JP3257375B2 - 車輌の挙動制御装置 - Google Patents

車輌の挙動制御装置

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JP3257375B2
JP3257375B2 JP27833995A JP27833995A JP3257375B2 JP 3257375 B2 JP3257375 B2 JP 3257375B2 JP 27833995 A JP27833995 A JP 27833995A JP 27833995 A JP27833995 A JP 27833995A JP 3257375 B2 JP3257375 B2 JP 3257375B2
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司朗 門崎
匠二 稲垣
亜起夫 岡田
裕 川口
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60TVEHICLE BRAKE CONTROL SYSTEMS OR PARTS THEREOF; BRAKE CONTROL SYSTEMS OR PARTS THEREOF, IN GENERAL; ARRANGEMENT OF BRAKING ELEMENTS ON VEHICLES IN GENERAL; PORTABLE DEVICES FOR PREVENTING UNWANTED MOVEMENT OF VEHICLES; VEHICLE MODIFICATIONS TO FACILITATE COOLING OF BRAKES
    • B60T8/00Arrangements for adjusting wheel-braking force to meet varying vehicular or ground-surface conditions, e.g. limiting or varying distribution of braking force
    • B60T8/17Using electrical or electronic regulation means to control braking
    • B60T8/1755Brake regulation specially adapted to control the stability of the vehicle, e.g. taking into account yaw rate or transverse acceleration in a curve

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Transportation (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Regulating Braking Force (AREA)
  • Hydraulic Control Valves For Brake Systems (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の車輌の
旋回時に於けるスピンの如き好ましからざる挙動を抑制
し低減する挙動制御装置に係る。
【0002】
【従来の技術】自動車等の車輌の旋回時に於ける挙動を
制御する挙動制御装置の一つとして、例えば特開平6−
24304号公報に記載されている如く、ヨーレートの
フィードバックによる制動力制御に於いて、制動力の前
後配分及び左右配分が横加速度等の車輌状態に応じて決
定されるよう構成された挙動制御装置が従来より知られ
ている。
【0003】かかる挙動制御装置によれば、制動力の前
後配分及び左右配分が横加速度等の車輌状態に応じて最
適に決定されるので、各輪の制動力を車輌状態に応じて
最適に制御し、これによりヨーレートフィードバック制
御による車輌の挙動制御を効率よく効果的に行うことが
できる。
【0004】一般に、障害物の緊急回避時の如き切り返
し操舵時には、揺り返しに起因して車輌が程度の大きい
スピン状態になり易く、そのため挙動を効果的に安定化
するためには例えば旋回外側前輪に応答性よく制動力を
与えて大きいアンチスピンモーメントを通常の旋回時に
比して応答性よく早期に発生させなければならない。ま
た車輌が切り返し操舵時に連続してスピン状態になる場
合には、左右輪の制動力の大きさを迅速に反転させる必
要があるが、制動圧が増圧される車輪とは左右反対側の
車輪の制動圧がすぐには低下せず、そのため一方の車輪
の制動圧を増圧しても大きいアンチスピンモーメントを
応答性よく早期に発生させることができない。
【0005】また切り返し操舵時に於けるスピン状態を
応答遅れなく効果的に制御すべく、仮にスピン状態に基
づく制動圧制御のゲインを高く設定すると、スピン状態
の誤推定に起因して不必要な挙動制御が実行され、これ
により車輌の旋回挙動が却って悪化する虞れがある。
【0006】本発明は、従来の挙動制御装置に於ける上
述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主
要な課題は、切り返し操舵に起因してスピン状態になっ
た可能性があるか否かを判別し、その判別結果に基づき
左右輪の制動力差の発生タイミングを変化させることに
より、車輌挙動の誤推定に起因する不必要な挙動制御を
防止しつつ切り返し操舵時に於けるスピン状態を応答遅
れなく効果的に制御することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述の如き主要な課題
は、本発明によれば、車輌のスピン状態を検出し、スピ
ン状態時には左右輪の制動力差によってアンチスピンモ
ーメントを車輌に与えることによりスピン抑制制御を行
う車輌の挙動制御装置に於いて、切り返し操舵に起因し
スピン状態になった可能性がある時には切り返し操舵
に起因しないスピン状態時に比して早期に所定量の左右
輪の制動力差を発生するよう構成されていることを特徴
とする車輌の挙動制御装置(請求項1の構成)、又は車
輌の挙動を表すパラメータから第一のスピン状態量を演
算する手段と、前記第一のスピン状態量が第一の所定値
を越えたときにはスピンを抑制するよう車輌の挙動を制
御する第一の挙動制御手段とを有する車輌の挙動制御装
置に於いて、前記第一のスピン状態量の微分値を含む第
二のスピン状態量を演算する手段と、前記第一の挙動制
御手段による挙動制御が終了した後の所定の時間の間に
前記第二のスピン状態量が第二の所定値を越えたときに
はスピンを抑制するよう車輌の挙動を制御する第二の挙
動制御手段とを有していることを特徴とする車輌の挙動
制御装置(請求項6の構成)によって達成される。
【0008】上述の請求項1の構成によれば、切り返し
操舵に起因してスピン状態になった可能性がある時には
切り返し操舵に起因しないスピン状態時に比して早期に
所定量の左右輪の制動力差が発生されるので、切り返し
操舵に起因してスピン状態になった時には早期にアンチ
スピンモーメントが車輌に与えられ、スピン状態が応答
遅れなく効果的に抑制される。
【0009】また請求項6の構成によれば、車輌の挙動
を表すパラメータから第一のスピン状態量が演算され、
第一のスピン状態量が第一の所定値を越えたときにはス
ピンを抑制するよう第一の挙動制御手段により車輌の挙
動が制御されるだけでなく、第一のスピン状態量の微分
値を含む第二のスピン状態量が演算され、第一の挙動制
御手段による挙動制御が終了した後の所定の時間の間に
第二のスピン状態量が第二の所定値を越えたときにはス
ピンを抑制するよう第二の挙動制御手段により車輌の挙
動が制御されるので、切り返し操舵が行われる際のスピ
ン状態発生時等に於いては、後続のスピン状態が第二の
スピン状態量が第二の所定値を越えることによって早期
に判定され、これによりスピン状態の抑制が早期に開始
され、スピン状態が効果的に抑制される。また通常時に
は第一のスピン状態量に基づき車輌の挙動が制御される
ので、誤検出による不必要な挙動制御が効果的に防止さ
れる。
【0010】また本発明によれば、上述の主要な課題を
効果的に達成すべく、請求項1の構成に於て、旋回方向
が反転した時点より所定の時間内に車輌がスピン状態に
なったときに早期に所定量の左右輪の制動力差を発生す
るよう構成される(請求項2の構成)。
【0011】旋回方向が反転した時点より所定の時間内
に車輌がスピン状態になったときには、切り返し操舵に
起因してスピン状態になった可能性が高く、請求項2の
構成によれば、かかる状況に於いてアンチスピンモーメ
ントが確実に早期に車輌に与えられる。
【0012】また本発明によれば、上述の主要な課題を
効果的に達成すべく、請求項1の構成に於て、スピン抑
制制御を終了した時点より所定の時間内に再度スピン抑
制制御を開始するときに早期に所定量の左右輪の制動力
差を発生するよう構成される(請求項3の構成)。
【0013】スピン抑制制御を終了した時点より所定の
時間内に再度スピン抑制制御を開始するときにも、切り
返し操舵に起因してスピン状態になった可能性が高く、
請求項3の構成によってもアンチスピンモーメントが確
実に早期に車輌に与えられる。
【0014】また本発明によれば、上述の主要な課題を
効果的に達成すべく、請求項1乃至3の何れかの構成に
於て、旋回外輪の制動圧の増圧勾配を大きくすることに
より早期に所定量の左右輪の制動力差を発生するよう構
成される(請求項4の構成)。この構成によれば、旋回
外輪の制動圧の増圧勾配が通常時より大きくされるの
で、アンチスピンモーメントが確実に早期に車輌に与え
られる。
【0015】また本発明によれば、上述の主要な課題を
効果的に達成すべく、請求項1の構成に於て、旋回方向
が反転した時点より所定の時間内又はスピン抑制制御を
終了した時点より所定の時間内に於いてはスピン抑制制
御の開始敷居値を低下することにより早期に所定量の左
右輪の制動力差を発生するよう構成される(請求項5の
構成)。この構成によれば、車輌のスピン状態が小さい
段階より左右輪の制動力差が発生されるので、アンチス
ピンモーメントが確実に早期に車輌に与えられる。
【0016】
【課題解決手段の好ましい態様】本発明の課題解決手段
の一つの好ましい態様によれば、請求項1の構成に於
て、車体のスリップ角β及び車体の横滑り加速度Vydと
の線形和の大きさがスピン状態量として演算され、該ス
ピン状態量に基づき車輌がスピン状態にあるか否かが判
定されるよう構成される。
【0017】また本発明の課題解決手段の一つの好まし
い態様によれば、請求項6の構成に於て、第一のスピン
状態量は車体のスリップ角β及びその微分値である車体
のスリップ角速度βd の線形和として演算されるよう構
成される。
【0018】また本発明の課題解決手段の他の一つの好
ましい態様によれば、請求項6の構成に於て、第二のス
ピン状態量は第一のスピン状態量と第一のスピン状態量
の微分値に係数が乗算された値との和として演算される
よう構成される。
【0019】また本発明の課題解決手段の更に他の一つ
の好ましい態様によれば、上記好ましい態様に於ける係
数は所定の時間の経過につれて漸次小さくなるよう構成
される。
【0020】
【発明の実施の形態】以下に添付の図を参照しつつ、本
発明を実施形態について詳細に説明する。
【0021】図1は本発明による挙動制御装置の第一の
実施形態の油圧回路及び電気式制御装置を示す概略構成
図である。
【0022】図1に於て、制動装置10は運転者による
ブレーキペダル12の踏み込み操作に応答してブレーキ
オイルを第一及び第二のポートより圧送するマスタシリ
ンダ14と、マスタシリンダ内のオイル圧力に対応する
圧力(レギュレータ圧)にブレーキオイルを増圧するハ
イドロブースタ16とを有している。マスタシリンダ1
4の第一のポートは前輪用のブレーキ油圧制御導管18
により左右前輪用のブーキ油圧制御装置20及び22
に接続され、第二のポートは途中にプロポーショナルバ
ルブ24を有する後輪用のブレーキ油圧制御導管26に
より左右後輪用の3ポート2位置切換え型の電磁式の制
御弁28に接続されている。制御弁28は導管30によ
り左後輪用のブレーキ油圧制御装置32及び右後輪用の
ブレーキ油圧制御装置34に接続されている。
【0023】また制動装置10はリザーバ36に貯容さ
れたブレーキオイルを汲み上げ高圧のオイルとして高圧
導管38へ供給するオイルポンプ40を有している。高
圧導管38はハイドロブースタ16に接続されると共に
切換弁44に接続されており、高圧導管38の途中には
オイルポンプ40より吐出される高圧のオイルをアキュ
ムレータ圧として蓄圧するアキュムレータ46が接続さ
れている。図示の如く切換弁44も3ポート2位置切換
え型の電磁式の切換弁であり、四輪用のレギュレータ圧
供給導管47によりハイドロブースタ16に接続されて
いる。
【0024】左右前輪用のブレーキ油圧制御装置20及
び22はそれぞれ対応する車輪に対する制動力を制御す
るホイールシリンダ48FL及び48FRと、3ポート2位
置切換え型の電磁式の制御弁50FL及び50FRと、リザ
ーバ36に接続されたリターン通路としての低圧導管5
2と切換弁44との間に接続された左右前輪用のレギュ
レータ圧供給導管53の途中に設けられた常開型の電磁
式の開閉弁54FL及び54FR及び常閉型の電磁式の開閉
弁56FL及び56FRとを有している。それぞれ開閉弁5
4FL、54FRと開閉弁56FL、56FRとの間の左右前輪
用のレギュレータ圧供給導管53は接続導管58FL、5
8FRにより制御弁50FL、50FRに接続されている。
【0025】左右後輪用のブレーキ油圧制御装置32、
34は制御弁28と低圧導管52との間にて導管30の
途中に設けられた常開型の電磁式の開閉弁60RL、60
RR及び常閉型の電磁式の開閉弁62RL、62RRと、それ
ぞれ対応する車輪に対する制動力を制御するホイールシ
リンダ64RL、64RRとを有し、ホイールシリンダ64
RL、64RRはそれぞれ接続導管66RL、66RRにより開
閉弁60RL、60RRと開閉弁62RL、62RRとの間の導
管30に接続されている。
【0026】制御弁50FL及び50FRはそれぞれ前輪用
のブレーキ油圧制御導管18とホイールシリンダ48FL
及び48FRとを連通接続し且つホイールシリンダ48FL
及び48FRと接続導管58FL及び58FRとの連通を遮断
する図示の第一の位置と、ブレーキ油圧制御導管18と
ホイールシリンダ48FL及び48FRとの連通を遮断し且
つホイールシリンダ48FL及び48FRと接続導管58FL
及び58FRとを連通接続する第二の位置とに切替わるよ
うになっている。
【0027】切換弁44と左右後輪用制御弁28との間
には左右後輪用のレギュレータ圧供給導管68が接続さ
れており、制御弁28はそれぞれ後輪用のブレーキ油圧
制御導管26と開閉弁60RL、60RRとを連通接続し且
つ開閉弁60RL、60RRとレギュレータ圧供給導管68
との連通を遮断する図示の第一の位置と、ブレーキ油圧
制御導管26と開閉弁60RL、60RRとの連通を遮断し
且つ開閉弁60RL、60RRとレギュレータ圧供給導管6
8とを連通接続する第二の位置とに切替わるようになっ
ている。
【0028】制御弁50FL、50FR、28はマスタシリ
ンダ圧遮断弁として機能し、これらの制御弁が図示の第
一の位置にあるときにはホイールシリンダ48FL、48
FR、64RL、64RRが導管18、26と連通接続され、
各ホイールシリンダへマスタシリンダ圧が供給されるこ
とにより、各輪の制動力が運転者によるブレーキペダル
12の踏み込み量に応じて制御され、制御弁50FL、5
0FR、28が第二の位置にあるときには各ホイールシリ
ンダはマスタシリンダ圧より遮断される。
【0029】また切換弁44はホイールシリンダ48F
L、48FR、64RL、64RRへ供給される油圧をアキュ
ムレータ圧とレギュレータ圧との間にて切換える機能を
果し、制御弁50FL、50FR、28が第二の位置に切換
えられ且つ開閉弁54FL、54FR、60RL、60RR及び
開閉弁56FL、56FR、62RL、62RRが図示の位置に
ある状態にて切換弁44が図示の第一の位置に維持され
るときには、ホイールシリンダ48FL、48FR、64R
L、64RRへレギュレータ圧が供給されることにより各
ホイールシリンダ内の圧力がレギュレータ圧にて制御さ
れ、これにより他の車輪の制動圧に拘わりなくその車輪
の制動圧がブレーキペダル12の踏み込み量に対応する
レギュレータ圧による増圧モードにて制御される。
【0030】尚各弁がレギュレータ圧による増圧モード
に切換え設定されても、ホイールシリンダ内の圧力がレ
ギュレータ圧よりも高いときには、ホイールシリンダ内
のオイルが逆流し、制御モードが増圧モードであるにも
拘らず実際の制動圧は低下する。
【0031】また制御弁50FL、50FR、28が第二の
位置に切換えられ且つ開閉弁54FL、54FR、60RL、
60RR及び開閉弁56FL、56FR、62RL、62RRが図
示の位置にある状態にて切換弁44が第二の位置に切換
えられると、ホイールシリンダ48FL、48FR、64R
L、64RRへアキュムレータ圧が供給されることにより
各ホイールシリンダ内の圧力がレギュレータ圧よりも高
いアキュムレータ圧にて制御され、これによりブレーキ
ペダル12の踏み込み量及び他の車輪の制動圧に拘わり
なくその車輪の制動圧がアキュームレータ圧による増圧
モードにて制御される。
【0032】更に制御弁50FL、50FR、28が第二の
位置に切換えられた状態にて開閉弁54FL、54FR、6
0RL、60RRが第二の位置に切換えられ、開閉弁56F
L、56FR、62RL、62RRが図示の状態に制御される
と、切換弁44の位置に拘らず各ホイールシリンダ内の
圧力が保持され、制御弁50FL、50FR、28が第二の
位置に切換えられた状態にて開閉弁54FL、54FR、6
0RL、60RR及び開閉弁56FL、56FR、62RL、62
RRが第二の位置に切換えられると、切換弁44の位置に
拘らず各ホイールシリンダ内の圧力が減圧され、これに
よりブレーキペダル12の踏み込み量及び他の車輪の制
動圧に拘わりなくその車輪の制動圧が減圧モードにて制
御される。
【0033】切換弁44、制御弁50FL、50FR、2
8、開閉弁54FL、54FR、60RL、60RR及び開閉弁
56FL、56FR、62RL、62RR、は後に詳細に説明す
る如く電気式制御装置70により制御される。電気式制
御装置70はマイクロコンピュータ72と駆動回路74
とよりなっており、マイクロコンピュータ72は図1に
は詳細に示されていないが例えば中央処理ユニット(C
PU)と、リードオンリメモリ(ROM)と、ランダム
アクセスメモリ(RAM)と、入出力ポート装置とを有
し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続さ
れた一般的な構成のものであってよい。
【0034】マイクロコンピュータ72の入出力ポート
装置には車速センサ76より車速Vを示す信号、実質的
に車体の重心に設けられた横加速度センサ78より車体
の横加速度Gy を示す信号、ヨーレートセンサ80より
車体のヨーレートγを示す信号、操舵角センサ82より
操舵角θを示す信号、実質的に車体の重心に設けられた
前後加速度センサ84より車体の前後加速度Gx を示す
信号、車輪速センサ86FL〜86RRよりそれぞれ左右前
輪及び左右後輪の車輪速(周速)Vwfl 、Vwfr 、Vwr
l 、Vwrr を示す信号が入力されるようになっている。
尚横加速度センサ78及びヨーレートセンサ80等は車
輌の左旋回方向を正として横加速度等を検出し、前後加
速度センサ84は車輌の加速方向を正として前後加速度
を検出するようになっている。
【0035】またマイクロコンピュータ72のROMは
後述の如く図2、図3の制御フロー及び図4、図5のマ
ップを記憶しており、CPUは上述の種々のセンサによ
り検出されたパラメータに基づき後述の如く種々の演算
を行い、車輌の旋回挙動を判定するためのスピン状態量
SSを求め、スピン状態量に基づき車輌の旋回挙動を推
定し、その推定結果に基づき旋回外側前輪の制動力を制
御して旋回挙動を制御するようになっている。
【0036】次に図2に示されたフローチャートを参照
して車輌の旋回挙動制御ルーチンについて説明する。尚
図2に示されたフローチャートによる制御は図には示さ
れていないイグニッションスイッチの閉成により開始さ
れ、所定の時間毎に繰返し実行される(このことは後述
の他のフローチャートによる制御についても同様であ
る)
【0037】まずステップ10に於いては車速センサ7
6により検出された車速Vを示す信号等の読込みが行わ
れ、ステップ20に於いては横加速度Gy と車速V及び
ヨーレートγの積V*γとの偏差Gy −V*γとして横
加速度の偏差、即ち車輌の横すべり加速度Vydが演算さ
れ、ステップ30に於いては横すべり加速度Vydが積分
されることにより車体の横すべり速度Vy が演算され、
車体の前後速度Vx (=車速V)に対する車体の横すべ
り速度Vy の比Vy /Vx として車体のスリップ角βが
演算される。
【0038】ステップ40に於いてはK1 及びK2 をそ
れぞれ正の定数として車体のスリップ角β及び横すべり
加速度Vydの線形和K1 *β+K2 *Vydとしてスピン
量SVが演算され、ステップ50に於いてはヨーレート
γの符号に基づき車輌の旋回方向が判定され、スピン状
態量SSが車輌が左旋回のときにはSVとして、車輌が
右旋回のときには−SVとして演算される。ステップ6
0に於いてはスピン状態量SSに基づき図4に示された
グラフに対応するマップより旋回外側前輪の目標スリッ
プ率Rsfo が演算される。尚スピン量SVは、後述の第
四の実施形態に於ける第一のスピン状態量と同様車体の
スリップ角β及びその微分値βd の線形和として演算さ
れてもよい。
【0039】ステップ70に於いては目標スリップ率R
sfo が0であるか否かの判別、即ち車輌の旋回挙動が安
定な状態にあり挙動制御が不要であるか否かの判別が行
われ、肯定判別が行われたときにはステップ10へ戻
り、否定判別が行われたときにはステップ100へ進
【0040】ステップ100に於いてはVb を基準車輪
速度(例えば旋回内側前輪の車輪速度)として下記の数
1に従って旋回外側前輪の目標車輪速度Vwtfoが演算さ
れる。
【数1】Vwtfo=Vb *(100−Rsfo )/100
【0041】ステップ110に於いてはVwfo を旋回外
側前輪の車輪速度とし、Vwfodを旋回外側前輪の車輪加
速度(Vwfo の微分値)とし、Ks を正の一定の係数と
して下記の数2に従って旋回外側前輪のスリップ量SP
foが演算される。
【数2】SPfo=Vwfo −Vwtfo+(Vwfod−Gx )
【0042】ステップ120に於いては図5に示された
グラフに対応するマップより旋回外側前輪のデューティ
比Drfo が演算され、ステップ130に於いてはデュー
ティ比Drfoが図3に示されたルーチンに従って演算さ
れるデューティ比Drfo 補正されることにより旋回外
側前輪の制動圧の増圧勾配が制限される。
【0043】更にステップ140に於いては切換弁44
及び旋回外側前輪の制御弁50FL又は50FRに対し制御
信号が出力されることによってその制御弁が第二の位置
に切換え設定されると共に、同じく旋回外側前輪の開閉
弁に対しデューティ比Drfoに対応する制御信号が出力
されることにより旋回外側前輪のホイールシリンダ48
FL又は48FRに対するアキュームレータ圧の給排が制御
され、これにより旋回外側前輪の制動圧が制御される。
【0044】この場合デューティ比Drfo が負の基準値
と正の基準値との間の値であるときには旋回外側前輪の
上流側の開閉弁が第二の位置に切換え設定され且つ下流
側の開閉弁が第一の位置に保持されることにより、対応
するホイールシリンダ内の圧力が保持され、デューティ
比が正の基準値以上のときには旋回外側前輪の上流側及
び下流側の開閉弁が図1に示された位置に制御されるこ
とにより、対応するホイールシリンダへアキュームレー
タ圧が供給されることによって該ホイールシリンダ内の
圧力が増圧され、デューティ比が負の基準値以下である
ときには旋回外側前輪の上流側及び下流側の開閉弁が第
二の位置に切換え設定されることにより、対応するホイ
ールシリンダ内のブレーキオイルが低圧導管52へ排出
され、これにより該ホイールシリンダ内の圧力が減圧さ
れる。
【0045】次に図3に示されたフローチャートを参照
して増圧勾配制限ルーチンについて説明する。尚図3に
示されたフローチャートによる制御は所定時間毎の割り
込みにより実行される。また図3に示されたフローチャ
ートに於いて、Fx は車輌の旋回方向が反転したか否か
に関するものであり、フラグFy は車輌の旋回方向が反
転してから所定時間が経過するまで1となるフラグであ
る。
【0046】このルーチンのステップ210に於いては
ヨーレートγを示す信号の読込みが行われ、ステップ2
20に於いてはフラグFx が1であるか否かの判別が行
われ、否定判別が行われたときにはステップ240へ進
み、肯定判別が行われたときにはステップ230へ進
む。ステップ230に於いてはタイマのカウント値Ta
が基準値Tao(正の定数)を越えているか否かの判別が
行われ、否定判別が行われたときにはステップ260へ
進み、肯定判別が行われたときにはステップ270へ進
む。
【0047】ステップ240に於いては、前回のヨーレ
ートγの符号と今回のヨーレートの符号とが異なるか否
かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステッ
プ270へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ
250に於いてフラグFx が1にセットされると共にタ
イマTa がスタートされ、ステップ260に於いてフラ
グFy が1にセットされる。
【0048】ステップ270に於いてはフラグFx が0
にリセットされると共にタイマTaがリセットされ、ス
テップ280に於いては挙動制御中であるか否かの判別
が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ300
へ進み、否定判別が行われたときにはステップ290に
於いてフラグFy が0にリセットされる。
【0049】ステップ300に於いてはフラグFy が1
であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたとき
にはステップ330へ進み、否定判別が行われたときに
はステップ310へ進む。ステップ310に於いてはデ
ューティ比Drfo が基準値L1 (20%程度の正の定
数)を越えているか否かの判別が行われ、否定判別が行
われたときにはそのままこのルーチンを終了し、肯定判
別が行われたときにはステップ320に於いてデューテ
ィ比Drfo がL1 にセットされる。
【0050】ステップ330に於いてはデューティ比D
rfo が基準値L2 (90%程度の正の定数)を越えてい
るか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときには
そのままこのルーチンを終了し、肯定判別が行われたと
きにはステップ340に於いてデューティ比Drfo がL
2 にセットされる。
【0051】かくして図示の第一の実施形態に於いて
は、ステップ20に於いて車体の横すべり加速度Vydが
演算され、ステップ30に於いて車体のスリップ角βが
演算され、ステップ40に於いてこれらの線形和として
スピン量SVが演算され、ステップ50及び60に於い
てスピン量SVが絶対値化された値であるスピン状態量
SSに応じて旋回外側前輪の目標スリップ率Rsfo が演
算され、ステップ70に於いて車輌の旋回挙動が安定で
あるか否かの判別が行われる。
【0052】車輌の旋回挙動が安定な状態にあるときに
はステップ70に於いて肯定判別が行われることにより
ステップ10へ戻り、従ってこの場合にはステップ10
0〜140による挙動制御は実行されず、これにより各
車輪の制動圧は運転者によるブレーキペダル12の踏込
み量に応じて制御される。
【0053】また車輌の旋回挙動がスピン状態にあると
きにはステップ70に於いて否定判別が行われ、ステッ
プ100に於いて旋回外側前輪の目標車輪速度Vwtfoが
演算され、ステップ110〜140に於いて旋回外側前
輪の車輪速が目標車輪速度Vwtfoになるようその制動力
が制御される。
【0054】この場合ステップ120に於いて演算され
たデューティ比Drfo が図3のルーチンに従って演算さ
れるデューティ比Drfoに補正されることにより制動圧
の増圧勾配が制限される。即ちステップ240に於いて
切り返し操舵が行われたか否かの判別が行われ、切り返
し操舵が行われていないときにはステップ270に於い
てフラグFx が0にリセットされ、ステップ280に於
いて挙動制御中であるか否かの判別が行われる。
【0055】従って切り返し操舵が行われておらず挙動
制御中でもないときには、ステップ290に於いてフラ
グFy が0にリセットされ、ステップ300に於いて否
定判別が行われ、ステップ310及び320に於いてデ
ューティ比Drfo がL1 にて上限ガードされる。また切
り返し操舵が行われていないが挙動制御中であるときに
は、ステップ80に於いて肯定判別が行われ、Fy =
0であるのでステップ300に於いて否定判別が行わ
れ、この場合にもデューティ比Drfo がL1 にて上限ガ
ードされる。
【0056】これに対し切り返し操舵が行われると、ス
テップ240に於いて肯定判別が行われ、ステップ25
0に於いてフラグFx が1にセットされると共にタイマ
Taがスタートされ、ステップ260に於いてフラグFy
が1にセットされ、ステップ300に於いて肯定判別
が行われ、これによりステップ330及び340に於い
てデューティ比Drfo がL2 にて上限ガードされるよう
になる。
【0057】そして次のサクルに於いては、ステップ
220に於いて肯定判別が行われ、ステップ230に於
いて切り返し操舵が行われた時点より所定時間Toaが経
過したか否かの判別が行われ、所定時間が経過していな
いときにはステップ260に於いてフラグFy が1にセ
ットされ、ステップ300に於いて肯定判別が行われ、
これによりL2 によるデューティ比Drfo の上限ガード
が継続される。
【0058】これに対し所定時間Toaが経過すると、ス
テップ230に於いて肯定判別が行われ、ステップ27
0に於いてフラグFx が0にリセットされ、ステップ2
80に於いて挙動制御中であるか否かの判別が行われ
る。挙動制御中であるときにはステップ300に於いて
肯定判別が行われ、これによりL2 によるデューティ比
Drfo の上限ガードが継続される。また挙動制御中でな
いときにはステップ280及び300に於いて否定判別
が行われ、ステップ310及び320により通常時と同
様デューティ比Drfo がL1 により上限ガードされるよ
うになる。
【0059】従ってこの第一の実施形態によれば、通常
の挙動制御時には旋回外側前輪の制動圧制御のデューテ
ィ比Drfo の上限値がL1 とされるので、急激なアンチ
スピンモーメントの発生を防止して車輌の旋回挙動の急
変を防止することができ、また切り返し操舵が行われた
時点より所定時間が経過するまでに挙動制御が実行され
る場合には、デューティ比の上限値がL2 とされ、これ
により短時間のうちに所要のアンチスピンモーメントが
発生されるので、切り返し操舵後に於けるスピンを応答
遅れなく効果的に抑制することができる。
【0060】次に図7に示されたフローチャートを参照
して第二の実施形態に於ける増圧勾配制限ルーチンにつ
いて説明する。尚この実施形態に於ける挙動制御ルーチ
ン自体は上述の第一の実施形態に於ける挙動制御ルーチ
ンと同一である。また図7に示されたフローチャートに
於いて、フラグFz はタイマTb が作動中であるか否か
に関するものである。
【0061】まずステップ410に於いては挙動制御中
であるか否かの判別が行われ、定判別が行われたとき
にはステップ440へ進み、定判別が行われたときに
はステップ420へ進む。ステップ420に於いてはフ
ラグFz が1であるか否かの判別が行われ、肯定判別が
行われたときにはステップ440へ進み、否定判別が行
われたときにはステップ430に於いてタイマTb がス
タートされると共にフラグFz が1にセットされる。
【0062】ステップ440に於いてはタイマのカウン
ト値Tb が基準値Tbo(正の定数)を越えているか否か
の判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ
450に於いてフラグFy が1にセットされ、肯定判別
が行われたときにはステップ460へ進む。
【0063】ステップ460に於いては挙動制御中であ
るか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときには
470に於いてフラグFy が0にリセットされた後ステ
ップ480へ進み、肯定判別が行われたときにはステッ
プ480に於いてフラグFzが0にリセットされると共
にタイマTb がリセットされる。ステップ490〜53
0に於いては第一の実施形態のステップ300〜340
と同様の処理が行われる。
【0064】かくしてこの実施形態に於いては、フラグ
Fy は挙動制御中から非挙動制御中へ変化した時点、即
ち挙動制御が終了した時点より所定時間Tboが経過する
まで1にセットされ、挙動制御が終了した時点より所定
時間Tboが経過した段階に於いて0にリセットされる。
また挙動制御が終了した時点より所定時間Tboが経過す
るまでの間に(フラグFy が1であるときに)挙動制御
が開始された場合には、挙動制御が終了するまでフラグ
Fy は1に維持される。
【0065】従ってこの実施形態によれば、通常の挙動
制御時には旋回外側前輪の制動圧制御のデューティ比D
rfo の上限値がL1 とされるので、急激なアンチスピン
モーメントの発生を防止して車輌の旋回挙動の急変を防
止することができ、また挙動制御が終了した時点より所
定時間Tboが経過する前に再度挙動制御が実行される場
合には、デューティ比の上限値がL2 とされ、これによ
り短時間のうちに所要のアンチスピンモーメントが発生
されるので、切り返し操舵時に連続してスピンを発生し
てもそのスピンが応答遅れなく効果的に抑制することが
できる。
【0066】図8は本発明による挙動制御装置の第三の
実施形態による旋回挙動制御ルーチンを示すフローチャ
ートである。尚図8に於いて図2に示されたステップに
対応するステップには図2に於いて付されたステップ番
号と同一のステップ番号が付されている。またこの実施
形態に於ける増圧勾配制限ルーチンは上述の第一又は第
二の実施形態に於ける増圧勾配制限ルーチンと同一であ
る。
【0067】この実施形態に於いては、ステップ50の
次に実行されるステップ55に於いてフラグFy が1で
あるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときに
はステップ60に於いて旋回外側前輪の目標スリップ率
Rfoが図6の実線にて示されたグラフに対応するマップ
より演算され、肯定判別が行われたときにはステップ6
5に於いて目標スリップ率Rfoが図6の破線にて示され
たグラフに対応するマップより演算される。
【0068】かくしてこの実施形態に於いては、切り返
し操舵が行われなかったときには、ステップ55に於い
て否定判別が行われることによりステップ60に於いて
目標スリップ率Rsfo が不感帯の大きいマップより演算
され、これにより車体のスリップ角β等の推定誤差に起
因して誤って旋回挙動が不安定であると判定され、不必
要なアンチスピンモーメントが発生されることを防止す
ることができる。
【0069】また切り返し操舵が行われたときには、ス
テップ55に於いて肯定判別が行われることによりステ
ップ65に於いて目標スリップ率Rsfo が不感帯の小さ
いマップより演算され、これによりスピン状態量SSが
小さい段階からアンチスピンモーメントが発生され、ま
た同一の大きさのスピン状態量について見て切り返し操
舵が行われなかった場合に比して高いアンチスピンモー
メントが発生されるので、切り返し操舵時にスピン状態
が生じてもそのスピンを効果的に抑制することができ
る。
【0070】尚この実施形態に於いてはステップ130
の制動圧の増圧勾配制限のステップは省略されてよく、
その場合フラグFy は図3のフローチャートのステップ
210〜290又は図7のフローチャートのステップ4
10〜480により設定される。またこの場合に於ける
フラグFy 設定ルーチン図8の挙動制御ルーチンとは
別に所定時間毎に割り込みにより実行されるルーチンで
あってよい。
【0071】図9は本発明による挙動制御装置の第四の
実施形態の油圧回路及び電気式制御装置を示す概略構成
図である。
【0072】図9に於いて、制動装置110は第一の実
施形態の場合と同様運転者によるブレーキペダル112
の踏み込み操作に応答してブレーキオイルを第一及び第
二のポートより圧送するマスタシリンダ114を有し、
第一のポートは前輪用のブレーキ油圧制御導管116に
より左右前輪用のブレーキ油圧制御装置118及び12
0に接続され、第二のポートは途中にプロポーショナル
バルブ122を有する後輪用のブレーキ油圧制御導管1
24により左右後輪用のブレーキ油圧制御装置126及
び128に接続されている。また制動装置110はリザ
ーバ130に貯容されたブレーキオイルを汲み上げ高圧
のオイルとして高圧導管132へ供給するオイルポンプ
134を有している。高圧導管132は各ブレーキ油圧
制御装置118、120、126、128に接続され、
またその途中にはアキュムレータ136が接続されてい
る。
【0073】各ブレーキ油圧制御装置118、120、
126、128はそれぞれ対応する車輪に対する制動力
を制御するホイールシリンダ138FL、138FR、13
8RL、138RRと、3ポート2位置切換え型の電磁式の
制御弁140FL、140FR、140RL、140RRと、リ
ザーバ130に接続された低圧導管142と高圧導管1
32との間に設けられた常開型の電磁式の開閉弁144
FL、144FR、144RL、144RR及び常閉型の電磁式
の開閉弁146FL、146FR、146RL、146RRとを
有している。それぞれ開閉弁144FL、144FR、14
4RL、144RRと開閉弁146FL、146FR、146R
L、146RRとの間の高圧導管132は接続導管148F
L、148FR、148RL、148RRにより制御弁140F
L、140FR、140RL、140RRに接続されている。
【0074】制御弁140FL及び140FRはそれぞれ前
輪用のブレーキ油圧制御導管116とホイールシリンダ
138FL及び138FRとを連通接続し且つホイールシリ
ンダ138FL及び138FRと接続導管148FL及び14
8FRとの連通を遮断する図示の第一の位置と、ブレーキ
油圧制御導管116とホイールシリンダ138FL及び1
38FRとの連通を遮断し且つホイールシリンダ138FL
及び138FRと接続導管148FL及び148FRとを連通
接続する第二の位置とに切替わるようになっている。同
様に140RL及び140RRはそれぞれ後輪用のブレーキ
油圧制御導管124とホイールシリンダ138RL及び1
38RRとを連通接続し且つホイールシリンダ138RL及
び138RRと接続導管148RL及び148RRとの連通を
遮断する図示の第一の位置と、ブレーキ油圧制御導管1
24とホイールシリンダ138RL及び138RRとの連通
を遮断し且つホイールシリンダ138RL及び138RRと
接続導管148RL及び148RRとを連通接続する第二の
位置とに切替わるようになっている。
【0075】制御弁140FL、140FR、140RL、1
40RRが第二の位置にある状況に於いて開閉弁144F
L、144FR、144RL、144RR及び開閉弁146F
L、146FR、146RL、146RRが図示の状態に制御
されると、ホイールシリンダ138FL、138FR、13
8RL、138RRは制御弁140FL、140FR、140R
L、140RR及び接続導管148FL、148FR、148R
L、148RRを介して高圧導管132と連通接続され、
これによりホイールシリンダ内の圧力が増圧される。逆
に制御弁が第二の位置にある状況に於いて開閉弁144
FL、144FR、144RL、144RRが閉弁され開閉弁1
46FL、146FR、146RL、146RRが開弁される
と、ホイールシリンダは制御弁及び接続導管を介して低
圧導管142と連通接続され、これによりホイールシリ
ンダ内の圧力が減圧される。更に制御弁が第二の位置に
ある状況に於いて開閉弁144FL、144FR、144R
L、144RR及び開閉弁146FL、146FR、146R
L、146RRが閉弁されると、ホイールシリンダは高圧
導管132及び低圧導管142の何れとも遮断され、こ
れによりホイールシリンダ内の圧力がそのまま保持され
る。
【0076】かくして制動装置110は、制御弁140
FL、140FR、140RL、140RRが第一の位置にある
ときにはホイールシリンダ138FL、138FR、138
RL、138RRにより運転者によるブレーキペダル112
の踏み込み量に応じた制動力を発生し、制御弁140F
L、140FR、140RL、140RRの何れかが第二の位
置にあるときには当該車輪の開閉弁144FL、144F
R、144RL、144RR及び開閉弁146FL、146F
R、146RL、146RRを開閉制御することにより、ブ
レーキペダル112の踏み込み量及び他の車輪の制動力
に拘わりなくその車輪の制動力を制御し得るようになっ
ている。
【0077】制御弁140FL、140FR、140RL、1
40RR、開閉弁144FL、144FR、144RL、144
RR及び開閉弁146FL、146FR、146RL、146RR
は後に詳細に説明する如く電気式制御装置70により制
御される。電気式制御装置70は第一の実施形態の電気
式制御装置と同様マイクロコンピュータ72と駆動回路
74とよりなっている。
【0078】マイクロコンピュータ72の入出力ポート
装置には車速センサ76等より車速Vを示す信号等が入
力され、マイクロコンピュータ72のROMは後述の如
く制御フロー及びマップを記憶しており、CPUは上述
の種々のセンサにより検出されたパラメータに基づき後
述の如く種々の演算を行って車輌の旋回挙動を示す第一
のスピン状態量Sp 又は第二のスピン状態量Spdを求
め、これらに基づき車輌の旋回挙動を安定化させるため
の制御量を演算し、その演算結果に基づき旋回外側前輪
の制動力を制御し車輌の旋回挙動を安定化させるように
なっている。
【0079】次に図10に示されたフローチャートを参
照して第四の実施形態による旋回挙動制御の概要につい
て説明する。尚図10に示されたフローチャートに於い
て、フラグFc は後述のスピン状態量Sp の絶対値が基
準値を越えた時点より所定時間が経過していないか否か
に関するものである。
【0080】まずステップ510に於いては車速センサ
76により検出された車速Vを示す信号等の読込みが行
われ、ステップ520に於いては第一の実施形態に於け
るステップ20及び30と同様の要領にて車体のスリッ
プ角βが演算され、更に車体のスリップ角βの微分値と
して車体のスリップ角速度βd が演算される。ステップ
530に於いてはa及びbをそれぞれ正の定数として下
記の数3に従って第一のスピン状態量Sp が演算され
る。
【数3】Sp =a*β+b*βd
【0081】ステップ540に於いてはタイマのカウン
ト値Tが0であるか否かの判別が行われ、否定判別が行
われたときにはステップ590へ進み、肯定判別が行わ
れたときにはステップ550へ進む。ステップ550に
於いては第一のスピン状態量Sp の絶対値が基準値Spo
(正の定数)を越えているか否かの判別が行われ、否定
判別が行われたときにはステップ580へ進み、肯定判
別が行われたときにはステップ560へ進む。
【0082】ステップ560に於いては第一のスピン状
態量Sp の絶対値に基づき図11に示されたグラフに対
応するマップより旋回外側前輪の目標スリップ率Rsfo
が演算され、ステップ570に於いてはフラグFc が1
にセットされる。ステップ580に於いてはフラグFc
が1であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われた
ときにはステップ510へ戻り、肯定判別が行われたと
きにはステップ590へ進む。
【0083】ステップ590に於いてはタイマのカウン
ト値Tが基準値To (正の定数)を越えているか否かの
判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ6
00に於いてタイマのカウント値T及びフラグFc が0
にリセットされた後ステップ550へ進み、否定判別が
行われたときにはステップ610に於いてタイマのカウ
ント値TがサンプリングタイムTs インクリメントされ
る。
【0084】ステップ620に於いてはKを正の一定の
係数として下記の数4に従って第二のスピン状態量Spd
が演算される。ステップ630に於いては第二のスピン
状態量Spdの絶対値が基準値Spoを越えているか否かの
判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ5
10へ戻り、肯定判別が行われたときにはステップ64
0に於いて第二のスピン状態量Spdの絶対値に基づき図
12に示されたグラフに対応するマップより旋回外側前
輪の目標スリップ率Rsfo が演算され、しかる後ステッ
プ650へ進む。
【数4】Spd=Sp +K*dSp /dt
【0085】ステップ650に於いては下記の数5に従
って旋回外側前輪の目標車輪速度Vwtfoが演算される。
【数5】Vwtfo=Vb *(100−Rsfo )/100
【0086】ステップ660に於いてはデューティ比D
rfo が下記の数6に従って演算される。尚下記の数6に
於いて、Kp 及びKd は車輪速フィードバック制御に於
ける比例項及び微分項の比例定数である。
【数6】Dr =Kp *(Vwfo −Vwtfo)+Kd *d
(Vwfo −Vwtfo)/dt
【0087】ステップ670に於いては旋回外側前輪の
制御弁150FL又は150FRに対し制御信号が出力され
ることによってその制御弁が第二の位置に切換え設定さ
れると共に、同じく旋回外側前輪の開閉弁に対しデュー
ティ比Dr に対応する制御信号が出力されることにより
旋回外側前輪のホイールシリンダ148FL又は148FR
に対するアキュームレータ圧の給排が制御され、これに
より旋回外側前輪の制動圧が制御される。
【0088】この場合デューティ比Dr が負の基準値と
正の基準値との間の値であるときには旋回外側前輪の上
流側の開閉弁が第二の位置に切換え設定され且つ下流側
の開閉弁が第一の位置に保持されることにより、対応す
るホイールシリンダ内の圧力が保持され、デューティ比
が正の基準値以上のときには旋回外側前輪の上流側及び
下流側の開閉弁が図9に示された位置に制御されること
により、対応するホイールシリンダへアキュームレータ
圧が供給されることによって該ホイールシリンダ内の圧
力が増圧され、デューティ比が負の基準値以下であると
きには旋回外側前輪の上流側及び下流側の開閉弁が第二
の位置に切換え設定されることにより、対応するホイー
ルシリンダ内のブレーキオイルが低圧導管152へ排出
され、これにより該ホイールシリンダ内の圧力が減圧さ
れる。
【0089】かくして図示の実施形態に於いては、ステ
ップ520に於いて車体のスリップ角β及びスリップ角
速度βd が演算され、ステップ530に於いてこれらの
線形和として第一のスピン状態量Sp が演算され、ステ
ップ540に於いて第一のスピン状態量Sp の絶対値に
応じて制動力制御輪である旋回外側前輪の目標スリップ
率Rsfo が演算される。通常時にはT=0であるので、
ステップ540に於いて肯定判別が行われ、ステップ5
50に於いて車輌の旋回挙動がスピン状態にあるか否か
の判別が行われる。
【0090】車輌の旋回挙動が安定な状態にある場合に
は、ステップ540に於いて肯定判別が行われると共に
ステップ550及び580に於いて否定判別が行われ、
従ってこの場合にはステップ650〜670による挙動
制御は実行されず、ホイールシリンダはマスタシリンダ
に接続された状態に維持され、これにより各車輪の制動
圧は運転者によるブレーキペダル112の踏込み量に応
じて制御される。
【0091】これに対し車輌の旋回挙動がスピン状態に
なると、ステップ550に於いて肯定判別が行われ、ス
テップ650に於いて旋回外側前輪の目標車輪速度Vwt
foが演算され、ステップ660に於いて目標車輪速度V
wtfoを達成するためのデューティ比Dr が演算され、ス
テップ670に於いて旋回外側前輪の車輪速度が目標車
輪速度Vwtになるようその制動力が制御され、これによ
り車輌にアンチスピンモーメントが与えられることによ
って車輌の旋回挙動が安定化される。
【0092】以上の挙動制御によりスピン状態が低減さ
れると、ステップ550に於いて否定判別が行われると
共にステップ580に於いて肯定判別が行われることに
よりステップ590〜670が実行される。特に車輌の
旋回挙動がスピン状態より安定な状態になった時点より
所定の時間To が経過していない状況に於いては、ステ
ップ590に於いて否定判別が行われ、ステップ620
に於いて第一のスピン状態量Sp とその微分値dSp /
dtとの線形和として第二のスピン状態量Spdが演算さ
れ、ステップ630に於いて第二のスピン状態量の絶対
値が基準値Spoを越えているか否かにより車輌の旋回挙
動が不安定であるか否かの判別が行われる。
【0093】切り返し操舵後に車輌がスピン状態になる
場合の如く、車輌の旋回挙動が再度不安定になると、ス
テップ630に於いて肯定判別が行われ、ステップ64
0に於いて第二のスピン状態量Spdが演算され、しかる
後ステップ650〜670により車輌の旋回挙動が安定
化される。
【0094】例えば図13は右切り操舵後に左切り操舵
される場合の車体のスリップ角β等の変化の一例を示し
ている。図13に於いて、時点t1 に於いて右切りが開
始され、時点t2 に於いて車体のスリップ角βが生じ始
め、時点t3 に於いて第一のスピン状態量Sp の絶対値
が基準値Spoを越えたとすると、時点t3 より時点t4
までの間左前輪の目標スリップ率が0以外の値になり、
これにより右旋回状態のスピンに対し左旋回方向のアン
チスピンモーメントが車輌に与えられ、スピンが低減さ
れる。
【0095】また時点t4 に於いては、ステップ540
に於いて肯定判別が行われ、ステップ550に於いて否
定判別が行われ、ステップ580に於いて肯定判別が行
われ、これによりステップ590以降の各ステップが実
行される。即ち時点t4 より所定の時間To が経過する
時点T7 までの間に於いては、第二のスピン状態量Spd
の絶対値に基づき車輌の旋回挙動が不安定か否かの判別
が行われる。時点t5に於いて第二のスピン状態量Spd
の絶対値が基準値Spoを越えたとすると、この時点以降
右前輪の目標スリップ率が0以外の値になり、これによ
り左旋回状態のスピンに対し右旋回方向のアンチスピン
モーメントが車輌に与えられ、スピンが低減される。
【0096】また時点t7 に於いては、ステップ590
に於いて肯定判別が行われ、ステップ600が実行さ
れ、これにより時点t7 以降に於いては第一のスピン状
態量Sp に基づき車輌の旋回挙動が不安定であるか否か
の判別が行われる。時点t8 に於いて第一のスピン状態
量が基準値以下になるとすると、その時点より僅かに早
い時点に於いて右前輪の目標スリップ率が漸次減少し始
め、時点t8 に於いて右前輪の目標スリップ率が0にな
る。
【0097】車輌の旋回挙動がスピン状態量の微分値を
含まない第一のスピン状態量のみに基づき判定される場
合には、図13に於いて仮想線にて示されている如く第
一のスピン状態量が基準値を越える時点t6 に於いて右
前輪の目標スリップ率が0以外の値になり始めるのに対
し、図示の実施形態によれば、時点t6 よりも早い時点
t5 に於いて挙動制御が開始されるので、切り返し操舵
後に車輌の挙動が不安定になる場合にも、そのことを早
期に判定し、これにより切り返し操舵後のスピンを効果
的に抑制することができる。
【0098】また図示の実施形態によれば、通常の挙動
制御が完了した後の所定の時間に於いてのみ、即ち図1
3に於ける時点t4 より時点t7 までの間に於いてのみ
車輌の旋回挙動が第二のスピン状態量に基づき判定され
制御されるので、車輌の旋回挙動が常時第二のスピン状
態量に基づき判定され制御される場合に比して、横加速
度Gy やヨーレートγの検出値に含まれる誤差に起因し
て不必要な挙動制御が行われる虞れを低減することがで
きる。
【0099】尚上述の第四の実施形態に於ては、第一の
スピン状態量Sp は車体のスリップ角β及びその微分値
である車体のスリップ角速度βd の線形和として演算さ
れ、第二のスピン状態量Spdは第一のスピン状態量と第
一のスピン状態量の微分値dSp /dtに係数Kが乗算
された値との和として演算されるようになっているが、
第一のスピン状態量は車輌の挙動を表すパラメータより
スピン状態を表す量として演算される限り任意の態様に
て演算されてよく、また第二のスピン状態量は第一のス
ピン状態量の微分値を含む限り任意の態様にて演算され
てよい。
【0100】また上述の第四の実施形態に於ては、第二
のスピン状態量Spdを演算するための係数Kは正の一定
の係数であるが、この係数は所定の時間To の間時間の
経過につれて漸次小さくなるよう制御されてもよく、或
いは係数Kは例えば第一のスピン状態量Sp の絶対値が
基準値Spo以下になった時点に於ける操舵角速度の絶対
値が大きいほど大きくなるよう可変設定されてもよく、
これらの場合にはスピン状態の抑制を早期に開始してス
ピン状態を効果的に抑制しつつ、誤検出に起因して不必
要な挙動制御が行われることを図示の実施形態の場合よ
りも更に一層効果的に防止することができる。
【0101】また上述の第四の実施形態に於ては、第二
のスピン状態量Spdに基づき挙動制御する所定の時間T
o は一定であるが、この所定の時間も例えば第一のスピ
ン状態量Sp の絶対値が基準値Spo以下になった時点に
於ける操舵角速度の絶対値が大きいほど長くなるよう可
変設定されてもよく、その場合にもスピン状態の抑制を
早期に開始してスピン状態を効果的に抑制しつつ、誤検
出に起因して不必要な挙動制御が行われることを図示の
実施形態の場合よりも更に一層効果的に防止することが
できる。
【0102】更に図示の第四の実施形態に於ては、ステ
ップ550及び630に於ける挙動判別の基準値Spoは
同一であるが、これらの判別の基準値は互いに異なる値
であってもよい。またステップ630に於いて否定判別
が行われたときにはステップ510へ戻るようになって
いるが、ステップ630に於いて否定判別が行われたと
きにはステップ600へ進み、これにより所定の時間T
o が経過する前にスピン状態が解消した場合には第一の
スピン状態量に基づく通常の挙動制御に復帰するよう構
成されてもよい。
【0103】以上に於ては本発明を特定の実施形態につ
いて詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定
されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実
施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろ
う。
【0104】例えば上述の各実施例に於いては、旋回外
側前輪の制動力は車輪速フィードバックにより制御され
るようになっているが、旋回外側前輪の制動力はホイー
ルシリンダ内の圧力についての圧力フィードバックによ
り制御されてもよい。
【0105】また上述の各実施形態に於いては、車輌の
挙動がスピン状態であるときには旋回外側前輪にのみ制
動力が与えられるようになっているが、旋回内側前輪に
も制動力が与えられ、内輪の制動力と外輪の制動力との
差により車輌にアンチスピンモーメントが与えられても
よく、また左右の後輪にも制動力が与えられてもよい。
【0106】
【発明の効果】以上の説明より明らかである如く、本発
明の請求項1の構成によれば、切り返し操舵に起因して
スピン状態になった可能性がある時には切り返し操舵
起因しないスピン状態時に比して早期に所定量の左右輪
の制動力差が発生されるので、切り返し操舵に起因して
スピン状態になった時には早期にアンチスピンモーメン
トを車輌に与え、これによりスピン状態を応答遅れなく
効果的に抑制することができ、また切り返し操舵に起因
してスピン状態になった可能性がない時には通常の挙動
制御が実行されるので、車輌の旋回挙動が不必要に早期
に実行されることを防止することができる。
【0107】また請求項2の構成によれば、旋回方向が
反転した時点より所定の時間内に車輌がスピン状態にな
ったときにアンチスピンモーメントを確実に早期に車輌
に与えることができ、同様に請求項3の構成によれば、
スピン抑制制御を終了した時点より所定の時間内に再度
スピン抑制制御を開始するときにアンチスピンモーメン
トを確実に早期に車輌に与えることができる。
【0108】また請求項4の構成によれば、旋回外輪の
制動圧の増圧勾配が通常時より大きくされるので、また
請求項5の構成によれば、車輌のスピン状態が小さい段
階より左右輪の制動力差が発生されるので、アンチスピ
ンモーメントを確実に早期に車輌に与えることができ
る。
【0109】また請求項6の構成によれば、車輌の挙動
を表すパラメータから第一のスピン状態量が演算され、
第一のスピン状態量が第一の所定値を越えたときにはス
ピンを抑制するよう第一の挙動制御手段により車輌の挙
動が制御されるだけでなく、第一のスピン状態量の微分
値を含む第二のスピン状態量が演算され、第一の挙動制
御手段による挙動制御が終了した後の所定の時間の間に
第二のスピン状態量が第二の所定値を越えたときにはス
ピンを抑制するよう第二の挙動制御手段により車輌の挙
動が制御されるので、切り返し操舵が行われる際のスピ
ン状態発生時等に於いても、第二のスピン状態量が第二
の所定値を越えることによって後続のスピン状態を早期
に判定し、これによりスピン状態の抑制を早期に開始し
てスピン状態を効果的に抑制することができる。また通
常時には第一のスピン状態量に基づき車輌の挙動が制御
されるので、誤検出に起因して不必要な挙動制御が行わ
れることを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による挙動制御装置の第一の実施形態の
油圧回路及び電気式制御装置を示す概略構成図である。
【図2】第一の実施形態に於ける挙動制御ルーチンを示
すフローチャートである。
【図3】第一の実施形態に於ける制動圧の増圧勾配制限
ルーチンを示すフローチャートである。
【図4】スピン状態量SSと旋回外側前輪の目標スリッ
プ率Rsfo との間の関係を示すグラフである。
【図5】旋回外側前輪のスリップ量SPfoとデューティ
比Rsfo との間の関係を示すグラフである。
【図6】第二の実施形態に於ける旋回外側前輪のスリッ
プ量SPfoとデューティ比Rsfo との間の関係を示すグ
ラフである。
【図7】第二の実施形態に於ける制動圧の増圧勾配制限
ルーチンを示すフローチャートである。
【図8】第三の実施形態に於ける挙動制御ルーチンを示
すフローチャートである。
【図9】本発明による挙動制御装置の第四の実施形態の
油圧回路及び電気式制御装置を示す概略構成図である。
【図10】第四の実施形態に於ける挙動制御ルーチンを
示すフローチャートである。
【図11】第一のスピン状態量Sp の絶対値と目標スリ
ップ率Rsfo との間の関係を示すグラフである。
【図12】第二のスピン状態量Spdの絶対値と目標スリ
ップ率Rsfo との間の関係を示すグラフである。
【図13】右切り操舵後に左切り操舵される場合の車体
のスリップ角β等の変化の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
10…制動装置 14…マスタシリンダ 16…ハイドロブースタ 20、22、32、34…ブレーキ油圧制御装置 28、50FL、50FR…制御弁 44…切換弁 48FL、48FR、64RL、64RR…ホイールシリンダ 70…電気式制御装置 76…車速センサ 78…横加速度センサ 80…ヨーレートセンサ 82…操舵角センサ 84…前後加速度センサ 86FL〜86RR…車輪速センサ 110…制動装置 114…マスタシリンダ 118、120、126、128…ブレーキ油圧制御装
置 134…オイルポンプ 138FL、138FR、138RL、138RR…ホイールシ
リンダ 140FL、140FR、140RL、140RR…制御弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川口 裕 愛知県豊田市トヨタ町1番地トヨタ自動 車株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−287754(JP,A) 特開 平3−45452(JP,A) 特開 平3−112754(JP,A) 特開 平4−243651(JP,A) 特開 平4−133825(JP,A) 特開 平6−87421(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60T 8/00 B60T 8/32 - 8/96

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車輌のスピン状態を検出し、スピン状態時
    には左右輪の制動力差によってアンチスピンモーメント
    を車輌に与えることによりスピン抑制制御を行う車輌の
    挙動制御装置に於いて、切り返し操舵に起因してスピン
    状態になった可能性がある時には切り返し操舵に起因し
    ないスピン状態時に比して早期に所定量の左右輪の制動
    力差を発生するよう構成されていることを特徴とする車
    輌の挙動制御装置。
  2. 【請求項2】請求項1の車輌の挙動制御装置に於て、旋
    回方向が反転した時点より所定の時間内に車輌がスピン
    状態になったときに早期に所定量の左右輪の制動力差を
    発生するよう構成されていることを特徴とする車輌の挙
    動制御装置。
  3. 【請求項3】請求項1の車輌の挙動制御装置に於て、ス
    ピン抑制制御を終了した時点より所定の時間内に再度ス
    ピン抑制制御を開始するときに早期に所定量の左右輪の
    制動力差を発生するよう構成されていることを特徴とす
    る車輌の挙動制御装置。
  4. 【請求項4】請求項1乃至3の何れかの車輌の挙動制御
    装置に於て、旋回外輪の制動圧の増圧勾配を大きくする
    ことにより早期に所定量の左右輪の制動力差を発生する
    よう構成されていることを特徴とする車輌の挙動制御装
    置。
  5. 【請求項5】請求項1の車輌の挙動制御装置に於て、旋
    回方向が反転した時点より所定の時間内又はスピン抑制
    制御を終了した時点より所定の時間内に於いてはスピン
    抑制制御の開始敷居値を低下することにより早期に所定
    量の左右輪の制動力差を発生するよう構成されているこ
    とを特徴とする車輌の挙動制御装置。
  6. 【請求項6】車輌の挙動を表すパラメータから第一のス
    ピン状態量を演算する手段と、前記第一のスピン状態量
    が第一の所定値を越えたときにはスピンを抑制するよう
    車輌の挙動を制御する第一の挙動制御手段とを有する車
    輌の挙動制御装置に於いて、前記第一のスピン状態量の
    微分値を含む第二のスピン状態量を演算する手段と、前
    記第一の挙動制御手段による挙動制御が終了した後の所
    定の時間の間に前記第二のスピン状態量が第二の所定値
    を越えたときにはスピンを抑制するよう車輌の挙動を制
    御する第二の挙動制御手段とを有していることを特徴と
    する車輌の挙動制御装置。
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