JP5017762B2 - 放電装置、プラズマ処理方法 - Google Patents

放電装置、プラズマ処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は放電装置、プラズマ処理方法および太陽電池に係り、特に、アレイアンテナを用い、均一性に優れた放電プラズマを発生させる放電装置、生産性と均一性に優れたプラズマ処理方法および優れた生産性で製造される太陽電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
太陽電池はクリーンなエネルギー源として注目され期待されているが、その普及を図るためにはコストダウンが不可欠であり、そのために大面積基板に高品質で均一膜厚のケイ素系薄膜を高いスループットで形成できる薄膜形成装置が望まれている。また、太陽電池以外にも大面積均一処理について様々な分野で要求がある。例えば、液晶ディスプレイを駆動するための薄膜トランジスタの製造では、昨今、基板の大面積化が進み、間もなく一辺の長さが1mを越えるようなガラス基板を使用した製造ラインが本格稼働するとみられている。この製造工程ではプラズマCVD法やドライエッチング法が駆使される。また、最近の環境問題への関心の高さを考えると、早晩、フォトレジストの除去工程もプラズマアッシング(灰化)によるドライ化が必要になると推測される。
【0003】
プラズマCVD法、ドライエッチング法、プラズマアッシング法のようなプラズマ処理工程では、平行平板型(容量結合型)のプラズマ処理装置が実用化されている。このタイプの放電装置では、用途に応じ、高周波を印加する電極上又はこれに対向する接地電極上のいずれかに、被処理基板が置かれる。高周波電極表面付近にセルフバイアスと呼ばれる大きな直流電位差が発生し、高周波電極上に置かれた基板に高エネルギのイオン衝撃をもたらすのに対し、一方の接地電極側にはこのような作用が起こらない。この結果、高周波電極上に置かれた基板と接地電極上に置かれた基板とはプラズマにより異なる作用を受けることになる。従って、両電極上の基板に同等な処理を施すことはできない。
【0004】
このように平行平板型のプラズマ処理装置では、一つの電極板に対し一面しかプラズマ処理をすることができない。このため同一成膜室内で二面に同時処理を行う場合には、処理室内に二つの高周波電極を設置し二つの放電領域を形成し二面処理を行うのがせいぜいである。放電領域数を増加させて多領域とするアイデアもあるが、現実的には構造の複雑さや保守性の悪さ等、平行平板型電極の採用に伴う問題点が原因となって、実現が非常に難しい。
さらに、これに関連して、平行平板型放電装置は別の欠点を持っている。例えばプラズマCVD法によりガラス基板上に成膜を行う場合、真空室内に導入された材料ガスがプラズマ中の電子により分解され、ガラス基板上だけではなく高周波電極上にも薄膜が形成される。すなわち、導入された材料ガスのうち、基板上で成膜に用いられるガス量とほぼ等しい量のガスが電極上の薄膜形成のために消費されて無駄になる。さらに、この電極上の薄膜は剥離して空間を汚染するため、定期的に除去する必要がある。
【0005】
また、基板の大型化とともに形成される放電プラズマの均一性が著しく低下してしまい、所望の特性が得られなくなるという問題がある。
被処理基板に均一性の高いプラズマ処理を行うには、通常、基板表面全体に均一密度のプラズマを形成する必要があり、このために様々な検討がなされてきた。しかし、平行平板型電極方式では、基板の大型化に伴い電極が大型化すると、均一密度のプラズマ形成は容易でなく、その理由として、次のような原理上の問題が挙げられている。すなわち、電極が大きくなるとその表面に定在波が発生してしまい、このためプラズマが偏在してしまう場合がある。これは、VHF帯等のより高い周波数を用いる場合には一層顕著になる。このような理由から、例えば80MHzの高周波の場合、基板の大きさは0.3mx0.3mが限界といわれている(U. Kroll et al., Mat. Res. Soc. Symp. Proc. vol 557 (1999) p121-126)。
さらには、平行平板型電極では、均一密度のプラズマを形成するには、基板全体にわたり電極間距離を精度良く維持して配置する必要があるが、これは基板が大型化すると極めて困難となる。
【0006】
そこで、プラズマ維持メカニズムが容量結合型とは全く異なり、上記容量結合型固有の電極間距離精度等の問題が起こることがなく、しかも高品質膜の高速成膜に有利なVHF帯の高周波を用いて高いプラズマ密度を発生できる誘導結合型のプラズマCVD法が提案されている。具体的には、梯子形状の電極(特開平4−236781号公報)や導電性線材をジグザグに多数回折り曲げた電極(特許第2785442号公報)等の電極を用いた誘導結合型電極方式のプラズマCVD装置が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記構造の電極を含め、種々の誘電結合型電極を検討した。例えば、梯子形状やジグザグに折り曲げた誘導結合型電極は、基板の大型化に対応して大きくなると、電流が均一となりにくく、また、予期できない場所に部分的に定在波が発生してしまうことが確かめられた。結論として、従来の誘導結合型電極方式では、プラズマ密度を均一にするのは難しく、大面積基板に対応するのは困難であることが分かった。
【0008】
そこで、本発明者らは、誘導結合型電極について、プラズマ均一化の基本的検討を行い、上記従来の誘電結合型電極では、問題となった定在波を逆に利用したアンテナ構造を開発した。このアンテナは、例えばU字型アンテナの一端に給電部を設け、他端を接地する構造とし、接地部及び給電部と折り返し部との距離を高周波の励起波長の1/2として、電極上の定められた位置に定在波を立たせる構成とするものである(PCT/JP00/06189)。更に、この構造のアンテナをアレイアンテナの素子として用いることによって、より大面積に均一な放電プラズマを発生させることが可能となった。
【0009】
しかし、この成膜方法は、あくまでもアンテナ上に定在波が発生することを利用するものであり、従って、多かれ少なかれアンテナに沿った方向に定在波の存在によるプラズマ密度の不均一が発生する。この不均一は、幾つかの方法により緩和することができる。例えば、アンテナを駆動する電力を間欠的に供給することで均一性は向上する(第61回秋期応用物理学会予稿集p.841(2000年9月)「新型電極を用いたVHF−PECVD法によるa−Si:Hの大面積製膜」)。しかし、これらの方法では、定在波の影響による不均一性を完全に無くすことはできなかった。
また、定在波を利用しているために、アンテナの幾何学的な長さや励振周波数の変化によりプラズマ密度分布が大きく影響を受けることは避けられなかった。
【0010】
本発明は、かかる状況に鑑み、定在波の発生を実質的に消失させるための新規のアンテナ構造及び電力供給方法を提供し、プラズマ均一性の高い放電装置と大面積基板のプラズマ処理方法、また生産性の高い太陽電池を実現することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、本発明者は、高周波電力の給電方法、電極構造、成膜条件等を種々検討する中で、アンテナ素子を複数並べたアンテナアレイにおいて特殊な効果が発現することを見いだした。本発明は、かかる知見を基に膜厚均一化の検討をさらに進めて完成したものである。
【0012】
本発明の放電装置は、次のような形態を持っている。
二本の長さの等しい第一及び第二の直線状導体が平行に配置され、前記第一及び第二の直線状導体端部のうち相互に隣り合うそれぞれの一組の端部が相互に電気的に結合されている。これにより、U字形状のアンテナ素子が構成される。このアンテナ素子の第一の直線状導体の結合されていない側の一端が接地端となり、第二の直線状導体の結合されていない側の一端が電力供給端となる。この電力供給端に交流電力を加えることができるようになっている。
このアンテナ素子を複数個、それぞれのアンテナ素子の直線状導体が平行になるように、かつ、接地端と電力供給端とが交互に配置されるように、真空中の平面上に各アンテナ素子が等間隔になるように配置する。この複数配置されたアンテナ素子群がアレイアンテナとして機能し、真空中において放電プラズマを形成させる。このような幾何学的形態を持つアレイアンテナに、一斉に同一周波数の交流電力を給電する。励振周波数は、10MHz〜2GHzである。
【0013】
このような形態及び励振方法を採用すると、上述したようにアンテナ素子上に定在波が発生する。これは、電力供給端から出発した電磁波がアンテナに沿って進行波として進み、接地端において反射して反射波となり、進行波と反射波との干渉により定在波が生じるためである。この定在波のプラズマ均一性への影響を低減するのが本発明が解決すべき第1の課題である。
また、アンテナ素子を複数駆動するとアンテナ素子間の複雑な相互作用が発生し、これにより電磁界が制御不能になる場合があった。これが本発明が解決すべき第2の課題である。
【0014】
まず、この第2の課題を解決するために、本発明者は重ね合わせの理を用いればよいという発想に到達した。これを以下に説明する。図5は、隣接するアンテナ素子の電力供給端での位相を同位相(a)及び逆位相(b)とした場合のアレイアンテナに流れる電流を模式的に示したものである。
アンテナ素子2は、2本の直線状導体の線路(#1と#2、又は#3と#4)が連結されたものであり、その一端が電力供給端9、他端は接地端10である。図において、矢印の向きは電流の位相を示し、観測時点で矢印の方向に電流が流れているものとし、便宜上、上向きの矢印をプラスとする。矢印の大きさは電流の大きさを示し、観測時点では電流供給側(奇数番号の直線状導体部)で、大きな電流が流れているものとして説明する。
【0015】
同位相給電の場合(図5(a))では、線路♯2は、線路#1と線路#3の大きな電流に挟まれている。従って、線路#2付近の電界は、隣り合う2つの直線状導体上を流れる電流に大きく影響されると考えられる。次に、逆位相給電の場合(図5(b))、線路#2は、線路#1の大きなマイナス電流と線路#3の大きなプラス電流に挟まれている。重ね合わせの理によれば、大きさが同じで逆向きの効果が同時に存在するとこの効果は打ち消されるため、線路#2付近の電界は隣り合うアンテナの直線状導体上を流れる電流の影響を受けにくくなると考えられる。なお、以上はアンテナ素子上の電流分布形状を便宜的に仮定して説明したが、電気的に等価なアンテナ素子が配置されていれば、どのような電流分布であっても同様の結果となる。
従って、同一形状のアンテナ素子が配列されている場合、隣り合う素子間の位相を反転させることで、隣り合う素子のみならず、復路(又は往路)の電流の影響を実質的に無視できるようになり、直線状導体を流れる電流は、単一線路上の電流と同様の振る舞いをすると考えられる。即ち、隣接するアンテナ素子間で逆位相の電力を供給することにより、アンテナ素子間の相互作用を実際上無視することができ、第2の課題を解決することができる。
【0016】
次に、第1の課題の克服に対しては、本発明とは別の技術分野である電波伝送工学の分野にヒントがあった。すなわち、装荷アンテナの概念の適用である。装荷アンテナは、アンテナの給電点とは反対側が適当なインピーダンスの負荷を介して接地された通信用のアンテナである。このような構成にすることでアンテナに沿って伝搬した電磁エネルギは、負荷により消費されることにより、広い周波数範囲で反射が起こらなくなる。この装荷アンテナの概念をプラズマ処理装置のアンテナに応用する検討を行ったところ、本発明者らの検討した系では、回路素子としての負荷をわざわざ取り付けなくとも同様の効果が得られることが分かった。これは、アンテナを取り巻くプラズマそのものが分布定数回路としての負荷の役割を果たすためと考えられる。
【0017】
以上をまとめると、次のようになる。アレイアンテナへの供給電力の位相を180゜づつ変化させると、アレイアンテナを構成する直線状導体部は、プラズマ中にただ一本存在する電波伝搬のガイドのように見なせるようになり、アンテナ素子間の相互作用に起因するプラズマ密度分布の悪化を低減することができる。加えて、電磁波とプラズマとの相互作用が十分大きく、プラズマ中に電磁エネルギの殆どが吸収されるような状態を作り出すことで定在波の発生を抑えることができ、導体に沿ってプラズマ密度の不均一性を低減することができる。この結果、アレイアンテナ全体にわたりより均一なプラズマを形成することが可能となる。
なお、定在波の大きさは、アンテナの電力供給端における進行波と反射波とを測定することにより予測することができる。電磁波とプラズマとの相互作用が充分大きいものであれば、電力がプラズマに吸収されるので、現象的には反射波の減少として観測できることになる。従って、アンテナの幾何学的な長さが充分に長い場合や、放電圧力が充分高くてエネルギの伝達が起こりやすい場合などに、このような大きな相互作用として観測されるが、反射電力の入射電力に対する比が10%以下となると、プラズマ密度に定在波形の分布が見られなくなり、膜厚均一性が向上することが分かった。すなわち、アンテナの幾何学的な長さは、プラズマパタメータ等に応じて、反射波の大きさにより決定すればよいことが分かった。
【0018】
以上は、均一なプラズマを得るために、直線状導体の長さ(アンテナ長)Laを進行波に対する反射波の比により決定する方法について述べてきたが、電磁波の減衰定数αから好適なアンテナ長Laを定めることができる。即ち、0.5(1/α)<La<10(1/α)とすることによっても、定在波を実質的に消失させ、プラズマ均一性を向上させることができる。これを以下に説明する。
【0019】
図6に示すように、アンテナ60の周囲にはシース61とプラズマ63とが存在している。プラズマ63は、アンテナ60からかなり離れた位置まで存在しているので、アンテナ上を伝搬する電磁波の挙動を考える場合、プラズマ全体、或いは、放電を行っている真空室内全領域にわたって考える必要がありそうにみえる。しかし、プラズマ密度が非常に低い場合や、励振周波数が非常に高い場合を除いて、電磁波はプラズマ中を伝搬できない状態にある。これは一般に遮断状態と呼ばれ、電磁波の周波数がプラズマ周波数f( =ω/(2π) )以下であるような場合、電界はプラズマ中にある程度進入するが、どこまでも電磁波が伝搬してゆくということはなくなる。従って、アンテナにある程度近い領域のプラズマがその伝搬の特性に主として影響するはずである。
【0020】
そこで、この領域について、仮想的な境界62を定め、この境界62の半径dをいわゆる表皮深さδで近似した。表皮深さδは、遮断状態で平面波電磁波がプラズマに垂直に入射したときに、プラズマ中で電界が減衰し1/e倍(eは自然対数の底)になる距離を示し、衝突が無視できない場合のコールドプラズマ近似・線形近似では、(1)式で示されることがよく知られている(例えば、Michael A Lieberman and Allan J. Lichtenberg, "Principles of Plasma Discharge and Materials Processing", John Wiley & Sons, Inc. 1994 p390) 。
Figure 0005017762
・・・(1)
ここで、cは光速、κは(2)式で表されるプラズマの複素比誘電率、ω(=2πf)は角周波数(fはアンテナを駆動する励振周波数)である。
Figure 0005017762
・・・(2)
なお、νは衝突周波数であり、ω(=2πf)はプラズマ角周波数である。ここで、nはプラズマ密度(m−3)であり、f(Hz)=8.98・n0.5で近似される。
【0021】
このように仮想的な境界d(=δ)を定めると、アンテナに沿って伝搬する電磁波を同軸線路上の伝搬と考えることができるので、簡単に減衰定数αを求めることができる。そこで発明者らは、アンテナ長を決定するための手段として減衰定数αを用いることを考えた。
この場合の減衰定数αは、仮想的な境界dに対するアンテナの単位長さあたりのインダクタンスLとアンテナの単位長さあたりの静電容量Cとを用い、
Figure 0005017762
・・・(3)
Figure 0005017762
・・・(4)
と書ける。
ただし、μ0は真空の透磁率、ε0は真空の誘電率である。
【0022】
以上の(1)〜(4)式は、現象を記述するためのパラメータが多すぎるため、発明者らは、実用性を失わない範囲で、減衰定数αの(4)式を使いやすい形になるように適当な仮定を設け、その仮定に基づいて導かれた減衰定数が実験結果を広い範囲でうまく説明するかどうかを調べることとした。
まず、現実的なアンテナ直径を考慮して、a=3mmとした。シースの厚さとして予想されるプラズマパラメータを想定して4mmとし、c=7mmとした。これらに別の数値をあてはめても、その数値が実用的な数値である限り、多くの場合、結論に大きな影響を与えないことを確認した。また、プラズマ密度として2x1015(m-3)と仮定した。プラズマ処理で使用されるプラズマ密度は、いわゆる高密度プラズマでない場合、1x1015(m-3)から1x1016(m-3)の範囲になることが多く、あまり広い数値範囲を取るわけではない。
次に、衝突周波数νは、一電子近似として、放電圧力p(Pa)を使って、
Figure 0005017762
・・・(5)
で表した。(5)式では、平均自由行程λmを計算するためにArの衝突断面積を使用した。衝突断面積は、ガスの種類や構成比によって異なるが、分子量の大きなポリマーのような分子等、特殊な場合を除いて極端に違う値を取るわけではない。また、電子温度は10,000Kであると仮定したが、これについても、低気圧放電では、あまり大きく変化することはなく、せいぜい数倍変化する程度である。
【0023】
以上の仮定をおくことにより、(1’)〜(4’)式を導くことができる。
Figure 0005017762
・・・(1’)
Figure 0005017762
・・・(2’)
Figure 0005017762
・・・(3’)
Figure 0005017762
・・・(4’)
【0024】
減衰定数αを計算し、その減衰定数の逆数を取る。減衰定数の逆数の単位はメートルであり、物理的には、1/αの位置まで来ると同軸円筒の電力供給点から出発した電磁波の大きさが1/e倍に減衰することを意味している。
そこで、アレイアンテナの直線部の長さLaとして、減衰定数の逆数の付近の値を与えることが適当であると考えることができる。つまり、減衰定数の逆数よりもあまり短いとアンテナ素子の接地端までに電磁波があまり減衰しないために接地端で反射波が発生し、定在波が形成されることが予想される。一方、減衰定数の逆数よりあまり長い直線部を持たせると、アンテナ全長に亘って放電を発生させることができなくなり、電力供給点付近に専ら放電プラズマが形成されてしまう。そこで、減衰定数の逆数に対して0.5倍と10倍の数値を励振周波数を変えた場合について、放電圧力依存性として試みに計算した。この計算結果の一部として、励振周波数が10MHz、85MHz及び400MHzの場合について圧力とLaとの関係を図7〜9に示した。
後に、実施例の欄で述べるが、発明者らは図7〜9にそれぞれ示される二本の曲線で挟まれる領域に直線部の長さの最適値が存在することを確認した。つまり、直線部の長さLaとして、
0.5(1/α)<直線部の長さLa<10(1/α)・・・(6)
を選定すれば良いという結論に至った。なお、ここまでの式の導出においてプラズマ密度を2x1015(m-3)とおいたので、理論的には遮断状態となる周波数は、400MHzとなる。
【0025】
以上述べたように、直線部長さLaは、放電周波数と放電圧力の二つのパラメータのみで予想することができるようになったが、(1’)〜(4’)式は、実験結果に合うように、使用の利便性と実用性とを優先して求めた式であり、放電装置やプラズマ処理という目的に利用範囲を限定して得られたものである。
【0026】
以上、アンテナの直線部長さの決定方法について二通りの方法を示したが、このいずれの場合でも、アンテナの直径を10mmよりも細くすることが望ましい。このように細い直径の直線部を選定することによって、アンテナの幾何学的な長さが同一であっても、その全長にわたってプラズマを形成させ易くするとができる。換言すれば、小さな直径の選択はアンテナの電気的長さを短くする効果を持つ。これは、アンテナの直径が電磁波とプラズマとの相互作用の強度に関連しているためと推測される。これは、例えば、直線部直径が大きくなると振動シースによるエネルギ伝達(O.A.Popov and V.A. Godyak, J. Appl. Phys. 57, 53(1985).)が大きくなり、アンテナとプラズマとの電気的結合として容量性結合の割合が増えるためと考えられる。
このようにアンテナの直径の選定は、アンテナ直線部長さの選定に影響を与えるものの、その程度は大きくはなく、最適なアンテナ直線部長さは、アンテナ直径を細くしても、依然として(6)式から求める範囲内にある。
このようにアンテナ直径は、ある程度細い方が大面積化という観点からは有利になるが、あまりにも細いと、形状安定性が失われる。アンテナの製造や保守を考えると、ハンドリング中に簡単に塑性変形を起こすような細さの選択は適当ではない。更に、アンテナ上を流れる電流による電力の損失や発熱等も考慮すると、直線部の直径には、1mm以上に選定することが望ましい。
【0027】
直線部の直径がアンテナ上の電波伝搬に関係することを述べたが、これを積極的に利用することが考えられる。すなわち、直線部の全長に亘って同一直径のアンテナ素子の場合、電磁波の減衰に伴うプラズマ密度の強弱が発生することがあった。また、その他、処理すべき基体が置かれている付近でのみプラズマ密度を上昇させたい場合もある。更に、真空室内の特定の設計条件によってプラズマに不均一が生ずることも考えられる。これに対処する方法として、発明者らは直線部の長さに沿って直径に変化を与えると、プラズマ密度が制御できることを見いだした。この場合、直線部の太さが10mmよりも細くなる場所を作ることによって、この効果がより顕著になることが見いだされた。
【0028】
また、上述したように、アンテナに沿って伝搬する電磁波の伝搬定数は、アンテナ周囲のシースとプラズマとによって決定的に支配される。ここで、直線部をアルミナのようなセラミクスやテフロン(登録商標)のようなプラスチック等の誘電体で被覆すると、アンテナ周囲の誘電体、シースおよびプラズマで構成された空間を電磁波が伝搬することになる。これによって、直線部の幾何学的長さが同一であってもより広い範囲で均一なプラズマを形成することができる。
この効果は、直線部の直径を10mm以下に設定しても有効であり、また、直線部の直径に変化を与えた場合にも有効であった。
【0029】
なお、誘電体は、電極長手方向に厚みを変化させるのが好ましい。特に給電部付近で未減衰の電磁波の影響でプラズマ密度が高くなると云う現象を抑制するため、給電部に近い電極部を厚い誘電体で覆い、その他の部分を薄くすることや、被処理基体の付近のプラズマ密度を上昇させるためにこの付近の誘電体厚さを薄くするのが好ましい。また、厚さは直線部の長手方向に徐々変更することが望ましい。これにより、誘電体端部での急激な特性インピーダンス変化が抑えられ、より均一密度のプラズマを形成することが可能となる。又は、前記電極の長手方向に沿ってらせん形状に電極を被覆しても良い。これにより、誘電体端部でのプラズマ密度が平坦化され、電極に沿ったプラズマ密度は一層均一化する。
【0030】
本発明のアレイアンテナによれば、そのアレイアンテナを挟むようにスラブ状の放電プラズマを形成させることができ、アンテナを挟むようにして二面の被処理基体を置くことにより、その二面の基体上で同等のプラズマ処理が可能となる。これにより、処理能力が2倍になり、材料ガスの利用効率が2倍になる。
【0031】
また、従来の平行平板型の処理装置では、真空室内にせいぜい二つの放電領域を設けるのが限界である。これに対して、本発明では、アレイアンテナの構造が単純であり、また重量も軽量であるために分解・再組立が容易である。また、電力供給端が側面にあるため、真空室内に複数の放電領域を作り出すことが容易になる。このことにより、生産性が向上する。
アレイアンテナの両面にアンテナを挟むようにして二面の基体を配し、この組み合わせを同一真空室内に複数配置することにより、生産性は更に向上する。
【0032】
一方、本発明のプラズマ処理方法は、二本の長さの等しい第一及び第二の直線状導体を平行に配置し、前記第一及び第二の直線状導体端部のうち隣り合う端部の一組を電気的に結合し、第一の直線状導体の結合されていない側の一端を接地端とし、第二の直線状導体の結合されていない側の一端を交流電力を加え得る電力供給端としたアンテナ素子を複数個、それぞれのアンテナ素子の直線状導体が平行となり、かつ、接地端と電力供給端とが交互となるように、真空中の第一の平面上に等間隔に配置してアレイアンテナを構成し、該アレイアンテナに交流電力を供給して真空中に放電プラズマを形成するプラズマ処理方法において、電力給電端のはじから順に位相を180゜づつ変化させて一斉に同一周波数の電力を給電し、該周波数を10MHz〜2GHzとし、電力供給端で測定される進行波に対する反射波の比が0.1以下となるように直線状導体の長さを定めたアレイアンテナを使用することを特徴とする。
【0033】
または、電力給電端のはじから順に、位相を180゜づつ順次変化させて一斉に同一周波数の電力を給電し、該周波数f(Hz)を10MHz〜400MHzとし、プラズマの誘電率κを前記周波数と放電圧力p(Pa)とを使って
Figure 0005017762
で表し、更に、プラズマに侵入する電磁界の表皮深さδ(m)を
Figure 0005017762
で表したときに、計算される減衰定数α(1/m)
Figure 0005017762
により前記直線状導体の長さLa(m)を
0.5(1/α)<La<10(1/α)
としたアレイアンテナを使用することを特徴とする。
【0034】
一方、本発明の太陽電池は、上記本発明のプラズマCVD法によって、ケイ素を含有する薄膜を形成し、この薄膜を半導体層として利用することを特徴とする。
【0035】
なお、本発明において、基体とは、ガラス等の絶縁物、半導体、金属等のいわゆる基板やウエハの他、フィルム状(ロール状の巻いたものも含む)、ブロック状のものも含む意味である。さらに、本発明の放電装置は、以上述べた基板処理に用いられる他、排ガス処理や有機物の重合のような原材料の分解や合成に用いることも可能である。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図を参照して説明する。
図1は、本発明の放電装置に使われるアレイアンテナの一構成例を示す模式的断面図である。図に示すように、放電装置は、ガス導入口5と排気口6を有する真空室1に、U字型に折り曲げられた複数のアンテナ素子2が基板11に対向して配置され、それぞれの一端の電力供給端9を同軸ケーブル8を介して高周波電源7に接続し、他端の接地端10を真空室1の壁に連結して接地する。
ここで、電力供給端9及び接地部10と折り返し部4との間の長さ(即ち、直線状導体の長さLa)は、電力供給端における反射波の進行波に対する比を0.1以下とするか又は(6)式が成立するようにより定められる。また、アンテナ表面はテフロン(登録商標)のような誘電体3で被覆されている。
【0037】
アンテナ素子2は、SUS、Al等の線状導体をU字型に折り曲げた形状のものが好適に用いられるが、例えば「コ」の字型のような矩形のものでも良い。また、一体に形成したものでなくともよく、例えば2本の直線状導体を金属板等で接続・固定した構造であっても良い。なお、直線状導体は、必ずしも同じ材質のもので構成する必要はなく、異なる材質のものを接続したものであっても良い。
【0038】
誘電体3は、直線状導体全面を被覆するように形成してもよいが、導体表面の一部のみを被覆しても良い。いずれの場合も、膜厚均一性を向上させることができ、プラズマ密度分布(又は膜厚分布)のパターンに応じて、誘電体形成位置及びその形状等が定められる。例えば、図2(a)に示したように、電力供給端側の直線部にのみ形成しても良い。これにより、給電部側でのプラズマ密度の増大が抑えられ、アンテナ全体としてプラズマ密度が平均化される。
さらに、プラズマ密度が高くなり易い場所に限定してアンテナの一部に誘電体被覆を設けることにより、アンテナ長手方向に沿ってより均一性を向上させることが可能となる。
ここで、被覆する誘電体の厚さによっては、誘電体端部でプラズマ密度が増大する場合がある。この場合には、図2(b)に示したように、誘電体端部での断面をテーパー形状とし、誘電体端部に向かって徐々に誘電体の厚みを薄くする形状とするのが好ましい。これにより、誘電体端部に対応する部分でのプラズマ密度ピークの出現が抑えられる。あるいは、図2(c)に示すように、アンテナ長手方向に沿って、誘電体をらせん形に被覆しても良く、この方法によっても誘電体端部でのプラズマ密度が平均化される。
なお、誘電体の厚さと誘電率(材質)は、改善しようとするプラズマ密度分布に応じて適宜選択されるが、例えばテフロン(登録商標)の場合0.1mm程度以上が好適に用いられる。誘電体は、プラズマ、熱に対して安定なものであれば、テフロン(登録商標)のような有機系材料、アルミナ、石英のような無機系材料等のどのような材質のものでも良いが、高周波損失の大きな材料は好ましくない。
【0039】
なお、逆位相の高周波を、複数のアンテナ素子に交互に供給する方法としては、複数のアンテナ素子の一つおきに、半波長分の長さに等価な同軸ケーブルを電力供給端に継ぎ足せばよい。また、高周波電源に移相器を設けて、半波長ずれた高周波を1つおきに供給してもよい。
【0040】
また、本発明の放電装置は、図3に示すように、複数のアンテナ素子2を被処理基体幅に配列したアレイアンテナを、さらに所定の間隔を開けて複数層に配置した構造とし、各層の両側に被処理基体11を配置した多領域構成とするのが好ましい。このような構成とすることにより、多数の基体(図の例では、6枚)上で同時にプラズマ処理を行うことが可能となり、スループットを大幅に上げることができる。しかも、アレイアンテナと基体間距離は30〜60mm程度と短くできるため、装置設置面積に対するスループット比の優れた放電装置を実現することができる。
【0041】
【実施例】
次に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
図1に概略を示す構成のプラズマ処理装置を用いて以下の実験を行った。この時の直線部の長さは、0.5m、1.0m、1.6mの三種類とし、励振周波数50MHz、放電圧力10Paにおける反射電力の測定及び目視によるプラズマの密度分布の観察を行った。この結果、0.5mでは、放電を生起させることはできなかった。1.0mでは、放電プラズマが発生したが、反射が大きく進行波に対して10%を越えていた。この時のプラズマに注目したところ、直線部中央付近で密度が濃くなり、端部へ行くに従って密度が薄くなるような現象が観られた。一方、1.6mのアンテナでは、反射電力は非常に小さくなり、また、プラズマの濃淡は殆ど観測できなかった。
次に、放電圧力を20Paとし、同様の観測を行った。この結果、0.5mのアンテナでも放電が発生したが、反射波は大きく10%を越えていた。この時のプラズマ密度分布は、アンテナの結合部(U字に曲げた付近)のプラズマ密度が高くなり、電力供給端及び接地端へ向かって、プラズマからの発光強度が低下する現象が観られた。この圧力(20Pa)では、1.0及び1.6mのアンテナについては、反射電力も小さく、プラズマ密度の均一性も良好であった。
【0042】
以上から、適当な長さ以上のアンテナの直線部を選定することにより、反射波を小さく抑えることができ、また同時に定在波に起因していると思われるプラズマの不均一性の発生を抑えることができることが分かった。様々な放電条件での同様な実験を試みた結果、直線部長さを、おおよそ、進行波に対する反射波の比を10%以下に抑える長さに選定することにより、プラズマ均一性も良好に保つことが可能となり、また、直線部長さをこの長さ以上としても反射波が再上昇してしまうことはないことも分かった。
【0043】
以上の結果を基に、励振周波数85MHz、直線部の長さ1.6mのアレイアンテナを持つプラズマCVD装置を試作し、この装置での定量的な観測を行った。アンテナの直線部は厚さ1mmのテフロン(登録商標)で被覆した。放電に使用したガスは、SiH/H=0.2の混合ガスである。
初めに、各アンテナ素子に対して同位相で電力を供給したが、図4に示したように、膜厚分布は非常に悪いものであった。次に、各アンテナ素子の位相を180゜ずつずらした状態で成膜圧力を変化させて実験を行ったところ、図に示すように、2〜3Paの放電圧力の時の膜厚の均一性は良好となった。この時の反射波は、進行波の3%以下であった。なお、装置の排気速度上の制約により、これ以下の圧力での実験はできなかった。
また、放電周波数を下げると、反射波が増大し、膜厚分布にの凹凸が観られるようになった。即ち、アンテナの直線部の幾何学的な長さが同一であっても、放電周波数を下げることは、直線部長さの電気的長さを短縮するのと同等の効果を持つことが確認された。
【0044】
次に、直線部の長さ1.6mのアレイアンテナを用いて、放電圧力0.1〜1000Paの範囲で同様の実験を行い、図7〜9のグラフとの関係を調べた。
先ず、アンテナを駆動する励振周波数が10MHzである場合について考察する。図7によれば、低圧力領域では数十から数万メートルの直線部長さが必要であり、さもないと定在波の発生によるプラズマの不均一と反射波の増大が起こることが示唆される。つまり、幾何学的な直線部の長さ1.6mは、短すぎるであろうと予想された。実際の実験では、100Pa以下の圧力では放電を開始することができなかった。圧力を上昇させると放電が生起したがどの圧力領域でも反射波が大きく殆ど全反射に近い状態であった。
【0045】
次に、励振周波数85MHzの場合について考察する。この場合、図8のグラフによると1.6mの直線部の長さは、1〜100Paの圧力領域で0.5(1/α)と10(1/α)との間に位置し、反射電力も小さく、アンテナの全長に亘って放電が広がるであろうことが予想される。実際の実験結果は、以下の通りであった。0.1〜0.6Paでは、放電が生起しなかったがそれ以上の圧力領域では、放電プラズマが発生した。特に2〜3Pa付近では反射波も小さく、目視確認によるプラズマの均一性も良好であった。10〜数10Pa付近ではアンテナ先端部ではプラズマ密度が低くなったが、これは、電気的なアンテナ長が長すぎたと考えられる。なお、放電が生起できなかった圧力領域では、衝突周波数が小さいため投入した電力では火花条件を満たせなかったものと推測される。
【0046】
励振周波数を400MHzにした場合について説明する。図9のグラフによれば、10Pa程度の圧力では、アンテナの直線部の長さが(1/α)の10倍に近接しており、アンテナの先端部でのプラズマ密度の低下が予測される一方、反射波は小さくなることが予想される。実験の結果、10Pa付近の放電圧力領域でこのような現象が観られたが、高い放電圧力領域では、プラズマ均一性は良好であり、また反射も小さいものであった。
以上により、いずれの場合もアンテナ長は
0.5(1/α)<直線部の長さLa<10(1/α)
の範囲内の長さを選定することで、反射波は小さくなり、良好なプラズマ均一性が得られることが分かった。
【0047】
以上の記述で分かる通り、原理的には、減衰定数は、ガスの種類や、アンテナの太さ、アンテナの周囲に取り付けられる誘電体の誘電率・厚さ、プラズマ密度(励振電力)等に応じて変化する。しかし、これらのパラメータが変化することで最適のアンテナ長が極端に変化することは無く、発明者らが実験したパラメータ範囲内では上の範囲内に直線部長さの最適値が存在することが確認された。
【0048】
本発明の方法を用いてアレイアンテナの両側に基板を搭載して、a−Si太陽電池を試作した。この結果、平行平板形放電装置と同等な特性を持つ電池が得られ、また、アレイアンテナの両側に置かれた基板上での太陽電池特性は、ほぼ同等であった。
【0049】
【発明の効果】
本発明により、生産性の高い放電装置を得ることができ、本発明により、生産性の高いプラズマ処理方法が実現される。また、太陽電池を製造するためのプラズマCVD装置として本発明を適用することで、低価格な太陽電池の実現に大きく寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の放電装置の一構成例を示す模式的断面図である。
【図2】アンテナ素子の構成例を示す模式図である。
【図3】複数の基板の同時処理可能な放電装置を示す模式的断面図である。
【図4】給電方法と膜厚分布の関係を示すグラフである。
【図5】アンテナ素子間の相互作用を説明する模式図である。
【図6】アンテナ周辺の状態を示す模式図である。
【図7】励振周波数10MHzにおけるアンテナ長と圧力の関係を示すグラフである。
【図8】励振周波数85MHzにおけるアンテナ長と圧力の関係を示すグラフである。
【図9】励振周波数400MHzにおけるアンテナ長と圧力の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 真空室、
2 アンテナ素子、
3 誘電体、
4 折り返し部、
5 ガス導入口、
6 排気口、
7 高周波電源、
8 同軸ケーブル、
9 電力供給端、
10 接地端、
11基体、
12 基板ホルダ、
60 アンテナ、
61 シース、
62 仮想的な境界、
63 プラズマ。

Claims (13)

  1. 二本の長さの等しい第一及び第二の直線状導体を平行に配置し、前記第一及び第二の直線状導体端部のうち隣り合う端部の一組を電気的に結合し、第一の直線状導体の結合されていない側の一端を接地端とし、第二の直線状導体の結合されていない側の一端を交流電力を加え得る電力供給端としたアンテナ素子を複数個、それぞれのアンテナ素子の直線状導体が平行となり、かつ、接地端と電力供給端とが交互となるように、真空中の第一の平面上に等間隔に配置してアレイアンテナを構成し、該アレイアンテナに交流電力を供給して真空中に放電プラズマを形成する放電装置において、
    電力供給端のはじから順に位相を180゜づつ変化させて、一斉に同一周波数の交流電力を給電することを第一の特徴とし、該周波数を10MHz〜400MHzとすることを第二の特徴とし、電力供給端で測定される進行波に対する反射波の比が0.1以下となるように直線状導体の長さを定めたことを第三の特徴とする放電装置。
  2. 二本の長さの等しい第一及び第二の直線状導体を平行に配置し、前記第一及び第二の直線状導体端部のうち隣り合う端部の一組を電気的に結合し、第一の直線状導体の結合されていない側の一端を接地端とし、第二の直線状導体の結合されていない側の一端を交流電力を加え得る電力供給端としたアンテナ素子を複数個、それぞれのアンテナ素子の直線状導体が平行となり、かつ、接地端と電力供給端とが交互となるように、真空中の第一の平面上に等間隔に配置してアレイアンテナを構成し、該アレイアンテナに交流電力を供給して真空中に放電プラズマを形成する放電装置において、
    電力給電端のはじから順に、位相を180゜づつ変化させて一斉に同一周波数の交流電力を給電することを第一の特徴とし、該周波数f(Hz)を10MHz〜400MHzとすることを第二の特徴とし、プラズマの誘電率κを前記周波数fと放電圧力p(Pa)とを使って、
    Figure 0005017762
    で表し、更に、プラズマに侵入する電磁界の表皮深さδ(m)を
    Figure 0005017762
    で表したときに、計算される減衰定数α(1/m)
    Figure 0005017762
    から、前記直線状導体の長さLa(m)を
    0.5(1/α)<La<10(1/α)
    としたことを第三の特徴とする放電装置。
  3. 前記直線状導体の直径を10mm以下としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の放電装置。
  4. 前記直線状導体の直径を1mm以上としたことを特徴とする請求項3に記載の放電装置。
  5. 前記直線状導体の直径を長さ方向に変化させたことを特徴とする請求項1又は2に記載の放電装置。
  6. 前記直線状導体の直径の少なくとも一部を10mm以下としたことを特徴とする請求項5に記載の放電装置。
  7. 前記直線状導体の表面の一部または全体を誘電体で被覆することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の放電装置。
  8. 前記誘電体の厚さを前記直線状導体の長さ方向に変化させたことを特徴とする請求項7に記載の放電装置。
  9. 前記誘電体の端部において、その断面形状をテーパー状としたことを特徴とする請求項8に記載の放電装置。
  10. 前記誘電体を直線状導体の長手方向に沿ってらせん形状に被覆したことを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の放電装置。
  11. 前記アレイアンテナが配置された前記第一の平面を挟む第二及び第三の平面上にそれぞれ基体を配置し、前記放電プラズマにより第二および第三の平面上に配置された基体に同時に加工を行うことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の放電装置。
  12. 一つの真空室内に複数の前記アレイアンテナを配置することを特徴とする請求項11に記載の放電装置。
  13. 二本の長さの等しい第一及び第二の直線状導体を平行に配置し、前記第一及び第二の直線状導体端部のうち隣り合う端部の一組を電気的に結合し、第一の直線状導体の結合されていない側の一端を接地端とし、第二の直線状導体の結合されていない側の一端を交流電力を加え得る電力供給端としたアンテナ素子を複数個、それぞれのアンテナ素子の直線状導体が平行となり、かつ、接地端と電力供給端とが交互となるように、真空中の第一の平面上に等間隔に配置してアレイアンテナを構成し、該アレイアンテナに交流電力を供給して真空中に放電プラズマを形成するプラズマ処理方法において、
    電力給電端のはじから順に位相を180゜づつ変化させ、一斉に同一周波数の交流電力を給電し、該周波数を10MHz〜400MHzとし、電力供給端で測定される進行波に対する反射波の比が0.1以下となるように直線状導体の長さを定めたアレイアンテナを使用することを特徴とするプラズマ処理方法。
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