JP4506231B2 - Ips方式液晶表示装置用カラーフィルター基板およびそれを用いたips方式液晶表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、広く情報端末の表示媒体として普及している液晶表示装置に好適に使用されている液晶表示装置用カラーフィルター基板およびそれを用いた液晶表示装置に関するものであり、特に、表示媒体サイズの極小化において、表示特性を損なわず、コスト面および品質面に優れた液晶表示装置カラーフィルターおよびそれを用いることで得られる高品質の液晶表示装置に関するものである。
近年の液晶表示装置は、長年に渡る画像表示能力の信頼性に基づき、テレビやパーソナルコンピューター用途の大型表示デバイスから携帯情報端末用途の小型デバイスまで、市場の裾野を拡大してきた。液晶表示装置に求められる特性はその用途から多岐に渡るが、中でも近年急速に普及した携帯電話に代表されている小型液晶表示装置では、限られたスペースに表示部を収納する必要があり、液晶表示装置のサイズを極小化することが重要な開発要素であった。
従来の液晶表示装置は、液晶を狭持し対向するカラーフィルターと電極基板を配置する液晶パネル部と、ポリイミドフィルムに銅配線を積層した所謂TABフィルム上に液晶駆動用回路等を形成し液晶パネル部に接続した実装回路部分により構成されていた。この構成では、表示部以外に余分なスペースが必要であるため液晶表示装置のサイズが大きくなる欠点があり、小型液晶表示装置の普及と相まって表示部のコンパクト化を満たす液晶表示装置の構成が検討されてきた。その中の一つに、多結晶シリコンの形成技術を電極基板を用いた液晶表示装置が挙げられる(非特許文献1および非特許文献2参照)。
また、電極基板上に液晶駆動用電極(あるいはスイッチング素子と呼ばれることもある)として形成されている薄膜トランジスタ(TFT)材料には、これまで非晶質シリコンが使用されてきた。非晶質シリコンは、電流漏洩の少なく良好な電気特性を示しながらも、SiO2層を比較的低温で加熱し得られることから、安価で容易にガラス基板上に電極を形成でき、他の素子に比べると製造コスト面で優れていた。しかしながら、非晶質シリコンは、結晶の連続性が低いことから電子移動度(あるいは電界移動効果度と呼ばれることもある)が小さく信号遅延が無視できないため、単純なオンオフ制御を行う液晶駆動用電極には使用できるが、複雑な回路を構成することは困難であり、そのことが液晶パネル部外部への実装回路が必要な要因であった。
一方で、非晶質シリコンに比べ結晶性が高い多結晶シリコンでは、電子移動度が高く複雑な回路上でも十分な信号速度が得ることができる。したがって、多結晶シリコンを材料として用いることで電極基板上に液晶駆動用電極だけではなく、液晶駆動用回路を形成することが可能となり、電極基板内に駆動用回路を内在できる分、液晶表示装置サイズの大幅な小型化を達成することが可能となった。
さらに、これまで多結晶シリコンの製造工程では1,000℃前後の結晶化温度を必要としていたが、現在では450℃前後の加熱処理と高エネルギーレーザー光を組み合わせた結晶化工程に代表されている低コスト技術が採用され、小型液晶表示装置に好適な組合せとして急速に普及してきており、現在では多結晶シリコンを用いた液晶表示装置の多くが、その利点を生かし極力サイズが小さくなるように駆動用回路を表示領域周囲に配置するような構成となっている。
これに対して、多結晶シリコンを用いた液晶表示装置に使用されているカラーフィルターは、透明基板上に少なくとも複数の着色層を形成した後に着色層上に透明保護膜層又は透明電極層を最上層に積層する既存の構成が用いられるが、電極基板上に設けられた液晶駆動用回路に対する電気的絶縁の配慮がなされていない。すなわち、カラーフィルター基板上の最上層に透明電極層が積層されている場合、当該透明電極層は十分に液晶駆動領域確保の観点から非表示領域の一部まで形成されていることが一般的であり、非表示領域に液晶駆動用回路を配置した電極基板との貼り合わせにおいて透明電極層と駆動用回路間の絶縁を十分保持できず電気的短絡により表示不良の防止や、最上層に透明保護膜が積層されている場合においても、液晶駆動用回路から発生した電磁場の影響により当該保護膜上に生じた分極起因と推定されている駆動用回路の静電破壊の防止が課題であった。
電気的短絡や静電破壊を抑制するためには、カラーフィルター基板と電極基板間の微小な間隙を均一に保持する必要がある。従来はセラミックスビーズやガラス繊維など概ね単一形状のスペーサー材料を基板上に散布し貼り合わせる方式が主流であった。しかし、これらのスペーサー材料は単純に散布されているだけであり、その分布に依存して基板間隙が不均一となり、駆動用電極近傍の間隙が著しく狭くなり電気的短絡が発生することが問題であり、また表示領域内においては、スペーサー材料近傍では表示光が散乱されているため表示ムラや輝点不良等の表示性能低下が発生することが問題であった。したがって、現在では前記課題を解決するため、カラーフィルター基板上に少なくとも樹脂からなる柱状スペーサーを固着し基板間隙を均一に保持する構成が広く用いられている(特許文献1および特許文献2参照)。
柱状スペーサーの場合、均一な分布状態で固定できることや表示光の散乱が少なくともスペーサー材料に比べ弱いという利点がある一方で、所定の基板間隙を得るために柱状スペーサーの高さを2〜10μm程度の微小突起として設ける必要がある。ところが、電極基板上の非表示領域に液晶駆動用回路を配した液晶表示装置においては、電極基板とカラーフィルター間を柱状スペーサーによる十分な間隙を保持しても表示不良が発生することがあった。
これらの原因について、本発明者らは次のように類推した。すなわち、柱状スペーサーは、その配置条件によっては電極基板とカラーフィルター基板の貼り合わせ時に押しつぶされ、液晶駆動用回路とカラーフィルター基板間の間隙が狭くなる。この間隙変化は従来の液晶表示装置では表示不良にはなり得ない程度であるとしても、駆動回路により発生する分極現象などで電極基板上で帯電が発生し、カラーフィルター基板間での放電や静電破壊などにおいて駆動回路が異常を来し表示不良が生じると類推した。
カラーフィルター基板と電極基板間での短絡に関しては、少なくとも着色層、柱状スペーサーおよび透明電極層の順に積層されているカラーフィルターにおいて、柱状スペーサー上面の透明電極層が対向の液晶駆動用電極と短絡することが知られている。この種の不良防止のためには、柱状スペーサー上面の透明電極層を除去する方法(特許文献2、特許文献3および特許文献4参照)や、柱状スペーサー上部に絶縁膜を形成し駆動用電極との絶縁保持を行う方法(特許文献5参照)が採用されているが、透明電極層の除去や絶縁膜形成には、工程数増加による高コスト化や歩留まり低下などの新たな問題点がある。さらには、表示領域内に設けられた液晶駆動用電極に対してのは有効な手段であるが、駆動用電極の10倍以上の大きさを有する非表示領域に設けられた液晶駆動用回路に対しの検討としては不十分であった。
また、カラーフィルター基板上の柱状スペーサーを駆動用電極部を外して形成し、電極保護や短絡防止を図る提案(特許文献6参照)がある。この手段では駆動用回路とカラーフィルタ基板上の透明電極層間は空気が満たされているため非常に高い絶縁性を保持することが可能であるが、領域面積の大きい駆動用回路部分で基板間の保持が無ければ周囲の間隙が不均一となることが自明であり、表示品質上に問題が発生する。
さらに、カラーフィルター基板上の透明電極層と電極基板上の画素電極の電気的短絡については、透明電極層上に柱状スペーサーを形成した上で配向膜を積層することにより絶縁性を付与し絶縁を保持する技術(特許文献7参照)がある。しかしながら、その特許文献7に記載の通り、駆動電圧が低く、単純な動作を行う画素電極に対しては絶縁性に効果を発揮するが、複雑な処理を行う駆動用回路に対しては十分な絶縁を保つとは言い難い。
一方、絶縁保持技術についての技術とは異なるが、柱状スペーサーが基板の貼り合わせ時に押しつぶされていることを抑制するため、表示領域内外での柱状スペーサー分布についての技術が開示されている(特許文献8および特許文献9参照)。表示領域内の柱状スペーサーの配置密度に対して、領域外における配置密度を高める該手段は、貼り合わせ時において不必要に基板間隙が減少することで発生する電気的短絡に対しては有効な手段となり得るが、絶縁保持技術としての検討が不十分であり、電極基板上の液晶駆動用回路とカラーフィルター基板間に電気的絶縁を保持するため特有な条件を見出す必要があった。
以上のように、液晶駆動用回路を表示領域外に設けた電極基板と当該駆動用回路に対向するカラーフィルター基板間の絶縁保持技術は未だ未熟であり、現状では、例えば駆動用回路に対応する領域の透明電極層を除去することが最も簡便な短絡防止手段として用いられている。透明電極層の除去方法としては、マスキングやエッチングやレーザー加工などが挙げられるが(特許文献10参照)、表示領域近傍での微細加工技術が必要であり、除去の仕方によっては駆動用回路領域に電極が残存するための短絡や表示領域の電極欠けにより表示不良が発生し歩留まりが低下する。特に、多結晶シリコンを使用した液晶表示装置では、表示領域周囲に駆動用回路を配置できる利点を生かし、極力周辺領域の削減に努めることから、難易度の高い透明電極層加工を伴わない絶縁保持技術を発明する必要が生じた一因となった。
特開昭60−217337号公報 特開平11−344700号公報 特開2000−131701号公報 特開平10−282332号公報 特開2001−249211号公報 特開2003−131701号公報 特開2003−43497号公報 特開2002−277865号公報 特開2000−56314号公報 特開平8−234190号公報 p.5 「液晶学会誌」、2000年 vol.4 No.2 p.131 「日経マイクロデバイス別冊フラットパネル・ディスプレイ(実務編)」、2002年、 p.102
本発明の目的は、以上のような従来技術の欠点を鑑み検討した結果、電極基板上の非表示領域に液晶駆動用回路を設けることが可能な多結晶シリコンを使用した液晶表示装置において、カラーフィルター基板の最上層に積層されている透明電極層や透明保護膜層と駆動用回路の電気的短絡を防止する技術の重要性に着目し、表示特性を損なわず簡便な方法で絶縁保持が可能な技術を用いた液晶表示装置用カラーフィルター基板および液晶表示装置を提供することにある。
本発明の電極基板上に形成された液晶駆動用回路とカラーフィルター基板との電気的短絡を防止する技術は次の構成により解決されている。
すなわち、本発明のカラーフィルター基板は、電極基板間に液晶層が狭持されてなり、前記電極基板は、基板上に少なくとも所定パターンで液晶駆動用電極が配列された表示領域と液晶駆動用回路が設けられた非表示領域を有し、前記カラーフィルター基板は、少なくとも前記電極基板の液晶駆動用電極に対応する位置に複数の着色領域を設けた表示領域上に配する柱状スペーサーと表示領域周囲に形成された前記非表示領域の液晶駆動用回路に相対する位置に絶縁層を有し、絶縁層と柱状スペーサーの体積抵抗値がカラーフィルター基板最上層の体積抵抗値と同一又は大きく、かつ絶縁層と柱状スペーサーの比誘電率がカラーフィルター基板最上層の比誘電率と同一又は小さいことを特徴とするIPS方式液晶表示装置用カラーフィルター基板である。
本発明の液晶表示装置用カラーフィルターは、次の好ましい態様を含んでいる
(1) 絶縁層が柱状スペーサーと同一材料を用いて形成されている液晶表示装置用カラーフィルター基板。
(2) 絶縁層が台形状の断面積を有する直方体状に形成されている液晶表示装置用カラーフィルター基板。
(3)非表示領域の遮光領域上に形成された絶縁層の遮光領域最下部からの高さhiと、表示領域の遮光領域上に形成された柱状スペーサーの遮光領域最下部からの高さhsの関係が|hi−hs|≦1.0μmを満たす液晶表示装置用カラーフィルター基板
さらに、本発明の上記IPS方式液晶表示装置用カラーフィルターを用いて、高品質のIPS方式液晶表示装置を製造することができる。
本発明のIPS方式液晶表示装置用カラーフィルター基板では、柱状スペーサーと絶縁層を形成し、上述のような構成を用いることで、電極基板上に設けられた液晶駆動用回路との電気的絶縁を簡便に保持することが可能であり、液晶駆動用回路を内在しサイズを極小化した液晶表示装置に対し、低コストかつ高品質なIPS方式液晶表示装置用カラーフィルターを提供することが可能である。
以下に、図面を用いて本発明のカラーフィルターおよび液晶表示装置について例示詳述するが、本発明はこれらに限定されているものではない。
図1は、本発明の柱状スペーサーと絶縁層を設けた液晶表示装置用カラーフィルター基板の概略断面図であり、図2は図1の液晶表示装置用カラーフィルター基板の概略正面図である。
図1と図2に示す本発明の液晶表示装置用カラーフィルター基板では、基板1上に、少なくとも所定パターンで液晶駆動用電極2を配列した表示領域Rと液晶駆動用信号を液晶駆動用電極2に与えるための液晶駆動用回路3を配した非表示領域URを有し、液晶駆動用電極2及び液晶駆動用回路3上に絶縁膜4を設けた電極基板Dがあり、この電極基板Dに相対して、他方の基板1’上に、電極基板Dの表示領域Rに配置された液晶駆動用電極2の所定パターンを分割する遮光層5と非表示領域URに遮光層5’を設け、前記所定パターン上に複数の着色領域6(6R、6G、6B)を配し、着色領域6上に透明保護膜7を介して透明電極層8が積層されているカラーフィルター基板Cが、液晶層11を狭持するようにして配置されている。そして、表示領域Rの透明電極層8上には少なくとも樹脂からなる柱状スペーサー9が配置されており、また、非表示領域URの透明電極層8上には、電極基板D上の液晶駆動用回路3と対向する液晶駆動用回路領域3’に絶縁層10が配置されている。図2においては、前記電極基板D上の液晶駆動用回路3とカラーフィルター基板C上の液晶駆動用回路領域3’上に形成されている絶縁層10はいずれも液晶層11中に埋設しているが、液晶層外の非表示領域に形成してもよい。
図3〜図5に示した液晶表示装置用カラーフィルター基板は、本発明の他の態様であり、図3の柱状スペーサーと絶縁層を設けるカラーフィルター基板の最上層が透明保護膜層7であること以外の基本的構造は、上記の図1の液晶表示装置用カラーフィルター基板と同じである。また、図4の概略正面図は、絶縁層を非表示領域UR周囲に渡り構成していること以外の基本構造は図2の液晶表示装置用カラーフィルター基板と同一である。さらに、図5のカラーフィルター基板は、図1の非表示領域UR内に配置された絶縁層の積層構造を変更しており、絶縁層下部に着色領域と同一の材料を用いて下層形成する以外の基本的構造は図1の液晶表示装置用カラーフィルター基板と同じである。
本発明において、電極基板Dとカラーフィルター基板Cに用いられる基板1、1’としては、例えば、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸塩ガラスおよび表面をシリカコートしたソーダライムガラスなどの無機ガラス類、プラスチックのフィルムまたはシートなどの透明基板等が好ましく用いられる。
カラーフィルター基板Cの基板1’上に設けられる遮光層5、5’には、クロムやニッケルなどの金属膜、金属酸化膜、金属酸窒化膜、あるいはこれらの積層膜からなる金属遮光層を使用してもよく、さらに遮光層5、5’は、黒色顔料、黒色染料および金属酸化物などの遮光剤を分散体とする樹脂膜からなる樹脂遮光層であってもよい。
本発明の液晶表示装置用カラーフィルター基板では、安価に製造が可能であり、環境に対し低負荷であり、さらには、電極基板Dとの電気的遮蔽性を考慮して金属系薄膜に比べ電気伝導度の低い樹脂遮光層が好適である。樹脂遮光層は液晶表示装置の遮光性能を保持するために、厚さ0.5〜1.5μmの範囲で光学濃度2.1以上を有することが好ましい。
樹脂遮光層に用いられる樹脂としては、例えば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂およびゼラチンなどの感光性樹脂または非感光性樹脂等の材料が好ましく用いられる。
樹脂遮光層に用いられる遮光剤としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、酸化窒化チタン、四酸化鉄などの金属酸化物粉、金属硫化物粉、顔料やこれらの混合物などが好ましい。中でも、カーボンブラックは、安価であり製造コスト面からも好適な材料と言える。ただし、カーボンブラックは、酸化金属に比べ抵抗値が低いことから、導電性を示す場合がある。この場合、本発明を適用することで品質面の安定化が得られる。
さらに、樹脂遮光層の色調を調整するため、補色顔料を混合することができる。特に前記遮光剤のみを使用すると樹脂遮光層が着色を呈することから、表示特性の面においても無彩色にすることが好ましい。さらに、安価な遮光層を形成するために、着色領域を少なくとも2色以上用いた積層膜を代用してもよい。
カラーフィルター基板の表示領域Rに前記遮光層5をもって形成されている所定パターンの配列は、ストライプ状配列やデルタ状配列が代表的であるが特に限定されない。
本発明の液晶表示装置用カラーフィルター基板に形成されている着色領域6(6R、6G、6B)は、カラー表示に必要な構成であれば特に限定されず、加法混色であれば赤、青および緑の3色、減法混色であればシアン、マゼンタおよびイエローの3色が使用可能である。着色領域には、一般に顔料や染料のような着色剤を分散体とした樹脂が用いられ、液晶表示装置において所望の表示特性を得るために赤、橙、黄、緑、青または紫などの顔料や染料の着色剤が好適に用いられる。
前記着色剤としては、有機顔料、無機顔料および染料などが好適である。なお、前記顔料は、必要に応じて、ロジン処理、酸性基処理、塩基性処理または顔料誘導体処理などの表面処理がされていてもよい。一般に、顔料および染料の色を特定する記号として、PR(ピグメントレッド)、PG(ピグメントグリーン)あるいはPB(ピグメントブルー)等のカラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourrists社発行)が用いられる。正式表記としては、C.I.の後に特定の色記号(例えば、C.I.PR254など)で表示されているが、本発明の説明においては、前記C.I.の表記は省略(例えば、C.I.PR254ならば、PR254)する。
また着色剤の分散体に使用されている樹脂成分としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂およびエポキシ系樹脂などの感光性樹脂または非感光性樹脂やこれらの混合材料が好適に用いられる。さらに着色領域中には、紫外線吸収剤や分散剤などの種々の添加剤を添加してもよく、分散剤としては界面活性剤、顔料の中間体、染料の中間体および高分子分散剤などの広範囲のものが使用されている。なお、ここに説明したカラー表示以外に本発明の液晶表示装置用カラーフィルター基板では、着色領域として透過率85%以上の透明樹脂を用いてを形成し白黒表示としてもよい。
本発明の液晶表示装置用透明電極層8には、インジウム・錫酸化物(ITO)、酸化亜鉛、酸化スズなど、またはその合金等が好ましく使用されている。電極特性の見地からITOが特に好適に用いられる。透明電極層の形成方法としては、表示領域の所定部を開放したマスク材と基板を重ね合わせ、ディッピング法、化学気相成長、真空蒸着法、スパッタリング法およびイオンプレーティング法などを用いて所望の領域に形成する。中でも均一性の高い電極を得るためにスパッタリング法が好ましく、さらに好ましくは高い成膜レートが得られるDCマグネトロンスパッタが用いられるが、本発明はこれらに限定されているものではない。
また、マスク材を使用せずに、全面に透明電極層8を形成した後、感光性フォトレジストを塗布しフォトリソグラフィー法を用いたエッチング加工やレーザー加工により、所定領域のみに透明電極層を形成することも可能である。しかしながら、多結晶シリコンを使用した電極基板Dにおいては、表示領域周囲の非表示領域に液晶駆動用回路を形成するため、カラーフィルター基板C上の駆動用回路に相対する領域には電気的短絡の原因となる透明電極層を形成しない工夫が必要であり、駆動用回路が配置される微細な領域の透明電極層を除去する工程において歩留まり低下の原因となっていた。例えば、マスク材を用いた透明電極層の形成時にはマスク材と基板の接触によるキズ発生を抑制するため、マスク材と基板間を一定の間隙で保持するが、この間隙から透明電極層が回り込んで成膜されるため、駆動用回路領域に透明電極層が滲み出して駆動用回路と電気的な短絡が生じたり、あるいは、エッチング処理時においても駆動用回路領域の除去不良により透明電極層が残存し電気的短絡が発生したり、表示領域のITOが欠落し表示不良が発生することなどである。本発明の場合、非表示領域上に絶縁層を形成し、対向する電極基板上の駆動用回路の絶縁を保持することから、基板全面に透明電極を形成しても駆動用回路の機能が損なわれないことから、簡便な方法にて安定した歩留まりを得られ、コスト面を考慮しても十分な効果が得られる。
液晶表示装置用カラーフィルター基板の最上層に透明電極層8が形成されている場合、前記透明電極層8と着色領域6の間には少なくとも樹脂からなる透明保護層7を設けてもよい。透明保護層はカラーフィルター基板の遮光層5と着色領域6および各着色層6R、6G、6B間の厚み差より生じる表面段差を緩和し平坦化する効果がある。透明保護層7に用いられる樹脂としては、例えば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂およびポリイミド系樹脂などにより代表される熱硬化性樹脂やアクリル樹脂などを使用する感光性樹脂のいずれも適宜用いることができ、基板全面や所望の領域のみに加工できる。
また、現在広視野角での視認性を向上させるために用いられるIPS方式液晶表示装置用カラーフィルター基板では、電極基板間に設けられた駆動電極間で液晶を平面駆動することにより表示を行うため、カラーフィルター基板上には透明電極層を必要とせず、図3に示すようにカラーフィルター基板Cの透明保護層7が最上層となる構造をとる。このIPS方式液晶表示装置上において表示領域内の液晶駆動電極や、非表示領域の駆動用回路を多結晶シリコンを使用し形成、配置する場合には、カラーフィルター基板の最上層に積層された透明保護膜層7に対する電気特性を考慮し、絶縁層を形成すればよい。
本発明の液晶表示装置用カラーフィルター基板に設けられた柱状スペーサー9の形成位置は特に限定されず、十分に電極基板間の間隙を保持することが可能であれば所望の位置に配置することができる。ただし、柱状スペーサー9により表示光が減衰することを防止するため着色領域6を形成する透過部ではなく、着色領域周囲に所定パターンを形成する遮光領域5上に配置することが好ましい。
柱状スペーサー9に使用される樹脂としては種々の樹脂材料が使用可能であるが、その加工性や機械強度を考慮し、好ましくはポジ型やネガ型の感光性樹脂のいずれかを用いるのがよい。例えば、ポジ型感光性樹脂としては、ノボラック樹脂とナフトキノンジアジスルホン酸エステルとの混合物が好ましく用いられる。また、ネガ型感光性樹脂としては、環化ゴムービスアジド系、フェノール樹脂ーアジド系、アクリル系樹脂および化学増感系などの樹脂が挙げられる。例えば、アクリル系樹脂の場合、分子量1,000〜2,000のオリゴマーが好適に用いられ、ポリエステルアクリレートまたは、フェノールノボラックエポキシアクリレート、o−クレゾールノボラックエポキシアクリレート等のエポキシアクリレート、あるいは、ポリウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、オリゴマーアクリレート、アルキドアクリレート、メラミンアクリレート等を挙げることができる。また多官能光重合性アクリレートモノマーとしては、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールアクリレートおよびジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどが挙げられる。
さらに、柱状スペーサー9の機械強度改善のために、樹脂の中に各種の添加剤を入れて調整しても良い。添加剤としては、例えば、無機粒子では、シリカ、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、タルクなどの体質顔料、着色顔料、およびアルミナ、ジルコニア、マグネシア、ベリリア、ムライト、コージライトなどのセラミック粉末およびガラス−セラミックス複合粉末などが用いられる。これらの中で体質顔料のうち、バライト、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカおよびタルクが強度面にて好ましい。
柱状スペーサー9の形成方法は特に限定されないが、微細加工の観点により感光性樹脂を用いたフォトリソグラフィー法が好ましい。例えば、スピンコーティング、カーテンフローコーティング、ダイコーティング等を用い、カラーフィルター基板C全面に柱状スペーサー材料を塗布し、真空乾燥および/または熱風乾燥機により溶媒除去後、所定の波長領域を用い露光し、有機アルカリまたは金属アルカリ現像後に所定部以外を除去する方法などが挙げられる。
本発明のカラーフィルター基板C上非表示領域に配される絶縁層10は、電極基板D上に設けられた液晶駆動用回路3を含む位置に設けられ、絶縁層10を介してカラーフィルター基板の最上層と駆動用回路3の短絡を防止する。特に多結晶シリコンを用いた液晶表示装置用カラーフィルター基板では、液晶駆動用回路を表示領域周囲に配置された非表示領域に形成するため、非表示領域の遮光層上に絶縁層を形成することが好ましい。
絶縁層10の形状は特に限定されないが、表示領域内に設けられる柱状スペーサーを液晶駆動用回路の相対位置まで延在させ絶縁層とする場合、透明電極層と液晶駆動用回路間の露出面積が大きくなり、外圧によるスペーサーの押しつぶれが電気的短絡を導く危険性がある。したがって、例えば図1断面図、図2正面図に示すように表示領域Rに設けられた直方体状に絶縁層10を形成することが好ましい。特に好ましくは、台形状の断面積を有し、絶縁層の断面が上底よりも下底が長い台形状に形成することが好ましい。この場合、絶縁層下面の電気的な遮蔽効果を高め、上面にかかる外圧を均等に分散し、電極基板とカラーフィルター基板間の間隙を安定に保持することが可能である。
本発明では、図2正面図に示すように、絶縁層10の配置方法を駆動用回路領域にのみ相対するよう配置してもよいし、また、図4正面図のように、回路領域を含む非表示領域上の周囲に渡り配置することもできる。ただし、液晶駆動用回路を遮蔽するための絶縁層の配置面積は、液晶駆動用回路領域の80%以上を遮蔽するように配置し、絶縁層10を液晶駆動用回路3を均等に露出するよう配置することが好ましく、駆動用回路の露出部面積に依存した電荷の偏りがなく、電気的短絡の抑止効果を高めることができる。好ましくは90%以上を遮蔽するように配置すると、電気的短絡の発生はさらに低減するが、絶縁層3の加工精度面から考慮した上で工程歩留まりが低下する恐れがなく、また、液晶駆動用回路3の露出部分から発生する漏洩を抑制するため、100%以上遮蔽するように配置すると信頼性の高い液晶表示装置が得ることができる。
非表示領域の遮光層5’最下部から絶縁層10の最上層までの高さをhiとし、表示領域の遮光層5最下部上から柱状スペーサー9最上部の高さをhsとした場合に、|hi−hs|≦1.0μmを満たすと表示領域内中央部と周辺部における基板間隙が均一になり、さらに好ましくは|hi−hs|≦0.5μmであると、表示領域全体の均一性が向上し品質が安定する。
通常、表示領域内の柱状スペーサー9を形成する遮光層5上と非表示領域の遮光層5’上の絶縁層形成部分については、積層構造が異なるためカラーフィルター基板上に柱状スペーサー9と絶縁層10を同時に加工すると、カラーフィルター表面での高さが異なる場合がある。非表示領域の遮光層5’部分は表示に直接寄与しないが、基板間隙が表示領域内と著しく異なると、非表示領域に隣接する表示領域において光学特性が変化し表示品位が悪化する。図1、図2を用いて説明すると、柱状スペーサーは表示領域に配置された遮光層5のパターン上において、図の縦方向に並ぶ着色領域間に配置されている。この場合、図の縦方向に並ぶ着色領域間を渡るようにストライプ状の着色材料が形成されると、着色柱状スペーサーの形成部分は遮光層と着色材料の積層構造を有するが、一方で、非表示領域URに形成される絶縁層10は遮光層上に形成されるため、柱状スペーサーに比べ、遮光層最下部からの高さが低くなる。
したがって、着色領域の形状や遮光部の形状の設計を変更し、遮光部上に着色領域が存在しない領域を形成し、その部分に柱状スペーサーを形成することで非表示領域の遮光層上に設けられた絶縁層と高さを同一にすることや、図5に示すように遮光層上に表示には関与しない着色領域を形成し、表示領域内との高さの調整機能を持たせることも可能である。いずれの方法においても表示領域と非表示領域の基板間隙を均一にする手段として有効である。
図2の絶縁層を駆動用回路領域にのみ形成する場合と比較し、図4の絶縁層を非表示領域周囲に形成する場合には、表示領域と非表示領域間の基板間隙の均一性が良好となるが、図2の様態においても、駆動用回路領域外の基板間隙保持手段を調整することで表示品質を向上させることが可能である。
本発明の液晶表示装置用カラーフィルター基板上に設けられた絶縁層10の形成方法は特に限定されないが、柱状スペーサー9を設けた所定のカラーフィルター基板上に、絶縁材料を含む樹脂を全面に塗布し、フォトリソグラフィー法により所定部分に絶縁層を形成する方法や、例えば、所定領域以外を遮蔽して絶縁材料を気相蒸着し絶縁層を形成する方法等が挙げられる。
しかしながら、工程数が増えることで製造コスト上昇や歩留まり低下が問題になることから、前記の柱状スペーサー9の形成工程において絶縁層10を同時に形成する方法がさらに好ましい。すなわち、柱状スペーサー9をフォトリソグラフィー法により形成する際に、フォトマスク上の所望領域に予め絶縁層のパターンを包含して形成しておくことで、露光・現像による同時形成する方法が最適である。さらに、柱状スペーサー9の材料に絶縁効果を得られるような添加剤を含有すると、前記に示した柱状スペーサー材料のいずれも使用することが可能であり、材料選択の自由度が広がり好適である。特に、シリカなどの無機材料や酸化チタン、窒化チタン、酸窒化チタンを用いることができるが、特にこれらに限定されているものではなく、所望の効果を発揮する材料はいずれも使用可能である。
絶縁層10が液晶駆動用回路3に対する電気的遮蔽効果を発揮するためには、絶縁層10の体積抵抗値がカラーフィルター基板の最上層の体積抵抗値よりも大きいかまたは同一であることが好ましい。すなわち、絶縁層の体積抵抗値は、電極基板D上に設けられた液晶駆動用電極10からカラーフィルター基板へ伝導する漏洩電流に作用するため、絶縁層10の体積抵抗値をRi、カラーフィルター基板上の最上層の体積抵抗値をRtとすると、カラーフィルター基板の最上層との短絡を防止するためには、Ri≧Rtの関係を満たす絶縁層を設けることで効果が発揮される。特に、図1に示す最上層に透明電極層8が形成されている場合には、液晶駆動用回路10と導体である透明電極層8の電気的短絡が発生すると誤作動が発生し、さらには最近接した場合においても電極基板D上の駆動回路付近での放電現象により回路破壊を生じるため、体積抵抗値RiとRtの差は、好ましくはRi−Rt≧104(Ω/cm)である。
絶縁層10の比誘電率を、カラーフィルター基板の最上層の比誘電率よりも大きくするかまたは同一にすることにより、カラーフィルター基板を使用する液晶表示装置の信頼性は高くなる。特に絶縁層の比誘電率がカラーフィルター基板の最上層の比誘電率よりも高ければ、絶縁層内の誘電分極により、駆動回路周囲の電極基板上で静電破壊の頻度が高くなり、過電流による回路誤動作や破壊が生じる。したがって、絶縁層10の比誘電率をEi、カラーフィルター基板上の最上層の比誘電率をEtとした場合、両者の関係はEi−Et≧0の関係を満たすことがよい。
このように本発明では、電極基板上に多結晶シリコンなど電界移動効果度が高い材料を使用して液晶駆動用電極と前記液晶駆動用電極に信号を伝達する液晶駆動用回路を形成した液晶表示装置に好適である。
多結晶シリコンを用いて電極基板上に液晶駆動用電極のTFTを作製する具体例として、ボトムゲート型の製造方法を以下に示すが、電極基板上にTFTおよび駆動用回路が存在する構成であれば製造方法は特に限定されない。
基板1上にスパッタリング法によるクロム薄膜を形成し、フォトリソグラフィー法にてゲート電極を形成する。次に、プラズマCVDにより、ゲート電極の絶縁層として窒化珪素膜と非晶質シリコン膜を積層した後、真空中で加熱し脱水素化を行う。さらに、非晶質シリコン層上にTFTのソース、ドレイン電極となる部分を開口領域とするフォトレジストパターンを形成し、開口領域にリン(P)イオンを注入(ドーピング)する。非晶質シリコン薄膜にエキシマレーザーを照射し、結晶化および不純物の活性化を行い、シリコンをパターン加工した上でTi薄膜によるソース、ドレイン電極を形成し、SiO2薄膜を上層に堆積する。最後に、電極部の開口部と水素プラズマ処理を行ってTFTを成す。電極基板上の表示領域内に所定パターンにて配置されている光透過領域には、透明電極層からなる画素電極が設けられ、接続されたTFTからのオン・オフ信号を受けて行われる電圧印加により液晶を駆動する。ここでは、TFT及び画素電極からなる部分を液晶駆動用電極2と総称する。TFTに入力されている信号は、同一基板上に多結晶シリコンを用いて形成された駆動用回路3より得ることができる。電極や回路上には保護膜や絶縁膜が形成されているが、本発明者らはこれらの薄膜では電気的短絡が不十分であることを見出した。
基板1上にスパッタリング法によるクロム薄膜を形成し、フォトリソグラフィー法にてゲート電極を形成する。次に、プラズマCVDにより、ゲート電極の絶縁層として窒化珪素膜と非晶質シリコン膜を積層した後、真空中で加熱し脱水素化を行う。さらに、非晶質シリコン層上にTFTのソース、ドレイン電極となる部分を開口領域とするフォトレジストパターンを形成し、開口領域にリン(P)イオンを注入(ドーピング)する。非晶質シリコン薄膜にエキシマレーザーを照射し、結晶化および不純物の活性化を行い、シリコンをパターン加工した上でTi薄膜によるソース、ドレイン電極を形成し、SiO2薄膜を上層に堆積する。最後に、電極部の開口部と水素プラズマ処理を行ってTFTを成す。電極基板上の表示領域内に所定パターンにて配置されている光透過領域には、透明電極層からなる画素電極が設けられ、接続されたTFTからのオン・オフ信号を受けて行われる電圧印加により液晶を駆動する。ここでは、TFT及び画素電極からなる部分を液晶駆動用電極2と総称する。TFTに入力されている信号は、同一基板上に多結晶シリコンを用いて形成された駆動用回路3より得ることができる。電極や回路上には保護膜や絶縁膜が形成されているが、本発明者らはこれらの薄膜では電気的短絡が不十分であることを見出した。
(電極付き対向基板の作成)ついで薄膜トランジスタ素子を備えた対向基板を次の手順で作製した。まず、無アルカリガラス上にクロムを用いてフォトエッチングの手法によりゲート電極とコモン電極をパターニングした後、これらの電極を覆うように窒化シリコン(SiN)膜からなる絶縁膜を形成した。ゲート絶縁膜上に非晶質シリコン(a―Si)膜を形成し、この膜上にアルミニウムを用いて、ソース電極とドレイン電極を形成した。その際、コモン電極とドレイン電極の間に基板に平行な向きに電界がかかるよう電極をパターニングした。これらの電極上にSiN膜で保護膜を形成した。最後にポリイミド系の配向膜を最上層に設け、ラビング処理して薄膜トランジスタを備えた電極付き対向基板を得た。
最後に液晶表示装置について説明するが、以下の各部分は一般的な装置概略を示しているおり特に限定されているものではなく、また図中でも省略している。
液晶表示装置用カラーフィルターは、液晶駆動用電極、液晶駆動用回路、これらを接続するゲート線および信号線などを設けた電極基板とカラーフィルター基板を対向させて貼り合わせて作製する。各基板上の少なくとも一方には配向膜が設けられ、ラビングなどによる配向処理が施されている。配向処理後にシール剤を用いて電極基板とカラーフィルター基板を貼り合わせ、シール部を一部切り欠いた状態で設けられた注入口から液晶を注入した後に、注入口を封止する。続いて、各基板の少なくとも一方に未処理面に偏光板を貼り合わせる。最後に電極基板上に形成された液晶駆動用回路以外の論理回路等をTABフィルム上に実装したものを装置外部から接続して完成する。なお、本発明の図においては以上の液晶表示装置用カラーフィルターに用いられる各部分は省略して表示した。
本発明の液晶表示装置用カラーフィルターおよびそれを用いた液晶表示装置は、ノートPC、モニター、TVおよびプロジェクター用のライトバルブや小型のビューファインダーに好適に用いられ、特に、携帯電話や携帯情報端末など表示媒体を限られた領域に収納しながらも最大限の表示画像を得るために、液晶駆動用回路を電極基板上に形成し液晶表示装置内に配置した多結晶シリコンを電極材料に使用する液晶表示装置に好適に用いられる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
参考例1
[液晶表示装置の作製]
2枚の透明な無アルカリガラス基板(コーニング社製#1737)を用い、一報の基板は所定の表示領域を有する電極基板とし、他方の基板をカラーフィルター基板としてこれらを貼り合わせたものを用いた。
(電極基板の作製)
電極基板は以下の構成のものを使用した。
透明な基板上に矩形状の表示領域を設定し、液晶駆動電極2をマトリックス状に配置した。液晶駆動電極2に含まれるTFTには多結晶シリコンを使用し、画素電極は表示光が透過する透明電極層を用いて形成した。さらに、表示領域周囲の非表示領域の一辺上、表示領域から400μm離れた位置に液晶駆動用回路3を設けた。液晶駆動用回路は寸法1200μm×2500μmの矩形範囲に配置した。
(カラーフィルター基板の作製)
カラーフィルター基板は以下のように作製した。
一方の電極基板上に配置された表示領域と対向する位置を表示領域とし、液晶駆動用電極パターンに対応する位置に着色領域6を形成し、着色領域間と非表示領域には樹脂遮光層5を形成した。着色領域には赤、青および緑の着色層を交互に配置した後、カラーフィルター基板の概ね全面に透明保護層7、透明電極層8としてITO膜をこの順に積層した。引き続き、ITO膜上に感光性アクリル材料からなる樹脂を用いて、所定位置の着色領域間の遮光層上に柱状スペーサー9を設けた後、電極基板上の液晶駆動用回路3に対向する位置に絶縁層10を形成し、カラーフィルター基板を得た。
以下に作製方法を詳述する。
(1)遮光層の作成
温度計、乾燥窒素導入口、温水・冷却水による加熱・冷却装置、および、攪拌装置を付した20Lの反応釜に、γ−ブチロラクトン 16644.1g、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル 600.7g、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン 670.2g、ビス−3−(アミノプロピル)テトラメチルシロキサン 74.6gを投入し、釜を30℃に加熱した。30分後、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物 644.4g、ピロメリット酸二無水物 641.3g、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物 294.2gを投入し、釜を58℃に加熱した。3時間後、無水マレイン酸 11.8gを添加し、58℃でさらに1時間加熱することにより、ポリアミック酸のNMP溶液(B1)を得た。
カーボンブラック 4.6g、ポリアミック酸溶液(B1) 24.0g、N−メチルピロリドン 61.4gをガラスビーズ 90gとともにホモジナイザーを用い、7000rpmで30分間分散処理後、ガラスビーズを濾過により除去し、カーボンブラックミルベースを得た。
また、ピグメントブルー15:6 2.2g、ポリアミック酸溶液(A1) 24.0g、N−メチルピロリドン 63.8gをガラスビーズ 90gとともにホモジナイザーを用い、7000rpmで30分間分散処理後、ガラスビーズを濾過により除去し、青顔料ミルベースを得た。得られた両ミルベースを全量混合することにより、樹脂遮光層用のペーストを得た。
樹脂ブラックマトリクス用ペーストをガラス基板上にスピンコートし、50℃で10分間、90℃で10分間、110℃で20分間オーブンを用いて空気中で加熱乾燥して、膜厚1.1μmのポリイミド前駆体着色膜を得た。この膜上にポジ型フォトレジスト(東京応化社製OFPR−800)を塗布し、80℃で20分間加熱乾燥して膜厚1μmのレジスト膜を得た。キャノン社製紫外線露光機PLA−501Fを用い、クロム製のフォトマスクを介して、波長365nmでの強度が50mJ/cm2 の紫外線を照射した。露光後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの2.38wt%の水溶液からなる現像液に浸漬し、フォトレジストおよびポリイミド前駆体着色被膜の現像を同時に行った。エッチング後、不要となったフォトレジスト層をメチルセロソルブアセテートで剥離した。さらにこのようにして得られたポリイミド前駆体着色被膜を窒素雰囲気中で300℃で30分間熱処理し、格子状の画素部とそれらを囲む額縁部からなる膜厚1.0μmのポリイミド着色パターン被膜を得た。
(2)着色領域の形成
赤、緑および青の顔料として、それぞれ、ピグメントレッド177、ピグメントグリーン36、およびピグメントブルー15:6を用意し、ポリアミック酸溶液(P1)と混合分散し、赤、青、緑の3種類の着色ペーストを得た。得られた赤ペーストを樹脂ブラックマトリクス基板上にスピンコートし、50℃で10分間、90℃で10分間、110℃で20分間オーブンを用いて空気中で加熱乾燥して、膜厚1.2μmのポリイミド前駆体着色膜を得た。この膜上にポジ型フォトレジスト(東京応化社製OFPR−800)を塗布し、80℃で20分間加熱乾燥して、膜厚1.1μmのレジスト膜を得た。キャノン社製紫外線露光機PLA−501Fを用い、クロム製のフォトマスクを介して、着色領域形成部以外に波長365nmでの強度が50mJ/cm2の紫外線を照射した。露光後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの2.38wt%の水溶液からなる現像液に浸漬し、フォトレジストおよびポリイミド前駆体着色被膜の現像を同時に行った。現像後、不要となったフォトレジスト層をメチルセロソルブアセテートで剥離した。さらに、このようにして得られたポリイミド前駆体着色被膜を窒素雰囲気中で300℃で30分間熱処理し、膜厚1.0μmのポリイミド赤色パターン被膜を得た。同様にして、緑ペースト、青ペーストのパターンを形成し、赤、緑および青の3原色を有するカラーフィルター原板を得た。
(3)透明保護膜の形成
得られたカラーフィルター基板に熱硬化型アクリル樹脂溶液(JSR社オプトマー6917)を用い、カラーフィルター基板が形成された基板の全面にスピンコーティング後、100℃で5分、260℃で30分加熱した。加熱後の膜厚が1.5μmとなるようスピンコーティングの回転数を調整し、透明保護膜を形成した。保護膜層の透過率は波長550nmにおいて98%以上あり、所望の保護膜を得ることができたことを確認した。
(4)透明電極層の形成
真空中においてDCマグネトロンスパッタリング法により130℃でITO膜を成膜した。次に、220℃でアニール処理を行い透明電極層を設けてカラーフィルター原板を得た。ITO膜の膜厚は140nmとした。ITOの屈折率は、波長400nmでの屈折率が1.80以上2.50以下であり、波長550nmでの屈折率が1.60以上2.20以下であり、波長700nmでの屈折率が1.50以上2.10以下であることを分光エリプソメーターで確認し、所望の電気特性を有するITO膜であることを確認した。
(5)柱状スペーサーの形成
ネガ型感光性アクリル系樹脂(JSR社オプトマNN800)をスピンコーティング塗布後、60Paの真空中で80℃に加熱し溶媒除去を行なった。次に、キャノン社製紫外線露光機PLA−501Fを用い、クロム製のフォトマスクを介して、柱状スペーサー形成部のパターン形成部に波長365nmでの強度が100mJ/cm2の紫外線を照射した。その後、露光後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの0.02wt%の水溶液からなる現像液に浸漬し、未露光部を除去するように現像を行った。最後に、現像後に得られた樹脂パターンを窒素雰囲気中250℃、30分加熱し、反応を完結させた。柱状スペーサーの高さはガラス基板上に全面塗布し、前記同様の工程にて硬化した後の高さが3.0μmとなるように作製した。
(6)絶縁層の形成
絶縁層の形成には感光性アクリル樹脂溶液(JSR社オプトマNN700)を用い以下の方法で作製した。スピンコーティングにより樹脂溶液を塗布後に60Paの真空中で80℃に加熱し溶媒除去を行なった。次に、キャノン社製紫外線露光機PLA−501Fを用い、クロム製のフォトマスクを介して、液晶駆動用回路にあたる領域に波長365nmでの強度が100mJ/cm2の紫外線を照射し樹脂パターンを形成した。その後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの0.02wt%の水溶液からなる現像液に浸漬し、未露光部を除去するように現像を行った。最後に、現像後に得られた樹脂パターンを窒素雰囲気中250℃、30分加熱することで所望の位置に形成した絶縁層の反応を完結させた。絶縁層の高さも前記柱状スペーサーの高さ同様、所定の工程でガラス基板上での硬化後得られた高さが3.2μmとなるように作製した。
カラーフィルター基板上に設けられた表示領域内における柱状スペーサーおよび絶縁層の遮光領域最下部からの高さは以下のようにして測定した。まず、測定対象である柱状スペーサーまたは絶縁層を挟み、近傍のガラス基板表面を少なくとも2ヶ所以上露出させ、次に日本真空社製触針式表面段差計DEKTAK FPD−500を用いて、2ヶ所の露出部分間を測定対象直上部を渡り走査させ、露出部と測定対象部分の最上部間の段差を用い決定した。この際、測定対象である1つの柱状スペーサーまたは1部分の絶縁層の最頂点を通過するよう走査部分を変えながら少なくとも5回測定を行うと共に、カラーフィルター基板内の10点測定平均値を代表値として用いた。測定の結果、表示領域内の遮光領域最下部から柱状スペーサー直上部までの高さと絶縁層直上部までの高さは共に5.7μmであった。
柱状スペーサーと絶縁層を形成する樹脂材料の比誘電率は一般的な3端子法を用いてアジレント・テクノロジー社製インピーダンスアナライザーA4294により測定した。概略を説明すると、アルミ基板上に樹脂材料を膜厚5μmで全面塗布し、塗膜上にアルミ蒸着により端子径と概同径の円電極と5mm程度の間隙を設けて円電極を囲むような切り欠き入りの同心円状ガード電極を作製し測定試料とした。その結果、円電極部とアルミ基板間をコンデンサに見立てることで樹脂材料の誘電率が得られる。
一方、体積抵抗値は前述の試料を用い円電極とアルミ基板間の印加電圧に対する電流をヒューレッドパッカード社製pAメーターにより測定し体積抵抗値を算出した。その結果、本実施例に使用した樹脂材料については周波数1kHzの交流電圧印加時の比誘電率3.9、体積抵抗は1.6×1016Ω・cmあった。また、0.2μmのITO膜を同様な方法により測定した結果、比誘電率は20000以上、体積抵抗は5.8×10-4Ω・cm
であった。
(液晶表示装置の作製)
液晶表示装置の作製において、まず液晶パネル部の構成を以下に述べる。電極基板上とカラーフィルター基板上にポリイミド系配向膜を塗布・加熱し、ラビング処理を施した後、周囲にシール剤を印刷し貼り合わせ加熱密着させた。本発明の場合、両基板間の間隙は柱状スペーサーにより保持され、液晶封入後の状態で2.8μmであった。次いで、予めシール部を切り欠いて設けられた注入口から液晶を注入充填し、感光性樹脂を用いて注入口を封止した。最後に2枚の偏光板〔日東電工社製G1220DU〕を用いて電極基板とカラーフィルター基板の外側からパネルを挾み液晶パネル部を得た。
さらに予め東レ社製TABフィルム#7100上に液晶駆動用回路への信号を送出する論理回路や電源部品等液晶駆動用回路以外の回路を形成した。液晶パネル部の接続部とTABフィルムの端子部を接続、実装することで液晶表示装置を得た。
(液晶表示装置用カラーフィルターの評価)
本実施例に基づき液晶表示装置用カラーフィルターを100個作製し、表示状態を観察した。駆動用回路と透明電極層の短絡による明らかな駆動不良による表示欠点があるものを×、完全に短絡していないと推定され、表示欠点が散発するものを△、短絡による表示欠点が発生しないものを○とし区分した。その結果、表1に示す通り、×が1個、△が5個、○が94個であった。表示不良の発生した液晶表示装置の絶縁層部分を観察した結果、×及び△は絶縁層内での樹脂パターン欠落しており、欠落部分での電気的な短絡が不良原因と特定できた。また、欠落面積に依存して表示欠点の状態が変化しており、欠落が小さいものについては△であった。又、○区分の93個から10個を無作為抽出により観察したが絶縁層部分の欠落は発生していなかった。したがって、正常に絶縁層が形成されている場合には、本発明の効果が得られることが認められた。
参考例2
(カラーフィルター基板の作製)
参考例1記載のITO膜を積層したカラーフィルター基板を用いて、ITO膜上に柱状スペーサーと絶縁層を同時に形成した以外は参考例1と同様の方法で液晶表示装置を作製した。
(液晶表示装置用カラーフィルターの評価)
ITO膜まで積層したカラーフィルター基板上にネガ型感光性アクリル系樹脂(JSR社オプトマNN800)をスピンコーティング塗布後、60Paの真空中で80℃に加熱し溶媒除去を行なった。次に、キャノン社製紫外線露光機PLA−501Fを用い、柱状スペーサーと絶縁層のパターン形成領域が開口部となっているクロム製のフォトマスクを介して、波長365nmでの強度が100mJ/cm2の紫外線を照射した。その後、露光後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの0.02wt%の水溶液からなる現像液に浸漬し、未露光部を除去するように現像を行い、最後に、現像後に得られた樹脂パターンを窒素雰囲気中250℃、30分加熱し反応を完結させた。このカラーフィルター基板では柱状スペーサーと絶縁層の高さはガラス基板上の全面塗布後の硬化膜高さが3.0μmとなるように調整した結果、表示領域内の遮光領域最下部から柱状スペーサー直上部までの高さは5.7μm、同様の測定で絶縁層直上部までの高さは5.5μmであった。また、この絶縁層の周波数1kHzの交流電圧印加時の比誘電率は3.8、体積抵抗は2.1×1016Ω・cmあった。
また、このカラーフィルター基板を用いた液晶表示装置を作製した結果、柱状スペーサーにより保持された両基板の間隙は、液晶封入後の状態で2.9μmであり、100個の液晶表示装置の表示状態を観察した結果、電極基板とカラーフィルター基板の短絡に起因する不良、すなわち、絶縁層の効果が不十分と推測される不良の発生状況は、×が2個、△が4個、○が94個であった。×と△の不良装置の観察の結果、参考例1と同様に絶縁層の一部が欠落し、ITO層が露出している装置が6個存在した。残りの4個は絶縁層が駆動用回路に対向する領域からずれて形成されており、一部駆動用回路に対向する位置にITO層が露出していた。したがって、正常に絶縁層が形成されている場合には、本発明の効果が認められた。
実施例3
(電極基板の作製)
電極基板上に横電界による液晶駆動電極として櫛形電極を採用し、画素領域内で2つの櫛型電極が交互に組み合う状態で配置し、多結晶シリコンTFTをスイッチング素子として用いた、所謂IPS方式液晶表示装置を用いた。
(カラーフィルター基板の作製)
柱状スペーサーと絶縁層を形成するカラーフィルター基板の最上層を透明保護膜7となるようにした以外は、遮光層や着色領域に関して参考例1と同様の構成とした。柱状スペーサーと絶縁層には参考例1より誘電率、体積抵抗が既知である感光性アクリル樹脂(JSR社オプトマーNN700)を使用し、一方、透明保護膜の比誘電率と体積抵抗は各々4.5、2.4×1015 Ω・cmであった。
透明保護膜上の柱状スペーサーと絶縁層は参考例2と同様の方法にて一括形成し、ガラス基板上での硬化膜高さが3.0μmとなるように調整した。結果、表示領域内の遮光領域最下部から柱状スペーサー直上部までの高さは5.5μm、同様の測定で絶縁層直上部までの高さは5.2μmであった。なお、絶縁層材料も参考例2と同様のものを使用した。
本カラーフィルター基板を用いて、参考例1と同様の評価を行った結果、液晶表示装置100個中、電極基板との電気的短絡による不良と推定される個数は、×、△が0個、○が100個であり、絶縁層の効果が認められた。
比較例1
電極基板は参考例1と同様のものを使用し、カラーフィルター基板は参考例1と同様に最上層に透明電極層としてのITOを積層したものを使用したが、柱状スペーサーと絶縁層は形成しなかった。
液晶表示装置の作製では、電極基板とカラーフィルター基板間を平均粒径3.0μmのセラミックスビース(積水化学社ミクロパール)を用いて保持するようにした。すなわち、電極基板上とカラーフィルター基板上にポリイミド系配向膜を塗布・加熱し、ラビング処理を施した後に、セラミックスビーズを均一に分布するよう散布し、周囲にシール剤を加熱密着させた。その後の作製手順は参考例1と同様に実施した結果、両基板間の間隙は液晶封入後の状態で2.8μmであった。
参考例1と同様に液晶表示装置を100個作製し、表示状態を観察した。液晶駆動用回路と透明電極層の短絡が原因と推定される表示欠点があるものを×は16個、完全に短絡しておらず表示欠点が散発する△が48個、短絡による表示欠点が発生しない○が36個であった。×と△の液晶表示装置64個を観察したところ、駆動用回路が位置する非表示領域上のセラミックスビーズが少ないものが51個あった。その結果、駆動用回路の露出面積が大きく、カラーフィルター基板上の透明電極層と短絡していると判断した。また、残りの13個の液晶表示装置を観察した結果、貼り合わせ時にセラミックスビーズが液晶駆動用回路を破壊していることが判明した。
比較例2
カラーフィルター基板上にある所定位置の着色領域間の遮光層上に比誘電率及び体積抵抗が既知の感光性アクリル材料(JSR社オプトマーNN700)を使用した柱状スペーサー9を設け、さらに、駆動用回路領域を含む非表示領域にも表示領域内に形成した柱状スペーサーを延在させ、それ以外は参考例1と同様な方法で液晶表示装置を作製した。
他と同様に100個の液晶表示装置を観察した結果、液晶駆動用回路と透明電極層の短絡が原因と推定可能な×は18個、表示欠点が散発する△が32個、短絡による表示欠点が発生していない○が50個であった。×と△の液晶表示装置50個を観察し、駆動用回路領域で柱状スペーサーが欠落したことによる不良は8個判明したが、残りの42個は柱状スペーサーの問題は無かった。さらに原因について検討した結果、表示領域内に配置される柱状スペーサーの配置密度では、駆動用回路領域の遮蔽効果が乏しく、本発明による絶縁層と同じ効果を発揮することは困難であると判断した。
比較例3
カラーフィルター基板と電極基板間をセラミックスビーズを用いて保持し、電極基板上の駆動用回路領域に体積抵抗値及び比誘電率が既知の感光性アクリル樹脂溶液(JSR社オプトマNN700)を用いた絶縁層を形成した以外は参考例1と同様に液晶表示装置を作製した。
セラミックスビーズは平均粒径2.8μmを用い、ガラス基板に全面塗布した硬化後の絶縁層高さを4.0μmである絶縁層を配した液晶表示装置を参考例1と同様に100個作製し表示状態を確認したが、全ての液晶表示装置において絶縁層を形成した非表示領域を中心し表示ムラが観測された。同じ構成の液晶表示装置を更に作製し、液晶封入後の状態で電極基板とカラーフィルター基板の間隙を測定すると表示ムラ部が3.7μmであるのに対し、正常表示部は3.1μmであった。この結果、本液晶表示装置では絶縁層高さが高いため、絶縁層周囲の基板間隙が正常部に比べ広く表示不良が発生したと判断した。
比較例4
実施例1と同様に最上層を保護膜層とし、透明電極層を積層していないカラーフィルター基板の表示領域上に平均粒径2.8μmのセラミックスビーズを散布し、電極基板上の駆動用回路領域に相対するカラーフィルター基板の非表示領域に導電性樹脂を用いた絶縁層を形成したカラーフィルター基板を用いて液晶表示装置を作製した。
導電性樹脂は感光性アクリル樹脂溶液(JSR社オプトマーNN700)95重量部に対し、導電性微粒子としてカーボンブラック(三菱化学社MA−100)を5重量部添加した混合物をジルコニア製ビーズと共にホモジナイザー分散機に封入し、7000rpmにて30分間分散し得た。絶縁層はそれを形成した遮光領域最下部から絶縁層直上部までの高さを5.5μmとして形成し、参考例1と同様な方法で測定した比誘電率は23.1、体積抵抗値は4.1×106 Ω・cmであった。
参考例1と同様な方法にて液晶表示装置を評価した結果、×28個、△が54個、○が18個であり、×、△の液晶表示装置を観察した結果、絶縁層に欠落等の以上は認められず、駆動用回路領域との遮蔽性は十分に保たれていた。そこで、発明者はカラーフィルター基板上の透明保護膜とその上に設けられた絶縁層と関係について着目し、透明保護膜層の比誘電率、体積抵抗値を参考例1との測定と同様な方法にて測定した結果、比誘電率が4.5、体積抵抗値が2.4×1016 Ω・cmであった。
したがって、電極基板上の液晶駆動用回路とカラーフィルター基板上の保護膜間に位置する絶縁層の誘電率が高く、体積抵抗値が低いことで、駆動用回路側からカラーフィルター基板へ電荷の偏り、すなわち分極による電界が誘起され駆動用回路の動作が不安定になったり、静電破壊が進行してものと判断した。以上の結果を表1に示す。
Figure 0004506231
本発明のIPS方式液晶表示装置用カラーフィルターおよびそれを用いたIPS方式液晶表示装置は、ノートPC、モニター、TVおよびプロジェクター用のライトバルブや小型のビューファインダーに好適に用いられ、特に、携帯電話や携帯情報端末など表示媒体を限られた領域に収納しながらも最大限の表示画像を得るために、液晶駆動用回路を電極基板上に形成し液晶表示装置内に配置した多結晶シリコンを電極材料に使用するIPS方式液晶表示装置に好適に用いられる。
本発明の柱状スペーサーと絶縁層を透明電極層上に形成してなる液晶表示装置用カラーフィルター基板の概略断面図である。 本発明の柱状スペーサーと絶縁層を透明電極層上に形成してなる液晶表示装置用カラーフィルター基板の概略正面図である。 本発明の柱状スペーサーと絶縁層を透明保護膜上に形成してなる液晶表示装置用カラーフィルター基板の概略断面図である。 本発明の絶縁層を遮光層上周囲に渡り形成してなる液晶表示装置用カラーフィルター基板の概略正面図である。 本発明の絶縁層を遮光層上に設けられた着色材料を介して形成してなる液晶表示装置用カラーフィルター基板の概略断面図である。
符号の説明
R :表示領域
UR:非表示領域
D :電極基板
C :カラーフィルター基板
1、1’:基板
2:液晶駆動用電極
3:液晶駆動用回路
3’:液晶駆動用回路領域
4:絶縁膜
5、5’:遮光層
6:着色領域
7:透明保護膜
8:透明電極層
9:柱状スペーサー
10、10’:絶縁層
11:液晶層

Claims (5)

  1. 電極基板とカラーフィルター基板間に液晶層が狭持されてなり、前記電極基板は、基板上に少なくとも所定パターンで液晶駆動用電極が配列された表示領域と液晶駆動用回路が設けられた非表示領域を有し、前記カラーフィルター基板は、少なくとも前記電極基板の液晶駆動用電極に対応する位置に複数の着色領域を設けた表示領域上に配する柱状スペーサーと表示領域周囲に形成された前記非表示領域の液晶駆動用回路に相対する位置に絶縁層を有し、絶縁層と柱状スペーサーの体積抵抗値がカラーフィルター基板最上層の体積抵抗値と同一又は大きく、かつ絶縁層と柱状スペーサーの比誘電率がカラーフィルター基板最上層の比誘電率と同一又は小さいことを特徴とするIPS方式液晶表示装置用カラーフィルター基板。
  2. 絶縁層が柱状スペーサーと同一材料を用いて形成されていることを特徴とする請求項1に記載のIPS方式液晶表示装置用カラーフィルター基板。
  3. 絶縁層が台形状の断面積を有する直方体状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のIPS方式液晶表示装置用カラーフィルター基板。
  4. 非表示領域の遮光領域上に形成された絶縁層の遮光領域最下部からの高さhiと、表示領域の遮光領域上に形成された柱状スペーサーの遮光領域最下部からの高さhsの関係が|hi−hs|≦1.0μmを満たすことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のIPS方式液晶表示装置用カラーフィルター基板。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載のIPS方式液晶表示装置用カラーフィルター基板を用いてなるIPS方式液晶表示装置。
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