JP4701557B2 - インフレータ及び乗員頭部保護装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス発生用のインフレータと、このインフレータによって展開するエアバッグを有した乗員頭部保護装置とに関する。
【０００２】
【従来の技術】
自動車の乗員保護装置として、自動車の側面衝突時や横転時等にサイドドアの窓、Ｂピラー等に沿って膨張するエアバッグを備えた乗員頭部保護装置が、ＷＯ９６／２６０８７や特開平１０−２９１４５７号等に記載されている。この頭部保護用エアバッグは、カバー部材（例えば車等の内装部材）によって覆われて配置されている。自動車の側面衝突や横転が検知されると、インフレータが始動し、エアバッグが膨張を開始する。膨張するエアバッグに押されてカバー部材が開き、エアバッグが乗員頭部の側方に沿って展開する。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
この乗員頭部保護用エアバッグがカバー部材を押し開くときには、エアバッグ内にガスが高い圧力で供給されることが望ましい。エアバッグがほぼ展開し終わった後は、エアバッグ内に比較的長時間にわたってガスが少しずつ供給され、エアバッグ内のガス圧を長時間にわたって高く保つことにより、横転時等の乗員の保護をより十分なものとすることができる。
【０００４】
本発明は、このような噴出ガス圧の経時変化特性を有したインフレータと、このインフレータを用いた乗員頭部保護装置とを提供することを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明のインフレータは、容器内からガス流出口を介して高圧ガスを噴出させるインフレータにおいて、該容器内に、インフレータのガス噴出作動開始後の所定のときに噴出ガス量を減少させるための噴出ガス量調節手段を備えたインフレータであって、前記噴出ガス量調節手段は、噴出ガス圧に応じて動作する弁機構よりなり、前記弁機構は、前記容器内に設けられた第１のガス通気口及び第２のガス通気口と、該第１のガス通気口に対して通気方向の下流側から着座可能な弁体と、該弁体を着座方向に付勢するスプリングとを備えてなり、前記容器は、高圧ガスの収容室と、該高圧ガスの収容室からガスを噴出させるガス噴出口とを備えており、該ガス噴出口からのガス噴出方向の延長線上に前記第１のガス通気口が配置され、該延長線から外れた位置に前記第２のガス通気口が配置されていることを特徴とするものである。
【０００６】
かかるインフレータは、始動から所定の間は比較的高圧のガスが多量に噴出する。その後、噴出ガス量が調節手段によって減少され、比較的長期間にわたり少しずつガスが流出する。
【０００７】
本発明のインフレータでは、噴出ガス量調節手段は、噴出ガス圧に応じて動作する弁機構よりなる。かかる弁機構によれば、ガス供給機構からのガス圧が低下してくると、それに応じて噴出ガス量が減少するように調節される。
【０００８】
この弁機構は、容器内に設けられた第１のガス通気口及び第２のガス通気口と、該第１のガス通気口に対して通気方向の下流側から着座可能な弁体と、該弁体を着座方向に付勢するスプリングとを備えてなる。この弁機構は構成が簡単であり、耐久性も良い。
【０００９】
本発明では、この容器は、高圧ガスの収容室と、該高圧ガスの収容室からガスを噴出させるガス噴出口とを備えており、該ガス噴出口からのガス噴出方向の延長線上に前記第１のガス通気口が配置され、該延長線から外れた位置に前記第２のガス通気口が配置されている。このように構成されていると、インフレータ始動直後は、ガス噴出口からのガスが直進して第１のガス通気口から比較的高圧を保ったまま比較的多量に噴出する。その後、該ガス噴出口からの噴出ガス圧が低下してくると、第１のガス通気口が弁体によって閉鎖され、第２のガス通気口のみを介してガスがガス流出口に至る。この第２のガス通気口がガス噴出口のガス噴出方向の延長線上から外れているため、ガス噴出口からのガスがガス流出口に至るまでの通路長が大きく、また圧損も比較的高いので、インフレータから比較的長期間にわたりガスが徐々に供給される。
【００１０】
本発明の乗員頭部保護装置は、車室内において乗員の頭部近傍に展開しうる乗員頭部保護用のエアバッグと、該エアバッグを膨張させるためのインフレータとを有する乗員頭部保護装置において、該インフレータとしてかかる本発明のインフレータを採用したものである。
【００１１】
この乗員頭部保護装置は、エアバッグが迅速に展開し、且つエアバッグ内のガス圧が比較的長期にわたり高く保たれる。
【００１２】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。第１図は本発明の実施の形態に係るインフレータの断面図、第２図はこのインフレータの分解斜視図、第３図はこのインフレータの作動初期の態様を示す要部断面図、第４図はこのインフレータの作動途中の態様を示す要部断面図である。
【００１３】
このインフレータ１は、ガスが充填されたガス収容部２ａを有した略筒状の耐圧容器本体２を備えている。この耐圧容器本体２の筒軸方向の一端（先端）側の隔壁３にガス噴出口４が設けられている。
【００１４】
この耐圧容器本体２の先端側にはディフューザ６が固着されている。このディフューザ６は、一端（先端）側に小径部８を有し、他端（後端）側に大径部１０を有した略々筒状のものである。この小径部８にガス流出口１２が設けられている。このガス流出口１２と大径部の内孔１４とは連通しており、該ガス流出口１２と内孔１４との境界部分は段差面１６となっている。
【００１５】
該大径部１０の後端側の周縁部は、耐圧容器本体２の先端側の内周縁部に設けられた連結部１８と結合可能な連結部２０となっており、ディフューザ６は、これらの連結部１８，２０同士を結合することにより耐圧容器本体２と気密に且つ強固に連結されている。
【００１６】
このディフューザ６の大径部１０の内孔１４内には、上記噴出口４から該内孔１４内に流入するガス流量を調節するための弁機構２２が設けられている。この弁機構２２は、第１のガス通気口２４及び第２のガス通気口２６を有した切頭円錐形状のオリフィス２８と、該第１のガス通気口２４を開閉する弁体３０と、該弁体３０を付勢するスプリング３２とを備えている。
【００１７】
該オリフィス２８は、一端側即ち該第１の通気口２４側に向ってテーパ状に縮径しており、第１のガス通気口２４はこのオリフィス２８の該一端側の頂部に設けられている。このオリフィス２８の側周面に第２のガス通気口２６が複数個設けられている。第２のガス通気口２６は第１のガス通気口２４よりも小径である。このオリフィス２８は、該第１のガス通気口２４と前記ガス噴出口４とが同軸状となるように配置されている。即ち、ガス噴出口４のガス噴出方向の延長線上に第１の通気口２４が配置されている。オリフィス２８の他端側は、溶接等の接合手段により隔壁３と気密に接合されている。
【００１８】
弁体３０は、このオリフィス２８の外部側から第１のガス通気口２４に着座し、該第１のガス通気口２４を閉鎖するようになっている。この弁体３０と該段差面１６との間には、弁体３０を第１のガス通気口２４への着座方向に付勢するスプリング３２が介在されている。このスプリング３２が弁体３０を付勢する付勢力は、ガス噴出口４から所定圧以上の圧力でガスがオリフィス２８内に噴出しているときには、このガス圧によりスプリング３２が押し縮められ、該弁体３０が第１のガス通気口２４から離反して該第１のガス通気口２４を開放させると共に、ガス噴出口４からオリフィス２８内に噴き出すガス圧が所定圧以下となったときには、その復元力により弁体３０を第１のガス通気口２４に着座させて、該第１のガス通気口２４を閉鎖することができる程度の強さとなっている。
【００１９】
ガス噴出口４は、平常時にはアウトレットディスク３４によって閉鎖されている。このアウトレットディスク３４は、耐圧容器本体２の内側から隔壁３の噴出口４の周縁部に重ね合わされ、気密に接合されている。なお、このアウトレットディスク３４は、該耐圧容器本体２内の圧力が所定圧以上になると破裂してガス噴出口４を開放するように構成されている。
【００２０】
耐圧容器本体２の後端側にイニシエータ設置部３８ａが一体に設けられており、該イニシエータ設置部３８ａ内にイニシエータ３８が設置されている。このイニシエータ３８は、開口３６を介して耐圧容器本体２内にガスを噴出しうるように配置されている。３８ｂはイニシエータ３８の通電用の端子を示す。
【００２１】
この開口３６は、平常時にはインレットディスク４０によって閉鎖されている。このインレットディスク４０は、耐圧容器本体２の内側から該開口３６の周縁部に重ね合わされ、気密に接合されている。このインレットディスク４０は、イニシエータ３８から所定圧以上のガス圧が加えられたときに破裂するよう構成されている。
【００２２】
耐圧容器本体２内には、該インレットディスク４０に隣接してプロペラント収容スペースが仕切板４２によって区画されており、このスペース内にプロペラント４２ａが収容されている。このプロペラント４２ａは、イニシエータ３８の噴出ガスと接触することによりガス発生反応を起こして瞬時に大量のガスを発生させる。なお、仕切板４２には複数の開口４２ｂが設けられている。
【００２３】
この仕切板４２と前記隔壁３との間のガス収容部２ａ内にガスが規定の高圧にて充填されている。
【００２４】
このように構成されたインフレータにおいて、イニシエータ３８に端子３８ｂを介して通電され、イニシエータ３８が始動すると、このイニシエータ３８からのガスがインレットディスク４０を破り、プロペラント４２ａと接触する。これにより、プロペラント４２ａがガス発生反応し、反応ガスが開口４２ｂを通ってガス収容部２ａ内に流入する。これにより、該ガス収容部２ａ内のガス圧が急激に上昇し、アウトレットディスク３４が破れ、ガスがガス噴出口４から噴出する。
【００２５】
この噴出口４からガスが噴出し始めた噴出初期状態にあっては、噴出ガス圧が高いので、噴出ガス圧に押されて弁体３０が第１図の右方に退動する。そして、ガス噴出口４からの噴出ガスは、第１のガス通気口２４からガス流出口１２を通り、インフレータ１から噴出する。この際の噴出ガス経路は、ガス噴出口４からほぼ直線状にガス流出口１２に至るものである。このため、ガスはスムーズに比較的大量に且つ比較的高圧にてガス流出口１２から噴出する。
【００２６】
ガス噴出口４からのガス噴出開始からある程度時間が経過すると、このガス噴出口４からの噴出ガス圧が低下してくる。そして、スプリング３２の付勢力がガス圧を上回るようになり、弁体３０が第１のガス通気口２４に着座し、これを閉鎖する。この状態になると、ガス噴出口４からの噴出ガスは専ら第２のガス通気口２６を通って流出する。この第２のガス通気口２６の開口径が比較的小さく、またこの第２のガス通気口２６がオリフィス２８の側周面に設けられており、ガス噴出口４からのガス噴出方向から外れている。このため、ガス噴出口４を出たガスがガス流出口１２に達するまでの流路長が長く、通気圧損も高い。そのため、弁体３０が閉弁した後にガス流出口１２から噴出するガスの噴出速度は比較的小さい。その代りに、該ガス流出口１２からは長時間にわたりガスが噴出し続けることになる。
【００２７】
図示はしないが、本発明の乗員頭部保護装置は、このインフレータ１と、このインフレータ１のガス流出口１２に接続された乗員頭部保護用エアバッグとを備えている。このインフレータ１が始動直後に高圧のガスを多量に発生するので、このエアバッグは早期に乗員頭部に沿って展開する。エアバッグが十分に又はほぼ十分に展開した後、前記弁体３０が閉弁し、その後はインフレータ１からの噴出ガス圧が比較的低くなると共に噴出ガス量が比較的少なくなり、且つ長期にわたりガスが流出し続けるので、このエアバッグ内のガス圧は長期間にわたり高い状態に維持される。これは、自動車が横転した場合の乗員頭部保護にきわめて好適である。
【００２８】
上記実施の形態は、本発明の一例であり、本発明は図示以外の種々の形態をとりうるものである。本発明は、図示の形態に当業者が想到しうる改変を加えた形態についても当然に適用されるものである。
【００２９】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によると、作動開始後、所定の間はガス発生量が多く、その後、ガス発生量が低下し且つ長期にわたってガスを供給し続けるインフレータと、このインフレータを採用した乗員頭部保護装置とが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の形態に係るインフレータの断面図である。
【図２】第１図のインフレータの分解斜視図である。
【図３】第１図のインフレータのガス噴出作動初期における要部断面図である。
【図４】第１図のインフレータのガス噴出作動開始から所定時間経過後の要部断面図である。
【符号の説明】
１ インフレータ
２ 耐圧容器本体
３ 隔壁
４ ガス噴出口
６ ディフューザ
１２ ガス流出口
２２ 弁機構
２４ 第１のガス通気口
２６ 第２のガス通気口
２８ オリフィス
３０ 弁体
３２ スプリング
３４ アウトレットディスク
３８ イニシエータ
３８ａ イニシエータ設置部
４０ インレットディスク
４２ 仕切板
４２ａ プロペラント
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス発生用のインフレータと、このインフレータによって展開するエアバッグを有した乗員頭部保護装置とに関する。
【０００２】
【従来の技術】
自動車の乗員保護装置として、自動車の側面衝突時や横転時等にサイドドアの窓、Ｂピラー等に沿って膨張するエアバッグを備えた乗員頭部保護装置が、ＷＯ９６／２６０８７や特開平１０−２９１４５７号等に記載されている。この頭部保護用エアバッグは、カバー部材（例えば車等の内装部材）によって覆われて配置されている。自動車の側面衝突や横転が検知されると、インフレータが始動し、エアバッグが膨張を開始する。膨張するエアバッグに押されてカバー部材が開き、エアバッグが乗員頭部の側方に沿って展開する。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
この乗員頭部保護用エアバッグがカバー部材を押し開くときには、エアバッグ内にガスが高い圧力で供給されることが望ましい。エアバッグがほぼ展開し終わった後は、エアバッグ内に比較的長時間にわたってガスが少しずつ供給され、エアバッグ内のガス圧を長時間にわたって高く保つことにより、横転時等の乗員の保護をより十分なものとすることができる。
【０００４】
本発明は、このような噴出ガス圧の経時変化特性を有したインフレータと、このインフレータを用いた乗員頭部保護装置とを提供することを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明のインフレータは、容器内からガス流出口を介して高圧ガスを噴出させるインフレータにおいて、該容器内に、インフレータのガス噴出作動開始後の所定のときに噴出ガス量を減少させるための噴出ガス量調節手段を備えたインフレータであって、前記噴出ガス量調節手段は、噴出ガス圧に応じて動作する弁機構よりなり、前記弁機構は、前記容器内に設けられた第１のガス通気口及び第２のガス通気口と、該第１のガス通気口に対して通気方向の下流側から着座可能な弁体と、該弁体を着座方向に付勢するスプリングとを備えてなり、前記容器は、高圧ガスの収容室と、該高圧ガスの収容室からガスを噴出させるガス噴出口とを備えており、該ガス噴出口からのガス噴出方向の延長線上に前記第１のガス通気口が配置され、該延長線から外れた位置に前記第２のガス通気口が配置されていることを特徴とするものである。
【０００６】
かかるインフレータは、始動から所定の間は比較的高圧のガスが多量に噴出する。その後、噴出ガス量が調節手段によって減少され、比較的長期間にわたり少しずつガスが流出する。
【０００７】
本発明のインフレータでは、噴出ガス量調節手段は、噴出ガス圧に応じて動作する弁機構よりなる。かかる弁機構によれば、ガス供給機構からのガス圧が低下してくると、それに応じて噴出ガス量が減少するように調節される。
【０００８】
この弁機構は、容器内に設けられた第１のガス通気口及び第２のガス通気口と、該第１のガス通気口に対して通気方向の下流側から着座可能な弁体と、該弁体を着座方向に付勢するスプリングとを備えてなる。この弁機構は構成が簡単であり、耐久性も良い。
【０００９】
本発明では、この容器は、高圧ガスの収容室と、該高圧ガスの収容室からガスを噴出させるガス噴出口とを備えており、該ガス噴出口からのガス噴出方向の延長線上に前記第１のガス通気口が配置され、該延長線から外れた位置に前記第２のガス通気口が配置されている。このように構成されていると、インフレータ始動直後は、ガス噴出口からのガスが直進して第１のガス通気口から比較的高圧を保ったまま比較的多量に噴出する。その後、該ガス噴出口からの噴出ガス圧が低下してくると、第１のガス通気口が弁体によって閉鎖され、第２のガス通気口のみを介してガスがガス流出口に至る。この第２のガス通気口がガス噴出口のガス噴出方向の延長線上から外れているため、ガス噴出口からのガスがガス流出口に至るまでの通路長が大きく、また圧損も比較的高いので、インフレータから比較的長期間にわたりガスが徐々に供給される。
【００１０】
本発明の乗員頭部保護装置は、車室内において乗員の頭部近傍に展開しうる乗員頭部保護用のエアバッグと、該エアバッグを膨張させるためのインフレータとを有する乗員頭部保護装置において、該インフレータとしてかかる本発明のインフレータを採用したものである。
【００１１】
この乗員頭部保護装置は、エアバッグが迅速に展開し、且つエアバッグ内のガス圧が比較的長期にわたり高く保たれる。
【００１２】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。第１図は本発明の実施の形態に係るインフレータの断面図、第２図はこのインフレータの分解斜視図、第３図はこのインフレータの作動初期の態様を示す要部断面図、第４図はこのインフレータの作動途中の態様を示す要部断面図である。
【００１３】
このインフレータ１は、ガスが充填されたガス収容部２ａを有した略筒状の耐圧容器本体２を備えている。この耐圧容器本体２の筒軸方向の一端（先端）側の隔壁３にガス噴出口４が設けられている。
【００１４】
この耐圧容器本体２の先端側にはディフューザ６が固着されている。このディフューザ６は、一端（先端）側に小径部８を有し、他端（後端）側に大径部１０を有した略々筒状のものである。この小径部８にガス流出口１２が設けられている。このガス流出口１２と大径部の内孔１４とは連通しており、該ガス流出口１２と内孔１４との境界部分は段差面１６となっている。
【００１５】
該大径部１０の後端側の周縁部は、耐圧容器本体２の先端側の内周縁部に設けられた連結部１８と結合可能な連結部２０となっており、ディフューザ６は、これらの連結部１８，２０同士を結合することにより耐圧容器本体２と気密に且つ強固に連結されている。
【００１６】
このディフューザ６の大径部１０の内孔１４内には、上記噴出口４から該内孔１４内に流入するガス流量を調節するための弁機構２２が設けられている。この弁機構２２は、第１のガス通気口２４及び第２のガス通気口２６を有した切頭円錐形状のオリフィス２８と、該第１のガス通気口２４を開閉する弁体３０と、該弁体３０を付勢するスプリング３２とを備えている。
【００１７】
該オリフィス２８は、一端側即ち該第１の通気口２４側に向ってテーパ状に縮径しており、第１のガス通気口２４はこのオリフィス２８の該一端側の頂部に設けられている。このオリフィス２８の側周面に第２のガス通気口２６が複数個設けられている。第２のガス通気口２６は第１のガス通気口２４よりも小径である。このオリフィス２８は、該第１のガス通気口２４と前記ガス噴出口４とが同軸状となるように配置されている。即ち、ガス噴出口４のガス噴出方向の延長線上に第１の通気口２４が配置されている。オリフィス２８の他端側は、溶接等の接合手段により隔壁３と気密に接合されている。
【００１８】
弁体３０は、このオリフィス２８の外部側から第１のガス通気口２４に着座し、該第１のガス通気口２４を閉鎖するようになっている。この弁体３０と該段差面１６との間には、弁体３０を第１のガス通気口２４への着座方向に付勢するスプリング３２が介在されている。このスプリング３２が弁体３０を付勢する付勢力は、ガス噴出口４から所定圧以上の圧力でガスがオリフィス２８内に噴出しているときには、このガス圧によりスプリング３２が押し縮められ、該弁体３０が第１のガス通気口２４から離反して該第１のガス通気口２４を開放させると共に、ガス噴出口４からオリフィス２８内に噴き出すガス圧が所定圧以下となったときには、その復元力により弁体３０を第１のガス通気口２４に着座させて、該第１のガス通気口２４を閉鎖することができる程度の強さとなっている。
【００１９】
ガス噴出口４は、平常時にはアウトレットディスク３４によって閉鎖されている。このアウトレットディスク３４は、耐圧容器本体２の内側から隔壁３の噴出口４の周縁部に重ね合わされ、気密に接合されている。なお、このアウトレットディスク３４は、該耐圧容器本体２内の圧力が所定圧以上になると破裂してガス噴出口４を開放するように構成されている。
【００２０】
耐圧容器本体２の後端側にイニシエータ設置部３８ａが一体に設けられており、該イニシエータ設置部３８ａ内にイニシエータ３８が設置されている。このイニシエータ３８は、開口３６を介して耐圧容器本体２内にガスを噴出しうるように配置されている。３８ｂはイニシエータ３８の通電用の端子を示す。
【００２１】
この開口３６は、平常時にはインレットディスク４０によって閉鎖されている。このインレットディスク４０は、耐圧容器本体２の内側から該開口３６の周縁部に重ね合わされ、気密に接合されている。このインレットディスク４０は、イニシエータ３８から所定圧以上のガス圧が加えられたときに破裂するよう構成されている。
【００２２】
耐圧容器本体２内には、該インレットディスク４０に隣接してプロペラント収容スペースが仕切板４２によって区画されており、このスペース内にプロペラント４２ａが収容されている。このプロペラント４２ａは、イニシエータ３８の噴出ガスと接触することによりガス発生反応を起こして瞬時に大量のガスを発生させる。なお、仕切板４２には複数の開口４２ｂが設けられている。
【００２３】
この仕切板４２と前記隔壁３との間のガス収容部２ａ内にガスが規定の高圧にて充填されている。
【００２４】
このように構成されたインフレータにおいて、イニシエータ３８に端子３８ｂを介して通電され、イニシエータ３８が始動すると、このイニシエータ３８からのガスがインレットディスク４０を破り、プロペラント４２ａと接触する。これにより、プロペラント４２ａがガス発生反応し、反応ガスが開口４２ｂを通ってガス収容部２ａ内に流入する。これにより、該ガス収容部２ａ内のガス圧が急激に上昇し、アウトレットディスク３４が破れ、ガスがガス噴出口４から噴出する。
【００２５】
この噴出口４からガスが噴出し始めた噴出初期状態にあっては、噴出ガス圧が高いので、噴出ガス圧に押されて弁体３０が第１図の右方に退動する。そして、ガス噴出口４からの噴出ガスは、第１のガス通気口２４からガス流出口１２を通り、インフレータ１から噴出する。この際の噴出ガス経路は、ガス噴出口４からほぼ直線状にガス流出口１２に至るものである。このため、ガスはスムーズに比較的大量に且つ比較的高圧にてガス流出口１２から噴出する。
【００２６】
ガス噴出口４からのガス噴出開始からある程度時間が経過すると、このガス噴出口４からの噴出ガス圧が低下してくる。そして、スプリング３２の付勢力がガス圧を上回るようになり、弁体３０が第１のガス通気口２４に着座し、これを閉鎖する。この状態になると、ガス噴出口４からの噴出ガスは専ら第２のガス通気口２６を通って流出する。この第２のガス通気口２６の開口径が比較的小さく、またこの第２のガス通気口２６がオリフィス２８の側周面に設けられており、ガス噴出口４からのガス噴出方向から外れている。このため、ガス噴出口４を出たガスがガス流出口１２に達するまでの流路長が長く、通気圧損も高い。そのため、弁体３０が閉弁した後にガス流出口１２から噴出するガスの噴出速度は比較的小さい。その代りに、該ガス流出口１２からは長時間にわたりガスが噴出し続けることになる。
【００２７】
図示はしないが、本発明の乗員頭部保護装置は、このインフレータ１と、このインフレータ１のガス流出口１２に接続された乗員頭部保護用エアバッグとを備えている。このインフレータ１が始動直後に高圧のガスを多量に発生するので、このエアバッグは早期に乗員頭部に沿って展開する。エアバッグが十分に又はほぼ十分に展開した後、前記弁体３０が閉弁し、その後はインフレータ１からの噴出ガス圧が比較的低くなると共に噴出ガス量が比較的少なくなり、且つ長期にわたりガスが流出し続けるので、このエアバッグ内のガス圧は長期間にわたり高い状態に維持される。これは、自動車が横転した場合の乗員頭部保護にきわめて好適である。
【００２８】
上記実施の形態は、本発明の一例であり、本発明は図示以外の種々の形態をとりうるものである。本発明は、図示の形態に当業者が想到しうる改変を加えた形態についても当然に適用されるものである。
【００２９】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によると、作動開始後、所定の間はガス発生量が多く、その後、ガス発生量が低下し且つ長期にわたってガスを供給し続けるインフレータと、このインフレータを採用した乗員頭部保護装置とが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の形態に係るインフレータの断面図である。
【図２】第１図のインフレータの分解斜視図である。
【図３】第１図のインフレータのガス噴出作動初期における要部断面図である。
【図４】第１図のインフレータのガス噴出作動開始から所定時間経過後の要部断面図である。
【符号の説明】
１ インフレータ
２ 耐圧容器本体
３ 隔壁
４ ガス噴出口
６ ディフューザ
１２ ガス流出口
２２ 弁機構
２４ 第１のガス通気口
２６ 第２のガス通気口
２８ オリフィス
３０ 弁体
３２ スプリング
３４ アウトレットディスク
３８ イニシエータ
３８ａ イニシエータ設置部
４０ インレットディスク
４２ 仕切板
４２ａ プロペラント
Claims (2)
- 容器内からガス流出口を介して高圧ガスを噴出させるインフレータにおいて、
該容器内に、インフレータのガス噴出作動開始後の所定のときに噴出ガス量を減少させるための噴出ガス量調節手段を備えたインフレータであって、
前記噴出ガス量調節手段は、噴出ガス圧に応じて動作する弁機構よりなり、
前記弁機構は、前記容器内に設けられた第１のガス通気口及び第２のガス通気口と、該第１のガス通気口に対して通気方向の下流側から着座可能な弁体と、該弁体を着座方向に付勢するスプリングとを備えてなり、
前記容器は、高圧ガスの収容室と、該高圧ガスの収容室からガスを噴出させるガス噴出口とを備えており、該ガス噴出口からのガス噴出方向の延長線上に前記第１のガス通気口が配置され、該延長線から外れた位置に前記第２のガス通気口が配置されていることを特徴とするインフレータ。 - 車室内において乗員の頭部近傍に展開しうる乗員頭部保護用のエアバッグと、該エアバッグを膨張させるためのインフレータとを有する乗員頭部保護装置において、
該インフレータが請求項１に記載のインフレータであることを特徴とする乗員頭部保護装置。
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