JP2015216846A - 大豆食品の風味付与剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】
大豆特有の風味、コク味および豆の濃厚感を付与、増強することが可能な大豆風味付与剤を提供し、大豆を原料素材とする食品に対して大豆本来の風味を増強し、おいしい大豆食品を提供する。
【解決手段】
豆乳中の脂肪分をリパーゼで処理した組成物、この組成物に一定量の食用植物油脂を添加した組成物、または、豆乳にあらかじめ一定量の食用植物油脂を添加し、リパーゼで処理した組成物を大豆風味付与剤として使用する。本発明の大豆風味付与剤は大豆を原料素材とする食品に添加することにより大豆特有の風味、コク味および濃厚感を付与または増強することができる。また、リパーゼ処理反応時に食塩を添加すると、酵素反応時および製品の保管時に微生物増殖が抑制される。
【選択図】なし

Description

本発明は、大豆を原料素材とする食品に、大豆特有の風味、コク味および濃厚感を付与または増強することを目的とした豆乳リパーゼ処理物を有効成分とする大豆風味付与剤に関する。
近年、消費者の健康志向、高齢者人口の増加などの要因から低カロリー、低脂肪の食品素材が注目されている。なかでも、大豆は低カロリーで植物性の蛋白質と繊維を多く含み、各種のビタミンなどの必須栄養素も含むことから注目されている食品素材である。
大豆を原料とする食品には豆腐、油揚げ、煎った大豆を原料としたきな粉、発酵食品である納豆、発酵調味料である味噌、醤油などがありとりわけ、味噌、醤油は日本食を代表する調味料として全世界で認知されている。
水に浸した大豆をすりつぶし、煮つめた汁を漉して得られる豆乳は牛乳に似た外観と食味を有するが、牛乳に比べて低脂肪、低カロリーであり、さらに機能性成分であるイソフラボンなどを含み、健康飲料として注目されている。また、豆乳中の大豆蛋白を利用した加工食品も開発され、低脂肪、低カロリーの食品として注目されている。
しかし、豆乳には特有の青臭さと苦味があり、消費拡大の阻害要因となっている。青臭みの原因は大豆内在酵素であるリポキシゲナーゼと不飽和脂肪酸から生成するヘキセナール、ヘキサナールなどのアルデヒド化合物に由来し、苦味は大豆中のグループAアセチルサポニンに由来するとされている。
豆乳食品の消費拡大のため、これら阻害要因を解消するべく内在リポキシゲナーゼが欠損した大豆品種の開発、豆乳製造工程の改良により青臭みや苦味の低減された製品が開発され、豆乳の消費拡大と大豆蛋白を利用した製品に応用されている。
一方、青臭・苦味の低減された豆乳製品は、大豆本来の風味、コク味の不足、牛乳と比較すると低脂肪であることから、飲料としての飲み応え感の不足などの問題点が存在する。この点を補う目的で成分調整豆乳や豆乳飲料が開発されている。
その他、大豆由来の製品に関する技術が数多く開示されている。例えば、大豆に含まれる蛋白質に注目し、蛋白分解酵素であるプロテアーゼを応用し、大豆蛋白質を分解した豆乳を食品素材として利用する方法(特許文献1)、豆乳中の大豆蛋白質をプロテアーゼ処理した大豆食品用風味改良剤(特許文献2)、豆乳の乳酸菌発酵時にプロテアーゼを共存させた発酵豆乳が開示されている(特許文献3)。しかし、プロテアーゼを用いた場合、生成したアミノ酸、ペプチドにより大豆本来の味に変化が生じる問題点がある。
また、脂質分解酵素であるリパーゼを応用した技術については、大豆蛋白質をリパーゼ処理し、リパーゼ分解物を除去した蛋白質を利用する方法(特許文献4)、生大豆に酸素供給下にリパーゼ処理し青臭香味物質を得る方法(特許文献5)、酵素分解した大豆蛋白にリパーゼ処理を行ったパン風味剤(特許文献6)が考案されている。
しかしながら、リパーゼを用いた技術の目的は、大豆脂質から生成する青臭の利用、除去であり、大豆本来の風味を積極的に増強・付与する技術については知られていない。
特公平3−65746号 特開2007−312626号 特開平7−147898号 特開平6−30710号 特開昭62−130661号 国際公開第2006/088043号
本発明の目的は、大豆特有の風味、コク味および濃厚感を付与、または、増強することが可能な大豆風味付与剤を提供し、大豆を原料素材とする食品に対して大豆本来の風味を付与または増強し、おいしい大豆食品を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を行い、大豆食品特有の風味の発現には、大豆中の脂肪分と脂肪酸の存在が重要なファクターであると予想した。そこで、大豆油をリパーゼで油脂の約2/3分解した大豆油リパーゼ処理物を大豆食品に添加し、大豆風味付与剤としての効果を調べた結果、コク味・濃厚感が感じられたものの、脂肪酸に由来するエグ味が前面に感じられ十分な効果が得られなかった。
そこで、大豆から得られる豆乳中の脂肪分をリパーゼ処理した組成物、あるいは、この組成物に分解前の豆乳の脂肪含量に相当する量または過剰する量の食用植物油脂を添加した組成物を調製したところ、豆乳などの大豆を原料素材とする食品に大豆特有の風味、コク味および濃厚感を付与または増強することを見いだした。また豆乳にあらかじめ食用植物油脂を添加し、リパーゼ処理した分解物も同様の効果を持つことを見いだした。
さらに、検討を行った結果、リパーゼ反応時に食塩を添加することにより酵素反応時および上記工程で得られた製品の保管時に微生物増殖が抑制された大豆風味付与剤となることを見いだし、本発明を完成するに至った。
かくして本発明は以下の通りである。
(1)豆乳のリパーゼ処理物からなる大豆風味付与剤。
(2)豆乳のリパーゼ処理物に食用植物油脂を添加して得られる大豆風味付与剤。
(3)豆乳に食用植物油脂を添加した後、リパーゼ処理して得られる大豆風味付与剤。
(4)添加する食用植物油脂が豆乳100質量部に対して0.5〜20質量部である(2)または(3)に記載の大豆風味付与剤。
(5)リパーゼ処理前に豆乳100質量部に対し10〜25質量部の食塩を添加した(1)〜(4)のいずれか1項に記載の大豆風味付与剤。
(6)添加する食用植物油脂が大豆油である(2)〜(5)のいずれか1項に記載の大豆風味付与剤。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載の大豆風味付与剤を有効成分として添加した風味付与剤組成物。
(8)(1)〜(6)のいずれかに記載の大豆風味付与剤を添加した飲食品。
(9)(7)に記載の風味付与剤組成物を添加した飲食品。
本発明の豆乳を原料として調製した大豆風味付与剤は、大豆を原料素材とする飲食品に添加することにより、従来の飲食品に不足していた大豆特有の風味、コク味および濃厚感を付与、または、増強することができる。また、酵素反応時に食塩を添加したことにより、酵素反応時および製品保管時に微生物に対する安定性(増殖の抑制など)を持つ大豆風味付与剤である。
以下、本発明について詳細に説明する。
豆乳は生大豆を水に浸してすりつぶし、水を加えて煮つめ、固形分を濾過した飲料であり、日本農林規格(JAS規格)により、大豆由来の固形成分量(大豆タンパク質含量)などが定められている。また、豆乳を飲みやすくするために、砂糖を加えるなど、成分を調製し味を調えた豆乳を調製豆乳、果汁、香料などを添加し、加工された製品は豆乳飲料として販売されている。本発明で大豆風味付与剤の原料として使用する豆乳は成分を調製していない豆乳(無調整豆乳)を使用する。
使用するリパーゼは、特に制限されるものではなく、例えば、アスペルギルス属、リゾムコール属、リゾープス属、ペニシリウム属、キャンディダ属、ピキア属、クロモバクテリウム属、アルカリゲネス属、ストレプトマイセス属、アクチノマデュラ属、バチラス属などの各種微生物から採取されるリパーゼ;豚の膵臓から得られるリパーゼ、子ヤギ、子ヒツジ、子牛の口頭分泌腺から採取したオーラルリパーゼなどを適宜利用することができる。また、市販品としてはニューラーゼ(登録商標)F、リパーゼA「アマノ」6、リパーゼAY「アマノ」30SD、リパーゼG「アマノ」50、リパーゼR「アマノ」、リパーゼDF「アマノ」15、リパーゼMER「アマノ」 (以上、天野エンザイム(株)社製);リパーゼMY、リパーゼOF、リパーゼPL、リパーゼQLM、リパーゼTL(以上、名糖産業(株)社製);リパーゼA−10D、リパーゼサイケン(登録商標)(以上、ナガセケムテックス(株)社製);豚膵臓リパーゼ(シグマアルドリッチジャパン(株)社製);パラターゼ、レシターゼ(登録商標)(ノボザイムズジャパン(株)社製);スミチーム(登録商標)NSL、スミチーム(登録商標)RLS、スミチーム(登録商標)ALS(新日本化学(株)社製);ピカンターゼA、ピカンターゼAN、ピカンターゼR800、ピカンターゼC3X、ピカンターゼK、ピカンターゼKL(以上、ディー・エス・エムジャパン(株)社製);エンチロンAKG(洛東化成工業(株)社製)などを例示することができる。これらのリパーゼは単独または数種組み合わせて利用することもできる。
リパーゼの使用量は酵素製品特有の力価に依存するが、豆乳100質量部に対して0.01〜10質量部を添加する。反応温度は使用するリパーゼ固有の酵素至適温度によるが、一般的に30℃〜45℃、好ましくは40℃近辺の温度で反応する。
豆乳は「五訂増補日本食品標準成分表(本表)」によると約2質量%の脂肪を含む、例えば、リパーゼAY(天野エンザイム社製)を豆乳に対して2質量%添加すると約4時間で、豆乳脂肪が完全に分解される。工業的な観点から高価な酵素の使用量を削減し、豆乳に0.2質量%添加した場合、豆乳脂肪が完全に分解されるまで20〜24時間の反応時間が必要となる。
ここで、豆乳に対して長時間の酵素処理を行うと、時間と共に雑菌の増殖が観察され、風味も著しく劣化する。この状況を回避するためリパーゼ添加と同時に食塩を加え、水分活性を低下させることにより、微生物の増殖を防ぎ、長時間の酵素処理が可能となる。
加える食塩は豆乳100質量部に対して10〜25質量部を例示することができるが、好ましくは15〜20質量部の食塩を添加する。食塩を添加することにより長時間の酵素処理が可能となる点、および、製品保管時に微生物安定性が保たれた大豆風味付与剤が得られる。
このようにして得られた豆乳リパーゼ処理物を大豆風味付与剤として使用すると、大豆特有の風味、コク味および濃厚感を付与、または、増強することが可能となる。
また、本発明では、豆乳のリバーゼ処理物に食用植物油脂を加えることで、さらにコク味・濃厚感を高めた大豆風味付与剤を得ることができる。豆乳リパーゼ処理物に添加する食用植物油脂は日本農林規格(JAS規格)で定められた食用植物油脂であれば特に種類は限定されず、使用する食品の特性に応じて、食用大豆油、食用サフラワー油、食用ごま油、食用オリーブ油、食用パーム油、食用なたね油、食用とうもろこし油、食用こめ油などを使用することができる。これらのうち、大豆風味を付与する目的には、食用大豆油または特有の風味を持たない食用サフラワー油、食用こめ油などを使用することが好ましい。
豆乳または豆乳リパーゼ処理物に添加する食用植物油脂の量は原料豆乳100質量部に対して0.5〜20質量部、好ましくは1〜15質量部の範囲とすることができる。この範囲内の添加量で、大豆風味付与剤の大豆特有の風味、コク味・濃厚感を付与する効果を高めることができる。添加量が20質量部を超えても大豆風味付与剤として使用することができるが、添加した油脂の風味を感じるようになり好ましくない。
豆乳リパーゼ処理物からなる大豆風味付与剤、または、豆乳リパーゼ処理物に食用植物油脂を添加して得られる大豆風味付与剤は、このまま食品に添加することも可能であるが、乳化剤を添加し、乳化装置で均質化して使用してもよい。使用する乳化剤については特に制約は無く、合成脂肪酸エステル類、各種レシチン、キサンタンガムなどを使用することができる。
さらにまた、本発明においては豆乳にあらかじめ大豆油などの食用植物油脂を加え、豆乳脂肪と添加した食用植物油脂との総和脂肪(全脂肪と定義)の一定量をリパーゼで分解し、豆乳脂肪と食用植物油脂および豆乳脂肪リパーゼ処理物と食用植物油脂リパーゼ処理物の混合物を大豆風味付与剤とすることもでき、豆乳を単独でリパーゼ処理したものよりも、はるかにコク味・濃厚感付与効果の高い大豆風味付与剤を得ることができる。
食用植物油脂を添加した豆乳をリパーゼ処理して得られる大豆風味付与剤は、分解により生成したリパーゼ処理物の含量が風味に影響を与えるので、通常、全脂肪の40%〜80%、好ましくは50%〜70%を分解する。この場合に添加する食用植物油脂の添加量も、前記の豆乳または豆乳リパーゼ処理後に添加する食用植物油脂の量と同様に、原料豆乳100質量部に対して、0.5〜20質量部、好ましくは1〜15質量部である。
添加した食用植物油脂の量が多く、全脂肪の分解率が低い場合は食用植物油脂に由来する油脂感が強く感じられ、一方、分解率を高くした場合は食用植物油脂のリパーゼ処理物に由来するエグ味が強く感じられ大豆風味付与剤としての質の低下が起きる。豆乳にあらかじめ添加する食用植物油脂は、前述の、豆乳のリパーゼ処理後に添加することができる各種食用植物油脂が使用できるが、食用大豆油、食用サフラワー油、食用こめ油が特に好ましい。
食用植物油脂を添加した豆乳リパーゼ処理物からなる大豆風味付与剤は、このまま食品に添加することも可能であるが、乳化剤を添加し、乳化装置で均質化し使用してもよい。使用する乳化剤については特に制約は無く、合成脂肪酸エステル類、各種レシチン、キサンタンガムなどを使用することができる。
以上の本発明により得られる大豆風味付与剤は、大豆独特の風味、コク味および濃厚感を有しており、大豆を原料素材とする食品に添加することにより、大豆特有の風味、コク味および濃厚感を付与、または、増強することが可能である。
本発明の大豆風味付与剤を添加する食品は、大豆を原料素材とする食品、例えば、豆乳、調製豆乳、豆乳飲料、豆腐、湯葉、厚揚げ、油揚げなどが挙げられる。また、大豆を原料素材とする発酵食品、例えば、醤油、味噌、発酵豆乳などを挙げることができる。また、大豆蛋白を利用したプリンなどのデザート、ハンバーグなどの食品に添加して大豆特有の風味、コク味および濃厚感を付与、または、増強することができる。特に、プロテアーゼなどで酵素処理された大豆蛋白を利用した加工食品、各種飲料、乳製品、菓子類に添加することにより、大豆特有の風味、コク味および濃厚感を付与、または、増強することができる。
本発明の大豆風味付与剤を食品に添加する際の添加量は、食品中に10ppm〜5000ppm、好ましくは50ppm〜500ppmの範囲を例示することができる。
また、本発明の大豆風味付与剤には食品添加物として、甘味料、着色料、保存料、増粘剤、安定剤、ゲル化剤、糊剤、酸化防止剤、酸味料、調味料、栄養強化剤などを加えることができる。さらにまた、本発明では、前記の本発明の大豆風味付与剤に対し、さらに香料として、柑橘系、果実系、ミント系、スパイス系、ナッツ系、ミート系、ミルク系、水産物系、野菜系、茶・コーヒー系、バニラ系などの食品用香料を添加した風味付与剤組成物を調製することもできる。
本発明の風味付与剤組成物において、大豆風味付与剤と共に添加可能な他の香料成分としては、「特許庁、周知慣用技術集(香料)第II部食品香料、頁8−87、平成12年1月14日発行」に記載されている合成香料、天然精油、天然香料、動植物エキスなどであり、例えば、ミルセン、カンフェン、リモネン、ターピノレン、1,3,5−ウンデカトリエンなどの炭化水素類;エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、(Z)−3−ヘキセン−1−オール、オクタノール、1−オクテン−3−オール、ノナノール、2,6−ノナジエノール、デカノール、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、メントール、ターピネオール、ファルネソール、ネロリドール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、フルフリルアルコール、などのアルコール類;アセトアルデヒド、プロパナール、ブタナール、2−ブテナール、ヘキサナール、(E)−2−ヘキセナール、オクタナール、4−ヘプテナール、2,4−オクタジエナール、ノナナール、2−ノネナール、2,4−ノナジエナール、2,6−ノナジエナール、デカナール、2,4−デカジエナール、2,4−ウンデカジエナール、ドデカナール、シトロネラール、シトラール、ベンズアルデヒド、シンナミルアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、フルフラールなどのアルデヒド類;2−ヘプタノン、2−オクタノン、3−オクタノン、1−オクテン−3−オン、2−ノナノン、3−ノナノン、8−ノネン−2−オン、2−ウンデカノン、2−トリデカノン、アセトイン、5−ヒドロキシ−4−オクタノン、ジアセチル、2,3−ペンタジオン、2,3−ヘキサジオン、2,3−ヘプタジオン、カルボン、メントン、ヌートカトン、β−ダマセノン、マルトール、エチルマルトール、2,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−3(2H)−フラノンなどのケトン類;ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、酢酸デシル、酢酸ドデシル、酢酸リナリル、酢酸ゲラニル、酢酸メンチル、酢酸フェネチル、乳酸エチル、酪酸エチル、2−メチル酪酸エチル、3−エチル酪酸エチル、吉草酸メチル、カプロン酸メチル、カプロン酸エチル、ヘプタン酸メチル、ヘプタン酸エチル、カプリル酸エチル、カプリル酸イソアミル、カプリル酸ヘプチル、ノナン酸メチル、ノナン酸エチル、カプリン酸メチル、カプリン酸エチル、ウンデカン酸エチル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、ミリスチン酸エチル、パルミチン酸エチル、サリチル酸メチル、コハク酸ジエチル、セバシン酸ジエチル、5−ヒドロキシヘキサン酸エチル、5−ヒドロキシデカン酸エチル、5−ヒドロキシウンデカン酸エチル、5−ヒドロキシデカン酸プロピル、5−ヒドロキシデカン酸イソプロピル、5−ヒドロキシオクタン酸2−メチルプロピル、5−ヒドロキシ−9−メチルデカン酸エチル、5−アセトキシデカン酸メチル、5−アセトキシデカン酸エチルなどのエステル類;γ−カプロラクトン、γ−ヘプタラクトン、γ−オクタラクトン、γ−ノナラクトン、γ−デカラクトン、7−デセン−4−オリド、3−メチル−4−デセン−4−オリド、3−メチル−5−デセン−4−オリド、γ−ウンデカラクトン、γ−ドデカラクトン、γ−トリデカラクトン、γ−テトラデカラクトン、δ−カプロラクトン、2−ヘキセン−5−オリド、2−ヘプテン−5−オリド、δ−オクタラクトン、2−オクテン−5−オリド、4−メチル−5−オクタノリド、δ−ノナラクトン、2−ノネン−5−オリド、4−メチル−5−ノナノリド、δ−デカラクトン、2−デセン−5−オリド、4−メチル−5−デカノリド、δ−ウンデカラクトン、2−ウンデセン−5−オリド、4−メチル−5−ウンデカノリド、δ−ドデカラクトン、2−ドデセン−5−オリド、4−メチル−5−ドデカノリド、δ−トリデカラクトン、2−トリデセン−5−オリド、4−メチル−5−トリデカノリド、δ−テトラデカラクトン、2−テトラデセン−5−オリド、2−ペンタデセン−5−オリド、2−ヘキサデセン−5−オリド、2−ヘプタデセン−5−オリド、2−オクタデセン−5−オリド、2−ノナデセン−5−オリド、2−エイコセン−5−オリド、ε−デカラクトンなどのラクトン類;ローズオキシド、リナロールオキシド、メントフラン、テアスピランなどのエーテル類;プロピオン酸、酪酸、2−メチル酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、カプロン酸、トランス−2−ヘキセン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ノナン酸、5−ヒドロキシノナン酸、カプリン酸、2−デセン酸、4−デセン酸、5−デセン酸、6−デセン酸、9−デセン酸、5−ヒドロキシデカン酸、5−ヒドロキシウンデカン酸、5−ヒドロキシドデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、イソペンタデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの脂肪酸類;メチルアントラニレート、トリメチルアミン、インドール、スカトール、ピリジン、イソキノリン、ピラジン、メチルピラジンなどの含窒素化合物類;メタンチオール、イソブチルメルカプタン、2,4−ジチアペンタン、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、ジメチルトリスルフィド、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルフォン、メチルスルフォニルメタン、メチルイソチオシアネート、エチルイソチオシアネート、アリルイソチオシアネート、2−メチル−3−ブタンチオール、メチオナール、チオ酢酸エチル、チオ酪酸メチル、3−ブテニルイソチオシアネート、2−メチルチオフェン、ベンゾチアゾール、スルフロール、アセチル乳酸チオメチルエステル、プロピオニル乳酸チオメチルエステル、ブチリル乳酸チオメチルエステル、バレリル乳酸チオメチルエステル、2−メチルブチリル乳酸チオメチルエステル、デシリル乳酸チオメチルエステル、アセチル乳酸チオエチルエステル、プロピオニル乳酸チオエチルエステル、ブチリル乳酸チオエチルエステル、バレリル乳酸チオエチルエステル、イソカプロイル乳酸チオプロピルエステルなどの含硫化合物類など公知の香料化合物;オレンジ、レモン、ベルガモット、マンダリン、ペパーミント、スペアミント、ラベンダー、カモミール、ローズマリー、ユーカリ、セージ、バジル、アニス、クローブ、ジンジャー、ナツメグ、カルダモンなどの天然抽出物・天然精油;コーヒー、緑茶、紅茶、ウーロン茶、乳脂などのリパーゼ分解物;コーヒー、緑茶、紅茶、ウーロン茶、乳タンパク質などのプロテアーゼ分解物;コーヒー、緑茶、紅茶、ウーロン茶、乳、濃縮乳、粉乳、ミルクホエー、バター、チーズ、ヨーグルトもしくはこれらの混合物からの分画物などを挙げることができる。
本発明の大豆風味付与剤には、必要に応じて、香料組成物において通常使用されている、例えば、水、エタノールなどの溶剤;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ヘキシレングリコール、ベンジルベンゾエート、トリエチルシトレート、ジエチルフタレート、ハーコリン、脂肪酸トリグリセライド、脂肪酸ジグリセリライドなどの香料保留剤を含有させることができる。
本発明の大豆風味付与剤を含有した香料組成物によって香気・風味を付与すると共に、改良または増強することができる飲食品の具体例としては、先に述べた大豆を原料素材とする食品、例えば、豆乳、調製豆乳、豆乳飲料、豆腐、湯葉、厚揚げ、油揚げなどが挙げられる。また、大豆を原料素材とする発酵食品、例えば、醤油、味噌、発酵豆乳などを挙げることができる。さらにまた、必要に応じて、大豆蛋白を利用したプリンなどのデザート、ハンバーグなどの食品、特に、プロテアーゼなどで酵素処理された大豆蛋白を利用した加工食品、各種飲料、乳製品、菓子類を挙げることができるが、これらに何ら限定されるものではない。
本発明の風味付与剤組成物への大豆風味付与剤の添加量は、風味付与剤中で大豆風味付与剤が有効成分として機能を発揮できる量であれば特に限定はないが、例えば、風味付与剤組成物中に質量を基準として0.01%(1.0×10ppm)〜10%(1.0×10ppm)、好ましくは0.1%(1.0×10ppm)〜5.0%(5.0×10ppm)の範囲を例示することができる。
使用対象となる飲食品への風味付与剤組成物の添加量はその目的あるいは対象の種類によっても異なるが、飲食品の全体量に対して質量を基準として0.1ppb〜1×10ppm、好ましくは、10ppb〜1000ppmの範囲を例示することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1:豆乳リパーゼ処理物
豆乳(817g、豆乳脂肪3.6%含有)に食塩(155g)を加え攪拌しながら加熱し、85℃達温後、10分保持し原料の殺菌を行った。40℃まで冷却後、リパーゼAY(0.9g、天野エンザイム社製)を殺菌水(16.0g)に分散したリパーゼ剤を添加した。同温でリパーゼ処理反応を行い、定期的にサンプリングを行い、酸価を基準として反応の終点を決定した。40℃/22時間で豆乳脂肪が完全に分解された。反応液を85℃加温、15分保持した後、45〜50℃に冷却、メッシュろ過し、豆乳リパーゼ処理物960gを得た。この処理物の酸価は5.8で豆乳脂肪分が100%分解されたことを示し、このリパーゼ処理された豆乳960g中には豆乳リパーゼ処理物を3.1%含有することを示す。これを本発明品1とした。
ここで大豆油のけんか価は190とした。また、酸価は日本工業規格(JIS K0070)に定められた方法により測定した。
実施例2:大豆油添加豆乳リパーゼ処理物
豆乳(750g、豆乳脂肪3.6%含有)、食用大豆油(67g)に食塩(155g)を加え攪拌しながら加熱し、85℃達温後、10分保持し原料の殺菌を行った。40℃に冷却後、リパーゼAY(1.7g、天野エンザイム社製)を殺菌水(16.0g)に分散したリパーゼ剤を添加した。同温でリパーゼ処理反応を行い、定期的にサンプリングを行い、酸価を基準として反応の終点を決定した。40℃/22時間で設定した酸価となった。反応液を85℃加温、15分保持した後、45〜50℃に冷却、メッシュろ過し、大豆添加豆乳リパーゼ処理物988g)を得た。この処理物の酸価は11.2であり、原料豆乳中の脂肪と添加した大豆油の62質量%がリパーゼにより分解したことを示す。これを本発明品2とした。
比較例1:大豆油リパーゼ処理物
食用大豆油(750g)、リン酸バッファー水(150g、pH7.1)を加え攪拌しながら加熱し、85℃達温後、15分保持し原料の殺菌を行った。30℃に冷却後、リパーゼAY(0.1g、天野エンザイム社製)を添加した。同温で実施例1と同様に反応のモニタリングを行った。30℃/24時間、酸価119を示した。20%食塩水(300g)を加え、85℃達温後、15分保持し反応物を殺菌、水層を分離し、大豆油リパーゼ処理物720gを得た。この処理物の酸価は127であり、添加した大豆油の67質量%がリパーゼにより分解したことを示す。これを比較品1とした。
実施例3:本発明品1、2および比較品1の官能評価
本発明品1および2の1%豆乳希釈液を調製した。比較品1の大豆油リパーゼ処理物は、リパーゼ分解物の濃度を勘案し、0.1%豆乳希釈液を調製した。
それぞれの希釈液の添加量を表1示した通り0.1g〜10.0gまで段階的に変え、豆乳を加えて全量を100gに調整し、風味を熟練したパネラー7名で評価した。
評価は無添加の豆乳を比較対象として、各希釈液を添加した豆乳についてコク味・濃厚感、エグ味の強度を以下の指標で表した。−:全く感じられない、+/−:明確な差が感じられない、+:明確に感じられる、++:強く感じられる、+++:非常に強く感じられる。
Figure 2015216846
表1に示した通り、本発明品1(豆乳リパーゼ処理物)は希釈液添加量0.5g(本発明品1の豆乳への添加濃度50ppm)からコク味の付与効果が感じられ、希釈品添加量2.0g(本発明品1の豆乳への添加濃度200ppm)添加すると、コク味に加えて濃厚感も感じると評価された。それに対し、マイナスの効果であるエグ味は希釈品添加量10.0g(本発明品1の豆乳への添加濃度1000ppm)まで感じられなかった。本発明品2(大豆油添加豆乳リパーゼ処理物)は希釈液添加量0.5g(本発明品2の豆乳への添加濃度50ppm)でコク味・濃厚感が感じられ、エグ味については希釈液添加量5.0g(本発明品2の豆乳への添加濃度500ppm)まで感じないと評価された。一方、比較品1(大豆油リパーゼ処理物)は希釈液添加量0.5g(比較品1の豆乳への添加濃度5ppm)からコク味・濃厚感が感じられるが、エグ味については、希釈液添加量0.5g(比較品1の豆乳への添加濃度5ppm)の低濃度の添加においても、すでにエグ味が認識され、添加濃度を増やすとエグ味がさらに増加すると評価された。すなわち、コク味・濃厚感を付与する濃度と同程度の濃度でエグ味も付与されることが示された。これらの結果から、本発明品1〜3は豆乳に対してエグ味を付与することなくコク味・濃厚感を増強させる効果があり、大豆風味付与剤として有用であることが認められた。
実施例4:本発明品1(豆乳リパーゼ処理物)に食用植物油脂を添加した大豆風味付与剤の官能評価
実施例1で得られた豆乳リパーゼ処理物(本発明品1:原料として豆乳80%使用)100質量部にキサンタンガム0.1質量部を添加し、さらに、食用植物油脂として大豆油、サフラワー油またはこめ油をそれぞれ、本発明品1(100質量部)に対し、食用植物油脂0.4g(対原料豆乳0.5質量%)、0.8g(対原料豆乳1質量%)、3.2g(対原料豆乳4質量%)、6.4g(対原料豆乳8質量%)、9.6g(対原料豆乳12質量%)、12.8g(対原料豆乳16質量%)、16.0g(対原料豆乳20質量%)添加し、ホモゲナイザーで均質化して、以下の大豆風味付与剤(各7種類、合計21種類)を調製した。
これらの大豆風味付与剤を、実施例3と同様に、1%豆乳希釈液を調製し、更に、希釈液2.0gを豆乳98.0gに添加し、大豆風味付与剤添加量が200ppmである豆乳(官能評価用サンプル)を調整した。これらの官能評価用サンプルの風味を熟練したパネラー7名で官能評価した。
食用植物油脂を添加した大豆風味付与剤によるコク味・濃厚感、エグ味および添加した油脂の油脂感について実施例3と同一の評価基準、油脂感については以下の基準で評価した。
油脂感の評価基準:−:油脂感が感じられない、+/−:油脂感がわずかに感じられる、+:油脂感が明確に感じられる、++:油脂感が強く感じられる、+++:油脂感が非常に強く感じられる。
Figure 2015216846
表2に示した通り、大豆油、サフラワー油およびこめ油を豆乳リパーゼ処理物(本発明品1)に対し0.8質量%添加したものは、明確にコク味・濃厚感を感じ、エグ味は感じられないと評価された。また、添加量が12.8%を超えると油脂感が感じられはじめ、16%以上では油脂感を強く感じるようになった。特に、大豆油では添加量が12.8%以上において、油脂感が感じられるものの、コク味・濃厚感が強く感じられ良好であった。
これらの結果から、原料豆乳に対し0.5〜20質量%(豆乳リパーゼ処理物である本発明品1を100質量部に対して対し0.4質量部〜16質量部)、特に原料豆乳に対し1.0〜15質量%程度の食用植物油脂を添加することにより良好な風味となり、大豆風味付与剤として有用であると認められた。
実施例5:豆乳リパーゼ処理物からなる大豆風味付与剤
豆乳(817g、豆乳脂肪3.6%含有)に食塩(155g)を加え攪拌しながら加熱し、85℃達温後、10分保持し原料の殺菌を行った。40℃まで冷却後、リパーゼAY(0.9g、天野エンザイム社製)を殺菌水(16.0g)に分散したリパーゼ剤を添加した。同温でリパーゼ処理反応を行い、定期的にサンプリングを行い、酸価を基準として反応の終点を決定した。40℃/22時間で豆乳脂肪が完全に分解された反応液にキサンタンガム(1.0g)および食塩(10.0g)を添加し、85℃加温、15分保持し殺菌した後、45〜50℃に冷却、ホモゲナイザーで均質化した後、メッシュろ過し、大豆風味付与剤885gを得た。この大豆風味付与剤は酸価:5.4を示した。これを本発明品3とした。
実施例6:豆乳リパーゼ処理物に食用植物油脂を添加した大豆風味付与剤
実施例5と同様に、豆乳(817g、豆乳脂肪3.6%含有)に食塩(155g)の混合物に対してリパーゼ処理操作を行った。22時間反応により豆乳脂肪を完全に分解した後、大豆油(73g)、キサンタンガム(1.0g)および食塩(10.0g)を添加し、85℃加温、15分保持し殺菌した後、45〜50℃に冷却、ホモゲナイザーで均質化した後、メッシュろ過し、豆乳リパーゼ処理物に食用植物油脂を添加した大豆風味付与剤960gを得た。この大豆風味付与剤は酸価:5.8を示した。これを本発明品4とした。
実施例7:大豆油添加量の異なる大豆油添加豆乳リパーゼ処理物(リパーゼ処理前に大豆油添加)
豆乳(75g、豆乳脂肪3.6%含有)、食塩(15.5g)の混合物に大豆油を下記に示す量添加した。0.8g(対豆乳1質量%添加、その後引き続き行う工程により得られた処理品を本発明品5とした、以下同様。)、1.5g(対豆乳2質量%:本発明品6)、6.0g(対豆乳8質量%:本発明品7)、9.0g(対豆乳12質量%:本発明品8)、12.0g(対豆乳16質量%:本発明品9)、15.0g(対豆乳20質量%:本発明品10)。
大豆油添加後、それぞれを加熱攪拌し85℃達温後、10分保持し原料の殺菌を行った。40℃に冷却後、各サンプルにリパーゼ剤(リパーゼAY(0.2g、天野エンザイム社製)を殺菌水(1.6g)に分散)を加え、同温でリパーゼ処理反応を行った。酸価を分解の指標として、定期的にモニタリングを行い、全脂肪の約2/3が分解された時点で反応を終点とした。40℃/22〜24時間で設定した酸価を示した。各反応液を85℃、15分間保持した後、45〜50℃に冷却、メッシュろ過し、キサンタンガム(0.1g)を加え、ホモゲナイザーで均質化し、大豆油添加量の異なる大豆油添加豆乳リパーゼ処理物を原料とした本発明品5〜10を調製した。
実施例8:本発明品5〜本発明品10の官能評価
本発明品5〜10の1%豆乳希釈品を調製した。さらに、各希釈品2.0gを豆乳98.0gに加え、豆乳に対して本発明品5〜10、それぞれの添加量が200ppmとなるように調整した官能評価用サンプル6品を調製し、熟練したパネル7名で風味について評価した。
評価は大豆風味付与剤無添加の豆乳を比較対象として、コク味、濃厚感、エグ味および油脂感の強度を以下の指標で表した。−:全く感じられない、+/−:明確な差が感じられない、+:明確に感じられる、++:強く感じられる、+++:非常に強く感じられる。
Figure 2015216846
表3に示した通り、豆乳に対して1質量%の大豆油を添加してリパーゼ処理した本発明品5は、コク味は感じられるが濃厚感が不足するという評価であった。大豆油添加量が豆乳に対して2質量%以上の本発明品6〜10は、コク味、濃厚感共に良好な効果が得られたが、コク味は大豆油添加量が豆乳に対して2〜12質量%の範囲で特に強かった。一方、エグ味は大豆油の添加量が16質量%の本発明品9では明確に感じ、20質量%添加した本発明品10では強く感じるという評価であった。
また、大豆油を添加したことによる油脂感は20質量%まで添加した本発明品10でも感じることはできなかった。
以上の結果より、豆乳に対してリパーゼ処理する前に食用植物油脂を添加する場合、豆乳に対し1〜15%の範囲であれば、エグ味を付与せずに、特にコク味・濃厚感を強化できる大豆風味付与剤として使用できることが認められた。
実施例9:大豆油を添加した豆乳をリパーゼ処理した大豆風味付与剤
豆乳(750g、豆乳脂肪3%含有)、食用大豆油(67g)に食塩(155g)を加え攪拌しながら加熱し、85℃達温後、10分保持し原料の殺菌を行った。40℃に冷却後、リパーゼAY(1.7g、天野エンザイム社製)を殺菌水(16.0g)に分散したリパーゼ剤を添加した。同温でリパーゼ処理反応を行い、定期的にサンプリングを行い、40℃/22時間で全体の油脂の2/3が分解した時点で反応を終了した。キサンタンガム(1.0g)および食塩(10.0g)を添加し、反応液を85℃加温、15分保持した後、45〜50℃に冷却し、ホモゲナイザーで均質化した後、メッシュろ過し、大豆添加豆乳リパーゼ処理物を原料とした大豆風味付与剤(850g、酸価:11.2=豆乳脂肪:0.8%、豆乳脂肪リパーゼ処理物:1.5%、大豆油:2.3%および大豆油リパーゼ分解物4.5%との混合物)を得た。実施例9で得た大豆風味付与剤を本発明品11とした。
実施例10:本発明品3、4および11の大豆風味付与効果
市販豆乳(成分無調整)に本発明品3を200ppm、本発明品4を200ppm、または、本発明品11を200ppmそれぞれ添加した豆乳を調製した。市販豆乳(成分無調整)を比較品として、それぞれの風味を熟練したパネル7名により評価した。
また、市販豆腐用豆乳に本発明品3を200ppm、本発明品4を200ppm、または、本発明品11を200ppmそれぞれ添加し、ニガリを加え、豆腐を調整した。本発明品無添加の豆腐用豆乳にて調整した豆腐を比較品として、それぞれの風味を熟練したパネル7名により評価し、その平均的な評価結果を表4に示した。
Figure 2015216846
表4に示したように本発明品3、4および11は低濃度の添加で大豆風味を増強する効果があることが認められた。

Claims (9)

  1. 豆乳のリパーゼ処理物からなる大豆風味付与剤。
  2. 豆乳のリパーゼ処理物に食用植物油脂を添加して得られる大豆風味付与剤。
  3. 豆乳に食用植物油脂を添加した後、リパーゼ処理して得られる大豆風味付与剤。
  4. 添加する食用植物油脂が豆乳100質量部に対して0.5〜20質量部である請求項2または請求項3に記載の大豆風味付与剤。
  5. リパーゼ処理前に豆乳100質量部に対し10〜25質量部の食塩を添加した請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の大豆風味付与剤。
  6. 添加する食用植物油脂が大豆油である請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載の大豆風味付与剤。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれかに記載の大豆風味付与剤を有効成分として添加した風味付与剤組成物。
  8. 請求項1〜請求項6のいずれかに記載の大豆風味付与剤を添加した飲食品。
  9. 請求項7の風味付与剤組成物を添加した飲食品。
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