JP3168967B2 - 電気角検出装置および方法、並びにモータ制御装置 - Google Patents

電気角検出装置および方法、並びにモータ制御装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、センサレスで同期
モータの電気角を検出する技術および同期モータを制御
する技術に関し、詳しくは同期モータの運転状態が静止
中および低回転である場合におけるこれらの技術に関す
る。
【0002】
【従来の技術】多相交流を巻線に流し、該巻線による磁
界と永久磁石による磁界との相互作用により回転子を回
転させる同期モータで、所望の回転トルクを得るために
は、回転子の位置、即ち電気角に応じて巻線に流す多相
交流を制御する必要がある。この際、ホール素子等のセ
ンサを用いて電気角を検出する方法もあるが、同期モー
タの制御装置の信頼性を確保する観点から、上述したセ
ンサを用いない、いわゆるセンサレスで電気角を検出す
ることが望まれている。
【0003】例えば、同期モータが静止時または低回転
で運転している場合において、センサレスで電気角を検
出する方法としては、次の方法が知られている。これ
は、いわゆる突極型の永久磁石型モータについて、回転
子角度に応じて磁気回路中の磁気抵抗が変化し、巻線の
インダクタンスが変化することを利用したものである。
【0004】永久磁石型の三相同期モータを例にとって
説明する。この同期モータは図4に示す通り、U,V,
Wの三相コイルと、回転軸中心回りに回転する永久磁石
を有する等価回路により表される。この等価回路におい
て永久磁石のN極側を正方向として貫く軸をd軸と定義
し、それに直交する軸をq軸と定義する。このように定
義するとモータのトルクを主に支配するのはq軸方向の
磁界となる。また、電気角はU相コイルを貫く軸とd軸
との回転角θとなる。なお、d軸方向に磁界を生じるよ
うに電圧を印加した場合の巻線のインダクタンスをLd
とし、同じくq軸方向についてのインダクタンスをLq
とする。一方、この同期モータを制御する制御装置は、
最初は回転子の位置を正確に検出できていないため、図
4に示す通り、電気角がθcであると想定しており、現
実の電気角θとは誤差△θを生じている。図4では、制
御装置が想定している軸を、前記d軸、q軸に対し、γ
軸、δ軸として示している。
【0005】この状態で、電気角を検出するためにモー
タ制御装置は、γ軸方向に電圧を印加し、その結果、γ
方向およびδ方向に流れる電流を検出する。仮にモータ
制御装置が想定しているγ軸がd軸と一致している場合
には、δ方向の電流は検出されないはずである。しか
し、電気角に誤差△θを生じている場合には、δ軸方向
の電流が検出される。また、△θの大きさに応じてγ軸
方向の電流およびδ軸方向の電流が変化する。従って、
これらの検出電流に基づいて誤差△θを演算することが
でき、ひいては電気角θを検出することができる。な
お、誤差△θを求めるための演算方法については、後で
詳述する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記方法は、同期モー
タが静止時または低回転で運転している場合において電
気角を比較的精度良く検出することができる優れたもの
である。しかし、かかる運転状態にある同期モータであ
っても、モータが出力すべきトルクをモータの定格に応
じて定まる所定のトルク以上に大きくしていくと、上述
の方法では電気角を検出できないことが確認された。モ
ータをセンサレスで制御する技術は、比較的近年になっ
て研究が開始された技術であり、かかる課題について報
告された例は今まで存在しなかった。
【0007】これに対し、出力すべきトルクに対し、十
分に余裕のある定格でモータを設計することも可能では
あるが、これはモータの大型化および重量の増大という
問題を招いてしまう。
【0008】本発明は上記課題を解決するためになさ
れ、同期モータが静止時または低回転で運転している際
に、高トルクを出力することが要求された場合にも、そ
の電気角を精度良く検出し、モータを適切に制御する技
術を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上
記課題を解決するために、本発明では以下の構成を採っ
た。本発明の第1の電気角検出装置は、多相交流を巻線
に流した際に該巻線に生じる磁界と永久磁石による磁界
との相互作用により回転子を回転させる同期モータにつ
いて、前記回転子の回転中心を通り前記永久磁石による
磁界に沿う方向であるd軸方向、および前記回転子の回
転面内において前記d軸方向に電気的に直交する方向で
あるq軸方向を定義する電気角を検出する電気角検出装
置であって、前記モータが出力すべきトルクであるトル
ク指令値に応じて前記q軸方向に印加される電圧に対
し、所定期間、所定の負の電圧を重畳して印加する制御
を行う印加電圧制御手段と、前記d軸方向に磁界を生じ
るd軸電流、および前記q軸方向に磁界を生じるq軸電
流のそれぞれについて、前記重畳された電圧に応じて生
じる挙動を検出する電流検出手段と、該検出された電流
の挙動に基づいて、前記モータの電気角を演算する電気
角演算手段とを備えることを要旨とする。
【0010】本発明の第1の電気角検出方法は、多相交
流を巻線に流すことにより該巻線に生じる磁界と永久磁
石による磁界との相互作用により回転子を回転させる同
期モータについて、前記回転子の回転中心を通り前記永
久磁石による磁界に沿う方向であるd軸方向、および前
記回転子の回転面内において前記d軸方向に電気的に直
交する方向であるq軸方向を定義する電気角を検出する
電気角検出方法であって、前記モータが出力すべきトル
クであるトルク指令値に応じて前記q軸方向に印加され
る電圧に対し、所定期間、所定の負の電圧を重畳して印
加する制御を行い、前記d軸方向に磁界を生じるd軸電
流、および前記q軸方向に磁界を生じるq軸電流のそれ
ぞれについて、前記重畳された電圧に応じて生じる挙動
を検出し、該検出された電流の挙動に基づいて、前記モ
ータの電気角を演算することを要旨とする。
【0011】従来の電気角検出方法においては、モータ
が出力すべきトルクであるトルク指令値に応じてd軸方
向において印加される電圧に対し、所定期間、所定の正
の電圧を重畳して印加していたのに対し、上述の電気角
検出装置および電気角検出方法においては、q軸方向に
所定の負の電圧を重畳して印加する点で相違する。この
結果、上述の電気角検出装置および電気角検出方法によ
れば、同期モータが静止時または低回転(以下、両者を
含めて低速運転時と呼ぶ)において、高トルクを出力す
べき要求がなされた場合であっても電気角を精度良く検
出することができる。
【0012】なお、本明細書において重畳するとは、一
般に用いられる搬送波に信号波を重ね合わせるという意
味よりも広い意味に用いており、第1の電圧値に第2の
電圧値を加えた電圧を印加するという意味で用いてい
る。従って、q軸方向に所定の負の電圧を重畳して印加
するとは、q軸方向に所定の値だけ減じた電圧を印加す
るというのと同義である。
【0013】上記発明がなされるためには、当然、従来
の電気角検出方法によっては高トルクが要求された時に
電気角を検出できなかった原因について解明することが
必要である。従来の電気角検出方法について、高トルク
が要求された時に電気角を検出できないという事象およ
びその原因について報告された例は存在しなかった。そ
こで、本願発明者は、種々の実験および解析に基づい
て、上記原因が以下に示す点にあることを明らかにし
た。
【0014】先に説明した通り、従来の方法により電気
角を検出する場合には、電気角検出装置は、トルク指令
値に応じて印加すべき電圧に対し、図4のγ軸方向に電
気角検出用の電圧△Vγを重畳して印加する。図4に示
したγ軸からd軸に回転する方向、即ち回転子の回転す
る方向を正として電気角誤差が生じていると仮定すれ
ば、上記△Vγに応じてd軸およびq軸に印加される電
圧△Vd,△Vqは、それぞれ次式(1)で表される。 △Vd= △Vγ・cos△θ △Vq=−△Vγ・sin△θ ・・・(1)
【0015】従って、これらの電圧Vd,Vqに応じて
d軸、q軸方向に流れる電流△Id、△Iqは、d軸方
向およびq軸方向のインダクタンスをLd,Lqとし、
電圧印加後の経過時間をtとすれば、それぞれ次式
(2)で表される。 △Id= △Vγ・t・cos△θ/Ld △Iq=−△Vγ・t・sin△θ/Lq ・・・(2)
【0016】次に、上記△Id、△Iqを電気角検出装
置が想定しているγ軸、δ軸方向の電流値△Iγ、△I
δに変換すると、それぞれ次式(3)および(4)で表
される。参考としてγ軸方向に電圧△Vγが印加された
場合におけるγ軸、δ軸方向の電流変化の様子を図7に
示す。 △Iγ=△Id・cos△θ−△Iq・sin△θ =△Vγ・t(A+△I・cos2△θ) ・・・(3) △Iδ=△Id・sin△θ−△Iq・cos△θ =△Vγ・t・△I・sin2△θ ・・・(4) 但し、 A =(1/Ld+1/Lq)/2 △I =(1/Ld−1/Lq)/2 である。なお、図3および図4で示す、いわゆる突極型
のモータでは、インダクタンスにはLd<Lqなる関係
があり、△I>0となる。
【0017】上式(3)、(4)より、γ軸、δ軸方向
の電流値△Iγ、△Iδは、電気角の誤差角△θに応じ
て周期的に変化することが分かる。この様子を図8に示
す。なお、図8では、△IγA=△Iγ−△Vγ・t・
Aにより、△Iγをシフトした値を示している。△θが
比較的小さい場合には、△θ=tan(2△θ)/2な
る近似式が成立するため、該関係を用いれば上式
(3)、(4)より△θを求めることができる。但し、
△θが小さい範囲で演算する必要があることから、△θ
を図8に示す16の区部に分割し、△IγA+△Iδ、
△IγA−△Iδの正負に応じて△θがいずれの区分に
属しているかを判断した上で、該区分に応じて△θの基
準をずらして演算する。例えば、△θが図8の区分10
に属していると判断される場合には、上式(3)、
(4)の△θを△θ−π/4と置換した次式(5)、
(6)を用いる。 △Iγ=△Vγ・t(A+△I・cos2(△θ−π/4)) ・・・(5) △Iδ=△Vγ・t・△I・sin2(△θ−π/4) ・・・(6) つまり、式(5)、(6)を用いて△θ−π/4を求
め、該演算結果にπ/4を加えることにより△θを求め
るのである。なお、正の誤差角△θ(図4におけるγ軸
からd軸に回転する方向の誤差角)が生じている場合を
例にとって説明したが、逆方向の誤差角が生じている場
合、即ち誤差角△θが負となる場合についても同様に△
θを求めることができる。
【0018】以上の方法では、インダクタンスにLd<
Lqなる関係があり、△I>0であることが前提となっ
ている。仮にLd=Lqであれば、△I=0となるた
め、上式(3)、(4)から分かる通り、△IγAおよ
び△Iδは△θの値に依らず一定値をとることになり、
△θを算出することができない。また、Ld>Lqとな
り△I<0となった場合には、図8において△IγAお
よび△Iδの値がそれぞれ正負逆転することになるた
め、△IγA+△Iδ、△IγA−△Iδの正負に基づ
く区間の判断が誤ったものとなってしまう。つまり、△
I>0の場合と同じ判断方法により区間を判断すれば、
△θが90度異なった範囲の区間に属しているものと判
断されてしまう。従って、演算された電気角も90度異
なった値となってしまう。
【0019】モータに要求されるトルクが低い場合に
は、インダクタンスについてLd<Lqなる関係が保た
れているため、かかる状態は生じ得なかった。しかし、
高トルクが要求される場合には、インダクタンスについ
てLd≧Lqなる状態が生じ得る。この点について図1
2を用いて説明する。図12は、モータの固定子につい
て、外部から与えられる磁界Hと磁束密度Bとの関係を
表したものである。外部から与えられる磁界Hには、モ
ータの永久磁石による磁界と巻線に流れる電流による磁
界とがあり、d軸、q軸方向に分けて考える限り前者は
一定の値をとるため、図12は巻線に流れる電流による
磁束密度への影響を表していると考えることもできる。
なお、図12においてd軸に対応する曲線Cd、および
q軸に対応する曲線Cqの各点における接線の傾きがイ
ンダクタンスLd,Lqに相当する。
【0020】磁束密度は、図12の曲線Cqに示す通
り、外部からの磁界Hが比較的小さい領域では、線形性
を維持しているが(領域A)、ある値以上になると、い
わゆる磁束飽和現象を生じ非線形となる(領域B)。モ
ータに要求されるトルクが低いときは領域Aの状態にあ
り、図12の点a1,a2に示すようにd軸、q軸のイ
ンダクタンスが相違しているため、電気角を検出するこ
とができる。一方、モータに要求されるトルクが大きく
なると、モータ巻線に流す電流が増大するため、外部か
ら与えられる磁界Hは増大し、やがて非線形領域(領域
B)に入る。図12の点bは、接線の傾きが曲線Cdと
平行になる点である。つまり、この時、インダクタンス
はLq=Ldとなる。また、点bを越えてさらに要求さ
れるトルクが大きくなると(点c)、図12から分かる
通り、両インダクタンスの関係は逆転し、Lq<Ldと
なる。
【0021】従来の電気角検出方法は、トルク要求値に
対し定格値に十分余裕のあるモータが使用されることを
前提として提案されていた。従って、モータの磁束密度
は先に説明した線形領域(図12の領域A)にあること
が前提であり、インダクタンスは一定値をとるものとさ
れていた。本願発明者は、モータの小型化を図った結
果、高トルク時に電気角が検出できなくなったことを契
機として、種々の実験および解析を行った。高トルク時
に電気角が検出できなくなる事象に対して数多くの要因
が想定される中、本願発明者のかかる努力により、上記
の説明の通り、本質的原因は高トルク時にはモータ固定
子に磁束飽和現象が生じ、d軸方向およびq軸方向のイ
ンダクタンスの大小関係が、低トルク時と逆転してしま
う点にあるとことが明らかとなった。
【0022】かかる原因を踏まえ、本発明では電気角検
出時にd軸方向ではなく、q軸方向に、しかも所定の負
の電圧を重畳して印加する。つまり、q軸に加えられる
外部磁界を減少する方向に電圧を印加するのである。こ
の結果、図12に示す領域Aにおいて電流を検出できる
ようになり、インダクタンスについてLd<Lqなる関
係が維持されるため、高トルク時においても電気角を検
出することができる。重畳すべき負の電圧値は磁束飽和
が十分緩和される値をモータ固定子の磁束飽和特性に応
じて実験的あるいは解析的に求めればよい。
【0023】q軸に電圧を印加した場合の電気角の誤差
角△θの算出についての詳細は後述するが、その概要は
次の通りである。q軸に印加する所定の負の電圧の絶対
値を△Vδとすれば、d軸に電圧を印加した場合につい
て先に説明した式(3)(4)に相当する式として、次
式(7)、(8)が求められる。 △Iγ=△Vδ・t・△I・sin2△θ ・・・(7) △Iδ=△Vδ・t・△I・(A−cos2△θ) ・・・(8) 但し、 A =(1/Ld+1/Lq)/2 △I =(1/Ld−1/Lq)/2 である。従って、電流△Iγ、△Iδが検出されれば、
電気角の誤差角△θを算出することができる。
【0024】以上で説明した電気角検出装置における電
気角演算手段には、d軸電流の挙動とq軸電流の挙動と
に基づいて、想定された電気角と真の電気角との補正量
を求めることにより、モータの電気角を演算する種々の
手段が含まれる。上述した方法により電気角を求める手
段はその一例である。
【0025】前記電気角検出装置において、前記印加電
圧制御手段は、前記制御を前記トルク指令値が所定値以
上である場合に行う手段とすることが望ましい。
【0026】先に説明した電気角検出装置では、モータ
のトルクを主に支配するq軸方向に負の電圧を印加する
ため、電気角検出時にトルクの減少をいくらか生じる可
能性もある。これに対し、上述の電気角検出装置によれ
ば、モータのトルク指令値が所定値以上である場合にの
みq軸方向に電圧を印加するため、電気角検出中におけ
るトルク変動を最小限に抑えることができる。ここにい
うトルクの所定値はd軸に電圧を印加する等の他の方法
により電気角が検出できなくなるトルク指令値に基づい
て実験的に定めればよい。なお、該所定値以下のトルク
指令値においては、従来技術として説明した方法により
電気角を検出するものとしてもよいし、他の方法により
検出するものとしてもよい。他の方法としては、例えば
本出願人が提案している特開平7−177788記載の
方法等が挙げられる。
【0027】また、前記電圧印加制御手段は、前記重畳
して印加する電圧の絶対値および電圧印加時間の少なく
とも一方を、前記トルク指令値の減少とともに単調減少
の関係にある所定の値とする手段とすることが望まし
い。
【0028】高トルク時において電気角を検出可能にす
るためには、q軸方向のインダクタンスLqが線形領域
(図12の領域A)にあればよい。図12から明らかな
通り、q軸方向のインダクタンスLqがかかる領域に入
るために重畳すべき電圧の絶対値はモータに要求される
トルクに応じて変化し、例えば、点cに相当するトルク
が要求されている場合には大きく、点bに相当するトル
クが要求されている場合には小さくなる。電圧印加時間
についても同様のことがいえる。上述の電気角検出装置
によれば、モータに要求されるトルク指令値が小さくな
るにつれて、前記重畳して印加する電圧の絶対値および
電圧印加時間の少なくとも一方を小さくすることができ
るため、q軸への電圧印加によるトルク変動を必要最小
限に抑えることができる。なお、上でいう単調減少は、
印加する電圧の絶対値が、トルク指令値の減少に応じて
直線的に減少するもののみならず、曲線的に減少するも
のや段階的に減少するものであってもよい。また、印加
する電圧の絶対値および電圧印加時間の一方のみを減少
するものとしてもよいし、双方を減少するものとしても
よい。
【0029】一方、前記電気角検出装置において、前記
印加電圧制御手段は、前記電圧印加手段を制御して、前
記q軸方向に第1の所定期間、所定の負の電圧を重畳し
て印加した後、該q軸方向に第2の所定時間、所定の正
の電圧を重畳して印加する手段とすることも望ましい。
【0030】かかる電気角検出装置は、q軸に負の電圧
を重畳して印加した後、正の電圧を重畳して印加する。
この結果、負の電圧を重畳して印加した結果、減少した
q軸方向の電流を、要求トルクに応じた所定の電流値ま
で早期に回復することができ、電気角検出中におけるト
ルク変動の影響を抑えることができる。q軸方向に重畳
する電圧の絶対値および上記第2の所定期間は、かかる
効果を考慮して求めればよく、電気角検出のために重畳
される負の電圧の絶対値および第1の所定期間と必ずし
も一致させる必要はない。
【0031】本発明の第2の電気角検出装置は、多相交
流を巻線に流した際に該巻線に生じる磁界と永久磁石に
よる磁界との相互作用により回転子を回転させる同期モ
ータについて、前記回転子の回転中心を通り前記永久磁
石による磁界に沿う方向であるd軸方向、および前記回
転子の回転面内において前記d軸方向に電気的に直交す
る方向であるq軸方向を定義する電気角を、仮に想定し
た電気角と真の電気角との誤差を介して検出する電気角
検出装置であって、前記モータが出力すべきトルクであ
るトルク指令値が所定値以上である場合に、該トルク指
令値に応じて前記q軸方向に印加される電圧に対し、所
定期間、所定の検出用電圧を重畳して印加する制御を行
う印加電圧制御手段と、前記q軸方向に磁界を生じるq
軸電流について、前記検出用電圧に応じて生じる挙動と
前記誤差との関係を、前記トルク指令値に応じて予め記
憶する記憶手段と、前記q軸電流について、前記検出用
電圧に応じて生じる挙動を検出する電流検出手段と、該
検出された電流の挙動に基づいて、前記記憶手段に記憶
された関係を参照して前記誤差を求めることにより、前
記モータの電気角を演算する電気角演算手段とを備える
ことを要旨とする。
【0032】本発明の第2の電気角検出方法は、多相交
流を巻線に流した際に該巻線に生じる磁界と永久磁石に
よる磁界との相互作用により回転子を回転させる同期モ
ータについて、前記回転子の回転中心を通り前記永久磁
石による磁界に沿う方向であるd軸方向、および前記回
転子の回転面内において前記d軸方向に電気的に直交す
る方向であるq軸方向を定義する電気角を、仮に想定し
た電気角と真の電気角との誤差を介して検出する電気角
検出方法であって、前記モータが出力すべきトルクであ
るトルク指令値が所定値以上である場合に該トルク指令
値に応じて前記q軸方向に印加される電圧に対し、所定
期間、所定の検出用電圧を重畳して印加する制御を行
い、前記q軸方向に磁界を生じるq軸電流について、前
記検出用電圧に応じて生じる挙動を検出し、前記検出用
電圧に応じて前記q軸電流に生じる挙動と前記誤差との
予め記憶された関係を参照することにより、該検出され
た電流の挙動に応じた前記誤差を求めて、前記モータの
電気角を演算することを要旨とする。
【0033】かかる電気角検出装置および電気角検出方
法によれば、同期モータが低回転で運転している場合に
おいて、高トルクを出力すべき要求がなされた場合であ
っても電気角を精度良く検出することができる。かかる
運転状況において電気角が検出されなくなる原因が磁束
飽和現象にあることは既に説明した。本願発明者はかか
る原因を解明するだけでなく、磁束飽和現象が生じてい
る場合において印加された電圧に応じて流れるq軸電流
の挙動を調査した。この結果、磁束飽和現象が起きてい
る場合にはq軸電流と電気角の誤差との間には、図18
に一例を示すようにトルク指令値に応じてq軸方向に流
れている電流に対して一義的な関係が存在することが実
験的に見いだされた。図18は横軸に電気角の誤差、縦
軸にq軸電流をとり、両者の関係をトルク指令値に応じ
てq軸に流れる電流値i1,i2・・・ごとに示した図
である。i1,i2,・・・の順にトルク指令値が大き
くなることを意味している。
【0034】上記第2の電気角検出装置および電気角検
出方法は、かかる知見に基づいてなされたものである。
上記電気角検出装置および電気角検出方法によれば、例
えば図18に示したようなq軸電流と電気角の誤差との
関係を予めトルク指令値に応じて記憶する記憶手段を備
える。従って、q軸方向に重畳した電圧に応じて流れる
q軸電流に基づいて、この記憶手段に記憶されている関
係を参照することにより、該誤差を介して電気角を検出
することができる。なお、図18に示した関係は、テー
ブル形式で記憶するものとしてもよいし、近似関数の形
で記憶するものとしてもよい。
【0035】上述したように、磁束飽和現象が起きてい
る場合にはq軸電流と電気角の誤差との間に一義的な関
係が存在する理由は完全に解明されてはいないが、概ね
次の原因によるものと考えられる。図19に電気角検出
時の磁界の様子を示す。モータには回転子の永久磁石に
よる磁界と、巻線に流れる電流による磁界の双方を合成
した磁界が生じている。想定した電気角に誤差がない場
合、q軸に電圧を印加すれば、図19に示す通り、q軸
方向にベクトルq1からなる磁界が生じ、ベクトルd1
で表される永久磁石による磁界との合成の結果、ベクト
ルφ1からなる磁界を生じる。このとき、磁界φ1の大
きさは、次式(9)で表される。 φ1=√(d1^2+q1^2) ・・・(9) 但し、上記「^」はべき乗を示す演算子とする。
【0036】一方、想定した電気角に誤差がある場合、
印加された電圧により図19のδ軸方向にベクトルδ1
からなる磁界が生じる。永久磁石による磁界はベクトル
d1であるから、この場合には両者の合成によりベクト
ルφ2からなる磁界を生じる。通電される電流値は上述
した電気角の誤差がない場合と同じであるため、ベクト
ルq1とベクトルδ1の大きさは等しい。これらのベク
トルの大きさをq1で表すものとすれば、磁界φ2の大
きさは、次式(10)で表される。 φ2=√(d1^2+q1^2+2d1・q1・sin△θ) ・・・(10)
【0037】上式(9)(10)を比較すると、誤差角
△θが正の値である場合にはその誤差角に応じて、式
(10)で表されるベクトルφ2の方が、ベクトルφ1
よりも大きくなることが分かる。これは、磁気飽和を生
じる程の磁界が生じている状態(図12の領域B)にお
いて、更に誤差角に応じて磁束密度が高くなることを意
味している。図12の領域Bに示される通り、かかる領
域で磁束密度が高くなれば、インダクタンスは小さくな
るため電流が流れやすくなる。このようなメカニズムに
よって図18に示すように誤差角に応じてq軸方向の電
流値が一義的に決まるものと考えられる。
【0038】なお、上述の電気角検出装置において、前
記検出用電圧は正の電圧とすることが望ましい。
【0039】正の電圧を重畳するものとすれば、q軸に
流れる電流はトルク指令値に応じて流すべき電流を維持
することができ、電気角検出時におけるトルク不足を回
避することができる。
【0040】上述の電気角検出装置を利用した、本発明
の第1のモータ制御装置は、多相交流を巻線に流した際
に該巻線に生じる磁界と永久磁石による磁界との相互作
用により回転子を回転させる同期モータを、前記回転子
の回転中心を通り前記永久磁石による磁界に沿う方向で
あるd軸方向、および前記回転子の回転面内において前
記d軸方向に電気的に直交する方向であるq軸方向を定
義する電気角に基づいて制御するモータ制御装置であっ
て、前記モータが出力すべきトルクであるトルク指令値
を読み込むトルク指令値読み込み手段と、電気角を想定
し、該想定された電気角に基づいて定義されるd軸方向
およびq軸方向にトルク指令値に応じた電圧を印加する
電圧印加手段と、前記電圧印加手段により前記q軸方向
に印加される電圧に対し、所定期間、所定の負の電圧を
重畳して印加する制御を行う印加電圧制御手段と、前記
d軸方向に磁界を生じるd軸電流、および前記q軸方向
に磁界を生じるq軸電流のそれぞれについて、前記重畳
された電圧に応じて生じる挙動を検出する電流検出手段
と、該検出された電流の挙動に基づいて、前記モータの
電気角を演算する電気角演算手段と、前記想定された電
気角を該演算された電気角に更新する電気角更新手段と
を備えることを要旨とする。
【0041】また、本発明の第2のモータ制御装置は、
多相交流を巻線に流した際に該巻線に生じる磁界と永久
磁石による磁界との相互作用により回転子を回転させる
同期モータを、前記回転子の回転中心を通り前記永久磁
石による磁界に沿う方向であるd軸方向、および前記回
転子の回転面内において前記d軸方向に電気的に直交す
る方向であるq軸方向を定義する電気角を、仮に想定し
た電気角と真の電気角との誤差を介して検出し、前記電
流を流すために巻線に印加する電圧を該電気角に基づい
て制御するモータ制御装置であって、前記モータが出力
すべきトルクであるトルク指令値を読み込むトルク指令
値読み込み手段と、電気角を想定し、該想定された電気
角に基づいて定義されるd軸方向およびq軸方向に前記
トルク指令値に応じた電圧を印加する電圧印加手段と、
前記トルク指令値に応じて前記q軸方向に印加される電
圧に対し、所定期間、所定の検出用電圧を重畳して印加
する制御を行う印加電圧制御手段と、前記q軸方向に磁
界を生じるq軸電流について、前記検出用電圧に応じて
生じる挙動と前記誤差との関係を、前記トルク指令値に
応じて予め記憶する記憶手段と、前記q軸電流につい
て、前記検出用電圧に応じて生じる挙動を検出する電流
検出手段と、該検出された電流の挙動に基づいて、前記
記憶手段に記憶された関係を参照して前記誤差を求める
ことにより、前記モータの電気角を演算する電気角演算
手段と、前記想定された電気角を該演算された電気角に
更新する電気角更新手段とを備えることを要旨とする。
【0042】これらのモータ制御装置は、先に説明した
電気角検出装置を利用しているため、モータの低速運転
時における要求トルクが高トルクであっても、電気角を
精度良く検出することができる。また、こうして検出さ
れた電気角を用いてモータ制御装置が想定していた電気
角を更新する手段を備えているため、電圧印加手段は逐
次d軸、q軸方向に適切に電圧を印加することができ
る。この結果、上記モータ制御装置によれば、モータの
低速運転時において高トルクが要求された場合において
も、モータを適切に制御することができる。
【0043】なお、上述した電気角検出装置および電気
角検出方法、並びにモータ制御装置は、中心部にロータ
を備え、外周部にステータを備えるいわゆるインナロー
タ型の同期モータのみならず、いわゆるアウタロータと
呼ばれるタイプの同期モータにも適用可能である。アウ
タロータ型の電動機は、中心部のステータと、その外周
を円状に取り囲むようにロータとを備え、三相コイルに
制御電流を流すことにより回転磁界が形成し、円環状の
アウタロータを回転させる電動機である。
【0044】
【発明の実施の形態】(1)実施例の構成 以下、本発明の実施の形態について、実施例を用いて説
明する。図1は、本発明の一実施例としての電気角検出
装置を含むモータ制御装置10の概略構成を示すブロッ
ク図、図2は制御対象となっている三相同期モータ40
の概略構成を示す説明図、図3はこの三相同期モータ4
0の固定子30と回転子50との関係を示す端面図であ
る。
【0045】まず、図2を用いて、三相同期モータ40
の全体構造について説明する。この三相同期モータ40
は、固定子30と回転子50とこれらを収納するケース
60とからなる。回転子50は、外周に永久磁石51な
いし54が貼付されており、その軸中心に設けられた回
転軸55を、ケース60に設けられた軸受61,62に
より回転自在に軸支している。
【0046】回転子50は、無方向性電磁鋼板を打ち抜
いて成形した板状回転子57を複数枚積層したものであ
る。この板状回転子57は、図3に示すように、直交す
る位置に4箇所の突極71ないし74を備える。板状回
転子57を積層した後、回転軸55を圧入し、積層した
板状回転子57を仮止めする。この電磁鋼板を素材とす
る板状回転子57は、その表面に絶縁層と接着層が形成
されており、積層後所定温度に加熱され、接着層が溶融
することにより、固定される。
【0047】こうして回転子50を形成した後、回転子
50の外周面であって、突極71ないし74の中間位置
に、永久磁石51ないし54を軸方向に亘って貼付す
る。永久磁石51ないし54は、回転子50の半径方向
に磁化されており、その極性は隣り合う磁石同士が互い
に異なる磁極となっている。例えば、永久磁石51は外
周面がN極であり、その隣の永久磁石52は外周面がS
極となっている。この永久磁石51,52は、回転子5
0を固定子30に組み付けた状態では、板状回転子57
および板状固定子20を貫く磁路Mdを形成する(図3
破線参照)。
【0048】固定子30を構成する板状固定子20は、
板状回転子57と同じく無方向性電磁鋼板の薄板を打ち
抜くことで形成されており、図3に示すように、計12
個のティース22を備える。ティース22間に形成され
たスロット24には、固定子30に回転磁界を発生させ
るコイル32が巻回されている。尚、板状固定子20の
外縁部には、固定用のボルト34を通すボルト孔が設け
られているが、図3では図示を省略してある。
【0049】固定子30は、板状の板状固定子20を積
層し互いに押圧した状態として、接着層を加熱・溶融す
ることで一応固定される。この状態で、コイル32をテ
ィース22に巻回して固定子30を完成した後、これを
ケース60に組み付け、ボルト孔に固定用のボルト34
を通し、これを締め付けて全体を固定する。更に回転子
50をケース60の軸受61,62により回転自在に組
み付けることにより、この三相同期モータ40は完成す
る。
【0050】固定子30のコイル32に回転磁界を発生
するよう励磁電流を流すと、図3に示すように、隣接す
る突極および板状回転子57,板状固定子20を貫く磁
路Mqが形成される。尚、上述した永久磁石51により
形成される磁束が回転子50を、その回転軸中心を通っ
て径方向に貫く軸をd軸と呼び、回転子50の回転面内
において前記d軸に電気的に直交する軸をq軸と呼ぶ。
つまり、d軸およびq軸は回転子50の回転に伴い回転
する軸である。本実施例では、回転子50に貼付された
永久磁石51および53は外周面がN極となっており、
永久磁石52および54は外周面がS極となっているこ
とから、図3に示す通り、幾何学的にはd軸と45度方
向にある軸がq軸となる。図4に本実施例の三相同期モ
ータ40の等価回路を示す。図4に示す通り、三相同期
モータ40はU,V,Wの三相コイルと、回転軸中心回
りに回転する永久磁石を有する等価回路により表され
る。d軸はこの等価回路において永久磁石のN極側を正
方向として貫く軸として表され、q軸はd軸に対し幾何
学的にも直交した軸として表される。また、電気角はU
相コイルを貫く軸とd軸との回転角θとなる。
【0051】次に、図1に従ってモータ制御装置10の
構成について説明する。モータ制御装置10は、外部か
らのトルク指令を受けて三相同期モータ40の三相
(U,V,W相)のモータ電流を制御する制御用ECU
100、三相同期モータ40のU相電流Au、V相電流
Av、W相電流Awを検出する電流センサ102、10
3、104、検出された電流の高周波ノイズを除去する
フィルタ106、107、108、検出した電流値をデ
ィジタルデータに変換する3個のアナログディジタル変
換器(ADC)112、113、114から構成されて
いる。
【0052】制御用ECU100の内部には、図示する
ように、算術論理演算を行うマイクロプロセッサ(CP
U)120、このCPU120が行う処理や必要なデー
タを予め記憶したROM122、処理に必要なデータ等
を一時的に読み書きするRAM124、計時を行うクロ
ック126等が設けられており、バスにより相互に接続
されている。このバスには、入力ポート116や出力ポ
ート118も接続されており、CPU120は、これら
のポート116,118を介して、三相同期モータ40
のU,V,Wの各相に流れる電流Au,Av,Awを読
み込むことができる。
【0053】また、制御用ECU100には、別途入力
されるトルク指令に基づいて決定されたモータ40の各
相電流Au,Av,Awが得られるようモータ40の各
コイル間に電圧を印加する電圧印加部130が、その出
力部に設けられている。CPU120からの制御出力V
u,Vv,Vw,SDが、この電圧印加部130に出力
されており、三相同期モータ40の各コイルに印加され
る電圧を外部から制御することが可能となっている。
【0054】以上に示したモータ制御装置10の構成の
内、電流センサ102〜104、フィルタ106〜10
8、ADC112〜114、電圧印加部130および制
御用ECU100が電気角検出装置に対応する。
【0055】(2)モータの電流制御 次に本実施例におけるモータ制御装置10における電流
制御について図4を用いて説明する。図4においてU相
に電流Auを流せば磁界が生じる。この磁界はU相を貫
く方向に生じ、かつその大きさは電流Auに応じて変化
する。従って、U相電流は、この磁界の方向および大き
さAuをもつベクトル量として表すことができる。他の
V相およびW相に流れる電流Av、Awも同様にベクト
ル量として表すことができる。このように電流をベクト
ルとして考えると平面内の電流ベクトルは代表的な2方
向の電流ベクトルの和として表される。この2方向を図
4のα方向、β方向にとれば、モータ回転面の任意の方
向に生じる磁界に対応する電流ベクトルは、これらの2
相コイルに流れる電流Aα、Aβを用いて表すことがで
きる。具体的に、ある電流Au,Av,Awと等価な電
流Aα、Aβは次式(11)により求めることができ
る。 Aα=Au−Av/2−Aw/2 Aβ=√3/2・(Aw−Av) ・・・(11)
【0056】また、逆にAα、Aβが求まっていると
き、U,V,W相の電流の総和が0(Au+Av+Aw
=0)となる条件を用いれば、次式(12)により各相
の電流Au,Av,Awを求めることもできる。 Au=2(√3−3)・Aα/3 Av= (3−√3)・(Aα−Aβ)/3 Aw= (3−√3)・(Aα+Aβ)/3 ・・・(12) これが、一般に知られている3相/2相変換である。以
下、簡単のために2相変換した後の電流Aα、Aβを用
いて、モータ40の電流制御について説明する。
【0057】上述の電流ベクトルは、図4におけるd軸
方向およびq軸方向に生じる磁界に対しても定義するこ
とができる。d軸方向およびq軸方向の電流ベクトルの
大きさをAd,Aqとすると、α方向、β方向の電流A
α、Aβを用いて、次式(13)により表される。 Ad= Aα・cosθ+Aβ・sinθ Aq=−Aα・sinθ+Aβ・cosθ ・・・(13)
【0058】逆に、Ad、Aqが求まっていれば、A
α、Aβは次式(14)により求められる。 Aα= Ad・cosθ−Aq・sinθ Aβ= Ad・sinθ+Aq・cosθ ・・・(14)
【0059】以上より、モータ40のd軸、q軸方向に
流す電流が求まれば、式(14)より2相電流Aα、A
βを求めることができ、さらに式(12)により実際に
U,V,W相に流すべき電流を求めることができる。ま
た、U,V,W相に印加すべき電圧を求めることもでき
る。本実施例におけるモータ40の電流制御はこのよう
な考え方に基づいてなされている。もっとも、α方向、
β方向を介在させることなく、直接d軸、q軸方向と
U,V,W相電流との関係を求めて制御するものとして
もよい。以下の説明において、例えば「d軸、q軸電
流」という場合には、上記考え方に基づく電流ベクトル
の大きさを意味している。なお、このようにモータ40
に流れる電流をd軸、q軸方向に分けて考えるとき、一
般的にq軸電流がモータ40のトルクを主に支配する電
流となることが知られている。
【0060】(3)第1実施例における低速時モータ制
御処理 次に本実施例のモータ制御処理について図5を用いて具
体的に説明する。図5は、低速運転状態にあるモータ4
0を制御する低速時制御ルーチンの流れを示すフローチ
ャートである。このルーチンは、図1に示した制御用E
CU100のCPU120が他の制御処理と共に周期的
に実行するルーチンである。
【0061】低速時制御ルーチンが開始されると、CP
U120はトルク指令値を読み込み(ステップS10
0)、そのトルク指令値が所定のトルク値T1よりも大
きいか否かを判定する(ステップS200)。後述する
通り、トルク指令値の高低に応じて、電気角検出処理の
ルーチンを使い分けるためである。トルク指令値は、入
力ポート116を介して外部から入力されるものであっ
てもよいし、外部から入力される種々のデータに基づい
てCPU120が算出するものとしてもよい。なお、ス
テップS200の判定においては、トルク指令値がトル
ク値T1付近である場合におけるいわゆるチャタリング
を防止するために、ヒステリシスを設けることが望まし
い。
【0062】所定のトルク値T1については、以下に説
明する低トルク時の電気角検出処理が適用できなくなる
トルク値を実験的に求めればよい。本実施例では、電気
角が確実に検出できるように、かかるトルク値よりも若
干低いトルク値をT1としている。
【0063】トルク指令値が所定のトルク値T1よりも
低い場合には、低トルク時電気角検出処理を実行する
(ステップS300)。ここで、図6および図7に基づ
き、低トルク時電気角検出処理ルーチンの内容について
説明する。図6は低トルク時電気角検出処理ルーチンの
流れを示すフローチャートであり、図7は低トルク時電
気角検出処理ルーチンにおいてγ軸方向に印加される電
圧パルスおよびd軸、q軸に流れる電流の様子を示すグ
ラフである。
【0064】低トルク時電気角検出処理ルーチンが開始
されると、CPU120は、図4に示すγ軸、δ軸方向
の電流の初期値Iγ0、Iδ0を検出する(ステップS
305)。CPU120は、U,V,W各相の電流を検
出する電流センサ102、103、104により出力さ
れた信号を、フィルタ106,107,108およびA
DC112,113,114を介して入力ポート116
から入力し、先に「(2)モータの電流制御」において
説明した演算に基づいて、U,V,W相からγ軸、δ軸
方向への変換を行うことにより、これらの電流値を検出
する。d軸、q軸は図4に示した通り、モータ40の電
気角が定まらないと定義できないため、CPU120は
想定された電気角θcに基づいてγ軸、δ軸を想定し、
その電流値を検出しているのである。従って、想定して
いる電気角θcと現実の電気角θとの間には、図4に示
すように誤差角△θが存在する。初期状態においては図
7に示す通り、トルク指令値に応じて、δ軸には正の電
流が流れており、γ軸には負の電流が流れている。γ軸
に負の電流を流すのは、本実施例のようにd軸方向のイ
ンダクタンスLdが、q軸方向のインダクタンスLqよ
りも小さいモータにおいては、d軸の負の方向に電流を
流すことにより、モータにいわゆる正のリラクタンスト
ルクを発生させることができるからである。
【0065】次に、CPU120は、γ軸方向に電圧△
Vγを出力し(ステップS310)、サンプリングタイ
ムtsの経過を待って(ステップS315)、電流値I
γ1、Iδ1を検出する(ステップS320)。電流を
検出するサンプリングタイムtsは、コイル巻線に流れ
る電流の挙動を十分検知することができる値を実験的に
設定したものである。なお、サンプリングタイムを設定
する際に考慮すべき条件については後述する。また、時
間tsの経過待ち(ステップS315)は、CPU12
0がモータ40の運転を制御するための他のルーチンを
実行する間に、時間ts毎に割り込み処理をかけて本ル
ーチンを実行することにより実現されている。なお、γ
軸方向の電圧△Vγは、図7に示す通り、初期状態にお
いてγ軸方向に印加されている電圧に△Vγを重畳して
印加される。これはγ軸方向に印加する電圧を△Vγだ
け増加することと同義である。
【0066】ここで、γ方向に電圧を印加するのは、先
に説明した通り、本実施例のような同期モータ40にお
いては、q軸方向の電流が主にトルクを支配するもので
あり、d軸方向の電流がトルクに与える影響は比較的小
さいためである。つまり、制御用ECU100がd軸で
あると想定するγ方向に電流を流すことにより、電気角
検出時にトルクに与える影響を比較的小さく抑えること
ができるからである。図7においては、説明の便宜上、
δ軸の電流も大きく変化するように示してあるが、現実
にはこの変化量は非常に小さいものである。
【0067】次のステップにおいて、CPU120は、
γ軸方向に電圧−△Vγを出力し(ステップS32
5)、サンプリングタイムtsの経過を待って(ステッ
プS330)、電流値Iγ2、Iδ2を検出する(ステ
ップS335)。γ軸方向に印加する電圧−△Vγは、
初期状態における電圧に重畳して出力される。従って、
図7から明らかな通り、電流値Iγ1、Iδ1を検出し
た時点から電圧値を2・△Vγだけ減じてγ軸方向に電
圧を印加すること、または初期状態から△Vγだけ減じ
て電圧を印加することと同義である。
【0068】なお、ステップS330におけるサンプリ
ングタイムtsはCPU120に割り込み処理をかける
関係上、ステップS315におけるサンプリングタイム
tsと同じ時間としているが、両者は異なるものとして
もよい。また、サンプリングタイムを一定の時間とせ
ず、一定の期間とし、例えば、サンプリングタイムを一
定の時間とせず、CPU120が他のまとまった処理を
一通り終えた時点で電流値を検出するものとしてもよ
い。
【0069】以上により、検出された電流値を用いてC
PU120は電流変化量を算出する(ステップS34
0)。具体的には、初期電流からステップS320にお
ける検出電流への変化量△Iγ1(=Iγ1−Iγ
0)、△Iδ1(=Iδ1−Iδ0)と、ステップS3
20での検出電流からステップS335での検出電流へ
の変化量△Iγ2(=Iγ2−Iγ1)、△Iδ2(=
Iδ2−Iδ1)との平均により、それぞれの電流変化
量△Iγ、△Iδを算出する。このように電流変化量に
平均値を用いるのは、電流変化量の検出精度を向上する
ためである。△Iγ1,△Iδ1と△Iγ2,△Iδ2
の符号の相違を考慮すれば、平均の電流変化量を算出す
る式は、次式(15)となる。 △Iγ=(△Iγ1−△Iγ2)/2 △Iδ=(△Iδ1−△Iδ2)/2 ・・・(15)
【0070】なお、本実施例ではサンプリングタイムt
sを一定の時間で統一しているため、△Iγ1,△Iδ
1と△Iγ2,△Iδ2との平均を求めればよいが、両
者のサンプリングタイムが相違する場合には、△Iγ
1,△Iδ1と△Iγ2,△Iδ2をそれぞれサンプリ
ングタイムで除して、電流変化率に変換した上で平均値
を求める必要がある。また、図1の電圧印加部130に
トランジスタインバータを用いている場合等には、いわ
ゆるデッドタイムロスにより、コイル巻線に電圧が印加
される時間が、本来印加されるべき時間よりも長くなっ
たり短くなったりする場合が生じ得るため、これを補正
できる方程式を用いて、正確な電流変化量を求めるもの
としてもよい。かかる方程式の算出方法等についての詳
細な説明は省略するが、例えば出願人が別途出願をして
いる技術等(特願平9−241980に記載されている
技術)が挙げられる。
【0071】後述する通り、電気角の算出に必要となる
のは、電流の変化率△Iγ、△Iδの比である。従っ
て、図6のステップS325からS335までを省略
し、電流変化率を上記△Iγ1、△Iδ1のみにより求
めるものとしてもよい。かかる方法を採用することによ
り電気角検出処理に要する時間を短縮することができ
る。特に、△Iγ1、△Iδ1に含まれる誤差が一致し
ており、両者の比をとることによりその誤差を相殺する
ことができるような場合には、かかる処理を採用するこ
とが望ましい。
【0072】次に、想定した電気角θcが存在する誤差
角の範囲について、CPU120は電流変化量に基づい
た区間判定を行う(ステップS345)。区間判定につ
いて、図8を用いて説明する。図8は横軸にCPU12
0が想定した電気角θcと現実の電気角θとの誤差角△
θ(=θ−θc)をとり、各△θに対する電流変化量を
プロットしたものである。電流変化量△Iγ、△Iδは
先に式(3)、(4)で示した通り、△Iγ=△Vγ・
t(A+△I・cos2△θ)(式(3))および△I
δ=△Vγ・t・△I・sin2△θ(式(4))と表
される。ここで、A =(1/Ld+1/Lq)/2
であり、△I =(1/Ld−1/Lq)/2である。
△IγA=△Iγ−△Vγ・t・Aとすれば、△IγA
は、次式(16)により表される。 △IγA=△Iγ−△Vγ・t・A =△Vγ・t・△I・cos2△θ ・・・(16) 図8では、△IγAと△Iδを示している。
【0073】CPU120はγ方向に電圧を印加してい
るため、誤差角△θ=0のときは△Iδ=0となる。
(16)式、(4)式で説明した通り、△IγA、△I
δは理論的には、誤差角△θに応じて、それぞれcos
関数およびsin関数に従って変化する。
【0074】次に、誤差角△θが−180度〜180度
の範囲を16等分した区間を、図8に示す通り区間1〜
区間16とすると、△IγA+△Iδおよび△IγA−
△Iδの正負に応じて、誤差角△θの範囲が次の通り判
定できる。 CASE1:△IγA+△Iδ>0、△IγA−△Iδ
>0のとき、 誤差角が属する区間=区間1,8,9,16 CASE2:△IγA+△Iδ>0、△IγA−△Iδ
<0のとき、 誤差角が属する区間=区間2,3,10,11 CASE3:△IγA+△Iδ<0、△IγA−△Iδ
<0のとき、 誤差角が属する区間=区間4,5,12,13 CASE4:△IγA+△Iδ<0、△IγA−△Iδ
>0のとき、 誤差角が属する区間=区間6,7,14,15
【0075】こうして判定された区間に基づいて、CP
U120は、誤差角△θを算出する(ステップS35
0)。誤差角△θの算出は、△θが比較的小さい範囲で
成立する近似式を用いて、上記CASE1〜CASE4
に応じて次式(17)〜(24)により行われる。 CASE1: △θ= △Iδ/(2・△IγA) ・・・(17) △θ= △Iδ/(2・△IγA)+π ・・・(18) CASE2: △θ=−△IγA/(2・△Iδ)+π/4 ・・・(19) △θ=−△IγA/(2・△Iδ)+5π/4 ・・・(20) CASE3: △θ= △Iδ/(2・△IγA)+π/2 ・・・(21) △θ= △Iδ/(2・△IγA)+3π/2 ・・・(22) CASE4: △θ=−△IγA/(2・△Iδ)+3π/4 ・・・(23) △θ=−△IγA/(2・△Iδ)+7π/4 ・・・(24)
【0076】CASE1からCASE4のそれぞれにお
いて、△θの算出式が2つずつあるのは(例えば、CA
SE1には、式(17)と式(18)がある)、次の理
由による。具体的に、誤差角△θがCASE1に存在す
ると判断された場合について考えると、図8から明らか
な通り、区間1と区間9では電流△IγA、△Iδの比
が同じ値となる。区間8と区間16も同様である。つま
り、△IγA、△Iδに基づく演算のみでは、電気角が
πだけずれた2つの解が存在することになるのである。
【0077】本実施例では、誤差角が−90度から90
度の範囲からはみ出さないような周期で電気角検出処理
を実行することにより上記問題を解決している。つま
り、電気角検出処理の実行周期は、モータ40が90度
回転するのに要する時間よりも短くなっている。図6の
ステップS315、S330におけるサンプリングタイ
ムもかかる制限を考慮した範囲で設定されており、数m
secのサンプリングタイムを用いている。かかる前提
の下、本実施例では、上式(17)、(19)、(2
1)、(23)のみを用いて電気角を検出するものとし
ている。
【0078】一方、本実施例の電気角検出方法に加え
て、誤差角が−90度から90度の範囲に存在するの
か、他の範囲に存在するのかを判定する、いわゆる極性
判定を行うものとしてもよい。かかる極性判定方法とし
ては、種々の方法があり、例えば、本出願人が別途出願
している、例えば特開平7−177788および特願平
9−220105に記載の技術等を用いることができ
る。極性判定を行うものとすれば、誤差角を−180度
から180度の範囲で一義的に決定することができる。
【0079】次に、CPU120は、上式により算出さ
れた△θを用いて想定している電気角θcを補正する
(ステップS355)。具体的には、θc+△θを演算
し、新たな電気角θcとするのである。以上により低ト
ルク時の電気角検出処理(図5のステップS300)を
一旦終了し、低速時制御ルーチンに戻る。次のステップ
で、CPU120は、検出された電気角に基づいて、モ
ータ電流制御を行う(ステップS500)。モータ電流
制御においてCPU120は、先に「(2)モータの電
流制御」において説明した通り、トルク指令値に応じて
モータ40に流すべきd軸電流、q軸電流を決定し、2
相/3相変換してU,V,W相に流すべき電流を決定す
るのである。
【0080】次に、図5のステップS200において、
トルク指令値が所定のトルク値T1よりも大きい場合に
ついて説明する。このときは、CPU120は、高トル
ク時電気角検出処理を行う(ステップS400)。先に
説明した低トルク時電気角検出処理では、高トルク時に
電気角を精度良く検出することができないからである。
図9および図10に基づき、高トルク時電気角検出処理
ルーチンの内容について説明する。図9は高トルク時電
気角検出処理ルーチンの流れを示すフローチャートであ
り、図10は高トルク時電気角検出処理ルーチンにおい
てδ軸に印加される電圧パルスおよびd軸、q軸に流れ
る電流の様子を示すグラフである。
【0081】高トルク時電気角検出処理ルーチンが開始
されると、CPU120は、γ軸およびδ軸方向の電流
初期値Iγ0、Iδ0を検出し(ステップS405)、
δ軸に−△Vδなる電圧を印加する(ステップS41
0)。これは、初期状態の電圧に−△Vδなる負の電圧
を重畳して印加するものであり、初期状態の電圧を−△
Vδだけ減じて印加することと同義である。先に説明し
た低トルク時電気角検出処理ルーチンにおいては、γ軸
に正の電圧を重畳して印加したのに対し、本ルーチンで
は、δ軸に負の電圧を重畳して印加する点が相違する。
【0082】高トルクが要求されている時は、初期状態
においてδ軸方向に大きな電流が流れているため、磁気
飽和現象により、q軸のインダクタンスLqがd軸のイ
ンダクタンスLdよりも小さくなっている。この様子を
図12に示す。図12は、電流も含めた外部磁界Hと磁
束密度Bとの関係を示したグラフであり、q軸に対応す
る曲線Cqおよびd軸に対応する曲線Cdの各点におけ
る接戦の傾きがそれぞれインダクタンスLq、Ldに相
当する。高トルクの場合の初期状態は、Cqが非線形性
を示している領域Bにあることになる。従って、制御用
ECU100がq軸と想定しているδ軸に負の電圧を重
畳して印加することにより、q軸の磁気飽和を緩和し、
線形性が保たれている領域Aに移行させて、電気角の検
出を可能にしているのである。
【0083】CPU120はサンプリングタイムtsの
経過を待って(ステップS415)、γ軸、δ軸方向の
電流値Iγ1、Iδ1を検出する(ステップS42
0)。本実施例では、サンプリングタイムtsは、低ト
ルク時電気角検出処理ルーチンと一致させてあるが、必
ずしも一致している必要はない。
【0084】次に、CPU120はδ軸方向に△Vδな
る電圧を印加し(ステップS425)、サンプリングタ
イムtsの経過を待った後(ステップS430)、γ
軸、δ軸方向の電流値Iγ2、Iδ2を検出する(ステ
ップS435)。また、こうして検出された電流値を用
いて電流変化量△Iγ、△Iδを算出する(ステップS
440)。電流変化量の算出は、低トルク時電気角検出
処理ルーチン(図6)のステップS340と同様であ
る。
【0085】なお、低トルク時電気角検出処理において
説明した通り、後の電気角検出に用いられるのは、上記
電流変化量△Iγ、△Iδのみである。従って、図9の
ステップS425からS435を省略し、初期電流Iγ
0、Iδ0および電流値Iγ1,Iδ1(ステップS4
20)を用いて電流変化量を求めるものとしてもよい。
特に、高トルク時電気角検出処理においては、正の電圧
印加中(ステップS425、S430)において、q軸
方向に再び磁気飽和が生じ、δ軸方向の電流が非線形に
変化する可能性もある。従って、かかるおそれを回避す
るためにも、上記ステップS425からS435を省略
することが好ましい場合もある。
【0086】以上より算出された電流変化量△Iγ、△
Iδに基づいて、CPU120は誤差角△θが存在する
区間の判定を行う(ステップS445)。区間判定方法
は、低トルク時電気角検出処理ルーチンと相違するた
め、図11を用いて説明する。図11は横軸にCPU1
20が想定した電気角θcと現実の電気角θとの誤差角
△θをとり、各△θに対する電流変化量をプロットした
ものである。電流変化量△Iγ、△Iδは先に式
(7)、(8)で示した通り、△Iγ=△Vδ・t・△
I・sin2△θ(式(7))および△Iδ=△Vδ・
t・△I・(A−cos2△θ)(式(8))と表され
る。ここで、A =(1/Ld+1/Lq)/2であ
り、△I =(1/Ld−1/Lq)/2である。△I
δA=△Vδ・t・A−△Iδとすれば、△IδAは、
次式(25)により表される。 △IδA=△Vδ・t・A−△Iδ =△Vδ・t・△I・cos2△θ ・・・(25) 図11では、△Iγと△IδAを示している。
【0087】CPU120はγ方向に電圧を印加してい
るため、誤差角△θ=0のときは△Iδ=0となる。
(7)式、(25)式で説明した通り、△Iγ、△Iδ
Aは理論的には、誤差角△θに応じて、それぞれsin
関数およびcos関数に従って変化する。
【0088】次に、誤差角△θが−180度〜180度
の範囲を16等分した区間を、図8に示す通り区間1〜
区間16とすると、△Iγ+△IδAおよび△Iγ−△
IδAの正負に応じて、誤差角△θの範囲が次の通り判
定できる。 CASE1:△Iγ+△IδA>0、△Iγ−△IδA
>0のとき、 誤差角が属する区間=区間2,3,10,11 CASE2:△Iγ+△IδA>0、△Iγ−△IδA
<0のとき、 誤差角が属する区間=区間1,8,9,16 CASE3:△Iγ+△IδA<0、△Iγ−△IδA
<0のとき、 誤差角が属する区間=区間6,7,14,15 CASE4:△Iγ+△IδA<0、△Iγ−△IδA
>0のとき、 誤差角が属する区間=区間4,5,12,13
【0089】こうして判定された区間に基づいて、CP
U120は、誤差角△θを算出する(ステップS45
0)。誤差角△θの算出は、△θが比較的小さい範囲で
成立する近似式を用いて、上記CASE1〜CASE4
に応じて次式(26)から(33)により行われる。 CASE1: △θ= △Iδ/(2・△IγA)+π/4 ・・・(26) △θ= △Iδ/(2・△IγA)+5π/4 ・・・(27) CASE2: △θ=−△IγA/(2・△Iδ) ・・・(28) △θ=−△IγA/(2・△Iδ)+π ・・・(29) CASE3: △θ= △Iδ/(2・△IγA)+3π/4 ・・・(30) △θ= △Iδ/(2・△IγA)+7π/4 ・・・(31) CASE4: △θ=−△IγA/(2・△Iδ)+π/2 ・・・(32) △θ=−△IγA/(2・△Iδ)+3π/2 ・・・(33)
【0090】上記CASE1からCASE4において
も、低トルク時電気角検出処理と同様、電気角を算出す
る式がそれぞれ2つずつ存在する。本実施例では、低ト
ルク時電気角検出処理と同様、電気角検出処理を実行す
る周期を適切な値に設定することにより、上式(2
6)、(28)、(30)、(32)のみを用いて電気
角を求めるものとしている。先に説明した通り、いわゆ
る極性判定を行うことにより、電気角を−180度から
180度の範囲で一義的に検出できるようにしてもよ
い。
【0091】CPU120は、上式により算出された△
θを用いて想定している電気角θcを補正し(ステップ
S455)、高トルク時の電気角検出処理(図5のステ
ップS400)を一旦終了する。こうして、低速時制御
ルーチンに戻った後、次のステップで、CPU120
は、検出された電気角に基づいて、モータ電流制御を行
う(ステップS500)。モータ電流制御については既
に説明した。
【0092】なお、図5のフローチャートでは便宜上、
モータ電流制御と電気角の検出処理とを一つのフローチ
ャートで示しており、両者は同じ周期で実行されるもの
として示しているが、モータ40を滑らかに回転するた
め、実際にはモータ電流制御は電気角検出処理よりも細
かい周期で実行されている。本実施例では電気角検出処
理が行われる時間間隔の1/4倍の時間間隔で実行して
いる。電気角検出処理が実行されない場合のモータ電流
制御は、それまでに検出されていた電気角の変化を外挿
して求められた電気角に基づいて行われる。この外挿方
法について図13を用いて説明する。
【0093】図13は、モータ40が低速回転している
場合に、時間の経過とともに電気角が増えていく様子を
示した図である。図13において、時間間隔△tmごと
に「●」で示したm1〜m5なるポイントで電気角検出
処理が実行されることを示している。また、時間間隔△
tnごとに「○」で示したn1〜n3なるポイントで
は、電気角検出処理は実行されないが、モータ電流制御
が実行されることを示している。本実施例では、△tm
=4×△tnである。
【0094】ポイントn1でモータ電流制御をする場
合、そこでの電気角N1を求める必要がある。本実施例
では、図13のポイントm1〜m4に基づいて算出され
る電気角の平均の変化率△mavと、時間間隔△tnお
よびポイントm4での電気角M4に基づき、N1=△m
av×△tn+M4なる演算により算出している。同様
に、ポイントn2,n3の電気角は、それぞれ△tnに
代えて、2×△tn、3×△tnを用いることにより算
出している。
【0095】また、ここで用いられる電気角の平均の変
化率△mavは、ポイントm1からm2の電気角の変化
率△m1、ポイントm2からm3の電気角の変化率△m
2、ポイントm3からm4の電気角の変化率△m3の平
均をとって求めている。つまり、△mav=(△m1+
△m2+△m3)/3である。電気角の変化率とは、各
区間での電気角の変化量を時間間隔△tmで除したもの
であり、その区間におけるモータ40の平均角速度に相
当する。かかる外挿を用いれば、次の電気角検出タイミ
ングとなるポイントm5における電気角も想定すること
ができる。こうして想定された電気角が図4におけるθ
cである。
【0096】このように電気角検出処理よりも細かな周
期でモータ電流制御を行うことにより、ポイントn1〜
n3における電気角には若干の誤差が含まれているもの
の、モータ40の運転を滑らかに制御することができ
る。なお、上記モータ電流制御の間隔や平均の変化率を
算出するために用いるポイントm1,m2,・・・の数
等は、モータ電流制御に要求される電気角の想定精度や
CPU120の処理速度等に応じて適宜定めることがで
きる。
【0097】以上で説明した電気角検出装置およびモー
タ制御装置10によれば、モータ40の低速運転時にお
いて、トルク指令値が高トルクであっても電気角を精度
良く検出でき、モータ40を適切に制御することができ
る。なお、高トルク時電気角検出処理(図5のステップ
S400)において、モータ40のトルクを主に支配す
るq軸方向に負の電圧を印加するため、瞬間的にトルク
の減少を生じる可能性もあるが、モータ40のトルク指
令値が所定値以上である場合にのみq軸方向に電圧を印
加するため、かかるトルク変動を最小限に抑えることが
できる。
【0098】もっとも、電気角検出処理は非常に短期間
で終了する処理であるため、トルク指令値と所定のトル
ク値T1との大小を比較する判断(図5のステップS2
00)を省略し、トルク指令値に関わらず高トルク時電
気角検出処理(図5のステップS400)により電気角
の検出をするものとしてもよい。さらに、トルク指令値
に関わらず、常に低トルク時電気角検出処理と高トルク
時電気角検出処理の双方を実行するものとし、モータ4
0の電気角検出結果が連続的に変化するように、両者の
演算結果のうち一つを選択するものとしてもよい。かか
る手段は、トルク指令値がトルク値T1付近となり、図
5に示したルーチンにおいて、低トルク時電気角検出処
理と高トルク時電気角検出処理とが切り替わる遷移領域
において電気角を安定して検出するのに有効である。従
って、かかる遷移領域においてのみ両者を実行するよう
にしてもよい。
【0099】一方、上記の電気角検出装置は、高トルク
時電気角検出処理において、q軸に負の電圧を重畳して
印加した後、正の電圧を重畳して印加する(図10参
照)。この結果、負の電圧を重畳して印加することによ
り減少したq軸方向の電流を、要求トルクに応じた所定
の電流値まで早期に回復することができ、電気角検出中
におけるトルク変動の影響を抑えることができる。本実
施例では、電流変化率を精度良く算出する目的から、図
9のステップS425における正の印加電圧と、ステッ
プS410における負の印加電圧について、電圧の絶対
値および電圧印加時間を同一にしているが、正の印加電
圧について電圧値および電圧印加時間をトルク変動を抑
える上記目的に合わせた適切な値に設定してもよい。
【0100】なお、上記の電気角検出装置による高トル
ク時電気角検出処理において印加する電圧値△Vδまた
は電圧の印加時間をトルク指令値に応じて変化するもの
としてもよい。図12を用いて説明する。具体的には、
トルク指令値が所定のトルク値T1を大きく越える値
(図12の点c)である場合には、印加する電圧値△V
δを大きい値とし、トルク指令値が小さくなる(図12
の点b)につれて印加する電圧値△Vδを減少するもの
としてもよい。
【0101】トルク指令値と電圧値△Vδとの関係を図
14〜図16に示す。印加する電圧の絶対値が、図14
に示す通りトルク指令値の減少に応じて直線的に減少す
るものの他、図15に示す通り曲線的に減少するものや
図16に示す通り段階的に減少するものであってもよ
い。また、印加する電圧の絶対値および電圧印加時間の
一方のみを減少するものとしてもよいし、双方を減少す
るものとしてもよい。
【0102】かかる電気角検出装置およびモータ制御装
置10によれば、モータ40に要求されるトルク指令値
が小さくなるにつれて、前記重畳して印加する電圧の絶
対値および電圧印加時間の少なくとも一方を小さくする
ことができる。この結果、高トルク時にq軸のインダク
タンスを線形領域(図12の領域A)に移行するのに必
要最小限の電圧を印加すればよいことになり、q軸への
負の電圧印加によるトルク変動を必要最小限に抑えるこ
とができる。
【0103】(4)第2実施例における低速時モータ制
御処理 次に本発明の第2の実施例について説明する。第2実施
例の電気角検出装置およびモータ制御装置10は、ハー
ドウェアの構成としては、第1実施例と同様である。ま
た、低速時制御ルーチンの流れも第1実施例と同様であ
る(図5参照)。第2実施例では、高トルク時の電気角
検出処理(図5のステップS400)が、第1実施例と
相違する。
【0104】本実施例における高トルク時の電気角検出
処理ルーチンについて図17に示すフローチャートを用
いて説明する。高トルク時の電気角検出処理ルーチンが
開始されると、CPU120は電流初期値Iδ0を検出
する(ステップS455)。後述する通り、本実施例で
は、q軸に相当するδ軸方向の電流のみを用いて電気角
検出を行うため、γ軸方向の電流初期値は検出する必要
がない。
【0105】δ軸方向の電流の検出は、第1実施例と同
様である。即ち、CPU120は、U,V,W各相の電
流を検出する電流センサ102、103、104により
出力された信号を、フィルタ106,107,108お
よびADC112,113,114を介して入力ポート
116から入力し、先に「(2)モータの電流制御」に
おいて説明した演算に基づいて、U,V,W相からγ
軸、δ軸方向への変換を行うことにより、これらの電流
値を検出する。d軸、q軸は図4に示した通り、モータ
40の電気角が定まらないと定義できないため、CPU
120は想定された電気角θcに基づいてγ軸、δ軸を
想定し、その電流値を検出している。従って、想定して
いる電気角θcと現実の電気角θとの間には、図4に示
すように誤差角△θが存在する。
【0106】次に、CPU120は想定された電気角θ
cに基づいて決定されるδ軸方向に検出用の電圧△Vδ
を印加する(ステップS460)。これは、初期状態の
電圧に△Vδなる正の電圧を重畳して印加するものであ
り、初期状態の電圧を△Vδだけ増して印加することと
同義である。第1実施例ではδ軸に負の電圧を重畳して
印加していたのに対し、本実施例では正の電圧を印加す
る点で相違する。もっとも、後述する通り、本実施例で
は負の電圧を印加するものとしても実現することができ
る。
【0107】CPU120はサンプリングタイムtsの
経過を待って(ステップS465)、δ軸方向の電流値
Iδ1を検出し(ステップS470)、先に検出してい
た初期電流Iδ0からの差分である電流変化量△Iδを
算出する(ステップS475)。なお、第1実施例で
は、いわゆるデッドタイムロスにより生じる電流変化量
の誤差を回避するための処理を行っているが(例えば、
図9のステップS425〜S440)、本実施例では後
述する通り、かかる誤差も含めたテーブルを使用して電
気角を検出するため、デッドタイムロスを回避するため
の処理を行う必要はない。もっとも、電気角の検出にデ
ッドタイムロスの影響を含まないテーブルを用いる場合
には第1実施例で説明したと同様の補正を施す必要があ
る。
【0108】次に、CPU120はトルク指令値に応じ
て電気角を算出するための係数k1,k2を求める(ス
テップS480)。これらの係数は、電気角の誤差角と
上記電流変化量△Iδとの間の関係を直線近似する際の
傾きおよび切片を表す係数であり、トルク指令値に対応
して予めテーブル形式で記憶されている。上記ステップ
では、該テーブルから相当する値を読み込み、必要に応
じて補間演算することにより係数k1,k2を求めるの
である。
【0109】上記係数について、図18を用いて説明す
る。図18は、電気角の誤差角と上記電流変化量△Iδ
との関係をトルク指令値をパラメータとして示したもの
である。i1,i2・・・なるパラメータがトルク指令
値を示しており、この順にトルク指令値が大きくなって
いることを意味している。図18に示す関係が存在する
理由については、既に説明した。かかる関係は、モータ
40および検出用に印加される電圧値および時間に応じ
て変化するものであり、実験的に求めることができる。
図18は印加された電圧に対して、デッドタイムロスに
よる誤差も含めて検出される電流を示したものである。
【0110】図18の電流変化量△Iδにトルク指令値
に応じた有意差が現れている範囲(i3〜i6)が高ト
ルク時に相当する。従って、本実施例で高トルク時の電
気角検出処理を行うか否かの判断に用いる閾値T1は
(図5のステップS200参照)、図18の値i2とi
3の間の値ということになる。この閾値は必ずしも第1
実施例における閾値T1とは一致しない。
【0111】図18に示した通り、電流変化量は、誤差
角−20度〜40度程度の範囲で概ね直線で近似でき
る。上述の係数k1,k2は、この近似直線の傾きおよ
びいわゆるY切片である。なお、誤差角が上記範囲を超
える場合には、図18から明らかな通り直線近似するこ
とはできないが、本実施例では、モータ40の回転速度
に応じて誤差角がこの範囲を外れない程度の細かい周期
で電気角を検出しているため、直線近似で十分な精度を
保証することができる。
【0112】こうして決定された係数k1,k2に基づ
いてCPU120は、誤差角△θを算出し(ステップS
485)、想定した電気角θcを補正する(ステップS
490)。本実施例では、図18を上記係数k1,k2
および電流変化量△Iδを用いて、△θ=k1・△Iδ
+k2で誤差角△θを算出する。
【0113】以上で説明した電気角検出装置およびモー
タ制御装置10によれば、第1実施例の場合と同様、低
速運転時に高トルクが要求された場合でも電気角を精度
良く検出することができ、モータ40を適切に制御する
ことができる。また、電気角の検出に当たり出力トルク
に影響を与えるq軸方向に正の電圧を印加して電気角を
検出することができるため、出力トルクが要求されたト
ルクを下回ることがない利点もある。さらに、電流変化
量の検出に当たり、デッドタイムロスによる誤差をキャ
ンセルするための処理(例えば、図9のステップS42
5〜S440)を行う必要がないため、第1実施例の電
気角検出装置に比べ処理の高速化を図ることもできる。
【0114】なお、上記実施例では処理の高速化の観点
から、図18の電流を直線近似して取り扱うことを可能
とするために、誤差角が−20度〜40度程度の範囲を
外れないように、細かい検出周期で電気角を検出するも
のとしているが、かかる誤差角を超える範囲でも電気角
を検出可能とするために、図18のグラフをいくつかの
区分に分割して、直線近似を適用するものとしてもよ
い。また、電気角の検出精度を高めるためにこれらを曲
線で近似するものとしたり、テーブル形式でデータを記
憶したりするものとしてもよい。
【0115】もっとも、図18から明らかな通り、誤差
角が概ね−90度〜−30度の範囲では、誤差角に応じ
た電流の変化量がわずかであるため、十分な検出精度を
確保することが困難である。従って、停止しているモー
タ40に対し制御を開始する場合等、電気角の誤差が非
常に大きくなることが想定される場合には、他の電気角
検出方法を併用し、予め誤差角の範囲を絞り込んでから
本実施例の方法を適用することが望まれる。併用すべき
電気角検出方法としては、例えば本出願人が出願した特
開平7−177788に記載された技術等が挙げられ
る。
【0116】上記実施例では誤差角と電流変化量との関
係を予め記憶しておくものとしているが、かかる関係に
代えて検出用の電圧印加の開始から電流変化量がある所
定値に至るまでに要する時間と誤差角との関係を記憶す
るものとしてもよい。こうすれば、電流値がモータ40
の定格を大きく超えることを防止することができる。
【0117】また、上記実施例では、電気角の検出用に
正の電圧を印加しているが、上記方法は負の電圧を印加
するものとしても適用できる。従って、例えば、トルク
指令値に応じて印加される電圧にさらに検出用の正の電
圧を印加することにより、モータ40の定格電流を大き
く超える電流が流れるおそれがあるような場合には、負
の電圧を印加するものとしてもよい。かかる場合には図
18に相当する関係を予め負の印加電圧に対して実験的
に設定しておく必要がある。
【0118】以上、本発明の種々の実施例について説明
してきたが、本発明はこれらに限定されるものではな
く、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の形態による実
施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】モータ制御装置10の概略構成を示すブロック
図である。
【図2】三相同期モータ40の概略構成を示す説明図で
ある。
【図3】三相同期モータ40の固定子30と回転子50
との関係を示す端面図である。
【図4】三相同期モータ40の等価回路図である。
【図5】低速時制御ルーチンの処理内容を示すフローチ
ャートである。
【図6】低トルク時電気角検出処理ルーチンの処理内容
を示すフローチャートである。
【図7】低トルク時電気角検出処理ルーチンにおける印
加電圧と検出電流の様子を示すグラフである。
【図8】低トルク時電気角検出処理ルーチンにおいて検
出された電流と誤差角の関係を示すグラフである。
【図9】高トルク時電気角検出処理ルーチンの処理内容
を示すフローチャートである。
【図10】高トルク時電気角検出処理ルーチンにおける
印加電圧と検出電流の様子を示すグラフである。
【図11】高トルク時電気角検出処理ルーチンにおいて
検出された電流と誤差角の関係を示すグラフである。
【図12】モータ40の磁気飽和特性を示すグラフであ
る。
【図13】モータ電流制御処理のタイミングを説明する
説明図である。
【図14】トルク指令値と印加電圧△Vδとの第1の関
係を示すグラフである。
【図15】トルク指令値と印加電圧△Vδとの第2の関
係を示すグラフである。
【図16】トルク指令値と印加電圧△Vδとの第3の関
係を示すグラフである。
【図17】第2実施例における高トルク時の電気角検出
処理の流れを示すフローチャートである。
【図18】誤差角と電流変化量との関係を示すグラフで
ある。
【図19】高トルク時における誤差角と磁界との関係を
示す説明図である。
【符号の説明】
10…モータ制御装置 20…板状固定子 22…ティース 24…スロット 30…固定子 32…コイル 34…ボルト 40…三相同期モータ 50…回転子 51,52,53,54…永久磁石 55…回転軸 57…板状回転子 60…ケース 61,62…軸受 71,72,73,74…突極 100…制御用ECU 102,103,104…電流センサ 106,107,108…フィルタ 112,113,114…ADC 116…入力ポート 118…出力ポート 120…CPU 122…ROM 124…RAM 126…クロック 130…電圧印加部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−177788(JP,A) 特開 平7−245981(JP,A) 特開 平4−101691(JP,A) 特開 平6−165561(JP,A) 特開 平10−229699(JP,A) 特開 平4−125092(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02P 5/00,6/00,7/00

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多相交流を巻線に流した際に該巻線に生
    じる磁界と永久磁石による磁界との相互作用により回転
    子を回転させる同期モータについて、 前記回転子の回転中心を通り前記永久磁石による磁界に
    沿う方向であるd軸方向、および前記回転子の回転面内
    において前記d軸方向に電気的に直交する方向であるq
    軸方向を定義する電気角を検出する電気角検出装置であ
    って、 前記モータが出力すべきトルクであるトルク指令値に応
    じて前記q軸方向に印加される電圧に対し、所定期間、
    所定の負の電圧を重畳して印加する制御を行う印加電圧
    制御手段と、 前記d軸方向に磁界を生じるd軸電流、および前記q軸
    方向に磁界を生じるq軸電流のそれぞれについて、前記
    重畳された電圧に応じて生じる挙動を検出する電流検出
    手段と、 該検出された電流の挙動に基づいて、前記モータの電気
    角を演算する電気角演算手段とを備える電気角検出装
    置。
  2. 【請求項2】 請求項1の電気角検出装置であって、 前記印加電圧制御手段は、前記制御を前記トルク指令値
    が所定値以上である場合に行う手段である電気角検出装
    置。
  3. 【請求項3】 請求項1の電気角検出装置であって、 前記印加電圧制御手段は、前記重畳して印加する電圧の
    絶対値および電圧印加時間の少なくとも一方を、前記ト
    ルク指令値の減少とともに単調減少の関係にある所定の
    値とする手段である電気角検出装置。
  4. 【請求項4】 請求項1の電気角検出装置であって、 前記印加電圧制御手段は、 前記q軸方向に第1の所定期間、所定の負の電圧を重畳
    して印加した後、 該q軸方向に第2の所定時間、所定の正の電圧を重畳し
    て印加する手段である電気角検出装置。
  5. 【請求項5】 多相交流を巻線に流した際に該巻線に生
    じる磁界と永久磁石による磁界との相互作用により回転
    子を回転させる同期モータについて、 前記回転子の回転中心を通り前記永久磁石による磁界に
    沿う方向であるd軸方向、および前記回転子の回転面内
    において前記d軸方向に電気的に直交する方向であるq
    軸方向を定義する電気角を、想定した電気角と真の電気
    角との誤差を介して検出する電気角検出装置であって、 前記モータが出力すべきトルクであるトルク指令値が所
    定値以上である場合に、該トルク指令値に応じて前記q
    軸方向に印加される電圧に対し、所定期間、所定の検出
    用電圧を重畳して印加する制御を行う印加電圧制御手段
    と、 前記q軸方向に磁界を生じるq軸電流について、前記検
    出用電圧に応じて生じる挙動と前記誤差との関係を、前
    記トルク指令値に応じて予め記憶する記憶手段と、 前記q軸電流について、前記検出用電圧に応じて生じる
    挙動を検出する電流検出手段と、 該検出された電流の挙動に基づいて、前記記憶手段に記
    憶された関係を参照して前記誤差を求めることにより、
    前記モータの電気角を演算する電気角演算手段とを備え
    る電気角検出装置。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の電気角検出装置であっ
    て、 前記検出用電圧は正の電圧である電気角検出装置。
  7. 【請求項7】 多相交流を巻線に流すことにより該巻線
    に生じる磁界と永久磁石による磁界との相互作用により
    回転子を回転させる同期モータについて、 前記回転子の回転中心を通り前記永久磁石による磁界に
    沿う方向であるd軸方向、および前記回転子の回転面内
    において前記d軸方向に電気的に直交する方向であるq
    軸方向を定義する電気角を検出する電気角検出方法であ
    って、 前記モータが出力すべきトルクであるトルク指令値に応
    じて前記q軸方向に印加される電圧に対し、所定期間、
    所定の負の電圧を重畳して印加する制御を行い、 前記d軸方向に磁界を生じるd軸電流、および前記q軸
    方向に磁界を生じるq軸電流のそれぞれについて、前記
    重畳された電圧に応じて生じる挙動を検出し、 該検出された電流の挙動に基づいて、前記モータの電気
    角を演算する電気角検出方法。
  8. 【請求項8】 多相交流を巻線に流した際に該巻線に生
    じる磁界と永久磁石による磁界との相互作用により回転
    子を回転させる同期モータについて、 前記回転子の回転中心を通り前記永久磁石による磁界に
    沿う方向であるd軸方向、および前記回転子の回転面内
    において前記d軸方向に電気的に直交する方向であるq
    軸方向を定義する電気角を、仮に想定した電気角と真の
    電気角との誤差を介して検出する電気角検出方法であっ
    て、 前記モータが出力すべきトルクであるトルク指令値が所
    定値以上である場合に該トルク指令値に応じて前記q軸
    方向に印加される電圧に対し、所定期間、所定の検出用
    電圧を重畳して印加する制御を行い、 前記q軸方向に磁界を生じるq軸電流について、前記検
    出用電圧に応じて生じる挙動を検出し、 前記検出用電圧に応じて前記q軸電流に生じる挙動と前
    記誤差との予め記憶された関係を参照することにより、
    該検出された電流の挙動に応じた前記誤差を求めて、前
    記モータの電気角を演算する電気角検出方法。
  9. 【請求項9】 多相交流を巻線に流した際に該巻線に生
    じる磁界と永久磁石による磁界との相互作用により回転
    子を回転させる同期モータを、前記回転子の回転中心を
    通り前記永久磁石による磁界に沿う方向であるd軸方
    向、および前記回転子の回転面内において前記d軸方向
    に電気的に直交する方向であるq軸方向を定義する電気
    角に基づいて制御するモータ制御装置であって、 前記モータが出力すべきトルクであるトルク指令値を読
    み込むトルク指令値読み込み手段と、 電気角を想定し、該想定された電気角に基づいて定義さ
    れるd軸方向およびq軸方向にトルク指令値に応じた電
    圧を印加する電圧印加手段と、 前記電圧印加手段により前記q軸方向に印加される電圧
    に対し、所定期間、所定の負の電圧を重畳して印加する
    制御を行う印加電圧制御手段と、 前記d軸方向に磁界を生じるd軸電流、および前記q軸
    方向に磁界を生じるq軸電流のそれぞれについて、前記
    重畳された電圧に応じて生じる挙動を検出する電流検出
    手段と、 該検出された電流の挙動に基づいて、前記モータの電気
    角を演算する電気角演算手段と、 前記想定された電気角を該演算された電気角に更新する
    電気角更新手段とを備えるモータ制御装置。
  10. 【請求項10】 多相交流を巻線に流した際に該巻線に
    生じる磁界と永久磁石による磁界との相互作用により回
    転子を回転させる同期モータを、 前記回転子の回転中心を通り前記永久磁石による磁界に
    沿う方向であるd軸方向、および前記回転子の回転面内
    において前記d軸方向に電気的に直交する方向であるq
    軸方向を定義する電気角を、仮に想定した電気角と真の
    電気角との誤差を介して検出し、前記電流を流すために
    巻線に印加する電圧を該電気角に基づいて制御するモー
    タ制御装置であって、 前記モータが出力すべきトルクであるトルク指令値を読
    み込むトルク指令値読み込み手段と、 電気角を想定し、該想定された電気角に基づいて定義さ
    れるd軸方向およびq軸方向に前記トルク指令値に応じ
    た電圧を印加する電圧印加手段と、 前記トルク指令値に応じて前記q軸方向に印加される電
    圧に対し、所定期間、所定の検出用電圧を重畳して印加
    する制御を行う印加電圧制御手段と、 前記q軸方向に磁界を生じるq軸電流について、前記検
    出用電圧に応じて生じる挙動と前記誤差との関係を、前
    記トルク指令値に応じて予め記憶する記憶手段と、 前記q軸電流について、前記検出用電圧に応じて生じる
    挙動を検出する電流検出手段と、 該検出された電流の挙動に基づいて、前記記憶手段に記
    憶された関係を参照して前記誤差を求めることにより、
    前記モータの電気角を演算する電気角演算手段と、 前記想定された電気角を該演算された電気角に更新する
    電気角更新手段とを備えるモータ制御装置。
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