JP2021161399A - ポリビニルアセタール樹脂粒子 - Google Patents

ポリビニルアセタール樹脂粒子 Download PDF

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伸一 奥野
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Abstract

【課題】添加量が多い場合でも有機溶剤に容易に溶解させることができ、かつ、溶解途中に粒子の溶剤含浸不良が生じにくく、樹脂成分の均一性に優れるポリビニルアセタール樹脂粒子を提供する。【解決手段】ポリビニルアセタール樹脂を含有し、空隙率が50%以上、細孔半径7.5〜0.075μmの空隙比率が98%以上、かつ、比表面積が15m2/g以上である、ポリビニルアセタール樹脂粒子。【選択図】なし

Description

本発明は、有機溶剤に容易に溶解させることができるポリビニルアセタール樹脂粒子に関する。
ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂は、強靱性、造膜性、粒子等の分散性、塗布面への接着性等に優れていることから、様々な用途で使用されている。
ポリビニルアセタール樹脂の用途の1つとしては、例えば、バインダー樹脂としてポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂が用いたスラリー組成物や導電ペーストが開示されている。
これらの用途に用いられるポリビニルアセタール樹脂は、一般にメチルエチルケトン、トルエン、アルコール、これらの混合物等の有機溶剤に溶解された溶液として用いられる。
その際、溶剤への溶解が早いと作業性が向上する。ポリビニルアセタール樹脂粒子の表面積を上げると、溶剤との接触面積が上るために溶解性が向上すると思われるが、実際には溶剤の液面に乗ることになり、溶剤への溶解速度は遅い。
また、ポリビニルアセタール樹脂が有機溶剤に対する溶解性に劣るものであると、有機溶剤に溶解させた際に微量の未溶解物が生じ、粒子の分散性が低下する。
特許文献1には、最小構成粒子(1次粒子)が平均粒径5μm以下のポリビニルアセタール樹脂粒子が開示されている。
また、特許文献2には、重合度が500以上のポリビニルアセタール樹脂からなり、60メッシュの篩を通過する粒子の含有割合が20重量%以下、かさ比重が0.20以下、かつ、平均粒子径が100〜500μmであるポリビニルアセタール樹脂粒子が開示されている。
特開2000−38456号公報 特開2011−225842号公報
しかしながら、特許文献1及び2に開示されているポリビニルアセタール樹脂粒子でも、実際には有機溶剤に対する溶解性が不充分なものとなっており、特に樹脂添加量が多い場合の溶解性が低いものとなっている。また、平均粒子径を小さくするのみでは、添加時に粒子が浮きやすく、かつ、溶解途中に粒子の溶剤含浸不良が生じやすく、樹脂成分の均一性が低下することがある。
本発明は、溶解途中に粒子の溶剤含浸不良が生じにくく、添加量が多い場合でも有機溶剤に容易に溶解させることができ、樹脂成分の均一性に優れるポリビニルアセタール樹脂粒子を提供することを目的とする。
本発明は、ポリビニルアセタール樹脂を含有し、空隙率が50%以上、細孔半径7.5〜0.075μmの空隙率比率が98%以上、かつ、比表面積が15m/g以上である、ポリビニルアセタール樹脂粒子である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、特許文献1及び2に開示されているポリビニルアセタール樹脂粒子のように、粒子径やかさ比重を規定するのみでは、有機溶剤に対する溶解性が不充分となることを見出した。
そこで本発明者らは、空隙率が高く、かつ、細孔半径の大きい空隙の割合が多く、比表面積の高いポリビニルアセタール樹脂粒子は、添加量が多い場合でも有機溶剤に容易に溶解させることができ、かつ、溶解途中に粒子の溶剤含浸不良が生じにくく、樹脂成分の均一性に優れることを見出した。また、このようなポリビニルアセタール樹脂粒子は、溶解後に容器への付着が少ないことを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明のポリビニルアセタール樹脂粒子は、空隙率が50%以上である。上記空隙率の下限が50%であることで、有機溶剤に対する溶解性を高めることが可能となる。上記空隙率の好ましい下限は55%、より好ましい下限は60%である。また、上記空隙率の上限は特に限定されないが、80%であることが好ましい。
なお、本明細書において上記空隙率は、樹脂粒子の体積に占める細孔半径7.5〜0.0038μmの空隙の容積を意味する。
上記空隙率は、例えば、ポロシメーター(Thermo Pascal 14B、Thermo Fisher Scientific.社製)を用い、水銀圧入法で測定することができる。
本発明のポリビニルアセタール樹脂粒子は、細孔半径7.5〜0.075μmの空隙比率が98%以上である。上記細孔半径7.5〜0.075μmの空隙比率の下限が98%であることで、有機溶剤が含浸しやすくなるため、有機溶剤に対する溶解性が向上する。上記細孔半径7.5〜0.075μmの空隙比率の好ましい下限は98.5%、より好ましい下限は99%である。また、上記細孔半径7.5〜0.075μmの空隙比率の上限は特に限定されないが、100%であることが好ましい。
なお、本明細書において上記細孔半径7.5〜0.075μmの空隙比率は、細孔半径7.5〜0.0038μmの空隙容積に対する細孔半径7.5〜0.075μmの空隙容積の比率を表す。
上記細孔半径7.5〜0.075μmの空隙比率は、例えば、ポロシメーター(Thermo Pascal 14B、Thermo Fisher Scientific.社製)を用い、水銀圧入法で測定することができる。
本発明のポリビニルアセタール樹脂粒子は、細孔半径7.5〜1.0μmの空隙比率が80%以上であることが好ましい。上記細孔半径7.5〜1.0μmの空隙比率の好ましい下限が80%であることで、有機溶剤が含浸しやすくなるため、有機溶剤に対する溶解性が向上する。上記細孔半径7.5〜1.0μmの空隙比率のより好ましい下限は83%、更に好ましい下限は85%である。また、上記細孔半径7.5〜1.0μmの空隙比率の好ましい上限は特に限定されないが、100%であることが好ましい。
なお、本明細書において上記細孔半径7.5〜1.0μmの空隙比率は、細孔半径7.5〜0.0038μmの空隙容積に対する細孔半径7.5〜1.0μmの空隙容積の比率を表す。
上記細孔半径7.5〜1.0μmの空隙比率は、例えば、ポロシメーター(Thermo Pascal 14B、Thermo Fisher Scientific.社製)を用い、水銀圧入法で測定することができる。
本発明のポリビニルアセタール樹脂粒子は、比表面積が15m/g以上である。上記比表面積の下限が15m/gであることで、有機溶剤が含浸しやすくなるため、有機溶剤に対する溶解性が向上する。上記比表面積のより好ましい下限は17m/g、更に好ましい下限は20m/gである。また、上記比表面積の上限は特に限定されないが、40m/gであることが好ましい。
なお、本明細書において上記比表面積は、単位重量あたりの表面積のことをいい、例えば、ポロシメーター(Thermo Pascal 14B、Thermo Fisher Scientific.社製)を用い、水銀圧入法で測定することができる。
本発明のポリビニルアセタール樹脂粒子のD90粒子径の好ましい下限は30μm、好ましい上限は1000μmである。上記D90粒子径が30μm以上であることで、有機溶剤に対する溶解性が向上する。上記D90粒子径が1000μm以下であることで、有機溶剤へ溶解させた際に、容易に分散させることができる。上記D90粒子径のより好ましい下限は50μm、より好ましい上限は800μmである。
また、本発明のポリビニルアセタール樹脂粒子のD50粒子径の好ましい下限は30μm、好ましい上限は500μmである。上記D50粒子径のより好ましい下限は40μm、より好ましい上限は400μmである。
更に、本発明のポリビニルアセタール樹脂粒子のD10粒子径の好ましい下限は10μm、好ましい上限は300μmである。上記D10粒子径のより好ましい下限は20μm、より好ましい上限は100μmである。
なお、上記「D90粒子径(D90)」とは、粒度分布測定において小粒子側からの分布の累積頻度が90%に達する点の粒子径であり、「D50粒子径(D50)」とは、同様に分布の累積頻度が50%に達する点の粒子径であり、「D10粒子径(D10)」とは、同様に分布の累積頻度が10%に達する点の粒子径のことである。上記D90、D50、D10は、例えば、レーザー回折式粒子径分布測定装置(Mastersizer 3000,Malvern Panalytical社製)を用いて測定できる。
本発明のポリビニルアセタール樹脂粒子の粒度分布εの好ましい下限は0.01、好ましい上限は4.00である。上記粒度分布εが0.01以上であることで、有機溶剤に対する溶解性が向上する。上記粒度分布εが4.00以下であることで、有機溶剤へ溶解させた際に、容易に分散させることができる。同様の観点から、上記粒度分布εのより好ましい下限は0.01、より好ましい上限は3.00、更に好ましい上限は2.00である。
なお、上記粒度分布εは[(D90−D10)/D50]から算出される。
本発明のポリビニルアセタール樹脂粒子は、重合度が200以上、10000以下のポリビニルアセタール樹脂を含有することが好ましい。
上記ポリビニルアセタール樹脂の重合度が200以上10000以下であると、添加量が多い場合でも有機溶剤に容易に溶解させることができ、樹脂成分の均一性に優れる溶液が得られる。その為、ポリビニルアセタール樹脂の溶解工程におけるタクトタイムの短縮や、得られる各種シートの機械的強度のばらつきを安定させることができる。同様の観点から、上記ポリビニルアセタール樹脂の重合度の好ましい下限は300、好ましい上限は8500であり、より好ましい上限は5500、更に好ましい上限は5000である。
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール基量は、アルデヒドを単独で用いた場合又は2種以上を併用した場合のいずれであっても、好ましい下限が40モル%、好ましい上限が80モル%である。アセタール基量が40モル%以上80モル%以下であると、ポリビニルアセタール系樹脂が凝集することなく、多種多様な溶剤に溶解し、インク,染料の分散性の付与、および、得られる各種シートに充分な柔軟性を付与することができる。
同様の観点から、アセタール基量のより好ましい下限は60モル%、より好ましい上限は78モル%である。
なお、アセタール基量の計算方法については、ポリビニルアセタール樹脂のアセタール基がポリビニルアルコールの2個の水酸基をアセタール化して得られたものであることから、アセタール化された2個の水酸基を数える方法を採用する。
また、本明細書中、アセタール基がアセトアセタール基である場合には、アセトアセタール基量ともいい、アセタール基がブチラール基である場合には、ブチラール基量ともいう。
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量の好ましい下限は20モル%、好ましい上限は50モル%である。上記水酸基量が20モル%以上、50モル%以下であると、添加量が多い場合でも有機溶剤に容易に溶解させることができ、樹脂成分の均一性に優れる溶液を得ることができる。その為、ポリビニルアセタール樹脂の溶解工程におけるタクトタイムの短縮や、得られる各種シートの機械的強度のばらつきを安定させることができる。同様の観点から、上記水酸基量のより好ましい下限は22モル%であり、より好ましい上限は45モル%である。
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル基量の好ましい下限は0.1モル%、好ましい上限は20モル%である。上記アセチル基量が0.1モル%以上であると、有機溶剤との相溶性を向上することができる。上記アセチル基量が20モル%以下であると、溶解時にママコが生じにくくなる。同様の観点から、上記アセチル基量のより好ましい下限は0.5モル%であり、より好ましい上限は15モル%である。
本発明のポリビニルアセタール樹脂粒子における上記ポリビニルアセタール樹脂の含有量は、好ましい下限が10重量%、好ましい上限が90重量%である。
上記ポリビニルアセタール樹脂の含有量が上記範囲内であると、添加量が多い場合でも有機溶剤に容易に溶解させることができ、かつ、樹脂成分の均一性に優れるポリビニルアセタール樹脂組成物を得ることができる。同様の観点から、上記ポリビニルアセタール樹脂の含有量は、より好ましい下限が20重量%、より好ましい上限が80重量%である。
本発明のポリビニルアセタール樹脂粒子は、インク、塗料、焼付け用エナメル、ウォッシュプライマー、ラッカー、分散剤、接着剤、積層セラミックコンデンサ、熱現像性感光材料等の用途に用いることができる。
本発明のポリビニルアセタール樹脂粒子は、ポリビニルアルコールをアセタール化する工程(アセタール工程)を行うことにより得られる。
上記ポリビニルアルコールをアセタール化する方法は、例えば、酸触媒の存在下で、上記ポリビニルアルコール溶液に各種アルデヒドを添加する方法等が挙げられる。
特に、所定の重合度、空隙率、細孔半径7.5〜0.075μmの空隙比率、及び、比表面積を有する本発明のポリビニルアセタール樹脂粒子は、アセタール工程に使用するポリビニルアルコールの重合度、ポリビニルアルコール溶液のポリビニルアルコール含有量(濃度)を調整することで作製することができる。
上記アセタール工程におけるポリビニルアルコール溶液のポリビニルアルコール含有量 は、1.0〜7.0質量%であることが好ましい。上記範囲内とすることで、所定の重合度、空隙率、細孔半径7.5〜0.075μmの空隙比率、及び、比表面積を有する本発明のポリビニルアセタール樹脂粒子を好適に作製することができる。同様の観点から、上記ポリビニルアルコール含有量は、より好ましい下限が2.0質量%、より好ましい上限が6.0質量%である。なお、上記ポリビニルアルコール樹脂の含有量は、使用するポリビニルアルコール樹脂の重合度を考慮して決定することができる。
上記ポリビニルアルコールのケン化度の好ましい下限は80モル%である。上記ポリビニルアルコールのケン化度が80モル%未満であると、水溶性が悪化するためアセタール化が困難になり、また、水酸基量が少なくなるためアセタール化自体が困難になる。より好ましい下限は85モル%である。好ましい上限は特に限定されないが99.9モル%である。
上記ポリビニルアルコールは、アセタール化する際のポリビニルアルコールのケン化度が80モル%以上であれば、上記ポリビニルアルコールを単独で使用してもよく、又は、ケン化度80モル%以上のポリビニルアルコールとケン化度80モル%未満のポリビニルアルコールを混合して、ケン化度を80モル%以上に調整してから使用してもよい。
上記酸触媒は特に限定されず、有機酸、無機酸のどちらでも使用可能であり、例えば、酢酸、パラトルエンスルホン酸、硝酸、硫酸、塩酸等が挙げられる。なかでも、非ハロゲン性の酸触媒が好適である。
上記アセタール化に用いるアルデヒドは特に限定されず、例えば、ホルムアルデヒド(パラホルムアルデヒドを含む)、アセトアルデヒド(パラアセトアルデヒドを含む)、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アミルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、β−フェニルプロピオンアルデヒド等が挙げられる。なかでも、アセトアルデヒド及び/又はブチルアルデヒドを用いてアセタール化することが好ましい。これらのアルデヒドは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記アセタール化の反応を停止するために、アルカリによる中和を行うことが好ましい。上記アルカリとしては特に限定されず、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられる。
また、上記中和工程の前後に、水等を用いて得られた変性ポリビニルアセタール樹脂を洗浄することが好ましい。なお、洗浄水中に含まれる不純物の混入を防ぐため、洗浄は純水で行うことがより好ましい。
上記製法を経て得られた樹脂を本発明のポリビニルアセタール樹脂粒子としてもよく、更に造粒してもよい。
上記造粒の方法は特に限定されず、例えば、転動造粒法、押し出し造粒法、圧縮造粒法、撹拌造粒法、スプレードライ法、溶解凝固法、解砕造粒法等が挙げられる。
本発明によれば、添加量が多い場合でも有機溶剤に容易に溶解させることができ、かつ、溶解途中に粒子の溶剤含浸不良が生じにくく、樹脂成分の均一性に優れるポリビニルアセタール樹脂粒子を提供することができる。
また、本発明によれば、溶解性に優れることに加えて、溶解後に容器への付着が少ないポリビニルアセタール樹脂粒子を提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
重合度300、ケン化度98.7モル%のポリビニルアルコール200g(純度96.5%)を純水3050gに加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解させることでポリビニルアルコール溶液(ポリビニルアルコール濃度5.9質量%)を得た。この溶液を40℃に冷却し、これに純水投入量に対して濃度7.9重量%に相当する35重量%の塩酸240gとn−ブチルアルデヒド116gを添加し、液温を5℃に下げてこの温度を保持してアセタール化反応を行い、反応生成物を析出させた。その後、液温を25℃とし、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗、及び、乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。得られたポリビニルアセタール樹脂をDMSO−d(ジメチルスルホキサイド)に溶解し、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて測定した水酸基量は35.7モル%、アセチル基量は1.3モル%、ブチラール化度は63.0モル%であった。
(比較例1)
重合度300、ケン化度98.7モル%のポリビニルアルコール200g(純度96.5%)を純水1300gに加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解させることでポリビニルアルコール溶液(ポリビニルアルコール濃度12.9質量%)を得た後、この溶液を用いた以外は実施例1と同様にしてポリビニルアセタール樹脂粒子を得た。
(実施例2)
重合度700、ケン化度98.5モル%のポリビニルアルコール200g(純度96.5%)を純水3200gに加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解させることでポリビニルアルコール溶液(ポリビニルアルコール濃度5.7質量%)を得た後、この溶液を用いた以外は実施例1と同様にしてポリビニルアセタール樹脂粒子を得た。
(比較例2)
重合度700、ケン化度98.5モル%のポリビニルアルコール200g(純度96.5%)を純水1000gに加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解させることでポリビニルアルコール溶液(ポリビニルアルコール濃度16.1質量%)を得た後、この溶液を用いた以外は実施例1と同様にしてポリビニルアセタール樹脂粒子を得た。
(実施例3)
重合度1700、ケン化度98.8モル%のポリビニルアルコール200g(純度96.5%)を純水3300gに加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解させることでポリビニルアルコール溶液(ポリビニルアルコール濃度5.5質量%)を得た後、この溶液を用いた以外は実施例1と同様にしてポリビニルアセタール樹脂粒子を得た。
(比較例3)
重合度1700、ケン化度98.8モル%のポリビニルアルコール200g(純度96.5%)を純水1400gに加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解させることでポリビニルアルコール溶液(ポリビニルアルコール濃度12.1質量%)を得た後、この溶液を用いた以外は実施例1と同様にしてポリビニルアセタール樹脂粒子を得た。
(実施例4)
重合度3300、ケン化度99.2モル%のポリビニルアルコール200g(純度96.5%)を純水4300gに加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解させることでポリビニルアルコール溶液(ポリビニルアルコール濃度4.3質量%)を得た後、この溶液を用いた以外は実施例1と同様にしてポリビニルアセタール樹脂粒子を得た。
(実施例5)
重合度3300、ケン化度99.2モル%のポリビニルアルコール200g(純度96.5%)を純水5700gに加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解させることでポリビニルアルコール溶液(ポリビニルアルコール濃度3.3質量%)を得た後、この溶液を用いた以外は実施例1と同様にしてポリビニルアセタール樹脂粒子を得た。
(比較例4)
重合度3300、ケン化度99.2モル%のポリビニルアルコール200g(純度96.5%)を純水2300gに加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解させることでポリビニルアルコール溶液(ポリビニルアルコール濃度7.7質量%)を得た後、この溶液を用いた以外は実施例1と同様にしてポリビニルアセタール樹脂粒子を得た。
(実施例6)
重合度500、ケン化度98.8モル%のポリビニルアルコール200g(純度96.5%)を純水2600gに加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解させることでポリビニルアルコール溶液(ポリビニルアルコール濃度6.9質量%)を得た後、この溶液を用いた以外は、実施例1のn−ブチルアルデヒド量を144gへ変更した。それ以外は実施例1と同様にしてポリビニルアセタール樹脂粒子を得た。
(比較例5)
重合度500、ケン化度98.8モル%のポリビニルアルコール200g(純度96.5%)を純水1050gに加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解させることでポリビニルアルコール溶液(ポリビニルアルコール濃度15.4質量%)を得た後、この溶液を用いた以外は実施例6と同様にしてポリビニルアセタール樹脂粒子を得た。
(実施例7)
重合度3300、ケン化度99.2モル%のポリビニルアルコール200g(純度96.5%)を純水3440gに加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解させることでポリビニルアルコール溶液(ポリビニルアルコール濃度5.3質量%)を得た後、この溶液を用いた以外は実施例1と同様にしてポリビニルアセタール樹脂粒子を得た。
(実施例8)
重合度4000、ケン化度99.1モル%のポリビニルアルコール200g(純度96.5%)を純水6000gに加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解させることでポリビニルアルコール溶液(ポリビニルアルコール濃度4.9質量%)を得た後、この溶液を用いた以外は実施例1と同様にしてポリビニルアセタール樹脂粒子を得た。
(比較例6)
重合度4000、ケン化度99.1モル%のポリビニルアルコール200g(純度96.5%)を純水3700gに加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解させることでポリビニルアルコール溶液(ポリビニルアルコール濃度4.9質量%)を得た後、この溶液を用いた以外は実施例1と同様にしてポリビニルアセタール樹脂粒子を得た。
(比較例7)
重合度4000、ケン化度99.1モル%のポリビニルアルコール200g(純度96.5%)を純水2480gに加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解させることでポリビニルアルコール溶液(ポリビニルアルコール濃度7.2質量%)を得た後、この溶液を用いた以外は実施例1と同様にしてポリビニルアセタール樹脂粒子を得た。
(実施例9)
重合度5400、ケン化度99.3モル%のポリビニルアルコール200g(純度96.5%)を純水6700gに加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解させることでポリビニルアルコール溶液(ポリビニルアルコール濃度2.8質量%)を得た後、この溶液を用いた以外は実施例1と同様にしてポリビニルアセタール樹脂粒子を得た。
(実施例10)
重合度8300、ケン化度99.0モル%のポリビニルアルコール200g(純度96.5%)を純水13600gに加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解させることでポリビニルアルコール溶液(ポリビニルアルコール濃度1.4質量%)を得た後、この溶液を用いた以外は実施例1と同様にしてポリビニルアセタール樹脂粒子を得た。
(比較例8)
重合度5400、ケン化度99.3モル%のポリビニルアルコール200g(純度96.5%)を純水4200gに加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解させることでポリビニルアルコール溶液(ポリビニルアルコール濃度4.4質量%)を得た後、この溶液を用いた以外は実施例1と同様にしてポリビニルアセタール樹脂粒子を得た。
(比較例9)
重合度8300、ケン化度99.0モル%のポリビニルアルコール200g(純度96.5%)を純水6400gに加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解させることでポリビニルアルコール溶液(ポリビニルアルコール濃度2.9質量%)を得た後、この溶液を用いた以外は実施例1と同様にしてポリビニルアセタール樹脂粒子を得た。
<評価>
実施例及び比較例で得られたポリビニルアセタール樹脂粒子について以下の評価を行った。結果を表1に示した。
(1)空隙率、細孔半径7.5〜0.075μmの空隙比率、細孔半径7.5〜1.0μmの空隙比率、比表面積
得られたポリビニルアセタール樹脂粒子について、ポロシメーター(Thermo Pascal 14B)を用い、水銀圧入法にて空隙率、細孔半径7.5〜0.075μmの空隙比率、細孔半径7.5〜1.0μmの空隙比率、比表面積を測定した。なお、空隙率は樹脂粒子の体積に占める細孔半径7.5〜0.0038μmの空隙の容積を意味し、細孔半径7.5〜0.075μmの空隙比率は、細孔半径7.5〜0.0038μmの空隙容積に対する細孔半径7.5〜0.075μmの空隙容積の比率を意味する。また、細孔半径7.5〜1.0μmの空隙比率は、細孔半径7.5〜0.0038μmの空隙容積に対する細孔半径7.5〜1.0μmの空隙容積の比率を意味する。
(2)粒子径(D10、D50、D90)
得られたポリビニルアセタール樹脂粒子について、粒子径(D10、D50、D90)を、レーザー回折式粒子径分布測定装置(Mastersizer 3000)を用いて測定した。また、測定したD10、D50、D90から粒度分布ε[(D90−D10)/D50]を算出した。
(3)溶解性
500mLのビーカーに有機溶剤としてエタノールとトルエンとの混合溶剤(重量比1:1)192gを入れ、温度を25℃に保ち、2枚の攪拌翼を用い、回転数200rpmで攪拌しながら、得られたポリビニルアセタール樹脂粒子48.0g(濃度20重量%)を添加し、ポリビニルアセタール樹脂粒子を溶解させた。目視で観察し、得られたポリビニルアセタール樹脂粒子を添加してから不溶解樹脂が無くなるまでの溶解時間を測定した。同様に、濃度10重量%、濃度5重量%、濃度3重量%、濃度2重量%の場合についても溶解時間を測定した。なお、「不可」は600分経過後も溶解しなかったか、有機溶剤に溶かした際の粘度が5000mPa・s以上であったことを意味する。
粘度5000mPa・s以上である場合は、ワイセンベルク効果により、攪拌軸に溶液が巻き付き同一の評価が出来ない。
更に、最も低濃度での溶解時間に対する溶解時間の倍数(溶解時間倍数)を、最も低濃度の場合以外の各濃度について算出し、表に示した。なお、表中の「−」は溶解時間倍数が算出出来なかったことを意味する。
(4)粒子の溶剤含浸状態確認
[比較例1、2、5及び実施例1、2、6で得られたポリビニルアセタール樹脂粒子]
500mLのビーカーに有機溶剤としてエタノールとトルエンとの混合溶剤(重量比1:1)192gを入れ、温度を25℃に保ち、2枚の撹拌翼を用い、回転数200rpmで撹拌しながら、得られたポリビニルアセタール樹脂粒子48.0gを溶液濃度が20重量%となるように添加し、ポリビニルアセタール樹脂粒子を溶解させた。樹脂粒子の状態を目視で観察し、樹脂粒子が透明となる(樹脂粒子に溶剤が含浸する)までの時間を5分間隔で測定した。
[比較例3、4、6、7及び実施例3、4、5、7、8で得られたポリビニルアセタール樹脂粒子]
500mLのビーカーに有機溶剤としてエタノールとトルエンとの混合溶剤(重量比1:1)228gを入れ、温度を25℃に保ち、2枚の撹拌翼を用い、回転数200rpmで撹拌しながら、得られたポリビニルアセタール樹脂粒子12.0gを溶液濃度が5重量%となるように添加し、ポリビニルアセタール樹脂粒子を溶解させた。樹脂粒子の状態を目視で観察し、樹脂粒子が透明となる(樹脂粒子に溶剤が含浸する)までの時間を5分間隔で測定した。
[比較例8、9、10と実施例9、10で得られたポリビニルアセタール樹脂粒子]
500mLのビーカーに有機溶剤としてエタノールとトルエンとの混合溶剤(重量比1:1)235.2gを入れ、温度を25℃に保ち、2枚の撹拌翼を用い、回転数200rpmで撹拌しながら、得られたポリビニルアセタール樹脂粒子4.8gを溶液濃度が2重量%となるように添加し、ポリビニルアセタール樹脂粒子を溶解させた。樹脂粒子の状態を目視で観察し、樹脂粒子が透明となる(樹脂粒子に溶剤が含浸する)までの時間を5分間隔で測定した。
(5)粒子溶解時の容器付着性評価
[比較例1〜7及び実施例1〜8で得られたポリビニルアセタール樹脂粒子]
500mLのビーカーに有機溶剤としてエタノールとトルエンとの混合溶剤(重量比1:1)228gを入れ、温度を25℃に保ち、2枚の撹拌翼を用い、回転数200rpmで撹拌しながら、得られたポリビニルアセタール樹脂粒子12.0gを溶液濃度が5重量%となるように添加し、ポリビニルアセタール樹脂粒子の溶解を目視にて確認した。
その後、500mLのビーカーを1分間逆さまにして溶液を取り除き,ビーカー内側に溶け残り付着した透明な樹脂粒子の面積について、溶解中のビーカー接液面積を100%とした場合の比率を求めた。
[比較例8、9、10と実施例9、10で得られたポリビニルアセタール樹脂粒子]
500mLのビーカーに有機溶剤としてエタノールとトルエンとの混合溶剤(重量比1:1)235.2gを入れ、温度を25℃に保ち、2枚の撹拌翼を用い、回転数200rpmで撹拌しながら、得られたポリビニルアセタール樹脂粒子4.8gを溶液濃度が2重量%となるように添加し、ポリビニルアセタール樹脂粒子の溶解を目視にて確認した。
その後、500mLのビーカーを1分間逆さまにして溶液を取り除き,ビーカー内側に溶け残り付着した透明な樹脂粒子の面積について、溶解中のビーカー接液面積を100%とした場合の比率を求めた。
Figure 2021161399
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本発明によれば、添加量が多い場合でも有機溶剤に容易に溶解させることができ、かつ、溶解途中に粒子の溶剤含浸不良が生じにくく、樹脂成分の均一性に優れるポリビニルアセタール樹脂粒子を提供することができる。

Claims (4)

  1. ポリビニルアセタール樹脂を含有し、
    空隙率が50%以上、細孔半径7.5〜0.075μmの空隙比率が98%以上、かつ、比表面積が15m/g以上である、ポリビニルアセタール樹脂粒子。
  2. 粒度分布εが0.01〜3.00である、請求項1記載のポリビニルアセタール樹脂粒子。
  3. 細孔半径7.5〜1.0μmの空隙比率が80%以上である、請求項1又は2記載のポリビニルアセタール樹脂粒子。
  4. 前記ポリビニルアセタール樹脂の重合度が、200以上10000以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリビニルアセタール樹脂粒子。
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