JP4195501B2 - 改質鯨肉及び改質鯨肉の製造法 - Google Patents

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本発明は、生の鯨肉の品質を改善し、且つ劣化を抑制して保存するに適した性能を備えた改質鯨肉を製造する方法、及びこうして得られた改質鯨肉に関する。
鯨とは、海に住む哺乳類のうち魚形をした大型海獣を言うが、歯を持たない髭鯨と、抜け代わらない歯を持つ歯鯨とがあり、イルカも含めて、79種類のクジラがいるとされている。日本を囲む海にも多種の鯨が棲息しており、昔から銛を使う突取り法や網取り法などの古式捕鯨によって、食用として鯨肉が利用されていた。しかし、19世紀の中頃を過ぎた頃から、捕鯨砲を備えた船での捕鯨が欧米の国を中心とした世界に広まり、20世紀に入って鯨油の工業的利用が拡大すると、大型鯨が集まる南極海での商業的大型捕鯨への参加が増えて、シロナガス鯨、セミ鯨、ナガス鯨などの大型鯨資源が激減するに至った。そこで、主要捕鯨国間で第2次世界大戦後の1946年に国際捕鯨取締条約が結ばれ、1948年には「鯨類資源の保存と有効利用、捕鯨産業の秩序ある育成」を目的として、国際捕鯨委員会(以下、IWCと略称する。)が活動を開始した。
日本も1951年に至ってIWCに加入したが、IWCの資源管理が十分に機能せず、大型鯨などの資源が更に減少したので、1960年代からは、IWCの国別の鯨捕獲枠の設定や、希少鯨種の捕獲禁止などの資源管理が強化された。その結果、捕鯨産業の採算が取れなくなった欧米の捕鯨国の多くは捕鯨産業から撤退し、更に捕鯨産業とは無縁な国の条約加盟が増えて、鯨類資源の有効利用より鯨類の保護の立場に立つ国が多くなり、1982年には大型の商業捕鯨を全面的に停止する方針が決定された。
しかし日本は、日本鯨類研究所が政府の委託を受けて、国際捕鯨取締条約に従った南極海と北西太平洋でのミンク鯨を捕獲する、科学的調査研究のための捕鯨と、各種鯨類の資源量や行動、回遊状況の観察等を行う調査と、IWCの管理対象の外の沿岸小型捕鯨、即ち日本近海を回遊しているニタリ鯨、イワシ鯨、ミンク鯨、マッコウ鯨、ゴンドウ鯨などを、調査を兼ねて限定数だけ捕獲する管理捕鯨とを、継続して実施している。そして、このような調査研究の過程で得られた鯨肉が、研究費の一部を回収するために市場に出荷販売されている。
このような調査捕鯨の副産物として得られた鯨肉は、過去の商業捕鯨により食料として生産されていた鯨肉とは異なり、肉の処理方法や肉質もそのまま比較することはできないが、捕獲された鯨体に対して必要な測定や、解剖による餌の内容などを調査した後、肉部は新鮮なまま冷凍され、調査母船内の冷凍庫内に収容して国内に持ち帰った後には、冷凍倉庫で保管されている。これに対して、国内の小型捕鯨基地から沖合等に日帰りで出漁し捕獲した鯨は、解体して得た肉塊を砕氷中に埋めて冷却し、ドリップ液などを除いた氷冷鯨肉として出荷されることが多いから、調査捕鯨の副産物である鯨肉と比べて品質のバラツキが大きく、品質に対する信頼性が低いとされている。
しかし鯨肉は、新鮮な冷凍肉であっても解凍すると体液がドリップして色調が変わり、臭気が発生することが避けられず、また同時に味の劣化も進行が始まる、という性質は殆ど同様である。そのため、鯨肉の調理は解凍終了後に直ちに行うことが好ましいとされているが、ある程度は調理に熟練した料理人でないと、ドリップの除去という下処理の終了時の見極めは容易でない、という問題があり、調理の場数を踏まないと、美味しい鯨肉の料理は造れないと考えられていた。
そこで本発明は、これまで鯨肉の欠点と考えられていた、冷蔵保存時の生肉の色や艶などの外観色調の経時劣化、味の劣化、及び不快な臭気の発生の何れもが、共に抑制された改質鯨肉を提供しようとするもので、更にはこの改質鯨肉を確実に、そして経済的に製造する方法を提供することを目的としたものである。
本発明の改質鯨肉は、1〜5℃の冷温状態にあるドリップ液を含まない清浄化生鯨肉に、該清浄化生鯨肉に対して0.03〜0.08重量%となる量のヒアルロン酸化合物を有効成分として含む改質処理剤を、接触させてなることを特徴とするものである。
また、本発明の改質鯨肉は、生鯨肉を1〜5℃の冷温飽和湿度環境下に保持してドリップ液を除去し清拭することで、ドリップ液を含まない清浄化冷温生鯨肉に転換する工程と、該清浄化生鯨肉に対して0.03〜0.08重量%のヒアルロン酸化合物を有効成分として含む改質処理剤を、該清浄化冷温生鯨肉に接触させる改質処理工程と、該改質処理冷温生鯨肉を1〜5℃の冷温飽和湿度環境下に冷蔵保存する工程とを含むことを特徴とする製造法によって、得ることができる。
本発明の改質鯨肉は、原料鯨肉に含まれている余分のドリップ液が除かれた状態としたうえ、ヒアルロン酸化合物を有効成分として含む改質処理剤を鯨肉と接触させたのち、1〜5℃などの氷点近傍の冷温飽和湿度状態を維持することで均質化が進み、鯨肉の外観、即ち肉の色や艶などが劣化を起こし難いうえに、味もよく保たれ、臭いの発生も少ない。そして、品質の劣化防止効果を長時間保持している間に再冷凍処理を加えることで、劣化防止効果を更に延長させることも可能である。
本発明の改質鯨肉は、原料鯨肉の色や艶、味、臭いなどの品質の劣化が起こり難いよう改質したものであるが、その原料として使用される鯨肉は特別なものではなく、鮮度が良い鯨の生肉であって、劣化が始まっていないものであれば、冷凍品か氷冷品かを問わず、また、鯨の種類の如何を問うことなく、原料として使用することができる。
上記の原料鯨肉の形状は、本質的には塊状であるのが普通であるが、本発明の改質鯨肉では、その表面に改質処理剤を略均質となるように接触させるために、それぞれの単位の塊は略均等な厚さの板状体とすることが好ましく、更には原料鯨肉の塊に対する改質処理剤の付着量を均等化するために、原料鯨肉の塊の形状や寸法も略同等とすることが好ましい。このように原料鯨肉塊の形状を揃えれば、肉塊1個の重量も略同等となり、改質処理剤の付着量の均等化と相まって、製品である改質鯨肉の品質改良度も、より均等化するものと期待できる。
本発明の改質鯨肉を製造するのに用いられる改質処理剤は、ヒアルロン酸化合物を有効成分として含む改質処理剤であるが、このヒアルロン酸化合物は公知の食品であって、動物の結合組織などに含まれる分子量10 4 〜10 7 の多糖類からなるものである。こうしたヒアルロン酸化合物は、動物の結合組織などから水溶液として抽出されたものか、或いは炭水化物を原料として発酵法により製造されたもので、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、又はそれらの混合物があり、何れも水に溶解し易い材料であるが、乾燥粉末状の剤や水溶液状の剤として用いることができる。
しかし、こうした食品としてのヒアルロン酸化合物が鯨肉を改質する効果を示すことは、これまで知られていなかったのである。
本発明の改質鯨肉用の改質処理剤は、基本的な構成成分としてヒアルロン酸化合物を有効成分として含んでいるものであるが、改質処理剤に含まれるヒアルロン酸化合物の濃度は特に限定はなく、鯨肉の改質処理に有効な使用量として、処理鯨肉の重量に対して0.03〜0.08重量%となる量の範囲で使用することが好ましく、この範囲より少なくては効果が弱い。また、この範囲より多くても経済的でない上に効果が弱くなるので望ましくない。また、改質処理剤と鯨肉との均等な接触を容易にするために、希釈用増量剤などを配合してもよいほか、本発明の目的に反しない限り、必要に応じて適宜の食品や調味料、食品添加物などを含有させた粉末状配合物、或いは水溶液状組成物などとして使用することもできる。
また本発明の改質処理剤には、場合によりコラーゲン化合物を配合することができる。コラーゲン化合物は、多細胞動物の細胞外基質を構成するタンパク質の1種であり、コラーゲン様配列と呼ばれる一次ペプチド鎖構造を有することを特徴とする、30種以上のコラーゲンタンパク質を含むものであるが、更にこれらのコラーゲンタンパク質を熱変成し水溶性としたゼラチンや、酵素処理により低分子化したコラーゲンペプチドなども含まれる。
(原料鯨肉)
日本政府の鯨資源の調査研究のために、IWCの管理対象の南極海や北西太平洋で実施している調査捕鯨により捕獲された、イワシ鯨の冷凍赤肉を、本発明の改質鯨肉の製造原料として用いることとした。この赤肉は、鯨の背肉や胸肉などの、脂肪や腱などを含まない組織の揃った筋肉部位を選別して切り出した塊状肉で、ポリエチレン製の袋に入れて急速冷凍し、-25℃で保存されていたものである。この鯨肉に改質処理剤を接触させてその効果を調べるための鯨肉試験片は、以下のようにして作成した。バンドソー(レクソンジャパン社、BS-10K2)を用いて、上記の冷凍肉塊から筋繊維と平行な方向に、厚さが30±1mmで幅が50±1mmの長い板状柵形肉を切り出した。そして更に、この冷凍板状肉を50±1mm長に切断して、幅:50±1mm,長さ:50±1mm,厚さ:30±1mmの略正方形板状の冷凍鯨肉試験片を所望の個数作成し、-25℃で冷凍保存した。
(改質処理剤)
その一方で、上記の鯨肉試験片の表面を覆うように接触させる本発明に適する改質処理用化合物として、ヒアルロン酸化合物A(ヒアルロン酸とヒアルロン酸ナトリウムとの混合物粉末、平均分子量:8〜16×105)を選び、また比較用の化合物として、多糖類に属するデキストリンB(分子量指数:DE10−12)、二糖類であるトレハロースC、単糖類であるソルビットD(D-グルシトール)、同じく単糖類のグルコースE、更にアミノ酸であるグリシンFを選んで、それぞれを改質処理用粉末添加剤A〜Fとして準備した。
(冷凍鯨肉試験片の前処理)
径2mmのステンレス鋼線を6mm間隔で平行に配置してなる簀子を設けたトレーの上に、前記のように準備されていた前記形状の冷凍鯨肉試験片の重量を測定した後に平らに並べ、ラップフィルムで覆った後、上からアルミニウム箔を被せて周縁で固定し、4℃の飽和恒湿室に入れて48時間放置し解凍した。その後、水で濡らした清拭用不織シートと乾いた清拭用不織シートとを交互に用いて、解凍した冷温鯨肉試験片の表面を清浄化して重量を測定し、下記の鯨肉の添加剤処理手順に従って粉末添加剤を付着できるよう、冷温鯨肉試験片を上記の4℃の冷温飽和恒湿室内に保管した。
(鯨肉の粉末添加剤処理手順)
前記の冷温恒湿室内で、冷温鯨肉試験片を中に入れて水平に置くことができる広さの底面を有するプラスチック袋を、口を開いて立てた姿勢として置き、鯨肉に対して付着させようとする計算量の粉末添加剤を、約半量だけ30メッシュの篩を通しながら該袋内の底面上に散布する。次に袋内の粉末添加剤層の上に冷温鯨肉試験片を水平に置き、更にその冷温鯨肉試験片上に残りの粉末添加剤を篩を通しながら散布し、空気で膨らんだまま袋の口を閉じ、袋ごと冷温鯨肉試験片を30秒間充分転がして、冷温鯨肉試験片の全表面に全添加剤を付着させる。その後、袋の空気を抜き、4℃の飽和恒湿室内で静置して、粉末添加剤処理を1時間で終了とする。
(鯨肉の改質処理試験)
4℃の飽和恒湿室内に保管されている冷温鯨肉試験片に対し、前記の粉末添加剤処理手順に従って、前記の粉末添加剤A〜Fをそれぞれ表1に示した添加量(w%)となるように付着させ、1時間の粉末添加剤処理を終了したとき、鯨肉試験片をプラスチック袋から取り出して、その外観(色と艶)と臭い、及び試験片から切り出した鯨肉切片の味について、後記の基準に従って官能検査を行った。その後、前記の簀子の上に載せてラップフィルムで覆い、更に上からアルミニウム箔を被せて周縁で固定し、4℃の飽和恒湿室に入れて冷温保存試験を開始した。
上記の冷温保存試験は、添加剤処理が終了したときから12時間後、24時間後、36時間後、及び72時間後における、4℃の飽和恒湿室内での冷温保存による鯨肉試験片の劣化の進行状態を調査したもので、上記の保存時間の経過毎に上記と同様の官能検査を行った。これらの官能検査における評価結果は、全て表1のそれぞれの該当欄に表示してある。
(鯨肉性状の官能検査基準)
(a) 外観(色と艶)についての評点(5段階)とその内容
5点:鮮血色で表面の水分が維持されている。(秀)
4点:明るい赤色を呈しており、肉表面の乾燥なし。(優)
3点:暗赤色を呈しているが、肉表面の乾燥なし。(良)
2点:肉の薄い部分が乾燥し、褐色に変色している。(可)
1点:肉の表面の半分以上が褐色に変色し、表面が乾燥している。(不可)
(b) 味についての評点(5段階)とその内容
5点:鯨肉特有のクセが抑えられており、異味が全くない。(秀)
4点:鯨肉特有のクセが少なく、異味が殆どない。(優)
3点:鯨肉特有のクセはあるが、薬品や劣化による異味はない。(良)
2点:劣化や薬品による異味がある。(可)
1点:劣化による違和感や薬品による異味が極めて強い。(不可)
(c) 臭いについての評点(5段階)とその内容
5点:鯨特有の獣臭さが少なく、使用した薬品による異臭がない。(秀)
4点:鯨肉特有の臭さが僅かにある。(優)
3点:鯨肉特有の獣臭さはあるが、魚臭や変敗臭が殆どない。(良)
2点:魚臭や変敗臭が強い。(可)
1点:劣化による魚臭や変敗臭が極めて強い。(不可)
また、上記の鯨肉の官能評価結果と品質の保持期間の長さとを考慮し、改質鯨肉としての商品価値を総合的に判定し、次のような3段階で評価して、表中の総合評価の欄に表示した。
◎◎:実用化に適する、 ◎:実用化可能、 ×:実用化不適。
Figure 0004195501
上記の表1の結果を見ると、鮮度の優れた鯨肉に対して、ヒアルロン酸化合物を改質処理剤として用いた場合には、添加量が適切であれば、冷蔵により少なくとも36時間までは殆ど肉質の劣化を感ずることなく、調理に用いることができ、72時間の冷蔵保存でも顕著な劣化は発生しないが、その他の糖質では、鯨肉に対する改質処理効果が殆ど認められないことがわかる。
実施例2では、実施例1において鯨肉に対する改質効果を確認したヒアルロン酸化合物について、改質処理剤としての使用方法を検討した例を示すが、先ず原料鯨肉としては、実施例1で使用したと同じイワシ鯨の冷凍赤肉を用い、実施例1で用いた冷温鯨肉試験片と同じ構造及び形状を備えた冷温鯨肉試験片を所望個数製造し、4℃の冷温飽和恒湿室内に保管した。その一方で、上記の冷温鯨肉試験片を処理する改質処理剤として、実施例1で選んだ改質処理用化合物、即ちヒアルロン酸化合物Aと、それを溶解するための基準溶媒として生理食塩水を準備し、4±2℃の冷蔵庫中に保管した。
(鯨肉の改質処理溶液添加手順)
前記の冷温恒湿室内で、ヒアルロン酸化合物Aを生理食塩水に溶解して、表2における添加剤欄の液濃度(mg/ml)に示した濃度となるように調製した溶液を、テフロン(登録商標)加工トレーの面に塗布して、使用した溶液中の改質処理剤の量が鯨肉に対する添加量(w%)の値となるようにし、これにステンレス鋼製の金串に刺した冷温鯨肉試験片の表面を接触させて改質処理剤溶液を付着させる。そして改質処理溶液添加後に冷温鯨肉試験片の重量増加分を測定し、改質処理剤、即ちヒアルロン酸化合物Aの付着量を確認した。こうして冷温鯨肉試験片の全表面へのヒアルロン酸化合物Aの付着量の合計が、目的添加量(w%)の±5%以内にあれば添加剤処理の終了とし、冷温保存試験に移る。
上記の冷温保存試験は、前記の改質処理溶液添加手順に従って、前記のヒアルロン酸化合物Aをそれぞれ表2に示した添加量(w%)となるように添加処理が終了したときに、鯨肉試験片の外観(色と艶)、味、臭いについて実施例1と同様の基準に従って官能検査を行った後、実施例1と同様に簀子の上に載せてラップフィルムで覆い、更に上からアルミニウム箔を被せて周縁で固定し、4℃の飽和恒湿室に入れて冷温保存試験を開始し、実施例1と同様にして、添加剤処理が終了したときから12時間後、24時間後、36時間後、及び72時間後における、4℃の飽和恒湿室内での冷温保存による鯨肉試験片の劣化の進行状態を調査したもので、上記の保存時間の経過毎に上記と同様の官能検査を行った。これらの官能検査における評価結果は、全て表2のそれぞれの該当欄に表示してある。
Figure 0004195501
上記の表2の結果を見ると、鮮度の優れた鯨肉に対して、ヒアルロン酸化合物Aの水性溶液を改質処理剤として用いることができ、添加量が適切であれば、冷蔵により少なくとも36時間までは殆ど肉質の劣化を感ずることなく、調理に用いることができ、72時間の冷蔵保存でも顕著な劣化は発生しないことがわかった。
実施例1で用いた原料鯨肉と同じイワシ鯨の冷凍赤肉を、実施例1と全く同様に処理して同じ形状の冷凍鯨肉試験片を準備し、また、実施例1で用いた粉末添加剤A〜F、及びコラーゲン化合物G(コラーゲンペプチド粉末、平均分子量:5×103)の中から選択された添加剤を、それぞれ表3に示した添加量となるように、単独か又は併用し組み合わせた粉末状、又は水溶液状の改質処理剤を準備して、冷温鯨肉試験片に接触させる処理を行ったほかは、実施例1又は2と同様の手法により鯨肉の改質処理試験を行い、36時間の冷温保存の後の鯨肉試験片の劣化の進行状態を調査した。そしてこの調査結果に基づいて、配合組成が異なった改質処理剤によって処理された鯨肉の商品価値を総合的に判定し、前記のような3段階の総合評価を行った結果を、表3の該当欄に表示した。
Figure 0004195501
上記の表3の結果を見ると、ヒアルロン酸化合物を配合した改質処理剤を付着させた冷温保存鯨肉は、外観、味、臭い等の総合評価のうえで、商品価値が優れていることが明らかであり、また、鯨肉の品質を損なう恐れがある配合剤、例えばデキストリンなどを併用することを避ければ、例えば低分子量の糖類やアミノ酸等の食品添加物などを、増量剤や調味料その他の目的での添加物として配合し利用できることも分かった。
本発明の改質鯨肉は、氷点近傍の冷温状態にある清浄な生の鯨肉を、特定の化合物を含む改質処理剤と接触処理して冷蔵したもので、生の冷温状態で保存しても味の劣化や臭いの発生ばかりでなく、外観の色や艶などの劣化が抑制され、調理するまでの保管時間を大きく延長することができる。しかも、原料としての鯨肉の種類には限定はなく、冷凍鯨肉を用いて製造した改質鯨肉は、解凍時にドリップ除去が済んでいるので、改質処理した後に再冷凍を行っても、再解凍が簡単であるほか、改質処理の効果も失われることはなく、消費者にとって取り扱い易い商品を提供するものと言える。

Claims (4)

1〜5℃の冷温状態にあるドリップ液を含まない清浄化生鯨肉に、該清浄化生鯨肉に対して0.03〜0.08重量%となる量のヒアルロン酸化合物を有効成分として含む改質処理剤を、接触させてなることを特徴とする改質鯨肉。
前記ヒアルロン酸化合物が、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、又はそれらの混合物である、請求項1に記載の改質鯨肉。
前記改質処理剤が、コラーゲンタンパク質、ゼラチン、コラーゲンペプチド、又はそれらの混合物から選ばれたコラーゲン化合物を含む、請求項1に記載の改質鯨肉。
生鯨肉を1〜5℃の冷温飽和湿度環境下に保持してドリップ液を除去し清拭することで、ドリップ液を含まない清浄化冷温生鯨肉に転換する工程と、該清浄化生鯨肉に対して0.03〜0.08重量%のヒアルロン酸化合物を有効成分として含む改質処理剤を、該清浄化冷温生鯨肉に接触させる改質処理工程と、該改質処理冷温生鯨肉を1〜5℃の冷温飽和湿度環境下に冷蔵保存する工程とを含むことを特徴とする、改質鯨肉の製造法。
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