JP3551637B2 - 流体封入式マウント装置 - Google Patents

流体封入式マウント装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3551637B2
JP3551637B2 JP19749396A JP19749396A JP3551637B2 JP 3551637 B2 JP3551637 B2 JP 3551637B2 JP 19749396 A JP19749396 A JP 19749396A JP 19749396 A JP19749396 A JP 19749396A JP 3551637 B2 JP3551637 B2 JP 3551637B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
chamber
fluid
orifice passage
working chamber
mounting device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP19749396A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH1038017A (ja
Inventor
錬太郎 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Riko Co Ltd filed Critical Sumitomo Riko Co Ltd
Priority to JP19749396A priority Critical patent/JP3551637B2/ja
Priority to EP97111972A priority patent/EP0821181A3/en
Publication of JPH1038017A publication Critical patent/JPH1038017A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3551637B2 publication Critical patent/JP3551637B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16FSPRINGS; SHOCK-ABSORBERS; MEANS FOR DAMPING VIBRATION
    • F16F13/00Units comprising springs of the non-fluid type as well as vibration-dampers, shock-absorbers, or fluid springs
    • F16F13/04Units comprising springs of the non-fluid type as well as vibration-dampers, shock-absorbers, or fluid springs comprising both a plastics spring and a damper, e.g. a friction damper
    • F16F13/26Units comprising springs of the non-fluid type as well as vibration-dampers, shock-absorbers, or fluid springs comprising both a plastics spring and a damper, e.g. a friction damper characterised by adjusting or regulating devices responsive to exterior conditions

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Combined Devices Of Dampers And Springs (AREA)

Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、内部に封入された流体の流動作用を利用して防振効果を得るようにした流体封入式マウント装置に係り、特に低周波振動および中周波振動に対して防振効果を発揮する第一及び第二のオリフィス通路と、高周波振動に対して防振効果を発揮する可動部材を併せ備えた流体封入式マウント装置に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、マウント装置の一種として、それぞれ防振連結される部材に取り付けられる第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結する一方、壁部の一部が本体ゴム弾性体で構成されて振動が入力される受圧室と、壁部の一部が可撓性膜で構成されて容積可変とされた平衡室を設けて、それら受圧室と平衡室に水等の非圧縮性流体を封入すると共に、それら受圧室と平衡室の間にオリフィス通路を形成し、オリフィス通路を流動せしめられる流体の共振作用等の流動作用に基づいて防振効果を得るようにした流体封入式マウント装置が知られている。
【0003】
さらに、特開昭59−117929号公報等には、広い周波数域や複数の周波数域の入力振動に対して有効な防振効果を得るために、低周波振動に対して防振効果を発揮するようにチューニングした第一のオリフィス通路と、中周波振動に対して防振効果を発揮するようにチューニングした第二のオリフィス通路を設けると共に、第二のオリフィス通路を遮断する遮断手段を設けて、第一のオリフィス通路と第二のオリフィス通路を択一的に機能せしめるようにする一方、変形乃至は変位に基づいて受圧室の内圧変動を吸収して高周波振動に対する防振性能を向上せしめる可動部材を、受圧室の壁部に配設した流体封入式マウント装置が開示されている。このようなマウント装置は、例えば自動車用エンジンマウントに好適に採用され、それによって、停車時におけるアイドリング振動等の中周波振動に対して第二のオリフィス通路による振動絶縁効果を得ると共に、走行時におけるシェイク等の低周波振動に対する減衰効果を第一のオリフィス通路によって、こもり音等の高周波振動に対する絶縁効果を可動部材によって、それぞれ得ることが可能となる。
【0004】
ところが、高周波振動の防振性能向上のために可動部材を配設すると、低周波振動や中周波振動の入力時においても、可動部材によって受圧室の内圧変動が吸収されるために、この可動部材による内圧変動吸収分だけ、オリフィス通路を流動せしめられる流体量が減少することとなり、特に、振幅が小さい中周波振動に対する第二のオリフィス通路による防振効果が大きく低下してしまうおそれがあった。
【0005】
なお、このような問題に鑑み、特開平4−277341号公報等には、受圧室に配したロータリバルブによって、第二のオリフィス通路と可動部材を択一的に機能せしめるようにした流体封入式マウント装置が提案されているが、かかる構造のものは、構造が極めて複雑化することが避けられないという問題があった。
【0006】
また、特開平4−277341号公報には、第二のオリフィス通路が開口する平衡室を、第一のオリフィス通路が開口する平衡室に対して独立形成すると共に、該第二のオリフィス通路が開口する平衡室の壁部の一部を構成する可撓性膜の背後の第一の空気室を形成する一方、可動部材の背後に第二の空気室を形成し、それら第一の空気室と第二の空気室に対して択一的に負圧空気を及ぼしめて、第一の空気室の可撓性膜と第二の空気室の可動部材を択一的に吸引拘束せしめることにより、第二のオリフィス通路と可動部材を択一的に機能せしめるようにした流体封入式マウント装置が提案されている。しかしながら、かかる構造のものは、第一の空気室を負圧源に接続する第一の切換弁と第二の空気室を負圧源に接続する第二の切換弁をそれぞれ装着して、それら第一の切換弁および第二の切換弁を選択的に切換制御しなければならないことに加えて、第一のオリフィス通路が開口する平衡室と第二のオリフィス通路が開口する平衡室を相互に独立して形成する必要があるために、部品点数が多くなると共に、構造および制御が複雑となる不具合があった。
【0007】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、請求項1乃至8に記載の発明は、何れも、第一のオリフィス通路による低周波振動に対する防振効果と、第二のオリフィス通路による中周波振動に対する防振効果、更に可動部材による高周波振動に対する防振効果を、それぞれ有利に得ることが出来、特に可動部材による受圧室の内圧変動吸収機能に起因する第二のオリフィス通路の防振性能の低下が、簡単な構造によって有利に防止され得る、改良された構造の流体封入式マウント装置を提供することを、目的とする。
【0008】
【解決手段】
そして、このような課題を解決するために、請求項1に記載の発明の特徴とするところは、第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結せしめて、該本体ゴム弾性体により壁部の一部が構成されて振動が入力される受圧室と、壁部の一部が第一の可撓性膜で構成されて容積可変とされた平衡室を形成し、該受圧室と該平衡室に非圧縮性流体を封入すると共に、それら受圧室と平衡室を相互に連通する第一のオリフィス通路と該第一のオリフィス通路よりも高周波数域にチューニングされた第二のオリフィス通路をそれぞれ形成し、更に該第二のオリフィス通路を遮断する遮断手段を設ける一方、前記受圧室の壁部において変形乃至は変位に基づき内圧変動を吸収する可動部材を配設した流体封入式マウント装置において、前記遮断手段を、前記第一の可撓性膜を挟んで前記平衡室とは反対側に配されて該第一の可撓性膜に向かって付勢されることにより該第一の可撓性膜を前記第二のオリフィス通路の開口部に押し付けて該開口部を閉塞せしめる押圧部材によって構成すると共に、該押圧部材の背後に第一の作用室を設けて、該第一の作用室に負圧力が及ぼされることにより、該押圧部材による第一の可撓性膜の押付力が解除されて該第二のオリフィス通路の開口部が開口せしめられるようにする一方、前記可動部材を挟んで前記受圧室とは反対側に、該可動部材の変形乃至は変位を許容する密閉された副室を形成し、更に、該副室の壁部の一部を第二の可撓性膜で構成して、該副室が容積可変とされていると共に、該第二の可撓性膜を挟んで該副室とは反対側に第二の作用室を形成して、該第二の作用室に負圧力が及ぼされることによって、該第二の可撓性膜が吸引拘束されるようにして、該副室に対して間接に負圧力を及ぼしめることにより、該可動部材の変形乃至は変位を阻止せしめるようにしたことにある。
【0009】
このような請求項1に記載の発明に従う構造とされた流体封入式マウント装置においては、第一の作用室の負圧源への接続/遮断によって、第二のオリフィス通路の防振機能がON/OFFされると共に、副室の間接的な負圧源への接続/遮断によって、可動部材の防振機能がOFF/ONされる。即ち、第一の作用室と副室の両方に負圧力を及ぼした状態下では、可動部材による受圧室の内圧吸収が阻止されて、第二のオリフィス通路による中周波振動に対する防振効果が有効に発揮される一方、第一の作用室と副室の何れにも負圧力を及ぼさない状態下では、第二のオリフィス通路が遮断されて、第一のオリフィス通路による低周波振動に対する防振効果と、可動部材による受圧室の内圧吸収に基づく高周波振動に対する防振効果とが、共に有効に発揮されることとなる。
【0010】
それ故、第二のオリフィス通路による防振効果の、可動部材の内圧吸収作用による阻害が軽減乃至は防止されるのであり、第一及び第二のオリフィス通路と可動部材によって、広い周波数域の入力振動に対する有効な防振効果が発揮されるのである。
【0011】
しかも、防振特性の切換用バルブ等を、非圧縮性流体が封入された受圧室や平衡室の内部に配設する必要がないことから、構造が簡単で製作が容易であるといった利点もある。
【0012】
さらに、前述の如く、第二のオリフィス通路と可動部材を択一的に機能せしめるためには、第一の作用室および副室に対して、負圧源を、同時に接続し又は遮断すれば良いことから、マウント装置に対する負圧源の接続/遮断回路の構造とその制御も容易となるといった利点もある。
【0013】
た、請求項1に記載の流体封入式マウント装置において、前記副室の壁部の一部が第二の可撓性膜で構成されて、該副室が容積可変とされていると共に、該第二の可撓性膜を挟んで該副室とは反対側に第二の作用室が形成されており、該第二の作用室に負圧力が及ぼされることによって、該第二の可撓性膜が吸引拘束されて該副室に負圧力が間接に及ぼされて、前記可動部材の変形乃至は変位が阻止されるようにしたことによって、優れた特徴を発揮しているのである。
【0014】
すなわち、そのような発明に従う構造とされた流体封入式マウント装置においては、可動部材に対する負圧力の直接的な作用が回避されることから、可動部材の耐久性が有利に確保され得る。特に、内燃機関における吸気系から負圧力を得るような場合には、負圧空気中に含まれるオイル等が可動部材に付着して劣化を促進するという問題が、有利に解消され得る。
【0015】
また、請求項3に記載の発明の特徴とするところは、請求項1又は2に記載の流体封入式マウント装置において、前記副室が前記受圧室に対して、前記可動部材によって流体密に遮断されており、該副室に空気が充填されていることにある。
【0016】
このような請求項3に記載の発明に従う構造とされた流体封入式マウント装置においては、副室に非圧縮性流体を封入する必要がないことから、構造の簡略化と製作性の向上が図られ得ると共に、副室に非圧縮性流体を充填した場合に比べて、可動部材の変形乃至は変位に基づく防振効果が発揮される周波数域をより高周波数域にチューニングすることが容易となる。
【0017】
また、請求項4に記載の発明の特徴とするところは、請求項1乃至3の何れかに記載の流体封入式マウント装置において、前記可動部材の前記副室側への変形量乃至は変位量を制限する規制部材が設けられていることにある。
【0018】
このような請求項4に記載の発明に従う構造とされた流体封入式マウント装置においては、可動部材の過大な変形等が防止されて耐久性の向上が図られ得ると共に、負圧力によって可動部材の変形乃至は変位がより有効に阻止されることから、可動部材による第二のオリフィス通路の防振効果の阻害が一層効果的に回避され得て、第二のオリフィス通路による中周波振動に対する防振効果が一層有効に且つ安定して発揮され得るのである。
【0019】
また、請求項5に記載の発明の特徴とするところは、請求項1乃至4の何れかに記載の流体封入式マウント装置において、前記押圧部材が、前記第一の作用室に収容配置されたコイルスプリングにより、前記第一の可撓性膜に向かって付勢されていることにある。
【0020】
このような請求項5に記載の発明に従う構造とされた流体封入式マウント装置においては、コイルスプリングの付勢力によって押圧部材が第一の可撓性膜に向かって付勢されて第二のオリフィス通路の開口部に押し付けられることとなる。そして、コイルスプリングを採用することによって、押圧部材への付勢力を容易に且つ安定して得ることが出来るのであり、第二のオリフィス通路をより確実に開閉せしめて、目的とする防振特性をより安定して得ることが可能となる。
【0021】
また、請求項6に記載の発明の特徴とするところは、請求項1乃至5の何れかに記載の流体封入式マウント装置において、前記第二の取付部材によって構成された前記受圧室の壁部に開口窓が形成されていると共に、前記可動部材が、前記本体ゴム弾性体と一体形成されて該開口窓を流体密に閉塞する可動ゴム膜によって構成されていることにある。
【0022】
このような請求項6に記載の発明に従う構造とされた流体封入式マウント装置においては、可動部材が本体ゴム弾性体と一体成形されることから、部品点数の減少による構造の簡略化と製作性の向上が図られ得る。特に、かかる請求項6に記載の発明によれば、可動部材により受圧室に対して流体密に遮断されて空気が充填された副室を備えた請求項3に記載の発明が、極めて有利に実現され得る。
【0023】
また、請求項7に記載の発明の特徴とするところは、請求項1乃至6の何れかに記載の流体封入式マウント装置において、前記第二の取付部材が筒状部を備えており、該筒状部の一方の開口部が前記本体ゴム弾性体で閉塞されて該筒状部内に前記受圧室が形成されていると共に、該筒状部に開口窓が形成されて、該開口窓に前記可動部材が配設されていることにある。
【0024】
このような請求項7に記載の発明に従う構造とされた流体封入式マウント装置においては、可動部材の配設スペースが容易に且つ有利に確保され得て、マウント装置のコンパクト化が可能となる。
【0025】
また、請求項8に記載の発明の特徴とするところは、請求項1乃至7の何れかに記載の流体封入式マウント装置において、前記第二の取付部材が有底筒形状を有しており、その開口部が前記本体ゴム弾性体で閉塞されると共に、該第二の取付部材の内部が前記第一の可撓性膜によって開口部側と底部側に仕切られることにより、該開口部側には、隔壁で二分されて前記受圧室と前記平衡室が形成されている一方、該底部側には、前記押圧部材が配設されていると共に、該押圧部材と該第二の取付部材の底壁部との間に前記第一の作用室が形成されていることにある。
【0026】
このような請求項8に記載の発明に従う構造とされた流体封入式マウント装置においては、受圧室,平衡室および第一の作用室が、第二の取付部材の内部において有利に形成され得て、スペースの有効利用が図られ得るのであり、マウント装置のコンパクト化が可能となる。また、かかる請求項8に記載の発明によれば、第二の取付部材の底壁部と押圧部材の間にコイルスプリングを配設することによって、コイルスプリングによって押圧部材に付勢力を及ぼす請求項5に記載の発明が、極めて有利に実現され得る。
【0027】
また、請求項9に記載の発明の特徴とするところは、請求項1乃至8の何れかに記載の流体封入式マウント装置であって、前記受圧室と前記平衡室を仕切る隔壁において、前記第一のオリフィス通路が該隔壁の外周部分に形成されると共に、前記第二のオリフィス通路が該隔壁の中央部分に形成されて、該第二のオリフィス通路の該平衡室側の開口部が、該隔壁の中央部分に位置せしめられていることにある。
【0028】
このような請求項9に記載の発明に従う構造とされた流体封入式マウント装置においては、第一のオリフィス通路の流路長さが容易に確保されて低周波数域へのチューニングが有利に為され得ると共に、第二のオリフィス通路の平衡室側開口部が隔壁中央部分に位置せしめられることにより、該第二のオリフィス通路の開口部に第一の可撓性膜を押し付ける押圧部材の配設スペースを容易に確保することが可能となる。
【0029】
また、請求項10に記載の発明の特徴とするところは、請求項1乃至9の何れかに記載の流体封入式マウント装置において、前記第一の作用室および前記第二の作用室に対して、それぞれ空気管路を通じて単一の管路切換手段が接続されており、該管路切換手段によって、それら第一の作用室および第二の作用室に対して負圧源が同期して接続/遮断されるようになっていることにある。
【0030】
このような請求項10に記載の発明に従う構造とされた流体封入式マウント装置においては、第一の作用室と第二の作用室に対して負圧源を接続/遮断することによる防振特性の切換えが、単一の管路切換手段による単一の切換操作によって為され得ることから、空気管路の構造が簡略であると共に、防振特性の切換操作が簡単である。

【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態としての一具体例について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0032】
先ず、図1には、本発明の一具体例としての自動車用エンジンマウント10が示されている。このエンジンマウント10は、互いに所定距離を隔てて配された第一の取付部材としての第一の取付金具12と第二の取付部材としての第二の取付金具14が、それらの間に介装された本体ゴム弾性体16によって弾性的に連結された構造を有しており、第一の取付金具12および第二の取付金具14が車両のボデー側およびパワーユニット側の各一方に取り付けられることにより、パワーユニットを車体に対して防振支持せしめるようになっている。また、自動車への装着時には、パワーユニット重量が及ぼされて本体ゴム弾性体16が弾性変形することにより、第一の取付金具12と第二の取付金具14が互いに接近する方向に所定量だけ相対変位せしめられる(図2参照)と共に、防振を目的とする振動が、図中の略上下方向に入力されることとなる。なお、以下の具体例の説明中、上下方向とは、原則として図1における上下方向を表すものとする。
【0033】
より詳細には、第一の取付金具12は、略円板形状を有しており、その中央部分には、軸方向下方に向かって突出する支持ロッド20が固着されており、この支持ロッド20の突出先端部に対して、軸直角方向外方に向かって広がる傘金具22がボルト固定されている。また、支持ロッド20の軸方向上端部には、取付ボルト18が一体形成されており、第一の取付金具12の軸方向上方に向かって突出せしめられている。そして、第一の取付金具12は、取付ボルト18によって、図示しないパワーユニット側に取り付けられるようになっている。
【0034】
一方、第二の取付金具14は、全体として大径の略円筒形状を有する筒金具24と、全体として略有底円筒形状を有する底金具26を含んで構成されている。筒金具24は、軸方向中間部分に段差部28が形成されて、該段差部28を挟んで、軸方向上側部分が小径部30とされていると共に、軸方向下側部分が大径部32とされている。また、小径部30側の開口部には、湾曲して内方に突出するくびれ部34が形成されていると共に、大径部32側の開口部には、かしめ部36が設けられている。また一方、底金具26の開口部には、径方向外方に広がるフランジ状部38が形成されている。そして、底金具26のフランジ状部38が筒金具24のかしめ部36によってかしめ固定されることにより、底金具26と筒金具24が同一軸上に位置する状態で相互に連結せしめられており、それによって、第二の取付金具14が、全体として深底の略有底円筒形状をもって形成されている。なお、筒金具24の段差部28には、周上の所定箇所に平板形状のブラケット40が溶着されており、このブラケット40によって、第二の取付金具14が、図示しないボデー側に取り付けられるようになっている。
【0035】
そして、第一の取付金具12が、第二の取付金具14の開口部側において、略同一軸上で所定距離を隔てて配設されており、これら第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に本体ゴム弾性体16が介装されている。この本体ゴム弾性体16は、略円錐台形状を有しており、小径側端面に第一の取付金具12が加硫接着されると共に、大径側端部外周面に第二の取付金具14のくびれ部34が加硫接着された一体加硫成形品とされて、第二の取付金具14の開口部が本体ゴム弾性体16によって流体密に閉塞されている。また、本体ゴム弾性体16の大径側端面には支持ロッド20が突出させられており、この支持ロッド20の先端部に取り付けられた傘金具22が、第二の取付金具14における筒金具24内に位置せしめられている。
【0036】
また、第二の取付金具14を構成する筒金具24の大径部32には、隔壁としての剛性部材である仕切部材42と、第一の可撓性膜としての薄肉ゴム膜からなる第一のダイヤフラム44が、互いに重ね合わされて挿入配置されており、筒金具24の段差部28とかしめ部36の間で、各外周縁部が重ね合わせ方向に挟圧保持されて、第二の取付金具14に対して固定されている。なお、第一のダイヤフラム44の外周縁部には、有効な挟圧保持力を及ぼすために金属リング46が加硫接着されている。そして、第一のダイヤフラム44によって第二の取付金具14の内部が流体密に仕切られており、第一のダイヤフラム44に対して本体ゴム弾性体16側にだけ、所定の非圧縮性流体が封入されている。なお、封入流体としては、流体の共振作用に基づく防振効果を有効に得るために、例えば水やアルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーン油等の、粘性率が0.1Pa・s以下の低粘性流体が有利に採用される。
【0037】
さらに、本体ゴム弾性体16と第一のダイヤフラム44の間には、仕切部材42が配設されていることにより、この仕切部材42を挟んだ両側に位置して、壁部の一部が本体ゴム弾性体16によって構成されて振動入力時に本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づいて内圧変動が生ぜしめられる受圧室48と、壁部の一部が第一のダイヤフラム44によって構成されて該第一のダイヤフラム44の変形に基づいて容積変化が容易に許容される平衡室50が、それぞれ形成されている。なお、受圧室48には、傘金具22が収容配置されており、パワーユニット重量にて本体ゴム弾性体16が弾性変形せしめられたマウント装着状態下で、受圧室48内の略中央部分に位置せしめられるようになっている(図2参照)。それにより、傘金具22の周りに位置して、振動入力時に流体流動が惹起される環状の狭窄流路51が形成されているのであり、また、該傘金具22の外周縁部が筒金具24のくびれ部34に当接することによってリバウンド方向のストッパ機能が発揮されるようになっている。
【0038】
また、仕切部材42は、それぞれ略円板形状を有する上板金具52と下板金具54が、互いに重ね合わされた構造を有しており、それら上下板金具52,54の中央部分が、それぞれプレス加工等で凹凸成形されていることにより、それら上下板金具52,54の重ね合わせ面間には、外周部分に位置して周方向に所定長さで延び、両端部が連通口56,58を通じて受圧室48と平衡室50の各一方に連通された第一のオリフィス通路60が形成されていると共に、中央部分に位置して第一のオリフィス通路60の内周側を周方向に所定長さで延び、両端部が連通口62,64を通じて受圧室48と平衡室50の各一方に連通された第二のオリフィス通路66が形成されている。要するに、これら第一のオリフィス通路60と第二のオリフィス通路66は、受圧室48と平衡室50を相互に連通する状態で、受圧室48と平衡室50の間において相互に並列的に形成されているのである。そして、振動入力時には、受圧室48と平衡室50の間に惹起される相対的な内圧変動に基づいて、受圧室48と平衡室50の間で、それら第一のオリフィス通路60と第二のオリフィス通路66を通じての流体流動が生ぜしめられるようになっている。
【0039】
また、第二のオリフィス通路66は、第一のオリフィス通路60よりも、流路断面積:Aと流路長さ:Lの比:A/Lの値が大きく設定されており、以て、シェイク等の低周波大振幅振動の入力時に流体の共振作用に基づく減衰効果が発揮されるように第一のオリフィス通路60がチューニングされていると共に、アイドリング振動等の中周波中振幅振動の入力時に流体の共振作用に基づく低動ばね効果が発揮されるように第二のオリフィス通路66がチューニングされている。
【0040】
ここにおいて、第二のオリフィス通路66は、上板金具52の中央部分に形成された浅底の大径逆カップ状部68の内部に、下板金具54の中央部分に形成された浅底の小径逆カップ状部70が挿入配置されることにより、大径逆カップ状部68の内部において、小径逆カップ状部70の周りに位置して形成されている。そして、この第二のオリフィス通路66の平衡室50側に開口する連通口64は、下板金具54の小径逆カップ状部70の周壁部に形成されており、該小径逆カップ状部70の開口部を通じて、仕切部材42の中央部分に位置して下方に向かって開口せしめられている。
【0041】
さらに、第二の取付金具14の底部分、即ち第一のダイヤフラム44で仕切られた底金具26側の内部には、略逆カップ形状を有し、上底外面が平坦な円形の押圧面72とされた押圧部材としての押圧金具74が、上下方向に変位可能に配設されている。また、押圧金具74の内部には、コイルスプリング76が挿入されており、押圧金具74の上底部と底金具26の底壁部との間で所定量だけ圧縮変形された状態で装着されている。なお、底金具26の底壁部内面には、コイルスプリング76を位置決めするための受け座78が固着されている。これにより、コイルスプリング76の付勢力が押圧金具74に及ぼされて、押圧金具74の開口側端部が底金具26の底壁部から浮き上がり、押圧金具74の押圧面72が第一のダイヤフラム44に圧接されて、第一のダイヤフラム44が仕切部材42の下板金具54の中央部分に押し付けられている。
【0042】
また、押圧金具74は、その筒壁部がテーパ筒状に拡径されていると共に、開口周縁部には、径方向外方に広がる円環板状の圧力作用板部80が一体形成されている。更に、押圧金具74には、圧力作用板部80の外周縁部から径方向外方に向かって広がる略円環板形状の支持ゴム板82が加硫接着されており、また、この支持ゴム板82の外周縁部に対して金属リング84が加硫接着されている。なお、押圧金具74の外周面は、略全面に亘って、支持ゴム板82と一体形成されたゴム膜で覆われている。そして、金属リング84が底金具26に圧入固定されることにより、支持ゴム板82の外周縁部が底金具26の内周面に対して流体密に嵌着固定されている。これにより、底金具26の内部が、押圧金具74と支持ゴム板82によって、開口部側と底部側とに流体密に二分されており、以て、押圧金具74を挟んだ一方の側(底金具26の開口部側)には、壁部の一部が第一のダイヤフラム44で構成されて第一のダイヤフラム44の変形を許容する静圧室86が形成されている一方、押圧金具74を挟んだ他方の側(底金具26の底部側)には、密閉された第一の作用室88が形成されている。
【0043】
かかる第一の作用室88には、底金具26の底壁部中央に貫設された接続ポート90によって、エア管体92が接続されるようになっており、エア管体92を通じて、切換弁94に接続されることによって、切換弁94の切換操作に従って、第一の作用室88が、負圧源と大気中とに択一的に接続されるようになっている。そして、第一の作用室88を大気中に接続せしめた状態下では、図1に示されているように、コイルスプリング76の付勢力が押圧金具74に及ぼされて第一のダイヤフラム44が仕切部材42に押し付けられることにより、第二のオリフィス通路66の連通口64が設けられた下板金具54の小径逆カップ状部70の開口部が流体密に覆蓋されて、第二のオリフィス通路66が遮断状態に維持されるようになっている。また一方、切換弁94の切換操作により、第一の作用室88を負圧源に接続して負圧力を及ぼした状態下では、図2に示されているように、第一の作用室88と静圧室86の圧力差に基づき、押圧金具74が、コイルスプリング76の付勢力に抗して、底金具26の底壁部側(図中、下方)に変位せしめられることとなり、以て、第一のダイヤフラム44に対する押圧力が解除されて第一のダイヤフラム44が仕切部材42から離隔されることにより、第二のオリフィス通路66の連通口64が平衡室50に連通せしめられて、第二のオリフィス通路66が連通状態に維持されるようになっている。
【0044】
なお、押圧金具74には、第一の作用室の壁部を構成する剛性の高い圧力作用板部80が設けられていることから、第一の作用室88に及ぼされる負圧力の作用面積が有利に且つ安定して確保され得ることとなり、押圧金具74の作動による第二のオリフィス通路66の連通/遮断制御を、比較的小さな負圧力によって容易且つ確実に行うことが可能である。
【0045】
また、押圧金具74の上底部内面の中央部分には、下方に向かって突出する緩衝ゴム突起96が設けられて、コイルスプリング76の中空内部を軸方向に突出して位置せしめられている。そして、押圧金具74が負圧吸引されて下方に変位せしめられた際、この緩衝ゴム突起96が底金具26側に当接することによって、押圧金具74の下方への変位量が制限されると共に、変位制限時における打音等の発生が軽減乃至は防止されるようになっている。
【0046】
一方、第二の取付金具14の筒金具24には、受圧室48の周壁部を構成する小径部30において、円形の開口窓98が、少なくとも一つ貫設されていると共に、開口窓98を覆うようにして、可動部材としての円板形状の可動ゴム膜100が配設されている。かかる可動ゴム膜100は、その外周縁部を開口窓98の周縁部に加硫接着されており、それによって、開口窓98が可動ゴム膜100によって流体密に覆蓋されている。なお、筒金具24の小径部30とくびれ部34は、その内外周面が、略全面に亘って、シール材を兼ねた薄肉の被覆ゴム層102によって被覆されており、この被覆ゴム層102が開口窓98内にまで延び出されることにより、可動ゴム膜100が被覆ゴム層102と一体的に形成されている。また、これら可動ゴム膜100と被覆ゴム層102は、何れも、本体ゴム弾性体16と一体形成されている。
【0047】
また、筒金具24の外周面には、円筒形状の制限スリーブ104が外嵌され、筒金具24の外周面に密着した状態で固定されている。この制限スリーブ104は、筒金具24に設けられた開口窓98を全面に亘って覆い得る大きさを有しており、開口窓98を覆蓋する可動ゴム膜100に対して外方に所定距離を隔てて対向位置せしめられている。また、制限スリーブ104には、開口窓98上に位置して可動ゴム膜100に対向位置する部位に透孔106が設けられており、可動ゴム膜100と制限スリーブ104の対向面間領域が、この透孔106を通じて外周面上に開口,連通せしめられている。
【0048】
さらに、制限スリーブ104の外周面上には、透孔106を覆蓋するようにして、略カップ形状の蓋体108が、その開口部において重ね合わされて流体密に固着されている。なお、蓋体108の制限スリーブ104への固着は、例えば、それら蓋体108と制限スリーブ104を共に熱可塑性合成樹脂材料で形成することにより、超音波溶着等を利用することが可能となる。
【0049】
また、蓋体108と制限スリーブ104の間には、第二の可撓性膜としてのゴム膜からなる第二のダイヤフラム110が配設されており、第二のダイヤフラム110の外周縁部が蓋体108と制限スリーブ104の間で全周に亘って挟圧保持されていることによって、可動ゴム膜100と蓋体108の間に形成された空間が、第二のダイヤフラム110によって流体密に仕切られている。以て、可動ゴム膜100と第二のダイヤフラム110の間には、空気が充填されて可動ゴム膜100の弾性変形を許容する副室112が形成されている一方、可動ゴム膜100と蓋体108の間には、密閉された第二の作用室114が形成されている。
【0050】
かかる第二の作用室114には、蓋体108の底壁部中央に貫設された接続ポート116によって、エア管体92が接続されるようになっており、エア管体92を通じて、切換弁94に接続されることによって、切換弁94の切換操作に従って、第二の作用室114が、負圧源と大気中とに択一的に接続されるようになっている。そして、第二の作用室114を大気中に接続せしめた状態下では、図1に示されているように、第二のダイヤフラム110の変形や副室112の容積変化により可動ゴム膜100の弾性変形が許容されることとなり、この可動ゴム膜100の弾性変形に基づいて、受圧室48に惹起される内圧変動が吸収されて低動ばね効果が発揮されるようになっている。ここにおいて、可動ゴム膜100は、ばね定数や開口窓98の大きさ、制限スリーブ104への当接にて制限される変形量等が適当に設定されることにより、その弾性変形による受圧室48の内圧吸収に基づく低動ばね効果が、こもり音等に相当する高周波小振幅振動に対して有効に発揮されるようになっている。また一方、切換弁94の切換操作により、第二の作用室114を負圧源に接続して負圧力を及ぼした状態下では、図2に示されているように、第二の作用室114と副室112の圧力差に基づき、第二のダイヤフラム110が吸引されて蓋体108の内周面で拘束されることに加えて、副室112にも負圧力が伝達されて可動ゴム膜100が吸引され、制限スリーブ104への当接にて変形制限されることによって、可動ゴム膜100の弾性変形に基づく受圧室48の内圧吸収が阻止されるようになっている。
【0051】
さらに、第二の作用室114は、第一の作用室88と同じ切換弁94に対して、エア管体92によって接続されている。これにより、切換弁94の切換操作に従って、第一の作用室88と第二の作用室114が同期して切り換えられるようになっている。換言すれば、切換弁94の切換操作によって、第一の作用室88と第二の作用室114が共に負圧源に接続された状態と、第一の作用室88と第二の作用室114が共に大気中に接続された状態との、二つの接続状態が、択一的に設定されるようになっているのである。
【0052】
そして、第一の作用室88と第二の作用室114が共に負圧源に接続された状態下では、図3にモデル図が示されているように、第二のオリフィス通路66が連通状態に維持される一方、可動ゴム膜100が拘束状態に維持される。それ故、振動入力時には、第二のオリフィス通路66を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づいて、アイドリング振動に対して有効な防振効果が発揮されると共に、可動ゴム膜100の液圧吸収作用に起因する防振性能の低下も有利に回避され得るのである。なお、第一のオリフィス通路60は開口状態にあるが、中周波振動入力時における流通抵抗が著しく大きいことから、第一のオリフィス通路60を通じての流体流動に起因する防振性能の低下は殆ど問題となることがない。
【0053】
一方、第一の作用室88と第二の作用室114が共に大気中に接続された状態下では、図4にモデル図が示されているように、可動ゴム膜100の弾性変形に基づく液圧吸収作用が許容される一方、第二のオリフィス通路66が遮断状態に維持される。それ故、シェイク等の低周波振動に対しては、第一のオリフィス通路60を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づく減衰効果が、第二のオリフィス通路66を通じての流体流動によって阻害されることなく、有利に発揮されると共に、こもり音等の高周波振動に対しては、可動ゴム膜100の液圧吸収作用に基づく有効な防振効果が有効に発揮されるのである。なお、シェイク等の低周波振動は、こもり音等の高周波振動に比べて、その振幅が極めて大きいことから、第一のオリフィス通路60による低周波振動に対する防振性能の、可動ゴム膜100の液圧吸収作用による低下は殆ど問題となることがない。
【0054】
従って、上述の如き構造とされたエンジンマウントにおいては、自動車の停止時に第一の作用室88と第二の作用室114が共に負圧源に接続される一方、自動車の走行時に第一の作用室88と第二の作用室114が共に大気中に接続されるように、切換弁94を切換操作することによって、停止時に入力されるアイドリング振動に対する防振効果と、走行時に入力されるシェイク等の低周波振動およびこもり音等の高周波振動に対する防振効果とが、何れも、極めて有利に発揮されるのである。
【0055】
そして、かかるエンジンマウントにおいては、防振特性の切り換えを、単一の切換弁94の操作によって行うことが可能であることから、空気圧機構の構造が簡単で、且つその切換制御が極めて容易であるといった利点がある。
【0056】
また、防振特性の切り換えが、負圧力を利用した部材の吸引作用によって行われることから、ロータリバルブ等を用いる場合に比して、切換機構の構造が簡略で安価であることは勿論、構成部材に要求される加工精度や組付精度も緩和されて、安定した作動が実現されるといった利点がある。
【0057】
特に、本実施例では、負圧力を第一の作用室88と第二の作用室114に及ぼすことによって、アイドリング振動に対して有効な防振効果が発揮されるように設定されていることから、停車したアイドリング状態で有利に確保される負圧力を利用することが可能となり、特別なバキュームタンク等を用いることなく、安定した防振特性の切換作動が実現されるといった利点がある。
【0058】
以上、本発明の一具体例について詳述してきたが、これは本発明の実施の一形態であって、本発明は、かかる具体例によって何等限定的に解釈されるものでない。
【0059】
例えば、前記具体例では、副室112に空気が充填されていたが、水等の非圧縮性流体が充填される副室を採用することも可能である。
【0060】
また、受圧室の内圧変動を吸収する可動部材として、所定距離だけ変位可能に配設された硬質の可動板などを採用し、その変位によって受圧室の内圧変動を吸収せしめるようにしても良い。
【0061】
更にまた、前記実施例では、可動ゴム膜100の変形を許容する副室112の壁部の一部が第二のダイヤフラム110で構成されており、この第二のダイヤフラム110の背後に形成された第二の作用室114に負圧力が及ぼされることにより、副室112に対して負圧力が間接的に作用せしめられるようになっていたが、第二のダイヤフラム110を設けることなく、副室112を大気中乃至は負圧源に直接に接続することも可能である。このような場合でも、副室112に及ぼされる負圧力にて可動ゴム膜100が吸引拘束されることにより、有効な防振特性の切換作動が実現され得る。
【0062】
また、第一のオリフィス通路や第二のオリフィス通路の具体的構造は、要求される防振特性等に応じて適宜に設定されるものであり、何等限定的に解釈されるものでない。
【0063】
更に、押圧部材に対して、第一の可撓性膜を第二のオリフィス通路の開口部に押し付けるための付勢力を与える付勢部材としては、コイルスプリングの他、ゴム弾性体等の公知の各種の付勢部材が採用可能である。
【0064】
加えて、本発明は、自動車用エンジンマウント以外の各種のマウント装置に対して、何れも有利に適用され得ることは勿論である。
【0065】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0066】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、請求項1乃至10に記載の発明に従う構造とされた流体封入式マウント装置においては、何れも、第一の作用室および副室に対して、負圧源を、同時に接続し又は遮断することによって、中周波数域にチューニングされた第二のオリフィス通路と高周波数域に設定された可動部材を、択一的に機能せしめることが出来るのである。
【0067】
すなわち、第一の作用室および副室に対して共に負圧源を接続せしめて第二のオリフィス通路を機能せしめた状態下では、可動部材が拘束されることから、可動部材による第二のオリフィス通路の防振性能の阻害が防止されて、第二のオリフィス通路による中周波振動に対する防振効果が有効に且つ安定して発揮され得るのである。また、第一の作用室および副室に対する負圧源を接続を解除せしめた状態下では、第二のオリフィス通路が構造的に遮断されることから、第一のオリフィス通路による低周波振動に対する防振効果と、可動部材の液圧吸収による高周波振動に対する防振効果とが、第二のオリフィス通路を通じての流体流動によって阻害されることなく、何れも有効に発揮され得るのである。
【0068】
そして、かかる流体封入式マウント装置においては、上述の如き防振特性の切換制御が、第一の作用室および副室に対して、負圧源を、同時に接続し又は遮断すれば良いことから、防振特性の切り換えのための構造とその制御が簡単であるといった大きな利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一具体例としてのエンジンマウントを示す縦断面説明図である。
【図2】図1に示されたエンジンマウントの装着状態であって、第一及び第二の作用室を共に負圧源に接続せしめた状態を示す縦断面説明図である。
【図3】図1に示されたエンジンマウントにおいて、第一及び第二の作用室を共に負圧源に接続せしめた状態を概略的に示すモデル図である。
【図4】図1に示されたエンジンマウントにおいて、第一及び第二の作用室を共に大気中に接続せしめた状態を概略的に示すモデル図である。
【符号の説明】
10 エンジンマウント
12 第一の取付金具
14 第二の取付金具
16 本体ゴム弾性体
42 仕切部材
44 第一のダイヤフラム
48 受圧室
50 平衡室
60 第一のオリフィス通路
66 第二のオリフィス通路
74 押圧金具
76 コイルスプリング
86 静圧室
88 第一の作用室
94 切換弁
98 開口窓
100 可動ゴム膜
104 制限スリーブ
110 第二のダイヤフラム
112 副室
114 第二の作用室

Claims (10)

  1. 第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結せしめて、該本体ゴム弾性体により壁部の一部が構成されて振動が入力される受圧室と、壁部の一部が第一の可撓性膜で構成されて容積可変とされた平衡室を形成し、該受圧室と該平衡室に非圧縮性流体を封入すると共に、それら受圧室と平衡室を相互に連通する第一のオリフィス通路と該第一のオリフィス通路よりも高周波数域にチューニングされた第二のオリフィス通路をそれぞれ形成し、更に該第二のオリフィス通路を遮断する遮断手段を設ける一方、前記受圧室の壁部において変形乃至は変位に基づき内圧変動を吸収する可動部材を配設した流体封入式マウント装置において、
    前記遮断手段を、前記第一の可撓性膜を挟んで前記平衡室とは反対側に配されて該第一の可撓性膜に向かって付勢されることにより該第一の可撓性膜を前記第二のオリフィス通路の開口部に押し付けて該開口部を閉塞せしめる押圧部材によって構成すると共に、該押圧部材の背後に第一の作用室を設けて、該第一の作用室に負圧力が及ぼされることにより、該押圧部材による第一の可撓性膜の押付力が解除されて該第二のオリフィス通路の開口部が開口せしめられるようにする一方、前記可動部材を挟んで前記受圧室とは反対側に、該可動部材の変形乃至は変位を許容する密閉された副室を形成し、更に、該副室の壁部の一部を第二の可撓性膜で構成して、該副室が容積可変とされていると共に、該第二の可撓性膜を挟んで該副室とは反対側に第二の作用室を形成して、該第二の作用室に負圧力が及ぼされることによって、該第二の可撓性膜が吸引拘束されるようにして、該副室に対して間接に負圧力を及ぼしめることにより、該可動部材の変形乃至は変位を阻止せしめるようにしたことを特徴とする流体封入式マウント装置。
  2. 前記負圧力を与える負圧源が、内燃機関における吸気系である請求項1に記載の流体封入式マウント装置。
  3. 前記副室が前記受圧室に対して、前記可動部材によって流体密に遮断されており、該副室に空気が充填されている請求項1又は2に記載の流体封入式マウント装置。
  4. 前記可動部材の前記副室側への変形量乃至は変位量を制限する規制部材が設けられている請求項1乃至3の何れかに記載の流体封入式マウント装置。
  5. 前記押圧部材が、前記第一の作用室に収容配置されたコイルスプリングにより、前記第一の可撓性膜に向かって付勢されている請求項1乃至4の何れかに記載の流体封入式マウント装置。
  6. 前記第二の取付部材によって構成された前記受圧室の壁部に開口窓が形成されていると共に、前記可動部材が、前記本体ゴム弾性体と一体形成されて該開口窓を流体密に閉塞する可動ゴム膜によって構成されている請求項1乃至5の何れかに記載の流体封入式マウント装置。
  7. 前記第二の取付部材が筒状部を備えており、該筒状部の一方の開口部が前記本体ゴム弾性体で閉塞されて該筒状部内に前記受圧室が形成されていると共に、該筒状部に開口窓が形成されて、該開口窓に前記可動部材が配設されている請求項1乃至6の何れかに記載の流体封入式マウント装置。
  8. 前記第二の取付部材が有底筒形状を有しており、その開口部が前記本体ゴム弾性体で閉塞されると共に、該第二の取付部材の内部が前記第一の可撓性膜によって開口部側と底部側に仕切られることにより、該開口部側には、隔壁で二分されて前記受圧室と前記平衡室が形成されている一方、該底部側には、前記押圧部材が配設されていると共に、該押圧部材と該第二の取付部材の底壁部との間に前記第一の作用室が形成されている請求項1乃至7の何れかに記載の流体封入式マウント装置。
  9. 前記受圧室と前記平衡室を仕切る隔壁において、前記第一のオリフィス通路が該隔壁の外周部分に形成されると共に、前記第二のオリフィス通路が該隔壁の中央部分に形成されて、該第二のオリフィス通路の該平衡室側の開口部が、該隔壁の中央部分に位置せしめられている請求項1乃至8の何れかに記載の流体封入式マウント装置。
  10. 前記第一の作用室および前記第二の作用室に対して、それぞれ空気管路を通じて単一の管路切換手段が接続されており、該管路切換手段によって、それら第一の作用室および第二の作用室に対して負圧源が同期して接続/遮断されるようになっている請求項1乃至9の何れかに記載の流体封入式マウント装置。
JP19749396A 1996-07-26 1996-07-26 流体封入式マウント装置 Expired - Fee Related JP3551637B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19749396A JP3551637B2 (ja) 1996-07-26 1996-07-26 流体封入式マウント装置
EP97111972A EP0821181A3 (en) 1996-07-26 1997-07-14 Fluid-filled elestic mount having low-and medium-frequency vibration damping orifices, and high-frequency vibration isolating movable member

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19749396A JP3551637B2 (ja) 1996-07-26 1996-07-26 流体封入式マウント装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1038017A JPH1038017A (ja) 1998-02-13
JP3551637B2 true JP3551637B2 (ja) 2004-08-11

Family

ID=16375395

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19749396A Expired - Fee Related JP3551637B2 (ja) 1996-07-26 1996-07-26 流体封入式マウント装置

Country Status (2)

Country Link
EP (1) EP0821181A3 (ja)
JP (1) JP3551637B2 (ja)

Families Citing this family (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE19861063C2 (de) * 1998-02-25 2002-02-14 Freudenberg Carl Kg Hydraulisch dämpfendes Lager
DE19902493C2 (de) * 1999-01-22 2001-02-01 Freudenberg Carl Fa Umschaltbares Zweikammer-Stützlager mit hydraulischer Dämpfung
JP3663482B2 (ja) * 1999-05-27 2005-06-22 東洋ゴム工業株式会社 切替型液封入式防振装置
JP4540864B2 (ja) * 2001-02-23 2010-09-08 山下ゴム株式会社 液封防振装置
WO2003001080A1 (fr) * 2001-06-22 2003-01-03 Yamashita Rubber Kabushiki Kaisha Dispositif de controle de vibrations a anneau liquide
JP4666560B2 (ja) * 2001-06-22 2011-04-06 山下ゴム株式会社 液封防振装置
JP4868564B2 (ja) * 2001-06-22 2012-02-01 山下ゴム株式会社 液封防振装置
JP4716607B2 (ja) * 2001-06-22 2011-07-06 山下ゴム株式会社 液封防振装置
DE10305172A1 (de) * 2003-02-08 2004-08-26 Mann + Hummel Gmbh Ventil zur Steuerung eines Fluidstromes
JP2005113978A (ja) * 2003-10-06 2005-04-28 Bridgestone Corp 防振装置
JP5289167B2 (ja) * 2009-04-28 2013-09-11 株式会社ブリヂストン 防振装置
GB201212534D0 (en) 2012-07-13 2012-08-29 Dtr Vms Ltd Hydraulically damped mountinf device
KR101676255B1 (ko) 2015-11-02 2016-11-29 현대자동차주식회사 엔진마운트
JP6962733B2 (ja) * 2017-07-31 2021-11-05 株式会社ブリヂストン 防振装置
KR20200142181A (ko) * 2019-06-12 2020-12-22 현대자동차주식회사 유체 봉입형 엔진 마운트

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2860703B2 (ja) * 1990-10-29 1999-02-24 豊田合成株式会社 液封入防振装置
JP2884799B2 (ja) * 1991-02-04 1999-04-19 東海ゴム工業株式会社 流体封入式マウント装置
DE4141332C2 (de) * 1991-12-14 1995-05-24 Freudenberg Carl Fa Umschaltbares Lager
JP3495416B2 (ja) * 1994-05-10 2004-02-09 山下ゴム株式会社 液封防振ゴム装置
JP2986389B2 (ja) * 1995-03-22 1999-12-06 山下ゴム株式会社 液封防振ゴム装置

Also Published As

Publication number Publication date
EP0821181A3 (en) 2000-04-26
EP0821181A2 (en) 1998-01-28
JPH1038017A (ja) 1998-02-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2843088B2 (ja) 流体封入式マウント装置
JP3539067B2 (ja) 流体封入式マウント装置
JP2884799B2 (ja) 流体封入式マウント装置
US7210674B2 (en) Fluid-filled vibration damping device
JPH04277338A (ja) 流体封入式マウント装置
JPH04262138A (ja) 流体封入式マウント装置
JP3551637B2 (ja) 流体封入式マウント装置
JPH0460231A (ja) 流体封入式マウント装置
JPH08270718A (ja) 流体封入式マウント装置
US20080054152A1 (en) Series-type engine mount and method of manufacturing series-type engine mount
JP3715230B2 (ja) 能動型流体封入式防振装置
JP3721856B2 (ja) 流体封入式防振装置
JP2002174288A (ja) 空気圧式能動型防振装置
JPH1089402A (ja) 流体封入式マウント装置
JP2004069005A (ja) 流体封入式防振装置
JP2008121811A (ja) 流体封入式防振装置
JP3572995B2 (ja) 流体封入式防振装置
JP4158108B2 (ja) 空気圧切換型の流体封入式エンジンマウント
JP3721913B2 (ja) 流体封入式防振装置
JP2884804B2 (ja) 流体封入式マウント装置
JP4623428B2 (ja) 流体封入式防振装置
JP3407616B2 (ja) 流体封入式防振装置
JP4158111B2 (ja) 空気圧切換型の流体封入式エンジンマウント
JP2014098445A (ja) 流体封入式防振装置
JP4210851B2 (ja) 車両用流体封入式エンジンマウント

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040406

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040419

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 4

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080514

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090514

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees