JP2018174887A - 凍結食肉用品質改良剤、凍結食肉および凍結食肉の製造方法 - Google Patents

凍結食肉用品質改良剤、凍結食肉および凍結食肉の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2018174887A
JP2018174887A JP2017084214A JP2017084214A JP2018174887A JP 2018174887 A JP2018174887 A JP 2018174887A JP 2017084214 A JP2017084214 A JP 2017084214A JP 2017084214 A JP2017084214 A JP 2017084214A JP 2018174887 A JP2018174887 A JP 2018174887A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
meat
frozen meat
frozen
minutes
quality improver
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017084214A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7012332B2 (ja
Inventor
禎将 石川
Sadamasa Ishikawa
禎将 石川
光紹 阿久津
Kosho Akutsu
光紹 阿久津
俊介 松本
Shunsuke Matsumoto
俊介 松本
克則 千葉
Katsunori Chiba
克則 千葉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Aoba Kasei Co Ltd
Original Assignee
Aoba Kasei Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Aoba Kasei Co Ltd filed Critical Aoba Kasei Co Ltd
Priority to JP2017084214A priority Critical patent/JP7012332B2/ja
Publication of JP2018174887A publication Critical patent/JP2018174887A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7012332B2 publication Critical patent/JP7012332B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Freezing, Cooling And Drying Of Foods (AREA)
  • Meat, Egg Or Seafood Products (AREA)

Abstract

【課題】凍結させた後にも改良された品質を維持することができる凍結食肉用品質改良剤、凍結食肉および凍結食肉の製造方法を提供する。【解決手段】凍結食肉用品質改良剤は、担子菌由来のキシロマンナンから成る氷結晶化阻害剤と、アルカリ剤と、高度分岐環状デキストリンとを含む。担子菌はエノキタケ(Flammulina velutipes種)またはその類縁品種もしくは改良品種である。この凍結食肉用品質改良剤を浸漬、タンブリング処理などにより食肉に添加する。【選択図】なし

Description

本発明は、凍結食肉用品質改良剤、凍結食肉および凍結食肉の製造方法に関する。
従来、担子菌由来のキシロマンナンから成る氷結晶化阻害剤(以下、「不凍多糖」という)が知られている(特許文献1参照)。不凍多糖は、氷結晶の成長抑制機能を有する天然の多糖類であり、エノキタケ細胞壁を構成する多糖類の中から発見された。氷結晶の成長や再結晶化を抑制する機能があることから、水を含む種々の加工食品の凍結保存において、品質維持に効果を発揮する。
また、アルカリ剤と高度分岐環状デキストリンを含む肉用食感改良剤が知られている(特許文献2参照)。この肉用食感改良剤は、アルカリ剤により高度分岐環状デキストリンを食肉に浸透しやすくして、食肉にやわらかさやしっとり感、旨みを付与するとともに、食肉の臭みを低減し、畜肉や魚肉などの食肉の食感を改良、向上させることができる。
特許第5881118号公報 特許第5552220号公報
しかしながら、特許文献1に記載の不凍多糖は食肉原料に浸透しづらいため、氷結晶化の阻害効果を十分に発揮させることが難しいという課題があった。
また、特許文献2に記載の肉用食感改良剤は、食肉に浸透させて食感を改良した後に凍結させると、改良された食感を維持することが難しいという課題があった。
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、凍結させた後にも改良された品質を維持することができる凍結食肉用品質改良剤、凍結食肉および凍結食肉の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る凍結食肉用品質改良剤は、担子菌由来のキシロマンナンから成る氷結晶化阻害剤(不凍多糖)と、アルカリ剤と、デキストリンとを含むことを特徴とする。
担子菌由来のキシロマンナンとしては、分子量が280,000以上、340,000以下であり、マンノースとキシロースの構成比がキシロース1モルに対してマンノース1.5モル以上、2.5モル以下であるものが好ましい。
本発明に係る凍結食肉用品質改良剤において、前記担子菌はエノキタケ(Flammulina velutipes種)またはその類縁品種もしくは改良品種であることが好ましい。
アルカリ剤としては、特に制限されないが、例えば、炭酸水素ナトリウム(重曹)、炭酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、リン酸三カリウム、水酸化ナトリウム、貝殻焼成カルシウム、炭酸カリウムが挙げられる。これらのアルカリ剤は、1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
デキストリンとしては、高度分岐環状デキストリン、α−シクロデキストリン、低分解デキストリン、デキストリン(DE=4〜30)などが挙げられるが、前記デキストリンは高度分岐環状デキストリンから成ることが好ましい。
本発明に係る凍結食肉用品質改良剤は、pH9.2以上の水溶液から成ることが好ましく、pH10.3以上12.2以下の水溶液から成ることが特に好ましい。
本発明に係る凍結食肉用品質改良剤は、水溶液から成るとき、不凍活性として、RI値0.6〜0.8に規格化されたキシロマンナン含有エノキタケエキスを0.00005〜0.0002質量%程度、デキストリンを0.1〜1.5質量%含むことが好ましい。
なお、不凍活性は、式1:氷再結晶化阻害活性(RI値)=(不凍タンパク質又は不凍多糖類を含む30%ショ糖溶液を−40℃に冷却後、−6℃まで100℃/分で昇温して30分保存した際に形成される氷結晶の平均面積)/(30w/v%ショ糖溶液のみを−40℃に冷却後、−6℃まで100℃/分で昇温して30分保存した際に形成される氷結晶の平均面積)により求められる。
本発明に係る凍結食肉用品質改良剤は、調味料、保存料、着色料、増量剤その他の添加剤を含んでいてもよい。
本発明において、「食肉」の範疇には、畜肉、魚肉、鳥肉、エビ肉、その他の食肉が含まれ、また、生肉のほか、焙焼肉、湯煮肉、蒸煮肉、油ちょう肉などの加工肉も含まれる。
本発明に係る凍結食肉は、本発明に係る凍結食肉用品質改良剤を含むことを特徴とする。
本発明に係る凍結食肉の製造方法は、本発明に係る凍結食肉用品質改良剤を食肉に添加した後、凍結させることを特徴とする。
本発明に係る凍結食肉用品質改良剤は、食肉への練込み、浸漬、タンブリング処理、インジェクション処理などにより食肉に添加して使用することができる。
本発明において、アルカリ剤は食肉の保水性を高めるとともにデキストリンの食肉への浸透性を高める。デキストリンは、肉繊維を膨らませて氷結晶化阻害剤(不凍多糖)の食肉に対する浸透性を高める。不凍多糖は、アルカリ剤による保水後に凍結することで食肉の筋繊維等にダメージを与えるのを抑える。これにより、本発明によれば、凍結後も食肉に高い品質を維持し続けることができ、解凍後の食肉にしっとり感、繊維感および旨みを付与し、食肉の食感、品質を改良、向上させることができる。
本発明によれば、凍結させた後にも改良された品質を維持することができる凍結食肉用品質改良剤、凍結食肉および凍結食肉の製造方法を提供することができる。
以下、各種の試験および実施例に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の実施の形態の凍結食肉用品質改良剤は、担子菌由来のキシロマンナンから成る氷結晶化阻害剤(不凍多糖)と、アルカリ剤と、デキストリンとを含んでいる。本発明の実施の形態の凍結食肉は、本発明の実施の形態の凍結食肉用品質改良剤を含んでいる。
以下に、本発明の実施の形態の凍結食肉用品質改良剤について、効果的な構成を調べるために、各種の試験を行った。以下、「%」は「質量%」を意味する。
各種試験において、以下の食感評価基準により評価を行った。
「しっとり感」:◎とてもしっとりする ○しっとりする △ややぱさつく ×ぱさつく
「繊維感」:◎繊維が太くふっくらとする ○ややふっくらする △あまりふっくらとしない ×全くふっくらしない
「旨味」:◎旨味がとてもある ○旨味がある △やや旨味がある ×旨味が全くない
「アルカリ味」:◎アルカリ味ほとんどなし ○アルカリ味なし △アルカリ味ややあり ×アルカリ味かなりあり
「凍結後焼成の食感」:◎未凍結時と遜色なし ○未凍結時に近い △冷凍ダメージが感じられる ×かなり冷凍ダメージが感じられる
<魚肉試験>
[試験1:不凍多糖のみを添加した際の効果の評価]
魚肉に不凍多糖のみを添加した際の効果を評価した。以下の各種試験において、不凍多糖には、市販のエノキタケ抽出液製剤(株式会社カネカ製、商品名「カネカ不凍多糖 EF1」、不凍活性(RI値):0.6〜0.8、エノキタケエキスの含有量:0.1%)を使用した。
[試験方法]:試験区ごとに表1の配合に従いピックル液を用意し、タラの生の切り身を同質量のピックル液に4℃で2時間浸漬した。タラは、冷凍変性ダメージを受けやすい魚種として選択した。浸漬後、液切りを行い急速凍結した。凍結後、冷凍機(霜取り機能付き、-20℃設定)にて1日、凍結保管した。凍結状態のまま230℃、13分間の焼成を行い、食感を確認した。
Figure 2018174887
Figure 2018174887
その結果を表2に示す。
表2に示す通り、不凍多糖の添加量を増やしていくにつれ、旨味やその他の食感も向上する傾向にあるが、その効果は無添加と比較して差は小さかった。
[試験2:高度分岐環状デキストリンの添加量の検討]
魚肉にアルカリ剤を加えた際の、高度分岐環状デキストリンの適切な添加量について検討を行った。以下の各種試験において、高度分岐環状デキストリンには、市販品(グリコ株式会社製、商品名「クラスターデキストリン」)を使用した。アルカリ剤は、炭酸ナトリウム無水物(ソーダ灰)を使用した。
[試験方法]:試験区ごとに表3の配合に従いピックル液を用意し、タラの生の切り身を同質量のピックル液に4℃で2時間浸漬した。浸漬後、液切りを行い、230℃、13分の焼成を行い、食感を確認した。
Figure 2018174887
Figure 2018174887
その結果を表4に示す。
表4に示す通り、高度分岐環状デキストリンの添加量を増やすことで、しっとり感・繊維感がともに増大し、アルカリ味に関しても低減する傾向にあった。
[試験3:アルカリ剤と高度分岐環状デキストリンの添加量の検討]
溶液の浸透の度合いと、味への影響を評価し、適切なpHの範囲を検討した。また、高度分岐環状デキストリンを添加した際のそれぞれのpHでの浸透度合い・効果を確認する評価を行った。さらに、凍結後の食感の確認も行った。
[試験方法]:試験区ごとに表5の配合に従いピックル液を用意し、タラの生の切り身を同質量のピックル液に4℃で2時間浸漬した。浸漬後、液切りを行い230℃、13分間の焼成を行い、食感を確認した。また、凍結後の食感確認として、上記溶液に浸漬後、液切りを行い急速凍結後、冷凍機(霜取り機能付き、-20℃設定)にて1日、凍結保管した。凍結状態のまま230℃、13分間の焼成を行い、食感を確認した。
Figure 2018174887
Figure 2018174887
その結果を表6に示す。
表6に示す通り、高度分岐環状デキストリンのみでは無添加と比較しても差は見られなかった。一方で、アルカリ剤との併用によりpHを上げることで、高度分岐環状デキストリンの効果は食感として観察され、アルカリ味も改善されていた。しかし、凍結後焼成を行った結果、未凍結時のような食感は全試験区において観察されなかった。
[試験4:アルカリ剤と高度分岐環状デキストリン、不凍多糖の添加による効果の検討]
アルカリ剤と不凍多糖を加えた際に、高度分岐環状デキストリンを添加した際の効果を検討した。
[試験方法]:試験区ごとに表7の配合に従いピックル液を用意し、タラの生の切り身を同質量のピックル液に4℃で2時間浸漬した。浸漬後、液切りを行い急速凍結した。凍結後、冷凍機(霜取り機能付き、-20℃設定)にて1日、凍結保管した。凍結状態のまま230℃、13分間の焼成を行い、食感を確認した。
Figure 2018174887
Figure 2018174887
その結果を表8に示す。
表8に示す通り、不凍多糖の添加量を多くすることによって、アルカリ剤のみを加えた場合でも改善効果は大きくなるが、そこに高度分岐環状デキストリンをさらに加えることで、より大きな改善効果が得られた。
[試験5:アルカリ剤と不凍多糖を加えた際の、高度分岐環状デキストリンを添加した場合と、その他のデキストリンを添加した場合との比較]
アルカリ剤と不凍多糖を加えた際に、高度分岐環状デキストリンと他のデキストリンを添加した際の効果の比較確認を行う。
[試験方法]:試験区ごとに表9の配合に従いピックル液を用意し、タラの生の切り身を同質量のピックル液に4℃で2時間浸漬した。浸漬後、液切りを行い急速凍結した。凍結後、冷凍機(霜取り機能付き、-20℃設定)にて1日、凍結保管した。凍結状態のまま230℃、13分間の焼成を行い、食感を確認した。
Figure 2018174887
Figure 2018174887
その結果を表10に示す。
表10に示す通り、α-シクロデキストリン及びその他デキストリンを添加した場合にもしっとり感や繊維感、旨味に多少の改善はみられたが、高度分岐環状デキストリンを添加した場合の効果が最も大きかった。特に繊維感と旨味の面が際立っていた。
<畜肉試験>
[試験6:不凍多糖のみを添加した際の効果の評価]
不凍多糖のみを添加した際の効果を評価する。
[試験方法]:原料の鶏モモ肉をテンダリングし、カットを行った。カット後、表11の配合で調製した、原料に対し100分の20の質量のピックル液に4℃で2時間浸漬し、正転20分、休止10分、反転20分、休止10分の条件でタンブリングを行った。タンブリング後、220℃で10分間、焼成し、焼成後、放冷し、急速凍結した。凍結後、冷凍機(霜取り機能付き、-20℃設定)にて1ヶ月、凍結保管した。保管後、レンジアップにて解凍し、食感確認を行った。
Figure 2018174887
Figure 2018174887
その結果を表12に示す。
表12に示す通り、不凍多糖の添加量を増やしていくにつれ、旨味や繊維感が向上する傾向にあるが、その効果は無添加と比較して小さく、不凍多糖を、市販のエノキタケ抽出液製剤(株式会社カネカ製、商品名「カネカ不凍多糖 EF1」)で0.15%以上添加しなければ、十分な改善効果は得られなかった。
[試験7:高度分岐環状デキストリンの添加量の検討]
畜肉にアルカリ剤を加えた際の、高度分岐環状デキストリンの適切な添加量について検討を行った。アルカリ剤は、炭酸ナトリウム無水物(ソーダ灰)を使用した。
[試験方法]:原料の鶏モモ肉をテンダリングし、カットを行った。カット後、表13の配合で調製した、原料に対し100分の20の質量のピックル液に4℃で2時間浸漬し、正転20分、休止10分、反転20分、休止10分の条件でタンブリングを行った。タンブリング後、220℃で10分間、焼成し、食感を確認した。
Figure 2018174887
Figure 2018174887
その結果を表14に示す。
表14に示す通り、高度分岐環状デキストリンを0.1%以上添加することで、しっとり感や繊維感は向上する傾向にあった。また、アルカリ味に関しても添加量を増やしていくにつれ低減する傾向にあった。
[試験8:アルカリ剤と高度分岐環状デキストリンの添加量の検討]
溶液の浸透の度合いと、味への影響を評価し、適切なpHの範囲を検討した。また、高度分岐環状デキストリンを添加した際のそれぞれのpHでの浸透度合い・効果を確認する評価を行った。さらに、凍結後の食感の確認も行った。
[試験方法]:原料の鶏モモ肉をテンダリングし、カットを行った。カット後、表15の配合で調製した、原料に対し100分の20の質量のピックル液に4℃で2時間浸漬し、正転20分、休止10分、反転20分、休止10分の条件でタンブリングを行った。タンブリング後、220℃で10分間、焼成し、焼成後、放冷し、急速凍結した。凍結後、冷凍機(霜取り機能付き、-20℃設定)にて1ヶ月、凍結保管した。保管後、レンジアップにて解凍し、食感確認を行った。
Figure 2018174887
Figure 2018174887
その結果を表16に示す。
表16に示す通り、高度分岐環状デキストリンのみの添加では無添加と比較しても差は見られなかった。一方で、アルカリ剤との併用によりpHを上げることで、高度分岐環状デキストリンの効果は食感として観察され、アルカリ味も改善されていた。しかし凍結後焼成を行った結果、アルカリ剤との併用によって、パサツキは多少軽減されてはいるが、旨味や繊維感といった部分は凍結ダメージが大きく感じられた。
[試験9:アルカリ剤と高度分岐環状デキストリン、不凍多糖の添加による効果の検討]
アルカリ剤と不凍多糖を加えた際に、高度分岐環状デキストリンを添加した際の効果を検討した。
[試験方法]:原料の鶏モモ肉をテンダリングし、カットを行った。カット後、表17の配合で調製した、原料に対し100分の20の質量のピックル液に4℃で2時間浸漬し、正転20分、休止10分、反転20分、休止10分の条件でタンブリングを行った。タンブリング後、220℃で10分間、焼成し、焼成後、放冷し、急速凍結した。凍結後、冷凍機(霜取り機能付き、-20℃設定)にて1ヶ月、凍結保管した。保管後、レンジアップにて解凍し、食感確認を行った。
Figure 2018174887
Figure 2018174887
その結果を表18に示す。
表18に示す通り、不凍多糖の添加量を多くすることによって、アルカリ剤のみとの併用でも改善効果は大きくなるが、そこに高度分岐環状デキストリンをさらに加えることで、繊維感や旨味の面でさらに改善がみられ、不凍多糖の添加量が少量であっても不凍多糖の大きな改善効果が観察された。
[試験10:アルカリ剤と不凍多糖を加えた際の、高度分岐環状デキストリンを添加した場合と、その他のデキストリンを添加した場合との比較]
アルカリ剤と不凍多糖を加えた際に、高度分岐環状デキストリンと他のデキストリンを添加した際の効果の比較確認を行った。
[試験方法]:原料の鶏モモ肉をテンダリングし、カットを行った。カット後、表19の配合で調製した、原料に対し100分の20の質量のピックル液に4℃で2時間浸漬し、正転20分、休止10分、反転20分、休止10分の条件でタンブリングを行った。タンブリング後、220℃で10分間、焼成し、焼成後、放冷し、急速凍結した。凍結後、冷凍機(霜取り機能付き、-20℃設定)にて1ヶ月、凍結保管した。保管後、レンジアップにて解凍し、食感確認を行った。
Figure 2018174887
Figure 2018174887
その結果を表20に示す。
表20に示す通り、高度分岐環状デキストリン以外のデキストリンを添加した場合にもしっとり感や繊維感、旨味にやや改善はみられたが、高度分岐環状デキストリンを添加した場合における、不凍多糖の効果が最も大きかった。
以上の試験の結果から、不凍多糖のみの添加では食肉原料中への十分な浸透は困難であり、浸漬処理やタンブリング処理等で不凍多糖の効果を十分に発揮させることは難しいことがわかった。アルカリ剤は溶液のpHを高め、肉組織への溶液の浸透性を向上させる。また、高度分岐環状デキストリンは、肉繊維を膨らませる効果を持つ。今回の試験より、アルカリ剤と高度分岐環状デキストリンを不凍多糖と併用することで、凍結後も高い品質を維持し続けることができることがわかった。これは、アルカリ剤により浸透性を高め、さらに高度分岐環状デキストリンにより繊維を膨らませることで、不凍多糖の浸透性が向上し、その効果を十分に発揮できたためであると考えられる。
以上のとおり、魚肉、畜肉等の食肉において、アルカリ剤と高度分岐環状デキストリンと不凍多糖を併用することで、不凍多糖の肉組織への浸透性を大きく向上させ、その効果を十分に発揮させることが可能となる。
[豚肉]
<とんかつ>
[試験方法]:豚ロースブロックに、表21の配合で調製したピックル液をインジェクションし、正転20分、休止10分、反転20分、休止10分を1回としてタンブリングを3回繰り返して行った。タンブリング後、一晩、冷蔵庫に入れ、4℃にてエージングを行った。エージング後、急速凍結した。凍結後、半解凍の状態で約2cmの厚さにスライスした。スライス肉に打ち粉、バッター、パン粉をつけ、急速凍結した。凍結後、冷凍機(霜取り機能付き、-20℃設定)にて1日、凍結保管した。保管後、凍結状態のまま中心温度80℃以上で油ちょうした。放冷後、食感を確認した。
Figure 2018174887
Figure 2018174887
その結果を表22に示す。
表22に示す通り、試験区(1)では、肉組織が柔らかくなってしまっており、旨味も抜け、水っぽいような食感であった。試験区(2)では、肉繊維がしっかりとしており弾力が感じられた、また、肉本来の旨味も残っていた。
<ベーコン>
[試験方法]:豚バラブロックに、表23の配合で調製したピックル液をインジェクションし、正転20分、休止10分、反転20分、休止10分を1回としてタンブリングを2回繰り返して行った。タンブリング後、一晩、冷蔵庫に入れ、4℃にてエージングを行った。エージング後、乾燥機にて60℃で3時間、乾燥を行った。乾燥後、75℃で90分間、蒸煮を行った。蒸煮後、1時間、燻煙を行った。燻煙後、急速凍結を行い、冷凍機(霜取り機能付き、-20℃設定)にて1日、凍結保管した。保管後、自然解凍にて解凍を行った。解凍後、離水確認と食感確認を行った。
Figure 2018174887
Figure 2018174887
その結果を表24に示す。
表24に示す通り、試験区(1)では離水が多く観察され。また食感としてもパサツキが感じられた。一方で試験区(2)では、離水も少なく、食感もとてもしっとりとしており、旨味も強く感じられた。
<エビ>
[試験方法]:原料のバナメイエビを解凍し、背ワタ・殻を除去後、表25の配合で調製した、原料に対し100分の30の質量のピックル液に4℃で2時間浸漬した。浸漬後、液切りを行い、90℃で3分間、ブランチングを行った。ブランチング後、放冷し急速凍結を行い、冷凍機(霜取り機能付き、-20℃設定)にて1ヶ月、凍結保管した。保管後、恒温槽にて85℃でボイル解凍を行い、食感確認を行った。
Figure 2018174887
Figure 2018174887
その結果を表26に示す。
表26に示す通り、試験区(1)ではしっとり感はあるものの繊維感が無く、弾力も失われていた。一方で試験区(2)では繊維がしっかりとしており弾力も感じられた。また、旨味も残っていた。

Claims (6)

  1. 担子菌由来のキシロマンナンから成る氷結晶化阻害剤と、アルカリ剤と、デキストリンとを含むことを特徴とする凍結食肉用品質改良剤。
  2. 前記デキストリンは高度分岐環状デキストリンから成ることを特徴とする請求項1記載の凍結食肉用品質改良剤。
  3. 前記担子菌はエノキタケ(Flammulina velutipes種)またはその類縁品種もしくは改良品種であることを特徴とする請求項1または2記載の凍結食肉用品質改良剤。
  4. pH9.2以上の水溶液から成ることを特徴とする請求項1、2または3記載の凍結食肉用品質改良剤。
  5. 請求項1、2、3または4記載の凍結食肉用品質改良剤を含むことを特徴とする凍結食肉。
  6. 請求項1、2、3または4記載の凍結食肉用品質改良剤を食肉に添加した後、凍結させることを特徴とする凍結食肉の製造方法。
JP2017084214A 2017-04-21 2017-04-21 凍結食肉用品質改良剤、凍結食肉および凍結食肉の製造方法 Active JP7012332B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017084214A JP7012332B2 (ja) 2017-04-21 2017-04-21 凍結食肉用品質改良剤、凍結食肉および凍結食肉の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017084214A JP7012332B2 (ja) 2017-04-21 2017-04-21 凍結食肉用品質改良剤、凍結食肉および凍結食肉の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018174887A true JP2018174887A (ja) 2018-11-15
JP7012332B2 JP7012332B2 (ja) 2022-02-14

Family

ID=64280042

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017084214A Active JP7012332B2 (ja) 2017-04-21 2017-04-21 凍結食肉用品質改良剤、凍結食肉および凍結食肉の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7012332B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020103122A (ja) * 2018-12-27 2020-07-09 株式会社カネカ カニの冷解凍後の食感及び身離れの悪化抑制剤

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04166034A (ja) * 1990-10-26 1992-06-11 Rennou Suisan:Kk 魚肉又は畜肉の変性を緩和する方法
JPH07135926A (ja) * 1993-11-18 1995-05-30 Q P Corp 加工冷凍ゆで卵とその解凍品
JPH0947218A (ja) * 1995-08-10 1997-02-18 Ina Food Ind Co Ltd 冷凍食品およびその製造方法
JP2009131246A (ja) * 2007-10-26 2009-06-18 Kaneka Corp 氷結晶化阻害剤及びその利用
JP2010029077A (ja) * 2008-07-25 2010-02-12 Aoba Kasei Kk 肉用食感改良剤、食肉の食感改良方法および改良食肉
JP2011167159A (ja) * 2010-02-22 2011-09-01 Oka Foods Co Ltd 冷凍魚の製造方法及び調理方法
JP2012147716A (ja) * 2011-01-18 2012-08-09 Oka Foods Co Ltd 冷凍魚の製造方法及び調理方法
JP2016069063A (ja) * 2014-10-01 2016-05-09 川崎重工業株式会社 低温流体用ローディングアーム
CN105831612A (zh) * 2016-04-26 2016-08-10 江凯 一种用于改善冷冻肉制品品质的组合物

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04166034A (ja) * 1990-10-26 1992-06-11 Rennou Suisan:Kk 魚肉又は畜肉の変性を緩和する方法
JPH07135926A (ja) * 1993-11-18 1995-05-30 Q P Corp 加工冷凍ゆで卵とその解凍品
JPH0947218A (ja) * 1995-08-10 1997-02-18 Ina Food Ind Co Ltd 冷凍食品およびその製造方法
JP2009131246A (ja) * 2007-10-26 2009-06-18 Kaneka Corp 氷結晶化阻害剤及びその利用
JP2010029077A (ja) * 2008-07-25 2010-02-12 Aoba Kasei Kk 肉用食感改良剤、食肉の食感改良方法および改良食肉
JP2011167159A (ja) * 2010-02-22 2011-09-01 Oka Foods Co Ltd 冷凍魚の製造方法及び調理方法
JP2012147716A (ja) * 2011-01-18 2012-08-09 Oka Foods Co Ltd 冷凍魚の製造方法及び調理方法
JP2016069063A (ja) * 2014-10-01 2016-05-09 川崎重工業株式会社 低温流体用ローディングアーム
CN105831612A (zh) * 2016-04-26 2016-08-10 江凯 一种用于改善冷冻肉制品品质的组合物

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020103122A (ja) * 2018-12-27 2020-07-09 株式会社カネカ カニの冷解凍後の食感及び身離れの悪化抑制剤
JP7194013B2 (ja) 2018-12-27 2022-12-21 株式会社カネカ カニの冷解凍後の食感及び身離れの悪化抑制剤

Also Published As

Publication number Publication date
JP7012332B2 (ja) 2022-02-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4284653A (en) Process for handling and processing fish meat
US20090004353A1 (en) Method of processing meat to enhance moisture retention
US20110091632A1 (en) Meat Additive, Pickling Liquid and Processed Meat Product
JP5121029B2 (ja) 無晒しまたは低晒しのミンチ状魚肉の冷凍品
JP2007312771A (ja) 甲殻類または畜肉類の風味品質改良剤およびそれを用いた甲殻類または畜肉類の処理法
US20120027899A1 (en) Methods for Processing Meat Using Phosphate Free High pH Compositions Containing Salt and Sodium Carbonate
KR101808486B1 (ko) 생선 필렛 제조방법 및 이에 의해 제조되는 생선 필렛
CN114176199B (zh) 一种提升调理开背草鱼肉质的加工方法
Turan et al. Effects of glazing, packaging and phosphate treatments on drip loss in rainbow trout (Oncorhynchus mykiss W., 1792) during frozen storage
JP2018174887A (ja) 凍結食肉用品質改良剤、凍結食肉および凍結食肉の製造方法
KR101666595B1 (ko) 전복가공방법
US20200214303A1 (en) Method for processing meat using phosphate free high ph compositions containing salt and a carbonate salt
JP2012520065A (ja) 魚介すり身製品の保存におけるアルカリ金属ラクテートの使用
JP3101865B2 (ja) 品質の改善された低温保存食品ならびに低温保存前処理剤
JPS6221486B2 (ja)
JP5552220B2 (ja) 肉用食感改良剤、食肉の食感改良方法および改良食肉
NO320732B1 (no) Anvendelse av trehalose som kryopreserverende middel i frosne matvareprodukter.
JP3268543B2 (ja) トリ肉の唐揚げの製造方法
JP4195501B2 (ja) 改質鯨肉及び改質鯨肉の製造法
EP2448417A2 (en) Method of salting fish
JP6717897B2 (ja) 魚介類乾燥食品の製造方法および即席食品
JPH0678721A (ja) なまこの加工方法
JP2017000111A (ja) 食肉の冷凍変性抑制方法
Umar et al. PERFORMANCE EVALUATION AND OPTIMIZATION OF VACCUM MARINATION PROCESS FOR FRESH AND FROZEN SOLE FISH
JP6399779B2 (ja) 頭足類乾燥食品の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20170424

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200228

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20200302

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20201221

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210105

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20210831

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211129

C60 Trial request (containing other claim documents, opposition documents)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C60

Effective date: 20211129

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20211206

C21 Notice of transfer of a case for reconsideration by examiners before appeal proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C21

Effective date: 20211207

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220105

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220111

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7012332

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150