JP3378042B2 - ビスカスダンパ - Google Patents

ビスカスダンパ

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JP3378042B2
JP3378042B2 JP05225893A JP5225893A JP3378042B2 JP 3378042 B2 JP3378042 B2 JP 3378042B2 JP 05225893 A JP05225893 A JP 05225893A JP 5225893 A JP5225893 A JP 5225893A JP 3378042 B2 JP3378042 B2 JP 3378042B2
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casing
viscous damper
annular
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進 沼尻
賢一 海老澤
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Mitsubishi Motors Corp
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、回転軸の捩り振動を低
減するビスカスダンパに関する。 【0002】 【従来の技術】例えば、エンジンのクランクシャフトが
ピストンからの爆発力、或いは回転速度の急激な変動を
受けるとき、特に大きなフライホイールが付いている場
合、捩れを起こし、エンジン振動の原因となる。そし
て、クランクシャフトの固有捩り振動と回転における衝
撃のサイクルが共振すると、大きな振動が発生する。ま
た、気筒数が多くなりクランクシャフトが長くなると捩
りが発生する。そして、これらの捩り振動が大きくなる
と、クランクシャフトが折れることとなる。そこで、こ
のような捩り振動を防止するために、クランクシャフト
のフライホイールと反対側の端(前端)にダンパを装着
している。 【0003】このようなダンパとして例えば、ビスカス
ダンパがある。このビスカスダンパは、図4のように円
板部1aの周縁部に肉厚の環状部1bが一体に形成され
たケーシング1と、当該ケーシング1の環状部1bの後
端面に軸方向に沿って形成された環状溝1c内に流体例
えば、シリコン油と共にジャーナルベアリング3、スラ
ストベアリング4、5を介して相対回転可能に封入され
たイナーシャリング2と、環状溝1cの開口端に液密に
装着されたカバー6等により形成されており、ケーシン
グ1がエンジンのクランクシャフト(図示せず)の前端
に装着され、当該クランクシャフトが回転中に正又は負
の加速度を持つとイナーシャリング2とケーシング1と
がシリコン油を介して相対的に回転しクランクシャフト
の捩り振動を吸収する。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のビスカスダンパは、ケーシング1に冷却フィンの無
いもの、或いは図4のようにケーシング1の環状部1b
の前面に冷却フィン1dが形成されていても、その高さ
が低いために放熱効果が少なく、イナーシャリング2と
共に封入されているシリコン油の温度が上昇し易い。こ
のためシリコン油が劣化し易く、ダンパの信頼性に問題
がある。また、ケーシング1のバランス取りを行なう場
合には、総削りとしてアンバランス量を極力減らす必要
があり、バンランス取りがし難く、非常に手間がかか
る。 【0005】また、ケーシング1は、強度が低いために
図5に点線で示すように前後、或いはコーン状の首振り
振動が発生し、しかも、イナーシャリング2は、ベアリ
ング3〜5を介してケーシング1内に封入されているた
めに騒音が発生し、図6に実線で示すように振動周波数
が1kHz付近で振動のピーク値が表れ、耳障りである
等の問題がある。 【0006】本発明は上述の点に鑑みてなされたもの
で、ケーシングの放熱効果を高めて信頼性の向上を図る
と共に強度を高めて騒音の発生を低減させ、更にバラン
ス取りを容易にしたビスカスダンパを提供することを目
的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明によれば、円板部の周縁に肉厚の環状部が一体
に形成され、円板部が回転軸の一端に装着固定され、環
状部の一側面に開口を有する環状溝が形成されたケーシ
ングと、前記ケーシングの環状溝内に相対回転可能に流
体と共に封入されたイナーシャリングとを備えたビスカ
スダンパにおいて、前記環状部の前記一側面とは反対側
の他側面のみに、該他側面の外周縁又は内周縁の何れか
一側に全周に亘り突出形成された環状のボスと、前記環
状部の前記他側面に放射状をなして形成された多数の冷
却フィンとを設け、前記冷却フィンが、前記ボスと一体
的に連設形成され、前記ケーシングの剛性を強化するリ
ブとして構成したものである。 【0008】 【作用】ケーシングは、環状部前面に形成されたボスと
当該ボスに連設して放射状に形成された多数の冷却フィ
ンとにより強度が高くなり、振動の低減が図られる。ま
た、ケーシングの環状部前面に形成された冷却フィンに
より内部に封入された流体が良好に冷却される。また、
ケーシングのバランスは、ボスに穴を明けることにより
行なう。 【0009】 【実施例】以下本発明の一実施例を添付図面に基づいて
詳述する。図1及び図2においてビスカスダンパ10の
ケーシング11は、中央の円板部11aの外周に厚肉の
環状部11bが一体に形成されており、円板部11aの
中心には大径の孔11cが穿設され、当該孔11cの外
縁にはボルト孔11dが周方向に沿って所定の間隔で複
数穿設されている。環状部11bは、前面外周縁に全周
に亘りボス11eが環状に突出して形成され、更に当該
ボス11eの内側に冷却フィン11fが放射状をなして
多数連設形成されている。 【0010】冷却フィン11は、ケーシング11の前
端面に、且つ一端が当該ケーシング11の縁のある部分
即ち、ボス11eに連設されているためにリブとしての
効果が大きく、ケーシング11の補強部材としての機能
を有している。この結果、単にリブを立設した場合に比
してケーシング11の強度が高くなる。また、冷却フィ
ン11の高さも高くすることができる。 【0011】環状部11bの後端面には大きな環状溝1
1gが形成されており、当該環状溝11gの内側の内面
には更に環状溝11hが形成され、更に環状溝11gの
開口端11iは、その両側が全周に亘り段差をなして拡
径されている。かかる形状のケーシング11は、例え
ば、アルミニウム合金部材により一体に形成される。イ
ナーシャリング12は、ケーシング11の環状溝11g
内に僅かな間隙を存して収納されており、両端面には略
中央に全周に亘り環状溝12a、12bが形成されてい
る。環状溝11gの内側の内周面とイナーシャリング1
2の内周面との間には円筒状のジャーナルベアリング1
3が介在されている。また、イナーシャリング12の環
状溝12aと環状溝11gの対抗する端面との間にはス
ラストベアリング14が介在されている。 【0012】ケーシング11の環状溝11gの開口端1
1iには環状のカバー16が嵌合されており、当該開口
端11iの内外両周縁部は全周に亘りカシメ加工が施さ
れ、カバー16が強固に且つ液密に固定されている。そ
して、イナーシャリング12の環状溝12bとカバー1
6の対抗する内面との間にはスラストベアリング15が
介在されている。更に、環状溝11g内には耐熱温度の
高い粘性流体例えば、シリコン油が封入されており、環
状溝11hは、オイル溜まりとされている。これにより
イナーシャリング12は、ケーシング11の環状溝11
g内で相対回転可能とされている。 【0013】このビスカスダンパ10は、円板部11a
がプーリの後端にボルト孔11dを介してボルト(共に
図示せず)で固定され、当該プーリは、回転軸例えば、
クランクシャフトの先端に装着固定される。このとき前
記クランクシャフトの前端が円板部11aの中央の孔1
1cを貫通する。これによりビスカスダンパ10は、前
記プーリと共にクランクシャフトの前端に固定される。 【0014】以下に作用を説明する。ケーシング11の
バランスを取る場合に図1及び図2のように環状部11
bの前面外周に全周に亘り形成した環状のボス11eの
重い部分即ち、アンバランスな部分に、適当な大きさ及
び深さの穴11kを穿設してバランスを取る。これによ
り簡単にケーシング11のバランスを取ることができ
る。尚、ボス11eは、環状部11bの外周縁側に設け
た方がバランスを取る上では効果的である。 【0015】エンジンが始動してクランクシャフトが回
転すると、当該クランクシャフトと共にビスカスダンパ
10が回転する。ビスカスダンパ10は、前記クランク
シャフトが回転中に正又は負の加速度を持つとこれに伴
いケーシング11とイナーシャリング12との間に相対
回転が発生し、このときこれら両者間に封入されている
シリコン油に剪断力が作用してビスカスダンパ10がク
ランクシャフトの捩り振動を吸収する。 【0016】ケーシング11は、前面に形成されたボス
11eに連設して放射状に形成された多数の冷却フィン
11fにより補強されて強度アップされており、従っ
て、振動が大幅に低減され、周波数−振動特性は、図6
に点線で示すようになる。また、ケーシング11は、回
転時に冷却フィン11fによりシリコン油が封入されて
いる環状部11bの前面が良好に冷却されるために当該
シリコン油が効果的に冷却され、温度上昇が抑制され
る。この結果、ビスカスダンパ10の信頼性が向上す
る。 【0017】図3は、本発明のビスカスダンパの他の実
施例を示し、ケーシング11の環状部11bの前面に形
成するボス11eと冷却フィン11fとの位置を入れ換
えて形成したもので、環状部11bの前面の内周縁側に
環状にボス11eを形成し、当該ボス11eから半径方
向外方に向けて冷却フィン11fを放射状に連結形成し
たものである。このように冷却フィン11fを外周縁側
に配置した方が、冷却風の流れが良好となり冷却効果が
向上する。 【0018】 【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、円
板部の周縁に肉厚の環状部が一体に形成され、円板部が
回転軸の一端に装着固定され、環状部の一側面に開口を
有する環状溝が形成されたケーシングと、前記ケーシン
グの環状溝内に相対回転可能に流体と共に封入されたイ
ナーシャリングとを備えたビスカスダンパにおいて、前
記環状部の前記一側面とは反対側の他側面のみに、該他
側面の外周縁又は内周縁の何れか一側に全周に亘り突出
形成された環状のボスと、前記環状部の前記他側面に放
射状をなして形成された多数の冷却フィンとを設け、前
記冷却フィンが、前記ボスと一体的に連設形成され、前
記ケーシングの剛性を強化するリブとして構成したの
で、ケーシングが良好に冷却され、信頼性の向上が図ら
れる。また、ボスと冷却フィンとを連設することにより
ケーシングの強度が高くなり騒音の低減が図られ、更に
ボス部に穴を明けることにより簡単にケーシングのバラ
ンス取りができる。また、ケーシングの剛性強化と、冷
却フィンによる冷却効果の向上とを同時に実現すること
ができる等の効果がある。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明に係るビスカスダンパの一実施例を示す
断面図である。 【図2】図1の正面図である。 【図3】本発明のビスカスダンパの他の実施例を示す断
面図である。 【図4】従来のビスカスダンパの断面図である。 【図5】図4のビスカスダンパのケーシングの振動モー
ドを示す模式図である。 【図6】ビスカスダンパのケーシングの周波数−振動特
性図である。 【符号の説明】 10 ビスカスダンパ 11 ケーシング 12 イナーシャリング 13 ジャーナルベアリング 14、15 スラストベアリング 16 カバー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 平3−6147(JP,U) 実開 平3−14341(JP,U) 実開 平2−146252(JP,U) 実開 平4−8848(JP,U) 実開 昭62−134962(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16F 15/16 F02B 77/00

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 円板部の周縁に肉厚の環状部が一体に形
    成され、円板部が回転軸の一端に装着固定され、環状部
    一側面に開口を有する環状溝が形成されたケーシング
    と、前記ケーシングの環状溝内に相対回転可能に流体と
    共に封入されたイナーシャリングとを備えたビスカスダ
    ンパにおいて、 前記環状部の前記一側面とは反対側の他側面のみに、該
    他側面の外周縁又は内周縁の何れか一側に全周に亘り突
    出形成された環状のボスと、前記環状部の前記他側面
    放射状をなして形成された多数の冷却フィンとを設け、 前記冷却フィンが、前記ボスと一体的に連設形成され、
    前記ケーシングの剛性を強化するリブとして構成したこ
    とを特徴とするビスカスダンパ。
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