JPH0678721A - なまこの加工方法 - Google Patents

なまこの加工方法

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JPH0678721A
JPH0678721A JP4258846A JP25884692A JPH0678721A JP H0678721 A JPH0678721 A JP H0678721A JP 4258846 A JP4258846 A JP 4258846A JP 25884692 A JP25884692 A JP 25884692A JP H0678721 A JPH0678721 A JP H0678721A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 少なくとも(ア)なまこをカルシウム塩水溶
液に浸漬する工程又は(イ)なまこを酢酸及びナトリウ
ム塩からなる水溶液に浸漬する工程を含むことを特徴と
するなまこの加工方法。 【効果】 本発明の方法によれば、なまこ本来の外観を
損なわずに、しかもなまこらしい食感・テクスチャーを
残しつつ、長期保存することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、なまこの加工方法に関
する。更に詳細には長期保存可能であり、しかも食感が
優れたなまこの加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】なまこ
は独特の食感を有しているものの、保存がきかないた
め、これまであまり商品として流通していなかった。な
まこが保存出来ない理由としては、代表的な保存方法の
冷凍保存、冷蔵保存、塩蔵保存、砂糖漬け保存、乾燥保
存、酢漬け保存のうち、乾燥保存以外の保存方法では商
品的価値を失ってしまうからである。乾燥保存により得
られた商品は、中華料理で「きんこ」として使用される
が、そのテクスチャーはなまこ本来のものとはほど遠い
ものである。また、冷凍保存では解凍後の細胞破壊が著
しくゲル状となり、酢漬けにするとなまこの肉質が硬化
しテクスチャーを失う。さらに、冷蔵保存、塩蔵保存、
砂糖漬け保存でもゲル状となり、共になまこの外観は保
たれず、テクスチャーも本来の物とは著しく異なり、商
品的価値を完全に失ってしまう。
【0003】そこで、なまこの加工・保存方法として、
これまで種々の方法が提案されている。例えば、内臓部
分を除去したなまこを二杯酢又は三杯酢につけ、二杯酢
又は三杯酢につけたまま冷凍する方法(特開昭62−6
5663号公報)や、生鮮ナマコに接触的刺激を与える
ことによって、その体組織の生理的緊縮を促し、次い
で、その生理的緊縮が弛緩しないうちに振転摩擦等によ
ってその表皮を除去することを特徴とするナマコの加工
法(特公昭51−5460号公報)、さらには、生ナマ
コを脱腸してから、熱水中に入れて煮熟洗浄し、次いで
温水に浸漬して晒した後、ナマコを開腹し、加圧下に煮
熟し、さらに冷却した後に凍結貯蔵することを特徴とす
るナマコ凍結貯蔵法(特公昭57−17500号公報)
等が提案されている。しかしながら、これら従来の方法
では、なまこの保存は可能であるものの、なまこ独特の
テクスチャーが失われたり、外観がなまこ本来の物と
は、かなり異なったものとなってしまうという問題があ
った。そこで、なまこ本来の外観をあまり損なわずに、
なまこらしいテクスチャーを残し、しかも長期保存が可
能な加工・保存方法が要望されている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記問題の
解消されたなまこの加工法を得るべく鋭意研究を重ねる
過程において、まずなまこの成分等について考えてみ
た。なまこの成分であるが、なまこの体壁の成分は90
%以上が水分で、その歯応えは非常に強く、こりこりと
なまこ独特のテクスチャーがある。水分以外の成分は、
酸性ムコ多糖とコラーゲンが主であり、これらがなまこ
のテクスチャーに影響しているものと考えられる。つま
り、なまこ筋肉の硬化とは、この酸性ムコ多糖とコラー
ゲンとがより複雑に絡み合った結果起こった現象であっ
て、煮熟や酢酸処理等により、さらには生理的条件下で
も外部刺激により強度が大きく増大する。また、なまこ
は死後急激に軟化現象を起こしゲル状となってしまう
が、これは硬化とは反対に、酸性ムコ多糖とコラーゲン
の解離によるものであると考えられる。そこで本発明者
は、なまこの硬化現象と軟化現象をコントロール出来る
ようになれば、なまこのテクスチャーを残したまま、長
期保存が可能となると考え、さらに研究を重ね、本発明
を完成するに到った。
【0005】すなわち本発明は、少なくとも(ア)なま
こをカルシウム塩水溶液に浸漬する工程又は(イ)なま
こを酢酸及びナトリウム塩からなる水溶液に浸漬する工
程を含むことを特徴とするなまこの加工方法を提供する
ものである。
【0006】なお、本発明の方法は、少なくとも上記
(ア)又は(イ)の工程を含むものであればよいが、通
常はまず浜上げ・泥吐き工程を行ない、次いで(ア)な
まこをカルシウム塩水溶液に浸漬する工程を行なった
後、カット・内臓除去工程を行ない、次に煮沸・冷却工
程を行ない、水切り工程を行なった後、(イ)なまこを
酢酸及びナトリウム塩からなる水溶液に浸漬する工程を
行ない、さらに長期に保存する場合には冷凍工程を行な
う。特に少なくとも(ア)なまこをカルシウム塩水溶液
に浸漬する工程を行なった後、カット・内臓除去工程を
行ない、次いで煮沸・冷却工程を行ない、その後、
(イ)なまこを酢酸及びナトリウム塩からなる水溶液に
浸漬する工程を行なうことがより好適である。
【0007】以下、本発明の好適な製造方法の一例を工
程順に示す。まず、最初に浜上げ・泥吐き工程を行な
う。なまこは、なるべく鮮度の良い物を入手し、生け簀
の中で3日間程度泥を吐かせる。なまこは酸素消費量が
多い為、酸素供給が確実に行なえるものか、或いは海中
生け簀を使用すればよい。
【0008】次に、上記した(ア)の工程であるカルシ
ウム塩水溶液に浸漬する工程を行なう。カルシウム塩水
溶液に浸漬することにより、なまこの表皮の固定を行な
い、表皮の溶出を防ぐ。すなわち、ムコ多糖の生物学的
機能は、組織の線維成分及び細胞成分を安定化して維持
し、表面の負荷に耐える性質を組織に与えることと考え
られている。また、このムコ多糖はカルボキシル基と硫
酸基を有する為に、カルシウムの様な陽イオンを捕捉す
る。なまこの表皮は、このムコ多糖が大部分を占めてお
り、コラーゲン線維と結合している。なまこの鮮度が低
下すると、コラーゲン線維がほぐれてムコ多糖を放出
し、外観上なまこの表皮が溶解し、商品的価値が低下し
てしまう。そこで陽イオンのカルシウムを提供し、多糖
にカルシウム塩を形成させ不溶性にし、多糖の溶出を阻
止するのである。この工程で使用するカルシウム塩とし
ては、塩化カルシウムの他、乳酸カルシウム、酢酸カル
シウム等が挙げられるが、特に塩化カルシウムを使用す
ることが好ましい。これは塩化カルシウムが食品添加物
として認められたものであり、価格が比較的安価であっ
て、しかも多糖の固定に優れているからである。
【0009】また、使用するカルシウム塩水溶液の濃度
は、浸漬時間と関連しているため、一義的に決定するこ
とは、なかなか困難であるが、通常、0.5〜10%
(重量/重量=W/W)、好ましくは1〜10%(W/
W)、特に好ましくは3〜5%(W/W)である。カル
シウム塩水溶液の濃度が0.5%(W/W)未満である
と、浸漬時間に関係なく多糖の固定が不安定となり製品
上好ましくない。一方、カルシウム塩水溶液の濃度が1
0%(W/W)を超えると、カルシウム塩水溶液として
通常用いられる塩化カルシウム独特のえぐ味が残留する
ため、同じく製品上好ましくない。次に、浸漬時間は作
業能率上からはより短時間であることが理想であるが、
濃度に関係なく10分間未満の浸漬では、多糖の溶出の
阻止が不確実であり、一方、60分間を超える浸漬で
は、カルシウム塩水溶液として通常用いられる塩化カル
シウム独特のえぐ味が残留する為、製品上好ましくな
い。したがって、浸漬時間は通常、10〜60分間、好
ましくは30〜45分間とすればよい。
【0010】以上の結果より、通常は、塩化カルシウム
を0.5〜10%(W/W)の濃度に調整した水溶液
に、前記の如く3日間程度泥吐きさせたなまこを10〜
60分間浸漬する。浸漬中においては、10分間に1回
程度の割合で、上下がよく混ざる様に攪拌することが好
ましい。なお、浸漬するなまこの量は、カルシウム塩水
溶液の量と等量程度の割合とすればよい。
【0011】さらに、カット・内臓除去工程を行なう。
すなわち、上記の如くなまこをカルシウム塩水溶液に浸
漬した後、該水溶液から取り出し、頭部と尾部をそれぞ
れ切断除去(カット)する。頭部をカットする際には、
なまこの歯を完全に取り除く様にする。カット後、体内
の内臓を棒などを用いて全て押し出す。このカット・内
臓除去工程を行なうことによって、なまこの外観保持、
品質劣化を防ぐ。
【0012】一般に棘皮動物の結合組織は、生きている
ときでもしばしば非常に硬くなる現象を起こすが、この
現象は軟体動物の閉殻筋のキャッチ(catch)運動
(長時間にわたる省エネルギー型の強い収縮)にならい
結合組織キャッチ機構と呼ばれている。なまこは生理的
条件下で外部刺激により強度が大きく増大するが、これ
は神経伝達物質アセチルコリンがなまこ体壁の結合組織
キャッチ機構に働きかけて強度を増大する為である。例
えば、なまこに触れたり、表皮に損傷を与えると、その
体長は著しく縮み、体壁強度は著しく増大する。しか
し、その後、刺激を与えなければ瞬く間に元の形状に戻
り、体壁強度も低下する。なまこが好まれるのは、こり
こりとした独特のテクスチャーがある為で、結合組織キ
ャッチ機構が働かず体壁強度が低下したものには、なま
このテクスチャーは認められない。そのためなまこを加
工する際、なまこの体壁強度がある程度増大した状態を
維持する必要がある。なまこの頭部もしくは尾部を切除
することにより、体壁強度の維持が可能となる。さらに
は、製品にした際の頭部尾部の混入は製品外観上におい
て好ましくないものがある。以上の理由により、通常、
なまこの頭部と尾部のカットを行なう。また、なまこの
内臓が体内に残存すると、冷凍保存中に変性を起こし製
品の劣化につながるおそれがあり、また二次加工の際、
臓器中の泥により機器破損や製品の異物混入につながる
おそれがある為、カット後に体内の内臓を全て排出する
ことが好ましい。したがって、カルシウム塩水溶液に浸
漬した後、なまこを該水溶液から取り出し、頭部尾部を
それぞれカットし、内臓をすべて棒で押し出す。なまこ
の頭部尾部をカットした時点で体壁が収縮を始める為、
速やかに内臓除去を行なう。
【0013】上記のようにしてなまこの頭部、尾部をそ
れぞれカットし、内臓を除去した後に、煮沸・冷却工程
を行なう。この煮沸・冷却工程のうち、煮沸(ボイル)
を行なう理由は、以下の通りである。すなわち、長期保
存する場合に冷凍保存を行なうが、該凍結保存時に細胞
の冷凍速度が割合に大きく、細胞の原形質内に氷晶が生
成すると、氷晶は急速に成長し、原形質構造は濃縮され
成長する氷晶の間に挟み込まれ、機械的に破壊される。
これらの細胞内凍結を起こした細胞を融解しても、もと
の原形質構造、細胞内の微細構造は、ほとんど破壊され
る為、元に戻らず、細胞は例外なく死ぬ。なまこの体壁
成分の90%以上は水分の為、なまこ個体そのままを冷
凍すると、原形質構造はほとんど破壊され、解凍後、そ
の体壁はゲル状となり商品的価値を完全に失うことにな
る。従って、煮沸工程を付加することによって、この氷
晶形成による原形質構造の破壊を防止することができ
る。また、水分に次いで含有率の多いたんぱく質は、そ
の主要成分がコラーゲンである。なまこの体壁中に存在
するプロテアーゼのコラゲナーゼにより、コラーゲンが
分解され、体壁強度が若干減少する事実も認められてい
る。そこで上記2点の問題を解決する為にボイルを行な
う。ボイルを行なうことにより、細胞組織内の空気を追
い出し、組織を柔らかくして凍結膨張に耐えやすい状態
にし、さらにコラゲナーゼの失活も行なう。さらには、
ボイル後のなまこは外観上身が膨潤し、カットした際に
均一した製品の製造が可能になる。
【0014】ボイル温度は通常、95〜100℃の間と
し、ボイル時間は通常、1〜5分間とする。ボイル温度
が95℃未満であると、なまこの体壁たんぱく質の変成
により、その体壁色が黒色化する傾向がある。また、ボ
イル時間が1分間未満であると、効果が不充分であり、
一方、ボイル時間が5分間を超えると、なまこ体壁中か
らの離水が著しく、製品歩留りが悪化する為、いずれも
好ましくない。なお、なまこ体壁の黒色化の原因はまだ
解明されていない。ボイル中は熱の伝導にむらが出来る
おそれがある為、よく攪拌を行なう。このような短時間
ボイルによって、なまこの外観保持を行なう。
【0015】また、煮沸・冷却工程のうち、冷却は次の
ようにして行なう。本工程において強制冷却を行なわな
い場合には、なまこのテクスチャーが失われやすくなる
為、通常、強制冷却する。すなわち、ボイル後のなまこ
は、例えば速やかに流水に晒して冷却する。なお、冷却
時間は5分間程度とすればよい。熱が残っているとテク
スチャーの悪化に影響する為、急速に熱を分散させるこ
とが好ましい。
【0016】上記のようにして煮沸・冷却したなまこに
ついて、水切り工程を行なう。すなわち、冷却後のなま
こは、かご等に入れて水をよく切っておく。水切り時間
は通常、5分間程度とすればよい。
【0017】さらに、このようにして水切りされたなま
こについて、上記した(イ)の工程である酢酸及びナト
リウム塩からなる水溶液に浸漬する工程を行なう。なま
このテクスチャーは固体差が顕著な為、この固体差をな
くし、なるべく均一したテクスチャーをコントロール出
来るようにする必要がある。本工程を行なうことによ
り、なまこの固体差がなくなり、均一したテクスチャー
のなまこが得られる。なまこの体壁成分については、水
分がその90%以上を占め、次いでたんぱく質、無機
質、糖質が含まれており、なまこのテクスチャーは糖
質、特に酸性ムコ多糖の影響によって大きく左右され
る。また、なまこの体壁は弾性と粘性という2つの物性
を兼ね備えた「粘弾性体」であるが、体壁の硬さの変化
には粘性が大きく関与することが知られている。この酸
性ムコ多糖の粘性は、カルシウムイオンやマグネシウム
イオンの様な2価の陽イオンの濃度増加に伴って直線的
に増加するが、1価の陽イオンのうちナトリウムイオン
の濃度増加は逆に粘性を低下させる。また、酢酸によっ
てタンパク変成が起こり、体壁強度が増大することは周
知の事実であるが、これは酢酸に限らず他の有機酸でも
同様の結果が得られる。つまり、なまこの体壁はナトリ
ウムイオンにより軟化し、酢酸等により硬化する傾向が
ある。そこで酢酸とナトリウムイオン(通常は塩化ナト
リウムを使用)の拮抗点を求めることにより、なまこの
テクスチャーをコントロールできると考えた。酸度と塩
分を変えながら、なまこのテクスチャーをレオロメータ
ーにより測定した結果、酸度1〜5%(W/W)、特に
1〜3%(W/W)の範囲であって、塩分1〜5%(W
/W)、特に2〜5%(W/W)の範囲中で理想的なテ
クスチャーが得られた。この結果より、上記範囲に酸度
と塩分を調整した水溶液中になまこを浸漬することによ
り、好ましいテクスチャーが得られることとなり、さら
に、冷凍保存することにより、長期保存が可能となるこ
とを見出したものである。
【0018】なお、本工程上、酢酸を用いたのは、酢酸
が殺菌作用に優れているためであるが、通常は食酢を用
い、その他に食品添加物用の酢酸を用いることができ
る。したがって、本発明の方法により得られたなまこを
二次加工して得られる最終製品は、通常、「なまこ酢の
物」という最終形態をとることになる。一方、ナトリウ
ム塩としては、例えば塩化ナトリウム、パントテン酸ナ
トリウム、L−アスコルビン酸ナトリウム等を用いるこ
とができるが、価格が安価という点から、通常、塩化ナ
トリウムが使用される。このように酢酸及びナトリウム
塩からなる水溶液(以下、保存液と言うことがある。)
を調製し、これになまこを浸漬する。通常は一斗缶など
に、保存液と共になまこを詰めればよい。すなわち、一
斗缶などにビニールを入れ、調整した保存液と水切りの
終わったなまこを等量程度入れ、上下をよく攪拌し、輪
ゴムにて口を縛り、蓋をかぶせ、シールする。
【0019】上記のようにして、酢酸及びナトリウム塩
からなる水溶液(保存液)に浸漬する工程を行なったな
まこは、その後、長期に保存する場合には冷凍処理す
る。通常は、上記のようにして蓋をかぶせられた一斗缶
を、−30〜−40℃程度の冷凍庫にて凍結させ、保存
すればよい。このようにして加工されたなまこは、これ
を素材として、さらに常法により、味付け、細断、容器
収容などの二次加工を施され、最終製品となる。また、
さらに凍結させたなまこは、常法により解凍を行ない、
上記と同様に二次加工して製品とすることができる。
【0020】
【実施例】次に、本発明を実施例により説明する。 試験例1 カルシウム塩水溶液の濃度と浸漬時間によるなまこの品
質に与える影響について調べた。すなわち、浜上げした
なまこ20Kgを、いけ簀に入れ、3日間泥を吐かせた
ものを用意した。一方、所定量の塩化カルシウムを、所
定量の水に溶解して、第1表に示す所定濃度の水溶液2
0Kgを調製した。この所定濃度の水溶液20Kg中
に、上記のようにして泥を吐かせたなまこ20Kgを第
1表に示す所定時間浸漬した。所定時間浸漬後、全ての
なまこを取り出し、以下の3点について50人のパネラ
ーにより、官能テストを行なった。官能テストにおいて
は、皮の剥離の程度、身の硬さ、及び残味の3点につい
て、それぞれ3段階で評価した。まず皮の剥離の程度に
ついては、剥離し易いものを1とし、若干ゆるいものを
2とし、剥離しにくいものを3とした。次に、身の硬さ
については、柔らかいものをAとし、丁度良いものをB
とし、硬いものをCとした。また、残味については、残
らないものを○とし、若干残るものを△とし、残るもの
を×とした。条件及び結果を第1表に示す。
【0021】
【表1】
【0022】第1表の結果より、使用するカルシウム塩
水溶液の濃度は、0.5〜10%(W/W)、好ましく
は1〜10%(W/W)、特に好ましくは3〜5%(W
/W)であり、浸漬時間は10〜60分間、好ましくは
30〜45分間であることが判った。
【0023】試験例2 浜上げしたなまこ20Kgを、いけ簀に入れ、3日間泥
を吐かせたものを用意した。一方、塩化カルシウム1K
gを、19Kgの水に溶解して、5%濃度の水溶液20
Kgを調製した。この水溶液20Kg中に、上記のよう
にして泥を吐かせたなまこ20Kgを30分間浸漬し
た。30分間浸漬後、全てのなまこを取り出した。この
ようにして取り出された20Kgのなまこの頭と尻をカ
ットし、内臓を棒で押出した後のなまこ12Kgを、1
00℃の沸騰浴中にて60秒間ボイルした。なお、ボイ
ル中は、熱の伝導にむらが出来るおそれがある為、棒で
良く攪拌した。ボイル後、脱水したなまこ10Kgを、
速やかに流水に晒して冷却した。冷却後のなまこ10K
gをかごに入れて、水を切った。水切り時間は約5分間
とした。一方、酸度15%の市販高酸度食酢の所定量
と、塩化ナトリウムの所定量を所定量の水に溶解して、
第2表に示す所定の酸度及び塩分濃度の保存液7Kgを
調製し、この保存液中に、上記のようにして水切りされ
たなまこ10Kgを浸漬し、レオロメーターによって、
なまこのテクスチャーを測定した。レオロメーターの測
定値(単位:Kg)を第2表に示す。なお、官能検査の
結果、好まれるテクスチャーは、レオロメーターの測定
値が1.2〜1.6Kgの間であった。
【0024】
【表2】
【0025】第2表の結果より、酸度1〜5%(W/
W)、特に1〜3%(W/W)の範囲であって、塩分濃
度1〜5%(W/W)、特に2〜5%(W/W)の範囲
中で理想的なテクスチャー(レオロメーターの測定値
が、およそ1.2〜1.6Kgの間となる)が得られる
ことが判った。
【0026】実施例1 浜上げしたなまこ20Kgを、生簀に入れ、3日間泥を
吐かせたものを用意した。一方、塩化カルシウム1Kg
を、19Kgの水に溶解して、5%(W/W)濃度の水
溶液20Kgを調製した。この水溶液20Kg中に、上
記のようにして泥を吐かせたなまこ20Kgを30分間
浸漬した。30分間浸漬後、全てのなまこを取り出し
た。このようにして取り出された20Kgのなまこの頭
と尻をカットし、内臓を棒で押出した後のなまこ12K
gを、100℃の沸騰浴中にて60秒間ボイルした。な
お、ボイル中は、熱の伝導にむらが出来るおそれがある
為、棒で良く攪拌した。ボイル後、脱水したなまこ10
Kgを、速やかに流水に晒して冷却した。冷却後のなま
こ10Kgをかごに入れて、水を切った。水切り時間は
約5分間とした。次に、酸度15%の高酸度食酢0.9
3Kgと塩化ナトリウム0.21Kgとを水5.86K
gに溶解して、酸度2%(W/W)、塩分濃度3%(W
/W)の保存液7.00Kgを調製し、これを容器にな
まこと共に1日入れた。以上のようにして本発明のなま
この加工品を得た。このなまこの加工品を二次加工、す
なわち調味して食したところ、調理生なまこと変わらな
い食感で、美味であった。
【0027】実施例2 浜上げしたなまこ20Kgを、生簀に入れ、3日間泥を
吐かせたものを用意した。一方、乳酸カルシウム1Kg
を、19Kgの水に溶解して、5%(W/W)濃度の水
溶液20Kgを調製した。この水溶液20Kg中に、上
記のようにして泥を吐かせたなまこ20Kgを30分間
浸漬した。30分間浸漬後、全てのなまこを取り出し
た。このようにして取り出された20Kgのなまこの頭
と尻をカットし、内臓を棒で押出した後のなまこ12K
gを、100℃の沸騰浴中にて60秒間ボイルした。な
お、ボイル中は、熱の伝導にむらが出来るおそれがある
為、棒で良く攪拌した。ボイル後、脱水したなまこ10
Kgを、速やかに流水に晒して冷却した。冷却後のなま
こ10Kgをかごに入れて、水を切った。水切り時間は
約5分間とした。次に、酸度5%の市販の穀物酢2.7
9Kgと塩化ナトリウム0.21Kgとを水4.00K
gに溶解して、酸度2%(W/W)、塩分濃度3%(W
/W)の保存液7.00Kgを調製し、これを容器にな
まこと共に1日入れた。以上のようにして得た加工なま
こを、−40℃の冷凍庫に入れて凍結させることによ
り、長期保存が可能となった。このようにして得た冷凍
なまこを、常法に従って解凍し、調味し、試食してみた
ところ、なまこ本来の外観を維持しつつ、なまこ本来の
テクスチャーが充分に残る「なまこ酢の物」が得られ
た。
【0028】
【発明の効果】本発明の方法によれば、なまこ本来の外
観を損なわずに、しかもなまこらしい食感・テクスチャ
ーを残しつつ、長期保存することができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも(ア)なまこをカルシウム塩
    水溶液に浸漬する工程又は(イ)なまこを酢酸及びナト
    リウム塩からなる水溶液に浸漬する工程を含むことを特
    徴とするなまこの加工方法。
  2. 【請求項2】 (ア)なまこをカルシウム塩水溶液に浸
    漬する工程を行なった後、カット・内臓除去工程を行な
    い、次いで煮沸・冷却工程を行ない、その後、(イ)な
    まこを酢酸及びナトリウム塩からなる水溶液に浸漬する
    工程を行なう請求項1記載のなまこの加工方法。
  3. 【請求項3】 酢酸が食酢である請求項1又は2記載の
    なまこの加工方法。
JP25884692A 1992-09-03 1992-09-03 なまこの加工方法 Expired - Fee Related JP3177314B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20070105714A (ko) * 2006-04-27 2007-10-31 이주석 해삼펩타이드 캡슐의 제조방법
JP2011205956A (ja) * 2010-03-29 2011-10-20 Aomori Prefectural Industrial Technology Research Center ナマコ素材製造方法、ナマコ素材および乾燥ナマコ戻し品様食品
KR101365359B1 (ko) * 2012-04-26 2014-02-27 합자회사 에스에이치해양수산개발 해삼가공품의 제조방법 및 이에 의해 제조되는 해삼가공품
CN115191569A (zh) * 2022-08-01 2022-10-18 青岛科技大学 一种加热嫩化海参的方法

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