JP4538198B2 - ハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末およびその二酸化チタン粉末を使用したハニカム状排ガス処理触媒 - Google Patents

ハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末およびその二酸化チタン粉末を使用したハニカム状排ガス処理触媒 Download PDF

Info

Publication number
JP4538198B2
JP4538198B2 JP2003102306A JP2003102306A JP4538198B2 JP 4538198 B2 JP4538198 B2 JP 4538198B2 JP 2003102306 A JP2003102306 A JP 2003102306A JP 2003102306 A JP2003102306 A JP 2003102306A JP 4538198 B2 JP4538198 B2 JP 4538198B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
titanium dioxide
honeycomb
exhaust gas
gas treatment
treatment catalyst
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2003102306A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004000943A (ja
Inventor
健太郎 足立
盛男 福田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JGC Catalysts and Chemicals Ltd
Original Assignee
JGC Catalysts and Chemicals Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JGC Catalysts and Chemicals Ltd filed Critical JGC Catalysts and Chemicals Ltd
Priority to JP2003102306A priority Critical patent/JP4538198B2/ja
Publication of JP2004000943A publication Critical patent/JP2004000943A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4538198B2 publication Critical patent/JP4538198B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
  • Exhaust Gas Treatment By Means Of Catalyst (AREA)
  • Catalysts (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末及びその二酸化チタン粉末を使用したハニカム状排ガス処理触媒に関するものであり、更に詳しくは、重油や石炭焚きボイラ、火力発電所、製鉄所などをはじめ各種工場の燃焼炉やゴミ焼却炉などから排出される排ガス中に含有される窒素酸化物や有機ハロゲン化合物、さらには、アンモニア、硫化カルボニル、揮発性有機化合物などを高効率で除去する二酸化チタン(以下、酸化チタンということがある)および/またはチタン複合酸化物からなるハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末及びその二酸化チタン粉末を使用したハニカム状排ガス処理触媒に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
火力発電所、製鉄所などをはじめ各種工場の燃焼炉や都市ゴミ、産業廃棄物などを処理する焼却炉などから排出される燃焼排ガス中には窒素酸化物や有機ハロゲン化合物など各種の有害物質が含有されているが、なかでも、窒素酸化物は光化学スモッグの原因物質であるため、また、ダイオキシンなど有機ハロゲン化合物は毒性が強いため、その除去は特に重要である。
【0003】
燃焼排ガス中の窒素酸化物の除去方法としては、各種の方法が知られているが、触媒によるアンモニア選択還元方式(SCR)が主流で、これに用いられる触媒としては、酸化チタン担体に酸化タングステン、酸化バナジウムなどの活性成分を担持した触媒が主流である。例えば、特許文献1には、アナターゼ構造のチタニアを主成分とし、これに活性成分としてバナジウム化合物、またはその他にモリブデン化合物とタングステン化合物のうち一つ以上を担持させた脱硝触媒の製造方法において、チタニア担体中のアナターゼの一部をルチル化させ、高比表面積であるアナターゼにルチル粒子を分散させることにより、粉末X線回折法によるルチル/アナターゼのピークの積分強度比が0.001〜0.05の範囲で、かつ触媒の比表面積が30m/g以上になるように焼成すると脱硝活性が高い脱硝触媒が得られることが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、脱硝などの用途において優れた触媒活性を示す多孔質チタニアとして、アナターゼ型の結晶構造を有し、その結晶子径が3nm〜10nm、アナターゼ結晶化率が60%以上、BET比表面積が10m/g以上、全細孔容積が0.05cm/g以上、1nm以上の細孔半径を有する細孔の容積が0.02cm/g以上であることを特徴とする多孔質チタニアが開示されている。
【0005】
特許文献3には、排ガス処理用触媒および排ガス処理方法が提案されているが、該公報には、アモルファス相の酸化チタンを含有する排ガス処理用触媒において、粉末X線回折の2θ=24.7°〜25.7°の間に存在するアナタース結晶を示すピークの強度が、基準物質である5重量%V−95重量%TiO(ミレニアム社製酸化チタンDT−51)の粉末X線回折の2θ=24.7°〜25.7°の間に存在するアナタース結晶を示すピークの強度の75%以下であることを特徴とする排ガス処理用触媒が開示されており、アナタース結晶を示すピークの強度が小さければ小さいほど、アナタース型の酸化チタンの割合が少なく、アモルファス相の酸化チタンの割合が多い傾向にあり、ダイオキシン類などの毒性有機ハロゲン化合物の分解活性や脱硝活性が高いことが記載されている。
【0006】
前述のように、従来、酸化チタン担体に酸化タングステン、酸化バナジウムなどの活性成分を担持した脱硝触媒に於いて、脱硝活性はアナターゼ型二酸化チタン結晶の結晶化度の高い方が高活性であるという説と、該結晶化度の低い方が高活性であるという説があり、アナターゼ型二酸化チタン結晶の結晶化度と脱硝活性との関係は明らかになっていなかった。
【0007】
一方、排ガス処理触媒の形状は、ハニカム状、円柱状、球状、板状などが挙げられるが、工業的に使用される触媒としては触媒層でダストが堆積、目詰まりしにくいハニカム形状が適している。ハニカム形状の触媒を製造する方法としては、(a)担体成分をハニカム形状に押出成形した後、活性成分を含浸・担持する方法、または、担体成分と活性成分を成形助材等と共に混練してハニカム形状に押出成形する方法、(b)ハニカム形状の基材上に担体成分および活性成分を含浸・担持する方法などが知られている。(a)方法の触媒はソリッドタイプの触媒と言われており脱硝活性が高いので、現在、主流となっている。
【0008】
従来、発電所等のボイラー排ガス量は、一基当たり100,000〜2,000,000Nm/hrと非常に多いため、該排ガスを処理するために使用される触媒量が増加するという問題があった。この問題を解決するために、排ガス中のダストが少ないガス焚き用の触媒においてはハニカム状触媒の単位体積当たりの幾何学的表面積を増加させ窒素酸化物などの除去効率を高めるためにハニカム構造体の隔壁厚さを薄くし貫通孔の数を増加させた触媒が要求されるようになって来た。しかしながら、酸化チタンおよび/またはチタン複合酸化物の粉末を主成分とするハニカム状排ガス処理触媒用原料は成形性が悪く、前記隔壁厚さが薄く貫通孔の数が増加したハニカム構造体を押出成形することは困難であった。
また、石炭焚きボイラー排ガス中には、硬いガラス状のダストが10〜25g/Nm程度含まれており、さらに、脱硝反応装置内の排ガスの流速が極めて速いために、触媒の摩耗による減少が多くなるという問題があり、高い耐摩耗強度を有するハニカム状排ガス処理触媒が求められていた。
【0009】
【特許文献1】
特開平8−281103号公報
【特許文献2】
特開2001―114519号公報
【特許文献3】
特開2001−113169号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述の実情に鑑みなされたものであり、その目的は、ハニカムの隔壁厚さが薄く貫通孔の数が増加したハニカム構造体の押出成形性に優れた二酸化チタンおよび/またはチタン複合酸化物の粉末からなるハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末およびその二酸化チタン粉末を使用した高脱硝活性を有する触媒や有機ハロゲン化合物の高分解活性を有する触媒を提供することにある。さらには、ダストを多く含む石炭焚きボイラー排ガス処理などに使用して、高い耐摩耗強度を有するハニカム状排ガス処理触媒を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、種々検討を重ねた結果、二酸化チタン担体に酸化タングステン、酸化バナジウムなどの活性成分を担持した脱硝触媒などの排ガス処理触媒に於いて、ハニカム状排ガス処理触媒の原料であるアナターゼ型二酸化チタンの結晶度が低い方が窒素酸化物除去性能などは高くなるが、一方、ハニカム構造体の押出成形性はアナターゼ型二酸化チタンの結晶度が低くなると悪くなり、逆に、アナターゼ型二酸化チタンの結晶度が高い方が押出成形性が良いことを見出して、脱硝活性面とハニカム構造体の押出成形性面の両面から見てアナターゼ型二酸化チタン結晶度に最適な範囲が存在すること、更に、原料の二酸化チタンに含有される硫酸根(SO)の量、二酸化チタンの結晶子径の大きさ、二酸化チタン粉末の粒径分布により触媒の押出成形性、耐摩耗強度が影響されるを見出し本発明を完成するに至った。
【0012】
本発明の第1は、二酸化チタンおよび/またはチタン複合酸化物(本発明でいうチタン複合酸化物とはチタニウム以外の無機酸化物を含有する二酸化チタンを指す)からなるハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末であって、下記
(a)粉末X線回折法で測定したアナターゼ型二酸化チタン結晶の(101)面の二酸化チタン粉末の基準試料に対するピーク強度比が下記式(1)
【数2】
0.59≦X/Y≦1.20 (1)
〔ここで、Yは、純粋なアナターゼ型二酸化チタン(関東化学製:試薬鹿1級)0.300gと純粋な酸化ニッケル(和光純薬製:試薬1級)1.700gをメノウ乳鉢で粉砕混合した基準試料のアナターゼ型二酸化チタン結晶の(101)面のピーク強度(mm)であり、Xは、ハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末のアナターゼ型二酸化チタン結晶の(101)面のピーク強度(mm)である〕
で表される範囲にある、
(b)アナターゼ型結晶(101)面の結晶子径が8〜22nmの範囲にある、
(c)硫酸根(SO)を0.3〜5.0重量%の範囲で含有する、
の性状を有することを特徴とするハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末に関する。
本発明の第2は、前記チタン複合酸化物がケイ素、タングステン、モリブデン、ジルコニウムから選ばれた少なくとも一種の元素とチタンとの複合酸化物であることを特徴とする請求項1記載のハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末に関する。
本発明の第3は、前記二酸化チタン粉末は99.9重量%以上が45μm以下の粒子径であることを特徴とする請求項1または2記載のハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末に関する。
本発明の第4は、請求項1、2または3記載のハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末を60重量%以上含有することを特徴とするハニカム状排ガス処理触媒に関する。
本発明の第5は、前記ハニカム状排ガス処理触媒が、下記(i)〜(v)の形状を有するハニカム構造体であることを特徴とする請求項4記載のハニカム状排ガス処理触媒に関する。
(i)ハニカムの外径が30〜300mm、
(ii)ハニカムの長さが100〜3000mm、
(iii)ハニカムの貫通孔が1〜15mm、
(iv)ハニカムの隔壁厚が0.1〜2mm、
(v)ハニカムの開口率が60〜85%
本発明の第6は、前記ハニカム状排ガス処理触媒が窒素酸化物除去触媒であることを特徴とする請求項4または5記載のハニカム状排ガス処理触媒に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について、詳細に説明する。
【0014】
本発明におけるハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン(TiO)またはチタン複合酸化物の粉末は、アナターゼ型の結晶構造を有するものであり、とくに前記チタン複合酸化物は、ハニカム状排ガス処理触媒用の二酸化チタン粉末以外に、例えば、ケイ素(Si)、ジルコニウム(Zr)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、銅(Cu)、スズ(Sn)、バリウム(Ba)、セリウム(Ce)などのチタニウム(以下チタンという)以外の元素よりなる無機酸化物を1種以上含有する二酸化チタンと前記無機酸化物よりなる化合物またはその混合物であり、この複合酸化物中の二酸化チタンはアナターゼ型の結晶構造を有する。特に、二酸化チタンおよびシリカ(TiO−SiO)、二酸化チタンおよび酸化タングステン(TiO−WO)、二酸化チタンおよび酸化モリブデン(TiO−MoO)、二酸化チタンおよびジルコニア(TiO−ZrO)のいわゆる二元系複合酸化物、また二酸化チタンと酸化タングステンおよびシリカ(TiO−WO−SiO)、二酸化チタンと酸化モリブデンおよびシリカ(TiO−MoO−SiO)の三元系複合酸化物は、TiOにSiO、WO、MoOが高分散した構造を有し加熱焼成による結晶化の進行やルチル型TiOへの転移を抑制する性質を有するので好適である。
チタン以外の無機酸化物の含有量は、二酸化チタンの量よりも少ないことが好ましく、0.5〜40重量%の範囲にあることが望ましい。チタン以外の無機酸化物の含有量が二酸化チタンの量よりも多くなると排ガス処理触媒、特に窒素酸化物除去触媒の酸化チタン担体としての優れた効果が得られないことがある。
【0015】
一般に、ピーク強度の高い二酸化チタンおよび/またはチタン複合酸化物は、押出成形に際しての捏和の段階でニーダーなどによる湿式下での混練による機械的負荷が加わると凝集した二酸化チタンの二次粒子が解膠されて適度な可塑性および流動性を呈するため、押出成形がし易いものとなる。また、二酸化チタン二次粒子の解膠は、粒子間隙が二酸化チタン一次粒子で充填されるため、成形されたハニカム状触媒の機械強度も極めて高いものとなる。
ところが、二酸化チタン二次粒子の解膠は、粒子間隙が二酸化チタン一次粒子で充填されるため細孔容積が小さくなるので細孔内のガス拡散効率が低下し、窒素酸化物除去性能などが低下する。さらには、ピーク強度の高い二酸化チタンおよび/またはチタン複合酸化物は、結晶化が進行しているため結晶子径が大きく比表面積も低下し、担持されたVなどの活性金属の凝集が起こり窒素酸化物除去性能などの低下をもたらす。
【0016】
これに反し、ピーク強度の低い二酸化チタンおよび/またはチタン複合酸化物は、押出成形の段階で捏和物が脱水固化する現象などが生じて流動性が悪くなるため、押出成形が著しく難しいものとなる。
しかし、ピーク強度の低い二酸化チタンおよび/またはチタン複合酸化物は、押出成形に際しての捏和の段階でニーダーなどによる湿式下での混練による機械的負荷による凝集した二酸化チタンの二次粒子の解膠される割合が小さいために粒子間隙の細孔容積の減少が小さく細孔内のガス拡散効率の低下が少なく、高い窒素酸化物除去性能などを示す。さらには、ピーク強度の低い二酸化チタンおよび/またはチタン複合酸化物は、結晶化が進行していないので結晶子径が小さく比表面積も大きいため、担持されたVなどの活性金属は高分散しているので高い窒素酸化物除去性能などをもたらす。
【0017】
本発明においては、ハニカム状排ガス処理触媒の製造原料として好適な二酸化チタン粉末とはどのようなものであるかを追求した結果、粉末X線回折法で測定した結晶の(h、k、l)面、すなわち(101)面における原料二酸化チタン粉末(チタン複合酸化物の場合でも、そこに存在する二酸化チタンを測定の対象とするものである)の結晶が示すピーク強度(ピークハイト)Xと基準試料の結晶が示すピーク強度(ピークハイト)Yとの比がある一定の範囲にあることが重要であることを見出したものである。すなわち、
【数3】
0.59≦X/Y≦1.20 (1)
を満足するということが本発明の1つの特徴である。
【0018】
本発明での粉末X線回折法のアナターゼ型二酸化チタン結晶度の基準は、純粋なアナターゼ型二酸化チタン(関東化学製:試薬鹿1級、純粋なものであれば、当然この商品に限るものではなく、この商品は1つの目安である)0.300gと純粋な酸化ニッケル(和光純薬製:試薬1級、純粋な酸化ニッケルであれば当然この商品に限るものではなく、この商品は1つの目安である)1.700gをメノウ乳鉢で粉砕混合した基準試料のアナターゼ型二酸化チタン結晶の(101)面のピーク強度(以下、ピークハイトという)Y(mm)で表される。
なお、該基準試料を粉末X線回折装置(理学電機社製:RAD−2C)を使用して、Cu管球、フィルターNi、電圧30KV、電流15mA、走査速度1.000°/min、フルスケール1000cpsの測定条件で測定したアナターゼ型二酸化チタン結晶の(101)面のピークハイトは図1に示すとおりである。本装置での実測データにおいては、(101)面のピークは2θ=25.280〔°〕のピークに相当しており、ピークハイトを定規で実測した高さは151mmであった。純粋なアナターゼ型二酸化チタン(関東化学製:試薬鹿1級)だけを測定した実測データにおいては、2θ=25.280〔°〕のピークに相当するピークハイトを定規で実測した高さは421mmであった。従って、本発明での基準資料は、純粋なアナターゼ型二酸化チタン結晶の(101)面のピーク強度に対して35.87%〔(151÷421)×100〕のピーク強度に相当する。このピークハイトの数値は測定条件や測定装置が変わることによって変化する数値であるが、式(1)は対象物と基準物のそれぞれのピークハイトの比に関する式であるから、何の問題もない。
【0019】
本発明におけるピークハイト比を規定する方法では、該基準試料を設けることにより、粉末X線回折装置や測定条件などの影響を受けることなく原料のアナターゼ型二酸化チタン結晶の(101)面のピークハイト(mm)をもって触媒原料の二酸化チタン粉末を管理することができる。
【0020】
前述の二酸化チタンおよび/またはチタン以外の無機酸化物を含有する二酸化チタンにおけるアナターゼ型二酸化チタン結晶の(101)面の二酸化チタン粉末の基準試料に対するピークハイト比が0.59未満の場合には、ハニカム構造体の押出成形が極めて困難であり、かつハニカム状触媒の機械強度が著しく低下する。また、該ピークハイト比が1.20より大きい場合には、脱硝性能などの触媒活性が低下する。
【0021】
本発明では、前述のハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末が二酸化チタンだけの(チタン複合酸化物でない)場合には、前述のピークハイト比は下記式(2)で表される範囲にあることが望ましい。
【数4】
0.80≦X/Y≦1.20 (2)
【0022】
また、前述のハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末がチタン以外の無機酸化物を含有する二酸化チタン(チタン複合酸化物)である場合には、前述のピークハイト比は好ましくは下記式(3)で表される範囲にあることが望ましい。複合酸化物の場合、まずチタニア以外の金属酸化物が存在することでチタニアが希釈されそれ自体でピークハイトが低下し、また、ケイ素やタングステンなどがチタニア結晶構造中に固溶するため、チタニア単独と比較して熱履歴に対し結晶成長が抑制されやすい。そのため成形性、性能が共に良いチタン複合酸化物粉末の前述のピークハイト比は二酸化チタンだけの(チタン複合酸化物でない)場合と比較し低くなる。
【数5】
0.59≦X/Y≦1.06 (3)
【0023】
前述の二酸化チタンおよび/またはチタン複合酸化物の粉末X線回折法で測定したアナターゼ型二酸化チタン結晶の(101)面のピークハイトX(mm)には、二酸化チタンおよび/またはチタン複合酸化物中に含まれる不純物としての硫酸根(SO)やアルカリ(NaO)量あるいは複合酸化物を構成する物質の種類や量、焼成温度や焼成雰囲気、焼成時間などが相互に作用して影響する。本発明の二酸化チタンおよび/またはチタン以外の無機酸化物を含有する二酸化チタンからなるハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末は、前述のピークハイトX(mm)に影響を及ぼす因子を考慮して、前述のピークハイト比が式(1)を満足するように焼成することで得られる。
【0024】
また、本発明のハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末は、アナターゼ型結晶(101)面の結晶子径が8〜22nmの範囲にあることをもう1つの特徴とするものである。なお、該結晶子径はシェラー(Scherrer)の式から求めた値である。一般に、純粋な二酸化チタンの結晶子径の大きさとX線回折図のピークハイトとは相関関係にあるが、硫酸根などの不純物やチタン以外の無機酸化物を含有する二酸化チタンでは、X線回折図のピークハイトが同じであっても結晶子径の大きさは異なり、また、含有される無機酸化物の種類、量によっても異なる。従って、本発明のハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末を前述のピークハイト比だけで規定するのは十分ではない。該結晶子径が8nmより小さい場合には、二酸化チタン粉末の捏和物をハニカム構造体に押出成形する際に脱水現象が生じて押出成形性が悪くなり、隔壁厚さの薄いハニカム構造体が得られない。また、該結晶子径が22nmより大きい場合には脱硝性能など触媒活性が低下するので好ましくない。
【0025】
本発明では、前述のハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末が二酸化チタンだけの(チタン複合酸化物でない)場合には、該結晶子径は好ましくは15〜22nmの範囲にあることが望ましく、また、該二酸化チタン粉末がチタン以外の無機酸化物を含有する二酸化チタン(チタン複合酸化物)である場合には、該結晶子径は好ましくは10〜19nmの範囲にあることが望ましい。
【0026】
さらに、本発明のハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末は、硫酸根(SO)をチタン粉末中に乾燥基準でSOとして0.3〜5.0重量%の範囲で含有することを特徴とする。硫酸根(SO)の含有量が0.3重量%より少ない場合には、押出成型されたハニカム状触媒の乾燥、焼成時における収縮率が大きくなるため、得られた触媒にひび割れ等が生じ強度が弱くなる。また、触媒の細孔容積、特に細孔直径500Å以下の細孔容積が小さくなるため窒素酸化物除去性能などが低下するので好ましくない。また、硫酸根(SO)の含有量が5.0重量%より多い場合には、二酸化チタン粉末の捏和物をハニカム構造体に押出成形する際に脱水固化する現象などが生じて流動性が悪く、また成形助剤として使用した有機可塑剤などの粘性が低下するため、押出成形が著しく難しいものとなる。該硫酸根(SO)の含有量は、好ましくは0.4〜3.5重量%の範囲が望ましい。
【0027】
また、本発明のハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末は、99.9重量%以上が45μm以下の粒子径であることが好ましい。該二酸化チタン粉末の粒子径の45μm以下が99.9重量%より少ない場合、即ち、45μmより大きい粒子径の二酸化チタン粉末が0.1重量%より多い場合には、押出成形した際に隔壁が欠落したハニカム構造体が得られることがある。
【0028】
本発明のハニカム状排ガス処理触媒は、前述のハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末を60重量%以上含有することが好ましい。前述のハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末が60重量%より少ない場合には、所望の脱硝活性や有機ハロゲン化合物の分解活性が得られないことがある。本発明のハニカム状排ガス処理触媒は、好ましくは前述のハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末を70〜99.9重量%の範囲で含有することが望ましい。なお、本発明のハニカム状排ガス処理触媒は、前述のハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末を60重量%以上含有していれば、本発明の範囲外の酸化チタン粉末を40重量%未満含有していてもよい。
【0029】
また、本発明のハニカム状排ガス処理触媒は、通常の窒素酸化物除去用触媒に使用される活性成分を含有する。該活性成分としては、例えば、V、W、Mo、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Ag、Au、Pd、Y、Ce、Nd、In、Irなどの金属成分が挙げられる。特に、バナジウム(V)酸化物は、安価であり且つ窒素酸化物の除去率が高いために好適に使用される。また、活性成分の含有量は、通常の窒素酸化物除去用触媒に使用される活性成分量が使用され、通常、酸化物として触媒中0.1〜30重量%の範囲である。
【0030】
前述のハニカム状排ガス処理触媒は、(a)前述の二酸化チタンおよび/またはチタン以外の無機酸化物を含有する二酸化チタンからなるハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末と活性成分またはその前駆物質を、成形助材等と共に混練して捏和物とした後に、所望のハニカム形状に押出成形し、乾燥、焼成する方法、(b)前述の二酸化チタンおよび/またはチタン以外の無機酸化物を含有する二酸化チタンからなるハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末を、成形助材等と共に混練して捏和物とした後に、所望のハニカム形状に押出成形し、乾燥、焼成した担体に、活性成分を含有する水溶液を含浸し、乾燥、焼成する方法などにより製造される。なお、ハニカム状排ガス処理触媒を製造するための条件等は、通常の製造条件が採用可能である。本発明のハニカム構造体を押出成形における押出方向に対して直角の方向に切断したときの断面図の1例を図2に示す。
【0031】
本発明のハニカム状排ガス処理触媒はハニカム構造体の形状が、(i)ハニカムの外径が好ましくは30〜300mm、更に好ましくは50〜200mm、(ii)ハニカムの長さが100〜3000mm、更に好ましくは300〜1500mm、(iii)ハニカムの貫通孔(以下、目開きということがある)が好ましくは1〜15mm、更に好ましくは2〜10mm、(iv)ハニカムの隔壁厚が好ましくは0.1〜2mm、更に好ましくは0.1〜1.5mm、(v)ハニカムの開口率が好ましくは60〜85%、更に好ましくは70〜85%の範囲であることが望ましい。該ハニカム構造体の形状が前記形状の範囲を外れる場合には、成形が困難になる、ハニカム構造体の強度が弱くなる、単位体積当たりの脱硝活性や有機ハロゲン化合物の分解活性等が低くなることなどがある。
【0032】
本発明のハニカム状排ガス処理触媒は、NOxを含有する排ガス、特にボイラー排ガスなどのようにNOx、SOxを含有するほか重金属、ダストを含有する排ガスに、アンモニアなどの還元剤を添加して接触還元するNOx除去法に好適に使用される。また、該触媒の使用条件は、通常の脱硝処理条件が採用され、具体的には、反応温度は150〜600℃、空間速度1000〜100000hr―1の範囲などが例示される。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
【0034】
実施例1<ハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末の調製(a)>
硫酸法による二酸化チタンの製造工程より得られる硫酸チタン溶液を熱加水分解してメタチタン酸スラリーを得た。このメタチタン酸スラリーを二酸化チタンとして25.0kg取り出し、還流器付攪拌槽に仕込み、これに15重量%アンモニア水30.5kgを加えてpHを9.5に調整した後、95℃で1時間に亘り十分な攪拌を行いつつ加熱熟成した。その後、冷却して該スラリ−を取り出し、濾過、脱水、洗浄して、SOが4.1wt%(Dry Basis)、NaOが0.03wt%(Dry Basis)の洗浄ケーキを得た。該洗浄ケーキを110℃で20時間乾燥した後、これを509℃で5時間焼成して二酸化チタン粉末を得た。該二酸化チタン粉末をさらに粉砕して二酸化チタンからなるハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末(a)を調製した。該二酸化チタンからなるハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末(a)を、粉末X線回折装置(理学電機社製:RAD−2C)を使用して、Cu管球、フィルターNi、電圧30KV、電流15mA、走査速度1.000°/min、フルスケール1000cpsの測定条件で測定したアナターゼ型二酸化チタン結晶の(101)面のピークハイトXは140mmで、基準試料のアナターゼ型二酸化チタン結晶の(101)面のピークハイトYは151mmであった。そこで、二酸化チタン粉末(a)の基準試料に対するピーク強度比は、
【数6】
X/Y=140/151=0.93
となり、式(1)の条件を満す。
また、該二酸化チタン粉末(a)は、アナターゼ型結晶(101)面のシェラー(Scherrer)の式から求めた結晶子径は17.3nmで、硫酸根(SO)の含有量は3.5wt%であり、該二酸化チタン粉末(a)の粒子径は99.98重量%が45μm以下であった。
【0035】
実施例2<ハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末の調製(b)>
実施例1と同様にして調製した洗浄ケーキを110℃で20時間乾燥した後、これを459℃で5時間焼成して二酸化チタンからなるハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末を得た。該二酸化チタン粉末を粉砕して二酸化チタンからなるハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末(b)を調製した。該二酸化チタンからなるハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末(b)の粉末X線回折法で測定したアナターゼ型二酸化チタン結晶の(101)面のピ−クハイトXは121mmで、基準試料に対するピーク強度比(X/Y)は0.80であった。
また、該二酸化チタン粉末(b)は、アナターゼ型結晶(101)面のシェラー(Scherrer)の式から求めた結晶子径は15.2nmで、硫酸根(SO)の含有量は3.7wt%であり、該二酸化チタン粉末(b)の粒子径は99.98重量%が45μm以下であった。
【0036】
実施例3<ハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末の調製(c)>
実施例1と同様にして調製した洗浄ケーキを110℃で20時間乾燥した後、これを601℃で5時間焼成して二酸化チタンからなるハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末を得た。該二酸化チタン粉末を粉砕して二酸化チタンからなるハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末(c)を調製した。該二酸化チタンからなるハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末(c)の粉末X線回折法で測定したアナターゼ型二酸化チタン結晶の(101)面のピ−クハイトXは177mmで、基準試料に対するピーク強度比(X/Y)は1.17であった。
また、該二酸化チタン粉末(c)は、アナターゼ型結晶(101)面のシェラー(Scherrer)の式から求めた結晶子径は21.2nmで、硫酸根(SO)の含有量は2.1wt%であり、該二酸化チタン粉末(c)の粒子径は99.98重量%が45μm以下であった。
【0037】
比較例1<ハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末の調製(d)>
実施例1と同様にして調製した洗浄ケーキを110℃で20時間乾燥した後、これを308℃で5時間焼成して二酸化チタンからなるハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末を得た。該二酸化チタン粉末を粉砕して二酸化チタンからなるハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末(d)を調製した。該二酸化チタンからなるハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末(d)の粉末X線回折法で測定したアナターゼ型二酸化チタン結晶の(101)面のピ−クハイトXは60mmで、基準試料に対するピーク強度比(X/Y)は0.40であった。
また、該二酸化チタン粉末(d)は、アナターゼ型結晶(101)面のシェラー(Scherrer)の式から求めた結晶子径は10.2nmで、硫酸根(SO)の含有量は3.9wt%であり、該二酸化チタン粉末(d)の粒子径は99.98重量%が45μm以下であった。
【0038】
比較例2<ハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末の調製(e)>
実施例1と同様にして調製した洗浄ケーキを110℃で20時間乾燥した後、これを685℃で5時間焼成して二酸化チタンからなるハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末(e)を調製した。該二酸化チタン粉末をさらに粉砕して二酸化チタンからなるハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末(e)を調製した。該二酸化チタンからなるハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末(e)の粉末X線回折法で測定したアナターゼ型二酸化チタン結晶の(101)面のピ−クハイトXは210mmで、基準試料に対するピーク強度比(X/Y)は1.39であった。
また、該二酸化チタン粉末(e)は、アナターゼ型結晶(101)面のシェラー(Scherrer)の式から求めた結晶子径は24.5nmで、硫酸根(SO)の含有量は0.4wt%であり、該二酸化チタン粉末(e)の粒子径は99.98重量%が45μm以下であった。
【0039】
比較例3<ハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末の調製(f)>
硫酸法による二酸化チタンの製造工程より得られる硫酸チタン溶液を熱加水分解してメタチタン酸スラリーを得た。このメタチタン酸スラリーを二酸化チタンとして25.0kg取り出し、これを110°Cで20時間乾燥して、SOが8.0wt%(Dry Basis)、NaOが0.03wt%(Dry Basis)の乾燥品を得た。該乾燥品を509℃で5時間焼成して二酸化チタン粉末を得た。該二酸化チタン粉末を粉砕して二酸化チタンからなるハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末(f)を調製した。該二酸化チタンからなるハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末(f)の粉末X線回折法で測定したアナターゼ型二酸化チタン結晶の(101)面のピ−クハイトXは115mmで、基準試料に対するピーク強度比(X/Y)は0.76であった。
また、該二酸化チタン粉末(f)は、アナターゼ型結晶(101)面のシェラー(Scherrer)の式から求めた結晶子径は14.7nmで、硫酸根(SO)の含有量は5.5wt%であり、該二酸化チタン粉末(f)の粒子径は99.98重量%が45μm以下であった。
【0040】
実施例4<ハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタンの調製(g)>
硫酸法による二酸化チタンの製造工程より得られる硫酸チタン溶液を熱加水分解してメタチタン酸スラリーを得た。このメタチタン酸スラリーを二酸化チタンとして22.5kg取り出し、還流器付攪拌槽に仕込み、これにパラタングステン酸アンモニウム2.82kgを添加混合した後、15重量%アンモニア水30.5kgを加えてpHを9.5に調整し、次いで、95℃で1時間に亘り十分な攪拌を行いつつ加熱熟成した。その後、冷却して該スラリ−を取り出し、濾過、脱水、洗浄して、SOが3.0wt%(Dry Basis)、NaOが0.03wt%(Dry Basis)の洗浄ケーキを得た。該洗浄ケーキを110℃で20時間乾燥した後、これを550℃で5時間焼成して二酸化チタンと酸化タングステンの複合酸化物(TiO−WO)からなるハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末(g)を調製した。該TiO−WO複合酸化物粉末をさらに粉砕してハニカム状排ガス処理用二酸化チタン粉末(g)を調製した。TiO−WOからなるハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末(g)のTiO/WO重量比は90/10で、粉末X線回折法で測定したアナターゼ型二酸化チタン結晶の(101)面のピークハイトXは140mmで、基準試料に対するピーク強度比(X/Y)は0.93であった。
また、該二酸化チタン粉末(g)は、アナターゼ型結晶(101)面のシェラー(Scherrer)の式から求めた結晶子径は16.3nmで、硫酸根(SO)の含有量は1.7wt%であり、該二酸化チタン粉末(g)の粒子径は99.98重量%が45μm以下であった。
【0041】
比較例4<ハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタンの調製(h)>
硫酸法による二酸化チタンの製造工程より得られる硫酸チタン溶液を熱加水分解してメタチタン酸スラリーを得た。このメタチタン酸スラリーを二酸化チタンとして22.5kg取り出し、還流器付攪拌槽に仕込み、これにパラタングステン酸アンモニウム2.82kgを添加混合した後、15重量%アンモニア水61.0kgを加えてpHを9.5に調整し、次いで、95℃で1時間に亘り十分な攪拌を行いつつ加熱熟成した。その後、冷却して該スラリ−を取り出した後、濾過、脱水、15重量%のアンモニア水による洗浄の工程を3回繰り返して、SOが0.3wt%(Dry Basis)、NaOが0.01wt%(DryBasis)の洗浄ケーキを得た。該洗浄ケーキを110℃で20時間乾燥した後、これを550℃で5時間焼成し、さらに粉砕して二酸化チタンと酸化タングステンの複合酸化物(TiO−WO)からなるハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末(h)を調製した。TiO−WOからなるハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末(h)のTiO/WO重量比は90/10で、粉末X線回折法で測定したアナターゼ型二酸化チタン結晶の(101)面のピークハイトXは152mmで、基準試料に対するピーク強度比(X/Y)は1.01であった。
また、該二酸化チタン粉末(h)は、アナターゼ型結晶(101)面のシェラー(Scherrer)の式から求めた結晶子径は17.7nmで、硫酸根(SO)の含有量は0.2wt%であり、該二酸化チタン粉末(h)の粒子径は99.98重量%が45μm以下であった。
【0042】
実施例5<ハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末の調製(i)>
硫酸法による二酸化チタンの製造工程より得られる硫酸チタン溶液を熱加水分解してメタチタン酸スラリーを得た。このメタチタン酸スラリーを二酸化チタンとして21.25kg取り出し、還流器付攪拌槽に仕込み、これにシリカゾル〔SiO濃度20wt%、商品名“カタロイドS−20L”触媒化成工業(株)製〕6.25kgを添加混合した後、15重量%アンモニア水30.5kgを加えてpHを9.5に調整した後、95℃で1時間に亘り十分な攪拌を行いつつ加熱熟成した。次いで、パラタングステン酸アンモニウム2.82kgを添加し、更に、95℃で1時間加熱熟成を行った。その後、冷却して該スラリーを取り出し、濾過、脱水、洗浄して、SOが3.5wt%(Dry Basis)、NaOが0.03wt%(Dry Basis)の洗浄ケーキを得た。該洗浄ケーキを110℃で20時間乾燥した後、これを578℃で5時間焼成し、さらに粉砕して二酸化チタンとシリカと酸化タングステンとの複合酸化物(TiO−SiO−WO)からなるハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末(i)を調製した。TiO−SiO−WOからなるハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末(i)のTiO/SiO/WO重量比は85/5/10で、粉末X線回折法で測定したアナターゼ型二酸化チタン結晶の(101)面のピ−クハイトXは95mmで、基準試料に対するピーク強度比(X/Y)は0.63であった。
また、該二酸化チタン粉末(i)は、アナターゼ型結晶(101)面のシェラー(Scherrer)の式から求めた結晶子径は13.1nmで、硫酸根(SO)の含有量は1.8wt%であり、該二酸化チタン粉末(i)の粒子径は99.98重量%が45μm以下であった。
【0043】
比較例5<ハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末の調製(j)>
実施例5と同様にして調製した洗浄ケーキを110℃で20時間乾燥した後、これを503℃で5時間焼成し、さらに粉砕して二酸化チタンとシリカと酸化タングステンとの複合酸化物(TiO−SiO−WO)からなるハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末(j)を調製した。TiO−SiO−WOからなるハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末(j)のTiO/SiO/WO重量比は85/5/10で、粉末X線回折法で測定したアナターゼ型二酸化チタン結晶の(101)面のピ−クハイトXは65mmで、基準試料に対するピーク強度比(X/Y)は0.43であった。
また、該二酸化チタン粉末(j)は、アナターゼ型結晶(101)面のシェラー(Scherrer)の式から求めた結晶子径は9.8nmで、硫酸根(SO)の含有量は3.1wt%であり、該二酸化チタン粉末(j)の粒子径は99.98重量%が45μm以下であった。
【0044】
実施例6<ハニカム状排ガス処理触媒の調製(a−1)>
実施例1のハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末(a)21.25kgに、メタバナジン酸アンモニウム1.61kgをモノエタノールアミン0.81kgに溶解した溶液に加え、次いでアンモニア水と水を加えこの混合スラリーのpHを9とし、さらにグラスファイバー(GF)1.25kg、酸性白土(粘土)1.25kgおよびポリエチレンオキサイド0.5kgを加えてニーダーにて加熱、混練捏和して押出成形に適した捏和物を調製した。次いで該捏和物を真空押出成形機で、ハニカム外径80mm□(四角形状を意味する)、目開き(貫通孔径)2.55mm(一辺の孔径が2.55mmの四角形状の貫通孔径)、隔壁厚0.45mm、開口率68.7%、長さ300mmのハニカム状に押出し成形し、成型物を60℃で24hr乾燥後、500℃で3hr焼成して、重量比でTiO粉末(a)/V/GF/粘土が85/5/5/5の組成をもつハニカム状排ガス処理触媒(a−1)を調製した。触媒(a−1)の性状を表1に示す。
【0045】
実施例7<ハニカム状排ガス処理触媒の調製(b−1)>
実施例6において、実施例2のハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末(b)を使用した以外は、実施例6と全く同様にして、重量比でTiO粉末(b)/V/GF/粘土が85/5/5/5の組成をもつハニカム状排ガス処理触媒(b−1)を調製した。触媒(b−1)の性状を表1に示す。
【0046】
実施例8<ハニカム状排ガス処理触媒の調製(c−1)>
実施例6において、実施例3のハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末(c)を使用した以外は、実施例6と全く同様にして、重量比でTiO粉末(c)/V/GF/粘土が85/5/5/5の組成をもつハニカム状排ガス処理触媒(c−1)を調製した。触媒(c−1)の性状を表1に示す。
【0047】
比較例6<ハニカム状排ガス処理触媒の調製(d−1)>
実施例6において、比較例1のハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末(d)を使用した以外は、実施例6と全く同様にしてニーダーにて混練捏和して押出成形に適した捏和物を調製した。次いで該捏和物を真空押出成形機で、ハニカム外径80mm□、目開き2.55mm、隔壁厚0.45mm、開口率68.7%、長さ300mmのハニカム状に押出成形したところ、捏和物が真空押出成形機の中で脱水現象を起こし、ハニカム状に押出成形することが出来ず、ハニカム状排ガス処理触媒(d−1)のサンプルを採取することが出来なかった。なお、該触媒(d−1)の組成は、TiO粉末(d)/V/GF/粘土が85/5/5/5重量比である。触媒(d−1)の性状を表1に示す。
【0048】
比較例7<ハニカム状排ガス処理触媒の調製(e−1)>
実施例6において、比較例2のハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末(e)を使用した以外は、実施例6と全く同様にして重量比でTiO粉末(e)/V/GF/粘土が85/5/5/5の組成をもつハニカム状排ガス処理触媒(e−1)を調製した。触媒(e−1)の性状を表1に示す。
【0049】
比較例8<ハニカム状排ガス処理触媒の調製(f−1)>
実施例6において、比較例3のハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末(f)を使用した以外は、実施例6と全く同様にしてニーダーにて混練捏和して押出成形に適した捏和物を調製した。次いで該捏和物を真空押出成形機で、ハニカム外径80mm□、目開き2.55mm、隔壁厚0.45mm、開口率68.7%、長さ300mmのハニカム状に押出成形したところ、捏和物が真空押出成形機の中で脱水現象を起こし、ハニカム状に押出成形することが出来ず、ハニカム状排ガス処理触媒(f−1)のサンプルを採取することが出来なかった。なお、該触媒(f−1)の組成は、TiO粉末(f)/V/GF/粘土が85/5/5/5重量比である。触媒(f−1)の性状を表1に示す。
【0050】
実施例9<ハニカム状排ガス処理触媒の調製(g−1)>
実施例6において、実施例4のハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末(g)を使用した以外は、実施例6と全く同様にして重量比でTiO−WO粉末(g)/V/GF/粘土が85/5/5/5の組成をもつハニカム状排ガス処理触媒(g−1)を調製した。触媒(g−1)の性状を表1に示す。
【0051】
比較例9<ハニカム状排ガス処理触媒の調製(h−1)>
実施例6において、比較例4のハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末(h)を使用した以外は、実施例6と全く同様にして重量比でTiO−WO粉末(h)/V/GF/粘土が85/5/5/5の組成をもつハニカム状排ガス処理触媒(h−1)を調製した。触媒(h−1)の性状を表1に示す。
【0052】
実施例10<ハニカム状排ガス処理触媒の調製(gi−1)>
実施例4のハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末(g)16.25kgと実施例5のハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末(i)5.0kgの混合物に、メタバナジン酸アンモニウム1.61kgをモノエタノールアミン0.81kgに溶解して得た溶液を加え、次いでアンモニア水と水を加えこの混合スラリーのpHを9とし、さらにグラスファイバー1.25kg、酸性白土1.25kgおよびポリエチレンオキサイド0.5kgを加えてニーダーにて加熱、混練捏和して押出成形に適した捏和物を調製した。次いで該捏和物を真空押出成形機で、ハニカム外径80mm□、目開き2.55mm、隔壁厚0.45mm、開口率68.7%、長さ300mmのハニカム状に押出成形し、成型物を60℃で24hr乾燥後、500℃で3hr焼成して、重量比でTiO−WO粉末(g)/TiO−SiO−WO粉末(i)/V/GF/粘土が65/20/5/5/5の組成をもつハニカム状排ガス処理触媒(gi−1)を調製した。触媒(gi−1)の性状を表1に示す。
【0053】
実施例11<ハニカム状排ガス処理触媒の調製(gj−1)>
実施例10において、実施例5のハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末(i)の代わりに比較例5のハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末(j)5.0kgを使用した以外は、実施例10と全く同様にして、重量比でTiO−WO粉末(g)/TiO−SiO−WO粉末(j)/V/GF/粘土が65/20/5/5/5の組成をもつハニカム状排ガス処理触媒(gj−1)を調製した。この触媒は、比較例5の二酸化チタン粉末(j)を含有するが、実施例4の二酸化チタン粉末(g)を60重量%以上含有しているので成形性は良好であった。触媒(gj−1)の性状を表1に示す。
【0054】
比較例10<ハニカム状排ガス処理触媒の調製(jg−1)>
実施例10において、比較例5のハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末(j)16.25kgと実施例4のハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末(g)5.0kgの混合物を使用した以外は、実施例10と全く同様にしてニーダーで加熱、混練捏和して押出成形に適した捏和物を調製した。次いで該捏和物を真空押出成形機で、ハニカム外径80mm□、目開き2.55mm、隔壁厚0.45mm、開口率68.7%、長さ300mmのハニカム状に押出成形したところ、捏和物が真空押出成形機の中で脱水現象を起こし、ハニカム状に押出成形することが困難で、ハニカム状排ガス処理触媒(jg−1)のサンプルを採取することが出来なかった。なお、該触媒(jg−1)の組成は、重量比でTiO−WO粉末(g)/TiO−SiO−WO粉末(j)/V/GF/粘土が20/65/5/5/5である。触媒(jg−1)の性状を表1に示す。
【0055】
実施例12<窒素酸化物除去性能試験>
実施例6〜11の触媒(a−1)、(b−1)、(c−1)、(g−1)、(gi―1)、(gj−1)および比較例6〜10の触媒(d−1)、(e−1)、(f−1)、(h−1)、(jg―1)を使用して窒素酸化物除去性能試験を行った。
各ハニカム触媒から250mmの長さで貫通孔の数を8×8目(1目は1貫通孔を表わす)に切り出した試験試料を流通式反応器に充填し、下記条件で脱硝率を測定した。脱硝率は触媒接触前後のガス中の窒素酸化物(NOx)の濃度をケミルミ式窒素酸化物分析計にて測定し次式により求めた。
【数7】
Figure 0004538198
反応結果を表1に示す。
【0056】
【表1】
Figure 0004538198
【0057】
表1から明らかな様に、同組成である実施例6〜8の触媒(a−1)、(b−1)、(c−1)および比較例6〜8の触媒(d−1)、(e−1)、(f−1)を比較した場合、一般に使用した二酸化チタン粉末原料の粉末X線回折法で測定したアナターゼ型二酸化チタン結晶の(101)面の基準試料に対するピーク強度比が低い実施例の触媒(a−1)、(b−1)、(c−1)は脱硝性能が高く、二酸化チタン粉末の基準試料に対するピーク強度比が1.20を越える比較例7の(e−1)触媒は性能低下が顕著に観られる。また、二酸化チタン粉末の基準試料に対するピーク強度比が0.59を下回る比較例の(d−1)触媒に関しては成形が極めて困難でハニカム状サンプルを採取できなかった。更に、二酸化チタン粉末の基準試料に対するピーク強度比が式(1)の条件を満たしているが、二酸化チタン粉末中に硫酸根(SO)を多量に含有する比較例8の(f−1)触媒は成形性が悪くハニカム状サンプルを採取することができなかった。なお、ハニカム構造体の隔壁の厚さが薄いハニカム状排ガス処理触媒は、ダストなどを含まない排ガスを対象とするものであり、この場合は摩耗率は問題とならない。
【0058】
触媒(gi−1)および(gj−1)は主原料として原料(g)を65重量%含有していることは同じであるが、副原料である二酸化チタン粉末の基準試料に対するピーク強度比が異なる。この場合、二酸化チタン粉末の基準試料に対するピーク強度比の低い原料(j)を用いた触媒(gj−1)の方が、高い脱硝性能を有することが分かる。ここで、二酸化チタン粉末(j)は基準試料に対するピーク強度比が0.43であるため、成形性が悪化することが懸念されるが、基準試料に対するピーク強度比が0.93の二酸化チタン粉末(g)を60重量%以上含有しているため、成形性には問題なかった。しかしながら、二酸化チタン粉末(j)が65%で二酸化チタン粉末(g)が20重量%である触媒(jg−1)は、成形性が悪く、ハニカム状サンプルを採取することは不可能であった。
【0059】
実施例13<ハニカム状排ガス処理触媒の調製(a−2)>
実施例13、14および比較例11は、反応ガス中にハニカム構造体の隔壁を摩耗させる砂を混在させることにより、隔壁の摩耗率を測定している。そのため隔壁の当初の厚みも、実施例1〜12のものに較べて厚くなっている。
実施例1のハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末(a)23.50kgに、メタバナジン酸アンモニウム0.32kgをモノエタノールアミン0.16kgに溶解して得た溶液を加え、次いでアンモニア水と水を加えこの混合スラリーのpHを9とし、さらにガラスファイバー(GF)1.25kgとポリエチレンオキサイド0.5kgを加えてニーダーで加熱、混練捏和して押出成形に適した捏和物を調製した。次いで該捏和物を真空押出成形機で、ハニカム外径82mm□、目開き6.70mm、隔壁厚1.20mm、開口率66.8%、長さ300mmのハニカム状に押出成形し、成型物を60℃で24hr乾燥後、600℃で3hr焼成して、TiO/V/GFが94/1/5重量%の組成をもつハニカム状排ガス処理触媒(a−2)を調製した。触媒(a−2)の性状を表2に示す。
【0060】
比較例11<ハニカム状排ガス処理触媒の調製(d−2)>
実施例13において、比較例1のハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末(d)を使用した以外は、実施例13と全く同様にしてTiO/V/GFが94/1/5重量%の組成および形状をもつハニカム状排ガス処理触媒(d−2)を調製した。該ハニカム状触媒は、ハニカム外径82mm□、目開き6.70mm、隔壁厚1.20mmとハニカムの目開きが大きく、隔壁厚が厚いためなんとかハニカム状に成形することができた。触媒(d−2)の性状を表2に示す。
【0061】
実施例14<ハニカム状排ガス処理触媒の調製(ai−2)>
実施例13において、実施例1のハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末(a)17.25kgと実施例5のハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末(i)6.25kgの混合物を使用した以外は、実施例13と全く同様にして、TiO/TiO−WO−SiO/V/GF=69/25/1/5重量%の組成もつ触媒(ai−2)を調製した。触媒(ai−2)の性状を表2に示す。
【0062】
実施例15
実施例13、14の触媒(a−2)、(ai−2)および比較例11の触媒(d−2)を使用して窒素酸化物除去性能試験および触媒の摩耗試験を行った。
<窒素酸化物除去性能試験>
各ハニカム触媒から300mmの長さで3×3目に切り出した試験試料を流通式反応器に充填し、下記条件で脱硝率を測定した。脱硝率は触媒接触前後のガス中の窒素酸化物(NOx)の濃度をケミルミ式窒素酸化物分析計にて測定し次式により求めた。
【数8】
Figure 0004538198
<摩耗試験>
各ハニカム触媒から100mmの長さで9×9目に切り出した試験試料を流通式反応器に充填し、砂を含むガスを下記条件で流して触媒の減少重量から摩耗率を測定した。なお、通砂量はサイクロンで捕集して測定終了後、重量を測定して求める。
Figure 0004538198
【0063】
【表2】
Figure 0004538198
【0064】
表2より、主原料を二酸化チタン粉末の基準試料に対するピーク強度比が0.40である二酸化チタン粉末(d)を用いた触媒(d−2)は、脱硝性能は高いが摩耗率が極めて高い。比較例11の触媒(d−2)は石炭焚きボイラ排ガスなどのダストを含む排ガス処理用触媒としては使用中に排ガス中のダストなどにより触媒が摩耗して減少するので不適当である。一方、原料二酸化チタン粉末の基準試料に対するピーク強度比が0.93である二酸化チタン粉末(a)を用いた触媒(a−2)は摩耗率が極めて低く、摩耗強度が強い。また、二酸化チタン粉末原料の一部を原料(i)に置き換えた触媒(ai−2)は、適度な摩耗強度を有しつつも、(a−2)よりもさらに性能が向上しているのが分かる。
【0065】
【発明の効果】
本発明の二酸化チタンおよび/またはチタン複合酸化物からなるハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末は、粉末X線回折法で測定したアナターゼ型二酸化チタン結晶の(101)面のピーク強度比X/Yが式(1)において0.59〜1.20の範囲にあり、かつ、結晶子径が8〜22nmの範囲にあり、該二酸化チタン粉末中の硫酸根(SO)含有量が0.3〜5.0重量%の範囲にあるので、ハニカム状触媒に押出成形が容易である。本発明の原料を60重量%以上使用したハニカム状排ガス処理触媒は高い窒素酸化物除去性能を有し、かつ、多孔薄壁のハニカム状触媒が容易に製造できる。そのため、必要な触媒量を少なくすることができ、排ガス処理触媒装置をコンパクトにすることが可能である。さらには該ハニカム状排ガス処理触媒は、耐摩耗強度が高いため触媒の寿命も長くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本文記載の測定装置と測定条件に基づいて画かれたX線回折図の縮小図面であり、実物のピークハイトは151mmである。
【図2】本発明の1例を示すハニカム構造体を押出方向に直角に切断したときの断面図である。

Claims (6)

  1. 二酸化チタンおよび/またはチタン複合酸化物からなるハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末であって、下記
    (a)粉末X線回折法で測定したアナターゼ型二酸化チタン結晶の(101)面の二酸化チタン粉末の基準試料に対するピーク強度比が下記式(1)
    【数1】
    0.59≦X/Y≦1.20 (1)
    〔ここで、Yは、純粋なアナターゼ型二酸化チタン(関東化学製:試薬鹿1級)0.300gと純粋な酸化ニッケル(和光純薬製:試薬1級)1.700gをメノウ乳鉢で粉砕混合した基準試料のアナターゼ型二酸化チタン結晶の(101)面のピーク強度(mm)であり、Xは、ハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末のアナターゼ型二酸化チタン結晶の(101)面のピーク強度(mm)である〕
    で表される範囲にある、
    (b)アナターゼ型結晶(101)面の結晶子径が8〜22nmの範囲にある、
    (c)硫酸根(SO)を0.3〜5.0重量%の範囲で含有する、
    の性状を有することを特徴とするハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末。
  2. 前記チタン複合酸化物がケイ素、タングステン、モリブデン、ジルコニウムから選ばれた少なくとも一種の元素とチタンとの複合酸化物であることを特徴とする請求項1記載のハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末。
  3. 前記二酸化チタン粉末は99.9重量%以上が45μm以下の粒子径であることを特徴とする請求項1または2記載のハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末。
  4. 請求項1、2または3記載のハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末を60重量%以上含有することを特徴とするハニカム状排ガス処理触媒。
  5. 前記ハニカム状排ガス処理触媒が、下記(i)〜(v)の形状を有するハニカム構造体であることを特徴とする請求項4記載のハニカム状排ガス処理触媒。
    (i)ハニカムの外径が30〜300mm、
    (ii)ハニカムの長さが100〜3000mm、
    (iii)ハニカムの貫通孔が1〜15mm、
    (iv)ハニカムの隔壁厚が0.1〜2mm、
    (v)ハニカムの開口率が60〜85%
  6. 前記ハニカム状排ガス処理触媒が窒素酸化物除去触媒であることを特徴とする請求項4または5記載のハニカム状排ガス処理触媒。
JP2003102306A 2002-04-18 2003-04-04 ハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末およびその二酸化チタン粉末を使用したハニカム状排ガス処理触媒 Expired - Lifetime JP4538198B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003102306A JP4538198B2 (ja) 2002-04-18 2003-04-04 ハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末およびその二酸化チタン粉末を使用したハニカム状排ガス処理触媒

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002116765 2002-04-18
JP2003102306A JP4538198B2 (ja) 2002-04-18 2003-04-04 ハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末およびその二酸化チタン粉末を使用したハニカム状排ガス処理触媒

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004000943A JP2004000943A (ja) 2004-01-08
JP4538198B2 true JP4538198B2 (ja) 2010-09-08

Family

ID=30447177

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003102306A Expired - Lifetime JP4538198B2 (ja) 2002-04-18 2003-04-04 ハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末およびその二酸化チタン粉末を使用したハニカム状排ガス処理触媒

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4538198B2 (ja)

Families Citing this family (19)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7125536B2 (en) * 2004-02-06 2006-10-24 Millennium Inorganic Chemicals, Inc. Nano-structured particles with high thermal stability
JP5156173B2 (ja) * 2004-05-11 2013-03-06 バブコック日立株式会社 窒素酸化物除去用触媒の製造法
US7491676B2 (en) * 2004-10-19 2009-02-17 Millennium Inorganic Chemicals High activity titania supported metal oxide DeNOx catalysts
JPWO2006132097A1 (ja) 2005-06-09 2009-01-08 株式会社日本触媒 チタン酸化物、排ガス処理用触媒および排ガスの浄化方法
KR100710204B1 (ko) 2005-09-08 2007-04-20 동부일렉트로닉스 주식회사 씨모스 이미지 센서 및 그 제조방법
DE102006020158B4 (de) * 2006-05-02 2009-04-09 Argillon Gmbh Extrudierter Vollkatalysator sowie Verfahren zu seiner Herstellung
JP5266766B2 (ja) * 2008-01-16 2013-08-21 トヨタ自動車株式会社 樹脂製の膜構造
US7879759B2 (en) * 2009-02-16 2011-02-01 Augustine Steve M Mobile DeNOx catalyst
JP2012139625A (ja) * 2010-12-28 2012-07-26 Jgc Catalysts & Chemicals Ltd チタン含有粉末、排ガス処理触媒及びチタン含有粉末の製造方法
JP6132498B2 (ja) * 2012-09-21 2017-05-24 株式会社日本触媒 チタン・ケイ素・タングステンの酸化物、それを用いた脱硝触媒、当該酸化物の調製方法および脱硝方法
JP5902826B2 (ja) * 2012-11-08 2016-04-13 イビデン株式会社 ハニカム構造体及びその製造方法
CN104768643A (zh) * 2012-11-08 2015-07-08 揖斐电株式会社 蜂窝结构体及其制造方法
CN104797333A (zh) * 2012-11-08 2015-07-22 揖斐电株式会社 蜂窝结构体
JP2014180645A (ja) * 2013-03-21 2014-09-29 Nippon Shokubai Co Ltd 脱硝触媒および脱硝方法
JP5947939B2 (ja) * 2015-03-10 2016-07-06 日揮触媒化成株式会社 チタン含有粉末、排ガス処理触媒及びチタン含有粉末の製造方法
CN110694640B (zh) * 2019-10-22 2023-01-17 邢台旭阳科技有限公司 一种耐水耐硫脱硝催化剂及其制备方法
CN113735164A (zh) * 2021-08-18 2021-12-03 安徽迪诺环保新材料科技有限公司 一种高硫高塑性脱硝用纳米二氧化钛及其制备方法
CN114433069A (zh) * 2022-01-26 2022-05-06 浙江科卓环保科技有限公司 一种高灰烟气蜂窝脱硝催化剂的生产工艺
CN115739081B (zh) * 2022-12-28 2024-02-09 大唐(江苏)环保装备公司 一种脱硝催化剂及其制备方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001113169A (ja) * 1999-08-12 2001-04-24 Nippon Shokubai Co Ltd 排ガス処理用触媒および排ガス処理方法
JP2001286729A (ja) * 2000-04-06 2001-10-16 Mitsubishi Chemicals Corp 塩素化有機化合物の分解方法および燃焼排ガスの処理方法
JP2001286734A (ja) * 2000-04-06 2001-10-16 Mitsubishi Chemicals Corp 塩素化有機化合物の分解方法および燃焼排ガスの処理方法
JP2003093880A (ja) * 2001-09-27 2003-04-02 Catalysts & Chem Ind Co Ltd 窒素酸化物除去用触媒およびその製造方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6388047A (ja) * 1987-08-28 1988-04-19 Ngk Insulators Ltd 窒素酸化物除去用触媒の製造法
JP2583911B2 (ja) * 1987-10-26 1997-02-19 バブコツク日立株式会社 窒素酸化物除去用触媒
JPH10323570A (ja) * 1997-05-26 1998-12-08 Babcock Hitachi Kk 排煙脱硝触媒およびその製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001113169A (ja) * 1999-08-12 2001-04-24 Nippon Shokubai Co Ltd 排ガス処理用触媒および排ガス処理方法
JP2001286729A (ja) * 2000-04-06 2001-10-16 Mitsubishi Chemicals Corp 塩素化有機化合物の分解方法および燃焼排ガスの処理方法
JP2001286734A (ja) * 2000-04-06 2001-10-16 Mitsubishi Chemicals Corp 塩素化有機化合物の分解方法および燃焼排ガスの処理方法
JP2003093880A (ja) * 2001-09-27 2003-04-02 Catalysts & Chem Ind Co Ltd 窒素酸化物除去用触媒およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004000943A (ja) 2004-01-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4538198B2 (ja) ハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末およびその二酸化チタン粉末を使用したハニカム状排ガス処理触媒
KR100992258B1 (ko) 이산화티타늄 분말을 사용한 허니컴형상 배기가스처리 촉매의 제조방법
JP5947939B2 (ja) チタン含有粉末、排ガス処理触媒及びチタン含有粉末の製造方法
JPWO2006132097A1 (ja) チタン酸化物、排ガス処理用触媒および排ガスの浄化方法
JP2012139625A (ja) チタン含有粉末、排ガス処理触媒及びチタン含有粉末の製造方法
JP4098703B2 (ja) 窒素酸化物除去用触媒および窒素酸化物除去方法
JP2008024565A (ja) 改質酸化チタン粒子およびその製造方法、並びにこの改質酸化チタン粒子を使用した排ガス処理用触媒
US6716404B2 (en) Process for the purification of exhaust gases
KR101667863B1 (ko) 티탄 함유 입상 분말 및 이를 사용한 배기 가스 처리 촉매, 및 이들의 제조 방법
EP1192991B1 (en) A method for preparing a catalyst for selective catalytic reduction of nitrogen oxides
JP2005342711A (ja) ディーゼルエンジン排ガスの脱硝方法
JP5215990B2 (ja) 排ガス処理用触媒および排ガス処理方法
JP3860707B2 (ja) 燃焼排ガスの処理方法
JP6308832B2 (ja) 排ガス処理触媒の製造方法
JP3775815B2 (ja) 窒素酸化物除去方法
JP3860708B2 (ja) 燃焼排ガスの処理方法
JP2001286733A (ja) 塩素化有機化合物の分解方法および燃焼排ガスの処理方法
JP2006116537A (ja) 排ガスの処理方法
JP6663761B2 (ja) ハニカム型脱硝触媒の製造方法
JP6391397B2 (ja) 排ガス処理触媒の製造方法
JP2006075834A (ja) 排ガスの処理方法および触媒担持セラミックフィルター
JP4173707B2 (ja) 有機ハロゲン化合物除去用触媒および有機ハロゲン化合物除去方法
JP4283092B2 (ja) 排ガス処理用触媒および排ガス処理方法
JP3860706B2 (ja) 燃焼排ガスの処理方法
JP2005021780A (ja) 排ガス処理触媒の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060404

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090107

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090303

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100513

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100601

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100621

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130625

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4538198

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term