JP2621246B2 - 義歯洗浄剤組成物 - Google Patents

義歯洗浄剤組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、中性条件下においても短時間で洗浄剤溶液
の色調が変化して、使用者に適正な洗浄終了時間を知ら
しめる義歯洗浄剤組成物に関する。
従来の技術及び発明が解決しようとする問題点 義歯の汚れは、コーヒー、紅茶、煙草等に起因する着
色物の他に、口腔内における微生物の繁殖に由来する汚
れも多いことが知られている。これら義歯の汚れを除去
するため、漂白殺菌作用を有する各種洗浄剤が使用され
ている。この場合、義歯の洗浄時間は汚れの程度によっ
て異なるが、義歯の汚れが軽い場合は、通常5〜60分位
で洗浄剤の殺菌、汚染物の除去効果が十分に発揮されて
洗浄が終了する。
そこで、この洗浄終了時間を使用者に明瞭に知らせる
ことができるようにタール色素を配合した義歯洗浄剤が
提案されている(特開昭62−41644号)。この義歯洗浄
剤は、水に溶解してpH8以上で使用するものであり、こ
のような弱アルカリ性から強アルカリ性の条件下でター
ル色素が洗浄剤成分中の過酸化物の有する酸化作用によ
り分解し、洗浄剤溶液が変色あるいは消色することを利
用して、洗浄の終了を知らせるものである。
一方、近年、義歯洗浄剤においても使用感の良好な製
品が望まれるようになってきた。
しかし、現在繁用されている義歯洗浄剤のほとんどが
アルカリ性洗浄剤であり、水に溶解して使用する際、手
がヌルヌルして不快感を与え、使用感に劣るものが多
い。 また、このようなアルカリ性洗浄剤溶液のヌルツ
キを改善するために洗浄剤溶液のpHを中性領域にする
と、上記タール色素を配合した洗浄剤においてはタール
色素の酸化が起こり難くなり、色変化に3〜5時間とい
う長時間を要するようになって、特に5〜60分程度で洗
浄除去され得る汚れの軽い義歯を洗浄する場合には、そ
の洗浄終了時間を使用者に明確に知らせることが困難と
なる。
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、軽い汚れの
義歯を中性領域で洗浄する場合においてもその洗浄終了
時間を適確に使用者に知らせると共に、中性領域で使用
可能であるため、ヌルツキを防止して使用感を向上させ
ることができる義歯洗浄剤組成物を提供することを目的
とする。
問題点を解決するための手段及び作用 本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重
ねた結果、水溶性天然色素であるラッカイン酸が過酸化
物系の酸化剤の存在下、中性領域の溶液中においても酸
化分解して5〜60分間程度の短時間で溶液の色調が赤色
から無色に変色すること、従って、ラッカイン酸が中性
の義歯洗浄剤溶液の洗浄終了を知らせるインジケーター
として非常に有効で、ラッカイン酸を酸化剤とともに用
いた義歯洗浄剤組成物を水に溶解したときに中性領域に
なるように調製しても、該溶液が短時間に変色して、比
較的汚れの軽い義歯を洗浄する場合にも使用者に義歯の
洗浄終了時間を適確に知らせ得ると共に、このように洗
浄剤組成物を水に溶解したときにそのpHを中性領域とす
ることができるので、使用時にヌルツキがなく良好な使
用感を与えることができることを知見し、本発明をなす
に至った。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明に係る義歯洗浄剤組成物は、ラッカイン酸と酸
化剤とを含有してなるもので、通常、粉末、顆粒、錠剤
等の固体の形態に形成され、使用時に水に溶解させて使
用する。
ここで、本発明の義歯洗浄剤組成物にインジケーター
として配合するラッカイン酸は、下記式(1) で示される天然アントラキノン誘導体の一種であり、タ
イやインド地方に産する昆虫のラックカイガラ虫の雌か
ら抽出され、天然の赤色系色素としてジャム,トマト加
工品や製餡等の着色料として使われているものである。
ラッカイン酸の配合量は特に制限されないが、義歯洗
浄剤組成物の全成分量に対して30ppm〜0.2重量%、特に
50ppm〜0.1重量%とすることが好ましい。ラッカイン酸
の配合量が30ppmより少ないと、使用時において洗浄剤
溶液の着色が薄く、溶液の変色が不鮮明になる場合があ
り、0.2重量%より多いと洗浄剤溶液の着色が濃くなり
過ぎて不快感を与えると共に、溶液が変色するのに通常
温度の条件下で長時間を要する場合がある。
また、本発明組成物には、必要に応じて上記ラッカイ
ン酸と共にその他の色素、例えばフロキシン,アシッド
レッド,ブリリアントブルー,タートラジン、ウラニン
等のタール色素などを併用配合することができる。
また、本発明組成物に使用される酸化剤としては、酸
化作用を有するものであれば特に制限されないが、酸素
系漂白剤や塩素系漂白剤として利用される化合物が好適
に使用される。酸化剤として具体的には、過炭酸ナトリ
ウム,過酸化ナトリウム,過硫酸ナトリウム,モノ過硫
酸水素カリウム(デュポン社製、商品名オキソン),過
ホウ酸ナトリウム等の酸素系漂白剤や、次亜塩素酸ナト
リウム,ジまたはトリクロロシアヌル酸ナトリウム等の
塩素系漂白剤が例示され、中でも酸素系漂白剤として利
用される各種過酸化物系の酸化剤を用いることが好まし
い。なお、これら酸化剤は1種を単独で用いても2種以
上を併用配合してもよい。
この場合、酸化剤の配合量は別に限定されず、組成物
の剤型などに応じて適宜設定され、例えば本発明組成物
を錠剤に形成する場合には、賦形剤の十分量を配合でき
るように酸化剤の配合量を調製するなどのことができる
が、酸化剤量は通常、組成物の全成分量に対して10〜90
重量%、特に25〜60重量%とすることができる。ここ
で、本発明組成物においては、上記ラッカイン酸の配合
量に応じて酸化剤の配合量を適宜調整することにより、
洗浄剤溶液の変色時間を容易に調節することができる
が、ラッカイン酸の酸化剤との混合比は重量比で1:250
〜1:10,000とすることが好ましい。このようにラッカイ
ン酸と酸化剤との配合量を調節することにより、洗浄剤
溶液の変色時間を5〜60分程度の短時間の範囲に確実に
調節することができる。
本発明の義歯洗浄剤には、上述した成分に加えて、更
に必要により、アルカリ化剤、中和剤、界面活性剤、結
合剤、崩壊促進剤、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、イ
ヌラーゼ、アルカリプロテアーゼ、β−1,3−D−グル
カナーゼ等の酸素、香料等、義歯洗浄剤に通常用いられ
る成分を配合することができる。特に、炭酸水素ナトリ
ウム,炭酸ナトリウム,炭酸水素カリウム等の炭酸塩や
無水クエン酸,コハク酸,リンゴ酸等の酸剤を使用する
と溶解時に発泡し、その泡により対流が生じ、洗浄剤の
溶解を促進することができる。
本発明に係る義歯洗浄剤組成物は、通常固体の形態に
調製され、使用に当っては10〜50倍重量程度の水に溶解
し、水溶液温度を常温、特に20〜40℃程度に保って使用
する。
この際、洗浄剤溶液のpHは特に制限されないが、本発
明においてはpHが中性領域であっても洗浄剤溶液の変色
が短時間で起こり得るので、洗浄剤溶液のpHを使用感の
点から5.5〜7.5、特に6前後の中性領域とすることが好
ましい。
発明の効果 以上説明したように、本発明の義歯洗浄剤組成物は、
洗浄剤溶液のpHの中性領域であっても溶液の色調が短時
間で変色し、比較的汚れの軽い義歯を洗浄する際に使用
者に義歯の洗浄終了時間を適確に知らせることができ、
加えて、この洗浄剤溶液のpHを中性領域にすることがで
きるので、使用時にヌルツキのない良好な使用感を使用
者に与えることができる。
次に実験例を示す。
〔実験例〕
常法に従って、下記成分を100mlの水に溶解して義歯
洗浄剤組成物(pH6.0)を調製した。
義歯洗浄剤成分 ラッカイン酸 第1表に示す配合量 モノ過硫酸水素カリウム 1.2g 炭酸水素ナトリウム 0.2g この溶液を25℃に保ち、目視により変色(赤色→無
色)に要する時間を測定した。
結果を第1表に示す。
第1表の結果より、本発明に係る義歯洗浄剤溶液は、
短時間で容易に変色し、しかもその変色時間はラッカイ
ン酸の配合量を適宜変えることで容易に調製し得ること
が確認された。
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明する
が、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
〔実施例1〜8〕 第2表に示す処方の義歯洗浄剤(粉又は顆粒状、錠
剤)を調製した。なお、錠剤については各成分を均一に
混合した後、8トンの打錠圧で直径25mmの錠剤に成形し
た。
次いで、この義歯洗浄剤1包又は1錠(いずれも3.0
g)を第2表に示す温度の水150mlに溶解して洗浄剤溶液
とし、この洗浄剤溶液の変色に要する時間を目視で測定
した。
結果を第2表に示す。
第2表の結果より、本発明品は、短時間で色調が変化
することが確認された。
また、本発明品を溶解した洗浄剤溶液はいずれもヌル
ツキがなく、良好な使用感であった。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ラッカイン酸と酸化剤とを配合してなるこ
    とを特徴とする義歯洗浄剤組成物。
  2. 【請求項2】水に溶解してpH5.5〜7.5を示す特許請求の
    範囲第1項記載の義歯洗浄剤組成物。
  3. 【請求項3】酸化剤が過酸化物系の酸化剤である特許請
    求の範囲第1項又は第2項記載の義歯洗浄剤組成物。
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