JP4049617B2 - ポリビニルアセタール樹脂の製造方法 - Google Patents
ポリビニルアセタール樹脂の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4049617B2 JP4049617B2 JP2002147345A JP2002147345A JP4049617B2 JP 4049617 B2 JP4049617 B2 JP 4049617B2 JP 2002147345 A JP2002147345 A JP 2002147345A JP 2002147345 A JP2002147345 A JP 2002147345A JP 4049617 B2 JP4049617 B2 JP 4049617B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- reactor
- reaction
- reaction liquid
- polyvinyl acetal
- acetal resin
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Landscapes
- Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリビニルアセタール樹脂の製造方法に関する。さらに詳しくは、直列に連結してなる第一と第二の反応装置の第一の反応装置に原料を供給し、所定のアセタール化度に達するまで連続的にアセタール化反応を進行させ、次いで、得られた反応液を、第二の反応装置に供給し、所定のアセタール化度に達するまで熟成反応させることを特徴とする、ポリビニルアセタール樹脂の製造方法、及び金属成分含有量の少ないポリビニルアセタール樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリビニルアセタール樹脂は、塗料、接着剤、バインダー、及び成形体等に広く用いられている。従来、ポリビニルアセタール樹脂は、バッチ的に水溶液中でポリビニルアルコールとアルデヒドを酸触媒の存在下で反応させ、生成するポリビニルアセタールの樹脂スラリーをアルカリで中和し、洗浄、脱水した後に乾燥して粉粒状の形態として製造する方法が一般的である。
【0003】
これまで、ポリビニルアセタール樹脂に関する報告は多いが、ポリビニルアセタール樹脂を製造する反応装置に関する報告は少なく、例えば、ループ状反応器(特開平5−59117など)、平滑表面を有する反応器(特開平4−275310)、高撹拌機付反応器(特開平11−349629)、耐腐食性材料からなる反応器(特開平5−140216)などがある。
【0004】
従来、ポリビニルアセタール樹脂は、製造工程において、水酸化ナトリウムなどのアルカリ中和剤を使用すると、未反応のアルカリ中和剤や酸触媒、及びアルカリ中和剤が酸触媒と反応して生成した金属塩などが、後のポリビニルアセタール樹脂の製造工程において、ポリビニルアセタール樹脂の粒子中に取り込まれたり、樹脂粒子表面に付着して製品中に残存する。こうした樹脂中に残存する金属成分、例えばアルカリ金属は、ポリビニルアセタール樹脂の特性である、透明性、耐湿性、電気絶縁性などを損なわせ、透明性や耐湿性が高度に要求される成形体や、電気絶縁性が要求される電子材料用接着剤用途で品質上の問題を引き起こす。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来、樹脂中の金属成分が少ない高品質のポリビニルブチラール樹脂を製造するためには、十分な反応時間を確保するために大型の製造設備が必要であった。このような大型の製造設備を建設するためには設置場所の選定や、設計上の問題があり、より合理的な小型の製造設備の開発が望まれていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ポリビニルアルコールとアルデヒドを酸触媒の存在下で反応させてポリビニルアセタール樹脂を製造する方法において、第一の反応装置の反応器に、ポリビニルアルコールとアルデヒドと酸触媒を供給してアセタール化反応させ、アセタール化度が10モル%以上の第一の反応液とした後、第一の反応装置の反応器からこの第一の反応液を排出させ、次に、この第一の反応液を、一基あるいは、二基以上の反応器を直列に連結してなる第二の反応装置に供給し、熟成反応させてアセタール化度を60モル%以上にすることを特徴とするポリビニルアセタール樹脂の製造方法であり、第一の反応装置及び第二の反応装置の反応器の少なくとも一つの反応器が撹拌機構の付いた密閉反応器からなることを特徴とするポリビニルアセタール樹脂の製造方法であり、第一の反応装置の反応器内の反応液の平均滞留時間が1分以上であることを特徴とするポリビニルアセタール樹脂の製造方法であり、第二の反応装置の反応器内の反応液の各平均滞留時間の合計が下記の(a式)の関係を満たすことを特徴とするポリビニルアセタール樹脂の製造方法であり、
ΣVi/Q ≧ 1 (a式)
ここで、第二の反応装置の反応器の全個数をN[個]、第二の反応装置のi番目の反応器の容積をVi[L]、iは1からNの整数であり、ΣViは第二の反応装置の反応器の各容積の総和で、第二の反応装置に流入する、単位時間当たりの第一の反応液量をQ[L/hr]とする。さらに、得られたポリビニルアセタール樹脂をアルカリで中和し、洗浄、脱水、乾燥して得られる、金属含有量が80ppm以下である多孔質ポリビニルアセタール樹脂である。
【0007】
以下に本発明を詳細に説明する。本発明の原料として使用するポリビニルアルコールは、平均重合度200〜4000、ケン化度が80%以上のものを用いる。また、本発明に使用するポリビニルアルコールは、第一の反応装置の第一の反応器に連続的に供給するため、適正な粘度を示す3〜15重量%の水溶液として使用することが好ましい。
【0008】
本発明の原料として使用するアルデヒドは、通常、ポリビニルアセタール樹脂の合成に用いられるアルデヒドを用いることができ、一例を示せば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、tert−ブチルアルデヒド、アミルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒドなどの脂肪族アルデヒド類、シクロヘキシルアルデヒド、フルフラールなどの脂環族アルデヒド類、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ハロゲン置換ベンズアルデヒド、フェニル置換アルキルアルデヒドなどの芳香族アルデヒド類などがある。これらの中で、好ましくはアセトアルデヒド、ブチルアルデヒド使用する。これらのアルデヒドは単独で用いてもよく、二種以上併用してもよい。
【0009】
本発明で使用する酸触媒としては、例えば、塩酸、リン酸、硫酸、クエン酸、パラトルエンスルホン酸などを、一種、あるいは、二種以上混合して用いる。これらの酸触媒は、通常、反応液のpHが0.3〜2.0となるように適量添加する。
【0010】
次に、本発明のポリビニルアセタール樹脂は、前記のポリビニルアルコールとアルデヒドを酸触媒の存在下で反応させて製造する。本発明のポリビニルアセタール樹脂の製造方法は、ポリビニルアルコール水溶液とアルデヒドと酸触媒を第一の反応装置の反応器に好ましくは連続的に供給してアセタール化反応させて第一の反応液のアセタール化度を少なくとも10モル%以上とし、第一の反応装置の反応器から第一の反応液を好ましくは連続的に排出させ、次いで、一基あるいは、二基以上の反応器を直列に連結してなる第二の反応装置の反応器に第一の反応液を好ましくは連続的に供給し、熟成反応させて、アセタール化度60モル%以上の第二の反応液とした後、第二の反応液を第二の反応装置から好ましくは連続的に排出させることを特徴としている。
【0011】
すなわち、本発明は、ポリビニルアセタール樹脂の原料であるポリビニルアルコール、アルデヒド、酸触媒の反応装置と反応方法に特徴がある。まず、第一の反応装置において、原料供給口の付いた反応器内に、ポリビニルアルコール水溶液とアルデヒドと酸触媒を好ましくは連続的に供給し、アセタール化反応させてアセタール化度を少なくとも10モル%以上とし、第一の反応装置の反応器から第一の反応液を好ましくは連続的に排出させる。
【0012】
第一の反応装置の反応器へのポリビニルアルコール水溶液、アルデヒド、及び酸触媒の供給方法は、特に限定されないが、▲1▼ポリビニルアルコール水溶液、アルデヒド、及び酸触媒を三つの供給口から別々に供給する方法、▲2▼ポリビニルアルコールと酸触媒を予め混合し、ポリビニアルコールと酸触媒の混合液と、アルデヒドとを別々の供給口から供給する方法、▲3▼ポリビニルアルコールとアルデヒドを予め混合し、ポリビニルアルコールとアルデヒドの混合液と、酸触媒とを別々の供給口から供給する方法などが採用できる。これらのうち、反応制御の観点から、▲1▼及び▲2▼の方法が好ましい。
【0013】
第一の反応装置の反応器から第一の反応液の排出は好ましくは連続的にに行う。この際、反応液が反応器排出口付近や排出配管などに、局所的あるいはマクロ的に停滞しない様、配管部と反応器の溶接部や配管内壁は平滑な表面仕上げを実施したものを使用することが好ましい。供給あるいは排出する方法としては、▲1▼第一の反応装置の反応器上部から原料を供給し反応器下部から反応液を排出する方法、▲2▼第一の反応装置の反応器上部から挿入管を用いて第一の反応装置の反応器の下層部に原料を供給し第一の反応装置の反応器上部から反応液を排出する方法、▲3▼第一の反応装置の反応器下部から原料を供給し第一の反応装置の反応器上部から反応液を排出する方法などが好ましい方法である。また、予め、第一の反応装置の反応器内に水を満たしておき、次に、原料を供給する方法は、反応器内へのエアー溜まりを防ぐ方法として有効である。
【0014】
第一の反応装置の反応器は、供給されるポリビニルアルコールとアルデヒドと酸触媒を均一混合し、また、得られる第一の反応液の反応器内壁への固着を抑制する目的から、撹拌機構の付いた槽型密閉反応器であることが好ましい。撹拌条件としては、十分な混合撹拌を発現させる観点から、単位体積当たりの撹拌動力が0.4kW/m3以上となるようにすることが好ましい。
【0015】
第一の反応装置の反応器内の第一の反応液を撹拌するために用いる撹拌翼は、公知のものが使用できる。一例を挙げれば、三枚後退翼、パドル翼、アンカー翼、マックスブレンド翼、フルゾーン翼などがある。これら撹拌翼を用いて反応器内の混合を十分に達成させることができる。
【0016】
一般に、アセタール化反応の反応温度は、0〜90℃の範囲に設定される。しかしながら、通常のアセタール化反応は、この中温付近(20〜50℃)で行われることは一般的ではなく、むしろ、洗浄性に優れた樹脂を得るために、10℃以下の低温、あるいは、逆に意図的に60℃以上の高温で行うことが一般に行われている。しかし、本発明における第一の反応装置の反応器での反応温度は10〜60℃、好ましくは20〜50℃が選定される。このように、20〜50℃の”中温”における反応によって、金属成分の洗浄除去性に優れたポリビニルブチラール樹脂を得ることも本発明の特徴の一つである。
【0017】
第一の反応装置の反応器内における第一の反応液の反応時間、すなわち、反応器に供給した原料が第一の反応液として排出されるまでの時間(平均滞留時間)は、反応温度の影響を受けるが、少なくとも1分間以上、好ましくは1.5分間以上が選定される。この平均滞留時間を確保することによって第一の反応装置の反応器内でアセタール化反応が進行し、第一の反応液として排出可能となる。
【0018】
次に、第一の反応装置から連続的に排出された第一の反応液を、一基あるいは、二基以上の反応器を直列に連結してなる第二の反応装置に好ましくは連続的にに供給し、熟成反応を進行させ、第二の反応装置内の第二の反応液のアセタール化度を60モル%以上、好ましくは65モル%以上として、第二の反応装置から第二の反応液を好ましくは連続的に排出する。
【0019】
熟成反応を速めるには反応温度を高くする方が好ましいが、反面、反応器内壁への付着を引き起こす。従って、熟成反応速度と付着抑制の観点から、第二の反応装置の反応器内の温度は室温〜70℃、好ましくは30〜60℃、更に好ましくは35〜55℃の温度が採用される。
【0020】
本発明においては、第二の反応装置の反応器内における熟成反応も好ましくは連続的にに行う。熟成反応時間、すなわち、第二の反応装置の反応器内の各平均滞留時間の合計が以下の関係を満たすように設計される。第二の反応装置の反応器内に流入する、単位時間当たりの第一の反応液量をQ[L/hr]、第二の反応装置内の反応器の全個数をN[個]、第二の反応装置内のi番目の反応器の容積をVi[L]としたときに、
ΣVi/Q ≧ 1
ここで、iは1からNの整数であり、ΣViは第二の反応装置内の反応器の各容積の総和である。
すなわち、第二の反応装置内の反応器内の各平均滞留時間の合計(つまり、熟成反応時間)が1時間以上となるように第二の反応装置内の反応器の容積と個数を決定する。一例を挙げれば、第二の反応装置内の反応器への流入量あるいは流出量が30L/hrの場合、内容積30Lの第二の反応装置内の反応器を一基、または、15Lの第二の反応装置内の反応器を二基、または、10Lの第二の反応装置内の反応器を三基、または、6Lの第二の反応装置内の反応器を五基などを採用できる。熟成反応に使用する第二の反応装置内の反応器の大型化が問題となる場合、本発明の製造方法を用いれば、内容積の小さい反応器を複数用いて所定の熟成反応時間を確保することができ、設備のコンパクト化、設計自由度の増加などメリットが大きい。
【0021】
熟成反応を行うための第二の反応装置の反応器は、第二の反応装置の反応器に流入した第一の反応液を均一状態で反応させ、かつ、反応器内壁への付着を防止する観点から、撹拌機構の付いた密閉槽型反応器が好ましい。また、第二の反応装置内の反応器へ反応液を流入または第二の反応装置内の反応器から反応液を流出させる方法としては、▲1▼第二の反応装置内の反応器上部から反応液を導入し、反応器下部から反応液を連続的にに排出する方法、▲2▼第二の反応装置内の反応器上部から挿入管を用いて反応器内下層部に反応液を導入し、反応器上部から反応液を連続的にに排出する方法、▲3▼第二の反応装置内の反応器下部から反応液を導入し、反応器上部から反応液を連続的に排出する方法などが好ましい。
【0022】
第二の反応装置の反応器を経て流出した反応液(以下、しばしばスラリーと言い換える)は、酸触媒により酸性を示している。この反応液を中和するために、水酸化ナトリウムや重炭酸ナトリウムなどのアルカリ中和剤を添加する。通常、pHが7〜11となるように調整する。
【0023】
スラリーを中和する方法としては、第二の反応装置から排出したスラリーに適量のアルカリを連続的に添加し混合する連続中和方法や、排出したスラリーを一旦タンクに貯蔵し、次に、撹拌した状態で適量のアルカリを添加してバッチ的に中和する方法などがある。
【0024】
次に、脱水と水洗を繰り返して、ポリビニルアセタール樹脂の空隙や表面に残留している金属成分を除去する。この他、残留するアルデヒドなどの反応残さも除去する。脱水、水洗は、公知のバッチあるいは連続方法を採用することができる。
【0025】
水洗温度は、一般に室温〜60℃が採用される。本発明によるポリビニルアセタール樹脂の製造方法で得られるポリビニルアセタール樹脂は金属成分の洗浄除去性に優れるため、室温の水洗浄でも十分な洗浄性を有する。
【0026】
乾燥方法は、特に限定されるものではなく、例えば、真空乾燥法、熱風流動乾燥法などの公知の方法を採用できる。
【0027】
本発明によれば、ポリビニルアセタール樹脂を連続的に製造することができ、また、金属含有量が少なく、耐湿性、透明性、電気絶縁性などに優れたポリビニルアセタール樹脂を得ることができる。
【0028】
本発明で得られるポリビニルアセタール樹脂は樹脂中の金属含有量が非常に少なく、塗料、接着剤、バインダー、成形体などの原料樹脂として好適に用いることができる。
【0029】
本発明で得られるポリビニルアセタール樹脂には、可塑剤、滑剤、充填剤、安定剤などを適宜選定、添加することができる。配合剤を配合する方法は、通常、樹脂加工分野で用いる任意の方法が採用できる。例えば、ミキシングロール、ニーダーなどの密閉混合機、混練機能を有する押出機などが使用できる。
【0030】
【実施例】
以下に実施例により本発明を詳しく説明する。しかしながら、本発明は下記の実施例により限定されるものではない。以下の説明において特に断りのない限り部および%は質量基準で示す。
【0031】
(実施例1)
ポリビニルアルコール水溶液は以下の手順で調整した。500LのSUS製溶解槽に、純水400000部、及び、平均重合度1700、ケン化度98.5モル%のポリビニルアルコール40000部を投入し、加温してポリビニルアルコールを完溶させた。
【0032】
第一の反応装置の反応器として、反応器下部に三つの供給口を有し、反応器上部に一つの排出口を有する容積500mLの槽型ガラス製密閉反応器を使用した。この第一の反応装置の反応器内に純水を満たし、撹拌しながら(アンカー翼、400rpm)内温を30℃に保持した。
【0033】
次に、前記したポリビニルアルコール水溶液と、酸触媒として35%塩酸、アルデヒドとしてブチルアルデヒド(純度99.5%)を使用し、各々の供給速度が15kg/hr、0.5kg/hr、1.1kg/hrとなるように反応器下部からフィードし、アセタール化反応を進行させるとともに、連続的に第一の反応装置の反応器上部から第一の反応液を排出させた(第一の反応装置の反応器内の第一の反応液の平均滞留時間約1.8分)。
【0034】
次いで、第一の反応装置の反応器と直列に配置した内容積15Lガラス製密閉反応器(第二の反応装置の反応器)三基の初めの一基(外温40℃、アンカー翼400rpm撹拌)の反応器下部に第一の反応液を導入し、並行して反応器上部から排出させ、引き続き、同様にして二基目の反応器、三基目の反応器へ導入/排出を行い(第二の反応装置の反応器三基の平均滞留時間の合計2.7時間)、連続的に第二の反応装置の反応器で熟成反応させながら、最終的に第二の反応装置の三基目の反応器上部から第二の反応液を流出させた。
【0035】
第二の反応装置の反応器から流出した第二の反応液(スラリー)を500Lのタンクに貯蔵し、次に、スラリーに水酸化ナトリウム水溶液を添加し、pH8に調整した。
【0036】
常温まで冷却した後、このスラリーを遠心分離器により含水率48重量%となるまで脱水し、樹脂分に対して15倍量の水を添加し、30分間撹拌して水洗した。
【0037】
この脱水、水洗操作を二回繰り返し、得られたスラリーを再度脱水した後、乾燥して白色粉粒状のポリビニルブチラール樹脂を得た。なお、水洗に用いた水の温度はいずれも25℃であった。
【0038】
ICP発光元素分析で測定した樹脂中のナトリウム元素含有量は13ppmであった。なお、ICP分析の具体的な手順は次の通りである。ポリビニルブチラール樹脂0.5gと硝酸5mlをマイクロウェーブ分解容器
(内筒)に入れ、マイクロウェーブ分解装置(マイルストーン製MLS−1200MEGA)で分解した。冷却後、分解容器ごと水浴でドライアップし、3.5%塩酸20mlを加えて加温溶解した。この溶解液中のナトリウムをICP発光分光分析装置(セイコーインスツルメント製SPS−1200A、測定条件:プラズマパワー0.9kW、波長589nm)で定量した。
【0039】
得られたポリビニルブチラール樹脂のブチラール化度、ICP分析で測定した樹脂中のナトリウム量の結果をまとめて表1に示した。
【0040】
(実施例2)
実施例1において、ポリビニルアルコール水溶液と、35%塩酸、ブチルアルデヒドの供給速度を10kg/hr、0.33kg/hr、0.73kg/hr(第二の反応装置の反応器の各平均滞留時間の合計約4.1時間)とした場合である。
【0041】
(実施例3)
実施例1において、ポリビニルアルコール水溶液と、35%塩酸、ブチルアルデヒドの供給速度を20kg/hr、0.67kg/hr、1.8kg/hr(第二の反応装置の反応器の各平均滞留時間の合計約2.0時間)とした場合である。
【0042】
(実施例4)
実施例1において、ポリビニルアルコール水溶液と、35%塩酸、ブチルアルデヒドの供給速度を10kg/hr、0.33kg/hr、0.73kg/hrとし、かつ、内容積15Lの第二の反応装置の反応器を直列に二基使用(第二の反応装置の反応器内の合計平均滞留時間約2.7時間)し、連続的に流出させた場合である。
【0043】
(実施例5)
実施例1において、第二の反応装置の内容積50Lの反応器を一基使用し、この反応器下部から反応液をフィードし、反応器上部からスラリーを連続的に排出させた場合である(第二の反応装置の反応器内の平均滞留時間約3.0時間)。
【0044】
(実施例6)
ポリビニルアルコール水溶液は以下の手順で調整した。2000LのSUS製溶解槽に、純水1656000部、及び、平均重合度1700、ケン化度98.8モル%のポリビニルアルコール144000部を投入し、加温してポリビニルアルコールを完溶させた。
【0045】
第一の反応装置の反応器として、反応器下部に三つの供給口を有し、反応器上部に一つの排出口を有する容積2Lの槽型ガラス製密閉反応器(第一の反応装置の反応器)を準備した。この第一の反応装置の反応器内に純水を満たし、撹拌しながら(アンカー翼、400rpm)内温を30℃に保持した。
【0046】
次に、前記したポリビニルアルコール水溶液と、酸触媒として35%塩酸、アルデヒドとしてブチルアルデヒド(純度99.5%)を準備し、各々の供給速度が30kg/hr、1.0kg/hr、2.1kg/hrとなるように反応器下部からフィードし、アセタール化反応を進行させるとともに、連続的に反応器上部から第一の反応液を排出させた(第一の反応装置の反応器内の平均滞留時間約3.6分)。
【0047】
次いで、第二の反応装置の反応器として、直列に配置した八基の内容積10Lガラス製密閉反応器(外温35℃、アンカー翼300rpm撹拌)に、実施例1同様の手順で第一の反応液を導入し、並行して反応器上部から排出させる方法で連続的に第二の反応装置で熟成反応させながら、最終的に第二の反応装置の八基目の反応器上部から第二の反応液を流出させた(第二の反応装置の反応器内の各平均滞留時間の合計約2.4時間)。
【0048】
第二の反応装置から流出した第二の反応液(スラリー)を2000Lのタンクに貯蔵し、次に、スラリーに水酸化ナトリウム水溶液を添加し、pH8に調整した。以下、実施例1と同様の手順でポリビニルブチラール樹脂を得た。
【0049】
(比較例1)
実施例1と類似ではあるが、反応器下部に供給口が無い内容積15Lのガラス製反応器を準備した。9重量%ポリビニルアルコール水溶液と、35%塩酸、ブチルアルデヒドを、単位時間当たりの反応器仕込量が実施例1と同じ比率となる条件、すなわち、各々6000g、200g、440g準備した。反応器の撹拌翼を回転させた状態で、上記の三種原料を反応器上部の別々の供給口からバッチ的に同時に添加した。1.8分間経過後、すばやく、別に用意した内容積15Lのガラス製熟成槽にバッチ的に移し替えた。撹拌した状態で(アンカー翼、400rpm)、40℃で2.7時間維持し、熟成反応を行った。以下、実施例1の手順に準拠し、ポリビニルブチラール樹脂を得た。
【0050】
【表1】
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、樹脂中の金属成分が少ない高品質のポリビニルブチラール樹脂を従来より小型の製造設備で連続的に製造することができる。また、ポリビニルブチラール樹脂の製造設備の設置場所や設計の自由度を増加させることができる。本発明の製造方法により連続的に製造されるポリビニルブチラール樹脂は金属成分の洗浄除去性が改善されているため、樹脂中の金属成分の含有量が極めて少ないポリビニルブチラール樹脂を得ることができる。本発明の製造方法により得られるポリビニルブチラール樹脂は、金属成分の含有量が極めて少ないため、透明性、耐湿性及び電気絶縁性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における第一の反応装置と第二の反応装置の関係を概念的に示した図である。なお、図中、第一の反応装置の反応器への原料のフィード方法、並びに、第二の反応装置の反応器への反応液のフィード方法は、反応器下部から供給して反応器上部から排出する方式で描いてある。
【符号の説明】
10 第一の反応装置
11 第一の反応装置の反応器
12 ポリビニルアルコール水溶液
13 ブチルアルデヒド
14 塩酸
15 第一の反応液
16 第二の反応液
20 第二の反応装置
21 第二の反応装置の第一の反応器
22 第二の反応装置の第二の反応器
23 第二の反応装置の第N番目の反応器
Claims (5)
- ポリビニルアルコールとアルデヒドを酸触媒の存在下で反応させてポリビニルアセタール樹脂を製造する方法において、第一の反応装置の反応器に、ポリビニルアルコールとアルデヒドと酸触媒を供給して30℃の反応温度でアセタール化反応させ、アセタール化度が10モル%以上の第一の反応液とした後、第一の反応装置の反応器からこの第一の反応液を連続的に排出させ、次に、この第一の反応液を、一基あるいは、二基以上の反応器を直列に連結してなる第二の反応装置に供給し、熟成反応させてアセタール化度を60モル%以上にすることを特徴とするポリビニルアセタール樹脂の製造方法。
- 35〜55℃で熟成反応させることを特徴とする請求項1に記載のポリビニルアセタール樹脂の製造方法。
- 第一の反応装置及び第二の反応装置の反応器の少なくとも一つの反応器が撹拌機構の付いた密閉反応器からなることを特徴とする請求項1または2に記載のポリビニルアセタール樹脂の製造方法。
- 第一の反応装置の反応器内の反応液の平均滞留時間が1分以上であることを特徴とする請求項1〜3いずれか一項に記載のポリビニルアセタール樹脂の製造方法。
- 第二の反応装置の反応器内の反応液の各平均滞留時間の合計が下記の(a式)の関係を満たすことを特徴とする請求項1〜4いずれか一項に記載のポリビニルアセタール樹脂の製造方法。
ΣVi/Q ≧ 1 (a式)
ここで、第二の反応装置の反応器の全個数をN[個]、第二の反応装置のi番目の反応器の容積をVi[L]、iは1からNの整数であり、ΣViは第二の反応装置の反応器の各容積の総和で、第二の反応装置に流入する、単位時間当たりの第一の反応液量をQ[L/hr]とする。
Priority Applications (10)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002147345A JP4049617B2 (ja) | 2002-05-22 | 2002-05-22 | ポリビニルアセタール樹脂の製造方法 |
AU2003207182A AU2003207182B2 (en) | 2002-02-07 | 2003-02-07 | Polyvinylacetal resin and process for producing the same |
CA2475255A CA2475255C (en) | 2002-02-07 | 2003-02-07 | Polyvinylacetal resin and process for its production |
DE60334523T DE60334523D1 (de) | 2002-02-07 | 2003-02-07 | Polyvinylacetalharz und herstellungsverfahren dafür |
PCT/JP2003/001327 WO2003066690A1 (fr) | 2002-02-07 | 2003-02-07 | Resine d'acetal de polyvinyle et procede de production de cette resine |
KR1020047011620A KR100993160B1 (ko) | 2002-02-07 | 2003-02-07 | 폴리비닐아세탈 수지 및 그 제조방법 |
EP03703265A EP1473309B1 (en) | 2002-02-07 | 2003-02-07 | Polyvinylacetal resin and process for producing the same |
CNB038035634A CN1282666C (zh) | 2002-02-07 | 2003-02-07 | 聚乙烯醇缩醛树脂及其制造方法 |
NZ534383A NZ534383A (en) | 2002-02-07 | 2003-02-07 | Polyvinylacetal resin and process for its production |
US10/503,123 US7385005B2 (en) | 2002-02-07 | 2003-02-07 | Polyvinylacetal resin and process for producing the same |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002147345A JP4049617B2 (ja) | 2002-05-22 | 2002-05-22 | ポリビニルアセタール樹脂の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003335817A JP2003335817A (ja) | 2003-11-28 |
JP4049617B2 true JP4049617B2 (ja) | 2008-02-20 |
Family
ID=29705944
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002147345A Expired - Lifetime JP4049617B2 (ja) | 2002-02-07 | 2002-05-22 | ポリビニルアセタール樹脂の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4049617B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3933584B2 (ja) * | 2003-01-14 | 2007-06-20 | 電気化学工業株式会社 | ポリビニルアセタール樹脂の製造法 |
JP3933585B2 (ja) * | 2003-01-14 | 2007-06-20 | 電気化学工業株式会社 | ポリビニルアセタール樹脂の製造方法 |
JP2004256764A (ja) * | 2003-02-27 | 2004-09-16 | Denki Kagaku Kogyo Kk | ポリビニルアセタール樹脂と製造方法 |
JP5001687B2 (ja) * | 2007-03-15 | 2012-08-15 | 積水化学工業株式会社 | ポリビニルアセタール樹脂の製造方法及び製造装置 |
JP7240119B2 (ja) * | 2018-09-25 | 2023-03-15 | クラレ・ヨーロップ・ゲーエムベーハー | ポリビニルアセタール樹脂の製造方法 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3112719B2 (ja) * | 1991-09-03 | 2000-11-27 | 積水化学工業株式会社 | ポリビニルアセタール樹脂の製造方法 |
JP3043132B2 (ja) * | 1991-10-04 | 2000-05-22 | 積水化学工業株式会社 | ポリビニルアセタール樹脂の製造方法 |
JP2000038456A (ja) * | 1997-10-29 | 2000-02-08 | Sekisui Chem Co Ltd | ポリビニルアセタール樹脂及びその製造方法、合わせガラス用中間膜、並びに、合わせガラス |
JP3933305B2 (ja) * | 1998-06-05 | 2007-06-20 | 電気化学工業株式会社 | ポリビニルブチラール樹脂の製造方法 |
JP4049595B2 (ja) * | 2002-02-07 | 2008-02-20 | 電気化学工業株式会社 | ポリビニルアセタール樹脂の製法 |
-
2002
- 2002-05-22 JP JP2002147345A patent/JP4049617B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2003335817A (ja) | 2003-11-28 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN104098723B (zh) | 聚乙烯醇缩丁醛树脂的连续制备方法 | |
JP4049617B2 (ja) | ポリビニルアセタール樹脂の製造方法 | |
JP3933305B2 (ja) | ポリビニルブチラール樹脂の製造方法 | |
US7385005B2 (en) | Polyvinylacetal resin and process for producing the same | |
JP4049595B2 (ja) | ポリビニルアセタール樹脂の製法 | |
JP5926609B2 (ja) | 水溶性ポリビニルアセタールの製造方法及び水溶性ポリビニルアセタール | |
TW201100451A (en) | Continuous washing of poly (vinyl butyral) | |
EP3307792B1 (de) | Verfahren zur herstellung von vinylacetat-ethylen-copolymerisaten mittels emulsionspolymerisation | |
JP3933584B2 (ja) | ポリビニルアセタール樹脂の製造法 | |
JP3933585B2 (ja) | ポリビニルアセタール樹脂の製造方法 | |
JP2004256764A (ja) | ポリビニルアセタール樹脂と製造方法 | |
JP2008050412A (ja) | ポリビニルアセタールの製造方法 | |
JPH0597918A (ja) | ポリビニルアセタール樹脂の製造方法 | |
JP5001687B2 (ja) | ポリビニルアセタール樹脂の製造方法及び製造装置 | |
JPH051108A (ja) | ポリビニルアセタール樹脂の製造方法 | |
JP4231155B2 (ja) | ポリビニルアセタール樹脂の製造方法 | |
CN212701895U (zh) | 一种生产木质板材粘合剂的制备装置 | |
JP7240119B2 (ja) | ポリビニルアセタール樹脂の製造方法 | |
CN107344990A (zh) | 一种用于增强增韧塑料的改性石膏基晶须及其基于乳液聚合的制备方法 | |
JPH061853A (ja) | ポリビニルアルコール水溶液を得る方法及びポリビニルアセタール樹脂の製造方法 | |
AU2008200310B2 (en) | Polyvinylacetal resin and process for producing the same | |
JP2012077183A (ja) | ビニルアセタール樹脂の製造方法 | |
JP5926602B2 (ja) | ポリビニルアセタール樹脂の製造方法及びポリビニルアセタール樹脂 | |
JP4509095B2 (ja) | ポリビニルアセタール粒子及びその製造方法 | |
JPH11349630A (ja) | ポリビニルブチラール樹脂およびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040604 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060530 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060725 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20070313 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070404 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070525 |
|
A911 | Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20070604 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20071127 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20071127 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Ref document number: 4049617 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101207 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101207 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111207 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111207 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121207 Year of fee payment: 5 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121207 Year of fee payment: 5 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121207 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131207 Year of fee payment: 6 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |