JP3043132B2 - ポリビニルアセタール樹脂の製造方法 - Google Patents

ポリビニルアセタール樹脂の製造方法

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JP3043132B2
JP3043132B2 JP3257698A JP25769891A JP3043132B2 JP 3043132 B2 JP3043132 B2 JP 3043132B2 JP 3257698 A JP3257698 A JP 3257698A JP 25769891 A JP25769891 A JP 25769891A JP 3043132 B2 JP3043132 B2 JP 3043132B2
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rotor
aldehyde
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孝一 大隣
実 桑原
稔 中嶋
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、品質の良好なポリビ
ニルアセタール樹脂を連続的に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリビニルブチラールのようなポリビニ
ルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールとアルデヒ
ドとのアセタール化反応により製造され、合わせガラス
用中間膜、塗料、接着剤等に広く使用されている。
【0003】このようなポリビニルアセタール樹脂は、
一般に、水媒体を用いる沈澱法でアセタール化反応を行
って製造されている。その理由は、この水媒体を用いる
沈澱法が、溶液法のように高価な溶剤の回収の必要がな
く、工業的に有利であるからである。
【0004】反応装置としては、一般に、攪拌機を備え
た槽型の反応装置が広く用いられる。この場合、生成す
る樹脂の粒子の凝集を防止するために、反応温度は0〜
40℃程度の比較的低温とされる。
【0005】しかし、比較的低温でアセタール化反応を
行うと、反応の際にポリビニルアルコールのゲル化が生
じ、得られるポリビニルアセタール樹脂の熱流動性や溶
剤溶解性があまり良くないという欠点がある。また、所
望の組成(アセタール化度、その分布、水酸基の配列な
ど)の樹脂を得るには長い反応時間と熟成時間とを要す
るという欠点もある。。
【0006】一方、米国特許第2720501号明細書
には、ポリビニルアルコール水溶液とアルデヒドとの溶
液をループ型の反応器内で循環させながら50〜95℃
で反応させ、次いで慣用の槽型の反応器内で攪拌しなが
ら60〜100℃で熟成させることにより、ポリビニル
アセタール樹脂を製造する方法が開示されている。
【0007】この方法によれば、ポリビニルアルコール
水溶液とアルデヒドとの溶液は、ループ型の反応器内を
高速で循環するので、それにより生成する粒子の凝集が
防止される。また、50〜100℃の比較的高温で反応
が行われるので、アセタール化反応の際にポリビニルア
ルコールのゲル化が防止され、熱流動性や溶剤溶解性の
良いポリビニルアセタール樹脂が得られるという利点が
ある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、ループ型の
反応器を用いて上記のように比較的高温で反応させる方
法では、反応器内にスケールが付着し、このスケールが
内壁から脱落して、樹脂内に異物として混入する等の品
質不良が発生する。また、スケールが次第に付着してい
き、長時間にわたる運転ができなくなるという問題があ
る。
【0009】さらに、ループ型の反応器での反応は、ア
セタール化度のばらつきが大きく、しかも粒子の凝集が
生じない程度にアセタール化を進めるには、反応器内で
の滞留時間を長くとり、さらに槽型の反応器内での熟成
も必要で、この熟成時間も長くとる必要がある等の問題
がある。
【0010】この発明は、このような問題を解決するも
のであり、その目的とするところは、アセタール化度の
ばらつきが小さく、スケールの付着も防止され、反応器
内の滞留時間も短く、品質の良好なポリビニルアセター
ル樹脂を連続的に製造する方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、この発明の一つは、ポリビニルアルコール水溶液と
アルデヒドとの溶液を、筒型の反応器内を通しながらア
セタール化反応を行う方法であって、筒型の反応器内に
は、その軸方向に沿って架設された少なくとも二本の回
転軸に多数のローター板がそれぞれ並設され、一方の多
数のローター板の間に噛み合うように他方の多数のロー
ター板が設けられており、これ等の機器の接液部の表面
粗さ(Rz 値)は0.5μm 以下であり、上記溶液を一
方のローター板と他方のローター板と反応器内壁とによ
る剪断力で攪拌しながら連続的にアセタール化反応を行
うものである(請求項1の発明)。
【0012】もう一つの発明は、ポリビニルアルコール
水溶液とアルデヒドと溶液を、筒型の反応器内を通しな
がらアセタール化反応を行う方法であって、筒型の反応
器内には、その軸方向に沿って架設された少なくとも一
本の回転軸に多数のローター板が並設され、この多数の
ローター板の間に噛み合うように多数の邪魔板が反応器
内壁から突出して設けられており、これ等の機器の接液
部の表面粗さ(Rz 値)は0.5μm 以下であり、上記
溶液をローター板と邪魔板と反応器内壁とによる剪断力
で攪拌しながら連続的にアセタール化反応を行うもので
ある(請求項2の発明)。
【0013】以下、図面を参照しながら、この発明方法
を詳細に説明する。図1は、この発明に用いる反応装置
の一例を示す概略図である。この反応装置は、ポリビニ
ルアルコール溶解槽1と、アルデヒドタンク2と、筒型
の反応器3とを備えている。
【0014】ポリビニルアルコール溶解槽1と筒型の反
応器3とは供給パイプ11で連結され、アルデヒドタン
ク2と筒型の反応器3とは供給パイプ21で連結されて
いる。供給パイプ11と21には、それぞれ供給ポンプ
12と22が設けられている。
【0015】筒型の反応器3内には、その軸方向に沿っ
て二本の回転軸31、31がメカニカルシールを有する
軸受け32、32、32、32によって架設されてい
る。この二本の回転軸31、31には、それぞれ多数の
ローター板33、33・・・・がそれぞれ並設されてい
る。そして、一方の回転軸31のローター板33、33
・・の間に噛み合うように他方の回転軸31の多数のロ
ーター板が33、33・・が設けられている。
【0016】これ等のローター板33としては、図3の
(イ)に示すように、円板状で回転軸31に偏心させて
並設するようになされたもの、図3の(ロ)に示すよう
に、楕円板状で回転軸31に中心で並設するようになさ
れたもの、図3の(ハ)に示すように、円板状で回転軸
31に中心で並設するようになされたもの、図3の
(ニ)に示すように、円板を羽根状に切り欠いて回転軸
31に中心で並設するようになされたもの等が用いられ
る。
【0017】図1においては、図3の(イ)に示す円板
状のローター板が用いられ、前後に隣合うローター板3
3が、互いに180度の位相をもって回転軸31に対し
て直角に並設されている。この場合、一方の回転軸のロ
ーター板、他方の回転軸のローター板のいずれも同様に
構成されている。
【0018】なお、前後に隣合うローター板33は、1
80度の位相に限らず、いかなる角度の位相をもって並
設されていてもよい。また、回転軸31に対して直角に
並設されることなく、斜めに傾けた状態で並設されてい
てもよい。特に、反応器3の供給口部分及び取出口部分
のローター板33は、流体を円滑に移送するために、送
り機能を持つように並設するのが好ましい。具体的に
は、供給口部分及び取出口部分のローター板33を、4
0〜60度の位相角をもって徐々にずらして配列し、ス
クリュー式供給機のように送り機能を持たせることが好
ましい。
【0019】二本の回転軸31、31は、駆動装置34
により互いに同方向に回転するようになされ、また互い
に同じ速度で回転するようになされている。なお、二本
の回転軸31、31は互いに逆方向に回転するようにな
されていてもよい。また、互いに異なる速度で回転する
ようになされていてもよい。また、多数のローター板3
3を並設した回転軸31は、三本或いはそれ以上設けて
もよい。
【0020】一方の回転軸31のローター板33とこれ
に噛み合うように並設されている他方の回転軸31のロ
ーター板33との間隙、ローター板33の外周と筒型の
反応器3の内壁との間隙、及びローター板33の回転速
度は、ここを通る溶液に所望の剪断力が付与されるよう
に適当に設定される。
【0021】筒型の反応器3の一端部には溶液の供給口
35が設けられ、この供給口35に、ポリビニルアルコ
ール溶解槽1の供給パイプ11と、アルデヒドタンク2
の供給パイプ21とが接続されている。また、筒型の反
応器3の他端部には反応液の取出口36が設けられ、こ
の取出口36には取出パイプ37が接続されている。取
出パイプ37には抜出し弁38が取り付けられている。
【0022】上記の反応装置は、一般に、ステンレス鋼
やガラスライニング材で製作されるが、スケールの付着
を防止するために、これ等の機器の接液部の表面粗さ
(Rz値)は0.5μm 以下となされている。なお、Rz
値は、触針式粗さ測定器を用い、ISO R468に
準拠して測定される10点平均粗さである。
【0023】この場合、特に、水との接触角の小さい
(つまり、水に濡れやすい)材料ほどスケールが付着し
にくく、水との接触角が7度以下の材料、例えばガラス
ライニング材を用いるのが最適である。その理由は、反
応液は水を媒体としているので、ガラスの表面が水で濡
れることにより、ガラスの表面に形成される水層が、生
成する樹脂の付着を防いでいるものと推測される。
【0024】なお、ガラスとしては、ソーダ石灰ガラ
ス、カリガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガ
ラス、琺瑯等が挙げられる。筒型の反応器3の外側には
加熱・冷却ジャケット4が設けられている。41は加熱
・冷却媒体の入口パイプ、42は加熱・冷却媒体の出口
パイプである。この発明に用いる一つの反応装置は、以
上のように構成されている。
【0025】図2は、この発明に用いる反応装置の他の
例を示す概略図である。この反応装置は、図1に示す反
応装置と比べ、筒型の反応器3の内部構造が異なるのみ
で、他は図1に示す反応装置と同様である。したがっ
て、筒型の反応器3の内部構造についてのみ、以下に説
明する。
【0026】図2において、筒型の反応器3内には、そ
の軸方向に沿って一本の回転軸31がメカニカルシール
を有する軸受け32、32によって架設されている。こ
の回転軸31には、多数のローター板33、33・・・
・が、回転軸31に対して直角に並設されている。この
ローター板33は、図3の(ハ)に示す円板状のロータ
ー板33が用いられ、いずれも中心で回転軸31に並設
されている。
【0027】また、この多数のローター板33の間に噛
み合うように多数の邪魔板39が、反応器3の内壁から
突出して環状に設けられている。なお、多数のローター
板33を並設した回転軸31は、二本或いはそれ以上設
けてもよい。
【0028】そして、上記の反応装置は、図1と同様に
ステンレス鋼やガラスライニング材で製作され、これ等
の機器の接液部の表面粗さ(Rz 値)は0.5μm 以下
となされている。この場合も、機器の接液部の表面は、
水との接触角が7度以下の材料、例えばガラスライニン
グ材を用いるのが最適である。
【0029】図1及び図2に示す反応装置において、ポ
リビニルアルコール溶解槽1には、ポリビニルアルコー
ルの水溶液が用意される。ポリビニルアルコールとして
は、一般に平均重合度が200〜2600、鹸化度が9
0〜100%のポリビニルアルコールが用いられる。そ
して、一般に5〜12重量%の水溶液とされる。或い
は、20℃において4%水溶液で測定した粘度が、一般
に、4〜60センチポイズとなるように調整される。
【0030】ポリビニルアルコールの水溶液には、慣用
の酸触媒が添加される。酸触媒としては、塩酸、蟻酸、
燐酸、硫酸、パラトルエンスルホン酸等の一種或いは二
種以上の混合物が用いられる。これ等の酸触媒は、反応
液のpHが0.2〜2になるように適量が添加される。
【0031】アルデヒドタンク2には、アルデヒド又は
その水溶液が用意される。アルデヒドとしては、一般
に、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオン
アルデヒド、ブチルアルデヒド等の脂肪族アルデヒドの
単独アルデヒド或いは二種以上の混合アルデヒドが用い
られる。合わせガラス中間膜用の樹脂を製造する場合
は、一般にブチルアルデヒドが用いられる。なお、アル
デヒドには、上記のアルデヒドに変換し得るパラホルム
アルデヒドやパラアセトアルデヒドなどのアルデヒド類
も含むものとする。
【0032】先ず、酸触媒を適量含有するポリビニルア
ルコールの水溶液が、供給ポンプ12により反応器3の
供給口35に一定割合で供給されるとともに、アルデヒ
ド又はその水溶液が、供給ポンプ22により反応器3の
供給口35に一定割合で供給される。アルデヒドの仕込
み量(供給量)は、目的のアセタール化度を得るに必要
な理論量の2〜10%増しの過剰に供給される。
【0033】ポリビニルアルコールの水溶液とアルデヒ
ド又はその水溶液とは、反応器3の供給口35から器内
へ供給される。器内の溶液は、図1においては、互いに
逆方向に回転する一方のローター板33と他方のロータ
ー板33と反応器3の内壁とによる高い剪断力で攪拌さ
れながら移送される。図2においては、器内の溶液は、
回転するローター板33と邪魔板39と反応器3の内壁
とによる高い剪断力で攪拌されながら移送される。
【0034】この場合、器内の溶液には、20000 m
in-1以上の平均剪断速度が得られるように、ローター板
33や邪魔板39の形状や配置及びローター板の回転速
度を設定するのが好ましい。このように、溶液の平均剪
断速度が20000 min-1以上になると、溶液が良好に
攪拌されて充分な表面更新が行われる。
【0035】器内の溶液は攪拌されて器内を通過する過
程で、ポリビニルアルコールとアルデヒドとのアセター
ル化反応が進行する。反応温度は、加熱・冷却ジャケッ
トに加熱媒体或いは冷却媒体を循環させることにより、
一般に0〜95℃の範囲の一定温度に設定される。反応
温度は低温よりも高温、例えば50〜95℃の範囲の一
定温度に設定するのが好ましい。
【0036】筒型の反応器3内を通る反応液の平均滞留
時間は10分以下で充分である。ここで、反応液の平均
滞留時間は、筒型の反応器3内の容積(回転軸、ロータ
ー板、邪魔板の容積を除いた筒型の反応器3内の容積)
をこれに供給される反応液の体積流量で除した値で示さ
れる。
【0037】ポリビニルアルコール水溶液とアルデヒド
とを筒型の反応器3内で反応させ、こうして形成される
スラリー状の反応液は抜出し弁38を操作して連続的に
排出される。次いで、この排出された反応液は適当な容
器(図は省略)に移され、常法で中和、水洗、乾燥が行
われる。この場合、ポリビニルアセタール樹脂のアセタ
ール化度は、用途により異なるが、一般に平均値で示さ
れるアセタール化度で56〜75モル%、好ましくは6
0〜70モル%とされる。
【0038】なお、筒型の反応器3から排出されるスラ
リー状反応液は、従来法と同様に、これを熟成槽に移し
適当な条件で熟成させてもよい。
【0039】
【作用】一方の多数のローター板と他方の多数のロータ
ー板とが噛み合うように設けられた筒型の反応器、或い
は多数のローター板と多数の邪魔板とが噛み合うように
設けられた筒型の反応器を用い、これ等の機器の接液部
の表面粗さ(Rz 値)を0.5μm 以下とし、この筒型
の反応器内にビニルアルコール水溶液とアルデヒドとの
溶液を通すと、この溶液は、多数のローター板、多数の
邪魔板、反応器内壁による強い剪断力で良好に攪拌さ
れ、それにより粘着性のある微細な一次粒子が析出す
る。
【0040】このような微細な一次粒子表面には、アル
デヒドが均一に且つ速やかに拡散しやすく、その結果、
短い滞留時間でも充分にアセタール化反応が行われる。
また、微細な一次粒子は粘着性のため互いに合着して二
次粒子を形成し成長するが、強い剪断力はこれを抑制し
細かな二次粒子に抑え、反応温度が比較的高い温度であ
っても、樹脂粒子の凝集が防止される。
【0041】しかも、良好な攪拌作用と、機器の接液部
の表面粗さがRz値で0.5 μm 以下と平滑なことによる
表面のアンカーの減少、及び表面に形成される水層の作
用とが相まって、器壁へのスケールの付着も防止され
る。
【0042】さらに、反応液は、全域で強い剪断力と攪
拌をうけながら反応器の入口と出口との圧力差により連
続的に押し出され、バックフローの少ないピストンフロ
ーに近い滞留時間分布特性を示し、それによりアセター
ル化度のばらつきが小さくなる。
【0043】
【実施例】以下、この発明の実施例を示す。実施例1 この実施例では図1に示す反応装置を用いた。
【0044】ポリビニルアルコール溶解槽1は、容積1
00リットルのステンレス製からなり、アルデヒドタン
ク2は、容積6リットルのステンレス製からなる。ま
た、筒型の反応器3は、ステンレス製で内径127mmの
断面ひょうたん型(内径127mmの二つの円の一部が重
なったような形状)に形成され、その容量は10リット
ルである。
【0045】上記筒型の反応器3内には、直径35mmの
ステンレス製の二本の回転軸31に、それそれ直径89
mm、厚さ4.5mmのステンレス製の円板状ローター板3
3が一軸当たり62枚、合計124枚並設されている。
これ等のローター板33は、いずれも中心から17.5
mm偏心させて並設されている。そして、一方の62枚の
ローター板33と他方の62枚のローター板33とは、
間隙1.5mmで交互に噛み合うように設けられている。
また、筒型の反応器3の内壁とローター板33との最小
間隙は1.5mmになされている。
【0046】そして、筒型の反応器3の内壁と回転軸3
1とローター板33とは、電界研磨加工により最大表面
粗さ(Rz 値)が0.5μm 以下に仕上げられている。
先ず、ポリビニルアルコール溶解槽1に純水64リット
ルを入れ、これに平均重合度1700、鹸化度99.0
モル%のポリビニルアルコール7500gを仕込んで分
散させた後、これを95℃に昇温してポリビニルアルコ
ールを完全に溶解した後、75℃まで冷却保持した。さ
らに、触媒として濃度35%の塩酸560gを添加し
た。また、アルデヒドタンク3にブチルアルデヒド42
00gを仕込んだ。
【0047】筒型の反応器3内に75℃の純水を充満さ
せ、加熱冷却ジャケットに75℃の水を循環させ、75
℃に加熱保持した。その後、一方の62枚のローター板
と他方の62枚のローター板とを互いに同方向に、35
0rpm、500rpm、650rpmで回転させた。
【0048】この筒型の反応器3内に、平均滞留時間が
10分となるように、酸触媒を含むポリビニルアルコー
ル水溶液を1リットル/分、ブチルアルデヒドを57.
5g/分の割合で供給し、反応器内の圧力が1.5 kg
/cm2 Gとなるように抜出し弁38を調整しながら反応
を進めた。ポリビニルアルコール水溶液とブチルアルデ
ヒドの供給開始から15分後に取出口よりスラリー状反
応液を連続的に抜き出し、これを40℃まで冷却しその
後、常法で中和、水洗、乾燥して、顆粒状のポリビニル
ブチラール樹脂Aを得た。
【0049】この場合、溶液の剪断速度は、350rp
mで約21000 min-1、500rpm、で約3000
0 min-1、650rpmで約39000 min-1であり、
筒型の反応器3の内壁と回転軸31とローター板33と
には、スケールが全く付着しなかった。
【0050】また、別に、上記の抜き出されたスラリー
状反応液を攪拌翼を備えたステンレス製の熟成槽に導入
し、攪拌翼の回転数250rpm、攪拌翼の周速2m/
秒、使用効率10W/リットルに設定して攪拌しなが
ら、80℃で2時間熟成反応を行った後、40℃まで冷
却しその後、常法で中和、水洗、乾燥して、顆粒状のポ
リビニルブチラール樹脂Bを得た。
【0051】得られたポリビニルブチラール樹脂A及び
Bについて、JIS K6728に基づいて、ブチラー
ル化度を測定し算出したところ、ローターの回転数35
0rpmで得られた樹脂A及びBのブチラール化度はそ
れぞれ61.4モル%及び65.2モル%、ローターの
回転数500rpmで得られた樹脂A及びBのブチラー
ル化度はそれぞれ63.7モル%及び65.8モル%、
ローターの回転数650rpmで得られた樹脂A及びB
のブチラール化度はそれぞれ60.5モル%及び65.
3モル%であった。
【0052】また、ブチラール化度のばらつきの程度を
知るために、樹脂B0.05gを秤量し、これを50g
のエタノールで溶解し、その溶液2ccを計量しこの溶液
をトルエンで滴定し、樹脂が析出した時のトルエン量を
読み取り、樹脂1g当たりのトルエン量を算出した。そ
のトルエン量は、ローターの回転数350rpmで得ら
れた樹脂Bでは11.5cc、ローターの回転数500r
pmで得られた樹脂Bでは12.3cc、ローターの回転
数650rpmで得られた樹脂Bでは11.4ccであっ
た。この場合、トルエン量の多いものが、ブチラール化
度の分布が狭いといえる。その結果をまとめて表1に示
す。
【0053】実施例2 実施例1において、筒型の反応器3内に、平均滞留時間
が5分となるように、酸触媒を含むポリビニルアルコー
ル水溶液を2リットル/分、ブチルアルデヒドを11
5.4g/分の割合で供給し、反応器内の圧力が1.5
kg/cm2 Gとなるように抜出し弁38を調整しながら
反応を進めた。それ以外は、実施例1と同様に行った。
その結果をまとめて表1に示す。
【0054】実施例3 実施例1において、筒型の反応器3内に、平均滞留時間
が3.3分となるように、酸触媒を含むポリビニルアル
コール水溶液を3リットル/分、ブチルアルデヒドを1
73.1g/分の割合で供給し、反応器内の圧力が1.
5 kg/cm2 Gとなるように抜出し弁38を調整しなが
ら反応を進めた。それ以外は、実施例1と同様に行っ
た。その結果をまとめて表1に示す。
【0055】実施例4 この実施例では図2に示す反応装置を用いた。筒型の反
応器3は内径127mmのステンレス製の円管で形成し、
その容量は10リットルである。この筒型の反応器3内
には、直径35mmのステンレス製の一本の回転軸31
に、それそれ直径89mm、厚さ14.5mmのステンレス
製の円板状ローター板33が62枚並設されている。こ
れ等のローター板33はいずれも中心で回転軸31に並
設されている。
【0056】また、筒型の反応器3の内壁には、厚さ5
mmのステンレス製の環状の邪魔板39が突設されてい
る。そして、ローター板33と邪魔板39とは、間隙
1.5mmで交互に噛み合うように設けられている。この
場合、ローター板33と邪魔板39の周囲が15mm重な
り合うようになされている。
【0057】筒型の反応器3の内壁と回転軸31とロー
ター板33と邪魔板39は、電界研磨加工により最大表
面粗さ(Rz 値)が0.5μm 以下に仕上げられてい
る。それ以外は、実施例1の反応装置と同様で、実施例
1と同様に行った。その結果、実施例1と同程度に高い
ブチラール化度の値とトルエン滴定量の値が得られた。
また、筒型の反応器3の内壁、回転軸31、ローター板
33、邪魔板39のいずれにもスケールが全く付着しな
かった。
【0058】比較例1 筒型の反応器に替えて、直径40mmのステンレス管から
なるループ型の反応器を用いた。このループ型の反応器
の容積は10リットルで、その内壁は機械仕上げ加工に
より最大表面粗さ(Rz 値)が3.2μm 以下に仕上げ
られている。
【0059】酸触媒を含有するポリビニルアルコール水
溶液とブチルアルデヒドとを、ループ型の反応器内へ供
給した。両者は合流点を通って混合され、その混合され
た反応液を、循環ポンプによりループ型の反応器内をポ
リビニルアルコール水溶液約1リットル/分、ブチルア
ルデヒド約57.5g/分の割合で循環させ、予備反応
を進めた。
【0060】ポリビニルアルコール水溶液とブチルアル
デヒドの供給量は、42分で両者の供給が終了するよう
に供給ポンプを制御した。ループ型の反応器内を循環す
る反応液の平均滞留時間は10分、反応液の流速は4m
/秒である。そして、ポリビニルアルコール水溶液とブ
チルアルデヒドの供給に見合う量を、抜出し弁を調節し
て排出した。このスラリー状反応液を40℃まで冷却し
その後、常法で中和、水洗、乾燥して、顆粒状のポリビ
ニルブチラール樹脂Aを得た。
【0061】この場合、ループ型の反応器の内壁に、厚
さ200〜2000μm のスケールが付着していた。ま
た、別に、上記の排出されたスラリー状の反応液を攪拌
翼を備えたステンレス製の熟成槽に導入し、攪拌翼の回
転数250rpm、攪拌翼の周速2m/秒、使用効率1
0W/リットルに設定して攪拌しながら、85℃で4時
間熟成反応を行った後、40℃まで冷却した。その後、
常法で中和、水洗、乾燥して、顆粒状のポリビニルブチ
ラール樹脂Bを得た。
【0062】得られたポリビニルブチラール樹脂A及び
Bについて、実施例1と同様にしてブチラール化度を測
定した。また、ポリビニルブチラール樹脂Bについて、
実施例1と同様にしてブチラール化度のばらつきの程度
を測定した。その結果をまとめて表1に示す。
【0063】比較例2 ループ型の反応器での平均滞留時間を5分間とした。そ
れ以外は、比較例1と同様に行った。その結果をまとめ
て表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
【発明の効果】上述の通り、この発明方法は、ポリビニ
ルアルコール水溶液とアルデヒドとの溶液を、筒型の反
応器内を通しながらアセタール化反応を行う方法であっ
て、筒型の反応器内には、一方の多数のローター板と他
方の多数のローター板とが噛み合うように設けられ、或
いは多数のローター板と多数の邪魔板が噛み合うように
設けられており、これ等の機器の接液部の表面粗さ(R
z 値)を0.5μm 以下とし、上記の溶液を、多数のロ
ーター板、多数の邪魔板、ローター板と反応器の内壁に
よる剪断力で攪拌しながら反応させものであり、それに
より、生成するリビニルアセタール樹脂粒子の凝集が防
止される。また、機器の接液部へのスケールの付着も防
止される。
【0066】それゆえ、比較的高温(50〜95℃)で
のアセタール化反応が可能となり、アセタール化反応の
際にポリビニルアルコールのゲル化が防止され、それに
より、得られるポリビニルアセタール樹脂の溶液粘度或
いは溶融粘度を低下させることができる。また、長時間
の運転が可能となり、しかもスケールの混入もなく品質
の良好な樹脂を連続的に製造することができる。
【0067】さらに、筒型の反応器内の平均滞留時間を
短くしても、所望のアセタール化度のポリビニルアセタ
ール樹脂を得ることができ、反応器の小型化が可能とな
る。また、得られる樹脂のアセタール化度のばらつきが
小さくなるため、熟成槽による熟成が不要となるか、よ
り短時間で目的のものが得られる。
【0068】したがって、この発明方法により得られる
ポリビニルアセタール樹脂は、合わせガラス用中間膜、
塗料、接着剤の原料樹脂として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に用いる反応装置の一例を示す概略説
明図である。
【図2】この発明に用いる反応装置の他の例を示す概略
説明図である。
【図3】図1及び図2の反応装置に使用するローター板
の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 ポリビニルアルコールの溶解槽 2 アルデヒドタンク 3 筒型の反応器 4 加熱・冷却ジャケット 12 供給ポンプ 22 供給ポンプ 31 回転軸 32 軸受け 33 ローター板 34 駆動装置 35 溶液の供給口 36 反応液の取出口 37 抜出し弁 39 邪魔板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 8/28 C08F 16/38

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリビニルアルコール水溶液とアルデヒ
    ドとの溶液を、筒型の反応器内を通しながらアセタール
    化反応を行う方法であって、筒型の反応器内には、その
    軸方向に沿って架設された少なくとも二本の回転軸に多
    数のローター板がそれぞれ並設され、一方の多数のロー
    ター板の間に噛み合うように他方の多数のローター板が
    設けられており、これ等の機器の接液部の表面粗さ(R
    z値)は0.5μm 以下であり、上記溶液を一方のロー
    ター板と他方のローター板と反応器内壁とによる剪断力
    で攪拌しながら連続的にアセタール化反応を行うことを
    特徴とするポリビニルアセタール樹脂の製造方法。
  2. 【請求項2】 ポリビニルアルコール水溶液とアルデヒ
    ドとの溶液を、筒型の反応器内を通しながらアセタール
    化反応を行う方法であって、筒型の反応器内には、その
    軸方向に沿って架設された少なくとも一本の回転軸に多
    数のローター板が並設され、この多数のローター板の間
    に噛み合うように多数の邪魔板が反応器内壁から突出し
    て設けられており、これ等の機器の接液部の表面粗さ
    (Rz 値)は0.5μm 以下であり、上記溶液をロータ
    ー板と邪魔板と反応器内壁とによる剪断力で攪拌しなが
    ら連続的にアセタール化反応を行うことを特徴とするポ
    リビニルアセタール樹脂の製造方法。
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