池 | |
JP4517949B2 (ja) | 固体電解質型燃料電池の電極用酸化ニッケル粉及びその製造方法 | |
WO2014027442A1 (ja) | 固体酸化物型燃料電池の支持体を兼ねる燃料極および燃料極支持型の固体酸化物型燃料電池 | |
JP6452424B2 (ja) | 電極用材料及び固体酸化物型燃料電池 | |
JP2007012498A (ja) | 固体酸化物形燃料電池用燃料電極の製造方法及び燃料電池 | |
JPH0437646A (ja) | ジルコニア系セラミックス膜の製造方法及びその焼成方法並びにそれによって製造されたジルコニア系導電性セラミックス及びそれを利用した固体電解質燃料電池 | |
KR102073948B1 (ko) | 고체산화물 연료전지 공기극 및 이를 포함하는 고체산화물 연료전지 | |
KR101806441B1 (ko) | 지르코니아-비스무스 산화물 소결체 및 이의 제조방법 | |
JP2005139024A (ja) | 混合導電性セラミックス材料およびこの材料を用いた固体酸化物形燃料電池 | |
KR101346729B1 (ko) | 고체 산화물 연료 전지용 음극 지지체 및 그 제조 방법 | |
JP3724762B2 (ja) | 固体電解質型燃料電池の燃料電極の製造方法 |