JP2916856B2 - 車両用油圧作動式変速機の潤滑油供給装置 - Google Patents

車両用油圧作動式変速機の潤滑油供給装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、車両用油圧作動式変速
機のギア噛合い部、軸受部、摺動部、油圧係合要素の摩
擦面等の潤滑部に対する潤滑油供給装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】従来、この種の装置として、特開昭６０
−６９３６２号公報に見られるように、変速機の油圧制
御回路に設けられるレギュレータ弁等の調圧弁の排油ポ
ートから排出される油を該排油ポートに連なる潤滑油路
を介して変速機の潤滑部に供給するものは知られてい
る。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】上記従来装置では、変
速機温度に係わらず、潤滑部に定量の潤滑油を供給する
ようにしており、そのため低温で油の粘度が高いときに
必要以上に潤滑油が供給されてフリクションが増大し、
走行性能が低下したり燃費が低下したりすることがあ
り、更に、油圧係合要素の摩擦面に粘度の高い油が供給
されると摩擦面間での引摺りを生じて、油圧係合要素の
耐久性が低下する虞れもある。ところで、変速機温度に
よる必要潤滑油量の変化は潤滑部毎に異なり、例えば高
速段側の潤滑部は低温時にも比較的多量の潤滑油を供給
する必要があるが、低速段側の潤滑部に供給すべき低温
時の潤滑油量は小量で足りる。本発明は、この点に着目
し、個々の潤滑部に変速機温度に応じた適量の潤滑油を
供給し得るようにして、上記の不具合を解消した装置を
提供することをその目的としている。
【０００４】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく、
本発明は、車両用油圧作動式変速機の油圧制御回路に設
けられる調圧弁の排油ポートから排出される油を変速機
の潤滑部に潤滑油として供給する潤滑油路を備えるもの
において、前記潤滑部を低速段側の潤滑部と高速段側の
潤滑部とに分けると共に、前記潤滑油路を低速段側の潤
滑部と高速段側の潤滑部との夫々に向けて分岐し、低速
段側の潤滑部に向けて分岐した潤滑油路に低温時潤滑油
量を減少する温度感応型の流量制御手段を配設したこと
を特徴とする。
【０００５】
【作用】本発明によれば、低速段側の潤滑部に供給され
る潤滑油量が低温時に減少され、粘度の高い油が低速段
側の潤滑部に必要以上に供給されることによって生ずる
フリクションの増加や低速段用油圧係合要素の引摺りと
いった不具合が防止される。
【０００６】
【実施例】図１を参照して、１は前進５段後進１段の変
速を行う変速機を示し、該変速機１は、エンジンにクラ
ッチ２ａ付きの流体トルクコンバータ２を介して連結さ
れる第１入力軸１ａと、第１入力軸１ａと同期回転する
第２入力軸１ｂと、差動ギア３の入力ギア３ａに噛合す
る出力ギア４を有する出力軸１ｃとを備え、第２入力軸
１ｂと出力軸１ｃとの間に前進用の１速及び２速の変速
段Ｇ１、Ｇ２を並設すると共に、第１入力軸１ａと出力
軸１ｃとの間に前進用の３速乃至５速の変速段Ｇ３、Ｇ
４、Ｇ５と後進段ＧＲとを並設し、これら前進用の変速
段に夫々油圧係合要素たる１速乃至５速の各油圧クラッ
チＣ１、Ｃ２、Ｃ３、Ｃ４、Ｃ５を介設して、該各油圧
クラッチの係合により前進用の各変速段を選択的に確立
させるようにし、また、後進段ＧＲは５速段Ｇ５と５速
油圧クラッチＣ５を共用するものとし、５速段Ｇ５と後
進段ＧＲとが出力軸１ｃ上のセレクタギア５の図面で左
方の前進位置と右方の後進位置とへの切換動作で選択的
に確立されるようにした。尚、後進段ＧＲには図示しな
いアイドルギアが介設されており、また、３速油圧クラ
ッチＣ３を出力軸１ｃの端部に取付け、該油圧クラッチ
Ｃ３の入力側の３速段Ｇ３用のギア列とこれに噛合する
第２入力軸１ｂに固定のギアとを介して第２入力軸１ｂ
を第１入力軸１ａと同期回転させるようにした。１速段
Ｇ１には、１速油圧クラッチＣ１とその出力側の１速段
Ｇ１用のギア列との間に介在させて出力側のオーバー回
転を許容する一方向伝達機構たるワンウェイクラッチ６
が設けられており、更に、１速油圧クラッチＣ１内に１
速段Ｇ１用のギア列に出力側を直結した１速ホールド油
圧クラッチＣＨを組込み、該油圧クラッチＣＨの係合に
より出力側のオーバー回転を許容しない状態、即ちエン
ジンブレーキを効かせられる状態で１速段Ｇ１を確立し
得るようにした。
【０００７】変速機１のケース内には、油圧源たるポン
プ７や各種バルブを組付けたバルブブロック８が設けら
れており、該ブロック８に組付けた各種バルブによって
構成される油圧制御回路により前記各油圧クラッチへの
給排油を制御するようにした。
【０００８】油圧制御回路は、図２に示す如く、ポンプ
７からの圧油を供給するマニアル弁９とその下流のシフ
ト弁ユニット１０とを備えており、マニアル弁９の自動
変速位置において１速油圧クラッチＣ１に常時給油する
と共に、シフト弁ユニット１０により２速乃至５速油圧
クラッチＣ２…Ｃ５への給排油を制御して、１速段乃至
５速段の自動変速を行うように構成されている。尚、図
示しないがマニアル弁９の後進位置ではセレクタギア５
を切換えるサーボ弁を介して５速油圧クラッチＣ５に給
油して後進段を確立し、更にマニアル弁９の１速保持位
置では１速ホールド油圧クラッチＣＨに給油し、エンジ
ンブレーキを効かせられる状態で１速段を確立する。
【０００９】また、油圧制御回路には、ポンプ７からマ
ニアル弁９に供給される油圧を一定のライン圧に調圧す
るレギュレータ弁１１が設けられており、該レギュレー
タ弁１１から油路１２ａを介して流体トルクコンバータ
用のクラッチの油圧制御回路１２に作動油を供給すると
共に、レギュレータ弁１１の排油ポート１１ａから排出
される油を潤滑油路１３を介して変速機の潤滑部に供給
するようにした。
【００１０】潤滑油路１３は第１と第２の２つの分岐路
１３1、１３2に分岐されており、第１分岐路１３1を第
１入力軸１ａに形成した油孔１３ａに連通させて、高速
段たる４速段及び５速段の構成部材の潤滑を行い、ま
た、第２分岐路１３2を第２入力軸１ｂに形成した油孔
１３ｃや出力軸１ｃに形成した油孔１３ｂに連通させ
て、低速段たる１速段乃至３速段の構成部材の潤滑を行
うようにした。
【００１１】そして、潤滑油路１３の分岐部上流側にリ
リーフ弁１４を配設すると共に、第２分岐路１３2に温
度感応型の流量制御手段たるチョーク型絞り１５を配設
した。この構成によれば、変速機温度が低温になって油
の粘度が高くなるとチョーク型絞り１５により第２分岐
路１３2への給油量が減少され、かくて第２分岐路１３2
が分担する低速段側の潤滑部に粘度の高い油が必要以上
に供給されることが阻止される。そのため、低温時に低
速段側の潤滑部のフリクションが増加したり、１速油圧
クラッチＣ１や２速油圧クラッチＣ２の摩擦板間の引摺
りといった不具合は生じない。
【００１２】尚、高速段用の潤滑部には低温時であって
も或る程度の潤滑油を供給する必要があるが、低温時に
チョーク型絞り１５による第２分岐路１３2の流量規制
で第１分岐路１３1への流量が増加して、高速段用の潤
滑部への潤滑油量が過多になる恐れがある。然し、本実
施例の如くリリーフ弁１４を設けておけば、レギュレー
タ弁１１からの排出油のうち潤滑油として用いられるト
ータル油量がリリーフ弁１４によって制限されるため、
上記の如き不具合は生じない。また、低温時でも潤滑油
路１３の内圧はリリーフ弁１４の設定圧以下に抑えられ
るため、レギュレータ弁１１からの排油が規制されてラ
イン圧が上昇するといった不具合も生じない。
【００１３】尚、第２分岐路１３2に上記したチョーク
型絞り１５に代えて形状記憶合金やバイメタル等の感温
部材を用いた絞り弁や、温度センサーに応動する電磁弁
等の他の温度感応型流量制御手段を配設することも可能
であるが、構造の簡素化を図るにはチョーク型絞り１５
を用いる方が有利である。
【００１４】また、上記実施例では潤滑部を低温時の必
要潤滑油量の大小に応じて高速段側と低速段側の２つの
潤滑部にグループ分けしたが、３つ以上にグループ分け
することも勿論可能である。
【００１５】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明に
よれば、低速段側潤滑部に供給される潤滑油量が低温時
に減少され、低温時に粘度の高い油を低速段側潤滑部に
必要以上に供給することによって生ずるフリクションの
増加や低速段用油圧係合要素の引摺りを抑制して、走行
性能や燃費の悪化更には低速段用油圧係合要素の耐久性
の低下を高速段側潤滑部の潤滑性に悪影響を及ぼすこと
なく防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明装置を適用する変速機の展開断面図
【図２】 その油圧制御回路を示す回路図
【符号の説明】
１１ レギュレータ弁 １１ａ 排油ポ
ート １３ 潤滑油路 １３1、１３2 分岐路 １４ リリーフ弁 １５ チョー
ク型絞り
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平２−176249（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−33852（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−105354（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−203061（ＪＰ，Ａ) 特開 平６−94106（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−69362（ＪＰ，Ａ) 特開 昭53−35855（ＪＰ，Ａ) 実開 平１−96570（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.6，ＤＢ名) F16H 57/00 - 57/12 F16H 61/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 車両用油圧作動式変速機の油圧制御回路
    に設けられる調圧弁の排油ポートから排出される油を変
    速機の潤滑部に潤滑油として供給する潤滑油路を備える
    ものにおいて、前記潤滑部を低速段側の潤滑部と高速段
    側の潤滑部とに分けると共に、前記潤滑油路を低速段側
    の潤滑部と高速段側の潤滑部との夫々に向けて分岐し、
    低速段側の潤滑部に向けて分岐した潤滑油路に低温時潤
    滑油量を減少する温度感応型の流量制御手段を配設した
    ことを特徴とする車両用油圧作動式変速機の潤滑油供給
    装置。
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