JP4570196B2 - 義歯洗浄剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は義歯の洗浄に用いられる義歯洗浄剤に関する。より詳細には本発明は義歯に付着した歯石を、義歯素材に影響を与えることなく、効果的に除去できる義歯洗浄剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
義歯は、総義歯や部分義歯の別に関わらず汚れが付着しやすく、放置しておくと汚れの中に形成された細菌叢に歯石が形成され、それが臭いや歯周病の誘発原因となることがある。このため、従来より義歯を洗浄し、清潔に保つために種々義歯洗浄剤が開発され使用されている。
【0003】
従来の義歯洗浄剤は、界面活性剤及び漂白剤を主成分とし、更に酵素や発泡剤等を含有する顆粒剤や錠剤からなり、通常義歯の洗浄は、これらの製剤を水に投入して調製された義歯洗浄水に義歯を浸漬放置する方法によって行われている。
【0004】
ところで、義歯の歯肉部は、一般にポリメタクリル樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂またはポリカーボネート樹脂といった素材から形成され、また有床義歯の半数を占める部分義歯は、クラスプやバーといった金属部分を有している。このため従来の義歯洗浄剤は、それを水に投入した義歯洗浄水に長時間にわたって義歯を浸漬することによって使用されるものであるため、上記義歯の歯肉素材が変形や変色したり、金属素材が黒変したり腐食することのないよう、中性pHを呈するように調製されているのが一般である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、歯石の主構成成分であるリン酸カルシウムは中性域では溶解せず、pH5以下で溶解する。従って、前述する従来の義歯洗浄剤では、食物残渣やプラーク及び茶渋等といった色素等は洗浄除去できるが、歯石は十分に除去できないという問題がある。このため、特に歯石の除去効果にすぐれ、かつ義歯素材に悪影響を与えることなく安心して使用できる義歯洗浄剤の開発が求められていた。
【0006】
本発明は、このような従来の要望に応えるために開発されたものであり、義歯の汚れ、特に歯石の洗浄除去効果に優れている上、義歯の各種素材(歯肉素材、金属素材等)に悪影響を与えることのない義歯洗浄剤を提供することを目的とするものである。
【0007】
なお、本発明が提供する義歯洗浄剤も、前述するように該洗浄剤を投入した水(義歯洗浄水)に義歯を浸漬して使用されるものであり、浸漬することによって経時的に歯石を溶解除去する効果を発揮するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく日夜鋭意研究していたところ、水中に投入した場合に速やかに崩壊し溶解するように酸及び過硫酸塩を配合して調製した酸性部と、当該酸性部の崩壊もしくは溶解に続いて徐々に崩壊及び溶解するように炭酸塩と過ホウ酸塩又は過炭酸塩の少なくとも一種を配合して調製したアルカリ性部からなる少なくとも二相を有する粒状もしくは錠剤状の義歯洗浄剤を用いることによって、義歯素材に対して悪影響を与えることなく優れた歯石洗浄除去力を発揮することを見出した。当該義歯洗浄剤は、速溶性の酸性部と徐溶性のアルカリ性部からなる少なくとも2相を有するため、水に投入されるとまず速溶性成分からなる酸性部が崩壊、溶解して、該水(義歯洗浄水)の液性をpH5以下に調整することができ、これによって義歯に付着した歯石が溶解除去できる。次いで酸性部の溶解に引き続いて(溶解後若しくは溶解に伴って)、徐溶性成分からなるアルカリ性部が徐々に崩壊、溶解し、上記義歯洗浄水の液性を酸性域からpH6以上の中性乃至はアルカリ性域にシフトさせることができ、これによって、酸性域に長時間曝されることによって生じ得る義歯素材の損傷を防止することができる。
【0009】
本発明は、かかる知見に基づいて開発されたものである。
【0010】
すなわち、本発明は下記に掲げる義歯洗浄剤である:
(1)酸及び過硫酸塩を含有する酸性速溶部と、過ホウ酸塩又は過炭酸塩の少なくとも1種と炭酸塩を含有するアルカリ性徐溶部を有する粒状もしくは錠剤状の義歯洗浄剤であって、義歯洗浄水に配合されて該水の液性を低pHから高pHに変化させることのできる義歯洗浄剤。
(2)義歯洗浄水のpHを5以下に調整後、終局的にpHを6以上に調整できる(1)に記載の義歯洗浄剤。
(3)酸性速溶部が、酸性速溶部100重量部あたり酸を5〜40重量部、過硫酸塩を5〜50重量部の割合で含有するものである(1)又は(2)記載の義歯洗浄剤。
(4)アルカリ性徐溶部が、アルカリ性徐溶部100重量部あたり炭酸塩を40〜65重量部、過ホウ酸塩又は過炭酸塩の少なくとも1種を20〜40重量部の割合で含有するものである(1)乃至(3)のいずれかに記載の義歯洗浄剤。
(5)酸性速溶部とアルカリ性徐溶部を1:1〜4:1(重量比)の割合で含有する(1)乃至(4)のいずれかに記載する義歯洗浄剤。
(6)アルカリ性徐溶部を核としてその周囲を酸性速溶部が被覆してなる有核剤であるか、またはアルカリ性徐溶部と酸性速溶部とが積層されてなる複層剤である(1)乃至(5)のいずれかに記載の義歯洗浄剤。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の義歯洗浄剤は、酸及び過硫酸塩を含有する酸性部と、過ホウ酸塩又は過炭酸塩の少なくとも1種と炭酸塩を含有するアルカリ性部とからなる異なる2相を有する粒状もしくは錠剤状の製剤である。
【0012】
当該製剤の各領域部は、該製剤を水に投入したときに該水のpHを5以下、好ましくはpH3〜5に調整し、次いで経時的にpHを上昇させて終局的にpHを6以上の中性若しくはアルカリ性域、好ましくはpH6〜9に調整できるように構成される。この場合、義歯洗浄水は、義歯洗浄剤を水に投入した後少なくとも10分間程度、若しくは30分間程度、さらには1時間程度にわたってpH3〜5の酸性域に保たれることが望ましい。
【0013】
このようなpH変化を生じる義歯洗浄剤は、酸性部とアルカリ性部の配合割合やそれらの配置構成を調節することにより、また各領域部の溶解性を適当なものに制御することによって達成できる。
【0014】
当該義歯洗浄剤の酸性部は、有効成分として酸と過硫酸塩を含有することを特徴とする。
【0015】
ここで用いられる酸としては、無毒性の生理学上許容される酸であれば特に制限されず、例えば酒石酸、フマル酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、グルコン酸、コハク酸、サリチル酸及びアジピン酸等の有機酸;並びにリン酸やスルファミン酸等の無機酸を挙げることができる。なお、これらの酸は無水物であることができる。これらの酸は1種単独で使用することもできるが、2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。好ましくは、酒石酸、フマル酸、クエン酸、リンゴ酸等の有機酸であり、より好ましくはクエン酸、酒石酸、またはリンゴ酸である。
【0016】
酸性部におけるこれらの酸の配合割合は、特に制限されないが、酸性部100重量部あたり通常5〜40重量部であり、好ましくは15〜35重量部、より好ましくは20〜30重量部を挙げることができる。
【0017】
また、酸性部に配合される過硫酸塩としては、上記と同様、無毒性の生理学上許容される酸塩であれば特に制限はされないが、過硫酸ナトリウムやカリウムなどの過硫酸のアルカリ金属塩、過硫酸アンモニウム塩、過硫酸リチウム、過硫酸バリウム、並びにこれらの水和物を例示することができる。なお、これらの酸塩は1種単独で使用することもできるが、2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。好ましくは、過硫酸ナトリウムや過硫酸カリウム等の過硫酸のアルカリ金属塩である。
【0018】
酸性部におけるこれらの過硫酸酸塩の配合割合は、特に制限されないが、通常5〜50重量部であり、好ましくは10〜45重量部、より好ましくは30〜40重量部を挙げることができる。
【0019】
本発明においては、義歯洗浄剤を水に投入後、直ちに酸性成分が崩壊乃至溶解することが好ましく、このような溶解挙動を一層好適なものにするためには、酸性部には上記成分に加えて、さらに硫酸カリウム、塩化ナトリウムのような中性の塩類を配合することが好ましい。かかる成分の配合割合としては、特に制限されないが、酸性部100重量部あたり、通常1〜30重量部、好ましくは5〜25重量部、より好ましくは10〜20重量部を挙げることができる。
【0020】
また当該酸性部にはさらに発泡剤を配合することもできる。当該発泡剤は無毒性の生理学上許容されるものであれば特に制限はされず、通常義歯洗浄剤に使用されるものを広く用いることができる。一般に、発泡剤は、それが配合される対象成分のpHに応じて、酸性または中性〜アルカリ性pH条件で有効に発泡できるものから選択される。酸性pH条件下で有効な発泡剤としては、炭酸ナトリウムや炭酸カリウムなどの炭酸のアルカリ金属塩;炭酸水素ナトリウムや炭酸水素カリウム等の炭酸水素のアルカリ金属塩;セスキ炭酸ナトリウムを挙げることができる。好ましくは炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウムである。これらの発泡剤は1種単独で用いても、また2種以上を任意に組み合わせて用いることもできる。発泡剤の配合割合は、特に制限されないが、酸性部100重量部あたり1〜20重量部、好ましくは5〜10重量部の範囲を挙げることができる。
【0021】
当該酸性部には、義歯洗浄水をpH5以下、好ましくはpH3〜5の酸性pH域からpH6以上の中性〜アルカリpH域にするというpH変化の要求を損なわないことを限度として、上記成分に加えて他の任意成分を配合することができる。例えば、界面活性剤、キレート剤、酵素、着色料、香料、甘味料、脂肪酸糖エステルのような発泡安定剤、保存剤、抗菌・殺菌剤等の成分のほか、結合剤、滑沢剤、賦形剤及び崩壊剤等の製剤用の各種担体を挙げることができる。
【0022】
界面活性剤としては、例えば高級アルコール硫酸エステル塩やアルキルベンゼンスルホン酸塩等のアニオン系界面活性剤、ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤や多価アルコール型非イオン界面活性剤などのノニオン系界面活性剤、第4級アンモニア塩型カチオン界面活性剤や高級アミン塩型カチオン界面活性剤等のカチオン系界面活性剤、並びにアミノ酸型両生界面活性剤やベタイン型両生界面活性剤等の両性界面活性剤の別を問わず、通常義歯洗浄剤の成分として用いられる界面活性剤を広く用いることができる。
【0023】
当該界面活性剤を用いる場合、その配合割合としては酸性部100重量部あたり、0.5〜10重量部の範囲から適宜選択することができる。
【0024】
キレート剤は特に制限されず、例えばエチレンジアミン四酢酸又はそれらの塩、ポリリン酸またはその塩(例えばピロリン酸四ナトリウム、ピロリン酸二水素ナトリウム等)等といった通常義歯洗浄剤に用いられるものを広く利用することができる。かかるキレート剤によれば、カルシウムやマグネシウムなどの金属イオンを溶解状態に保つことで洗浄及び漂白効果を安定に維持することができ、また溶解された歯石が義歯に再付着することが防止できると期待される。キレート剤を用いる場合、その配合割合としては酸性部100重量部あたり、0.1〜10重量部の範囲から適宜選択することができる。
【0025】
酵素としては、酸性領域で使用できるものであればよく、プロテアーゼ、アルカラーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、グルカナーゼなどのなかから適宜選択使用される。
【0026】
使用される着色料としても特に制限されず、例えば青色や黄色等の各種タール系色素やブルーレーキやイエロータルタラジンレーキなどのレーキ色素等の合成色素や天然色素であることもできるが、本発明の義歯洗浄剤の溶解挙動に伴うpH変化に応じて色が変化するようなpH感受性色素を使用することもできる。
【0027】
香料としては、メントール、サリチル酸、カルボン等のほか、スペアミント、ペパーミント、ハッカ油などの各種の精油を挙げることができるが、特に制限されない。
【0028】
また本発明の製剤の積層化や複合化を容易にし、またキャッピングを防止するため、各成分には、0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%の割合で結合剤を配合することができる。かかる結合剤としては、ポリビニルピロリドン、ポリ(オキシエチレン)(分子量20,000〜500,000)、ポリエチレングルコール(分子量約1000〜50,000)、カーボワックス(分子量4,000〜20,000)、ノニオン界面活性剤、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ゼラチン、クレー、並びに乳糖、ソルビトール、グルコース、キシリトールなどの糖類を例示することができる。
【0029】
また打錠成型性を改善し、向上するために安息香酸ナトリウム、タルク及びステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤を配合することもでき、この配合割合としては、酸性部100重量部あたり0.1〜5重量部の範囲から適宜選択することができる。
【0030】
一方、本発明の義歯洗浄剤のアルカリ性部は、有効成分として過ホウ酸又は過炭酸塩の少なくとも1種と炭酸塩を含有することを特徴とする。
【0031】
ここで用いられる炭酸塩としては、無毒性の生理学上許容されるものであれば特に制限されず、炭酸ナトリウムや炭酸カリウムなどのアルカリ金属塩、炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩、炭酸アンモニウムといったアンモニウム塩などの各種炭酸塩;炭酸水素ナトリウムや炭酸水素カリウム等のアルカリ金属塩;炭酸水素カルシウムや炭酸水素マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩、炭酸水素アンモニウムといったアンモニウム塩などの各種炭酸水素塩;セスキ炭酸ナトリウムを挙げることができる。これらは無水物であってもよい。なお、これらの炭酸塩は1種単独で使用することもできるが、2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。好ましくは炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸又は炭酸水素のアルカリ金属塩であり、より好ましくは炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムである。
【0032】
アルカリ性部におけるこれらの炭酸塩の配合割合は、特に制限されないが、通常40〜65重量部であり、好ましくは45〜60重量部、より好ましくは50〜55重量部を挙げることができる。
【0033】
また、アルカリ性部に配合される過ホウ酸塩としては、上記と同様、無毒性の生理学上許容される酸塩であれば特に制限はされないが、過ホウ酸ナトリウムやカリウムなどの過ホウ酸のアルカリ金属塩、過ホウ酸アンモニウム塩、並びにこれらの水和物を例示することができる。好ましくは、過ホウ酸ナトリウムや過ホウ酸カリウム等の過ホウ酸塩である。またアルカリ性部に配合される過炭酸塩としては、過炭酸ナトリウムや過炭酸カリウムなどのアルカリ金属塩を好適に例示することができる。これらの過ホウ酸塩及び過炭酸塩は、1種単独で使用することもできるが、2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
【0034】
アルカリ性部におけるこれらの過ホウ酸塩または過炭酸塩の配合割合は、特に制限されないが、通常20〜40重量部であり、好ましくは25〜35重量部、より好ましくは27〜33重量部を挙げることができる。
【0035】
本発明においては、酸性成分の崩壊及び溶解に遅れてアルカリ性成分が崩壊ないしは溶解することが好ましく、このような崩壊乃至溶解挙動を一層好適なものとするには、アルカリ性部に上記の炭酸塩に代えて若しくはそれにさらに加えて、無水炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム又はヒドロキシ炭酸マグネシウムのような本質的に難溶解性もしくは遅溶解性であるアルカリ塩を使用することができる。
【0036】
また当該アルカリ性部にはさらに発泡剤を配合することもできる。当該発泡剤は無毒性の生理学上許容されるものであれば特に制限はされず、通常義歯洗浄剤に使用されるものを広く用いることができる。中性〜アルカリ性pH条件下で有効な発泡剤としては、例えば前記のような過ホウ酸、過硫酸、過炭酸又は過リン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、及びこれらの混合物が例示できる。これらの発泡剤は1種単独で用いても、また2種以上を任意に組み合わせて用いることもできる。
【0037】
これらの発泡剤の配合割合は、特に制限されないが、アルカリ性部100重量部あたり5〜50重量部、好ましくは10〜40重量部の範囲を挙げることができる。
【0038】
アルカリ性部には、酸性部と同様に義歯洗浄水に与えるpH変化に影響しないことを限度として、上記成分に加えて、例えば界面活性剤、キレート剤、酵素、着色料、香料、甘味料、脂肪酸糖エステルのような発泡安定剤、保存剤、抗菌・殺菌剤、金属腐食防止剤などの各種成分のほか、結合剤、滑沢剤、賦形剤、崩壊剤等の通常製剤化に必要とされる担体を配合することができる。
【0039】
本発明の義歯洗浄剤は、以上に説明する酸性部とアルカリ性部といったpHの異なる相を有するものである。
【0040】
かかる相は、本発明の義歯洗浄剤を水に加えた場合に、まず酸性成分が崩壊、溶解して、該水が酸性pH、好ましくはpH5以下、好ましくはpH3以下を示し、次いで酸性成分の溶解が終了するか若しくは溶解に伴って徐々にアルカリ性成分が崩壊、溶解して上記酸性pHをアルカリ性側にシフトさせて、洗浄液の液性を最終的にpH6以上(中性〜アルカリ性)にするように、構成配置される。
【0041】
具体的には、本発明の義歯洗浄剤は、例えばアルカリ性部からなる層の一面または両面に酸性部を積層被覆してなる2層又は3層構造の錠剤状製剤(複層製剤)、アルカリ性部を核としその外側表面を酸性部で被覆してなる有核構造の錠剤状製剤又は丸剤などの粒状製剤、アルカリ性部を内層としその周辺を酸性部で積層被覆してなるドーナツ形状の錠剤状製剤、又はアルカリ性部を顆粒状態に調製して該顆粒を酸性部内部に分散させてなる粒状または錠剤状製剤、等の各種の製剤形態に調製することができる。
【0042】
なお、これらの製剤の調製方法は特に制限されず、製剤一般に使用される錠剤(複層錠剤、有核剤)や粒剤(丸剤)等の製造方法に従って行うことができる。
【0043】
本発明の義歯洗浄剤において酸性部とアルカリ性部との配合割合は、通常約1:1〜約4:1、好ましくは約1.5:1〜約2.5:1の範囲を例示できる。
【0044】
【発明の効果】
本発明の義歯洗浄剤は、義歯の汚れ、特に歯石の洗浄除去効果に優れている上、各種の樹脂や金属など、義歯素材に悪影響を与えることがない点で有利に使用することができる。
【0045】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、本発明は当該実施例に何ら限定されるものではない。また特に言及しない限り、%は重量%を意味する。
実施例1
下記の組成からなるアルカリ性成分を内核とし、その表面全てを下記組成からなる酸性成分で被覆してなる有核錠剤を調製した。
【0046】
具体的には、まず上記アルカリ性成分の各成分を混合して(1重量部)径20φの錠剤型に成形した。次いで径30φの金型に酸性成分の各成分を混合した組成物(2重量部)の1/3を投入し、先に成形したアルカリ性成分を金型中央部に配し、その周囲に残りの酸性成分2/3を投入して、最終打錠成形することによって、アルカリ性成分(1重量部)を内核として、酸性成分(2重量部)を外層とする有核形態の錠剤(3g)を調製した。
【0047】
当該錠剤を容器にいれた水200ml(25℃、初期pH6.17)内に添加し、該錠剤の崩壊及び溶解挙動を観察するとともに、該溶液のpH挙動を経時的に測定した。
【0048】
pH挙動の結果を図1に示す。本発明の義歯洗浄剤は、5時間で完全に崩壊、溶解し、最終水溶液のpHは約7を示した。義歯洗浄剤の添加による水溶液のpH挙動は図1に示すように、添加後5〜10分には酸性成分の溶解によってpHがpH2.5程度まで低下したが、酸性成分の溶解に引き続いてアルカリ性成分が溶解しだすに伴って添加後20分後にはpHは5まで上昇し、徐々に上昇しながら5時間後にはpH約7に達した。また、酸性成分及びアルカリ性成分の溶解に伴って、炭酸水素ナトリウムから生じる気泡が義歯洗浄液に乱流を与えることが観察され、これが歯石除去作用を補助すると考えられた。
【0049】
実施例2
上記実施例1において、酸性成分中の無水クエン酸を全てリンゴ酸(dl-リンゴ酸)に代える以外は、実施例1と同様にして二層形態の錠剤(3g)を調製した。
【0050】
実施例3
下記の組成からなるアルカリ性成分を打錠成形(一層)し、その層表面に下記組成からなる酸性成分を積層打錠して、2層錠剤を調製した。
【0051】
具体的には、アルカリ性成分を径30φの金型にいれ、打錠機を予圧段階にて圧縮成形し、次いで酸性成分を金型に入れ、最終打錠成形することによって、アルカリ性成分(1重量部)からなる層に酸性成分(2重量部)からなる層が積層されてなる二層形態の錠剤(2.85g)を調製した。
【0052】
当該錠剤を容器にいれた水200ml(25℃、初期pH6.9)内に添加し、該錠剤の崩壊及び溶解挙動を観察するとともに、該溶液のpH挙動を経時的に測定した。
【0053】
pH挙動の結果を図2に示す。本発明の義歯洗浄剤は5時間で完全に崩壊、溶解し、最終水溶液のpHは約7を示した。義歯洗浄剤の添加による水溶液のpH挙動は図2に示すように、添加後1〜5分には酸性成分の溶解によってpHが3.5程度まで低下したが、次いで酸性成分の溶解に引き続いてアルカリ性成分が溶解しだすに伴って添加15分後にはpHは5まで上昇し、さらに徐々に上昇しながら6時間後には約pH7に達した。また、酸性成分及びアルカリ性成分の溶解に伴って、炭酸水素ナトリウムから生じる気泡が義歯洗浄液に乱流を与え、これによって酸性成分による歯石除去作用を補助するとともに、除去された歯石成分の義歯への再付着が予防できることが示唆された。
【0054】
実験例1
実施例3で調製した本発明の固形剤を義歯洗浄剤として用いて、その歯石除去効果について検討した。なお、歯石付着義歯検体として、リン酸三カルシウム(擬似歯石)を用いた。
【0055】
具体的に実験は200mlの水(25℃)の入った容器に実施例3の2層錠剤を添加後、直ちに上記歯石付着義歯検体を内部で錠剤に接触しないようにフィルターを介して入れて放置し、6時間後に洗浄液中に溶解したリン酸三カルシウムの量を定量することによって擬似歯石の除去効果を調べた。尚、比較対照実験として、実施例3の錠剤を入れずにただの水(水道水)に上記歯石付着義歯検体を入れて放置した場合(対照例)、及び実施例3のアルカリ性成分と酸性成分を混合して1層錠剤としたものを用いて同様にして処理した場合(比較例)についてそれぞれ歯石除去効果を調べた。
【0056】
結果を図3に示す。なお、図3は水道水による歯石除去効果を100とした場合(対照例)の、各錠剤の除去効果を示すものである。この結果から、本発明の錠剤は、有意に歯石を除去する効果に優れていることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で調製された有核錠の義歯洗浄剤を水に配合して調製される義歯洗浄水のpH挙動を示す図である。
【図2】実施例3で調製された二層錠の義歯洗浄剤を水に配合して調製される義歯洗浄水のpH挙動を示す図である。
【図3】実験例1において、実施例3で調製した義歯洗浄剤の歯石除去効果をみた結果を示す図である。尚、各洗浄剤(本発明の二層錠、比較例の一層錠)の歯石除去効果は、水道水による歯石除去効果(対照例)を100とした場合の相対割合で示す。
Claims (6)
- 酸、過硫酸塩、並びに
硫酸カリウム、塩化ナトリウム及び硫酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種の中性の塩類
を含有する酸性速溶部と、過ホウ酸塩又は過炭酸塩の少なくとも1種と炭酸塩を含有するアルカリ性徐溶部を有する粒状もしくは錠剤状の義歯洗浄剤であって、義歯洗浄水に配合されて該水のpHを5以下に調整後、終局的にpHを6〜7に調整できる義歯洗浄剤。 - 中性の塩類が酸性部100重量部あたり1〜30重量部配合されてなる請求項1に記載の義歯洗浄剤。
- 酸性速溶部が、酸性速溶部100重量部あたり酸を5〜40重量部、過硫酸塩を5〜50重量部の割合で含有するものである請求項1又は2記載の義歯洗浄剤。
- アルカリ性徐溶部が、アルカリ性徐溶部100重量部あたり炭酸塩を40〜65重量部、過ホウ酸塩又は過炭酸塩の少なくとも1種を20〜40重量部の割合で含有するものである請求項1乃至3のいずれかに記載の義歯洗浄剤。
- 酸性速溶部とアルカリ性徐溶部を1:1〜4:1(重量比)の割合で含有する請求項1乃至4のいずれかに記載する義歯洗浄剤。
- アルカリ性徐溶部を核としてその周囲を酸性速溶部が被覆してなる有核剤であるか、またはアルカリ性徐溶部と酸性速溶部とが積層されてなる複層剤である、請求項1乃至5のいずれかに記載の義歯洗浄剤。
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