JP3907626B2 - 電子源の製造方法、画像表示装置の製造方法、電子放出素子の製造方法、画像表示装置、特性調整方法、及び画像表示装置の特性調整方法 - Google Patents

電子源の製造方法、画像表示装置の製造方法、電子放出素子の製造方法、画像表示装置、特性調整方法、及び画像表示装置の特性調整方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3907626B2
JP3907626B2 JP2004010974A JP2004010974A JP3907626B2 JP 3907626 B2 JP3907626 B2 JP 3907626B2 JP 2004010974 A JP2004010974 A JP 2004010974A JP 2004010974 A JP2004010974 A JP 2004010974A JP 3907626 B2 JP3907626 B2 JP 3907626B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electron
voltage
emitting device
cathode
manufacturing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004010974A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004253372A (ja
Inventor
一成 大山
正文 教學
健夫 塚本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2004010974A priority Critical patent/JP3907626B2/ja
Priority to US10/764,538 priority patent/US7432883B2/en
Priority to EP04001714A priority patent/EP1443538A3/en
Priority to KR1020040005341A priority patent/KR100642736B1/ko
Priority to CN2007101613008A priority patent/CN101140842B/zh
Priority to CNB2004100035257A priority patent/CN100351977C/zh
Publication of JP2004253372A publication Critical patent/JP2004253372A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3907626B2 publication Critical patent/JP3907626B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A47FURNITURE; DOMESTIC ARTICLES OR APPLIANCES; COFFEE MILLS; SPICE MILLS; SUCTION CLEANERS IN GENERAL
    • A47LDOMESTIC WASHING OR CLEANING; SUCTION CLEANERS IN GENERAL
    • A47L23/00Cleaning footwear
    • A47L23/20Devices or implements for drying footwear, also with heating arrangements
    • A47L23/205Devices or implements for drying footwear, also with heating arrangements with heating arrangements
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J31/00Cathode ray tubes; Electron beam tubes
    • H01J31/08Cathode ray tubes; Electron beam tubes having a screen on or from which an image or pattern is formed, picked up, converted, or stored
    • H01J31/10Image or pattern display tubes, i.e. having electrical input and optical output; Flying-spot tubes for scanning purposes
    • H01J31/12Image or pattern display tubes, i.e. having electrical input and optical output; Flying-spot tubes for scanning purposes with luminescent screen

Description

本発明は、炭素繊維を用いた電子放出素子の駆動方法及び電子源の駆動方法及び電子源の製造方法及び画像表示装置に関する。
FE型の電子放出素子の例としては、非特許文献1などに記載されている。
上記FE型の電子放出材料として、近年、カーボンナノチューブなどのナノサイズの直径を有する繊維状の炭素材料が注目されている。
カーボンナノチューブそのものは、例えば、非特許文献2に記載されている。炭素繊維の集合体については、例えば、特許文献1や非特許文献3に記載されている。
また、カーボンナノチューブをFE型の電子放出素子の電子放出材料に用いることは、例えば、非特許文献4や、非特許文献5や、特許文献2乃至5等に記載されている。
一方、複数の炭素繊維の集合体を電子放出体として用いたFE型電子放出素子の応用として、例えば、画像表示装置、画像形成装置、画像記録装置、荷電ビーム源等が研究されている。
特に電子放出素子の画像表示装置への応用としては、電子放出素子と電子ビームの照射により発光する蛍光体とを組み合わせて用いた画像表示装置が研究されている。
例えば、図23にFE型の電子放出素子を2次元的に多数個配列し、これらの素子をマトリクス状に配線したマルチ電子源を示す。
図23中、4001は電子放出素子、4002は行方向配線、4003は列方向配線を示している。行方向配線4002及び列方向配線4003は、実際には有限の電気抵抗を有するものである。しかし、図23においては、それらの電気抵抗は配線抵抗4004及び4005として示されている。上述のような配線方法を、単純マトリクス配線と呼ぶ。尚、図示の便宜上、6×6のマトリクスで示しているが、マトリクスの規模はむろんこれに限ったわけではない。例えば画像表示装置用のマルチ電子源の場合には、所望の画像表示を行うのに足りるだけの1万乃至1千万個の素子を配列し配線するものである。
特開2000−095509号公報 米国特許第5773921号明細書 米国特許第5872422号明細書 米国特許第5973444号明細書 特表2003−536215号公報 J.Appl.Phys.Vol.47,No.12,p.5248(1976) Nature,354,(1991)56 Appl.Phys.Lett.,Vol.76,No.17,pp.2367−2369(2000) NIKKEI MECHANICAL 2001.12 no.567 Appl.Phys.Lett.,Vol.81,No.2,pp.343−345(2002)
複数の炭素繊維の集合体を、1つのFE型電子放出素子の電子放出材料として用い、この電子放出素子を駆動する場合、それぞれの炭素繊維の形状のばらつきによって、電子放出特性の時間的安定性が左右される。
一般に、直径が小さい炭素繊維には電界が集中しやすいため、大きな電子放出が得られる反面、時間の経過による劣化が大きい。炭素繊維の集合体を、電子放出材料として用いる場合、一定電圧駆動において、より細い繊維から時間的に劣化してゆき、集合体全体としての放出電流が小さくなってゆく。そのため、直径のばらついた炭素繊維の集合体の電子放出特性は不安定なものとなる。また、繊維の形状ばらつきは、時間的な駆動不安定だけでなく、炭素繊維を形成した面内での電子放出のばらつきの原因ともなる。
ここで、上記炭素繊維の集合体における、繊維形状のばらつきとは、集合体内の直径だけでなく、炭素繊維の長さや、グラファイトナノファイバーの一本を形成する積層した黒鉛シート一枚一枚の大きさ等、電子放出を伴う形状の全てのばらつきを指している。
しかしながら、炭素繊維の集合体における直径分布の狭域化が実現されても、炭素繊維の長さの不均一性、更には、炭素繊維を構成する黒鉛シートの一枚一枚のサイズ不均一性までは、充分に制御することは難しい。
上記炭素繊維の集合体を有する電子放出素子を画像形成装置に用いる場合、一つの電子放出素子において、均一で好適な明るさやコントラストを長時間にわたり維持することが求められる。
これを実現するためには、一つの電子放出素子から放出される電子量の時間的減少を抑え、期待される期間において一定量以上の電子放出を行うことが電子放出素子に求められる。
そのためには、電子放出の不均一の原因となる、炭素繊維の集合体における全ての炭素繊維の形状不均一を除外する必要がある。しかしながら、それら全てを、炭素繊維の集合体の製造段階で除外することは現在のところ困難である。
そのため、炭素繊維の集合体の電子放出特性を、簡便な手法で均一化できる技術が求められている。
一方、炭素繊維の集合体を電子放出体とした電子放出素子を多数配列した電子源においては、工程上の変動などにより、個々の電子放出素子の放出特性に多少のバラツキを生じる。その結果、これを用いて表示装置を作成した場合に、この特性のバラツキが輝度のバラツキとなって表れることがあった。
このように電子放出特性が電子放出素子毎に異なる理由としては、例えば電子放出体に用いた材料の成分のバラツキ、素子の各部材の寸法形状の誤差など種々の原因が考えられる。しかしながら、これら全ての原因を除去しようとすると非常に高度な製造設備や極めて厳密な工程管理が必要となり、これらを満足させると製造コストが莫大なものとなってしまう。
本発明は上記の従来技術の課題を鑑みなされたもので、その目的とするところは、炭素繊維の集合体を電子放出体に用いた電子放出素子を、安定に長時間駆動することが可能な電子放出素子の駆動方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的とするところは、炭素繊維の集合体を電子放出体に用いた電子放出素子を複数個配列した電子源において、各電子放出素子間の電子放出特性のバラツキを抑制する製造方法及び駆動方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的とするところは、炭素繊維の集合体を電子放出体に用いた電子放出素子を有し、各電子放出素子間の電子放出特性のバラツキを抑制する画像表示装置を提供することにある。
本発明に係る電子源の製造方法にあっては、
炭素繊維の集合体からなる電子放出体を有する陰極を備え、該陰極と該陰極に対向して配置された対向電極との間に駆動電圧を印加することで、前記電子放出体から電子を放出する電子放出素子が、基板上に複数配置されることで構成された電子源の製造方法であって、
各々が炭素繊維の集合体からなる電子放出体を有する複数の陰極と、該複数の陰極に対向する対向電極とを用意する工程と、
前記複数の陰極の各々と前記対向電極との間に所定の電圧を印加した際に放出される電子の量が相対的に少ない炭素繊維の集合体の電子放出特性と、前記所定の電圧を印加した際に放出される電子の量が相対的に多い他の炭素繊維の集合体の電子放出特性との差が低減するように、前記他の炭素繊維の集合体を有する陰極と前記対向電極との間に印加する印加電圧を、前記他の炭素繊維の集合体を有する陰極が経験した電圧の最大値よりも低い
電圧から前記他の炭素繊維の集合体の電子放出特性のF-Nプロットにおける傾きの絶対
値が減少に転じる電圧を越えた電圧まで、上昇させていく工程と、を有することを特徴とする。

上記方法によれば、複数の電子放出素子を備えた電子源において、均一性の高い電子放出特性を得ることができる。
前記I−V特性は、1/V対log(I/V)の関係が略線形である低電圧領域において、前記1/V対log(I/V)の関係における傾きと切片であることが好適である。
また、本発明に係る電子放出素子の製造方法にあっては、
複数の炭素繊維を有する陰極と該陰極に対向して配置された対向電極を備える電子放出素子の製造方法であって、
複数の炭素繊維を有する陰極と、該陰極に対向する対向電極とを用意する工程と、
前記陰極と前記対向電極との間に印加する印加電圧を、前記陰極が経験した電圧の最大値よりも低い電圧から電子放出特性のF-Nプロットにおける傾きの絶対値が減少に転じ
る電圧を越えた電圧まで、上昇させていく工程と、
を備えることを特徴とする。

また、本発明に係る調整方法にあっては、
複数の炭素繊維を有する陰極と該陰極に対向して配置された対向電極を備える電子放出素子の電子放出特性を調整する特性調整方法であって、
前記陰極と前記対向電極との間に印加する印加電圧を、前記陰極が経験した電圧の最大値よりも低い電圧から電子放出特性のF-Nプロットにおける傾きの絶対値が減少に転じ
る電圧を越えた電圧まで、上昇さていく工程、を備えることを特徴とする。
本発明に用いられる前記炭素繊維の集合体は、グラファイトナノファイバーの集合体、カーボンナノチューブの集合体、または、グラファイトナノファイバーとカーボンナノチューブとが混合された集合体であることが好適である。
上記方法によれば、マルチ電子源において、均一な素子特性を簡便に得ることができる
本発明によれば、炭素繊維の集合体を電子放出体に用いた電子放出素子を、安定に長時間駆動することが可能となる。また、炭素繊維の集合体を電子放出体に用いた電子放出素子を複数個配列した電子源において、各電子放出素子間の電子放出特性のバラツキを抑制することが可能となる。
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。但し、この実施の形態に記載されている構成部品の大きさ、材質、形状、その相対位置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
図1は、本発明による電子放出素子の駆動方法を説明するための図である。図1は、炭素繊維の集合体が配置されている陰極(カソード電極)と該陰極に対向して配置された対向電極との間に駆動電圧Vfを印加した時に、炭素繊維の集合体から放出する電子の量(放出電流)Ieとの関係(I−V特性)を片対数グラフで示している。尚、本発明における「対向電極」とは、炭素繊維の集合体から電子を放出させるための電位が印加される電極を指す。また、本発明における「炭素繊維の集合体」とは、複数の炭素繊維だけで構成される部材、および、複数の炭素繊維と他の部材とを含む部材(例えば複数の炭素繊維と触媒粒子から構成される部材、複数の炭素繊維と接着剤とから構成される部材など)をも含む。従って、本発明における「炭素繊維の集合体からなる電子放出体」とは、少なくとも「複数の炭素繊維を含む電子放出体」と換言することもできる。
本発明の一実施形態は、駆動開始まで(典型的には製造時)において、電子放出素子の陰極と対向電極との間に印加された最大電圧を最大印加電圧Vmaxとした時、電子放出素子を駆動する際(典型的には製造後)においては、陰極と対向電極との間に前記最大印加電圧Vmaxより小さい駆動電圧Vで駆動する。このようにすれば電子放出特性の経時変化を抑えることができる。
本発明は後述するような実験で得られた知見をもとになされたものであり、本発明を理解しやすくするために、まず、その実験について述べる。
(実験1)
図2は本発明に用いられる電子放出素子の一例を示す模式図である。
図2に示すように、真空容器97の内部には、陰極基板92が配置されている。陰極基板92表面には、電子放出素子を構成する炭素繊維の集合体94が載置された陰極電極(カソード電極)93が設けられている。また、陰極電極93に対向する位置に配置された陽極基板96表面には、炭素繊維の集合体94から放出された電子を受け取る陽極電極(アノード)95が、対向電極として設けられている。陰極電極93と陽極電極95との間には電圧源91により所定の電圧が印加可能に構成されている。尚、真空容器97は、その内部を排気するための排気係98を備えている。
図2に示すような陰極基板92、陽極基板96としては、例えばガラス基板(PD200、旭硝子株式会社製)を用いることができる。また、陰極電極93をTiN薄膜で、陽極電極95をITO薄膜で作製することができる。
上記した炭素繊維の集合体は、例えば図3に示すようにして形成することができる。図
3において、101は陰極電極(カソード電極)、102は陰極基板、103は触媒微粒子、104は炭素繊維の集合体である。以下に、その製造方法の一例を詳述する。
まず、イオンビームスパッタリング法により、陰極基板102表面に厚さ100nmのTiN薄膜101を作製する(図3(a))。次に、RFスパッタリング法により、TiN薄膜101上に炭素繊維の成長を促進する触媒微粒子103を作製する。(図3(b))。触媒微粒子103としては、パラジウム、コバルト、鉄、ニッケルあるいは、前記2つ以上の合金を用いることができる。触媒微粒子103が配置された陰極基板102を炉に入れ、水素ガス雰囲気中で加熱することで、触媒微粒子103を還元処理する。その後、炭化水素ガスを混合した水素ガス雰囲気中で陰極基板を熱することで、炭素繊維の集合体104を陰極電極上に生成させることができる(図3(c))。炭化水素ガスとしては、例えば、メタン、エチレン、アセチレン、一酸化炭素、二酸化炭素を用いることができる。炭素繊維の集合体104を生成させられる基板加熱温度は450℃から800℃であるが、ここでは陰極基板102の歪み点(570℃)以下で加熱する。
こうして作製される陰極上の炭素繊維の集合体104をSEMで観察すると、太さ(直径)が5〜60nmであり、炭素繊維の集合体の膜厚が0.3μm〜15μmとなることが分かる。また、ラマン解析によると、1580cm−1付近と、1340cm−1付近に、グラファイトに特徴的な振動が観察される。また、TEM観察によると、炭素繊維の長さ方向に、グラフェンが積層した構造となっており、グラファイトナノファイバーと呼ばれる炭素繊維であることが確認できる。
こうして作製される炭素繊維の集合体94を、図2に示すように、陰極電極93上に配置し、陰極電極93と陽極電極95との間には、その間隔を維持するためのスペーサ(不図示)を配置する。そして、真空容器97内をターボ分子ポンプ、ドライポンプ、及びイオンポンプを用いて排気する。尚、図2中、符号92は陰極基板であり、符号96は陽極基板である。
そして、陰極電極93と陽極電極95との間の印加電圧の上昇及び下降を繰り返す。但し、このときに、電圧を上昇させた後に電圧を下降させる工程を1回のサイクルとして、各回毎の電圧上昇時に陽極電極95と陽極電極95との間に印加する最大電圧値を上昇させながら電子放出させる。その際に得られるI−V特性を図4に示す。横軸は印加電圧、縦軸は放出電流の対数表示である。
図4中における、それぞれの曲線(番号1から4)は、電圧印加の回数を示している。つまり、例えば1回目の電圧印加においては、図4中の点Aにおける電圧から点Bにおける電圧まで電圧を上昇させ、その後点Cにおける電圧まで電圧を下降させた際の放出電流と印加電圧の関係を表すものである。同様に、例えば、2回目の電圧印加(上記1回目の電圧印加後)においては、図4中の点Cにおける電圧から点Bにおける電圧を通り更に点Dにおける電圧まで電圧を上昇させ、その後点Eにおける電圧まで電圧を下降させた際の放出電流と印加電圧の関係を表すものである。
図4から分かるように、2回目以降の電圧印加における電圧上昇過程において、I−V曲線に折れ曲がり点(例えば2回目の電圧印加時には点B、3回目の電圧印加時には点D、4回目の電圧印加時には点F)が発生する電圧がある。そして、一度折れ曲がり点まで電圧を上昇させた後は当該折れ曲がり点における電圧以下の電圧を陰極電極93と陽極電極95との間に印加している場合のI−V曲線(これを第1の曲線と呼ぶ)と、折れ曲がり点における電圧以上の電圧を上昇させ続けながら陰極電極93と陽極電極95との間に印加している場合のI−V曲線(これを第2の曲線と呼ぶ)との2種類の曲線によって、各回におけるI−V曲線が構成される。つまり、図4において、B-C曲線、D-E曲線、
F-G曲線はそれぞれ第1の曲線に相当し、B-D曲線、D-F曲線はそれぞれ第2の曲線
に相当する。尚、A-B曲線は、それ以前に電圧を印加していなかったため、第2の曲線
に相当すると言うこともできる。また、前記第2の曲線は、図4に示すように、ほぼ連続した曲線となる。
ここで、n回目(nは2以上の整数)の電圧印加において、印加される電圧が第2の曲線に到達するまで(各回における折れ曲がり点に到達するまで)の電圧範囲では、n-1
回目の電圧下降時の曲線と、n回目の電圧印加における電圧上昇時の曲線とが、ほぼ同一となる(ほぼ重なる)。このことは、第2の曲線に到達するまでの電圧範囲において、I−V曲線に再現性があり、第2の曲線に到達した後更に電圧を上昇させることによって、I−V曲線の再現性が破られる(I-V曲線がシフトする)ことを示している。
更に、重要なことは、n回目(nは2以上の整数)の電圧を印加した後に得られる第1の曲線(例えば図4における2回目の電圧印加後に得られる再現性のあるI-V曲線であ
るD-E線)においては、n-1回目の電圧を印加した後に得られる第1の曲線(例えば図4における1回目の電圧印加後に得られる再現性のあるI-V曲線であるB-C線)に比べて、放出電流量の再現性が得られる範囲が拡大されているので、より高い放出電流が得られることである。
上記性質をまとめると、次のように言い換えることができる。すなわち、複数の炭素繊維からなる膜(複数の炭素繊維の集合体)による電子放出特性は、典型的には、複数の炭素繊維からなる膜が経験した最大印加電圧Vmax(例えば、図4においては、1回目の電圧印加時においては点Bにおける印加電圧値、2回目の電圧印加時においては点Dにおける印加電圧値、3回目の電圧印加時においては点Fにおける印加電圧値に相当する)に依存し、Vmaxを上昇させることで、I−V特性が変化(シフト)する。そして同時に、変化したI−V特性は、より高い最大放出電流をもたらす。
図5は、図4に示したI−V曲線に対応するF−N(Fowler−Nordheim)プロットを示す。図5におけるA〜Gは、図4のA〜Gにそれぞれ対応する。各駆動回におけるI−V曲線の折れ曲がりに対応して、F−Nプロットにおいても折れ曲がり(点B、点D、点F)が存在することが分かる。図5から、各回の電圧印加における電圧下降過程における傾き(例えば1回目においては線B-C)を見ると、電圧印加回数の増加と
ともに、傾きが負の方向へ増大していることが分かる。
この傾きと1/Va切片から電子放出面積αを求めることができ、また、傾きから電界増強因子βを求めることができる。このF−Nプロットから、各回の電圧印加の際の電圧下降過程において、電界増強因子βと電子放出面積αを算出すると、印加する電圧の最大値を各回毎に上昇させる電圧印加を行うと、電圧印加回数の増加とともに、βは減少し、αは増大していく傾向がある。
この事実は次のことを示している。すなわち、上記曲線2に対応する曲線上に、(V,I)を一致させようとする場合、すなわち、Vmaxを上昇させていく時、それまで複数の炭素繊維からなる膜(炭素繊維の集合体)が保持していた電界増強因子βの値が減少すると共に電子放出面積αの値が増大する。このことは、Vmaxを上昇させることで、出力電流(放出電流Ie)のダイナミックレンジを広げることができることを意味している。
また、複数の炭素繊維からなる膜内の電子放出点は、Vmaxの上昇とともに、電子放出点が増えてゆく傾向がある。一方、Vmaxを固定して電圧を変化させた場合(n回目以降の駆動時に、1回目からn回目において印加した最大電圧値以下の範囲の電圧を印加
する場合)には、電子放出点の場所は、本質的には、変化せず、電子放出点からの電子放出量が、電圧の昇降に伴って増減するのみである。このことは、Vmax上昇によって、電子放出に寄与する箇所が選択されると共に、その箇所が増大し、Vmax固定(n回目以降の駆動時に、1回目からn回目において印加した最大電圧値以下の範囲の電圧を印加する場合)では、電子放出点が保存されることを意味する。すなわち、Vmaxを上げることが、電子放出点の破壊を伴っていること、そして新たな電子放出点の生成を伴っていることを意味していると考えられる。
以上詳述したとおり、この実験1によって、Vmaxを適当な値に設定する制御を行うことによって、所望のI−V曲線を得ることができることを見出し、本発明を為すに至ったのである。
以下に本発明の実施形態例を具体的に説明する。実施形態1及び2では、上述した実験1で示した炭素繊維の集合体に特有な特性(Vmax依存性)を用いた電子放出素子の駆動方法を示す。尚、実施形態1は2端子構造の電子放出素子の駆動方法を示しており、実施形態2は3端子構造の電子放出素子の駆動方法を示している。そして、実施形態3は、上述したVmax依存特性を用いて、複数の電子放出素子を有する電子源並びに画像表示装置において、当該複数の電子放出素子間の特性差を低減する、製造方法を示している。
(実施形態1)
本発明の実施形態1による電子放出素子の駆動方法は、図1、図2に示したような形態であり、電子放出素子として、陰極(カソード電極)と、陰極の上方に距離Hだけ離れた陽極(アノード電極)とをもつ2端子構造の電子放出素子を用いるものである。
つまり、本実施形態の電子放出素子は、図2に示すように、電子放出素子を構成する炭素繊維の集合体94が形成された陰極電極93と、それに対向する位置に配置された対向電極(陽極電極)95との間に電圧源91により所定の電圧Vaが印加可能に構成されている。そして、本実施形態の電子放出素子の駆動方法は、駆動を開始しようとする時まで(典型的には製造時)に陰極電極93と対向電極95との間に印加された最大電圧、つまり炭素繊維の集合体94が経験した最大印加電圧Vmaxよりも小さい駆動電圧V(電子放出素子を駆動するための電圧)を、陰極電極93と対向電極(陽極電極)95との間に印加することにより電子放出素子の駆動を行うものである。
本発明の第1の実施形態における駆動方法を換言すれば、駆動時に陰極電極93と陽極電極95との間に印加される電圧よりも高い電圧を、製造時に、陰極電極93と該陰極電極93の上方に距離Hだけ離れた位置に配置された導電体との間に、少なくとも1回印加しておくものである。更に、換言すれば、駆動時に陰極電極93と陽極電極95との間に印加される電界強度よりも高い電界強度を、製造時に、陰極電極93と該陰極電極93の上方に配置された導電体との間に、少なくとも1回印加しておくものである。また、更に、換言すれば、駆動時に陰極電極93と陽極電極95との間に生じる放出電流よりも高い放出電流を、製造時に、陰極電極93の上方に配置された導電体に電圧を印加する(駆動時の電場と略相似の電場を形成する)ことで、炭素繊維の集合体94から少なくとも1回生じさせておくものである。
そして、この駆動方法は、前述した電子放出素子が複数マトリクス状に配置された電子源の駆動方法にも適用可能である。その場合には、各電子放出素子毎に、駆動電圧VとVmaxが前述した関係を満足するように設定するとよい。
また、図2に示す陰極電極93、対向電極95に加えて、複数の炭素繊維の集合体94から対向電極95に向かう電子放出量を制御するための制御電極を設ける場合もある(図
26参照)。この場合は、後述する実施形態2で説明する3端子構造の電子放出素子に含まれる。しかし、この実施形態1で説明する例においては、対向電極95と陰極電極93との間の電圧で生じる電界強度は炭素繊維から電子を引き出すために必要な電界強度以上に設定される。そのため、制御電極は、対向電極95と陰極電極93との間の電圧で生じる電界強度を弱める働きを担う。そして制御電極は、典型的には、炭素繊維からの電子放出を止める働きを担うことになる。このような素子においても、駆動時における駆動電圧Vを、前述したVmax以下の範囲に設定することで、再現性の高い電子放出を得ることができる。
(実施形態2)
本実施形態の電子放出素子を図6及び図7を用いて説明する。本実施形態における電子放出素子は、所謂3端子構造の電子放出素子である。尚、図7は、本実施形態の電子放出素子を駆動させた際の様子を示す断面模式図であり、図6は、陰極電極13とゲート電極12の部分を説明するための平面模式図(図6(a))と、図6(a)のA−A’間断面模式図(図6(b))である。
ゲート電極12と陰極電極13とが、基板11上において、間隔を置いて配置される。そして、陰極電極13上に配置された炭素繊維の集合体14の先端(符号64で表記)は、ゲート電極12の表面よりもアノード電極62(図7参照)に、より近くに位置する。
この例においては、炭素繊維の集合体14からの電子放出は、ゲート電極12とカソード電極との間に電位を印加することで始めて行われるタイプの電子放出素子である。つまり、アノード電極の電位は、炭素繊維の集合体14からの電子放出自体には実質的に寄与しないタイプの電子放出素子の例である。そのため、本実施形態例では、ゲート電極12が、本発明における対向電極に相当する。
図6(a)、(b)において、符号11は絶縁性基板(陰極基板)であり、符号12はゲート電極(引き出し電極)であり、符号13は陰極電極(カソード電極)であり、符号14は炭素繊維の集合体、を示している。
図7は本実施の形態に係る電子放出素子を駆動した際に、炭素繊維の集合体14から放出された電子が陽極(アノード電極)62に向かう様子を説明するための模式図である。
図7に示した例においては、陰極電極13とゲート電極12との間隔dを例えば数μm〜数十μmに設定すると共に、真空排気装置65によって10−4Pa程度に到達するまで十分に排気された真空装置60内に配置される。真空装置60内には、絶縁性基板11から1〜9mmの高さHの位置に陽極(アノード)62を有する基板61が設けられており、高電圧電源(第2の電圧印加手段)により例えば1〜10キロボルトの高電圧Vaが陽極電極62に印加される。
そして、本実施形態の電子放出素子の駆動においては、陽極電極62に電圧Vaを印加した状態で、陰極電極13とゲート電極12との間に、図示しない電源(第1の電圧印加手段)により駆動電圧Vfとして数十V程度からなるパルス電圧を印加する。その結果、陰極電極13とゲート電極12との間に形成された電界を主要因として炭素繊維の集合体14から電子が放出され、放出された電子が、陽極電極62に到達する。そして、本実施形態の電子放出素子の駆動方法も、実施形態1と同様に、駆動時までに陰極電極13と対向電極との間に印加された最大電圧、つまり炭素繊維の集合体14が経験した最大印加電圧Vmax以下の電圧(電子放出素子を駆動するための電圧)を、陰極電極13と対向電極との間に印加することで駆動するものである。
また、本発明の第2の実施形態における駆動方法を換言すれば、駆動時に陰極電極13とゲート電極12との間に印加される電圧よりも高い電圧を、駆動よりも前(典型的には製造時)に、陰極電極13とゲート電極12との間に、少なくとも1回印加しておくものである。更に、換言すれば、駆動時に陰極電極13と陽極電極62との間に印加される電界強度よりも高い電界強度を、駆動よりも前(典型的には製造時)に、陰極電極13とゲート電極12との間に、少なくとも1回印加しておくものである。また、更に、換言すれば、駆動時に陰極電極13と陽極電極62との間に生じる放出電流よりも高い放出電流を、駆動よりも前(典型的には製造時)に、陰極電極13とゲート電極12との間に電圧を印加する(駆動時の電場と略相似の電場を形成する)ことで、少なくとも1回生じさせておくものである。
尚、炭素繊維の集合体14から電子放出させるために必要な電界強度が、低い場合などにおいては、前記ゲート電極12と陰極電極13との間で形成される電界の作用だけでなく、アノード電極62と陰極電極13(及びゲート電極)との間で形成される電界の作用も加わって電子放出が行われる場合がある。そのため、このような場合においては、より詳細に述べると、アノード電極62とゲート電極12とを一つの電極と見なし、これが本発明の対向電極に相当する。
しかしながら、典型的には、炭素繊維の集合体14からの電子を引き出す役割を実質的に担う電極(陰極以外の電極)があるのであれば、その電極が前述した対向電極と考えて差し支えない。
尚、本実施形態2の電子放出素子の駆動時において、電極12、13間を流れる素子電流をIf、炭素繊維の集合体14から放出され陽極電極62に到達する放出電流をIeとして示すと、If<<Ieとなる。
本実施形態2の電子放出素子の駆動時において、電子放出素子の周囲の等電位線63は、図7の点線で示されるように形成される。そして、最も電界の集中する点は、炭素繊維の集合体14において、最もアノード電極62に近く、かつ、陰極電極13とゲート電極12とのギャップに最も近い場所である点64となると考えられる。そして、この電界が最も集中されると考えられる点64の近傍が、電子が放出される主要部分と考えられる。尚、図2を用いて説明した実施形態1の電子放出素子の場合には、最も電界の集中する点は、炭素繊維の集合体14のアノード電極95と対向する表面または、炭素繊維の集合体14の外周部であると考えられる。
図8は、本実施形態2に係る電子放出素子のVf−Ie特性を示すグラフである。尚、図8におけるVthは、陰極電極13とアノード電極62との間に電圧Vaを印加した状態のもとで、陰極電極13とゲート電極12との間に印加する電圧を徐々に上昇させていった際に、放出電流Ieが観測され始める電圧である。尚、実施形態1の電子放出素子における、Vf−Ie特性を示すグラフも、図8と同様となる。但し、実施形態1の場合は、上記Vthは、陰極電極93とアノード電極95との間に印加する電圧を徐々に上昇させていった際に、放出電流Ieが観測され始める電圧に相当する。
図9は、図8のグラフの縦軸であるIeを対数表記(log(Ie))した際の、Vf>Vthの領域における、Vf−Ie特性を表したものである。従って、実施形態1の電子放出素子においても図9と同様の特性を示す。
ここで、金属の先端から真空への電界放出において、その放出電流密度は、ポアソン方程式によって導かれるエミッター先端部の電界と、エミッター部の仕事関数をパラメーターとしてFowler−Nordheimの式と呼ばれる関係式に従うことが知られてい
る。このFowler−Nordheimの式からは、log(Ie/Vf)と1/Vfが線形の関係にあることが導かれ、その直線の傾きからは電界強度因子等が得られる。
このことから、log(Ie/Vf)を縦軸に設定し1/Vfを横軸に設定したグラフに、実際の電子放出特性をプロット(F−Nプロットと呼ぶ)すると、その得られたグラフが線形の関係に従うか否かを判断することによって、電流と電圧の関係が電界放出に依存して得られたものであるか否かを判断することができる。
しかしながら、本発明のように、電子放出素子の電子放出部が炭素繊維の集合体である場合においては、駆動電圧Vfの上限値によっては、必ずしも一つの線形関係に従わない(上記F-Nプロットのグラフに現れる線の傾きが一定にならない)ことがある。
図10は、上述の図9に示す本実施の形態に係る炭素繊維の集合体における電子放出特性について、log(Ie/Vf)と1/Vfのプロットを示した図である。図10に示すように、放出電流を伴う電圧範囲Vf>Vthにおいては、1/Vfに対するlog(Ie/Vf)の振る舞いに応じて、以下の2つの領域に分割される。
すなわち、
1. 低電圧領域:略線形に振る舞う領域
2. 高電圧領域:低電圧領域における変化量の絶対値と比較して、小さい絶対値の変化量で振る舞う領域。
ここで、上記2つの領域には、図11に示す以下の特徴がある。図11は低電圧領域と高電圧領域の駆動電圧を印加した場合の、放出電流Ieの時間変化を表したものである。
すなわち、低電圧領域における電子放出素子の一定電圧の駆動においては、数十時間程度の駆動では、1%以下の放出電流の劣化で済み、電子放出特性にほぼ変化なく、再現性が高い。
しかしながら、高電圧領域における電子放出素子の一定電圧の駆動においては、放出電流の減衰が激しく、数十分程度の駆動で、10%以上の放出電流の減少を生じる。
図8、図9及び図10に示される電子放出特性は、印加電圧の単調増加によって得られる曲線を示した。
また、電子放出特性の不可逆性を詳しく説明するため、3つの駆動電圧Vf1,Vf2,Vf3についてVf2>Vf1及びVf2>Vf3として、電圧と電流を、(Vf1,Ie1),(Vf2,Ie2),(Vf3,Ie3)の順に増減させた場合に、Vfとlog(Ie)の関係において辿る曲線を図示すると、前述した図1と同様になる。
また、図1におけるデータのプロットを変更して、1/Vfとlog(Ie/Vf)の関係(I−V特性)において辿る曲線を図示すると図12のようになる。
例えば、駆動電圧Vf1、電流Ie1で駆動していた電子放出素子において、この
駆動電圧を上昇させると、I−V特性は途中で折れ曲がる。
この折れ曲がる点における電圧までが初期の低電圧領域であり、この領域のI−V特性は再現性がある。
この電圧を過ぎると初期の高電圧領域に入り、このまま駆動電圧を上昇させていくと、図示したような片上がりのI−V特性を呈する。
ここで、電圧の上昇を、駆動電圧Vf2、電流Ie2の点P2で止める。次に、駆動電圧Vf2より低い電圧値で電子放出素子を駆動すると、そのI−V特性は、点P1〜P2までの屈曲点を経た曲線となることはなく、点P3〜点P2までの曲線に示すI−V特性となる。この点P3〜点P2まで示すI−V特性は印加電圧が駆動電圧Vf2を越えない限り再現性がある。
その後、更に印加電圧を駆動電圧Vf2を越えて上昇させると、P2を屈曲点とするI−V特性を示すことになる。
このように、炭素繊維の集合体を有する電子放出素子は、履歴上の最大印加電圧が大きくなる度に、I−V特性が変化する。しかし、最大印加電圧を越えない限り、そのI−V特性は実質的に変化しない。
以上をまとめると、初期の低電圧領域と高電圧領域とを隔てる閾値電圧は、最大印加電圧の上昇とともに移動し、過去に経験した最大印加電圧をVf2とすると、点P2を境にVf2駆動後の低電圧領域と高電圧領域とが生じることになる。
すなわち、過去の最大印加電圧を更新するように、印加電圧の上昇と下降を繰り返す度に、電子放出特性が変化し、電子放出閾値だけでなく、低電圧領域、高電圧領域を分ける特性の折れ曲がりが不可逆的に変化することになる。よって、過去の印加電圧の履歴が分からない場合には、屈曲点が現れるまで、印加電圧を徐々に上昇させ、その後、最大印加電圧を越えない範囲から駆動電圧を選択して、電子放出素子を駆動することが好ましい。
こうして、本発明の炭素繊維を用いた電子放出素子においては、その特性について次の特徴がある。すなわち、一度高電圧領域における電圧を経験したならば、もはや元の低電圧領域にもどることは不可能であるが、新しく変更された低電圧領域は、高電圧領域で経験した電圧値に対応する電流値までに、電流範囲が拡大される。
つまり、図1及び図12を用いて説明すると、駆動電圧Vf1から高電圧領域に入り、駆動電圧Vf2を経験した後に得られる低電圧領域の上限は、Vf2であり、この領域の上限に対応する電流値はIe2である。
一旦Vfの駆動を経験すると、図1に示すように、新たな低電圧領域が決定される。ここで、Vf駆動経験後の低電圧領域の上限はVfであり、それに対応する電流Ie2までに、低電圧領域における電流範囲が拡大される。
実際に、電子放出素子を様々な用途に用いる場合には、駆動時における印加電圧によって再現性良く放出電流を制御できなければならない。そのためには、再現性があり、log(Ie/V )と1/Vfのプロット(F−Nプロット)で見た場合に、略線形関係がある低電圧領域で駆動することが望まれる。従って、低電圧領域において出力できる電流範囲が、電子放出素子のダイナミックレンジである。
このことは、Vfを印加することによって、初期と比較して、電子放出素子のダイナミックレンジを広範囲化することができることを示している。
すなわち、低電圧領域内の駆動においては、電子放出特性の不可逆変化は実質ないか、若しくは、ほぼ無視できるが、上記高電圧領域における駆動においては、炭素繊維の集合体における局所的な形状または/及び電子放出特性の無視できない程度の不可逆変化がおこると考えられる。
このような特性のため、表示などの実用上の駆動時のように、長時間の電子放出素子の駆動に際し、高電圧領域において電子放出素子を駆動することは、電流劣化を起こすため、好ましくない。
従って、安定な放出電流を維持するためには、上述したように、最大印加電圧Vmaxより小さい低電圧領域において駆動することが好ましい。
また、もし、表示などの実用上の駆動の際に、目的とする駆動電流値が、低電圧領域の上限以上にある場合には、前述の本発明の駆動方法とは逆に、目的とする駆動電流値が得られる高電圧領域内の電圧以上の電圧を一旦印加することが好ましい。つまり、履歴上の最大印加電圧よりも高い電圧(Vmax)を印加し、電子放出素子のダイナミックレンジを広範囲化させた後、上記Vmaxより小さい駆動電圧で電子放出素子を駆動するようにする。
このようにすることで、新たに得られる低電圧領域に対応する電流範囲が、目的とする駆動電流以上の領域まで拡大することができる。そのため、より時間的に安定な駆動状態が実現可能な低電圧領域において、目的とする駆動電流により電子放出素子の駆動が可能とすることができる。
後述する本発明の実施形態3は、炭素繊維の集合体の電子放出特性をシフトさせ得ることを利用して、複数の電子放出素子間の電子放出特性差を低減し、その結果、均一性の高い電子源を提供するものである。
ここで、本発明に用いられる電子放出素子の製造方法の一例を以下に説明する。尚、ここでは、上述した実施形態2において説明した、図6に示すような、横型の電子放出素子の例を説明する。しかしながら、本発明は、図26に示すような所謂、縦型の電子放出素子に用いることもできる。尚、縦型の電子放出素子に比べ、横型の電子放出素子の方が、製造が簡易であると共に、駆動時の容量成分が少ないため、高速駆動ができるので好ましい形態である。
また、「横型の電子放出素子」とは、基板の表面と実質的に平行な方向に電界を形成し、この電界によって炭素繊維の集合体から電子を引き出す形態の電子放出素子を指す。一方「縦型の電子放出素子」とは、基板表面に対し実質的に垂直な方向に電界を形成し、この電界によって炭素繊維の集合体から電子を引き出す形態の電子放出素子を指す。所謂スピント型の電子放出素子が縦型の電子放出素子に含まれる。
また、図26に示した縦型の電子放出素子では、陰極電極113と制御電極112を含むもの(アノード電極116を含めてトライオード(3端子)構造と呼ばれる)であるが、炭素繊維の集合体115は低い電界強度で電子放出することが可能なので、図26における制御電極112、絶縁層114を省いた構造の縦型の電子放出素子(図2参照)にも本発明は適用可能である。即ち、基板111上に配置されたカソード電極113と、その上に配置された炭素繊維の集合体115とで電子放出素子を構成したもの(アノード電極116を含めるとダイオード(2端子)構造と呼ばれる)にも本発明は適用できる(図2参照)。
また、上記トライオード構造においては、図26に示しているように、制御電極112が所謂ゲート電極(炭素繊維の集合体115から電子を引き出すための電極)として機能する場合もあるが、炭素繊維の集合体115は低い電界強度で電子放出することが可能なので、炭素繊維の集合体115からの電子の引き出しはアノード電極116が行い、制御
電極112は、炭素繊維の集合体からの電子放出量の変調や電子放出の停止あるいは放出される電子ビームの収束などの整形を行うために用いられる場合もある。このような場合は、アノード電極116が対向電極となる。
以下の例はあくまで一例であり、本発明の製造方法が以下の例に限られるものではない。また、以下の例では、図6、7で示した3端子構造の電子放出素子の製造例を挙げる。
(工程1)まず、絶縁性基板11として、石英ガラスや、PD200ガラスや、Na等の不純物含有量を減少させKなどに一部置換したガラスや、青板ガラスや、シリコン基板等にSiOを積層した積層体や、アルミナ等のセラミックスなどから選択された基板を、その表面を十分に洗浄して用意する。
(工程2)ゲート電極12及び陰極電極(制御電極)13を、蒸着法、スパッタ法等の一般的成膜技術、及びフォトリソグラフィー法などの一般的なパターニング技術により、絶縁性基板11上に形成する。ゲート電極12及び陰極電極13の材料は、例えば、金属、金属の窒化物、金属の炭化物、金属のホウ化物、半導体、半導体の金属化合物から適宜選択される。ゲート電極12及び陰極電極13の厚さとしては、所望の抵抗値の範囲内に設定できれば良いが、例えば10nm〜100μmの範囲で設定される。
特に、後述する、触媒を用いて炭素繊維をCVD成長させる場合は、炭素繊維の成長を安定にするために、陰極電極13と炭素繊維との間に、金属窒化物の膜を配置することが好ましい。金属窒化物としては、例えばTiNを用いることが好ましい。
(工程3)陰極電極13上に、炭素繊維の集合体14を配置する。炭素繊維としては、好ましくはグラファイトナノファイバーを用いる。グラファイトナノファイバーとしては、プレートレット型、ヘリングボーン型などや、または、それらが混合された形態を用いることができる。
以上の工程により、炭素繊維の集合体を有する電子放出素子を形成することができる。そして、実際の駆動時においては、前述した、Vmax以下の電圧範囲で駆動することで再
現性の高い電子放出特性を得ることができる。
因みに、本発明に用いることができる炭素繊維としては、グラファイトナノファイバーの他に、カーボンナノチューブや、カーボンナノチューブの先端が閉じたカーボンナノホーンや、アモルファスカーボンファイバーなどを用いることができる。基本的に、本発明に用いることのできる炭素繊維は、導電性である。また、これらの炭素繊維はいずれもその直径がナノオーダー(1nm以上1000nm未満であり、好ましくは5nm以上100nm以下)のものであることが好ましい。
上記炭素繊維の形態の一例を図24、図25に示す。各図において、(a)は光学顕微鏡レベル(〜1000倍)で見える形態、(b)は(a)の81あるいは91の部分拡大図であり、走査電子顕微鏡(SEM)レベル(〜3万倍)で見える形態、(c)は(b)の部分拡大図〔図8(c)は(b)の82の部分拡大図、図9(c−1)、(c−2)はそれぞれ(b)の92、93の部分拡大図〕であり、透過電子顕微鏡(TEM)レベル(〜100万倍)で見えるカーボンの形態を模式的に示している。図中、83,94はグラフェンである。
図24のように、グラフェン83が円筒形状の形態をとるものは「カーボンナノチューブ」と呼ばれる。換言すると、炭素繊維の軸方向を囲むよう(円筒形状)にグラフェンが配置されている炭素繊維が、「カーボンナノチューブ」と呼ばれる。あるいは、また、グ
ラフェン(複数のグラフェン)が炭素繊維の軸に対して実質的に平行に配置される炭素繊維と言うことともできる。多重構造になった多数の円筒で構成されているものは「マルチウォールナノチューブ」と呼ばれ、1つの円筒で構成されているものは「シングルウォールナノチューブ」と呼ばれる。特にチューブの先端を開放させた構造の時に、電子放出に要するしきい値電界が最も下がる。
図25のように、積層されたグラフェン94によって構成される炭素繊維は「グラファイトナノファイバー」と呼ばれる。より具体的には、グラファイトナノファイバーは、その長手方向(ファイバーの軸方向)にグラフェンが積層された炭素繊維を指す。換言すると、図25に示すように、炭素繊維の軸に対して非平行に配置された複数のグラフェンが積層されてなる炭素繊維である。典型的には、ヘリングボーン型においては、炭素繊維の軸とグラフェンの面との成す角度は30度から90度の範囲にある。また、グラフェンが平面状であり、そのc軸が炭素繊維の軸方向にある場合(典型的には、炭素繊維の軸とグラフェンの面との成す角度が90度の場合)には、プレートレット型と呼ばれる。また、グラフェンがV字状に折れ曲がっており、そのV字状のグラフェンが炭素繊維の軸方向に積層されたもの(図25c-2参照)をヘリングボーン型と呼ばれる。また、円錐状(但
し底面に相当する部分を少なくとも持たない円錐状)のグラフェンが、炭素繊維の軸方向に積層されたものもヘリングボーン型の1種に含まれる。更には、上記円錐状のグラフェンの先端部がない(底面も先端もない)グラフェンが炭素繊維の軸方向に積層されたもの(図25c-1参照)もまた、ヘリングボーン型の1種に含まれる。
尚、グラファイトの1枚面を「グラフェン」あるいは「グラフェンシート」と呼ぶ。より具体的には、グラファイトは、炭素原子がsp2混成により共有結合でできた正六角形を敷き詰めるように配置された炭素平面が積層された(理想的には3.354Åの距離を保って積層された)ものである。この一枚一枚の炭素平面を「グラフェン」あるいは「グラフェンシート」と呼ぶ。
前記グラファイトナノファイバーは、Vmax制御による電子放出特性の制御性がカーボンナノチューブに比較して容易である。そのため、炭素繊維の集合体を用いた電子放出素子を多数配列したマルチ電子源において、個々の電子放出素子間の電子放出特性を調整しやすい。従って、画像表示装置やマルチ電子源においては、炭素繊維の集合体としては、グラファイトナノファイバーだけによって構成するか、または、グラファイトナノファイバーが主体として含まれている炭素繊維の集合体を用いるのがより好ましい。
炭素繊維の集合体14を陰極電極13上に配置する方法としては、公知の製造方法を用いることができる。例えば、予め形成しておいた炭素繊維を含むペーストや予め形成しておいた炭素繊維の分散液を、陰極電極上に塗布した後に不要な成分を除去することで炭素繊維の集合体14を陰極電極13上に配置することができる。あるいはまた、陰極電極13上に触媒(好ましくは触媒粒子)を配置し、炭素含有ガスを含む雰囲気中で、CVD法を行うことにより陰極電極13上に炭素繊維を多数成長させることができる。
炭素繊維を成長させるための上記触媒を構成する材料としては、Fe、Co、Ni、Pdや、これらの合金などを使用することができるが、特に電子放出特性の観点から、PdとCoの合金を触媒として用いることが好ましい。
特に、Pd、Niは低温(400℃以上の温度)でグラファイトナノファイバーを生成することが可能である。Fe、Coを用いたカーボンナノチューブの生成温度は800℃以上必要なことから、Pd、Niを用いてのグラファイトナノファイバー材料の作成は、低温で可能なため、他の部材への影響や、製造コストの観点からも好ましい。
更に、Pdは、その酸化物が水素により低温(室温)で還元される特性を用いて、核形成材料として酸化パラジウムを用いることが可能である。
酸化パラジウムの水素還元処理を行うと、一般的な核形成技法として従来から使用されている金属薄膜の熱凝集や、超微粒子の生成と蒸着を用いずとも、比較的低温(200℃以下)で初期凝集核の形成が可能となる。
前述の炭素含有ガスとしては、例えばエチレン、メタン、プロパン、プロピレンなどの炭化水素ガス、CO、COガスあるいはエタノールやアセトンなどの有機溶剤の蒸気を用いてもよい。
以上の工程により、炭素繊維の集合体を有する電子放出素子を形成することができる。
前述したVmax印加による電子放出特性の変動と再現性は、カーボンナノチューブよりもグラファイトナノファイバーに顕著に見られる。この様子を図13に示した。図13はカーボンナノチューブ(CNT)及びグラファイトナノファイバー(GNF)を電子放出部材に用いた電子放出素子の1/Vf−log(Ie/Vf)特性を比較したグラフである。
グラファイトナノファイバーにおいては、Vf=Vfを印加した後に得られる低電圧領域が、初期の低電圧領域と比較して、顕著にシフトすることが分かる。一方で、カーボンナノチューブにおいては、グラファイトナノファイバーに比較すると電子放出特性のシフト量自体は少ないが、特性のシフト自体は行われる。
(実施形態3)
次に、本発明の実施形態3として、各々が上述した炭素繊維の集合体を有する電子放出素子を、多数配列した電子源の駆動方法及び、各電子放出素子の電子放出特性差を低減する製造方法(特性調整工程)について説明する。
図14は、上記の方法によって作製した電子放出素子を複数マトリックス状に配置した電子源の一例である。図15は、図14におけるA−A’間の断面を模式的に表している。本発明の電子放出素子の配列形状については、図14に限られるものではない。
図14の例においては、列方向配線161が、素子のゲート電極165(図6、7における符号12で示される部材)に接続している。行方向配線162は、素子のカソード電極(陰極電極)163と電気的に接続している。炭素繊維の集合体164は、素子のカソード電極163と電気的に接続している。これらは、図15から分かるように、基板171上に形成されている。そして、この図14に示されるマルチ電子源の上には、スペーサを介して、アノード電極が対向しており、カソード電極の電位に対して正の電圧Vaが印加されるように構成されている(図7参照)。
図16は、本実施の形態に係る電子源を駆動する際に印加される電圧の様子を説明するための模式的断面図である。
図16に示すように、この電子源においては、所望の列方向配線と所望の行方向配線を選択し、電圧を印加することにより、選択的に所望の電子放出素子を駆動することができる。例えば、選択した列方向配線にVx=V1なる電圧を印加し、非選択の列方向配線にはVx=V2なる電圧を印加する。そして、同時に、選択した行方向配線にVy=V3なる電圧を印加することにより、選択した行方向配線と選択した列方向配線とに接続する電子放出素子には、Vf=V1−V3の駆動電圧が印加される。また、非選択の列方向配線
と選択した行方向配線とに接続する電子放出素子には、Vf=V2−V3なる駆動電圧が印加される。この、V1,V2,V3の大きさを適当な大きさにすることにより、所望の電子放出素子のみを駆動し(電子放出させ)、他の電子放出素子を駆動しない(電子放出させない)状態を実現することができる。このような方法を用いて、各電子放出素子の電子放出特性を個別に調べることができる。そして、上記した方法において、選択する行方向配線を順次切り替えることで、所謂線順次駆動を実現することができる。尚、線順次駆動においては、複数の行方向配線を同時に選択することによって複数ラインを同時に駆動することもできる。
また、本発明のように炭素繊維の集合体を電子放出部材として用いた電子放出素子を多数配列することで形成した電子源においては、それぞれの電子放出素子における電子放出特性が必ずしも均一になるわけではない。例えば、各電子放出素子のゲート電極161と陰極電極163との間に同じ駆動電圧Vfを印加した場合においても、各電子放出素子から放出される電流(各電子放出素子からアノード電極に到達する放出電流Ie)が必ずしも揃っているわけではない。これは、各電子放出素子の炭素繊維の集合体の形状が異なっていたり、陰極電極とゲート電極との間隔に誤差があったりすることにもその一因があるかもしれない。
図17は、3つの電子放出素子(電子放出素子A、電子放出素子B、電子放出素子C)の夫々の1/Vf−log(Ie/Vf)特性を比較したグラフである。例えば、素子A、素子B、素子Cにおいて、それぞれの初期特性は、図17に示すF−Nプロットに示すように異なっているとすると、素子A、素子B、素子Cの順に、F−Nプロットの傾きの絶対値は大きく、電子放出閾値が小さい。
前記したように、炭素繊維の集合体を電子放出体として用いた電子放出素子には、Vmax依存性がある。そのため、例えば、図17に示すような電子放出特性を示す電子放出素子の中から選択した電子放出素子に対して、当該選択された電子放出素子に過去に印加された最大電圧よりも高い電圧を当該選択された電子放出素子に印加することにより、図17で示される当該選択された電子放出素子の電子放出特性を左側へシフトすることができる。
これは、素子Aの電子放出特性を素子Cの電子放出特性に移行させることができることを示す。従って、この手法を用いることにより、電子源を構成する各電子放出素子間に電子放出特性に許容できない差が存在する場合において、各電子放出素子の電子放出特性差を所定の範囲内に収める(電子放出特性差を低減する)ことができる。具体的には、図17においては、素子Cを基準として、他の素子のI−V特性を、素子CのI−V特性に近づけるようにすることができる。
次に、各電子放出素子の電子放出特性差を低減する方法(特性調整工程)を説明する。以下では、3つの電子放出素子(電子放出素子A、電子放出素子B、電子放出素子C)で電子源が構成された場合における、各電子放出素子の電子放出特性差を低減する方法を説明する。より具体的には、素子A及び素子Bの電子放出特性を素子Cの電子放出特性に合わせる方法の一例を説明する。図18は、異なる電子放出素子の電子放出特性差を低減する方法を説明するために、1/Vf−log(Ie/Vf)特性を比較したグラフである。尚、ここで説明する例においては、説明を簡略化するために、電子源が3つの電子放出素子からなる場合を説明するが、電子源を構成する電子放出素子の数は、勿論限定されるものではない。
各電子放出素子の電子放出特性差を低減する方法(特性調整工程)においては、以下に示す第1の工程、第2の工程、第3の工程を含むことが好ましい。但し、下記第1の工程
と第2の工程は特に分けなくても良い。
まず、第1の工程として、素子A、素子Bを素子Cのそれぞれが、どういう初期特性を持っているのかを調べるために、各素子の特性を測定する工程を行う。この特性測定工程においては、特性測定電圧を、それぞれの電子放出素子に印加する。例えば、それぞれの電子放出素子に、Vf=0からVf=Vfまで印加電圧を上昇させることにより、Vf=0からVf=Vfの範囲内の各電子放出素子の特性を知ることができる。
次に、第2の工程として、各素子の前述した低電圧領域における特性差を低減するために、基準となる素子を選択する。基準となる素子の選定は、例えば、対象となる複数の電子放出素子の中で、電子放出の開始が観測されるために必要な電圧(閾値電圧)が最も高い電子放出素子を選択すればよい。図18に示される3つの電子放出素子においては、最も高い閾値電圧を示す電子放出素子として、素子Cが選択される。また、基準となる素子の選定は、例えば、Vf=Vfにおける放出電流、あるいは、Vf=Vfにおけるlog(Ie/Vf)の値が最も小さい値を示す素子を選択することによっても行うことができる。この方法によっても、図18に示される3つの電子放出素子においては、素子Cを選択することができる。そして、選択された基準素子の特性に基づいて、電子放出特性の基準値を求める。この工程を基準値選択工程と呼ぶ。
次に、第3の工程として、上記第2の工程において選択された基準素子(素子C)に順じた特性になるように、他の素子(素子Aおよび素子B)に対し、特性シフト電圧を印加する。この工程を特性シフト工程と呼ぶ。
上記特性シフト電圧の最大値が、素子A及び素子Bの最大印加電圧Vmaxということになる。すなわち、まず素子Aの印加電圧を上昇させてゆく。すると、ある電圧以上において、F−Nプロットの傾きの絶対値が急激に減少し、素子Aは前述した高電圧領域に入る。高電圧領域に入った後は、印加電圧をすこしずつ上昇させるが、電圧を上昇させた毎に1度電圧を下げて、新しく形成される低電圧領域における電子放出特性を調べながら、基準素子(素子C)に順じた特性になるまでVmaxを上げてゆく。
この方法は、素子Cの特性に順じた特性になるように、素子Aに印加するVmaxの値をいくつに設定すべきかが最初から分かっていないために行われる例である。この方法においては、素子Aに印加する印加電圧を小刻みに上昇させる度に、低電圧領域における素子Aの電子放出特性を調べる。このようにして、素子AのVmaxをVf=Vfまで上昇させることにより(図18参照)、素子Aの特性は、素子Cの特性に順じた特性になる。素子Bについても同様の方法を用いて、素子BのVmaxとして、Vf=Vfまで上昇させることにより(図18参照)、素子Cの特性に順じた特性になる。
このように上記特性シフト工程を用いることにより、所定の電圧を印加した場合に放出される電子の量が相対的に少ない電子放出素子(素子C)のI−V特性に、前記電子の量が相対的に多い他の電子放出素子(素子A、素子B)のI−V特性を近づけることができる。そして、特性シフト工程の後においては、各々の電子放出素子(陰極電極と対向電極との間)に上記特性シフト工程で用いた最大印加電圧Vmaxより小さい駆動電圧Vを印加することで、各電子放出素子を駆動する。これにより、各電子放出素子から所望量の電子が再現性高く放出されるので、このような電子源を用いた画像表示装置においては、均一性の高い良好な画像を得ることができる。
上記の方法では、電子放出素子Cの初期の特性に順ずるように、その他の電子放出素子A、Bの特性を調整する方法を示した。しかしながら、前述の特性測定工程で測定された素子Cの低電圧領域における特性が、所望の放出電流量を満足しない場合がある。このよ
うな場合には、下記に述べるように、素子Cも含めて全ての電子放出素子に対して特性シフト電圧を加え、全ての素子のVmaxを上昇させることが好ましい。具体的には、まず、複数の電子放出素子の中から例えば前述した方法と同様に、最も高い閾値電圧を示す電子放出素子(基準となる電子放出素子)を選択する。そして選択された電子放出素子(素子C)にVmaxに相当する電圧(高電圧領域の電圧)を印加することで、選択された電子放出素子(素子C)の特性をシフトさせる(低電圧領域を広げる)。この工程を基準素子電圧調整工程と呼ぶ。そして、このように、素子Cのダイナミックレンジを広げたのちに、素子Cを基準素子とする。そして、特性シフトさせた後の素子Cの電子放出特性を基準値として、前述した方法と同様にして他の電子放出素子(素子A、素子B)の特性を素子Cの特性に順じた特性にシフトさせる。ここで説明する例においては、説明を簡略化するために、電子源が3つの電子放出素子からなる場合を説明するが、電子源を構成する電子放出素子の数は、勿論限定されるものではない。
上記方法を説明するために図19を用いて説明する。まず、所望の放出電流量に対応する、縦軸の値に達するまで、選択した素子(素子C)に印加する駆動電圧Vfを上昇させる。すなわち、素子CにVf=0VからVf=Vf1’に達するまで印加電圧を上昇させ、選択した素子(素子C)のVmaxを上昇させる。この結果、選択した素子(素子C)のVmaxがVf1’となる。このように素子Cの特性をシフトさせた後、前記した方法と同様にして、素子A、素子Bのそれぞれの電子放出特性が、素子Cの低電圧領域の電子放出特性に順ずるように、素子A及び素子Bに印加する電圧を上昇させる。この工程で素子C以外の各素子に印加した最大電圧であるVmaxが決まる。すなわち、図19においては、素子AのVmaxはVf=Vf3’、素子BのVmaxはVf=Vf2’となる。以上の方法を多数の電子放出素子からなる電子源に対して適用することにより、初期状態で、所望の電子放出特性を満たす電子放出素子が1つも存在しない場合においても、電子源を構成する各素子が所望の電流を放出すると共に、各素子間の電子放出特性差が少ない状態を実現することができる。
これにより、各電子放出素子から所望量の電子が再現性高く放出されるので、このような電子源を用いた画像表示装置においては、均一性の高い良好な画像を得ることができる。
上記した特性調整工程を用いることにより、電子源を駆動することに伴う経時劣化などによって、各電子放出素子の電子放出特性に差が生じた場合に、その差を低減するためにも用いることができる。
図20は、上述したような、電子源の駆動に伴い各電子放出素子の特性が変化(劣化)した場合において、各電子放出素子間の特性を揃える工程を説明するためのグラフである。図20においては、図19と同様に1/Vf−log(Ie/Vf)を縦軸とし、1/Vfを横軸としたグラフである。ここで説明する例においては、説明を簡略化するために、電子源が3つの電子放出素子からなる場合を説明するが、電子源を構成する電子放出素子の数は、勿論限定されるものではない。
図20に示すように、各電子放出素子が経時劣化などにより、ある素子(この場合は素子Cに相当する)が、必要とする放出電流が得られなくなった場合には、例えば、素子A、素子B、素子Cのそれぞれの特性を測定しつつ、最終的に素子A、素子B、素子Cにそれぞれ、Vf1”、Vf2”、Vf3”を印加する。このVf1”、Vf2”、Vf3”は、それぞれの素子がこれらの電圧の印加を受ける前に経験したいずれの印加電圧よりも高い電圧となる。そしてこれらの電圧を各々の電子放出素子に印加することにより、各電子放出素子間の電子放出特性の差を低減することができる。この結果、再び、均一性が高く、電子放出特性の再現性の高い電子源とすることができる。また、上記した駆動中にお
ける電子放出特性差が生じた場合における、特性差の低減方法は、予め設定したタイミングで行うこともできるし、また、定期的に特性差を測定し、所定の範囲外まで各電子放出素子の特性差が広がった場合にのみ行うこともできる。更には上記特性差の低減を行う回数についても制限はない。
上記した複数の電子放出素子間における電子放出特性差を低減する方法においては、炭素繊維の集合体から対向電極(例えばアノード電極)へ放出される放出電流とその際の駆動電圧との関係を測定することにより、各素子の電子放出特性を測定することができる。また、各素子の電子放出特性を測定するその他の手段としては、予めアノード電極への放出電流と、カソード電極へ流れ込む電流との比を測定することによって、炭素繊維の集合体に流れ込む素子電流と、その際にカソード電極と対向電極との間に印加される駆動電圧との関係から、各電子放出素子の電子放出特性を知ることができる。
また、アノード電極の表面に蛍光体などの発光体膜を配置し、炭素繊維の集合体からの放出電子が発光体に衝突した際に生じる発光を利用することも可能である。すなわち、予め素子からの放出電流と、発光強度の関係を測定することによって、発光強度と、駆動電圧の関係から、各電子放出素子の電子放出特性を知ることができる。
また、上記した実施形態3における特性調整工程においては、複数の電子放出素子の対向電極を一つの電極で構成することもできる。即ち、実施形態1または2で示した電子放出素子を複数配列する場合においては、アノード電極(図2では符号95で表され、図7では符号62で表される)は、一つの連続した電極となっている。そのため、個々の電子放出素子における対向電極は、単一の電極で構成されることもできるし、また、別個の電極で構成されることもできる。また、対向電極が、個々の電子放出素子毎に独立した電極であっても、上記特性調整工程は、複数の電子放出素子間で同時に行うことも可能である。勿論、複数の電子放出素子の対向電極が一つの連続した電極で構成される場合でも、上記特性調整工程は、複数の電子放出素子間で同時に行うことができる。上記特性調整工程を、複数の電子放出素子において同時に行うことができれば、製造工程に要する時間も短縮できるので好ましい。
上記した本発明の実施形態1及び2においては、電子放出素子の駆動時においてカソード電極(陰極電極)と対向電極との間に印加する電圧を、電子放出素子の製造時においてカソード電極(陰極電極)と対向電極との間に印加した最大電圧(Vmax)を超えない値にすることを特徴とするものである。しかしながら、この駆動方法は、駆動時におけるカソード電極と対向電極との相対位置と、製造時におけるカソード電極と対向電極との相対位置とが変化しないことを前提にしている。
勿論、このように、製造時と駆動時におけるカソード電極と対向電極との相対位置の変化がないことが最も好ましいのであるが、一方で、製造時と駆動時において、カソード電極と対向電極との相対位置を積極的に変えることも可能である。
このような場合は、上述した電圧だけで各電子放出素子の電子放出特性(上述したVmax依存)が決まるわけではない。そのため、上述した電圧を、駆動前(典型的には製造時)における最大印加電界強度(Emax)と駆動時における印加電界強度に置き換えることができる。勿論、製造時と駆動時におけるカソード電極と対向電極との相対位置の変化がない場合においては、VmaxをEmaxにそのまま置き換えることができる。
例えば、実施形態1のように、2端子構造の電子放出素子の場合においては、駆動時に用いるアノード電極(対向電極)95が、カソード電極93が形成された基板92とは別の基板96に配置される。このような場合においては、製造時に印加する最大電圧(Vm
ax)の印加を、駆動時に用いるアノード電極95とは別の電極とカソード電極との間で行うこともできる。つまり、例えば、電位が制御できる金属板を、炭素繊維の集合体94を有するカソード電極93の上方に配置し、カソード電極93と上記金属板との間に電圧(Vmax)を印加することもできる。この場合は、例えば、駆動時において、カソード電極93とアノード電極95との間に印加される最大電界強度が、製造時にカソード電極93と金属板との間に印加された電界強度(Emax)よりも低くなるようにすれば良い。この思想は、実施形態2で示した3端子構造の電子放出素子にも当てはめることができる。
但し、このようなEmaxで規定する場合においては、駆動前(典型的には製造時)における電圧印加(電界印加)によって生じる電場(電子放出を支配する電場)が、駆動時における電圧印加(電界印加)によって生じる電場とが実効的に相似の関係であることが望まれる。換言すると、炭素繊維の集合体における、駆動前(典型的には製造時)における電圧印加によって電子が放出される領域と、駆動時における電圧印加によって電子が放出される領域とに、大幅な位置の移動がないことが望まれる。このようにしなければ、上述した実施形態1,2で示した電子放出特性の再現性や実施形態3で示した特性調整工程の効果が、駆動時に発現されなくなる場合がある。
また、上述したEmaxは、Imaxによって置き換えることもできる。つまり上述した電界強度を、駆動前(典型的には製造時)における最大放出電流(Imax)と駆動時における放出電流に置き換えることができる。但し、上記最大放出電流は、2端子構造の電子放出素子の場合は、単純に対向電極に流れこむ電流と置き換えることもできる。一方、3端子構造の場合は、アノード電極に流れこむ電流に置き換えることもできる。勿論、製造時と駆動時におけるカソード電極と対向電極との相対位置の変化がない場合においては、VmaxをImaxにそのまま置き換えることができる。また、Emaxについて述べたように、金属板などを用いることで、製造時と駆動時におけるカソード電極と対向電極との相対位置の変化を積極的に行うこともできる。
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
(実施例1)
図21は、本実施例に係る電子放出素子の製造工程を説明するための模式的断面図である。
(工程1)
石英基板である基板11を十分洗浄を行った後、ゲート電極12として厚さ5nmのTi、及び、陰極電極13として厚さ30nmのポリSi(砒素ドープ)を、それぞれスパッタ法により基板11上に連続的に蒸着した。
次に、フォトリソグラフィー工程で、ポジ型フォトレジスト(AZ1500/クラリアント社製)を用いてレジストパターンを形成した。
次に、パターニングした前記フォトレジストをマスクとして、ポリSi(砒素ドープ)層、Ti層をCFガスを用いてドライエッチングを行い、電極ギャップ
間が5μmからなる対向電極としての引き出し電極12、及び陰極電極13を形成した(図21(a))。
(工程2)
次に、基板全体にCrをEB(電子ビーム)蒸着にて約100nmの厚さ分堆積した。
フォトリソグラフィー工程で、ポジ型フォトレジスト(AZ1500/クラリアント社製)を用いてレジストパターンを形成した。
次に、パターニングした前記フォトレジストをマスクとし、電子放出材料を被覆すべき領域(100μm角)を陰極電極上に形成し、開口部のCrを硝酸セリウム系のエッチング液で取り除いた。
レジストを剥離した後、スパッタリング法により、電子放出材料である炭素繊維の成長触媒金属であるPdとCoを1対1の比にて、アイランド状に形成した。
形成後、Crを硝酸セリウム系のエッチング液にて取り除いた(図21(b))。
(工程3)
炉内に基板11を配置し、炉内の大気を10−4Torrまで排気後、窒素により2%に希釈した水素ガスを大気圧まで満たした。その後、基板を、前記水素ガス気流中において、600℃に加熱して熱処理を行った。この段階で素子表面には粒子の直径が約10〜30nmの微粒子52が形成された。この時の粒子の密度は約1011〜1012個/cmと見積もられた(図21(c))。
(工程4)
続いて、前記水素ガスに加えて、窒素希釈した1%エチレンガスを導入し、その雰囲気中で600℃、10分間加熱処理をした。これを走査電子顕微鏡で観察すると、Pd塗布領域に直径30nm〜50nm程度で、屈曲しながら繊維状に伸びた多数の繊維状カーボンが形成されているのがわかった。このとき繊維状カーボンの厚さは約1μmとなっていた。
本素子を図7に示したような真空装置60に設置し、真空排気装置65によって2×10−5Paに到達するまで十分に排気した。素子からH=2mm離れた陽極(アノード)61に、陽極(アノード)電圧としてVa=10kV印加した。このとき素子には駆動電圧Vf=15Vからなるパルス電圧を印加して流れる素子電流Ifと電子放出電流Ieを計測した。
素子のIf、Ie特性は図8に示したものと同じような特性であった。
すなわち駆動電圧Vfを0Vから増加させてゆくと、Vf=VthからIeが急激に増加しはじめた。そして、Vf=15Vまで増加させて、そこで電圧値を維持した。このとき、約1μAの電子放出電流Ieが測定された。一方IfはIeの特性に類似していたが、その値はIeと比較して一桁以上小さな値であった。
また、このときの電圧印加は、単調増加させているが、0Vから最大値15Vまでの電圧領域におけるF−Nプロットをとったところ、略線形な低電圧領域までしかなく、略線形な直線の高電圧領域への折れ曲がりは、この電圧領域においては測定されなかった。従って、このときの駆動は高電圧領域での電圧駆動ではない。また、上記Vf=15V、そのときの放出電流Ie=1μAのF−Nプロット上の点は、本電子放出素子の上記駆動における低電圧領域内にあることが分かった。
次に、上記Vf=15VがVmaxであるので、これより低いVf=14Vによる電圧駆動において本発明の電子放出素子を持続させたところ、安定した放出電流が得られた。また、充分に長時間の駆動ができることが判明した。
また、Vf=10V程度のより低い電圧で素子を駆動したところ、これでも安定した放出電流が得られた。
(実施例2)
実施例1における電子放出素子の製造工程と同等な工程によって製作した、炭素繊維を用いた電子放出素子の駆動は、初期の駆動において、引き出し電極12と陰極電極13間に印加する印加電圧を0Vから40Vまで単調増加させたのち単調に減少させた。このときの電子放出特性のF−Nプロットは、昇電圧過程において、約30V(このときの電流はおよそ12μA)までは略線形の関係にあった。この時の陽極電圧はVa=10KVである。
しかし、印加電圧30V付近において、F−Nプロット上の傾きの絶対値が急激に減少し、印加電圧30V以上の昇電圧過程においては、再び略線形の関係に従った。この振る舞いから、本実施例の電子放出素子においては、約Vf=30Vが、初期の低電圧領域と、高電圧領域の境であると考えられる。その後、印加電圧を40Vまで上昇させたが、このときの放出電流は、およそ16μAであった。この後、印加電圧を35Vまで減少させたが、このときの電子放出特性を見てみると、昇電圧時とは異なる略線形の関係に従った。35Vに到達したときの放出電流は、およそ13μAであった。
そこで、上記Vf=35Vによる電圧駆動において本発明の電子放出素子を持続させたところ、安定した放出電流が得られた。また、実製品においては充分に長時間の駆動に耐えうることが判明した。
(実施例3)
図3で述べた本実施の形態に係る電子放出素子の作製方法を更に詳述する。
(工程1)
まず、基板にイオンビームスパッタリング法により、陰極基板102表面に厚さ100nmのTiN薄膜101を作製する(図3(a))。
(工程2)
次に、RFスパッタリング法によりTiN薄膜101上に、炭素繊維の成長を促進する触媒微粒子103を作製する(図3(b))。触媒微粒子103は、パラジウムとコバルトがそれぞれ50atm%ずつ含まれた合金を、陰極基板上に成膜した。成膜後の膜厚は約20Åであった。
(工程3)
次に、触媒微粒子103が配置された陰極基板102を炉に入れ、水素2%、ヘリウム98%による希釈水素ガスを炉に供給しながら、550℃の温度で、加熱処理する。その結果、基板上に触媒微粒子103の集合が形成された。触媒微粒子103の直径は、5nmから30nmの範囲内にあった(図3(b))。
(工程4)
次に、陰極基板102を、水素2%、ヘリウム98%による希釈水素ガスと、エチレン2%、ヘリウム98%による希釈エチレンガスとを炉に供給しながら、550℃の温度で加熱処理した結果、炭素繊維が形成された。この炭素繊維の集合は、膜形状をしており、その膜厚は約7.5μmであり、繊維の直径は5nmから30nmの範囲内にあった(図3(c))。
今、上記工程によって電極基板上に作製された膜に対して、図2のように、スペーサをはさんでアノード電極を対向させることによって構成される素子を素子Aと名付ける。
また、上記工程における工程4において、550℃の温度での加熱時間を変え、他の工程は全て同一の方法で作製した膜によって、図2のように構成される素子を素子Bと名付ける。このとき、素子Bにおける膜厚は、約3μmであり、繊維の直径は5nmから30nmの範囲内にあった。
この2つの膜、素子Aと素子Bの駆動の様子を表した図を、図22に示す。今、素子Aにおける駆動電圧をVa、素子Bにおける駆動電圧をVbとする。まず、素子Bを駆動しはじめ、駆動電圧Vb=0Vから昇圧しはじめ、閾電圧Vb=Vthbから放出電流Iebが立ち上がり、Vb=1.37kVで昇圧を止めた。Vb=1.37kVにおいて、Ieb=10uAの放出電流を得た。この駆動電圧におけるF−Nプロットにおける点を、図22における点P3で示す。この駆動電圧においては、F−Nプロットの略線形領域にあり、低電圧領域に入っている。素子Bの駆動電圧Vbの上昇はここで止めて、Vb=0Vに降圧させ、一旦駆動を止めた。このとき降圧によって描く曲線は、昇圧の曲線に対し、やや電流の小さい下回りの曲線を描いたが、ほぼ同一の曲線とみなせる範囲内であった。
次に、素子Aの駆動を開始し、Va=0Vから昇圧させ、Va=Vthaにおいて、放出電流Ieaが立ち上がりはじめた。このとき、Vtha<Vthbであり、初期における閾駆動電圧値は、素子Bに対して、素子Aは低かった。
Vfa=0.78kVまで昇圧させたところ、Iea=8μAを検出した。この電圧におけるF−Nプロット上の点を点P1として表す。この時点の素子AのF−Nプロットは略線形であり、点P1は低電圧領域であった。また、点P1を含む低電圧領域での曲線から算出したβは、素子BにおけるF−Nプロットの点P3を含む低電圧領域での曲線から算出したβよりも、9/5倍程度高い値であった。しかし、αについては、素子Aにおける点P1を含む低電圧領域での曲線から算出したαは、素子Bにおける点P3を含む低電圧領域での曲線から算出したαよりも、1/20倍程度小さい値であった。
次に、素子Aの駆動電圧Vaを昇圧させてゆくと、Va=0.9kVからF−Nプロットの折れ曲がりが生じ、傾きの絶対値が減少した。すなわち、これは、素子Aにおいて、高電圧領域に入ったことを示す。更に、Va=1.8kVまで昇圧させたところ、このときの放出電流は、Iea=2mAであった。この時のF−Nプロット上の点を、図22における点P2で示す。
次に、Vaを降圧させてゆくと、昇圧時と異なる曲線を描いて、放出電流が下がっていった。この曲線は略線形であり、Vmaxを上昇させた後にできる新たな略線形領域に入ったことを示している。そして、この曲線は点P3を通った。点P3において、Va=1.37kV、Iea=10μAであり、素子Bで得られた値とほぼ一致していた。また、この降圧曲線から、αとβを算出したところ、素子Bの電子放出特性から得られた値とほぼ一致した。
つまり、本例の場合、陰極と対向電極間の最大印加電圧Vmax(Va)を1.8kVとし、その後の駆動電圧をVa=1.37kVとすることにより、安定した良好な放出電流が得られた。
従って、本実施の形態によれば、製造直後で特性の異なる炭素繊維を用いた複数の電子放出素子の電子放出特性を、各素子のVmaxを制御することによって合わせることがで
き、それぞれの素子において安定な駆動を行うことができる。
また、図7に示したような3端子の電子放出素子の場合には、制御すべき最大印加電圧Vmaxと、駆動電圧Vは、引き出し電極と陰極間の駆動電圧Vfではなく、陰極と陽極間の印加電圧Vaに適用してもよい。更にはVf、Vaが共に、駆動時においてそれぞれの履歴上の最大印加電圧Vfmax、Vamaxより小さい電圧でそれぞれ駆動されること好ましいものである。
本発明の電子放出素子及び電子源の駆動方法によって、長時間にわたって電流劣化が少なく、安定な電子放出を維持できる、炭素繊維を用いた電子放出素子の駆動が実現した。更に、本発明のマルチ電子源の製造方法によって、長時間にわたり、全体にわたって、均一で好適な電子放出特性を維持することが可能となった。
(実施例4)
本実施例は、実施例1で作成した3端子型の電子放出素子を用いた画像表示装置を形成した。
本実施例では、複数の電子放出素子を、図14に示すように、マトリクス状に配列することで電子源を形成した。
その後、電子源を構成する各電子放出素子毎に0Vから測定電圧まで上昇する電圧を印加し、各電子放出素子の電子放出特性を測定した。そして、前述した実施形態3に示したように、最も放出電流の小さい電子放出素子の電子放出特性を基準とし、この基準と、その他の電子放出素子の電子放出特性との差を低減するように、各素子に前記測定電圧を超える電圧を印加した。この結果、電子源を構成する各電子放出素子の電子放出特性の均一性を向上させた。
そして、電子源の上方に3原色の蛍光体膜と蛍光体膜を覆うAlからなるメタルバック(アノード電極)とを有するフェースプレートを対向配置し、周囲を封止し、真空パネルを形成した。そして、この真空パネルに駆動回路を接続し、画像を表示させた。尚、画像表示時においては、各電子放出素子の駆動電圧は、前記した測定電圧未満の電圧で行った。その結果、均一性の高い画像を安定性高く表示することができた。
本実施の形態に係る電子放出素子の不可逆特性を説明するためのVf−log(Ie)特性を示すグラフである。 電子放出素子の一例を示す模式図である。 陰極電極と陰極電極上の電子放出素子の作製方法を示す断面模式図である。 電子放出素子のI−V特性を示したグラフである。 電子放出素子のF−N特性を示したグラフである。 (a)はゲート電極を具備した炭素繊維の集合を電子放出体として用いた電子放出素子の模式的上面図、(b)は(a)のA−A間断面図である。 電子放出素子から放出された電子が陽極に向かう様子を説明するための模式図である。 電子放出素子のVf−Ie特性を示すグラフである。 電子放出素子のVf−log(Ie)特性を示すグラフである。 電子放出素子の1/Vf−log(Ie/Vf)特性を示すグラフである。 電子放出素子のlog(t)−Ie(normalized)特性を示したグラフである。 本実施の形態に係る電子放出素子の不可逆特性を説明するための1/Vf−log(Ie/Vf)特性を示すグラフである。 カーボンナノチューブ(CNT)及びグラファイトナノファイバー(GNF)を電子放出部材に用いた電子放出素子の1/Vf−log(Ie/Vf)特性を比較したグラフである。 電子放出素子をマトリックス状に配置したマルチ電子源の模式的上面図である。 図14に示す電子源のA−A’断面図である。 電子源を駆動する際に印加される電圧の状態を説明するための模式的断面図である。 異なる電子放出素子の1/Vf−log(Ie/Vf)特性を比較したグラフである。 本発明の実施の形態による、異なる電子放出素子の特性を均一化する方法を説明するために1/Vf−log(Ie/Vf)特性を比較したグラフである。 特性シフト電圧印加工程を説明するために1/Vf−log(Ie/Vf)特性を比較したグラフである。 基準素子電圧調整工程を説明するために1/Vf−log(Ie/Vf)特性を比較したグラフである。 電子放出素子の製造工程を説明するための模式的断面図である。 実施例2に係る電子放出素子のF−N特性を示したグラフである。 電子源の概略模式図である。 炭素繊維の形態の一例を示す模式図である。 炭素繊維の形態の一例を示す模式図である。 電子放出素子の一例を示す模式図である。
符号の説明
11 絶縁性基板
12 ゲート電極
13 陰極電極
14 炭素繊維の集合体
52 微粒子
60 真空装置
61 基板
62 陽極電極(アノード電極)
63 等電位線
65 真空排気装置
83 グラフェン
91 電圧源
92 陰極基板
93 陰極電極(カソード電極)
94 炭素繊維の集合体(グラフェン)
95 陽極電極(対向電極)
96 陽極基板
97 真空容器
98 排気係
101 薄膜
102 陰極基板
103 触媒微粒子
104 炭素繊維の集合体
111 基板
112 制御電極
113 陰極電極(カソード電極)
114 絶縁層
115 炭素繊維の集合体
116 アノード電極
161 列方向配線(ゲート電極)
162 行方向配線
163 陰極電極(カソード電極)
164 炭素繊維の集合体
171 基板
4002 行方向配線
4003 列方向配線
4004 配線抵抗
Ie 放出電流
Vf 駆動電圧
Vmax 最大印加電圧

Claims (11)

  1. 炭素繊維の集合体からなる電子放出体を有する陰極を備え、該陰極と該陰極に対向して配置された対向電極との間に駆動電圧を印加することで、前記電子放出体から電子を放出する電子放出素子が、基板上に複数配置されることで構成された電子源の製造方法であって、
    各々が炭素繊維の集合体からなる電子放出体を有する複数の陰極と、該複数の陰極に対向する対向電極とを用意する工程と、
    前記複数の陰極の各々と前記対向電極との間に所定の電圧を印加した際に放出される電子の量が相対的に少ない炭素繊維の集合体の電子放出特性と、前記所定の電圧を印加した際に放出される電子の量が相対的に多い他の炭素繊維の集合体の電子放出特性との差が低減するように、前記他の炭素繊維の集合体を有する陰極と前記対向電極との間に印加する印加電圧を、前記他の炭素繊維の集合体を有する陰極が経験した電圧の最大値よりも低い電圧から前記他の炭素繊維の集合体の電子放出特性のF-Nプロットにおける傾きの絶対
    値が減少に転じる電圧を越えた電圧まで、上昇させていく工程と、を有することを特徴とする電子源の製造方法。
  2. 前記炭素繊維の集合体は、カーボンナノチューブの集合体、または、グラファイトナノファイバーの集合体、または、それらが混合された集合体のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の電子源の製造方法。
  3. 前記印加電圧の最大電圧が前記駆動電圧よりも高いことを特徴とする請求項1または2に記載の電子源の製造方法。
  4. 電子源と蛍光体膜とを備える画像表示装置の製造方法であって、前記電子源が、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の製造方法により製造されることを特徴とする画像表示装
    置の製造方法。
  5. 複数の炭素繊維を有する陰極と該陰極に対向して配置された対向電極を備える電子放出素子の製造方法であって、
    複数の炭素繊維を有する陰極と、該陰極に対向する対向電極とを用意する工程と、
    前記陰極と前記対向電極との間に印加する印加電圧を、前記陰極が経験した電圧の最大値よりも低い電圧から電子放出特性のF-Nプロットにおける傾きの絶対値が減少に転じ
    る電圧を越えた電圧まで、上昇させていく工程と、
    を備えることを特徴とする電子放出素子の製造方法。
  6. 前記印加電圧の最大電圧が、前記電子放出素子の駆動電圧より大きい電圧であることを特徴とする請求項5に記載の電子放出素子の製造方法。
  7. 前記炭素繊維は、カーボンナノチューブまたはグラファイトナノファイバーであることを特徴とする請求項5または6に記載の電子放出素子の製造方法。
  8. 電子放出素子と蛍光体膜とを備える画像表示装置の製造方法であって、前記電子放出素子が、請求項5乃至7のいずれか1項に記載の製造方法により製造されることを特徴とする画像表示装置の製造方法。
  9. 炭素繊維の集合体からなる電子放出体が形成されている陰極と該陰極に対向して配置された対向電極との間に駆動電圧を印加することで、前記電子放出体から電子を放出し得る複数の電子放出素子と、発光体とを有する画像表示装置であって、前記画像表示装置が請求項4または8に記載の製造方法により製造されたことを特徴とする画像表示装置。
  10. 複数の炭素繊維を有する陰極と該陰極に対向して配置された対向電極を備える電子放出素子の電子放出特性を調整する特性調整方法であって、
    前記陰極と前記対向電極との間に印加する印加電圧を、前記陰極が経験した電圧の最大値よりも低い電圧から電子放出特性のF-Nプロットにおける傾きの絶対値が減少に転じ
    る電圧を越えた電圧まで、上昇させていく工程、を備えることを特徴とする特性調整方法。
  11. 電子放出素子と蛍光体膜とを備える画像表示装置の特性調整方法であって、
    前記電子放出素子の電子放出特性を請求項10に記載の特性調整方法によって調整することを特徴とする画像表示装置の特性調整方法。
JP2004010974A 2003-01-28 2004-01-19 電子源の製造方法、画像表示装置の製造方法、電子放出素子の製造方法、画像表示装置、特性調整方法、及び画像表示装置の特性調整方法 Expired - Fee Related JP3907626B2 (ja)

Priority Applications (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004010974A JP3907626B2 (ja) 2003-01-28 2004-01-19 電子源の製造方法、画像表示装置の製造方法、電子放出素子の製造方法、画像表示装置、特性調整方法、及び画像表示装置の特性調整方法
US10/764,538 US7432883B2 (en) 2003-01-28 2004-01-27 Driving method for electron-emitting device, driving method for electron source, manufacturing method for electron source, and image display apparatus
EP04001714A EP1443538A3 (en) 2003-01-28 2004-01-27 Driving method for electron-emitting device, driving method for electron source, manufacturing method for electron source, and image display apparatus
KR1020040005341A KR100642736B1 (ko) 2003-01-28 2004-01-28 전자원의 제조방법, 전자방출소자의 제조방법, 화상표시장치, 화상표시장치의 제조방법, 전자방출특성의 특성조정방법 및 화상표시장치의 특성조정방법
CN2007101613008A CN101140842B (zh) 2003-01-28 2004-01-29 电子发射元件驱动方法、电子源驱动和制造方法及显示器
CNB2004100035257A CN100351977C (zh) 2003-01-28 2004-01-29 电子发射元件驱动方法、电子源驱动和制造方法及显示器

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003019171 2003-01-28
JP2004010974A JP3907626B2 (ja) 2003-01-28 2004-01-19 電子源の製造方法、画像表示装置の製造方法、電子放出素子の製造方法、画像表示装置、特性調整方法、及び画像表示装置の特性調整方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004253372A JP2004253372A (ja) 2004-09-09
JP3907626B2 true JP3907626B2 (ja) 2007-04-18

Family

ID=32658593

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004010974A Expired - Fee Related JP3907626B2 (ja) 2003-01-28 2004-01-19 電子源の製造方法、画像表示装置の製造方法、電子放出素子の製造方法、画像表示装置、特性調整方法、及び画像表示装置の特性調整方法

Country Status (5)

Country Link
US (1) US7432883B2 (ja)
EP (1) EP1443538A3 (ja)
JP (1) JP3907626B2 (ja)
KR (1) KR100642736B1 (ja)
CN (2) CN101140842B (ja)

Families Citing this family (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3697257B2 (ja) * 2003-03-25 2005-09-21 キヤノン株式会社 カーボンファイバー、電子放出素子、電子源、画像形成装置、ライトバルブ、二次電池の製造方法
JP3826120B2 (ja) 2003-07-25 2006-09-27 キヤノン株式会社 電子放出素子、電子源及び画像表示装置の製造方法
JP4324078B2 (ja) * 2003-12-18 2009-09-02 キヤノン株式会社 炭素を含むファイバー、炭素を含むファイバーを用いた基板、電子放出素子、該電子放出素子を用いた電子源、該電子源を用いた表示パネル、及び、該表示パネルを用いた情報表示再生装置、並びに、それらの製造方法
JP4115410B2 (ja) * 2004-03-12 2008-07-09 キヤノン株式会社 電子放出素子、電子源ならびに画像表示装置の製造方法および電子放出素子の駆動方法
JP3935479B2 (ja) * 2004-06-23 2007-06-20 キヤノン株式会社 カーボンファイバーの製造方法及びそれを使用した電子放出素子の製造方法、電子デバイスの製造方法、画像表示装置の製造方法および、該画像表示装置を用いた情報表示再生装置
JP4596878B2 (ja) 2004-10-14 2010-12-15 キヤノン株式会社 構造体、電子放出素子、2次電池、電子源、画像表示装置、情報表示再生装置及びそれらの製造方法
JP2008027853A (ja) * 2006-07-25 2008-02-07 Canon Inc 電子放出素子、電子源および画像表示装置、並びに、それらの製造方法
WO2008029440A1 (fr) * 2006-09-04 2008-03-13 Life Technology Reserch Institute, INC. Procédé de vieillissement d'un champ électrique pour un émetteur d'électrons
JP2008309939A (ja) * 2007-06-13 2008-12-25 Canon Inc 電子源及び画像表示装置
EP2109132A3 (en) * 2008-04-10 2010-06-30 Canon Kabushiki Kaisha Electron beam apparatus and image display apparatus using the same
EP2287880A1 (en) 2008-04-10 2011-02-23 Canon Kabushiki Kaisha Electron-emitting device and electron source, electron beam apparatus as well as image display apparatus using the same
JP2009277460A (ja) * 2008-05-14 2009-11-26 Canon Inc 電子放出素子及び画像表示装置
JP2009277457A (ja) 2008-05-14 2009-11-26 Canon Inc 電子放出素子及び画像表示装置
JP4458380B2 (ja) * 2008-09-03 2010-04-28 キヤノン株式会社 電子放出素子およびそれを用いた画像表示パネル、画像表示装置並びに情報表示装置
KR101104073B1 (ko) 2008-12-18 2012-01-12 한국전자통신연구원 전계 방출 장치
KR101104074B1 (ko) 2008-12-18 2012-01-12 한국전자통신연구원 색 가변형 전계 방출 장치
US8766522B1 (en) 2010-06-02 2014-07-01 The United States Of America As Represented By The Secretary Of The Air Force Carbon nanotube fiber cathode
CN115367548A (zh) * 2022-07-27 2022-11-22 浙江大学 一种大规模微细碳纤维分散收集与二次输送装置及方法

Family Cites Families (48)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4904895A (en) 1987-05-06 1990-02-27 Canon Kabushiki Kaisha Electron emission device
US5430300A (en) * 1991-07-18 1995-07-04 The Texas A&M University System Oxidized porous silicon field emission devices
DE4405768A1 (de) 1994-02-23 1995-08-24 Till Keesmann Feldemissionskathodeneinrichtung und Verfahren zu ihrer Herstellung
JP3072825B2 (ja) 1994-07-20 2000-08-07 キヤノン株式会社 電子放出素子、電子源、及び、画像形成装置の製造方法
JP3332676B2 (ja) 1994-08-02 2002-10-07 キヤノン株式会社 電子放出素子、電子源及び画像形成装置と、それらの製造方法
US6246168B1 (en) 1994-08-29 2001-06-12 Canon Kabushiki Kaisha Electron-emitting device, electron source and image-forming apparatus as well as method of manufacturing the same
JP3062987B2 (ja) 1994-09-21 2000-07-12 キヤノン株式会社 電子源及び画像形成装置の製法
DE69532690T2 (de) 1994-09-22 2005-01-13 Canon K.K. Verfahren zur Herstellung einer Elektronen-emittierenden Einrichtung sowie einer Elektronenquelle und eines Bilderzeugungsgerätes mit derartigen Elektronen-emittierenden Einrichtungen
JP2932250B2 (ja) 1995-01-31 1999-08-09 キヤノン株式会社 電子放出素子、電子源、画像形成装置及びそれらの製造方法
US5588893A (en) 1995-06-06 1996-12-31 Kentucky Research And Investment Company Limited Field emission cathode and methods in the production thereof
JP3299544B2 (ja) 1995-02-15 2002-07-08 ライトラブ・アーベー 電界放出カソード及びその製造方法
JP3174999B2 (ja) 1995-08-03 2001-06-11 キヤノン株式会社 電子放出素子、電子源、それを用いた画像形成装置、及びそれらの製造方法
JP3376220B2 (ja) * 1995-10-03 2003-02-10 キヤノン株式会社 画像形成装置とその製造方法
US5872422A (en) 1995-12-20 1999-02-16 Advanced Technology Materials, Inc. Carbon fiber-based field emission devices
JPH09259753A (ja) 1996-01-16 1997-10-03 Canon Inc 電子発生装置、画像形成装置及びそれらの製造方法と調整方法
US6231412B1 (en) * 1996-09-18 2001-05-15 Canon Kabushiki Kaisha Method of manufacturing and adjusting electron source array
JPH1167065A (ja) * 1997-08-08 1999-03-09 Pioneer Electron Corp 電子放出素子及びこれを用いた表示装置
JP3740295B2 (ja) 1997-10-30 2006-02-01 キヤノン株式会社 カーボンナノチューブデバイス、その製造方法及び電子放出素子
JP3631015B2 (ja) 1997-11-14 2005-03-23 キヤノン株式会社 電子放出素子及びその製造方法
US6455021B1 (en) 1998-07-21 2002-09-24 Showa Denko K.K. Method for producing carbon nanotubes
JP3986711B2 (ja) 1998-07-21 2007-10-03 昭和電工株式会社 単層カーボンナノチューブの製造方法
JP2000155555A (ja) 1998-09-16 2000-06-06 Canon Inc 電子放出素子の駆動方法及び、該電子放出素子を用いた電子源の駆動方法、並びに該電子源を用いた画像形成装置の駆動方法
JP3323847B2 (ja) 1999-02-22 2002-09-09 キヤノン株式会社 電子放出素子、電子源および画像形成装置の製造方法
JP2000311597A (ja) 1999-02-23 2000-11-07 Canon Inc 電子放出素子の製造方法及び装置、駆動方法並びに調整方法
JP3437519B2 (ja) 1999-02-25 2003-08-18 キヤノン株式会社 電子放出素子の製造方法および調整方法
JP2000311587A (ja) 1999-02-26 2000-11-07 Canon Inc 電子放出装置及び画像形成装置
FR2792771B1 (fr) 1999-04-22 2001-07-27 Cit Alcatel Generateur impulsionnel d'electrons
US6380914B1 (en) * 1999-08-02 2002-04-30 Motorola, Inc. Method for improving life of a field emission display
JP3953276B2 (ja) 2000-02-04 2007-08-08 株式会社アルバック グラファイトナノファイバー、電子放出源及びその作製方法、該電子放出源を有する表示素子、並びにリチウムイオン二次電池
US6645028B1 (en) 2000-06-07 2003-11-11 Motorola, Inc. Method for improving uniformity of emission current of a field emission device
JP3658346B2 (ja) 2000-09-01 2005-06-08 キヤノン株式会社 電子放出素子、電子源および画像形成装置、並びに電子放出素子の製造方法
JP3639808B2 (ja) 2000-09-01 2005-04-20 キヤノン株式会社 電子放出素子及び電子源及び画像形成装置及び電子放出素子の製造方法
JP3639809B2 (ja) 2000-09-01 2005-04-20 キヤノン株式会社 電子放出素子,電子放出装置,発光装置及び画像表示装置
JP3610325B2 (ja) * 2000-09-01 2005-01-12 キヤノン株式会社 電子放出素子、電子源及び画像形成装置の製造方法
JP3634781B2 (ja) 2000-09-22 2005-03-30 キヤノン株式会社 電子放出装置、電子源、画像形成装置及びテレビジョン放送表示装置
JP3768908B2 (ja) 2001-03-27 2006-04-19 キヤノン株式会社 電子放出素子、電子源、画像形成装置
US6750604B2 (en) * 2001-05-23 2004-06-15 Industrial Technology Research Institute Field emission display panels incorporating cathodes having narrow nanotube emitters formed on dielectric layers
KR100421218B1 (ko) * 2001-06-04 2004-03-02 삼성전자주식회사 선택 성장된 탄소나노튜브 전자 방출원을 이용한 전자방출 리소그래피 장치 및 리소그래피 방법
US6712660B2 (en) * 2001-08-06 2004-03-30 Canon Kabushiki Kaisha Method and apparatus for adjusting characteristics of electron source, and method for manufacturing electron source
JP3703415B2 (ja) 2001-09-07 2005-10-05 キヤノン株式会社 電子放出素子、電子源及び画像形成装置、並びに電子放出素子及び電子源の製造方法
JP3768937B2 (ja) 2001-09-10 2006-04-19 キヤノン株式会社 電子放出素子、電子源及び画像表示装置の製造方法
JP3710436B2 (ja) 2001-09-10 2005-10-26 キヤノン株式会社 電子放出素子、電子源及び画像表示装置の製造方法
JP3605105B2 (ja) 2001-09-10 2004-12-22 キヤノン株式会社 電子放出素子、電子源、発光装置、画像形成装置および基板の各製造方法
JP3647436B2 (ja) 2001-12-25 2005-05-11 キヤノン株式会社 電子放出素子、電子源、画像表示装置、及び電子放出素子の製造方法
JP3902964B2 (ja) 2002-02-28 2007-04-11 キヤノン株式会社 電子源の製造方法
JP3625467B2 (ja) 2002-09-26 2005-03-02 キヤノン株式会社 カーボンファイバーを用いた電子放出素子、電子源および画像形成装置の製造方法
JP3619240B2 (ja) 2002-09-26 2005-02-09 キヤノン株式会社 電子放出素子の製造方法及びディスプレイの製造方法
US7064475B2 (en) 2002-12-26 2006-06-20 Canon Kabushiki Kaisha Electron source structure covered with resistance film

Also Published As

Publication number Publication date
US7432883B2 (en) 2008-10-07
JP2004253372A (ja) 2004-09-09
KR100642736B1 (ko) 2006-11-10
KR20040069289A (ko) 2004-08-05
CN101140842B (zh) 2011-05-04
CN100351977C (zh) 2007-11-28
EP1443538A2 (en) 2004-08-04
EP1443538A3 (en) 2005-10-05
CN1534558A (zh) 2004-10-06
CN101140842A (zh) 2008-03-12
US20040183757A1 (en) 2004-09-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3907626B2 (ja) 電子源の製造方法、画像表示装置の製造方法、電子放出素子の製造方法、画像表示装置、特性調整方法、及び画像表示装置の特性調整方法
JP3610325B2 (ja) 電子放出素子、電子源及び画像形成装置の製造方法
US6858990B2 (en) Electron-emitting device, electron source, image forming apparatus, and method of manufacturing electron-emitting device and electron source
US6975288B2 (en) Method of driving image-forming apparatus and apparatus thereof
US6853126B2 (en) Electron-emitting device, electron source, image forming apparatus, and electron-emitting apparatus
US7094123B2 (en) Method of manufacturing an electron emitting device with carbon nanotubes
JP2002150925A (ja) 電子放出素子,電子放出装置,発光装置及び画像表示装置
JP2006224296A (ja) カーボンナノチューブ構造体及びその製造方法、並びにカーボンナノチューブ構造体を利用した電界放出素子及びその製造方法
JP3697257B2 (ja) カーボンファイバー、電子放出素子、電子源、画像形成装置、ライトバルブ、二次電池の製造方法
US7932477B2 (en) Electron beam heating system having carbon nanotubes
JP3897794B2 (ja) 電子放出素子、電子源、画像形成装置の製造方法
US8157606B2 (en) Fabricating method of electron-emitting device
JP3745360B2 (ja) 電子放出素子、電子源及び画像形成装置
JP2002289088A (ja) 電子放出素子及び電子源及び電子源の駆動方法及び画像形成装置及び画像形成装置の駆動方法及び電子放出装置
Shiratori et al. Efficient field emission from triode-type 1D arrays of carbon nanotubes
Milne et al. Optimisation of CNTs and ZnO nanostructures for electron sources
JP3880595B2 (ja) 電子放出素子の製造方法、画像表示装置の製造方法
Park et al. Triode field emitters with planar carbon-nanoparticle cathodes
JP2005169554A (ja) 炭素を含むファイバーの製造方法、炭素を含むファイバーを基体上に複数配置した電子デバイスの製造方法
JP2005228662A (ja) 電子放出素子、電子源および画像表示装置の製造方法
Robertson 13 Nanocarbons for field emission devices

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050729

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051025

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20051226

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061003

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061204

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070109

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070116

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110126

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120126

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130126

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140126

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees