JP5209218B2 - 二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

本発明は6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸を共重合した芳香族ポリエステルを用いたフィルムに関する。
ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレートに代表される芳香族ポリエステルは優れた機械的特性、寸法安定性および耐熱性を有することから、フィルムなどに幅広く使用されている。特にポリエチレン−2,6−ナフタレートは、ポリエチレンテレフタレートよりも優れた機械的特性、寸法安定性および耐熱性を有することから、それらの要求の厳しい用途、例えば高密度磁気記録媒体などのベースフィルムなどに使用されている。しかしながら、近年の高密度磁気記録媒体などでの寸法安定性の要求はますます高くなってきており、さらなる特性の向上が求められている。
一方、特許文献1〜4には6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸のエステル化合物であるジエチル−6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエートから得られる芳香族ポリエステル樹脂が提案されている。該公報によると、結晶性で、融点が294℃のポリエチレン−6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエートが具体的に提示されている。
しかしながら、これら特許文献で提示されたポリエチレン−6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエートは、融点が非常に高く、また結晶性も非常に高いことからフィルムなどに製膜しようとすると、溶融状態での流動性に乏しくて押出しが不均一化したり、押出した後延伸しようとしても結晶化が進んで高倍率で延伸すると破断したりするなどの問題があった。
また、特許文献3では、ポリエチレン−6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエートを用いたフィルムで、最大の温度膨張率を10〜35(×10−6/℃)、最大の湿度膨張率を0〜8(×10−6/%RH)、最大と最小の温度膨張率の差が0〜6.0(×10−6/℃)、そして最大と最小の湿度膨張率の差を0〜4.0(×10−6/%RH)にすることで、トラッキングズレの小さな磁気記録フレキシブルディスクが得られることを教示している。そして、具体的にはその実施例で、製膜方向のヤング率が485kg/mm(4.8Gpa)および幅方向のヤング率が1100kg/mm(10.9GPa)で、最大の温度膨張率が19(×10−6/℃)、最小の温度膨張率が16.5(×10−6/℃)、最大の湿度膨張率が6(×10−6/%RH)、そして最小の湿度膨張率が4.5(×10−6/%RH)のフィルムが開示されている。
しかしながら、近年の磁気記録媒体などにおける記録密度向上への要求は厳しく、それに伴いベースフィルムに求められる寸法安定性も、ポリエチレンテレフタレートはもちろん、ポリエチレン−2,6−ナフタレートや特許文献3に提示されたようなフィルムでも達成できない状況となってきていた。
特開昭60−135428号公報 特開昭60−221420号公報 特開昭61−145724号公報 特開平6−145323号公報
本発明の目的は、寸法安定性、特に温度や湿度といった環境変化に対する寸法安定性に優れた二軸配向ポリエステルフィルムを提供することにある。
二軸配向ポリエステルフィルムにおいて、湿度膨張係数と温度膨張係数はともにヤング率と非常に密接な関係にあり、ヤング率が高いほど一般的に低くなる。しかしながら、ヤング率はいくらでも高められるというわけではなく、製膜性や直交する方向のヤング率確保の点から自ずと限界がある。そのため、同じヤング率ならより低い温度や湿度に対する膨張係数をもつフィルムが得られないか鋭意研究したところ、前述のポリエチレン−6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエートからなるフィルムは、ヤング率に関係なく低い湿度膨張係数を示すことから好適なフィルムとして考えた。
しかしながら、前述のとおり、ポリエチレン−6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエートからなるフィルムは、湿度膨張係数が小さいものの温度膨張係数が非常に高いという問題がある。また、特許文献3の実施例1に開示されたフィルムを見ると、ヤング率が製膜方向485kg/mmおよび幅方向1110kg/mmでありながら、温度膨張率は最大が19(×10−6/℃)で最小が16.5(×10−6/℃)であり、ヤング率に関係なく非常に高い値を示していた。すなわち、分子配向によって温度膨張係数を調整できそうにもなかった。
ところが、本発明者らが、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分を共重合成分として用いたとき、驚くべきことにポリアルキレン−6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエートとその共重合相手である芳香族ポリエステルの両方の優れた特性を兼備するフィルムが得られることを見出し、本発明に到達した。
かくして本発明によれば、芳香族ジカルボン酸成分とグリコール成分との芳香族ポリエステルからなる二軸配向ポリエステルフィルムであって、芳香族ジカルボン酸成分の5モル%以上50モル%未満が、下記式(I)
Figure 0005209218
(上記構造式(I)中のRは、炭素数1〜10のアルキレン基を示す。)で表される6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分であること、芳香族ポリエステルの主たる繰り返し単位が、アルキレン−2,6−ナフタレートおよびアルキレンテレフタレートからなる群より選ばれた少なくとも一種であり、グリコール成分の90モル%以上がエチレングリコールであること、そしてフィルム面方向における少なくとも一方向の温度膨張係数(αt)が14×10−6/℃以下である二軸配向ポリエステルフィルムが提供される。
また、本発明によれば、本発明の好ましい態様として、フィルム面方向における少なくとも一方向のヤング率と湿度膨張係数とが以下の一般式(1)
αh<−1.2Y+17 (1)
(上記一般式(1)中のαhは湿度膨張係数(×10−6/%RH)、Yはヤング率(GPa)を示す。)の関係を具備すること、フィルム面方向における少なくとも一方向のヤング率が4.5GPa以上であること、フィルム面方向における少なくとも一方向の湿度膨張係数が1〜7(×10−6/%RH)の範囲にあること、フィルムの温度膨張係数が14×10−6/℃以下である方向が、フィルムの幅方向であること、融点が200〜260℃の範囲にあること、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分が6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分であること、二軸配向ポリエステルフィルムが、磁気記録媒体、特にリニア記録方式の高密度磁気記録テープのベースフィルムに使用されることの少なくともいずれかを具備する二軸配向ポリエステルフィルムも提供される。
本発明によれば、ポリアルキレン−6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエートの優れた特性などを維持しつつ、製膜性を高度に高めることができ、その結果驚くべきことに従来の技術から予測できない寸法安定性を具備する芳香族ポリエステルからなる二軸配向ポリエステルフィルムが得られるという格別顕著な効果が奏される。
したがって、本発明によれば、湿度と温度による影響も加味した高度の寸法安定性が求められる用途、特に高密度磁気記録媒体のベースフィルムに適したフィルムが提供され、そして、本発明のフィルムを用いれば、優れた寸法安定性を有する高密度磁気記録媒体なども提供できる。
<芳香族ポリエステル>
本発明において、二軸配向ポリエステルフィルムを形成する芳香族ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸成分とグリコール成分とからなるものである。具体的な前述の式(I)で示される芳香族ジカルボン酸成分以外の芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸成分、イソフタル酸成分、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、2,7−ナフタレンジカルボン酸成分などが挙げられる。また、グリコール成分としては、エチレングリコール成分、トリメチレングリコール成分、テトラメチレングリコール成分、シクロヘキサンジメタノール成分などが挙げられる。
これらの中でも、前述の式(I)で示される芳香族ジカルボン酸成分以外の芳香族ジカルボン酸成分殻形成される具体的な芳香族ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリトリメチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレン−2,6−ナフタレートなどのポリアルキレン−2,6−ナフタレートが好ましく挙げられ、これらの中でも機械的特性などの点からエチレンテレフタレート単位やエチレン−2,6−ナフタレート単位が主たる繰り返し単位であるポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレートが好ましい。また、そのような観点から、グリコール成分の90モル%以上はエチレングリコール成分であることが好ましい。好ましいエチレングリコール成分の割合は、90〜100モル%、さらに95〜100モル%の範囲である。
ところで、本発明の特徴の一つは、前述の芳香族ポリエステルの酸成分が、5モル%以上50モル%未満の範囲で上記式(I)で示される6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分が共重合されていることである。6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分の割合が下限未満では共重合による本発明の湿度膨張係数の低減効果などが発現されがたい。なお、上限は本発明が6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分の共重合による寸法安定性向上であることから50モル%未満であり、これにより温度膨張係数を小さくすることができる。また、驚くべきことに、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分による湿度膨張係数の低減効果は、少量で非常に効率的に発現され、上限以下の部分ですでに特許文献3の実施例に記載されたフィルムと同等もしくはそれ以下の湿度膨張係数が達成されており、上限以上添加しても湿度膨張係数の観点からの効果は飽和状態になるともいえる。好ましい6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分の共重合量の上限は、45モル%以下、さらに40モル%以下、よりさらに35モル%以下、特に30モル%以下であり、他方下限は、5モル%以上、さらに7モル%以上、よりさらに10モル%以上、特に15モル%以上である。
このような特定量の6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分を共重合した芳香族ポリエステルを用いることで、温度膨張係数と湿度膨張係数の両方をともに低い成形品、例えばフィルムなどを製造することができる。
また、前述の構造式(I)で示される6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分としては、Rの部分が炭素数1〜10のアルキレン基であるものであり、好ましくは6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分、6,6’−(トリメチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分および6,6’−(ブチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分などが挙げられ、これらの中でも本発明の効果の点からは、上記一般式(I)におけるRの炭素数が偶数のものが好ましく、特に6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分が好ましい。
本発明における芳香族ポリエステルは、本発明の効果を阻害しない範囲で、それ自体公知の他の共重合成分を共重合しても良いし、また、ポリエーテルイミドや液晶性樹脂などをブレンドしてもよい。
ところで、特許文献1〜4に示されるような6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸のエステルとアルキレングリコールとをエステル交換反応させる方法ではジアルキレングリコール成分などが大量に副生物として発生しやすい。そのため、副生物による物性の低下を抑制し、前述のようなエチレングリコール量を上記範囲とするには、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸とエチレングリコールとをエステル化反応させる方法を採用することが好ましい。なお、ジエチレングリコールの含有量は、核磁気共鳴装置によって測定することができる。好ましいジエチレングリコール量は、全グリコール成分のモル数を基準として、5モル%以下、さらには3モル%以下、特に2モル%以下である。
つぎに、本発明における芳香族ポリエステルは、DSCで測定した融点が、200〜260℃の範囲、さらに205〜255℃の範囲、特に210〜250℃の範囲にあることが製膜性の点から好ましい。融点が上記上限を越えると、溶融押し出しして成形する際に、流動性が劣り、吐出などが不均一化しやすくなる。一方、上記下限未満になると、製膜性は優れるものの、芳香族ポリエステルの持つ機械的特性などの損なわれやすくなる。すなわち、通常他の酸成分を共重合して融点を下げれば、同時に機械的特性なども低下するが、製膜性が向上するためか、驚くべきことに共重合をする芳香族ポリエステルや特許文献1〜4に記載の6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸のエステルを主たる繰り返し単位とするポリマーと同様な機械的特性などを発現できることも見出した。また、本発明における芳香族ポリエステルは、DSCで測定したガラス転移温度(以下、Tgと称することがある。)が、80〜120℃の範囲、さらに82〜118℃の範囲、特に85〜118℃の範囲にあることが、耐熱性や寸法安定性の点から好ましい。なお、このような融点やガラス転移温度は、共重合成分の種類と共重合量、そして副生物であるジアルキレングリコールの制御などによって調整できる。
<フィルム>
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、前述の芳香族ポリエステルを溶融製膜して、シート状に押出すことで得られる。そして、前述のとおり、溶融時の流動性やその後の結晶性が改良されていることから、製膜性に優れた、例えば厚み斑の均一なフィルムとなる。
もちろん、前述の芳香族ポリエステルを溶融製膜したフィルムであることから、ポリアルキレン−6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエートとその共重合相手である芳香族ジカルボン酸成分が6、6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸以外の芳香族ジカルボン酸である芳香族ポリエステルの優れた機械的特性なども具備している。
ところで、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、優れた寸法安定性を発現する点から、フィルムのその面方向における少なくとも1方向の温度膨張係数(αt)が、好ましくはフィルムの幅方向の温度膨張係数(αt)が14×10−6/℃以下であることが必要である。フィルムの少なくとも一方向における温度膨張係数が上限以下であることで、例えば最も寸法安定性が求められるフィルムの方向と合わせることで、環境変化に対する優れた寸法安定性を得られるフィルムに発現することが出来る。なお、特許文献3の結果から、ポリアルキレン−6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエートを共重合した場合、温度膨張係数は大きくなってしまうと予想されるが、特定の共重合量の範囲で共重合し、かつそれを延伸することで、驚くべきことに温度膨張係数を小さく出来たのが本発明である。温度膨張係数の下限は制限されないが、通常−15×10−6/℃である。好ましい温度膨張係数(αt)は−10×10−6/℃以上、さらに−7×10−6/℃以上、特に−5×10−6/℃以上であり、また10×10−6/℃以下、さらに7×10−6℃以下、特に5×10−6/℃以下の範囲であることが、例えば磁気記録テープとしたとき、雰囲気の温湿度変化による寸法変化に対して優れた寸法安定性を発現できることから好ましい。
ところで、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルム面方向の少なくとも一方向、好ましくは上記温度膨張係数が14×10−6/℃以下の方向におけるフィルムの湿度膨張係数(αh)とヤング率(Y)とが、以下の式(1)の関係を満足することが好ましい。
αh<−1.2Y+17 (1)
(ここで、αhは湿度膨張係数(×10/%RH)を、Yはヤング率(GPa)を示す。)
得られた二軸配向ポリエステルフィルムが、上記式(1)の関係を満足しない場合、従来のポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレートからなるフィルムと同等なヤング率に対するαhにしかならず、ポリアルキレン−6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエートを共重合したことによる湿度膨張の低減効果が十分に発現されない。なお、上記関係式(1)における「−1.2」という係数は、本願明細書の比較例1〜3に記したポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムのヤング率とαhの関係から導き出されたものである。また、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸を共重合する芳香族ポリエステルとしては、ヤング率を寄り大きくしやすいことからポリエチレン−2,6−ナフタレートが好ましく、他方ヤング率に対してより湿度膨張係数を小さくしやすいことからポリエチレンテレフタレートが好ましい。好ましい湿度膨張係数(αh)とヤング率(Y)の関係は、
αh<−1.2Y+16.5 (1’)
よりさらに
αh<−1.2Y+16.0 (1’’)
である。
なお、上記ヤング率とαhの関係式について、下限は特に制限されないが、通常、
αh>−1.2Y+12.0 (1’’’)
程度である。上述のようなヤング率、αtやαhは、前述の共重合の組成および後述の延伸によって調整できる。
さらに本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの好ましい態様について、さらに詳述する。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、先ほどのフィルムの面方向における少なくとも一方向、好ましくは温度膨張係数が14×10−6/%RH以下である方向の湿度膨張係数(αh)の上限は8×10−6/%RH以下、さらに7×10−6/%RH以下、特に6×10−6/%RH以下の範囲にあることが、特に磁気記録テープにしたときの寸法安定性の点で好ましい。なお、下限は特に制限されないが、製膜性などの点から1×10−6/%RH程度である。特に、磁気記録テープにベースフィルムに用いる場合、上記式(1)を満足する方向が二軸配向ポリエステルフィルムの幅方向であることが、磁気記録テープとしたとき、トラックずれなどを極めて抑制できることから好ましい。なお、本発明において、フィルムの面方向とはフィルムの厚みに直交する方向であり、フィルムの幅方向とはフィルムの製膜方向(長手方向、縦方向と称することもある。)に直交する方向であり、横方向と称することもある。
ところで、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルム面方向の少なくとも一方向、好ましくは上記温度膨張係数が14×10−6/%RH以下である方向のフィルムのヤング率が少なくとも4.5GPa以上あることが好ましく、上限は特に制限されないが通常12GPa程度が好ましい。特に好ましいヤング率の範囲は5〜11GPa、さらに6〜10GPa、特に7〜10GPaの範囲にあることが好ましい。この範囲から外れると、前述のαtやαhを達成することが困難になったり、機械的特性が不十分になることがある。このようなヤング率は、前述の共重合の組成および後述の延伸によって調整できる。
また、上記温度膨張係数が14×10−6以下の方向については、少なくとも一方向、好ましくは前述のとおり、幅方向が満足していれば良いが、それに直交する方向も寸法安定性の点からは、同様な温度膨張係数や湿度膨張係数、さらにヤング率などを満足することが好ましい。
<芳香族ポリエステル樹脂の製造方法>
つぎに、本発明における芳香族ポリエステルの製造方法について、詳述する。
まず、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸と例えば2,6−ナフタレンジカルボン酸やテレフタル酸もしくはそのエステル形成性誘導体と、例えばエチレングリコールとを反応させ、ポリエステル前駆体を製造する。そして、このようにして得られたポリエステル前駆体を重合触媒の存在下で重合することで製造でき、必要に応じて固相重合などを施しても良い。このようにして得られる芳香族ポリエステルのP−クロロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(重量比40/60)の混合溶媒を用いて35℃で測定した固有粘度は、0.4〜1.5dl/g、さらに0.5〜1.2dl/gの範囲にあることが本発明の効果の点から好ましい。なお、前述の通り、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸を、そのエステル化合物を経由せずグリコールと直接反応させることにより、反応副生物であるジエチレングリコールなどの副生物の含有量を低減することもできる。
また、前述のポリエステル前駆体を製造する工程でエチレングリコール成分は、全酸成分のモル数に対して、1.1〜6倍、さらに2〜5倍、特に3〜5倍用いることが生産性の点から好ましい。
また、ポリエステルの前駆体を製造する際の反応温度としてはエチレングリコールの沸点以上で行うことが好ましく、特に190℃〜250℃の範囲で行なうことが好ましい。190℃よりも低いと反応が十分に進行しにくく、250℃よりも高いと副反応物であるジエチレングリコールが生成しやすい。また、反応を常圧下で行うこともできるが、さらに生産性を高めるために加圧下で反応を行ってもよい。より詳しくは反応圧力は絶対圧力で10kPa以上200kPa以下、反応温度は通常150℃以上250℃以下、好ましくは180℃以上230℃以下で、反応時間10分以上10時間以下、好ましくは30分以上7時間以下行われるのが好ましい。このエステル化反応によってポリエステル前駆体としての反応物が得られる。
ポリエステルの前駆体を製造する反応工程では、公知のエステル化もしくはエステル交換反応触媒を用いてもよい。例えばアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、チタン化合物などが上げられる。
つぎに、重縮合反応について説明する。まず、重縮合温度は得られるポリマーの融点以上でかつ230〜280℃以下、より好ましくは融点より5℃以上高い温度から融点より30℃高い温度の範囲である。重縮合反応では通常30Pa以下の減圧下で行うのが好ましい。30Paより高いと重縮合反応に要する時間が長くなり且つ重合度の高い芳香族ポリエステルを得ることが困難になる。
重縮合触媒としては、少なくとも一種の金属元素を含む金属化合物が挙げられる。なお、重縮合触媒はエステル化反応においても使用することができる。金属元素としては、チタン、ゲルマニウム、アンチモン、アルミニウム、ニッケル、亜鉛、スズ、コバルト、ロジウム、イリジウム、ジルコニウム、ハフニウム、リチウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。より好ましい金属としては、チタン、ゲルマニウム、アンチモン、アルミニウム、スズなどであり、中でも、チタン化合物はエステル化反応と重縮合反応との双方の反応で、高い活性を発揮するので特に好ましい。
これらの触媒は単独でも、あるいは併用してもよい。かかる触媒量は、芳香族ポリエステルの繰り返し単位のモル数に対して、0.001〜0.5モル%、さらには0.005〜0.2モル%が好ましい。
具体的な重縮合触媒としてのチタン化合物としては、例えば、テトラ−n−プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソブチルチタネート、テトラ−tert−ブチルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラフェエルチタネート、テトラベンジルチタネート、蓚酸チタン酸リチウム、蓚酸チタン酸カリウム、蓚酸チタン酸アンモニウム、酸化チタン、チタンのオルトエステル又は縮合オルトエステル、チタンのオルトエステル又は縮合オルトエステルとヒドロキシカルボン酸からなる反応生成物、チタンのオルトエステル又は縮合オルトエステルとヒドロキシカルボン酸とリン化合物からなる反応生成物、チタンのオルトエステル又は縮合オルトエステルと少なくとも2個のヒドロキシル基を有する多価アルコール、2−ヒドロキシカルボン酸、又は塩基からなる反応生成物などが挙げられる。
本発明における芳香族ポリエステルには、本発明の効果を阻害しない範囲で、他の熱可塑性ポリマー、紫外線吸収剤等の安定剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、離型剤、顔料、核剤、充填剤あるいはガラス繊維、炭素繊維、層状ケイ酸塩などを必要に応じて配合しても良い。他種熱可塑性ポリマーとしては、脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリエーテルイミド、ポリイミドなどが挙げられる。
<フィルムの製造方法>
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、製膜方向と幅方向に延伸してそれぞれの方向の分子配向を高めたものであり、例えば以下のような方法で製造することが製膜性を維持しつつ、温湿度膨張係数を低減しやすいことから好ましい。
まず、上述の芳香族ポリエステルを原料とし、これを乾燥後、該芳香族ポリエステルの融点(Tm:℃)ないし(Tm+50)℃の温度に加熱された押出機に供給して、例えばTダイなどのダイよりシート状に押出す。この押出されたシート状物を回転している冷却ドラムなどで急冷固化して未延伸フィルムとし、さらに該未延伸フィルムを二軸延伸する。
なお、本発明で規定するαt、αh、さらにヤング率などを達成するためには、その後の延伸を進行させやすくすることが必要であり、そのような観点から冷却ドラムによる冷却は非常に速やかに行なうことが好ましい。そのような観点から、特許文献3に記載されるような80℃といった高温ではなく、20〜60℃という低温で行なうことが好ましい。このような低温で行うことで、未延伸フィルムの状態での結晶化が抑制され、その後の延伸をよりスムーズに行うことが可能となる。
二軸延伸としては、逐次二軸延伸でも同時二軸延伸でもよい。
ここでは、逐次二軸延伸で、縦延伸、横延伸および熱処理をこの順で行う製造方法を一例として挙げて説明する。まず、最初の縦延伸は芳香族ポリエステルのガラス転移温度(Tg:℃)ないし(Tg+40)℃の温度で、3〜8倍に延伸し、次いで横方向に先の縦延伸よりも高温で(Tg+10)〜(Tg+50)℃の温度で3〜8倍に延伸し、さらに熱処理としてポリマーの融点以下の温度でかつ(Tg+50)〜(Tg+150)℃の温度で1〜20秒、さらに1〜15秒熱固定処理するのが好ましい。なお、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分が共重合されていることから極めて延伸性に富む反面、同じ延伸倍率ではヤング率が低くなる傾向があり、目的とするヤング率を得るにはより高めの延伸倍率で延伸することが必要である。なお、通常であれば、延伸倍率を上げると製膜安定性が損なわれるが、本発明では6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分が共重合されているので延伸性が非常に高く、そのような問題は無い。
前述の説明は逐次二軸延伸について説明したが、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは縦延伸と横延伸とを同時に行う同時二軸延伸でも製造でき、例えば先で説明した延伸倍率や延伸温度などを参考にすればよい。
また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムが積層フィルムの場合、2種以上の溶融ポリエステルをダイ内で積層してからフィルム状に押出し、好ましくはそれぞれのポリエステルの融点(Tm:℃)ないし(Tm+70)℃の温度で押出すか、2種以上の溶融ポリエステルをダイから押出した後に積層し、急冷固化して積層未延伸フィルムとし、ついで前述の単層フィルムの場合と同様な方法で二軸延伸および熱処理を行うとよい。また、前述の塗布層を設ける場合、前記した未延伸フィルムまたは一軸延伸フィルムの片面または両面に所望の塗布液を塗布し、後は前述の単層フィルムの場合と同様な方法で二軸延伸および熱処理を行うことが好ましい。
本発明によれば、本発明の上記二軸配向ポリエステルフィルムをベースフィルムとし、その一方の面に非磁性層および磁性層がこの順で形成され、他方の面にバックコート層が形成することなどで磁気記録テープとすることができる。
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明では、以下の方法により、その特性を測定および評価した。
(1)固有粘度
得られたポリエステルの固有粘度はP−クロロフェノール/テトラクロロエタン(40/60重量比)の混合溶媒を用いてポリマーを溶解して35℃で測定して求めた。
(2)ガラス転移点および融点
ガラス転移点、融点はDSC(TAインスツルメンツ株式会社製、商品名:Thermal Analyst2100)により昇温速度20℃/minで測定した。
(3)共重合量
グリコール成分については、試料10mgをp−クロロフェノール:重テトラクロロエタン=3:1(容積比)混合溶液0.5mlに80℃で溶解した。イソプロピルアミンを加えて、十分に混合した後に600MのH−NMR(日立電子製、JEOL A600)にて80℃で測定し、それぞれのグリコール成分量を測定した。
また、酸成分については、試料50mgをp−クロロフェノール:重テトラクロロエタン=3:1(容積比)混合溶液0.5mlに140℃で溶解し、400M 13C−NMR(日立電子製、JEOL A600)にて140℃で測定し、それぞれの酸成分量を測定した。
(4)ヤング率
得られたフィルムを試料巾10mm、長さ15cmで切り取り、チャック間100mm、引張速度10mm/分、チャート速度500mm/分の条件で万能引張試験装置(東洋ボールドウィン製、商品名:テンシロン)にて引っ張る。得られた荷重―伸び曲線の立ち上がり部の接線よりヤング率を計算する。
(5)温度膨張係数(αt)
得られたフィルムを、フィルムの幅方向が測定方向となるように長さ15mm、幅5mmに切り出し、真空理工製TMA3000にセットし、窒素雰囲気下(0%RH)、60℃で30分前処理し、その後室温まで降温させる。その後25℃から70℃まで2℃/minで昇温して、各温度でのサンプル長を測定し、次式より温度膨張係数(αt)を算出する。なお、測定方向が切り出した試料の長手方向であり、5回測定し、その平均値を用いた。
αt={(L60−L40)}/(L40×△T)}+0.5
ここで、上記式中のL40は40℃のときのサンプル長(mm)、L60は60℃のときのサンプル長(mm)、△Tは20(=60−40)℃、0.5は石英ガラスの温度膨張係数(×10−6/℃)である。
(6)湿度膨張係数(αh)
得られたフィルムを、フィルムの幅方向が測定方向となるように長さ15mm、幅5mmに切り出し、真空理工製TMA3000にセットし、30℃の窒素雰囲気下で、湿度30%RHと湿度70%RHにおけるそれぞれのサンプルの長さを測定し、次式にて湿度膨張係数を算出する。なお、測定方向が切り出した試料の長手方向であり、5回測定し、その平均値をαhとした。
αh=(L70−L30)/(L30×△H)
ここで、上記式中のL30は30%RHのときのサンプル長(mm)、L70は70%RHのときのサンプル長(mm)、△H:40(=70−30)%RHである。
[実施例1]
テレフタル酸ジメチル、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸そしてエチレングリコールとを、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル化反応およびエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、固有粘度0.73dl/gで、酸成分の65モル%がテレフタル酸成分、酸成分の35モル%が6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分、グリコール成分の98.5モル%がエチレングリコール成分、1.5モル%がジエチレングリコール成分である芳香族ポリエステルを得た。なお、該芳香族ポリエステルには、重縮合反応の前に平均粒径0.5μmのシリカ粒子を、得られる樹脂組成物の重量を基準として、0.2重量%となるように含有させた。この芳香族ポリエステルの融点は233℃、ガラス転移温度は91℃であった。
このようにして得られた芳香族ポリエステルを、押し出し機に供給して290℃でダイから溶融状態で回転中の温度40℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。そして、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が110℃になるように加熱して縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率4.0倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、120℃で横方向(幅方向)に延伸倍率4.5倍で延伸し、その後210℃で3秒間熱固定処理を行い、厚さ10μmの二軸延伸フィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[実施例2]
テレフタル酸ジメチル、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸そしてエチレングリコールとを、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル化反応およびエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、固有粘度0.68dl/gで、酸成分の80モル%がテレフタル酸成分、酸成分の20モル%が6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分、グリコール成分の98モル%がエチレングリコール成分、2モル%がジエチレングリコール成分である芳香族ポリエステルを得た。なお、該芳香族ポリエステルには、重縮合反応の前に平均粒径0.5μmのシリカ粒子を、得られる樹脂組成物の重量を基準として、0.2重量%となるように含有させた。この芳香族ポリエステルの融点は230℃、ガラス転移温度は85℃であった。
このようにして得られた芳香族ポリエステルを、押し出し機に供給して290℃でダイから溶融状態で回転中の温度30℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。そして、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が105℃になるように加熱して縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率5.0倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、115℃で横方向(幅方向)に延伸倍率5.0倍で延伸し、その後210℃で3秒間熱固定処理を行い、厚さ10mの二軸延伸フィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[実施例3]
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸そしてエチレングリコールとを、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル化反応およびエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、固有粘度0.78dl/gで、酸成分の73モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、酸成分の27モル%が6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分、グリコール成分の98.5モル%がエチレングリコール成分、1.5モル%がジエチレングリコール成分である芳香族ポリエステルを得た。なお、該芳香族ポリエステルには、重縮合反応の前に平均粒径0.5μmのシリカ粒子を、得られる樹脂組成物の重量を基準として、0.2重量%となるように含有させた。この芳香族ポリエステルの融点は240℃、ガラス転移温度は112℃であった。
このようにして得られた芳香族ポリエステルを、押し出し機に供給して300℃でダイから溶融状態で回転中の温度45℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。そして、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が130℃になるように加熱して縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率4.0倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、140℃で横方向(幅方向)に延伸倍率6.0倍で延伸し、その後200℃で10秒間熱固定処理を行い、厚さ7μmの二軸延伸フィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[実施例4]
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸そしてエチレングリコールとを、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル化反応およびエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、固有粘度0.81dl/gで、酸成分の94モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、酸成分の6モル%が6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分、グリコール成分の99モル%がエチレングリコール成分、1モル%がジエチレングリコール成分である芳香族ポリエステルを得た。なお、該芳香族ポリエステルには、重縮合反応の前に平均粒径0.5μmのシリカ粒子を、得られる樹脂組成物の重量を基準として、0.2重量%となるように含有させた。この芳香族ポリエステルの融点は255℃、ガラス転移温度は117℃であった。
このようにして得られた芳香族ポリエステルを、押し出し機に供給して300℃でダイから溶融状態で回転中の温度55℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。そして、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が135℃になるように加熱して縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率3.0倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、135℃で横方向(幅方向)に延伸倍率5.0倍で延伸し、その後200℃で10秒間熱固定処理を行い、厚さ10μmの二軸延伸フィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[実施例5]
実施例4において、製膜方向の延伸温度を140℃に、製膜方向の延伸倍率を5.0倍に、幅方向の延伸温度を140℃に、幅方向の延伸倍率を4.2倍に、熱固定処理温度を210℃に変更するほかは同様な操作を繰り返して二軸延伸フィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。なお、得られたフィルムは、幅方向のヤング率が極めて低く、磁気記録媒体としたときに幅方向の寸法変化が大きく、また幅方向に張力が係ると非常に伸びやすいものであった。
[実施例6]
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸そしてエチレングリコールとを、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル化反応およびエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、固有粘度0.78dl/gで、酸成分の57モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、酸成分の43モル%が6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分、グリコール成分の98.5モル%がエチレングリコール成分、1.5モル%がジエチレングリコール成分である芳香族ポリエステルを得た。なお、該芳香族ポリエステルには、重縮合反応の前に平均粒径0.5μmのシリカ粒子を、得られる樹脂組成物の重量を基準として、0.2重量%となるように含有させた。この芳香族ポリエステルの融点は253℃、ガラス転移温度は116℃であった。
このようにして得られた芳香族ポリエステルを、押し出し機に供給して300℃でダイから溶融状態で回転中の温度45℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。そして、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が140℃になるように加熱して縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率4.5倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、140℃で横方向(幅方向)に延伸倍率5.2倍で延伸し、その後200℃で5秒間熱固定処理を行い、厚さ10μmの二軸延伸フィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[比較例1]
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルとエチレングリコールとを、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル化反応およびエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、固有粘度0.62dl/gで、グリコール成分の1.5モル%がジエチレングリコール成分であるポリエチレン−2,6−ナフタレートを得た。なお、該ポリエチレン−2,6−ナフタレートには、重縮合反応の前に平均粒径0.5μmのシリカ粒子を、得られる樹脂組成物の重量を基準として、0.2重量%となるように含有させた。このポリエチレン−2,6−ナフタレートの融点は270℃、ガラス転移温度は120℃であった。
このようにして得られたポリエチレン−2,6−ナフタレートを、押し出し機に供給して300℃でダイから溶融状態で回転中の温度60℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。そして、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が140℃になるように加熱して縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率3.0倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、140℃で横方向(幅方向)に延伸倍率4.3倍で延伸し、その後200℃で10秒間熱固定処理を行い、厚さ10μmの二軸延伸フィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[比較例2]
比較例1において、製膜方向の延伸温度を140℃に、製膜方向の延伸倍率を4.0倍に、幅方向の延伸温度を140℃に、幅方向の延伸倍率を4.0倍に、熱固定処理温度を200℃に変更するほかは同様な操作を繰り返して二軸延伸フィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[比較例3]
比較例1において、製膜方向の延伸温度を140℃に、製膜方向の延伸倍率を4.5倍に、幅方向の延伸温度を140℃に、幅方向の延伸倍率を3.4倍に、熱固定処理温度を200℃に変更するほかは同様な操作を繰り返して二軸延伸フィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[参考例1]
参考例として、特許文献3の実施例1に記載されたヤング率、温度膨張係数そして湿度膨張係数の結果を、表1に示す。
Figure 0005209218
表1中のTAはテレフタル酸成分、NAは2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、ENAは6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分、EGはエチレングリコール成分、DEGはジエチレングリコール成分、Tgはガラス転移温度、MDはフィルムの製膜方向、TDはフィルムの幅方向を示す。なお、参考例1のヤング率はGPaに換算したものを示した。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、従来のポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートやポリアルキレン−6、6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエートでは達成できなかったような優れた寸法安定性を有し、寸法安定性が求められる用途、特に高密度磁気記録媒体のベースフィルムとして、好適に使用することができる。

Claims (9)

  1. 芳香族ジカルボン酸成分とグリコール成分との芳香族ポリエステルからなる二軸配向ポリエステルフィルムであって、
    芳香族ジカルボン酸成分の5モル%以上50モル%未満が、下記式(I)
    Figure 0005209218
    (上記構造式(I)中のRは、炭素数1〜10のアルキレン基を示す。)
    で表される6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分であること、芳香族ポリエステルの主たる繰り返し単位が、アルキレン−2,6−ナフタレートおよびアルキレンテレフタレートからなる群より選ばれた少なくとも一種であり、グリコール成分の90モル%以上がエチレングリコールであること、そしてフィルム面方向における少なくとも一方向の温度膨張係数(αt)が14×10−6/℃以下であることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム。
  2. フィルム面方向における少なくとも一方向のヤング率と湿度膨張係数とが以下の一般式(1)の関係を具備することを満足する請求項1記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
    αh<−1.2Y+17 (1)
    (上記一般式(1)中のαhは湿度膨張係数(×10−6/%RH)、Yはヤング率(GPa)を示す。)
  3. フィルム面方向における少なくとも一方向のヤング率が4.5GPa以上である請求項1記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  4. フィルム面方向における少なくとも一方向の湿度膨張係数が1〜7(×10−6/%RH)の範囲にある請求項1記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  5. 温度膨張係数が14×10−6/℃以下である方向が、フィルムの幅方向である請求項1記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  6. 芳香族ポリエステルの融点が200〜260℃の範囲にある請求項1記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  7. 6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分が6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分である請求項1記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  8. 二軸配向ポリエステルフィルムが、磁気記録媒体のベースフィルムに用いられる請求項1記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  9. 磁気記録媒体がリニア記録方式の高密度磁気記録テープである請求項記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
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