JP5735370B2 - 芳香族ポリエステルの樹脂組成物および配向ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

本発明はフィルムにしたときに寸法安定性に優れた芳香族ポリエステルの樹脂組成物およびそれを用いた配向ポリエステルフィルムに関する。
ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートに代表される芳香族ポリエステルは優れた機械的特性、寸法安定性および耐熱性を有することから、フィルムなどに幅広く使用されている。特にポリエチレン−2,6−ナフタレートは、ポリエチレンテレフタレートよりも優れた機械的特性、寸法安定性および耐熱性を有することから、それらの要求の厳しい用途、例えば高密度磁気記録媒体などのベースフィルムなどに使用されている。しかしながら、近年の高密度磁気記録媒体などでの寸法安定性の要求はますます高くなってきており、さらなる特性の向上が求められている。
そこで、特許文献1では、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分を共重合することで、湿度膨張係数を低減でき、寸法安定性を向上せしめた高密度磁気記録媒体のベースフィルムに適したフィルムが提案されている。しかしながら、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分の製造には非常に多くの溶媒が必要など生産性の点で問題があった。
一方、特許文献2には、ボトルなどに成形する際に、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートをブロー延伸して用いようとすると、成形加工性が乏しく、そのブロー延伸での成形加工性を向上させるために、ジヒドロキシナフタレン類のアルキレンオキサイド付加物やビフェノール類のアルキレンオキサイド付加物から誘導される構成単位を共重合することが提案されている。しかし、高密度磁気記録媒体のベースフィルムなど寸法安定性の要求されるフィルムに用いることは、何ら検討されていない。
ところで、例えば磁気記録媒体のベースフィルムに用いる場合、磁性層を塗布したり、蒸着したりして形成され、その加工の際に高温での熱処理が施される。そして、高温での熱処理を行う場合、フィルムを安定に走向させるためにある程度張力がかかった状態になり、熱により張力のかかっている方向に伸びてしまうという課題も抱えていた。また、磁気記録媒体のベースフィルムに用いる場合、磁気記録信号を安定して読み取れるようにするため、ベースフィルムの表面性は平坦であることが求められる。
特開平10−204166号公報 特願平8−260736号公報(特開平10−101782号公報) 特開平6−49336号公報 特開2008−189801号公報
本発明の目的は、寸法安定性、特に温度や湿度といった環境変化に対する寸法安定性に優れ、高温での加工時の伸びも抑制でき、さらに表面の平坦性にも優れる配向ポリエステルフィルムを形成するのに適した樹脂組成物及びそれを用いた配向ポリエステルフィルムを提供することである。
配向ポリエステルフィルムにおいて、温度膨張係数および湿度膨張係数はヤング率と非常に密接な関係にあり、ヤング率が高いほど一般的に低くなる。しかしながら、ヤング率はいくらでも高められるというわけではなく、製膜性や直交する方向のヤング率確保の点から自ずと限界がある。そのため、同じヤング率なら温度や湿度に対してより低い膨張係数をもつフィルムが得られないか鋭意研究したところ、主たる繰り返し単位が下記式(2)で示される芳香族ポリエステル(芳香族ポリエステルB)からなるフィルムは、低い湿度膨張係数を示すことから好適なフィルムとして考えた。しかしながら、芳香族ポリエステルBからなるフィルムは、延伸倍率が出にくくヤング率が低いという課題と、温度膨張係数が高いという課題があった。
ところが、本発明者らは、芳香族ポリエステルBを、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6ナフタレンジカルボキシレートとブレンドした樹脂組成物として用いたとき、驚くべきことに、芳香族ポリエステルBの低湿度膨張係数とポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6ナフタレンジカルボキシレートのヤング率を兼備し、磁気記録媒体の塗布時の熱によるフィルムの伸びなど、高温での加工時の伸びも抑制でき、しかも得られるフィルムの表面の平坦性にも優れるフィルムが得られることを見出した。
かくして本発明によれば、主たる繰り返し単位が下記式(1)で示される芳香族ポリエステル(A)と、主たる繰り返し単位が下記式(2)で表される芳香族ポリエステルBとを重量比50:50〜95:5で含有し、下記式(1)と(2)
Figure 0005735370
(上記構造式(1)および(2)中の、Xは1,4−フェニレン基または2,6−ナフタレンジイル基であり、Rはエチレン基、Rは炭素数2〜10のアルキレン基もしくは炭素数8〜10のシクロアルキレン基を示す。)におけるXが1,4−フェニレン基または2,6−ナフタレンジイル基のいずれかである樹脂組成物が提供され、その好ましい態様として、式(2)中のRがエチレン基である樹脂組成物も提供される。
また、本発明によれば、上記本発明の樹脂組成物からなる配向ポリエステルフィルムが提供され、その好ましい態様として、フィルムの面方向における屈折率の最も高い方向(主配向方向)における105℃熱収縮率が0%以上1%以下であること、磁気記録媒体のベースフィルムに用いられることの少なくともいずれかを具備する配向ポリエステルフィルムも提供される。
本発明によれば、温度や湿度変化に対する寸法安定性に優れ、ヤング率などの機械的特性に優れ、しかも高温での加工時の伸びも小さく、優れた表面の平坦性も得られるフィルムに具備させることができる樹脂組成物およびそれを用いた配向ポリエステルフィルムが提供できる。
<芳香族ポリエステルA>
本発明における芳香族ポリエステルAは、主たる繰り返し単位が前記式(1)で示されるポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートであり、本発明の湿度膨張係数の低減効果やヤング率をより高めやすいことから、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが好ましい。なお、本発明の目的を損なわない範囲で、例えば全繰り返し単位のモル数を基準として、20モル%以下、さらに10モル%以下の範囲で、他の共重合成分を共重合したものであっても良い。共重合成分としては、それ自体公知のものを適宜採用できる。
本発明における芳香族ポリエステルAの固有粘度は、特に制限されないが、芳香族ポリエステルBとの混練のしやすさや、フィルムに製膜したときの機械的特性などの点から、0.4〜1.5dl/g、さらに0.5〜1.0dl/gの範囲にあることが好ましい。なお、本発明における固有粘度は、P−クロロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(重量比40/60)の混合溶媒を用いて35℃で測定した固有粘度である。
<芳香族ポリエステルB>
本発明における芳香族ポリエステルBは、主たる繰り返し単位が前記式(2)で示されるポリエステルである。前記式(2)で示されるRの部分は、炭素数2〜10のアルキレン基もしくは炭素数8〜10のシクロアルキレン基であり、好ましくはエチレン基、プロピレン基、ブチレン基などが挙げられ、これらの中でも本発明の効果の点からは、上記一般式(2)におけるRの炭素数が偶数のものが好ましく、特にエチレン基が好ましい。なお、本発明の目的を損なわない範囲で、例えば全繰り返し単位のモル数を基準として、20モル%以下、さらに10モル%以下の範囲で、他の共重合成分を共重合したものであっても良い。共重合成分としては、それ自体公知のものを適宜採用できる。
好ましい芳香族ポリエステルBとしては、ポリ−4,4’−ジフェニレンジオキシエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートおよびポリ−4,4’−ジフェニレンジオキシエチレン−テレフタレートが挙げられ、本発明の熱による伸びを抑制しやすく、ヤング率をより高めやすいことから、ポリ−4,4’−ジフェニレンジオキシエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが好ましい。
本発明における芳香族ポリエステルBの固有粘度は、特に制限されないが、芳香族ポリエステルAとの混練のしやすさや、フィルムに製膜したときの機械的特性などの点から、0.4〜1.5dl/g、さらに0.5〜1.0dl/gの範囲にあることが好ましい。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、前述の芳香族ポリエステルAと芳香族ポリエステルBとをブレンドしたものである。特に得られるフィルムの表面の平坦性を向上させるために、前記式(1)中のXと、前記式(2)中のXとは同じである。そういった観点から、芳香族ポリエステルAがエチレンテレフタレートを主たる(例えば80モル%以上)繰り返し単位とするポリエチレンテレフタレートである場合は、4,4’−ジフェニレンジオキシエチレン−テレフタレートを主たる(例えば80モル%以上)繰り返し単位とするポリ−4,4’−ジフェニレンジオキシエチレン−テレフタレートが好ましく、芳香族ポリエステルAがエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主たる(例えば80モル%以上)繰り返し単位とするポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートである場合は、4,4’−ジフェニレンジオキシエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主たる(例えば80モル%以上)繰り返し単位とするポリ−4,4’−ジフェニレンジオキシエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが好ましい。
本発明の特徴の一つは、フィルムを形成する樹脂組成物が、芳香族ポリエステルAと芳香族ポリエステルBからなり、芳香族ポリエステルAと芳香族ポリエステルBとの重量比が、50:50〜95:5、好ましくは60:40〜94:6の範囲、さらに好ましくは70:30〜94:6の範囲にあることである。芳香族ポリエステルBの割合が少なすぎれば、湿度膨張係数など寸法安定性の向上効果が乏しくなり、他方で芳香族ポリエステルBの割合が多すぎれば、ヤング率などが低下したりしやすくなる。
ところで、本発明の樹脂組成物は、DSCで測定した融点が、200〜270℃の範囲、さらに210〜270℃の範囲、特に230〜265℃の範囲にあることが製膜性と得られるフィルムの機械的特性の点から好ましい。また、本発明の樹脂組成物は、DSCで測定したガラス転移温度(以下、Tgと称することがある。)が、80〜120℃の範囲、さらに90〜118℃の範囲、特に95〜116℃の範囲にあることが、フィルムの延伸性、耐熱性や寸法安定性の点から好ましい。
なお、このような融点やガラス転移温度は、芳香族ポリエステルAと芳香族ポリエステルBの共重合成分の種類や共重合量、また副生物であるジアルキレングリコールの制御、さらに芳香族ポリエステルAと芳香族ポリエステルBの割合などによって調整できる。なお、フィルムにした後の高温での加工、例えば磁性層の塗布などの加工性を向上させる観点からは、Tgはできる限り高いことが好ましく、本発明の目的を損なわない範囲で、さらにガラス転移温度を高くできる共重合成分を共重合したり、ポリエーテルイミドや液晶樹脂をブレンドしたりすること(例えば、特開2000−355631号公報、特開2000−141475号公報および特開平11−1568号公報などを参照)も好ましい態様である。
<配向フィルム>
本発明の配向フィルムは、前述の樹脂組成物からなり、フィルム面方向の少なくとも一方向に延伸、すなわち分子鎖が配向されたフィルムである。
この際、分子鎖が最も配向された方向(以下、主配向方向と称する)は、105℃にて30分間無荷重下で測定したときの熱収縮率が1%以下である。熱収縮率がこれよりも大きいと、高温での加工時にフィルムが主配向方向に収縮し、高温加工時の伸びを抑制しても、変形が大きく、加工性が低下したり、また加工後の湿度膨張係数やヤング率などの特性が損なわれやすくなったりすることがある。そういった観点から、好ましい主配向方向の熱収縮率の上限は、1.0%以下、さらに0.9%以下である。このような熱収縮率は延伸後に熱固定処理を行い、そのときの温度を高くすることや、熱収縮率を下げたい方向に弛緩させることなどで小さくできる。なお、熱収縮率の下限は特に制限されないが、通常の製膜条件では、膨張するような負の値にしようとすると、工程でシワなどが発生しやすいことから、0%以上、さらに0.1%以上であることが好ましい。
本発明の配向フィルムは、磁気テープなどのベースフィルムとして用いたとき、ベースフィルムが伸びないように前記主配向方向は、ヤング率が4.5GPa以上という高いヤング率を有することが好ましい。しかも、このようにヤング率を高くすることで、より湿度膨張係数を小さくすることができる。ヤング率の上限は制限されないが、通常11GPaである。
なお、本発明の配向フィルムを磁気記録媒体のベースフィルムなど、フィルムの製膜方向(以下、長手方向、縦方向またはMD方向と称することがある。)と、幅方向(横方向、TD方向と称することがある。)の両方向に高いヤング率が求められる場合、二軸配向フィルムであることが好ましい。二軸配向フィルムである場合の好ましいヤング率は、主配向方向のヤング率が4.5GPa以上で、かつフィルムの長手方向が3〜11GPa、さらに3.5〜10GPa、特に4.0〜9GPaの範囲であり、フィルムの幅方向が4〜11GPa、さらに5〜11GPa、さらに6〜10GPa、特に7〜10GPaの範囲である。
本発明の配向フィルムは、主配向方向の湿度膨張係数が7.5ppm/%RH以下、さらには7.3ppm/%RH以下、特に7ppm/%RH以下であることが好ましく、他方下限は特に制限されないが、1ppm/%RH以上、さらに2ppm/%RH以上、特に3ppm/%RHであることが、目的とする製品に湿度変化に対する優れた寸法安定性を付与できることから好ましい。特にリニア記録方式の磁気記録媒体のベースフィルムに用いる場合、上記湿度膨張係数を満足する方向が幅方向であることが、トラックずれなどを極めて抑制できることから好ましい。
本発明の配向フィルムは、主配向方向の温度膨張係数が−10〜+10ppm/℃、さらには−7〜+5ppm/℃の範囲、特に−5〜−1ppm/℃にあることが、特に磁気記録テープにしたときの寸法安定性の点で好ましい。特に、磁気記録テープにベースフィルムに用いる場合、上記温度膨張係数を満足する方向が幅方向であることが、トラックずれなどを極めて抑制できることから好ましい。
本発明の配向フィルムは、110℃にまで加熱したときのフィルムの製膜方向および幅方向の伸びが、それぞれ1.5%以下で、かつ両者の合計が2.0%以下であることが好ましい。このように110℃まで加熱したときの伸びが抑えられることで、加工時のシワなどの発生を抑制できる。そのような観点から、110℃にまで加熱したときのフィルムの製膜方向および幅方向の伸びは、それぞれ1.0%以下で、両者の合計が1.5%以下であることがさらに好ましく、特にそれぞれが0.8%以下であることが好ましい。
本発明の配向フィルムの厚みは、用途に応じて適宜決めればよく、磁気記録テープのベースフィルムに用いる場合は、2〜10μm、さらに3〜7μm、特に4〜6μmの範囲が好ましい。
本発明の配向フィルムは、その表面の表面粗さは用いられる用途に応じて適宜調整すればよく、磁気記録媒体のベースフィルムなど平坦性の要求される用途に用いる場合、少なくとも一方の表面は、表面粗さ(Ra)が1nm〜20nm、更に好ましくは2nm〜10nmであることが好ましい。
通常フィルムの表面粗さを粗くするには、フィルム層に不活性粒子を含有させたりして、突起を形成すればよい。含有させる不活性粒子としては、それ自体公知のものを好適に使用できる。走行性の観点からは、フィルム層に含有させる不活性粒子の平均粒径は、0.02〜1.0μm、さらに0.03〜0.8μmの範囲にあることが好ましく、特に磁気記録媒体として用いる場合は0.03〜0.5μm、さらに0.05〜0.3μmの範囲にあることが好ましい。また、フィルム層に含有させる不活性粒子の含有量は、該フィルム層の重量を基準として、0.005〜1.0重量%、さらに0.01〜0.5重量%の範囲にあることが好ましい。もちろん、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明の配向フィルムに、さらに他のフィルム層を積層したり、塗膜層を設けたりしても良い。
ところで、本発明の配向フィルムは、前述の通り、芳香族ポリエステルAと芳香族ポリエステルBとをブレンドした樹脂組成物からなる。そのため、芳香族ポリエステルAと芳香族ポリエステルBとの親和性が乏しいと、得られる配向フィルムの表面は、非常に粗いものとなりやすい。そのため、上記のような平坦な表面を形成するため、芳香族ポリエステルAと芳香族ポリエステルBとは、繰り返し単位を示す前記式(1)および(2)のXが同じである。
<樹脂組成物の製造方法>
本発明の樹脂組成物の製造方法について、以下説明する。まず、芳香族ポリエステルAは、テレフタル酸または2,6−ナフタレンジカルボン酸と、エチレングリコールとをエステル化反応させるか、テレフタル酸または2,6−ナフタレンジカルボン酸の低級アルキルエステルと、エチレングリコールとをエステル交換反応させ、得られたポリエステルの前駆体を、重縮合反応させればよい。つぎに、芳香族ポリエステルBは、テレフタル酸または2,6−ナフタレンジカルボン酸と、4,4’−ジフェニレンジオキシアルキレングリコールとをエステル化反応させるか、テレフタル酸または2,6−ナフタレンジカルボン酸の低級アルキルエステルと、4,4’−ジフェニレンジオキシアルキレングリコールとをエステル交換反応させ、得られたポリエステルの前駆体を、重縮合反応させればよい。なお、4,4’−ジフェニレンジオキシアルキレングリコールは、ビフェノールとビフェノールと目的とするRとなるアルキレングリコールとを反応させて、所望のビフェノールのアルキレンオキサイド付加物とすればよい。また、上述の製造方法は溶融重合法であるが、さらに必要に応じて固相重合などを施しても良い。
ポリエステルの前駆体を製造する際の反応温度としては、グリコール成分の沸点以上で行うことが好ましく、特に190℃〜250℃の範囲で行うことが好ましい。190℃よりも低いと反応が十分に進行しにくく、250℃よりも高いと副反応物が生成しやすい。また、反応を常圧下で行うこともできるが、さらに生産性を高めるために加圧下で反応を行ってもよい。より詳しくは、反応圧力は絶対圧力で10kPa以上200kPa以下、反応温度は通常150℃以上250℃以下、好ましくは180℃以上230℃以下で、反応時間10分以上10時間以下、好ましくは30分以上7時間以下行われるのが好ましい。このようなエステル交換反応またはエステル化反応によってポリエステル前駆体としての反応物が得られる。
ポリエステルの前駆体を製造する反応工程では、公知のエステル化もしくはエステル交換反応触媒を用いてもよい。例えばアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、チタン化合物などが挙げられる。
つぎに、重縮合反応について説明する。まず、重縮合温度は得られるポリマーの融点以上でかつ230〜280℃以下、より好ましくは融点より5℃以上高い温度から融点より30℃高い温度の範囲である。重縮合反応では通常30Pa以下の減圧下で行うのが好ましい。30Paより高いと重縮合反応に要する時間が長くなり且つ重合度の高い共重合芳香族ポリエステル樹脂を得ることが困難になる。
重縮合触媒としては、少なくとも一種の金属元素を含む金属化合物が挙げられる。なお、重縮合触媒はエステル交換反応やエステル化反応においても使用することができる。金属元素としては、チタン、ゲルマニウム、アンチモン、アルミニウム、ニッケル、亜鉛、スズ、コバルト、ロジウム、イリジウム、ジルコニウム、ハフニウム、リチウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。より好ましい金属としては、チタン、ゲルマニウム、アンチモン、アルミニウム、スズなどであり、中でも、チタン化合物はエステル交換反応と重縮合反応の双方の反応で、高い活性を発揮するので特に好ましい。
これらの触媒は単独でも、あるいは併用してもよい。かかる触媒量は、得られる芳香族ポリエステルの繰り返し単位のモル数に対して、0.001〜0.5モル%、さらには0.005〜0.2モル%が好ましい。
本発明の樹脂組成物は、このようにして得られた芳香族ポリエステルAと芳香族ポリエステルBとを、一軸または二軸溶融混練機にて所定の割合になるように溶融混練することによって得られる。なお、該樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、他の熱可塑性ポリマー、紫外線吸収剤等の安定剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、離型剤、顔料、核剤、充填剤あるいはガラス繊維、炭素繊維、層状ケイ酸塩などを必要に応じて配合しても良い。他の熱可塑性ポリマーとしては、脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリエーテルイミド、ポリイミドなどが挙げられる。
<フィルムの製造方法>
本発明の配向フィルムは、少なくともフィルムの面方向における少なくとも一方向(通常は製膜方向か、幅方向である。)、好ましくは製膜方向と幅方向の二軸方向に延伸して、延伸の方向の分子配向を高めたものであり、例えば以下のような方法で製造することが、製膜性を維持しつつ、ヤング率を向上させやすいことから好ましい。
まず、フィルムを形成する芳香族ポリエステルAと芳香族ポリエステルBとを原料とし、これらを乾燥後、溶融状態で混練して樹脂組成物とし、その樹脂組成物の融点(Tm:℃)以上(Tm+70)℃以下の温度でダイよりフィルム状に押出して、未延伸フィルムを作成し、これを一軸延伸もしくは二軸延伸する。なお、前述のヤング率、αt、αhなどを満足させるには、その後の延伸を進行させやすくするために、冷却ドラムによる冷却を非常に速やかに行うことが好ましい。そのような観点から、ダイよりフィルム状に押出された未延伸フィルムを冷却する冷却ドラムの温度は、20〜60℃という低温で行うことが好ましい。このような低温で行うことで、未延伸フィルムの状態での結晶化が抑制され、その後の延伸をよりスムーズに行うことができる。
以下、二軸延伸を例にして、配向フィルムの製造方法を説明する。二軸延伸としては、逐次二軸延伸でも同時二軸延伸でもよい。ここでは、逐次二軸延伸で、縦延伸、横延伸および熱処理をこの順で行う製造方法を一例として挙げて説明する。まず、最初の縦延伸は樹脂組成物のガラス転移温度(Tg:℃)ないし(Tg+40)℃の温度で、2〜7倍に延伸し、次いで横方向に先の縦延伸よりも高温の(Tg+10)〜(Tg+50)℃の温度で3〜10倍に延伸し、さらに熱処理としてポリマーの融点以下の温度でかつ(Tg+50)〜(Tg+150)℃の温度で1〜20秒熱固定処理するのが好ましい。特に好ましい熱固定処理は、温度が180〜220℃、さらに190〜210℃の範囲で、時間は1〜15秒である。
前述の説明は逐次二軸延伸について説明したが、本発明の配向フィルムは縦延伸と横延伸とを同時に行う同時二軸延伸でも製造でき、例えば先で説明した延伸倍率や延伸温度などを参考にすればよい。なお、粒子を含有させる方法については、それ自体公知の方法を採用でき、例えばポリエステルの製造工程において、反応系に添加しても良いし、ポリエステルに溶融混練によって添加してもよい。粒子の分散性の点から、好ましくはポリエステルの反応系に添加して、粒子濃度の高いポリエステル組成物をマスターポリマーとして製造し、それを粒子を含まないか、粒子濃度低いポリエステル組成物と混ぜ合わせる方法が好ましい。本発明によれば、本発明の上記配向フィルムをベースフィルムとし、その一方の面、好ましくはより平坦な側の表面に非磁性層および磁性層をこの順で形成し、他方の面、好ましくはより平坦でない側の表面にバックコート層を形成することで、磁気記録テープとすることができる。
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明では、以下の方法により、その特性を測定および評価した。
(1)固有粘度
得られた共重合芳香族ポリエステルおよびフィルムの固有粘度は、P−クロロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(重量比40/60)の混合溶媒を用いてポリマーを溶解して35℃で測定して求めた。
(2)ガラス転移点および融点
ガラス転移点、融点はDSC(TAインスツルメンツ株式会社製、商品名:Thermal Analyst2100)により昇温速度20℃/minで測定した。
(3)屈折率
フィルムの面方向において、製膜方向を0°、幅方向を90°として、10°ピッチでアッベの屈折計を用いて、測定した。なお、測定は23℃にてナトリウムD線に対する値として行い、最も屈折率の高い方向を主配向方向とした。
(4)熱収縮率
前述の屈折率の測定で確認された主配向方向に添って、幅10mm長さ100mmの短冊状試片を切り出し、105℃に保持されたギアオーブン中に無緊張状態で放置して、30分後に取り出して処理前後の試片長さから算出した。
(5)ヤング率
得られたフィルムを試料巾10mm、長さ15cmで切り取り、チャック間100mm、引張速度10mm/分、チャート速度500mm/分の条件で万能引張試験装置(東洋ボールドウィン製、商品名:テンシロン)にて引っ張る。得られた荷重―伸び曲線の立ち上がり部の接線よりヤング率を計算する。
(6)温度膨張係数(αt)
得られたフィルムを、フィルムの主配向方向が測定方向となるように長さ20mm、幅4mmに切り出し、SII製EXSTAR6000にセットし、窒素雰囲気下(0%RH)、80℃で30分前処理し、その後室温まで降温させる。その後30℃から70℃まで2℃/minで昇温して、各温度でのサンプル長を測定し、次式より温度膨張係数(αt)を算出する。なお、測定方向が切り出した試料の長手方向であり、5回測定し、その平均値を用いた。
αt={(L60−L40)}/(L40×△T)}+0.5
ここで、上記式中のL40は40℃のときのサンプル長(mm)、L60は60℃のときのサンプル長(mm)、△Tは20(=60−40)℃、0.5は石英ガラスの温度膨張係数(×10−6ppm/℃)である。
(7)湿度膨張係数(αh)
得られたフィルムを、フィルムの主配向方向が測定方向となるように長さ15mm、幅5mmに切り出し、BRUKER製TMA4000SAにセットし、30℃の窒素雰囲気下で、湿度20%RHと湿度80%RHにおけるそれぞれのサンプルの長さを測定し、次式にて湿度膨張係数を算出する。なお、測定方向が切り出した試料の長手方向であり、5回測定し、その平均値をαh(ppm/%RH)とした。
αh=(L80−L20)/(L80×△H)
ここで、上記式中のL20は20%RHのときのサンプル長(mm)、L80は80%
RHのときのサンプル長(mm)、△H:60(=80−20)%RHである。
(8)フィルム伸び
得られたフィルムを、フィルムの製膜方向および幅方向がそれぞれ測定方向となるように長さ20mm、幅4mmに切り出し、SII製EXSTAR6000にセットし、窒素雰囲気下(0%RH)、30℃で保持した後、2℃/minで150℃まで昇温して、各温度でのサンプル長を測定し、30℃で保持したときのフィルム長に対し、110℃においてどの程度伸張したかを計算した。
(9)寸法安定性
フィルムとしての総合的な寸法安定性を評価するために、上記記載の(4)、(6)、(7)、(8)の測定値に対して、以下のイ〜ニの基準で評価した。
イ.主配向方の105℃における熱収縮:1%を超えるか、0%未満のとき×、0.9%以上1.0%以下であれば△、0.8%以上0.9%未満であれば○、0%以上0.8%未満で◎
ロ.主配向方向の温度膨張係数:−5〜−1ppm/℃のとき◎、−7〜+5ppm/℃のとき○、−10〜−10ppm/℃のとき△、―10ppm/℃未満もしくは10ppm/℃を超えるとき×
ハ.主配向方向の湿度膨張係数:7ppm/%RH以下のとき◎、7.3ppm/%RH以下のとき○、7.5ppm/%RH以下のとき△、7.5ppm/%RHを超えるとき×
ニ.110℃伸び:製膜方向(MD)と幅方向(TD)ともに、0.8%以下を◎、MDとTDがともに1.0%以下で、両者の合計が1.5%以下を○、MDとTDがともに1.5%以下で、両者の合計が2.0%を超えないものを△、MDとTDのいずれかでも1.5%を超えるか、両者の合計が2.0%を超えるものを×とした。
そして、◎が2つ以上で、残りが○のものをA、◎が1つと○が3つのものをB、×がなく△があるものをC、×が一つでもあるものをDとした。上記判定がAのものは、磁気記録テープとするときの加工性に優れ、磁気記録テープとしたときの温度や湿度変化に対する寸法安定性に優れるものであった。一方、上記判定がBやCのものは、上記判定Aのものより若干の劣るものの、磁気記録テープとして使用することが可能なものであった。しかし、上記判定がDのものは、磁気テープとして使用するには加工性や寸法安定性の点で問題があるものであった。
[実施例1]
ジカルボン酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルとジオール成分としてエチレングリコールとをチタンテトラブトキシドの存在下でエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、固有粘度0.62dl/gのポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを得て、これを芳香族ポリエステルA1とした。この芳香族ポリエステルA1の融点は265℃、ガラス転移温度は121℃であった。
ジカルボン酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルとジオール成分として4,4’−ジフェニレンジエチレングリコールとをチタンテトラブトキシドの存在下でエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、固有粘度1.2dl/gのポリ−4,4’−ジフェニレンジエトキシ−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを得て、これを芳香族ポリエステルB1とした。この芳香族ポリエステルB1の融点は250℃、ガラス転移温度は114℃であった。
このようにして得られた芳香族ポリエステルA1と芳香族ポリエステルB1を、重量比90:10でブレンドし、樹脂組成物を得た。その後、該樹脂組成物を、押出機に供給して300℃でダイから溶融状態で回転中の温度60℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。そして、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が135℃になるように加熱して縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率3.0倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、140℃で横方向(幅方向)に延伸倍率5.0倍で延伸し、その後200℃で3秒間熱固定処理を行い、厚さ5μmの二軸延伸フィルムを得た。
得られた樹脂組成物および二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[実施例2]
実施例1で作成した芳香族ポリエステルA1と芳香族ポリエステルB1との重量比を85:15に変更した樹脂組成物を、押出機に供給して300℃でダイから溶融状態で回転中の温度60℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。そして、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が135℃になるように加熱して縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率3.0倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、140℃で横方向(幅方向)に延伸倍率5.0倍で延伸し、その後200℃で3秒間熱固定処理を行い、厚さ5μmの二軸延伸フィルムを得た。
得られた樹脂組成物および二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[実施例3]
実施例1で作成した芳香族ポリエステルA1と芳香族ポリエステルB1との重量比を80:20に変更した樹脂組成物を、押出機に供給して300℃でダイから溶融状態で回転中の温度60℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。そして、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が135℃になるように加熱して縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率3.0倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、140℃で横方向(幅方向)に延伸倍率5.0倍で延伸し、その後200℃で3秒間熱固定処理を行い、厚さ5μmの二軸延伸フィルムを得た。
得られた樹脂組成物および二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[実施例4]
実施例1で作成した芳香族ポリエステルA1と芳香族ポリエステルB1との重量比を70:30に変更した樹脂組成物を、押出機に供給して300℃でダイから溶融状態で回転中の温度60℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。そして、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が135℃になるように加熱して縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率3.0倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、140℃で横方向(幅方向)に延伸倍率5.0倍で延伸し、その後200℃で3秒間熱固定処理を行い、厚さ5μmの二軸延伸フィルムを得た。
得られた樹脂組成物および二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[実施例5]
実施例1で作成した芳香族ポリエステルA1と芳香族ポリエステルB1との重量比を60:40に変更した樹脂組成物を、押出機に供給して300℃でダイから溶融状態で回転中の温度60℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。そして、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が135℃になるように加熱して縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率3.0倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、140℃で横方向(幅方向)に延伸倍率5.0倍で延伸し、その後200℃で3秒間熱固定処理を行い、厚さ5μmの二軸延伸フィルムを得た。
得られた樹脂組成物および二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[実施例6]
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸ジメチルとジオール成分としてエチレングリコールとをチタンテトラブトキシドの存在下でエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレートを得て、これを芳香族ポリエステルA2とした。この芳香族ポリエステルA2の融点は254℃、ガラス転移温度は76℃であった。
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸ジメチルとジオール成分として4,4’−ジフェニレンジエチレングリコールとをチタンテトラブトキシドの存在下でエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、固有粘度1.2dl/gのポリ−4,4’−ジフェニレンジエトキシテレフタレートを得て、これを芳香族ポリエステルB2とした。この芳香族ポリエステルB2の融点は235℃、ガラス転移温度は90℃であった。
このようにして得られた芳香族ポリエステルA2と芳香族ポリエステルB2を、重量比92.5:7.5でブレンドし、樹脂組成物を得た。その後、該樹脂組成物を、押出機に供給して280℃でダイから溶融状態で回転中の温度30℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。そして、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が105℃になるように加熱して縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率3.0倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、115℃で横方向(幅方向)に延伸倍率5.0倍で延伸し、その後200℃で3秒間熱固定処理後、170℃で幅方向に0.5%弛緩処理を行い、厚さ5μmの二軸延伸フィルムを得た。
得られた樹脂組成物および二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[比較例1]
実施例1で作成した芳香族ポリエステルA1を、押出機に供給して300℃でダイから溶融状態で回転中の温度60℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。そして、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が135℃になるように加熱して縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率3.0倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、140℃で横方向(幅方向)に延伸倍率5.0倍で延伸し、その後200℃で3秒間熱固定処理を行い、厚さ5μmの二軸延伸フィルムを得た。
得られた樹脂組成物および二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[比較例2]
実施例6で作成した芳香族ポリエステルA2を、押出機に供給して280℃でダイから溶融状態で回転中の温度30℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。そして、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が90℃になるように加熱して縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率3.0倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、100℃で横方向(幅方向)に延伸倍率5.0倍で延伸し、その後200℃で3秒間熱固定処理を行い、厚さ5μmの二軸延伸フィルムを得た。
得られた樹脂組成物および二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[比較例3]
実施例1で作成した芳香族ポリエステルB1を、押出機に供給して280℃でダイから溶融状態で回転中の温度60℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。そして、縦方向(製膜方向)をせず、ステンターに導き、130℃で横方向(幅方向)に延伸倍率5.5倍で延伸し、その後200℃で3秒間熱固定処理を行い、厚さ5μmの二軸延伸フィルムを得た。
得られた樹脂組成物および二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[比較例4]
実施例6で作成した芳香族ポリエステルA2と実施例1で作成した芳香族ポリエステルB1を、重量比90:10になるようにブレンドし、樹脂組成物を得た。このようにして得られた樹脂組成物を、押出機に供給して280℃でダイから溶融状態で回転中の温度30℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。そして、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が120℃になるように加熱して縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率3.0倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、125℃で横方向(幅方向)に延伸倍率5.0倍で延伸し、その後200℃で3秒間熱固定処理を行い、厚さ5μmの二軸延伸フィルムを得た。
得られた樹脂組成物および二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[比較例5]
実施例6で作成した芳香族ポリエステルA2と実施例1で作成した芳香族ポリエステルB1を、重量比80:20になるようにブレンドし、樹脂組成物を得た。このようにして得られた樹脂組成物を、押出機に供給して280℃でダイから溶融状態で回転中の温度30℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。そして、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が120℃になるように加熱して縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率3.0倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、125℃で横方向(幅方向)に延伸倍率5.0倍で延伸し、その後200℃で3秒間熱固定処理を行い、厚さ5μmの二軸延伸フィルムを得た。
得られた樹脂組成物および二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[比較例6]
比較例2で作成した芳香族ポリエステルA2と芳香族ポリエステルB1を、重量比70:30になるようにブレンドし、樹脂組成物を得た。このようにして得られた樹脂組成物を、押出機に供給して280℃でダイから溶融状態で回転中の温度30℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。そして、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が120℃になるように加熱して縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率3.0倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、125℃で横方向(幅方向)に延伸倍率5.0倍で延伸し、その後200℃で3秒間熱固定処理を行い、厚さ5μmの二軸延伸フィルムを得た。
得られ樹脂組成物および二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[比較例7]
実施例1で得られた芳香族ポリエステルA1と実施例6で作成した芳香族ポリエステルB2を、重量比90:10でブレンドし、樹脂組成物を得た。その後、該樹脂組成物を、押出機に供給して300℃でダイから溶融状態で回転中の温度60℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。そして、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が135℃になるように加熱して縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率3.0倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、140℃で横方向(幅方向)に延伸倍率5.0倍で延伸し、その後200℃で3秒間熱固定処理を行い、厚さ5μmの二軸延伸フィルムを得た。
得られた樹脂組成物および二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[比較例8]
ジカルボン酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルとジオール成分としてエチレングリコールと4,4’−ジフェニレンジエチレングリコールをチタンテトラブトキシドの存在下でエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、固有粘度0.62dl/gで、かつ4,4’−ジフェニレンジエチレングリコール成分が10モル%の4,4’−ジフェニレンジエチレングリコール共重合ポリエチレン−2,6−ナフタレート(芳香族ポリエステルA3)を得た。この4,4’−ジフェニレンジエチレングリコール共重合ポリエチレン−2,6−ナフタレートの融点は264℃、ガラス転移温度は117℃であった。
こうして得られた芳香族ポリエステルA3を、押出機に供給して300℃でダイから溶融状態で回転中の温度60℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。そして、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が135℃になるように加熱して縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率3.0倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、140℃で横方向(幅方向)に延伸倍率5.0倍で延伸し、その後200℃で3秒間熱固定処理を行い、厚さ5μmの二軸延伸フィルムを得た。
得られた樹脂組成物および二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[比較例9]
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸ジメチルとジオール成分としてエチレングリコールと4,4’−ジフェニレンジエチレングリコールをチタンテトラブトキシドの存在下でエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、固有粘度0.62dl/gでかつ、4,4’−ジフェニレンジエチレングリコール成分が10モル%の4,4’−ジフェニレンジエチレングリコール共重合ポリエチレンテレフタレート(芳香族ポリエステルA4)を得た。この4,4’−ジフェニレンジエチレングリコール共重合ポリエチレンテレフタレートの融点は251℃、ガラス転移温度は76℃であった。
こうして得られた芳香族ポリエステルA4を、押出機に供給して280℃でダイから溶融状態で回転中の温度30℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。そして、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が90℃になるように加熱して縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率3.0倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、100℃で横方向(幅方向)に延伸倍率5.0倍で延伸し、その後200℃で3秒間熱固定処理を行い、厚さ5μmの二軸延伸フィルムを得た。
得られた樹脂組成物および二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
Figure 0005735370
表1中の、MDはフィルムの製膜方向、TDはフィルムの幅方向を示す。
本発明の樹脂組成物から得られる配向ポリエステルフィルムは、従来のポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートでは達成できなかったような優れた寸法安定性を有し、かつ高温時のフィルムの伸びが小さく、得られるフィルムの表面の平坦性にも優れるという特徴を有するため、寸法安定性が求められる用途、特に高密度磁気記録媒体のベースフィルムとして、好適に使用することができる。

Claims (5)

  1. 主たる繰り返し単位が下記式(1)で示される芳香族ポリエステルAと、主たる繰り返し単位が下記式(2)で表される芳香族ポリエステルBとを重量比50:50〜95:5で含有し、下記式(1)と(2)におけるXが1,4−フェニレン基または2,6−ナフタレンジイル基のいずれかであることを特徴とする樹脂組成物。
    Figure 0005735370
    (上記構造式(1)および(2)中の、Xは1,4−フェニレン基または2,6−ナフタレンジイル基であり、Rはエチレン基、Rは炭素数2〜10のアルキレン基もしくは炭素数8〜10のシクロアルキレン基を示す。)
  2. 式(2)中のRがエチレン基である請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 請求項1または2のいずれかに記載の樹脂組成物からなる配向ポリエステルフィルム。
  4. フィルムの面方向における屈折率の最も高い方向(主配向方向)における105℃熱収縮率が0%以上1%以下である請求項3記載の配向ポリエステルフィルム。
  5. 配向ポリエステルフィルムが、磁気記録媒体のベースフィルムに用いられる請求項3または4のいずれかに記載の配向ポリエステルフィルム。
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