JP2016086770A - 加温販売用果汁入り容器詰め飲料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】果汁と、不溶性固形分と、発酵セルロースと、キサンタンガムと、を含む加温販売用果汁入り容器詰め飲料であって、当該加温販売用果汁入り容器詰め飲料の果汁含有率が、当該加温販売用果汁入り容器詰め飲料全量に対して、0.5%以上10%以下であり、前記発酵セルロースと、前記キサンタンガムとの合計含有量が、当該加温販売用果汁入り容器詰め飲料全量に対して、0.01質量%以上0.16質量%以下であり、当該加温販売用果汁入り容器詰め飲料全量に対する前記発酵セルロースの含有量をXとし、当該加温販売用果汁入り容器詰め飲料全量に対する前記キサンタンガムの含有量をYとした時、X/Yの値が、質量比で、0.1以上10以下であり、当該加温販売用果汁入り容器詰め飲料におけるクエン酸酸度が0.4質量%以上0.7質量%以下であり、かつ当該加温販売用果汁入り容器詰め飲料の甘味度がショ糖換算で12以上21以下である。
【選択図】なし
Description
しかし、透明果汁を配合した加温販売用果汁入り容器詰め飲料は、味が淡白で単調なものとなりがちであった。
こうした点を改善する手段として、透明果汁に代えて、果実由来のパルプを含む混濁果汁や、パルプおよび果実由来の精油を含むコミニュテッド果汁を用いることも考えられる。しかし、こうした果汁を用いた場合、風味については改善できるものの、保存安定性が著しく低下する傾向があった。一方で、増粘安定剤を加温販売用果汁入り容器詰め飲料中に配合した場合、当該飲料の保存安定性については改善できるものの、飲料の風味という観点において、果汁由来の風味を損なう、飲料自体の爽やかな風味が著しく低下するなどの不都合が生じる傾向があった。
不溶性固形分と、
発酵セルロースと、
キサンタンガムと、
を含む加温販売用果汁入り容器詰め飲料であって、
当該加温販売用果汁入り容器詰め飲料の果汁含有率が、当該加温販売用果汁入り容器詰め飲料全量に対して、0.5%以上10%以下であり、
前記発酵セルロースと、前記キサンタンガムとの合計含有量が、当該加温販売用果汁入り容器詰め飲料全量に対して、0.01質量%以上0.16質量%以下であり、
当該加温販売用果汁入り容器詰め飲料全量に対する前記発酵セルロースの含有量をXとし、当該加温販売用果汁入り容器詰め飲料全量に対する前記キサンタンガムの含有量をYとした時、X/Yの値が、質量比で、0.1以上10以下であり、
当該加温販売用果汁入り容器詰め飲料におけるクエン酸酸度が0.4質量%以上0.7質量%以下であり、かつ
当該加温販売用果汁入り容器詰め飲料の甘味度がショ糖換算で12以上21以下であることを特徴とする加温販売用果汁入り容器詰め飲料が提供される。
前記果汁の果汁含有率が、前記加温販売用果汁入り容器詰め飲料全量に対して、0.5%以上10%以下であり、
前記発酵セルロースと、前記キサンタンガムとの合計含有量が、前記加温販売用果汁入り容器詰め飲料全量に対して、0.01質量%以上0.16質量%以下であり、
前記加温販売用果汁入り容器詰め飲料全量に対する前記発酵セルロースの含有量をXとし、前記加温販売用果汁入り容器詰め飲料全量に対する前記キサンタンガムの含有量をYとした時、X/Yの値が、質量比で、0.1以上10以下である前記加温販売用果汁入り容器詰め飲料において、
前記加温販売用果汁入り容器詰め飲料におけるクエン酸酸度が0.4質量%以上0.7質量%以下となり、かつ前記加温販売用果汁入り容器詰め飲料の甘味度がショ糖換算で12以上21以下となるように調製することを特徴とする、加温販売用果汁入り容器詰め飲料の呈味改善方法が提供される。
本発明における加温販売用果汁入り容器詰め飲料は、果汁と、不溶性固形分と、発酵セルロースと、キサンタンガムと、を含む。この飲料における果汁の含有量、すなわち果汁含有量は、当該加温販売用果汁入り容器詰め飲料全量に対して、0.5%以上10%以下である。上記飲料において、発酵セルロースと、キサンタンガムとの合計含有量は、当該加温販売用果汁入り容器詰め飲料全量に対して、0.01質量%以上0.16質量%以下であり、かつ当該加温販売用果汁入り容器詰め飲料全量に対する発酵セルロースの含有量をXとし、当該加温販売用果汁入り容器詰め飲料全量に対するキサンタンガムの含有量をYとした時、X/Yの値が、質量比で、0.1以上10以下である。さらに、本発明における加温販売用果汁入り容器詰め飲料は、クエン酸酸度が0.4質量%以上0.7質量%以下であり、かつ甘味度がショ糖換算で12以上21以下である。こうすることで、良好な保存安定性と、優れた風味とを両立した加温販売用果汁入り容器詰め飲料を実現することができる。なお、本発明において「不溶性固形分」とは、果皮、果実パルプ分、果実の種等の、水に対して不溶性の固形成分を指す。また、本発明において、「加温販売用果汁入り容器詰め飲料全量」は、容器に詰められた加温販売用果汁入り飲料の全量を意味し、容器の重量を含まない。
具体的には、ショ糖1質量%の甘味度を1とし、この甘味度と等しい甘さを導き出す濃度をその甘味料の甘味度(ショ糖換算値)1とした。飲料に配合した各甘味成分について、それぞれ下記式(1)によりショ糖換算の甘味度を算出し、その合計値を飲料の甘味度(ショ糖換算値)とした。
式(1):(飲料に含まれる甘味成分の配合量(質量%))×(上記甘味成分に関する単位配合量当たりのショ糖換算の甘味度の値)
本発明において飲料の「酸度」は、飲料に含まれている酸の量をクエン酸の相当量として換算した値、すなわち、クエン酸酸度(質量%)として表した数値を指し、フェノールフタレイン指示薬と水酸化ナトリウムとを用いて以下の方法で滴定することにより算出したものとする。具体的には、200mL三角フラスコに対して5〜15gの飲料を正確に秤量し、水を用いて適宜希釈した後、上記飲料に対して1%フェノールフタレイン指示薬を数滴加えて撹拌する。次いで、三角フラスコ内の飲料溶液をマグネティックスターラーで撹拌しながら、25mLビューレットに入れた0.1Mの水酸化ナトリウムを上記飲料溶液に添加しながら滴定試験を実施する。この滴定試験は、三角フラスコ内の飲料溶液の色が、30秒間赤色を持続した点を終点とする。そして、クエン酸酸度(質量%)の値は、上記方法で行った滴定試験結果に基づき、次式によって算出する。なお、上記滴定試験は、フェノールフタレイン指示薬に代えて、水素イオン濃度計を用いて実施してもよい。この場合、滴定試験の終点は、三角フラスコ内の飲料溶液のpHが8.1になった時とする。
クエン酸酸度(質量%)=A×f×100/W×0.0064 (2)
[上記式(2)において、Aは、0.1M水酸化ナトリウム溶液の滴定量(mL)を示し、fは、0.1M水酸化ナトリウム溶液の力価を示し、Wは、飲料試料の質量(g)を示す。また、上記式(2)において乗算している「0.0064」という値は、1mLの0.1M水酸化ナトリウム溶液に相当する無水クエン酸の質量(g)を指す。]
ここで、従来の加温販売用果汁入り飲料は、クエン酸酸度が0.2質量%以上0.3質量%以下程度であり、かつ甘味度がショ糖換算で7以上15以下程度であるものが一般的であった。
本発明における果汁は、不溶性固形分を含むもの、すなわち不溶性固形分を含む果汁であることが好ましい。上記不溶性固形分を含む果汁は、一般に、混濁果汁、コミニュテッド果汁、又はピューレと呼ばれる果汁を指す。上記混濁果汁は、従来の加温販売用果汁入り飲料に配合されている透明果汁を得るために実施されるペクチン分解酵素処理を行うことなく得られた、果実由来のペクチンやパルプ分などがコロイド状をなして混濁している果汁を指す。上記コミニュテッド果汁は、混濁果汁の中でも、粉砕された果実の果皮やオイル分も含む果汁である。そのため、コミニュテッド果汁を飲料中に配合した場合には、果実本来のみずみずしい味わいを実現することができる。また、ピューレは、果実や野菜の搾汁液を裏ごししたものを指す。
本発明における飲料には、発酵セルロースとキサンタンガムとを含む増粘剤が配合される。発酵セルロースは、水に溶解しない細かな三次元網目構造を形成する増粘多糖類の1種である。この発酵セルロースは、高温条件下においても、低濃度、低粘度で種々の不溶性固形分を溶液中に分散させることが可能な増粘剤である。一方、キサンタンガムは、高温条件下においても、低濃度で高粘度であり、かつ優れた耐酸性をもちあわせた増粘多糖類の1種である。本発明においては、発酵セルロースおよびキサンタンガムという特定の2種の増粘剤を併用することにより、飲料中に含まれている不溶性固形分が、当該飲料を保管している際に沈殿、分離および凝集してしまうことを抑制することができる。これにより、果汁本来の風味を有し、かつ酸味と甘味をバランスよく両立した爽やかで濃厚な風味と、良好な保存安定性とを両立した果汁入り飲料を実現することができる。
本発明における飲料に配合する甘味成分は、公知の加温販売用飲料の製造に用いられている甘味成分であれば、適宜、選択して使用することができる。その具体例としては、果糖ぶどう糖液糖、砂糖(ショ糖やグラニュー糖を含む)、果糖、高果糖液糖、ぶどう糖、オリゴ糖、乳糖、はちみつ、水飴(麦芽糖)、糖アルコール、高甘味度甘味料等が挙げられる。中でも、本発明における飲料に配合する甘味成分としては、高甘味度甘味料を使用することが好ましい。こうすることで、従来から加温販売用果汁入り飲料の分野において公知の課題として挙げられていた、ショ糖を加温することによって引き起こされる品質劣化や液色の褐変等の問題が生じることを抑制することができる。また、甘味成分として、高甘味度甘味料を使用することにより、飲料のカロリー量を低減させることも可能である。高甘味度甘味料としては、アセスルファムカリウム、スクラロース、アスパルテーム、ネオテーム、ステビア抽出物等が挙げられる。なお、以上に述べた甘味成分は、飲料の甘味度をショ糖換算で12以上21以下に制御できれば、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。具体的には、本発明における飲料の甘味度がショ糖換算で12以上21以下となるように調製できるのであれば、たとえば、甘味度がショ糖換算で200のアセスルファムカリウムを、単独で使用してもよいし、甘味度がショ糖換算で600のスクラロースと上記アセスルファムカリウムとを併用してもよい。
本発明における飲料には、飲料に許容される各種添加剤、たとえば乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、レシチン等)、酸化防止剤(トコフェロール、塩酸システイン等)、色素(マリーゴールド色素、カロチノイド色素、アントシアニン色素、カラメル色素、各種合成着色料等)、香料、酸味料(クエン酸、アジピン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、又はそれらの塩類等)、保存料、防腐剤、防かび剤などを含有してもよい。また、健康機能の増強を期待して、ビタミン類(ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンE等)やミネラル類(カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム等)、食物繊維等の各種機能成分を添加してもよい。
さらに、従来の加温販売用果汁入り飲料においては、上述した味が淡白で単調なものになるという風味の問題とともに、当該飲料の保存安定性を改善する手段として、果実パルプ分等の不溶性固形分を含む果汁とともに、発酵セルロースおよびキサンタンガムという特定の増粘剤を併用することも考えられていた。しかし、不溶性固形分を含む果汁とともに、発酵セルロースおよびキサンタンガムという特定の増粘剤を併用した場合、飲料の保存安定性については改善できるものの、増粘剤由来のとろみやもったりとした味わいになり果汁本来の風味が損なわれてしまうため、依然として、風味面に改善の余地を有していた。
良好な保存安定性と、優れた風味とを両立した本発明における飲料を実現するためは、当該飲料中における発酵セルロースとキサンタンガムという特定の2種の増粘剤の分散溶解状態を適切に調製することが重要である。具体的には、本発明における飲料を実現するためは、飲料溶液に対して添加する増粘剤溶液を調製する際の溶媒温度、上記増粘剤溶液における増粘剤の溶解濃度、飲料溶液に対して増粘剤溶液を添加した後に行う均質化処理の温度や圧力等の各種因子を高度に制御することが重要である。ただし、本発明における飲料の製造方法は、上記特定の2種の増粘剤の分散溶解状態を適切に調製するという点を除けば、公知の加温販売用飲料の製造方法を用いることができる。
発酵セルロースとキサンタンガムという特定の2種の増粘剤を含む増粘剤溶液は、上記2種の増粘剤を別々に水又は温水に溶解して調製してもよいし、予め粉体の状態にある上記2種の増粘剤を混合し、得られた混合物を水又は温水に溶解して調製してもよい。この増粘剤溶液における上記2種の増粘剤の溶解濃度は、最終生成物である飲料中に上記2種の増粘剤を適切に分解溶解できるのであれば、特に限定されないが、好ましくは、0.3質量%以上5質量%以下であり、より好ましくは、0.4質量%以上3質量%以下である。また、増粘剤溶液の調製に温水を使用する場合、当該温水の温度は、好ましくは、40℃以上80℃以下とすることが好ましい。このように、温水を用いて増粘剤溶液の調製を行った場合、得られた増粘剤溶液を常温に冷却後、他の製造原料と混合することにより、果汁本来の風味や他製造原料の品質を損なうことなく、良好な保存安定性を有する飲料を実現することができる。
本発明の飲料を製造する際には、当該飲料中における上記特定の2種の増粘剤の分散溶解状態を良好な状態に制御するため、上記(1)で説明した増粘剤溶液、不溶性固形分を含む果汁、及びそれらの混合物に対して、たとえば、ホモジナイザーにより均質化処理を行ってもよい。こうすることで、より一層保存安定性に優れた飲料を実現することができる。この均質化処理の条件は、温度が、5℃以上60℃以下であることが好ましく、圧力が5MPa以上50MPa以下であることが好ましい。
本発明における加温販売用果汁入り容器詰め飲料は、果汁と、不溶性固形分と、発酵セルロースと、キサンタンガムと、を含む。この飲料における果汁の含有量、すなわち果汁含有量は、当該飲料全量に対して、0.5%以上10%以下である。そして、本発明における加温販売用果汁入り容器詰め飲料において、発酵セルロースと、キサンタンガムとの合計含有量は、当該加温販売用果汁入り容器詰め飲料全量に対して、0.01質量%以上0.16質量%以下であり、かつ当該加温販売用果汁入り容器詰め飲料全量に対する発酵セルロースの含有量をXとし、加温販売用果汁入り容器詰め飲料全量に対する前記キサンタンガムの含有量をYとした時、X/Yの値が、質量比で、0.1以上10以下である。本発明における呈味改善方法は、上述した特定の配合組成からなる飲料において、クエン酸酸度が0.4質量%以上0.7質量%以下となるように調製し、かつ甘味度が12以上21以下となるように調製するものである。こうすることで、加温販売用果汁入り容器詰め飲料の風味を、従来の飲料と比べて、良好なものとすることができる。
表1に示す配合に従って飲料原料を混合して得られたレモン果汁入り飲料を加熱殺菌した後、200g缶にホットパック充填することで、実施例1、参考例1および比較例1〜6の加温販売用レモン果汁入り容器詰め飲料を作製した。
以下の(A)または(B)のいずれかの果汁を水で希釈して果汁溶液を調製した後、得られた上記果汁溶液に対して、グラニュー糖、還元水飴、はちみつ、スクラロース、マリーゴールド色素、アセスルファムカリウムおよびL−アスコルビン酸を添加混合した。次いで、得られた混合溶液に対して無水クエン酸およびクエン酸三ナトリウムを添加して、pHが3.4となるように調整した。次に、pHを調整して得られた溶液に対して、発酵セルロース(三栄源FFI社製、サンアーティストPG、発酵セルロース含有量:20%)とキサンタンガム(三栄源FFI社製、サンエースNXG−S(CP))をそれぞれ所定量ずつ添加した。その後、イオン交換水を用いて全量が10kgとなるように調整してから、15℃、15MPaという条件下、ホモジナイザーを用いて均質化処理をおこなった。このようにして得られたレモン果汁入り飲料は、65℃で10分間と同等以上の殺菌価を有する加熱殺菌を実施した後、200g缶にホットパック充填してから、室温(25℃)まで冷却し、後述する評価に用いた。なお、レモン果汁の果汁含有率は、いずれも3%となるように調整した。
(A)市販のレモンコミニュテッド果汁(Brix:22、クエン酸酸度:7質量%、不溶性固形分含有量:10質量%)
(B)市販のレモン透明果汁(Brix:40、クエン酸酸度:30質量%)
官能評価試験1(爽やかさ):実施例1、参考例1および比較例1〜6の加温販売用レモン果汁入り容器詰め飲料を、熟練した5名のパネラーが試飲することにより、以下の評価基準に従って評価を実施し、その平均点を求めた。
0点:爽やかさが、ない
2点:爽やかさが、わずかにある
4点:爽やかさが、ややある
6点:爽やかさが、ある
8点:爽やかさが、かなりある
0点:果汁感が、ない
2点:果汁感が、わずかにある
4点:果汁感が、ややある
6点:果汁感が、ある
8点:果汁感が、かなりある
0点:もったりしているとは、思わない
2点:やや、もったりしているとは思わない
4点:どちらとも言えない
6点:やや、もったりしていると思う
8点:もったりしていると思う
0点:悪い
2点:やや悪い
4点:どちらとも言えない
6点:やや良い
8点:良い
クエン酸酸度(質量%)=A×f×100/W×0.0064 (2)
[上記式(2)において、Aは、0.1M水酸化ナトリウム溶液の滴定量(mL)を示し、fは、0.1M水酸化ナトリウム溶液の力価を示し、Wは、飲料試料の質量(g)を示す。また、上記式(2)において乗算している「0.0064」という値は、1mLの0.1M水酸化ナトリウム溶液に相当する無水クエン酸の質量(g)を指す。]
式(1):(飲料に含まれる甘味成分の配合量(質量%))×(上記甘味成分に関する単位配合量当たりのショ糖換算の甘味度の値)
表2に示す配合に従って飲料原料を混合して得られたレモン果汁入り飲料を加熱殺菌した後、200g缶にホットパック充填することで、実施例2〜4、比較例7および8の加温販売用レモン果汁入り容器詰め飲料を作製した。なお、各レモン果汁入り容器詰め飲料の作製方法は、上述した実施例1、参考例1および比較例1〜6と同様の方法を用いた。
0点:レモネード飲料らしさが、ない
2点:レモネード飲料らしさが、わずかにある
4点:レモネード飲料らしさが、ややある
6点:レモネード飲料らしさが、ある
8点:レモネード飲料らしさが、かなりある
0点:濃さが、ない
2点:濃さが、わずかにある
4点:濃さが、ややある
6点:濃さが、ある
8点:濃さが、かなりある
0点:甘味の強さが、弱い
2点:甘味の強さが、やや弱い
4点:甘味の強さが、丁度良い
6点:甘味の強さが、やや強い
8点:甘味の強さが、強い
0点:酸味の強さが、弱い
2点:酸味の強さが、やや弱い
4点:酸味の強さが、丁度良い
6点:酸味の強さが、やや強い
8点:酸味の強さが、強い
図1および2に示すように、比較例7の飲料は、爽やかさ、果汁感、レモネード飲料らしさ、濃さおよび全体の風味という点において、バランスに欠けるものであった。これは、甘味や酸味が不足しているため、果汁のみずみずしい風味が損なわれたことによるものと考えられる。一方で比較例8の飲料は、爽やかさおよび全体の風味という点において、バランスに欠けるものであった。これは、甘味や酸味が強すぎるためであると考えられる。一方、実施例2〜4の飲料は、果汁感、レモネード飲料らしさ、濃さおよび全体の風味という点において、バランスに優れたものであった。
表3に示す配合に従って飲料原料を混合して得られたレモン果汁入り飲料を加熱殺菌した後、200g缶にホットパック充填することで、実施例5〜8、比較例9〜10の加温販売用レモン果汁入り容器詰め飲料を作製した。なお、各レモン果汁入り容器詰め飲料の作製方法は、上述した実施例1、参考例1および比較例1〜6と同様の方法を用いた。ただし、比較例10の飲料については、発酵セルロースとキサンタンガムに代えて、高メトキシルペクチン(HMペクチン)を増粘剤として使用した。
++:沈殿がかなり目立つ
+:沈殿がやや目立つ
±:沈殿がわずかにあるが目立たない
−:沈殿が生じていない
++:凝集がかなり目立つ
+:凝集がやや目立つ
±:凝集がわずかにあるが目立たない
−:凝集が生じていない
表4に示す配合に従って飲料原料を混合して得られたレモン果汁入り飲料およびユズ果汁入り飲料を加熱殺菌した後、200g缶にホットパック充填することで、実施例9および比較例11の加温販売用レモン果汁入り容器詰め飲料と、実施例10および比較例12の加温販売用ユズ果汁入り容器詰め飲料を作製した。
以下の(A)〜(E)に示すいずれかの果汁を水で希釈して果汁溶液を調製した後、得られた上記果汁溶液に対して、グラニュー糖、還元水飴、はちみつ、スクラロース、マリーゴールド色素、アセスルファムカリウムおよびL−アスコルビン酸を添加混合した。次いで、得られた混合溶液に対して無水クエン酸およびクエン酸三ナトリウムを添加して、pHが3.4となるように調整した。次に、pHを調整して得られた溶液に対して、発酵セルロース(三栄源FFI社製、サンアーティストPG)とキサンタンガム(三栄源FFI社製、サンエースNXG−S(CP))をそれぞれ所定量ずつ添加した。その後、イオン交換水を用いて全量が10kgとなるように調整してから、15℃、15MPaという条件下、ホモジナイザーを用いて均質化処理をおこなった。このようにして得られた各果汁入り飲料は、65℃で10分間と同等以上の殺菌価を有する加熱殺菌をした後、200g缶にホットパック充填してから、室温(25℃)まで冷却し、後述する評価に用いた。なお、レモン果汁およびユズ果汁の果汁含有率は、いずれも3%となるように調整した。
(A)市販のレモンコミニュテッド果汁(Brix:22、クエン酸酸度:7質量%、不溶性固形分含有量:10質量%)
(B)市販のレモン透明果汁(Brix:40、クエン酸酸度:30質量%)
(C)市販のレモン混濁果汁(Brix:37、クエン酸酸度:24、不溶性固形分含有量:2.55質量%)
(D)市販のユズ透明果汁(Brix:24、クエン酸酸度:15質量%)
(E)市販のユズ混濁果汁(Brix:8、クエン酸酸度:5質量%、不溶性固形分含有量:0.15質量%)
また、実施例10の加温販売用ユズ果汁入り容器詰め飲料は、沈殿や凝集が生じない保存安定性の面で要求水準を満たすものであり、もったりしているか否かという点、さらには爽やかさという点において、パネラーによる評価点が良好なバランスに優れたものであった。
Claims (8)
- 果汁と、
不溶性固形分と、
発酵セルロースと、
キサンタンガムと、
を含む加温販売用果汁入り容器詰め飲料であって、
当該加温販売用果汁入り容器詰め飲料の果汁含有率が、当該加温販売用果汁入り容器詰め飲料全量に対して、0.5%以上10%以下であり、
前記発酵セルロースと、前記キサンタンガムとの合計含有量が、当該加温販売用果汁入り容器詰め飲料全量に対して、0.01質量%以上0.16質量%以下であり、
当該加温販売用果汁入り容器詰め飲料全量に対する前記発酵セルロースの含有量をXとし、当該加温販売用果汁入り容器詰め飲料全量に対する前記キサンタンガムの含有量をYとした時、X/Yの値が、質量比で、0.1以上10以下であり、
当該加温販売用果汁入り容器詰め飲料におけるクエン酸酸度が0.4質量%以上0.7質量%以下であり、かつ
当該加温販売用果汁入り容器詰め飲料の甘味度がショ糖換算で12以上21以下であることを特徴とする加温販売用果汁入り容器詰め飲料。 - 高甘味度甘味料を含むことを特徴とする、請求項1に記載の加温販売用果汁入り容器詰め飲料。
- 前記果汁が、柑橘類果実の果汁を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の加温販売用果汁入り容器詰め飲料。
- 前記不溶性固形分が、果皮、果実パルプ分および果実の種からなる群より選択される1種以上である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の加温販売用果汁入り容器詰め飲料。
- 当該加温販売用果汁入り容器詰め飲料中の前記不溶性固形分の含有量が、当該加温販売用果汁入り容器詰め飲料全量に対して、0.0001質量%以上20質量%以下である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の加温販売用果汁入り容器詰め飲料。
- 果汁と、不溶性固形分と、発酵セルロースと、キサンタンガムと、を含む加温販売用果汁入り容器詰め飲料の呈味改善方法であって、
前記果汁の果汁含有率が、前記加温販売用果汁入り容器詰め飲料全量に対して、0.5%以上10%以下であり、
前記発酵セルロースと、前記キサンタンガムとの合計含有量が、前記加温販売用果汁入り容器詰め飲料全量に対して、0.01質量%以上0.16質量%以下であり、
前記加温販売用果汁入り容器詰め飲料全量に対する前記発酵セルロースの含有量をXとし、前記加温販売用果汁入り容器詰め飲料全量に対する前記キサンタンガムの含有量をYとした時、X/Yの値が、質量比で、0.1以上10以下である前記加温販売用果汁入り容器詰め飲料において、
前記加温販売用果汁入り容器詰め飲料におけるクエン酸酸度が0.4質量%以上0.7質量%以下となり、かつ前記加温販売用果汁入り容器詰め飲料の甘味度がショ糖換算で12以上21以下となるように調製することを特徴とする、加温販売用果汁入り容器詰め飲料の呈味改善方法。 - 前記加温販売用果汁入り容器詰め飲料が、高甘味度甘味料を含む、請求項6に記載の加温販売用果汁入り容器詰め飲料の呈味改善方法。
- 前記果汁が、柑橘類果実の果汁を含む、請求項6または7に記載の加温販売用果汁入り容器詰め飲料の呈味改善方法。
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